JP2017030320A - 熱収縮性フィルムの製造方法。 - Google Patents

熱収縮性フィルムの製造方法。 Download PDF

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篤史 塩見
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功 真鍋
光隆 坂本
Mitsutaka Sakamoto
光隆 坂本
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育 高田
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Abstract

【課題】低温領域では収縮せず、高温領域では収縮しやすい特徴をもった熱収縮性フィルムの製造方法を提供すること。
【解決手段】幅方向に1.5倍以上6倍以下で延伸(TD−1)し、さらにその後に長手方向に1.1倍以上4倍以下延伸(MD−1)する工程を有する熱収縮性フィルムの製造方法であって、TD−1とMD−1の間に、50℃以上160℃以下の熱処理(HS−1)工程、MD−1の後に、101℃以上150℃以下の熱処理(HS−2)工程を有する熱収縮性フィルムの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は熱収縮性フィルムの製造方法に関するものである。
熱収縮性フィルムは、包装用途、ラベル用途など、広く使用されているが、近年、水系塗剤や特殊塗剤等を塗布、乾燥した後にフィルムを一方向に偏向収縮させることで、独自性を付与させる熱収縮性フィルムのニーズが高まってきている。このような熱収縮性フィルムの場合、フィルムには塗布乾燥工程において、その温度に応じた皺や平面性を保つための低収縮性を有し、かつその後の収縮工程においては、必要量収縮するといった特徴が求められる。これまで、熱収縮率フィルムとして、例えば特許文献1および2に代表されるような一軸延伸フィルムおよび横方向に延伸した後に縦方向に逐次二軸延伸することで特定方向にのみ収縮させるフィルムがあった。
特開2011−79229号公報 国際公開第2014/021120号
しかしながら、特許文献1または2に挙げた一軸延伸フィルム、横縦逐次二軸延伸フィルムは、一方向への高収縮特性は得られるが、上記した乾燥工程を含む用途においては、低温熱収縮性が全く考慮されていないため、例えば樹脂のガラス転移温度付近の雰囲気下ではフィルムが大きく収縮してしまい、特殊インキや塗剤を塗布する工程にて皺などにより平面性が悪化するだけでなく、乾燥工程にてフィルムが収縮することによって、その後の高温領域において高収縮できなくなってしまう課題があった。本発明の目的は、塗剤の乾燥工程などでは低熱収縮性を示し、かつ、その後の収縮工程においては高収縮性を示すフィルムを得るための製造方法を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明では、少なくとも幅方向に1.5倍以上6倍以下で延伸(TD−1)し、さらにその後に長手方向に1.1倍以上4倍以下で延伸(MD−1)する工程を有する熱収縮性フィルムの製造方法であって、TD−1とMD−1の間に、50℃以上160℃以下の熱処理(HS−1)工程、MD−1の後に、101℃以上150℃以下の熱処理(HS−2)工程を有する熱収縮性フィルムの製造方法を採用する。
本発明は、少なくとも幅方向に1.5倍以上6倍以下で延伸(TD−1)し、さらにその後に長手方向に1.1倍以上4倍以下で延伸(MD−1)する工程を有する熱収縮性フィルムの製造方法であって、TD−1とMD−1の間に、50℃以上160℃以下の熱処理(HS−1)工程、MD−1の後に、101℃以上150℃以下の熱処理(HS−2)工程を有する。これにより、塗剤等の乾燥工程では低収縮性であることから皺などがなく平面性を維持し、その後、より高温領域においては高収縮性を示すフィルムを得ることができる。また、得られたフィルムは本効果により包装用途、加飾用途などにおいて熱収縮性フィルムとして好ましく用いられる。
以下、本発明の熱収縮性フィルムの製造方法について詳細に説明する。
本発明では、少なくとも幅方向に1.5倍以上6倍以下で延伸(TD−1)する工程を有する。ここで、本発明の乾燥工程における低温収縮性の低温と、乾燥した後にフィルムを一方向に偏向収縮させる際の高収縮工程における高温は、用途や必要性能によってある程度の範囲内にて変化するものであるが、本発明においては、熱収縮性フィルムを構成する樹脂の温度変調DSCから得られるガラス転移温度Tg+20℃以下を低温領域とし、ガラス転移温度Tg+20℃を超えると高温領域とする。フィルムのガラス転移温度は延伸によって上昇するが、各種機能層の塗工工程および、乾燥工程での耐熱性の観点から、製造後のフィルムのガラス転移温度が100℃以上であることが好ましい。ここで、製造後のフィルムのガラス転移温度は、温度変調DSCによって測定することができる。
