JP2015071527A - 炭化珪素単結晶および炭化珪素単結晶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】結晶の割れおよび積層欠陥の発生の両方を抑制することが可能な炭化珪素単結晶および炭化珪素単結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】炭化珪素インゴット10は、炭化珪素からなる種結晶11と、種結晶11の表面11A上に成長させた炭化珪素層13とを備えている。種結晶11および炭化珪素層13の窒素濃度は、2×1019cm-3未満である。炭化珪素層13における種結晶11との境界部14を含む領域である種結晶近傍領域13Aの窒素濃度が種結晶11の窒素濃度よりも高くなっている。
【選択図】図1
【解決手段】炭化珪素インゴット10は、炭化珪素からなる種結晶11と、種結晶11の表面11A上に成長させた炭化珪素層13とを備えている。種結晶11および炭化珪素層13の窒素濃度は、2×1019cm-3未満である。炭化珪素層13における種結晶11との境界部14を含む領域である種結晶近傍領域13Aの窒素濃度が種結晶11の窒素濃度よりも高くなっている。
【選択図】図1
Description
本発明は、炭化珪素単結晶および炭化珪素単結晶の製造方法に関するものである。本発明は、より特定的には、結晶の割れおよび積層欠陥の発生の両方を抑制することが可能な炭化珪素単結晶および炭化珪素単結晶の製造方法に関するものである。
近年、半導体装置の高耐圧化、低損失化などを可能とするため、半導体装置を構成する材料としての炭化珪素の採用が進められている。炭化珪素は、従来より半導体装置を構成する材料として広く用いられている珪素に比べてバンドギャップが大きいワイドバンドギャップ半導体である。そのため、半導体装置を構成する材料として炭化珪素を採用することにより、半導体装置の高耐圧化、オン抵抗の低減などを達成することができる。
炭化珪素単結晶(炭化珪素インゴット)は、たとえば昇華再結晶法を用いて種結晶上に炭化珪素層を成長させることで得られる。たとえば特表2008−522943号公報(以下、特許文献1という)では、結晶成長の初期に窒素濃度を高くすることでマクロステップの形成を抑制する方法が開示されている。また、特開2010−95397号公報(以下、特許文献2という)では、種結晶と成長結晶との界面近傍における不純物濃度比を制御することで転位やマイクロパイプの発生を抑制する方法が開示されている。
上記特許文献1および2に開示された方法では、マクロステップの形成や転位の発生およびマイクロパイプの発生をある程度抑制することができる一方で、結晶の割れや積層欠陥を効果的に抑制することは困難であった。
そこで、本発明の一態様に係る炭化珪素単結晶および炭化珪素単結晶の製造方法では、結晶の割れおよび積層欠陥の発生の両方を抑制することを目的とする。
本発明の一態様に係る炭化珪素単結晶は、炭化珪素からなる種結晶と、種結晶の表面上に成長させた炭化珪素層とを備えている。種結晶および炭化珪素層の窒素濃度は、2×1019cm-3未満である。炭化珪素層における種結晶との境界部を含む領域である種結晶近傍領域の窒素濃度が種結晶の窒素濃度よりも高い。
本発明の一態様に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、炭化珪素からなる種結晶を準備する工程と、種結晶の表面上に炭化珪素層を成長させて炭化珪素単結晶を得る工程とを備えている。種結晶および炭化珪素層の窒素濃度は、2×1019cm-3未満である。炭化珪素層における種結晶との境界部を含む領域である種結晶近傍領域の窒素濃度が種結晶の窒素濃度よりも高い。
上記によれば、結晶の割れおよび積層欠陥の発生の両方を抑制することができる。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係る炭化珪素単結晶(炭化珪素インゴット10)は、炭化珪素からなる種結晶11と、種結晶11の表面11A上に成長させた炭化珪素層13とを備えている。種結晶11および炭化珪素層13の窒素濃度は、2×1019cm-3未満である。炭化珪素層13における種結晶11との境界部14を含む領域である種結晶近傍領域13Aの窒素濃度は、種結晶11の窒素濃度よりも高くなっている。
本発明者は、炭化珪素単結晶における割れおよび積層欠陥の両方を抑制するための方策について鋭意検討を行った。その結果、種結晶の表面上に炭化珪素層を成長させる際に、種結晶近傍領域の窒素濃度を種結晶の窒素濃度よりも高くすることにより、種結晶に圧縮残留歪を生じさせることが可能であることを見出した。これは、炭化珪素単結晶に窒素が添加されると、炭素原子が窒素原子により置換されて格子定数が小さくなるためである。つまり、窒素濃度が相対的に高い種結晶近傍領域では窒素濃度が相対的に低い種結晶よりも格子定数が小さくなり、その結果種結晶において圧縮残留歪が生じる。これにより、炭化珪素単結晶に対して外周研削(インゴットを円柱形状に加工する処理)を施す際に、種結晶近傍から、インゴットが割れるのを防ぐことができる。
