JP4453019B2 - ラビング方法、光学フィルムの製造方法及び装置 - Google Patents

ラビング方法、光学フィルムの製造方法及び装置 Download PDF

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Description

本発明はラビング方法、光学フィルムの製造方法及び装置に係り、特に、液晶分子を均一に配向させるための液晶配向膜の形成に好適なラビング方法、このラビング方法が適用される光学フィルムの製造方法及び装置に関する。
近年、光学フィルムの需要が増加しつつある。この光学フィルムとしては、液晶セルに位相差板として使用される光学補償フィルムや、反射防止フィルム、防眩性フィルム等の各種の機能を有するフィルムが代表的である。
このような光学フィルムの製造方法の代表的なものとして、帯状可撓性の支持体(以下、「ウェブ」と言う)の表面にラビング処理を施し、次いで、ウェブの表面に各種塗布装置を使用して塗布液を塗布し、これを乾燥させ、その後に硬化させて各種組成の塗布膜(機能性膜)を形成する方法が挙げられる。
このラビング処理とは、液晶表示素子における液晶分子の配向処理方法の代表的なものであり、ウェブの表面に配向膜を形成し、この配向膜の表面をラビングローラにより一方向にラビングする方法が一般的である。
このような光学フィルムの製造等においては、ラビング処理条件が安定しないことに起因する配向不良が歩留り低下の1要因として問題となっている。そして、従来より、このような配向不良を低減させるべく各種の提案がなされている(特許文献1〜3参照。)。
この特許文献1の提案は、ラビングローラを2つの搬送ローラの間に配して、ラビングローラにウェブを巻き掛けながら搬送することにより連続生産を可能とする構成のものである。
特許文献2の提案は、ウェブの進行方向に対し斜めに配置したラビングローラに長尺のウェブを巻き掛けて、ウェブの進行方向を転向させて連続ラビングする構成のものであり、配向膜を均一にラビングできるとされている。
特許文献3の提案は、噴出ノズルからSmA−SmC相転移温度程度のホットエアをウェブに向けて噴出させる構成のものであり、加熱及び加圧により配向膜を均一にラビングできるとされている。
特開平8−160431号公報 特開平8−160430号公報 特開2002−55345号公報
しかしながら、特許文献1〜3等の構成によっても、配向不良が大幅に低減された訳ではなく、配向不良は依然として歩留り低下の1要因として問題となっている。
具体的に説明すると、第1に、ウェブの幅方向に存在する凹凸やしわにより、均一なラビングができないという問題がある。第2に、ウェブの搬送速度を大きくすると、ラビング処理時間が短くなるので、必然的にラビングローラの回転数を大きくしたり、ウェブのラビングローラへのラップ角(巻き掛け角)を大きくしたり、ウェブの張力を大きくしたりする必要があるが、その結果、ラビングローラ下流のウェブの張力が大きくなり、ウェブにしわが生じ、均一なラビングができないという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ラビング処理、特に、光学フィルムの製造におけるラビング処理において、配向不良に起因する表面の欠陥を大幅に低減させることができるラビング方法、光学フィルムの製造方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明は、前記目的を達成するために、帯状可撓性の支持体を連続走行させながら、回転するラビングローラに前記支持体の表面を巻き掛けてラビング処理を施すラビング方法において、前記支持体の裏面側より流体圧を印加し、前記支持体を前記ラビングローラに押圧させることを特徴とするラビング方法を提供する。
本発明によれば、支持体(ウェブ)の裏面側より流体圧を印加し、支持体をラビングローラに押圧させるので、ウェブにしわが生じることなく、均一なラビングができる。すなわち、ウェブを流体圧により押圧するので、ウェブがラビングローラになじみ、ウェブにしわが生じることなく、ラビング処理時にウェブ表面の配向膜を最適な状態に制御できる。これにより、配向不良に起因する表面の欠陥を大幅に低減させることができる。
なお、「流体圧を印加」とあるように、圧力を印加する流体は、以下に列挙する例のような気体のみならず、液体も採用できる。たとえば、水を柔軟な袋(樹脂製袋、ゴム製袋等)に充填し、これをウェブの裏面に載せてウェブをラビングローラに押圧させる構成をも採用できる。
本発明において、前記流体圧の印加が、前記支持体の幅と略同一長さの1以上のノズルより前記支持体の裏面側に気体を噴き付けることによりなされることが好ましい。また、本発明において、前記流体圧の印加が、前記支持体の幅方向に配列される複数のノズルより前記支持体の裏面側に気体を噴き付けることによりなされることが好ましい。
このように、ノズルより噴き付ける気体により支持体(ウェブ)をラビングローラに押圧させるのであれば、構成が比較的簡易であり、かつ、ウェブにしわが生じることなく、均一なラビングができる。
また、本発明において、前記流体圧の印加が、前記支持体の幅と略同一長さの内寸長さと前記ラビングローラの所定円周角分の幅と略同一幅の内寸幅とよりなる開口を有する筐体を前記支持体の裏面側に配し、該筐体内に気体を供給することによりなされることが好ましい。
このような、所定長さ分の支持体(ウェブ)の幅方向を覆う筐体を使用し、筐体内の気体により支持体(ウェブ)をラビングローラに押圧させるのであれば、静圧に近い加圧を実現でき、ウェブにしわが生じることなく、均一なラビングができる効果に加え、気体の使用量をノズル噴き付け方式よりも低減できる効果が得られる。
なお、前記のノズルや筐体における「支持体の幅と略同一長さ」とは、支持体の走行方向と垂直な方向の支持体の幅のみならず、所定のラビング角度をつけた状態の支持体の幅をも意味する。通常のラビング処理は、ラビングローラを支持体の走行方向に対して水平面で回転させ、所定のラビング角度をつけた状態で行うのが一般的だからである。
また、本発明において、前記流体圧の印加圧力が900〜7000Paであり、前記流体圧の印加時間が0.0045〜0.015秒であることが好ましい。このような条件で加圧を行うのであれば、適切な仕事量のラビング条件が確保でき、本発明の効果が一層発揮できる。
また、本発明は、前記ラビング方法によりラビング処理を施し、ラビング処理後の前記支持体の表面に塗布手段によって塗布液を塗布することにより機能性膜を形成することを特徴とする光学フィルムの製造方法を提供する。
また、このために、本発明は、帯状可撓性の支持体を連続走行させる支持体走行手段と、回転するラビングローラに前記支持体の表面を巻き掛けてラビング処理を施すラビング手段であって、前記支持体の裏面側より流体圧を印加し、前記支持体を前記ラビングローラに押圧させる押圧手段を備えたラビング手段と、ラビング処理後の前記支持体の表面に塗布液を塗布する塗布手段と、を備えることを特徴とする光学フィルムの製造装置を提供する。
本発明によれば、均一なラビングができ、配向不良に起因する表面の欠陥を大幅に低減させることができるので、品質の良好な光学フィルムを得ることができる。
なお、光学フィルムとは、光学補償フィルム、反射防止フィルム、防眩性フィルム等の各種の機能を有するフィルムをも含むものである。
以上説明したように、本発明によれば、ラビング処理時にウェブ表面の配向膜を最適な状態に制御でき、配向不良に起因する表面の欠陥を大幅に低減させることができる。
以下、添付図面に従って本発明に係るラビング方法、光学フィルムの製造方法及び装置の好ましい実施の形態(第1実施形態)について詳説する。図1は、本発明に係るラビング方法、光学フィルムの製造方法及び装置が適用される光学フィルムの製造ラインを示す説明図である。
光学フィルムの製造ライン10は、図1に示されるように、送り出し機66から予め配向膜形成用のポリマー層が形成された透明支持体であるウェブWが送り出されるようになっている。ウェブWはガイドローラ68によってガイドされて、ラビング処理装置70(ラビング手段)に送りこまれようになっている。ラビングローラ72は、ポリマー層にラビング処理を施すべく設けられている。このラビング処理装置70については、後述する。
ラビングローラ72の下流には除塵機74が設けられており、ウェブWの表面に付着した塵を取り除くことができるようになっている。除塵機74の下流にはグラビア塗布装置11が設けられており、ディスコネマティック液晶を含む塗布液がウェブWに塗布できるようになっている。
この下流には、乾燥ゾーン76、加熱ゾーン78が順次設けられており、ウェブW上に液晶層が形成できるようになっている。更に、この下流には紫外線ランプ80が設けられており、紫外線照射により、液晶を架橋させ、所望のポリマーを形成できるようになっている。そして、この下流に設けられた巻取り機82により、ポリマーが形成されたウェブWが巻き取られるようになっている。
ラビング処理装置70は、ポリマー層にラビング処理を施すための装置であり、本例ではラビングローラ72による1段のローラ構成となっている。なお、ラビング処理装置70として、複数段のローラ構成も採用できる。
ラビング処理装置70は、外周表面にベルベット等の植毛布からなるラビング用の布が巻付けられたラビングローラ72を矢印F方向に回転駆動させ、たとえば、10〜1000rpm程度まで回転速度を制御することができるようになっている。ラビングローラ72の形状は、たとえば、外径が50〜500mmであり、長さが、ラビング角度をつけた状態でもウェブWの幅より若干長くなるローラ状にできる。また、ラビング処理装置70は、任意のラビング角度に調整できるように、ウェブWの走行方向に対して水平面で回転自在とできるようになっている。
