JPWO2016006442A1 - 炭化珪素単結晶の製造方法および炭化珪素基板 - Google Patents

炭化珪素単結晶の製造方法および炭化珪素基板 Download PDF

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Abstract

炭化珪素単結晶の製造方法は、接着部(Bp)と、接着部(Bp)の周縁の少なくとも一部に段差部(Sp)とを有する支持部材(20b)を準備する工程と、段差部(Sp)に緩衝材(2)を配置する工程と、を備える。接着部(Bp)と緩衝材(2)とは支持面(Sf)を構成する。さらにこの製造方法は、支持面(Sf)上に種結晶(10)を配置するとともに、接着部(Bp)と種結晶(10)とを接着する工程と、種結晶(10)上に単結晶(11)を成長させる工程と、を備える。

Description

本開示は、炭化珪素単結晶の製造方法および炭化珪素基板に関する。
炭化珪素基板(ウェーハ)の多くは、昇華法(いわゆる「改良Lely法」)によって製造されている〔たとえば、特開2004−269297号公報(特許文献1)および特開2004−338971号公報(特許文献2)を参照〕。
特開2004−269297号公報 特開2004−338971号公報
本開示の一態様に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、接着部と、該接着部の周縁の少なくとも一部に段差部とを有する支持部材を準備する工程と、該段差部に緩衝材を配置する工程と、を備え、該接着部と該緩衝材とは支持面を構成し、さらに、該支持面上に種結晶を配置するとともに、該接着部と該種結晶とを接着する工程と、該種結晶上に単結晶を成長させる工程と、を備える。
本開示の一態様に係る炭化珪素基板は、直径が150mm以上であり、直径が50mmである中心領域と、外周端に沿って形成され、該外周端からの距離が10mm以内である外周領域と、を備え、該中心領域内の任意の3点で測定した結晶面方位を平均して基準方位としたとき、該外周領域内の任意の点で測定される結晶面方位と該基準方位とのずれが200arcsec以下である。
本開示の一態様に係る炭化珪素単結晶の製造方法の概略を示すフローチャートである。 本開示の一態様に係る炭化珪素単結晶の製造方法の一部を図解する模式的な断面図である。 本開示の一態様に係る支持部材の一例を示す模式的な平面図である。 本開示の一態様に係る支持部材の他の一例を示す模式的な平面図である。 本開示の一態様に係る支持部材の一例を示す模式的な断面図である。 本開示の一態様に係る炭化珪素基板の構成の一例を示す模式的な平面図である。 結晶面方位のずれの測定方法の一例を図解する模式図である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。以下の説明では、同一または対応する要素には同一の符号を付し、それらについて同じ説明は繰り返さない。また本明細書の結晶学的記載においては、個別方位を[]、集合方位を<>、個別面を()、集合面を{}でそれぞれ示す。また結晶学上の指数が負であることは、通常、数字の上に”−”(バー)を付すことによって表現されるが、本明細書では数字の前に負の符号を付すことによって結晶学上の負の指数を表現する。
昇華法とは、原料を高温下で昇華させ、昇華した原料を種結晶上において再結晶化させる結晶成長方法である。通常この方法では、原料は成長容器(たとえば黒鉛製の坩堝)の下部に収容され、種結晶は成長容器の上部に位置する支持部材(たとえば坩堝の蓋)に接着、固定される。近年、この昇華法の進展により、直径が100mm程度(たとえば4インチ程度)までの炭化珪素(SiC)基板については量産化技術が確立されつつある。しかしSiCパワーデバイスの本格普及には、更なる大口径化、すなわち直径150mm以上(たとえば6インチ以上)のSiC基板の量産が必要とされている。
基板の大口径化には結晶欠陥の低減策が不可欠である。基板の口径が大きくなるにつれて結晶欠陥が増加するからである。従来、結晶欠陥を低減すべく様々な方法が提案されている。たとえば特許文献1には、昇華法において種結晶と台座(支持部材)との間に応力緩衝材を配置することが提案されている。これによれば、種結晶と台座間の熱膨張係数の差異に起因して生じる熱応力を、応力緩衝材が緩和するため、成長したSiC単結晶において格子面の反り、マクロ欠陥を防止できるとされている。
また特許文献2には、種結晶と台座との間に緩衝部材を介在させ、さらに接着剤を使用せずに緩衝部材を台座に連結することが提案されている。これによれば、種結晶と緩衝部材間の熱膨張係数の差異に起因する緩衝部材の反りを許容して、成長結晶の格子面の湾曲を防止できるとされている。
しかしながら、これらの方法はいずれも大口径基板の量産化技術としては不十分である。結晶成長速度が低下する可能性があるからである。上記応力緩衝材あるいは緩衝部材として使用されている黒鉛シートは、黒鉛層が幾重にも積層された構造を持つ。こうした黒鉛シートは、黒鉛層の面内方向(シートの面内方向)では高い熱伝導率を示す一方、黒鉛層の積層方向(シートの厚さ方向)では熱伝導率が相対的に低い。たとえば、面内方向の熱伝導率は134W/(m・K)程度であるのに対し、積層方向の熱伝導率は4.7W/(m・K)程度しかない。このように黒鉛シートは厚さ方向において熱伝導率が低いことから、種結晶と台座との間に黒鉛シートを介在させると、黒鉛シートの厚さ方向に大きな温度差が生じ、その結果、成長結晶と原料との温度差が小さくなり、結晶成長速度が低下することになる。
