JPWO2016148291A1 - 取付シート、ヘルメット、ゴーグル、及び、防曇シートの取付方法 - Google Patents
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Abstract
Description
まず、本実施形態の概要を説明する。
図1は、ヘルメット1の全体構成を例示する図である。
図1に例示するように、ヘルメット1には、バイザーシールド9(以下シールド9)が設けられ、ヘルメット1の内側であるシールド9の内壁面に取付シート10が貼り付けられている。
シールド9は、透明な樹脂で形成されている。本例のシールド9は、例えば、ポリカーボネートで形成されている。
取付シート10は、シールド9のうち、着用者の視界エリアを含む領域に配置されている。
図2に例示するように、シールド9の内側には、取付シート10が取り付けられている。シールド9は、シールド9の内側にあたる内壁面が滑らかな三次元凹曲面状に形成されており、取付シート10は、その三次元凹曲面状に形成された内壁面に対して曲面に沿って撓ませた状態で、取り付けられている。
取付シート10は、基材シート100と、粘着層120とを含み構成されている。取付シート10には、基材シート100の両面にうち、シールド9の凹曲面と対向する面に粘着層120が配置されている。また、取付シート10には、基材シート100の外縁部に連続的に粘着層120が配置されている。取付シート10は、連続的に配置された粘着層120によりシールド9と取付シート20との間の空間に気密性を持たせた状態で、シールド9に取り付けられている。さらに、取付シート10には、基材シート100の両面のうち、少なくともシールド9の内壁面と対向しない面に防曇層105が設けられている。取付シート10は、シールド9に取り付けられることにより、防曇シートとして機能する。
図3は、取付シート10の取り付け前の状態を例示する図である。
図3(A)は、取付シート10を例示する平面図であり、図3(B)は、取付シート10の断面を例示する図である。また、図3(C)は、粘着層120の断面形状を説明する模式図である。
図3(A)及び図3(B)に例示するように、取付シート10は、基材シート100と、防曇層105と、粘着層120とを含み構成されている。
取付シート10は、基材シート100の両面のうち、少なくとも、シールド9の内壁面と対向する面に防曇層105を設けられている。
なお、取付シート10は、基材シート100の表面に防曇層105を形成してもよいし、基材シート100と、防曇層105を形成した透明シートとを貼り合せて一枚のシートとして構成してもよい。本例の取付シート10は、基材シート100の表面に防曇層105を形成する場合を具体例として説明する。
基材シート100は、本発明に係る基板の一例である。
基材シート100は、透光性を有する板状又はシート状の樹脂で構成される透明シートである。また、基材シート100は、シールド9の内壁面に取り付けられていない状態で、シールド9の内壁面より曲率の小さいシート材であり、基材シート100の両面のうち、少なくとも一方の面に防曇層105を設けられている。本例の基材シート100は、可撓性を有する平面形状の透明シートである。
基材シート100は、例えば、透過性を有するポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアミド、又は、ポリエチレンテレフタレートで構成されている。なお、本例では、基材シート100は、シールド9と同じ素材であるポリカーボネートで構成された透明シートである。基材シート100は、ポリカーボネートで構成されるため、耐熱性と耐吸湿性とを備えている。基材シート100は、耐熱性と耐吸湿性とを備えているため、熱や水分による影響を受けにくく変形量が小さい。さらに、基材シート100は、ポリカーボネートで構成されるため、可撓性を備え、かつ、弾性的に湾曲させても湾曲前の状態に復元しようとする高い反発力を備えている。基材シート100は、弾性的に湾曲させることができるため、撓ませた状態でシールド9の内壁面に取り付けることができる。さらに、高い反発力を備えているため、撓ませた状態でシールド9の内壁面に取り付けられることにより、シールド9の内壁面を押圧することができる。これにより、基材シート100は、粘着層120の粘着強度の影響を受けにくい。
