JP3832447B2 - 分配器とこれを用いた高周波信号送受信装置 - Google Patents

分配器とこれを用いた高周波信号送受信装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2つの異なる周波数を分配する分配器とこれを用いた高周波信号送受信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の2つの異なる周波数を分配する分配器は、以下に示すように方向性結合器を用いていた。このように分配器として方向性結合器を用いると、分配時の損失を小さくするとともに出力端子間でのアイソレーションを良くすることができる。
【0003】
即ち、図13において、絶縁基板2には導体3と導体4とが分布結合されていた。そして、導体3の一方の端には入力端子5が接続されていた。この入力端子5には高い周波数(1300MHz)の発振器7と、低い周波数(600MHz)の発振器8とが切替えスイッチ6を介して選択的に供給されていた。そして、この入力端子5から入力された信号は、導体3の他方の端に接続された出力端子9と、導体4の一方の端に接続された出力端子10とに分配されて出力されていた。
【0004】
ここで、導体4の他方の端は抵抗接続用端子11に接続され、この抵抗接続用端子11は抵抗12を介してグランドに接続されていた。
【0005】
ここで、導体3あるいは導体4の長さは、発振器7、8の発振周波数の1/4波長にすることが、分配器としての分配損失、出力端子間でのアイソレーションの特性面で望ましい。なお、2種類の周波数(1300MHzと600MHz)を分配する分配器1において、導体3および導体4の長さは2種類の周波数の1/4波長に設定することができないので、これらの周波数の中間にあたる周波数(950MHz)の絶縁基板上における波長λgの1/4は(数1)より25.5mmとなる。このとき、絶縁基板にはアルミナ基板を用いた場合を示している。
【0006】
【数1】
Figure 0003832447
【0007】
即ち、図14に示すように、導体3、4の長さを、中間にあたる周波数(950MHz)25の4分の1波長にすると、結合損失26と挿入損失27を、低い周波数(600MHz)24と、高い周波数(1300MHz)23において出力レベルを各々等しくすることができる。つまり、送信器として用いると、送信周波数が600MHz、1300MHzと異なる場合でも、送信パワーの劣化あるいは送信信号の歪の差がなくなる。また、受信器として用いると、受信周波数が600MHz、1300MHzと異なる場合でも、受信感度の劣化あるいは妨害に対する排除特性の差がなくなるのである。ここで、図14において、横軸21は周波数とし、縦軸22は損失を表している。
【0008】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−249129号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の構成では、2つの周波数23、24の中心周波数(950MHz)に対応する波長が決まると、導体3、4の長さは一義的に決まってしまう。従って、これを単純に1/4の波長より分配器1を小さくすることができないという問題があった。
【0011】
かといって、この分配器1の形状をただ単に小さくすると、図15に示すように、入力端子5から出力端子10までの挿入損失を33で表したとすると、1300MHzの周波数23での挿入損失33aと、600MHzの周波数24での挿入損失33bとでは33cの損失差が生じる。そのために、送信器として用いると2つの異なる周波数では送信パワーの差が生じる。
【0012】
また、結合損失32においても、1300MHzの周波数23での結合損失32aと、600MHzの周波数24での結合損失32bとでは32cの損失差が生じる。そのために、受信器として用いると、2つの異なる周波数では受信感度に差が生じてしまうという問題があった。そのため、形状のみをそのまま小さくすることはできなかった。
【0013】
本発明は、この問題を解決するもので、2つの異なった周波数の出力レベルを等しくするとともに小型の分配器を提供することを目的としたものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明の分配器は、インダクタとコンデンサからなる直列接続体を第2の導体に並列に接続するとともに、前記直列接続体の共振周波数を高い周波数と低い周波数の間に設定することにより、前記高い周波数における入力端子から第1の出力端子までの挿入損失を小さくするとともに、前記高い周波数における前記入力端子から第2の出力端子までの結合損失を大きくし、前記高い周波数と前記低い周波数の前記第1の出力端子からの出力レベルを略等しくするとともに、前記したものである。
【0015】
これにより、高い周波数と低い周波数の出力レベルを略等しくできる小型の分配器が実現できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、絶縁基板上に形成された第1の導体と、この第1の導体に対し分布結合された第2の導体と、前記第1の導体の一方に接続されるとともに、高い周波数と低い周波数とが選択的に入力される入力端子と、前記第1の導体の他方に接続された第1の出力端子と、前記第2の導体の一方に接続された第2の出力端子と、前記第2の導体の他方に接続されるとともに、第1の抵抗を介してグランドに接続される抵抗接続用端子とを備え、前記第1および第2の導体の長さは前記高い周波数の波長の1/4より短くした分配器において、インダクタとコンデンサからなる直列接続体を前記第2の導体に並列に接続するとともに、前記直列接続体の共振周波数を前記高い周波数と前記低い周波数の間に設定することにより、高い周波数における前記入力端子から前記第1の出力端子までの挿入損失を小さくするとともに、高い周波数における前記入力端子から前記第2の出力端子までの結合損失を大きくし、前記高い周波数と前記低い周波数の出力レベルを略等しくしたものである。
【0017】
これにより、高い周波数と低い周波数の出力レベルを略等しくできる小型の分配器が実現できる。
【0018】