加えて上記の方法は、生産の安定性も欠いている。すなわち黒鉛シートに種結晶を接着して固定すると、種結晶が台座から剥離して落下する可能性がある。これは、黒鉛シートでは黒鉛層間の破断強度が低く、成長結晶の質量が増加したり、あるいは種結晶と黒鉛シートとの熱膨張係数の差に起因する熱応力が生じたりすると、層間において容易に破断を来すからである。さらに落下に至らずとも、台座と種結晶との間に一部分でも剥離が生じると、当該部分において種結晶(SiC)が温度の低い側(台座側)へと昇華してしまい、その結果、成長結晶において微細な貫通孔が形成されることになる。こうした事象は、とりわけ大口径の単結晶を成長させる際、顕著に現れる。
〔1〕本開示の一態様に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、接着部と、該接着部の周縁の少なくとも一部に段差部とを有する支持部材を準備する工程と、該段差部に緩衝材を配置する工程と、を備え、該接着部と該緩衝材とは支持面を構成し、さらに、該支持面上に種結晶を配置するとともに、該接着部と該種結晶とを接着する工程と、該種結晶上に単結晶を成長させる工程と、を備える。
上記によれば大口径(たとえば直径150mm以上)のSiC基板を製造することができる。先ず上記製造方法では、種結晶を接着部において直接支持部材に接着する。このように緩衝材を介在させず、直接種結晶を支持部材に接着することにより、落下等の不具合を生じることなく安定して種結晶を保持できる。さらに接着部では緩衝材が介在しないため、支持部材と種結晶との間に大きな温度差が生じることがなく、原料と成長結晶との温度差を維持することができる。したがって量産に相応しい結晶成長速度を実現できる。
本発明者の研究によれば大口径のSiC単結晶を成長させるとき、支持部材と種結晶との熱膨張係数の差に起因する熱応力は、SiC単結晶の外周近傍に発生しやすい。上記製造方法では、接着部の周縁の少なくとも一部(たとえば支持部材においてSiC単結晶の外周に対応する部位)に段差部を設けて、当該段差部に緩衝材(たとえば黒鉛シート)を配置する。そうすることで種結晶の外周近傍に生じる熱応力を効率的に緩和できる。すなわちSiC単結晶の外周において結晶欠陥を低減することができる。ここで「段差部」とは接着部(面)よりも低く(種結晶から離れる方向へ)後退する部分を示すものとする。
〔2〕上記支持面の平面形状は円形であり、該支持面の直径をd1とするとき、上記段差部は、該支持面の中心点を含みかつ直径が0.5d1以上である中心領域の外側に位置していてもよい。
直径が0.5d1以上である接着部を確保することにより、種結晶を支持部材に安定して支持させることができる。また結晶成長中、SiC単結晶および種結晶に与えられた熱を、接着部を通して逃がすことができる。上記の構成によれば接着部は、種結晶およびSiC単結晶の中心付近に対応する部分を含むことになる。よってSiC単結晶に、平面視において中心付近の温度がその周囲より低い温度分布を形成することができる。これにより中心付近ではその周囲よりも結晶成長速度が高まり、SiC単結晶の外形を結晶品質の観点から理想的である凸形にすることができる。すなわち上記構成によれば、結晶品質を向上させることができる。
〔3〕上記配置する工程において、上記緩衝材は、上記支持部材の中心軸に対して軸対称に配置されていてもよい。
結晶品質の良いSiC単結晶を製造するためには、SiC単結晶内に軸対称の温度分布を形成することが望ましい。その場合、SiC単結晶に加わる熱応力も軸対称となるため、上記のように緩衝材を軸対称に配置しておけば、効率的に熱応力を緩和できる。
〔4〕上記配置する工程において、上記緩衝材は、上記支持部材の中心点に対して点対称に配置されていてもよい。
こうした態様によれば、SiC単結晶内に点対称の温度分布を形成した場合に、熱応力を効率的に緩和することができる。
〔5〕上記支持部材は、上記接着部を有する第1の支持部材と、該第1の支持部材と接合する第2の支持部材とを含み、該第1の支持部材と該第2の支持部材とが接合する部分の周縁の少なくとも一部に上記段差部を有することもできる。
このように支持部材を2部品から構成する態様によっても、上記〔1〕と同様に、量産に相応しい結晶成長速度を実現しつつ、SiC単結晶の外周において結晶欠陥を低減することができる。さらにこの態様によれば、第1の支持部材を種結晶と熱膨張係数が近い材質から構成することもでき、それにより熱応力の発生を低減することもできる。
〔6〕上記緩衝材の厚さは、0.1mm以上2.0mm以下でもよい。厚さが0.1mmよりも薄いと、熱応力を緩和する効果が低減する可能性がある。また通常、支持部材の垂直方向の熱伝導率よりも、緩衝材の厚さ方向の熱伝導率が低いことから、緩衝部材の厚さが2mmを超えるとこの部分での温度差が大きくなって、SiC単結晶において外周近傍の熱応力を緩和する効果が低減する可能性がある。
〔7〕上記種結晶の直径は、150mm以上でもよい。これにより直径が150mm以上の大口径基板を製造できる。
