JPWO2016152685A1 - ラビングされた帯状基材の製造方法、及びラビング装置 - Google Patents

ラビングされた帯状基材の製造方法、及びラビング装置 Download PDF

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Abstract

ラビングされた帯状基材の製造方法であって、帯状基材をラビングロールに接触させてラビングするラビング工程を含み、前記ラビングロールは、0°を超える抱き角で前記帯状基材に接触し、それにより前記帯状基材の搬送方向を回転させ、前記帯状基材の搬送方向と前記ラビングロールの回転軸とは非直交の角度をなす。例えば、前記ラビングロールへ搬入される前記帯状基材と前記ラビングロールとの接触が始まる位置における、前記帯状基材の搬入方向は、前記帯状基材の幅方向に亘って同一であり、前記ラビングロールから搬出される前記帯状基材と前記ラビングロールとの接触が終わる位置における、前記帯状基材の搬出方向が、前記帯状基材の幅方向に亘って同一である。ならびにそのための装置。

Description

本発明は、ラビングされた帯状基材の製造方法、及びラビング装置に関する。
光学フィルム等のフィルムの製造においては、帯状のフィルムにラビングを施す工程が行われる場合がある。例えば、基材であるフィルムの上に、配向させた液晶性物質の層を設ける場合、基材の表面に配向規制力を付与するために、基材の表面をラビングすることが行われる。かかるラビングによる配向規制力の付与は、他の方法による配向規制力の付与に比べて、容易に実施でき、基材の材質、形状及び製造条件の自由度が高いという利点がある。
かかるラビングは、一般的には、ラビングロールを用いて行われる。一般的なラビングロールは、円柱状の形状を有する。ラビングロールを、その軸を中心に回転させ、その柱面を連続的に搬送される帯状基材に接触させることにより、ラビングを達成しうる。
帯状基材として、その長手方向に対して斜めの方向に配向規制力を有するものが求められる場合がある。そのような帯状基材を製造する場合、斜めラビングと呼ばれる方法が実施されることがある(例えば、特許文献1)。斜めラビングにあたっては、搬送される帯状基材の搬送方向に対して、ラビングロールの回転軸が非直交の角度をなす方向とした状態で、帯状基材とラビングロールを接触させる。
特開平08−160431号公報
搬送される帯状基材の長手方向に対して、ラビングロールの回転軸を斜め方向とした状態で、帯状基材とラビングロールを接触させると、帯状基材の面内において、ラビングの程度が不均一となることがある。
したがって、本願の目的は、ラビングの程度が均一な斜めラビングを達成しうる、ラビングされた帯状基材の製造方法、及び帯状基材をラビングするラビング装置を提供することにある。
特に、斜めラビングを行う場合においてラビングロールへの抱き角を大きくし且つ接触の圧力を均一とするために、搬送経路を調整すると、ラビング装置から搬出される帯状基材の搬送方向が、ラビング装置に搬入される帯状基材の搬送方向に比べて大きく傾いて斜行してしまう。そのような斜行した搬出方向を有するラビング装置は、汎用の製造ラインにおいて小さなスペースに容易に配置することが困難である。そのような斜行を補正する手段としてはEPC(登録商標、Edge Position Controllers)と呼ばれる装置が知られているが、抱き角が大きくなれば斜行量が大きくなり、そのため補正量も大きくなり、その結果EPCが大型且つ複雑なものとなり、それでも補正しきれない場合は、帯状基材にシワが発生したり、スクラッチが発生したりすることになる。
したがって、ある特徴における本願の目的は、ラビングの程度が均一な斜めラビングを達成することができ、且つ搬出方向の斜行の傾きが少ない、ラビングされた帯状基材の製造方法、及び帯状基材をラビングするラビング装置を提供することにある。
本発明者は前記課題を解決するべく検討した結果、下記の事項を見出した。
〔A〕本発明者はラビングロールを、0°を超える抱き角で斜めに帯状基材に接触させると、帯状基材の搬送経路の長さが、帯状基材の幅方向に亘り不均一な状態となりうることに着目し、かかる搬送経路の不均一により、ラビングロールへの帯状基材の接触の圧力が不均一になり、ひいてはラビングの程度が不均一となることを見出した。そして、帯状基材の搬送経路及びラビングロールの配置を特定の態様とすることにより、かかる不均一を低減することができ、その結果、ラビングの程度が均一な斜めラビングを達成しうることをさらに見出した。
〔B〕本発明者は、搬送経路における帯状基材の余り量に着目した。そして、かかる余り量と、搬送されるフィルム及び搬送に関する条件との関係を特定の範囲とすることにより、ラビングロールへの帯状基材の接触の圧力の不均一さを、許容しうる範囲内とすることができ、ひいては、ラビングの程度を均一にすることができることを見出した。
〔C〕本発明者は、ラビングロールを、0°を超える抱き角で斜めに帯状基材に接触させると、帯状基材の搬送経路の長さが、帯状基材の幅方向に亘り不均一な状態となりうることに着目し、かかる搬送経路の不均一により、ラビングロールへの帯状基材の接触の圧力が不均一になり、ひいてはラビングの程度が不均一となることを見出した。そして、帯状基材の搬送経路及びラビングロールの配置を特定の態様とすることにより、かかる不均一を低減しながら、搬出方向の斜行の傾きを低減することができ、その結果、ラビングの程度が均一な斜めラビングを効率的に達成しうることをさらに見出した。
〔D〕本発明者は、円筒形のラビングロールを、0°を超える抱き角で斜めに帯状基材に接触させると、帯状基材の搬送経路の長さが、帯状基材の幅方向に亘り不均一な状態となりうることに着目し、かかる搬送経路の不均一により、ラビングロールへの帯状基材の接触の圧力が不均一になり、ひいてはラビングの程度が不均一となることを見出した。
そして、かかる不均一を解決するためにさらに検討した結果、クラウンロール、逆クラウンロール等の、非円筒形の周面を有するロールを用いて、帯状基材の搬送、ラビング、又はこれらの両方を行ない、搬送経路上の帯状基材の形状を特定の形状とすることにより、かかる不均一を低減することができ、その結果、ラビングの程度が均一な斜めラビングを達成しうることをさらに見出した。
本発明は、かかる知見に基づき完成された。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔A1〕 ラビングされた帯状基材の製造方法であって、
搬送経路の上流から搬入された帯状基材を、回転軸を中心に回転するラビングロールに接触させてラビングし、前記搬送経路の下流へ搬出するラビング工程を含み、
前記ラビング工程において、
前記ラビングロールは、0°を超える抱き角で前記帯状基材に接触し、それにより前記帯状基材の搬送方向を回転させ、
前記帯状基材の搬送方向と前記ラビングロールの回転軸とは非直交の角度をなし、
前記ラビングロールへ搬入される前記帯状基材と前記ラビングロールとの接触が始まる位置における、前記帯状基材の搬入方向が、前記帯状基材の幅方向に亘って同一であり、
前記ラビングロールから搬出される前記帯状基材と前記ラビングロールとの接触が終わる位置における、前記帯状基材の搬出方向が、前記帯状基材の幅方向に亘って同一である、製造方法。
〔A2〕 〔A1〕に記載の製造方法であって、
前記ラビング工程の上流側、下流側、またはこれらの両方において、0°を超える角度で前記帯状基材の搬送方向を回転させる搬送装置により、搬送方向を回転させる工程をさらに含む、製造方法。
〔A3〕 〔A2〕に記載の製造方法であって、
前記搬送装置の一以上が搬送ロールであり、前記搬送方向の回転の回転軸方向が、前記帯状基材の搬送方向に直交する、製造方法。
〔A4〕 〔A1〕〜〔A3〕のいずれか1項に記載の製造方法であって、
前記ラビングロールは、前記ラビングロールの回転軸が水平になるように設置され、
搬入される前記帯状基材と前記ラビングロールとの接触が始まる位置における前記帯状基材の搬入方向、又は搬出される前記帯状基材と前記ラビングロールとの接触が終わる位置における前記帯状基材の搬出方向が、水平である、製造方法。
〔A5〕 〔A1〕〜〔A4〕のいずれか1項に記載の製造方法であって、
前記帯状基材の搬送方向と、前記ラビングロールの回転軸とがなす角度が35°以上55°以下である、製造方法。
〔A6〕 帯状基材をラビングするラビング装置であって、
回転軸を中心に回転し、搬送経路の上流から搬入された帯状基材に接触してラビングし、前記搬送経路の下流へ搬出するラビングロールを含み、
前記ラビングロールは、
0°を超える抱き角で前記帯状基材に接触し、それにより前記帯状基材の搬送方向を回転させ、
前記帯状基材の搬送方向と前記ラビングロールの回転軸とが非直交の角度をなし、
前記ラビングロールへ搬入される前記帯状基材と前記ラビングロールとの接触が始まる位置における、前記帯状基材の搬入方向が、前記帯状基材の幅方向に亘って同一となり、
前記ラビングロールから搬出される前記帯状基材と前記ラビングロールとの接触が終わる位置における、前記帯状基材の搬出方向が、前記帯状基材の幅方向に亘って同一となるよう配置された、ラビング装置。
〔A7〕 〔A6〕に記載のラビング装置であって、
前記ラビングロールの上流側、下流側、またはこれらの両方において、0°を超える角度で前記帯状基材の搬送方向を回転させる搬送装置をさらに含む、ラビング装置。
〔A8〕 〔A7〕に記載のラビング装置であって、
前記搬送装置の一以上が搬送ロールであり、前記搬送ロールの回転軸方向が、前記帯状基材の搬送方向に直交する、ラビング装置。
〔A9〕 〔A6〕〜〔A8〕のいずれか1項に記載のラビング装置であって、
前記ラビングロールは、前記ラビングロールの回転軸が水平になるように設置され、
搬入される前記帯状基材と前記ラビングロールとの接触が始まる位置における前記帯状基材の搬入方向、又は搬出される前記帯状基材と前記ラビングロールとの接触が終わる位置における前記帯状基材の搬出方向が、水平である、ラビング装置。
〔A10〕 〔A6〕〜〔A9〕のいずれか1項に記載のラビング装置であって、
前記帯状基材の搬送方向と、前記ラビングロールの回転軸とがなす角度が35°以上55°以下である、ラビング装置。
〔B1〕 ラビングされた帯状基材の製造方法であって、
搬送経路に沿って搬送される帯状基材を、搬送方向に張力T(N)を印加しながら、回転軸を中心に回転するラビングロールに接触させてラビングする、ラビング工程を含み、
前記ラビングロールは、0°を超える抱き角で前記帯状基材に接触し、それにより前記帯状基材の搬送方向を回転させ、
前記帯状基材の搬送方向と前記ラビングロールの回転軸とは非直交の角度をなし、
前記帯状基材は、搬送方向のヤング率がE(Pa)であり、厚みがd(m)であり、且つ幅がw(m)であり
前記搬送経路における余り量の最大値εmax(%)及び余り量の平均値εavg(%)が、式(1)
(εmax−εavg)Edw<30T 式(1)
を満たす製造方法。
〔B2〕 〔B1〕に記載の製造方法であって、
前記帯状基材の搬送方向のヤング率Eと厚みdの積Edが、400,000Pa・m以下である製造方法。
〔B3〕 〔B1〕又は〔B2〕に記載の製造方法であって、
前記帯状基材の搬送方向のヤング率Eが、3,000MPa以下である製造方法。
〔B4〕 〔B1〕〜〔B3〕のいずれか1項に記載の製造方法であって、
前記余り量の最大値εmax及び前記余り量の平均値εavgが、式(2)
εmax−εavg<0.02% 式(2)
を満たす製造方法。
〔B5〕 〔B1〕〜〔B4〕のいずれか1項に記載の製造方法であって、
前記帯状基材の搬送方向と前記ラビングロールの回転軸とがなす角度が35°以上55°以下である製造方法。
〔B6〕 帯状基材をラビングするラビング装置であって、
帯状基材を、搬送方向に張力T(N)を印加しながら、搬送経路に沿って搬送するフリーロール、及び
回転軸を中心に回転し、前記帯状基材に接触して前記帯状基材をラビングするラビングロールを含み、
前記ラビングロールは、0°を超える抱き角で前記帯状基材に接触し、それにより前記帯状基材の搬送方向を回転させ、
前記ラビングロールは、前記帯状基材の搬送方向と前記ラビングロールの回転軸とが非直交の角度をなすよう配置され、
前記フリーロール及び前記ラビングロールは、
前記帯状基材の搬送方向のヤング率E(Pa)、厚みd(m)、及び幅w(m)、並びに
前記搬送経路における余り量の最大値εmax(%)及び余り量の平均値εavg(%)が、式(1)
(εmax−εavg)Edw<30T 式(1)
を満たすよう配置されたラビング装置。
〔B7〕 〔B6〕に記載のラビング装置であって、
前記帯状基材の搬送方向のヤング率Eと厚みdの積Edが、400,000Pa・m以下であるラビング装置。
〔B8〕 〔B6〕又は〔B7〕に記載のラビング装置であって、
前記帯状基材の搬送方向のヤング率Eが、3,000MPa以下であるラビング装置。
〔B9〕 〔B6〕〜〔B8〕のいずれか1項に記載のラビング装置であって、
前記余り量の最大値εmax及び前記余り量の平均値εavgが、式(2)
εmax−εavg<0.02% 式(2)
を満たすラビング装置。
〔B10〕 〔B6〕〜〔B9〕のいずれか1項に記載のラビング装置であって、
前記帯状基材の搬送方向と前記ラビングロールの回転軸とがなす角度が35°以上55°以下であるラビング装置。
〔C1〕 ラビングされた帯状基材の製造方法であって、
搬送経路の上流から搬入された帯状基材を、回転軸を中心に回転するラビングロールに接触させてラビングし、前記搬送経路の下流へ搬出するラビング工程、及び
前記ラビング工程の上流側、下流側、またはこれらの両方において、0°を超える角度で前記帯状基材の搬送方向を回転させる搬送装置により、前記帯状基材の搬送方向を回転させる工程を含み、
前記ラビング工程において、
前記ラビングロールは、0°を超える抱き角で前記帯状基材に接触し、それにより前記帯状基材の搬送方向を回転させ、
前記帯状基材の搬送方向と前記ラビングロールの回転軸とは非直交の角度をなし、
前記ラビングロールへ搬入される前記帯状基材と前記ラビングロールとの接触が始まる位置における、前記帯状基材の搬入方向が、前記帯状基材の幅方向に亘って同一であり、
前記ラビングロールから搬出される前記帯状基材と前記ラビングロールとの接触が終わる位置における、前記帯状基材の搬出方向が、前記帯状基材の幅方向に亘って同一であり、
前記搬送装置による前記帯状基材の搬送方向の回転の回転軸方向は、前記ラビングロールの回転軸と平行である、製造方法。
〔C2〕 〔C1〕に記載の製造方法であって、
前記ラビングロールによる前記帯状基材の搬送方向の回転の回転角と、前記搬送装置による搬送方向の回転の回転角の総和が略0°である製造方法。
〔C3〕 〔C1〕又は〔C2〕に記載の製造方法であって、
前記帯状基材の搬送方向と前記搬送装置による搬送方向の回転の回転軸方向とが非直交の角度をなす、製造方法。
〔C4〕 〔C3〕に記載の製造方法であって、
前記搬送装置により搬送方向を回転させる工程が、前記搬送装置と前記帯状基材の間に空気層を形成することを含む、製造方法。
〔C5〕 〔C4〕に記載の製造方法であって、
前記空気層は、空気圧によって形成する、製造方法。
〔C6〕 〔C1〕〜〔C5〕のいずれか1項に記載の製造方法であって、
前記帯状基材の搬送方向と、前記ラビングロールの回転軸とがなす角度が35°以上55°以下である、製造方法。
〔C7〕 帯状基材をラビングするラビング装置であって、
回転軸を中心に回転し、搬送経路の上流から搬入された帯状基材に接触してラビングし、前記搬送経路の下流へ搬出するラビングロール、及び
前記ラビングロールの上流側、下流側、またはこれらの両方において、0°を超える角度で前記帯状基材の搬送方向を回転させる搬送装置を含み、
前記ラビングロールは、
0°を超える抱き角で前記帯状基材に接触し、それにより前記帯状基材の搬送方向を回転させ、
前記帯状基材の搬送方向と前記ラビングロールの回転軸とが非直交の角度をなし、
前記ラビングロールへ搬入される前記帯状基材と前記ラビングロールとの接触が始まる位置における、前記帯状基材の搬入方向が、前記帯状基材の幅方向に亘って同一となり、
前記ラビングロールから搬出される前記帯状基材と前記ラビングロールとの接触が終わる位置における、前記帯状基材の搬出方向が、前記帯状基材の幅方向に亘って同一となるよう配置され、
前記搬送装置は、前記搬送装置による前記帯状基材の搬送方向の回転の回転軸方向が、前記ラビングロールの回転軸と平行となるよう配置された、ラビング装置。
〔C8〕 〔C7〕に記載のラビング装置であって、
前記ラビングロールによる前記帯状基材の搬送方向の回転の回転角と、前記搬送装置による搬送方向の回転の回転角の総和が略0°である、ラビング装置。
〔C9〕 〔C7〕又は〔C8〕に記載のラビング装置であって、
前記帯状基材の搬送方向と前記搬送装置による搬送方向の回転の回転軸方向とが非直交の角度をなす、ラビング装置。
〔C10〕 〔C9〕に記載のラビング装置であって、
前記搬送装置が、前記搬送装置と前記帯状基材の間に空気層を形成する装置である、ラビング装置。
〔C11〕 〔C10〕に記載のラビング装置であって、
前記搬送装置が、前記空気層を、空気圧によって形成する、ラビング装置。
〔C12〕 〔C7〕〜〔C11〕のいずれか1項に記載のラビング装置であって、
前記帯状基材の搬送方向と、前記ラビングロールの回転軸とがなす角度が35°以上55°以下である、ラビング装置。
〔D1〕 ラビングされた帯状基材の製造方法であって、
搬送経路の上流から搬入された、おもて面及び裏面を有する帯状基材の前記おもて面を、回転軸を中心に回転するラビングロールに接触させてラビングし、前記搬送経路の下流へ搬出するラビング工程を含み、
前記ラビング工程において、
前記ラビングロールは、0°を超える抱き角で前記帯状基材に接触し、それにより前記帯状基材の搬送方向を回転させ、
前記帯状基材の搬送方向と前記ラビングロールの回転軸とは非直交の角度をなし、
前記搬送経路上の前記帯状基材の形状が、下記(i)〜(iii):
(i)前記帯状基材が前記ラビングロールと接触する位置において、前記帯状基材の前記裏面側に凸の形状を有する、
(ii)前記ラビングロールと、その上流側において前記帯状基材をグリップする上流側グリップロールとの間の少なくとも一部の領域で、前記おもて面側に凸の形状を有する、
(iii)前記ラビングロールと、その下流側において前記帯状基材をグリップする下流側グリップロールとの間の少なくとも一部の領域で、前記おもて面側に凸の形状を有する、
の少なくとも1つを満たす、製造方法。
〔D2〕 〔D1〕記載の製造方法であって、
前記搬送経路上の前記帯状基材の形状が、前記(i)を満たし、
前記ラビングロールが、前記帯状基材に対して凸の形状を有する、製造方法。
〔D3〕 〔D1〕又は〔D2〕に記載の製造方法であって、
前記搬送経路上の前記帯状基材の形状が、前記(ii)を満たし、
前記上流側グリップロールが、前記帯状基材に対して凸の形状を有し、
前記上流側グリップロールが、前記帯状基材の前記裏面側から前記帯状基材に接触する、製造方法。
〔D4〕 〔D1〕又は〔D2〕に記載の製造方法であって、
前記搬送経路上の前記帯状基材の形状が、前記(ii)を満たし、
前記上流側グリップロールが、前記帯状基材に対して凹の形状を有し、
前記上流側グリップロールが、前記帯状基材の前記おもて面側から前記帯状基材に接触する、製造方法。
〔D5〕 〔D1〕〜〔D4〕のいずれか1項に記載の製造方法であって、
前記搬送経路上の前記帯状基材の形状が、前記(iii)を満たし、
前記下流側グリップロールが、前記帯状基材に対して凸の形状を有し、
前記下流側グリップロールが、前記帯状基材の前記裏面側から前記帯状基材に接触する、製造方法。
〔D6〕 〔D1〕〜〔D4〕のいずれか1項に記載の製造方法であって、
前記搬送経路上の前記帯状基材の形状が、前記(iii)を満たし、
前記下流側グリップロールが、前記帯状基材に対して凹の形状を有し、
前記下流側グリップロールが、前記帯状基材の前記おもて面側から前記帯状基材に接触する、製造方法。
〔D7〕 〔D1〕〜〔D6〕のいずれか1項に記載の製造方法であって、
前記帯状基材の搬送方向と、前記ラビングロールの回転軸とがなす角度が35°以上55°以下である、製造方法。
〔D8〕 帯状基材をラビングするラビング装置であって、
回転軸を中心に回転し、搬送経路の上流から搬入された、おもて面及び裏面を有する帯状基材の前記おもて面に接触してラビングし、前記搬送経路の下流へ搬出するラビングロールを含み、
前記ラビングロールは、
0°を超える抱き角で前記帯状基材に接触し、それにより前記帯状基材の搬送方向を回転させ、
前記帯状基材の搬送方向と前記ラビングロールの回転軸とが非直交の角度をなす
よう配置され、
前記ラビング装置は、
前記搬送経路上の前記帯状基材の形状が、下記(i)〜(iii):
(i)前記帯状基材が前記ラビングロールと接触する位置において、前記帯状基材の前記裏面側に凸の形状を有する、
(ii)前記ラビングロールと、その上流側において前記帯状基材をグリップする上流側グリップロールとの間の少なくとも一部の領域で、前記おもて面側に凸の形状を有する、
(iii)前記ラビングロールと、その下流側において前記帯状基材をグリップする下流側グリップロールとの間の少なくとも一部の領域で、前記おもて面側に凸の形状を有する、
の少なくとも1つを満たすよう、前記帯状基材を搬送する、ラビング装置。
〔D9〕 〔D8〕記載のラビング装置であって、
前記搬送経路上の前記帯状基材の形状が、前記(i)を満たし、
前記ラビングロールが、前記帯状基材に対して凸の形状を有する、ラビング装置。
〔D10〕 〔D8〕又は〔D9〕に記載のラビング装置であって、
前記搬送経路上の前記帯状基材の形状が、前記(ii)を満たし、
前記上流側グリップロールが、前記帯状基材に対して凸の形状を有し、
前記上流側グリップロールが、前記帯状基材の前記裏面側から前記帯状基材に接触する、ラビング装置。
〔D11〕 〔D8〕又は〔D9〕に記載のラビング装置であって、
前記搬送経路上の前記帯状基材の形状が、前記(ii)を満たし、
前記上流側グリップロールが、前記帯状基材に対して凹の形状を有し、
前記上流側グリップロールが、前記帯状基材の前記おもて面側から前記帯状基材に接触する、ラビング装置。
〔D12〕 〔D8〕〜〔D11〕のいずれか1項に記載のラビング装置であって、
前記搬送経路上の前記帯状基材の形状が、前記(iii)を満たし、
前記下流側グリップロールが、前記帯状基材に対して凸の形状を有し、
前記下流側グリップロールが、前記帯状基材の前記裏面側から前記帯状基材に接触する、ラビング装置。
〔D13〕 〔D8〕〜〔D11〕のいずれか1項に記載のラビング装置であって、
前記搬送経路上の前記帯状基材の形状が、前記(iii)を満たし、
前記下流側グリップロールが、前記帯状基材に対して凹の形状を有し、
前記下流側グリップロールが、前記帯状基材の前記おもて面側から前記帯状基材に接触する、ラビング装置。
〔D14〕 〔D8〕〜〔D13〕のいずれか1項に記載のラビング装置であって、
前記帯状基材の搬送方向と、前記ラビングロールの回転軸とがなす角度が35°以上55°以下である、ラビング装置。
以下の説明においては、本発明の実施形態のうち、発明〔A1〕〜〔A10〕にかかるものを「実施形態A」、発明〔B1〕〜〔B10〕にかかるものを「実施形態B]、発明〔C1〕〜〔C12〕にかかるものを「実施形態C」、及び発明〔D1〕〜〔D14〕にかかるものを「実施形態D」という場合がある。
本発明の製造方法及びラビング装置によれば、ラビングの程度が均一な斜めラビングを達成しうる。
特に、ある特徴における本発明の製造方法及びラビング装置によれば、ラビングの程度が均一で、且つ搬出方向の斜行の傾きが少ない斜めラビングを達成しうる。
図1は、実施形態Aのラビング装置及びそれを用いた実施形態Aの製造方法の操作の一例を概略的に示す側面図である。 図2は、実施形態Aのラビング装置及びそれを用いた実施形態Aの製造方法の操作の一例を概略的に示す上面図である。 図3は、実施形態Aのラビング装置及びそれを用いた実施形態Aの製造方法の操作の一例を概略的に示す後面図である。 図4は、図1〜図3に示すラビング装置A100におけるラビングロールA130と帯状基材との関係を概略的に示す側面図である。 図5は、図1〜図3に示すラビング装置A100におけるラビングロールA130と帯状基材との関係を概略的に示す側面図である。 図6は、実施形態Aのラビング装置及びそれを用いた実施形態Aの製造方法の操作の別の一例を概略的に示す側面図である。 図7は、実施形態Aのラビング装置及びそれを用いた実施形態Aの製造方法の操作の別の一例を概略的に示す上面図である。 図8は、実施形態Aのラビング装置及びそれを用いた実施形態Aの製造方法の操作の別の一例を概略的に示す側面図である。 図9は、実施形態Aのラビング装置及びそれを用いた実施形態Aの製造方法の操作の別の一例を概略的に示す上面図である。 図10は、図8及び図9に示すラビング装置A800中の浮上搬送装置A820を概略的に示す斜視図である。 図11は、図8及び図9に示すラビング装置A800中の浮上搬送装置A820を概略的に示す側面図である。 図12は、図8及び図9に示すラビング装置A800中の浮上搬送装置A820を概略的に示す底面図である。 図13は、従来技術のラビング装置及びそれを用いた従来技術の製造方法の操作の一例を概略的に示す側面図である。 図14は、従来技術のラビング装置及びそれを用いた従来技術の製造方法の操作の一例を概略的に示す上面図である。 図15は、図13〜図14に示すラビング装置A1300におけるラビングロールA1330と帯状基材との関係を概略的に示す側面図である。 図16は、従来技術のラビング装置及びそれを用いた従来技術の製造方法の操作の別の一例を概略的に示す側面図である。 図17は、従来技術のラビング装置及びそれを用いた従来技術の製造方法の操作の別の一例を概略的に示す上面図である。 図18は、図1〜図3に示すフリーロールA110を拡大して示す底面図である。 図19は、実施形態Bのラビング装置及びそれを用いた実施形態Bの製造方法の操作の一例を概略的に示す側面図である。 図20は、実施形態Bのラビング装置及びそれを用いた実施形態Bの製造方法の操作の一例を概略的に示す上面図である。 図21は、図19及び図20に示すフリーロールB110を拡大して示す底面図である。 図22は、実施形態Bのラビング装置及びそれを用いた実施形態Bの製造方法の操作の別の一例を概略的に示す側面図である。 図23は、実施形態Bのラビング装置及びそれを用いた実施形態Bの製造方法の操作の別の一例を概略的に示す上面図である。 図24は、実施形態Bのラビング装置及びそれを用いた実施形態Bの製造方法の操作の別の一例を概略的に示す後面図である。 図25は、実施形態Cのラビング装置及びそれを用いた実施形態Cの製造方法の操作の一例を概略的に示す側面図である。 図26は、実施形態Cのラビング装置及びそれを用いた実施形態Cの製造方法の操作の一例を概略的に示す上面図である。 図27は、図25〜図26に示すラビング装置C100における浮上搬送装置C120、ラビングロールC130、浮上搬送装置C140及び帯状基材の関係を概略的に示す側面図である。 図28は、図25〜図26に示すラビング装置C100におけるラビングロールC130及びそこから搬出される帯状基材C14の関係を概略的に示す側面図である。 図29は、図25〜図26に示すラビング装置C100中の浮上搬送装置C120を概略的に示す斜視図である。 図30は、図25〜図26に示すラビング装置C100中の浮上搬送装置C120を概略的に示す側面図である。 図31は、図25〜図26に示すラビング装置C100中の浮上搬送装置C120を概略的に示す底面図である。 図32は、実施形態Cのラビング装置及びそれを用いた実施形態Cの製造方法の操作の別の一例を概略的に示す側面図である。 図33は、実施形態Cのラビング装置及びそれを用いた実施形態Cの製造方法の操作の別の一例を概略的に示す上面図である。 図34は、図32及び図33に示すラビング装置C800におけるラビングロールC130、浮上搬送装置C840及び帯状基材の関係を概略的に示す側面図である。 図35は、実施形態Cのラビング装置及びそれを用いた実施形態Cの製造方法の操作のさらに別の一例を概略的に示す側面図である。 図36は、実施形態Cのラビング装置及びそれを用いた実施形態Cの製造方法の操作のさらに別の一例を概略的に示す上面図である。 図37は、図1及び図2に示すフリーロールC110を拡大して示す底面図である。 図38は、実施形態Dのラビング装置及びそれを用いた実施形態Dの製造方法の操作の一例を概略的に示す側面図である。 図39は、実施形態Dのラビング装置及びそれを用いた実施形態Dの製造方法の操作の一例を概略的に示す上面図である。 図40は、実施形態Dのラビング装置及びそれを用いた実施形態Dの製造方法の操作の別の一例を概略的に示す側面図である。 図41は、実施形態Dのラビング装置及びそれを用いた実施形態Dの製造方法の操作の別の一例を概略的に示す上面図である。 図42は、図38〜図39に示すフリーロールD110を例として、クラウンロールの形状を説明する断面図である。 図43は、図40〜図41に示すフリーロールD310を例として、逆クラウンロールの形状を説明する断面図である。 図44は、従来技術のラビング装置及びそれを用いた従来技術の製造方法の操作の一例を概略的に示す側面図である。 図45は、従来技術のラビング装置及びそれを用いた従来技術の製造方法の操作の一例を概略的に示す上面図である。 図46は、図38及び図39に示すフリーロールD110を拡大して示す斜視図である。
