JP2010049281A - 眼用光学構造物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 外レンズと内レンズとを平行に対置し、前記外・内レンズ相互の周縁又はその近傍を全周シールして外・内レンズ相互間に空室を形成して成る眼用光学構造物において、空室を構成する外レンズの後面側と内レンズの前面側のうち少なくとも内レンズの前面側に無機膜を形成してあり、前記内レンズの前面側に形成される無機膜は金属膜であり、前記外・内レンズは、それぞれ中央部が両端部よりも突出する凸形状に形成されている。
【選択図】図1
Description
この発明の眼用光学構造物は、外レンズと内レンズとを平行に対置し、前記外・内レンズ相互の周縁又はその近傍を全周シールして外・内レンズ相互間に空室を形成して成る眼用光学構造物において、空室を構成する外レンズの後面側と内レンズの前面側のうち少なくとも内レンズの前面側に無機膜を形成してあり、前記内レンズの前面側に形成される無機膜は金属膜であり、前記外・内レンズは、それぞれ中央部が両端部よりも突出する凸形状に形成されている。
レンズは、ポリカーボネート系、ポリエステル系、ポリアミド系、アクリル系、環状オレフィン系、繊維基系、ポリスルフォン系、ポリフェニレンスルフィッド系、塩化ビニル系、ポリスチレン系の樹脂等と、それらの透明アロイ樹脂等により構成でき、また、ウレタン系、ポリエポキシ系、アクリル系、アリル系等の熱硬化性樹脂より構成できる。なお、強靱性からすると、ポリカーボネート系熱可塑性樹脂とウレタン系熱硬化性樹脂が好ましい。
外・内レンズ相互の周縁又はその近傍を全周シールするのは、外・内レンズ相互間にできる空室内に、水が侵入しないように密閉するためである。
無機膜は、金属、珪素を含む金属酸化物、珪素を含む金属窒化物などの薄膜である。通常は、真空蒸着法、スパッター法等の高度の真空化で形成する1層当たり0.5mm以下の薄膜である。打ち抜く前のレンズ、或いは打ち抜いた後のレンズ、曲げる前のレンズ、或いは曲げた後のレンズに付与する。
金属膜は、明るい側から見るとメタル光沢膜(ミラー膜)になり、暗い方から見ると半透明膜になるので、遮光性能上好ましい光学加工方法である。
特に、平板状のレンズに金属膜を付与してから曲げる方法をとる場合、金属膜を内側にして曲げると、金属膜にシワが寄ったり、剥離しやすいため、金属膜を外側にして曲げる場合は内レンズの前面側(凸面側)に付与することが好ましい。
この発明の眼用光学構造物は、上記請求項1記載の発明に関し、外レンズの後面側に形成される無機膜は、反射防止膜である。
反射防止膜により、外側から見ればレンズのギラツキを防止し、内側から見ればレンズの透過光量を増し、明るくみえる。平板状のレンズに金属膜を付与してから曲げる方法をとる場合、金属膜を内レンズの凸面に付与するのが好ましいので、反射防止膜は外レンズの凹面側に付与するのが好ましい。
この発明の眼用光学構造物は、上記請求項1又は2記載の発明に関し、外レンズと内レンズのうち、少なくとも外レンズに紫外線吸収機能又は紫外線反射機能を有するものとしてある。
波長400nm以下の紫外光をほぼ100%カットすることが好ましい。レンズを吸収する樹脂の中に、紫外線吸収剤を配合する方法、色素を配合する方法、外レンズの前面側に、紫外線を反射する無機膜を付与する等の方法、及びこれらの組み合わせるもできる。
この発明の眼用光学構造物は、上記請求項1乃至3のいずれかに記載の発明に関し、外レンズの前面側にハードコートを施してある。
ハードコート膜は、一番外傷を受けやすい外レンズの前面側に付与するのが好ましい。ハードコート膜の素材はアクリル系やシラン系があるが、一般的には得られる表面硬度や塗布のしやすさなどから、シラン系化合物の加水分解物とシリカゾルなど無機ゾル粒子を主成分にするものが好ましい。
この発明の眼用光学構造物は、上記請求項1乃至4のいずれかに記載の発明に関し、内レンズの後面側に防曇膜を設けてある。
