JP2008173587A - 塗布液の塗布方法及び塗布システム、並びに光学フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】液密度を小数点以下4桁まで短時間で調整できるので塗布厚みや濃度を小数点以下3桁目までコントロールすることができ、塗布液の固形分濃度の経時的な変化に由来する塗布ムラを発生させないで安定的な薄膜塗布を行うことができる。
【解決手段】供給タンク50内の塗布液の密度を測定し、測定した測定密度と予め規定した目標密度との密度差を演算し、目標密度よりも略1オーダー粗い精度レベルまで密度調整用液を添加して密度調整する第1の密度調整工程と、第1の密度調整工程後に送液配管52を流れる塗布液の密度をインライン測定し、測定した測定密度と目標密度との密度差を演算し、密度差がなくなるように密度測定位置の上流側の送液配管52中に密度調整用液を自動添加して塗布液の密度をフィードバック制御により調整する第2の密度調整工程と、により塗布液の固形分濃度を一定にして塗布する。
【選択図】 図3
【解決手段】供給タンク50内の塗布液の密度を測定し、測定した測定密度と予め規定した目標密度との密度差を演算し、目標密度よりも略1オーダー粗い精度レベルまで密度調整用液を添加して密度調整する第1の密度調整工程と、第1の密度調整工程後に送液配管52を流れる塗布液の密度をインライン測定し、測定した測定密度と目標密度との密度差を演算し、密度差がなくなるように密度測定位置の上流側の送液配管52中に密度調整用液を自動添加して塗布液の密度をフィードバック制御により調整する第2の密度調整工程と、により塗布液の固形分濃度を一定にして塗布する。
【選択図】 図3
Description
本発明は塗布液の塗布方法及び塗布システム、並びに光学フィルムに係り、特に、光学補償フィルム、反射防止フィルム、防眩性フィルム等の光学フィルムや、液晶層のムラを改善するために有用な光学フィルム等の製造に好適に適用できる塗布方法及び塗布システム、並びにその塗布システムで製造した光学フィルムに関する。
近年、光学フィルムの需要が増加しつつある。この光学フィルムとしては、液晶セルに位相差板として使用される光学補償フィルムや、反射防止フィルム、防眩性フィルム等の各種の機能を有するフィルムが代表的である。
このような光学フィルムの製造方法の代表的なものとして、走行する帯状可撓性の支持体(以下、「ウエブ」と言う)の表面に塗工装置で塗布液を塗布し、これを乾燥させて各種組成の塗布膜を形成する方法が挙げられる。
近年においては、光学フィルムの高性能化によって塗布膜の薄層化及び膜厚ムラ防止の要求精度が以前に比べて格段に高くなってきている。この為、単に塗工装置の機械精度を上げるだけでは解決できず、塗布経過時における塗布液中の固形分濃度の経時的な変化を精度良く管理し、常に一定の固形分濃度にすることが重要になってきている。
従来、塗布液の管理としては、特許文献1に見られるように、塗布液の粘度を測定して目標濃度との差を求め、粘度差に基づいて塗布液の粘度をフィードバック制御する方法が一般的である。特許文献2には、塗工装置から回収された塗布液を粘度調整室のタンク内で粘度調整してから塗工装置に戻すことが開示されている。
特開平2−131241号公報
特開平9−070568号公報
ところで、塗工装置としては、走行する支持体上に塗布液を全量塗布する、例えば、スロットダイ塗工装置や、液溜め部から塗布液を掻き上げて支持体に塗布し、塗布されなかった余剰の塗布液は回収され再度塗工装置に送液するバー塗工装置、グラビア塗工装置、ロール塗布装置などがある。
しかしながら、光学フィルムの製造で使用される塗工装置としては、バー塗工装置(バー方式、ミイヤーバー方式)、グラビア塗工装置(ダイレクト方式、キス方式)、ロール塗工装置等が代表的であり、これらの塗工装置は液溜め部から塗布液を掻き上げて支持体に塗布する方式なので、塗布液中の有機溶媒が蒸発し易いという問題がある。また、これらの塗工装置の場合、ウエブに塗り付けられなかった余剰の塗布液は回収され、回収された塗布液は、塗工装置に送液する送液ラインに戻されて再利用されるのが通常である。このように塗布液を再利用する場合には、塗布液の回収時に塗布液が大気にふれて塗布液中の有機溶剤が蒸発し、塗布液中の固形分濃度が一層変化し易くなるという問題がある。
いずれの場合においても、光学フィルムにおいて光学特性を一定に保つため、塗布膜厚みと塗布された内容物濃度を一定にして塗布する必要がある。そして、本発明の発明者は、品質の良い光学フィルムを得るには、場合によっては、塗布厚みや濃度を小数点以下3桁目までコントロールする必要があり、そのためには、液密度を小数点以下4桁目まで調整する必要があるという知見を得た。しかし、従来、液密度を小数点以下4桁まで調整できる塗布方法や塗布システムは無かった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、光学フィルム等の高精度で薄膜塗布が要求される分野において、塗布液の固形分濃度の経時的な変化に由来する塗布ムラを発生させないで、小数点以下4桁までの液密度調整を短時間で可能にすることができる塗布液の塗布方法及び塗布システム並びに光学フィルムを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、前記目的を達成するために、供給タンクから送液配管を介して送液される塗布液を、走行する支持体上に全量塗布する塗工装置を用いた塗布液の塗布方法において、前記供給タンク内の塗布液の密度を測定し、該測定した測定密度と予め規定した目標密度との密度差を演算し、該目標密度よりも略1オーダー粗い精度レベルまで密度調整用液を添加して密度調整する第1の密度調整工程と、前記第1の密度調整工程後に前記送液配管を流れる塗布液の密度をインライン測定し、該測定した測定密度と前記目標密度との密度差を演算し、該密度差がなくなるように前記密度測定位置の上流側の前記送液配管中に密度調整用液を自動添加して該塗布液の密度をフィードバック制御により調整する第2の密度調整工程と、により前記塗布液の固形分濃度を一定にして塗布することを特徴とする塗布液の塗布方法を提供する。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1の発明において、前記第2の密度調整工程では、小数点以下4桁での密度調整であることを特徴とする。
送液配管を介して送液される塗布液を、走行する支持体上に全量塗布するスロットダイによる塗布液の塗布方法では、送液配管で送液される塗布液がそのまま走行する支持体上に全量塗布されるため、全量塗布する際の塗布液の固形分濃度を一定にすることが必要となる。
従って、従来の単なるフィードバック制御による塗布液の固形分濃度調整では、光学フィルムを製造するための塗布のように超精密な塗布液の固形分濃度が要求される場合には、常に一定の固形分濃度に調整することができない。
そこで、発明者は鋭意研究した結果、タンク内で目標密度よりも略1オーダー粗い精度レベルまで密度調整を予めっておき(第1の密度調整工程)、その後で、タンクから塗工装置までの送液配管中において測定した測定密度と前記目標密度との密度差をなくすようにフィードバック制御により残りの1オーダー分の密度微調整を行う(第2の密度調整工程)ことで、密度調整精度を著しく向上できることを見いだした。
即ち、第1の密度調整工程では、供給タンク内の塗布液の密度を測定し、該測定した測定密度と予め規定した目標密度との密度差を演算し、該目標密度よりも略1オーダー粗い精度レベルまで密度調整用液を添加する。そして、第2の密度調整工程では、送液配管上で、密度微調整を行うと共に、塗布液の密度を安定的に目標密度に維持するために密度フィードバック制御を行う。
このように、多量の塗布液の密度を一定精度のレベルまで短時間で調整し易いタンク内での密度調整の特徴と、塗布液中の溶媒の揮発を防止しながら密度の微調整を高精度に行い易い送液配管途中での密度調整の特徴と、を組み合わせることにより、小数点以下4桁までの密度調整を短時間で行うことができる。また、塗布液の粘度変化として現れない塗布液中の微小な固形濃度変化であっても、塗布液の密度を検出することで高精度且つリアルタイムに検出することができる。しかも、測定した測定密度を予め規定した目標密度のとの密度差がなくなるように、密度測定位置よりも上流位置に密度調整用液を自動添加することで、タンク内で密度調整液を添加する場合のようなフィードバック遅れが発生しない。尚、密度調整用液としては、塗布液と同じ成分を含む溶液を使用することができ、第1及び第2の密度調整工程では成分濃度を同じにしてもよく、変えてもよい。また、目標密度とは、塗布液を調製する際に本来規定された密度のことであり、目標の固形分濃度に対応する密度を言う。
従って、供給タンクから送液配管を介して送液される塗布液を、走行する支持体上に全量塗布する塗工装置を用いた塗布液の塗布方法において、塗布液の固形分濃度の経時的な変化に由来する塗布ムラを発生させないで、小数点以下4桁までの液密度調整を短時間で可能にすることができる塗布液の塗布方法を提供することができる。
