JP5549722B2 - 結晶製造方法 - Google Patents

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本発明は結晶製造方法に関し、より特定的には炭化ケイ素(SiC)結晶の製造方法に関する。
SiCは、バンドギャップが大きく、また最大絶縁破壊電界および熱伝導率はシリコン(Si)と比較して大きい一方、キャリアの移動度はSiと同程度に大きく、電子の飽和ドリフト速度および耐圧も大きい。そのため、高効率化、高耐圧化、および大容量化を要求される半導体デバイスへの適用が期待される。
このような半導体デバイス等に用いられるSiCは、たとえば気相成長法の昇華法により製造される。このようなSiC結晶の製造方法は、たとえば特開平5−32496号公報(特許文献1)などに開示されている。図4は、特許文献1に開示のSiCの成長装置を簡略的に示す断面図である。図4を参照して、特許文献1に開示のSiC結晶の成長方法について説明する。
図4に示すように、坩堝101の下部には、SiC結晶の原料17がグラファイト製の坩堝101の内壁101aと隙間無く密着するように配置されている。坩堝101の上部には、種結晶11が原料17と互いに向かい合うように配置されている。その後、原料17が昇華する温度まで原料17が加熱される。この加熱により、原料17が昇華して昇華ガスが生成され、原料17よりも低温に設置されている種結晶11の表面にSiC結晶が成長する。
特開平5−32496号公報
しかしながら、上記特許文献1では、坩堝101の内壁101aに接するように、原料17を配置している。坩堝101を構成するグラファイトと、原料17を構成するSiCとの熱膨張係数は異なっている。このため、SiC結晶を成長するために原料17を加熱する工程、あるいはSiC結晶を成長した後に冷却する工程において、互いの熱膨張係数の差による応力が坩堝101に加えられる。その結果、坩堝101が割れてしまうという問題があった。坩堝101が割れると、原料17が坩堝101の外部に漏洩するので、引き続き結晶成長を行なうことができなくなってしまう。また坩堝101が割れてしまった後には、結晶の成長条件が著しく経時変化を起こすため、安定に結晶成長を行うことが困難になってしまう。
また、坩堝101の割れを抑制するために、坩堝101の内壁101aと隙間を隔てて原料17を配置する技術が考えられる。しかし、SiC結晶を成長するためには高温で原料17を加熱する必要があるので、坩堝101を構成する材料(たとえばグラファイト)が昇華してしまう。このため、成長するSiC結晶に、意図しない不純物が混入してしまうという問題があった。
さらに、坩堝101を構成する材料と原料17を構成する材料とを同じにする技術が考えられる。しかし、原料17を昇華させるためには、坩堝101も昇華してしまう。このため、坩堝101に孔が発生して、引き続き結晶成長が困難になってしまう。
したがって、本発明は、坩堝の割れを抑制し、かつ意図しない不純物の混入を抑制した結晶を製造する結晶製造方法を提供することである。
本発明の一の局面における結晶製造方法は、坩堝内壁と原料との間に緩衝層を配置した装置を準備する工程と、装置内で結晶を成長する工程とを備えている。準備する工程では、成長する工程において結晶を成長する温度よりも高い融点を有し、かつ坩堝を構成する材料よりも高い延性を有する緩衝層を配置する。
本発明の一の局面における結晶製造方法によれば、緩衝層の延性は、坩堝の延性よりも高いので、緩衝層は容易に変形することができる。緩衝層が変形することにより、結晶を成長するために原料を加熱する工程、成長途中で成長温度を変化させる工程、または結晶を成長した後に冷却する工程において、坩堝を構成する材料と原料を構成する材料との熱膨張係数の差によりそれぞれが膨張または圧縮したときに坩堝に加えられる応力を低減することができる。したがって、坩堝の割れを抑制することができる。
さらに、緩衝層の延性により坩堝の割れを抑制できるので、緩衝層に接触させるように原料を配置することができる。この状態で結晶を成長すると、緩衝層が成長雰囲気に暴露されることを抑制できるので、緩衝層が昇華することを抑制できる。これにより意図しない不純物が、結晶に混入することを抑制することができる。
上記一の局面における結晶製造方法において好ましくは、緩衝層の構成元素は、タングステン(W)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)およびモリブデン(Mo)からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む。
