JP4701621B2 - 積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は積層体の製造方法に係り、特に、送液配管を介して塗工装置に送液された有機溶剤系の塗布液を、走行する支持体上に塗布し、塗布膜を乾燥することで製造される積層体の製造方法に関する。
近年、光学機能性フィルムの需要が増加しつつある。この光学機能性フィルムとしては、液晶セルに位相差板として使用される光学補償フィルムや、反射防止フィルム、防眩性フィルム等の各種の機能を有するフィルムが代表的である。
このような光学機能性フィルムの製造方法の代表的なものとして、走行する帯状可撓性の支持体(以下、「ウエブ」と言う)の表面に塗工装置を使用して有機溶剤系の塗布液を塗布し、これを乾燥させて各種組成の塗布膜を形成する方法が挙げられる。
近年においては、光学機能性フィルムの高性能化によって塗布膜の薄層化及び膜厚ムラ防止の要求精度が以前に比べて格段に高くなってきている。この為、単に塗工装置の機械精度を上げるだけでは解決できず、塗布経過時における塗布液中の固形分濃度の経時的な変化を精度良く管理し、常に一定の固形分濃度にすることが重要になってきている。しかし、一般的に有機溶剤系の塗布液は水系の塗布液よりも溶媒が蒸発し易く、塗布液中の固形分濃度が変化し易いという問題がある。更には、光学機能性フィルムの製造で使用される塗工装置としては、バー塗工装置(バー方式、ミイヤーバー方式)、グラビア塗工装置(ダイレクト方式、キス方式)、ロール塗工装置等が代表的であり、これらの塗工装置は液溜め部から塗布液を掻き上げて支持体に塗布する方式なので、塗布液中の有機溶媒が蒸発し易いという問題がある。また、これらの塗工装置の場合、ウエブに塗り付けられなかった余剰の塗布液は回収され、回収された塗布液は、塗工装置に送液する送液ラインに戻されて再利用されるのが通常である。このように塗布液を再利用する場合には、塗布液の回収時に塗布液が大気にふれて塗布液中の有機溶剤が蒸発し、塗布液中の固形分濃度が一層変化し易くなるという問題がある。
従来、塗布液の管理としては、特許文献1に見られるように、塗布液の粘度を測定して規定濃度との差を求め、粘度差に基づいて塗布液の粘度をフィードバック制御する方法が一般的である。特許文献2には、塗工装置から回収された塗布液を粘度調整室のタンク内で粘度調整してから塗工装置に戻すことが開示されている。
特開平2−131241号公報 特開平9−070568号公報
しかしながら、塗布液の粘度をフィードバック制御する従来の塗布システムは、塗布液の固形分濃度の変化を精度良く検出することができず、塗布液の経時的な固形分濃度の変化に由来する塗布ムラをなくすことができないという欠点がある。即ち、厳しい光学性能が要求される光学機能性フィルムの製造における塗布液の管理では、粘度変化としては現れない塗布液中の固形分濃度の変化を管理する必要があり、その要求に答えることのできる塗布液管理が可能な塗布方法や塗布システムが必要になる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、光学機能性フィルム等の高精度で薄膜塗布が要求される分野において、塗布液の固形分濃度の経時的な変化に由来する塗布ムラを発生させないで、安定的な薄膜塗布を行うことのできる塗布液の塗布方法及び塗布システム並びに光学機能性フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、前記目的を達成するために、送液配管を介して塗工装置に送液された有機溶剤系の塗布液を、走行する支持体上に塗布し、塗布膜を乾燥することで製造される積層体の製造方法において、A:送液配管に密度調整用液を追添するステップと、B:ステップAより下流の送液配管中で前記密度調整用液が追添された塗布液を静的な混合機で攪拌するステップと、C:ステップBより下流の送液配管中で塗布液の密度を測定するステップと、D:ステップCより下流において前記塗工装置で塗布液を支持体に塗布するステップと、E:測定した塗布液の密度と予め規定した塗布液の規定密度との差を演算し、前記密度差がなくなるように密度調整用液の追添量を自動調整するステップと、を含む方法で支持体上に塗布膜を形成し、該塗布膜を乾燥することで積層体を製造することを特徴とする積層体の製造方法を提供する。
本発明によれば、塗工装置に有機溶剤系の塗布液を送液する送液配管上に、塗布液の密度を規定密度に安定的に維持するための密度フィードバック制御機構を設けた。これにより、塗布液から有機溶媒が微量蒸発することにより生じる粘度変化としては現れない塗布液中の微小な固形分濃度の変化であっても、塗布液の密度を検出することでリアルタイム且つ高精度に検出することができ、しかも測定した測定密度と予め規定した塗布液の規定密度との密度差がなくなるように、密度計よりも上流側位置に配置した添加手段から送液配管内を流れる塗布液に密度調整液を自動添加することで、タンク内に密度調整液を添加する場合のようなフィードバック遅れが発生しない。尚、密度差がない場合には、塗布液に密度調整液を添加しない。この場合、密度調整液としては、塗布液の有機溶剤や、塗布液と同じ成分を含む溶液等を使用することができる。ここで、塗布液の規定密度とは、塗布液を調製する際に本来規定された密度のことを言う。
本発明は、前記ステップBでは、攪拌手段としてスタティックミキサーを用いることが好ましい。密度調整用液が塗布液に均一に添加されるように攪拌混合する必要があるが、機械攪拌のように動的な混合機は泡立って気泡が形成され易いので、密度計の精度が低下し、密度計の測定精度が低下する。しかし、スタティックミキサーのような静的な混合機は泡立ちがないので、密度計の測定精度を高精度に維持することができる。
本発明において、前記ステップDより下流に塗布液を回収する回収ポンプを配置することが好ましい。
本発明において、前記ステップCの密度測定箇所と前記ステップDの塗工装置との間にフィルタを配置することが好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、光学機能性フィルム等の高精度で薄膜塗布が要求される分野において、塗布液の固形分濃度の経時的な変化に由来する塗布ムラを発生させないで、安定的な薄膜塗布を行うことができる。
以下、添付図面に従って本発明に係る塗布液の塗布方法及び塗布システム、並びにその塗布システムを使用して製造した光学機能性フィルムの好ましい実施の形態について詳説する。図1は、本発明に係る塗布液の塗布方法、及び塗布システムが適用される光学機能性フィルムの製造ラインを説明する説明図である。図2は、本発明の塗布システムの全体構成図であり、図3は、この塗布システムに配置した脱泡装置の一例である超音波脱泡装置の断面図である。
光学機能性フィルムの製造ライン10は、図1に示されるように、送り出し機12からウエブ14が送り出され、ウエブ14はガイドローラ16によってガイドされて除塵機18に送りこまれる。除塵機18は、ウエブ14の表面に付着した塵埃を取り除く。
