JPWO2015182546A1 - ポリエステル樹脂組成物、マスターペレット、ポリエステルフィルム、太陽電池モジュール用バックシート及び太陽電池モジュール - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物、マスターペレット、ポリエステルフィルム、太陽電池モジュール用バックシート及び太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

本発明は、耐加水分解性と可視光隠蔽性の両方を兼ね備え、面状が良好なポリエステルフィルムを提供すること、製造工程において刺激性ガスの発生を抑制することを課題とする。本発明は、下記一般式(1)で表される化合物と、顔料と、ポリエステルとを含むポリエステル樹脂組成物に関する。さらに、本発明は、マスターペレット、ポリエステルフィルム、太陽電池モジュール用バックシート及び太陽電池モジュールに関する。一般式(1)中、R2は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアルコキシ基を表し、R3は特定のアルキル基、又は特定のアリール基を表し、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表す。

Description

本発明は、イミノエーテル化合物を含有したポリエステル樹脂組成物、ポリエステル樹脂組成物を用いて形成されるマスターペレット、及びポリエステルフィルムに関する。さらに、本発明は、ポリエステルフィルムを有する太陽電池モジュール用バックシート、太陽電池モジュール用バックシートを備える太陽電池モジュールに関する。
太陽電池モジュールは、一般に、太陽光が入射する受光面側からガラス又はフロントシート/透明な充填材料(封止材)/太陽電池素子/封止材/バックシートがこの順に積層された構造を有している。具体的には、太陽電池素子は一般にEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)等の樹脂(封止材)で包埋し、さらにこの上に太陽電池用保護シートを貼り付けた構造に構成される。太陽電池用保護シート、その中でも特に最外層となる太陽電池モジュール用のバックシートは、屋外の風雨や直射日光などに曝されるような環境下に長期間置かれる状況が想定されるものであるため、優れた耐候性(耐湿熱性、耐熱性)が求められる。
太陽電池モジュール用バックシートには、従来、ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレート(以下、PET)フィルムが使用されている。ポリエステルフィルムは、優れた耐熱性、機械特性及び耐薬品性などを有しているため、工業的に多く用いられている。また、太陽電池モジュール用バックシートには、隠蔽性や太陽光の反射率を高める目的で白色顔料が添加された白色ポリエステルフィルムが用いられる場合がある(特許文献1及び2)。
しかし、ポリエステルフィルムは、耐加水分解性に乏しいため、加水分解により分子量が低下し、脆化が進行して機械物性などが低下する。このため、太陽電池用のバックシートとして長期間に亘り実用的な強度を保持することができなかった。
ポリエステルフィルムの加水分解を抑制する方法としては、ポリエステルの末端に残存するカルボン酸を封止する方法が知られている。ポリエステルの末端に残存するカルボン酸を封止する末端封止剤としては、例えば、カルボジイミド化合物又は環状イミノエーテル化合物などが挙げられる。例えば、特許文献3には、カルボジイミド化合物又は環状イミノエーテル化合物を含有するポリエステルフィルムが開示されている。この文献では、カルボジイミド化合物、環状イミノエーテル化合物をポリエステルの末端のカルボン酸と反応させることにより、ポリエステルの寸法安定性や耐加水分解性を向上させることが提案されている。なお、特許文献3では、環状イミノエーテル化合物として、オキサゾリン化合物やオキサジン化合物を用いている。
国際公報WO2010/113920号公報 特許第5288068号公報 特開2010−31174号公報
特許文献1及び2では、白色顔料をポリエステルフィルムに混合することによって可視光の隠蔽性や反射率を高めることができる。また、特許文献1及び2では、層構成や白色顔料の添加量等の調整を行うことで白色ポリエステルフィルムの耐加水分解性を高めることも検討されている。しかし、特許文献1及び2に開示されたポリエステルフィルムにおいては、耐加水分解性が十分ではないということが本発明者らの検討により明らかとなった。さらに、白色顔料を添加したポリエステルフィルムにおいては、白色顔料を添加していないポリエステルフィルムに比べて加水分解が進行しやすい傾向となり、従来の方法では加水分解を十分に抑制できないことが本発明者らの検討により明らかとなった。
ポリエステルフィルムの加水分解を抑制するためには、特許文献3に記載されたように、末端封止剤を添加することが検討されている。しかしながら、特許文献3に記載されたカルボジイミド化合物を用いた場合、遊離のイソシアネートが揮散するという問題がある。このような揮散ガスは刺激性のガスであるため、揮散が抑制されることが望まれていた。