本発明では、低温領域における熱収縮性を付与するために熱収縮性フィルムのガラス転移温度を上昇させるためには、少なくとも幅方向に1.5倍以上にて延伸することが必要である。一方、幅方向への高倍率化は配向に伴うガラス転移温度上昇、および生産性や平面性にとって有利であるが、6倍を超えてしまうとフィルム破れが頻発し、生産性が低下するおそれがある。そのため、幅方向の延伸倍率は1.5倍以上、6倍以下であることが必要であり、2.0倍以上、5.5倍以下が好ましく、3.0倍以上、5.0倍以下がより好ましく、3.5倍以上、4.5倍以下が最も好ましい。延伸方法としては、特に限定されないが、ステンター方式にてフィルム幅方向両端をクリップやピンなどの把持具で把持して延伸する方法を好ましく用いることができる。延伸温度としては、熱収縮性フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度以上、ガラス転移温度+30℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度以下であればフィルム破れが発生する可能性があり、ガラス転移温度+30℃を超えると、フィルムガラス転移温度上昇に必要な配向が得られないことがある。ここで、本発明における幅方向の延伸温度とは、延伸区間における最高温度のことであり、たとえばステンター方式で延伸する場合には、延伸区間のステンター内の温度のうち最高温度を意味する。また、生産性とハンドリング性の点から延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。
本発明では、TD−1の後に長手方向に1.1倍以上、4倍以下で延伸(MD−1)する工程を有することが必要である。本工程にて、長手方向への偏向高収縮特性を得ることができる。長手方向の延伸倍率が1.1倍以下であると、高温領域における収縮性を十分に発現しない場合があり、4.0倍を超えてしまうと低温領域における低熱収縮性が維持できない場合がある。長手方向への収縮性を上昇させるには、長手方向の延伸倍率は1.2倍以上が好ましく、1.6倍以上が最も好ましい。また、収縮性の付与と延伸時のフィルム破断などの工程トラブルの抑制を両立させるためには、長手方向の延伸倍率の上限は3.5倍以下であることが好ましく、3.0倍以下であることがより好ましい。延伸方法としては、ロールの速度差を利用して延伸するロール延伸法、ステンター方式にてフィルム幅方向両端をクリップやピンなどの把持具で把持し、延伸速度を徐々に上昇させて延伸するステンター法などがあるが、フィルムの両端を把持しない状態で長手方向に延伸できるロール延伸方式とすると、予熱工程での幅方向配向緩和、延伸時にネックダウンが起こり、幅方向の収縮を低減することができ、長手方向への偏向収縮性が向上するため、好ましい。また、生産性とハンドリング性の点から、延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。
本発明では、MD−1の延伸温度が、90℃以上であることが好ましい。90℃以上で延伸することによって、長手方向に強く偏向収縮させることができる。一方、90℃未満であると、TD方向の配向を崩してしまうほど長手方向に配向してしまうため、結果的に長手方向への偏向収縮は抑制されてしまう。逐次二軸延伸では、延伸方向に対して強く配向させることが一般的な考え方であり、そのために延伸倍率を高くする、または延伸温度を低くすることが多いが、本発明では後の熱処理(HS)工程であるHS温度よりも高い温度にて延伸することが好ましい。延伸温度がHS温度よりも高い場合、延伸方向に強く配向することはないが、高収縮性を維持した状態にて、低温収縮性を向上させることができる。ただし、適宜必要な熱特性に応じて、高温熱収縮性の観点から延伸温度は熱収縮性フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度+40℃以下とするのが好ましい。ここで、長手方向の延伸温度とは、フィルムに熱を付与する作用を有する部分の温度であって、延伸区間における最高温度のことを指し、たとえばロール延伸法で延伸する場合には、延伸区間のロール表面温度のうち最高温度を意味し、ステンター延伸法で延伸する場合には、延伸区間のステンター内の温度のうち最高温度を意味する。
本発明では、TD−1とMD−1の間に、50℃以上160℃以下の熱処理(HS−1)工程を有することが必要である。本工程によってフィルム低温領域での幅方向ひずみ、いわゆる配向結晶以外のひずみ部分を緩和することができる。HS−1工程を有することによって、緩和したひずみ部分が選択的に長手方向にひずみ、幅方向の配向結晶を残存させた状態で長手方向にひずみを形成させることができる。これにより、幅方向への寸法安定性は配向結晶化によって維持され、長手方向は配向結晶以外、いわゆる熱収の原因と考えられる非晶成分が選択にひずむ。HS−1の温度が50℃未満であると、幅方向のひずみ緩和が不十分であり、高温領域での高収縮性に劣る。一方、160℃を越えると、幅方向の緩和が過度に進行し、低温領域の低収縮性を得ることができない。HS−1の温度は、好ましくは60℃以上150℃以下であり、より好ましくは70℃以上130℃以下であり、特に好ましくは80℃以上110℃以下であることが、高温領域での高収縮性と低温領域での低収縮性の両立のために好ましい。ステンター内の熱処理区間、熱処理オーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行うことができる。ここで熱処理温度は、熱処理工程の中で最も高い温度を指し、延伸温度と同様に温度設定することができる。
