JP5374661B2 - カメラカバー及びカメラ - Google Patents

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Description

本発明は、カメラカバー及びカメラに係り、例えば、屋外に設置された監視カメラのカバーの改良に関する。
住居・商用ビル又は屋外のセキュリティシステムとして、監視カメラが広く利用されている。監視カメラは、CCDカメラ等のカメラ本体と、カメラ本体を壁や天井などのカメラ設置面に取り付けられる取付ベースと、を備える。
カメラ本体には、雨水や砂利等からの保護を目的として、開口部に透明な保護カバーが装着される。保護カバーには、光透過性だけでなく、耐衝撃性、耐傷付性が求められる。また、外側表面への泥水の付着等を防止するための撥水機能や、気温が急激に変化した時に内側表面の結露を防止するための透湿防止機能等が要求される。
保護カバーの基板材料としては、主に製品コストの観点から樹脂材料が用いられる。また、形状面で多種多様な保護カバーとするためには、ポリカーボネートやアクリル等の成形の容易な樹脂材料を基板材料として用いる。樹脂基板は、成形の自由度が高く、半球殻状(ドーム型)、半円筒状、箱型等の様々な形状に成形することができる。
監視カメラは、屋外に設置される場合も多く、レンズに水滴が付着しやすい環境にある。レンズに水滴が付着すると、水滴により光の屈折が起こり、結果として撮影画像に多大な悪影響を及ぼす。一般的に、レンズ面には水ヤケ防止のため撥水コートが施されている。しかし、撥水コートにより水滴が玉状になりやすく、撮影画像に与える影響は大きい。逆に、レンズ面に親水コートを施すと、レンズ面の全体に水の膜ができることにより屈折率が変わってしまう。このため、撮影画像はピンボケのようになり、こちらも正しく画像を写すことができないという問題がある。
特許文献1には、光透過性を有する基板、反射防止層、撥水防汚層、及び光透過防止層からなるカバー部材が記載されている。特許文献1の記載のカバー部材は、撥水防汚層をコートして水滴や汚れを落とす構成となっている。
なお、車載カメラは、車両の外部に設置されるため、上記監視カメラと同様に、レンズに水滴が付着しやすい環境下にあるものの、走行時に風圧・振動等により水滴が吹き飛ばされる効果が期待できる。
特開2008−44133号公報
しかしながら、特許文献1の記載のカバー部材は、上記撥水防汚層が、撥水性のため、雨が水滴(玉状)としてカバーに付着する。水滴は軽いため、風などの外力が働かない限り落ちない。水滴が玉状になりやすく、水滴により光の屈折が起こり、映像に水滴が写ってしまうなどの欠点がある。その結果、撮影画像に多大な悪影響を及ぼす課題があった。
本発明の目的は、水滴及び汚れの付着を防止し、画像の鮮明性を確保することができるカメラカバー及びカメラを提供することである。
本発明のカメラカバーは、カメラ部の撮影画像の鮮明性を保持するカメラカバーであって、前記カメラ部を覆う前記カメラカバーは樹脂基板からなり、前記樹脂基板の外表面は、親水コートを有し、前記親水コートは、光触媒ではなく、水接触角が5乃至30度であり、水接触角が5乃至30度であることにより、セルフクリーニング効果を有し、且つ前記カメラカバー表面に付着する水滴の膜化を促進する、構成を採る。
本発明のカメラは、上記カメラカバーを備える構成を採る。
本発明によれば、映像をクリアにした状態で、水滴及び汚れの付着を防止することができ、画像の鮮明性を確保することができる。
本発明の実施の形態に係るカメラカバーを備える監視カメラの斜視図 本実施の形態に係るカメラカバーのドーム部の要部断面図 上記実施の形態に係るカメラカバーの水滴レスのメカニズムを説明する図 上記実施の形態に係るカメラカバーの防汚のメカニズムを説明する図 上記実施の形態に係るカメラカバーの接触角を説明する図 上記実施の形態に係るカメラカバーの親水処理別のドーム表面接触角と画像鮮明性との関係を表にして示す図 上記実施の形態に係るカメラカバーを備える監視カメラ画像の視認性を比較して示す図 上記実施の形態に係るカメラカバーの低接触角の場合のドーム表面接触角と画像鮮明性を説明する模式図、 上記実施の形態に係るカメラカバーの高接触角の場合のドーム表面接触角と画像鮮明性を説明する模式図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態)
