JPWO2017010238A1 - 方向性結合器 - Google Patents

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Abstract

結合度が広帯域にわたって平坦であり、かつ不要な周波数帯での結合が抑制された方向性結合器を提供する。
入力端子6と、出力端子7と、カップリング端子2と、終端端子3と、第1グランド端子4と、第2グランド端子5a〜5cと、主線路12と、第1副線路13aと、第2副線路13bとを備え、カップリング端子2と第1の副線路13aとの間に第1ローパスフィルタLPF1が挿入され、第1の副線路13aと第2の副線路13bとの間に第2ローパスフィルタLPF2が挿入され、第1ローパスフィルタLPF1が第1グランド端子4に接続され、第2ローパスフィルタLPF2が第2グランド端子5a〜5cに接続されるようにした。

Description

本発明は方向性結合器に関し、さらに詳しくは、結合度が広帯域にわたって平坦化され、かつ、不要な周波数帯での結合が抑制された方向性結合器に関する。
高周波機器において、高周波信号の特性を測定するために、高周波信号の一部を取り出す方向性結合器が使用されている。一般的な構造の方向性結合は、入力端子と出力端子との間に接続された主線路と、カップリング端子と終端端子との間に接続された副線路とを平行に配置し、主線路に流れる高周波信号の一部を副線路から取り出すようにしている。
方向性結合器においては、結合度が広帯域にわたって平坦であることや、不要な周波数帯(たとえば結合に用いる周波数帯よりも高周波側の周波数帯)での結合が抑制されていることが求められる。
たとえば、特許文献1(特開2013−46305号公報)に開示された方向性結合器では、カップリング端子と副線路との間にローパスフィルタを挿入することにより、高周波側の不要な周波数帯での結合を抑制し、結合度を広帯域にわたって平坦化している。
また、特許文献2(特開2013−5076号公報)に開示された方向性結合器では、副線路を第1副線路と第2副線路とに分割し、第1副線路と第2副線路との間にローパスフィルタを挿入することにより、高周波側の不要な周波数帯での結合を抑制し、結合度を広帯域にわたって平坦化している。
特開2013−46305号公報 特開2013−5076号公報
特許文献1や特許文献2に開示された方向性結合器は、高周波側の不要な周波数帯での結合の抑制や、広帯域にわたる結合度の平坦化に対して、一定の効果を奏している。しかしながら、方向性結合器を使用する電子機器の製造者・販売者からは、不要な周波数帯での結合の抑制や、広帯域にわたる結合度の平坦化を、更に進めることが要求されている。
このような要求に応える方法としては、まず、カップリング端子と副線路との間に挿入されるローパスフィルタや、第1副線路と第2副線路との間に挿入されるローパスフィルタを多段化する方法が考えられる。また別の方法として、特許文献1に開示された方法と特許文献2に開示された方法とを組み合わせ、カップリング端子と副線路の間と、第1副線路と第2副線路の間の両方にローパスフィルタを挿入する方法が考えられる。
しかしながら、ローパスフィルタを多段化しても、方向性結合器の大きさが格段に大きくなる一方、期待するような特性の改善はみられなかった。また、単純に、カップリング端子と副線路の間と、第1副線路と第2副線路の間の両方にローパスフィルタを挿入しても、方向性結合器内で信号の不要な回り込みが発生し、期待するような特性の改善は見られなかった。
本発明は、上述した従来の問題を解決するためになされたものであり、その手段として本発明の方向性結合器は、入力端子と、出力端子と、カップリング端子と、終端端子と、グランド端子と、入力端子と出力端子との間に接続された主線路と、カップリング端子と終端端子との間に接続された副線路とを備え、主線路と副線路とが間隔を設けて配置され、副線路は、相互に接続された複数の副線路に分割され、少なくとも第1副線路と第2副線路とを備え、カップリング端子と副線路との間に、第1ローパスフィルタが挿入され、第1の副線路と第2の副線路との間に、第2ローパスフィルタが挿入され、グランド端子は、相互に隔離された、少なくとも第1グランド端子と第2グランド端子とを含む複数からなり、第1ローパスフィルタが第1グランド端子に接続され、第2ローパスフィルタが第2グランド端子に接続されるようにした。
本発明の方向性結合器は、たとえば、第1ローパスフィルタは、少なくとも、第1インダクタと、第2インダクタと、第1キャパシタと、第2キャパシタと、第3キャパシタとを備え、カップリング端子と第1インダクタの一端とが接続され、第1インダクタの他端と第2インダクタの一端とが接続され、第2インダクタの他端と副線路とが接続され、第1インダクタと並列に第1キャパシタが接続され、第2インダクタと並列に第2キャパシタが接続され、第1インダクタと第2インダクタとの接続点と、第1グランド端子との間に、第3キャパシタが接続され、第2ローパスフィルタは、少なくとも、第3インダクタと、第4インダクタと、第4キャパシタと、第5キャパシタと、第6キャパシタとを備え、第1副線路と第3インダクタの一端とが接続され、第3インダクタの他端と第4インダクタの一端とが接続され、第4インダクタの他端と前記第2副線路とが接続され、第1副線路と第3インダクタとの接続点と、第2グランド端子との間に、第4キャパシタが接続され、第3インダクタと第4インダクタとの接続点と、第2グランド端子との間に、第5キャパシタが接続され、第4インダクタと第2副線路との接続点と、第2グランド端子との間に、第6キャパシタが接続されたものとして構成することができる。この場合には、第1ローパスフィルタによって、結合に用いる周波数帯よりも高周波側に減衰極を形成し、高周波側の減衰を高め、第2ローパスフィルタにより、広帯域にわたって結合度の平坦化をはかることができる。
また、本発明の方向性結合器は、第1ローパスフィルタにおいて、第2インダクタと副線路との間に、1つの追加インダクタ、または、相互に直列に接続された複数の追加インダクタが挿入され、追加インダクタそれぞれと並列に追加キャパシタが接続されるとともに、追加インダクタが1つの場合は、第2インダクタと追加インダクタとの接続点と、第1グランド端子との間に、追加キャパシタが挿入され、追加インダクタが複数の場合は、第2インダクタと追加インダクタとの接続点と、第1グランド端子との間、および、追加インダクタと追加インダクタとの接続点と、第1グランド端子との間に、それぞれ、追加キャパシタが挿入されたものとすることができる。この場合には、第1ローパスフィルタの段数を増やすことができ、方向性結合器の特性を更に改善することができる。