揮散ガスの発生が少ないと考えられる末端封止剤として、環状イミノエーテル化合物を用いることが考えられる。しかし、環状イミノエーテル化合物は自己重合することが知られており、自己重合した環状イミノエーテル化合物は、ポリエステル樹脂中のゲル成分として存在することが本発明者らの検討により明らかとなった。このようなゲル成分は、ポリエステル樹脂の粘度を上昇させることとなり、ポリエステルフィルムの面状を悪化させる原因となるため問題となる。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、耐加水分解性と可視光隠蔽性の両方を兼ね備えたポリエステルフィルムを提供することを目的として検討を進めた。また、本発明者らは、耐加水分解性と可視光隠蔽性の両方を兼ね備えたポリエステルフィルムの製造工程において、刺激性ガスの発生を抑制することを目的として検討を進めた。さらに、本発明者らは、ポリエステルフィルムの製造工程において、ポリエステル樹脂組成物の粘度上昇を抑制し、面状が良好なポリエステルフィルムを提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、特定構造を有するイミノエーテル化合物を末端封止剤として用い、顔料を添加することで、ポリエステルフィルムの耐加水分解性と可視光隠蔽性の両方を高められることを見出した。さらに、特定構造を有するイミノエーテル化合物を末端封止剤として用いることにより、ポリエステルフィルムの製造工程における刺激性ガスの発生を抑制でき、かつフィルム面状が良好なポリエステルフィルムを得ることができることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1]下記一般式(1)で表される化合物と、顔料と、ポリエステルとを含むポリエステル樹脂組成物;
Figure 2015182546
一般式(1)中、Rは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアルコキシ基を表し、Rは下記一般式(2)で表されるアルキル基、又は下記一般式(3)で表されるアリール基を表し、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表す。また、R、R、R11、R12及びR13は互いに結合して環を形成してもよい。但し、Rが下記一般式(2)で表される場合、R11〜R13の少なくとも1つとR31〜R33の少なくとも1つが形成する結合は連結原子数が2以上の結合である。
Figure 2015182546
一般式(2)中、R31、R32及びR33はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R31、R32及びR33は互いに連結して環を形成してもよい。一般式(3)中、R41は置換基を表し、R41が複数存在する場合は同じであっても、異なっていてもよい。また、nは0〜5の整数を表す。なお、一般式(2)及び(3)において*は、窒素原子と結合する位置を表す。
[2]ポリエステル樹脂組成物の全質量に対し、一般式(1)で表される化合物を0.05〜35質量%含む[1]に記載のポリエステル樹脂組成物。
[3]ポリエステル樹脂組成物の全質量に対し、顔料を0.2〜50質量%含む[1]又は[2]に記載のポリエステル樹脂組成物。
[4]化合物が下記一般式(4)で表される[1]〜[3]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物;
Figure 2015182546
一般式(4)中、Rは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアルコキシ基を表し、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表す。R41は置換基を表し、R41が複数存在する場合は同じであっても、異なっていてもよい。nは0〜5の整数を表す。
[5]化合物が下記一般式(5)で表される[1]〜[4]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物;
Figure 2015182546
一般式(5)中、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表す。R21及びR41はそれぞれ独立に置換基を表す。R21及びR41がそれぞれ複数存在する場合は同じであっても、異なっていてもよい。nは0〜5の整数を表し、mは0〜5の整数を表す。
[6]化合物が下記一般式(6)で表される[1]〜[5]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物;
Figure 2015182546
一般式(6)中、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表す。R41は置換基を表し、R41が複数存在する場合は同じであっても、異なっていてもよい。nは0〜5の整数を表す。また、pは2〜4の整数を表し、Lは、炭素原子との結合末端が、置換基を有してもよいアルキレン部、置換基を有してもよいシクロアルキレン部、置換基を有してもよいアリーレン部、又は、置換基を有してもよいアルコキシレン部である、p価の基を表す。
[7]化合物が下記一般式(7)で表される[1]〜[6]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物;
Figure 2015182546
一般式(7)中、Rは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアルコキシ基を表し、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表す。また、pは2〜4の整数を表し、Lは、窒素原子との結合末端が、置換基を有してもよいアリーレン部、又は、置換基を有してもよいシクロアルキレン部であるp価の基を表す。
[8]化合物が下記一般式(8)で表される[1]〜[7]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物;
Figure 2015182546