防曇膜は親水性ポリマーや界面活性剤が主成分になる。フィルム状或いは平板状のシートの片面にロールコータ等で防曇液を片面塗布するか、レンズの状態で防曇液に浸漬し、両面塗布する方法がある。防曇膜と金属膜の密着性がわるい場合は、内レンズの前面側に金属膜を付与した後に防曇膜を付与する方が好ましいことがある。
この発明の眼用光学構造物は、上記請求項1乃至5のいずれかに記載の発明に関し、全周シールは、止水性緩衝材により行われている。
止水性緩衝材は、弾性力と可撓性、及び耐水性を有する樹脂により構成されている。耐水性とは、水に溶けたり膨潤したり、水を通したりしない性質をいう。
この発明の眼用光学構造物は、上記請求項1乃至6のいずれかに記載の発明に関し、外レンズ又は/及び内レンズ又は/及び止水性緩衝材に気圧調整孔を設け、空室の内圧と外気圧に差が生じないようにしてある。
気圧調整孔は、空室が、気圧の変動で膨れたり、縮んだりすることを防ぐために、空室の内圧を外圧と同じにするものである。外レンズと内レンズ、緩衝材の少なくともいずれかに、直径0.1〜5mm程度の孔を開けるようにして構成される。気圧調整孔は直径0.1mmでは効果が弱く、5mm以上では見栄えが悪い。
この発明の眼用光学構造物は、上記請求項7記載の発明に関し、気圧調整孔を、通気性を有する防水フィルターで塞いでいる。
防水フィルターは、気圧調整孔から空室内に水、雪、氷が侵入せず且つ、室内の内圧と外圧とを同じにするため通気性を有するものとしている。このような性質をもつものとしては、ゴアテックス(登録商標)と呼ばれるフッ素樹脂の延伸膜やポリウレタン膜等がある。それらの膜をラミネートあるいは塗布した布をフィルターとして空気調整孔の上に貼付する。
このスキー用ゴーグルGは、図1や図2に示すように、ゴーグル枠1と、グル枠1に連結された伸縮弾性バンド2と、ゴーグル枠1に着脱自在に嵌着されたゴーグルレンズ3と、ゴーグルレンズ3に付設された防水フィルター4とを具備している。
ゴーグル枠1は弾性合成樹脂、ゴム等の軟質材から成り、図1や図3に示すように、レンズ嵌込縁10と、顔面当座11と、前記レンズ嵌込縁10と顔面当座11とを連絡する周壁部12とから成り、レンズ嵌込縁10にはゴーグルレンズ3が着脱自在に嵌め込まれている。
伸縮弾性バンド2は、図1に示すように、バンド主体20,20は伸縮自在に構成したものを使用しており、上記連結部11a,11aに取り付けたバンド主体20,20相互をバックル21を介して連結できるようにしてある。
ゴーグルレンズ3は、図3や図5に示すように、透明性のある樹脂から成る
二枚の外・内レンズ30,31と、前記外・内レンズ30,31のうち隣り合うレンズの周縁を全周シールすべく設けられた止水性緩衝材33とから構成されており、前記止水性緩衝材33とこれらを挟み込むレンズとを両面テープにより接着してある。ここで、このゴーグルレンズ3では、外・内レンズ30,31相互間距離をそれぞれ2mmに設定してあり、外・内レンズ30,31相互間側に形成される空室Rを断熱層としてある。また、これら外・内レンズ30,31はそれぞれ0.6mm程度に設定してあり、中央部が両端部よりも突出する凸形状に形成されている。
防水フィルター4としては、水分の通過を阻止し且つ空気の通過を許容する撥水性通気シートを採用してある。なお、この撥水性通気シートは、ナイロン布等の通気性を持ったシート状の通気性基材に、連続気孔性多孔室材、例えば4フッ化エチレン樹脂繊維層を貼着したものである。この4フッ化エチレン樹脂繊維層は、延伸されて非常に強靱でしなやかな細かい繊維構造のもので、多くの連続気孔を有すると共に強い撥水性を持っており、その平均孔径0.2〜5.0μm,気孔率25〜95%、空気流量0.1〜3000(488inH2 O)cc/sin/in2 としてある。