なお、基材シート100は、厚みが薄い(0.1mm未満となる)場合、基材シート100に設けられた防曇層105により曲がってしまう可能性があるため、0.1mm以上の厚みが好ましい。基材シート100は複数のポリカーボネートを貼り合せて、厚さ0.1mm以上の基材シート100としてもよい。
また、基材シート100は、シールド9の形状に合わせて、基材シート100の厚みを選択することが好ましい。具体的には、基材シート100の厚みは、シールド9の内壁面形状が三次元形状(球面・非球面形状など)である場合、厚みが0.2mm〜0.5mmが好ましい。また、基材シート100の厚みは、シールド9の内壁面形状が二次元形状(シリンダー形状など)である場合、厚みが0.5mm〜1.0mmが好ましい。また、基材シート100は、取付シート10に対して、板状のポリカーボネートを熱曲げする前提であれば、基材シート100の厚みが0.9mm〜5.0mmであってもよい。
なお、取付シート10は、基材シート100と防曇層105とを合わせた厚みが5.0mm以上である場合、シールド9の内壁面である凹曲面形状に沿って撓ませることが困難になり、シールド9から剥がれてくる可能性がある。そのため、基材シート100と、防曇層105とを合わせた厚みが5.0mm以下である厚みが好ましい。
図3(B)に例示するように、防曇層105は、基材シート100の両面のうち、少なくとも、シールド9の内壁面に取り付けられた場合にシールド9の内壁面と対向しない面に設けられている。つまり、防曇層105は、シールド9の内壁面と対向しない面、又は、基材シート100の両面に設けることができる。本例では、基材シート100の両面に設けられている。
防曇層105は、基材シート100の表面に化学結合した親水性膜であり、具体的には、親水性ポリマー、又は、界面活性剤を主成分とする防曇液により形成された親水性の防曇膜である。防曇層105は、例えば、防曇液を基材シート100の表面に塗布し、乾燥させることにより形成される。
また、防曇層105は、ポリカーボネートで構成されている基材シート100が変形しない程度の範囲で、膜厚を適宜変更することができる。
なお、主成分がポリエチレンテレフタレート(PET)、又は、酢酸セルロースで形成された透明シートの表面に防曇液を塗布して防曇層105を形成し、防曇層105を形成した透明シートと、ポリカーボネートで構成されている基材シート100とを貼り合せてもよい。
粘着層120は、本発明に係る固定手段の一例である。
図3(A)に例示するように、基材シート100、及び、粘着層120は、左右対称である。粘着層120は、基材シート100の外縁部に連続的に配置されている。ここで、「連続的に配置」とは、本図のように直線又は曲線状に連続している場合だけでなく、破線状なども含む概念である。ただし、シールド9と取付シート20との間の空間に気密性を持たせたい場合には、粘着層120が直線状又は曲線状で閉じた状態であることが好ましい。また、本願における「粘着」とは、粘着性を有することを意味し、純粋な粘着剤のみによるものの他に、接着剤などが固化する前の粘性を有する状態のものも含む概念である。したがって、本願における「粘着剤」とは、純粋な粘着剤だけでなく、粘性を有する接着剤も含む概念である。なお、本実施形態では、接着剤のように固化することない、粘着剤を具体例として説明する。固化しない粘着剤は、着脱自在であり、貼り直しができる点で優れている。
また、粘着層120は、基材シート100の上部又は下部に設けられた粘着層120C又は120Dの粘着力より、基材シート100の左端部及び右端部に設けられた粘着層120の粘着力の方が強い粘着力を有するならば、例えば、基材シート100の長手方向における中央部の粘着層120より、基材シート100の長手方向における両端部の粘着層120が、高く盛り上がった弾性粘着層に形成されてもよい。