本発明では、MD−1の後に101℃以上150℃以下の熱処理(HS−2)工程を有することが必要である。HS−2の温度が101℃未満であると低熱収縮性を得ることができず、150℃以上であると高収縮性を得ることができない。熱処理温度が101℃以上150℃以下とすることで低温領域における低熱収縮性と高温領域における高収縮性を両立することができる。本熱処理工程は、HS−1と同様、オーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行うことができる。また、熱処理温度とは熱処理工程の中で最も高い温度を指し、延伸温度と同様に温度設定することができる。HS−1と同様に設定することができる。また、熱処理時間は特性を悪化させない範囲において任意の時間とすることができ、好ましくは5秒以上60秒以下、より好ましくは10秒以上40秒以下、最も好ましくは15秒以上30秒以下で行うことができる。熱処理中には弛緩を行うこともでき、必要な寸法安定性に合わせて適宜調整すれば良い。例えば、1%以上の弛緩により、幅方向の寸法安定性を向上させることができる。
本発明では、HS−1工程の最高温度とHS−2工程での最高温度が下記式(1)を満たすことが好ましく、温領域での高収縮性と低温領域での低収縮性の両立のためには、式(1‘)を満たすことがより好ましく、式(1‘‘)を満たすことが特に好ましい。
10≦(HS−2最高温度)−(HS−1最高温度)≦80・・・(1)
15≦(HS−2最高温度)−(HS−1最高温度)≦70・・・(1‘)
20≦(HS−2最高温度)−(HS−1最高温度)≦65・・・(1‘‘)
HS−1工程の最高温度とHS−2工程での最高温度との関係を式(1)の範囲内とすることで、低温領域の収縮に起因するひずみを緩和することができるため、高温領域の高収縮性を維持したまま低温領域の収縮性を低減させることができる。
本発明の熱収縮性フィルムの製造方法は、各種熱可塑性樹脂に適用することができる。適用される熱可塑性樹脂は特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、環状オレフィンといったオレフィン系樹脂、ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体といったスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチルといったアクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系、ポリブチレンテレフタレート系、ポリエチレンナフタレート系などのポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610などといったポリアミド系樹脂、トリアセチルセルロースといったセルロース系樹脂、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体といったフッ素系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)系樹脂、AS(アクリロニトリル・スチレン共重合体)系樹脂などが挙げられ、これらを2種類以上含んでいてもよい。
本発明の製造方法では、熱収縮性フィルムの構成成分は、本発明の効果が発現するのであれば特に限定されないが、TD−1工程にて幅方向への配向を促進させる点からオレフィン系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂の少なくともいずれかを主たる構成成分とすることが好ましく、配向の制御が容易であるポリエステル系樹脂を主たる構成成分とすることがより好ましい。また、配向促進の観点からは、結晶性を有するポリエステル系樹脂を主たる構成成分とすることが最も好ましい。ここで、配向とは、例えば、延伸フィルムの屈折率を指標とすることができ、延伸前に比べて屈折率が高くなっているほど、その方向に配向していると言える。屈折率はナトリウムD線(波長589nm)を光源とし、マウント液としてヨウ化メチレンを用い、25℃にてアッベ屈折計を用いて測定すればよい。また、結晶性とはDSCより得られる結晶融解エネルギーから判断することができ、融解エネルギーが大きいほど結晶性がある、といえる。また、主たる構成成分とは、得られたフィルム全体である100質量%に対して、成分が占める重量の割合が60質量%以上であることを示し、特性の制御の容易性の観点からは、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが最も好ましい。
本発明に用いるポリエステルを与えるグリコールあるいはその誘導体としては、エチレングリコールが80モル%以上であることが好ましいが、その他の成分として、たとえば、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、並びに、それらの誘導体を含んでいてもよい。