また炭化珪素単結晶は、窒素濃度が高くなるのに伴い応力に対して変形し難くなる。また、種結晶11の表面上に炭化珪素層13が成長した後の冷却の際に、炭化珪素層に対して過渡的に大きな内部応力が発生する。これに対して上記炭化珪素インゴット10では、種結晶近傍領域13Aの窒素濃度を種結晶11の窒素濃度よりも高くすることにより、冷却の際に大きな内部応力が発生する炭化珪素層13において、当該応力に十分耐えることができるので結晶の割れを効果的に抑制することができる。その結果、より高品質な炭化珪素インゴット10を得ることができる。
また本発明者は、結晶中の窒素濃度が一定以上になると結晶中に積層欠陥が発生し易くなることについても着目した。本発明者の検討によると、種結晶および炭化珪素層の窒素濃度が2×1019cm-3以上である場合には積層欠陥が多く発生する。これに対して上記炭化珪素インゴット10では、種結晶11および炭化珪素層13の窒素濃度が2×1019cm-3未満であるため、積層欠陥の発生を抑制することができる。したがって、上記炭化珪素インゴット10によれば、結晶の割れおよび積層欠陥の発生の両方を抑制することができる。なお、種結晶11および炭化珪素層13(種結晶近傍領域13Aを含む)の窒素濃度は、後述する本実施形態の具体例において説明するように測定される。
(2)上記炭化珪素インゴット10において、種結晶11の窒素濃度は1×1019cm-3以下である。
種結晶11の窒素濃度が1×1019cm-3を超える場合には、炭化珪素層が成長する前の種結晶11単独の場合において応力に対して変形し難くなる一方、硬度が高くなるため割れ易くなる。このため、坩堝の温度を成長温度にまで上昇させる際に、種結晶11が取り付けられる台座との熱膨張差などにより過渡的に生じる熱応力によって、種結晶11にクラックが入り易くなる。このため、種結晶11の窒素濃度は1×1019cm-3以下であることが好ましい。
(3)上記炭化珪素インゴット10において、種結晶11の窒素濃度に対する種結晶近傍領域13Aの窒素濃度の比は5以下である。
種結晶11と炭化珪素層13との間で窒素濃度の差が大きくなると、種結晶11と炭化珪素層13との間の格子定数の差が大きくなる。そして、格子定数の差に起因して結晶の割れが発生し易くなる。これに対して上記炭化珪素インゴット10では、種結晶11の窒素濃度に対する種結晶近傍領域13Aの窒素濃度の比が5以下になるため、種結晶11と炭化珪素層13との間の格子定数の差が小さくなる。そのため、格子定数の差に起因した結晶の割れを抑制することができる。なお、種結晶11の窒素濃度に対する種結晶近傍領域13Aの窒素濃度の比は、後述する本実施形態の具体例において説明するように測定される。
(4)上記炭化珪素インゴット10において、種結晶11の窒素濃度に対する種結晶近傍領域13Aの窒素濃度の比は、1.1以上である。これにより、種結晶11において容易に圧縮残留歪を生じさせることができる。その結果、外周研削加工の際に結晶の割れを抑制することができる。
(5)上記炭化珪素インゴット10において、種結晶近傍領域13Aは、境界部14から炭化珪素層13側に向かって0.8mm以下の厚みを有する領域である。
種結晶11に圧縮残留歪を生じさせるためには、種結晶近傍領域13Aの厚みは、0.8mm以下が好ましく、0.5mm以下がより好ましく、0.2mm以下がさらに好ましい。窒素濃度を制御する領域をできるだけ短くすることは、炭化珪素層13から、できるだけ長い製品部分を採取するためにも望ましい。そのため、種結晶近傍領域13Aの厚みは上記範囲内であることが好ましい。
(6)上記炭化珪素インゴット10では、種結晶11の表面11Aにおいて窒素濃度の最小値に対する窒素濃度の最大値の比が5以下である。
上記窒素濃度の最小値に対する窒素濃度の最大値の比が5を超える場合には、面内における格子定数のばらつきが大きくなり、結晶の割れが発生し易くなる。これに対して、上記窒素濃度の最小値に対する窒素濃度の最大値の比を上記範囲内にすることで、結晶の割れをより効果的に抑制することができる。
(7)上記炭化珪素インゴット10では、種結晶近傍領域13Aの種結晶11の表面11Aに平行な面13A1において窒素濃度の最小値に対する窒素濃度の最大値の比が5以下である。
上記窒素濃度の最小値に対する窒素濃度の最大値の比が5を超える場合には、面内における格子定数のばらつきが大きくなり、結晶の割れが発生し易くなる。これに対して、上記窒素濃度の最小値に対する窒素濃度の最大値の比を上記範囲内にすることで、結晶の割れをより効果的に抑制することができる。なお、上記窒素濃度の最小値に対する窒素濃度の最大値の比は、後述する本実施形態の具体例において説明するように測定される。
(8)上記炭化珪素インゴット10は、炭化珪素層13の成長方向から見た幅の最大値が100mm以上である。炭化珪素インゴット10の幅が大きくなるほど、外周研削の際に割れ易くなるため、最大幅が100mm以上の炭化珪素インゴット10に本発明を適用すると、特に顕著な効果が得られる。
(9)上記炭化珪素インゴット10において、種結晶11および炭化珪素層13のポリタイプは4H型である。これにより、パワーデバイスの用途に適した4H型のポリタイプを有する炭化珪素インゴット10を安定して得ることができる。