除塵機18の下流には、本発明の塗布システム20における塗工装置21が設けられ、光学機能性フィルム製造用の塗布液が走行するウエブ14に塗布される。ここで、光学機能性フィルム製造用の塗布液としては、例えば光学補償フィルムや、反射防止フィルム、防眩性フィルム等を製造するための塗布液を言う。塗工装置21の下流には、初期乾燥ゾーン22、本乾燥ゾーン24、加熱ゾーン26が順次設けられており、ウエブ14上に光学層が形成される。更に、この下流には紫外線ランプ28が設けられており、紫外線照射により、光学層を架橋させ、所望のポリマーを形成する。そして、この下流に設けられた巻取り機30により、ポリマーが形成されたウエブ14が巻き取られる。
次に、本発明の塗布システム20について説明する。塗工装置21としてグラビア塗工装置を使用した例で説明する。
塗布システム20は、主として、グラビア塗工装置21と、グラビア塗工装置21に塗布液を送液する送液ライン32と、グラビア塗工装置21でウエブ14に塗布されなかった余剰な塗布液を回収して送液ライン32に戻す回収ライン34とで構成される。
グラビア塗工装置21は、グラビアローラ36とバックアップローラ38と、グラビアローラ36の下方に設けられた液受けパン40と、グラビアローラ36の回転駆動により液受けパン40から掻き上げられた過剰の塗布液を塗布前に掻き落とすドクターブレード42とを備え、送液ライン32から送液された塗布液が満たされている液受けパン40にはグラビアローラ36の約下半分が浸漬されている。
上流ガイドローラ44及び下流ガイドローラ46は、グラビアローラ36と平行な状態で支持されている。そして、上流ガイドローラ44及び下流ガイドローラ46は、両端部分を軸受部材(ボール軸受等)により回動自在に支持され、駆動機構を付されない構成のものが好ましい。
グラビアローラ36、バックアップローラ38、上流ガイドローラ44及び下流ガイドローラ46は、ウエブ14の幅と略同一の長さを有する。グラビアローラ36は、図2の矢印で示されるようにウエブ14の走行方向と同方向に回転駆動される。尚、図2とは逆の逆転駆動による塗布も、塗布条件によっては採用できる。グラビアローラ36の駆動方法は、インバータモータによるダイレクト駆動(軸直結)であるが、各種モータと減速機(ギアヘッド)との組み合わせ、各種モータよりタイミングベルト等の巻き掛け伝達手段による方法であってもよい。グラビアローラ36表面のセル(cell)形状は、公知のピラミッド型、格子型及び斜線型等のいずれであってもよい。すなわち、塗布速度、塗布液の粘度、塗布層厚等により適宜のセルを選択すればよい。
上記したグラビア塗工装置21の構成により、上流ガイドローラ44及び下流ガイドローラ46でガイドされて走行するウエブ14を、回転駆動されるグラビアローラ36とバックアップローラ38とで挟みながら、グラビアローラ36の回転で液受けパン40から掻き上げた塗布液の一部をドクターブレード42で掻き落とした後、ウエブ14に塗布される。また、ウエブ14に塗布されなかった余剰の塗布液はグラビアローラ36の回転に同伴されて液受けパン42に落流し、回収ライン34の回収配管48に設けられた回収ポンプ49によって送液タンク50に回収される。回収ポンプ49は、送液ライン32から液受けパン40に給液される塗布液量との兼ね合いで、液受けパン40の液面を一定に維持するように塗布液の回収量を調整する。このグラビア塗工装置21は、特に薄層塗布に有効であるので、たとえば、ウエット塗布量が5ml/m2 以下(塗布時の膜厚が5μm以下)の超薄層塗布を行う光学機能性フィルムの製造ラインに好適に適用できる。尚、塗布時におけるウエブ14の走行方向のテンションは、100〜300N/mの範囲が好ましい。尚、塗工装置としては、グラビア塗工装置21に限定されるものではなく、バー塗工装置(バー方式、ミイヤーバー方式)、ロール塗工装置等も好適に使用できる。
送液ライン32は、送液タンク50とグラビア塗工装置21とを接続する送液配管52上に、送液タンク50側から順に、送液ポンプ54、密度フィードバック制御機構56、及びフィルタ58を設けて構成される。これにより、送液タンク50内の塗布液は、送液ポンプ54によって送液配管52を流れグラビア塗工装置21に送られる途中で、塗布液の密度制御が行われると共に、塗布液の異物がフィルタで濾過される。
密度フィードバック制御機構56は、主として、送液配管52内を流れる塗布液の密度をインライン測定する密度計60と、測定した測定密度と予め規定した塗布液の規定密度との密度差を演算する演算手段62と、前記密度差がなくなるように、密度計よりも上流側位置で送液配管52内を流れる塗布液に密度調整液を自動添加する添加手段64とで構成され、添加手段64として、密度調整液を貯留する添加タンク66と添加ポンプ68とが設けられる。即ち、密度計60で逐次測定される塗布液の測定密度は演算手段62に入力されると共に演算手段62に予め入力されている塗布液の規定密度と比較され、測定密度と規定密度との密度差が求められる。演算手段62は、密度差と密度調整液の添加量との関係を示す検量線データから、密度差をなくすために必要な密度調整液の添加量を演算し、添加ポンプ68の可動時間、回転数あるいはストローク数等を求めて添加ポンプ68を制御する。これにより、塗布液の測定密度と規定密度との間に密度差がある場合には、密度差をなくすように、密度調整液が送液配管52を流れる塗布液に自動添加される。密度調整液としては、塗布液を調製する際の有機溶剤や、塗布液と同じ成分を含む溶液等を使用することができる。
また、本発明の塗布システム20は、厳しい光学性能が要求される光学機能性フィルムの製造において、粘度変化としては現れない塗布液中の固形分濃度の変化をも管理できるようにするため、上記した塗布システム20に更に次の構成を付加することが好ましい。即ち、ここで使用する密度計60としては色々な方式の密度計が可能であるが、コリオリ式質量流量計が密度を高精度に測定できることからより好適である。コリオリ式質量流量計は質量流量信号と同時に密度信号を得ることができ、しかも他方式の密度計に比べて精度が高く、光学機能性フィルム製造用の塗布液に要求される固形分濃度の変化をも検出することができるからである。また、密度計60から添加手段64との間の送液配管52に、スタティックミキサー70と脱泡手段72を設けることが好ましい。スタティックミキサー70と脱泡手段72の順序はどちらを上流側にしてもよい。このスタティックミキサー70により、密度調整液が添加された塗布液を泡立てないように攪拌混合することができ、密度調整液を塗布液に均一に添加することができる。また、塗布液の送液中に例えば送液タンク50や送液ポンプ54等で塗布液中に気泡が存在しても脱泡手段72で脱泡することができるので、密度計60での測定精度が気泡に起因して低下することを防止できる。これは、コリオリ式質量流量計の測定精度を高精度に維持するには、塗布液が均一で且つ塗布液中に気泡がないことが重要だからである。従って、送液ポンプ54も気泡が発生しない無脈動ポンプであることが好ましく、例えばギアポンプを好適に使用することができる。また、回収配管48から回収塗布液を送液タンク50に戻す際にも、回収配管48の先端を送液タンク50の底部近傍まで延設して、塗布液の回収の際にも泡立ちを抑制することが好ましい。