また、本発明に用いるポリエステルを与えるジカルボン酸あるいはその誘導体としては、テレフタル酸が80モル%以上であることが好ましいが、その他の成分として、たとえば、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸、並びに、それらの誘導体を挙げることができる。ジカルボン酸の誘導体としてはたとえばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2−ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルなどのエステル化物を含んでいてもよい。
本発明においては、配向を促進しやすい観点からポリエステルの結晶性は高い方が好ましいことから、グリコール成分として、エチレングリコールが85モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。また、ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸が85モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。ただし、収縮率を高めようとした場合、特にポリエチレンテレフタレートに対しては共重合成分を導入し、非晶性を高めることにより収縮率を向上させることができることから、収縮性と耐熱性の両立の観点からは、共重合成分を3モル%以上、より好ましくは5モル%以上、特に好ましくは10モル%以上含むことが好ましい。ただし、共重合によってDSCから得られるガラス転移温度ポリエチレンテレフタレートに共重合成分を導入する場合、共重合成分としては、上に挙げたジカルボン酸成分又はグリコール成分のいずれを用いてもよいが、耐熱性の観点から、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましく用いられる。
本発明の製造方法より得られる熱収縮性フィルムの厚みは、本発明の目的を阻害しない範囲であれば特に制限はなく、目的に合わせて、たとえば3μm〜300μm程度とすればよい。
(特性の測定方法および効果の評価方法)
本発明における特性の測定方法、および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)樹脂の組成
熱収縮性フィルムを構成する樹脂、例えばポリエチレンテレフタレートの場合、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解し、H−NMRおよび13C−NMRを用いて各モノマー残基成分や副生ジエチレングリコールについて含有量を定量することができる。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体を構成する成分を採取し、評価することができる。なお、本発明では、フィルム製造時の混合比率から計算により、組成を算出した。
(2)低温収縮性および高温収縮性
(3)に記載の方法にて熱収縮性フィルムのガラス転移温度を測定する。フィルム長手方向150mm×幅10mmのサイズに切り出したサンプルに、100mm(L0)の間隔の両端位置にマークを入れ、3gの錘を吊して100℃および150℃に加熱した熱風オーブン内に30分間設置し加熱処理を行った。熱処理後の標線間距離(L1)を測定し、加熱前後の標線間距離の変化から下記式にて熱収縮率を算出した。測定は各方向とも5サンプル実施して平均値で評価を行った。
熱収縮率(%) = 100×(L0−L1)/L0
得られた低温領域および、高温領域の熱収縮率より、以下の判定を行った。尚、◎が最も良好である。
低温収縮性の判定
低温領域における長手方向の熱収縮率が10%未満:◎
低温領域における長手方向の熱収縮率が10%以上14%未満:○
低温領域における長手方向の熱収縮率が14%以上:×
高温収縮性の判定
高温領域における長手方向の熱収縮率が25%以上:◎
高温領域における長手方向の熱収縮率が20%以上25%未満:○
高温領域における長手方向の熱収縮率が10%以上20%未満:△
高温領域における長手方向の熱収縮率が10%未満:×
(4)温度変調DSCガラス転移温度
TA Instrument社製温度変調DSCを用いて下記条件にて測定を行った。
加熱温度:270〜570K(RCS冷却法)
温度校正:高純度インジウムおよび錫の融点
温度変調振幅:±1K
温度変調周期:60秒
温度ステップ:5K
試料重量:5mg
試料容器:アルミニウム製開放型容器(22mg)
参照容器:アルミニウム製開放型容器(18mg)
なお、ガラス転移点は下記式より算出した。
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2。
(ポリエステルの製造)
製膜に供したポリエステル樹脂は以下のように準備した。
(ポリエステルA)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.65)。