更に、第1の導体と第2の導体とを分布結合させているので、抵抗で形成された分配器と比べて、損失を少なくすることができるとともにアイソレーション特性を良化することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明は、直列接続体に直列に第2の抵抗を挿入した請求項1に記載の分配器であり、前記直列接続体に直列に抵抗を挿入するとともにその抵抗値を選ぶことにより、直列接続体による結合損失、挿入損失、アイソレーションへの寄与度を変えることができるので、2つの異なる周波数の結合損失および挿入損失をより精度良く設定することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、第2の出力端子と抵抗接続用端子との間に、直列接続体が絶縁基板の外部より接続された請求項1に記載の分配器であり、絶縁基板上に形成された第2の導体の両端に少なくともインダクタまたはコンデンサまたは第2の抵抗のいずれかについて任意に最適な定数を選ぶとともに、外部より接続することができる。これにより、2つの異なる周波数の結合損失および挿入損失への素早い対応が可能となる。
【0021】
請求項4に記載の発明は、絶縁基板を多層で形成するとともに、第1の導体と第2の導体の形成された第1の絶縁基板層と、直列接続体の形成された第2の絶縁基板層とを設け、前記第1の絶縁基板層と前記第2の絶縁基板層との間にグランド層が設けられた請求項1に記載の分配器であり、第1の絶縁基板層と第2の絶縁基板層との間にグランド層を設けることにより、第1の導体および第2の導体と直列接続体との高周波としての干渉を防止できるものであり、より小型の分配器を実現することができる。
【0022】
請求項5に記載の発明は、第1の導体と第2の導体はクランク形状に形成された請求項1に記載の分配器であり、クランク状に形成されているので、分配器の更なる小型化を図ることができる。
【0023】
請求項6に記載の発明は、第1の導体と第2の導体は正弦波形状に形成された請求項1に記載の分配器であり、正弦波形状に形成されているので、分配器の更なる小型化を図ることができる。また、正弦波形状に形成されているので、磁界が乱れることは少ない。
【0024】
請求項7に記載の発明は、第1の導体と第2の導体は渦巻き形状に形成された請求項1に記載の分配器であり、渦巻き波状に形成されているので、分配器の更なる小型化を図ることができる。
【0025】
請求項8に記載の発明は、第1の導体の幅は第2の導体の幅より太くした請求項1に記載の分配器であり、第1の導体の直流抵抗を小さくすることができる。従って、損失を小さくすることができる。
【0026】
請求項9に記載の発明は、少なくとも第1の導体と第2の導体とは凹版を用いた印刷技術で形成された請求項1に記載の分配器であり、凹版を用いた印刷技術を用いているので、精密な導体が形成でき、高周波性能が安定する。
【0027】
請求項10に記載の発明は、直列接続体を形成するインダクタとコンデンサのいずれかの値を可変とした請求項1に記載の分配器であり、第1の出力端子と第2の出力端子から出力する出力レベルを任意に設定することができる。
【0028】
請求項11に記載の発明は、直列接続体を形成するコンデンサをバリキャップダイオードとした請求項1に記載の分配器であり、電圧制御で第1の出力端子と第2の出力端子から出力する出力レベルを任意に設定することができる。
【0029】
請求項12に記載の発明は、アンテナ切替えスイッチの共通端子が接続されたアンテナと、前記アンテナ切替えスイッチの一方の端子が一方の入力に接続された受信部と、この受信部の出力に接続された出力端子と、送信用入力端子が一方の入力に接続されるとともに前記アンテナ切替えスイッチの他方の端子との間に接続された送信部と、高い周波数と低い周波数とが選択的に出力される発振器とを備え、前記発振器の出力は請求項1に記載の分配器を介して、前記送信部の他方の入力と前記受信器の他方の入力にそれぞれ接続された高周波信号送受信装置であり、請求項1に記載の分配器の第1の出力端子からの2つの異なる周波数の出力レベルを同じにできるので、送信時における2つの周波数間の送信出力レベルの差をなくすことができる。また前記請求項1に記載の分配器の第2の出力端子からの2つの異なる周波数の出力レベルを同じにできるので、受信時における2つの周波数間の受信感度および妨害信号に対する排除能力が改善できる。
【0030】
請求項13に記載の発明は、送信部の出力とアンテナ切替えスイッチの他方の端子との間にパワーディテクタとして請求項1に記載の分配器を用いた請求項12に記載の高周波信号送受信装置であり、2つの送信周波数に対して、同一レベルでのパワー検出ができるとともに、電力増幅器の電力制御ができ省電力化に寄与することができる。
【0031】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0032】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における分配器53と発振器57のブロック図である。図1において、分配器53は、絶縁基板41と、導体42と、導体43と、インダクタ49とコンデンサ50の直列接続体51とから構成されている。ここで、導体42、導体43は絶縁基板41の上に互いに分布結合させるとともに、導体42および43の長さは高い周波数(1300MHz)の1/4波長より短くしている。さらに、導体42の一端には、高い周波数と低い周波数(600MHz)が入力される入力端子44が接続されており、他端には出力端子45が接続されている。一方、導体43の一端には出力端子46が接続されており、他端には抵抗接続用端子48が接続されており、この抵抗接続用端子48は抵抗47により接地されている。ここで、導体42と導体43の各々は互いに近接して配置されている。また、インダクタ49とコンデンサ50からなる直列接続体51は、導体43に並列に接続するとともに、この直列接続体51の共振周波数は、高い周波数と低い周波数の間に設定している。
【0033】
入力端子44と出力端子46は絶縁基板41の一方の辺近傍に設けられており、出力端子45と抵抗接続用端子48は、絶縁基板41の他方の辺近傍に設けられている。また、絶縁基板41はアルミナ基板を用い、凹版を用いた印刷技術を用いて少なくとも導体42と43を形成している。従って、精密なパターンが実現でき高周波性能が安定する。
【0034】
一方、発振器57は、高い発振周波数を出力するPLL発振器55が切替えスイッチ54の一方の端子54aに接続されるとともに、低い発振周波数を出力するPLL発振器55が切替えスイッチ54の他方の端子54bに接続されている。切替えスイッチ54の共通端子は、入力端子44に接続されている。これにより、2つの異なる発振周波数(1300MHz、600MHz)が切替えスイッチ54により選択できる。このとき、PLL発振器55および56は、例えば水晶発振器を用いた発振器を用いても良い。
