JP5124402B2 - 炭化珪素単結晶材の焼鈍方法 - Google Patents

炭化珪素単結晶材の焼鈍方法 Download PDF

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本発明は、炭化珪素単結晶材の焼鈍方法に関するものであって、特に、炭化珪素単結晶材内の残留応力を緩和し、炭化珪素単結晶材をウェーハに加工する際のクラック発生を抑制することができる焼鈍方法に関するものである。
炭化珪素半導体は、シリコン半導体よりも絶縁破壊電圧が大きく、エネルギーバンドギャップが広く、熱伝導度が高いなど優れた特徴を有するので、発光素子、大電力パワーデバイス、耐高温素子、耐放射線素子、高周波素子等への応用が期待されている。前記炭化珪素半導体は、炭化珪素単結晶ウェーハからなる基板の表面を超平滑な鏡面状に研磨した後、その鏡面上に炭化珪素や金属窒化物をエピタキシャル成長させ、さらにその後、金属膜や酸化膜を成膜して形成する。
前記炭化珪素単結晶ウェーハ(炭化珪素単結晶基板)は、たとえば、単結晶育成工程、円筒加工工程、平面加工工程(OF、IF加工)、インゴット切断工程、面取り(ベベリング)工程、ラッピング工程、研磨工程、CMP(Chemical Mechanical Polishing:機械的化学的研磨)工程、洗浄工程等からなる作製工程を用いて作製される。
前記炭化珪素半導体を普及させるためには、前記炭化珪素単結晶ウェーハの作製工程の歩留まりを向上させて、高品質の炭化珪素単結晶ウェーハ(炭化珪素単結晶基板)を安定的に、かつ低コストで生産することが必要である。そして、前記炭化珪素単結晶ウェーハの作製工程においては、まず、結晶欠陥の少ない高品質の炭化珪素単結晶インゴットを安定的に製造することが必要である。
前記炭化珪素単結晶インゴットの作製は、一般に、ルツボ中に種結晶と原料用炭化珪素粉末を保持した状態でルツボを加熱することにより、前記原料用炭化珪素粉末から発生した昇華ガスを種結晶の表面で冷却させて結晶化(固体化)することにより行われる。しかし、この加熱温度は、通常、2000℃超の高温であり、このような厳しい育成温度環境で前記炭化珪素単結晶インゴットを形成した場合には、その内部に残留応力が形成される。
炭化珪素単結晶は高硬度であるが脆性を有するため、前記炭化珪素単結晶インゴットの内部に残留応力が形成された場合には、炭化珪素単結晶ウェーハ(炭化珪素単結晶基板)を作製する際の切断・研磨といった加工時にクラックと呼ばれる割れを生じさせる。クラックと呼ばれる割れが生じた基板を用いた場合には、クラックが無い部分で高品質な炭化珪素単結晶をエピタキシャル成長させることができたとしても、クラックが存在する部分では高品質な炭化珪素単結晶をエピタキシャル成長させることができない。そのため、炭化珪素半導体(デバイス)の製造における歩留まりの低下をもたらす。
特許文献1、2には、炭化珪素単結晶インゴットまたはウェーハを再度高温で加熱する焼鈍(アニール)して前記残留応力を低減することによって前記クラックを抑制することができることが開示されている。
たとえば、特許文献1は、炭化珪素単結晶材の焼鈍方法及び炭化珪素単結晶ウェーハに関するものであり、非腐食性雰囲気ガス中において2000℃超2800℃以下の温度で焼鈍処理を実施する炭化珪素単結晶インゴットの焼鈍方法が開示されている。これにより、熱応力歪や加工歪のない炭化珪素単結晶を得ることができる。
また、特許文献2は、炭化珪素単結晶ウェーハの製造方法および炭化珪素単結晶ウェーハに関するものであり、炭化珪素単結晶材を1300℃以上2000℃以下の温度で焼鈍熱処理を施した後に表面に研磨処理等々の機械加工を実施する炭化珪素単結晶ウェーハの焼鈍方法が開示されている。
しかし、特許文献1、2で開示された方法では、炭化珪素単結晶を雰囲気ガス中に配置しているので、焼鈍温度を2000℃近傍にした場合に、前記炭化珪素単結晶から容易にSi、SiC、SiC、SiCなどの昇華ガスが発生する。昇華ガスの発生により、前記炭化珪素単結晶の表面が炭化されて表面が粗くなったり、炭化珪素単結晶の内部に新たな結晶欠陥が導入される。これにより、残留応力が発生し、クラックを生じさせる場合があった。
また、焼鈍(アニール)の際に、焼鈍用容器内に保持された炭化珪素単結晶は、焼鈍用容器からの輻射または焼鈍用容器に接触している部分からの熱伝導のいずれかにより加熱されるが、炭化珪素単結晶として大口径で大型のものを用いた場合には、輻射により加熱される割合が高まる。これにより、炭化珪素単結晶の表面と内部の間で大きな温度差(温度勾配)が発生し、残留応力が発生し、クラックを生じさせる場合が発生する場合があった。
特開2006−290705号公報 特開2004−131328号公報
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、昇華ガスによる欠陥およびクラックの発生を抑制する炭化珪素単結晶材の焼鈍方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。すなわち、
(1) 焼鈍用容器の収容部に、前記焼鈍用容器から離間するように炭化珪素単結晶材を配置し、前記焼鈍用容器と前記炭化珪素単結晶材との間に前記炭化珪素単結晶材全体を覆うように熱伝導性の充填材粉末を充填した後、前記焼鈍用容器を外部から加熱して、前記炭化珪素単結晶材を焼鈍する工程を有し、前記充填材粉末が炭化珪素系材料と固結防止材との混合物からなり、前記炭化珪素系材料の質量をA、前記固結防止材の質量をBとしたときに、前記充填材粉末における前記炭化珪素系材料の質量比率A/(A+B)が0超1.0未満の範囲とされており、前記炭化珪素単結晶材から離れるに従って、前記充填材粉末における前記炭化珪素系材料の質量比率A/(A+B)が大きくなるように、前記充填材粉末を充填することを特徴とする炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
) 前記充填材粉末が平均粒径3mm以下であることを特徴とする(1)に記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
) 前記炭化珪素系材料が、炭化珪素、SiCまたはSiCの少なくとも1つであることを特徴とする()に記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
) 前記固結防止材が、グラファイト、TaCまたはHfCの少なくとも1つであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
) 前記充填材粉末における前記炭化珪素系材料の質量比率A/(A+B)が前記炭化珪素単結晶材の近接領域では0以上0.08未満であり、前記近接領域以外の領域では0.08以上1.0以下となるように、前記充填材粉末を充填することを特徴とする()〜()のいずれかに記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
) 前記近接領域が前記炭化珪素単結晶材の表面から5mm未満となる領域であることを特徴とする()に記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
) 前記焼鈍用容器がグラファイトまたは炭化珪素からなることを特徴とする(1)〜()のいずれかに記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
) 前記焼鈍用容器が炭化珪素またはTaCによって被覆されたグラファイトからなることを特徴とする(1)〜()のいずれかに記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