図1は、本発明の一実施の形態に係るカメラカバーを備える監視カメラの斜視図である。図2は、図1のカメラカバーのドーム部の要部断面図であり、図2(a)は、ドーム部に親水処理がある場合、図2(b)は、ドーム部に親水処理がない場合を示している。
本実施の形態は、施設や建物の監視システム等に用いられる監視カメラのカメラカバーに適用した例である。
図1及び図2に示すように、監視カメラ100は、カメラ部110と(図2参照)、カメラ部110を収納し、カメラ部110を覆って保護するカメラカバー120と、を備える。
カメラ部110は、例えばCCD(Charge Coupled Devices)カメラからなる撮像部である。
カメラカバー120は、カメラ部110のレンズを覆うレンズカバーである。本実施の形態では、カメラカバー120は、カメラ部110全体を覆い、監視カメラ100の本体筐体を形成している。カメラカバー120は、カメラ部110の撮像面を全面にわたって覆うドーム部130と、ドーム部130の円形開口部を支持・固定するカメラ本体140とからなる。
ドーム部130は、カメラ本体140に収納されたカメラ部110(図2参照)の撮像領域を全面にわたって覆う。ドーム部130は、ドーム形状であるため、広い視野角を有し、カメラ部110の撮像範囲を格段に拡大することができる。
ドーム部130は、成形性及び透明性に優れた樹脂材料を基板材料として用いる。上記樹脂材料には、有機系樹脂材料と無機系樹脂材料とがある。本実施の形態では、ドーム部130の基板材料に、ポリカーボネートなどの有機系樹脂材料を用いている。ポリカーボネートは、硬く衝撃に強いため好適である。また、アクリルなど透明性の良好な樹脂も使用可能である。
図2(a)に示すように、ドーム部130は、外表面130aに親水処理を施し、親水コート(親水処理層)131を形成する。親水コート131を形成した場合、外表面130aにかかった水滴は、玉状にはならず、親水コート131上に薄く拡がり皮膜化して水膜11を形成する。また、図2(b)に示すように、親水処理なしの場合、外表面130aにかかった水滴は、玉状の水滴1となる。本実施の形態は、ドーム部130の外表面130aに親水処理を行うことを特徴とする。詳細については後述する。
カメラ本体140は、樹脂材料又は金属等により形成される。カメラ本体140は、先端部がやや先細りした円筒形状に形成され、該円筒形状の開口部には、ドーム部130の円形開口部が水密に固定される。また、カメラ本体140の後端側の開口部には、監視カメラ100を壁や天井などのカメラ設置面に固定する金属製の土台部材(図示略)が取り付けられる。
カメラカバー120は、ドーム部130が、樹脂基板であることから成形の自由度が高く、上記ドーム型の他、半円筒形状又は異形形状のカメラカバーを容易に製造することができる。また、ドーム部130とカメラ本体140は、樹脂材料により一体的に形成してもよい。
[ドーム部130の親水コート131]
図2(a)に示すように、カメラカバー120は、ドーム部130の外表面130aに親水処理を施し、親水コート(親水処理層)131を形成する。
親水コート131は、水の接触角(以下、接触角という)が30度以内になるようにする。特に、親水コート131上の接触角は、5度〜30度が好ましい。親水コート131上の接触角が、30度以上であると、本発明の親水処理の効果が得られない。また、親水コート131上の接触角が、5度以下であると、親水コート131のエネルギが高すぎて、水滴とともに汚れに対しても親水コート131自体に引き付ける力が働くことから、汚れが溜まりやすい。その結果、親水コート131の性能が激減してしまう。また結局、汚れの影響により接触角が30度以上になってしまうことが判明した。接触角については、図5及び図6により後述する。