【0035】
以上のように構成された分配器53と発振器57について、以下にその動作を説明する。この発振器57において、高い発振周波数(1300MHz)を出力するPLL発振器55と低い発振周波数(600MHz)を出力するPLL発振器56の出力は、切替えスイッチ54によりどちらかの発振周波数が選択されて分配器53の入力端子44に入力される。
【0036】
この入力端子44に入力された信号は、導体42を介して出力端子45から出力される。このとき、入力端子44から出力端子45までの間に挿入損失42a(図5参照)が発生する。また、入力端子44に入力された信号は、導体42に分布結合された導体43に伝達されたのち、出力端子46から出力される。このとき、入力端子44から出力端子46までの間に結合損失43a(図3参照)が発生する。
【0037】
ここで、直列接続体51を構成するインダクタ49は15nHのインダクタンス値とし、コンデンサ50は1.2pFの容量値とし、これにより直列共振周波数は1200MHzに設定している。さらに、この直列接続体51と導体43により並列接続体52が形成され、この並列共振周波数は1100MHzとなる。
【0038】
最初に、入力端子44から出力端子46までの結合損失43aについて図2、図3を用いて説明する。図2では、本実施の形態1における直列接続体51のインピーダンス(Ω)を61で表している。図2において、横軸62を周波数(MHz)とし、縦軸63をインピーダンス(Ω)とし、直列接続体51の直列共振周波数は周波数64(1200MHz)で表している。また、並列接続体52の並列共振周波数は周波数65(1100MHz)で表している。さらに、PLL発振器56の発振周波数は周波数66(600MHz)とし、PLL発振器55の発振周波数は周波数67(1300MHz)として表している。
【0039】
この図2より明らかなように、直列接続体51のインピーダンス(Ω)61は、周波数64(1200MHz)より低い周波数の領域において容量性を示し、1200MHzに近くなるにつれて容量値が増すのである。一方、周波数64(1200MHz)より高い周波数の領域においては、直列接続体51のインピーダンス(Ω)61は、インダクタンス性を示すことになり、さらに周波数が高くなるにつれてそのインダクタンス値は増加していく。
【0040】
図3は、本実施の形態1における分配器53の結合損失43aを表している。また、従来例での結合損失を32で参考として表している。ここで、横軸72を周波数(MHz)とし、縦軸73を損失(dB)とし、0dBの損失量を74とし、10dBの損失量を75としている。また、周波数31(2450MHz)は従来例での結合損失32の最小点での周波数であり、この周波数31(2450MHz)は本実施の形態1での結合損失43aの最小点とほぼ同じとしている。
【0041】
最初に、入力端子44から出力端子46までの結合損失43aを説明する。まず、周波数65(1100MHz)より低い周波数の領域では図2から明らかなように直列接続体51は小さな容量値となるので、結合損失43aにほとんど影響を与えない。従って、周波数65(1100MHz)より低い周波数において結合損失43aは従来例の結合損失32と比べて差が生じない。
【0042】
次に、周波数65(1100MHz)から周波数64(1200MHz)の領域では、図2から明らかなように直列接続体51の容量性は、周波数64(1200MHz)に近づくにつれて徐々に大きくなる。さらに、周波数64(1200MHz)では、図2より0Ωとなるため、導体42と導体43の結合が最も小さくなり、結合損失は最大値となる。さらに、周波数64(1200MHz)から周波数67(1300MHz)の領域では、図2から明らかなように直列接続体51は小さいインダクタ値となる。このために、導体43は小さいインダクタ値を持つ直列接続体51が並列に接続されることになるので、導体42と導体43の結合が小さくなる。従って、結合損失43aは大きくなる。
【0043】
従って、周波数65(1100MHz)から周波数67(1300MHz)の領域において結合損失43aは大きくなり、周波数64(1200MHz)において結合損失43aは最大値を持つことになる。
【0044】
さらに、周波数67(1300MHz)より高い周波数の領域では、図2より明らかなように周波数は高くなるにつれてインダクタ値が徐々に大きくなる。このため、導体43に対する直列接続体51の影響が少なくなるので、結合損失43aは徐々に小さくなるのである。このように、導体43に直列共振周波数(1200MHz)を持つ直列接続体51を並列に接続することにより、結合損失43aは、周波数65(1100MHz)より高い周波数で徐々に大きくなって周波数64(1200MHz)で最大値となる。さらに、周波数64(1200MHz)以上の周波数の領域では徐々に小さくなるのである。
【0045】
以上のように、周波数67(1300MHz)での結合損失43bを大きくできるので、この結合損失43bと周波数66(600MHz)での結合損失43cとの差43dを小さくすることができる。その結果、600MHz、1300MHzの2つの異なる周波数の信号が分配器53に入力された場合でも、600MHzと1300MHzでの結合損失43aを略同じレベルにできるのである。
【0046】
次に、入力端子44から出力端子45までの挿入損失42aについて図4、図5を用いて説明する。図4では、本実施の形態1における並列接続体52のインピーダンス(Ω)を81で表している。この並列接続体52は、直列接続体51に導体43を並列に接続したものである。このとき、導体43の長さと絶縁基板41の比誘電率から決まる波長の1/4である周波数は31(2450MHz)である。これより、導体43のインピーダンスは、周波数31(2450MHz)より低い周波数においてインダクタンス性となることが知られている。従って、周波数31(2450MHz)より低い周波数においては、並列接続体52は、直列接続体51にインダクタンス性を持つ導体43を並列に接続したものとできる。
【0047】
図4において、インピーダンス(Ω)81は、周波数65(1100MHz)より低い周波数の領域でインダクタ性を示し、周波数65(1100MHz)に近くなるにつれてインダクタ値は増していく。さらに、周波数65(1100MHz)と周波数64(1200MHz)の間では容量性となり、周波数64(1200MHz)に近づくに従って容量性が増す。また、周波数64(1200MHz)より高い周波数の領域ではインダクタ性を示し、周波数が高くなるにつれてインダクタンス値は増加していく。