図3は脱泡手段72の一例で、超音波脱泡装置である。図3に示すように、超音波脱泡装置は、主として、超音波液槽74内に配設されたパイプライン76と、超音波液槽74の底部あるいは周囲部に設けられた超音波振動器78とで構成される。パイプライン76は内面が滑らかな薄肉の円管で構成されると共に、入口側及び出口側が送液配管52(図2参照)に接続される。そして、パイプライン76内を流れる塗布液は、送液ポンプ54(図2参照)と加圧バルブ80とにより所定の加圧レベルに加圧される。加圧レベルとしてはパイプライン76内の圧力が30〜100kPa程度であることが好ましい。超音波液槽74内には、槽下部側面の供給口82から超音波伝搬液が連続的に供給され、槽内部を満たして槽上部側面の排出口84から排出される。これにより、超音波振動器78から発射された超音波は、超音波伝搬液によりパイプライン76に伝搬され、パイプライン76内を流れる塗布液に照射される。超音波周波数としては、20kHz〜100kHzの範囲が好ましい。これにより、塗布液はパイプライン76内を気液界面がない状態で加圧送液されながら超音波振動が付与され、塗布液中に存在する気泡を塗布液中に溶解させて脱泡することができる。また、図2に示すように、送液配管52を流れる塗布液の温度を計測する温度計86が設けられ、測定された塗布液の温度は演算手段62に逐次入力されて、密度計60で測定された密度の温度補正が行われる。これにより、コリオリ式質量流量計で塗布液の密度を測定する際に泡の影響や塗布液の温度の影響をなくすことができるので、高精度な測定を達成することができる。
高精度な密度フィードバック制御機構56を構成するには、高精度な密度測定に対応させて密度調整液の添加精度を高精度にする必要があり、添加ポンプ68としてはプランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ、ギアポンプの何れかであることが好ましい。これにより、高精度な密度フィードバック制御機構56を構成することができ、厳しい光学性能が要求される光学機能性フィルムの製造において、粘度変化としては現れない塗布液中の固形分濃度の変化をも管理することが可能となる。
また、本発明の塗布システム20では、図2に示すように、密度計60での測定密度と規定密度の密度差が所定値よりも大きくなったら警告する警告手段88を設けることが好ましい。これは、密度差が大きくなりすぎると、密度調整液で調整しても規定密度に収束するまでの時間が長くなり、その間の塗布製品は不良品となるので、一旦運転を停止した方が良いからである。警告手段88としては、警告音を発するものでも、ランプが点灯するものでも、異常を明瞭に判断できるものであれば何でもよい。また、本発明の塗布システム20では、密度差に基づいて、塗工装置36からウエブ14に塗布する塗布液量を制御する塗布液量制御手段90を設けることが好ましい。塗布液量制御手段90としては例えば、塗工装置21としてグラビア塗工装置を使用する場合には、グラビアローラ36の回転数をインバータ制御するインバータを使用することができる。これにより、密度フィードバック制御機構56による塗布液の密度制御と、塗工装置21による塗布液量制御との両方を備えておくことで、塗布ムラを発生させないためによりきめ細かな制御が可能となるからである。
次に、本発明に係る塗布システムを使用して製造される光学機能性フィルムについて説明する。
本発明に使用するウエブ14としては、光透過率が80%以上であるポリマーフィルムを用いることが好ましい。ポリマーフィルムとしては、外力により複屈折が発現しにくいものが好ましい。ポリマーの例には、セルロース系ポリマー、ノルボルネン系ポリマー(たとえば、アートン(JSR(株)製)、ゼオノア、ゼオネックス(いずれも、日本ゼオン(株)製))及びポリメチルメタクリレートが含まれる、セルロース系ポリマーが好ましく、セルロースエステルがより好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルが更に好ましい。
この低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数は、2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)または4(セルロースブチレート)であることが好ましい。セルロースエステルとしてはセルロースアセテートが好ましく、その例としては、ジアセチルセルロース及びトリアセチルセルロースなどが挙げられる。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。
一般に、セルロースアセテートの2、3、6の水酸基は、全体の置換度の1/3づつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。本発明ではセルロースアセテートの6位水酸基の置換度が、2、3位に比べて多いほうが好ましい。
全体の置換度に対して6位の水酸基が30%以上40%以下アシル基で置換されていることが好ましく、更には31%以上、特に32%以上であることが好ましい。更にセルロースアセテートの6位アシル基の置換度が0.88以上であることが好ましい。
6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基であるプロピオニル基、ブチロイル基、バレロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基などで置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求める事ができる。
本発明のセルロースアセテートとして、特開平11−5851号公報の段落番号0043〜0044に記載されている合成例1、段落番号0048〜0049に記載されている合成例2、そして段落番号0051〜0052に記載されている合成例3の合成方法により得られたセルロースアセテートを用いることができる。
ポリマーフィルムのレターデーションを調整するため、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤として使用する。
ポリマーフィルムとしてセルロースアセテートフィルムを用いる場合、芳香族化合物は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用する。芳香族化合物は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.05〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することが更に好ましい。二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることが更に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。
芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1、3、5−トリアジン環が含まれる。芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1、3、5−トリアジン環が好ましく、ベンゼン環及び1、3、5−トリアジン環が更に好ましい。芳香族化合物は、少なくとも一つの1、3、5−トリアジン環を有することが特に好ましい。
芳香族化合物が有する芳香族環の数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることが更に好ましく、2〜6であることが最も好ましい。二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合及び(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、アセナフチレン環、ナフタセン環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環及びチアントレン環が含まれる。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環及びキノリン環が好ましい。
(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。二以上の単結合で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環または非芳香族性複素環を形成してもよい。
(c)の連結基も、二つの芳香族環の炭素原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O−、−NH−、−S−またはそれらの組み合わせであることが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆になってもよい。
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
芳香族環及び連結基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファモイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基及び非芳香族性複素環基が含まれる。
アルキル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。アルキル基は、更に置換基(例、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例には、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチル及び2−ジエチルアミノエチルが含まれる。アルケニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、更に置換基を有していてもよい。
アルケニル基の例には、ビニル、アリル及び1−ヘキセニルが含まれる。アルキニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、更に置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−ブチニル及び1−ヘキシニルが含まれる。
脂肪族アシル基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル、プロパノイル及びブタノイルが含まれる。脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシが含まれる。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルコキシ基は、更に置換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。
アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ、エトキシ、ブトキシ及びメトキシエトキシが含まれる。アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル及びエトキシカルボニルが含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ及びエトキシカルボニルアミノが含まれる。
アルキルチオ基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メチルチオ、エチルチオ及びオクチルチオが含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニル及びエタンスルホニルが含まれる。
脂肪族アミド基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含まれる。脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド及びn−オクタンスルホンアミドが含まれる。脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ及び2−カルボキシエチルアミノが含まれる。
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル及びジエチルカルバモイルが含まれる。脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイル及びジエチルスルファモイルが含まれる。脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイドが含まれる。非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノ及びモルホリノが含まれる。レターデーション上昇剤の分子量は、300〜800であることが好ましい
レターデーション上昇剤の具体例としては、特開2000−111914号公報、同2000−275434号公報、PCT/JP00/02619号明細書等に記載されている。
以下、ポリマーフィルムとしてセルロースアセテートフィルムを用いる場合について具体的に説明する。ソルベントキャスト法によりセルロースアセテートフィルムを製造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、セルロースアセテートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステル及び炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