これらの元素の延性は高いので、緩衝層を変形させやすい。このため、坩堝の割れをより抑制することができる。
上記一の局面における結晶製造方法において好ましくは、緩衝層が、W、Ta、TiおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属、またはその金属の化合物である。
これらの元素の延性は高いので、緩衝層を変形させやすい。このため、坩堝の割れをより抑制することができる。
上記一の局面の結晶製造方法において好ましくは、準備する工程では、坩堝と原料とが接触しないように緩衝層を原料の全周を覆うように配置する。
これにより、坩堝と原料とが接触しないので、坩堝と原料との熱膨張係数の差による応力が坩堝に加えられることをより低減することができる。このため、坩堝の割れをより抑制することができる。
上記一の局面の結晶製造方法において好ましくは、準備する工程では、厚さが1mm以上の緩衝層を配置する。
これにより、坩堝と原料との熱膨張係数の差による応力が坩堝に加えられることをより低減することができる。このため、坩堝の割れをより抑制することができる。
上記一の局面の結晶製造方法において好ましくは、準備する工程では、グラファイトよりなる坩堝を用いる。
グラファイトは高温で安定であるので、坩堝の割れをより抑制することができる。またSiC結晶などC元素を含む結晶を成長する場合には、グラファイトは構成元素の一方であるので、仮にグラファイトが昇華して結晶に混入した場合であっても、不純物になることを抑制することができる。このため、坩堝の割れをより抑制することができ、かつ製造する結晶の結晶性の悪化をより抑制することができる。
このように、本発明の結晶製造方法によれば、坩堝の割れを抑制し、かつ意図しない不純物の混入を抑制した結晶を製造することができる。
本発明の実施の形態1における結晶製造装置を概略的に示す断面図である。 図1の結晶製造装置を構成する坩堝を拡大して概略的に示す断面図である。 本発明の実施の形態1における結晶製造方法を示すフローチャートである。 特許文献1に開示のSiCの成長装置を簡略的に示す断面図である。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における結晶製造装置を概略的に示す断面図である。図2は、図1の結晶製造装置を構成する坩堝を拡大して概略的に示す断面図である。図1および図2を参照して、本実施の形態における結晶製造装置100について説明する。この結晶製造装置100は、昇華法により結晶を成長する装置である。
図1および図2に示すように、結晶製造装置100は、坩堝101と、緩衝層110と、断熱材121と、反応容器123と、加熱部125とを主に備えている。
坩堝101は、内壁101aを有している。坩堝101は、製造する結晶と異なる材料であることが好ましく、たとえばグラファイトよりなる。坩堝101の内壁101aに密着するように緩衝層110が配置されている。つまり、緩衝層110は、坩堝101内壁101aと原料17との間に配置されている。坩堝101と原料17とが接触しないように緩衝層110を原料17の全周を覆うように配置することが好ましい。緩衝層110については、後述する。
この坩堝101の周りには、坩堝101の内部と外部との通気を確保するように断熱材121が設けられている。この断熱材121の周りには、反応容器123が設けられている。この反応容器123の外側中央部には、坩堝101を加熱するための高周波加熱コイルなどの加熱部125が設けられている。
反応容器123の両端部には、反応容器123内へたとえばアルゴン(Ar)ガスなどの雰囲気ガスを流すためのガス導入口123aと、反応容器123の外部へ雰囲気ガスを排出するためのガス導入口123bとを有している。また、反応容器123の上部および下部には、坩堝101の上方および下方の温度を、それぞれ測温孔121a、12bを通して測定するための放射温度計127a、127bが設けられている。
ここで、緩衝層110について詳述する。緩衝層110は、結晶を成長する温度よりも高い融点を有している。また、緩衝層110は、坩堝101を構成する材料よりも高い空孔率、高い延性、および高い脆性の少なくとも一方を有している。
なお、上記「延性」とは、緩衝層110を構成する材料を破壊することなく変形させることができる性質をいう。「延性が高い」とは、破壊に至るまでに変形する量が大きいことをいう。「脆性」とは、応力が加えられることにより塑性変形を伴わないで破壊する性質をいう。「脆性が高い」とは破壊に至るまでに加えられる応力が小さいことをいう。