【0048】
図5は、本実施の形態1における分配器53の挿入損失42aを表している。また、従来例での挿入損失を33で表している。ここで、周波数31(2450MHz)は従来例での挿入損失33の最大点を示し、この周波数31(2450MHz)は本実施の形態1での挿入損失42aの最大点とほぼ同じとしている。
【0049】
以下、各周波数における挿入損失42aについて説明する。この挿入損失42aとは、入力端子44から出力端子45までの損失である。入力端子44と出力端子45の間には導体42が接続されており、この導体42には並列接続体52が分布結合されていることになる。つまり、挿入損失42aの周波数特性は、並列接続体52の周波数特性により主に決まることになる。
【0050】
最初に、入力端子44に周波数65(1100MHz)に近い信号が入力されると、1100MHzに並列共振周波数をもつ並列接続体52が結合するので、出力端子45からの出力信号は阻止されることになる。その結果、挿入損失42aは、周波数65(1100MHz)において最大値をもつことになる。つまり、図4より周波数65(1100MHz)より低い周波数66(600MHz)の領域では周波数が小さくなるにつれて、並列接続体52のインダクタ値は小さくなる。このため、周波数が小さくなるとともに挿入損失42aは徐々に少なくなる。また、図4の周波数65(1100MHz)より高い周波数64(1200MHz)の領域では周波数が高くなるにつれて並列接続体52は大きな容量値となる。このため、周波数が高くなるとともに挿入損失42aは徐々に少なくなる。さらに、図2より周波数64(1200MHz)においては、並列接続体52のインピーダンスが0Ωとなる。つまり、導体43は直列接続体51で短絡されることになるので、挿入損失42aは低減されることになる。
【0051】
以上により、600MHzと1300MHzの2つの異なる周波数の信号が分配器53に入力された場合でも、600MHzと1300MHzでの挿入損失42aを均一にできるのである。
【0052】
以上のように、結合損失43aおよび挿入損失42aを、2つの周波数である600MHzと1300MHzにおいて各々等しくできる小型の分配器53を提供できるものである。
【0053】
次に、出力端子45と出力端子46の間のアイソレーション85について図6を用いて説明する。図6は、本実施の形態1における分配器53のアイソレーション85を表している。また、従来例でのアイソレーションを86で表している。以下、各周波数におけるアイソレーション85について説明する。このアイソレーション85とは、出力端子45から出力端子46あるいは出力端子46から出力端子45までの損失(dB)である。ここで、出力端子45から出力端子46への信号に対しては、導体42と導体43とが位相が打ち消されるように接続されているので、大きな損失が生じることになる。つまり、アイソレーション85は大きな値となり、出力端子45に入力された信号は出力端子46から出力されにくいことになる。このことは、出力端子46から出力端子45への信号に対しても同様である。
【0054】
以下、各周波数におけるアイソレーション85を説明する。図4から明らかなように、周波数65(1100MHz)から周波数64(1200MHz)の領域では、並列接続体52は容量性となるので、導体42と導体43とは分布結合とならない。このため、アイソレーション85は周波数65(1100MHz)と周波数64(1200MHz)の中間周波数である1150MHzで最小値となる。このとき、周波数67(1300MHz)におけるアイソレーション85は、直列接続体51により導体42と導体43とが位相が十分に打ち消されないので、従来例でのアイソレーション86に比べて5dB小さくなっている。
【0055】
ここで、結合損失43a、挿入損失42a、アイソレーション85の互いの関係について説明する。直列接続体51の直列共振周波数64(1200MHz)はインダクタ49とコンデンサ50により決定されるものである。従って、直列接続体51の直列共振周波数64(1200MHz)の設定値を変えることにより、高い周波数67(1300MHz)における結合損失43b、挿入損失42b、アイソレーション85aを変化させることができる。つまり、直列共振周波数64(1200MHz)を設定することにより、結合損失43b、挿入損失42b、アイソレーション85aの最適値を選ぶことが可能となる。
【0056】
ここで、結合損失43aは、導体42と導体43との互いの間隔により変えることができる。例えば、この間隔を小さくすると導体42と導体43との結合損失43aが減り、出力端子46からの出力信号が大きくなる。同時に、挿入損失42aは増すので、出力端子45からの出力信号は小さくなる。従って、導体42と導体43との互いの間隔により、出力端子45の出力信号と出力端子46からの出力信号の差を任意に設定できる。
【0057】
(実施の形態2)
直列接続体51に直列に抵抗を挿入した場合の結合損失43a、挿入損失42a、アイソレーション85について以下説明する。
【0058】
最初に、結合損失43aについて図3を用いて説明する。直列接続体51に直列に挿入する抵抗値を大きな値(例えば1KΩ以上)にすると、結合損失43aは、直列接続体51の効果が小さくなるので従来例である結合損失32に近づく。つまり、直列接続体51に直列に挿入する抵抗値によって周波数67(1300MHz)の結合損失43bを任意の値に設定できる。
【0059】
次に、挿入損失42aについて図5を用いて説明する。直列接続体51に直列に挿入する抵抗値を大きな値(例えば1KΩ以上)にすると、挿入損失42aは、直列接続体51の効果が小さくなるので従来例である挿入損失33に近づく。つまり、直列接続体51に直列に挿入する抵抗値によって周波数67(1300MHz)の挿入損失42bを任意の値に設定できる。
【0060】
次に、アイソレーション85について図6を用いて説明する。直列接続体51に直列に挿入する抵抗値は大きな値(例えば1KΩ以上)にすると、アイソレーション85は、直列接続体51の効果が小さくなるので従来例であるアイソレーション86に近づく。つまり、直列接続体51に直列に挿入する抵抗値によって周波数67(1300MHz)のアイソレーション85aを任意の値に設定できる。
【0061】
以上のように、直列接続体51に直列に挿入する抵抗値によって結合損失43a、挿入損失42a、アイソレーション85aを、周波数66(600MHz)と周波数67(1300MHz)の2つの周波数において、より精度よく設定することが可能となる。