以下、実施形態及び例示物を示して本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。例えば、本発明は、実施形態A〜Dの2以上にかかる特徴を組み合わせたものを包含しうる。
以下の説明において、「搬送方向」を「回転」させるとは、帯状基材が下流に搬送されるに従って搬送方向が変化する、曲がった搬送経路を規定することを意味する。例えば、ラビングロール及びフリーロール等のロールの円筒面等の周面、並びに浮上搬送装置の曲面状の搬送面により、搬送経路が曲がった状態に規定される場合、搬送方向が回転する。本願においては、ロール、浮上搬送装置等の、搬送経路上の帯状基材を支持する装置を単に「支持装置」と呼ぶ場合がある。
さらに、以下の説明において、ある支持装置が、ラビングロールの「すぐ」上流にあるとは、ラビングロールの上流に当該支持装置があり、当該支持装置とラビングロールとの間に、搬送方向を回転させる支持装置が存在しない状態をいう。同様に、ある支持装置が、ラビングロールの「すぐ」下流にあるとは、ラビングロールの下流に当該支持装置があり、当該支持装置とラビングロールとの間に、搬送方向を回転させる支持装置が存在しない状態をいう。
さらに、以下の説明において「帯状」の基材とは、幅に対して、5倍以上の長さを有する基材をいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有する基材をいう。フィルムの幅に対する長さの割合の上限は、特に限定されないが、例えば100,000倍以下としうる。
本願の図面においては、共通する座標軸である座標軸X、Y及びZにより、座標を示している。座標軸X、Y及びZは互いに直交する座標軸であり、XY平面(座標軸X及びYの両方と平行な面)は水平な面(即ち重力方向と直交する面)である。
以下において、実施形態A〜Dについて、順次説明する。
〔A1.実施形態A(i)〕
まず、実施形態Aにかかる本発明について説明する。
実施形態Aの製造方法は、ラビングされた帯状基材の製造方法であり、帯状基材をラビングする特定のラビング工程を含む。ラビング工程においては、搬送経路の上流から搬入された帯状基材を、回転軸を中心に回転するラビングロールに接触させてラビングし、前記搬送経路の下流へ搬出する。
図1〜図3は、実施形態Aのラビング装置及びそれを用いた実施形態Aの製造方法の操作の一例を概略的に示す側面図、上面図及び後面図である。ここに示す形態を実施形態A(i)として参照し、本発明を説明する。図1ではラビング装置A100を座標軸Y方向から観察しており、図2ではラビング装置A100を座標軸Z方向から観察しており、図3ではラビング装置A100を座標軸X方向から観察している。
ラビング装置A100は、ラビングロールA130と、そのすぐ上流側のフリーロールA110と、すぐ下流側のフリーロールA150とを含む。ラビング装置A100の操作において、帯状基材(A11〜A16)は、矢印AR1方向に搬送される。
ラビング装置A100に搬入された帯状基材A11は、上流側フリーロールA110の円筒面に沿って進むよう誘導される。このような誘導により、帯状基材の搬送方向が0°を超える角度で回転する。フリーロールA110は、軸を支持する支持台(不図示)により軸A11Xを中心に自由に回転しうる状態で設置された搬送ロールである。したがって、フリーロールA110は、搬送される帯状基材により随伴して矢印AR3方向に回転する。
この例では、フリーロールA110による搬送方向の回転の回転軸は、フリーロールA110自体の回転軸A11Xと一致し、フリーロールA110との接触開始から接触終了までの間の帯状基材の搬送方向に直交する。この例ではまた、フリーロールA110の軸A11Xは座標軸Yと平行である。
フリーロールA110と搬送方向とがなす角は、搬送を妨げない範囲で、直交の角度から±0.5°以内の誤差を有していてもよい。このような許容誤差の範囲内で、搬送方向の回転の回転軸が、接触する帯状基材の搬送方向に直交する場合、フリーロールA110は、帯状基材を、グリップした状態で搬送しうる。
実施形態A〜Dを含む本願において、帯状基材を搬送するための搬送装置が帯状基材を「グリップ」して搬送するとは、搬送装置が、可動的な周面を有し、かかる周面の動きに随伴して帯状基材が搬送され、さらにかかる搬送に際して、帯状基材が、搬送装置の周面との滑りを伴わない態様の搬送である。したがって、実施形態A(i)中のフリーロールA110は帯状基材をグリップした状態で搬送する装置である一方、ラビングロール、浮上搬送装置といった搬送装置は、帯状基材をグリップした状態で搬送する装置ではない。本願においては、このように帯状基材をグリップした状態で搬送しうるロールを「グリップロール」と呼ぶことがある。
上流側フリーロールA110の下流に搬送された帯状基材A13は、続いてラビングロールA130の円筒面に沿って進むよう誘導される。この例では、帯状基材A13の搬入方向は、水平な方向即ちXY平面と平行な方向である。また、ラビングロールA130の軸A13Xは、XY平面と平行であり、座標軸Yに対して45°の角度で傾いている。実施形態Aの製造方法及び実施形態Aのラビング装置に用いるラビングロールの材質は、特に限定されず、円筒面に不織布等のラビングに適した材料を備えたロールとしうる。
フリーロールA110と異なり、ラビングロールA130は、駆動装置(不図示)により、軸A13Xを中心に矢印AR2方向に回転するよう駆動され、それによりラビングロールA130の円筒面が帯状基材の一方の面をラビングし、ラビング工程が行われる。
実施形態Aの製造方法では、ラビングロールは、0°を超える抱き角で帯状基材に接触し、それにより帯状基材の搬送方向を回転させる。さらに、帯状基材の搬送方向とラビングロールの回転軸とがなす角度は非直交である。ここでいう帯状基材の搬送方向は、ラビングロールを抱いている帯状基材の搬送方向である。実施形態A(i)の例では、ラビングロールA130を抱く帯状基材が搬送される方向と、ラビングロールA130の軸A13Xとがなす角度が非直交である。このように、0°を超える抱き角での接触がなされることにより、帯状基材を、ラビングロールへ高い圧力で接触させることが可能となる。また、このような非直交の角度をなすことにより、ラビングロールによる斜めラビングが達成される。
抱き角は、好ましくは5°以上、より好ましくは10°以上であり、一方好ましくは120°以下、より好ましくは90°以下である。抱き角をこの範囲とすることにより、高い配向規制力を、フィルムへ過度の負荷を与えることなく付与することが可能となる。また、帯状基材の搬送方向とラビングロールの回転軸とがなす角度は、「振り角」と呼ばれる。振り角は、0°を超え89.5°未満の角度範囲であり、好ましくは10°以上、より好ましくは35°以上、特に好ましくは40°以上であり、一方好ましくは80°以下、より好ましくは55°以下、特に好ましくは50°以下である。斜めラビングにおいては、帯状基材の長手方向に対して45°に配向規制力を有するようラビングを行うことが求められることが多く、振り角を当該範囲とすることにより、そのような所望の方向への配向規制力の付与を容易に達成しうる。
実施形態Aの製造方法において、ラビングロールの回転速度は、好ましいラビング量が得られるよう適宜調整しうる。ラビング量は、搬送経路において帯状基材とラビングロールとの接触開始から接触終了までの間の、ラビングロールの円筒面の、帯状基材と相対的な移動距離により表すことができる。具体的には、ラビングロールの回転速度は、ラビングロールの円筒面の周速と、ラビングロールが帯状基材と接触している時間との積が、所望の範囲となるよう調整しうる。より具体的には、ラビングロールの円筒面の周速は、ラビングロール直径d(mm)及び回転速度t(rpm)からπdt/60(mm/秒)で求められ、ラビングロールが帯状基材と接触している時間は、ラインスピードv(mm/分)、抱き角Aθw(°)及び振り角φ(°)から(πdAθw/360)÷(vsinφ/60)(秒)で求められるため、これらの積は、(πAθwt)/(360vsinφ)(mm)となる。当該積の好ましい範囲は、500mm〜100000mmである。したがって、当該積が、当該好ましい範囲内となるよう、ラビングロールの回転速度を調整しうる。
ラビングロールA130の下流に搬送された、ラビングされた帯状基材A14は、続いて下流側フリーロールA150の円筒面に沿って進むよう誘導される。このような誘導により、帯状基材の搬送方向が0°を超える角度で回転する。フリーロールA150は、軸を支持する支持台(不図示)により軸A15Xを中心に自由に回転しうる状態で設置された搬送ロールである。したがって、フリーロールA150は、搬送される帯状基材により随伴して矢印AR3方向に回転する。
この例では、フリーロールA150はフリーロールA110と同様、グリップロールであり、フリーロールA150による搬送方向の回転の回転軸は、フリーロールA150自体の回転軸A15Xと一致し、フリーロールA150との接触開始から接触終了までの間の帯状基材の搬送方向に直交する。この例では、フリーロールA110の軸A11Xは座標軸Yと平行であるのに対し、フリーロールA150の軸A15Xは、座標軸Yに対して大きく傾いている。したがって、フリーロールA110の軸A11Xと、フリーロールA150の軸A15Xとは、平行な状態から大きく外れた関係となっている。
下流側フリーロールA150の下流に搬送された帯状基材A16は、ラビングされた帯状基材として、保存または使用の工程に適宜供されうる。例えば、帯状基材A16は、そのまま液晶組成物の塗布の工程を行うラインへ搬送したり、適切な巻き取り装置にて巻き取りロールの状態として保存したりしうる。
ラビング装置A100の上流側、下流側、又はこれらの両方において、ニップロール、巻き取り装置等の適切な装置を設けることにより、帯状基材を適切なラインスピード及び張力で搬送することができる。ラインスピード及び張力は、用いる帯状基材、及び所望のラビングの条件等に応じて、適切な値に適宜設定しうる。例えば、ラインスピードは、好ましくは1〜50m/分としうる。また張力は、好ましくは30〜500N/mとしうる。
〔A1.1.ラビングロールと帯状基材の関係〕
実施形態Aの製造方法のラビング工程においては、ラビングロールへ搬入される帯状基材とラビングロールとの接触が始まる位置における、帯状基材の搬入方向が、帯状基材の幅方向に亘って同一であり、且つ、ラビングロールから搬出される帯状基材とラビングロールとの接触が終わる位置における、帯状基材の搬出方向が、帯状基材の幅方向に亘って同一である。また、実施形態Aのラビング装置では、そのような位置関係となるよう、ラビングロール及びその他の支持装置が配置される。
このような特徴を、図4〜図5を参照して説明する。図4〜図5は、図1〜図3に示すラビング装置A100におけるラビングロールA130と帯状基材との関係を概略的に示す側面図である。図4ではラビングロールA130を、その軸A13X方向から観察しており、図5ではラビングロールA130をY座標軸方向から観察している。図4では、ラビングロールA130へ搬入される帯状基材A13及びラビングロールA130から搬出される帯状基材A14の両方を図示しているが、図5では、図示の便宜上、これらのうち帯状基材A14のみを図示している。
図4の例において、ラビングロールA130へ搬入される帯状基材A13は、矢印AR13で示される搬入方向で進み、位置A131においてラビングロールA130との接触を開始する。したがって、ラビングロールへ搬入される帯状基材とラビングロールとの接触が始まる位置における帯状基材の搬入方向は、矢印AR13で示される方向となる。
その後帯状基材は抱き角AθwでラビングロールA130を抱き、位置A132においてラビングロールA130との接触を終了する。そして、ラビングロールA130から搬出される帯状基材A14は、矢印AR14で示される搬出方向で進む。したがって、ラビングロールから搬出される帯状基材とラビングロールとの接触が終わる位置における帯状基材の搬出方向は、矢印AR14で示される方向となる。
さらに、矢印AR14で示される搬出方向は、帯状基材A14の幅方向に亘って同一である。即ち、図5に示す通り、位置A132においてラビングロールA130から搬出される帯状基材A14の搬出方向は、幅方向に亘って、それぞれ矢印AR14−1〜AR14−5で例示される方向であり、これらは同一な方向である。この例ではまた、矢印AR13で示される搬入方向も、帯状基材A13の幅方向に亘って同一である。
ここでいう、搬入方向又は搬出方向が幅方向に亘って「同一」であるとは、本発明の効果を損ねない範囲内での許容誤差を含みうる。例えば、帯状基材幅方向の中心における搬入又は搬出方向(図5の例では矢印AR14−3で示される搬出方向)を基準とし、当該基準の方向となす角が0.5°以内の方向を、「同一」な方向としうる。
図1〜5に示す例では、フリーロールA110の軸A11XとフリーロールA150の軸A15Xとの関係を、図1〜3に示すような、平行な状態から外れた関係に配置することにより、ラビングロールへの搬入方向及びラビングロールからの搬出方向を、帯状基材の幅方向に亘って同一としている。このように、ラビングロールの上流及び下流側のフリーロールの軸の関係を非平行な状態に配置すると、汎用の製造ラインにおいてラビング装置を小さなスペースに容易に配置することが困難である。しかしながら、このような配置を行い、ラビングロールへの搬入方向及びラビングロールからの搬出方向を帯状基材の幅方向に亘って同一とすることにより、帯状基材の搬送経路の長さを帯状基材の幅方向に亘り均一な状態としたラビングを達成することができる。それにより、帯状基材にねじれを加えずにラビングロールへ均一な圧力で接触させることが可能となり、ひいては、ラビングの程度が均一な斜めラビングを達成しうる。
図1〜図5に示す例では、ラビングロールA130は、回転軸A13Xが水平方向になるように設置され、搬入される帯状基材A13とラビングロールA130との接触が始まる位置以前における帯状基材A13の搬入方向(矢印AR13で示される方向)が水平である。このように、搬入方向を水平な状態としたうえで、下流のフリーロールA150の軸方向を調整することにより、搬入方向が幅方向に亘って同一である状態を維持したまま搬出方向を調整することができ、ひいては、搬入方向及び搬出方向の両方が幅方向に亘って同一となるようなフリーロール及びラビングロールの位置決めを、容易に行うことができる。より具体的に説明すると、フリーロール及びラビングロールの位置決めは、通常、水平な台座に対して角度を調節するように設置されるので、フリーロールA110及びラビングロールA130を水平に配置し、さらに帯状基材の搬送方向を水平に調整する位置決めは比較的容易に行いうる。したがって、そのような位置決めを行ってから、その後フリーロールA150の軸方向のみを調整する順序で位置決めを行うことにより、精密な位置決めを容易に行うことができる。
または逆に、搬出される帯状基材とラビングロールとの接触が終わる位置における帯状基材A14の搬出方向を水平とし、フリーロールA110の軸方向を調整することによっても、容易な位置決めを行うことができる。ただし、上流におけるフリーロールの軸の複雑な調整が下流における搬送経路に影響を与える可能性があるため、搬入される帯状基材A13の搬入方向を水平とする調整のほうが、より容易である。
実施形態Aの、ラビングロールと帯状基材の関係についての特徴を、従来技術と対比することによりさらに説明する。図13〜図14は、従来技術のラビング装置及びそれを用いた従来技術の製造方法の操作の一例を概略的に示す側面図及び上面図である。図13〜図14において、ラビング装置A1300は、ラビングロールA1330と、そのすぐ上流側のフリーロールA1310(グリップロール)と、すぐ下流側のフリーロールA1350(グリップロール)とを含む。ラビング装置A1300の操作において、帯状基材(A11〜A16)は、矢印AR1方向に搬送される。フリーロールA1310の軸A131XとフリーロールA1350の軸A135Xとは平行に配置されている。
図13〜図14の例では、ラビングロールA1330付近の帯状基材の搬送経路にねじれが生じ、その結果、ラビングロールへ搬入される帯状基材とラビングロールとの接触が始まる位置における帯状基材の搬入方向が、帯状基材の幅方向に亘って同一ではなくなり、且つ、ラビングロールから搬出される帯状基材とラビングロールとの接触が終わる位置における帯状基材の搬出方向が、帯状基材の幅方向に亘って同一ではなくなる。具体的には図15に示す通り、帯状基材がラビングロールA1330との接触を終了する位置A1332は、ラビングロールA1330の軸A133Xと非平行になり、そこからねじれた状態で搬出される帯状基材A14の搬出方向は、矢印AR14−6〜AR14−10で示す通り、帯状基材の幅方向に亘って同一ではなくなる。
かかるねじれに起因して、図13〜図14の例では、帯状基材の搬送経路の長さが、帯状基材の幅方向に亘り不均一となる。具体的には、図14に示す、フリーロールA1310との接触が終了してから、フリーロールA1350との接触を開始するまでの帯状基材の搬送経路AP130−1〜AP130−5は、その長さが不均一となる。より具体的には、端部の搬送経路AP130−1及びAP130−5が最も長くなり、中央部の搬送経路AP130−3が最も短くなり、その中間の搬送経路AP130−2及びAP130−4は、端部の搬送経路より短く且つ中央部の搬送経路より長くなる。搬送経路の長さにおいてこのような不均一が生じると、搬送される帯状基材がラビングロールA1330と接する際に、中央部の緊張が端部の緊張より弱くなる。あるいは、伸縮の度合いの少ない帯状基材であれば、中央部の帯状基材が余った状態となり中央部において偏在するたるみが生じる。それにより、ラビングロールへの帯状基材の接触の圧力が不均一になり、ひいてはラビングの程度が不均一となる。これに対して、実施形態Aの製造方法では、帯状基材にねじれを加えずにラビングロールへ均一な圧力で接触させることが可能となり、ひいては、ラビングの程度が均一な斜めラビングを達成しうる。
図13〜図14の例で、フリーロールA1310とA1350との間隔を十分長くすると、このような搬送経路の長さの不均一は、相対的に少なくなる。しかしその場合、支持されていない状態で帯状基材が搬送される経路が長くなり、フィルムのばたつきによる不具合が発生したり、製造設備を設置するための空間が大きくなったりする不都合がある。実施形態Aでは、ラビングロールに最も近い上流側のグリップロールから、ラビングロールに最も近い下流側のグリップロールまでの搬送経路の長さを、好ましくはフィルム幅の5倍以下、より好ましくはフィルム幅の3倍以下としうる。かかる搬送経路の長さの下限は、特に限定されないが、例えばフィルム幅の0.3倍以上としうる。
〔A1.2.余り量〕
実施形態Aにおける、搬入方向又は搬出方向が幅方向に亘って許容誤差の範囲内で同一であると、帯状基材の搬送経路の余り量が小さい値となる。
実施形態Aにおいて、余り量は、ラビングロールに亘り搬送される帯状基材のパスラインを以下の通り規定し、帯状基材の幅方向における様々な位置におけるパスラインの長さを測定又は計算し、かかる長さの測定結果又は計算結果から求められる。具体的な余り量の求め方は、下記の通りである。
ラビングロールに最も近い上流側のグリップロールを始点ロールとする。また、ラビングロールに最も近い下流側のグリップロールを終点ロールとする。
続いて、始点ロールの周面上において、パスラインの始点となる、ロールの周面上の線を設定する。この、パスラインの始点の線は、搬送される帯状基材が始点ロールから離れる位置を基準に設定する。帯状基材が始点ロールから離れるタイミングは、帯状基材の幅方向の全体に亘って同時である場合もあり、搬送経路のねじれなどに起因して帯状基材の幅方向の全体に亘って同時ではない場合もある。したがって、始点ロール周面上の最も早く帯状基材が始点ロールから離れる点及び始点ロールの軸を含む平面と、始点ロールの周面とが交わる位置の線を、パスラインの始点の線として規定する。始点ロールが円筒形のロールの場合、このパスラインの始点の線は、ロールの軸に平行な、ロールの周面上の直線であって、始点ロール周面上の最も早く帯状基材が始点ロールから離れる点を通る線となる。例えば、図18に示す通り、帯状基材A13が始点ロールであるフリーロールA110から離れる位置が、軸A11Xに対して斜めの線AL11で示される位置である場合、線AL11で示される位置のうち、最も早く帯状基材A13がフリーロールA110から離れる点は点AQ10−1で示される点である。したがって、この点AQ10−1及び軸A11Xを含む平面と、フリーロールA110の周面とが交わる位置の線は、線AL13で示される直線であり、この直線AL13がパスラインの始点の線として規定される。
続いて、終点ロールの周面上において、パスラインの終点となる、ロールの周面上の線を設定する。この、パスラインの終点の線は、搬送される帯状基材が終点ロールに接する位置を基準に設定する。帯状基材が終点ロールに接するタイミングは、帯状基材の幅方向の全体に亘って同時である場合もあり、搬送経路のねじれなどに起因して帯状基材の幅方向の全体に亘って同時ではない場合もある。したがって、終点ロール周面上の最も遅く帯状基材が終点ロールに接する点及び終点ロールの軸を含む平面と、終点ロールの周面とが交わる位置の線を、パスラインの終点の線として規定する。終点ロールが円筒形のロールの場合、このパスラインの終点の線は、ロールの軸に平行な、ロールの周面上の直線であって、終点ロール周面上の最も遅く帯状基材が終点ロールに接する点を通る線となる。
続いて、帯状基材の幅方向における様々な位置におけるパスラインを規定する。パスラインの始点は、規定したパスラインの始点の直線の、両端部2箇所と、両端部の内側の等間隔の5か所以上において規定する。したがって、パスラインの数nは7以上となる。例えば、図18に示す例では、パスラインの始点の直線AL13における両端の点AQ10−1及びAQ10−7と、その内側の点AQ10−2〜AQ10−6において、パスラインの始点が規定される。パスラインの終点は、パスラインの始点と同様に、規定したパスラインの終点の直線の、両端部2箇所と、両端部の内側の等間隔の5か所以上の、パスラインの始点の数と同じ数の点において規定する。搬送経路上の、対応するパスラインの始点と終点とを結ぶ線を、パスラインとして規定する。パスラインの数nの上限は特に限定されず、無限に大きな数とすることができるが、操作の便宜上例えば100以下としうる。または、パスラインの数は、フィルム幅方向におけるパスラインの間隔が10mm〜500mmとなる数としうる。
続いて、それぞれのパスラインの長さを測定する。パスラインの測定は、帯状基材を抜き取った状態で、パスラインの始点から終点に亘り糸を張り、当該糸の長さを測定することによって実測しうる。その場合、糸は、帯状基材の搬送される位置に沿って緩みなく張る。例えば、シワなどによって帯状基材がラビングロールから浮き上がる位置でも、糸はラビングロールに接触するように張る。または実測に代えて、そのようなパスラインを、ロールの位置の情報を元に計算により求めてもよい。
得られたn個のパスラインの長さP1、P2、・・・Pnのそれぞれについての余り量εk(k=1、2、・・・n)、及び余り量の最大値εmaxは、Pk、最も短いパスライン長さPmin、及び最も長いパスライン長さPmaxから、下記式(3)及び(4)により求められる。
εk(%)=(Pk−Pmin)/Pmin×100(%) 式(3)
εmax(%)=(Pmax−Pmin)/Pmin×100(%) 式(4)
実施形態Aにおいて、この余り量の最大値εmaxは、好ましくは0%〜0.1%、より好ましくは0%〜0.05%である。
帯状基材の幅は、好ましくは0.2m以上、より好ましくは0.4m以上であり、一方好ましくは4m以下、より好ましくは3m以下である。実施形態Aでは、このような幅の帯状基材であっても、幅方向の全体に亘って良好なラビングを行いうる。