(10)上記炭化珪素インゴット10において、種結晶11の厚みは0.4mm以上2.0mm以下であり、好ましくは0.9mm以上1.5mm以下である。種結晶11が0.4mmより薄いと、炭化珪素インゴット端部の圧縮残留歪の領域が小さすぎて、充分な割れの抑制効果が得られない。また、種結晶11が2.0mmより厚いと、種結晶11と種結晶近傍領域13Aの窒素濃度差によって、充分な大きさの圧縮残留歪が生じない。
(11)上記炭化珪素インゴット10において、炭化珪素層13の成長方向における厚みは、5mm以上であり、好ましくは10mm以上である。炭化珪素層が5mmよりも薄いと、冷却の際に生じる圧縮応力に対して、充分な強度を得ることができず、結晶が割れ易くなるためである。
(12)上記炭化珪素インゴット10において、炭化珪素層13の窒素濃度は5×1017cm−3以上であり、好ましくは、1×1018cm−3以上である。これにより、炭化珪素層13に、充分な強度を得ることができる。
(13)本発明の一態様に係る炭化珪素単結晶の製造方法は、炭化珪素からなる種結晶11を準備する工程と、種結晶11の表面11A上に炭化珪素層13を成長させて炭化珪素単結晶(炭化珪素インゴット10)を得る工程とを備えている。種結晶11および炭化珪素層13の窒素濃度は、2×1019cm-3未満である。炭化珪素層13における種結晶11との境界部14を含む領域である種結晶近傍領域13Aの窒素濃度が種結晶11の窒素濃度よりも高い。
上記炭化珪素単結晶の製造方法では、種結晶近傍領域13Aの窒素濃度が種結晶11の窒素濃度よりも高くなる。これにより、種結晶11において圧縮残留歪を生じさせることが可能となり、その結果外周研削加工の際に結晶の割れを抑制することができる。また種結晶近傍領域13Aの窒素濃度を高くすることにより炭化珪素層13が応力に対して変形し難くなるため、冷却の際に大きな内部応力が加わった場合でも炭化珪素層13における結晶の割れを抑制することができる。また種結晶11および炭化珪素層13の窒素濃度を2×1019cm-3未満にすることにより、炭化珪素インゴット10における積層欠陥の発生を抑制することができる。したがって、上記炭化珪素単結晶の製造方法によれば、結晶の割れおよび積層欠陥の発生の両方を抑制することができる。
(14)上記炭化珪素単結晶の製造方法において、種結晶11の窒素濃度は1×1019cm-3以下である。
種結晶11の窒素濃度が1×1019cm-3を超える場合には、応力に対して変形し難くなる一方、硬度が高くなるため割れ易くなる。このため、坩堝の温度を成長温度にまで上昇させる際に、種結晶11が取り付けられる台座との熱膨張差などにより生じる熱応力によって、種結晶11にクラックが入り易くなる。このため、種結晶11の窒素濃度は1×1019cm-3以下であることが好ましい。
(15)上記炭化珪素単結晶の製造方法において、種結晶11の窒素濃度に対する種結晶近傍領域13Aの窒素濃度の比は5以下である。
種結晶11と炭化珪素層13との間で窒素濃度の差が大きくなると、種結晶11と炭化珪素層13との間の格子定数の差が大きくなる。そして、格子定数の差に起因して結晶の割れが発生し易くなる。これに対して上記炭化珪素単結晶の製造方法では、種結晶11の窒素濃度に対する種結晶近傍領域13Aの窒素濃度の比が5以下になるため、種結晶11と炭化珪素層13との間の格子定数の差が小さくなる。そのため、格子定数の差に起因した結晶の割れを抑制することができる。
(16)上記炭化珪素単結晶の製造方法において、種結晶11の窒素濃度に対する種結晶近傍領域13Aの窒素濃度の比は、1.1以上である。これにより、種結晶11において容易に圧縮残留歪を生じさせることができる。その結果、炭化珪素インゴット10に対して外周研削加工が施される際に結晶の割れを抑制することができる。
(17)上記炭化珪素単結晶の製造方法において、種結晶近傍領域13Aは、境界部14から炭化珪素層13側に向かって0.8mm以下の厚みを有する領域である。これは、種結晶11に圧縮残留歪を生じさせるためには、種結晶近傍領域13Aの厚みは、0.8mm以下が好ましく、0.5mm以下がより好ましく、0.2mm以下がさらに好ましい。また、窒素濃度を制御する領域をできるだけ短くすることは、炭化珪素層13からできるだけ長い製品部分を採取するためにも望ましいからである。これにより、炭化珪素層13の成長中において結晶中の窒素濃度を容易に制御することができる。
(18)上記炭化珪素単結晶の製造方法では、種結晶11の表面11Aにおいて窒素濃度の最小値に対する窒素濃度の最大値の比は5以下である。
上記窒素濃度の最小値に対する窒素濃度の最大値の比が5を超える場合には、面内における格子定数のばらつきが大きくなり、結晶の割れが発生し易くなる。これに対して、上記窒素濃度の最小値に対する窒素濃度の最大値の比を上記範囲内にすることで、結晶の割れをより効果的に抑制することができる。
(19)上記炭化珪素単結晶の製造方法では、種結晶近傍領域13Aの種結晶11の表面11Aに平行な面13A1において窒素濃度の最小値に対する窒素濃度の最大値の比は5以下である。
上記窒素濃度の最小値に対する窒素濃度の最大値の比が5を超える場合には、面内における格子定数のばらつきが大きくなり、結晶の割れが発生し易くなる。これに対して、上記窒素濃度の最小値に対する窒素濃度の最大値の比を上記範囲内にすることで、結晶の割れをより効果的に抑制することができる。