以下、上述のように構成されたカメラカバーの親水処理について説明する。
まず、監視カメラ向け親水コートの基本的な考え方について説明する。
[水滴レスのメカニズム]
図3は、本実施の形態の水滴レスのメカニズムを説明する図である。本明細書において、カメラカバー120に親水処理を施し、水滴があっても親水コート131により視認性を確保できる構造を「水滴レス」と呼ぶ。図3(a)は、親水処理なしの場合のカメラカバーの水滴及び撮像画像の模式図、図3(b)は、親水処理を行う場合のカメラカバーの水滴及び撮像画像の模式図である。
図3(a)に示すように、カメラ部110の撮像面側をカメラカバー120が覆っている。説明の便宜上、カメラ部110の撮像面側のカメラカバー120は、平坦であるとしたが、カメラカバー120のドーム部130であっても同様である。
屋外設置の監視カメラの場合、雨の日にカメラカバー120に水滴1がかかる。カメラカバー120に親水処理が施してない場合、カメラカバー120にかかった水滴1は、そのままカメラカバー120に付着する。カメラカバー120に水滴1が付着すると、図3(a)破線矢印に示すように、水滴1により光が乱反射する。その結果、撮影画像に多大な悪影響を及ぼす。本発明者らの実験等によれば、カメラカバー120を、ポリカーボネートなどの有機系樹脂材料により構成した場合、どのような状態で水滴をかけたとしても水滴は、カメラカバー120に必ず付着し、水滴1により光の屈折が起こることが確かめられた。また、図示は省略するが、レンズカバーに撥水コートが施されていると、撥水コートにより水滴が玉状になりやすく、より光が乱反射してしまうことも確かめられた。また、屋外設置の監視カメラの場合、車両に搭載した車載カメラの場合とは異なり、走行時の風圧・振動等により水滴が飛散する効果を期待することはできない。このため、カメラカバー120への水滴1の付着は、そのまま画像視認性の低下に直結する(後述する図7参照)。
本実施の形態では、カメラカバー120に親水処理を施すことで、水滴レスを実現して視認性を確保する。
図3(b)に示すように、カメラカバー120に親水処理を施し、親水コート131を形成する。カメラカバー120に親水処理を施して親水コート131を形成した場合、カメラカバー120にかかった水滴は、玉状にはならず、親水コート131上に薄く拡がり皮膜化して水膜11を形成する。すなわち、カメラカバー120にかかった水滴は、親水処理により玉状にはならず、親水コート131上に略均一に拡がった水膜11となる。後述するように、親水コート131は、どのようなものでも良い訳ではなく、本発明者らによって見出されたように、特定の接触角を有することが必要である。それによって、カメラ部110は良好な画像の撮影をすることができるように、水滴の処理をすることができる。接触角は、親水コート131の材質により規定される。また、親水コート131は、上記接触角に加え、耐久性を持つ必要がある。
本実施の形態では、カメラカバー120にかかった水滴は、親水コート131上で皮膜化して略均一な膜厚の水膜11となる。これにより、図3(b)破線矢印に示すように、光は殆ど屈折することなく、カメラ部110に入射し、画像視認性を良好に保つことができる(後述する図7参照)。本発明者らの実験等によれば、カメラカバー120は、特定の接触角を有する親水コート131を備えることで、カメラカバー120に水滴がかかったとしてもその影響が、殆どないような良好な結果を得ることができた。特に、図3(a)の親水処理なしの場合のように、玉状の水滴1により生じる光の乱反射は、全く発生しない。
[防汚のメカニズム]
カメラカバー120に親水処理を施すことで、水滴レスによる視認性確保を実現することができた。上記効果に加えて、さらに防汚の効果を有する。
図4は、本実施の形態の防汚のメカニズムを説明する図である。図4(a)は、親水処理なしの場合のレンズカバーの水滴及び汚れの模式図、図4(b)は、親水処理を行う場合のレンズカバーの水滴及び汚れの模式図である。