〔A2.実施形態A(ii)〕
実施形態A(i)では、ラビングロールA130へ搬入される帯状基材A13の搬入方向は水平な方向であったが、本発明はこれに限られず、ラビングロールへ搬入される帯状基材の搬入方向及びラビングロールから搬出される帯状基材の搬出方向は任意の方向とすることができ、これらのいずれもが水平でない方向であってもよい。そのような例を、実施形態A(ii)として以下において説明する。
図6及び図7は、実施形態Aのラビング装置及びそれを用いた実施形態Aの製造方法の操作の別の一例を概略的に示す側面図及び上面図である。ここに示す形態を実施形態A(ii)として説明する。図6及び図7に示すラビング装置A600は、図1〜図5に示すラビング装置A100を、ラビングロールA130の軸A13Xを中心に回転させ、フリーロールA110及びA150の位置を変更して、フリーロールA610及びA650とした点において、ラビング装置A100と異なり、その他の点では同一である。フリーロールA610及びA650の軸A61X及びA65Xはいずれも、水平面と平行ではなく、従って、帯状基材A13の搬入方向及び帯状基材A14の搬出方向はいずれも水平ではない。このようなラビング装置A600の場合、搬入方向及び搬出方向の両方が幅方向に亘って同一となるようなフリーロール及びラビングロールの位置決めがより煩雑となるが、ラビング装置A600へ搬入される帯状基材A11の向き及びラビング装置A600から搬出される帯状基材A16の向きを、ラビング装置A100とは異なる態様に設定することが可能となるので、そのような態様の向きが所望である場合には有用である。
〔A3.実施形態A(iii)〕
実施形態A(i)では、ラビングロールA130のすぐ上流側及びすぐ下流側の支持装置がグリップロールであったが、本発明はこれに限られず、すぐ上流側、すぐ下流側、またはこれらの両方において、グリップロール以外の支持装置を設けてもよい。そのような例を、実施形態A(iii)として以下において説明する。
図8及び図9は、実施形態Aのラビング装置及びそれを用いた実施形態Aの製造方法の操作の別の一例を概略的に示す側面図及び上面図である。ここに示す形態を実施形態A(iii)として説明する。図8及び図9に示すラビング装置A800は、ラビングロールA130と、その上流側のフリーロールA810と、下流側のフリーロールA850とを含む。ラビング装置A800はさらに、ラビングロールA130とフリーロールA810との間の浮上搬送装置A820、及びラビングロールA130とフリーロールA850との間の浮上搬送装置A840を含む。
ラビング装置A800の操作において、帯状基材(A11〜A16)は、矢印AR1方向に搬送される。ラビング装置A800に搬入された帯状基材A11は、上流側フリーロールA810の円筒面に沿って進むよう誘導される。このような誘導により、帯状基材の搬送方向が0°を超える角度で回転する。フリーロールA810は軸A81Xを中心に自由に回転しうる状態で設置されたグリップロールである。したがって、フリーロールA810は、搬送される帯状基材により随伴して矢印AR3方向に回転する。フリーロールA810の軸A81Xは座標軸Yと平行である。
上流側フリーロールA810の下流に搬送された帯状基材A12は、続いて浮上搬送装置A820の搬送面に沿って進むよう誘導され、その搬送方向が回転される。
浮上搬送装置A820を、図10〜図12を参照してより具体的に説明する。図10〜図12は、図8及び図9に示すラビング装置A800中の浮上搬送装置A820を概略的に示す斜視図、側面図及び底面図である。図10〜図12に示す通り、浮上搬送装置A820は、搬送面A821Sを有する搬送部A821、及び空気導入部A822(図8及び図9において不図示)を備える。空気導入部A822は、搬送部A821に加圧した空気を圧力調節可能な態様で導入するための装置(不図示)を備える。搬送部A821は、軸A82Xを軸とする半円筒形であり、搬送面A821Sは円筒形に沿った曲面である。搬送部A821の搬送面A821Sには多数の孔が設けられ、空気導入部A822から導入された空気を噴出しうるよう、空気導入部と連通する。
浮上搬送装置A820の使用において、帯状基材は、矢印AR4方向に引っ張られて緊張した状態で搬送面A821S上に誘導される。かかる緊張のため、帯状基材は矢印AR5方向に付勢される。一方、搬送面A821Sの孔から空気を噴出することにより、帯状基材は矢印AR6方向に付勢される。空気の噴出の圧力を適宜調整することにより、帯状基材の緊張による付勢と空気の噴出による付勢を均衡させることができ、その結果、帯状基材と浮上搬送装置A820との間に、供給される空気の空気圧によって空気層を形成し、帯状基材を、搬送面A821Sと非接触の状態で、搬送面A821Sに沿って浮上搬送することが可能となる。かかる浮上搬送の結果、軸A82Xを回転軸方向とする搬送方向の回転を伴う搬送が可能となる。加えて、帯状基材が搬送面A821Sと接触していないので、帯状基材を軸A82Xと平行な方向(図12において矢印AR7で示される方向)に搬送することも可能となる。AR4方向及びAR7方向への搬送が可能となる結果、軸A82Xに対して斜めの方向である、図12において矢印AR1で示される斜めの搬送方向への帯状基材の搬送が可能となる。グリップロールとして用いられるロールでこのような斜め方向への搬送を行った場合、ロールの表面と帯状基材表面との間の擦れが生じるが、浮上搬送装置を用いた場合は、このような斜め方向への搬送を、帯状基材表面の擦れを伴わずに達成することが可能となる。
浮上搬送装置A820の下流に搬送された帯状基材A13は、続いてラビングロールA130の円筒面に沿って進むよう誘導される。この例では、ラビングロールA130の軸A13Xは、XY平面と平行であり、座標軸Yに対して45°の角度で傾いている。ラビングロールA130は、駆動装置(不図示)により軸A13Xを中心に矢印AR2方向に回転するよう駆動され、それによりラビングロールA130の円筒面が帯状基材の一方の面をラビングし、ラビング工程が行われる。ラビングロールA130は、0°を超える抱き角で帯状基材に接触し、それにより帯状基材の搬送方向を回転させる。さらに、帯状基材の搬送方向とラビングロールの回転軸とがなす角度は非直交であり、その結果、実施形態A(i)と同様の、ラビングロールによる斜めラビングが達成される。
ここで斜めな方向とは、正確な直交方向以外の任意の方向としうるが、具体的には例えば、直交の角度と±5°超の相違がある角度としうる。
ラビングロールA130の下流に搬送された、ラビングされた帯状基材A14は、続いて浮上搬送装置A840の搬送面に沿って進むよう誘導され、その搬送方向が回転される。浮上搬送装置A840は、浮上搬送装置A820と同様の装置である。
浮上搬送装置A840の下流に搬送された、ラビングされた帯状基材A15は、続いて下流側フリーロールA850の円筒面に沿って進むよう誘導される。このような誘導により、帯状基材の搬送方向が0°を超える角度で回転する。フリーロールA850は軸A85Xを中心に自由に回転しうる状態で設置されたグリップロールである。したがって、フリーロールA850は、搬送される帯状基材により随伴して矢印AR3方向に回転する。フリーロールA850の軸A85Xは座標軸Yと平行である。
この例では、上流側のフリーロールA810及び下流側のフリーロールA850の軸がいずれも水平方向に、互いに平行に配置されている。このような配置においても、浮上搬送装置A820及びA840をさらに備え、これらの軸A82X及びA84Xの位置及び向きを調節することにより、実施形態A(i)の場合と同様に、ラビングロールへ搬入される帯状基材とラビングロールとの接触が始まる位置における、帯状基材の搬入方向を、帯状基材の幅方向に亘って同一とし、且つ、ラビングロールから搬出される帯状基材とラビングロールとの接触が終わる位置における、帯状基材の搬出方向を、帯状基材の幅方向に亘って同一としうる。その結果、ラビングの程度が均一な斜めラビングを達成しうる。
〔B1.実施形態B(i)〕
次に、実施形態Bにかかる本発明について説明する。
実施形態Bの製造方法は、ラビングされた帯状基材の製造方法であり、帯状基材をラビングする特定のラビング工程を含む。ラビング工程においては、搬送される帯状基材を、搬送方向に張力を印加しながら、回転軸を中心に回転するラビングロールに接触させてラビングする。
図19〜図20は、実施形態Bのラビング装置及びそれを用いた実施形態Bの製造方法の操作の一例を概略的に示す側面図及び上面図である。ここに示す形態を実施形態B(i)として参照し、本願発明を説明する。図19ではラビング装置B100を座標軸Y方向から観察しており、図20ではラビング装置B100を座標軸Z方向から観察している。
ラビング装置B100は、ラビングロールB130と、その上流側のフリーロールB110と、下流側のフリーロールB150とを含む。ラビング装置B100の操作において、帯状基材(B11〜B16)は、矢印BR1方向に搬送される。
ラビング装置B100に搬入された帯状基材B11は、上流側フリーロールB110の円筒面に沿って進むよう誘導される。このような誘導により、帯状基材の搬送方向が0°を超える角度で回転する。フリーロールB110は、軸を支持する支持台(不図示)により軸B11Xを中心に自由に回転しうる状態で設置された搬送ロールである。したがって、フリーロールB110は、搬送される帯状基材により随伴して矢印BR3方向に回転する。
フリーロールB110による搬送方向の回転の回転軸は、フリーロールB110自体の回転軸B11Xと一致し、フリーロールB110との接触開始から接触終了までの間の帯状基材の搬送方向に直交する。この例ではまた、フリーロールB110の軸B11Xは座標軸Yと平行である。
フリーロールB110と搬送方向とがなす角は、搬送を妨げない範囲で、直交の角度から±0.5°以内の誤差を有していてもよい。このような許容誤差の範囲内で、搬送方向の回転の回転軸が、接触する帯状基材の搬送方向に直交する場合、フリーロールB110は、帯状基材を、グリップした状態で搬送しうる。
上流側フリーロールB110の下流に搬送された帯状基材B13は、続いてラビングロールB130の円筒面に沿って進むよう誘導される。ラビングロールB130の軸B13Xは、XY平面と平行であり、座標軸Yに対して45°の角度で傾いている。実施形態Bの製造方法及び実施形態Bのラビング装置に用いるラビングロールの材質は、特に限定されず、円筒面に不織布等のラビングに適した材料を備えたロールとしうる。
フリーロールB110と異なり、ラビングロールB130は、駆動装置(不図示)により、軸B13Xを中心に矢印BR2方向に回転するよう駆動され、それによりラビングロールB130の円筒面が帯状基材の一方の面をラビングし、ラビング工程が行われる。
実施形態Bの製造方法では、ラビングロールは、0°を超える抱き角で帯状基材に接触し、それにより帯状基材の搬送方向を回転させる。さらに、帯状基材の搬送方向とラビングロールの回転軸とがなす角度は非直交である。ここでいう帯状基材の搬送方向は、ラビングロールを抱いている帯状基材の搬送方向である。実施形態B(i)の例では、ラビングロールB130を抱く帯状基材が搬送される方向と、ラビングロールB130の軸B13Xとがなす角度が非直交である。このように、0°を超える抱き角での接触がなされることにより、帯状基材を、ラビングロールへ高い圧力で接触させることが可能となる。また、このような非直交の角度をなすことにより、ラビングロールによる斜めラビングが達成される。
抱き角は、ラビングロールにおける、帯状基材が接触する周面部分についての扇型の中心角である。かかる中心角は、ラビングロールの軸方向から観察した場合の角度である。
抱き角は、好ましくは5°以上、より好ましくは10°以上であり、一方好ましくは120°以下、より好ましくは90°以下である。抱き角をこの範囲とすることにより、高い配向規制力を、フィルムへ過度の負荷を与えることなく付与することが可能となる。
特に、実施形態Bの製造方法において、抱き角を好ましい範囲内に設定することにより、ラビングの程度を均一にしながら、且つ高い配向規制力の付与を実現しうる。一般に、高い配向規制力を付与する方法としては、抱き角を高める他に、ラビング面の裏側から帯状基材をラビングロールに押し付けるバックアップロールを用いることも考えられる。バックアップロールを用いる方法では、帯状基材が高い圧力でラビングロールに接触するように、バックアップロールとラビングロールで帯状基材を挟み込む。このとき、バックアップロールと帯状基材がグリップして強い摩擦力が発生するため、帯状基材はバックアップロールが回転する方向に押し出される力を受ける。その結果、フィルムの位置が押し出される方向にずれていくことになる。一方、帯状基材に印加した張力によってラビングロールに帯状基材を押し付ける方法では、帯状基材を搬送方向と異なる方向に押し出す力を発生するのはグリップしていないラビングロールだけのため、フィルムの位置のずれの問題は小さくなる。したがって、実施形態Bの製造方法の好ましい態様では、帯状基材が、ラビング面の裏側から帯状基材をラビングロールに押し付ける力を受けない状態でラビングを行う。
また、帯状基材の搬送方向とラビングロールの回転軸とがなす角度は、「振り角」と呼ばれる。振り角は、0°を超え89.5°未満の角度範囲であり、好ましくは10°以上、より好ましくは35°以上、特に好ましくは40°以上であり、一方好ましくは80°以下、より好ましくは55°以下、特に好ましくは50°以下である。斜めラビングにおいては、帯状基材の長手方向に対して45°に配向規制力を有するようラビングを行うことが求められることが多く、振り角を当該範囲とすることにより、そのような所望の方向への配向規制力の付与を容易に達成しうる。
実施形態Bの製造方法において、ラビングロールの回転速度は、好ましいラビング量が得られるよう適宜調整しうる。ラビング量は、搬送経路において帯状基材とラビングロールとの接触開始から接触終了までの間の、ラビングロールの円筒面の、帯状基材と相対的な移動距離により表すことができる。具体的には、ラビングロールの回転速度は、ラビングロールの円筒面の周速と、ラビングロールが帯状基材と接触している時間との積が、所望の範囲となるよう調整しうる。より具体的には、ラビングロールの円筒面の周速は、ラビングロール直径d(mm)及び回転速度t(rpm)からπdt/60(mm/秒)で求められ、ラビングロールが帯状基材と接触している時間は、ラインスピードv(mm/分)、抱き角θw(°)及び振り角φ(°)から(πdθw/360)÷(vsinφ/60)(秒)で求められるため、これらの積は、(πθwt)/(360vsinφ)(mm)となる。当該積の好ましい範囲は、500mm〜100000mmである。したがって、当該積が、当該好ましい範囲内となるよう、ラビングロールの回転速度を調整しうる。
ラビングロールB130の下流に搬送された、ラビングされた帯状基材B14は、続いて下流側フリーロールB150の円筒面に沿って進むよう誘導される。このような誘導により、帯状基材の搬送方向が0°を超える角度で回転する。フリーロールB150は、軸を支持する支持台(不図示)により軸B15Xを中心に自由に回転しうる状態で設置された搬送ロールである。したがって、フリーロールB150は、搬送される帯状基材により随伴して矢印BR3方向に回転する。
この例では、フリーロールB150はフリーロールB110と同様、帯状基材をグリップした状態で搬送する搬送装置であり、フリーロールB150による搬送方向の回転の回転軸は、フリーロールB150自体の回転軸B15Xと一致し、フリーロールB150との接触開始から接触終了までの間の帯状基材の搬送方向に直交する。この例では、フリーロールB110の軸B11XとフリーロールB150の軸B15Xとは平行に配置されている。
下流側フリーロールB150の下流に搬送された帯状基材B16は、ラビングされた帯状基材として、保存または使用の工程に適宜供されうる。例えば、帯状基材B16は、そのまま液晶組成物の塗布の工程を行うラインへ搬送したり、適切な巻き取り装置にて巻き取りロールの状態として保存したりしうる。
ラビング装置B100の上流側、下流側、又はこれらの両方において、ニップロール、巻き取り装置等の適切な装置を設けることにより、帯状基材を適切なラインスピード及び張力で搬送することができる。ラインスピード及び張力は、用いる帯状基材、及び所望のラビングの条件等に応じて、適切な値に適宜設定しうる。例えば、ラインスピードは、好ましくは1〜50m/分としうる。また張力は、線張力として、好ましくは30〜500N/mとしうる。
〔B1.1.余り量〕
図19〜図20に示す実施形態B(i)では、ラビングロールB130付近の帯状基材の搬送経路にねじれが生じ、その結果、帯状基材の搬送経路の長さが、帯状基材の幅方向に亘り不均一となる。具体的には、図20に示す、フリーロールB110との接触が終了してから、フリーロールB150との接触を開始するまでの帯状基材のパスラインBP10−1〜BP10−7は、その長さが不均一となる。より具体的には、端部のパスラインBP10−1及びBP10−7が最も長くなり、中央部のパスラインBP10−5が最も短くなり、その中間のパスラインは端部のパスラインより短く且つ中央部のパスラインより長くなる。パスラインの長さにおいてこのような不均一が生じると、搬送される帯状基材がラビングロールB130と接する際に、中央部の緊張が端部の緊張より弱くなる。あるいは、伸縮の度合いの不十分な帯状基材であれば、中央部の帯状基材が余った状態となり中央部において偏在するたるみが生じる。それにより、ラビングロールへの帯状基材の接触の圧力が不均一になり、ひいてはラビングの程度が不均一となる。
実施形態Bの製造方法では、このようなパスラインの長さの幅方向の相違を余り量として規定し、この余り量と、その他の条件との関係を特定の範囲内とすることにより、ラビングロールへの帯状基材の接触の圧力の不均一さを、許容しうる範囲内とすることができ、ひいては、ラビングの程度を均一にすることができる。
実施形態Bにおいて、余り量は、ラビングロールに亘り搬送される帯状基材のパスラインを以下の通り規定し、帯状基材の幅方向における様々な位置におけるパスラインの長さを測定又は計算し、かかる長さの測定結果又は計算結果から求められる。具体的な余り量の求め方は、下記の通りである。
ラビングロールの上流側の、帯状基材をグリップした状態で搬送するロールのうち、ラビングロールに最も近いものを始点ロールとする。また、ラビングロールの下流側の、帯状基材をグリップした状態で搬送するロールのうち、ラビングロールに最も近いものを終点ロールとする。
続いて、始点ロールの周面上において、パスラインの始点となる、ロールの周面上の線を設定する。この、パスラインの始点の線は、搬送される帯状基材が始点ロールから離れる位置を基準に設定する。帯状基材が始点ロールから離れるタイミングは、帯状基材の幅方向の全体に亘って同時である場合もあり、搬送経路のねじれなどに起因して帯状基材の幅方向の全体に亘って同時ではない場合もある。したがって、始点ロール周面上の最も早く帯状基材が始点ロールから離れる点及び始点ロールの軸を含む平面と、始点ロールの周面とが交わる位置の線を、パスラインの始点の線として規定する。始点ロールが円筒形のロールの場合、このパスラインの始点の線は、ロールの軸に平行な、ロールの周面上の直線であって、始点ロール周面上の最も早く帯状基材が始点ロールから離れる点を通る線となる。例えば、図21に示す通り、帯状基材B13が始点ロールであるフリーロールB110から離れる位置が、軸B11Xに対して斜めの線BL11で示される位置である場合、線BL11で示される位置のうち、最も早く帯状基材B13がフリーロールB110から離れる点は点BQ10−1で示される点である。したがって、この点BQ10−1及び軸B11Xを含む平面と、フリーロールB110の周面とが交わる位置の線は、線BL13で示される直線であり、この直線BL13がパスラインの始点の線として規定される。
続いて、終点ロールの周面上において、パスラインの終点となる、ロールの周面上の線を設定する。この、パスラインの終点の線は、搬送される帯状基材が終点ロールに接する位置を基準に設定する。帯状基材が終点ロールに接するタイミングは、帯状基材の幅方向の全体に亘って同時である場合もあり、搬送経路のねじれなどに起因して帯状基材の幅方向の全体に亘って同時ではない場合もある。したがって、終点ロール周面上の最も遅く帯状基材が終点ロールに接する点及び終点ロールの軸を含む平面と、終点ロールの周面とが交わる位置の線を、パスラインの終点の線として規定する。終点ロールが円筒形のロールの場合、このパスラインの終点の線は、ロールの軸に平行な、ロールの周面上の直線であって、終点ロール周面上の最も遅く帯状基材が終点ロールに接する点を通る線となる。
続いて、帯状基材の幅方向における様々な位置におけるパスラインを規定する。パスラインの始点は、規定したパスラインの始点の直線の、両端部2箇所と、両端部の内側の等間隔の5か所以上において規定する。したがって、パスラインの数nは7以上となる。例えば、図21に示す例では、パスラインの始点の直線BL13における両端の点BQ10−1及びBQ10−7と、その内側の点BQ10−2〜BQ10−6において、パスラインの始点が規定される。パスラインの終点は、パスラインの始点と同様に、規定したパスラインの終点の直線の、両端部2箇所と、両端部の内側の等間隔の5か所以上の、パスラインの始点の数と同じ数の点において規定する。搬送経路上の、対応するパスラインの始点と終点とを結ぶ線を、パスラインとして規定する。パスラインの数nの上限は特に限定されず、無限に大きな数とすることができるが、操作の便宜上例えば100以下としうる。または、パスラインの数は、フィルム幅方向におけるパスラインの間隔が10mm〜500mmとなる数としうる。
続いて、それぞれのパスラインの長さを測定する。パスラインの測定は、帯状基材を抜き取った状態で、パスラインの始点から終点に亘り糸を張り、当該糸の長さを測定することによって実測しうる。その場合、糸は、帯状基材の搬送される位置に沿って緩みなく張る。例えば、シワなどによって帯状基材がラビングロールから浮き上がる位置でも、糸はラビングロールに接触するように張る。または実測に代えて、そのようなパスラインを、ロールの位置の情報を元に計算により求めてもよい。
得られたn個のパスラインの長さP1、P2、・・・Pnのそれぞれについての余り量εk(k=1、2、・・・n)、及び余り量の最大値εmaxは、Pk、最も短いパスライン長さPmin、及び最も長いパスライン長さPmaxから、下記式(3)及び(4)により求められる。
εk(%)=(Pk−Pmin)/Pmin×100(%) 式(3)
εmax(%)=(Pmax−Pmin)/Pmin×100(%) 式(4)
余り量の平均値εavgは、積分の近似公式の台形公式を用いて計算する。即ち、εavgは下記式(5)により求められる。
Figure 2016152685
〔B1.2.余り量と、他のパラメーターとの関係〕
実施形態Bの製造方法においては、帯状基材は、搬送方向のヤング率がE(Pa)であり、厚みがd(m)であり、且つ幅がw(m)であり、搬送経路における余り量の最大値εmax(%)及び余り量の平均値εavg(%)が、式(1)
(εmax−εavg)Edw<30T 式(1)
を満たす。
実施形態Bの製造方法では、式(1)を満たすことにより、ラビングロールへの帯状基材の接触の圧力の不均一さを、許容しうる範囲内とすることができ、ひいては、ラビングの程度を均一にすることができる。具体的には、帯状基材の余り量の多い部分と少ない部分がある場合、余り量が少ない部分に張力を加えることにより、帯状基材を伸長させ、余り量を解消させることができる。そして、式(1)を満たすことにより、かかる余り量の解消に必要な張力が、印加される張力全体に占める割合を、所定以下の割合としうる。その結果、印加される張力全体のうち所定以上の割合を、ラビングロールへ帯状基材を接触させる圧力を付与するために利用しうる。その結果、ラビングロールへの帯状基材の接触の圧力の不均一さを、許容しうる範囲内とすることができ、ひいては、ラビングの程度を均一にすることができる。(εmax−εavg)Edwの値は、好ましくは25T未満、より好ましくは20T未満としうる。(εmax−εavg)Edwの値の下限は、特に限定されず、理想的にはゼロであるが、例えば0.05T以上としうる。
帯状基材の搬送方向のヤング率Eと厚みdの積Edは、好ましくは400,000Pa・m以下、より好ましくは250,000Pa・m以下である。帯状基材として、Edの値がこのように低いものを用いた場合、式(1)を満たすラビングを容易に達成することができる。Edの値の下限は、特に限定されず、搬送及びラビングを円滑に行いうる範囲で適宜定めることができるが、例えば25,000Pa・m以上としうる。
さらには、ヤング率が低い材料を採用した場合、帯状基材の厚みが厚い場合であっても式(1)を満たすラビングを容易に達成することができ、一方、ヤング率が高い材料を採用した場合、帯状基材の厚みが薄い場合、式(1)を満たすラビングを容易に達成することができる。帯状基材の厚みの自由度を高める観点からは、帯状基材の搬送方向のヤング率Eは、低いほうが好ましい。具体的には、ヤング率Eは好ましくは3,000MPa以下、より好ましくは2,500MPa以下である。ヤング率Eの下限は、特に限定されないが、例えば100MPa以上としうる。
帯状基材の幅wは、好ましくは0.2m以上、より好ましくは0.4m以上であり、一方好ましくは4m以下、より好ましくは3m以下である。
帯状基材の厚みdは、好ましくは10×10−6m(10μm)以上、より好ましくは20×10−6m(20μm)以上であり、一方好ましくは500×10−6m(500μm)以下、より好ましくは200×10−6m(200μm)以下である。
〔B2.実施形態B(ii)〕
図19〜図20に示す実施形態B(i)では、始点ロール及び終点ロール(フリーロールB110及びB150)の軸B11X及びB15Xが平行であり、その間に振り角45°のラビングロールB130が設けられている。このように、始点ロール及び終点ロールの軸が平行であることにより、帯状基材の斜行(帯状基材をグリップする通常の搬送ロールでは平行な関係に補正できない、搬入方向と搬出方向との斜めの関係)の発生を抑制することができ、その結果、汎用の製造ラインにおいてラビング装置を小さなスペースに容易に配置することができる。しかしながら一方で、このような平行な始点ロール及び終点ロールと斜めのラビングロールとの組み合わせのために、ラビングロール付近の帯状基材の搬送経路にねじれが生じ、その結果、帯状基材の搬送経路の長さが、帯状基材の幅方向に亘り不均一となっていた。