(20)上記炭化珪素単結晶の製造方法において、炭化珪素層13の成長方向から見た炭化珪素インゴット10の幅の最大値は100mm以上である。炭化珪素インゴット10の幅が大きくなるほど、外周研削の際に割れ易くなるため、最大幅が100mm以上の炭化珪素インゴット10に上記製造方法を適用すると、特に顕著な効果が得られる。
(21)上記炭化珪素単結晶の製造方法では、種結晶11および炭化珪素層13のポリタイプは4H型である。これにより、パワーデバイスの用途に適した4H型のポリタイプを有する炭化珪素インゴット10を安定して得ることができる。
(22)上記炭化珪素単結晶の製造方法では、種結晶11の厚みは0.4mm以上2.0mm以下であり、好ましくは0.9mm以上1.5mm以下である。種結晶11が0.4mmより薄いと、炭化珪素インゴット端部の圧縮残留歪の領域が小さすぎて、充分な割れの抑制効果が得られない。また、種結晶11が2.0mmより厚いと、種結晶11と種結晶近傍領域13Aの窒素濃度差によって、充分な大きさの圧縮残留歪が生じない。
(23)上記炭化珪素単結晶の製造方法では、炭化珪素層13の成長方向における厚みは、5mm以上であり、好ましくは10mm以上である。炭化珪素層が5mmよりも薄いと、冷却の際に生じる圧縮応力に対して、充分な強度を得ることができず、結晶が割れ易くなるためである。
(24)上記炭化珪素単結晶の製造方法では、炭化珪素層13の窒素濃度は5×1017cm−3以上であり、好ましくは、1×1018cm−3以上である。これにより、炭化珪素層13に、充分な強度を得ることができる。
[本発明の実施形態の詳細]
次に、本発明の実施形態の具体例を図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。また、本明細書中においては、個別方位を[]、集合方位を<>、個別面を()、集合面を{}でそれぞれ示す。
次に、本発明の実施形態の具体例を図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。また、本明細書中においては、個別方位を[]、集合方位を<>、個別面を()、集合面を{}でそれぞれ示す。
まず、本発明の実施形態に係る炭化珪素単結晶である炭化珪素インゴット10について説明する。図1を参照して、炭化珪素インゴット10は、炭化珪素からなる種結晶11と、種結晶11の表面11A上に成長させた炭化珪素層13とを備えている。炭化珪素インゴット10のポリタイプは4H型であり、より具体的には種結晶11および炭化珪素層13のポリタイプはそれぞれ4H型である。
上記炭化珪素インゴット10は、炭化珪素層13の成長方向(図中矢印)から見た幅の最大値が100mm以上である。種結晶11の厚みは0.4mm以上2.0mm以下であり、好ましくは0.9mm以上1.5mm以下である。炭化珪素層13の成長方向における厚みは5mm以上であり、好ましくは10mm以上である。
上記炭化珪素インゴット10において、種結晶11の窒素濃度は1×1019cm-3以下であり、好ましくは8×1018cm-3以下である。炭化珪素層13の窒素濃度は2×1019cm-3未満であり、好ましくは1×1019cm-3以下であり、より好ましくは8×1018cm-3以下である。また炭化珪素層13の窒素濃度は5×1017cm-3以上であり、好ましくは1×1018cm-3以上である。このように上記炭化珪素インゴット10では、種結晶11および炭化珪素層13のいずれにおいても窒素濃度が2×1019cm-3未満となっている。また種結晶近傍領域13Aの窒素濃度は、種結晶11の窒素濃度よりも高くなっている。
ここで、「種結晶11および炭化珪素層13の窒素濃度」は、以下のように測定することができる。まず、炭化珪素インゴット10を厚み方向に沿って切断する。これにより、図2に示すように炭化珪素インゴット10の厚み方向に沿った断面10Aが得られる。そして、当該断面10Aにおいて厚み方向(図中矢印)に沿って二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)による窒素濃度の測定が行われる。これにより、種結晶11および炭化珪素層13のそれぞれにおける窒素濃度を測定することができる。
図1を参照して、炭化珪素層13は、種結晶11との境界部14を含む領域である種結晶近傍領域13A(図1中斜線)を含んでいる。種結晶近傍領域13Aは、図1に示すように種結晶11と炭化珪素層13との境界部14から炭化珪素層13側に向かって0.8mm以下の厚みを有する領域である。
種結晶近傍領域13Aの窒素濃度は、種結晶11の窒素濃度よりも高くなっている。より具体的には、種結晶11の窒素濃度に対する種結晶近傍領域13Aの窒素濃度の比は1.1以上であり、好ましくは1.2以上である。また種結晶11の窒素濃度に対する種結晶近傍領域13Aの窒素濃度の比は5以下であり、好ましくは2以下であり、より好ましくは1.5以下である。
ここで、「種結晶11の窒素濃度に対する種結晶近傍領域13Aの窒素濃度の比」は、以下のように算出することができる。図2を参照して、まず種結晶11および種結晶近傍領域13Aのそれぞれにおいて任意の測定点S1,S2が規定される。次に、測定点S1,S2にそれぞれにおいてSIMSによる窒素濃度の測定が行われる。そして、測定点S2の窒素濃度値(種結晶近傍領域13Aの窒素濃度値)を測定点S1の窒素濃度値(種結晶11の窒素濃度値)で除する。これにより、種結晶11の窒素濃度に対する種結晶近傍領域13Aの窒素濃度の比を算出することができる。