坩堝101を構成する材料よりも空孔率が高い緩衝層110の材料としては、たとえばカーボンフェルト、CとSiCとの混合物などを用いることができる。坩堝101を構成する材料よりも延性が高い緩衝層110の材料としては、W、Ta、TiまたはMoなどの金属、またはその金属化合物などを用いることができる。坩堝101を構成する材料よりも脆性が高い緩衝層110の材料としては、セラミックスなどを用いることができる。
緩衝層110を構成する材料は、1種類の元素よりなっていてもよく、2種類以上の元素よりなっていてもよい。1種類の元素よりなっている場合には、C元素を主成分として含み、残部が不可避的不純物である材料を用いることができる。2種類以上の元素よりなっている場合には、C元素を50%以上含んでいてもよく、CとSiCとの混合物であってもよく、W、Ta、TiおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含んでいてもよい。
緩衝層110の厚さHは、1mm以上であることが好ましく、2mm以上3mm以下がより好ましい。
なお、上記結晶製造装置100は、上記以外の様々な要素を含んでいてもよいが、説明の便宜上、これらの要素の図示および説明は省略する。
図3は、本実施の形態における結晶製造方法を示すフローチャートである。続いて、図1〜図3を参照して、本実施の形態における結晶製造方法を説明する。
図1〜図3に示すように、まず、坩堝101内壁101aと原料17との間に緩衝層110を配置した結晶製造装置100を準備する(ステップS1)。この準備するステップS1では、後述する成長するステップS2において結晶を成長する温度よりも高い融点を有し、かつ坩堝101を構成する材料よりも高い空孔率を有する緩衝層110を配置する。この条件に加えてあるいはこの条件に代えて、準備するステップS1では、後述する成長するステップS2において結晶を成長する温度よりも高い融点を有し、かつ坩堝101を構成する材料よりも高い延性を有する緩衝層110を配置する。これの条件に加えてあるいはこれの条件に代えて、坩堝101を構成する材料よりも高い融点を有し、かつ坩堝101を構成する材料よりも高い脆性を有する緩衝層110を配置する。本実施の形態では、図1および図2に示す上述した結晶製造装置100を準備する。
具体的には、坩堝101を構成する材料よりも高い空孔率を有する緩衝層110としては、たとえばカーボンフェルト、CとSiCとの混合物などを用いることができる。また、坩堝101を構成する材料よりも高い延性を有する緩衝層110としては、たとえばW、Ta、TiおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属、またはこの金属の化合物などを用いることができる。この金属およびこの金属の化合物は、高温で安定であり、加工精度が高いため、好適に用いることができる。
坩堝101を構成する材料よりも高い脆性を有する緩衝層110としては、たとえばセラミックスなどを用いることができる。この場合、坩堝101よりも緩衝層110が割れやすい。このため、後述する成長するステップS2において、緩衝層110および坩堝101に応力が加えられたときに、坩堝101よりも先に緩衝層110が割れる。緩衝層110が割れると、坩堝101と原料17との間に緩衝層110の厚さに相当する隙間ができる。このため、この隙間で原料17の膨張および圧縮を吸収できるので、坩堝101に加えられる応力を低減できる。したがって、結果的に、坩堝101の割れをより抑制することができる。また、緩衝層110が割れるまでは、成長する結晶に不純物が混入しないので、意図しない不純物が結晶に混入することを抑制できる。
準備するステップS1では、坩堝101と原料17とが接触しないように緩衝層110を原料17の全周を覆うように配置することが好ましい。つまり、原料17と坩堝101との間の全領域(坩堝101において原料が接触する内壁101aおよび底面)に緩衝層110を配置することが好ましい。この場合、原料17と坩堝101とが接触する領域がないので、原料と坩堝101との熱膨張係数の差により坩堝101に加えられる応力を低減できる。
また準備するステップS1では、厚さHが好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上3mm以下の緩衝層110を配置する。1mm以上の場合、坩堝101と原料17との熱膨張係数の差を緩和するという緩衝層110の効果をより発現することができる。2mm以上の場合、緩衝層110の効果をより一層発現することができる。厚さHが大きいほど緩衝層110の効果を発現できるが、原料17を多く配置する観点から、上限はたとえば3mmである。