このように、取付シート10は、基材シート100と、防曇層105と、粘着層120とを含み構成されている。
図4は、シールド9に取付シート10を取り付けた状態を説明する模式図である。
図4(A)は、長手方向におけるシールド9に取付シート10を取り付けた状態を説明する模式図であり、図4(B)は、短手方向におけるシールド9に取付シート10を取り付けた状態を説明する模式図である。
図4(A)に例示するように、取付シート10は、取り付け前においては略平面形状である取付シート10を長手方向に撓ませて湾曲させ、取付シート10を撓ませた状態でシールド9の内壁面に取り付ける。取付シート10は、ポリカーボネートで構成されているため、撓ませることにより弾性的に湾曲する。そのため、取付シート10は、シールド9に取り付けられた場合に、長手方向に撓ませる力が取り除かれたことによって取り付け前の状態に復元しようとする力である反発力により、取り付け前の状態に復元しようとする。取付シート10は、この反発力によって、基材シート100の外縁部全域に連続する粘着層120(不図示)が、全体的にシールド9の内壁面に接触して粘着固定することができる。
また、図4(B)に例示するように、取付シート10は、取付シート10を長手方向に撓ませて湾曲させ、取付シート10を撓ませた状態でシールド9の内壁面に取り付けることにより、短手方向においてもシールド9の内壁面の曲面に合わせて弾性的に湾曲する。取付シート10は、シールド9に取り付けられた場合に、取付シート10の反発力によって取り付け前の状態に復元しようとするため、その反発力により基材シート100の外縁部全域に連続する粘着層120(不図示)が、全体的にシールド9の内壁面に接触して粘着固定することができる。
図5に例示するように、取付シート10は、基材シート100の反発力と、粘着層120の粘着力とにより、シールド9(不図示)の内壁面に取り付けられている。取付シート10は、ヘルメット1の外側とヘルメット1の内側とに温度差を生じた場合、取付シート10の両面のうち、シールド9と対向しない面に水30が付着する。
ヘルメット1の内側において、取付シート10は、基材シート100の表面に設けられた防曇層105により、水30の付着による曇りを防止する。取付シート10は、防曇層105に付着した水30を防曇層105が吸湿し、基材シート100は吸湿をしないため、取付シート10の反発力が維持される。
図6(A)は、シールド9の内側に水30が付着した状態を例示する図であり、図6(B)は、シールド9の内壁面から取付シート10を取り外す状態を説明する図である。
図6(A)に例示するように、取付シート10は、基材シート100の反発力と、粘着層120の粘着力とにより、シールド9の内壁面に取り付けられている。
シールド9は、ヘルメット1の外側とヘルメット1の内側との温度差によって、シールド9と取付シート10との間のうち、シールド9の内壁面に水30が付着する。
図6(B)に例示するように、着用者は、シールド9の内壁面の水30を取り除くために、シールド9の内壁面から取付シート10を取り外す。
取付シート10は、シールド9と取付シート10との間に水30があるため、取付シート10のうちシールド9の内壁面と対向する面に設けられた防曇層10により水30の水分を吸湿する。
図7に例示するように、取付シート10は、長手方向に撓ませた状態でシールド9の内壁面に取り付けられる。取付シート10は、シールド9に取り付けられたことによって長手方向に撓ませる力が取り除かれ、取り付け前の状態に復元しようとする力である反発力が生じる。取付シート10は、生じた反発力により、取付シート10の左端領域又は右端領域をシールド9の内壁面の方向に押圧される。取付シート10は、左端領域又は右端領域をシールド9の内壁面の方向に押圧されることにより、凸曲面状に配置された粘着層120が変形し、全体的にシールド9の内壁面に接触して粘着固定することができる。
図8は、取付シート10の取付方法(S10)のフローチャートである。