また、本発明の方向性結合器は、第2ローパスフィルタにおいて、第4インダクタと第2副線路との間に、1つの追加インダクタ、または、相互に直列に接続された複数の追加インダクタが挿入され、追加インダクタが1つの場合は、追加インダクタと第2副線路との接続点と、第2グランド端子との間に、追加キャパシタが挿入され、追加インダクタが複数の場合は、追加インダクタと追加インダクタとの接続点と、第2グランド端子との間、および、追加インダクタと第2副線路との接続点と、第2グランド端子との間に、それぞれ、追加キャパシタが挿入されたものとすることができる。この場合には、第2ローパスフィルタの段数を増やすことができ、方向性結合器の特性を更に改善することができる。
また、本発明の方向性結合器において、第1ローパスフィルタのカットオフ周波数と、第2ローパスフィルタのカットオフ周波数とが異なっており、第1ローパスフィルタのカットオフ周波数が、第2ローパスフィルタのカットオフ周波数よりも高周波側にあるものとすることができる。この場合には、第1ローパスフィルタのカットオフ周波数と、第2ローパスフィルタのカットオフ周波数とが異なることにより、広帯域にわたって結合度の平坦化をはかると同時に、結合に用いる周波数帯よりも高周波側の減衰を高めることができる。
また、本発明の方向性結合器において、第1ローパスフィルタと第1グランド端子との接続経路に、さらに、追加インダクタを挿入させても良い。この場合には、結合に用いる周波数帯から高周波側にやや大きく離れた周波数に減衰極を形成することができ、方向性結合器の特性を更に改善することができる。
上述した本発明の方向性結合器は、複数の絶縁体層が積層された積層体内に構成することができ、絶縁体層の所定の層間に、第1グランド電極が形成され、絶縁体層の所定の層間に、第2グランド電極が形成され、積層体内において、第1グランド電極と第2グランド電極は相互に隔離されており、第1ローパスフィルタが第1グランド電極に接続され、第2ローパスフィルタが第2グランド電極に接続され、第1グランド電極が第1グランド端子に接続され、第2グランド電極が第2グランド端子に接続されたものとすることができる。この場合には、第1グランド電極と第2グランド電極が相互に隔離されたことにより、グランド電極を介して信号の不要な回り込みが発生するのを防止することができ、方向性結合器の特性を更に改善することができる。
本発明の方向性結合器を複数の絶縁体層が積層された積層体内に構成するにあたり、積層体内において、第2グランド電極が、絶縁体層の2つ以上の層間に分割して配置され、積層体内において、主線路および副線路が、それぞれ、それらの2つ以上の層間に分割された第2グランド電極に上下から挟まれて配置され、積層体を積層方向に透視した場合に、それらの2つ以上の層間に分割された第2グランド電極と、主線路および副線路とが、少なくとも部分的に重なっているようにすることができる。この場合には、外部からのノイズ信号により、主線路および副線路が影響を受けることを防止することができる。
また、本発明の方向性結合器を複数の絶縁体層が積層された積層体内に構成するにあたり、積層体を積層方向に透視した場合に、第1ローパスフィルタと、第1グランド電極とは、少なくとも部分的に重なっているが、第1ローパスフィルタは、第2グランド電極とは重なっていないようにすることができる。この場合には、第1ローパスフィルタを構成するインダクタが発生させる磁界の障害となるグランド電極を少なくすることができるため、結合に用いる周波数帯よりも高周波側の減衰を高めることができ、方向性結合器の特性を更に改善することができる。
本発明によれば、信号の不要な回り込みが発生せず、結合度が広帯域にわたって平坦化され、不要な周波数帯での結合が抑制された方向性結合器を得ることができる。
第1実施形態にかかる方向性結合器100を示す分解斜視図である。 方向性結合器100の等価回路図である。 方向性結合器100のカップリング特性を示すグラフである。 方向性結合器100に含まれる第1ローパスフィルタLPF1と第2ローパスフィルタLPF2の周波数特性をそれぞれ示すグラフである。 方向性結合器100の挿入損失特性と反射損失特性をそれぞれ示すグラフである。 方向性結合器100のアイソレーション特性を示すグラフである。 比較例にかかる方向性結合器のカップリング特性を示すグラフである。 第2実施形態にかかる方向性結合器200を示す要部分解斜視図である。 方向性結合器200の等価回路図である。 方向性結合器100のカップリング特性と、方向性結合器200のカップリング特性とを、比較して示したグラフである。 第3実施形態にかかる方向性結合器300の等価回路図である。
以下、図面とともに、本発明を実施するための形態について説明する。
なお、各実施形態は、本発明の実施の形態を例示的に示したものであり、本発明が実施形態の内容に限定されることはない。また、異なる実施形態に記載された内容を組合せて実施することも可能であり、その場合の実施内容も本発明に含まれる。また、図面は、実施形態の理解を助けるためのものであり、必ずしも厳密に描画されていない場合がある。たとえば、描画された構成要素ないし構成要素間の寸法の比率が、明細書に記載されたそれらの寸法の比率と一致していない場合がある。また、明細書に記載されている構成要素が、図面において省略されている場合や、個数を省略して描画されている場合などがある。
[第1実施形態]
図1および図2に、本発明の第1実施形態にかかる方向性結合器100を示す。ただし、図1は、方向性結合器100を、複数の絶縁体層が積層された積層体を用いて構成した場合における分解斜視図である。図2は、図1の分解斜視図の構成を等価回路に置き換えたものである。
図1に示すように、方向性結合器100は、16層の絶縁体層1a〜1pが積層された積層体1を備える。積層体1は、直方体形状からなる。
積層体1の4つの側面には、それぞれ、所定の端子が形成されている。以下、積層体1に形成された端子について説明するが、説明の便宜上、図1における手前側の側面から、順番に、時計回りに、各側面に形成された端子について説明する。なお、以下の説明中において、手前側、左側、奥側、右側は、それぞれ、図1の中での方向を指している。また、上側および下側も、図1の中での方向を指している。
積層体1の手前側の右側の側面には、順に、終端端子3、カップリング端子2、第1グランド端子4が、それぞれ形成されている。
積層体1の左側の側面には、第2グランド端子5aが形成されている。
積層体1の奥側の左側の側面には、順に、入力端子6、第2グランド端子5b、出力端子7が、それぞれ形成されている。
積層体1の右側の側面には、第2グランド端子5cが形成されている。
積層体1の4つの側面に形成された、カップリング端子2、終端端子3、第1グランド端子4、第2グランド端子5a、5b、5c、入力端子6、出力端子7は、それぞれ、積層体1(絶縁体層1a)の下側の主面、および、積層体1(絶縁体層1p)の上側の主面に延出して形成されている。
カップリング端子2、終端端子3、第1グランド端子4、第2グランド端子5a、5b、5c、入力端子6、出力端子7は、たとえば、Ag、Cuや、これらの合金などを主成分とする金属からなり、必要に応じて表面に、Ni、Sn、Auなどを主成分にするめっき層が、1層または複数層にわたって形成されている。