請求項3に記載の発明は、前記目的を達成するために、送液配管を介して塗工装置に送液された塗布液を走行する支持体上に塗布するとともに、前記支持体に塗布されなかった余剰の塗布液を戻り配管で回収して再び送液配管を介して塗工装置に給液する塗布液の塗布方法において、前記戻り配管内を流れる塗布液の密度をインライン測定し、該測定した測定密度と予め規定した塗布液の目標密度との密度差を演算し、前記密度差がなくなるように前記密度測定位置の上流側の前記戻り配管中に密度調整用液を自動添加して、該塗布液を所望の濃度となるように該塗布液の密度をフィードバック制御することにより、前記塗布液の固形分濃度を一定にして塗布することを特徴とする塗布液の塗布方法を提供する。
請求項3は、送液配管を介して塗工装置に送液された塗布液を走行する支持体上に塗布するとともに、前記支持体に塗布されなかった余剰の塗布液を戻り配管で回収して再び送液配管を介して塗工装置に給液する塗布液の塗布方法である。この塗布方法の場合は、液溜め部から塗布液を掻き上げて支持体に塗布する方式なので、塗布液中の溶媒が蒸発し易いと共に、支持体に塗り付けられなかった余剰の塗布液は回収され、回収された塗布液は、再び塗工装置に給液されて再利用されるので、このように塗布液を再利用する際には、塗布液の回収時に塗布液が大気にふれて塗布液中の溶媒が蒸発し、塗布液中の固形分濃度が変化してしまう。従って、戻り配管で回収される塗布液の濃度を塗布前の塗布液の濃度と同じにしておくことが好ましい。
そこで、回収される塗布液を戻す戻り配管上に、塗布液の密度を目標密度に安定的に維持するための密度フィードバック制御機構を設けた。これにより、塗布液の溶媒が微量蒸発することにより生じる粘度変化としては現れない塗布液中の微小な固形分濃度の変化であっても、塗布液の密度を検出することでリアルタイム且つ高精度に検出することができ、しかも測定した測定密度と予め規定した塗布液の目標密度との密度差がなくなるように、密度計よりも上流側位置に配置した添加手段から送液配管内を流れる塗布液に密度調整液を自動添加することで、送液タンク内に密度調整液を添加する場合のようなフィードバック遅れが発生しない。そして、このように密度が調整された塗布液は、送液タンクに戻され、再び送液配管を介して塗工装置に給液され、再度支持体に塗布される。
従って、請求項3によれば、送液配管を介して塗工装置に送液された塗布液を走行する支持体上に塗布するとともに、前記支持体に塗布されなかった余剰の塗布液を戻り配管で回収して再び送液配管を介して塗工装置に給液する塗布液の塗布方法において、塗布液の固形分濃度の経時的な変化に由来する塗布ムラを発生させないで、小数点以下4桁までの液密度調整を可能にすることができる塗布液の塗布方法を提供することができる。
請求項4に記載の発明は、前記目的を達成するために、供給タンクから送液配管を介して送液される塗布液を、走行する支持体上に全量塗布する塗工装置を用いた塗布液の塗布システムにおいて、前記供給タンク内の塗布液の密度を測定する第1の密度計と、該測定した測定密度と予め規定した目標密度との密度差を演算する第1の演算手段と、該目標密度よりも略1オーダー粗い精度レベルまで密度調整用液を添加して密度調整する第1の添加手段と、を有する第1の密度調整系統と、前記送液配管を流れる塗布液の密度をインライン測定する第2の密度計と、該測定した測定密度と前記目標密度との密度差を演算する第2の演算手段と、該密度差がなくなるように前記密度測定位置の上流側の前記送液配管中に密度調整用液を自動添加する第2の添加手段と、から成る密度フィードバック機構を有する第2の密度調整系統と、を備えたことを特徴とする塗布液の塗布システムを提供する。
請求項4の発明は、請求項1の発明である塗布液の塗布方法を、塗布システムに構成したものである。
請求項5に記載の発明は、請求項4の発明において、前記送液配管の径が8mm以上10mm以下であることを特徴とする。
請求項5の発明によれば、送液配管の径が8mm以上10mm以下であることで、送液配管を流れる塗布液と密度調整液とが好適に攪拌され混合されるので、濃度差のない塗布液をスロットダイに供給することができ、塗布ムラの発生を防ぐことができる。
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5の発明において、前記送液配管は、温度が制御されていることを特徴とする。
請求項6の発明によれば、送液配管の温度が制御されていることで、塗布液の濃度調整が容易となる。
請求項7に記載の発明は、前記目的を達成するために、送液配管を介して塗工装置に送液された塗布液を走行する支持体上に塗布するとともに、前記支持体に塗布されなかった余剰の塗布液を戻り配管で回収して再び送液配管を介して塗工装置に給液する塗布液の塗布方法において、前記戻り配管内を流れる塗布液の密度をインライン測定する密度計と、前記測定した測定密度と予め規定した塗布液の目標密度との密度差を演算する演算手段と、前記密度差がなくなるように前記密度計の上流側の前記戻り配管中に密度調整液を自動添加する添加手段と、を備えた密度フィードバック制御機構を設けたことを特徴とする塗布液の塗布システムを提供する。
請求項7の発明は、請求項3の発明である塗布液の塗布方法を、塗布システムに構成したものである。
請求項8に記載の発明は、請求項7の発明において、前記戻り配管の径が8mm以上10mm以下であることを特徴とする。
請求項8の発明によれば、戻り配管の径が8mm以上10mm以下であることで、戻り配管を流れる塗布液と密度調整液とが好適に攪拌され混合されるので、濃度差のない塗布液を送液タンクに供給することができるので、塗布の際に塗布ムラの発生を防ぐことができる。
請求項9に記載の発明は、請求項7又は8の発明において、前記戻り配管は、温度が制御されていることを特徴とする。
請求項9の発明によれば、戻り配管の温度が制御されていることで、塗布液の濃度調整が容易となる。
請求項10に記載の発明は、請求項4〜9の何れか1において、前記塗布液は光学フィルム製造用の塗布液であることを特徴とする。
上記の通り、光学フィルムの高性能化によって塗布膜の薄層化及び膜厚ムラ防止の要求精度が以前に比べて格段に高くなっており、塗布液中の固形分濃度を高精度に管理する必要があるためである。
請求項11に記載の発明は、請求項4〜10の何れか1において、前記密度計は振動式密度計であることを特徴とする。
請求項11によれば、密度計としては色々な方式があるが、振動式密度計は他方式に比べて精度が高く、液密度を4桁目まで調整することができるので、光学フィルム製造用の塗布液に要求される固形分濃度の微小な変化をも検出することができる。
請求項12に記載の発明は、請求項4〜11の何れか1において、前記添加手段は、定量ポンプ、又はドージングバルブであることを特徴とする。
本発明において、密度計で測定される密度の微小変化に対応させて密度調整液の添加量も精度良く制御する必要があり、定量ポンプ、又はドージングバルブが好適なためである。
請求項13に記載の発明は、請求項4〜12の何れか1の塗布液の塗布システムを使用して製造されたことを特徴とする光学フィルムを提供する。
本発明の塗布システムを使用すれば、薄膜で塗布ムラのない高精度な光学フィルムを製造することができる。
以上説明したように、本発明によれば、液密度を小数点以下4桁まで短時間で調整できるので塗布厚みや濃度を小数点以下3桁目までコントロールすることができ、塗布液の固形分濃度の経時的な変化に由来する塗布ムラを発生させないで安定的な薄膜塗布を行うことができる。
以下、添付図面に従って本発明に係る塗布液の塗布方法及び塗布システム、並びにその塗布システムを使用して製造した光学フィルムの好ましい実施の形態について詳説する。図1は、本発明に係る塗布液の塗布方法、及び塗布システムが適用される光学フィルムの製造ラインを説明する説明図である。図2は、本発明の塗布システムの全体構成図であり、図3は、本発明の別の実施形態の塗布システムの全体構成図である。
図1に示されるように、光学フィルムの製造ライン10は、送液配管を介して塗工装置に送液された塗布液を支持体に塗布すると共に、支持体に塗布されなかった余剰の塗布液を戻り配管で回収して再び送液配管を介して塗工装置に給液する塗布方法の場合である。また、図3は、本発明の別の実施携帯の塗布システムの全体構成図であり、供給タンクから送液配管を介して送液される塗布液を、走行する支持体上に全量塗布する塗工装置を用いた塗布液の塗布方法の場合である。送り出し機12からウエブ14が送り出され、ウエブ14はガイドローラ16によってガイドされて除塵機18に送りこまれる。除塵機18は、ウエブ14の表面に付着した塵埃を取り除く。
除塵機18の下流には、本発明の塗布システム20における塗工装置21が設けられ、光学フィルム製造用の塗布液が走行するウエブ14に塗布される。ここで、光学フィルム製造用の塗布液としては、例えば光学補償フィルムや、反射防止フィルム、防眩性フィルム等を製造するための塗布液を言う。塗工装置21の下流には、初期乾燥ゾーン22、本乾燥ゾーン24、加熱ゾーン26が順次設けられており、ウエブ14上に光学層が形成される。更に、この下流には紫外線ランプ28が設けられており、紫外線照射により、光学層を架橋させ、所望のポリマーを形成する。そして、この下流に設けられた巻取り機30により、ポリマーが形成されたウエブ14が巻き取られる。
次に、図2に示す本発明の塗布システム20について説明する。先ず、塗工装置21としてグラビア塗工装置を使用した例で説明する。
塗布システム20は、主として、グラビア塗工装置21と、グラビア塗工装置21に塗布液を送液する送液ライン32と、グラビア塗工装置21でウエブ14に塗布されなかった余剰な塗布液を回収して送液ライン32に戻す回収ライン34とで構成される。