ラビングローラ72の上方には、図示しないローラステージが設けられており、このローラステージの下面にスプリングを介してバックアップローラ86、88が、ラビングローラ72と干渉しない位置に、回動自在に取り付けられている。バックアップローラ86、88には、ウェブWのテンションを検出する張力検出器90(図5参照)が備えられており、ラビング時のテンションの管理を行なうことができるようになっている。張力検出器90については後述する。
更に、バックアップローラ86、88は上下の調整が可能となっており、ローラを上下に移動させてウェブWのラビングローラ72へのラップ角を調整することができるようになっている。
また、ラビングローラ72の上方にはエアノズル50が設けられており、ウェブWの裏面側に気体(エア、窒素ガス等)を噴き付け、ウェブWをラビングローラ72へ押圧させることができるようになっている。
図2は、エアノズル50とラビング処理装置70との位置関係を示す要部拡大図であり、(A)は、正面図であり、(B)は、左側面図である。図2に示されるように、エアノズル50は、ウェブWの幅と略同一長さ(所定のラビング角度をつけた状態のウェブWの幅も含む)であり、噴出し口である先端部50Aが、ラビングローラ72の軸心と平行になるように配されている。
この気体噴き付け位置は、ウェブWのラップ角を二等分する中心線上である。したがって、ウェブWの裏面に、ウェブWの幅方向に均一な圧力で気体を噴き付け、ウェブWをラビングローラ72へ押圧させることができるようになっている。
なお、エアノズル50へ気体を供給するエア供給手段(エア配管、ブロワ又はエアコンプレッサ、等)の図示は省略してある。
次に、ラビングローラ72の詳細な構成について図3〜図5により説明する。
図3は、ラビング装置70の詳細な構成を示す図であり、(A)は、平面図であり、(B)は、正面図である。このラビング装置70は、ラビングローラ72と、ラビングローラ72の上流側と下流側に配置された既述のバックアップローラ86、88と、バックアップローラ86、88の上方に配置されたガイドローラ68、68とからなる。
ガイドローラ68、68は、バックアップローラ86、88からウェブWの幅以上の距離に設けられている。ガイドローラ68、68上のウェブWのラップ角は、60°以上120°以下になるように配置されている。
ラビング装置70において、ウェブWは、一定の搬送張力(5〜1000N)、搬送速度(1〜100m/分)の範囲で矢印E方向に搬送される。ウェブWとしては、幅が100〜3000mmで、厚さが1〜1000μmの範囲のものが主に使用できる。ウェブWの下面には、ポリイミド、PVA(ポリビニルアルコール)等からなる配向膜(図示略)が形成されている。
図4に示されるように、ウェブWに斜めのラビング処理を施す際、ウェブWの下方で待機しているラビングローラ72を水平方向に回転させ、ラビング角度βを設定できるようになっている。βは0°〜75°の範囲に設定可能で、所望のラビング方向に応じて適切な角度を選べる。
次に、ラビングローラ72を所定の位置まで上昇させ、又は、バックアップローラ86、88を所定の位置まで下降させ、ラビングローラ72にウェブWの配向膜面をラップさせる。そして、バックアップローラ86、88及びガイドローラ68、68によってウェブWを矢印E方向に搬送する。また、ラビングローラ72をウェブWの搬送方向Eとは逆方向、すなわち矢印F方向に回転させる。
なお、ラビングローラ72とウェブWとのラップ角は、ラビングローラ72とバックアップローラ86、88の間隔などの条件により0°〜180°の間の適当な角度を選ぶことができるが、ウェブWの搬送安定性を考慮すると1°〜20°が好ましい。
このとき、バックアップローラ86は、ウェブWのバックアップローラ86への搬入方向と垂直な方向(矢印G方向)に角度γで回転変位して、ウェブWの幅方向の張力を調整する。同様に、バックアップローラ88は、ウェブWのバックアップローラ88への搬入方向と垂直な方向(矢印H方向)に角度δで回転変位して、ウェブWの幅方向の張力を調整する。
バックアップローラ86、88により幅方向の張力を調整されたウェブWは、ラビングローラ72上を連続搬送され、ウェブWの配向膜の表面がラビングローラ72によって矢印I方向に連続的にラビング処理される。なお、角度γ及び角度δは、0°〜±20°の範囲で変位可能である。
図5に示されるように、バックアップローラ86、88の両端部には、ローラ軸受け21と、張力検出器22と、ローラ軸受け21を移動させるためのモータ23とが設けられている。ローラ軸受け21は、支柱24に固定されたスライドレール25上をモータ23によって移動可能となっている。
張力検出器22は、バックアップローラ86、88に接触しているウェブWの幅方向の張力を常時測定している。ウェブWの両縁部間の張力差が一定以上になった場合、すなわちラビング不良が起こりうる張力差が生じた場合には、モータ23が作動してバックアップローラ86、88を回転変位させることによりウェブWの両縁部間の張力差が緩和される。
以上の構成により、ウェブWがバックアップローラ86、88により上部から押えられながら、下側より押圧されたラビングローラ72によりウェブW表面(下面)の樹脂層がラビングされるようになっている。
次に、ラビング処理装置70の下流の構成について説明する。
除塵機74としては公知の各種タイプのものが採用できる。たとえば、静電除塵した圧縮エア(窒素ガス)をウェブWの表面に吹き付け、ウェブWの表面に付着した塵を取り除く構成のものが採用できる。
グラビア塗布装置11は、上流ガイドローラ17及び下流ガイドローラ18でガイドされて走行するウェブWに対して、回転駆動されるグラビアローラ12で塗布液を塗布する装置である。上流ガイドローラ17及び下流ガイドローラ18は、ウェブWがグラビアローラ12に所定の圧力で押し付けられながら走行するように配置されている。
グラビアローラ12、上流ガイドローラ17及び下流ガイドローラ18は、ウェブWの幅と略同一の長さを有する。
このうち、グラビアローラ12の直径は20〜250mmであることが好ましい。グラビアローラ12の直径をこのような範囲とすることにより、ウェブWの振動を抑制できる効果が得られる。上流ガイドローラ17及び下流ガイドローラ18の直径の制限は特にないが、直径が60mm以上であることが好ましい。上流ガイドローラ17及び下流ガイドローラ18の直径をこのような範囲とすることにより、ウェブWの振動を抑制できる効果が得られる。
グラビアローラ12は、図1の矢印に示されるように回転駆動される。この回転方向は、ウェブWの走行方向に対して逆転方向となる。なお、図1とは逆の順転の駆動による塗布も、塗布条件(たとえば、ドクターブレードの設置)によっては採用できる。
グラビアローラ12の駆動方法は、インバータモータによるダイレクト駆動(軸直結)であるが、各種モータと減速機(ギアヘッド)との組み合わせ、各種モータよりタイミングベルト等の巻き掛け伝達手段による方法であってもよい。
グラビアローラ12表面のセル(cell)形状は、公知のピラミッド型、格子型及び斜線型等のいずれであってもよい。すなわち、塗布速度、塗布液の粘度、塗布膜厚等により適宜のセルを選択すればよい。
グラビアローラ12の下方には、液受けパン14が設けられており、この液受けパン14には塗布液が満たされている。そして、グラビアローラ12の約下半分は塗布液に浸漬されている。この構成により、グラビアローラ12表面のセルに塗布液が供給されることとなる。
塗布前に塗布液の余剰分を掻き落とすべく、グラビアローラ12の約10時に位置にその先端が接するようにドクターブレード15が設置されている。このドクターブレード15は、基端部の回動中心15Aを中心として、図1の矢印方向に、図示しない付勢手段により付勢されている。
なお、塗布手段としてのグラビア塗布装置11は一例であり、これ以外の形式の塗布手段を採用してもよい。このような塗布手段としては、バーコータ、ロールコータ(トランスファロールコータ、リバースロールコータ等)、ダイコータ、エクストルージョンコータ、ファウンテンコータ、カーテンコータ、ディップコータ、スプレーコータ又はスライドホッパ等が採用できる。
グラビア塗布装置11の下流の、乾燥ゾーン76及び加熱ゾーン78としては、塗布層を乾燥させ、ウェブW上に液晶層が形成できるようになっているものであればよい。たとえば、図示のようにトンネル状の乾燥ゾーン76及び加熱ゾーン78とし、内部に乾燥手段及び加熱手段(ヒータや熱風発生機)を備えたものが採用できる。
紫外線ランプ80としては、紫外線照射により、液晶を架橋させ、所望のポリマーを形成できるようになっているものであればよい。
紫外線ランプ80の下流に設けられた巻取り機82は、ポリマーが形成されたウェブWを巻き取ることができるようになっている。
本実施の形態において、光学フィルムの製造ライン10全体、特にグラビア塗布装置11は、クリーンルーム等の清浄な雰囲気に設置するとよい。その際、清浄度はクラス1000以下が好ましく、クラス100以下がより好ましく、クラス10以下が更に好ましい。
次に、光学フィルムを構成する各素材について説明する。