積層体1を構成する絶縁体層1a〜1pの材質には、セラミックスが使用されている。絶縁体層1a〜1pは、それぞれ、誘電率を有する誘電体層と理解することもできる。
絶縁体層1aの上側主面には、第1グランド電極8、第2グランド電極9aが形成されている。第1グランド電極8は、第1グランド端子4に接続されている。第2グランド電極9aは、第2グランド端子5a、5b、5cに接続されている。
絶縁体層1bの上側主面には、キャパシタ電極10aが形成されている。また、絶縁体層1bの両主面間を貫通してビア電極11aが形成されている。ビア電極11aは、一端がキャパシタ電極10aに接続され、他端が絶縁体層1aに形成された第1グランド電極8に接続されている。
絶縁体層1cの上側主面には、キャパシタ電極10bが形成されている。
絶縁体層1dの上側主面には、キャパシタ電極10c、10dが形成されている。また、絶縁体層1dの両主面間を貫通してビア電極11bが形成されている。キャパシタ電極10cは、カップリング端子2に接続されている。ビア電極11bは、一端が絶縁体層1dの上側主面に露出され、他端が絶縁体層1cに形成されたキャパシタ電極10bに接続されている。
絶縁体層1eの上側主面には、主線路12が形成されている。また、絶縁体層1eの両主面間を貫通してビア電極11c、11dが形成されている。主線路12は、一端が入力端子6に接続され、他端が出力端子7に接続されている。ビア電極11cは、一端が絶縁体層1eの上側主面に露出され、他端が絶縁体層1dに形成されたビア電極11bに接続されている。ビア電極11dは、一端が絶縁体層1eの上側主面に露出され、他端が絶縁体層1dに形成されたキャパシタ電極10dに接続されている。
絶縁体層1fの上側主面には、第1副線路13aが形成されている。また、絶縁体層1fの両主面間を貫通してビア電極11e、11fが形成されている。ビア電極11eは、一端が第1副線路13aの一端に接続され、他端が絶縁体層1eに形成されたビア電極11dに接続されている。ビア電極11fは、一端が絶縁体層1fの上側主面に露出され、他端が絶縁体層1eに形成されたビア電極11cに接続されている。
絶縁体層1gの上側主面には、第2副線路13bが形成されている。また、絶縁体層1gの両主面間を貫通してビア電極11g、11h、11iが形成されている。第2副線路13bは、一端が終端端子3に接続されている。ビア電極11gは、一端が絶縁体層1gの上側主面に露出され、他端が絶縁体層1fに形成されたビア電極11fに接続されている。ビア電極11hは、一端が絶縁体層1gの上側主面に露出され、他端が絶縁体層1fに形成された第1副線路13aの他端に接続されている。ビア電極11iは、一端が絶縁体層1gの上側主面に露出され、他端が絶縁体層1fに形成された第1副線路13aの一端に接続されている。
絶縁体層1hの上側主面には、第2グランド電極9bが形成されている。また、絶縁体層1hの両主面間を貫通してビア電極11j、11k、11l、11mが形成されている。第2グランド電極9bは、第2グランド端子5a、5b、5cに接続されている。ビア電極11jは、一端が絶縁体層1hの上側主面に露出され、他端が絶縁体層1gに形成された第2副線路13bの他端に接続されている。ビア電極11kは、一端が絶縁体層1hの上側主面に露出され、他端が絶縁体層1gに形成されたビア電極11gに接続されている。ビア電極11lは、一端が絶縁体層1hの上側主面に露出され、他端が絶縁体層1gに形成されたビア電極11hに接続されている。ビア電極11mは、一端が絶縁体層1hの上側主面に露出され、他端が絶縁体層1gに形成されたビア電極11iに接続されている。
絶縁体層1iの上側主面には、キャパシタ電極10e、10fが形成されている。また、絶縁体層1iの両主面間を貫通してビア電極11n、11o、11p、11qが形成されている。ビア電極11nは、一端がキャパシタ電極10eに接続され、他端が絶縁体層1hに形成されたビア電極11jに接続されている。ビア電極11oは、一端がキャパシタ電極10fに接続され、他端が絶縁体層1hに形成されたビア電極11lに接続されている。ビア電極11pは、一端が絶縁体層1iの上側主面に露出され、他端が絶縁体層1hに形成されたビア電極11kに接続されている。ビア電極11qは、一端が絶縁体層1iの上側主面に露出され、他端が絶縁体層1hに形成されたビア電極11mに接続されている。
絶縁体層1jの上側主面には、線路電極15a、15bが形成されている。また、絶縁体層1jの両主面間を貫通してビア電極11r、11s、11t、11uが形成されている。ビア電極11rは、一端が線路電極15aの一端に接続され、他端が絶縁体層1iに形成されたキャパシタ電極10eに接続されている。ビア電極11sは、一端が線路電極15bの一端に接続され、他端が絶縁体層1iに形成されたキャパシタ電極10fに接続されている。ビア電極11tは、一端が絶縁体層1jの上側主面に露出され、他端が絶縁体層1iに形成されたビア電極11pに接続されている。ビア電極11uは、一端が絶縁体層1jの上側主面に露出され、他端が絶縁体層1iに形成されたビア電極11qに接続されている。
絶縁体層1kの上側主面には、線路電極15c、15d、15eが形成されている。また、絶縁体層1kの両主面間を貫通してビア電極11v、11w、11x、11yが形成されている。ビア電極11vは、一端が線路電極15cの一端に接続され、他端が絶縁体層1jに形成された線路電極15aの他端に接続されている。ビア電極11wは、一端が線路電極15dの一端に接続され、他端が絶縁体層1jに形成された線路電極15bの他端に接続されている。ビア電極11xは、一端が線路電極15eの中間部分に接続され、他端が絶縁体層1jに形成されたビア電極11tに接続されている。ビア電極11yは、一端が絶縁体層1kの上側主面に露出され、他端が絶縁体層1jに形成されたビア電極11uに接続されている。
絶縁体層1lの上側主面には、線路電極15f、15g、15h、15iが形成されている。また、絶縁体層1lの両主面間を貫通してビア電極11z、11A、11B、11C、11Dが形成されている。ビア電極11zは、一端が線路電極15fの一端に接続され、他端が絶縁体層1kに形成された線路電極15cの他端に接続されている。ビア電極11Aは、一端が線路電極15gの一端に接続され、他端が絶縁体層1kに形成された線路電極15dの他端に接続されている。ビア電極11Bは、一端が線路電極15hの一端に接続され、他端が絶縁体層1kに形成された線路電極15eの一端に接続されている。ビア電極11Cは、一端が線路電極15iの一端に接続され、他端が絶縁体層1kに形成された線路電極15eの他端に接続されている。ビア電極11Dは、一端が絶縁体層1lの上側主面に露出され、他端が絶縁体層1kに形成されたビア電極11yに接続されている。