グラビア塗工装置21は、グラビアローラ36とバックアップローラ38と、グラビアローラ36の下方に設けられた液受けパン40と、グラビアローラ36の回転駆動により液受けパン40から掻き上げられた過剰の塗布液を塗布前に掻き落とすドクターブレード42とを備え、送液ライン32から送液された塗布液が満たされている液受けパン40にはグラビアローラ36の約下半分が浸漬されている。
上流ガイドローラ44及び下流ガイドローラ46は、グラビアローラ36と平行な状態で支持されている。そして、上流ガイドローラ44及び下流ガイドローラ46は、両端部分を軸受部材(ボール軸受等)により回動自在に支持され、駆動機構を付されない構成のものが好ましい。
グラビアローラ36、バックアップローラ38、上流ガイドローラ44及び下流ガイドローラ46は、ウエブ14の幅と略同一の長さを有する。グラビアローラ36は、図2の矢印で示されるようにウエブ14の走行方向と同方向に回転駆動される。尚、図2とは逆の逆転駆動による塗布も、塗布条件によっては採用できる。グラビアローラ36の駆動方法は、インバータモータによるダイレクト駆動(軸直結)であるが、各種モータと減速機(ギアヘッド)との組み合わせ、各種モータよりタイミングベルト等の巻き掛け伝達手段による方法であってもよい。グラビアローラ36表面のセル(cell)形状は、公知のピラミッド型、格子型及び斜線型等のいずれであってもよい。すなわち、塗布速度、塗布液の粘度、塗布層厚等により適宜のセルを選択すればよい。
上記したグラビア塗工装置21の構成により、上流ガイドローラ44及び下流ガイドローラ46でガイドされて走行するウエブ14を、回転駆動されるグラビアローラ36とバックアップローラ38とで挟みながら、グラビアローラ36の回転で液受けパン40から掻き上げた塗布液の一部をドクターブレード42で掻き落とした後、ウエブ14に塗布される。また、ウエブ14に塗布されなかった余剰の塗布液はグラビアローラ36の回転に同伴されて液受けパン42に落流し、回収ライン34の戻り配管48に設けられた回収ポンプ49によって送液タンク50に回収される。回収ポンプ49は、送液ライン32から液受けパン40に給液される塗布液量との兼ね合いで、液受けパン40の液面を一定に維持するように塗布液の回収量を調整する。このグラビア塗工装置21は、特に薄層塗布に有効であるので、たとえば、ウエット塗布量が5ml/m2 以下(塗布時の膜厚が5μm以下)の超薄層塗布を行う光学フィルムの製造ラインに好適に適用できる。尚、塗布時におけるウエブ14の走行方向のテンションは、100〜300N/mの範囲が好ましい。尚、塗工装置としては、グラビア塗工装置21に限定されるものではなく、バー塗工装置(バー方式、ミイヤーバー方式)、ロール塗工装置等も好適に使用できる。
送液ライン32は、主として、供給タンク内の塗布液の密度を測定し、該測定した測定密度と予め規定した目標密度との密度差を演算し、該目標密度よりも略1オーダー粗い精度レベルまで密度調整用液を添加して密度調整する第1の密度調整工程と、第1の密度調整工程後に前記送液配管を流れる塗布液の密度をインライン測定し、該測定した測定密度と前記目標密度との密度差を演算し、該密度差がなくなるように前記密度測定位置の上流側の前記送液配管中に密度調整用液を自動添加して該塗布液の密度をフィードバック制御により調整する第2の密度調整工程と、で構成される。即ち、送液タンク50とグラビア塗工装置21とを接続する送液配管52上に、送液タンク50側から順に、送液ポンプ54、及びフィルタ58を設けて構成される。これにより、送液タンク50内の塗布液は、送液ポンプ54によって送液配管52を流れグラビア塗工装置21に送られる。
回収ライン34は、グラビア塗工装置21と送液タンク50とを接続する戻り配管48には、グラビア塗工装置21側から順に、回収ポンプ49、及び密度フィードバック制御機構56を設けて構成される。
密度フィードバック制御機構56は、主として、戻り配管48内を流れる塗布液の密度をインライン測定する密度計60と、測定した測定密度と予め規定した塗布液の目標密度との密度差を演算する演算手段62と、前記密度差がなくなるように、密度計よりも上流側位置で戻り配管48内を流れる塗布液に密度調整液を自動添加する添加手段64とで構成され、添加手段64として、密度調整液を貯留する添加タンク66と添加ポンプ68とが設けられる。即ち、密度計60で逐次測定される塗布液の測定密度は演算手段62に入力されると共に演算手段62に予め入力されている塗布液の目標密度と比較され、測定密度と目標密度との密度差が求められる。演算手段62は、密度差と密度調整液の添加量との関係を示す検量線データから、密度差をなくすために必要な密度調整液の添加量を演算し、添加ポンプ68の可動時間、回転数あるいはストローク数等を求めて添加ポンプ68を制御する。これにより、塗布液の測定密度と目標密度との間に密度差がある場合には、密度差をなくすように、密度調整液が戻り配管48を流れる塗布液に自動添加される。密度調整液としては、塗布液を調製する際の溶媒や、塗布液と同じ成分を含む溶液等を使用することができる。
また、図2に示すように、戻り配管48を流れる塗布液の温度を計測する温度計86が設けられ、測定された塗布液の温度は演算手段62に逐次入力されて、密度計60で測定された密度の温度補正が行われる。
高精度な密度フィードバック制御機構56を構成するには、高精度な密度測定に対応させて密度調整液の添加精度を高精度にする必要があり、添加ポンプ68としてはプランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ、ギアポンプ等の定量ポンプであることが好ましい。又、図示しないが、添加ポンプ68の代わりにドージングバルブを設けることで密度調整液の添加精度を高精度にすることができる。
そして、本発明の塗布システム20は、厳しい光学性能が要求される光学フィルムの製造において、粘度変化としては現れない塗布液中の固形分濃度の変化をも管理できるようにするため、上記した塗布システム20に更に次の構成を付加することが好ましい。即ち、ここで使用する密度計60としては色々な方式の密度計が可能であるが、振動式密度計が密度を高精度に測定できることからより好適である。
また、戻り配管48の径は、8mm以上10mm以下であることが好ましい。戻り配管48の径が8mm以上10mm以下であることで、戻り配管を流れる塗布液と密度調整液とが好適に攪拌され混合されるので、濃度差のない塗布液を送液タンクに供給することができるので、塗布の際に塗布ムラの発生を防ぐことができる。
これにより、送液配管52を介して塗工装置21に送液された塗布液を走行するウエブ14上に塗布するとともに、ウエブ14に塗布されなかった余剰の塗布液を戻り配管48で回収して再び送液配管52を介して塗工装置21に給液する塗布液の塗布方法において、塗布液の固形分濃度の経時的な変化に由来する塗布ムラを発生させないで、4桁までの液密度調整を可能にすることができる塗布液の塗布方法を提供することができる。
次に、図3に示す本発明の塗布システム20’について説明する。塗工装置21はスロットダイを使用する。尚、図3において、図2に示した本発明の塗布システム20と同一部材に対しては図2に示した本発明の塗布システム20と同符号を付している。
塗布システム20’は、主として、スロットダイ21’と、スロットダイ21’に塗布液を送液する送液ライン32とで構成される。
この塗布工程において、ウエブ14を支持するバックアップローラ38に相対するように、スロットダイ21’が設けられており、スロットダイ21’には塗布液が供給されるようになっている。スロットダイ21’には、長手方向(ウエブ14の幅方向)に延びたマニホールド70と、マニホールド70と連通するとともに、長手方向においてウエブ14と対向し、開口部より塗布液を吐出するスロット72と、を備えている。
スロット72(「スリット」とも称呼される)は、マニホールド70からウエブ14に向け、通常、0. 01〜0. 5mmの開口幅をもってスロットダイ21’の本体内部を貫通し、かつマニホールド70と同じようにウエブ14の幅方向に延長された比較的狭隘な流路であり、ウエブ14の幅方向の開口長さは塗布幅と略同等に設定される。このスロット72の開口幅は、20μm以下の薄層の塗布を行う場合には、小さくすることが望ましく、300μm以下とするのが好ましい。
尚、スロット72におけるウエブ14に向けた流路の長さは、塗布液の液組成、物性、供給流量、供給液圧、等の諸条件を考慮して適宜設定し得る。すなわち、塗布液がウエブWの幅方向に均一な流量と液圧分布をもって層流状にスロット72から供給できればよい。
スロット72の、マニホールド70との境界部から開口部までの距離(ウエブ14に向けた流路の長さ)は、スロット72のウエブ14の幅方向の開口長さ、塗布液の液組成、物性、供給流量、供給液圧、等の諸条件により異なるが、スロット72のウエブ14の幅方向の開口長さが1000〜1200mm程度の場合には30〜80mmの範囲が好ましく採用できる。
送液ライン32は、送液タンク50とスロットダイ21’とを接続する送液配管52上に、送液タンク50側から順に、送液ポンプ54、密度フィードバック制御機構56、及びフィルタ58を設けて構成される。
更に、送液タンク50には、密度フィードバック制御機構73、送液タンク50中の塗布液に密度調整液を自動添加する添加手段74、及び攪拌機80が設けられており、塗布液の密度制御が行われる。