種結晶11の表面11Aにおいて、窒素濃度の最小値に対する窒素濃度の最大値の比は5以下であり、好ましくは2以下であり、より好ましくは1.5以下である。また種結晶近傍領域13Aの種結晶11の表面11Aに平行な面13A1において、窒素濃度の最小値に対する窒素濃度の最大値の比は5以下であり、好ましくは2以下であり、より好ましくは1.5以下である。ここで、「上記窒素濃度の最小値に対する窒素濃度の最大値の比」は、種結晶11の表面11Aまたは種結晶近傍領域13Aの面13A1において複数の測定点を規定し、当該複数の測定点において測定された窒素濃度の最大値を最小値で除することにより算出することができる。
次に、本実施形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法について説明する。図3を参照して、まず、工程(S10)として種結晶および原料準備工程が実施される。この工程(S10)では、図4を参照して、ポリタイプが4H型であるインゴット(図示しない)を所定の厚みに切断することにより、炭化珪素からなる種結晶11が準備される。また、図5を参照して、多結晶炭化珪素や炭化珪素焼結体などの粉末からなる原料12が準備される。そして、図5に示すようにグラファイトからなる坩堝2の内部において種結晶11および原料12がそれぞれ配置される。
種結晶11の表面11Aは、当該種結晶11を構成する炭化珪素の(0001)面に対して10°以下のオフ角を有し、好ましくは4°以下のオフ角を有している。種結晶11の窒素濃度は1×1019cm-3以下であり、好ましくは8×1018cm-3以下である。種結晶11の幅W1は、100mm以上である。種結晶11の厚みは0.4mm以上2.0mm以下である。種結晶11の表面11Aにおいて、窒素濃度の最小値に対する窒素濃度の最大値の比は5以下であり、好ましくは2以下であり、より好ましくは1.5以下である。
原料12の平均粒径は、0.1mm以上2mm以下であることが好ましい。上記平均粒径が0.1mm未満である場合には、後述する結晶成長工程(S20)において成長初期の成長速度が過大になる。一方で、上記平均粒径が2mmを超える場合には、結晶成長速度が著しく低下するため結晶成長の効率が低くなる。そのため、上記平均粒径は0.1mm以上2mm以下であることが好ましい。
次に、工程(S20)として結晶成長工程が実施される。この工程(S20)では、以下のようにして種結晶11の表面11A上に炭化珪素層13を成長させることにより炭化珪素インゴット10(炭化珪素単結晶)が得られる(図6参照)。
以下、工程(S20)の詳細について図6および図7を参照して説明する。ここで、図7は、この工程(S20)における時間と温度および圧力との関係を示す図であり、横軸が時間を示し、縦軸が坩堝の内部における温度および圧力を示している。また、図7中の実線は時間と温度との関係を示し、一点鎖線は時間と圧力との関係を示している。
図6を参照して、まず坩堝2の内部が真空排気され、アルゴン(Ar)またはヘリウム(He)などの雰囲気ガスが所定流量で坩堝2の内部に供給される。次に、上記雰囲気ガスを供給しつつ坩堝2の外部に配置された加熱コイル(図示しない)に電流が供給され、坩堝2が加熱される。これにより、図7に示すように坩堝2の内部の温度が所定の温度TCにまで上昇する。また、坩堝2の内部は一定の圧力P1に維持される。
次に、坩堝2の内部の温度が所定の温度TCにまで到達した後、坩堝2内が圧力P1から圧力P2にまで減圧するとともに、坩堝2内の温度を結晶成長温度に調整する。これにより、原料12が昇華して炭化珪素の原料ガスが発生し、当該原料ガスが種結晶11の表面11A上において析出する。そして、種結晶11の表面11A上に炭化珪素層13が成長する(図7:時間t2〜t3)。また、坩堝2内を減圧するとともに窒素(N2)ガスなどのドーパントガスが所定流量で坩堝2の内部に供給される。これにより、坩堝2の内部において上記窒素(N2)ガスが熱分解され、発生した窒素原子が成長中の炭化珪素層13内にドーパントとして取り込まれる。上記結晶成長が完了した後、まず坩堝2内が圧力P1にまで戻される。そして、坩堝2内が圧力P1に達した後、加熱コイルの電力を徐々に下げ、坩堝2を室温にまで冷却する。そして、坩堝2の冷却が完了した後、炭化珪素インゴット10が坩堝2から取り出される。このようにして上記本実施形態に係る炭化珪素インゴット10が得られる。
またこの工程(S20)では、窒素(N2)ガスの流量および炭化珪素層13の成長速度の少なくともいずれかを制御することにより、炭化珪素層13の窒素濃度が制御される。また炭化珪素層13の成長速度は、炭化珪素層13の成長温度、原料12の平均粒径、炭化珪素層13の成長圧力および雰囲気ガスの種類の少なくともいずれかにより制御することができる。このように結晶成長の条件を制御することにより、上述のように窒素濃度が制御された炭化珪素インゴット10を得ることができる。
炭化珪素層13の成長温度(結晶成長中の坩堝2の内部の温度)は、2100℃以上2300℃以下であることが好ましい。上記成長温度が2100℃未満である場合には炭化珪素層13の成長速度が著しく低下するため、結晶成長の効率が低下する。一方で、上記成長温度が2300℃を超える場合には炭化珪素層13において4H型以外のポリタイプが発生する場合がある。そのため、上記成長温度は上記範囲内の温度であることが好ましい。