〔8〕本開示の一態様に係る炭化珪素基板は、直径が150mm以上であり、直径が50mmである中心領域と、外周端に沿って形成され、該外周端からの距離が10mm以内である外周領域と、を備え、該中心領域内の任意の3点で測定した結晶面方位を平均して基準方位としたとき、該外周領域内の任意の点で測定される結晶面方位と基準方位とのずれが200arcsec以下である。
従来、直径が150mm以上の大口径SiC基板は、デバイスの製造プロセス中に基板の外周領域が割れる不具合が頻発しており実用レベルに達していなかった。たとえば従来の大口径SiC基板は、搬送工程で無理な力が加わったり、装置の一部に当たって衝撃を受けたりすると容易に割れてしまっていた。
本発明者が前述の製造方法によって、直径150mm以上のSiC基板を製造したところ、このSiC基板はデバイスの製造プロセス中に割れる頻度が非常に低いという驚くべき結果が得られた。そこで本発明者が従来の製造方法から得られたSiC基板と、本開示の一態様に係る製造方法から得られたSiC基板との違いを詳細に解析したところ、その違いは基板の外周領域における結晶面方位のずれ具合にあることが見出された。
すなわち、基板の中心領域内の任意の3点で測定した結晶面方位を平均して基準方位としたとき、外周領域内の任意の点で測定される結晶面方位と基準方位とのずれが200arcsec以下である基板は割れることがなく、他方、同ずれが200arcsecを超える基板は容易に割れてしまうことが明らかとなった。こうした結晶面方位のずれ(歪み)と基板の割れとの相関は、本開示の一態様に係る製造方法によって割れない基板が得られたからこそ、初めて検出できたといえる。なぜなら割れた後の基板では結晶面が既に周囲の拘束から解放されているため、そもそも結晶面方位のずれを検出できないからである。
ここで「arcsec」は角度の単位であり、「3600分の1°」を意味している。結晶面方位は、たとえば2結晶X線回折法によって測定することができる。また「外周領域内の任意の点」は、たとえばX線トポグラフによって特定された外周領域内で最も格子面傾斜が大きい部分に属することが望ましい。
〔9〕上記〔8〕の炭化珪素基板は、厚さが0.3mm以上0.4mm以下でもよい。
基板の厚さを0.4mm以下とすることにより、デバイスの製造コストを削減できる可能性がある。また基板の厚さを0.3mm以上とすることにより、デバイスの製造プロセスにおけるハンドリングが容易となる。一般にSiC基板は口径が大きく、薄いほど割れやすい。そのため従来は、直径が150mm以上であり、厚さが0.5mm以下である基板の実現は極めて困難であった。しかし上記〔8〕の如く、結晶面方位のずれが200arcsec以下であれば、大口径で、なおかつ厚さの薄い基板であっても、デバイスの製造プロセスにおいて割れずに耐えることができる。
〔10〕上記〔8〕または〔9〕の炭化珪素基板において、上記中心領域内の任意の3点で測定した(0004)面のX線ロッキングカーブの半値全幅の平均値と、上記外周領域内の任意の点で測定される(0004)面のX線ロッキングカーブの半値全幅との差の絶対値が、20arcsec以下であってもよい。
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態(以下「本実施形態」とも記す)について詳細に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
〔炭化珪素単結晶の製造方法〕
図1は、本実施形態の製造方法の概略を示すフローチャートである。図2は、当該製造方法の一部を図解する模式的な断面図である。図1および図2に示すように、当該製造方法は、接着部Bpと段差部Spとを有する支持部材20bを準備する工程(S101)と、段差部Spに緩衝材2を配置する工程(S102)と、支持面Sf上に種結晶10を配置するとともに接着部Bpと種結晶10とを接着する工程(S103)と、種結晶10上に単結晶11を成長させる工程(S104)と、を備える。以下、各工程について説明する。
〔支持部材を準備する工程(S101)〕
この工程では、接着部Bpと、接着部Bpの周縁の少なくとも一部に段差部Spとを有する支持部材を準備する。支持部材は、たとえば黒鉛製であり、坩堝30(図2参照)の蓋として機能させてもよい。
図3は支持部材の一例を示す模式的な平面図である。図3に示すように、支持部材20aの平面形状は円形であり、接着部Bpと、接着部Bpより低く後退する段差部Spとを有している。後述するように段差部Spに緩衝材2が配置されることにより、接着部Bpと緩衝材2とは支持面Sfを構成することになる(図2参照)。図3中、段差部Spは4つ設けられているが、段差部Spは少なくとも一部に設けられていればよく、その数は特に制限されない。
図3では、支持部材20aの直径(すなわち支持面Sfの直径)をd1として図示している。直径d1は大きいほど、直径の大きい種結晶を安定して支持することができる。本実施形態は、大口径(たとえば直径150mm以上)の単結晶を製造することを目的とする。よって直径d1は、好ましくは150mm以上であり、より好ましくは175mm以上であり、特に好ましくは200mm以上である。なお直径d1は、300mm以下でもよい。