密度フィードバック制御機構73は、主として、送液タンク50内の塗布液の密度を測定する密度計82と、測定した測定密度と予め規定した塗布液の規定密度との密度差を演算する演算手段85と、前記密度差がなくなるように、送液タンク50内の塗布液に密度調整液を自動添加する添加手段74とで構成され、添加手段74として、密度調整液を貯留する調整液用タンク76と添加バルブ78とが設けられる。密度計82で逐次測定される塗布液の測定密度は演算手段85に入力されると共に演算手段85に予め入力されている塗布液の規定密度と比較され、測定密度と規定密度との密度差が求められる。
また、送液タンク50内の塗布液の温度を計測する温度計84が設けられ、測定された塗布液の温度は演算手段85に逐次入力されて、密度計82で測定された密度の温度補正が行われる。
高精度な密度フィードバック制御機構73を構成するには、高精度な密度測定に対応させて密度調整液の添加精度を高精度にする必要があり、添加バルブ78としてはージングバルブを設けることが好ましい。又、図示しないが、添加バブル78の代わりにプランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ、ギアポンプ等の定量ポンプを設けることで密度調整液の添加精度を高精度にすることができる。
そして、送液タンク50内の塗布液は、送液ポンプ54によって送液配管52を流れスロットダイ21’に送られる途中で、塗布液の密度制御が行われると共に、塗布液の異物がフィルタ58で濾過される。
密度フィードバック制御機構56は、主として、送液配管52内を流れる塗布液の密度をインライン測定する密度計60と、測定した測定密度と予め規定した塗布液の規定密度との密度差を演算する演算手段62と、前記密度差がなくなるように、密度計よりも上流側位置で送液配管52内を流れる塗布液に密度調整液を自動添加する添加手段64とで構成され、添加手段64として、密度調整液を貯留する添加タンク66と添加ポンプ68とが設けられる。図2の塗布システム20と同様に、密度計60で逐次測定される塗布液の測定密度は演算手段62に入力されると共に演算手段62に予め入力されている塗布液の規定密度と比較され、測定密度と規定密度との密度差が求められる。演算手段62は、密度差と密度調整液の添加量との関係を示す検量線データから、密度差をなくすために必要な密度調整液の添加量を演算し、添加ポンプ68の可動時間、回転数あるいはストローク数等を求めて添加ポンプ68を制御する。
また、送液配管52を流れる塗布液の温度を計測する温度計86が設けられ、測定された塗布液の温度は演算手段62に逐次入力されて、密度計60で測定された密度の温度補正が行われる。
高精度な密度フィードバック制御機構56を構成するには、図2の塗布システム20と同様に、高精度な密度測定に対応させて密度調整液の添加精度を高精度にする必要があり、添加ポンプ68としてはプランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ、ギアポンプ等の定量ポンプであることが好ましい。又、図示しないが、図2の塗布システム20と同様に、添加ポンプ68の代わりにドージングバルブを設けることで密度調整液の添加精度を高精度にすることができる。
そして、本発明の塗布システム20’は、厳しい光学性能が要求される光学フィルムの製造において、粘度変化としては現れない塗布液中の固形分濃度の変化をも管理できるようにするため、上記した塗布システム20’に更に次の構成を付加することが好ましい。ここで使用する密度計60としては色々な方式の密度計が可能であるが、振動式密度計が密度を高精度に測定できることからより好適である。
また、送液配管52の径は、8mm以上10mm以下であることが好ましい。送液配管52の径が8mm以上10mm以下であることで、送液配管を流れる塗布液と密度調整液とが好適に攪拌され混合されるので、濃度差のない塗布液を塗工装置21’に供給することができるので、塗布の際に塗布ムラの発生を防ぐことができる。
このように、多量の塗布液の密度を一定精度のレベルまで短時間で調整し易いタンク内での密度調整の特徴と、塗布液中の溶媒の揮発を防止しながら密度の微調整を高精度に行い易い送液配管途中での密度調整の特徴と、を組み合わせることにより、小数点以下4桁までの密度調整を短時間で行うことができる。また、塗布液の粘度変化として現れない塗布液中の微小な固形濃度変化であっても、塗布液の密度を検出することで高精度且つリアルタイムに検出することができる。しかも、測定した測定密度を予め規定した目標密度のとの密度差がなくなるように、密度測定位置よりも上流位置に密度調整用液を自動添加することで、タンク内で密度調整液を添加する場合のようなフィードバック遅れが発生しない。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
例えば、図2と図3の塗布システム20、20’において、戻り配管48又は送液配管52を流れる塗布液の温度を計測する温度計86を設ける代わりに、又は温度計86を設けるとともに、戻り配管48又は送液配管52の温度を制御することが考えられる。戻り配管48又は送液配管52の温度を制御することで、塗布液が所定温度となるので、密度フィードバック制御機構56での密度調整を容易に行うことができる。
次に、本発明に係る塗布システムを使用して製造される光学フィルムについて説明する。
本発明に使用するウエブ14としては、光透過率が80%以上であるポリマーフィルムを用いることが好ましい。ポリマーフィルムとしては、外力により複屈折が発現しにくいものが好ましい。ポリマーの例には、セルロース系ポリマー、ノルボルネン系ポリマー(たとえば、アートン(JSR(株)製)、ゼオノア、ゼオネックス(いずれも、日本ゼオン(株)製))及びポリメチルメタクリレートが含まれる、セルロース系ポリマーが好ましく、セルロースエステルがより好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルが更に好ましい。
この低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数は、2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)または4(セルロースブチレート)であることが好ましい。セルロースエステルとしてはセルロースアセテートが好ましく、その例としては、ジアセチルセルロース及びトリアセチルセルロースなどが挙げられる。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。
一般に、セルロースアセテートの2、3、6の水酸基は、全体の置換度の1/3ずつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。本発明ではセルロースアセテートの6位水酸基の置換度が、2、3位に比べて多いほうが好ましい。
全体の置換度に対して6位の水酸基が30%以上40%以下アシル基で置換されていることが好ましく、更には31%以上、特に32%以上であることが好ましい。更にセルロースアセテートの6位アシル基の置換度が0.88以上であることが好ましい。
6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基であるプロピオニル基、ブチロイル基、バレロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基などで置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求める事ができる。
本発明のセルロースアセテートとして、特開平11−5851号公報の段落番号0043〜0044に記載されている合成例1、段落番号0048〜0049に記載されている合成例2、そして段落番号0051〜0052に記載されている合成例3の合成方法により得られたセルロースアセテートを用いることができる。
ポリマーフィルムのレターデーションを調整するため、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤として使用する。
ポリマーフィルムとしてセルロースアセテートフィルムを用いる場合、芳香族化合物は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用する。芳香族化合物は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.05〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することが更に好ましい。二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることが更に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。
芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1、3、5−トリアジン環が含まれる。芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1、3、5−トリアジン環が好ましく、ベンゼン環及び1、3、5−トリアジン環が更に好ましい。芳香族化合物は、少なくとも一つの1、3、5−トリアジン環を有することが特に好ましい。