一般式(8)中、Rは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアルコキシ基を表し、R41は置換基を表し、R41が複数存在する場合は同じであっても、異なっていてもよい。nは0〜5の整数を表す。また、pは2〜4の整数を表し、Lは、酸素原子との結合末端が、アルキレン部であるp価の基を表す。但し、Lのアルキレン部は、水素原子の一部または全部が、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基で置換されていてもよい。
[9]顔料が白色顔料である[1]〜[8]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
[10]顔料が酸化チタンである[1]〜[9]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
[11][1]〜[10]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物を用いて形成されるマスターペレット。
[12][1]〜[10]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物を用いて形成されるポリエステルフィルム。
[13]ポリエステルフィルムの全質量に対し、一般式(1)で表される化合物を0.1〜2質量%含む[12]に記載のポリエステルフィルム。
[14]ポリエステルフィルムの全質量に対し、顔料を0.5〜10質量%含む[12]又は[13]に記載のポリエステルフィルム。
[15]2軸配向フィルムである[12]〜[14]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[16][12]〜[15]のいずれかに記載のポリエステルフィルムを用いた太陽電池モジュール用バックシート。
[17][16]に記載の太陽電池モジュール用バックシートを備える太陽電池モジュール。
本発明によれば、耐加水分解性と可視光隠蔽性の両方を兼ね備えたポリエステルフィルムを提供することができる。また、本発明によれば、耐加水分解性と可視光隠蔽性の両方を兼ね備えたポリエステルフィルムの製造工程において、刺激性ガスの発生を抑制することができる。さらに、本発明によれば、末端封止剤を含有した場合であってもポリエステル樹脂の粘度を上昇させることがなく、フィルム面状が良好なポリエステルフィルムを得ることができる。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
(イミノエーテル化合物)
本発明に用いるイミノエーテル化合物は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2015182546
一般式(1)中、Rは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアルコキシ基を表し、Rは下記一般式(2)で表されるアルキル基、又は下記一般式(3)で表されるアリール基を表し、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表す。また、R、R、R11、R12及びR13は互いに結合して環を形成してもよい。但し、Rが下記一般式(2)で表される場合、R11〜R13の少なくとも1つとR31〜R33の少なくとも1つが形成する結合は連結原子数が2以上の結合である。
Figure 2015182546
一般式(2)中、R31、R32及びR33はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R31、R32及びR33は互いに連結して環を形成してもよい。一般式(3)中、R41は置換基を表し、R41が複数存在する場合は同じであっても、異なっていてもよい。また、nは0〜5の整数を表す。なお、一般式(2)及び(3)において*は、窒素原子と結合する位置を表す。
一般式(1)において、Rで表されるアルキル基は、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基であることがより好ましい。Rが表すアルキル基は直鎖であっても分枝鎖であってもよい。また、Rで表されるアルキル基は、シクロアルキル基であってもよい。Rが表すアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、iso−ペンチル基、n−ヘキシル基、sec−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、シクロヘキシル基、などを挙げることができる。中でもメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、シクロヘキシル基とすることがより好ましい。
が表すアルキル基はさらに置換基を有していてもよい。置換基としては、上記のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。なお、Rが表すアルキル基の炭素数は、置換基を含まない炭素数を示す。
で表されるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜12のアリール基であることがより好ましい。Rが表すアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などを挙げることができ、その中でもフェニル基が特に好ましい。Rが表すアリール基はさらに置換基を有していてもよい。なお、置換基としては、上記の置換基を同様に例示することができるが、イミノエーテル基とカルボキシル基との反応を進行させ得る限り、置換基は特に制限されない。また、Rが表すアリール基の炭素数は、置換基を含まない炭素数を示す。