エーテル、ケトン及びエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトン及びエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトールが含まれる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノンが含まれる。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート及びペンチルアセテートが含まれる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール及び2−ブトキシエタノールが含まれる。ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることが更に好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
なお、技術的には、メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素は問題なく使用できるが、地球環境や作業環境の観点では、有機溶媒はハロゲン化炭化水素を実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、有機溶媒中のハロゲン化炭化水素の割合が5質量%未満(好ましくは2質量%未満)であることを意味する。また、製造したセルロースアシレートフィルムから、メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素が全く検出されないことが好ましい。二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
一般的な方法でセルロースアセテート溶液を調製できる。一般的な方法とは、0°C以上の温度(常温または高温)で、処理することを意味する。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法及び装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。セルロースアセテートの量は、得られる溶液中に10〜40質量%含まれるように調整する。セルロースアセテートの量は、10〜30質量%であることが更に好ましい。
有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。溶液は、常温(0〜40°C)でセルロースアセテートと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧及び加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースアセテートと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40°C以上であり、好ましくは60〜200°Cであり、更に好ましくは80〜110°Cである。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。たとえば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
本発明のセルロースアセテート溶液(ドープ)の調製は、冷却溶解法に従い実施され、以下に説明する。まず室温近辺の温度(−10〜40°C)で有機溶媒中にセルロースアセテートを撹拌しながら徐々に添加される。複数の溶媒を用いる場合は、その添加順は特に限定されない。
たとえば、主溶媒中にセルロースアセテートを添加した後に、他の溶媒(たとえばアルコールなどのゲル化溶媒など)を添加してもよいし、逆にゲル化溶媒を予めセルロースアセテートに湿らせた後の主溶媒を加えてもよく、不均一溶解の防止に有効である。セルロースアセテートの量は、この混合物中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアセテートの量は、10〜30質量%であることが更に好ましい。更に、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
次に、混合物は−100〜−10°C(好ましくは−80〜−10°C、更に好ましくは−50〜−20°C、最も好ましくは−50〜−30°C)に冷却される。冷却は、たとえば、ドライアイス・メタノール浴(−75°C)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20°C)中で実施できる。このように冷却すると、セルロースアセテートと有機溶媒の混合物は固化する。冷却速度は、特に限定されないがバッチ式での冷却の場合は、冷却に伴いセルロースアセテート溶液の粘度が上がり、冷却効率が劣るために所定の冷却温度に達するために効率よい溶解釜とすることが必要である。
また、本発明のセルロースアセテート溶液は膨潤させたあと、所定の冷却温度にした冷却装置を短時間移送することにより達成できる。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000°C/秒が理論的な上限であり、1000°C/秒が技術的な上限であり、そして100°C/秒が実用的な上限である。
なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。更に、これを0〜200°C(好ましくは0〜150°C、更に好ましくは0〜120°C、最も好ましくは0〜50°C)に加温すると、有機溶媒中にセルロースアセテートが流動する溶液となる。昇温は、室温中に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧及び減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33°C近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。
したがって、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10°C程度の温度で保存する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
調製したセルロースアセテート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアセテートフィルムを製造する。またドープに、前記のレターデーション上昇剤を添加することが好ましい。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40%、より好ましくは18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