) 前記炭化珪素単結晶材の焼鈍が抵抗加熱法または高周波誘導加熱法によって行われることを特徴とする(1)〜()のいずれかに記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
10記炭化珪素単結晶材を焼鈍する焼鈍温度を1000℃以上2000℃以下とすることを特徴とする()〜()のいずれかに記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
11) 前記炭化珪素単結晶材が前記焼鈍温度で焼鈍された後、前記焼鈍用容器の収容部に前記炭化珪素単結晶材全体を覆うように充填材粉末が充填された状態で、−5℃/分より遅い冷却速度で室温まで冷却されることを特徴とする(10)に記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
12) 前記炭化珪素単結晶材の口径が3インチ以上の場合、前記冷却速度を−3℃/分以下より遅くすることを特徴とする(11)に記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
13) 前記炭化珪素単結晶材が、不活性ガスまたは窒素ガス雰囲気下で焼鈍されることを特徴とする(1)〜(12)のいずれかに記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
14) 前記不活性ガスまたは窒素ガス雰囲気のガス圧力が6.5×10Pa以上1×10Pa以下であることを特徴とする(13)に記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
15) 前記不活性ガスまたは窒素ガスがアルゴン、ヘリウムまたは窒素の少なくとも1つを主成分とするガスであることを特徴とする(14)に記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
16) 前記充填材粉末にアルミニウム、ホウ素または重金属の少なくとも1つを有する不純物が含まれており、前記不純物の含有量が2.5質量%以下であることを特徴とする(1)〜(15)のいずれかに記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
17) 前記炭化珪素単結晶材が炭化珪素単結晶インゴットまたは炭化珪素単結晶ウェーハであることを特徴とする(1)〜(16)のいずれかに記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
上記の構成によれば、昇華ガスによる欠陥およびクラックの発生を抑制する炭化珪素単結晶材の焼鈍方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態である炭化珪素単結晶材の焼鈍方法の一例を説明するための図であって、図1(a)は炭化珪素単結晶材を収容した焼鈍用容器の垂直断面図であり、図1(b)は図1のA−A’線における水平断面図である。
図1(a)に示すように、焼鈍用容器16は、断熱材14に覆われており、不活性ガスまたは窒素ガスが充填されたチャンバー10の空洞部12に配置されている。焼鈍用容器16の収容部19には、略円柱状の炭化珪素単結晶インゴット22(炭化珪素単結晶材20)が配置されており、炭化珪素単結晶材20と焼鈍用容器16との間には充填材粉末18が充填されている。
図1(b)に示すように、平面視円形状の炭化珪素単結晶材20は、円筒状の焼鈍用容器16の軸mと同軸状になるように配置されており、焼鈍用容器16は取り囲むように断熱材14に覆われている。
図1(b)に示すように、炭化珪素単結晶材20の側面20cと焼鈍用容器16の内壁面16cとの距離kが等しくなるように、炭化珪素単結晶材20は焼鈍用容器16の内部に配置されている。また、図1(a)に示すように、炭化珪素単結晶材20の上面20eと焼鈍用容器16の天井面16eとの距離lと、炭化珪素単結晶材20の下面20dと焼鈍用容器16の内底面16dとの距離lとが等しくなるように、炭化珪素単結晶材20は焼鈍用容器16の内部に配置されている。なお、距離lは、距離kより長くされている。
<炭化珪素単結晶材>
炭化珪素単結晶材20は、炭化珪素単結晶インゴット22または炭化珪素単結晶ウェーハである。本実施形態では、炭化珪素単結晶材20として炭化珪素単結晶インゴット22を用いている。炭化珪素単結晶インゴット22(炭化珪素単結晶材20)は上面20eの面積が下面20dの面積より大きくされ、側面20cがわずかに傾斜されている。
<焼鈍用容器>
焼鈍用容器16は、本体部16aと蓋部16bとからなる。本体部16aは、円筒形状であり、円柱状に掘り込まれて形成された収容部19を備えている。
収容部19は、炭化珪素単結晶材20を収容する空間であり、炭化珪素単結晶材20を焼鈍用容器16の内壁面16c、内底面16d、天井面16eから離間して配置できる大きさとされている。たとえば、高周波誘導加熱法で加熱する場合には、前記離間距離が少なくとも10mm以上とすることが望ましい。これにより、焼鈍の際の輻射の影響を低減できる。
焼鈍用容器16の形状は、対称性が高い形状とすることが好ましい。本実施形態のように、円筒状の焼鈍用容器16を用いた場合には、略円柱状の炭化珪素単結晶材20を同軸状になるように保持して、炭化珪素単結晶材20の側面20cが焼鈍用容器16の内壁面16cと等距離になるように配置することができる。これにより、焼鈍用容器16の側面を均等に加熱することにより、内部の炭化珪素単結晶材20を均等に加熱することができる。
焼鈍用容器16は、グラファイト(黒鉛)または炭化珪素からなることが好ましく、グラファイト(黒鉛)を用いることがより好ましい。グラファイト(黒鉛)は、2000℃近傍の高温でも耐えられ、価格が安く、取扱いおよび入手が容易であるためである。
また、焼鈍用容器16の材料としてグラファイト(黒鉛)を用いた場合には、表面を炭化珪素またはTaCによって被覆することが好ましい。これにより、加熱の均一性を更に向上させることができる。
<充填材粉末>
充填材粉末18は、平均粒径が3mm以下であることが望ましい。これにより、焼鈍用容器16の収容部19に隙間なく充填材粉末を充填して、充填材粉末18を炭化珪素単結晶材20に密着させることができる。充填材粉末18を炭化珪素単結晶材20に密着させることにより、炭化珪素単結晶材20を全方向から均等にかつ効率的に加熱することができる。
充填材粉末18は、熱伝導性の材料であることが好ましい。充填材粉末18がこのように熱伝導性の材料であれば、炭化珪素単結晶材20を取り囲むように充填した充填材粉末18を介して炭化珪素単結晶材20を全方向から均等にかつ効率的に加熱することができる。充填材粉末18は、たとえば、熱伝導率が3.0W/(m・K)以上の材料であることが好ましい。
充填材粉末18は、炭化珪素(SiC)、SiC、SiC、グラファイト(黒鉛)、TaCまたはHfCの少なくとも1つを含むことが好ましい。これらの材料は高熱伝導性の材料であるので、炭化珪素単結晶材20を全方向から均等にかつ効率的に加熱することができる。特に、入手の容易さおよび低価格であることから、炭化珪素または黒鉛を用いることがより好ましい。
炭化珪素、SiCまたはSiCなどのような炭化珪素系材料を充填材粉末18として用いる場合には、炭化珪素単結晶材20からの昇華ガスの発生を抑制し、昇華ガスによる欠陥の発生を抑制することができる。