本発明に使用するウェブWとしては、光透過率が80%以上であるポリマーフィルムを用いることが好ましい。ポリマーフィルムとしては、外力により複屈折が発現しにくいものが好ましい。ポリマーの例には、セルロース系ポリマー、ノルボルネン系ポリマー(たとえば、アートン(JSR(株)製)、ゼオノア、ゼオネックス(いずれも、日本ゼオン(株)製))及びポリメチルメタクリレートが含まれる、セルロース系ポリマーが好ましく、セルロースエステルがより好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルが更に好ましい。
この低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数は、2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)または4(セルロースブチレート)であることが好ましい。セルロースエステルとしてはセルロースアセテートが好ましく、その例としては、ジアセチルセルロース及びトリアセチルセルロースなどが挙げられる。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。
一般に、セルロースアセテートの2、3、6の水酸基は、全体の置換度の1/3づつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。本発明ではセルロースアセテートの6位水酸基の置換度が、2、3位に比べて多いほうが好ましい。
全体の置換度に対して6位の水酸基が30%以上40%以下アシル基で置換されていることが好ましく、更には31%以上、特に32%以上であることが好ましい。更にセルロースアセテートの6位アシル基の置換度が0.88以上であることが好ましい。
6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基であるプロピオニル基、ブチロイル基、バレロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基などで置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求める事ができる。
本発明のセルロースアセテートとして、特開平11−5851号公報の段落番号0043〜0044に記載されている合成例1、段落番号0048〜0049に記載されている合成例2、そして段落番号0051〜0052に記載されている合成例3の合成方法により得られたセルロースアセテートを用いることができる。
ポリマーフィルムのレターデーションを調整するため、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤として使用する。
ポリマーフィルムとしてセルロースアセテートフィルムを用いる場合、芳香族化合物は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用する。芳香族化合物は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.05〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することが更に好ましい。二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることが更に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。
芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1、3、5−トリアジン環が含まれる。芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1、3、5−トリアジン環が好ましく、ベンゼン環及び1、3、5−トリアジン環が更に好ましい。芳香族化合物は、少なくとも一つの1、3、5−トリアジン環を有することが特に好ましい。
芳香族化合物が有する芳香族環の数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることが更に好ましく、2〜6であることが最も好ましい。二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合及び(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、アセナフチレン環、ナフタセン環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環及びチアントレン環が含まれる。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環及びキノリン環が好ましい。
(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。二以上の単結合で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環または非芳香族性複素環を形成してもよい。
(c)の連結基も、二つの芳香族環の炭素原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O−、−NH−、−S−またはそれらの組み合わせであることが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆になってもよい。
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
芳香族環及び連結基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファモイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基及び非芳香族性複素環基が含まれる。
アルキル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。アルキル基は、更に置換基(例、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例には、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチル及び2−ジエチルアミノエチルが含まれる。アルケニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、更に置換基を有していてもよい。
アルケニル基の例には、ビニル、アリル及び1−ヘキセニルが含まれる。アルキニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、更に置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−ブチニル及び1−ヘキシニルが含まれる。
脂肪族アシル基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル、プロパノイル及びブタノイルが含まれる。脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシが含まれる。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルコキシ基は、更に置換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。
アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ、エトキシ、ブトキシ及びメトキシエトキシが含まれる。アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル及びエトキシカルボニルが含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ及びエトキシカルボニルアミノが含まれる。
アルキルチオ基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メチルチオ、エチルチオ及びオクチルチオが含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニル及びエタンスルホニルが含まれる。
脂肪族アミド基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含まれる。脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド及びn−オクタンスルホンアミドが含まれる。脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ及び2−カルボキシエチルアミノが含まれる。
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル及びジエチルカルバモイルが含まれる。脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイル及びジエチルスルファモイルが含まれる。脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイドが含まれる。非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノ及びモルホリノが含まれる。レターデーション上昇剤の分子量は、300〜800であることが好ましい。
レターデーション上昇剤の具体例としては、特開2000−111914号公報、同2000−275434号公報、PCT/JP00/02619号明細書等に記載されている。