で表されるアルコキシ基は、炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数2〜6のアルコキシ基であることが特に好ましい。Rが表すアルコキシ基は直鎖であっても分枝であっても環状であってもよい。Rが表すアルコキシ基の好ましい例としては、Rが表すアルキル基の末端に−O−が連結した基を挙げることができる。Rが表すアルコキシ基はさらに置換基を有していてもよい。なお、置換基としては、上記の置換基を同様に例示することができるが、イミノエーテル基とカルボキシル基との反応を進行させ得る限り、置換基は特に制限されない。また、Rが表すアルコキシ基の炭素数は、置換基を含まない炭素数を示す。
は上記一般式(2)で表されるアルキル基、又は上記一般式(3)で表されるアリール基を表す。一般式(2)中、R31、R32及びR33はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R31、R32及びR33が置換基である場合、互いに連結して環を形成してもよい。置換基としては、上記のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。R31、R32及びR33は全てが水素原子であるか又は同一の置換基であってもよく、異なる置換基であってもよい。また、一般式(2)で表されるアルキル基は、直鎖であっても分枝であってもよい。また、一般式(2)で表されるアルキル基は、シクロアルキル基であってもよい。
一般式(3)中、R41は置換基を表し、nは0〜5の整数を表す。nが2以上の場合、R41は同じであっても、異なっていてもよい。なお、置換基としては、上記の置換基を同様に例示することができる。なお、nは0〜3であることがより好ましく、0〜2であることがさらに好ましい。
11、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表す。アルキル基及びアリール基としては、Rが取り得るアルキル基及びアリール基を同様に例示することができる。
、R、R11、R12及びR13は互いに結合して環を形成しないことが好ましいが、R、R、R11、R12及びR13は互いに結合して環を形成してもよい。例えば、Rが上記一般式(3)で表される場合、R41とR11〜R13の少なくとも一つとが結合して環を形成してもよく、ベンゼン環と、R11〜R13のいずれかを含む環が縮合環を形成してもよい。Rが上記一般式(3)で表される場合、R41とR11〜R13の少なくとも一つとが結合して環を形成しないことが好ましい。
但し、Rが上記一般式(2)で表される場合、R11〜R13の少なくとも1つとR31〜R33の少なくとも1つが形成する結合は連結原子数が2以上の結合である。Rが上記一般式(2)で表される場合、R11〜R13の1つとR31〜R33の1つが形成する結合は連結原子数が2以上の結合であり、かつ、二重結合であることが好ましい。Rが上記一般式(2)で表される場合、R11〜R13の少なくとも1つとR31〜R33の少なくとも1つが結合して環を形成しないことが好ましい。
一般式(1)は、繰り返し単位を含んでいてもよい。この場合、R、R又はR11〜R13の少なくとも1つが繰り返し単位であり、この繰り返し単位には、イミノエーテル部が含まれることが好ましい。
また、本発明に用いるイミノエーテル化合物は、下記一般式(4)で表されることが好ましい。
Figure 2015182546
一般式(4)中、Rは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアルコキシ基を表し、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表す。R41は置換基を表し、R41が複数存在する場合は同じであっても、異なっていてもよい。nは0〜5の整数を表す。
一般式(4)中、R、R11、R12及びR13は、一般式(1)における各々と同意であり、好ましい範囲も同様である。また、一般式(4)中、R41は、一般式(3)におけるそれと同意であり、好ましい範囲も同様である。また、nは0〜3であることが好ましく、0〜2であることがより好ましい。
本発明に用いるイミノエーテル化合物は、下記一般式(5)で表されることが好ましい。
Figure 2015182546
一般式(5)中、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表す。R21及びR41はそれぞれ独立に置換基を表す。R21及びR41がそれぞれ複数存在する場合は同じであっても、異なっていてもよい。nは0〜5の整数を表し、mは0〜5の整数を表す。
一般式(5)中、R11、R12及びR13は、一般式(1)における各々と同意であり、好ましい範囲も同様である。一般式(5)中、R41は一般式(3)におけるそれと同意であり、好ましい範囲も同様である。なお、R21についても、一般式(3)におけるR41と同様の置換基を例示することができる。
また、一般式(5)中、nは0〜3であることが好ましく、0〜2であることがより好ましい。また、mは0〜3であることが好ましく、0〜2であることがより好ましい。
本発明に用いるイミノエーテル化合物は、下記一般式(6)で表されることが好ましい。
Figure 2015182546
一般式(6)中、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表す。R41は置換基を表し、R41が複数存在する場合は同じであっても、異なっていてもよい。nは0〜5の整数を表す。また、pは2〜4の整数を表し、Lは、炭素原子との結合末端が、置換基を有してもよいアルキレン部、置換基を有してもよいシクロアルキレン部、置換基を有してもよいアリーレン部、又は、置換基を有してもよいアルコキシレン部である、p価の基を表す。