しかしながら、本発明はこれに限られず、始点ロール、ラビングロール及び終点ロールの位置関係をこれとは異なるものとし、それにより帯状基材の搬送経路の長さの不均一を低減したものであってもよい。そのような例を、実施形態B(ii)として以下において説明する。
図22〜図24は、実施形態Bのラビング装置及びそれを用いた実施形態Bの製造方法の操作の別の一例を概略的に示す側面図、上面図及び後面図である。ここに示す形態を実施形態B(ii)として説明する。図22ではラビング装置B400を座標軸Y方向から観察しており、図23ではラビング装置B400を座標軸Z方向から観察しており、図24ではラビング装置B400を座標軸X方向から観察している。
ラビング装置B400は、ラビングロールB430と、上流側のフリーロールB410と、下流側のフリーロールB450とを含む。ラビング装置B400の操作において、帯状基材(B11〜B16)は、矢印BR1方向に搬送される。これらのラビングロール及びフリーロールの形状及び材質は、実施形態B(i)におけるラビングロール及びフリーロールと同一である。また、ラビング装置B400の操作におけるラインスピード、張力等の条件は、実施形態B(i)におけるラビング装置B100の操作におけるものと同様としうる。
ラビング装置B400に搬入された帯状基材B11は、上流側フリーロールB410の円筒面に沿って進むよう誘導される。このような誘導により、帯状基材の搬送方向が0°を超える角度で回転する。フリーロールB410は、軸を支持する支持台(不図示)により軸B41Xを中心に自由に回転しうる状態で設置された搬送ロールである。したがって、フリーロールB410は、搬送される帯状基材により随伴して矢印BR3方向に回転する。フリーロールB410は、フリーロールB110と同様、帯状基材を、グリップした状態で搬送しうる。
上流側フリーロールB410の下流に搬送された帯状基材B13は、続いてラビングロールB430の円筒面に沿って進むよう誘導される。この例では、帯状基材B13の搬入方向は、水平な方向即ちXY平面と平行な方向である。また、ラビングロールB430の軸B43Xは、XY平面と平行であり、座標軸Yに対して45°の角度で傾いている。
ラビングロールB430は、駆動装置(不図示)により、軸B43Xを中心に矢印BR2方向に回転するよう駆動され、それによりラビングロールB430の円筒面が帯状基材の一方の面をラビングし、ラビング工程が行われる。
実施形態B(ii)において、ラビングロールB430は、抱き角60°で帯状基材に接触し、それにより帯状基材の搬送方向を回転させる。さらに、帯状基材の搬送方向とラビングロールの回転軸とがなす角度は非直交である。
ラビングロールB430の下流に搬送された、ラビングされた帯状基材B14は、続いて下流側フリーロールB450の円筒面に沿って進むよう誘導される。このような誘導により、帯状基材の搬送方向が0°を超える角度で回転する。フリーロールB450は、軸を支持する支持台(不図示)により軸B45Xを中心に自由に回転しうる状態で設置された搬送ロールである。したがって、フリーロールB450は、搬送される帯状基材により随伴して矢印BR3方向に回転する。
この例では、フリーロールB450はフリーロールB410と同様、帯状基材をグリップした状態で搬送する搬送装置であり、フリーロールB450による搬送方向の回転の回転軸は、フリーロールB450自体の回転軸B45Xと一致し、フリーロールB450との接触開始から接触終了までの間の帯状基材の搬送方向に直交する。この例では、フリーロールB410の軸B41Xは座標軸Yと平行であるのに対し、フリーロールB450の軸B45Xは、座標軸Yに対して大きく傾いている。したがって、フリーロールB410の軸B41Xと、フリーロールB450の軸B45Xとは、平行な状態から大きく外れた関係となっている。
下流側フリーロールB450の下流に搬送された帯状基材B16は、ラビングされた帯状基材として、保存または使用の工程に適宜供されうる。
実施形態B(ii)では、フリーロールB410の軸B41XとフリーロールB450の軸B45Xとの関係を、図22〜図24に示すような、平行な状態から外れた関係に配置している。このように、ラビングロールの上流及び下流側のフリーロールの軸の関係を非平行な状態に配置すると、汎用の製造ラインにおいてラビング装置を小さなスペースに容易に配置することが困難である。しかしながら、このような配置とすることにより、ラビングロールへの搬入方向及びラビングロールからの搬出方向を、帯状基材の幅方向に亘って同一に近くすることができ、その結果、ラビングロールB430付近の帯状基材の搬送経路のねじれを低減し、その結果、帯状基材の搬送経路の長さの不均一を低減することができる。したがって、このような装置を採用した場合、εmax−εavgの値を小さくすることができ、例えば、帯状基材の搬送方向のヤング率E、Eと厚みdの積Ed、又はEdと厚みの積Edwが大きい場合であっても、式(1)を満たすラビングを容易に達成することができる。具体的には、εmax−εavgの値は、好ましくは0.02%未満、より好ましくは0.01%未満としうる。εmax−εavgの値の下限は、特に限定されず、理想的にはゼロであるが、例えば0.0005%以上としうる。
図22〜図24に示す例では、ラビングロールB430は、回転軸B43Xが水平方向になるように設置され、搬入される帯状基材B13とラビングロールB430との接触が始まる位置以前における帯状基材B13の搬入方向が水平である。このように、搬入方向を水平な状態としたうえで、下流のフリーロールB450の軸方向を調整することにより、搬入方向が幅方向に亘って同一である状態を維持したまま搬出方向を調整することができ、ひいては、搬入方向及び搬出方向の両方が幅方向に亘って同一となるようなフリーロール及びラビングロールの位置決めを、容易に行うことができる。より具体的に説明すると、フリーロール及びラビングロールの位置決めは、通常、水平な台座に対して角度を調節するように設置されるので、フリーロールB410及びラビングロールB430を水平に配置し、さらに帯状基材の搬送方向を水平に調整する位置決めは比較的容易に行いうる。したがって、そのような位置決めを行ってから、その後フリーロールB450の軸方向のみを調整する順序で位置決めを行うことにより、精密な位置決めを容易に行うことができる。
または逆に、搬出される帯状基材とラビングロールとの接触が終わる位置における帯状基材B14の搬出方向を水平とし、フリーロールB410の軸方向を調整することによっても、容易な位置決めを行うことができる。ただし、上流におけるフリーロールの軸の複雑な調整が下流における搬送経路に影響を与える可能性があるため、搬入される帯状基材B13の搬入方向を水平とする調整のほうが、より容易である。
〔B3.その他の実施形態〕
本発明のラビング装置及び本発明の製造方法は、上に述べた形態に限られず、上に述べた形態にさらに任意の変更を加えたものであってもよい。
例えば、上に述べた実施形態B(ii)では、ラビングロール付近の帯状基材の搬送経路の長さの不均一を低減するために、ラビングロールの上流及び下流側のフリーロールの軸の関係を非平行な状態に配置したが、搬送経路の長さの不均一を低減する手段はこれには限られない。例えば、ラビングロール及びその上流及び下流側のフリーロールのいずれか一以上として、クラウンロール(中央部が膨らみ、端部が細い形状のロール)を採用して、かかるロールがラビング面に接する態様で搬送を行うことによっても搬送経路の長さの不均一を低減しうる。または、逆クラウンロール(中央部が細く、端部が膨らんだ形状のロール)を採用して、かかるロールがラビング面と反対の面に接する態様で搬送を行うことによっても搬送経路の長さの不均一を低減しうる。または、浮上搬送装置を用い、これを始点ロール及び終点ロールの間の適当な位置に設けることによっても、搬送経路の長さの不均一を低減しうる。浮上搬送装置は、搬送ロールの周面またはその一部分と同様の形状の搬送面を有し、当該搬送面において微細な多数の空気噴出孔を有し、当該空気噴出孔から空気を噴出することにより、当該搬送面に非接触の状態で、帯状基材を当該搬送面に沿って誘導しうる装置である。
〔C1.実施形態C(i)〕
次に、実施形態Cにかかる本発明について説明する。
実施形態Cの製造方法は、ラビングされた帯状基材の製造方法であり、帯状基材をラビングする特定のラビング工程、及びラビング工程の上流側、下流側、またはこれらの両方において、0°を超える角度で前記帯状基材の搬送方向を回転させる搬送装置により帯状基材の搬送方向を回転させる工程(以下において単に「回転工程」という。)を含む。ラビング工程においては、搬送経路の上流から搬入された帯状基材を、回転軸を中心に回転するラビングロールに接触させてラビングし、前記搬送経路の下流へ搬出する。
図25〜図26は、実施形態Cのラビング装置及びそれを用いた実施形態Cの製造方法の操作の一例を概略的に示す側面図及び上面図である。ここに示す形態を実施形態C(i)として参照し、本願発明を説明する。図25ではラビング装置C100を座標軸Y方向から観察しており、図26ではラビング装置C100を座標軸Z方向から観察している。
ラビング装置C100は、ラビングロールC130と、その上流側のフリーロールC110と、下流側のフリーロールC150とを含む。ラビング装置C100はさらに、ラビングロールC130とフリーロールC110との間の浮上搬送装置C120、及びラビングロールC130とフリーロールC150との間の浮上搬送装置C140を含む。ラビング装置C100の操作において、帯状基材(C11〜C16)は、矢印CR1方向に搬送される。
ラビング装置C100に搬入された帯状基材C11は、上流側フリーロールC110の円筒面に沿って進むよう誘導される。このような誘導により、帯状基材の搬送方向が0°を超える角度で回転する。フリーロールC110は、軸を支持する支持台(不図示)により軸C11Xを中心に自由に回転しうる状態で設置された搬送ロールである。したがって、フリーロールC110は、搬送される帯状基材により随伴して矢印CR3方向に回転する。
この例では、フリーロールC110による搬送方向の回転の回転軸は、フリーロールC110自体の回転軸C11Xと一致し、フリーロールC110との接触開始から接触終了までの間の帯状基材の搬送方向に直交する。この例ではまた、フリーロールC110の軸C11Xは座標軸Yと平行である。
フリーロールC110と搬送方向とがなす角は、搬送を妨げない範囲で、直交の角度から±0.5°以内の誤差を有していてもよい。このような許容誤差の範囲内で、搬送方向の回転の回転軸が、接触する帯状基材の搬送方向に直交する場合、フリーロールC110は、帯状基材を、グリップした状態で搬送しうる。
上流側フリーロールC110の下流に搬送された帯状基材C12は、続いて浮上搬送装置C120の搬送面に沿って進むよう誘導され、その搬送方向が回転される。これにより、浮上搬送装置C120は、回転工程を行う搬送装置として機能する。この例では、帯状基材C12の搬入方向は、水平な方向即ちXY平面と平行な方向である。また、浮上搬送装置C120の軸C12Xは、XY平面と平行であり、座標軸Yに対して45°の角度で傾いている。
浮上搬送装置C120を、図29〜図31を参照してより具体的に説明する。図29〜図31は、図25及び図26に示すラビング装置C100中の浮上搬送装置C120を概略的に示す斜視図、側面図及び底面図である。図29〜図31に示す通り、浮上搬送装置C120は、搬送面C123Sを有する搬送部C123、及び空気導入部C124(図25及び図26において不図示)を備える。空気導入部C124は、搬送部C123に加圧した空気を圧力調節可能な態様で導入するための装置(不図示)を備える。搬送部C123は、軸C12Xを軸とする半円筒形であり、搬送面C123Sは円筒形に沿った曲面である。搬送部C123の搬送面C123Sには多数の孔が設けられ、空気導入部C124から導入された空気を噴出しうるよう、空気導入部と連通する。
浮上搬送装置C120の使用において、帯状基材は、矢印CR4方向に引っ張られて緊張した状態で搬送面C123S上に誘導される。かかる緊張のため、帯状基材は矢印CR5方向に付勢される。一方、搬送面C123Sの孔から空気を噴出することにより、帯状基材は矢印CR6方向に付勢される。空気の噴出の圧力を適宜調整することにより、帯状基材の緊張による付勢と空気の噴出による付勢を均衡させることができ、その結果、帯状基材と浮上搬送装置C120との間に、供給される空気の空気圧によって空気層を形成し、帯状基材を、搬送面C123Sと非接触の状態で、搬送面C123Sに沿って浮上搬送することが可能となる。かかる浮上搬送の結果、軸C12Xを回転軸方向とする搬送方向の回転を伴う搬送が可能となる。加えて、帯状基材が搬送面C123Sと接触していないので、帯状基材を軸C12Xと平行な方向(図31において矢印CR7で示される方向)に搬送することも可能となる。CR4方向及びCR7方向への搬送が可能となる結果、軸C12Xに対して非直交の方向である、図31において矢印CR1で示される斜めの搬送方向への帯状基材の搬送が可能となる。グリップロールとして用いられるロールでこのような斜め方向への搬送を行った場合、ロールの表面と帯状基材表面との間の擦れが生じるが、浮上搬送装置を用いた場合は、このような斜め方向への搬送を、帯状基材表面の擦れを伴わずに達成することが可能となる。
「非直交」な角度とは、正確な直交方向以外の任意の方向としうるが、具体的には例えば、帯状基材の搬送方向と搬送装置による搬送方向の回転の回転軸方向とがなす角は、0°超、好ましくは35°以上、より好ましくは40°以上であり、一方好ましくは89.5°未満、より好ましくは55°以下、さらにより好ましくは50°以下である。
浮上搬送装置C120の下流に搬送された帯状基材C13は、続いてラビングロールC130の円筒面に沿って進むよう誘導される。この例では、ラビングロールC130の軸C13Xは、XY平面と平行であり、座標軸Yに対して45°の角度で傾いている。実施形態Cの製造方法及び実施形態Cのラビング装置に用いるラビングロールの材質は、特に限定されず、円筒面に不織布等のラビングに適した材料を備えたロールとしうる。フリーロールC110と異なり、ラビングロールC130は、駆動装置(不図示)により、軸C13Xを中心に矢印CR2方向に回転するよう駆動され、それによりラビングロールC130の円筒面が帯状基材の一方の面をラビングし、ラビング工程が行われる。
実施形態Cの製造方法では、ラビングロールは、0°を超える抱き角で帯状基材に接触し、それにより帯状基材の搬送方向を回転させる。さらに、帯状基材の搬送方向とラビングロールの回転軸とがなす角度は非直交である。ここでいう帯状基材の搬送方向は、ラビングロールを抱いている帯状基材の搬送方向である。実施形態C(i)の例では、ラビングロールC130を抱く帯状基材が搬送される方向と、ラビングロールC130の軸C13Xとがなす角度が非直交である。このように、0°を超える抱き角での接触がなされることにより、帯状基材を、ラビングロールへ高い圧力で接触させることが可能となる。また、このような非直交の角度をなすことにより、ラビングロールによる斜めラビングが達成される。
抱き角は、好ましくは5°以上、より好ましくは10°以上であり、一方好ましくは120°以下、より好ましくは90°以下である。抱き角をこの範囲とすることにより、高い配向規制力を、フィルムへ過度の負荷を与えることなく付与することが可能となる。また、帯状基材の搬送方向とラビングロールの回転軸とがなす角度は、「振り角」と呼ばれる。振り角は、0°を超え89.5°未満の角度範囲であり、好ましくは10°以上、より好ましくは35°以上、特に好ましくは40°以上であり、一方好ましくは80°以下、より好ましくは55°以下、特に好ましくは50°以下である。斜めラビングにおいては、帯状基材の長手方向に対して45°に配向規制力を有するようラビングを行うことが求められることが多く、振り角を当該範囲とすることにより、そのような所望の方向への配向規制力の付与を容易に達成しうる。
実施形態Cの製造方法において、ラビングロールの回転速度は、好ましいラビング量が得られるよう適宜調整しうる。ラビング量は、搬送経路において帯状基材とラビングロールとの接触開始から接触終了までの間の、ラビングロールの円筒面の、帯状基材と相対的な移動距離により表すことができる。具体的には、ラビングロールの回転速度は、ラビングロールの円筒面の周速と、ラビングロールが帯状基材と接触している時間との積が、所望の範囲となるよう調整しうる。より具体的には、ラビングロールの円筒面の周速は、ラビングロール直径d(mm)及び回転速度t(rpm)からπdt/60(mm/秒)で求められ、ラビングロールが帯状基材と接触している時間は、ラインスピードv(mm/分)、抱き角θw(°)及び振り角φ(°)から(πdθw/360)÷(vsinφ/60)(秒)で求められるため、これらの積は、(πθwt)/(360vsinφ)(mm)となる。当該積の好ましい範囲は、500mm〜100000mmである。したがって、当該積が、当該好ましい範囲内となるよう、ラビングロールの回転速度を調整しうる。
ラビングロールC130の下流に搬送された、ラビングされた帯状基材C14は、続いて浮上搬送装置C140の搬送面に沿って進むよう誘導され、その搬送方向が回転される。これにより、浮上搬送装置C140は、回転工程を行う搬送装置として機能する。浮上搬送装置C140は、浮上搬送装置C120と同様の装置である。浮上搬送装置C140は、浮上搬送装置C120と同様に、その軸C14XがXY平面と平行であり、座標軸Yに対して45°の角度で傾いている。浮上搬送装置C140から搬出される、ラビングされた帯状基材C15の搬出方向は、XY平面と平行な方向である。
浮上搬送装置C140の下流に搬送された、ラビングされた帯状基材C15は、続いて下流側フリーロールC150の円筒面に沿って進むよう誘導される。このような誘導により、帯状基材の搬送方向が0°を超える角度で回転する。フリーロールC150は、軸を支持する支持台(不図示)により軸C15Xを中心に自由に回転しうる状態で設置された搬送ロールである。したがって、フリーロールC150は、搬送される帯状基材により随伴して矢印CR3方向に回転する。
この例では、フリーロールC150はフリーロールC110と同様、グリップロールであり、フリーロールC150による搬送方向の回転の回転軸は、フリーロールC150自体の回転軸C15Xと一致し、フリーロールC150との接触開始から接触終了までの間の帯状基材の搬送方向に直交する。この例では、フリーロールC150の軸C15Xは座標軸Yと平行である。
下流側フリーロールC150の下流に搬送された帯状基材C16は、ラビングされた帯状基材として、保存または使用の工程に適宜供されうる。例えば、帯状基材C16は、そのまま液晶組成物の塗布の工程を行うラインへ搬送したり、適切な巻き取り装置にて巻き取りロールの状態として保存したりしうる。
ラビング装置C100の上流側、下流側、又はこれらの両方において、ニップロール、巻き取り装置等の適切な装置を設けることにより、帯状基材を適切なラインスピード及び張力で搬送することができる。ラインスピード及び張力は、用いる帯状基材、及び所望のラビングの条件等に応じて、適切な値に適宜設定しうる。例えば、ラインスピードは、好ましくは1〜50m/分としうる。また張力は、好ましくは30〜500N/mとしうる。
〔C1.1.ラビングロールと帯状基材の関係〕
実施形態Cの製造方法のラビング工程においては、ラビングロールへ搬入される帯状基材とラビングロールとの接触が始まる位置における、帯状基材の搬入方向が、帯状基材の幅方向に亘って同一であり、ラビングロールから搬出される帯状基材とラビングロールとの接触が終わる位置における、帯状基材の搬出方向が、帯状基材の幅方向に亘って同一であり、且つ搬送装置による帯状基材の搬送方向の回転の回転軸方向は、ラビングロールの回転軸と平行である。また、実施形態Cのラビング装置では、そのような位置関係となるよう、ラビングロール及びその他の支持装置が配置される。
このような特徴を、図27〜図28を参照して説明する。図27は、図25〜図26に示すラビング装置C100における浮上搬送装置C120、ラビングロールC130、浮上搬送装置C140及び帯状基材の関係を概略的に示す側面図であり、図28はそのうちラビングロールC130及びそこから搬出される帯状基材C14の関係を概略的に示す側面図である。図27ではラビングロールC130を、その軸C13X方向から観察しており、図28ではラビングロールC130をY座標軸方向から観察している。
図27〜図28の例において、浮上搬送装置C120を離れてラビングロールC130へ搬入される帯状基材C13は、矢印CR13で示される搬入方向で進み、位置C131においてラビングロールC130との接触を開始する。したがって、ラビングロールへ搬入される帯状基材とラビングロールとの接触が始まる位置における帯状基材の搬入方向は、矢印CR13で示される方向となる。
その後帯状基材は抱き角Cθw13でラビングロールC130を抱き、位置C132においてラビングロールC130との接触を終了する。そして、ラビングロールC130から搬出される帯状基材C14は、矢印CR14で示される搬出方向で進む。したがって、ラビングロールから搬出される帯状基材とラビングロールとの接触が終わる位置における帯状基材の搬出方向は、矢印CR14で示される方向となる。
さらに、矢印CR14で示される搬出方向は、帯状基材C14の幅方向に亘って同一である。即ち、図28に示す通り、位置C132においてラビングロールC130から搬出される帯状基材C14の搬出方向は、幅方向に亘って、それぞれ矢印CR14−1〜CR14−5で例示される方向であり、これらは同一な方向である。この例ではまた、矢印CR13で示される搬入方向も、帯状基材C13の幅方向に亘って同一である。
ここでいう、搬入方向又は搬出方向が幅方向に亘って「同一」であるとは、本発明の効果を損ねない範囲内での許容誤差を含みうる。例えば、帯状基材幅方向の中心における搬入又は搬出方向(図28の例では矢印CR14−3で示される搬出方向)を基準とし、当該基準の方向となす角が0.5°以内の方向を、「同一」な方向としうる。
図25〜図28に示す例では、ラビングロールC130のすぐ上流及びすぐ下流に、浮上搬送装置C120及びC140を配置し、さらに、搬送装置による帯状基材の搬送方向の回転の回転軸方向を、ラビングロールの回転軸と平行とすることにより、ラビングロールへの搬入方向及びラビングロールからの搬出方向を、帯状基材の幅方向に亘って同一としている。これにより、帯状基材にねじれを加えずにラビングロールへ均一な圧力で接触させることが可能となり、ひいては、ラビングの程度が均一な斜めラビングを達成しうる。加えて、ラビング装置C100から搬出する帯状基材C16の搬出方向が、ラビング装置C100へ搬入する帯状基材C11の搬入方向に対して斜行しない関係となる。ここでいう「斜行」とは、グリップロールでは平行な関係に補正できない、搬入方向と搬出方向との関係である。実施形態Cの製造方法及びラビング装置では、搬入方向に対する搬出方向の方向を、斜行の量が少ない方向とすることにより、シワやスクラッチを派生させることなく、低コストな製造を行うことが可能となる。
ここでいう、搬送装置による搬送方向の回転の回転軸方向と、ラビングロールの回転軸とが「平行」であるとは、本発明の効果を損ねない範囲内での許容誤差を含みうる。例えば、これらのなす角が0.5°以内の方向を、「平行」な方向としうる。
実施形態C(i)においてはまた、フリーロールC110、浮上搬送装置C120、ラビングロールC130、浮上搬送装置C140及びフリーロールC150の軸C11X、C12X、C13X、C14X及びC15Xはいずれも水平方向に設置している。これらの要素の軸を水平とすることにより、XY平面内におけるこれらの向きの調整により実施形態Cの装置を構成しうるので、正確な調整を容易に行いうる。ここで、軸が「水平」であるとは、本発明の効果を損ねない範囲内での許容誤差を含みうる。例えば、水平面と軸とがなす角が0.5°以内の方向を、「水平」な方向としうる。
実施形態Cの、ラビングロールと帯状基材の関係についての特徴を、従来技術と対比することによりさらに説明する。図13〜図14は、従来技術のラビング装置及びそれを用いた従来技術の製造方法の操作の一例を概略的に示す側面図及び上面図である。図13〜図14において、ラビング装置A1300は、ラビングロールA1330と、そのすぐ上流側のフリーロールA1310(グリップロール)と、すぐ下流側のフリーロールA1350(グリップロール)とを含む。ラビング装置A1300の操作において、帯状基材(A11〜A16)は、矢印AR1方向に搬送される。フリーロールA1310の軸A131XとフリーロールA1350の軸A135Xとは平行に配置されている。
図13〜図14の例では、ラビングロールA1330付近の帯状基材の搬送経路にねじれが生じ、その結果、ラビングロールへ搬入される帯状基材とラビングロールとの接触が始まる位置における帯状基材の搬入方向が、帯状基材の幅方向に亘って同一ではなくなり、且つ、ラビングロールから搬出される帯状基材とラビングロールとの接触が終わる位置における帯状基材の搬出方向が、帯状基材の幅方向に亘って同一ではなくなる。具体的には図15に示す通り、帯状基材がラビングロールA1330との接触を終了する位置A1332は、ラビングロールA1330の軸A133Xと非平行になり、そこからねじれた状態で搬出される帯状基材A14の搬出方向は、矢印AR14−6〜AR14−10で示す通り、帯状基材の幅方向に亘って同一ではなくなる。
かかるねじれに起因して、図13〜図14の例では、帯状基材の搬送経路の長さが、帯状基材の幅方向に亘り不均一となる。具体的には、図14に示す、フリーロールA1310との接触が終了してから、フリーロールA1350との接触を開始するまでの帯状基材の搬送経路AP130−1〜AP130−5は、その長さが不均一となる。より具体的には、端部の搬送経路AP130−1及びAP130−5が最も長くなり、中央部の搬送経路AP130−3が最も短くなり、その中間の搬送経路AP130−2及びAP130−4は、端部の搬送経路より短く且つ中央部の搬送経路より長くなる。搬送経路の長さにおいてこのような不均一が生じると、搬送される帯状基材がラビングロールA1330と接する際に、中央部の緊張が端部の緊張より弱くなる。あるいは、伸縮の度合いの少ない帯状基材であれば、中央部の帯状基材が余った状態となり中央部において偏在するたるみが生じる。それにより、ラビングロールへの帯状基材の接触の圧力が不均一になり、ひいてはラビングの程度が不均一となる。これに対して、実施形態Cの製造方法では、帯状基材にねじれを加えずにラビングロールへ均一な圧力で接触させることが可能となり、ひいては、ラビングの程度が均一な斜めラビングを達成しうる。