たとえば、充填材粉末18として炭化珪素を用いた場合には、炭化珪素単結晶材20よりも炭化珪素の粉末の表面エネルギーが高いので、同一環境の元では、炭化珪素の粉末が炭化珪素単結晶材20よりも先に昇華して、焼鈍用容器16内に炭化珪素の蒸気圧を形成する。これにより、炭化珪素単結晶材20からの昇華ガスの発生を抑制し、昇華ガスによる欠陥の発生を抑制することができる。
また、充填材粉末18として、SiCまたはSiCなどの炭化珪素誘導体を用いた場合にも、炭化珪素を用いた場合と同様に、これらの材料から発生する蒸気圧が炭化珪素単結晶材20からの昇華ガスの発生を抑制する。これにより、炭化珪素単結晶材20の昇華による欠陥の発生を抑制して、残留応力を低減し、クラックを生じないようにすることができる。
しかし、炭化珪素、SiCまたはSiCなどのような炭化珪素系材料を充填材粉末18として用いる場合には、1500℃を超える焼鈍温度では、焼鈍対象である炭化珪素単結晶材20と炭化珪素、SiCまたはSiCなどの炭化珪素誘導体の粉末との間で焼結反応が生じて、焼鈍処理後に炭化珪素単結晶材20を取り出すことが困難になる場合が発生する。
充填材粉末18として、グラファイト(黒鉛)、TaCおよびHfCを用いた場合には、これらの材料が焼鈍処理温度にて炭化珪素とほとんど反応しないので、前記焼結反応を回避することができる。
しかし、グラファイト(黒鉛)、TaCおよびHfCを充填材粉末18として用いる場合には、炭化珪素単結晶材20からの昇華ガスの発生を抑制することができず、残留応力を低減できず、クラックが発生する場合が生ずる。
前記炭化珪素系材料にグラファイト(黒鉛)、TaCおよびHfCの少なくとも1つからなる固結防止材を混合した混合物を充填材粉末18として用いることがより好ましい。
炭化珪素系材料と固結防止材との混合物を充填材粉末18として用いた場合には、充填材粉末18が炭化珪素系材料を含有しているので、炭化珪素単結晶材20からの昇華ガスの発生を抑制することができる。また、グラファイト(黒鉛)、TaCおよびHfCなどを固結防止材として用いていることとなるので、炭化珪素単結晶材20と充填材粉末との焼結反応を回避することができ、炭化珪素単結晶材20を容易に取り出すことができる。
炭化珪素系材料としては炭化珪素、固結防止材としては、グラファイト(黒鉛)を用いることがより好ましい。炭化珪素とグラファイト(黒鉛)のどちらも安価な材料であるので、製造コストを低減できる。
なお、充填材粉末18が炭化珪素系材料と固結防止材との混合物からなる場合、炭化珪素系材料の質量をA、固結防止材の質量をBとしたときに、充填材粉末18における炭化珪素系材料の質量比率A/(A+B)が0超1.0未満の範囲とされていることが好ましい。これにより、炭化珪素単結晶材20と炭化珪素系材料との間の焼結反応を抑制して、炭化珪素単結晶材20を取り出しやすくすることができるとともに、焼鈍用容器16内に十分な量の炭化珪素系材料を確保して蒸気圧を形成することにより、炭化珪素単結晶材20からの昇華ガスの発生を抑制することができる。
なお、焼鈍温度によって炭化珪素系材料の蒸気圧は変化するため、適切な炭化珪素系材料の蒸気圧が得られるように、混合物に含有させる炭化珪素系材料の量を調整することが望ましい。
充填材粉末18には、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、重金属のいずれかを一以上含有する不純物が含まれていてもよいが、前記不純物の含有量は、2.5質量%以下とすることが望ましい。アルミニウム、ホウ素、重金属は炭化珪素単結晶材20と反応してその電気特性を低下させて、炭化珪素単結晶材20の品質を劣化させる。前記不純物の含有量を2.5質量%以下とすれば、前記品質劣化を許容範囲内とすることができる。
<チャンバー>
チャンバー10は真空ポンプ(図示略)が接続されており、空気を排気することにより、空洞部12内を減圧することができるとともに、ガス管(図示略)が接続され、任意のガスを空洞部12内に供給することができる構成とされている。真空ポンプとしては、たとえば、ターボ分子ポンプなどを用いることができる。
チャンバー10の空洞部12内には、焼鈍用容器16を取り囲むように高周波加熱コイル(図示略)が配置されており、これに電流を流すことにより高周波を発生させて、焼鈍用容器16を加熱することができる構成とされている。
なお、焼鈍用容器16の加熱方法は、本実施形態の高周波誘導加熱法に限定されるわけではなく、黒鉛ヒーターを抵抗加熱方式のコイルとして用いて抵抗加熱法を用いることもできる。
<断熱材>
断熱材14は、焼鈍用容器16の高温状態を安定的に維持するためのものであり、例えば、炭素繊維製の材料を用いることができる。焼鈍用容器16を安定的に高温状態に維持することができる場合には、断熱材14は取り付けなくてもよい。
断熱材14には、孔部(図示略)が設けられている。放射温度計(図示略)がチャンバー10の外部に配置されており、チャンバー10の窓部(図示略)を介して、孔部から露出される焼鈍用容器16の外表面の表面温度を測定できるようにされている。なお、焼鈍用容器16の表面温度は、前記孔部に熱電対を差し込んで表面に熱電対の先端が触れるように配置して測定してもよい。焼鈍用容器16の表面温度から、焼鈍用容器16の内部に配置された炭化珪素単結晶材の温度(焼鈍温度)を推定する。
次に、本発明の実施形態である炭化珪素単結晶材の焼鈍方法の一例を、図1を用いて説明する。本発明の実施形態である炭化珪素単結晶材の焼鈍方法は、充填工程と、焼鈍工程と、を有する。
<充填工程>
まず、公知の洗浄工程により、略円柱状の炭化珪素単結晶インゴット22(炭化珪素単結晶材20)の表面の不純物ゴミなどの付帯物質を除去する。
次に、焼鈍用容器16の本体部16aの収容部19の内底面16d側に収容部19の深さの半分程度になるように炭化珪素粉末からなる充填材粉末18を充填する。次に、この充填材粉末18の上に炭化珪素単結晶材20を同軸状になるように配置する。
次に、炭化珪素単結晶材20の周囲を取り囲むように、充填材粉末18を充填した後、炭化珪素単結晶材20上に収容部19の開口側まで充填材粉末18を充填して、蓋16bをする。
なお、充填材粉末18は、炭化珪素単結晶材20と焼鈍用容器16との間に隙間なく充填することが好ましい。これにより、炭化珪素単結晶材20を全方向から均等に加熱することができる。
<焼鈍工程>
次に、焼鈍用容器16を断熱材14で覆い包んだ後、これをチャンバー10内に配置する。次に、チャンバー10の空洞部12内の空気を排気して、たとえば、4×10−3Pa以下の減圧状態とした後、高純度のアルゴン(Ar)ガスなどの不活性ガスまたは窒素ガス12を導入して9.3×10Pa程度のガス圧として、チャンバー10の空洞部12内を不活性ガスまたは窒素ガス雰囲気とする。
不活性ガスまたは窒素ガスは、アルゴン(Ar)やヘリウム(He)などの不活性ガスまたは窒素(N)ガスが好ましい。これらのガスは、炭化珪素と特別な反応を起こさず、また、冷却材として使用することができ、焼鈍後の冷却を効率的に行うことができる。また、これらのガスを適宜混合して使用することにより、チャンバー10の空洞部12内を理想的な温度分布となるように調整することができる。
不活性ガスまたは窒素ガスのガス圧力としては、常圧(大気圧)近傍とすることが好ましく、6.5×10Pa以上1×10Pa以下とすることが好ましい。ガス圧力をこの範囲とすることにより、炭化珪素単結晶材20からの昇華ガスの発生を抑制することができるとともに、チャンバー10を耐圧構造とする必要がなく、製造コストを下げることができる。
ガス圧力を6.5×10Paよりも小さくした場合には、炭化珪素単結晶材20の表面から昇華が起こりやすくなるので好ましくない。逆に、ガス圧力を1×10Paよりも大きくした場合には、チャンバー10を耐圧構造とする必要が生じるので、チャンバー10の製造コストが高価となり好ましくない。