以下、ポリマーフィルムとしてセルロースアセテートフィルムを用いる場合について具体的に説明する。ソルベントキャスト法によりセルロースアセテートフィルムを製造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、セルロースアセテートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステル及び炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
エーテル、ケトン及びエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトン及びエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトールが含まれる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノンが含まれる。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート及びペンチルアセテートが含まれる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール及び2−ブトキシエタノールが含まれる。ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることが更に好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
なお、技術的には、メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素は問題なく使用できるが、地球環境や作業環境の観点では、有機溶媒はハロゲン化炭化水素を実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、有機溶媒中のハロゲン化炭化水素の割合が5質量%未満(好ましくは2質量%未満)であることを意味する。また、製造したセルロースアシレートフィルムから、メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素が全く検出されないことが好ましい。二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
一般的な方法でセルロースアセテート溶液を調製できる。一般的な方法とは、0°C以上の温度(常温または高温)で、処理することを意味する。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法及び装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。セルロースアセテートの量は、得られる溶液中に10〜40質量%含まれるように調整する。セルロースアセテートの量は、10〜30質量%であることが更に好ましい。
有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。溶液は、常温(0〜40°C)でセルロースアセテートと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧及び加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースアセテートと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40°C以上であり、好ましくは60〜200°Cであり、更に好ましくは80〜110°Cである。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。たとえば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
本発明のセルロースアセート溶液(ドープ)の調製は、冷却溶解法に従い実施され、以下に説明する。まず室温近辺の温度(−10〜40°C)で有機溶媒中にセルロースアセートを撹拌しながら徐々に添加される。複数の溶媒を用いる場合は、その添加順は特に限定されない。
たとえば、主溶媒中にセルロースアセテートを添加した後に、他の溶媒(たとえばアルコールなどのゲル化溶媒など)を添加してもよいし、逆にゲル化溶媒を予めセルロースアセテートに湿らせた後の主溶媒を加えてもよく、不均一溶解の防止に有効である。セルロースアセテートの量は、この混合物中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアセテートの量は、10〜30質量%であることが更に好ましい。更に、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
次に、混合物は−100〜−10°C(好ましくは−80〜−10°C、更に好ましくは−50〜−20°C、最も好ましくは−50〜−30°C)に冷却される。冷却は、たとえば、ドライアイス・メタノール浴(−75°C)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20°C)中で実施できる。このように冷却すると、セルロースアセテートと有機溶媒の混合物は固化する。冷却速度は、特に限定されないがバッチ式での冷却の場合は、冷却に伴いセルロースアセテート溶液の粘度が上がり、冷却効率が劣るために所定の冷却温度に達するために効率よい溶解釜とすることが必要である。
また、本発明のセルロースアセテート溶液は膨潤させたあと、所定の冷却温度にした冷却装置を短時間移送することにより達成できる。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000°C/秒が理論的な上限であり、1000°C/秒が技術的な上限であり、そして100°C/秒が実用的な上限である。
なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。更に、これを0〜200°C(好ましくは0〜150°C、更に好ましくは0〜120°C、最も好ましくは0〜50°C)に加温すると、有機溶媒中にセルロースアセテートが流動する溶液となる。昇温は、室温中に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧及び減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33°C近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。
したがって、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10°C程度の温度で保存する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
調製したセルロースアセテート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアセテートフィルムを製造する。またドープに、前記のレターデーション上昇剤を添加することが好ましい。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40%、より好ましくは18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
ソルベントキャスト法における流延及び乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
ドープは、表面温度が10°C以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、更に100から160°Cまで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
本発明では得られたセルロースアセテート溶液を、ウェブWとしての平滑なバンド上或いはドラム上に単層液として流延してもよいし、2層以上の複数のセルロースアセテート液を流延してもよい。複数のセルロースアセテート溶液を流延する場合、ウェブWの進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアセテートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよく、たとえば特開昭61−158414号、特開平1−122419号、特開平11−198285号、などに記載の方法が適応できる。
また、2つの流延口からセルロースアセテート溶液を流延することによってもフィルム化することでもよく、たとえば特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、特開平6−134933号、に記載の方法で実施できる。また、特開昭56−162617号に記載の高粘度セルロースアセテート溶液の流れを低粘度のセルロースアセテート溶液で包み込み、その高、低粘度のセルロースアセテート溶液を同時に押出すセルロースアセテートフィルム流延方法でもよい。