図8に例示するように、ステップ100(S100)において、加工者は、ポリカーボネートのシートから、予め設計した形状で、基材シート100を打ち抜く。基材シート100は、厚さ0.1mm以上である。
また、本実施形態の取付シート10は、製造工程が比較的簡易であり、作業の一部(貼付位置の調整、貼付作業など)を一般ユーザに任せることができる。さらには、粘着層120の粘着力は水洗いによって一定程度復元するため、メンテナンスも容易に行うことができる。
図9は、変形例1におけるゴーグル2の内側に取付シート10を取り付けた状態を例示する図である。
図9に例示するように、取付シート10は、ゴーグル2のゴーグルレンズ8(以下レンズ8)に配置してもよい。取付シート10は、基材シート100をレンズ8の形状に合わせて形成され、基材シート100の両面のうち、少なくとも、レンズ8の内壁面と対向しない面に防曇層105(不図示)が設けられている。また、取付シート10は、基材シート100の外縁部に粘着層120を連続的に配置されている。
このように、取付シート10は、ゴーグル2のレンズ8にも用いることができ、着脱自在であるため、取付シート10の内壁面とレンズ8との間に水が付着する場合でも、清掃後に容易に取り付けることができる。
図10に例示するように、シールド9は、その内壁面に固定部20を設けられている。固定部20は、シールド9の内壁面に取り付けられ、取付シート10の端部を固定できるよう、例えば、フック状に形成されている。
また、固定部20は、シールド9の内壁面に取り付けた取付シート10の両端に設けられている。具体的には、固定部20は、シールド9の内壁面のうち、少なくとも、長手方向における取付シート10の両端を撓ませた状態で挟み込み固定できる位置に配置される。また、固定部20は、取付シート10を固定された状態で、シールド9の内壁面にシール層122を押し付けることができる程度に固定できる位置に配置されている。
このように、取付シート10は、シールド9の内壁面に設けられた固定部20により、取付シート10を撓ませた状態でシールド9の内壁面に設けることができる。また、取付シート10は、固定部20により、シールド9の内壁面にシール層122を押し付けることができる程度に固定できる位置に配置されるため、シール層122に粘着性を備えずとも構成することができる。
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、これらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、追加等が可能である。
なお、ヘルメットは、バイク用だけでなく、防災用ヘルメット等であってもよい。また、ゴーグルは、スキー・スノーボード用だけでなく、水泳用等であってもよい。また、眼鏡であってもよい。
本実施例、比較例1、及び、比較例2の各防曇シートの性能を下記の試験を行いそれぞれ評価した。
まず、本実施例、比較例1、及び、比較例2の構成を説明する。
本実施例は、ポリカーボネート(PC)で構成された防曇シートである。本実施例の防曇シートは、厚みが0.3mmであり、透過率が89.89%(EN算出)である。
比較例1は、セルロースアセテート(CA)で構成された防曇シートである。比較例1の防曇シートは、厚みが0.8mmであり、透過率が86.24%(EN算出)である。
比較例2は、セルロースプロピオネート(CP)で構成された防曇シートである。比較例2の防曇シートは、厚みが0.8mmであり、透過率が86.79%(EN算出)である。
なお、上記の各防曇シートの透過率の算出方法は、分光測定器を用い紫外線から赤外線までの光をあて、透過率を算出している。
図11は、加湿した場合の変形量を測定した試験結果を例示する表及びグラフであり、図11(A)は、表であり、図11(B)は、グラフである。
また、図12は、加湿変形試験の実施形態を例示する撮影画像である。図12(A)は、本実施例の加湿変形試験の実施形態を例示する図であり、図12(B)は、比較例1の加湿変形試験の実施形態を例示する図であり、図12(C)は、比較例2の加湿変形試験の実施形態を例示する図である。