ソルベントキャスト法における流延及び乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
ドープは、表面温度が10°C以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、更に100から160°Cまで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
本発明では得られたセルロースアセテート溶液を、ウエブ14としての平滑なバンド上或いはドラム上に単層液として流延してもよいし、2層以上の複数のセルロースアセテート液を流延してもよい。複数のセルロースアセテート溶液を流延する場合、ウエブ14の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアセテートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよく、たとえば特開昭61−158414号、特開平1−122419号、特開平11−198285号、などに記載の方法が適応できる。
また、2つの流延口からセルロースアセテート溶液を流延することによってもフィルム化することでもよく、たとえば特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、特開平6−134933号、に記載の方法で実施できる。また、特開昭56−162617号に記載の高粘度セルロースアセテート溶液の流れを低粘度のセルロースアセテート溶液で包み込み、その高、低粘度のセルロースアセテート溶液を同時に押出すセルロースアセテートフィルム流延方法でもよい。
或いはまた2個の流延口を用いて、第一の流延口によりウエブ14に成型したフィルムを剥ぎ取り、ウエブ14面に接していた側に第二の流延を行なうことにより、フィルムを作製することでもよく、たとえば特公昭44−20235号に記載されている方法である。流延するセルロースアセテート溶液は同一の溶液でもよいし、異なるセルロースアセテート溶液でもよく特に限定されない。複数のセルロースアセテート層に機能を持たせるために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押出せばよい。
更に本発明のセルロースアセテート溶液は、他の機能層(たとえば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)を同時に流延することも実施しうる。従来の単層液では、必要なフィルム厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースアセテート溶液を押出すことが必要であり、その場合セルロースアセテート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良であったりして問題となることが多かった。この解決として、複数のセルロースアセテート溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時にウエブ14上に押出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアセテート溶液を用いることにより乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができた。
セルロースアセテートフィルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)及びトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及びクエン酸エステルが代表的である。
フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)及びジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)及びO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。
その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEP及びDPPが特に好ましい。可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることが更に好ましく、3〜15質量%であることが最も好ましい。
セルロースアセテートフィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることが更に好ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%を超えると、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
次に、ポリマーフィルムの延伸処理について説明する。作製されたセルロースアセテートフィルム(ポリマーフィルム)は、更に延伸処理によりレターデーションを調整することができる。延伸倍率は、3〜100%であることが好ましい。ポリマーフィルムの厚さは、40〜140μmであることが好ましく、70〜120μmであることが更に好ましい。また、この延伸処理の条件を調整することにより、光学補償シートの遅相軸の角度の標準偏差を小さくすることができる。
延伸処理の方法に特に限定はないが、その例としてテンターによる延伸方法が挙げられる。上記のソルベントキャスト法により作製したフィルムに、テンターを用いて横延伸を実施する際に、延伸後のフィルムの状態を制御することにより、フィルム遅相軸角度の標準偏差を小さくすることができる。具体的には、テンターを用いてレターデーション値を調整する延伸処理を行い、そして延伸直後のポリマーフィルムをその状態のまま、フィルムのガラス転移温度近傍で保持することにより、遅相軸角度の標準偏差を小さくすることができる。
この保持の際のフィルムの温度をガラス転移温度よりも低い温度で行うと、標準偏差が大きくなってしまう。また、別の例としては、ロール間にて縦延伸を行う際に、ロール間距離を広くすると遅相軸の標準偏差を小さくできる。
次に、ポリマーフィルムの表面処理について説明する。ポリマーフィルムを偏光板の透明保護膜として使用する場合、ポリマーフィルムを表面処理することが好ましい。表面処理としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理を実施する。酸処理またはアルカリ処理、すなわちポリマーフィルムに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。