絶縁体層1mの上側主面には、線路電極15j、15k、15lが形成されている。また、絶縁体層1mの両主面間を貫通してビア電極11E、11F、11G、11H、11Iが形成されている。線路電極15kは、一端がカップリング端子2に接続されている。ビア電極11Eは、一端が線路電極15jの一端に接続され、他端が絶縁体層1lに形成された線路電極15fの他端に接続されている。ビア電極11Fは、一端が線路電極15jの他端に接続され、他端が絶縁体層1lに形成された線路電極15gの他端に接続されている。ビア電極11Gは、一端が線路電極15kの他端に接続され、他端が絶縁体層1lに形成された線路電極15hの他端に接続されている。ビア電極11Hは、一端が線路電極15lの一端に接続され、他端が絶縁体層1lに形成された線路電極15iの他端に接続されている。ビア電極11Iは、一端が絶縁体層1mの上側主面に露出され、他端が絶縁体層1lに形成されたビア電極11Dに接続されている。
絶縁体層1nの上側主面には、第2グランド電極9c、線路電極15mが形成されている。また、絶縁体層1nの両主面間を貫通してビア電極11J、11K、11Lが形成されている。第2グランド電極9cは、第2グランド端子5a、5b、5cに接続されている。ビア電極11Jは、一端が線路電極15mの一端に接続され、他端が絶縁体層1mに形成された線路電極15lの他端に接続されている。ビア電極11Kは、一端が線路電極15mの他端に接続され、他端が絶縁体層1mに形成されたビア電極11Iに接続されている。ビア電極11Lは、一端が絶縁体層1nの上側主面に露出され、他端が絶縁体層1mに形成された線路電極15jの中間部分に接続されている。
絶縁体層1oの上側主面には、キャパシタ電極10gが形成されている。また、絶縁体層1oの両主面間を貫通してビア電極11Mが形成されている。ビア電極11Mは、一端がキャパシタ電極10gに接続され、他端が絶縁体層1nに形成されたビア電極11Lに接続されている。
絶縁体層1pの上側主面には、上述したとおり、積層体1(絶縁体層1p)の4つの側面から延出された、カップリング端子2、終端端子3、第1グランド端子4、第2グランド端子5a、5b、5c、入力端子6、出力端子7が、それぞれ形成されている。
以上において、第1グランド電極8、第2グランド電極9a〜9c、キャパシタ電極10a〜10g、ビア電極11a〜11M、主線路12、第1副線路13a、第2副線路13b、線路電極15a〜15mの材質には、たとえば、Ag、Cuや、これらの合金を主成分とする金属が使用されている。
以上のような構造からなる第1実施形態にかかる方向性結合器100は、従来から、絶縁体層が積層された積層体を用いて構成した方向性結合器を製造するのに使用されている一般的な製造方法により、製造することができる。
図2に、第1実施形態にかかる方向性結合器100の等価回路を示す。
方向性結合器100は、第1グランド端子4と、第2グランド端子5a、5b、5cと、入力端子6と、出力端子7と、カップリング端子2と、終端端子3と、主線路12と、第1副線路13aと第2副線路13bとを備えた副線路と、第1ローパスフィルタLPF1と、第2ローパスフィルタLPF2とを備える。なお、上記において、第2グランド端子を表す符号が5a、5b、5cの3つからなるのは、図1に示した積層型の方向性結合器100が、3つの第2グランド端子5a、5b、5cを備えていることによる。第2グランド端子の数は3つには限定されず、3つより少なくても良く、また、3つより多くても良い。
入力端子6と出力端子7との間に、主線路12が接続されている。
カップリング端子2と終端端子3との間に、順に、第1ローパスフィルタLPF1、第1副線路13a、第2ローパスフィルタLPF2、第2副線路13bが接続されている。主線路12と、第1副線路13aと第2副線路13bとを備えた副線路とは、電磁気的に結合している。
第1ローパスフィルタLPF1は、第1インダクタL1と、第2インダクタL2と、第1キャパシタC1と、第2キャパシタC2と、第3キャパシタC3と、追加のインダクタL11とを備える。第1ローパスフィルタLPF1においては、カップリング端子2と第1インダクタL1の一端とが接続され、第1インダクタL1の他端と第2インダクタL2の一端とが接続され、第2インダクタL2の他端と第1副線路13aとが接続され、第1インダクタL1と並列に第1キャパシタC1が接続され、第2インダクタL2と並列に第2キャパシタC2が接続され、第1インダクタL1と第2インダクタL2との接続点と、第1グランド端子4との間に、第3キャパシタC3と、追加のインダクタL11とが接続されている。
第2ローパスフィルタLPF2は、第3インダクタL3と、第4インダクタL4と、第4キャパシタC4と、第5キャパシタC5と、第6キャパシタC6とを備える。第2ローパスフィルタLPF2においては、第1副線路13aと第3インダクタL3の一端とが接続され、第3インダクタL3の他端と第4インダクタL4の一端とが接続され、第4インダクタL4の他端と第2副線路13bとが接続され、第1副線路13aと第3インダクタL3との接続点と、第2グランド端子5a、5b、5cとの間に、第4キャパシタC4が接続され、第3インダクタL3と第4インダクタL4との接続点と、第2グランド端子5a、5b、5cとの間に、第5キャパシタC5が接続され、第4インダクタL4と第2副線路13bとの接続点と、第2グランド端子5a、5b、5cとの間に、第6キャパシタC6が接続されている。
次に、図1と図2とを参照しながら、積層型の方向性結合器100の構造と、等価回路との関係について説明する。
図2に示す主線路12は、図1に示す絶縁体層1eに形成され、入力端子6と出力端子7との間に接続されている。
図2に示す第1副線路13aは、図1に示す絶縁体層1fに形成されている。
図2に示す第2副線路13bは、図1に示す絶縁体層1gに形成され、一端が終端端子3に接続されている。
次に、図2に示す、第1ローパスフィルタLPF1について説明する。
第1ローパスフィルタLPF1を構成する第1インダクタL1は、図1に示す、カップリング端子2から、線路電極15k、ビア電極11G、線路電極15h、ビア電極11Bを経由して、線路電極15eの中間部分を繋ぐ経路により形成されている。なお、線路電極15eの中間部分は、第1インダクタL1と第2インダクタL2との接続点である。
第1ローパスフィルタLPF1を構成する第2インダクタL2は、図1に示す、線路電極15eの中間部分から、ビア電極11C、線路電極15i、ビア電極11H、線路電極15l、ビア電極11J、線路電極15m、ビア電極11K、ビア電極11I、ビア電極11D、ビア電極11y、ビア電極11u、ビア電極11q、ビア電極11m、ビア電極11iを繋ぐ経路により形成されている。なお、ビア電極11iは、第1副線路13aの一端に接続されている。