チャンバー10の空洞部12内を不活性ガスまたは窒素ガス雰囲気としてガス圧を一定に保持した状態で、高周波加熱コイルにより焼鈍用容器16を加熱して、炭化珪素単結晶材20を所定の焼鈍温度とする。この状態で焼鈍用容器16を一定時間保持することにより、炭化珪素単結晶材20の焼鈍(アニール)を行う。
充填材粉末18が炭化珪素系材料と固結防止材との混合物からなる場合、炭化珪素単結晶材20を焼鈍する焼鈍温度を1000℃以上2000℃以下とすることが望ましい。前記焼鈍温度が高温であるほど焼鈍の処理時間を短縮することができるが、前記焼鈍温度を2000℃超とした場合には、炭化珪素単結晶材20の蒸気圧が高まり、炭化珪素単結晶材20からの昇華ガスの発生を抑制できなくなり、これに付随する欠陥生成が避け難くなるので好ましくない。また、前記焼鈍温度が1000℃未満では、焼鈍に時間がかかりすぎることとなり、好ましくない。
なお、充填材粉末18が炭化珪素のみからなる場合、炭化珪素単結晶材20を焼鈍する焼鈍温度を1000℃以上1500℃以下とすることが望ましい。前記焼鈍温度を2000℃超とした場合には、炭化珪素単結晶材20と充填材粉末18との間で焼結反応が生じる場合があるので好ましくない。
前記焼鈍は、焼鈍用容器26の輻射により行われるのではなく、充填材粉末18を介して熱伝導により行われる。その結果、炭化珪素単結晶材20を全方向から均等に徐々に加熱することができ、炭化珪素単結晶材20の表面と内部との間の温度差(温度勾配)を極力小さくするように加熱することができる。
焼鈍用容器16の側面16fの表面温度が均一になるように加熱することにより、炭化珪素単結晶材20を側面20c側から均等に加熱することができる。
また、焼鈍用容器16の上面16hと下面16gの表面温度が均一になるように加熱することにより、炭化珪素単結晶材20の上面20e側と下面20d側から均等に加熱することができる。
さらに、焼鈍用容器16の上面16hと下面16gの表面温度を、焼鈍用容器16の側面16fの表面温度より高くなるように温度調整することにより、炭化珪素単結晶材20を全方向から均等に加熱することができる。
なお、たとえば、高周波加熱コイルの位置、巻き方および巻き数などを調節することにより、焼鈍用容器16の上面16hと下面16gの表面温度を、焼鈍用容器16の側面16fの表面温度より高くなるように温度勾配をつけることができる。これにより、炭化珪素単結晶材20の口径が大きい場合でも、より精密に温度制御を行って適切に温度勾配をつけるように加熱することにより、炭化珪素単結晶材20を全方向から均等に加熱することができる。
また、炭化珪素単結晶材20を全方向から均等に加熱することにより、炭化珪素単結晶材20の表面と内部の間の温度勾配も小さくすることができる。
前記焼鈍(アニール)後、焼鈍用容器16の温度を徐々に降温して室温とする。これにより、炭化珪素単結晶材20の残留応力を抑制することができる。
炭化珪素単結晶材20の大きさに係らず、少なくとも−5℃/分の冷却速度またはそれよりも遅くした冷却速度で室温まで冷却することが好ましい。冷却速度が−5℃/分よりも速い冷却速度で冷却した場合には、炭化珪素単結晶材20の表面と内部との間で温度のバラツキが発生し、炭化珪素単結晶材20の残留応力を抑制することができない。
炭化珪素単結晶材20の口径が大きいほど、前記冷却速度を遅くすることが好ましい。炭化珪素単結晶材20の口径が大きい場合に冷却速度を速くした場合には、炭化珪素単結晶材20の各部分ごとに温度のバラツキが発生して、残留応力を発生させる場合がある。
具体的には、炭化珪素単結晶材20の口径が直径3インチ以上の場合には、−3℃/分より遅くした冷却速度とすることが好ましい。これにより、炭化珪素単結晶材20の部分ごとの温度のバラツキを抑制して、残留応力を抑制することができる。
以上のようにして焼鈍を行った炭化珪素単結晶インゴット22(炭化珪素単結晶材20)は残留応力が抑制されているので、切断などの工程を行っても割れる確率が小さく、また潜在的なクラックを発生させないで高品質の炭化珪素単結晶ウェーハを形成することができる。
なお、炭化珪素単結晶材20として、略円柱状の炭化珪素単結晶インゴット22を用いた例で説明したが、炭化珪素単結晶ウェーハ(炭化珪素単結晶材20)に対して本実施形態で示した焼鈍を行っても良い。
また、本実施形態である炭化珪素単結晶材の焼鈍方法を用いて焼鈍を行って形成した炭化珪素単結晶ウェーハ(炭化珪素単結晶材20)上に、炭化珪素および/または金属窒化物をエピタキシャル成長させて薄膜エピタキシャル層を形成することにより、昇華ガスによる欠陥およびクラックの発生を抑制した炭化珪素単結晶ウェーハを作製することができる。
さらに、前記炭化珪素単結晶ウェーハを基板として用いて金属膜および絶縁膜を形成することにより、昇華ガスによる欠陥およびクラックの発生を抑制した炭化珪素半導体(デバイス)を作製することができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶材の焼鈍方法は、焼鈍用容器16の収容部19に、焼鈍用容器16から離間するように炭化珪素単結晶材20を配置し、焼鈍用容器16と炭化珪素単結晶材20との間に炭化珪素単結晶材20全体を覆うように熱伝導性の充填材粉末18を充填した後、焼鈍用容器16を外部から加熱して、炭化珪素単結晶材20を焼鈍する構成なので、充填材粉末18を介して熱伝導を有効に利用して焼鈍(アニール)することにより、炭化珪素単結晶材20を全方向から均等に、かつ、炭化珪素単結晶材20の表面と内部の間の温度差(温度勾配)を極力小さくして、加熱することができる。これにより、炭化珪素単結晶材20の残留応力を低減し、クラックを生じないようにすることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶材の焼鈍方法は、充填材粉末18が、少なくとも炭化珪素を含む構成なので、前記炭化珪素から昇華ガスを発生させることにより、焼鈍処理した炭化珪素単結晶材20に昇華ガスによる欠陥を生成させることなく、効果的な応力緩和により加工時のクラック発生率を大幅に低減することができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶材の焼鈍方法は、充填材粉末18が平均粒径3mm以下である構成なので、充填材粉末18を介して熱伝導を有効に利用して焼鈍(アニール)することにより、炭化珪素単結晶材20を全方向から均等に、かつ、炭化珪素単結晶材20の表面と内部の間の温度差(温度勾配)を極力小さくして、加熱することができる。これにより、炭化珪素単結晶材20の残留応力を低減し、クラックを生じないようにすることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶材の焼鈍方法は、充填材粉末18が炭化珪素、SiC、SiC、グラファイト、TaCまたはHfCの少なくとも1つを含む構成なので、充填材粉末18を介して熱伝導を有効に利用して焼鈍(アニール)することにより、炭化珪素単結晶材20を全方向から均等に、かつ、炭化珪素単結晶材20の表面と内部の間の温度差(温度勾配)を極力小さくして、加熱することができる。これにより、炭化珪素単結晶材20の残留応力を低減し、クラックを生じないようにすることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶材の焼鈍方法は、充填材粉末18が炭化珪素系材料と固結防止材との混合物からなり、前記炭化珪素系材料の質量をA、前記固結防止材の質量をBとしたときに、充填材粉末18における前記炭化珪素系材料の質量比率A/(A+B)が0超1.0未満の範囲とされている構成なので、炭化珪素単結晶材20からの昇華ガスの発生を抑制するとともに、焼結反応を抑制して、炭化珪素単結晶材20を取り出しやすくすることができる。