【0062】
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態3における分配器の断面図である。図7において、分配器90(分配器53に相当)は、絶縁体層91と、この絶縁体層91の隣に配置した絶縁体層92と、この絶縁体層92の下層に配置した絶縁体層93と、この絶縁体層93の下層に配置した絶縁体層94とから構成されている。さらに、絶縁体層91の上面には導体95(導体42に相当)と、この導体95に対して分布結合させた導体96(導体43に相当)とが形成されている。また、絶縁体層91と絶縁体層92の間には、グランドプレーンとしての導体97が、ほぼ全面に設けられているとともに接地されている。また、絶縁体層92と絶縁体層93の間には導体98が設けられるとともに、絶縁体層93と絶縁体層94の間にも導体99、導体100(インダクタ49に相当)が設けられていた。このとき、導体100は、プリントパターンによるインダクタとして形成している。さらに、導体98と導体99とは、互いに対向させて配置させることによって、コンデンサ(コンデンサ50に相当)を形成させている。
【0063】
そして、これらは実施の形態1と同様に接続されている。また、分布結合させた導体95、導体96が設けられた絶縁体層91と、直列接続体51が形成される絶縁体層である92および93との間に、グランドプレーンとして接地された導体97を配置することによって互いに高周波的に分離することができる。従って、インダクタとコンデンサのばらつきが低減できる。その結果、直列接続体51の直列共振周波数、並列接続体52の並列共振周波数への影響を減らすことができるので、さらに小型の分配器を実現できる。
【0064】
(実施の形態4)
図8は、実施の形態4における分配器の導体部分の平面図である。なお、導体部分以外については、実施の形態1と同じである。図8において、絶縁基板101上に導体102と、導体103とがクランク状に配置されて分布結合している。この導体102の一方の端は入力端子104に接続され、他方の端は出力端子105に接続されている。また、導体103の一方の端は出力端子106に接続され、他方の端は抵抗接続用端子107に接続されている。
【0065】
そして、入力端子104と出力端子106とは、絶縁基板101の一方の側面101a側に導出され、出力端子105と抵抗接続用端子107とは、一方の側面101aに対向する他方の側面101b側に導出されている。
【0066】
このように、この導体102と103とはクランク状に形成されている。従って、その分だけ波長を長く設定できるので分配器の形状を小型にすることができる。
【0067】
また、導体102は導体103の幅より太く(略5倍)しているので、導体102は、導体103に比べて直流抵抗損失を少なくすることができる。
【0068】
(実施の形態5)
図9は、実施の形態5における分配器の導体部分の平面図である。なお、導体部分以外については、実施の形態1と同じである。図9において、絶縁基板111上に導体112と、導体113とが正弦波状に配置されて分布結合している。この導体112の一方の端は入力端子114に接続され、他方の端は出力端子115に接続されている。また、導体113の一方の端は出力端子116に接続され、他方の端は抵抗接続用端子117に接続されている。
【0069】
そして、入力端子114と出力端子116とは、絶縁基板111の一方の側面111a側に導出され、出力端子115と抵抗接続用端子117とは、一方の側面111aに対向する他方の側面111b側に導出されている。
【0070】
このように、この導体112と113とは正弦波形状に形成されているので、分配器の形状を小型化することができる。また、導体が角張ることはなく正弦波形状に滑らかに湾曲しているので、磁界が乱れることは無く、挿入損失及び結合損失は実施の形態4に比べて良くなる。
【0071】
また、導体112は導体113の幅より太く(略5倍)している。従って、導体112は、導体113に比べて直流抵抗損失を少なくすることができる。
【0072】
(実施の形態6)
図10は、実施の形態6における分配器の導体部分の平面図である。なお、導体部分以外については、実施の形態1と同じである。図10において、積層された絶縁基板121上に導体122と、導体123とが渦巻き状に配置されて分布結合している。この導体122の一方の端は入力端子124に接続され、他方の端125aはスルーホールを介して絶縁基板121の裏面に導出され、裏面で絶縁基板121の側面121a近傍に導出される。そして、再びスルーホールを介して出力端子125に接続されている。また、導体123の一方の端は、出力端子126に接続されている。また、導体123の他方の端127aはスルーホールを介して絶縁基板121の裏面に導出され、裏面で絶縁基板121の側面121b近傍に導出される。そして、再びスルーホールを介して抵抗接続用端子127に接続されている。
【0073】
そして、入力端子124と出力端子125とは、絶縁基板121の一方の側面121a側に導出され、出力端子126と抵抗接続用端子127とは、一方の側面121aに対向する他方の側面121b側に導出されている。
【0074】
このように、この導体122と123とは渦巻き形状に形成されている。このため、導体122および123の長さを大きくとれるとともに、導体122および123の間の結合度を大きく取ることができるので、分配器の形状を更に小型化することができる。
【0075】
なお、本実施の形態においては、導体122と123を長方形状の渦巻きにしているので、円形形状に比べて同一面積におけるインダクタンスを大きくすることができ、小型化に貢献することができる。また、この渦巻きを円形或いは楕円形にすることもできる。この場合は、導体の角張った形状に比べて磁界が乱れることは無く、挿入損失及び結合損失が少なくなる。
【0076】
また、導体122と導体123の幅は、略同じにしているので、同一面積内においてインダクタンスを大きくすることができる。
【0077】
128は入力端子124と抵抗接続用端子127との間に設けられたグランド端子である。129も同様に出力端子125と出力端子126の間に設けられたグランド端子である。そして、これらのグランド端子128、129は導体122や導体123の下層に設けられたグランドプレーンに接続されており、導体122や導体123をストリップラインとして構成している。
【0078】
従って、特性インピーダンスを下げることができ、例えば容易に50オームにすることができる。