第1ローパスフィルタLPF1を構成する第1キャパシタC1は、カップリング端子2に接続されたキャパシタ電極10cと、対向するキャパシタ電極10bとの間に発生する容量により形成されている。なお、キャパシタ電極10bは、ビア電極11b、ビア電極11c、ビア電極11f、ビア電極11g、ビア電極11k、ビア電極11p、ビア電極11t、ビア電極11xを経由して、第1インダクタL1と第2インダクタL2との接続点である線路電極15eの中間部分に接続されている。
第1ローパスフィルタLPF1を構成する第2キャパシタC2は、キャパシタ電極10dと、対向するキャパシタ電極10bとの間に発生する容量により形成されている。なお、キャパシタ電極10dは、ビア電極11d、ビア電極11eを経由して、第1副線路13aの一端に接続されている。
第1ローパスフィルタLPF1を構成する第3キャパシタC3は、キャパシタ電極10bと、対向するキャパシタ電極10aとの間に発生する容量により形成されている。なお、キャパシタ電極10aは、ビア電極11a、第1グランド電極8を経由して、第1グランド端子4に接続されている。そして、キャパシタ電極10の一部、ビア電極11a、第1グランド電極8により発生するインダクタンス成分により、追加のインダクタL11が形成されている。
次に、図2に示す、第2ローパスフィルタLPF2について説明する。
第2ローパスフィルタLPF2は、上述したとおり、第1副線路13aと、第2副線路13bとの間に接続されている。第2ローパスフィルタLPF2と、第1副線路13aおよび第2副線路13bとの具体的な接続関係については後述する。
第2ローパスフィルタLPF2を構成する第3インダクタL3は、ビア電極11s、線路電極15b、ビア電極11w、線路電極15d、ビア電極11A、線路電極15g、ビア電極11F、線路電極15jの中間部分を繋ぐ経路により形成されている。なお、線路電極15jの中間部分は、第3インダクタL3と第4インダクタL4との接続点である。
第2ローパスフィルタLPF2を構成する第4インダクタL4は、線路電極15jの中間部分から、ビア電極11E、線路電極15f、ビア電極11z、線路電極15c、ビア電極11v、線路電極15a、ビア電極11rを繋ぐ経路により形成されている。
第2ローパスフィルタLPF2を構成する第4キャパシタC4は、キャパシタ電極10fと、対向する第2グランド電極9bとの間に発生する容量により形成されている。なお、キャパシタ電極10fは、第3インダクタL3の一端であるビア電極11sに接続されている。
第2ローパスフィルタLPF2を構成する第5キャパシタC5は、キャパシタ電極10gと、対向する第2グランド電極9cとの間に発生する容量により形成されている。なお、キャパシタ電極10gは、ビア電極11M、ビア電極11Lを経由して、第3インダクタL3と第4インダクタL4との接続点である線路電極15jの中間部分に接続されている。
第2ローパスフィルタLPF2を構成する第6キャパシタC6は、キャパシタ電極10eと、対向する第2グランド電極9bとの間に発生する容量により形成されている。なお、キャパシタ電極10eは、第4インダクタL4の他端であるビア電極11rに接続されている。
第2ローパスフィルタLPF2の一端(第3インダクタL3の一端であるビア電極11sおよび第4キャパシタC4の一方のキャパシタ電極であるキャパシタ電極10f)は、ビア電極11o、11l、11hを繋ぐ配線を経由して、第1副線路13aの他端に接続されている。
第2ローパスフィルタLPF2の他端(第4インダクタL4の他端であるビア電極11rおよび第6キャパシタC6の一方のキャパシタ電極であるキャパシタ電極10e)は、ビア電極11n、11jを繋ぐ配線を経由して、第2副線路13bの他端に接続されている。
第4キャパシタC4、第6キャパシタC6、それぞれの他方のキャパシタ電極を構成する第2グランド電極9b、および、キャパシタ5の他方のキャパシタ電極を構成する第2グランド電極9bは、それぞれ、3つの第2グランド端子5a、5b、5cに接続されている。
なお、積層体1の内部において浮き電極となっている第2グランド電極9aも、3つの第2グランド端子5a、5b、5cに接続されている。
本実施形態の方向性結合器100においては、第1グランド端子4と、第2グランド端子5a、5b、5cとが、隔離されて設けられていることが重要である。すなわち、方向性結合器100では、第1グランド端子4と、第2グランド端子5a、5b、5cとが隔離されて設けられていることにより、信号の不要な回り込みが抑制されている。
また、本実施形態の方向性結合器100においては、第2グランド電極が、積層体1内において、異なる層に形成された第2グランド電極9aと第2グランド電極9bとに分割して形成され、第2グランド電極9aと第2グランド電極9bとで、主線路12と副線路(第1副線路13a、第2副線路13b)とを上下から挟んでいる。この結果、方向性結合器100では、外部からのノイズ信号により、主線路12および副線路(第1副線路13a、第2副線路13b)が影響を受けることが防止されている。
また、本実施形態の方向性結合器100においては、積層体1を積層方向に透視した場合に、第1ローパスフィルタLPF1と、第1グランド電極8とは、少なくとも部分的に重なっているが、第1ローパスフィルタLPF1は、第2グランド電極9a、9b、9cとは重ならないように構成されている。なお、第1ローパスフィルタLPF1は、図1において、積層体1の手前側半分の領域内に形成されている。この結果、方向性結合器100は、第1ローパスフィルタLPF1を構成するインダクタが発生させる磁界の障害となるグランド電極が少なく、結合に用いる周波数帯よりも高周波側の減衰が高められており、カップリング特性が改善されている。
以上に説明した接続関係により、図1に示す積層型の方向性結合器100は、図2に示す等価回路を構成している。
次に、第1実施形態にかかる方向性結合器100の特性について説明する。
図3に、方向性結合器100のカップリング特性を示す。カップリング特性は、図1、2に示す入力端子6からカップリング端子2に流れる信号の量を示したものである。
図4に、方向性結合器100の第1ローパスフィルタLPF1と第2ローパスフィルタLPF2の周波数特性をそれぞれ示す。なお、図4には、方向性結合器100のカップリング特性を併せて示している。
図5に、方向性結合器100の挿入損失特性、反射損失特性をそれぞれ示す。ここでの挿入損失特性は、入力端子6から出力端子7の信号経路の損失を見た特性であり、反射損失特性は、入力端子6から入力した信号が入力端子6に戻ってくる信号比である。
図6に、方向性結合器100のアイソレーション特性を示す。なお、図6には、方向性結合器100のカップリング特性を併せて示している。アイソレーション特性は、出力端子7からカップリング端子2に出力する信号比である。
また、比較のために、図7に、グランド電極を第1グランド電極8と第2グランド電極9a、9b、9cとに分割(隔離)せず、また、グランド端子を第1グランド端子4と第2グランド端子5a、5b、5cとに分割(隔離)しなかった場合のカップリング特性を示す。たとえば、絶縁体層1aの上側主面に形成された第1グランド電極8と第2グランド電極9aとを隔離せず、一体化させたような場合である(図1参照)。