また、熱伝導を有効に利用して炭化珪素単結晶材20を全方向から均等に、かつ、炭化珪素単結晶材20の表面と内部の間の温度差(温度勾配)を極力小さくして、加熱することができる。これにより、炭化珪素単結晶材20の残留応力を低減し、クラックを生じないようにすることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶材の焼鈍方法は、前記炭化珪素系材料が、炭化珪素、SiCまたはSiCの少なくとも1つである構成なので、炭化珪素単結晶材20からの昇華ガスの発生を抑制することができる。また、熱伝導を有効に利用して炭化珪素単結晶材20を全方向から均等に、かつ、炭化珪素単結晶材20の表面と内部の間の温度差(温度勾配)を極力小さくして、加熱することができる。これにより、炭化珪素単結晶材20の残留応力を低減し、クラックを生じないようにすることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶材の焼鈍方法は、前記固結防止材が、グラファイト(黒鉛)、TaCまたはHfCの少なくとも1つである構成なので、炭化珪素単結晶材20と充填材粉末18と間の焼結反応を抑制して、炭化珪素単結晶材20を取り出しやすくすることができる。また、熱伝導を有効に利用して炭化珪素単結晶材20を全方向から均等に、かつ、炭化珪素単結晶材20の表面と内部の間の温度差(温度勾配)を極力小さくして、加熱することができる。これにより、炭化珪素単結晶材20の残留応力を低減し、クラックを生じないようにすることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶材の焼鈍方法は、焼鈍用容器16がグラファイトまたは炭化珪素からなる構成なので、熱伝導を有効に利用して焼鈍(アニール)することにより、炭化珪素単結晶材20を全方向から均等に、かつ、炭化珪素単結晶材20の表面と内部の間の温度差(温度勾配)を極力小さくして、加熱することができる。これにより、炭化珪素単結晶材20の残留応力を低減し、クラックを生じないようにすることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶材の焼鈍方法は、前記焼鈍用容器が炭化珪素またはTaCによって被覆されたグラファイトからなる構成なので、熱伝導を有効に利用して焼鈍(アニール)することにより、炭化珪素単結晶材20を全方向から均等に加熱することができる。これにより、炭化珪素単結晶材20の残留応力を低減し、クラックを生じないようにすることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶材の焼鈍方法は、炭化珪素単結晶材20の焼鈍が抵抗加熱法または高周波誘導加熱法によって行われる構成なので、熱伝導を有効に利用して焼鈍(アニール)することにより、炭化珪素単結晶材20を全方向から均等に、かつ、炭化珪素単結晶材20の表面と内部の間の温度差(温度勾配)を極力小さくして、加熱することができる。これにより、炭化珪素単結晶材20の残留応力を低減し、クラックを生じないようにすることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶材の焼鈍方法は、充填材粉末18が炭化珪素系材料と前記固結防止材との混合物からなる場合、炭化珪素単結晶材20を焼鈍する焼鈍温度を1000℃以上2000℃以下とする構成なので、炭化珪素単結晶材20と充填材粉末18とを焼結させず、炭化珪素単結晶材20の残留応力を低減し、クラックを生じないようにすることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶材の焼鈍方法は、充填材粉末18が炭化珪素のみからなる場合、炭化珪素単結晶材20を焼鈍する焼鈍温度を1000℃以上1500℃以下とする構成なので、炭化珪素単結晶材20と充填材粉末18とを焼結させず、炭化珪素単結晶材20の残留応力を低減し、クラックを生じないようにすることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶材の焼鈍方法は、炭化珪素単結晶材20が前記焼鈍温度で焼鈍された後、前記焼鈍用容器の収容部に前記炭化珪素単結晶材全体を覆うように充填材粉末が充填された状態で、−5℃/分より遅い冷却速度で室温まで冷却される構成なので、炭化珪素単結晶材20の残留応力を低減しながら、冷却することができる。これにより、クラックを生じないようにすることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶材の焼鈍方法は、炭化珪素単結晶材20の口径が3インチ以上の場合、前記冷却速度を−3℃/分より遅くする構成なので、炭化珪素単結晶材20の残留応力を低減しながら、冷却することができる。これにより、クラックを生じないようにすることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶材の焼鈍方法は、不活性ガスまたは窒素ガス雰囲気下で焼鈍される構成なので、ガスの成分を炭化珪素と特別な反応を起こさせることなく炭化珪素単結晶材20を焼鈍することができるとともに、炭化珪素単結晶材20の残留応力を低減しながら、冷却することができる。これにより、クラックを生じないようにすることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶材の焼鈍方法は、不活性ガスまたは窒素ガス雰囲気のガス圧力が6.5×10Pa以上1×10Pa以下である構成なので、ガスの成分を炭化珪素と特別な反応を起こさせることなく炭化珪素単結晶材20を焼鈍することができるとともに、炭化珪素単結晶材20の残留応力を低減しながら、冷却することができる。これにより、クラックを生じないようにすることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶材の焼鈍方法は、不活性ガスまたは窒素ガスがアルゴン、ヘリウム、窒素の少なくとも1つを主成分とするガスである構成なので、ガスの成分を炭化珪素と特別な反応を起こさせることなく炭化珪素単結晶材20を焼鈍することができるとともに、炭化珪素単結晶材20の残留応力を低減しながら、冷却することができる。これにより、クラックを生じないようにすることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶材の焼鈍方法は、充填材粉末18にAl(アルミニウム)、B(ホウ素)または重金属の少なくとも1つを有する不純物が含まれており、前記不純物の含有量が2.5質量%以下である構成なので、充填材粉末18を介して熱伝導を有効に利用して焼鈍(アニール)することにより、炭化珪素単結晶材20を全方向から均等に、かつ、炭化珪素単結晶材20の表面と内部の間の温度差(温度勾配)を極力小さくして、加熱することができる。これにより、炭化珪素単結晶材20の残留応力を低減し、クラックを生じないようにすることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶材の焼鈍方法は、炭化珪素単結晶材20が炭化珪素単結晶インゴット22または炭化珪素単結晶ウェーハである構成なので、熱伝導を有効に利用して炭化珪素単結晶材20を全方向から均等に、かつ、炭化珪素単結晶材20の表面と内部の間の温度差(温度勾配)を極力小さくして、加熱することができる。