このとき段差部Spは、支持部材20aの平面視における中心点Cpを含みかつ直径が0.5d1以上である中心領域CR1の外側に設けることが好ましい。接着部Bpの面積を確保しつつ、単結晶11の外周領域に生じる熱応力を緩和できるからである。中心領域CR1の直径は0.6d1以上がより好ましく、0.7d1以上が特に好ましい。接着部Bpの面積を大きくすることにより、単結晶11の中心付近から熱を逃がして、単結晶11の外形を凸形に制御しやすくなるからである。成長初期において単結晶11の外形を凸形にできれば、異種ポリタイプの混入を抑制しやすくなる。
単結晶11を凸形に成長させるにあたり、単結晶11には軸対称な温度分布を形成することが望ましい。そのため段差部Spは、この温度分布に合わせて、支持部材20aの中心軸Axに対して軸対称に設けられることが好ましい。温度分布によって熱応力が発生しやすくなる部分に対向して、緩衝材2を配置するためである。
さらに単結晶11に生じさせる温度分布は、同心円状すなわち単結晶11の中心点に対して点対称とすることがより望ましい。図4は、そうした場合に好適な支持部材の一例を示す模式的な平面図である。図4に示す支持部材20bでは、段差部Spが接着部Bpの周囲を取り囲むように、支持部材20bの中心点Cpに対して点対称に設けられている。支持部材20bによれば、同心円状の温度分布に対応できるため、単結晶11の結晶品質を向上させることができる。
支持部材は、たとえば2部品から構成されるものであってもよい。図5は、2部品から構成される支持部材の一例を示す模式的な断面図である。支持部材20cは、第1の支持部材21と第2の支持部材22とを備える。第2の支持部材22は、たとえば黒鉛から構成される。接着部Bpを有する第1の支持部材21は、種結晶10に熱膨張係数が近い材質から構成されることが望ましい。たとえば第1の支持部材21は、SiC単結晶あるいはSiC多結晶体等から構成され得る。もちろん第1の支持部材21は、第2の支持部材22と同様に黒鉛から構成されていてもよい。
第1の支持部材21と第2の支持部材22とは、たとえば接着剤、嵌合構造等によって接合すればよい。ここで接着剤には、たとえばカーボン接着剤が好適である。カーボン接着剤とは、有機溶剤に黒鉛微粒子を分散してなる接着剤である。具体例としては、たとえば日清紡ケミカル株式会社製の「ST−201」等を例示できる。こうしたカーボン接着剤は熱処理によって炭化させることもでき、これにより対象物同士を強固に接着させることができる。たとえば、カーボン接着剤を一旦150℃以上300℃以下程度の温度で保持して有機溶剤を気化させた後、さらに500℃以上1000℃以下程度の高温で保持することにより、カーボン接着剤を炭化させることができる。
〔緩衝材を配置する工程(S102)〕
この工程では段差部Spに緩衝材2を配置する。緩衝材2は段差部Spに接着してもよいし、単に載せ置くだけでもよい。図2に示すように、段差部Spに緩衝材2が配置されることにより、接着部Bpと緩衝材2とが支持面Sfを構成することになる。前述のように緩衝材2は、好ましくは支持部材の中心軸Axに対して軸対称、より好ましくは支持部材の中心点Cpに対して点対称に配置される。
(緩衝材)
緩衝材2には、たとえば黒鉛シート等の耐熱性を有しかつ柔軟性に富む素材が好適である。緩衝材2の厚さは0.1mm以上2.0mm以下が好ましい。厚さが0.1mmよりも薄いと熱応力を緩和する効果が低減する可能性がある。また厚さが2.0mmを超えると緩衝材2の厚さ方向での温度差が大きくなって、SiC単結晶において外周近傍の熱応力を緩和する効果が低減する可能性もある。熱応力を効率的に緩和するためには、緩衝材2の厚さは0.1mm以上1.0mm以下がより好ましく、0.2mm以上0.8mm以下が特に好ましい。緩衝材がシート状である場合、複数の緩衝材を積層して使用してもよい。その場合、緩衝材の厚さとは、積層された複数の緩衝材の厚さの総和を示すものとする。
〔接着部と種結晶とを接着する工程(S103)〕
図2または図5に示すように、この工程では支持部材の接着部Bpと種結晶10とを接着する。接着には、たとえば前述のカーボン接着剤を使用すればよい。接着部Bpとともに支持面Sfを構成する緩衝材2と、種結晶10とは必ずしも接着しなくてもよい。ただし、緩衝材2と種結晶10との間には隙間が生じない態様とすることが望ましい。両者の間に隙間が存在すると、当該部分において種結晶10(SiC)が温度の低い側(支持部材側)へと昇華してしまい、種結晶10に微細な貫通孔が発生する可能性があるからである。たとえば接着部Bpと同様に接着剤を使用して、緩衝材2と種結晶10とをその間に隙間が生じないように密着させるとよい。
(種結晶)
種結晶10は、たとえばポリタイプ4H、6H等のSiCインゴット(単結晶)を所定の厚さにスライスして準備すればよい。ポリタイプ4Hはデバイス用として特に有用である。スライスには、たとえばワイヤーソー等を使用すればよい。図2に示すように、種結晶10の主面のうち単結晶11が成長することになる面(以下「成長面」とも記す)は、たとえば(0001)面〔いわゆるSi面〕側としてもよいし、(000−1)面〔いわゆるC面〕側としてもよい。
種結晶10の成長面は、{0001}面から1°以上10°以下傾斜するようにスライスされた面であることが望ましい。すなわち種結晶10の{0001}面に対するオフ角度は1°以上10°以下であることが望ましい。種結晶10のオフ角度をこのように制限することで基底面転位等の結晶欠陥を抑制できるからである。当該オフ角度は、より好ましくは1°以上8°以下であり、特に好ましくは2°以上8°以下である。オフ方向は、たとえば<11−20>方向である。