芳香族化合物が有する芳香族環の数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることが更に好ましく、2〜6であることが最も好ましい。二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合及び(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、アセナフチレン環、ナフタセン環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環及びチアントレン環が含まれる。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環及びキノリン環が好ましい。
(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。二以上の単結合で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環または非芳香族性複素環を形成してもよい。
(c)の連結基も、二つの芳香族環の炭素原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O−、−NH−、−S−またはそれらの組み合わせであることが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆になってもよい。
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
芳香族環及び連結基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファモイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基及び非芳香族性複素環基が含まれる。
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
芳香族環及び連結基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファモイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基及び非芳香族性複素環基が含まれる。
アルキル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。アルキル基は、更に置換基(例、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例には、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチル及び2−ジエチルアミノエチルが含まれる。アルケニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、更に置換基を有していてもよい。
アルケニル基の例には、ビニル、アリル及び1−ヘキセニルが含まれる。アルキニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、更に置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−ブチニル及び1−ヘキシニルが含まれる。
脂肪族アシル基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル、プロパノイル及びブタノイルが含まれる。脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシが含まれる。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルコキシ基は、更に置換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。
アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ、エトキシ、ブトキシ及びメトキシエトキシが含まれる。アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル及びエトキシカルボニルが含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ及びエトキシカルボニルアミノが含まれる。
アルキルチオ基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メチルチオ、エチルチオ及びオクチルチオが含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニル及びエタンスルホニルが含まれる。
脂肪族アミド基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含まれる。脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド及びn−オクタンスルホンアミドが含まれる。脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ及び2−カルボキシエチルアミノが含まれる。
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル及びジエチルカルバモイルが含まれる。脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイル及びジエチルスルファモイルが含まれる。脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイドが含まれる。非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノ及びモルホリノが含まれる。レターデーション上昇剤の分子量は、300〜800であることが好ましい。レターデーション上昇剤の具体例としては、特開2000−111914号公報、同2000−275434号公報、PCT/JP00/02619号明細書等に記載されている。
以下、ポリマーフィルムとしてセルロースアセテートフィルムを用いる場合について具体的に説明する。ソルベントキャスト法によりセルロースアセテートフィルムを製造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、セルロースアセテートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステル及び炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
エーテル、ケトン及びエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトン及びエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトールが含まれる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノンが含まれる。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート及びペンチルアセテートが含まれる。
二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール及び2−ブトキシエタノールが含まれる。ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることが更に好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
なお、技術的には、メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素は問題なく使用できるが、地球環境や作業環境の観点では、有機溶媒はハロゲン化炭化水素を実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、有機溶媒中のハロゲン化炭化水素の割合が5質量%未満(好ましくは2質量%未満)であることを意味する。また、製造したセルロースアシレートフィルムから、メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化水素が全く検出されないことが好ましい。二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
一般的な方法でセルロースアセテート溶液を調製できる。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常温または高温)で、処理することを意味する。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法及び装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。セルロースアセテートの量は、得られる溶液中に10〜40質量%含まれるように調整する。セルロースアセテートの量は、10〜30質量%であることが更に好ましい。