図13〜図14の例で、フリーロールA1310とA1350との間隔を十分長くすると、このような搬送経路の長さの不均一は、相対的に少なくなる。しかしその場合、支持されていない状態で帯状基材が搬送される経路が長くなり、フィルムのばたつきによる不具合が発生したり、製造設備を設置するための空間が大きくなったりする不都合がある。実施形態Cでは、ラビングロールに最も近い上流側のグリップロールから、ラビングロールに最も近い下流側のグリップロールまでの搬送経路の長さを、好ましくはフィルム幅の5倍以下、より好ましくはフィルム幅の3倍以下としうる。かかる搬送経路の長さの下限は、特に限定されないが、例えばフィルム幅の2倍以上としうる。
図13〜図14に示すラビング装置A1300のフリーロールの位置を変更すると、ラビングロールA1330付近の帯状基材の搬送経路のねじれを低減することは可能だが、その場合、搬出方向が搬入方向に対して斜行する関係となり、当該斜行の度合いは、ラビングロールA1330の抱き角を大きくするほど大きくなる。実施形態Cの製造方法及び実施形態Cのラビング装置では、ラビングロールの抱き角を大きくしても、ラビングの程度が均一な斜めラビングを、搬出方向が搬入方向に対して斜行しない状態で行うことが可能となる。
〔C1.2.回転角の総和〕
実施形態Cの製造方法及び実施形態Cのラビング装置では、ラビングロールによる帯状基材の搬送方向の回転の回転角と、搬送装置による搬送方向の回転の回転角の総和が略0°であることが好ましい。
この特徴を、図27を再び参照して説明すると、浮上搬送装置C120へ搬入された帯状基材C12は、浮上搬送装置C120による回転工程により、その搬送方向が、位置C121から位置C122において角度Cθw12で回転する。浮上搬送装置C120の下流に搬出された帯状基材C13は、続いてラビングロールC130によるラビング工程により、その搬送方向が、位置C131から位置C132において角度Cθw13で回転する。ラビングロールC130の下流に搬出された帯状基材C14は、続いて浮上搬送装置C140による回転工程により、その搬送方向が、位置C141から位置C142において角度Cθw14で回転する。浮上搬送装置C120及びC140による回転の方向は、ラビングロールC130による回転の方向と逆であるため、一方を正、他方を負としてこれらを合計しその絶対値を取ることにより、これらの回転角の総和が求められる。例えば、Cθw12=Cθw14=30°、Cθw13=60°とすることにより、これらの総和は0°となる。
回転角の総和を略0°とすることにより、搬出方向が搬入方向に対して斜行しない搬送経路を容易に得ることが可能となる。したがって、ラビングロールの抱き角を大きくしても、ラビングの程度が均一な斜めラビングを、搬出方向が搬入方向に対して斜行しない状態で行う製造方法及びラビング装置を、より容易に実現することが可能となる。
回転角の総和が「略」0°であるとは、正確に0°である場合に加え、本発明の効果を著しく損ねない範囲での許容誤差を有する場合を含む。具体的には、EPC(登録商標)等の斜行を補正しうる装置での斜行の補正が容易に行える範囲で、0°を超える値であってもよい。具体的には、好ましくは5°以下、より好ましくは2°以下の範囲としうる。
〔C1.3.余り量〕
実施形態Cにおける、搬入方向又は搬出方向が幅方向に亘って許容誤差の範囲内で同一であると、帯状基材の搬送経路の余り量が小さい値となる。
実施形態Cにおいて、余り量は、ラビングロールに亘り搬送される帯状基材のパスラインを以下の通り規定し、帯状基材の幅方向における様々な位置におけるパスラインの長さを測定又は計算し、かかる長さの測定結果又は計算結果から求められる。具体的な余り量の求め方は、下記の通りである。
ラビングロールに最も近い上流側のグリップロールを始点ロールとする。また、ラビングロールに最も近い下流側のグリップロールを終点ロールとする。
続いて、始点ロールの周面上において、パスラインの始点となる、ロールの周面上の線を設定する。この、パスラインの始点の線は、搬送される帯状基材が始点ロールから離れる位置を基準に設定する。帯状基材が始点ロールから離れるタイミングは、帯状基材の幅方向の全体に亘って同時である場合もあり、搬送経路のねじれなどに起因して帯状基材の幅方向の全体に亘って同時ではない場合もある。したがって、始点ロール周面上の最も早く帯状基材が始点ロールから離れる点及び始点ロールの軸を含む平面と、始点ロールの周面とが交わる位置の線を、パスラインの始点の線として規定する。始点ロールが円筒形のロールの場合、このパスラインの始点の線は、ロールの軸に平行な、ロールの周面上の直線であって、始点ロール周面上の最も早く帯状基材が始点ロールから離れる点を通る線となる。例えば、図37に示す通り、帯状基材C13が始点ロールであるフリーロールC110から離れる位置が、軸C11Xに対して斜めの線CL11で示される位置である場合、線CL11で示される位置のうち、最も早く帯状基材C13がフリーロールC110から離れる点は点CQ10−1で示される点である。したがって、この点CQ10−1及び軸C11Xを含む平面と、フリーロールC110の周面とが交わる位置の線は、線CL13で示される直線であり、この直線CL13がパスラインの始点の線として規定される。
続いて、終点ロールの周面上において、パスラインの終点となる、ロールの周面上の線を設定する。この、パスラインの終点の線は、搬送される帯状基材が終点ロールに接する位置を基準に設定する。帯状基材が終点ロールに接するタイミングは、帯状基材の幅方向の全体に亘って同時である場合もあり、搬送経路のねじれなどに起因して帯状基材の幅方向の全体に亘って同時ではない場合もある。したがって、終点ロール周面上の最も遅く帯状基材が終点ロールに接する点及び終点ロールの軸を含む平面と、終点ロールの周面とが交わる位置の線を、パスラインの終点の線として規定する。終点ロールが円筒形のロールの場合、このパスラインの終点の線は、ロールの軸に平行な、ロールの周面上の直線であって、終点ロール周面上の最も遅く帯状基材が終点ロールに接する点を通る線となる。
続いて、帯状基材の幅方向における様々な位置におけるパスラインを規定する。パスラインの始点は、規定したパスラインの始点の直線の、両端部2箇所と、両端部の内側の等間隔の5か所以上において規定する。したがって、パスラインの数nは7以上となる。例えば、図37に示す例では、パスラインの始点の直線CL13における両端の点CQ10−1及びCQ10−7と、その内側の点CQ10−2〜CQ10−6において、パスラインの始点が規定される。パスラインの終点は、パスラインの始点と同様に、規定したパスラインの終点の直線の、両端部2箇所と、両端部の内側の等間隔の5か所以上の、パスラインの始点の数と同じ数の点において規定する。搬送経路上の、対応するパスラインの始点と終点とを結ぶ線を、パスラインとして規定する。パスラインの数nの上限は特に限定されず、無限に大きな数とすることができるが、操作の便宜上例えば100以下としうる。または、パスラインの数は、フィルム幅方向におけるパスラインの間隔が10mm〜500mmとなる数としうる。
続いて、それぞれのパスラインの長さを測定する。パスラインの測定は、帯状基材を抜き取った状態で、パスラインの始点から終点に亘り糸を張り、当該糸の長さを測定することによって実測しうる。その場合、糸は、帯状基材の搬送される位置に沿って緩みなく張る。例えば、シワなどによって帯状基材がラビングロールから浮き上がる位置でも、糸はラビングロールに接触するように張る。または実測に代えて、そのようなパスラインを、ロールの位置の情報を元に計算により求めてもよい。
得られたn個のパスラインの長さP1、P2、・・・Pnのそれぞれについての余り量εk(k=1、2、・・・n)、及び余り量の最大値εmaxは、Pk、最も短いパスライン長さPmin、及び最も長いパスライン長さPmaxから、下記式(3)及び(4)により求められる。
εk(%)=(Pk−Pmin)/Pmin×100(%) 式(3)
εmax(%)=(Pmax−Pmin)/Pmin×100(%) 式(4)
実施形態Cにおいて、この余り量の最大値εmaxは、好ましくは0%〜0.1%、より好ましくは0%〜0.05%である。
帯状基材の幅は、好ましくは0.2m以上、より好ましくは0.4m以上であり、一方好ましくは4m以下、より好ましくは3m以下である。実施形態Cでは、このような幅の帯状基材であっても、幅方向の全体に亘って良好なラビングを行いうる。
〔C2.実施形態C(ii)〕
実施形態C(i)では、ラビングロールの上流及び下流の両方に搬送装置を配置し、ラビングロールの上流及び下流の両方で回転工程を行ったが、本発明はこれに限られず、回転工程は、ラビングロールの上流及び下流の一方のみで行ってもよい。そのような例を、実施形態C(ii)として以下において説明する。
図32及び図33は、実施形態Cのラビング装置及びそれを用いた実施形態Cの製造方法の操作の別の一例を概略的に示す側面図及び上面図であり、図34は、図32及び図33に示すラビング装置C800におけるラビングロールC130、浮上搬送装置C840及び帯状基材の関係を概略的に示す側面図である。ここに示す形態を実施形態C(ii)として説明する。図32及び図33に示すラビング装置C800は、ラビングロールC130と、その上流側のフリーロールC810と、下流側のフリーロールC850とを含む。ラビング装置C800はさらに、ラビングロールC130とフリーロールC850との間の浮上搬送装置C840を含む。但し、ラビング装置C800は、フリーロールC810とラビングロールC130との間には、搬送装置を有しない。
ラビング装置C800の操作において、帯状基材(C11〜C16)は、矢印CR1方向に搬送される。ラビング装置C800に搬入された帯状基材C11は、上流側フリーロールC810の円筒面に沿って進むよう誘導される。このような誘導により、帯状基材の搬送方向が0°を超える角度で回転する。フリーロールC810は軸C81Xを中心に自由に回転しうる状態で設置されたグリップロールである。したがって、フリーロールC810は、搬送される帯状基材により随伴して矢印CR3方向に回転する。フリーロールC810の軸C81Xは座標軸Yと平行である。
上流側フリーロールC810の下流に搬送された帯状基材C13は、続いてラビングロールC130の円筒面に沿って進むよう誘導される。この例では、ラビングロールC130の軸C13Xは、XY平面と平行であり、座標軸Yに対して45°の角度で傾いている。ラビングロールC130は、駆動装置(不図示)により軸C13Xを中心に矢印CR2方向に回転するよう駆動され、それによりラビングロールC130の円筒面が帯状基材の一方の面をラビングし、ラビング工程が行われる。ラビングロールC130は、0°を超える抱き角で帯状基材に接触し、それにより帯状基材の搬送方向を回転させる。さらに、帯状基材の搬送方向とラビングロールの回転軸とがなす角度は非直交であり、その結果、実施形態C(i)と同様の、ラビングロールによる斜めラビングが達成される。
ラビングロールC130の下流に搬送された、ラビングされた帯状基材C14は、続いて浮上搬送装置C840の搬送面に沿って進むよう誘導され、その搬送方向が回転される。浮上搬送装置C840は、実施形態C(i)における浮上搬送装置C120及びC140と同様の装置である。
浮上搬送装置C840の下流に搬送された、ラビングされた帯状基材C15は、続いて下流側フリーロールC850の円筒面に沿って進むよう誘導される。このような誘導により、帯状基材の搬送方向が0°を超える角度で回転する。フリーロールC850は軸C85Xを中心に自由に回転しうる状態で設置されたグリップロールである。したがって、フリーロールC850は、搬送される帯状基材により随伴して矢印CR3方向に回転する。フリーロールC850の軸C85Xは座標軸Yと平行である。
この例では、ラビングロールC130の下流のみに浮上搬送装置C840を配置している。この場合においても、ラビングロールによる帯状基材の搬送方向の回転の回転角と、搬送装置による搬送方向の回転の回転角の総和を略0°に調整することは可能である。これを図34を参照して説明すると、ラビングロールC130へ搬入された帯状基材C13は、ラビングロールC130によるラビング工程により、その搬送方向が、位置C131から位置C132において角度Cθw13で回転する。ラビングロールC130の下流に搬出された帯状基材C14は、続いて浮上搬送装置C840による回転工程により、その搬送方向が、位置C841から位置C842において角度Cθw84で回転する。浮上搬送装置C840による回転の方向は、ラビングロールC130による回転の方向と逆であるため、例えば、Cθw13=Cθw84=60°とすることにより、これらの総和は0°となる。さらに、帯状基材C13及びC15の搬送経路をいずれも水平方向とし、斜行も無い状態に調整することが可能となる。その結果、このような態様においても、ラビングロールの抱き角を大きくしてもラビングの程度が均一な斜めラビングを搬出方向が搬入方向に対して斜行しない状態で行うことが可能となる。
〔C3.実施形態C(iii)〕
実施形態C(i)及び実施形態C(ii)では、ラビングロールによる帯状基材の搬送方向の回転の回転角と、搬送装置による搬送方向の回転の回転角の総和が略0°の範囲内であったが、本発明はこれに限られず、回転角の総和が略0°より大きい角度であってもよい。そのような例を、実施形態C(iii)として以下において説明する。
図35及び図36は、実施形態Cのラビング装置及びそれを用いた実施形態Cの製造方法の操作のさらに別の一例を概略的に示す側面図及び上面図である。図35及び図36に示すラビング装置C1100は、浮上搬送装置C1140による軸C114Xを中心とした搬送方向の回転の回転角が、実施形態C(ii)における浮上搬送装置C840のそれより大きい点において、実施形態C(ii)におけるラビング装置C800と相違している。また、この例では、下流側のフリーロールを省略して示している。このような態様においても、ラビングロールの抱き角を大きくしてもラビングの程度が均一な斜めラビングを達成しうる。
ただし、この例では、搬出方向が搬入方向に対して斜行した状態となる。しかしながら、搬送装置による搬送方向の回転により、そのような回転が無い場合に比べて、斜行の割合を少なくすることは可能である。また、浮上搬送装置C1140のさらに下流に、別の浮上搬送装置等、適切な斜行を補正する装置を設けることにより、斜行の割合を低減した搬送を行うことが可能となる。
〔D1.実施形態D(i)〕
次に、実施形態Dにかかる本発明について説明する。
実施形態Dの製造方法は、ラビングされた帯状基材の製造方法であり、帯状基材をラビングする特定のラビング工程を含む。
ラビング工程においては、搬送経路の上流から搬入された、おもて面及び裏面を有する帯状基材のおもて面を、回転軸を中心に回転するラビングロールに接触させてラビングし、搬送経路の下流へ搬出する。本願でいう帯状基材の「おもて面」及び「裏面」は、あるラビング工程における、帯状基材のラビングされる面とその反対側の面を区別するための便宜的な名称であり、それ以外に帯状基材の形状、性質等を特段限定するものではない。
図38〜図39は、実施形態Dのラビング装置及びそれを用いた実施形態Dの製造方法の操作の一例を概略的に示す側面図及び上面図である。ここに示す形態を実施形態D(i)として参照し、本願発明を説明する。図38ではラビング装置D100を座標軸Y方向から観察しており、図39ではラビング装置D100を座標軸Z方向から観察している。
ラビング装置D100は、ラビングロールD130と、そのすぐ上流側のフリーロールD110と、すぐ下流側のフリーロールD150とを含む。ラビング装置D100の操作において、帯状基材(D11〜D16)は、矢印DR1方向に搬送される。本願では、説明の便宜上、概ね水平な方向に搬送される帯状基材を、観察者が上流側から観察した場合における、観察者の右側及び左側を、それぞれ搬送経路の右側及び左側と呼ぶ。図38〜図39に示す例では、帯状基材の幅方向の一方の端部D11Rが右側の端部であり、帯状基材の幅方向のもう一方の端部D11Lが左側の端部である。
ラビング装置D100に搬入された帯状基材D11は、上流側フリーロールD110の周面に沿って進むよう誘導される。このような誘導により、帯状基材の搬送方向が0°を超える角度で回転する。フリーロールD110は、軸を支持する支持台(不図示)により軸D11Xを中心に自由に回転しうる状態で設置された搬送ロールであり、帯状基材の裏面側から帯状基材に接触する。したがって、フリーロールD110は、搬送される帯状基材により随伴して矢印DR3方向に回転する。
この例では、フリーロールD110による搬送方向の回転の回転軸は、フリーロールD110自体の回転軸D11Xと一致し、フリーロールD110との接触開始から接触終了までの間の帯状基材の搬送方向に直交する。この例ではまた、フリーロールD110の軸D11Xは座標軸Yと平行である。
フリーロールD110と搬送方向とがなす角は、搬送を妨げない範囲で、直交の角度から±0.5°以内の誤差を有していてもよい。このような許容誤差の範囲内で、搬送方向の回転の回転軸が、接触する帯状基材の搬送方向に直交する場合、フリーロールD110は、帯状基材を、グリップした状態で搬送しうる。
上流側フリーロールD110の下流に搬送された帯状基材D13は、続いてラビングロールD130の周面に沿って進むよう誘導される。ラビングロールD130の軸D13Xは、XY平面と平行であり、座標軸Yに対して45°の角度で傾いている。実施形態Dの製造方法及び実施形態Dのラビング装置に用いるラビングロールの材質は、特に限定されず、周面に不織布等のラビングに適した材料を備えたロールとしうる。
フリーロールD110と異なり、ラビングロールD130は、駆動装置(不図示)により、軸D13Xを中心に矢印DR2方向に回転するよう駆動され、それによりラビングロールD130の周面が帯状基材の一方の面をラビングし、ラビング工程が行われる。
実施形態Dの製造方法では、ラビングロールは、0°を超える抱き角で帯状基材に接触し、それにより帯状基材の搬送方向を回転させる。さらに、帯状基材の搬送方向とラビングロールの回転軸とがなす角度は非直交である。ここでいう帯状基材の搬送方向は、ラビングロールを抱いている帯状基材の搬送方向である。実施形態D(i)の例では、ラビングロールD130を抱く帯状基材が搬送される方向と、ラビングロールD130の軸D13Xとがなす角度が非直交である。このように、0°を超える抱き角での接触がなされることにより、帯状基材を、ラビングロールへ高い圧力で接触させることが可能となる。また、このような非直交の角度をなすことにより、ラビングロールによる斜めラビングが達成される。
抱き角は、ラビングロールにおける、帯状基材が接触する周面部分についての扇型の中心角である。かかる中心角は、ラビングロールの軸方向から観察した場合の角度である。
抱き角は、好ましくは5°以上、より好ましくは10°以上であり、一方好ましくは120°以下、より好ましくは90°以下である。抱き角をこの範囲とすることにより、高い配向規制力を、フィルムへ過度の負荷を与えることなく付与することが可能となる。また、帯状基材の搬送方向とラビングロールの回転軸とがなす角度は、「振り角」と呼ばれる。振り角は、0°を超え89.5°未満の角度範囲であり、好ましくは10°以上、より好ましくは35°以上、特に好ましくは40°以上であり、一方好ましくは80°以下、より好ましくは55°以下、特に好ましくは50°以下である。斜めラビングにおいては、帯状基材の長手方向に対して45°に配向規制力を有するようラビングを行うことが求められることが多く、振り角を当該範囲とすることにより、そのような所望の方向への配向規制力の付与を容易に達成しうる。
ラビングロールが振り角を有することにより、ラビングロールの左右の一方が上流側に傾き、他方が下流側に傾く。図38〜図39の例では、ラビングロールの左側が上流側に傾き、ラビングロールの右側が下流側に傾いている。
実施形態Dの製造方法において、ラビングロールの回転速度は、好ましいラビング量が得られるよう適宜調整しうる。ラビング量は、搬送経路において帯状基材とラビングロールとの接触開始から接触終了までの間の、ラビングロールの周面の、帯状基材と相対的な移動距離により表すことができる。具体的には、ラビングロールの回転速度は、ラビングロールの周面の周速と、ラビングロールが帯状基材と接触している時間との積が、所望の範囲となるよう調整しうる。より具体的には、ラビングロールの周面の周速は、ラビングロール直径d(mm)及び回転速度t(rpm)からπdt/60(mm/秒)で求められ、ラビングロールが帯状基材と接触している時間は、ラインスピードv(mm/分)、抱き角θw(°)及び振り角φ(°)から(πdθw/360)÷(vsinφ/60)(秒)で求められるため、これらの積は、(πθwt)/(360vsinφ)(mm)となる。当該積の好ましい範囲は、500mm〜100000mmである。したがって、帯状基材の幅方向の全体にわたって、当該積が、当該好ましい範囲内となるよう、ラビングロールの回転速度を調整しうる。
ラビングロールD130の下流に搬送された、ラビングされた帯状基材D14は、続いて下流側フリーロールD150の周面に沿って進むよう誘導される。このような誘導により、帯状基材の搬送方向が0°を超える角度で回転する。フリーロールD150は、軸を支持する支持台(不図示)により軸D15Xを中心に自由に回転しうる状態で設置された搬送ロールであり、帯状基材の裏面側から帯状基材に接触する。したがって、フリーロールD150は、搬送される帯状基材により随伴して矢印DR3方向に回転する。
この例では、フリーロールD150はフリーロールD110と同様グリップロールであり、フリーロールD150による搬送方向の回転の回転軸は、フリーロールD150自体の回転軸D15Xと一致し、フリーロールD150との接触開始から接触終了までの間の帯状基材の搬送方向に直交する。この例では、フリーロールD110の軸D11XとフリーロールD150の軸D15Xとは平行に配置されている。
下流側フリーロールD150の下流に搬送された帯状基材D16は、ラビングされた帯状基材として、保存または使用の工程に適宜供されうる。例えば、帯状基材D16は、そのまま液晶組成物の塗布の工程を行うラインへ搬送したり、適切な巻き取り装置にて巻き取りロールの状態として保存したりしうる。
ラビング装置D100の上流側、下流側、又はこれらの両方において、ニップロール、巻き取り装置等の適切な装置を設けることにより、帯状基材を適切なラインスピード及び張力で搬送することができる。ラインスピード及び張力は、用いる帯状基材、及び所望のラビングの条件等に応じて、適切な値に適宜設定しうる。例えば、ラインスピードは、好ましくは1〜50m/分としうる。また張力は、好ましくは30〜500N/mとしうる。
〔D1.1.クラウンロール〕
実施形態D(i)において、フリーロールD110、ラビングロールD130及びフリーロールD150は、搬送対象の帯状基材が接する位置において、中央部の径が太く、端部の径が細い形状を有する。このような形状を有するロールを、クラウン型のロール又は単にクラウンロールという。
クラウンロールの形状を、図42を参照して説明する。図42は、図38〜図39に示すフリーロールD110を例として、クラウンロールの形状を説明する断面図である。図42において、フリーロールD110は、その軸D11Xを通る面で切断した断面図として示される。フリーロールD110の端部(フリーロール周面上の帯状基材の端部D11R及びD11Lが接する位置に対応する、フリーロール幅方向の位置)において、矢印DR11R及びDR11Lで示される太さの径を有し、一方中央部(帯状基材の中央部が接する位置)において、矢印DR11Cで示される、より太い径を有する。
クラウンロールの軸を通る面で切断した、クラウンロールの断面における、周面の形状は、図42に示す例では、丸みを帯びた曲線形状である。但し、クラウンロールの断面における周面の形状はこれに限られず、2本以上の複数の直線が連結してなる折れ線形状であってもよく、直線と曲線が組み合わされた形状であってもよい。また、図42に示す例では、矢印DR11R及びDR11Lで示される両端部の径は同じである対称な形状となっているが、クラウンロールはこれに限られず、左右の端部の径が異なる非対称な形状であってもよい。
クラウンロールとは逆に、中央部の径が細く、端部の径が太い形状を有するロールは、逆クラウン型のロール又は単に逆クラウンロールという。逆クラウンロールの形状を、図43を参照して説明する。図43は、図40〜図41に示すフリーロールD310(後述)を例として、逆クラウンロールの形状を説明する断面図である。図43において、フリーロールD310は、端部(フリーロール周面上の帯状基材の端部D11R及びD11Lが接する位置に対応する、フリーロール幅方向の位置)において、矢印DR31R及びDR31Lで示される太さの径を有し、一方中央部(帯状基材の中央部が接する位置)において、矢印DR31Cで示される、より細い径を有する。
クラウンロールの軸を通る面で切断した、逆クラウンロールの断面における、周面の形状は、図43に示す例では、丸みを帯びた曲線形状である。但し、逆クラウンロールの断面における周面の形状はこれに限られず、2本以上の複数の直線が連結してなる折れ線形状であってもよく、直線と曲線が組み合わされた形状であってもよい。また、図43に示す例では、矢印DR31R及びDR31Lで示される両端部の径は同じである対称な形状となっているが、逆クラウンロールはこれに限られず、左右の端部の径が異なる非対称な形状であってもよい。
クラウンロールでも無く、逆クラウンロールでも無い、円筒形のロールは、本願では単に「ストレートロール」と呼ぶ場合がある。
〔D1.2.搬送経路上の帯状基材の形状〕
実施形態Dの製造方法においては、搬送経路上の帯状基材の形状が、下記要件(i)〜(iii)の少なくとも1つを満たす。即ち、実施形態Dの製造方法においては、搬送経路上の帯状基材の形状が、下記要件(i)〜(iii)の少なくとも1つを満たすよう、帯状基材の搬送を行う。
(i)帯状基材がラビングロールと接触する位置において、帯状基材の裏面側に凸の形状を有する。
(ii)ラビングロールと、その上流側において帯状基材をグリップする上流側グリップロールとの間の少なくとも一部の領域で、おもて面側に凸の形状を有する。
(iii)ラビングロールと、その下流側において帯状基材をグリップする下流側グリップロールとの間の少なくとも一部の領域で、おもて面側に凸の形状を有する。
本願において、帯状基材が、「裏面側に凸」の形状を有するとは、別に断らない限り、帯状基材の幅方向の中心部が、幅方向の端部に比べて、帯状基材の裏面側に突出した形状であることをいう。また逆に、帯状基材が、「おもて面側に凸」の形状を有するとは、別に断らない限り、帯状基材の幅方向の中心部が、幅方向の端部に比べて、帯状基材のおもて面側に突出した形状であることをいう。