屋外設置の監視カメラの場合、カメラカバー120に、様々な汚れ2〜4が付着する。汚れ2〜4は、様々な塵埃によるものが多い。汚れ2〜4は、カメラ部110の撮像画面を大幅に劣化させる。また、カメラカバー120表面が湿っている、すなわちカメラカバー120に微細な水滴があると、汚れ2〜4の付着を誘発する。
図4(a)に示すように、カメラカバー120に親水処理が施してない場合、水滴1と共に、汚れ2〜4が付着する。カメラカバー120に汚れ2〜4が付着すると、カメラ部110の明るさ及び解像度を大幅に劣化させる。また、例えば汚れ3が、結晶面で劈開したような反射面を有する砂粒等である場合、この反射面で極めて高い光の乱反射が生じることがある。また、上述したように、水滴1自体が、光を乱反射する。
図4(b)に示すように、カメラカバー120に親水処理を施し、親水コート131を形成する。カメラカバー120にかかった水滴は、親水コート131上で皮膜化して略均一な膜厚の水膜11となる。膜化した水滴は、汚れ2〜4よりカメラカバー120の材質に対して親水性が大きいため、図4(b)矢印に示すように、水滴が皮膜化する際に、水膜11が、カメラカバー120側に入り込む。これにより、親水コート131上の水膜11に汚れ2〜4が浮かび、カメラカバー120表面の汚れ2〜4を洗浄(すなわちセルフクリーニング)することができる。
次に、カメラカバー120の接触角について詳細に説明する。
図5は、接触角を説明する図である。図6は、親水処理別のドーム表面接触角(図5)と画像鮮明性との関係を表にして示す図である。図6の表のドーム接触角は、水で測定した。また、画像鮮明性は、ドーム表面に水噴射し、画像評価した。図6中、○印は画像内に水滴を認識しない画像鮮明性が良好な評価基準を表し、×印は画像内に水滴を認識した画像鮮明性が不良な評価基準を表す。
図5に示すように、接触角は、基材21の材質により決まる。なお、一般的に接触角が40度以下の場合、親水性と呼ばれ、接触角が100度以下の場合、撥水性と呼ばれることがある。
本実施の形態では、カメラカバー120のドーム部130の基板材料に、ポリカーボネートなどの有機系樹脂材料を用いると共に、ドーム部130の外表面130a(以下、ドーム表面という)に所定の親水処理を施し、親水コート131を形成する。
図6に示すように、ドーム表面に施す親水処理によりドーム表面接触角(度)を変えることができる。また、本発明者らは、画像鮮明性はドーム表面接触角に依存することを見出した。具体的には、親水処理Aを施した場合、ドーム表面接触角5度、画像線明度は良好である。また、親水処理Bを施した場合、ドーム表面接触角25度、画像線明度は良好、親水処理Cを施した場合、ドーム表面接触角30度、画像線明度は良好である。また、親水処理Dを施した場合、ドーム表面接触角34度、画像線明度は不良、親水処理Eを施した場合、ドーム表面接触角50度、画像線明度は不良である。本発明者らは、画像鮮明性が、ドーム表面接触角30度を境に激変することを見出した。したがって、画像線明度の観点から、親水処理A〜Cを施し、ドーム表面接触角5度〜30度とする。
また、本発明者らは、ドーム表面接触角が、5度以下であると、汚れが溜まり易く、親水コート131の性能が激減してしまうことも見出した。すなわち、ドーム表面接触角が、5度以下の場合、親水コート131のエネルギが高すぎて、水滴とともに汚れに対しても親水コート131自体に引き付ける力が働くことから、汚れが溜まりやすいと考えられる。また結局、汚れの影響により接触角が30度以上になってしまうことが判明した。
図7は、監視カメラ画像の視認性を比較して示す図である。図7は、ドーム表面接触角の実画像を示し、図7破線左側は、接触角34度の実画像を、また図7破線右側は、接触角30度の実画像を示す。
図7破線右側に示すように、接触角30度では、画像内に水滴が全く認識できない程、非常に鮮明な画像となっている。一方、図7破線左側に示すように、接触角34度では、画像内の水滴が認識され、水滴の乱反射及び屈折率の変化により正しい画像となっていない。このように、接触角30度を境に、画像鮮明性は激変する。ドーム表面接触角を30度以下にすることにより、画像鮮明性を確保することができる。