有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。溶液は、常温(0〜40℃)でセルロースアセテートと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧及び加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースアセテートと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、更に好ましくは80〜110℃である。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。たとえば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
本発明のセルロースアセテート溶液(ドープ)の調製は、冷却溶解法に従い実施され、以下に説明する。まず室温近辺の温度(−10〜40℃)で有機溶媒中にセルロースアセテートを撹拌しながら徐々に添加される。複数の溶媒を用いる場合は、その添加順は特に限定されない。
たとえば、主溶媒中にセルロースアセテートを添加した後に、他の溶媒(たとえばアルコールなどのゲル化溶媒など)を添加してもよいし、逆にゲル化溶媒を予めセルロースアセテートに湿らせた後の主溶媒を加えてもよく、不均一溶解の防止に有効である。セルロースアセテートの量は、この混合物中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアセテートの量は、10〜30質量%であることが更に好ましい。更に、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
次に、混合物は−100〜−10℃(好ましくは−80〜−10℃、更に好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却される。冷却は、たとえば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。このように冷却すると、セルロースアセテートと有機溶媒の混合物は固化する。冷却速度は、特に限定されないがバッチ式での冷却の場合は、冷却に伴いセルロースアセテート溶液の粘度が上がり、冷却効率が劣るために所定の冷却温度に達するために効率よい溶解釜とすることが必要である。
また、本発明のセルロースアセテート溶液は膨潤させたあと、所定の冷却温度にした冷却装置を短時間移送することにより達成できる。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。
なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。更に、これを0〜200℃(好ましくは0〜150℃、更に好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースアセテートが流動する溶液となる。昇温は、室温中に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時に減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧及び減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。
したがって、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保存する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
調製したセルロースアセテート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアセテートフィルムを製造する。またドープに、前記のレターデーション上昇剤を添加することが好ましい。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40%、より好ましくは18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
ソルベントキャスト法における流延及び乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、更に100から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
本発明では得られたセルロースアセテート溶液を、ウエブ14としての平滑なバンド上或いはドラム上に単層液として流延してもよいし、2層以上の複数のセルロースアセテート液を流延してもよい。複数のセルロースアセテート溶液を流延する場合、ウエブ14の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアセテートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよく、たとえば特開昭61−158414号、特開平1−122419号、特開平11−198285号、などに記載の方法が適応できる。
また、2つの流延口からセルロースアセテート溶液を流延することによってもフィルム化することでもよく、たとえば特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、特開平6−134933号、に記載の方法で実施できる。また、特開昭56−162617号に記載の高粘度セルロースアセテート溶液の流れを低粘度のセルロースアセテート溶液で包み込み、その高、低粘度のセルロースアセテート溶液を同時に押出すセルロースアセテートフィルム流延方法でもよい。
或いはまた2個の流延口を用いて、第一の流延口によりウエブ14に成型したフィルムを剥ぎ取り、ウエブ14面に接していた側に第二の流延を行なうことにより、フィルムを作製することでもよく、たとえば特公昭44−20235号に記載されている方法である。流延するセルロースアセテート溶液は同一の溶液でもよいし、異なるセルロースアセテート溶液でもよく特に限定されない。複数のセルロースアセテート層に機能を持たせるために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押出せばよい。
更に本発明のセルロースアセテート溶液は、他の機能層(たとえば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)を同時に流延することも実施しうる。従来の単層液では、必要なフィルム厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースアセテート溶液を押出すことが必要であり、その場合セルロースアセテート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良であったりして問題となることが多かった。この解決として、複数のセルロースアセテート溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時にウエブ14上に押出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアセテート溶液を用いることにより乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができた。
セルロースアセテートフィルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)及びトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及びクエン酸エステルが代表的である。
フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)及びジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)及びO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。
その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEP及びDPPが特に好ましい。可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることが更に好ましく、3〜15質量%であることが最も好ましい。
セルロースアセテートフィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることが更に好ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%を超えると、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
次に、ポリマーフィルムの延伸処理について説明する。作製されたセルロースアセテートフィルム(ポリマーフィルム)は、更に延伸処理によりレターデーションを調整することができる。延伸倍率は、3〜100%であることが好ましい。ポリマーフィルムの厚さは、40〜140μmであることが好ましく、70〜120μmであることが更に好ましい。また、この延伸処理の条件を調整することにより、光学補償シートの遅相軸の角度の標準偏差を小さくすることができる。