図3に示すように、方向性結合器100は、カップリング特性が、0.7GHz〜2.7GHzの広い帯域幅にわたって、23dB〜28dBの減衰に平坦化されている。また、高周波側の5.1GHz〜6.0GHzの周波数帯において、35dB以上の減衰が得られており、不要な結合が抑制されている。
図3に、23dB〜28dBの減衰に平坦化されている0.7GHz〜2.7GHzの領域をX、35dB以上の減衰が得られている5.1GHz〜6.0GHzの領域をYで示す。
このような優れたカップリング特性を得られたのは、次の理由による。
まず、第2ローパスフィルタLPF2による減衰が、図3においてAで示す領域に形成されており、優れたカップリング特性の形成に寄与している。図4に示すように、第2ローパスフィルタLPF2は、カットオフ周波数が2.3GHz付近に存在している。
また、第1ローパスフィルタLPF1による減衰が、図3においてBで示す領域に形成されており、優れたカップリング特性の形成に寄与している。図4に示すように、第1ローパスフィルタLPF1は、カットオフ周波数が4.4GHz付近に存在している。なお、領域Bの減衰を形成するためには、グランド電極が第1グランド電極8と第2グランド電極9a、9b、9cとに分割(隔離)され、また、グランド端子が第1グランド端子4と第2グランド端子5a、5b、5cとに分割(隔離)されていることが重要である。これらが分割(隔離)されていないと、後述するように、信号の回り込みが発生してしまい、所望の減衰を得ることができないからである。
また、第1ローパスフィルタLPF1に付加された付加インダクタ11による減衰が、図3においてCで示す領域に形成されており、必要としない周波数帯域の結合を抑制することができる。
これに対し、図7に示すように、グランド電極を第1グランド電極8と第2グランド電極9a、9b、9cとに分割(隔離)せず、また、グランド端子を第1グランド端子4と第2グランド端子5a、5b、5cとに分割(隔離)しなかった方向性結合器では、Zで示す領域において、信号の回り込みが原因により、必要な減衰が得られていない。特に、5.1GHz〜6.0GHzの周波数帯において、35dB以上の減衰が得られておらず、製品として求められる規格を満たしていない。
以上より、第1実施形態にかかる方向性結合器100は、結合度が広帯域にわたって平坦化され、かつ、不要な周波数帯での結合が抑制されていることが確認できた。
[第2実施形態]
図8および図9に、第2実施形態にかかる方向性結合器200を示す。ただし、図8は、方向性結合器200を、複数の絶縁体層が積層された積層体を用いて構成した場合における要部分解斜視図である。図9は、図8の要部分解斜視図の構成を等価回路に置き換えたものである。
図1および図2に示した第1実施形態にかかる方向性結合器100では、図1に示す、絶縁体層1bに形成されたキャパシタ電極10の一部と、ビア電極11aと、絶縁体層1aに形成された第1グランド電極8とにより発生するインダクタンス成分により、図2に示すように、第3キャパシタC3と第1グランド端子4との間に、追加のインダクタL11が形成されている。
第2実施形態にかかる方向性結合器200では、図8に示すように、絶縁体層1bを削除し、図9に示すように、追加のインダクタL11を削除した。なお、図9に示す第3キャパシタC3は、図8に示すように、キャパシタ電極10bと第1グランド電極8との間に発生する容量により形成される。
図10に、方向性結合器200のカップリング特性を示す。なお、図10には、方向性結合器100のカップリング特性も併せて示している。
図10から分かるように、方向性結合器200のカップリング特性においては、方向性結合器100のカップリング特性において、領域Cで示す8GHz付近に形成されていた減衰極が消失し、6GHzよりも高周波側の特性が跳ね上がっている。ただし、5.1GHz〜6.0GHzの周波数帯において、必要とされる35dB以上の減衰は得られている。
以上より、第1実施形態にかかる方向性結合器100のように、第1ローパスフィルタLPF1の第3キャパシタC3と、第1グランド端子4との間に、追加のインダクタL11を挿入すれば、8GHz付近に極が形成され、6GHzよりも高周波側において大きな減衰を得られることが分かった。
しかしながら、6GHzよりも高周波側において大きな減衰を必要としない場合には、第2実施形態にかかる方向性結合器200のように、追加のインダクタL11を削除することも可能であり、この場合には、積層体1内に積層される絶縁体層(絶縁体層1b)が1層削除されるため、方向性結合器の低背化をはかることができる。
[第3実施形態]
図11に、第3実施形態にかかる方向性結合器300の等価回路を示す。
図1および図2に示した方向性結合器100では、第1ローパスフィルタLPF1および第2ローパスフィルタLPF2が、それぞれ2段に構成されていた。
これに対し、方向性結合器300では、図11に示すように、第1ローパスフィルタLPF1に、追加のインダクタL21、追加のキャパシタC21、C22を追加し、3段に構成した。また、方向性結合器300では、同じく図11に示すように、第2ローパスフィルタLPF2に、追加のインダクタL31、追加のキャパシタC31を追加し、3段に構成した。
方向性結合器300は、第1ローパスフィルタLPF1および第2ローパスフィルタLPF2の段数が、それぞれ3段に増やされたことにより、カップリング特性が広い帯域幅においてより平坦化され、かつ、不要な周波数帯での結合がより抑制されている。
以上、第1〜第3実施形にかかる方向性結合器100〜300について説明した。しかしながら、本発明がこれらの内容に限定されることはなく、発明の趣旨に沿って、種々の変形をなすことができる。
たとえば、本発明の方向性結合器は、必ずしも絶縁体層が積層された積層体を用いて構成する必要はなく、基板上にいわゆるディスクリート型の電子部品を実装して構成するようにしても良い。
また、第1、第2実施形態にかかる方向性結合器100、200では、第1ローパスフィルタLPF1、第2ローパスフィルタLPF2の段数を、それぞれ2段に構成し、第3実施形態にかかる方向性結合器300では、第1ローパスフィルタLPF1、第2ローパスフィルタLPF2の段数を、それぞれ3段に構成しているが、第1ローパスフィルタLPF1、第2ローパスフィルタLPF2の段数は、それぞれ任意であり、これらより多くても良く、少なくても良い。また、第1ローパスフィルタLPF1の段数と、第2ローパスフィルタLPF2の段数とを一致させる必要はなく、第1ローパスフィルタLPF1の段数と、第2ローパスフィルタLPF2の段数とが異なっていても良い。たとえば、第3実施形態にかかる方向性結合器300では、第1ローパスフィルタLPF1の段数と、第2ローパスフィルタLPF2の段数の両方を3段に増やしているが、いずれか一方の段数のみを増やすようにしても良い。