或いはまた2個の流延口を用いて、第一の流延口によりウェブWに成型したフィルムを剥ぎ取り、ウェブW面に接していた側に第二の流延を行なうことにより、フィルムを作製することでもよく、たとえば特公昭44−20235号に記載されている方法である。流延するセルロースアセテート溶液は同一の溶液でもよいし、異なるセルロースアセテート溶液でもよく特に限定されない。複数のセルロースアセテート層に機能を持たせるために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押出せばよい。
更に本発明のセルロースアセテート溶液は、他の機能層(たとえば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)を同時に流延することも実施しうる。従来の単層液では、必要なフィルム厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースアセテート溶液を押出すことが必要であり、その場合セルロースアセテート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良であったりして問題となることが多かった。この解決として、複数のセルロースアセテート溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時にウェブW上に押出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアセテート溶液を用いることにより乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができた。
セルロースアセテートフィルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)及びトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及びクエン酸エステルが代表的である。
フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)及びジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)及びO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。
その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEP及びDPPが特に好ましい。可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることが更に好ましく、3〜15質量%であることが最も好ましい。
セルロースアセテートフィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることが更に好ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%を超えると、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
次に、ポリマーフィルムの延伸処理について説明する。作製されたセルロースアセテートフィルム(ポリマーフィルム)は、更に延伸処理によりレターデーションを調整することができる。延伸倍率は、3〜100%であることが好ましい。ポリマーフィルムの厚さは、40〜140μmであることが好ましく、70〜120μmであることが更に好ましい。また、この延伸処理の条件を調整することにより、光学補償フィルムの遅相軸の角度の標準偏差を小さくすることができる。
延伸処理の方法に特に限定はないが、その例としてテンターによる延伸方法が挙げられる。上記のソルベントキャスト法により作製したフィルムに、テンターを用いて横延伸を実施する際に、延伸後のフィルムの状態を制御することにより、フィルム遅相軸角度の標準偏差を小さくすることができる。具体的には、テンターを用いてレターデーション値を調整する延伸処理を行い、そして延伸直後のポリマーフィルムをその状態のまま、フィルムのガラス転移温度近傍で保持することにより、遅相軸角度の標準偏差を小さくすることができる。
この保持の際のフィルムの温度をガラス転移温度よりも低い温度で行うと、標準偏差が大きくなってしまう。また、別の例としては、ロール間にて縦延伸を行う際に、ロール間距離を広くすると遅相軸の標準偏差を小さくできる。
次に、ポリマーフィルムの表面処理について説明する。ポリマーフィルムを偏光板の透明保護膜として使用する場合、ポリマーフィルムを表面処理することが好ましい。表面処理としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理を実施する。酸処理またはアルカリ処理、すなわちポリマーフィルムに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。
次に、配向膜について説明する。配向膜は、光学異方性層のディスコティック液晶性分子の配向方向を規定する機能を有する。配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。更に、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。ポリビニルアルコールが、好ましいポリマーである。疎水性基が結合している変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。疎水性基は光学異方性層のディスコティック液晶性分子と親和性があるため、疎水性基をポリビニルアルコールに導入することにより、ディスコティック液晶性分子を均一に配向させることができる。
疎水性基は、ポリビニルアルコールの主鎖末端または側鎖に結合させる。疎水性基は、炭素原子数が6以上の脂肪族基(好ましくはアルキル基またはアルケニル基)または芳香族基が好ましい。ポリビニルアルコールの主鎖末端に疎水性基を結合させる場合は、疎水性基と主鎖末端との間に連結基を導入することが好ましい。連結基の例には、−S−、−C(CN)R1 −、−NR2 −、−CS−及びそれらの組み合わせが含まれる。上記R1 及びR2 は、それぞれ、水素原子または炭素原子数が1〜6のアルキル基(好ましくは、炭素原子数が1〜6のアルキル基)である。
ポリビニルアルコールの側鎖に疎水性基を導入する場合は、ポリビニルアルコールの酢酸ビニル単位のアセチル基(−CO−CH3 )の一部を、炭素原子数が7以上のアシル基(−CO−R3 )に置き換えればよい。R3 は、炭素原子数が6以上の脂肪族基または芳香族基である。市販の変性ポリビニルアルコール(例、MP103、MP203、R1130、クラレ(株)製)を用いてもよい。配向膜に用いる(変性)ポリビニルアルコールのケン化度は、80%以上であることが好ましい。(変性)ポリビニルアルコールの重合度は、200以上であることが好ましい。
ラビング処理は、配向膜の表面を、紙や布で一定方向に、数回こすることにより実施する。長さ及び太さが均一な繊維を均一に植毛した布を用いることが好ましい。なお、光学異方性層のディスコティック液晶性分子を配向膜を用いて配向後、配向膜を除去しても、ディスコティック液晶性分子の配向状態を保つことができる。すなわち、配向膜は、ディスコティック液晶性分子を配向するため楕円偏光板の製造において必須であるが、製造された光学補償フィルムにおいては必須ではない。
配向膜を透明ウェブWと光学異方性層との間に設ける場合は、更に下塗り層(接着層)を透明ウェブWと配向膜との間に設けることが好ましい。また面状安定化の為に、クエン酸エステルを必要に応じ添加してもよい。
次に、光学異方性層について説明する。光学異方性層はディスコティック液晶性分子から形成する。ディスコティック液晶性分子は、一般に、光学的に負の一軸性を有する。本発明の光学補償フィルムにおいては、ディスコティック液晶性分子は、円盤面と透明ウェブW面とのなす角が、光学異方性層の深さ方向において変化している(ハイブリッド配向している)ことが好ましい。ディスコティック液晶性分子の光軸は、円盤面の法線方向に存在する。
ディスコティック液晶性分子は、光軸方向の屈折率よりも円盤面方向の屈折率が大きな複屈折性を有する。光学異方性層は、上記の配向膜によってディスコティック液晶性分子を配向させ、その配向状態のディスコティック液晶性分子を固定することによって形成することが好ましい。ディスコティック液晶性分子は、重合反応により固定することが好ましい。
なお、光学異方性層には、レターデーション値が0となる方向が存在しない。言い換えると、光学異方性層のレターデーションの最小値は、0を超える値である。具体的には、光学異方性層は、下記式(I)により定義されるReレターデーション値が10〜100nmの範囲にあり、下記式(II)により定義されるRthレターデーション値が40〜250nmの範囲にあり、そして、ディスコティック液晶性分子の平均傾斜角が20〜50゜であることが好ましい。
(I) Re=(nx−ny)×d
(II) Rth={(n2+n3)/2−n1}×d
式(I)において、nxは、光学異方性層面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは、光学異方性層面内の進相軸方向の屈折率であり、そして、dは、光学異方性層の厚さである。式(II)において、n1は、光学異方性層を屈折率楕円体で近似した場合の屈折率主値の最小値であり、n2及びn3は、光学異方性層の他の屈折率主値であり、そして、dは、光学異方性層の厚さである。