延伸処理の方法に特に限定はないが、その例としてテンターによる延伸方法が挙げられる。上記のソルベントキャスト法により作製したフィルムに、テンターを用いて横延伸を実施する際に、延伸後のフィルムの状態を制御することにより、フィルム遅相軸角度の標準偏差を小さくすることができる。具体的には、テンターを用いてレターデーション値を調整する延伸処理を行い、そして延伸直後のポリマーフィルムをその状態のまま、フィルムのガラス転移温度近傍で保持することにより、遅相軸角度の標準偏差を小さくすることができる。
この保持の際のフィルムの温度をガラス転移温度よりも低い温度で行うと、標準偏差が大きくなってしまう。また、別の例としては、ロール間にて縦延伸を行う際に、ロール間距離を広くすると遅相軸の標準偏差を小さくできる。
次に、ポリマーフィルムの表面処理について説明する。ポリマーフィルムを偏光板の透明保護膜として使用する場合、ポリマーフィルムを表面処理することが好ましい。表面処理としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理を実施する。酸処理またはアルカリ処理、すなわちポリマーフィルムに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。
次に、配向膜について説明する。配向膜は、光学異方性層のディスコティック液晶性分子の配向方向を規定する機能を有する。配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。更に、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。ポリビニルアルコールが、好ましいポリマーである。疎水性基が結合している変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。疎水性基は光学異方性層のディスコティック液晶性分子と親和性があるため、疎水性基をポリビニルアルコールに導入することにより、ディスコティック液晶性分子を均一に配 向させることができる。
疎水性基は、ポリビニルアルコールの主鎖末端または側鎖に結合させる。疎水性基は、炭素原子数が6以上の脂肪族基(好ましくはアルキル基またはアルケニル基)または芳香族基が好ましい。ポリビニルアルコールの主鎖末端に疎水性基を結合させる場合は、疎水性基と主鎖末端との間に連結基を導入することが好ましい。連結基の例には、−S−、−C(CN)R1 −、−NR2 −、−CS−及びそれらの組み合わせが含まれる。上記R1 及びR2 は、それぞれ、水素原子または炭素原子数が1〜6のアルキル基(好ましくは、炭素原子数が1〜6のアルキル基)である。
ポリビニルアルコールの側鎖に疎水性基を導入する場合は、ポリビニルアルコールの酢酸ビニル単位のアセチル基(−CO−CH3 )の一部を、炭素原子数が7以上のアシル基(−CO−R3 )に置き換えればよい。R3 は、炭素原子数が6以上の脂肪族基または芳香族基である。市販の変性ポリビニルアルコール(例、MP103、MP203、R1130、クラレ(株)製)を用いてもよい。配向膜に用いる(変性)ポリビニルアルコールのケン化度は、80%以上であることが好ましい。(変性)ポリビニルアルコールの重合度は、200以上であることが好ましい。
ラビング処理は、配向膜の表面を、紙や布で一定方向に、数回こすることにより実施する。長さ及び太さが均一な繊維を均一に植毛した布を用いることが好ましい。なお、光学異方性層のディスコティック液晶性分子を配向膜を用いて配向後、配向膜を除去しても、ディスコティック液晶性分子の配向状態を保つことができる。すなわち、配向膜は、ディスコティック液晶性分子を配向するため楕円偏光板の製造において必須であるが、製造された光学補償シートにおいては必須ではない。
配向膜を透明ウエブ14と光学異方性層との間に設ける場合は、更に下塗り層(接着層)を透明ウエブ14と配向膜との間に設けることが好ましい。また面状安定化の為に、クエン酸エステルを必要に応じ添加してもよい。
次に、光学異方性層について説明する。光学異方性層はディスコティック液晶性分子から形成する。ディスコティック液晶性分子は、一般に、光学的に負の一軸性を有する。本発明の光学補償シートにおいては、ディスコティック液晶性分子は、円盤面と透明ウエブ14面とのなす角が、光学異方性層の深さ方向において変化している(ハイブリッド配向している)ことが好ましい。ディスコティック液晶性分子の光軸は、円盤面の法線方向に存在する。
ディスコティック液晶性分子は、光軸方向の屈折率よりも円盤面方向の屈折率が大きな複屈折性を有する。光学異方性層は、上記の配向膜によってディスコティック液晶性分子を配向させ、その配向状態のディスコティック液晶性分子を固定することによって形成することが好ましい。ディスコティック液晶性分子は、重合反応により固定することが好ましい。
なお、光学異方性層には、レターデーション値が0となる方向が存在しない。言い換えると、光学異方性層のレターデーションの最小値は、0を超える値である。具体的には、光学異方性層は、下記式(I)により定義されるReレターデーション値が10〜100
nmの範囲にあり、下記式(II)により定義されるRthレターデーション値が40〜25
0nmの範囲にあり、そして、ディスコティック液晶性分子の平均傾斜角が20〜50゜であることが好ましい。
(I) Re=(nx−ny)×d
(II) Rth={(n2+n3)/2−n1}×d
式(I)において、nxは、光学異方性層面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは、
光学異方性層面内の進相軸方向の屈折率であり、そして、dは、光学異方性層の厚さである。式(II)において、n1は、光学異方性層を屈折率楕円体で近似した場合の屈折率主
値の最小値であり、n2及びn3は、光学異方性層の他の屈折率主値であり、そして、dは、光学異方性層の厚さである。
nmの範囲にあり、下記式(II)により定義されるRthレターデーション値が40〜25
0nmの範囲にあり、そして、ディスコティック液晶性分子の平均傾斜角が20〜50゜であることが好ましい。
(I) Re=(nx−ny)×d
(II) Rth={(n2+n3)/2−n1}×d
式(I)において、nxは、光学異方性層面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは、
光学異方性層面内の進相軸方向の屈折率であり、そして、dは、光学異方性層の厚さである。式(II)において、n1は、光学異方性層を屈折率楕円体で近似した場合の屈折率主
値の最小値であり、n2及びn3は、光学異方性層の他の屈折率主値であり、そして、dは、光学異方性層の厚さである。
ディスコティック液晶性分子は、様々な文献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Co mm., page 1794 (1985) ;J. Zhang et al., J. Am. Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されている。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。したがって、重合性基を有するディスコティック液晶性分子は、下記式(III )で表わされる化合物であることが好ましい。
(III ) D(−L−Q)n
式(III )において、Dは、円盤状コアであり、Lは、二価の連結基であり、Qは、重合性基であり、そして、nは、4〜12の整数である。
(III ) D(−L−Q)n
式(III )において、Dは、円盤状コアであり、Lは、二価の連結基であり、Qは、重合性基であり、そして、nは、4〜12の整数である。
円盤状コア(D)の例を以下に示す。以下の各例において、LQ(またはQL)は、二価の連結基(L)と重合性基(Q)との組み合わせを意味する。
式(III )において、二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−及び−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることが更に好ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−及び−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。
二価の連結基(L)の例を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(Q)に結合する。ALはアルキレン基またはアルケニレン基、ARはアリーレン基を意味する。なお、アルキレン基、アルケニレン基及びアリーレン基は、置換基(例、アルキル基)を有していてもよい。
L1:−AL−CO−O−AL−
L2:−AL−CO−O−AL−O−
L3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L5:−CO−AR−O−AL−
L6:−CO−AR−O−AL−O−
L7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L8:−CO−NH−AL−
L9:−NH−AL−O−
L10:−NH−AL−O−CO−
L11:−O−AL−