一般式(6)中、R11、R12及びR13は、一般式(1)における各々と同意であり、好ましい範囲も同様である。また、一般式(6)中、R41は、一般式(3)におけるそれと同意であり、好ましい範囲も同様である。また、nは0〜3であることが好ましく、0〜2であることがより好ましい。
一般式(6)中、Lは、炭素原子との結合末端が、置換基を有してもよいアルキレン部、置換基を有してもよいシクロアルキレン部、置換基を有してもよいアリーレン部、又は、置換基を有してもよいアルコキシレン部である、p価の基を表す。pは2〜4の整数を表し、pは2又は3であることが好ましい。
二価の基の具体例としては、例えば、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいシクロアルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基、置換基を有してもよいアルコキシレン基が挙げられる。また、炭素原子との結合末端が、置換基を有してもよいアルキレン部、置換基を有してもよいシクロアルキレン部、置換基を有してもよいアリーレン部、又は、置換基を有してもよいアルコキシレン部であり、部分構造として、−SO−、−CO−、置換もしくは無置換のアルキレン部、置換もしくは無置換のアルケニレン部、アルキニレン部、置換もしくは無置換のフェニレン部、置換もしくは無置換のビフェニレン部、置換もしくは無置換のナフチレン部、−O−、−S−および−SO−から選ばれる少なくとも一つを含む基が挙げられる。
三価の基の具体例としては、例えば、二価の基の例として挙げた基のうち置換基を有するものから1つの水素原子を取り除いた基が挙げられる。
四価の基の具体例としては、例えば、二価の基の例として挙げた基のうち置換基を有するものから2つの水素原子を取り除いた基が挙げられる。
本発明では、pを2〜4とすることにより、イミノエーテル部を一分子中に2以上有する化合物とすることができ、より優れた末端封止効果を発揮することができる。さらに、イミノエーテル部を一分子中に2以上有する化合物とすることにより、イミノエーテル価(全分子量/イミノエーテルの官能基数)を低くすることができ、効率良くイミノエーテル化合物とポリエステルの末端カルボキシル基を反応させることができる。
本発明に用いるイミノエーテル化合物は、下記一般式(7)で表されることが好ましい。
Figure 2015182546
一般式(7)中、Rは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアルコキシ基を表し、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表す。また、pは2〜4の整数を表し、Lは、窒素原子との結合末端が、置換基を有してもよいアリーレン部、又は、置換基を有してもよいシクロアルキレン部であるp価の基を表す。
一般式(7)中、R、R11、R12及びR13は、一般式(1)における各々と同意であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(7)中、Lは、窒素原子との結合末端が、置換基を有してもよいアリーレン部、又は、置換基を有してもよいシクロアルキレン部であるp価の基を表す。Lは、窒素原子との結合末端が、置換基を有してもよいアリーレン部であるp価の基が好ましい。pは2〜4の整数を表し、pは2又は3であることが好ましい。
の具体例としては、置換基を有してもよいアリーレン基、置換基を有してもよいシクロアルキレン基が挙げられる。また、窒素原子との結合末端が、置換基を有してもよいアリーレン部、又は、置換基を有してもよいシクロアルキレン部であり、部分構造として、−SO−、−CO−、置換もしくは無置換のアルキレン部、置換もしくは無置換のアルケニレン部、アルキニレン部、置換もしくは無置換のフェニレン部、置換もしくは無置換のビフェニレン部、置換もしくは無置換のナフチレン部、−O−、−S−および−SO−から選ばれる少なくとも一つを含む基が挙げられる。
本発明に用いるイミノエーテル化合物は、下記一般式(8)で表されることが好ましい。
Figure 2015182546
一般式(8)中、Rは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアルコキシ基を表し、R41は置換基を表し、R41が複数存在する場合は同じであっても、異なっていてもよい。nは0〜5の整数を表す。また、pは2〜4の整数を表し、Lは、酸素原子との結合末端が、アルキレン部であるp価の基を表す。但し、Lのアルキレン部は、水素原子の一部または全部が、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基で置換されていてもよい。
一般式(8)中、Rは、一般式(1)における各々と同意であり、好ましい範囲も同様である。また、一般式(8)中、R41は、一般式(3)におけるそれと同意であり、好ましい範囲も同様である。また、nは0〜3であることが好ましく、0〜2であることがより好ましい。
一般式(8)中、Lは、酸素原子との結合末端が、アルキレン部であるp価の基を表す。Lのアルキレン部は、水素原子の一部または全部が、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基で置換されていてもよい。pは2〜4の整数を表し、pは2又は3であることが好ましい。
の具体例としては、アルキレン基が挙げられる。また、酸素原子との結合末端が、アルキレン部であり、部分構造として、−SO−、−CO−、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルケニレン基、アルキニレン基、置換もしくは無置換のフェニレン基、置換もしくは無置換のビフェニレン基、置換もしくは無置換のナフチレン基、−O−、−S−および−SO−から選ばれる少なくとも一つを含む基が挙げられる。