(ポリエステルB)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が90モル%、イソフタル酸成分が10モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度0.65)。
(ポリエステルC)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が90モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が10モル%であるポリエステル樹脂(固有粘度0.65)。
(ポリエステルD)
ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコールが100モルであるポリエチレンナフタレート樹脂(固有粘度0.8)
(環状オレフィン系樹脂E)
ポリプラスチックス製“TOPAS 8007F−04”と、ポリプラスチックス製“TOPAS 6013F−04”を質量比40:60で混合した環状オレフィン系樹脂(ガラス転移温度115℃)
(アクリル系樹脂F)
住友化学製“スミペックスMGSS”(ガラス転移温度105℃)
(粒子マスターの製造)
(粒子マスターA)
ポリエステルA中に数平均粒子径0.2μmの凝集シリカを粒子濃度5質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.63)。
(実施例1〜18、実施例21〜28、、比較例1〜8)
用いた樹脂および粒子マスター樹脂の組成を表1の通りとして、原料を酸素濃度0.2体積%としたベント同方向二軸押出機に供給し、押出機シリンダー温度を270℃で溶融し、短管温度を275℃、口金温度を280℃で、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸シートを得た。TD−1、HS−1、MD−1、HS−2を順に行い、それぞれ表2に示した延伸倍率、延伸温度、熱処理温度として熱収縮性フィルムを得た。
実施例は全て100℃熱収縮率が14%未満、かつ150℃熱収縮率は10%以上であったため、低温収縮性および高温収縮性の両方に優れており、この熱収縮特性が必要な用途への適合性に優れていた。
一方、比較例1はTD−1の延伸倍率が1.5倍未満であったため、100℃での低熱収縮性を得ることができなかった。
また、比較例2はTD−1の延伸倍率が6倍を超えてしまったため、延伸時にフィルム破れが頻発し、フィルムを得ることができなかった。
比較例3はMD−1の延伸倍率が1.1倍未満であったため150℃における高温収縮性を得ることができなかった。
比較例4は、MD−1の延伸倍率が4.0倍を超えたため、100℃にて低熱収縮性を得ることができなかった。
比較例5は、熱処理(HS−2)工程における熱処理温度が101℃未満であったため、100℃にて低熱収縮性を得ることができなかった。
比較例6は、熱処理(HS−2)工程における熱処理温度が150℃を超えていたため、150℃における高温収縮性を得ることができなかった。
比較例7は、HS−1の温度が50℃未満であったため、150℃における高熱収縮性を得ることができなかった。
比較例8は、HS−1の温度が160℃を超えていたため、100℃における低温収縮性を得ることができなかった。
Figure 2017030320
Figure 2017030320
Figure 2017030320
本発明の熱収縮性フィルム製造方法を採用すれば、低温領域では収縮せず、高温領域では長手方向に偏向して大きく収縮する特殊な熱収縮特性を持ったフィルムを得ることができる。該フィルムは、各種機能層塗布後の乾燥が可能であり、その後、高温領域にて大きく収縮させる必要がある用途での使用が可能となる。

Claims (5)

  1. 幅方向に1.5倍以上6倍以下で延伸(TD−1)し、さらにその後に長手方向に1.1倍以上4倍以下延伸(MD−1)する工程を有する熱収縮性フィルムの製造方法であって、TD−1とMD−1の間に、50℃以上160℃以下の熱処理(HS−1)工程、MD−1の後に、101℃以上150℃以下の熱処理(HS−2)工程を有する熱収縮性フィルムの製造方法。
  2. HS−1工程の最高温度とHS−2工程での最高温度が下記式(1)を満たす請求項1に記載の熱収縮性フィルムの製造方法。
    10≦(HS−2最高温度)−(HS−1最高温度)≦80・・・(1)
  3. MD−1の延伸温度が、HS−2温度よりも高いことを特徴とする請求項1または2に記載の熱収縮性フィルムの製造方法。
  4. MD−1の延伸温度が90℃より高いことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性フィルムの製造方法。
  5. 熱収縮性フィルムがポリエステル系樹脂を主たる構成成分とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性フィルムの製造方法。
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