これにより、炭化珪素単結晶材20の残留応力を低減し、クラックを生じないようにすることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶ウェーハは、先に記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法によって焼鈍される構成なので、残留応力を低減し、クラックを生じないようにすることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶ウェーハは、先に記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法によって焼鈍されて残留応力が低減された炭化珪素単結晶インゴット22に、切断、面取り、鏡面研磨、CMPのいずれか1以上の加工が施されて形成される構成なので、製造工程の途中でクラックが生じないように製造することができ、製造効率を向上させることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶ウェーハは、先に記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法によって焼鈍されて残留応力が低減された炭化珪素単結晶ウェーハからなる基板上に炭化珪素および/または金属窒化物からなる薄膜エピタキシャル層が形成されてなる構成なので、製造工程の途中でクラックが生じないように製造することができ、製造効率を向上させることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素半導体は、先に記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法によって焼鈍されて残留応力が低減された炭化珪素単結晶ウェーハからなる基板上に金属膜および絶縁膜が形成されてなる構成なので、製造工程の途中でクラックが生じないように製造することができ、製造効率を向上させることができる。
(実施形態2)
図2は、本発明の実施形態である炭化珪素単結晶材の焼鈍方法の別の一例を説明するための図であって、炭化珪素単結晶材を収容した焼鈍用容器の垂直断面図である。
実施形態2は、充填材粉末18として炭化珪素とグラファイト(黒鉛)とからなる混合物を用いたことを除いては、実施形態1と同様の構成とされている。なお、実施形態1で示された部材と同一の部材については同一の符号を付して示している。
図2に示すように、焼鈍用容器16の収容部19には、略中心部に略円柱状の炭化珪素単結晶インゴット22(炭化珪素単結晶材20)が配置されており、炭化珪素単結晶材20と焼鈍用容器16との間には充填材粉末18が充填されている。
図2に示すように、平面視円形状の炭化珪素単結晶材20は、円筒状の焼鈍用容器16の軸mと同軸状になるように配置されている。
充填材粉末18が充填された領域において、炭化珪素単結晶材20の表面から5mmの距離にある位置が点線で示されており、点線で囲まれた領域を近接領域28、近接領域以外の領域が周辺領域29とされている。なお、近接領域28には充填材粉末18bが充填され、周辺領域29には充填材粉末18aが充填されている。
近接領域28の充填材粉末18bは、炭化珪素系材料の質量比率A/(A+B)が0以上0.08未満となるようにされている。このように炭化珪素単結晶材20の近傍で炭化珪素系材料の割合を減らすように充填することにより、炭化珪素単結晶材20と炭化珪素系材料との間の焼結反応を抑制することができる。これにより、炭化珪素単結晶材20を取り出しやすくすることができる。
近接領域28の炭化珪素系材料の質量比率A/(A+B)を0.08以上とした場合には、炭化珪素単結晶材20と接する炭化珪素系材料の割合が高くなり、炭化珪素単結晶材20と炭化珪素系材料とが焼結するおそれが発生する。
周辺領域29の充填材粉末18aは炭化珪素系材料の質量比率A/(A+B)が0.08以上1.0以下となるようにされている。このように炭化珪素単結晶材20から離れた位置で炭化珪素系材料の割合を増やすように充填することにより、焼鈍用容器16内に十分な量の炭化珪素系材料を確保して蒸気圧を発生させて炭化珪素単結晶材20からの昇華ガスの発生を抑制することができる。
周辺領域29の炭化珪素系材料の質量比率A/(A+B)を0.08未満とした場合には、充填材粉末18に含まれる炭化珪素系材料の量が少なく、炭化珪素単結晶材20からの昇華ガスの発生を抑制するのに必要な蒸気圧を形成することができない。そのため、炭化珪素単結晶材20から昇華ガスが発生して欠陥が形成される場合が生ずる。
近接領域28と周辺領域29で充填材粉末18の炭化珪素系材料の質量比率A/(A+B)を変えて充填する方法は次のとおりである。ここで、炭化珪素系材料と炭化珪素粉末、固結防止材としてグラファイト(黒鉛)粉末を用い、近接領域28の炭化珪素系材料の質量比率A/(A+B)を0、周辺領域29の炭化珪素系材料の質量比率A/(A+B)が1となる場合を用いて説明する。
まず、焼鈍用容器16の内底部側に、第1層として炭化珪素粉末を充填する。次に、円筒形の仕切りを中央において、前記円筒形の仕切りの内側に5mmの深さとなるようにグラファイト(黒鉛)粉末を充填し、外側に炭化珪素粉末を充填して第2層を形成する。次に、黒鉛(グラファイト)粉末上に中央に炭化珪素単結晶材20を配置した後、前記円筒形のしきりの内側にグラファイト(黒鉛)粉末を充填し、外側に炭化珪素粉末を充填して第3層を形成する。これにより、炭化珪素単結晶材20がグラファイト(黒鉛)粉末に埋まる。円筒形の仕切りを取り除いた後、最後に、第4層として炭化珪素粉末を充填する。
これにより、炭化珪素単結晶材20に接する近接領域28はグラファイト(黒鉛)粉末のみで構成することができる。これにより、炭化珪素単結晶材20と炭化珪素粉末と間の焼結反応を抑制することができる。炭化珪素単結晶材20を取り出しやすくすることができる。
また、焼鈍用容器16の内壁面16cと接触する周辺領域は炭化珪素粉末のみで構成することができる。これにより、炭化珪素単結晶材20からの昇華ガスの発生を抑制する炭化珪素の蒸気圧を形成することができる。
さらに、炭化珪素粉末とグラファイト(黒鉛)粉末はどちらも安価な材料であるので、製造コストを低減できる。
なお、本実施形態では近接領域と周辺領域の2つの領域に分割して、各領域の充填材粉末の炭化珪素比率を変えて充填する構成としたが、たとえば、口径の大きさが異なる2つの円筒形の仕切りを用いて、近接領域と周辺領域の間に中間領域を設けて、炭化珪素単結晶材から離れるに従って、段階的に炭化珪素の質量比率A/(A+B)が大きくなるように、充填材粉末18を充填してもよい。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶材の焼鈍方法は、炭化珪素単結晶材20から離れるに従って、充填材粉末18における前記炭化珪素系材料の質量比率A/(A+B)が大きくなるように、充填材粉末18を充填する構成なので、炭化珪素単結晶材20からの昇華ガスの発生を抑制するとともに、焼結反応を抑制して、炭化珪素単結晶材20を取り出し易くすることができる。また、熱伝導を有効に利用して炭化珪素単結晶材20を全方向から均等に、かつ、炭化珪素単結晶材20の表面と内部の間の温度差(温度勾配)を極力小さくして、加熱することができる。これにより、炭化珪素単結晶材20の残留応力を低減し、クラックを生じないようにすることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶材の焼鈍方法は、充填材粉末18における前記炭化珪素系材料の質量比率A/(A+B)が炭化珪素単結晶材20の近接領域28では0以上0.08未満であり、近接領域以外の領域29では0.08以上1.0以下となるように充填材粉末18を充填する構成なので、炭化珪素単結晶材20からの昇華ガスの発生を抑制するとともに、焼結反応を抑制して、炭化珪素単結晶材20を取り出し易くすることができる。また、熱伝導を有効に利用して炭化珪素単結晶材20を全方向から均等に、かつ、炭化珪素単結晶材20の表面と内部の間の温度差(温度勾配)を極力小さくして、加熱することができる。これにより、炭化珪素単結晶材20の残留応力を低減し、クラックを生じないようにすることができる。