次に、ドーム表面接触角と画像鮮明性について説明する。
図8は、低接触角の場合のドーム表面接触角と画像鮮明性を説明する模式図、図9は、高接触角の場合のドーム表面接触角と画像鮮明性を説明する模式図である。
図8(a)に示すように、低接触角の場合、基材(低接触角の基材21a)に雨粒などの水滴1がかかると、水滴1が皮膜化する(図8(b)参照)。図8(c)に示すように、水滴の皮膜化により、略均一の膜厚の水膜11が形成される。水膜11は、基材21a上に略均一の膜厚で一様に拡がった状態で形成される。このため、入力光は、水膜11によって乱反射されることなく、画像鮮明性を確保することができる。
一方、図9(a)に示すように、高接触角の場合、基材(高接触角の基材21b)に雨粒などの水滴1がかかると、玉状の水滴1bが発生する(図9(b)参照)。図9(c)矢印に示すように、入力光は、玉状の水滴1bによって乱反射され、画像鮮明性が劣化する。
次に、カメラカバー120の親水処理について詳細に説明する。
(1)親水処理について
親水材料を、有機系樹脂からなるカメラカバー120の外表面(特にドーム部130の外表面130a)に塗布する。
・材料、組成、主成分は、以下の通りである。
有機系:親水性アクリル樹脂、コロイダルシリカ含有樹脂
無機系:シリコーン材料
・膜厚は、有機系材料と無機系材料とで異なる。
有機系:5〜30μm
有機系材料は、一般的にとろっとしており、膜厚5μm以下に塗装することはできない。さらに、有機系材料は無機系材料に比較して硬度が低いため、傷つきやすい。そのため、5μm以上とすることで耐久性を向上させる。また、膜厚30μ以上であれば、光の透過性が落ちる。
無機系:0.01〜1μm
無機系材料は、一般的にさらっとしている。しかし、有機系樹脂材料であるカメラカバー120と熱膨張率が異なるため、膜厚1μm以上に厚く塗ると剥げやすい。また、膜厚0.01μm以下であると、剥げてしまう。
また、有機系/無機系いずれの場合においても膜厚が薄すぎると、傷で簡単に親水コート部分がなくなってしまう。
・耐久性を延ばすために以下の方法を採る。
有機系樹脂:無機系樹脂に比べて一般的に紫外線に弱いため、UV吸収剤を混ぜ込む。具体的には、ベンゾフェノン系又はベンゾトリアゾール系の場合、UV吸収剤を0.1〜2.0%混ぜ込む。
無機系樹脂:有機系樹脂からなるカメラカバー120(特にドーム部130)との接着強度アップのため、有機系ののり(接着剤)を混ぜ込む。具体的には、アクリル系樹脂の場合、接着剤を10〜50%混ぜ込む。
ここで、膜厚が均一でなかった場合、カメラ映像が歪むデメリットがある。
また、親水コート131の粗さの許容範囲は、中心線平均粗さ(表面粗さ)Ra=0.01〜0.06μmとする。表面粗さRaがこの許容範囲にない場合、光の乱反射が起こることが確認された。また、親水コート131を平坦にするためには、親水コート131の乾燥速度を遅くすることが効果的である。
(2)接触角について
接触角は、基本的には、親水コート131の材料によってのみ決まる。但し、接触角は、紫外線による劣化などによる表面の化学変化、粗さの変化、汚れ、及び傷の形成によってカメラカバー120表面露出などにより変化する。
本発明者らの実験等によれば、接触角30度以内の場合、30度を境に、撮影の精度が激変して良くなることが確認できた。また、接触角20度以内の場合、20度程度から水滴が完全に膜化し、30度前後では、水滴であるものの撮影の際に気にならない程度であることが確かめられた。また、接触角5度以内では、水蒸気など粒の小さい水滴も十分に皮膜化できることが確かめられた。
(3)カメラカバー120について
カメラカバー120の形状は、ドーム形状及び半球体形状である。また、平面形状でもよい。カメラカバー120の材料は、一般的に有機系樹脂、アクリルなど透明性の良好な樹脂である。本実施の形態では、有機系樹脂として、硬く衝撃に強いポリカーボネートを用いている。