(1) 無機膜である金属膜5は内レンズ31の前面側に形成されている。つまり、飛来物、拭きキズ、転倒時の外的接触という外的接触が生じる外レンズ30の前面には無機膜は存在しない。したがって、このゴーグルによれば、無機膜が前記外的要因により剥離することはない。
(2) 外レンズ30には紫外線がほぼカットされるように紫外線吸収機能又は紫外線反射機能を持たせてあるため、内レンズ31の前面側に形成された無機膜である金属膜5には、紫外線があたらないものとなる。したがって、このゴーグルによれば、無機膜が前記外的要因により剥離することはない。
(3) 上述した如く無機膜である金属膜5は内レンズ31の前面側に形成されている。ここで、外レンズ30後面側と内レンズ31の前面側とにより構成される空室R内には、防水フィルター4の存在により雪や雨等の水分は侵入しないようになっている。したがって、このゴーグルによれば、無機膜が水分に直接曝されるようなことがないから、水分により無機膜が剥離するようなことがない。
(4) 外レンズ30がカラーレンズである場合、当該外レンズ30の後面側にミラー加工を施すとミラーの色目が変わってしまうが、このゴーグルの如く内レンズ31の前面側にミラー加工を施した場合には、カラーレンズの色目は変わらない。
ゴーグルとしての基本的構成は上記実施例と同じであるが、他の変形例を以下に説明する。
(1) 上記実施例の如く外レンズ30後面側に無機膜である反射防止膜が形成することができる。この無機膜である反射防止膜においても外的要因により剥離しないことが明らかである。
(2) 実施例において外レンズ30を紫外線吸収偏光レンズとすることができる。
(3) 上記実施例にかえて、無機膜である金属膜5を内レンズ31の前面側ではなく外レンズ30の後面側に形成するようにしてもよい。
h1 気圧調整孔
h2 気圧調整孔
R1 前空室
R2 後空室
R3 空室
1 ゴーグル枠
2 伸縮弾性バンド
3 ゴーグルレンズ
4 防水フィルター
5 金属膜
7 防曇処理膜
8 ハードコート
30 外レンズ
31 内レンズ
33 止水性緩衝材
34 止水性緩衝材
Claims (8)
- 外レンズと内レンズとを平行に対置し、前記外・内レンズ相互の周縁又はその近傍を全周シールして外・内レンズ相互間に空室を形成して成る眼用光学構造物において、空室を構成する外レンズの後面側と内レンズの前面側のうち少なくとも内レンズの前面側に無機膜を形成してあり、前記内レンズの前面側に形成される無機膜は金属膜であり、前記外・内レンズは、それぞれ中央部が両端部よりも突出する凸形状に形成されていることを特徴とする眼用光学構造物。
- 外レンズの後面側に形成される無機膜は、反射防止膜であることを特徴とする請求項1記載の眼用光学構造物。
- 外レンズと内レンズのうち、少なくとも外レンズに紫外線吸収機能又は紫外線反射機能を有するものとしてあることを特徴とする請求項1又は2記載の眼用光学構造物。
- 外レンズの前面側にハードコートを施してあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の眼用光学構造物。
- 内レンズの後面側に防曇膜を設けてあることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の眼用光学構造物。
- 全周シールは、止水性緩衝材により行われていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の眼用光学構造物。
- 外レンズ又は/及び内レンズ又は/及び止水性緩衝材に気圧調整孔を設け、空室の内圧と外気圧に差が生じないようにしてあることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の眼用光学構造物。
- 気圧調整孔を、通気性を有する防水フィルターで塞いでいることを特徴とする請求項7記載の眼用光学構造物。
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