炭化珪素層13の成長圧力は、133Pa以上13332Pa以下であることが好ましい。上記成長圧力が133Pa未満である場合には坩堝2の内部から炭化珪素の原料ガスが外部に漏出することにより、結晶成長の条件が不安定化する場合がある。一方で、上記成長圧力が13332Paを超える場合には炭化珪素層13の成長速度が著しく低下するため結晶成長の効率が低下する。そのため、上記成長圧力は上記範囲内の圧力であることが好ましい。
以上のように、本実施形態に係る炭化珪素インゴット10では、種結晶近傍領域13Aの窒素濃度が種結晶11の窒素濃度よりも高くなっている。これにより、種結晶11において圧縮残留歪を生じさせることが可能となる。その結果、炭化珪素インゴット10の外周研削加工の際に結晶の割れを抑制することができる。また種結晶近傍領域13Aの窒素濃度を高くすることにより炭化珪素層13が応力に対して変形し難くなるため、冷却の際に大きな圧縮応力が加わった場合でも炭化珪素層13における結晶の割れを抑制することができる。また種結晶11および炭化珪素層13の窒素濃度を2×1019cm-3未満にすることにより、炭化珪素インゴット10における積層欠陥の発生を抑制することができる。したがって、上記炭化珪素インゴット10によれば、結晶の割れおよび積層欠陥の発生の両方を抑制することができる。また上記炭化珪素単結晶の製造方法によれば、上記炭化珪素インゴット10を作製することができる。
炭化珪素インゴットにおける結晶の割れおよび積層欠陥の発生について、以下の実験を行った。
(炭化珪素インゴットの作製)
上記本実施形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法を用いて炭化珪素インゴットを作製した。まず、窒素濃度が7×1018cm-3であり、幅(口径)が105mmである種結晶を準備した。また、平均粒径が1.0mmであるSiCパウダーを原料として準備した。また、内径D1が120mm、外径D2が160mm、高さHが200mmであるグラファイト製の坩堝を準備した(図3参照)。
上記本実施形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法を用いて炭化珪素インゴットを作製した。まず、窒素濃度が7×1018cm-3であり、幅(口径)が105mmである種結晶を準備した。また、平均粒径が1.0mmであるSiCパウダーを原料として準備した。また、内径D1が120mm、外径D2が160mm、高さHが200mmであるグラファイト製の坩堝を準備した(図3参照)。
次に、坩堝内を真空排気し、坩堝の内部へアルゴン(Ar)ガスを供給した(ガス流量:1.5L/min)。また、上記アルゴン(Ar)ガスを供給しつつ、坩堝内の圧力を79993Pa(図7:圧力P1)に維持しながら坩堝の内部の温度を室温から2200℃(図7の温度TC)にまで昇温させた。
次に、坩堝内の温度が2200℃にまで到達した後、坩堝内を133Pa(図7:圧力P2)にまで減圧しつつ、坩堝内の温度を結晶成長温度(2250℃)に調整して、炭化珪素層の成長を開始させた(図7:t1が0時間、t2が12時間)。炭化珪素層の成長速度は約0.4mm/hであった。また、上記結晶成長の開始とともに窒素(N2)ガスを坩堝内に供給した。上記窒素ガスの流量は、1L/min、0.5L/min、0.075L/min、0.045L/min、0.030L/minまたは0.015L/minとした。
上記結晶成長が完了した後(図7:t3が80時間)、まず坩堝内を79993Pa(圧力P1)にまで戻した。その後、坩堝を室温にまで冷却した(図7:時間t4が90時間)。そして、坩堝の冷却が完了した後に炭化珪素インゴットを坩堝から取り出した。炭化珪素インゴットは直径が105mmであり、高さが30mmであった。
(窒素濃度および積層欠陥の評価)
作製した炭化珪素インゴットについて、上記本実施形態の場合と同様に炭化珪素層の窒素濃度を測定した。また炭化珪素インゴットにおける積層欠陥の発生について評価した。上記実験結果を表1に示す。
作製した炭化珪素インゴットについて、上記本実施形態の場合と同様に炭化珪素層の窒素濃度を測定した。また炭化珪素インゴットにおける積層欠陥の発生について評価した。上記実験結果を表1に示す。
表1に示すように、窒素ガス流量の変化に伴い炭化珪素層の窒素濃度も変化した。種結晶の窒素濃度は、上述の通り7×1018cm-3(2×1019cm-3未満)である。炭化珪素インゴットの長さ方向に垂直にウェーハを切り出し評価したところ、炭化珪素層の窒素濃度が2×1019cm-3を超える場合(サンプル1)には、積層欠陥密度は1×105cm−1以上で、ウェーハの面積の90%以上の領域に発生していたが、炭化珪素層の窒素濃度が2×1019cm-3未満である場合(サンプル2〜6)には、積層欠陥密度は1×102cm-1以下に低下し、ウェーハの面積に占める割合も10%以下であった。この実験結果より、種結晶および炭化珪素層における窒素濃度を2×1019cm-3未満に制御することによって、積層欠陥の発生を大幅に低減できることが分かった。