なお、緩衝層110は2層以上から構成されていてもよい。この場合、緩衝層110の厚さHは、複数の層の合計の厚みを意味する。
また準備するステップS1では、1種類の元素よりなる緩衝層110を配置してもよい。1種類の元素よりなる緩衝層110を配置する場合には、C元素を主成分として含み、残部が不可避的不純物であることが好ましい。後述する成長するステップS2においてSiCなどC元素を含む結晶を成長する場合には、緩衝層110のC元素は構成元素であるので、仮に緩衝層110が結晶に混入しても、結晶の不純物になることを抑制することができる。このため、製造する結晶の結晶性の悪化をより抑制することができる。
また準備するステップS1では、2種類以上の異なる元素を含む緩衝層110を配置してもよい。この場合、種々の熱膨張係数を有する緩衝層110を配置することができる。このため、原料17の熱膨張係数の差を緩和した緩衝層110を配置することにより、坩堝101の割れをより抑制することができる。
2種類以上の異なる元素を含む緩衝層110を配置する場合には、緩衝層110の構成元素は、たとえばW、Ta、TiおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素、50%以上のC元素、CとSiCとの混合物などが挙げられる。
緩衝層110がCおよびSiCの少なくとも一方を含む場合には、SiCなどC元素を含む結晶を成長するときに構成元素になる。仮に緩衝層110が昇華して成長する結晶に混入しても、結晶の不純物になることを抑制することができる。このため、坩堝101の割れをより抑制し、かつ製造する結晶の結晶性の悪化をより抑制することができる。また、W、Ta、TiおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の延性は高いので、応力が加えられたときに緩衝層110が変形しやすい。このため、緩衝層110の変形により坩堝101に加えられる応力を低減することで、坩堝101の割れをより抑制することができる。
また準備するステップS1では、原料17を構成する材料と異なり、成長条件において安定である材料よりなる坩堝101を用いることが好ましく、グラファイトよりなる坩堝101を用いることがより好ましい。坩堝101が原料17を構成する材料と異なり、成長条件において安定である材料の場合には、緩衝層110と接触していない領域の坩堝101が昇華することを抑制できる。このため、坩堝101に孔が発生することを抑制することができる。またグラファイトは高温で安定であるので、坩堝101の割れをより抑制することができる。またSiCなどC元素を含む結晶を成長する場合には、グラファイトは結晶の構成元素の一方であるので、仮にグラファイトが昇華して結晶に混入した場合であっても、不純物になることを抑制することができる。このため、坩堝101の割れをより抑制することができ、かつ製造する結晶の結晶性の悪化をより抑制することができる。
次に、図1〜図3に示すように結晶製造装置100内で結晶を成長する(ステップS2)。このステップS2では成長する結晶は特に限定されないが、SiC結晶またはAlN(窒化アルミニウム)結晶を成長することが好ましく、SiC結晶を成長することがより好ましい。
具体的には、まず、種結晶11を準備する。種結晶11の組成は特に限定されず、成長する結晶と同じ組成であってもよく、異なる組成であってもよい。成長する結晶の結晶性を向上する観点から、同じ組成の種結晶11を準備することが好ましい。準備した種結晶11を坩堝101の上部に設置する。なお、この種結晶11は省略されてもよい。
その後、原料17を準備する。原料17は粉末であっても、焼結体であってもよい。SiC結晶を成長する場合には、たとえば多結晶のSiC粉末またはSiC焼結体を準備する。この原料17は、種結晶11と互いに向かい合うように、坩堝101の下部に設置する。
次いで、原料17が昇華する温度まで原料17を加熱部125により加熱する。この加熱により、原料17が昇華して昇華ガスを生成する。この昇華ガスを、原料17よりも低温に設置されている種結晶11の表面に再度固化させる。SiC結晶を成長する場合には、たとえば、原料17の温度を2300℃〜2400℃に保持し、種結晶11の温度を2100℃〜2200℃に保持する。これにより、種結晶11上に結晶が成長する。成長温度は、成長中に一定温度に保持する場合もあるが、成長中にある割合で変化させる場合もある。