イミノエーテル化合物のイミノエーテル部あたりの分子量は1000以下であることが好ましく、750以下であることがより好ましく、500以下であることがさらに好ましい。イミノエーテル部あたりの分子量をこの範囲とすることで、低添加量にてポリエステルの末端カルボン酸基を封止することが可能となる。
イミノエーテル化合物全体の分子量は、300以上であることが好ましく、400以上であることがより好ましい。イミノエーテルの分子量をこの範囲とすることで、揮散をより効果的に抑制することができる。
イミノエーテル化合物は、2官能以上の化合物であることが好ましく、合成し易さの観点から2官能、3官能又は4官能の化合物であることがより好ましい。ここで、官能数は、化合物に含まれているイミノエーテル部の数を表し、2官能のイミノエーテル化合物は、イミノエーテル部を2つ含む化合物を意味する。イミノエーテル化合物を2官能以上の化合物とすることにより、末端封止効果をより高めることができる。
下記に一般式(1)の好ましい具体例を示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 2015182546
Figure 2015182546
Figure 2015182546
Figure 2015182546
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Figure 2015182546
(ポリエステル末端カルボキシル基の化学修飾方法)
ポリエステル末端カルボキシル基の化学修飾は、一般式(1)で表されるイミノエーテル化合物とポリエステルを溶融状態で混合することで行うことができる。イミノエーテル化合物とポリエステルを100〜350℃で反応させた場合、下記反応スキームのようにイミノエーテル基とポリエステル末端カルボキシル基が反応し、カルボン酸エステルを生成する。また、一般式(1)で表されるイミノエーテル化合物は、ポリエステル末端カルボキシル基と反応することでアミド化合物となるため、ポリエステル樹脂組成物中にはアミド化合物も含まれることとなる。
Figure 2015182546
一般式(1)で表されるイミノエーテル化合物とポリエステル末端カルボキシル基との反応率は、0.1〜99%であることが好ましく、1〜90%であることがより好ましく、2〜80%であることがさらに好ましい。反応率を上記範囲内とすることにより、耐加水分解性を十分に向上させることができる。さらに、反応率を上記範囲内とすることにより、生成したアミド化合物がポリエステルフィルムから泣き出すことを抑制することができ、ポリエステルフィルムの面状をより良好なものにすることができる。
従来は、オキサゾリンやオキサジンとカルボン酸を反応させることによりカルボン酸をエステル化することが行われていた。オキサゾリンやオキサジンを末端封止剤として用いた場合、開環反応が起こることが知られている。また、開環反応と同時に自己縮合が副反応として進行することも知られている。
Figure 2015182546
上記のような開環反応を伴う自己縮合は、開環反応により生じるアルキルアミドのアミド基の求核性が高いため生じるものであると考えられる。一方、本発明のイミノエーテルで鎖状化合物のものは自己縮合することはなく、また環状化合物のものはエステル化反応で得られる芳香族アミドはその求核性が高くないため、自己縮合が生じないものと考えられる。これにより、イミノエーテル化合物がポリエステル樹脂中でゲル化することを抑制することができる。
(顔料)
本発明のポリエステル樹脂組成物は、顔料を含有する。顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、群青、紺青、カーボンブラック等の無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の有機顔料が挙げられる。中でも、白色顔料を用いることが好ましく、酸化チタン、硫酸バリウム又は炭酸カルシウムを用いることがより好ましく、酸化チタンを用いることが特に好ましい。
顔料の平均粒径は、体積平均粒径で0.03〜0.8μmであることが好ましく、0.15〜0.5μmであることがより好ましい。平均粒径を上記範囲内とすることにより、光の反射効率を高めることができる。なお、平均粒径は、レーザー解析/散乱式粒子径分布測定装置LA950〔(株)堀場製作所製〕により測定される値である。
ポリエステル樹脂組成物への顔料の添加方法としては、従来から公知の各種の方法を用いることができる。その代表的な方法として、下記の方法を挙げることができる。
(A)ポリエステル合成時のエステル交換反応もしくはエステル化反応終了前に顔料を添加、または重縮合反応開始前に顔料を添加する方法。
(B)ポリエステルに顔料を添加し、溶融混練する方法。
(C)上記(A)、(B)の方法において顔料を多量に添加したマスターペレット(またはマスターバッチとも云う)を製造し、これらと顔料を含有しないポリエステルとを混練して、所定量の顔料を含有させる方法。
(D)上記(C)のマスターペレットをそのまま使用する方法。
中でも、ポリエステル樹脂組成物への顔料の添加方法としては、上記(C)の方法を採用することが好ましい。上記(C)の方法では、事前に乾燥させていないポリエステル樹脂と顔料を押出機に投入し、水分や空気などを脱気しながらマスターペレットを作製する方法を採用することもできる。なお、事前に少しでも乾燥したポリエステル樹脂を用いてマスターペレットを作製する方が、ポリエステルの酸価上昇を抑えられるため好ましい。