【0079】
なお、ここで、実施の形態3から6までの夫々の分配器において、共通することについて以下に述べる。入力端子には高い周波数と低い周波数とが選択的に供給される。そして、導体の長さは、高い周波数の4分の1波長より短くして分配器の小型化を図っている。また、抵抗接続用端子は抵抗を介してグランドに接続される。この抵抗接続用端子に接続される導体と並列にインダクタとキャパシタとで形成される直列接続体を接続し、この直列接続体の共振周波数は前記高い周波数と低い周波数との間に設定している。このことにより、高い周波数と低い周波数の出力レベルを等しくすることができる。
【0080】
なお、この直列接続体を形成する夫々異なる値のインダクタとコンデンサを複数個用意して、それらを電子的に形成された切替えスイッチで適宜切替えることにより、共振周波数を変化させることができる。このことにより、第1の出力端子と第2の出力端子から出力する出力レベルを任意に設定することができる。
【0081】
また、直列接続体を形成するコンデンサをバリキャップダイオードとすることにより、直列接続体の共振周波数を変化させることができる。この場合は、電圧制御で第1の出力端子と第2の出力端子から出力する出力レベルを任意に設定することができる。
【0082】
絶縁基板にはアルミナ基板を用い、凹版を用いた印刷技術で導体を形成している。しかし、これはアルミナ基板に限ることは無く、樹脂製の絶縁基板を用いて銅箔を印刷して導体を形成しても良い。
【0083】
(実施の形態7)
図11は、実施の形態7における分配器のブロック図である。図11において、絶縁基板131上には導体132と、導体133とが平行に配置されて分布結合している。この導体132の一方の端は入力端子134に接続され、他方の端は出力端子135に接続されている。また、導体133の一方の端は出力端子136に接続され、他方の端は抵抗接続用端子137に接続されている。この抵抗接続用端子137は抵抗139を介してグランドに接続される。
【0084】
また、導体132の端132aと入力端子134との接続点と、導体133の端133aと出力端子136との接続点との間には、インダクタ140とキャパシタ141の直列接続体142が接続されている。なお、この直列接続体142は、絶縁基板131の外部に設けて、入力端子134と出力端子136に接続しても良い。
【0085】
ここで、入力端子134と出力端子136とは、絶縁基板131の一方の側面131a側に導出され、出力端子135と抵抗接続用端子137とは、一方の側面131aに対向する他方の側面131b側に導出されている。
【0086】
入力端子134には実施の形態1で説明した発振器57が接続される。この発振器57は1300MHzの高い周波数と、600MHzの低い周波数とが選択的に出力されるものである。
【0087】
また、この導体132と133の長さは、高い周波数(1300MHz)の4分の1波長より短くしている。従って、分配器の小型化を図ることができる。また、直列接続体142の共振周波数は、高い周波数(1300MHz)と低い周波数(600MHz)との間に設定している。従って、実施の形態1で説明したように高い周波数と低い周波数の出力レベルを等しくすることができる。
【0088】
更に、導体132と導体133とを分布結合させているので、抵抗で形成された分配器に比べて、損失を少なくすることができる。また、アイソレーション特性も向上させることができる。
【0089】
なお、絶縁基板131は実施の形態1と同様、アルミナ基板上に凹版を用いた印刷技術により導体を形成しているが、これはアルミナ基板に限ることは無く、樹脂製の絶縁基板を用いて、銅箔を印刷しても良い。
【0090】
(実施の形態8)
図12は、本発明の実施の形態8における携帯電話(高周波信号送受信装置の一例として用いた)のブロック図である。この携帯電話は1500MHz程度の高い周波数での送受信と、800MHz程度の低い周波数での送受信と選択的に切替えて使用することができる携帯電話である。従って、この携帯電話には2つの異なった周波数の発振器が必要であり、本発明の分配器を用いるとその効果が発揮できるものである。
【0091】
以下、その構成を説明する。図12において、213はアンテナであり、このアンテナ213はアンテナ切替えスイッチ212の共通端子に接続されている。このアンテナ切替えスイッチ212の一方の端子212aは受信部211に接続され、その出力は出力端子224に接続されている。
【0092】
この受信部211は高い周波数を受信する受信部211aと、低い周波数を受信する受信部211bとの並列回路で形成される。受信部211aは、アンテナ切替えスイッチ212の一方の端子212aに接続されるとともに、高い受信周波数を通過させる受信用フィルタ223aと、この受信用フィルタ223aの出力が一方の入力に接続された受信用ミキサ221aとで構成され、この受信用ミキサ221aの出力は出力端子224に接続されている。
【0093】
さらに、受信部211bは、アンテナ切替えスイッチ212の一方の端子212aに接続されるとともに、低い受信周波数を通過させる受信用フィルタ223bと、この受信用フィルタ223bの出力が一方の入力に接続された受信用ミキサ221bとで構成され、この受信用ミキサ221bの出力は出力端子224に接続されている。
【0094】
一方、高い周波数を出力するPLL発振器55の出力と、低い周波数を出力するPLL発振器56の出力は、切替えスイッチ54を介して発振器57から出力される。この発振器57の出力は、本発明の分配器53の入力端子44に接続されている。そして、出力端子46は受信部211内に設けられた受信用切替えスイッチ220の共通端子に接続されている。また、高い周波数が出力される受信用切替えスイッチ220の一方の端子220aは受信用ミキサ221aの他方の入力に接続されて高い周波数を供給する。低い周波数が出力される受信用切替えスイッチ220の他方の端子220bは受信用ミキサ221bの他方の入力に接続されて低い周波数を供給する。ここで、受信用切替えスイッチ220と切替えスイッチ54とは連動して高い周波数と低い周波数とを切替えている。
【0095】
なお、本実施の形態において、分配器は実施の形態1のものを用いたが、これは実施の形態1の分配器53に限ることは無く、実施の形態1から7の何れの分配器を用いても良い。
【0096】
次に送信部210について説明する。216は送信用入力端子であり、この送信用入力端子216は送信部210を介してアンテナ切替えスイッチ212の他方の端子212bに接続されている。