次に、配向膜について説明する。配向膜は、光学異方性層のディスコティック液晶性分子の配向方向を規定する機能を有する。配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。更に、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。ポリビニルアルコールが、好ましいポリマーである。疎水性基が結合している変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。疎水性基は光学異方性層のディスコティック液晶性分子と親和性があるため、疎水性基をポリビニルアルコールに導入することにより、ディスコティック液晶性分子を均一に配向させることができる。
疎水性基は、ポリビニルアルコールの主鎖末端または側鎖に結合させる。疎水性基は、炭素原子数が6以上の脂肪族基(好ましくはアルキル基またはアルケニル基)または芳香族基が好ましい。ポリビニルアルコールの主鎖末端に疎水性基を結合させる場合は、疎水性基と主鎖末端との間に連結基を導入することが好ましい。連結基の例には、−S−、−C(CN)R1 −、−NR2 −、−CS−及びそれらの組み合わせが含まれる。上記R1 及びR2 は、それぞれ、水素原子または炭素原子数が1〜6のアルキル基(好ましくは、炭素原子数が1〜6のアルキル基)である。
ポリビニルアルコールの側鎖に疎水性基を導入する場合は、ポリビニルアルコールの酢酸ビニル単位のアセチル基(−CO−CH3 )の一部を、炭素原子数が7以上のアシル基(−CO−R3 )に置き換えればよい。R3 は、炭素原子数が6以上の脂肪族基または芳香族基である。市販の変性ポリビニルアルコール(例、MP103、MP203、R1130、クラレ(株)製)を用いてもよい。配向膜に用いる(変性)ポリビニルアルコールのケン化度は、80%以上であることが好ましい。(変性)ポリビニルアルコールの重合度は、200以上であることが好ましい。
ラビング処理は、配向膜の表面を、紙や布で一定方向に、数回こすることにより実施する。長さ及び太さが均一な繊維を均一に植毛した布を用いることが好ましい。なお、光学異方性層のディスコティック液晶性分子を配向膜を用いて配向後、配向膜を除去しても、ディスコティック液晶性分子の配向状態を保つことができる。すなわち、配向膜は、ディスコティック液晶性分子を配向するため楕円偏光板の製造において必須であるが、製造された光学補償シートにおいては必須ではない。
配向膜を透明ウエブ14と光学異方性層との間に設ける場合は、更に下塗り層(接着層)を透明ウエブ14と配向膜との間に設けることが好ましい。また面状安定化の為に、クエン酸エステルを必要に応じ添加してもよい。
次に、光学異方性層について説明する。光学異方性層はディスコティック液晶性分子から形成する。ディスコティック液晶性分子は、一般に、光学的に負の一軸性を有する。本発明の光学補償シートにおいては、ディスコティック液晶性分子は、円盤面と透明ウエブ14面とのなす角が、光学異方性層の深さ方向において変化している(ハイブリッド配向している)ことが好ましい。ディスコティック液晶性分子の光軸は、円盤面の法線方向に存在する。
ディスコティック液晶性分子は、光軸方向の屈折率よりも円盤面方向の屈折率が大きな複屈折性を有する。光学異方性層は、上記の配向膜によってディスコティック液晶性分子を配向させ、その配向状態のディスコティック液晶性分子を固定することによって形成することが好ましい。ディスコティック液晶性分子は、重合反応により固定することが好ましい。
なお、光学異方性層には、レターデーション値が0となる方向が存在しない。言い換えると、光学異方性層のレターデーションの最小値は、0を超える値である。具体的には、光学異方性層は、下記式(I)により定義されるReレターデーション値が10〜100
nmの範囲にあり、下記式(II)により定義されるRthレターデーション値が40〜25
0nmの範囲にあり、そして、ディスコティック液晶性分子の平均傾斜角が20〜50゜であることが好ましい。
(I) Re=(nx−ny)×d
(II) Rth={(n2+n3)/2−n1}×d
式(I)において、nxは、光学異方性層面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは、
光学異方性層面内の進相軸方向の屈折率であり、そして、dは、光学異方性層の厚さである。式(II)において、n1は、光学異方性層を屈折率楕円体で近似した場合の屈折率主
値の最小値であり、n2及びn3は、光学異方性層の他の屈折率主値であり、そして、dは、光学異方性層の厚さである。
ディスコティック液晶性分子は、様々な文献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Co mm., page 1794 (1985) ;J. Zhang et al., J. Am. Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されている。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。したがって、重合性基を有するディスコティック液晶性分子は、下記式(III )で表わされる化合物であることが好ましい。
(III ) D(−L−Q)n
式(III )において、Dは、円盤状コアであり、Lは、二価の連結基であり、Qは、重合性基であり、そして、nは、4〜12の整数である。
円盤状コア(D)の例を以下に示す。以下の各例において、LQ(またはQL)は、二価の連結基(L)と重合性基(Q)との組み合わせを意味する。
式(III )において、二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−及び−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることが更に好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−及び−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。
二価の連結基(L)の例を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(Q)に結合する。ALはアルキレン基またはアルケニレン基、ARはアリーレン基を意味する。なお、アルキレン基、アルケニレン基及びアリーレン基は、置換基(例、アルキル基)を有していてもよい。
L1:−AL−CO−O−AL−
L2:−AL−CO−O−AL−O−
L3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L5:−CO−AR−O−AL−
L6:−CO−AR−O−AL−O−
L7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L8:−CO−NH−AL−