種結晶10の平面形状は、たとえば円形である。前述のように、本実施形態は大口径のSiC単結晶を成長させる際に顕在化する結晶欠陥を抑制するものである。したがって直径の大きい種結晶10を用いて、直径の大きなSiC単結晶を成長させるほど、従来技術に対する本実施形態の優位性が際立つことになる。後述するように本発明者は、直径が150mmの種結晶を用いた実験において、従来技術に対する本実施形態の優位性を確認している。種結晶の直径が150mmよりも大きくなれば、この差はいっそう大きくなると予想される。よって種結晶10の直径は、好ましくは150mm以上であり、より好ましくは175mm以上(たとえば7インチ以上)であり、特に好ましくは200mm以上(たとえば8インチ以上)である。なお種結晶10の直径は、300mm以下(たとえば12インチ以下)でもよい。
種結晶10の厚さは、たとえば0.5mm以上5mm以下でもよい。本実施形態は、厚さが0.5mm以上2mm以下の薄い種結晶に適用してもよい。種結晶が薄くなるほど、歪みが入りやすいからである。
図2に示すように、種結晶10の主面のうち接着部Bpと接着することになる面(以下「接着面」とも記す)に対しては表面粗さを大きくする処理が施されていることが好ましい。支持部材(接着部Bp)との接着強度を高めるためである。そうした処理としては、たとえば比較的粒径の大きな砥粒を使用した研磨処理を例示できる。たとえば、平均粒径が5μm以上50μm以下(好ましくは10μm以上30μm以下、より好ましくは12μm以上25μm以下)程度のダイヤモンドスラリーを使用して研磨すればよい。ここで「平均粒径」は、レーザ回折散乱法によって測定されたメジアン径(いわゆる「D50」)を示すものとする。
あるいは、接着面はスライスによって形成されかつ研磨されていない梨地面(アズスライス面)としてもよい。こうした梨地面も表面粗さが大きく、接着強度の観点から好ましいこともある。
〔単結晶を成長させる工程(S104)〕
図2に示すように、この工程では、種結晶10の成長面上に単結晶11を成長させる。図2では昇華法による例を図示している。図2には支持部材20bを図示しているが、前述の支持部材20aおよび支持部材20cも当然使用できる。
まず原料1が坩堝30の底部に収容される。原料1には、従来のSiC原料を使用することができる。たとえばSiC多結晶または単結晶を粉砕した粉末等を使用することができる。
次に種結晶10の成長面が原料1に面するようにして、支持部材20bが坩堝30の上部に配置される。前述のように、このとき支持部材20bは坩堝30の蓋として機能することもある。坩堝30の周囲には断熱材31が配置される。これらは、たとえば石英製のチャンバー33内に設置される。チャンバー33の上端部および下端部にはステンレス製のフランジ35が設置されており、フランジ35にはビューポート34が設けられている。たとえば放射温度計(パイロメータ)等の非接触式温度計を使用すれば、ビューポート34を通して坩堝30の底部あるいは天井部の温度を測定、監視することができる。ここで底部の温度は原料1の温度を反映し、天井部の温度は、種結晶10および単結晶11の温度を反映するものである。坩堝30内の温度環境は、チャンバー33の周囲を取り囲むように配置された高周波コイル32に流す電流量によって制御される。坩堝30の底部の温度は、たとえば2200℃以上2400℃以下程度に設定され、坩堝30の天井部の温度は、たとえば2000℃以上2200℃以下程度に設定される。これにより原料1が図2の縦方向に昇華し、昇華物が種結晶10上に堆積して単結晶11となって成長する。
結晶成長は、チャンバー33内にアルゴン(Ar)ガスを供給することにより、Ar雰囲気中で実行される。このときArと共に適量の窒素(N2)ガスを供給すれば、窒素がドーパントとなって単結晶11にn型の導電型を付与できる。チャンバー33内の圧力条件は0.1kPa以上、大気圧以下が好ましく、結晶成長速度の観点から10kPa以下がより好ましい。
図2に示すように、本実施形態では、種結晶10は接着部Bpにおいて緩衝材2を介さず支持部材20bに直接接着されている。よって結晶成長中に種結晶10が落下する不具合の発生を抑制し、かつ量産に相応しい結晶成長速度を実現できる。
このとき種結晶10の外周には熱応力が発生するが、これに対向する部分には緩衝材2が配置されているため、当該熱応力は緩和される。したがって、直径が150mm以上である大口径のSiC単結晶も結晶品質を維持して成長させることができる。
以上、昇華法を例示しながら本実施形態を説明したが、本実施形態は昇華法に限定されず、支持部材に種結晶を固定した状態で種結晶上に単結晶を成長させる、単結晶の製造方法に広く適用可能である。たとえば、各種原料ガスを使用したCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の昇華法と同じく気相から単結晶を成長させる方法の他、フラックス法、液相エピタキシャル法、ブリッジマン法、チョクラルスキー法等の液相から単結晶を成長させる方法にも適用できる。
〔炭化珪素基板〕