本発明の実施形態である炭化珪素単結晶材の焼鈍方法は、近接領域28が炭化珪素単結晶材20の表面から5mm未満となる領域である構成なので、炭化珪素単結晶材20からの昇華ガスの発生を抑制するとともに、焼結反応を抑制して、炭化珪素単結晶材20を取り出しやすくすることができる。また、熱伝導を有効に利用して炭化珪素単結晶材20を全方向から均等に、かつ、炭化珪素単結晶材20の表面と内部の間の温度差(温度勾配)を極力小さくして、加熱することができる。これにより、炭化珪素単結晶材20の残留応力を低減し、クラックを生じないようにすることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
炭化珪素単結晶材として所定の単結晶育成工程で得られた口径3インチの炭化珪素単結晶インゴットを用い、図1に示したグラファイトからなる焼鈍用容器の内部に平均粒径0.2mmの炭化珪素粉末からなる充填材粉末とともに配置した。これを炭素繊維製の断熱材で覆った後、チャンバーの内部の高周波加熱コイルの間に配置した。また、断熱材に孔部を設け、前記孔部から焼鈍用容器の表面温度が測定できるように、表面温度測定計を配置した。
次に、チャンバーの内部を減圧状態とした後、Arガスを導入した。Arガスのガス圧を9.3×10Paとした状態で、高周波加熱コイルにより、焼鈍用容器を加熱して、炭化珪素単結晶インゴットの温度(焼鈍温度)を1500℃とした。この状態で、50時間保持して、焼鈍を行った。その後、冷却速度を−3℃/分として室温まで冷却した。
冷却後、焼鈍した炭化珪素単結晶インゴット(実施例1サンプル)を取り出した。炭化珪素単結晶インゴットと充填材粉末との間で焼結はなかった。また、クラックの発生はほとんどなく、クラック発生率は10%であった。後述する比較例1の焼鈍しない場合に比べて、大幅な改善効果があった。なお、単結晶インゴットをアニールした場合のクラック発生率は、同一条件で10個のインゴットを作製したときに、クラックが発生したインゴット数から算出した。
また、炭化珪素単結晶インゴットは、表面が粗くなることはなく、成長直後と同様の光沢を保ち、欠陥の発生はなかった。さらに、不純物濃度をESCAで測定したが、2.5質量%以下であった。
次に、円筒加工(平面研削含む)、インゴット切断、面取り(ベベリング)、研磨(CMP含む)からなる所定の工程で炭化珪素単結晶ウェーハの形成を行った。この工程を行っても、クラックの発生はほとんどなかった。
さらに、炭化珪素および/または金属窒化物からなる薄膜エピタキシャル層を所定の工程で成膜して炭化珪素半導体(デバイス)の作製を行った。この工程を行っても、クラックの発生はほとんどなかった。
(実施例2)
焼鈍温度を1000℃とし、保持時間を100時間とした他は実施例1と同様にして、焼鈍を行った。
冷却後、焼鈍した炭化珪素単結晶インゴット(実施例2サンプル)を取り出した。焼結はなかった。また、クラックの発生はほとんどなく、クラック発生率は10%であった。さらに、欠陥の発生もなかった。
次に、所定の工程で炭化珪素単結晶ウェーハの形成を行った。この工程を行ったところ、クラック(割れ)の発生はほとんどなかった。
さらに、所定の工程で炭化珪素半導体(デバイス)の作製を行った。この工程を行ったところ、クラックの発生はほとんどなかった。
(実施例3)
充填材粉末として黒鉛粉末を用い、焼鈍温度を1500℃、処理時間を50時間としたほかは実施例1と同様にして焼鈍を行った。
冷却後、焼鈍した炭化珪素単結晶インゴット(実施例3サンプル)を取り出した。焼結はなく、また、クラックの発生はほとんどなく、クラック発生率は10%であった。欠陥の発生はなかった。
次に、所定の工程で炭化珪素単結晶ウェーハの形成を行った。この工程を行っても、クラックの発生はほとんどなかった。
さらに、所定の工程で炭化珪素半導体(デバイス)の作製を行った。この工程を行っても、クラックの発生はほとんどなかった。
(実施例4)
炭化珪素の質量比率が0.5の炭化珪素粉末とグラファイト(黒鉛)粉末からなる混合物を用い、焼鈍用容器の内部に均一に充填して、焼鈍温度を1500℃、処理時間を50時間としたほかは実施例1と同様にして焼鈍を行った。
冷却後、焼鈍した炭化珪素単結晶インゴット(実施例4サンプル)を取り出した。焼結はなく、また、クラックの発生はほとんどなく、クラック発生率は10%であった。欠陥の発生はなかった。
次に、所定の工程で炭化珪素単結晶ウェーハの形成を行った。この工程を行っても、クラックの発生はほとんどなかった。
さらに、所定の工程で炭化珪素半導体(デバイス)の作製を行った。この工程を行っても、クラックの発生はほとんどなかった。
(実施例5)
充填材粉末として炭化珪素粉末とグラファイト(黒鉛)粉末からなる混合物を用い、炭化珪素単結晶インゴットの近接領域でグラファイト(黒鉛)の質量比率を高め、その周辺領域で炭化珪素の質量比率を高めるように充填して、焼鈍温度を2000℃、焼鈍の処理時間を20時間としたほかは実施例1と同様にして焼鈍を行った。
前記充填材粉末の充填は、具体的には、次のようにして行った。まず、焼鈍用容器の内底部側に、第1層として炭化珪素粉末を充填した。次に、円筒形の仕切りを中央において、前記円筒形の仕切りの内側に5mmの深さとなるようにグラファイト(黒鉛)粉末を充填し、外側に炭化珪素粉末を充填して第2層を形成した。次に、黒鉛(グラファイト)粉末上に中央に炭化珪素単結晶材を配置した後、前記円筒形のしきりの内側にグラファイト(黒鉛)粉末を充填し、外側に炭化珪素粉末を充填して第3層を形成した。これにより、炭化珪素単結晶材がグラファイト(黒鉛)粉末に埋まった。円筒形の仕切りを取り除いた後、最後に、第4層として炭化珪素粉末を充填した。
冷却後、焼鈍した炭化珪素単結晶インゴット(実施例5サンプル)を取り出した。焼結はなく、また、クラックの発生はほとんどなく、クラック発生率は10%であった。欠陥の発生はなかった。
次に、所定の工程で炭化珪素単結晶ウェーハの形成を行った。この工程を行っても、クラックの発生はほとんどなかった。
さらに、所定の工程で炭化珪素半導体(デバイス)の作製を行った。この工程を行っても、クラックの発生はほとんどなかった。
(比較例1)
充填材粉末を充填しない他は実施例1と同様にして、焼鈍を行った。
冷却後、焼鈍した炭化珪素単結晶インゴット(比較例1サンプル)を取り出した。焼結はなかった。しかし、クラックの発生が多く見られ、クラック発生率は90%であった。
次に、所定の工程で炭化珪素単結晶ウェーハの形成を行った。この工程を行ったところ、クラック(割れ)の発生が多く見られ、クラック発生率は90%であった。
さらに、所定の工程で炭化珪素半導体(デバイス)の作製を行った。この工程を行ったところ、ほとんどクラック(割れ)が生じた。
(比較例2)
焼鈍温度を1800℃とした他は実施例1と同様にして、焼鈍を行った。
焼鈍した炭化珪素単結晶インゴットを取り出そうとしたが、炭化珪素粉末が焼結により結合し、炭化珪素単結晶インゴットを取り出すことができなかった。
(比較例3)
焼鈍温度を1000℃とし、保持時間を50時間とした他は実施例1と同様にして、焼鈍を行った。