この結晶を成長するステップS2において結晶を成長する温度よりも緩衝層110は高い融点を有している。このため、緩衝層110が昇華することを抑制することができる。したがって、結晶を成長する温度において、緩衝層110は形状を維持できる。
その後、結晶製造装置100の内部を室温まで冷却する。そして、結晶製造装置100から製造した結晶を取り出す。
種結晶11上に結晶を成長した場合には、結晶から種結晶11を除去してもよい。除去する場合には、種結晶11のみを除去してもよく、種結晶11および結晶の一部を除去してもよい。また種結晶11が結晶と同じ組成の場合には種結晶11を除去しなくてもよい。
除去する方法は特に限定されず、たとえば切断、研削、へき開など機械的な除去方法を用いることができる。切断とは、電着ダイヤモンドホイールの外周刃を持つスライサーなどで機械的に成長した結晶から少なくとも種結晶11を除去することをいう。研削とは、砥石を回転させながら表面に接触させて、厚さ方向に削り取ることをいう。へき開とは、結晶格子面に沿って結晶を分割することをいう。なお、エッチングなど化学的な除去方法を用いてもよい。
その後、必要に応じて、結晶の一方面または両面を研削、研磨などにより平坦化してもよい。
また、成長した結晶の厚さが大きい場合には、成長した結晶から複数枚の結晶を切り出してもよい。この場合には、1枚当たりの結晶の製造コストを低減できる。
以上説明したように、本実施の形態における結晶製造方法は、坩堝101内壁101aと原料17との間に緩衝層110を配置した結晶製造装置100を準備する工程(ステップS1)と、結晶製造装置100内で結晶を成長する工程(ステップS2)とを備えている。準備する工程(ステップS1)では、成長する工程(ステップS2)において結晶を成長する温度よりも高い融点を有し、かつ坩堝101を構成する材料よりも高い空孔率、高い延性、および高い脆性の少なくとも一方を有する緩衝層110を配置する。
一般的に、坩堝101を構成する材料の熱膨張係数は、原料17を構成する材料の熱膨張係数よりも小さい。このため、結晶を成長するために原料17を加熱する工程、成長途中で成長温度を変化させる工程、または結晶を成長した後に冷却する工程において、それぞれが膨張または圧縮したときに発生する応力が坩堝101に加えられる。
緩衝層110の空孔率が坩堝101の空孔率よりも高い場合には、緩衝層110は空孔を多く有している。緩衝層110の空孔で、坩堝101を構成する材料と原料17を構成する材料との熱膨張係数の差によりそれぞれが膨張または圧縮したときに坩堝101に加えられる応力を低減することができる。したがって、坩堝101の割れを抑制することができる。
緩衝層110の延性が坩堝101の延性よりも高い場合には、緩衝層110は容易に変形することができる。緩衝層110が変形することで、坩堝101を構成する材料と原料17を構成する材料との熱膨張係数の差によりそれぞれが膨張または圧縮したときに坩堝101に加えられる応力を低減することができる。したがって、坩堝101の割れを抑制することができる。
さらに、緩衝層110の空孔および変形量により坩堝101の割れを抑制できるので、緩衝層110に接触させるように原料17を配置することができる。この状態で結晶を成長すると、坩堝内壁101aが結晶を成長する雰囲気に暴露されることを抑制できるので、坩堝内壁101aが昇華することを抑制できる。特に、原料17において緩衝層110と接触している外周側を昇華させないことにより、緩衝層110の昇華を効果的に抑制することができる。仮に、緩衝層110が結晶を成長する雰囲気に暴露されても、暴露されるまでは緩衝層110の昇華による意図しない不純物が結晶に混入することを抑制できる。したがって、意図しない不純物が、結晶に混入することを抑制することができる。
また緩衝層110の脆性が坩堝101の脆性よりも高い場合には、結晶を成長するために原料を加熱する工程、成長途中で成長温度を変化させる工程、または結晶を成長した後に冷却する工程において、坩堝101よりも先に緩衝層110が割れる。緩衝層110が割れると、坩堝101と原料17との間に隙間ができる。このため、この隙間で原料17の膨張および圧縮を緩和できるので、坩堝101に加えられる応力を低減できる。したがって、坩堝101の割れを抑制することができる。また、緩衝層110が割れるまでは、坩堝101内壁が成長雰囲気に暴露されないので、意図しない不純物が結晶に混入することを抑制できる。