但し、要件(i)において、「帯状基材がラビングロールと接触する位置において、帯状基材の裏面側に凸の形状を有する」か否かは、ラビングロールの軸を通り、帯状基材の幅方向中心点において帯状基材面に垂直な面で、帯状基材を切断した断面において、中心部が端部に比べて、帯状基材の裏面側に突出した形状であるか否かにより判定する。例えば、図39に示す例では、ラビングロールD130の軸D13Xを通り、帯状基材の幅方向中心点において帯状基材面に垂直な面の位置は、線DL21で示され、この場合の帯状基材の幅方向中心点はDQ21となる。この線DL21で示される位置上においては、ラビングロールD130がクラウンロールであることに起因して、帯状基材は、その中心部が端部に比べて、帯状基材の裏面側に突出した形状である。したがって、実施形態D(i)は、要件(i)を満たす。
要件(ii)において、ラビングロールの上流側に複数のグリップロールがある場合は、「上流側グリップロール」は、それらのうち最もラビングロールに近いグリップロールである。
要件(ii)については、ラビングロールと、その上流側において帯状基材をグリップする上流側グリップロールとの間の少なくとも一部の領域において、帯状基材がおもて面側に凸の形状を有する箇所がある場合、要件(ii)を満たすと判定する。例えば、図38に示す例では、フリーロールD110がクラウンロールであることに起因して、ラビングロールD130とフリーロールD110との間のうち、フリーロールD110に近い一部の領域DZ11において、帯状基材がおもて面側に凸の形状を有する。したがって、図38に示す例は、要件(ii)を満たす。
要件(iii)において、ラビングロールの下流側に複数のグリップロールがある場合は、「下流側グリップロール」は、それらのうち最もラビングロールに近いグリップロールである。
要件(iii)については、ラビングロールと、その下流側において帯状基材をグリップする下流側グリップロールとの間の少なくとも一部の領域において、帯状基材がおもて面側に凸の形状を有する箇所がある場合、要件(iii)を満たすと判定する。例えば、図38に示す例では、フリーロールD150がクラウンロールであることに起因して、ラビングロールD130とフリーロールD150との間のうち、フリーロールD150に近い一部の領域DZ15において、帯状基材がおもて面側に凸の形状を有する。したがって、図38に示す例は、要件(iii)を満たす。
要件(i)〜(iii)のいずれか1つ以上を満たす場合、斜めラビングにおいて、幅方向の中央部のパスラインを長くすることができる。一般に、斜めラビングにおいては、幅方向の中央部のパスラインが、相対的に短くなる傾向があり、そのためラビングロールへの帯状基材の接触の圧力が不均一になり、ひいてはラビングの程度が不均一となる傾向があるところ、このように幅方向の中央部のパスラインを長くすることにより、かかる不均一を低減することができる。その結果、帯状基材に接するラビングロールの圧力を均一なものとすることができ、またラビングロール上における帯状基材のシワを低減することができ、ひいては、均一なラビングを達成しうる。
実施形態Dのこのような効果を、従来技術と対比することによりさらに説明する。図44〜図45は、従来技術のラビング装置及びそれを用いた従来技術の製造方法の操作の一例を概略的に示す側面図及び上面図である。図44〜図45において、ラビング装置D700は、振り角45°で配置された円筒形のラビングロールD730と、そのすぐ上流側の円筒形のフリーロールD710(グリップロール)と、すぐ下流側の円筒形のフリーロールD750(グリップロール)とを含む。ラビング装置D700の操作において、帯状基材(D11〜D16)は、矢印DR1方向に搬送される。フリーロールD710の軸D71XとフリーロールD750の軸D75Xとは平行に配置されている。
図44〜図45の例では、ラビングロールD730付近の帯状基材の搬送経路にねじれが生じ、その結果、ラビングロールへ搬入される帯状基材とラビングロールとの接触が始まる位置における帯状基材の搬入方向が、帯状基材の幅方向に亘って同一ではなくなり、且つ、ラビングロールから搬出される帯状基材とラビングロールとの接触が終わる位置における帯状基材の搬出方向が、帯状基材の幅方向に亘って同一ではなくなる。
かかるねじれに起因して、図44〜図45の例では、帯状基材の搬送経路の長さが、帯状基材の幅方向に亘り不均一となる。具体的には、図45に示す、フリーロールD710との接触が終了してから、フリーロールD750との接触を開始するまでの帯状基材のパスラインDP70−1〜DP70−7は、その長さが不均一となる。より具体的には、端部の搬送経路DP70−1及びDP70−7が最も長くなり、中央部の搬送経路DP70−4が最も短くなり、その中間の搬送経路は端部の搬送経路より短く且つ中央部の搬送経路より長くなる。搬送経路の長さにおいてこのような不均一が生じると、搬送される帯状基材がラビングロールD730と接する際に、中央部の緊張が端部の緊張より弱くなる。あるいは、伸縮の度合いの少ない帯状基材であれば、中央部の帯状基材が余った状態となり中央部において偏在するたるみが生じる。それにより、ラビングロールへの帯状基材の接触の圧力が不均一になり、ひいてはラビングの程度が不均一となる。
これに対して、実施形態Dの製造方法では、要件(i)〜(iii)のいずれか1つ以上を満たすことにより、斜めラビングにおいて、幅方向の中央部のパスラインを長くすることができる。その結果、かかる不均一を低減することができる。
図44〜図45の例で、フリーロールD710とD750との間隔を十分長くすると、このような搬送経路の長さの不均一は、相対的に少なくなる。しかしその場合、支持されていない状態で帯状基材が搬送される経路が長くなり、フィルムのばたつきによる不具合が発生したり、製造設備を設置するための空間が大きくなったりする不都合がある。実施形態Dでは、上流側グリップロールから下流側グリップロールまでの搬送経路の長さを、好ましくはフィルム幅の5倍以下、より好ましくはフィルム幅の3倍以下としうる。かかる搬送経路の長さの下限は、特に限定されないが、例えばフィルム幅の2倍以上としうる。
〔D1.3.余り量〕
上に述べたパスラインの不均一の度合いは、ラビングロールに亘り搬送される帯状基材のパスラインを以下の通り規定し、帯状基材の幅方向における様々な位置におけるパスラインの長さを測定又は計算し、かかる長さの測定結果又は計算結果から、パスラインの余り量を求めることにより定量しうる。具体的な余り量の求め方は、下記の通りである。
まず、要件(ii)について規定した上流側グリップロールの周面上において、パスラインの始点となる、ロールの周面上の線を設定する。この、パスラインの始点の線は、搬送される帯状基材が上流側グリップロールから離れる位置を基準に設定する。帯状基材が上流側グリップロールから離れるタイミングは、帯状基材の幅方向の全体に亘って同時である場合もあり、搬送経路のねじれなどに起因して帯状基材の幅方向の全体に亘って同時ではない場合もある。したがって、上流側グリップロール周面上の最も早く帯状基材が上流側グリップロールから離れる点及び上流側グリップロールの軸を含む平面と、上流側グリップロールの周面とが交わる位置の線を、パスラインの始点の線として規定する。上流側グリップロールが円筒形のストレートロールの場合、このパスラインの始点の線は、ロールの軸に平行な、ロールの周面上の直線であって、上流側グリップロール周面上の最も早く帯状基材が上流側グリップロールから離れる点を通る線となる。一方、上流側グリップロールがクラウンロール又は逆クラウンロールの場合、パスラインの始点の線は、ロールの周面上の曲線となる。例えば、図46に示す通り、帯状基材D13がクラウン型の上流側グリップロールであるフリーロールD110から離れる位置が、斜めの曲線である線DL11で示される位置である場合、線DL11で示される位置のうち、最も早く帯状基材D13がフリーロールD110から離れる点は点DQ10−1で示される点である。点DQ10−1、及び軸D11X上の点と点DQ10−1とを結ぶ線DL12により、これらを含む平面が規定しうる。当該平面と、フリーロールD110の周面とが交わる位置の線は、線DL13で示される曲線であり、この直線DL13がパスラインの始点の線として規定される。
続いて、要件(iii)について規定した下流側グリップロールの周面上において、パスラインの終点となる、ロールの周面上の線を設定する。この、パスラインの終点の線は、搬送される帯状基材が下流側グリップロールに接する位置を基準に設定する。帯状基材が下流側グリップロールに接するタイミングは、帯状基材の幅方向の全体に亘って同時である場合もあり、搬送経路のねじれなどに起因して帯状基材の幅方向の全体に亘って同時ではない場合もある。したがって、下流側グリップロール周面上の最も遅く帯状基材が下流側グリップロールに接する点及び下流側グリップロールの軸を含む平面と、下流側グリップロールの周面とが交わる位置の線を、パスラインの終点の線として規定する。下流側グリップロールが円筒形のストレートロールの場合、このパスラインの終点の線は、ロールの軸に平行な、ロールの周面上の直線であって、下流側グリップロール周面上の最も早く帯状基材が下流側グリップロールに接する点を通る線となる。一方、下流側グリップロールがクラウンロール又は逆クラウンロールの場合、パスラインの終点の線は、ロールの周面上の曲線となる。
続いて、帯状基材の幅方向における様々な位置におけるパスラインを規定する。パスラインの始点は、規定したパスラインの始点の線上の、両端部2箇所と、両端部の内側の等間隔の5か所以上において規定する。したがって、パスラインの数nは7以上となる。例えば、図46に示す例では、パスラインの始点の線DL13における両端の点DQ10−1及びDQ10−7と、その内側の点DQ10−2〜DQ10−6において、パスラインの始点が規定される。パスラインの終点は、パスラインの始点と同様に、規定したパスラインの終点の直線の、両端部2箇所と、両端部の内側の等間隔の5か所以上の、パスラインの始点の数と同じ数の点において規定する。搬送経路上の、対応するパスラインの始点と終点とを結ぶ線を、パスラインとして規定する。パスラインの数nの上限は特に限定されず、無限に大きな数とすることができるが、操作の便宜上例えば100以下としうる。または、パスラインの数は、フィルム幅方向におけるパスラインの間隔が10mm〜500mmとなる数としうる。
続いて、それぞれのパスラインの長さを測定する。パスラインの測定は、帯状基材を抜き取った状態で、パスラインの始点から終点に亘り糸を張り、当該糸の長さを測定することによって実測しうる。その場合、糸は、帯状基材の搬送される位置に沿って緩みなく張る。例えば、シワなどによって帯状基材がラビングロールから浮き上がる位置でも、糸はラビングロールに接触するように張る。または実測に代えて、そのようなパスラインを、ロールの位置の情報を元に計算により求めてもよい。
得られたn個のパスラインの長さP1、P2、・・・Pnのそれぞれについての余り量εk(k=1、2、・・・n)、及び余り量の最大値εmaxは、Pk、最も短いパスライン長さPmin、及び最も長いパスライン長さPmaxから、下記式(3)及び(4)により求められる。
εk(%)=(Pk−Pmin)/Pmin×100(%) 式(3)
εmax(%)=(Pmax−Pmin)/Pmin×100(%) 式(4)
実施形態Dでは、要件(i)〜(iii)のいずれか1つ以上を満たし、さらに要件(i)〜(iii)における帯状基材の凸の形状の突出の程度を調整することにより、余り量の小さい帯状基材の搬送を行いうる。例えば、帯状基材の最大余り量εmaxを、好ましくは0%〜0.1%、より好ましくは0%〜0.05%としうる。
帯状基材の幅wは、好ましくは0.2m以上、より好ましくは0.4m以上であり、一方好ましくは4m以下、より好ましくは3m以下である。
〔D2.実施形態D(ii)〕
実施形態D(i)では、フリーロールD110、ラビングロールD130及びフリーロールD150はいずれもクラウンロールであったが、本発明はこれに限られず、これらのうちの一部が他の形状のロールであってもよい。そのような例の一つを、実施形態D(ii)として以下において説明する。
図40〜図41は、実施形態Dのラビング装置及びそれを用いた実施形態Dの製造方法の操作の別の一例を概略的に示す側面図及び上面図である。ここに示す形態を実施形態D(ii)として説明する。図40〜図41に示すラビング装置D300は、上流側のフリーロールD310及び下流側のフリーロールD350が逆クラウンロールである点において、実施形態D(i)のラビング装置D100と異なっている。ラビング装置D300はまた、フリーロールD310及びD350が、帯状基材のおもて面側から帯状基材に接触し、矢印DR4方向に回転する点においても、ラビング装置D100と異なっている。フリーロールD130の振り角、抱き角、及び軸D13Xの方向については、ラビング装置D100におけるそれらと同様である。
ラビング装置D300においては、フリーロールとしてクラウンロールに代えて逆クラウンロールを採用し、さらに、フリーロールが帯状基材に接する面を反対面とすることにより、領域DZ31及びDZ35において、ラビング装置D100と同様に要件(ii)及び(iii)を満たしている。これにより、幅方向の中央部のパスラインを長くすることができ、均一なラビングを達成しうる。
逆クラウンロールは、帯状基材を幅方向に広げようとする働きがあるため、上流側グリップロール及び下流側グリップロールのいずれか一方又は両方として、このような逆クラウンロールを採用した場合、クラウンロールを採用した場合に比べて、フィルム幅中心部のシワの発生を低減することができる。したがって、逆クラウンロールは、このようなフィルム幅中心部のシワの発生の低減が求められる場合に特に有用である。一方、上流側グリップロール及び下流側グリップロールのいずれか一方又は両方として、このような逆クラウンロールを採用した場合、クラウンロールを採用した場合に比べて、搬送経路上の帯状基材の蛇行が不所望に生じる傾向が高くなる場合がある。したがって、調整することが求められる条件に応じて、これらを適宜選択して使用し、良好なラビングを達成することができる。
〔D3.その他の実施形態〕
本発明の製造方法及び本発明のラビング装置は、上に述べた実施形態D(i)及び実施形態D(ii)に限られず、さらに他の態様としうる。
〔D3.1.エキスパンダーロール〕
例えば、実施形態D(i)では、上流側グリップロール(フリーロールD110)として、クラウンロールを採用し、これを帯状基材の裏面側から帯状基材に接触させ、それにより要件(ii)を満たしている。しかしながら、要件(ii)を満たすために帯状基材の裏面側から帯状基材に接触させる搬送装置はクラウンロールに限られず、他の様々な搬送装置を用いうる。帯状基材に対して凸の形状を有する上流側グリップロールの、クラウンロール以外の例としては、エキスパンダーロールが挙げられる。これを上流側グリップロールとして採用することによっても、要件(ii)を満たしうる。エキスパンダーロールとは、軸を曲げて弧の形状とさせ、その状態を維持したまま回転させうるロールである。円筒形のエキスパンダーロールの軸を曲げ、帯状基材に対して凸の形状を取った状態で帯状基材の裏面側から帯状基材に接触させ、これを上流側グリップロールとして用いることによっても、要件(ii)を満たした搬送を達成しうる。
同様に、要件(iii)を満たすために帯状基材の裏面側から帯状基材に接触させる搬送装置もクラウンロールに限られず、他の様々な搬送装置を用いうる。帯状基材に対して凸の形状を有する下流側グリップロールの、クラウンロール以外の例としても、エキスパンダーロールが挙げられる。これを下流側グリップロールとして採用することによっても、要件(iii)を満たしうる。円筒形のエキスパンダーロールの軸を曲げ、帯状基材に対して凸の形状を取った状態で帯状基材の裏面側から帯状基材に接触させ、これを下流側グリップロールとして用いることによっても、要件(iii)を満たした搬送を達成しうる。
実施形態D(ii)では、上流側グリップロール(フリーロールD310)として、逆クラウンロールを採用し、これを帯状基材のおもて面側から帯状基材に接触させ、それにより要件(ii)を満たしている。しかしながら、要件(ii)を満たすために帯状基材のおもて面側から帯状基材に接触させる搬送装置は逆クラウンロールに限られず、他の様々な搬送装置を用いうる。帯状基材に対して凹の形状を有する上流側グリップロールの、クラウンロール以外の例としては、エキスパンダーロールが挙げられる。これを上流側グリップロールとして採用することによっても、要件(ii)を満たしうる。円筒形のエキスパンダーロールの軸を曲げ、帯状基材に対して凹の形状を取った状態で帯状基材のおもて面側から帯状基材に接触させ、これを上流側グリップロールとして用いることによっても、要件(ii)を満たした搬送を達成しうる。
同様に、要件(iii)を満たすために帯状基材のおもて面側から帯状基材に接触させる搬送装置も逆クラウンロールに限られず、他の様々な搬送装置を用いうる。帯状基材に対して凹の形状を有する下流側グリップロールの、クラウンロール以外の例としても、エキスパンダーロールが挙げられる。これを下流側グリップロールとして採用することによっても、要件(iii)を満たしうる。円筒形のエキスパンダーロールの軸を曲げ、帯状基材に対して凹の形状を取った状態で帯状基材のおもて面側から帯状基材に接触させ、これを下流側グリップロールとして用いることによっても、要件(iii)を満たした搬送を達成しうる。
〔D3.2.浮上搬送装置〕
要件(ii)及び/又は要件(iii)を満たすために帯状基材の形状を規制するさらに他の搬送装置の例としては、浮上搬送装置が挙げられる。浮上搬送装置は、搬送ロールの周面またはその一部分と同様の形状の搬送面を有し、当該搬送面において微細な多数の空気噴出孔を有し、当該空気噴出孔から空気を噴出することにより、当該搬送面に非接触の状態で、帯状基材を当該搬送面に沿って誘導しうる装置である。
例えば、浮上搬送装置として、クラウンロールと同様の凸の形状の搬送面を有するものを採用し、これを円筒形の上流側グリップロールとラビングロールとの間に、凸の形状が帯状基材の裏面側に向かうよう設けることによって、要件(ii)を満たした搬送を達成しうる。また例えば、浮上搬送装置として、クラウンロールと同様の凸の形状の搬送面を有するものを採用し、これを円筒形の下流側グリップロールとラビングロールとの間に、凸の形状が帯状基材の裏面側に向かうよう設けることによって、要件(iii)を満たした搬送を達成しうる。
また例えば、浮上搬送装置として、逆クラウンロールと同様の凹の形状の搬送面を有するものを採用し、これを円筒形の上流側グリップロールとラビングロールとの間に、凹の形状が帯状基材のおもて面側に向かうよう設けることによって、要件(ii)を満たした搬送を達成しうる。また例えば、浮上搬送装置として、逆クラウンロールと同様の凹の形状の搬送面を有するものを採用し、これを円筒形の下流側グリップロールとラビングロールとの間に、凹の形状が帯状基材のおもて面側に向かうよう設けることによって、要件(iii)を満たした搬送を達成しうる。
〔D3.3.ロールの組み合わせ〕
実施形態D(i)では、上流側グリップロールと下流側グリップロールとがいずれもクラウンロールであり、実施形態D(ii)では、上流側グリップロールと下流側グリップロールとがいずれも逆クラウンロールであるが、本発明はこれに限られず、上流側グリップロールと下流側グリップロールとが、異なる種類のロールの組み合わせであってもよい。ロールの組み合わせの例としては、
(A)上流側グリップロール及び下流側グリップロールの両方がクラウンロールである組み合わせ、
(B)上流側グリップロール及び下流側グリップロールの両方が逆クラウンロールである組み合わせ、
(C)上流側グリップロール及び下流側グリップロールの一方がクラウンロールであり、他方が逆クラウンロールである組み合わせ、
(D)上流側グリップロール及び下流側グリップロールの一方がクラウンロールであり、他方がストレートロールである組み合わせ、
(E)上流側グリップロール及び下流側グリップロールの一方が逆クラウンロールであり、他方がストレートロールである組み合わせ、
(F)上記のいずれかにおいて、クラウンロールに代えて、凸の形状が帯状基材に向かうよう設けたエキスパンダーロールを採用した組み合わせ、
(G)上記のいずれかにおいて、逆クラウンロールに代えて、凹の形状が帯状基材に向かうよう設けたエキスパンダーロールを採用した組み合わせ、及び
(H)上流側グリップロール及び下流側グリップロールの両方がストレートロールである組み合わせ
が挙げられる。上記(A)〜(G)において、クラウンロール等の帯状基材に対して凸の形状を有するよう設けうるロールは、帯状基材の裏面側から帯状基材に接触するよう設けることにより、要件(ii)又は(iii)を満たす搬送を行いうる。また、上記(A)〜(G)において、逆クラウンロール等の帯状基材に対して凹の形状を有するよう設けうるロールは、帯状基材のおもて面側から帯状基材に接触するよう設けることにより、要件(ii)又は(iii)を満たす搬送を行いうる。
実施形態D(i)及び実施形態D(ii)では、ラビングロールがクラウンロールであったが、本発明はこれに限られず、ラビングロールはストレートロールであってもよい。その場合、上流側グリップロール及び下流側グリップロールの組み合わせは、上記(A)〜(G)のいずれかであることが好ましい。
実施形態D(i)及び実施形態D(ii)は、要件(i)〜(iii)の全てを満たすが、本発明なこれには限られず、要件(i)〜(iii)のうちの2つ又は1つのみを満たすものであってもよい。例えば、ラビングロールの振り角、抱き角等の条件によっては、斜めラビングにより発生する余り量が少ない場合があり、その場合は、要件(i)〜(iii)のうちの2つ又は1つのみを満たす場合であっても、良好な斜めラビングを達成しうる。
また、上記(D)及び(E)のように、上流側グリップロール及び下流側グリップロールの一方がクラウンロール又は逆クラウンロールであり、他方がストレートロールである場合において、クラウンロール又は逆クラウンロールが左右対称なロールであると、左右の端部のパスライン長さが異なる場合がある。その場合は、クラウンロール又は逆クラウンロールとして、左右が非対称なロールを用いることにより、幅全体に亘るパスラインの長さを均一な状態に近づけることができる。
〔帯状基材の材質等〕
実施形態A〜Dを含む本発明の製造方法に用いる帯状基材の材質は、特に限定されず、ラビングによりその表面に配向規制力を付与しうる種々の樹脂を用いうる。樹脂の例としては、各種の重合体を含む樹脂が挙げられる。当該重合体としては、脂環式構造含有重合体、セルロースエステル、ポリビニルアルコール、ポリイミド、UV透過アクリル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、エポキシ重合体、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。これらの中でも、透明性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性等の観点から、脂環式構造含有重合体及びセルロースエステルが好ましく、脂環式構造含有重合体がより好ましい。
本発明の製造方法に用いる帯状基材のラビングにより配向規制力を付与する面には、必要に応じて配向膜を設けてもよい。配向膜により、容易に配向規制力を付与させることができる。配向膜は、例えば、セルロース、シランカップリング剤、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エポキシアクリレート、シラノールオリゴマー、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、ポリオキサゾール、環化ポリイソプレンなどで形成しうる。
〔製品の用途〕
本発明の製造方法により得られた、ラビングされた帯状基材の用途は、特に限定されないが、その表面の配向規制力を利用して、配向性を有する樹脂フィルムの製造に用いうる。具体的には、帯状基材上に重合性の液晶化合物を含む液晶組成物を塗布し、液晶化合物が配向した状態で硬化させ、硬化液晶組成物の層を形成することができる。このような硬化液晶組成物の層は、位相差板(1/4λ板、1/2λ板等)等の光学的な部材として用いうる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下の操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中にて行った。
〔評価方法:実施例A1〜A3及び比較例A1〜A3〕
〔A1.ラビング処理中の帯状基材のシワ〕
ねじれのないラビング処理が行われているか否かを評価するため、ラビング処理中の帯状基材のシワの有無を観察した。ラビング処理中の、ラビングロール付近で搬送されている帯状基材の状態を観察し、シワが観察されないものをA、シワが僅かに観察されるものをB、シワが明確に観察されるものをCとして評価した。
〔A2.配向状態〕
ラビングされた帯状基材の配向規制力の状態を評価するため、帯状基材上に重合性の液晶化合物を含む液晶組成物を塗布し、硬化させ、硬化液晶組成物の層を形成し、配向状態を観察した。
液晶組成物は、下記式(E1)で表される逆波長分散重合性液晶化合物21.25部、界面活性剤(商品名「サーフロンS420」、AGCセイミケミカル社製)0.11部、重合開始剤(商品名「IRGACURE379」、BASF社製)0.64部、及び溶媒(シクロペンタノン、日本ゼオン株式会社製)78.00部を混合し調製した。
Figure 2016152685
ラビングされた帯状基材のラビングされた面に、液晶組成物を、ダイコーターを用いて塗布し、液晶組成物の層を形成した。液晶組成物の層を110℃で2.5分間配向処理し、窒素雰囲気下で100mJ/cm以上の紫外線を照射して、乾燥膜厚2μmの液晶樹脂フィルムの層を得た。この層について、偏光顕微鏡用いてクロスニコル下で配向状態を観察し、配向欠陥なく面全体において均一な配向が得られているか否かを評価した。
〔実施例A1〕
(A1−1.帯状基材)
熱可塑性ノルボルネン樹脂のペレット(日本ゼオン株式会社製、商品名「ZEONOR1420R」)を溶融押出成形し、幅400mm、厚み50μmの帯状基材を得た。
(A1−2.ラビング処理)
図1〜図5に概略的に示すラビング装置A100を用い、(A1−1)で得た帯状基材をラビング処理し、ラビングされた帯状基材を製造した。