ディスコティック液晶性分子は、様々な文献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Co mm., page 1794 (1985) ;J. Zhang et al., J. Am. Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されている。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。したがって、重合性基を有するディスコティック液晶性分子は、下記式(III )で表わされる化合物であることが好ましい。
(III ) D(−L−Q)n
式(III )において、Dは、円盤状コアであり、Lは、二価の連結基であり、Qは、重合性基であり、そして、nは、4〜12の整数である。
円盤状コア(D)の例を以下に示す。以下の各例において、LQ(またはQL)は、二価の連結基(L)と重合性基(Q)との組み合わせを意味する。
式(I)において、二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−及び−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることが更に好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−及び−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好まし。アリーレン基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。
二価の連結基(L)の例を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(Q)に結合する。ALはアルキレン基またはアルケニレン基、ARはアリーレン基を意味する。なお、アルキレン基、アルケニレン基及びアリーレン基は、置換基(例、アルキル基)を有していてもよい。
L1:−AL−CO−O−AL−
L2:−AL−CO−O−AL−O−
L3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L5:−CO−AR−O−AL−
L6:−CO−AR−O−AL−O−
L7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L8:−CO−NH−AL−
L9:−NH−AL−O−
L10:−NH−AL−O−CO−
L11:−O−AL−
L12:−O−AL−O−
L13:−O−AL−O−CO−
L14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L15:−O−AL−S−AL−
L16:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L17:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L18:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L20:−S−AL−
L21:−S−AL−O−
L22:−S−AL−O−CO−
L23:−S−AL−S−AL−
L24:−S−AR−AL−
式(I)の重合性基(Q)は、重合反応の種類に応じて決定する。
重合性基(Q)は、不飽和重合性基(Q1〜Q7)またはエポキシ基(Q8)であることが好ましく、不飽和重合性基であることが更に好ましく、エチレン性不飽和重合性基(Q1〜Q6)であることが最も好ましい。式(III )において、nは4〜12の整数である。具体的な数字は、円盤状コア(D)の種類に応じて決定される。なお、複数のLとQの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
光学異方性層は、ディスコティック液晶性分子及び必要に応じて重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することにより形成できる。光学異方性層の厚さは、0.5〜100μmであることが好ましく、0.5〜30μmであることが更に好ましい。
配向させたディスコティック液晶性分子を、配向状態を維持して固定する。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることが更に好ましい。ディスコティック液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20〜5000mJ/cm2 であることが好ましく、100〜800mJ/cm2 であることが更に好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。保護層を、光学異方性層の上に設けてもよい。また面状安定化の為に、クエン酸エステルを必要に応じ添加してもよい。
次に、図1に示される光学フィルムの製造ライン10を使用した光学フィルムの製造方法について、ラビング処理を主体として説明する。先ず、送り出し機66から、予め配向膜形成用のポリマー層が形成された、厚さが40〜300μmのウェブWが送り出される。ウェブWはガイドローラ68によってガイドされて、ラビング処理装置70に送りこまれ、ラビングローラ72によってポリマー層がラビング処理される。
ラビング装置70でウェブWにラビング処理を施す際、先ずウェブWの下方で待機しているラビングローラ72が水平方向に回転し、ラビング角度βが設定される。次に、ラビングローラ72が所定の位置まで上昇する。又は、バックアップローラ86、88が所定の位置まで下降して、ラビングローラ72にウェブWの配向膜面が巻き掛けられる。
そして、バックアップローラ86、88及びガイドローラ68、68によってウェブWが矢印Eの方向に搬送される。同時に、ラビングローラ72はウェブWの搬送方向Eとは逆の方向、すなわち矢印Fの方向に回転する。
この際、バックアップローラ86、88は、張力検出器22の検出結果に基づいてウェブWの両縁部間に生じる張力差を緩和させるように、モータ23によりスライドレール25上を移動する。幅方向の張力差を調整されたウェブWは、ラビングローラ72上を連続搬送され、ウェブWの配向膜の表面がラビングローラ72によって矢印I方向に連続的にラビング処理される。
上記構成によるラビング処理においては、バックアップローラ86及び88上のウェブWのラップ角が60°以上120°以下になるようにガイドローラ68、68が配置され、ローラと接触しているウェブWの幅方向の張力差を検出する張力検出器22の検出結果に応じて、ウェブWのバックアップローラ86、88への搬入方向と垂直な方向に60°〜120°の範囲でバックアップローラ86、88を回転変位させている。
このため、ウェブWの搬送張力がその幅方向で一定に保たれ、ラビング処理をする際のウェブWとラビングローラ72との接触状態を均一にすることができる。また、バックアップローラ86、88を上記方向に回転変位させる場合、ラビング処理を施してもウェブWの幅方向の変位を最小限に抑えることができる。
更に、ラビングローラ72の上方に設けられているエアノズル50より、ウェブWの裏面に、ウェブWの幅方向に均一な圧力で気体を噴き付け、ウェブWをラビングローラ72へ押圧させる。
エアノズル50よりの気体を噴き付け圧力(印加圧力)は、900〜7000Paの範囲で、気体圧の噴き付け(印加)時間は、0.0045〜0.015秒であることが好ましい。このような条件で加圧を行うのであれば、適切な仕事量のラビング条件が確保できる。
上記のエアノズル50の作用により、ウェブWにしわを生じさせることなく、かつ、ウェブWの幅方向の配向状態のばらつきを最小限に抑えることができる。
ラビング処理の後には、除塵機74により、ウェブWの表面に付着した塵が取り除かれる。そして、グラビア塗布装置11によりディスコネマティック液晶を含む塗布液がウェブWに塗布される。
この後に、乾燥ゾーン76、加熱ゾーン78を経て、液晶層が形成される。更に紫外線ランプ80により液晶層を照射し、液晶を架橋させることにより、所望のポリマーが形成される。そして、このポリマーが形成されたウェブWは巻取り機82により巻き取られる。
次に、本発明に係るラビング方法、光学フィルムの製造方法及び装置の他の実施の形態(第2実施形態)について説明する。なお、この実施形態が既述の第1実施形態と異なる点は、エアノズル50の構成のみであり、これ以外の光学フィルムの製造ライン10の全体構成は同一であることより、図示及び詳細な説明を省略する。
図6は、エアノズル50とラビング処理装置70との位置関係を示す要部拡大図であり、第1実施形態の図2に対応する。このうち(A)は、正面図であり、(B)は、左側面図である。
図6に示されるように、第1実施形態と異なり、エアノズル50が2組設けられている。そして、このエアノズル50、50による気体噴き付け位置は、ウェブWのラップ角の両端部近傍である。したがって、ウェブWの裏面に、ウェブWの幅方向に均一な圧力で気体を噴き付け、ウェブWをラビングローラ72へ押圧させることができるようになっている。特に、ウェブWのラップ角の両端部近傍に気体が噴き付けられることにより、ウェブWの長手方向に張力が加わり、ウェブWに発生するしわを除去するのに効果的である。
なお、エアノズル50が、ウェブWの幅と略同一長さであり、噴出し口である先端部50Aが、ラビングローラ72の軸心と平行になるように配されている点は、第1実施形態と同様である。
次に、本発明に係るラビング方法、光学フィルムの製造方法及び装置の更に他の実施の形態(第3実施形態)について説明する。なお、この実施形態が既述の第1実施形態と異なる点は、エアノズル50(52)の構成のみであり、これ以外の光学フィルムの製造ライン10の全体構成は同一であることより、図示及び詳細な説明を省略する。