(4)防汚について
本実施の形態は、ドーム部130の外表面130aに親水処理を行うことで、水滴を膜化し、水滴がカメラに写るのを防ぐと共に、水滴による光の乱反射を防ぐ水滴レス効果を有する。
上記水滴レス効果に加えて、以下の防汚効果を有する。すなわち、膜化した水滴は、汚れより親水性が大きいため、水滴が膜化する際に、膜化した水滴が、カメラカバー120側に入り込む。これにより、親水コート131上に汚れが浮かび、水滴と共に汚れを落とすことができる。
(5)親水コート131の処理方法
カメラカバー120の外側(特にドーム部130の外表面130a)に対して、スプレーやディッピングによりコートし、その後、乾燥させる。なお、上記コート方法は、特別な工法ではなく、一般的な方法を用いることができる。
(6)その他
カメラ部110(図2参照)とカメラカバー120間の距離と、上記接触角の範囲とは、関連性はない。すなわち、カメラ部110とカメラカバー120との距離にかかわらず、上記接触角は5乃至30度がよい。また、カメラカバー120の形状が、ドーム型又は平板状にかかわらず、接触角は5乃至30度がよい。
以上詳細に説明したように、本実施の形態のカメラカバー120は、カメラ部110の撮像面を全面にわたって覆うドーム部130と、ドーム部130の円形開口部を支持・固定するカメラ本体140と、備える。ドーム部130は、外表面130aに水接触角が5乃至30度である親水コート131を有し、親水コート131の表面は、中心線平均粗さRaが、0.01乃至0.06μmである。
上述した水滴レスのメカニズムにより、カメラカバー120に水滴がかかったとしても水滴の付着を防止することができ、画像の鮮明性を確保することができるカメラカバー及びカメラを提供することである。
また、上述した防汚のメカニズムにより、水滴が皮膜化する際に、親水コート131上の水膜11に汚れ2〜4が浮かばせてカメラカバー120表面の汚れ2〜4を洗浄することができる。
このように、カメラカバー120は、映像をクリアにした状態で、水滴及び汚れを防ぐことができ、画像の鮮明性を確保することができる。例えば、屋外に設置された監視カメラのカバーに用いた場合、雨などの水滴がカメラに写るのを防ぐことができ、水滴による光の乱反射を防ぐことができる。また、汚れがセルフクリーニングされ、汚れが写るのを防ぐことができる。
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。
上記各実施の形態では、カメラカバー及びカメラという名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、カメラ用保護カバー、監視カメラ等であってもよい。
さらに、上記カメラカバー及びカメラを構成する各構成部、例えば樹脂基板の種類、親水コートの方法などは前述した実施の形態に限られない。
本発明のカメラカバー及びカメラは、屋外施設や建物の監視システム等に用いられる監視カメラのカメラカバーに用いて好適である。
100 監視カメラ
110 カメラ部
120 カメラカバー
130 ドーム部
130a 外表面
131 親水コート
140 カメラ本体

Claims (2)

  1. 屋外に設置される監視カメラのカメラカバーであって、
    前記カメラカバーは
    樹脂材料により形成され、前記監視カメラの撮像方向を覆うドーム型半球体形状であり、且つ、その表面を親水コートで被覆されて成り、
    前記親水コートは、
    前記カメラカバー表面の水接触角が5度乃至30度、且つ表面の中心線平均粗さRaが0.01乃至0.06μmであり、更に光触媒ではなく、シリコーン材料を主成分とし、前記カメラカバーに付着する水滴が膜化した状態で、前記カメラカバー上の汚れと前記カメラカバーとの間に侵入して前記汚れを浮き上がらせるセルフクリーニング効果を発揮させる、
    カメラカバー。
  2. 請求項1記載のカメラカバーを備える監視カメラ。
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