1・・・積層体
1a〜1p・・・絶縁体層
2・・・カップリング端子
3・・・終端端子
4・・・第1グランド端子
5a、5b、5c・・・第2グランド端子
6・・・入力端子
7・・・出力端子
8・・・第1グランド電極
9a、9b、9c・・・第2グランド電極
10a〜10g・・・キャパシタ電極
11a〜11M・・・ビア電極
12・・・主線路
13a・・・第1副線路
13b・・・第2副線路
15a〜15m・・・線路電極
LPF1・・・第1ローパスフィルタ
LPF2・・・第2ローパスフィルタ
100、200、300・・・方向性結合器
本発明は方向性結合器に関し、さらに詳しくは、結合度の曲線が広帯域にわたって平坦化され、かつ、不要な周波数帯での結合が抑制された方向性結合器に関する。
高周波機器において、高周波信号の特性を測定するために、高周波信号の一部を取り出す方向性結合器が使用されている。一般的な構造の方向性結合は、入力端子と出力端子との間に接続された主線路と、カップリング端子と終端端子との間に接続された副線路とを平行に配置し、主線路に流れる高周波信号の一部を副線路から取り出すようにしている。
本発明は、上述した従来の問題を解決するためになされたものであり、その手段として本発明の方向性結合器は、入力端子と、出力端子と、カップリング端子と、終端端子と、グランド端子と、入力端子と出力端子との間に接続された主線路と、カップリング端子と終端端子との間に接続された副線路とを備え、主線路と副線路とが間隔を設けて配置され、副線路は、相互に接続された複数の副線路に分割され、少なくとも第1副線路と第2副線路とを備え、カップリング端子と副線路との間に、第1ローパスフィルタが挿入され、第1副線路と第2副線路との間に、第2ローパスフィルタが挿入され、グランド端子は、相互に隔離された、少なくとも第1グランド端子と第2グランド端子とを含む複数からなり、第1ローパスフィルタが第1グランド端子に接続され、第2ローパスフィルタが第2グランド端子に接続されるようにした。
第1実施形態にかかる方向性結合器100を示す分解斜視図である。 方向性結合器100の等価回路図である。 方向性結合器100のカップリング特性を示すグラフである。 方向性結合器100に含まれる第1ローパスフィルタLPF1と第2ローパスフィルタLPF2の周波数特性をそれぞれ示すグラフである。 方向性結合器100の挿入損失特性と反射損失特性をそれぞれ示すグラフである。 方向性結合器100のアイソレーション特性を示すグラフである。 比較例にかかる方向性結合器のカップリング特性を示すグラフである。 第2実施形態にかかる方向性結合器200の主要部を示す要部分解斜視図である。 方向性結合器200の等価回路図である。 方向性結合器100のカップリング特性と、方向性結合器200のカップリング特性とを、比較して示したグラフである。 第3実施形態にかかる方向性結合器300の等価回路図である。
積層体1の4つの側面には、それぞれ、所定の端子が形成されている。以下、積層体1に形成された端子について説明するが、説明の便宜上、図1における手前側の側面から、順番に、時計回りに、各側面に形成された端子について説明する。なお、以下の説明中において、手前側、左側、奥側、右側は、それぞれ、図1の中での向きを指している。また、上側および下側も、図1の中での方向を指している。
積層体1の手前側の側面には、順に、終端端子3、カップリング端子2、第1グランド端子4が、それぞれ形成されている。
積層体1の奥側の側面には、順に、入力端子6、第2グランド端子5b、出力端子7が、それぞれ形成されている。
カップリング端子2、終端端子3、第1グランド端子4、第2グランド端子5a、5b、5c、入力端子6、出力端子7は、たとえば、Ag、Cuや、AgとCuの合金などを主成分とする金属からなり、必要に応じて表面に、Ni、Sn、Auなどを主成分にするめっき層が、1層または複数層にわたって形成されている。
以上において、第1グランド電極8、第2グランド電極9a〜9c、キャパシタ電極10a〜10g、ビア電極11a〜11M、主線路12、第1副線路13a、第2副線路13b、線路電極15a〜15mの材質には、たとえば、Ag、Cuや、AgとCuの合金を主成分とする金属が使用されている。
第1ローパスフィルタLPF1を構成する第3キャパシタC3は、キャパシタ電極10bと、対向するキャパシタ電極10aとの間に発生する容量により形成されている。なお、キャパシタ電極10aは、ビア電極11a、第1グランド電極8を経由して、第1グランド端子4に接続されている。そして、キャパシタ電極10aの一部、ビア電極11a、第1グランド電極8により発生するインダクタンス成分により、追加のインダクタL11が形成されている。
第4キャパシタC4、第6キャパシタC6、それぞれの他方のキャパシタ電極を構成する第2グランド電極9b、および、第5キャパシタC5の他方のキャパシタ電極を構成する第2グランド電極9cは、それぞれ、3つの第2グランド端子5a、5b、5cに接続されている。
図5に、方向性結合器100の挿入損失特性、反射損失特性をそれぞれ示す。ここでの挿入損失特性は、入力端子6から出力端子7の信号経路の損失を見た特性であり、反射損失特性は、入力端子6から入力した信号に対する、入力端子6に戻ってくる信号の信号比である。
図6に、方向性結合器100のアイソレーション特性を示す。なお、図6には、方向性結合器100のカップリング特性を併せて示している。アイソレーション特性は、出力端子7から入力した信号に対する、カップリング端子2に出力する信号の信号比である。
また、第1ローパスフィルタLPF1に付加された追加のインダクタL11による減衰が、図3においてCで示す領域に形成されており、必要としない周波数帯域の結合を抑制することができる。
[第2実施形態]
図8および図9に、第2実施形態にかかる方向性結合器200を示す。ただし、図8は、方向性結合器200を、複数の絶縁体層が積層された積層体を用いて構成した場合における主要部の要部分解斜視図である。図9は、図8の要部分解斜視図の構成を等価回路に置き換えたものである。
図1および図2に示した第1実施形態にかかる方向性結合器100では、図1に示す、絶縁体層1bに形成されたキャパシタ電極10aの一部と、ビア電極11aと、絶縁体層1aに形成された第1グランド電極8とにより発生するインダクタンス成分により、図2に示すように、第3キャパシタC3と第1グランド端子4との間に、追加のインダクタL11が形成されている。