図7は、エアノズル52とラビング処理装置70との位置関係を示す要部拡大図であり、第1実施形態の図2に対応する。このうち(A)は、正面図であり、(B)は、左側面図である。
図7に示されるように、第1実施形態と異なり、エアノズル52が2組設けられている。このエアノズル52は、第1実施形態のエアノズル50と断面形状は同一であるが、長さがウェブWの幅より短い。そして、エアノズル52、52同士はウェブWの幅方向に離れて、噴出し口である先端部52A、52Aが、ラビングローラ72の軸心と平行になるように配されている。
このエアノズル52、52による気体噴き付け位置(ラビングローラ72の円周方向の)は、ウェブWのラップ角を二等分する中心線上である。また、このエアノズル52、52による気体噴き付け位置(ラビングローラ72の長手方向の)は、ウェブWの幅方向両端部の若干内側部分である。
したがって、ウェブWの裏面に、ウェブWの幅方向に均一な圧力で気体を噴き付け、ウェブWをラビングローラ72へ押圧させることができるようになっている。特に、ウェブWにしわが発生しやすい、ウェブWの幅方向両端部の若干内側部分に気体が噴き付けられることにより、この部分のウェブWに発生するしわを除去するのに効果的である。
次に、本発明に係るラビング方法、光学フィルムの製造方法及び装置の更に他の実施の形態(第4実施形態)について説明する。なお、この実施形態が既述の第1実施形態と異なる点は、エアノズル50(52)の構成のみであり、これ以外の光学フィルムの製造ライン10の全体構成は同一であることより、図示及び詳細な説明を省略する。
図8は、エアノズル52とラビング処理装置70との位置関係を示す要部拡大図であり、第1実施形態の図2に対応する。このうち(A)は、正面図であり、(B)は、左側面図である。
図8に示されるように、第1実施形態と異なり、エアノズル50が4組設けられている。そして、このエアノズル52、52…による気体噴き付け位置は、ウェブWのラップ角の両端部近傍である。また、第3実施形態と同様に、エアノズル52の長さがウェブWの幅より短い。そして、エアノズル52、52同士はウェブWの幅方向に離れて、噴出し口である先端部52A、52Aが、ラビングローラ72の軸心と平行になるように配されている。
したがって、ウェブWの裏面に、ウェブWの幅方向に均一な圧力で気体を噴き付け、ウェブWをラビングローラ72へ押圧させることができるようになっている。特に、ウェブWのラップ角の両端部近傍に気体が噴き付けられることにより、ウェブWの長手方向に張力が加わり、ウェブWに発生するしわを除去するのに効果的であり、また、ウェブWの幅方向両端部の若干内側部分に気体が噴き付けられることにより、この部分のウェブWに発生するしわを除去するのに効果的である。
次に、本発明に係るラビング方法、光学フィルムの製造方法及び装置の更に他の実施の形態(第5実施形態)について説明する。なお、この実施形態が既述の第1実施形態と異なる点は、エアノズル50(エアチャンバ54)の構成のみであり、これ以外の光学フィルムの製造ライン10の全体構成は同一であることより、図示及び詳細な説明を省略する。
図9は、エアチャンバ54とラビング処理装置70との位置関係を示す要部拡大図であり、第1実施形態の図2に対応する。このうち(A)は、正面図であり、(B)は、左側面図である。
図9に示されるように、第1実施形態と異なり、エアノズル50に代えてエアチャンバ54が設けられている。このエアチャンバ54は、枡状の筐体であり、下面に設けられる開口54Aが、ウェブWの幅と略同一長さ(所定のラビング角度をつけた状態のウェブWの幅も含む)の内寸長さと、ラビングローラ72の所定円周角分の幅と略同一幅の内寸幅よりなる。このエアチャンバ54の内部には、図示しないエア供給手段(エア配管、ブロワ又はエアコンプレッサ、等)より気体が供給される。
このような、所定走行長さ分のウェブWの全幅を覆うエアチャンバ54を使用し、エアチャンバ54内の気体によりウェブWをラビングローラ72に押圧させるのであれば、静圧に近い加圧を実現でき、ウェブWにしわが生じることなく、均一なラビングができる効果に加え、気体の使用量をノズル噴き付け方式よりも低減できる効果が得られる。
以上、本発明に係るラビング方法、光学フィルムの製造方法及び装置の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
たとえば、本実施形態では、流体圧の印加手段として、気体による加圧手段が採用されているが、これに代えて、既述したような、液体による加圧手段、たとえば、水を柔軟な袋(樹脂製袋、ゴム製袋等)に充填し、これをウェブWの裏面に載せてウェブWをラビングローラ72に押圧させる構成をも採用できる。
また、エアノズル50、52やエアチャンバ54の構成も、本実施形態の各構成以外に、他の各種の構成が採用できる。
また、本実施形態において、塗布液としてディスコネマティック液晶を含む塗布液が例示されているが、他の種類の光学フィルム用の塗布液、光学フィルム用以外の塗布液等も採用することもできる。
図1に示される光学フィルムの製造ライン10を使用して各種の条件で光学フィルム(光学補償フィルム)の製造を行った。
トリアセチルセルロース(フジタック、富士写真フィルム(株)製、厚さ:80μm、幅:1340mm)の長尺状のウェブWの一方の側に、長鎖アルキル変性ポバール(MP−203、クラレ(株)製)5重量%の溶液を塗布し、90°Cで4分間乾燥させた後、ラビング処理を行って膜厚2.0μmの配向膜形成用樹脂層を形成した。
ウェブWの搬送速度は、24m/分とした。トリアセチルセルロースフィルムは、フィルム面内の直交する二方向の屈折率をnx,ny、厚さ方向の屈折率をnz、そしてフィルムの厚さをdとしたとき、(nx−ny)×d=16nm、{(nx−ny)/2−nz}×d=75nmであった。また上記配向膜形成用樹脂層の形成は、図1に示される光学フィルムの製造ライン10を用いて行なった。
[実施例1]
上記のウェブWが巻回された光学フィルムの製造ライン10の送り出し機66から、40m/分の搬送速度でウェブWを送り出し、ラビング処理装置70において、ウェブWを連続して40m/分で搬送しながら、樹脂層表面にラビング処理を施した。
ラビング処理は、ラビングローラ72のラップ角を8°、ラビングローラ72の外径を300mm、ラビングローラ72の回転数を500rpm、ラビング角度βを4.5°、ウェブWの搬送張力290N/mの条件で行った。
ラビング処理の際のエアノズル50の先端部50AとウェブWの裏面との間隔(クリアランス)は、10mmに設定した。エアノズル50のエアノズル50の先端部50Aの開口幅は、1mmである。エアノズル50の内部のエア圧は、10kPaとした。
エアノズル50よりのエアの噴出圧は、実測値で2400Paであった。このエアの噴出圧の測定は、ダミーのラビングローラ72に、先端がローラ表面と面一になるように埋め込んだ針(微細な円筒状)に印加される風圧を、針の背面に連通させたマノメータで読み取ることにより行った。
なお、比較例として、エアノズル50よりのエアの噴出を行わない試料も作成した。
次いで、得られた配向膜を有するウェブWを、連続して40m/分で搬送しながら、配向膜上に、ディスコティック化合物TE−8の(3)とTE−8の(5)の重量比で4:1の混合物に、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)を上記混合物に対して1重量%添加した混合物の10重量%メチルエチルケトン溶液(塗布液)を、グラビア塗布装置11にて、塗布量5ml/m2 で塗布し、次いで、乾燥ゾーン76及び加熱ゾーン78を通過させた。
乾燥ゾーン76には0.1m/秒の風を送り、加熱ゾーン78は130°Cに調製した。ウェブWは、塗布後3秒後に乾燥ゾーン76に入り、更に3秒後に加熱ゾーン78に入った。ウェブWは加熱ゾーン78を約3分で通過した。
次いで、この配向膜及び液晶層が塗布されたウェブWを、連続して40m/分で搬送しながら、液晶層の表面に紫外線ランプ80により紫外線を照射した。すなわち、加熱ゾーン78を通過したウェブWに、紫外線ランプ80(出力:160W/cm、発光長:1.6m)により、照度600mWの紫外線を4秒間照射し、液晶層を架橋させた。
更に、配向膜及び液晶層が形成されたウェブWは、検査装置により表面の光学特性が測定され、検査され、次いで、液晶層表面に保護フィルムがラミネート機(図示略)により積層され、巻取り機82により巻き取られ、光学補償フィルムが得られた。
得られた光学補償フィルムの評価を消光値による配向性の評価で行った。消光値による配向性の評価には、大塚電子株式会社製の消光度測定装置を使用した。この装置において、測定波長を550nmとし、パラニコル配置の偏光板の透過率を100%とした。そして、クロスニコルに配置した2枚のディスコティツク液晶の配向性の評価を行った。
消光値による配向性の評価では、消光値が低いほど配向性が高いことを意味する。配向性の評価は、配向性の度合いを、配向性良好(100%)〜配向性不良(0%)までの定量性評価とした。
評価結果を図10のグラフに示す。このグラフの横軸は、ウェブWの幅方向の測定位置であり、縦軸は、消光値の評価による配向性の度合いである。
図10のグラフによれば、実施例においては、ウェブWの幅方向の全ての位置において良好な配向が得られていることが解る。一方、比較例においては、ウェブWの幅方向の位置によっては配向が悪化しており、また、配向の全体レベルも低くなっている。以上の評価結果より本発明の効果が確認された。