2つの円筒形のフリーロール(グリップロール)の径はいずれも80mmとした。円筒形のラビングロールA130の径は120mmとした。フリーロールA110の軸A11X及びラビングロールA130の軸A13Xは水平方向に設置し、且つフリーロールA110からラビングロールA130までの帯状基材A13の搬送経路も水平方向となるよう、これらの位置関係を調整した。ラビングロールA130の振り角は45°、抱き角は60°とした。帯状基材がフリーロールA110を離れてからフリーロールA150に接するまでの搬送経路を約1000mmとし、その状態からフリーロールの位置及び角度を調整し、ラビングロールA130へ搬入される帯状基材A13の搬入方向及びラビングロールA130から搬出される帯状基材A14の搬出方向が帯状基材の幅方向において同一(帯状基材幅方向の中心における搬入又は搬出方向を基準とし、当該基準の方向と、他の搬入又は搬出方向とがなす角が0.5°以内)となるようにし、帯状基材の余り量の最大値εmaxが0.05%以下となるようにした。帯状基材(A11〜A16)を搬送するラインスピードは4m/分、張力は150N/mとした。ラビングロールA130は、1000rpmで逆回転(図中矢印AR2で示す方向の回転)させた。
ラビング処理中の帯状基材のシワを評価したところ、「A」と評価された。また、得られたラビングされた帯状基材について、配向状態を評価したところ、全面にわたり均一な配向が達成され、良好であると評価された。
〔実施例A2〕
フリーロールの配置を変更し、それにより、ラビング装置を図6及び図7に概略的に示すラビング装置A600に変更した他は、実施例A1と同様にして、ラビング処理を行い評価した。ラビング装置A600は、図1〜図5に示すラビング装置A100を、ラビングロールA130の軸A13Xを中心に回転させ、フリーロールA110及びA150の位置を変更して、フリーロールA610及びA650とした点において、ラビング装置A100と異なり、その他の点では同一である。
ラビング処理中の帯状基材のシワを評価したところ、「A」と評価された。また、得られたラビングされた帯状基材について、配向状態を評価したところ、全面にわたり均一な配向が達成され、良好であると評価された。
〔実施例A3〕
図8〜図12に概略的に示すラビング装置A800を用い、実施例A1の(A1−1)で得た帯状基材をラビング処理し、ラビングされた帯状基材を製造した。
2つのフリーロール及びラビングロールA130としては、実施例A1で用いたものと同じものを用いた。フリーロールA810及びA850の軸A81X及びA85X並びにラビングロールA130の軸A13Xは水平方向に設置した。フリーロールA810及びA850の軸A81X及びA85Xは互いに平行とした。浮上搬送装置A820及びA840としては、半径160mmの円筒形に沿った搬送面A821Sを有するものを用い、浮上搬送装置の振り角はいずれもおよそ50°とした。フリーロールA810及びA850のオフセット(Y軸方向の位置のずれ)量、浮上搬送装置A820及びA840の位置及び軸の角度を適宜調節し、ラビングロールA130の振り角が45°、抱き角が60°となるようにし、ラビングロールA130へ搬入される帯状基材A13の搬入方向及びラビングロールA130から搬出される帯状基材A14の搬出方向が帯状基材の幅方向において同一となるようにし、帯状基材の余り量の最大値εmaxが0.05%以下となるようにした。その他の条件は、実施例A1と同様とした。
ラビング処理中の帯状基材のシワを評価したところ、「A」と評価された。また、得られたラビングされた帯状基材について、配向状態を評価したところ、全面にわたり均一な配向が達成され、良好であると評価された。
〔比較例A1〕
図13〜図15に概略的に示すラビング装置A1300を用い、実施例A1の(A1−1)で得た帯状基材をラビング処理し、ラビングされた帯状基材を製造した。
2つのフリーロール及びラビングロールA1330としては、実施例A1で用いたものと同じものを用いた。フリーロールA1310及びA1350の軸A131X及びA135X並びにラビングロールA1330の軸A133Xは水平に設置した。フリーロールA1310及びA1350の軸A131X及びA135Xは互いに平行とした。ラビングロールA130の振り角は45°とし、軸A133XのZ方向の位置を調節することにより、抱き角が30°となるようにした。その結果、ラビングロールA1330へ搬入される帯状基材A13の搬入方向及びラビングロールA1330から搬出される帯状基材A14の搬出方向が帯状基材の幅方向において同一ではなくなり、帯状基材の余り量の最大値εmaxは0.34%となった。その他の条件は、実施例A1と同様とした。
ラビング処理中の帯状基材のシワを評価したところ、「B」と評価された。また、得られたラビングされた帯状基材について、配向状態を評価したところ、配向が不良な箇所が斑に存在していた。
〔比較例A2〕
ラビングロールA1330の軸A133XのZ方向の位置を調節することにより、抱き角を60°に変更した他は、比較例A1と同様にして、ラビング処理を行い評価した。ラビングロールの位置を変更したことにより、帯状基材の余り量の最大値εmaxは1.31%となった。
ラビング処理中の帯状基材のシワを評価したところ、「C」と評価された。また、得られたラビングされた帯状基材について、配向状態を評価したところ、配向が不良な箇所が斑に存在していた。
〔比較例A3〕
ラビングロールA1330の軸A133XのZ方向の位置を調節することにより、抱き角を0°に変更し、図16〜図17に示すラビング装置A1600とした他は、比較例A1と同様にして、ラビング処理を行い評価した。ラビングロールの位置を変更したことにより、帯状基材の余り量の最大値εmaxは0%となった。
ラビング処理中の帯状基材のシワを評価したところ、「A」と評価された。また、得られたラビングされた帯状基材について、配向状態を評価したところ、全面に亘り配向が不良であった。
実施例A1〜A3及び比較例A1〜A3の結果を、表1に要約して示す。
Figure 2016152685
表1に示す結果より、本発明で規定するラビング工程の条件を満たす装置及び製造方法を実施した実施例A1〜A3では、比較例A1〜A3に比べて、ラビングの程度が均一な斜めラビングを達成できたことが分かる。
〔評価方法、使用材料及び実施条件:実施例B1A〜B5A及びB1B〜B7B、並びに比較例B1A〜B7A及びB1B〜B5B〕
〔B1.評価方法:配向状態〕
ラビングされた帯状基材の配向規制力の状態を評価するため、帯状基材上に重合性の液晶化合物を含む液晶組成物を塗布し、硬化させ、硬化液晶組成物の層を形成し、配向状態を観察した。
液晶組成物としては、評価方法〔A2.配向状態〕で用いたものと同じものを用いた。
ラビングされた帯状基材のラビングされた面に、液晶組成物を、ダイコーターを用いて塗布し、液晶組成物の層を形成した。液晶組成物の層を110℃で2.5分間配向処理し、窒素雰囲気下で100mJ/cm以上の紫外線を照射して、乾燥膜厚2μmの液晶樹脂フィルムの層を得た。この層について、偏光顕微鏡を用いてクロスニコル下で配向状態を観察し、配向欠陥なく面全体において均一な配向が得られているものを「良」、配向欠陥があるものを「不良」として評価した。さらに「不良」と評価されたものについては、中央部に配向欠陥が斑に存在し、一部に全くラビング処理が施されていない箇所が見られるものを「不良A」、中央部に配向不良が斑に存在するが全くラビング処理が施されていない箇所は見られないものを「不良B」に分類した。
〔B2.使用した帯状基材〕
帯状基材として、下記の帯状基材(1)〜(4)を用意した。
帯状基材(1):PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、商品名「コスモシャインA4100」、東洋紡社製、ヤング率E=4400MPa、厚みd=100μm、幅400mm、Ed=440,000Pa・m、Edw=176,000Pa・m
帯状基材(2):PETフィルム、商品名「コスモシャインA4100」、東洋紡社製、ヤング率E=4600MPa、厚みd=50μm、幅400mm、Ed=230,000Pa・m、Edw=92,000Pa・m
帯状基材(3):熱可塑性ノルボルネン樹脂のペレット(日本ゼオン株式会社製、商品名「ZEONOR1420R」)を成形して得たフィルム、ヤング率E=2200MPa、厚みd=100μm、幅400mm、Ed=220,000Pa・m、Edw=88,000Pa・m
帯状基材(4):熱可塑性ノルボルネン樹脂のペレット(日本ゼオン株式会社製、商品名「ZEONOR1420R」)を成形して得たフィルム、ヤング率E=2200MPa、厚みd=50μm、幅400mm、Ed=110,000Pa・m、Edw=44,000Pa・m
帯状基材(3)及び(4)は裏表の区別が無いものであったが、一方、帯状基材(1)及び(2)は、その一方の面が易接着面(易接着層を有する面)であった。帯状基材(1)及び(2)のラビングは、易接着面の反対側の面において行った。
〔B3.使用した装置のロール配置〕
配置(1):
ラビングロール並びにその上流側の始点ロール及び下流側の終点ロールを、図19〜図20に概略的に示すラビング装置B100の通りの態様で配置した。
始点ロール及び終点ロールとしての、2つの円筒形のフリーロール(グリップロール)B110及びB150の径はいずれも80mmとした。円筒形のラビングロールB130の径は120mmとした。フリーロールB110及びB150の軸B11X及びB15X並びにラビングロールB130の軸B13Xは水平に設置した。フリーロールB110及びB150の軸B11X及びB15Xは互いに平行とした。ラビングロールB130の振り角は45°とし、軸B13XのZ方向の位置を調節することにより、抱き角が30°となるようにした。その結果、帯状基材の最大余り量εmaxは0.34%、平均余り量εavgは0.22%となった。
配置(2):
配置(1)の、フリーロールB110及びB150の軸B11X及びB15Xの間隔を、配置(1)より広くし、その結果、帯状基材の最大余り量εmaxが0.1%、平均余り量εavgが0.07%となるようにした。
配置(3):
ラビングロール及びその上流側フリーロール、下流側フリーロールを、図22〜図24に概略的に示すラビング装置B400の通りの態様で配置した。
2つのフリーロール及びラビングロールB430としては、配置(1)で用いたものと同じものを用いた。フリーロールB410の軸B41X及びラビングロールB430の軸B43Xは水平方向に設置し、且つフリーロールB410からラビングロールB430までの帯状基材B13の搬送経路も水平方向となるよう、これらの位置関係を調整した。ラビングロールB430の振り角は45°、抱き角は60°とした。帯状基材がフリーロールB410を離れてからフリーロールB450に接するまでの搬送経路を約1000mmとし、その状態からフリーロールの位置及び角度を調整し、ラビングロールB430へ搬入される帯状基材B13の搬入方向及びラビングロールB430から搬出される帯状基材B14の搬出方向が帯状基材の幅方向において同一(帯状基材幅方向の中心における搬入又は搬出方向を基準とし、当該基準の方向と、他の搬入又は搬出方向とがなす角が0.5°以内)となるようにし、帯状基材の最大余り量εmaxは0.03%、平均余り量εavgは0.02%となった。
〔比較例B1A〜B7A及び実施例B1A〜B5A〕
帯状基材(1)〜(4)及び配置(1)〜(3)を、表2に示す通り選択し、これらを用いて、下記条件により、ラビングを実施し、それにより得られた、ラビングされた帯状基材の配向状態を評価した。結果を表2に示す。
ラインスピード:4m/min
ラビングロール回転数:1000rpm
ラビングロール回転方向:逆転(図中矢印BR2で示す方向)
張力:60N(150N/m)
〔比較例B1B〜B5B及び実施例B1B〜B7B〕
帯状基材(1)〜(4)及び配置(1)〜(3)を、表3に示す通り選択し、これらを用いて、ラビングを実施した。ラビングの条件は、張力を120N(300N/m)とした他は比較例B1A〜7A及び実施例B1A〜5Aと同様とした。
それにより得られた、ラビングされた帯状基材の配向状態を評価した。結果を表3に示す。
Figure 2016152685
Figure 2016152685
表2〜表3に示す結果より、本発明で規定するラビング工程の条件を満たす装置及び製造方法を実施した実施例B1A〜B5A及び実施例B1B〜B7Bでは、比較例B1A〜B7A及び比較例B1B〜B5Bに比べて、ラビングの程度が均一な斜めラビングを達成できたことが分かる。
例えば、比較例B5Bと実施例B1Bとの対比より、帯状基材の厚みを薄くすることで、帯状基材の材質がヤング率の高いPETである場合でも、均一な斜めラビングを達成できることが分かる。また例えば、比較例B5Bと実施例B2Bとの対比より、帯状基材の材質としてヤング率の低い材質を採用することにより、帯状基材の厚みが100μmと厚くても、均一な斜めラビングを達成できることが分かる。さらに、εmax−εavgの小さい配置である配置(3)を採用した場合、様々な帯状基材及び張力を採用した場合において、均一な斜めラビングを達成できることが分かる。
〔評価方法:実施例C1〜C3及び比較例C1〜C3〕
〔C1.ラビング処理中の帯状基材のシワ〕
ねじれのないラビング処理が行われているか否かを評価するため、ラビング処理中の帯状基材のシワの有無を観察した。ラビング処理中の、ラビングロール付近で搬送されている帯状基材の状態を観察し、シワが観察されないものをA、シワが僅かに観察されるものをB、シワが明確に観察されるものをCとして評価した。
〔C2.配向状態〕
ラビングされた帯状基材の配向規制力の状態を評価するため、帯状基材上に重合性の液晶化合物を含む液晶組成物を塗布し、硬化させ、硬化液晶組成物の層を形成し、配向状態を観察した。
液晶組成物としては、評価方法〔A2.配向状態〕で用いたものと同じものを用いた。
ラビングされた帯状基材のラビングされた面に、液晶組成物を、ダイコーターを用いて塗布し、液晶組成物の層を形成した。液晶組成物の層を110℃で2.5分間配向処理し、窒素雰囲気下で100mJ/cm以上の紫外線を照射して、乾燥膜厚2μmの液晶樹脂フィルムの層を得た。この層について、偏光顕微鏡を用いてクロスニコル下で配向状態を観察し、配向欠陥なく面全体において均一な配向が得られているか否かを評価した。
〔実施例C1〕
(C1−1.帯状基材)
熱可塑性ノルボルネン樹脂のペレット(日本ゼオン株式会社製、商品名「ZEONOR1420R」)を溶融押出成形し、幅400mm、厚み50μmの帯状基材を得た。
(C1−2.ラビング処理)
図25〜図31に概略的に示すラビング装置C100を用い、(C1−1)で得た帯状基材をラビング処理し、ラビングされた帯状基材を製造した。
2つの円筒形のフリーロール(グリップロール)の径はいずれも80mmとした。円筒形のラビングロールC130の径は120mmとした。フリーロールC110、浮上搬送装置C120、ラビングロールC130、浮上搬送装置C140及びフリーロールC150の軸C11X、C12X、C13X、C14X及びC15Xはいずれも水平方向とした。さらに、軸C11X及びC15Xは座標軸Yに対して平行とし、軸C12X、C13X及びC14Xの振り角は45°とした。フリーロールC110とフリーロールC150との軸同士の間隔を約1000mmとし、ラビングロールC130はその中間の位置に設置し、浮上搬送装置C120及びC140は、Cθw12=30°、Cθw13=60°、Cθw14=30°となるよう位置を調整した。ラビングロールC130へ搬入される帯状基材C13の搬入方向及びラビングロールC130から搬出される帯状基材C14の搬出方向は、帯状基材の幅方向において同一(帯状基材幅方向の中心における搬入又は搬出方向を基準とし、当該基準の方向と、他の搬入又は搬出方向とがなす角が0.5°以内)となった。また、帯状基材の余り量の最大値εmaxは0.05%以下となった。また、このような配置により、ラビング装置への帯状基材の搬入方向に対する搬出方向は、斜行のない方向となった。帯状基材(C11〜C16)を搬送するラインスピードは4m/分、張力は150N/mとした。ラビングロールC130は、1000rpmで逆回転(図中矢印CR2で示す方向の回転)させた。
ラビング処理中の帯状基材のシワを評価したところ、「A」と評価された。また、得られたラビングされた帯状基材について、配向状態を評価したところ、全面にわたり均一な配向が達成され、良好であると評価された。
〔実施例C2〕
図32〜図34に概略的に示すラビング装置C800を用い、実施例C1の(C1−1)で得た帯状基材をラビング処理し、ラビングされた帯状基材を製造した。
フリーロール、浮上搬送装置及びラビングロールとしては、実施例C1で用いたものと同じものを用いた。フリーロールC810、ラビングロールC130、浮上搬送装置C840及びフリーロールC850の軸C81X、C13X、C84X及びC85Xの方向はいずれも水平方向とした。さらに、軸C81X及びC85Xは座標軸Yに対して平行とし、帯状基材C13及びC15が水平方向に搬送されるよう、軸C81X及びC85Xの座標軸Z方向の位置関係を調整した。軸C13X及びC84Xの振り角は45°とした。フリーロールC110とフリーロールC150との軸同士の間隔を約1000mmとし、ラビングロールC130はその中間の位置に設置し、浮上搬送装置C140は、Cθw13=60°、Cθw84=60°となるよう位置を調整した。ラビングロールC130へ搬入される帯状基材C13の搬入方向及びラビングロールC130から搬出される帯状基材C14の搬出方向は、帯状基材の幅方向において同一となった。また、帯状基材の余り量の最大値εmaxは0.05%以下となった。また、このような配置により、ラビング装置への帯状基材の搬入方向に対する搬出方向は、斜行のない方向となった。その他の条件は、実施例C1と同様とした。
ラビング処理中の帯状基材のシワを評価したところ、「A」と評価された。また、得られたラビングされた帯状基材について、配向状態を評価したところ、全面にわたり均一な配向が達成され、良好であると評価された。
〔実施例C3〕
図35〜図36に概略的に示すラビング装置C1100を用い、実施例C1の(C1−1)で得た帯状基材をラビング処理し、ラビングされた帯状基材を製造した。
浮上搬送装置C1140による搬送方向の回転角を、実施例C2のCθw84の60°よりも大きくし、80°とした。また、実施例C2で用いていたフリーロールC850は用いず、搬出される帯状基材C16は、別のロール及び巻き取り装置を用いて搬出した。このような配置により、ラビング装置への帯状基材の搬入方向に対する搬出方向は、斜行する方向となった。その他の条件は、実施例C1と同様とした。
ラビング処理中の帯状基材のシワを評価したところ、「A」と評価された。また、得られたラビングされた帯状基材について、配向状態を評価したところ、全面にわたり均一な配向が達成され、良好であると評価された。
〔比較例C1〕
図13〜図15に概略的に示すラビング装置C1300を用い、実施例C1の(C1−1)で得た帯状基材をラビング処理し、ラビングされた帯状基材を製造した。
2つのフリーロール及びラビングロールC1330としては、実施例C1で用いたものと同じものを用いた。フリーロールC1310及びC1350の軸C131X及びC135X並びにラビングロールC1330の軸C133Xは水平方向に設置した。フリーロールC1310及びC1350の軸C131X及びC135Xは互いに平行とした。ラビングロールC130の振り角は45°とし、軸C133XのZ方向の位置を調節することにより、抱き角が30°となるようにした。その結果、ラビングロールC1330へ搬入される帯状基材C13の搬入方向及びラビングロールC1330から搬出される帯状基材C14の搬出方向が帯状基材の幅方向において同一ではなくなり、帯状基材の余り量の最大値εmaxは0.3453%となった。また、このような配置により、ラビング装置への帯状基材の搬入方向に対する搬出方向は、振り角45°で配置されたラビングロールC1330の軸C133Xを中心にして回転したことにより、わずかに斜行した。その他の条件は、実施例C1と同様とした。
ラビング処理中の帯状基材のシワを評価したところ、「B」と評価された。また、得られたラビングされた帯状基材について、配向状態を評価したところ、配向が不良な箇所が斑に存在していた。
〔比較例C2〕
ラビングロールC1330の軸C133XのZ方向の位置を調節することにより、抱き角を60°に変更した他は、比較例C1と同様にして、ラビング処理を行い評価した。ラビングロールの位置を変更したことにより、帯状基材の余り量の最大値εmaxは1.3099%となった。このような配置により、ラビング装置への帯状基材の搬入方向に対する搬出方向は、振り角45°で配置されたラビングロールC1330の軸C133Xを中心にして回転したことにより、わずかに斜行した。
ラビング処理中の帯状基材のシワを評価したところ、「C」と評価された。また、得られたラビングされた帯状基材について、配向状態を評価したところ、配向が不良な箇所が斑に存在していた。
〔比較例C3〕
ラビングロールC1330の軸C133XのZ方向の位置を調節することにより、抱き角を0°に変更し、図16〜図17に示すラビング装置C1600とした他は、比較例C1と同様にして、ラビング処理を行い評価した。ラビングロールの位置を変更したことにより、帯状基材の余り量の最大値εmaxは0%となった。このような配置により、ラビング装置への帯状基材の搬入方向に対する搬出方向は、斜行のない方向となった。
ラビング処理中の帯状基材のシワを評価したところ、「A」と評価された。また、得られたラビングされた帯状基材について、配向状態を評価したところ、全面に亘り配向が不良であった。
実施例C1〜C3及び比較例C1〜C3の結果を、表4に要約して示す。
Figure 2016152685
表4に示す結果より、本発明で規定するラビング工程の条件を満たす装置及び製造方法を実施した実施例C1〜C3では、比較例C1〜C3に比べて、ラビングの程度が均一な斜めラビングを達成できたことが分かる。また、特に実施例C1及びC2では、ラビングロールによる帯状基材の搬送方向の回転の回転角と、搬送装置による搬送方向の回転の回転角の総和を略0°とすることにより、斜行のないラビングを達成できた。
〔評価方法:実施例D1〜D8及び比較例D1〜D3〕
〔D1.ラビングロール上の帯状基材のシワ〕
ラビング処理中の、ラビングロール上の帯状基材のシワの有無を観察した。ラビング処理中の、ラビングロール上の帯状基材の状態を観察し、シワが観察されないものを「無」、シワが僅かに観察されるものを「やや有」、シワが明確に観察されるものを「有」として評価した。
〔D2.配向状態〕
ラビングされた帯状基材の配向規制力の状態を評価するため、帯状基材上に重合性の液晶化合物を含む液晶組成物を塗布し、硬化させ、硬化液晶組成物の層を形成し、配向状態を観察した。
液晶組成物としては、評価方法〔A2.配向状態〕で用いたものと同じものを用いた。
ラビングされた帯状基材のラビングされた面に、液晶組成物を、ダイコーターを用いて塗布し、液晶組成物の層を形成した。液晶組成物の層を110℃で2.5分間配向処理し、窒素雰囲気下で100mJ/cm以上の紫外線を照射して、乾燥膜厚2μmの液晶樹脂フィルムの層を得た。この層について、偏光顕微鏡用いてクロスニコル下で配向状態を観察し、配向欠陥なく面全体において均一な配向が得られているものを「良」、配向欠陥があるものを「不良」として評価した。
〔D3.帯状基材の蛇行〕
ラビング処理中に発生する帯状基材の蛇行の有無を観察した。帯状基材が大きく揺れているものを「有」、帯状基材が小さく揺れているものを「やや有」、帯状基材の揺れがほぼ無いものを「無」として評価した。
〔比較例D1〕
(CpD1−1.帯状基材)
熱可塑性ノルボルネン樹脂のペレット(日本ゼオン株式会社製、商品名「ZEONOR1420R」)を溶融押出成形し、幅400mm、厚み50μmの帯状基材を得た。
(CpD1−2.ラビング処理)
図44〜図45に概略的に示すラビング装置D700を用い、比較例D1の(CpD1−1)で得た帯状基材をラビング処理し、ラビングされた帯状基材を製造した。
2つのフリーロールD710及びD750は、いずれも帯状基材をグリップするストレートロールであり、これらの径はいずれも80mmであった。ラビングロールD730もストレートロールであり、その径は120mmであった。フリーロールD710及びD750の軸D71X及びD75X並びにラビングロールD730の軸D73Xは水平に設置した。フリーロールD710及びD750の軸D71X及び軸D75Xは互いに平行とした。軸D71Xと軸D75Xとの距離は1000mmとした。ラビングロールD730の振り角は45°とし、軸D73XのZ方向の位置を調節することにより、抱き角が30°となるようにした。最大余り量εmaxは0.34%となった。
帯状基材(D11〜D16)を搬送するラインスピードは4m/分、張力は60N(150N/m)とした。ラビングロールD730は、1000rpmで逆回転(図中矢印DR2で示す方向の回転)させた。
ラビング処理におけるラビングロール上の帯状基材のシワ及び帯状基材の蛇行、並びにラビングされた帯状基材の配向規制力の状態を評価した。結果を表5に示す。
〔比較例D2〕
ラビングロールD730の軸D73XのZ方向の位置を調節することにより、抱き角を60°に変更した他は、比較例D1と同様にして、ラビング処理を行い評価した。結果を表5に示す。最大余り量εmaxは1.31%となった。
〔比較例D3〕
ラビングロールD730の軸D73XのZ方向の位置を調節することにより、抱き角を0°に変更した他は、比較例D1と同様にして、ラビング処理を行い評価した。結果を表5に示す。最大余り量εmaxは0.00%となった。
〔実施例D1〕
下記の点を変更した他は、比較例D1と同様にして、ラビング処理を行い評価した。結果を表5に示す。
・下流側ロールとして、図44〜図45に示すフリーロールD750に代えて、図40〜図41に示す逆クラウン型の、帯状基材をグリップするフリーロールD350を用いた。フリーロールD350の最大径(図43の例において矢印DR31Rで示される径)はD100mm、フリーロールD350の最大径(図43の例において矢印DR31Lで示される径)は130mm、最小径(図43の例において矢印DR31Cで示される径)は80mmであった。
・ラビングロールD130より下流における帯状基材の渡し方を、図40〜図41の帯状基材D14及びD16の通りとした。
・上記の変更の結果、最大余り量εmaxは0.05%以下となった。
〔実施例D2〕
下記の点を変更した他は、比較例D1と同様にして、ラビング処理を行い評価した。結果を表5に示す。
・上流側ロール及び下流側ロールとして、図44〜図45に示すフリーロールD710及びD750に代えて、図38〜図39に示すクラウン型の帯状基材をグリップするフリーロールD110及びD150を用いた。フリーロールD110及びD150の最大径(図42の例において矢印DR11Cで示される径)は96mm、最小径(図42の例において矢印DR11R及びDR11Lで示される径)は80mmであった。その結果、最大余り量εmaxは0.05%以下となった。