冷却後、焼鈍した炭化珪素単結晶インゴット(比較例3サンプル)を取り出した。焼結はなかった。しかし、クラックの発生が多く見られ、クラック発生率は90%であった。欠陥の発生はなかった。
次に、所定の工程で炭化珪素単結晶ウェーハの形成を行った。この工程を行ったところ、クラック(割れ)の発生が多く見られた。
さらに、所定の工程で炭化珪素半導体(デバイス)の作製を行った。この工程を行ったところ、クラックの発生が多く見られた。
(比較例4)
充填材粉末として黒鉛粉末を用い、焼鈍温度を1800℃、処理時間を50時間としたほかは実施例1と同様にして焼鈍を行った。
冷却後、焼鈍した炭化珪素単結晶インゴット(比較例4サンプル)を取り出した。焼結はなく、また、クラックの発生はほとんどなく、クラック発生率は10%であった。しかし、炭化珪素単結晶インゴットの表面が粗くなるとともに、表面が粗くなった部分の内部に多数の欠陥が生じていた。
(比較例5)
冷却速度を−6℃/分としたほかは実施例5と同様にして焼鈍を行った。
冷却後、焼鈍した炭化珪素単結晶インゴット(比較例5サンプル)を取り出した。焼結はなかった。しかし、クラックの発生が多く見られ、クラック発生率は90%であった。欠陥の発生はなかった。
次に、所定の工程で炭化珪素単結晶ウェーハの形成を行った。この工程を行ったところ、クラック(割れ)の発生が多く見られた。
さらに、所定の工程で、炭化珪素半導体(デバイス)の作製を行った。この工程を行ったところ、クラックの発生が多く見られた。
以上の条件と結果について表1にまとめた。
Figure 0005124402
本発明は、炭化珪素単結晶材の焼鈍方法、炭化珪素単結晶ウェーハおよび炭化珪素半導体に関するものであって、炭化珪素半導体(デバイス)の量産実用化にコスト的・品質的に大きく寄与すると期待されるので、大電力パワーデバイス、耐高温素子材料、耐放射線素子材料、高周波素子材料等に使用可能な高品質な炭化珪素単結晶材を製造・利用する産業において利用可能性がある。
本発明の炭化珪素単結晶材の焼鈍用装置の一例を示す断面図である。 本発明の炭化珪素単結晶材の焼鈍用容器に充填する充填材粉末の充填方法の一例を示す断面図である。
符号の説明
10…チャンバー、12…空洞部、14…断熱材、16…焼鈍用容器、16a…本体部、16b…蓋、16c…内壁面、16d…内底面、16e…天井面、16f…外壁面、16g…下面、16h…上面、18、18a、18b…充填材粉末、19…収容部、20…炭化珪素単結晶材、20c…側面、20d…下面、20e…上面、22…炭化珪素単結晶インゴット、28…近接領域、29…周辺領域。

Claims (17)

  1. 焼鈍用容器の収容部に、前記焼鈍用容器から離間するように炭化珪素単結晶材を配置し、前記焼鈍用容器と前記炭化珪素単結晶材との間に前記炭化珪素単結晶材全体を覆うように熱伝導性の充填材粉末を充填した後、
    前記焼鈍用容器を外部から加熱して、前記炭化珪素単結晶材を焼鈍する工程を有し、
    前記充填材粉末が炭化珪素系材料と固結防止材との混合物からなり、前記炭化珪素系材料の質量をA、前記固結防止材の質量をBとしたときに、前記充填材粉末における前記炭化珪素系材料の質量比率A/(A+B)が0超1.0未満の範囲とされており、
    前記炭化珪素単結晶材から離れるに従って、前記充填材粉末における前記炭化珪素系材料の質量比率A/(A+B)が大きくなるように、前記充填材粉末を充填することを特徴とする炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
  2. 前記充填材粉末が平均粒径3mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
  3. 前記炭化珪素系材料が、炭化珪素、SiCまたはSiCの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
  4. 前記固結防止材が、グラファイト、TaCまたはHfCの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
  5. 前記充填材粉末における前記炭化珪素系材料の質量比率A/(A+B)が前記炭化珪素単結晶材の近接領域では0以上0.08未満であり、前記近接領域以外の領域では0.08以上1.0以下となるように、前記充填材粉末を充填することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
  6. 前記近接領域が前記炭化珪素単結晶材の表面から5mm未満となる領域であることを特徴とする請求項5に記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
  7. 前記焼鈍用容器がグラファイトまたは炭化珪素からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
  8. 前記焼鈍用容器が炭化珪素またはTaCによって被覆されたグラファイトからなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
  9. 前記炭化珪素単結晶材の焼鈍が抵抗加熱法または高周波誘導加熱法によって行われることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
  10. 前記炭化珪素単結晶材を焼鈍する焼鈍温度を1000℃以上2000℃以下とすることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
  11. 前記炭化珪素単結晶材が前記焼鈍温度で焼鈍された後、前記焼鈍用容器の収容部に前記炭化珪素単結晶材全体を覆うように充填材粉末が充填された状態で、−5℃/分より遅い冷却速度で室温まで冷却されることを特徴とする請求項10に記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
  12. 前記炭化珪素単結晶材の口径が3インチ以上の場合、前記冷却速度を−3℃/分より遅くすることを特徴とする請求項11に記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
  13. 前記炭化珪素単結晶材が、不活性ガスまたは窒素ガス雰囲気下で焼鈍されることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
  14. 前記不活性ガスまたは窒素ガス雰囲気のガス圧力が6.5×10Pa以上1×10Pa以下であることを特徴とする請求項13に記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
  15. 前記不活性ガスまたは窒素ガスがアルゴン、ヘリウムまたは窒素の少なくとも1つを主成分とするガスであることを特徴とする請求項14に記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
  16. 前記充填材粉末にアルミニウム、ホウ素または重金属の少なくとも1つを有する不純物が含まれており、前記不純物の含有量が2.5質量%以下であることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
  17. 前記炭化珪素単結晶材が炭化珪素単結晶インゴットまたは炭化珪素単結晶ウェーハであることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の炭化珪素単結晶材の焼鈍方法。
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