マスターペレットを作製する場合は投入するポリエステルはあらかじめ乾燥により水分率を低減させることが好ましい。乾燥条件としては、好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜180℃において、1時間以上、より好ましくは3時間以上、さらに好ましくは6時間以上乾燥する。これにより、ポリエステル樹脂の水分量を好ましくは50ppm以下、より好ましくは30ppm以下になるように十分乾燥する。混合は、バッチによる方法でもよいし、単軸もしくは二軸以上の混練押出機によって行ってもよい。脱気しながらマスターペレットを作製する場合は、250〜300℃、好ましくは270〜280℃の温度でポリエステル樹脂を融解し、混練機に一つ、好ましくは2以上の脱気口を設け、0.05MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上の連続吸引脱気を行い、混合機内の減圧を維持すること等の方法を採用することが好ましい。
(ポリエステル)
本発明のポリエステル樹脂組成物は、ポリエステルを含有する。本発明で用いることができるポリエステルは特に限定されるものではないが、飽和ポリエステルであることが好ましい。飽和ポリエステルを用いることで、不飽和のポリエステルを用いたフィルムと比べて力学強度の観点で優れるポリエステルフィルムを得ることができる。
ポリエステルは、高分子の一分子鎖中に、−COO−結合、又は、−OCO−結合を有する。また、ポリエステルの末端基は、OH基、COOH基又はこれらが保護された基OR基、COOR基(Rは、アルキル基等任意の置換基)であって、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体と、ジオール又はそのエステル形成性誘導体から合成される線状飽和ポリエステルであることが好ましい。線状飽和ポリエステルとしては、例えば、特開2009−155479号公報や特開2010−235824号公報に記載のものを適宜用いることができる。
線状飽和ポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、このうち、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレン−2,6−ナフタレートが、力学的物性及びコストのバランスの点で特に好ましく、ポリエチレンテレフタレートがより特に好ましい。
ポリエステルは、単独重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。さらに、ポリエステルに他の種類の樹脂、例えばポリイミド等を少量ブレンドしたものであってもよい。また、ポリエステルとして、溶融製膜時に異方性を形成することができる結晶性のポリエステルを用いてもよい。
ポリエステルの分子量は、耐熱性や粘度の観点から、重量平均分子量(Mw)が5000〜100000であることが好ましく、8000〜80000であることがさらに好ましく、12000〜60000であることが特に好ましい。ポリエステルの重量平均分子量は、ヘキサフルオロイソプロパノールを溶媒として用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定したポリメチルメタクリレート(PMMA)換算の値を用いることができる。
ポリエステルは公知の方法によって合成することができる。例えば、公知の重縮合法や開環重合法などによってポリエステルを合成することができ、エステル交換反応及び直接重合による反応のいずれでも適用することができる。
ポリエステルのカルボン酸由来の成分は、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体由来の成分であることが好ましい。本発明で用いるポリエステルが、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体と、ジオール又はそのエステル形成性誘導体とを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体である場合には、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とを、エステル化反応又はエステル交換反応させ、次いで重縮合反応させることによって製造することができる。また、原料物質や反応条件を選択することにより、ポリエステルのカルボン酸価や固有粘度を制御することができる。なお、エステル化反応又はエステル交換反応及び重縮合反応を効果的に進めるために、これらの反応時に重合触媒を添加することが好ましい。
ポリエステルを重合する際の重合触媒としては、カルボキシル基含量を所定の範囲以下に抑える観点から、Al系、Sb系、Ge系、及びTi系の化合物を用いることが好ましいが、特にTi系化合物を用いることが好ましい。Ti系化合物を用いる場合、Ti系化合物を1〜30ppm、より好ましくは3〜15ppmの範囲で触媒として用いることにより重合する態様が好ましい。Ti系化合物の割合が上記範囲内であると、末端カルボキシル基を所定の範囲内に調整することが可能であり、ポリマー基材の耐加水分解性を低く保つことができる。
Ti系化合物を用いたポリエステルの合成には、例えば、特公平8−301198号公報、特許第2543624、特許第3335683、特許第3717380、特許第3897756、特許第3962226、特許第3979866、特許第3996871、特許第4000867、特許第4053837、特許第4127119、特許第4134710、特許第4159154、特許第4269704、特許第4313538等に記載の方法を適用でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