L12:−O−AL−O−
L13:−O−AL−O−CO−
L14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L15:−O−AL−S−AL−
L16:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L17:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L18:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L20:−S−AL−
L21:−S−AL−O−
L22:−S−AL−O−CO−
L23:−S−AL−S−AL−
L24:−S−AR−AL−
式(I)の重合性基(Q)は、重合反応の種類に応じて決定する。
L1:−AL−CO−O−AL−
L2:−AL−CO−O−AL−O−
L3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L5:−CO−AR−O−AL−
L6:−CO−AR−O−AL−O−
L7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L8:−CO−NH−AL−
L9:−NH−AL−O−
L10:−NH−AL−O−CO−
L11:−O−AL−
L12:−O−AL−O−
L13:−O−AL−O−CO−
L14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L15:−O−AL−S−AL−
L16:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L17:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L18:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L20:−S−AL−
L21:−S−AL−O−
L22:−S−AL−O−CO−
L23:−S−AL−S−AL−
L24:−S−AR−AL−
式(I)の重合性基(Q)は、重合反応の種類に応じて決定する。
重合性基(Q)は、不飽和重合性基(Q1〜Q7)またはエポキシ基(Q8)であることが好ましく、不飽和重合性基であることが更に好ましく、エチレン性不飽和重合性基(Q1〜Q6)であることが最も好ましい。式(III )において、nは4〜12の整数である。具体的な数字は、円盤状コア(D)の種類に応じて決定される。なお、複数のLとQの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
光学異方性層は、ディスコティック液晶性分子及び必要に応じて重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することにより形成できる。光学異方性層の厚さは、0.5〜100μmであることが好ましく、0.5〜30μmであることが更に好ましい。
配向させたディスコティック液晶性分子を、配向状態を維持して固定する。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることが更に好ましい。ディスコティック液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20〜5000mJ/cm2 であることが好ましく、100〜800mJ/cm2 であることが更に好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。保護層を、光学異方性層の上に設けてもよい。また面状安定化の為に、クエン酸エステルを必要に応じ添加してもよい。
10…光学フィルムの製造ライン、12…送り出し機、14…ウエブ(支持体)、16…ガイドローラ、18…除塵機、20、20’…塗布システム、21…塗工装置(グラビア塗工装置)、21’ …塗工装置(スロットダイ)、22…初期乾燥ゾーン、24…本乾燥ゾーン、26…加熱ゾーン、28…紫外線ランプ、30…巻取り機、32…送液ライン、34…回収ライン、36…グラビアローラ、38…バックアップローラ、40…液受けパン、42…ドクターブレード、44…上流側ガイドローラ、46…下流側ガイドローラ、48…戻り配管、50…送液タンク、52…送液配管、54…送液ポンプ、56…密度フィードバック制御機構、58…フィルタ、60…密度計、62…演算手段、64…添加手段、66…添加タンク、68…添加ポンプ、70…マニホールド、72…スロット、86…温度計
Claims (13)
- 供給タンクから送液配管を介して送液される塗布液を、走行する支持体上に全量塗布する塗工装置を用いた塗布液の塗布方法において、
前記供給タンク内の塗布液の密度を測定し、該測定した測定密度と予め規定した目標密度との密度差を演算し、該目標密度よりも略1オーダー粗い精度レベルまで密度調整用液を添加して密度調整する第1の密度調整工程と、
前記第1の密度調整工程後に前記送液配管を流れる塗布液の密度をインライン測定し、該測定した測定密度と前記目標密度との密度差を演算し、該密度差がなくなるように前記密度測定位置の上流側の前記送液配管中に密度調整用液を自動添加して該塗布液の密度をフィードバック制御により調整する第2の密度調整工程と、により前記塗布液の固形分濃度を一定にして塗布することを特徴とする塗布液の塗布方法。 - 前記第2の密度調整工程では、小数点以下4桁での密度調整であることを特徴とする請求項1の塗布液の塗布方法。
- 送液配管を介して塗工装置に送液された塗布液を走行する支持体上に塗布するとともに、前記支持体に塗布されなかった余剰の塗布液を戻り配管で回収して再び送液配管を介して塗工装置に給液する塗布液の塗布方法において、
前記戻り配管内を流れる塗布液の密度をインライン測定し、該測定した測定密度と予め規定した塗布液の目標密度との密度差を演算し、前記密度差がなくなるように前記密度測定位置の上流側の前記戻り配管中に密度調整用液を自動添加して、該塗布液を所望の濃度となるように該塗布液の密度をフィードバック制御することにより、前記塗布液の固形分濃度を一定にして塗布することを特徴とする塗布液の塗布方法。 - 供給タンクから送液配管を介して送液される塗布液を、走行する支持体上に全量塗布する塗工装置を用いた塗布液の塗布システムにおいて、
前記供給タンク内の塗布液の密度を測定する第1の密度計と、該測定した測定密度と予め規定した目標密度との密度差を演算する第1の演算手段と、該目標密度よりも略1オーダー粗い精度レベルまで密度調整用液を添加して密度調整する第1の添加手段と、を有する第1の密度調整系統と、
前記送液配管を流れる塗布液の密度をインライン測定する第2の密度計と、該測定した測定密度と前記目標密度との密度差を演算する第2の演算手段と、該密度差がなくなるように前記密度測定位置の上流側の前記送液配管中に密度調整用液を自動添加する第2の添加手段と、から成る密度フィードバック機構を有する第2の密度調整系統と、を備えたことを特徴とする塗布液の塗布システム。 - 前記送液配管の径が8mm以上10mm以下であることを特徴とする請求項4に記載の塗布液の塗布システム。
- 前記送液配管は、温度が制御されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の塗布液の塗布システム。
- 送液配管を介して塗工装置に送液された塗布液を走行する支持体上に塗布するとともに、前記支持体に塗布されなかった余剰の塗布液を戻り配管で回収して再び送液配管を介して塗工装置に給液する塗布液の塗布システムにおいて、
前記戻り配管内を流れる塗布液の密度をインライン測定する密度計と、
前記測定した測定密度と予め規定した塗布液の目標密度との密度差を演算する演算手段と、
前記密度差がなくなるように前記密度計の上流側の前記戻り配管中に密度調整液を自動添加する添加手段と、を備えた密度フィードバック制御機構を設けたことを特徴とする塗布液の塗布システム。 - 前記戻り配管の径が8mm以上10mm以下であることを特徴とする請求項7に記載の塗布液の塗布システム。
- 前記戻り配管は、温度が制御されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の塗布液の塗布システム。
- 前記塗布液は光学フィルム製造用の塗布液であることを特徴とする請求項4〜9の何れか1に記載の塗布液の塗布システム。
- 前記密度計は振動式密度計であることを特徴とする請求項4〜10の何れか1に記載の塗布液の塗布システム。
- 前記添加手段は、定量ポンプ、又はドージングバルブであることを特徴とする請求項4〜11の何れか1に記載の塗布液の塗布システム。
- 請求項4〜12の何れか1に記載の塗布システムを使用して製造されたことを特徴とする光学フィルム。
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JP2007010626A JP2008173587A (ja) | 2007-01-19 | 2007-01-19 | 塗布液の塗布方法及び塗布システム、並びに光学フィルム |
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2007
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