(外周研削時における割れの評価)
炭化珪素インゴットに対して直径が102mmになるまで外周研削を施した。そして外周研削時の結晶の割れについて、種結晶の窒素濃度に対する種結晶近傍領域の窒素濃度の比が与える影響を調査した。表2は、種結晶の窒素濃度に対する種結晶近傍領域の窒素濃度の比と、外周研削時の割れ発生率との関係を示している。表2から明らかなように、上記窒素濃度比が1.0以下である場合(種結晶近傍領域の窒素濃度が種結晶の窒素濃度と同じまたは低い場合)には割れ発生率が45%以上と高くなったのに対し、上記窒素濃度比が1.1以上である場合には割れ発生率が8%以下と大きく改善された。
炭化珪素インゴットに対して直径が102mmになるまで外周研削を施した。そして外周研削時の結晶の割れについて、種結晶の窒素濃度に対する種結晶近傍領域の窒素濃度の比が与える影響を調査した。表2は、種結晶の窒素濃度に対する種結晶近傍領域の窒素濃度の比と、外周研削時の割れ発生率との関係を示している。表2から明らかなように、上記窒素濃度比が1.0以下である場合(種結晶近傍領域の窒素濃度が種結晶の窒素濃度と同じまたは低い場合)には割れ発生率が45%以上と高くなったのに対し、上記窒素濃度比が1.1以上である場合には割れ発生率が8%以下と大きく改善された。
(結晶成長後の冷却時における割れの評価)
また結晶成長完了後の冷却時における結晶の割れについて、種結晶の窒素濃度に対する種結晶近傍領域の窒素濃度の比が与える影響を調査した。表3は、種結晶の窒素濃度に対する種結晶近傍領域の窒素濃度の比と、冷却時の割れ発生率との関係を示している。表3から明らかなように、上記窒素濃度比が6である場合には、結晶の割れの発生率が60%であった(厚み10mm以上)。また上記窒素濃度比が5である場合には、結晶の割れの発生率が10%であった。また上記窒素濃度比が2である場合には、結晶の割れの発生率が2%であった。また上記窒素濃度比が1.5である場合には、結晶の割れの発生率が1%未満であった。この実験結果より、種結晶の窒素濃度に対する種結晶近傍領域の窒素濃度の比を5以下に制御することにより、炭化珪素インゴットの冷却時に発生する結晶の割れを抑制可能であることが分かった。
また結晶成長完了後の冷却時における結晶の割れについて、種結晶の窒素濃度に対する種結晶近傍領域の窒素濃度の比が与える影響を調査した。表3は、種結晶の窒素濃度に対する種結晶近傍領域の窒素濃度の比と、冷却時の割れ発生率との関係を示している。表3から明らかなように、上記窒素濃度比が6である場合には、結晶の割れの発生率が60%であった(厚み10mm以上)。また上記窒素濃度比が5である場合には、結晶の割れの発生率が10%であった。また上記窒素濃度比が2である場合には、結晶の割れの発生率が2%であった。また上記窒素濃度比が1.5である場合には、結晶の割れの発生率が1%未満であった。この実験結果より、種結晶の窒素濃度に対する種結晶近傍領域の窒素濃度の比を5以下に制御することにより、炭化珪素インゴットの冷却時に発生する結晶の割れを抑制可能であることが分かった。
(種結晶の割れの評価)
坩堝の内部の温度を室温から2250℃まで昇温させる際の種結晶の割れについて、種結晶の窒素濃度が与える影響を調査した。表4は、種結晶の窒素濃度と昇温時の種結晶の割れ発生率との関係を示している。表4から明らかなように、種結晶の窒素濃度が1×1019cm-3を超える場合に比べて1×1019cm-3以下である場合には、種結晶の割れ発生率が大きく低減されることが分かった。
坩堝の内部の温度を室温から2250℃まで昇温させる際の種結晶の割れについて、種結晶の窒素濃度が与える影響を調査した。表4は、種結晶の窒素濃度と昇温時の種結晶の割れ発生率との関係を示している。表4から明らかなように、種結晶の窒素濃度が1×1019cm-3を超える場合に比べて1×1019cm-3以下である場合には、種結晶の割れ発生率が大きく低減されることが分かった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の一態様に係る炭化珪素単結晶および炭化珪素単結晶の製造方法は、結晶の割れおよび積層欠陥の発生を抑制することが要求される炭化珪素単結晶および炭化珪素単結晶の製造方法において、特に有利に適用され得る。
2 坩堝
10 炭化珪素インゴット
10A 断面
11 種結晶
11A 表面
12 原料
13 炭化珪素層
13A 種結晶近傍領域
13A1 面
14 境界部
D1 内径
D2 外径
H 高さ
S1,S2 測定点
W1 幅
10 炭化珪素インゴット
10A 断面
11 種結晶
11A 表面
12 原料
13 炭化珪素層
13A 種結晶近傍領域
13A1 面
14 境界部
D1 内径
D2 外径
H 高さ
S1,S2 測定点
W1 幅
Claims (24)
- 炭化珪素からなる種結晶と、
前記種結晶の表面上に成長させた炭化珪素層とを備え、
前記種結晶および前記炭化珪素層の窒素濃度は、2×1019cm-3未満であり、
前記炭化珪素層における前記種結晶との境界部を含む領域である種結晶近傍領域の窒素濃度が前記種結晶の窒素濃度よりも高い、炭化珪素単結晶。 - 前記種結晶の窒素濃度は、1×1019cm-3以下である、請求項1に記載の炭化珪素単結晶。