また、第1、第2実施形態にかかる方向性結合器100、200では、第1ローパスフィルタLPF1、第2ローパスフィルタLPF2の段数を、それぞれ2段に構成し、第3実施形態にかかる方向性結合器300では、第1ローパスフィルタLPF1、第2ローパスフィルタLPF2の段数を、それぞれ3段に構成しているが、第1ローパスフィルタLPF1、第2ローパスフィルタLPF2の段数は、それぞれ任意であり、2段または3段より多くても良く、2段または3段より少なくても良い。また、第1ローパスフィルタLPF1の段数と、第2ローパスフィルタLPF2の段数とを一致させる必要はなく、第1ローパスフィルタLPF1の段数と、第2ローパスフィルタLPF2の段数とが異なっていても良い。たとえば、第3実施形態にかかる方向性結合器300では、第1ローパスフィルタLPF1の段数と、第2ローパスフィルタLPF2の段数の両方を3段に増やしているが、いずれか一方の段数のみを増やすようにしても良い。

Claims (9)

  1. 入力端子と、
    出力端子と、
    カップリング端子と、
    終端端子と、
    グランド端子と、
    前記入力端子と前記出力端子との間に接続された主線路と、
    前記カップリング端子と前記終端端子との間に接続された副線路とを備え、
    前記主線路と前記副線路とが間隔を設けて配置された方向性結合器であって、
    前記副線路は、相互に接続された複数の副線路に分割され、少なくとも第1副線路と第2副線路とを備え、
    前記カップリング端子と前記副線路との間に、第1ローパスフィルタが挿入され、
    前記第1の副線路と前記第2の副線路との間に、第2ローパスフィルタが挿入され、
    前記グランド端子は、相互に隔離された、少なくとも第1グランド端子と第2グランド端子とを含む複数からなり、
    前記第1ローパスフィルタが前記第1グランド端子に接続され、前記第2ローパスフィルタが前記第2グランド端子に接続された方向性結合器。
  2. 前記第1ローパスフィルタは、少なくとも、第1インダクタと、第2インダクタと、第1キャパシタと、第2キャパシタと、第3キャパシタとを備え、
    前記カップリング端子と前記第1インダクタの一端とが接続され、
    前記第1インダクタの他端と前記第2インダクタの一端とが接続され、
    前記第2インダクタの他端と前記副線路とが接続され、
    前記第1インダクタと並列に第1キャパシタが接続され、
    前記第2インダクタと並列に第2キャパシタが接続され、
    前記第1インダクタと前記第2インダクタとの接続点と、前記第1グランド端子との間に、前記第3キャパシタが接続され、
    前記第2ローパスフィルタは、少なくとも、第3インダクタと、第4インダクタと、第4キャパシタと、第5キャパシタと、第6キャパシタとを備え、
    前記第1副線路と前記第3インダクタの一端とが接続され、
    前記第3インダクタの他端と前記第4インダクタの一端とが接続され、
    前記第4インダクタの他端と前記第2副線路とが接続され、
    前記第1副線路と前記第3インダクタとの接続点と、前記第2グランド端子との間に、前記第4キャパシタが接続され、
    前記第3インダクタと前記第4インダクタとの接続点と、前記第2グランド端子との間に、前記第5キャパシタが接続され、
    前記第4インダクタと前記第2副線路との接続点と、前記第2グランド端子との間に、前記第6キャパシタが接続された、請求項1に記載された方向性結合器。
  3. 前記第1ローパスフィルタにおいて、
    前記第2インダクタと前記副線路との間に、1つの追加インダクタ、または、相互に直列に接続された複数の追加インダクタが挿入され、
    前記追加インダクタそれぞれと並列に追加キャパシタが接続されるとともに、
    前記追加インダクタが1つの場合は、前記第2インダクタと前記追加インダクタとの接続点と、前記第1グランド端子との間に、追加キャパシタが挿入され、
    前記追加インダクタが複数の場合は、前記第2インダクタと前記追加インダクタとの接続点と、前記第1グランド端子との間、および、前記追加インダクタと前記追加インダクタとの接続点と、前記第1グランド端子との間に、それぞれ、追加キャパシタが挿入された、請求項1または2に記載された方向性結合器。
  4. 前記第2ローパスフィルタにおいて、
    前記第4インダクタと前記第2副線路との間に、1つの追加インダクタ、または、相互に直列に接続された複数の追加インダクタが挿入され、
    前記追加インダクタが1つの場合は、前記追加インダクタと前記2副線路との接続点と、前記第2グランド端子との間に、追加キャパシタが挿入され、
    前記追加インダクタが複数の場合は、前記追加インダクタと前記追加インダクタとの接続点と、前記第2グランド端子との間、および、前記追加インダクタと前記第2副線路との接続点と、前記第2グランド端子との間に、それぞれ、追加キャパシタが挿入された、請求項1または2に記載された方向性結合器。
  5. 前記第1ローパスフィルタのカットオフ周波数と、前記第2ローパスフィルタのカットオフ周波数とが異なっており、
    前記第1ローパスフィルタのカットオフ周波数が、前記第2ローパスフィルタのカットオフ周波数よりも高周波側にある、請求項1ないし4のいずれか1項に記載された方向性結合器。
  6. 前記第1ローパスフィルタと前記第1グランド端子との接続経路に、さらに、追加インダクタが挿入されている、請求項1ないし5のいずれか1項に記載された方向性結合器。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載された方向性結合器であって、
    複数の絶縁体層が積層された積層体を備え、
    前記絶縁体層の所定の層間に、第1グランド電極が形成され、
    前記絶縁体層の所定の層間に、第2グランド電極が形成され、
    前記積層体内において、前記第1グランド電極と前記第2グランド電極は相互に隔離されており、
    前記第1ローパスフィルタが前記第1グランド電極に接続され、
    前記第2ローパスフィルタが前記第2グランド電極に接続され、
    前記第1グランド電極が前記第1グランド端子に接続され、
    前記第2グランド電極が前記第2グランド端子に接続された方向性結合器。
  8. 前記積層体内において、前記第2グランド電極が、前記絶縁体層の2つ以上の層間に分割して配置され、
    前記積層体内において、前記主線路および前記副線路が、それぞれ、前記2つ以上の層間に分割された前記第2グランド電極に上下から挟まれて配置され、
    前記積層体を積層方向に透視した場合に、前記2つ以上の層間に分割された前記第2グランド電極と、前記主線路および前記副線路とが、少なくとも部分的に重なっている、請求項7に記載された方向性結合器。
  9. 前記積層体を積層方向に透視した場合に、前記第1ローパスフィルタと、前記第1グランド電極とが、少なくとも部分的に重なっているが、前記第1ローパスフィルタは、前記第2グランド電極とは重なっていない、請求項7または8に記載された方向性結合器。
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