[実施例2]
前記のウェブW(ただし、幅が1.34m)が巻回された光学フィルムの製造ライン10の送り出し機66から、24m/分の搬送速度でウェブWを送り出し、ラビング処理装置70において、ウェブWを連続して搬送速度V=24m/分で搬送しながら、樹脂層表面にラビング処理を施した。
ラビング処理は、ラビングローラ72のラップ角を4°、ラビングローラ72の外径を300mm、ラビングローラ72の回転数を400、及び500rpm、ラビング角度βを4°、ウェブWの搬送張力N=180、及び280N/mの条件で行った。
なお、ラビングローラ72の動摩擦係数μを実験で求めたところ、1.06であった。この測定は、動摩擦計に2cm角のラビング布(ステンレス板に貼り付けた)をセットし、配向膜面に対して滑らせることにより行った。移動速度は1200mm/分であり、荷重は、70g/4cm2 である。
ラビング処理の際のエアノズル50の先端部50AとウェブWの裏面との間隔(クリアランス)は、10mmに設定した。エアノズル50のエアノズル50の先端部50Aの開口幅は、1mmである。エアノズル50よりのエアの噴出圧Pの測定は、実施例1と同様である。エアノズル50によるウェブWの押し付け幅Sは3mmである。
なお、後述する図11(A)の表において、エアノズル50による押し付け圧N1(=P×S×W)、及びエアノズル50による1回転の仕事Fs(=μ×N1×πD)がそれぞれ算出されている。
次いで、得られた配向膜を有するウェブWを、連続して24m/分で搬送しながら、配向膜上に、実施例1と同一の塗布液を、グラビア塗布装置11にて、塗布量5ml/m2 で塗布し、次いで、乾燥ゾーン76及び加熱ゾーン78を通過させ、実施例1と同一の条件で処理し、液晶層の表面に紫外線ランプ80により実施例1と同一の条件で紫外線を照射し、液晶層を架橋させた。
得られた光学補償フィルムの評価を、消光値による配向性の評価、及び目視による縞状ムラの有無の判定で行った。消光値による配向性の評価は、実施例1と同一である。また、ラビング処理時のウェブWのしわを目視により観察した。更に、ラビング布の寿命についても一部の実験条件において評価した。
以上の実験条件及び評価結果を図11の表に纏める。このうち、(A)は、実験条件であり、(B)は、評価結果である。
水準1と水準2、3とを比較した場合、エアプレスを使用することにより目標の消光度(配向)を得て、ラビング上のシワを低減できることが解った。すなわち、エアプレス圧力を900Pa以上に印加(水準2)することにより、ラビング上のウェブWのシワを低減できることが解り、エアプレス圧力を900Pa以上に印加(水準2)、好ましくは1400Pa以上に印加(水準3)することにより、目標の配向特性(消光度、ムラ)が得られることが解った。
なお、エアプレス圧力を9000Paに印加(水準8)したところ、ハキス(ラビング掛けのスジ)が認められたので、エアプレス圧力としては、7000Pa(水準7)以下が好ましいことが解った。
[実施例3]
前記のウェブW(ただし、幅が1.34m)が巻回された光学フィルムの製造ライン10の送り出し機66から、24m/分の搬送速度でウェブWを送り出し、ラビング処理装置70において、ウェブWを連続して搬送速度V=24m/分で搬送しながら、樹脂層表面にラビング処理を施した。
ラビング処理は、ラビングローラ72のラップ角を4°、ラビングローラ72の外径を300mm、ラビングローラ72の回転数を400、及び500rpm、ラビング角度βを4°、ウェブWの搬送張力N=180、及び280N/mの条件で行った。
なお、ラビングローラ72の動摩擦係数μを実験で求めたところ、1.06であった。この測定は、動摩擦計に2cm角のラビング布(ステンレス板に貼り付けた)をセットし、配向膜面に対して滑らせることにより行った。移動速度は1200mm/分であり、荷重は、70g/4cm2 である。
ラビング処理の際のエアノズル50の先端部50AとウェブWの裏面との間隔(クリアランス)は、10mmに設定した。エアノズル50のエアノズル50の先端部50Aの開口幅は、1mmである。エアノズル50よりのエアの噴出圧Pの測定は、実施例1と同様である。エアノズル50によるウェブWの押し付け幅Sは3mmである。
なお、後述する図12(A)の表において、エアノズル50による押し付け圧N1(=P×S×W)、及びエアノズル50による1回転の仕事Fs(=μ×N1×πD)がそれぞれ算出されている。
次いで、得られた配向膜を有するウェブWを、連続して24m/分で搬送しながら、配向膜上に、実施例1と同一の塗布液を、グラビア塗布装置11にて、塗布量5ml/m2 で塗布し、次いで、乾燥ゾーン76及び加熱ゾーン78を通過させ、実施例1と同一の条件で処理し、液晶層の表面に紫外線ランプ80により実施例1と同一の条件で紫外線を照射し、液晶層を架橋させた。
得られた光学補償フィルムの評価を、消光値による配向性の評価、及び目視による縞状ムラの有無の判定で行った。消光値による配向性の評価は、実施例1と同一である。また、ラビング処理時のウェブWのしわを目視により観察した。更に、ラビング布の寿命についても一部の実験条件において評価した。
以上の実験条件及び評価結果を図12の表に纏める。このうち、(A)は、実験条件であり、(B)は、評価結果である。
水準1と水準2、3とを比較した場合、エアプレスを使用することにより目標の消光度(配向)を得て、ラビング上のシワを低減できることが解った。
水準4と水準5、6とを比較した場合、エアプレスを使用することにより目標の消光度(配向)を得て、ラビング上のシワを低減できることが解った。
水準7と水準8、9とを比較した場合、エアプレスを使用することによりラビング上のシワを低減できることが解った。
水準7と水準5、6とを比較した場合、エアプレスを使用することにより目標の消光度(配向)を得て、テンションを下げることが可能になり、ラビング上のシワを低減できることが解った。
水準7と水準3とを比較した場合、エアプレスを使用することにより目標の消光度(配向)を得て、ラビングローラ回転数を下げることが可能になり、ラビング布の寿命を長くでき、ラビング上のシワを低減できることが解った。
本発明に係るラビング方法、光学フィルムの製造方法及び装置が適用される光学フィルムの製造ラインを示す説明図 エアノズルとラビング処理装置との位置関係を示す要部拡大図 ラビング装置の詳細な構成を示す図 ラビング装置の詳細な構成を示す図 ラビング装置の詳細な構成を示す図 第2実施形態におけるエアノズルとラビング処理装置との位置関係を示す要部拡大図 第3実施形態におけるエアノズルとラビング処理装置との位置関係を示す要部拡大図 第4実施形態におけるエアノズルとラビング処理装置との位置関係を示す要部拡大図 第5実施形態におけるエアノズルとラビング処理装置との位置関係を示す要部拡大図 実施例1の結果を示すグラフ 実施例2の条件及び結果を示す表 実施例3の条件及び結果を示す表
符号の説明
10…光学フィルムの製造ライン、11…グラビア塗布装置、12…グラビアローラ、14…液受けパン、50…エアノズル、52…エアノズル、54…エアチャンバ、66…送り出し機、68…ガイドローラ、70…ラビング処理装置、72…ラビングローラ、74…除塵機、76…乾燥ゾーン、78…加熱ゾーン、80…紫外線ランプ、82…巻取り機、86、88…バックアップローラ、W…ウェブ

Claims (7)

  1. 帯状可撓性の支持体を連続走行させながら、回転するラビングローラに前記支持体の表面を巻き掛けてラビング処理を施すラビング方法において、
    前記支持体の裏面側より流体圧を印加し、前記支持体を前記ラビングローラに押圧させることを特徴とするラビング方法。
  2. 前記流体圧の印加が、前記支持体の幅と略同一長さの1以上のノズルより前記支持体の裏面側に気体を噴き付けることによりなされる請求項1に記載のラビング方法。
  3. 前記流体圧の印加が、前記支持体の幅方向に配列される複数のノズルより前記支持体の裏面側に気体を噴き付けることによりなされる請求項1に記載のラビング方法。
  4. 前記流体圧の印加が、前記支持体の幅と略同一長さの内寸長さと前記ラビングローラの所定円周角分の幅と略同一幅の内寸幅とよりなる開口を有する筐体を前記支持体の裏面側に配し、該筐体内に気体を供給することによりなされる請求項1に記載のラビング方法。
  5. 前記流体圧の印加圧力が900〜7000Paであり、前記流体圧の印加時間が0.0045〜0.015秒である請求項1〜4のいずれか1項に記載のラビング方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のラビング方法によりラビング処理を施し、ラビング処理後の前記支持体の表面に塗布手段によって塗布液を塗布することにより機能性膜を形成することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  7. 帯状可撓性の支持体を連続走行させる支持体走行手段と、
    回転するラビングローラに前記支持体の表面を巻き掛けてラビング処理を施すラビング手段であって、前記支持体の裏面側より流体圧を印加し、前記支持体を前記ラビングローラに押圧させる押圧手段を備えたラビング手段と、
    ラビング処理後の前記支持体の表面に塗布液を塗布する塗布手段と、
    を備えることを特徴とする光学フィルムの製造装置。
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