- 前記種結晶の窒素濃度に対する前記種結晶近傍領域の窒素濃度の比は、5以下である、請求項1または請求項2に記載の炭化珪素単結晶。
- 前記種結晶の窒素濃度に対する前記種結晶近傍領域の窒素濃度の比は、1.1以上である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶。
- 前記種結晶近傍領域は、前記境界部から前記炭化珪素層側に向かって0.8mm以下の厚みを有する領域である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶。
- 前記種結晶の前記表面において、窒素濃度の最小値に対する窒素濃度の最大値の比は5以下である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶。
- 前記種結晶近傍領域の前記種結晶の前記表面に平行な面(13A1)において、窒素濃度の最小値に対する窒素濃度の最大値の比は5以下である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶。
- 前記炭化珪素層の成長方向から見た幅の最大値は100mm以上である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶。
- 前記種結晶および前記炭化珪素層のポリタイプは、4H型である、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶。
- 前記種結晶の厚みは、0.4mm以上2.0mm以下である、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶。
- 前記炭化珪素層の成長方向における厚みは、5mm以上である、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶。
- 前記炭化珪素層の窒素濃度は、5×1017cm-3以上である、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶。
- 炭化珪素からなる種結晶を準備する工程と、
前記種結晶の表面上に炭化珪素層を成長させて炭化珪素単結晶を得る工程とを備え、
前記種結晶および前記炭化珪素層の窒素濃度は、2×1019cm-3未満であり、
前記炭化珪素層における前記種結晶との境界部を含む領域である種結晶近傍領域の窒素濃度が前記種結晶の窒素濃度よりも高い、炭化珪素単結晶の製造方法。 - 前記種結晶の窒素濃度は、1×1019cm-3以下である、請求項13に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
- 前記種結晶の窒素濃度に対する前記種結晶近傍領域の窒素濃度の比は、5以下である、請求項13または請求項14に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
- 前記種結晶の窒素濃度に対する前記種結晶近傍領域の窒素濃度の比は、1.1以上である、請求項13〜請求項15のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
- 前記種結晶近傍領域は、前記境界部から前記炭化珪素層側に向かって0.8mm以下の厚みを有する領域である、請求項13〜請求項16のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
- 前記種結晶の前記表面において、窒素濃度の最小値に対する窒素濃度の最大値の比は5以下である、請求項13〜請求項17のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
- 前記種結晶近傍領域の前記種結晶の前記表面に平行な面において、窒素濃度の最小値に対する窒素濃度の最大値の比は5以下である、請求項13〜請求項18のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
- 前記炭化珪素層の成長方向から見た前記炭化珪素単結晶の幅の最大値は100mm以上である、請求項13〜請求項19のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
- 前記種結晶および前記炭化珪素層のポリタイプは、4H型である、請求項13〜請求項20のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
- 前記種結晶の厚みは、0.4mm以上2.0mm以下である、請求項13〜請求項21のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
- 前記炭化珪素層の成長方向における厚みは、5mm以上である、請求項13〜請求項22のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
- 前記炭化珪素層の窒素濃度は、5×1017cm-3以上である、請求項13〜請求項23のいずれか1項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
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