(試験目的)
試験目的は、本実施例、比較例1、及び、比較例2の各防曇シートを加湿した場合の変形量を比較・評価する。
(試験方法)
試験方法は、図12に例示するように、約50℃のウォーターバスに、一部に穴をあけたアクリル板で蓋をする。このアクリル板に設けられた穴と重なる位置に防曇シートを載置し、防曇シートの一方の面を加湿した。
(試験結果)
図11に例示するように、本実施例、比較例1、及び、比較例2の各防曇シートの変形量は、「初期(加湿なし)」、「加湿1分後」、「加湿10分後」、「加湿10分後1.5 時間経過後」の各時間で測定した。
本実施例は、加湿後(「加湿1分後」、「加湿10分後」)において変形が見られるものの、「加湿10分後1.5 時間経過後」において変形がゼロ(「初期」と同様の状態)となった。
一方、比較例1、及び、比較例2は、加湿後(「加湿1分後」、「加湿10分後」)において、本実施例の防曇シートよりも大きく変形した。また、「加湿10分後1.5 時間経過後」において、本実施例のように変形が解消されず、(「初期」と同様の状態に)復元しなかった。
また、本実施例の防曇シートの厚みは0.3mmであるのに対し、比較例1、及び、比較例2の防曇シートの厚みは0.8 mmと厚く構成されている。比較例1、及び、比較例2は、本実施例に比べて厚みがあるため、本来であれば変形に対しては有利であるはずだが、大きく変形を起こしていた。
図13は、バイザーシールドに長期間取り付けた後の変形量を測定した試験結果を例示する表、及び、試験結果を例示する撮影画像を例示する撮影画像である。図13(A)は、試験結果を例示する表であり、図13(B)は、試験結果を例示する撮影画像である。
(試験目的)
試験目的は、防曇シートをバイザーシールドに長期間取り付けた後に取り外し、本実施例、比較例1、及び、比較例2の各防曇シートの塑性変形した変形量を比較・評価する。
(試験方法)
試験方法は、ヘルメットメーカーC社のシールドバイザーに防曇シートを取り付けた状態で常温常湿下に50日間置き、50日後にシールドバイザーから取り外し防曇シートの変形量を測定する。なお、常温とは例えば5〜35℃の範囲であり、常湿とは例えば45〜85%の範囲である。
(試験結果)
図13に例示するように、本実施例は、長期間一定形状に保持した場合であっても、過度な熱を加えない限り、取り付け前の形状と略同じ形状に復元する。
一方、比較例1は、長期間一定形状に保持した場合、任意の形状(シールドバイザーの曲面形状)に保持されて、変形した方向と逆方向の応力を加えない限り元に戻らない。
図14は、加湿した場合の曇り度を測定した試験結果を例示する表及びグラフであり、図14(A)は、表であり、図14(B)は、グラフである。
(試験目的)
試験目的は、本実施例、比較例1、及び、比較例2の各防曇シートを加湿した場合の防曇性能を比較・評価する。
(試験方法)
試験方法は、本実施例、比較例1、及び、比較例2の各防曇シートをシート片30×40mmに形成し、このシート片に一定温度に熱した蒸気を一定流量あて、「シートの曇り始めの時間」、 測定面積あたり「シートの1/3が曇るまでの時間」及び「シートの1/2が曇るまでの時間」を測定した。
(試験結果)
図14に例示するように、本実施例は、親水性素材で構成された比較例1、及び、比較例2に比べて、高い防曇性能を有していた。
図15は、DRY/WET時における表面硬度を測定した試験結果を例示する表及びグラフであり、図15(A)は、表であり、図15(B)は、グラフである。
(試験目的)
試験目的は、DRY/WET時における本実施例、比較例1、及び、比較例2の各防曇シートの防曇面摩耗抵抗性能を比較・評価する。
(試験方法)
試験方法は、防曇シートの試験片とJK ワイパー(登録商標)の紙片とを接触させた状態で、一定荷重(荷重500g)を加えながら相対的に擦りあわせ、任意の回数一定方向に往復し摩擦する。一定方向に往復し摩擦することによって試験片の表面に入った傷の本数を測定する。なお、この試験方法では、DRY時とWET時との各条件下において同様に試験を行う。DRY時(初期時)とは、水分を含ませていない状態であり、WET時(濡れ後)とは、一定量表面に水分を含ませた状態である。