なお、SiC結晶を成長する場合には、緩衝層110はC元素を含んでいることが好ましい。上述したように緩衝層110がSiC結晶を成長する雰囲気に暴露されることを抑制した条件であっても、原料17の昇華の状態により緩衝層110が露出する可能性がある。この場合、意図しない不純物がSiC結晶に混入することにはなるが、SiC結晶の不純物になることを抑制できるので、結晶性の悪化を抑制することができる。
また、緩衝層110を配置した坩堝101を備えた結晶製造装置100を用いることにより、結晶の成長時間を長くするために原料17を多く配置しても、坩堝101が割れることを抑制できる。このため、成長するステップS2では、厚さの大きな結晶を成長することができる。
(実施の形態2)
実施の形態2における結晶製造装置は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
実施の形態2における結晶製造方法は、基本的には実施の形態1と同様であるが、準備するステップS1と成長するステップS2とを同時に行なう点において異なっている。
具体的には、まず、坩堝101内壁101aと原料17との間にSiC層を配置する。成長するステップS2時に加熱部125から加えられる熱により、SiC層からSiを選択的に昇華させる。その結果、CとSiCとの混合物よりなる緩衝層110を形成することができる。この緩衝層110は、SiCからSiが選択的に昇華することで、昇華したSiにより空孔が形成される。このため、坩堝101を構成する材料よりも高い空孔率を有する緩衝層110を配置することができる。
SiC層からSiを選択的に昇華させるために、内周側(原料17側)のSiC層のSiを昇華させる。より具体的には、たとえば、加熱部125により坩堝101に断熱的に熱を加えるように制御することにより、容易に上記緩衝層110を形成することができる。
以上説明したように、本実施の形態における結晶製造方法は、準備する工程(ステップS1)は、坩堝101内壁101aと原料17との間にSiC層を配置する工程と、成長する工程(ステップS2)時に、SiC層からSiを選択的に昇華させることにより、CとSiとの混合物よりなる緩衝層110を形成する工程とを含んでいる。
これにより、成長するステップS2時に、SiC層中のSiを優先的に昇華させることで、CとSiCとの混合物であり、坩堝101を構成する材料よりも高い空孔率を有する緩衝層110を容易に形成することができる。
本実施例では、坩堝内壁と原料との間に緩衝層を配置した装置を準備する工程を備えることによる効果について調べた。
(本発明例1)
本発明例1では、図1および図2に示す結晶製造装置100を用いて、実施の形態1における結晶製造方法にしたがって結晶を製造した。
具体的には、結晶製造装置100の坩堝101として、グラファイトよりなる中空の円筒型坩堝を用いた。この坩堝101は、120mmの外径を有し、80mmの内径を有し、200mmの高さを有していた。1mmの厚さHを有し、C元素を50%以上含有するセラミックスよりなる緩衝層110をこの坩堝101の内壁101aに密着させるように配置した。緩衝層110の高さは80mmであった。これにより、結晶製造装置100を準備した(ステップS1)。
次に、緩衝層110に接するように、原料17として200μmの粒径を有するSiC粉末を準備した。この原料17を坩堝101の下部に配置した。原料の高さは80mmであった。また、種結晶11として、主面が(000−1)面の4H−SiC基板を準備した。この種結晶11を坩堝101の上部に、原料17と対向するように配置した。その後、反応容器123中に雰囲気ガスとしてArガスを、n型ドーピング用のガスとして窒素(N2)ガスを流し、加熱部125としての高周波加熱コイルを用いて坩堝101内の温
度を8時間かけて昇温した。坩堝101の原料17側の温度を測定している放射温度計127aの指示値が規定の温度に達した後、坩堝101内の圧力が1.3kPa、原料17側の放射温度計127aの測定温度が2300℃、種結晶11側の放射温度計127bの温度が2100℃になるようにパワー制御した。これにより、原料17からSiCガスを昇華させ、成長時間を100時間として、種結晶11上にSiC単結晶を成長させた。その後、降温時間を24時間として、結晶製造装置100内部の温度を室温まで冷却した。これにより、結晶を成長した(ステップS2)。
(本発明例2)
本発明例2の結晶製造方法は、基本的には本発明例1と同様であったが、緩衝層110の厚さHが2mmであった点において異なっていた。
(本発明例3)