〔実施例D3〕
下記の点を変更した他は、比較例D1と同様にして、ラビング処理を行い評価した。結果を表5に示す。
・上流側ロールとして、図44〜図45に示すフリーロールD710に代えて、図40〜図41に示す逆クラウン型の帯状基材をグリップするフリーロールD310を用いた。フリーロールD310の最大径(図43の例において矢印DR31Rで示される径)は130mm、フリーロールD310の最大径(図43の例において矢印DR31Lで示される径)は100mm、最小径(図43の例において矢印DR31Cで示される径)は80mmであった。
・ラビングロールD130より上流における帯状基材の渡し方を、図40〜図41の帯状基材D11及びD13の通りとした。
・上記の変更の結果、最大余り量εmaxは0.05%以下となった。
〔実施例D4〕
下記の点を変更した他は、比較例D1と同様にして、ラビング処理を行い評価した。結果を表5に示す。
・上流側ロール及び下流側ロールとして、図44〜図45に示すフリーロールD710及びD750に代えて、図40〜図41に示す帯状基材をグリップする逆クラウン型のフリーロールD310及びD350を用いた。フリーロールD310及びD350はいずれも、最大径(図43の例において矢印DR31R及びDR31Lで示される径)が96mm、最小径(図43の例において矢印DR31Cで示される径)が80mmであった。
・帯状基材の渡し方を、図40〜図41の帯状基材D11〜D16の通りとした。
・上記の変更の結果、最大余り量εmaxは0.05%以下となった。
〔実施例D5〕
下記の点を変更した他は、比較例D1と同様にして、ラビング処理を行い評価した。結果を表5に示す。
・ラビングロールとして、図44〜図45に示すラビングロールD730に代えて、図38〜図41に示すクラウン型のラビングロールD130を用いた。ラビングロールD130は、最大径(図42の例において矢印DR11Cで示される径)が140mm、最小径(図42の例において矢印DR11R及びDR11Lで示される径)が120mmであった。その結果、最大余り量εmaxは0.05%以下となった。
〔実施例D6〕
図44〜図45に概略的に示すラビング装置D700に代えて、図38〜図39に概略的に示すラビング装置D100を用いた他は、比較例D1と同様にして、ラビング処理を行い評価した。
クラウン型のラビングロールD130は、最大径(図42の例において矢印DR11Cで示される径)が125mm、最小径(図42の例において矢印DR11R及びDR11Lで示される径)が120mmであった。クラウン型の帯状基材をグリップするフリーロールD110及びD150は、最大径(図42の例において矢印DR11Cで示される径)が92mm、最小径(図42の例において矢印DR11R及びDR11Lで示される径)が80mmであった。その結果、最大余り量εmaxは0.05%以下となった。
結果を表5に示す。
〔実施例D7〕
下記の点を変更した他は、比較例D1と同様にして、ラビング処理を行い評価した。結果を表5に示す。
・ラビングロールとして、図44〜図45に示すラビングロールD730に代えて、図38〜図41に示すクラウン型のラビングロールD130を用いた。ラビングロールD130は、最大径(図42の例において矢印DR11Cで示される径)が125mm、最小径(図42の例において矢印DR11R及びDR11Lで示される径)が120mmであった。
・上流側ロールとして、図44〜図45に示すフリーロールD710に代えて、図40〜図41に示す逆クラウン型の帯状基材をグリップするフリーロールD310を用いた。フリーロールD310の最大径(図43の例において矢印DR31Rで示される径)は96mm、フリーロールD310の最大径(図43の例において矢印DR31Lで示される径)は86mm、最小径(図43の例において矢印DR31Cで示される径)は80mmであった。
・ラビングロールD130より上流における帯状基材の渡し方を、図40〜図41の帯状基材D11及びD13の通りとした。
・上記の変更の結果、最大余り量εmaxは0.05%以下となった。
〔実施例D8〕
図44〜図45に概略的に示すラビング装置D700に代えて、図40〜図41に概略的に示すラビング装置D300を用いた他は、比較例D1と同様にして、ラビング処理を行い評価した。
クラウン型のラビングロールD130は、最大径(図42の例において矢印DR11Cで示される径)が125mm、最小径(図42の例において矢印DR11R及びDR11Lで示される径)が120mmであった。逆クラウン型の帯状基材をグリップするフリーロールD310及びD350は、最大径(図43の例において矢印DR31R及びDR31Lで示される径)が92mm、最小径(図43の例において矢印DR31Cで示される径)が80mmであった。その結果、最大余り量εmaxは0.05%以下となった。
結果を表5に示す。
実施例D1〜D8及び比較例D1〜D3の結果を、表5に要約して示す。
Figure 2016152685
不良※1:×不良のところが斑に存在
不良※2:全面不良
表5に示す結果より、本発明で規定するラビング工程の条件を満たす装置及び製造方法を実施した実施例D1〜D8では、比較例D1〜D3に比べて、ラビングの程度が均一な斜めラビングを達成できたことが分かる。
A11〜A16:帯状基材
A100:ラビング装置
A110:フリーロール
A11X:軸
A130:ラビングロール
A131:ラビングロール上の位置
A132:ラビングロール上の位置
A13X:軸
A150:フリーロール
A15X:軸
A600:ラビング装置
A610:フリーロール
A61X:軸
A650:フリーロール
A65X:軸
A800:ラビング装置
A810:フリーロール
A81X:軸
A820:浮上搬送装置
A821:搬送部
A821S:搬送面
A822:空気導入部
A82X:軸
A840:浮上搬送装置
A84X:軸
A850:フリーロール
A85X:軸
A1300:ラビング装置
A1310:フリーロール
A131X:軸
A1330:ラビングロール
A1332:ラビングロール上の位置
A133X:軸
A1350:フリーロール
A135X:軸
A1600:ラビング装置
AP130−1〜AP130−5:搬送経路
Aθw:抱き角
B11〜B16:帯状基材
B100:ラビング装置
B110:フリーロール
B11X:軸
B130:ラビングロール
B13X:軸
B150:フリーロール
B15X:軸
B400:ラビング装置
B410:フリーロール
B41X:軸
B430:ラビングロール
B43X:軸
B450:フリーロール
B45X:軸
BP10−1〜BP10−7:パスライン
C11〜C16:帯状基材
C100:ラビング装置
C110:フリーロール
C11X:軸
C120:浮上搬送装置
C121:浮上搬送装置上の位置
C122:浮上搬送装置上の位置
C123:搬送部
C123S:搬送面
C124:空気導入部
C12X:軸
C130:ラビングロール
C131:ラビングロール上の位置
C132:ラビングロール上の位置
C13X:軸
C140:浮上搬送装置
C141:浮上搬送装置上の位置
C142:浮上搬送装置上の位置
C14X:軸
C150:フリーロール
C15X:軸
C800:ラビング装置
C810:フリーロール
C81X:軸
C840:浮上搬送装置
C850:フリーロール
C85X:軸
C1100:ラビング装置
C1140:浮上搬送装置
C114X:軸
C1300:ラビング装置
C1310:フリーロール
C131X:軸
C1330:ラビングロール
C133X:軸
C1332:ラビングロール上の位置
C1350:フリーロール
C135X:軸
CP130−1〜CP130−5:搬送経路
Cθw13:抱き角
Cθw12:帯状基材の回転角度
Cθw14:帯状基材の回転角度
Cθw84:帯状基材の回転角度
D11〜D16:帯状基材
D11L、D11R:帯状基材の端部
D100:ラビング装置
D110:フリーロール
D11X:軸
D130:ラビングロール
D13X:軸
D150:フリーロール
D15X:軸
D300:ラビング装置
D310:フリーロール
D31X:軸
D350:フリーロール
D35X:軸
D700:ラビング装置
D710:フリーロール
D71X:軸
D730:ラビングロール
D73X:軸
D750:フリーロール
D75X:軸
DP70−1〜DP70−7:パスライン

Claims (46)

  1. ラビングされた帯状基材の製造方法であって、
    搬送経路の上流から搬入された帯状基材を、回転軸を中心に回転するラビングロールに接触させてラビングし、前記搬送経路の下流へ搬出するラビング工程を含み、
    前記ラビング工程において、
    前記ラビングロールは、0°を超える抱き角で前記帯状基材に接触し、それにより前記帯状基材の搬送方向を回転させ、
    前記帯状基材の搬送方向と前記ラビングロールの回転軸とは非直交の角度をなし、
    前記ラビングロールへ搬入される前記帯状基材と前記ラビングロールとの接触が始まる位置における、前記帯状基材の搬入方向が、前記帯状基材の幅方向に亘って同一であり、
    前記ラビングロールから搬出される前記帯状基材と前記ラビングロールとの接触が終わる位置における、前記帯状基材の搬出方向が、前記帯状基材の幅方向に亘って同一である、製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法であって、
    前記ラビング工程の上流側、下流側、またはこれらの両方において、0°を超える角度で前記帯状基材の搬送方向を回転させる搬送装置により、搬送方向を回転させる工程をさらに含む、製造方法。
  3. 請求項2に記載の製造方法であって、
    前記搬送装置の一以上が搬送ロールであり、前記搬送方向の回転の回転軸方向が、前記帯状基材の搬送方向に直交する、製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法であって、
    前記ラビングロールは、前記ラビングロールの回転軸が水平になるように設置され、
    搬入される前記帯状基材と前記ラビングロールとの接触が始まる位置における前記帯状基材の搬入方向、又は搬出される前記帯状基材と前記ラビングロールとの接触が終わる位置における前記帯状基材の搬出方向が、水平である、製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法であって、
    前記帯状基材の搬送方向と、前記ラビングロールの回転軸とがなす角度が35°以上55°以下である、製造方法。
  6. 帯状基材をラビングするラビング装置であって、
    回転軸を中心に回転し、搬送経路の上流から搬入された帯状基材に接触してラビングし、前記搬送経路の下流へ搬出するラビングロールを含み、
    前記ラビングロールは、
    0°を超える抱き角で前記帯状基材に接触し、それにより前記帯状基材の搬送方向を回転させ、
    前記帯状基材の搬送方向と前記ラビングロールの回転軸とが非直交の角度をなし、
    前記ラビングロールへ搬入される前記帯状基材と前記ラビングロールとの接触が始まる位置における、前記帯状基材の搬入方向が、前記帯状基材の幅方向に亘って同一となり、
    前記ラビングロールから搬出される前記帯状基材と前記ラビングロールとの接触が終わる位置における、前記帯状基材の搬出方向が、前記帯状基材の幅方向に亘って同一となるよう配置された、ラビング装置。
  7. 請求項6に記載のラビング装置であって、
    前記ラビングロールの上流側、下流側、またはこれらの両方において、0°を超える角度で前記帯状基材の搬送方向を回転させる搬送装置をさらに含む、ラビング装置。
  8. 請求項7に記載のラビング装置であって、
    前記搬送装置の一以上が搬送ロールであり、前記搬送ロールの回転軸方向が、前記帯状基材の搬送方向に直交する、ラビング装置。
  9. 請求項6〜8のいずれか1項に記載のラビング装置であって、
    前記ラビングロールは、前記ラビングロールの回転軸が水平になるように設置され、
    搬入される前記帯状基材と前記ラビングロールとの接触が始まる位置における前記帯状基材の搬入方向、又は搬出される前記帯状基材と前記ラビングロールとの接触が終わる位置における前記帯状基材の搬出方向が、水平である、ラビング装置。
  10. 請求項6〜9のいずれか1項に記載のラビング装置であって、
    前記帯状基材の搬送方向と、前記ラビングロールの回転軸とがなす角度が35°以上55°以下である、ラビング装置。
  11. ラビングされた帯状基材の製造方法であって、
    搬送経路に沿って搬送される帯状基材を、搬送方向に張力T(N)を印加しながら、回転軸を中心に回転するラビングロールに接触させてラビングする、ラビング工程を含み、
    前記ラビングロールは、0°を超える抱き角で前記帯状基材に接触し、それにより前記帯状基材の搬送方向を回転させ、
    前記帯状基材の搬送方向と前記ラビングロールの回転軸とは非直交の角度をなし、
    前記帯状基材は、搬送方向のヤング率がE(Pa)であり、厚みがd(m)であり、且つ幅がw(m)であり
    前記搬送経路における余り量の最大値εmax(%)及び余り量の平均値εavg(%)が、式(1)
    (εmax−εavg)Edw<30T 式(1)
    を満たす製造方法。
  12. 請求項11に記載の製造方法であって、
    前記帯状基材の搬送方向のヤング率Eと厚みdの積Edが、400,000Pa・m以下である製造方法。
  13. 請求項11又は12に記載の製造方法であって、
    前記帯状基材の搬送方向のヤング率Eが、3,000MPa以下である製造方法。
  14. 請求項11〜13のいずれか1項に記載の製造方法であって、
    前記余り量の最大値εmax及び前記余り量の平均値εavgが、式(2)
    εmax−εavg<0.02% 式(2)
    を満たす製造方法。
  15. 請求項11〜14のいずれか1項に記載の製造方法であって、
    前記帯状基材の搬送方向と前記ラビングロールの回転軸とがなす角度が35°以上55°以下である製造方法。
  16. 帯状基材をラビングするラビング装置であって、
    帯状基材を、搬送方向に張力T(N)を印加しながら、搬送経路に沿って搬送するフリーロール、及び
    回転軸を中心に回転し、前記帯状基材に接触して前記帯状基材をラビングするラビングロールを含み、
    前記ラビングロールは、0°を超える抱き角で前記帯状基材に接触し、それにより前記帯状基材の搬送方向を回転させ、
    前記ラビングロールは、前記帯状基材の搬送方向と前記ラビングロールの回転軸とが非直交の角度をなすよう配置され、
    前記フリーロール及び前記ラビングロールは、
    前記帯状基材の搬送方向のヤング率E(Pa)、厚みd(m)、及び幅w(m)、並びに
    前記搬送経路における余り量の最大値εmax(%)及び余り量の平均値εavg(%)が、式(1)
    (εmax−εavg)Edw<30T 式(1)
    を満たすよう配置されたラビング装置。
  17. 請求項16に記載のラビング装置であって、
    前記帯状基材の搬送方向のヤング率Eと厚みdの積Edが、400,000Pa・m以下であるラビング装置。
  18. 請求項16又は17に記載のラビング装置であって、
    前記帯状基材の搬送方向のヤング率Eが、3,000MPa以下であるラビング装置。
  19. 請求項16〜18のいずれか1項に記載のラビング装置であって、
    前記余り量の最大値εmax及び前記余り量の平均値εavgが、式(2)
    εmax−εavg<0.02% 式(2)
    を満たすラビング装置。
  20. 請求項16〜19のいずれか1項に記載のラビング装置であって、
    前記帯状基材の搬送方向と前記ラビングロールの回転軸とがなす角度が35°以上55°以下であるラビング装置。
  21. ラビングされた帯状基材の製造方法であって、
    搬送経路の上流から搬入された帯状基材を、回転軸を中心に回転するラビングロールに接触させてラビングし、前記搬送経路の下流へ搬出するラビング工程、及び
    前記ラビング工程の上流側、下流側、またはこれらの両方において、0°を超える角度で前記帯状基材の搬送方向を回転させる搬送装置により、前記帯状基材の搬送方向を回転させる工程を含み、
    前記ラビング工程において、
    前記ラビングロールは、0°を超える抱き角で前記帯状基材に接触し、それにより前記帯状基材の搬送方向を回転させ、
    前記帯状基材の搬送方向と前記ラビングロールの回転軸とは非直交の角度をなし、
    前記ラビングロールへ搬入される前記帯状基材と前記ラビングロールとの接触が始まる位置における、前記帯状基材の搬入方向が、前記帯状基材の幅方向に亘って同一であり、
    前記ラビングロールから搬出される前記帯状基材と前記ラビングロールとの接触が終わる位置における、前記帯状基材の搬出方向が、前記帯状基材の幅方向に亘って同一であり、
    前記搬送装置による前記帯状基材の搬送方向の回転の回転軸方向は、前記ラビングロールの回転軸と平行である、製造方法。
  22. 請求項21に記載の製造方法であって、
    前記ラビングロールによる前記帯状基材の搬送方向の回転の回転角と、前記搬送装置による搬送方向の回転の回転角の総和が略0°である製造方法。
  23. 請求項21又は22に記載の製造方法であって、
    前記帯状基材の搬送方向と前記搬送装置による搬送方向の回転の回転軸方向とが非直交の角度をなす、製造方法。
  24. 請求項23に記載の製造方法であって、
    前記搬送装置により搬送方向を回転させる工程が、前記搬送装置と前記帯状基材の間に空気層を形成することを含む、製造方法。
  25. 請求項24に記載の製造方法であって、
    前記空気層は、空気圧によって形成する、製造方法。
  26. 請求項21〜25のいずれか1項に記載の製造方法であって、
    前記帯状基材の搬送方向と、前記ラビングロールの回転軸とがなす角度が35°以上55°以下である、製造方法。
  27. 帯状基材をラビングするラビング装置であって、
    回転軸を中心に回転し、搬送経路の上流から搬入された帯状基材に接触してラビングし、前記搬送経路の下流へ搬出するラビングロール、及び
    前記ラビングロールの上流側、下流側、またはこれらの両方において、0°を超える角度で前記帯状基材の搬送方向を回転させる搬送装置を含み、
    前記ラビングロールは、
    0°を超える抱き角で前記帯状基材に接触し、それにより前記帯状基材の搬送方向を回転させ、
    前記帯状基材の搬送方向と前記ラビングロールの回転軸とが非直交の角度をなし、
    前記ラビングロールへ搬入される前記帯状基材と前記ラビングロールとの接触が始まる位置における、前記帯状基材の搬入方向が、前記帯状基材の幅方向に亘って同一となり、
    前記ラビングロールから搬出される前記帯状基材と前記ラビングロールとの接触が終わる位置における、前記帯状基材の搬出方向が、前記帯状基材の幅方向に亘って同一となるよう配置され、
    前記搬送装置は、前記搬送装置による前記帯状基材の搬送方向の回転の回転軸方向が、前記ラビングロールの回転軸と平行となるよう配置された、ラビング装置。
  28. 請求項27に記載のラビング装置であって、
    前記ラビングロールによる前記帯状基材の搬送方向の回転の回転角と、前記搬送装置による搬送方向の回転の回転角の総和が略0°である、ラビング装置。
  29. 請求項27又は28に記載のラビング装置であって、
    前記帯状基材の搬送方向と前記搬送装置による搬送方向の回転の回転軸方向とが非直交の角度をなす、ラビング装置。
  30. 請求項29に記載のラビング装置であって、
    前記搬送装置が、前記搬送装置と前記帯状基材の間に空気層を形成する装置である、ラビング装置。
  31. 請求項30に記載のラビング装置であって、
    前記搬送装置が、前記空気層を、空気圧によって形成する、ラビング装置。
  32. 請求項27〜31のいずれか1項に記載のラビング装置であって、
    前記帯状基材の搬送方向と、前記ラビングロールの回転軸とがなす角度が35°以上55°以下である、ラビング装置。
  33. ラビングされた帯状基材の製造方法であって、
    搬送経路の上流から搬入された、おもて面及び裏面を有する帯状基材の前記おもて面を、回転軸を中心に回転するラビングロールに接触させてラビングし、前記搬送経路の下流へ搬出するラビング工程を含み、
    前記ラビング工程において、
    前記ラビングロールは、0°を超える抱き角で前記帯状基材に接触し、それにより前記帯状基材の搬送方向を回転させ、
    前記帯状基材の搬送方向と前記ラビングロールの回転軸とは非直交の角度をなし、
    前記搬送経路上の前記帯状基材の形状が、下記(i)〜(iii):
    (i)前記帯状基材が前記ラビングロールと接触する位置において、前記帯状基材の前記裏面側に凸の形状を有する、
    (ii)前記ラビングロールと、その上流側において前記帯状基材をグリップする上流側グリップロールとの間の少なくとも一部の領域で、前記おもて面側に凸の形状を有する、
    (iii)前記ラビングロールと、その下流側において前記帯状基材をグリップする下流側グリップロールとの間の少なくとも一部の領域で、前記おもて面側に凸の形状を有する、
    の少なくとも1つを満たす、製造方法。
  34. 請求項33記載の製造方法であって、
    前記搬送経路上の前記帯状基材の形状が、前記(i)を満たし、
    前記ラビングロールが、前記帯状基材に対して凸の形状を有する、製造方法。
  35. 請求項33又は34に記載の製造方法であって、
    前記搬送経路上の前記帯状基材の形状が、前記(ii)を満たし、
    前記上流側グリップロールが、前記帯状基材に対して凸の形状を有し、
    前記上流側グリップロールが、前記帯状基材の前記裏面側から前記帯状基材に接触する、製造方法。
  36. 請求項33又は34に記載の製造方法であって、
    前記搬送経路上の前記帯状基材の形状が、前記(ii)を満たし、
    前記上流側グリップロールが、前記帯状基材に対して凹の形状を有し、
    前記上流側グリップロールが、前記帯状基材の前記おもて面側から前記帯状基材に接触する、製造方法。
  37. 請求項33〜36のいずれか1項に記載の製造方法であって、
    前記搬送経路上の前記帯状基材の形状が、前記(iii)を満たし、
    前記下流側グリップロールが、前記帯状基材に対して凸の形状を有し、
    前記下流側グリップロールが、前記帯状基材の前記裏面側から前記帯状基材に接触する、製造方法。
  38. 請求項33〜36のいずれか1項に記載の製造方法であって、
    前記搬送経路上の前記帯状基材の形状が、前記(iii)を満たし、
    前記下流側グリップロールが、前記帯状基材に対して凹の形状を有し、
    前記下流側グリップロールが、前記帯状基材の前記おもて面側から前記帯状基材に接触する、製造方法。
  39. 請求項33〜38のいずれか1項に記載の製造方法であって、
    前記帯状基材の搬送方向と、前記ラビングロールの回転軸とがなす角度が35°以上55°以下である、製造方法。
  40. 帯状基材をラビングするラビング装置であって、
    回転軸を中心に回転し、搬送経路の上流から搬入された、おもて面及び裏面を有する帯状基材の前記おもて面に接触してラビングし、前記搬送経路の下流へ搬出するラビングロールを含み、
    前記ラビングロールは、
    0°を超える抱き角で前記帯状基材に接触し、それにより前記帯状基材の搬送方向を回転させ、
    前記帯状基材の搬送方向と前記ラビングロールの回転軸とが非直交の角度をなす
    よう配置され、
    前記ラビング装置は、
    前記搬送経路上の前記帯状基材の形状が、下記(i)〜(iii):
    (i)前記帯状基材が前記ラビングロールと接触する位置において、前記帯状基材の前記裏面側に凸の形状を有する、
    (ii)前記ラビングロールと、その上流側において前記帯状基材をグリップする上流側グリップロールとの間の少なくとも一部の領域で、前記おもて面側に凸の形状を有する、
    (iii)前記ラビングロールと、その下流側において前記帯状基材をグリップする下流側グリップロールとの間の少なくとも一部の領域で、前記おもて面側に凸の形状を有する、
    の少なくとも1つを満たすよう、前記帯状基材を搬送する、ラビング装置。
  41. 請求項40記載のラビング装置であって、
    前記搬送経路上の前記帯状基材の形状が、前記(i)を満たし、
    前記ラビングロールが、前記帯状基材に対して凸の形状を有する、ラビング装置。
  42. 請求項40又は41に記載のラビング装置であって、
    前記搬送経路上の前記帯状基材の形状が、前記(ii)を満たし、
    前記上流側グリップロールが、前記帯状基材に対して凸の形状を有し、
    前記上流側グリップロールが、前記帯状基材の前記裏面側から前記帯状基材に接触する、ラビング装置。
  43. 請求項40又は41に記載のラビング装置であって、
    前記搬送経路上の前記帯状基材の形状が、前記(ii)を満たし、
    前記上流側グリップロールが、前記帯状基材に対して凹の形状を有し、
    前記上流側グリップロールが、前記帯状基材の前記おもて面側から前記帯状基材に接触する、ラビング装置。
  44. 請求項40〜43のいずれか1項に記載のラビング装置であって、
    前記搬送経路上の前記帯状基材の形状が、前記(iii)を満たし、
    前記下流側グリップロールが、前記帯状基材に対して凸の形状を有し、
    前記下流側グリップロールが、前記帯状基材の前記裏面側から前記帯状基材に接触する、ラビング装置。
  45. 請求項40〜43のいずれか1項に記載のラビング装置であって、
    前記搬送経路上の前記帯状基材の形状が、前記(iii)を満たし、
    前記下流側グリップロールが、前記帯状基材に対して凹の形状を有し、
    前記下流側グリップロールが、前記帯状基材の前記おもて面側から前記帯状基材に接触する、ラビング装置。
  46. 請求項40〜45のいずれか1項に記載のラビング装置であって、
    前記帯状基材の搬送方向と、前記ラビングロールの回転軸とがなす角度が35°以上55°以下である、ラビング装置。
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