(試験結果)
図15に例示するように、本実施例は、DRY時及びWET時であっても、比較例1、及び、比較例2に比べてシート表面に傷がつきにくい。この結果は、本実施例の防曇シートが耐吸湿性のあるポリカーボネートで構成され、その表面に防曇加工による防曇層を備えるためである。これにより本実施例は、WET時であっても、水分を含むことなく表面の硬度を維持することができ、表面に傷がつきにくい。
一方、比較例1、及び、比較例2は、WET状態において、本実施例よりシート表面に傷がつきやすい。この結果は、比較例1、及び、比較例2の防曇シートが吸湿性のある材料で構成されためである。これにより、比較例1、及び、比較例2は、WET時において、水分を含むことにより表面の硬度を維持しにくくなり表面に傷がつきやすい。
図16は、DRY時における落砂表面摩耗値(HAZE値)を測定した試験結果を例示する表及びグラフであり、図16(A)は、表であり、図16(B)は、グラフである。
(試験目的)
試験目的は、DRY時における本実施例、比較例1、及び、比較例2の各防曇シートの濁度(HAZE値)を比較・評価する。
(試験方法)
試験方法は、防曇シートの試験片の表面である防曇面に、400gの規定粒径の砂(研磨材または研削材)を落下させ、落砂後の試験片の表面における濁度をヘーズメーター(曇り度計)を用いて測定する(JIS T-8147:2003 8.1e 参照)。なお、この試験方法では、DRY時の条件下において行う。
(試験結果)
図16に例示するように、初期時(落砂前)において、本実施例は、比較例1、及び、比較例2と大差のないHAZE値である。
一方、落砂後において、本実施例は、比較例1、及び、比較例2に比べてHAZE値が明らかに低くなった。
本発明において、例示的な実施形態の前述の説明は、例示および説明のために提供され、発明の範囲を、網羅しているわけではなく、開示される発明に限定することを意図していない。明らかに、多くの修正および変更が可能であることは、当業者にとって明らかである。実施形態は、発明の原理及びその実際の適用を最適に説明するために、選択され、記載された。それによって、当業者が、考慮される特定の用途に適するように、様々な実施形態および変形例について、本発明を理解することができる。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲およびその均等の範囲によって定義される。
バイザーシールド又はゴーグルレンズの内壁面に沿って撓ませた状態で、固定手段により取付シート10を固定した場合、仮に、バイザーシールド又はゴーグルレンズが変形して、複数の固定手段の間の距離が広がったとしても、取付シート10の弾性力によって、固定手段と取付シート10の係合状態が維持され、取付シート10の脱落防止が期待できる。また、本例の取付シート10は、その端部において、高湿度環境下であっても、バイザーシールド又はゴーグルレンズの内壁面から離間する方向への変形が比較例に比べて小さいため、固定手段の規制方向は、内壁面に沿った外側方向だけで足りる。
図17(A)に例示するように、本例の取付シート10の長手方向の両端に、端部切欠き130が設けられている。また、本例のシールド9の内壁面には、2つの固定突起22が設けられている。2つの固定突起22の間の距離は、図17(A)に例示するように、シールド9の内壁面に沿って取付シート10を撓ませた状態で係合する程度である。端部切欠き130は、固定突起22と接触していてもよいし、僅かに離間していてもよい。
本例における取付方法は、図17(B)に例示するように、まず、取付シート10を撓ませた状態で、シールド9の内壁面に設けられた2つの固定突起22に、取付シート10の互いに対向する端部(端部切欠き130)を係合させる。次に、図17(C)に例示するように、端部(端部切欠き130)を係合させた状態で、取付シート10をシールド9の内壁面に押し付ける。