L9:−NH−AL−O−
L10:−NH−AL−O−CO−
L11:−O−AL−
L12:−O−AL−O−
L13:−O−AL−O−CO−
L14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L15:−O−AL−S−AL−
L16:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L17:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L18:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L20:−S−AL−
L21:−S−AL−O−
L22:−S−AL−O−CO−
L23:−S−AL−S−AL−
L24:−S−AR−AL−
式(I)の重合性基(Q)は、重合反応の種類に応じて決定する。
重合性基(Q)は、不飽和重合性基(Q1〜Q7)またはエポキシ基(Q8)であることが好ましく、不飽和重合性基であることが更に好ましく、エチレン性不飽和重合性基(Q1〜Q6)であることが最も好ましい。式(III )において、nは4〜12の整数である。具体的な数字は、円盤状コア(D)の種類に応じて決定される。なお、複数のLとQの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
光学異方性層は、ディスコティック液晶性分子及び必要に応じて重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することにより形成できる。光学異方性層の厚さは、0.5〜100μmであることが好ましく、0.5〜30μmであることが更に好ましい。
配向させたディスコティック液晶性分子を、配向状態を維持して固定する。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることが更に好ましい。ディスコティック液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20〜5000mJ/cm2 であることが好ましく、100〜800mJ/cm2 であることが更に好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。保護層を、光学異方性層の上に設けてもよい。また面状安定化の為に、クエン酸エステルを必要に応じ添加してもよい。
図2に示した塗布システム20において、密度フィードバック制御機構56を有する場合(実施例)と、有しない場合(比較例)とで比較し、塗布開始後の経時的な塗布液の密度変化を調べた。従って、比較例の場合も、送液配管52には密度計60のみは設置した。塗布液は、塗材として固形分を50重量%含み、溶媒としてMEK(メチルエチルケトン)の有機溶剤を使用し、密度を1.050(これを規定密度とする)に調整したものを使用した。また、図2では、塗工装置としてグラビア塗工装置21で示したが、本実施例ではバー塗工装置を使用し、10m/分で走行するウエブ14に塗布した。
その結果、密度フィードバック制御機構56を有しない比較例では、塗布開始1時間後には、塗布液の密度が1.090まで上昇し、規定密度を維持することはできなかった。また、密度が1.090のときのウエブ14に塗布された塗布液の膜厚は、規定の膜厚に対して20%厚くなっていた。
このことから、塗布開始から20分おきに、送液タンク50に塗布液10kgに対してMEKを300g添加したが、やはり塗布開始1時間後には塗布液の密度が1.060まで上昇し、規定密度を安定して維持することはできなかった。また、密度が1.060のときのウエブ14に塗布された塗布液の膜厚は、規定の膜厚に対して5%厚くなっていた。
次に、密度フィードバック制御機構56を有する実施例で行ったところ、塗布開始後1時間後であっても塗布液の密度を規定密度の1.050に維持することができ、その際の膜厚変動も1%以内に抑えることができた。また、塗工テスト中の密度計60の表示も1.050で常時安定しており、膜厚も安定していた。
本発明に係る塗布液の塗布方法、塗布システムが適用される光学機能性フィルムの製造ラインを説明する説明図 塗布システムの全体構成を説明する断面図 脱泡手段の一例を説明する断面図
符号の説明
10…光学機能性フィルムの製造ライン、12…送り出し機、14…ウエブ、16…ガイドローラ、18…除塵機、20…塗布システム、21…塗工装置(グラビア塗工装置)、22…初期乾燥ゾーン、24…本乾燥ゾーン、26…加熱ゾーン、28…紫外線ランプ、30…巻取り機、32…送液ライン、34…回収ライン、36…グラビアローラ、38…バックアップローラ、40…液受けパン、42…ドクターブレード、44…上流側ガイドローラ、46…下流側ガイドローラ、48…回収配管、50…送液タンク、52…送液配管、54…送液ポンプ、56…密度フィードバック制御機構、58…フィルタ、60…密度計、62…演算手段、64…添加手段、66…添加タンク、68…添加ポンプ、70…スタティックミキサー、72…脱泡手段、74…超音波液槽、76…パイプライン、78…超音波振動器、80…加圧バルブ、82…供給口、84…排出口、86…温度計、88…警告手段、90…塗布液量制御手段

Claims (4)

  1. 送液配管を介して塗工装置に送液された有機溶剤系の塗布液を、走行する支持体上に塗布し、塗布膜を乾燥することで製造される積層体の製造方法において、
    A:送液配管に密度調整用液を追添するステップと、
    B:ステップAより下流の送液配管中で前記密度調整用液が追添された塗布液を静的な混合機で攪拌するステップと、
    C:ステップBより下流の送液配管中で塗布液の密度を測定するステップと、
    D:ステップCより下流において前記塗工装置で塗布液を支持体に塗布するステップと、
    E:測定した塗布液の密度と予め規定した塗布液の規定密度との差を演算し、前記密度差がなくなるように密度調整用液の追添量を自動調整するステップと、
    を含む方法で支持体上に塗布膜を形成し、該塗布膜を乾燥することで積層体を製造することを特徴とする積層体の製造方法。
  2. 前記ステップBでは、攪拌手段としてスタティックミキサーを用いることを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 前記ステップDより下流に塗布液を回収する回収ポンプを配置することを特徴とする請求項1又は2に記載の積層体の製造方法。
  4. 前記ステップCの密度測定箇所と前記ステップDの塗工装置との間にフィルタを配置することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の積層体の製造方法。
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