【0097】
この送信部210は高い周波数で送信する送信部210aと、低い周波数で送信する送信部210bとの並列回路で形成される。送信部210aは、送信用入力端子216が一方の入力に接続されるとともに高い周波数を混合する送信用ミキサ215aに接続されている。そして、この出力は高い周波数を増幅する送信用アンプ217aを介して、アンテナ切替えスイッチ212の他方の端子212bに接続されている。
【0098】
また、送信部210bは、送信用入力端子216が一方の入力に接続されるとともに低い周波数を混合する送信用ミキサ215bに接続されている。そして、この出力は低い周波数を増幅する送信用アンプ217bを介して、アンテナ切替えスイッチ212の他方の端子212bに接続されている。
【0099】
一方、発振器57の出力に接続された本発明の分配器53の出力端子45は送信部210内に設けられた送信用切替えスイッチ214の共通端子に接続されている。また、高い周波数が出力される送信用切替えスイッチ214の一方の端子214aは送信用ミキサ215aの他方の入力に接続されて高い周波数を供給する。低い周波数が出力される送信用切替えスイッチ214の他方の端子214bは送信用ミキサ215bの他方の入力に接続されて低い周波数を供給する。ここで、送信用切替えスイッチ214と切替えスイッチ54とは連動して高い周波数と低い周波数とを切替えている。
【0100】
また、分配器53の入力端子44に接続される導体42の幅は、導体43の幅より太くすることが望ましい。これは、導体42の幅を太くすることにより導体損を小さくできるので、送信時における挿入損失を少なくするために重要である。また、分配器53に内蔵された直列接続体51は、絶縁基板41の外側に設けても良い。
【0101】
以上のように構成された高周波信号送受信装置について、以下にその動作を説明する。この高周波信号送受信装置には、送信状態と受信状態がある。送信状態では切替えスイッチ212の一方の端子212bを介して送信回路210が選択される。また、受信状態では切替えスイッチ212の他方の端子212aを介して受信回路211が選択される。
【0102】
さらに、高い周波数(1500MHz)あるいは低い周波数(800MHz)を用いての送受信が可能である。例えば高い周波数を用いて送受信する場合は、送信用切替えスイッチ214は端子214aが選択され、受信用切替えスイッチ220は端子220aが選択され、さらに発振器切替えスイッチ54は端子54aが選択される。次に、低い周波数を用いて送受信する場合は、送信用切替えスイッチ214は端子214bが選択され、受信用切替えスイッチ220は端子220bが選択され、さらに発振器切替えスイッチ54は端子54bが選択される。
【0103】
これにより、高い周波数を用いて送受信する場合は、PLL発振器55の発振信号が選択されて送信用ミキサ215aの他方の入力に供給されるとともに、受信用ミキサ221aの一方の入力に供給されることになる。また、低い周波数を用いて送受信する場合は、PLL発振器56の発振信号が選択されて送信用ミキサ215bの他方の入力に供給されるとともに、受信用ミキサ221bの一方の入力に供給されることになる。
【0104】
以上の条件に基づいて、以下詳細な説明を行う。まず、高い周波数(1500MHz)を用いて送信される場合について説明する。送信用入力端子216には、音声信号で変調された200MHzの信号が入力される。この音声信号で変調された200MHzの信号が送信用ミキサ215aの一方の入力に供給されるとともに、PLL発振器55の発振周波数(1300MHz)が切替えスイッチ54、214を介して送信用ミキサ215aの他方の入力に供給される。この送信用ミキサ215aの出力である1500MHzの信号は、送信用アンプ217aにより増幅されてのち、切替えスイッチ212を介してアンテナ213から送信される。
【0105】
次に、低い周波数(800MHz)を用いて送信される場合について説明する。送信用ミキサ215bの一方の入力には、送信用入力端子216に入力された音声信号で変調された200MHzの信号が供給されるとともに、PLL発振器56の発振周波数(600MHz)が切替えスイッチ54、214を介して送信用ミキサ215bの他方の入力に供給される。この送信用ミキサ215bの出力である800MHzの信号は、送信用アンプ217bにより増幅されてのち、切替えスイッチ212を介してアンテナ213から送信される。
【0106】
次に、高い周波数(1500MHz)の信号が受信される場合について説明する。アンテナ213で受信された高い周波数(1500MHz)の信号は、アンテナ切替えスイッチ212を介して高い周波数帯を通過域とする受信用フィルタ223aに入力されて妨害信号が抑圧されて希望信号が通過する。この希望信号は、受信用ミキサ221aの他方の入力に供給されるとともに、一方の入力にはPLL発振器55の発振周波数(1300MHz)が切替えスイッチ54、220を介して供給される。さらに、受信用ミキサ221aからの出力は、200MHzの中間周波数となって出力端子224から出力される。
【0107】
次に、低い周波数(800MHz)の信号が受信される場合について説明する。アンテナ213で受信された低い周波数(800MHz)の信号は、アンテナ切替えスイッチ212を介して低い周波数帯を通過域とする受信用フィルタ223bに入力されて妨害信号が抑圧されて希望信号が通過する。この希望信号は、受信用ミキサ221bの他方の入力に供給されるとともに、一方の入力にはPLL発振器56の発振周波数(600MHz)が切替えスイッチ54、220を介して供給される。さらに、受信用ミキサ221bからの出力信号は、200MHzの中間周波数となって出力端子224から出力される。
【0108】
ここで本実施の形態では、高い周波数と低い周波数における分配器53の入力端子44から第2の出力端子46までの結合損失と、高い周波数と低い周波数における入力端子44から第1の出力端子45までの挿入損失とを同じにすることができる。このため、送信時においては送信周波数が異なる場合でも、送信パワーの劣化あるいは送信信号の歪の差をなくすことができる。また、受信時においては、受信周波数が異なる場合でも、受信感度の劣化あるいは妨害に対する排除特性の差をなくすことができる。
【0109】
なお、各実施の形態において、以下のことも実施可能である。すなわち、入力端子には1種類の周波数を入力して用いてもよい。この1種類の周波数に対して、直列接続体の直列共振周波数を低く設定することにより、挿入損失を小さくした小型の分配器を提供できるものである。