取付シート10の外縁部に弾性粘着層である粘着層120又は粘着テープが設けられている場合には、取付シート10をシールド9の内壁面にしっかりと押し付けて粘着させる。なお、取付シート10の外縁部に粘着層120又は粘着テープが設けられていない場合には、取付シート10の端部切欠き130に、シールド9の内壁面の固定突起22をしっかりと嵌め込む。
このように、本変形例では、固定突起22を、取付シート10の取付位置を決定するための位置決め機構としている。
9…シールド
10…取付シート
100…基材シート
105…防曇層
120…粘着層
2…ゴーグル
8…レンズ
20…固定部
122…シール層
130…端部切欠き
22…固定突起
Claims (12)
- 凹曲面に対して曲面に沿って撓ませた状態で取り付ける取付シートであって、
厚さ0.1mm以上のポリカーボネートで構成され、取り付けられていない状態で取付面より曲率が小さい板状の基板と、
前記基板の両面のうち、少なくとも、前記凹曲面に取り付けられた場合に当該凹曲面と対向しない面に設けられた防曇層と
を有する取付シート。 - 前記基板と前記防曇層とを合わせた厚さは、5.0mm以下である
請求項1に記載の取付シート。 - 前記凹曲面は、バイザーシールド又はゴーグルレンズの内壁面であり、
前記基板の厚さは、0.2mm以上1.0mm以下である
請求項2に記載の取付シート。 - 前記凹曲面は、滑らかな三次元凹曲面であり、
前記基板の厚さは、0.2mm以上0.6mm以下である
請求項3に記載の取付シート。 - 前記防曇層は、前記基板の表面に化学結合した親水性の防曇膜である
請求項3に記載の取付シート。 - バイザーシールドと、
前記バイザーシールドの凹曲面に取り付ける取付シートと、
前記バイザーシールドの凹曲面に前記取付シートを固定するための固定手段と
を有し、
前記取付シートは、
厚さ0.1mm以上のポリカーボネートで構成され、取り付けられていない状態で取付面より曲率が小さい板状の基板と、
前記基板の両面のうち、少なくともと、前記凹曲面に取り付けられた場合に当該凹曲面と対向しない面に設けられた防曇層と
を有し、
前記固定手段は、少なくとも、前記取付シートの長手方向の両端に設けられ、この両端で前記バイザーシールドに固定する
ヘルメット。 - 前記固定手段は、前記バイザーシールドと前記取付シートとの間に配置され、前記バイザーシールドと前記取付シートとの少なくとも一方と対向する面に凸曲面を有する弾性粘着層である
請求項6に記載のヘルメット。 - 前記バイザーシールドは、ポリカーボネートで構成され、
前記固定手段は、撓んだ状態の前記取付シートの両端を挟みこんで固定する
請求項6に記載のヘルメット。 - 前記固定手段は、少なくとも、前記取付シートの外縁部に連続的に設けられた弾性粘着層である
請求項7に記載のヘルメット。 - 前記固定手段は、前記取付シートの長手方向中央部よりも、前記取付シートの長手方向両端部において、高く盛り上がった弾性粘着層又は幅が広い弾性粘着層である
請求項9に記載のヘルメット。 - ゴーグルレンズと、
前記ゴーグルレンズの凹曲面に取り付ける取付シートと、
前記ゴーグルレンズの凹曲面に前記取付シートを固定するための固定手段と
を有し、
前記取付シートは、
厚さ0.1mm以上のポリカーボネートで構成され、取り付けられていない状態で取付面より曲率が小さい板状の基板と、
前記基板の両面のうち、少なくともと、前記凹曲面に取り付けられた場合に当該凹曲面と対向しない面に設けられた防曇層と
を有し、
前記固定手段は、少なくとも、前記取付シートの長手方向の両端に設けられ、この両端で前記ゴーグルレンズに固定する
ゴーグル。 - 厚さ0.1mm以上5.0mm以下のポリカーボネート板の少なくとも一方の面に防曇層を形成するステップと、
前記ポリカーボネート板を、前記防曇層が形成された面を凹曲面となるように撓ませた状態で、被取付凹曲面に固定するステップと
を有する防曇シートの取付方法。
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