次に本実施形態に係るSiC基板について説明する。図6は本実施形態に係るSiC基板の概略を示す模式的な平面図である。図6に示すように、SiC基板100は直径d2が150mm以上の基板であり、直径が50mmである中心領域CR2と、外周端OEに沿って形成され、外周端OEからの距離が10mm以内である外周領域ORと、を備えている。SiC基板100は、典型的には前述の製造方法によって得られた単結晶11(インゴット)をスライスしたものである。したがって中心領域CR2と外周領域ORとの間での結晶面方位のずれが小さく、直径150mm以上の大口径であるにもかかわらず、デバイスの製造プロセスにおいて割れる頻度が極めて低い。
SiC基板100の厚さは、たとえば0.1mm以上0.6mm以下程度である。デバイスの原料コストの観点から、SiC基板100の厚さは薄いほど好ましい。しかしSiC基板は薄くなるほど割れやすくなり、それによりデバイスの歩留まりが低下して、デバイスの製造コストがむしろ増加することもあり得る。特に直径が150mm以上の大口径基板の場合には、基板のハンドリングを考慮して一定の厚さを確保する必要がある。そのため従来技術では、直径が150mm以上であり、かつ厚さが0.5mm以下であるSiC基板の実現は極めて困難であった。
これに対して本実施形態に従うSiC基板は、後述する評価に示されるように0.4mm以下の厚さにおいても、デバイスの製造プロセスで割れずに耐えることができる。よってSiC基板100の厚さは0.5mm以下程度が好ましく、0.4mm以下程度がより好ましい。これによりデバイスの原料コストを削減できる可能性がある。ただし基板のハンドリングを考慮すると、SiC基板100の厚さは0.2mm以上程度が好ましく、0.3mm以上程度がより好ましい。すなわちSiC基板100の厚さは、0.2mm以上0.5mm以下程度が好ましく、0.3mm以上0.4mm以下程度が最も好ましい。なおSiC基板の直径は、300mm以下でもよい。
(結晶面方位のずれの測定方法)
中心領域CR2と外周領域ORとの間での結晶面方位のずれは、たとえば2結晶X線回折法によって測定することができる。ただしこの測定方法は一例に過ぎず、結晶面方位のずれを測定できる方法であれば如何なる方法を使用しても構わない。
図7は、結晶面方位のずれの測定方法の一例を図解する模式図である。SiC基板100中に記された「X」形の凡例は、それぞれ結晶面方位の測定点を示している。測定点mp1、測定点mp2および測定点mp3は中心領域CR2に属しており、測定点mp4は外周領域ORに属している。図7の下部には、各測定点における結晶面方位を模式的に示している。図7中の矢印はX線の入射と反射とを示している。結晶面cfは、たとえば{0001}面である。図7中たとえば、測定点mp1における結晶面方位をω1(°)として図示している。
本実施形態では、中心領域CR2に属する3つの測定点での結晶面方位を平均して基準方位ωaを決定する。基準方位ωaは下記式(1):
ωa=(ω1+ω2+ω3)÷3・・・式(1)
から算出できる。このとき3つの測定点mp1、mp2およびmp3の選択は任意であるが、各測定点間の距離が等間隔となるように選択することが望ましい。
次に外周領域ORに属する測定点mp4での結晶面方位ω4を測定する。ω4とωaとのずれΔωは下記式(2):
Δω=|ω4−ωa|・・・式(2)
によって算出できる。本実施形態では、ずれΔωは200arcsec以下となる。デバイスの歩留まりの観点から、ずれΔωは100arcsec以下がより好ましく、50arcsec以下が特に好ましい。ずれΔωは小さいほど望ましく理想的にはゼロ度であるが、生産性の観点からその下限値は10arcsec程度に設定してもよい。
上記の測定は、たとえば次のような手順で行われる。先ずX線トポグラフによって外周領域OR内で最も格子面傾斜が大きい部分を特定した上で、その部分の中から測定点mp4を選択し、さらに2結晶X線回折法によって格子面傾斜(Δω)を測定する。
また上記の測定点mp1、測定点mp2および測定点mp3ならびに測定点mp4において、X線ロッキングカーブ(XRC:X−ray Rocking Curve)測定を行ってもよい。回折面は(0004)面とする。各測定点において半値全幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)を測定する。測定条件は以下のとおりである
X線源:CuKα
回折角:17.85°
走査速度:0.1°/分
サンプリング間隔:0.002°。
測定は、各測定点を中心とする1mm×1mmの領域内で行う。測定点mp1、測定点mp2および測定点mp3におけるFWHMを平均して、当該3点での平均値を求める。当該FWHMの平均値と、測定点mp4におけるFWHMとの差の絶対値を求める。以下、こうして求められた差の絶対値を「ΔFWHM」と称する。ΔFWHMも、中心領域における結晶面方位と、外周領域における結晶面方位とのずれの指標となる。
本実施形態では、ΔFWHMが20arcsec以下となる。本発明者の研究によると、ΔFWHMが20arcsecを超える基板は、デバイスの製造プロセス中に割れる可能性が高い。他方、ΔFWHMが20arcsec以下である基板は、割れに対する耐性が高い。ΔFWHMは小さいほど望ましく、理想的には0arcsecである。ΔFWHMの上限は、19arcsecでもよいし、18arcsecでもよいし、17arcsecでもよいし、16arcsecでもよい。ΔFWHMの下限は、0arcsecでもよいし、5arcsecでもよいし、10arcsecでもよいし、15arcsecでもよい。