【0110】
さらに、直列接続体を接続することなく、導体の形状を本発明の実施の形態4から実施の形態6までに示した配置にすることにより、小型の方向性結合器が実現でき、分配器としての働きをもたせることができる。
【0111】
また、図12に示す実施の形態8では、発振器57からの2種類の周波数に対して2分配できる分配器53として用いたが、例えば送信部210と切替えスイッチ212の一方の端子212bの間に実施の形態1と同じ構成の分配器53a(図示せず)を新たに挿入してパワーディテクタとして用いてもよい。すなわち、送信部210の出力に分配器53aの入力端子44aを接続するとともに、切替えスイッチ212の一方の端子212bに分配器53aの出力端子45aを接続する。さらに抵抗接続用端子48aは抵抗47aを介してグランドに接続するとともに、出力端子46aをパワーディテクタとして用いることができる。これにより、出力端子46aからは、2種類の周波数に対してほぼ同じ信号レベルを有する出力信号が得られるので、送信用アンプ217aおよび217bの送信電力を最適に制御できるものである。このように、2種類の周波数に対してほぼ同じ信号レベルを出力できる小型のパワーディテクタを提供できることになる。ここで、分配器53aは、分配器53に対応する番号の構成部品に添字aを付して説明を簡略化した。
【0112】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、インダクタとコンデンサからなる直列接続体を第2の導体に並列に接続するとともに、前記直列接続体の共振周波数を高い周波数と低い周波数の間に設定することにより、前記高い周波数における入力端子から第1の出力端子までの挿入損失を小さくするとともに、前記高い周波数における前記入力端子から第2の出力端子までの結合損失を大きくし、前記高い周波数と前記低い周波数の出力レベルを略等しくしたものである。
【0113】
これにより、高い周波数と低い周波数の出力レベルを略等しくできる小型の分配器が実現できる。
【0114】
更に、第1の導体と第2の導体とを分布結合させているので、抵抗で形成された分配器と比べて、損失を少なくすることができるとともにアイソレーション特性を良化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1における分配器と発振器のブロック図
【図2】 同、分配器の直列接続体のインピーダンス特性図
【図3】 同、分配器の結合損失特性図
【図4】 同、分配器の並列接続体のインピーダンス特性図
【図5】 同、分配器の挿入損失特性図
【図6】 同、分配器のアイソレーション特性図
【図7】 同、実施の形態3における分配器の断面図
【図8】 同、実施の形態4における分配器の平面図
【図9】 同、実施の形態5における分配器の平面図
【図10】 同、実施の形態6における分配器の平面図
【図11】 同、実施の形態7における分配器のブロック図
【図12】 同、実施の形態8における本発明の分配器を用いた携帯電話のブロック図
【図13】 従来例における分配器のブロック図
【図14】 同、第1の分配器の結合損失・挿入損失特性図
【図15】 同、第2の分配器の結合損失・挿入損失特性図
【符号の説明】
41 絶縁基板
42 導体
43 導体
44 入力端子
45 出力端子
46 出力端子
48 抵抗接続用端子
49 インダクタ
50 コンデンサ
51 直列接続体
53 分配器

Claims (13)

  1. 絶縁基板上に形成された第1の導体と、この第1の導体に対し分布結合された第2の導体と、前記第1の導体の一方に接続されるとともに、高い周波数と低い周波数とが選択的に入力される入力端子と、前記第1の導体の他方に接続された第1の出力端子と、前記第2の導体の一方に接続された第2の出力端子と、前記第2の導体の他方に接続されるとともに、第1の抵抗を介してグランドに接続される抵抗接続用端子とを備え、前記第1および第2の導体の長さは前記高い周波数の波長の1/4より短くした分配器において、インダクタとコンデンサからなる直列接続体を前記第2の導体に並列に接続するとともに、前記直列接続体の共振周波数を前記高い周波数と前記低い周波数の間に設定することにより、前記高い周波数における前記入力端子から前記第1の出力端子までの挿入損失を小さくするとともに、前記高い周波数における前記入力端子から前記第2の出力端子までの結合損失を大きくし、前記高い周波数と前記低い周波数の出力レベルを略等しくした分配器。
  2. 直列接続体に直列に第2の抵抗を挿入した請求項1に記載の分配器。
  3. 第2の出力端子と抵抗接続用端子との間に、直列接続体が絶縁基板の外部より接続された請求項1に記載の分配器。
  4. 絶縁基板を多層で形成するとともに、第1の導体と第2の導体の形成された第1の絶縁基板層と、直列接続体の形成された第2の絶縁基板層とを設け、前記第1の導体層と前記第2の導体層との間にグランド層が設けられた請求項1に記載の分配器。
  5. 第1の導体と第2の導体はクランク形状に形成された請求項1に記載の分配器。
  6. 第1の導体と第2の導体は正弦波形状に形成された請求項1に記載の分配器。
  7. 第1の導体と第2の導体は渦巻き形状に形成された請求項1に記載の分配器。
  8. 第1の導体の幅は第2の導体の幅より太くした請求項1に記載の分配器。
  9. 少なくとも第1の導体と第2の導体とは凹版を用いた印刷技術で形成された請求項1に記載の分配器。
  10. 直列接続体を形成するインダクタとコンデンサのいずれかの値を可変とした請求項1に記載の分配器。
  11. 直列接続体を形成するコンデンサをバリキャップダイオードとした請求項1に記載の分配器。
  12. アンテナ切替えスイッチの共通端子が接続されたアンテナと、前記アンテナ切替えスイッチの一方の端子が一方の入力に接続された受信部と、この受信部の出力に接続された出力端子と、送信用入力端子が一方の入力に接続されるとともに前記アンテナ切替えスイッチの他方の端子との間に接続された送信部と、高い周波数と低い周波数とが選択的に出力される発振器とを備え、前記発振器の出力は請求項1に記載の分配器を介して、前記送信部の他方の入力と前記受信器の他方の入力にそれぞれ接続された高周波信号送受信装置。
  13. 送信部の出力とアンテナ切替えスイッチの他方の端子との間にパワーディテクタとして請求項1に記載の分配器を用いた請求項12に記載の高周波信号送受信装置。
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