本発明例3の結晶製造方法は、基本的には本発明例1と同様であったが、緩衝層110の厚さHが3mmであった点において異なっていた。
(本発明例4)
本発明例4の結晶製造方法は、基本的には本発明例1と同様であったが、緩衝層110がカーボンフェルトよりなり、3mmの厚さHを有していた点において異なっていた。
(本発明例5)
本発明例5の結晶製造方法は、基本的には本発明例1と同様であったが、緩衝層が2層であった点において異なっていた。具体的には、グラファイトを50%以上含有するセラミックよりなり、0.5mmの厚さを有している層を原料17と接触する内周側の層とし、カーボンフェルトよりなり、0.5mmの厚さを有している層を坩堝101と接触する外周側の層とした。
(本発明例6)
本発明例6の結晶製造方法は、基本的には本発明例1と同様であったが、緩衝層110がTaよりなり、1mmの厚さHを有していた点において異なっていた。
(本発明例7)
本発明例7の結晶製造方法は、基本的には本発明例1と同様であったが、緩衝層110がCとSiCとの混合物よりなり、3mmの厚さHを有していた点において異なっていた。具体的には、まず、坩堝101の内壁101aに、SiC層を充填して、昇温し、2400℃の温度で、1.3kPaの圧力で24時間保持した。これにより、坩堝101内壁101aに接し、SiC層の中で高温となっている部分からSiを選択的に昇華させることにより、CとSiCとの混合物よりなる緩衝層110を形成した。
(比較例1)
比較例1の結晶製造方法は、基本的には本発明例1と同様であったが、準備するステップS1において緩衝層110を配置しなかった点において異なっていた。つまり、図4に示すように、坩堝101の内壁101aと原料17とが密着するように配置された結晶製造装置を用いて結晶を製造した。
(評価方法)
本発明例1〜7および比較例1の結晶製造方法において、坩堝が割れなかったか否かを目視で観察した。
(評価結果)
本発明例1〜7の結晶製造方法では、結晶を成長するために原料を加熱する工程(昇温工程)、または結晶を成長した後に冷却する工程(降温工程)において、坩堝101が割れず、安定な状態で結晶を製造することができた。このことから、坩堝101を構成する材料よりも高い脆性を有する本発明例1〜3と、坩堝101を構成する材料よりも高い空孔率を有する緩衝層110を配置した本発明例4および7と、坩堝101を構成する材料よりも高い脆性を有する層および高い空孔率を有する層を有する本発明例5と、坩堝101を構成する材料よりも高い延性を有する緩衝層110を配置した本発明例6とは、坩堝101を構成する材料と原料17を構成する材料との熱膨張係数の差により坩堝101に加えられる応力を緩衝層110で低減できることがわかった。
一方、緩衝層110を配置しなかった比較例1では、室温から成長温度までの昇温工程中に坩堝101が割れてしまった。その結果、原料17が坩堝101の外部に漏洩したため、成長するステップS2を中断した。
以上より、本実施例によれば、坩堝内壁と原料との間に緩衝層を配置した装置を準備する工程を備えることによって、坩堝の割れを抑制できることを確認した。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
11 種結晶、17 原料、100 結晶製造装置、101 坩堝、101a 内壁、110 緩衝層、121 断熱材、121a,121b 測温孔、123 反応容器、123a,123b ガス導入口、125 加熱部、127a,127b 放射温度計。

Claims (2)

  1. 坩堝内壁と原料との間に緩衝層を配置した装置を準備する工程と、
    前記装置内で結晶を成長する工程とを備え、
    前記準備する工程では、前記成長する工程において前記結晶を成長する温度よりも高い融点を有し、かつ前記坩堝を構成する材料よりも高い延性を有する前記緩衝層を配置し、
    前記緩衝層が、タングステン、タンタル、チタンおよびモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属、または前記金属の化合物であり、
    前記準備する工程では、前記坩堝と前記原料とが接触しないように前記緩衝層を前記原料の全周を覆うように配置し、
    前記準備する工程では、厚さが1mm以上の前記緩衝層を配置する、結晶製造方法。
  2. 前記準備する工程では、グラファイトよりなる前記坩堝を用いる、請求項1に記載の結晶製造方法。
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