〔評価〕
以下のように製造条件α、βおよびγによってSiC基板を製造し、さらに結晶面方位のずれ、およびデバイスの製造プロセスにおけるハンドリング(製造プロセス中、割れずに耐え得るか否か)を評価した。以下の説明では製造条件αから得られた基板は、たとえば「基板α1」と記すものとする。
〔製造条件α〕
〔支持部材を準備する工程(S101)〕
図2および図4に示すように、平面形状が円形である黒鉛製の支持部材20bを準備した。このとき支持部材20bの直径d1は150mmとし、中心点Cpを含み直径が75mmである中心領域CR1(接着部Bp)の外側に、接着部Bpよりも1.05mm低く後退した段差部Spを形成した。
〔緩衝材を配置する工程(S102)〕
図2および図4に示すように、段差部Spに、緩衝材2(厚さ1.0mmの黒鉛シート)を配置し、さらにカーボン接着剤を使用して支持部材20bと緩衝材2とを接着した。これにより接着部Bpと緩衝材2とから構成される支持面Sfが形成された。
〔接着部と種結晶とを接着する工程(S103)〕
直径150mm、厚さ1.5mmのSiC種結晶10を準備した。種結晶10はポリタイプ4Hの結晶構造を有し、(0001)面から4°オフされた成長面を有するものであった。種結晶10の接着面(成長面の反対側に位置する面)に前述のカーボン接着剤を塗布し、支持面Sfに貼り付けた。次いで種結晶10が貼り付けられた支持部材20bを200℃に設定された恒温槽内で5時間保管して、カーボン接着剤に含まれる有機溶剤を気化させた。その後、高温炉を使用し、種結晶10が貼り付けられた支持部材20bを750℃で10時間に亘って熱処理して、カーボン接着剤を炭化させた。これにより接着部Bpおよび緩衝材2と種結晶10とを接着した。
〔単結晶を成長させる工程(S104)〕
図2に示すように、黒鉛製の坩堝30の底部にSiC粉末である原料1を収容し、坩堝30の天井部に種結晶10が貼り付けられた支持部材20bを配置した。次いで坩堝30の周囲に断熱材31を配置し、それらを高周波式加熱装置の石英製チャンバー33内に設置した。
チャンバー33内を真空引きした後、Arガスを供給してチャンバー33内の圧力を1.0kPaに調整した。さらにチャンバー33の上下に設けられた2つのビューポート34から坩堝30の底部ならびに天井部の温度をパイロメータ(図示せず)で監視しながら、坩堝30の底部の温度を2300℃まで上昇させ、坩堝30の天井部の温度を2100℃まで上昇させた。この圧力条件および温度条件を保持して50時間に亘ってSiC単結晶11を成長させた。こうして最大直径165mm、高さ15mmの単結晶11を得た。
〔基板の作製〕
単結晶11の側面を研削した後、ワイヤーソーでスライスして10枚の基板を得た。さらに各基板のスライス面を鏡面研磨して、厚さ350μm、直径150mmのミラーウェーハである基板α1〜α10を得た。
〔結晶面方位のずれの測定〕
基板α1〜α10の結晶面方位のずれΔωを前述の方法に従って測定した。結果を表1に示す。表1に示すように、基板α1〜α10におけるΔωは、いずれも200arcsec以下であった。
〔ΔFWHMの測定〕
基板α1〜α10において、ΔFWHMを前述の方法に従って測定した。結果を表1に示す。表1に示すように、基板α1〜α10におけるΔFWHMは、いずれも20arcsec以下であった。
Figure 2016006442
〔デバイスの作製〕
基板α1〜α10を使用して、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を作製し、デバイスの製造プロセスにおけるハンドリングを以下の「A」および「B」の2水準で評価した。結果を表1に示す。表1に示すように基板α1〜α10では割れが生じておらず、いずれもハンドリングは良好であった。
A:基板に割れが生じなかった
B:基板に割れが生じた。
〔製造条件β〕
製造条件βでは従来技術の如く、段差部を有さない支持部材を使用した。前述の種結晶10の接着面にカーボン接着剤を塗布し、接着面の全面をこの支持部材に貼り付けた。これ以外の条件は製造条件αと同様にして単結晶11を成長させ、さらに基板β1〜β10を得た。
基板β1〜β10の結晶面方位のずれΔωを前述の方法に従って測定した。結果を表2に示す。表2に示すように、基板β1〜β10では、中心領域と外周領域との間で、結晶面方位に220〜250arcsec程度のずれが生じていた。
さらに基板β1〜β10において、ΔFWHMを前述の方法に従って測定した。結果を表2に示す。表2に示すように、基板β1〜β10では、ΔFWHMが20arcsecを超えていた。
Figure 2016006442
基板β1〜β10を使用してMOSFETを作製し、デバイスの製造プロセスにおけるハンドリングを前述の2水準で評価した。結果を表2に示す。表2に示すように基板β1〜β10では、すべての基板が製造プロセス中に割れてしまい、デバイスの作製が困難であった。
〔製造条件γ〕
製造条件γでは、カーボン接着剤を使用して種結晶10の接着面の全面に前述の黒鉛シートを貼り付けた後、該黒鉛シートを挟んで種結晶10と支持部材20bとを接着することを除いては、製造条件αと同様にして単結晶11を成長させた。
その結果、製造条件γでは、結晶成長中に種結晶10の一部が支持部材20bから剥離し、これにより単結晶11に多数の微細な貫通孔が発生していた。そのためデバイスの製造に使用できる基板を採取することはできなかった。
以上の実験結果より次の事項が実証できたといえる。
第一に、接着部Bpと、接着部Bpの周縁の少なくとも一部に段差部Spとを有する支持部材20bを準備する工程(S101)と、段差部Spに緩衝材2を配置する工程(S102)と、を備え、接着部Bpと緩衝材2とは支持面Sfを構成し、さらに、支持面Sf上に種結晶10を配置するとともに、接着部Bpと種結晶10とを接着する工程(S103)と、種結晶10上に単結晶11を成長させる工程(S104)と、を備えるSiC単結晶の製造方法は、大口径基板の量産に相応しい製造方法である。
第二に、直径d2が150mm以上であり、直径が50mmである中心領域CR2と、外周端OEに沿って形成され、外周端OEからの距離が10mm以内である外周領域ORと、を備え、中心領域CR2内の任意の3点で測定した結晶面方位を平均して基準方位ωaとしたとき、外周領域OR内の任意の点で測定される結晶面方位と基準方位ωaとのずれが200arcsec以下である、SiC基板はデバイスの製造プロセスで割れる頻度が極めて低く、実用に耐え得るSiC基板である。
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施形態ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 原料、2 緩衝材、10 種結晶、11 単結晶、20a,20b,20c 支持部材、21 第1の支持部材、22 第2の支持部材、30 坩堝、31 断熱材、32 高周波コイル、33 チャンバー、34 ビューポート、35 フランジ、100 基板、Bp 接着部、Sp 段差部、Sf 支持面、Cp 中心点、CR1,CR2 中心領域、OR 外周領域、OE 外周端、d1,d2 直径、mp1,mp2,mp3,mp4 測定点、cf 結晶面、ω1,ω2,ω3,ω4 結晶面方位、ωa 基準方位、Δω ずれ。

Claims (10)

  1. 接着部と、前記接着部の周縁の少なくとも一部に段差部とを有する支持部材を準備する工程と、
    前記段差部に緩衝材を配置する工程と、を備え、
    前記接着部と前記緩衝材とは支持面を構成し、さらに、
    前記支持面上に種結晶を配置するとともに、前記接着部と前記種結晶とを接着する工程と、
    前記種結晶上に単結晶を成長させる工程と、を備える、炭化珪素単結晶の製造方法。
  2. 前記支持面の平面形状は円形であり、
    前記支持面の直径をd1とするとき、前記段差部は、前記支持面の中心点を含みかつ直径が0.5d1以上である中心領域の外側に位置する、請求項1に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  3. 前記配置する工程において、
    前記緩衝材は、前記支持部材の中心軸に対して軸対称に配置される、請求項1または請求項2に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  4. 前記配置する工程において、
    前記緩衝材は、前記支持部材の中心点に対して点対称に配置される、請求項1に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  5. 前記支持部材は、前記接着部を有する第1の支持部材と、前記第1の支持部材と接合する第2の支持部材とを含み、
    前記第1の支持部材と前記第2の支持部材とが接合する部分の周縁の少なくとも一部に前記段差部を有する、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  6. 前記緩衝材の厚さは、0.1mm以上2.0mm以下である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  7. 前記種結晶の直径は、150mm以上である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  8. 直径が150mm以上であり、
    直径が50mmである中心領域と、
    外周端に沿って形成され、前記外周端からの距離が10mm以内である外周領域と、を備え、
    前記中心領域内の任意の3点で測定した結晶面方位を平均して基準方位としたとき、前記外周領域内の任意の点で測定される結晶面方位と前記基準方位とのずれが200arcsec以下である、炭化珪素基板。
  9. 厚さが0.3mm以上0.4mm以下である、請求項8に記載の炭化珪素基板。
  10. 前記中心領域内の任意の3点で測定した(0004)面のX線ロッキングカーブの半値全幅の平均値と、前記外周領域内の任意の点で測定される(0004)面のX線ロッキングカーブの半値全幅との差の絶対値が、20arcsec以下である、請求項8または請求項9に記載の炭化珪素基板。
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