ポリエステルは、重合後に固相重合されたものであることが好ましい。固相重合の方法は、連続法(タワーの中に樹脂を充満させ、これを加熱しながらゆっくり所定の時間滞流させた後、送り出す方法)でもよいし、バッチ法(容器の中に樹脂を投入し、所定の時間加熱する方法)でもよい。具体的には、固相重合には、特許第2621563、特許第3121876、特許第3136774、特許第3603585、特許第3616522、特許第3617340、特許第3680523、特許第3717392、特許第4167159等に記載の方法を適用することができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
固相重合の温度は、170〜240℃が好ましく、より好ましくは180〜230℃であり、さらに好ましくは190〜220℃である。また、固相重合時間は、5〜100時間が好ましく、より好ましくは10〜75時間であり、さらに好ましくは15〜50時間である。固相重合は、真空中あるいは窒素雰囲気下で行なうことが好ましい。
(ポリエステル樹脂組成物)
本発明のポリエステル樹脂組成物は、上述したイミノエーテル化合物と、顔料と、ポリエステルとを含む。なお、本発明のポリエステル樹脂組成物は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、上述したイミノエーテル化合物以外の化合物を含むことを拒むものではない。例えば、カルボジイミド化合物、ケテンイミン化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物などを併用することができる。ただし、本発明のポリエステル樹脂組成物中に含まれるイミノエーテル化合物の含有量は、ポリエステル以外の有機化合物に対して、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
ポリエステル樹脂組成物の全質量に対し、上述したイミノエーテル化合物は、0.05〜35質量%含まれることが好ましく、0.05〜20質量%含まれることがより好ましく、0.5〜20質量%含まれることがさらに好ましく、1〜20質量%含まれることが特に好ましい。イミノエーテル化合物の含有量を上記範囲内とすることにより、ポリエステルフィルムの耐加水分解性を高めることができる。さらに、イミノエーテル化合物の含有量を上記範囲内とすることにより、ポリエステルフィルムの可視光隠蔽性も向上させることに加えて、ポリエステルフィルムを製膜する際の膜厚均一性を改善することができる。
ポリエステル樹脂組成物の全質量に対し、顔料は、0.2〜50質量%含まれることが好ましく、0.4〜50質量%含まれることがより好ましく、5〜50質量%含まれることがさらに好ましい。ポリエステル樹脂組成物中の顔料の含有量を上記範囲内とすることにより、ポリエステルフィルムの可視光隠蔽性を向上させることができ、さらに太陽光の反射率を高めることができる。
ポリエステル樹脂組成物に含まれる上述したイミノエーテル化合物は、ポリエステルの末端を封止することでポリエステルの加水分解を抑制する。ポリエステルに白色顔料を練込む工程では、顔料に含まれる水分によりポリエステルの加水分解が生じる場合があり、また顔料粒子のせん断により生じる発熱によりポリエステルの熱分解が生じる場合がある。上述したイミノエーテル化合物は、顔料粒子のせん断により生じる発熱によって促進されるポリエステルの熱分解を抑制することができる。
さらに、本発明の効果を阻害しない範囲内であれば、本発明のポリエステル樹脂組成物には、各種添加剤、例えば、相溶化剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤及び染料などを含むこととしてもよい。
(マスターペレット)
本発明は、上述したポリエステル樹脂組成物を用いて形成されるマスターペレットに関するものでもある。マスターペレットは、混練したポリエステル樹脂組成物をチップ化したものであり、ポリエステル樹脂組成物を押出成形して形成される。マスターペレットの形状としては、例えば、円柱状のものが挙げられ、長さは1〜10mm、底辺直径は1〜10mmのサイズとすることができる。
本発明のマスターペレットにも上述したイミノエーテル化合物や顔料が含有され、好ましい含有量は、ポリエステル樹脂組成物に含まれる含有量の範囲と同様である。すなわち、マスターペレットの全質量に対し、上述したイミノエーテル化合物は、0.05〜35質量%含まれることが好ましく、0.05〜20質量%含まれることがより好ましく、0.5〜20質量%含まれることがさらに好ましく、1〜20質量%含まれることが特に好ましい。また、マスターペレットの全質量に対し、顔料は、0.2〜50質量%含まれることが好ましく、0.4〜50質量%含まれることがより好ましく、5〜50質量%含まれることがさらに好ましい。
(ポリエステルフィルム)
本発明は、上述したポリエステル樹脂組成物を用いて形成されるポリエステルフィルムに関するものでもある。本発明のポリエステルフィルムは、上述したポリエステル樹脂組成物を溶融し、押出すことによって形成することもできるし、上述したポリエステル樹脂組成物と他のポリエステル樹脂組成物を溶融混練し、押出すことによって形成することもできる。ここで、他のポリエステル樹脂組成は、上述したポリエステル樹脂組成物に含まれるポリエステルから構成されるポリエステル樹脂組成であることが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、上述したイミノエーテル化合物を含む。イミノエーテル化合物は、ポリエステルフィルムの全質量に対し、0.05〜3質量%含まれることが好ましく、0.1〜2質量%含まれることがより好ましく、0.1〜1.5質量%含まれることがさらに好ましい。イミノエーテル化合物の含有量を上記範囲内とすることにより、ポリエステルフィルムの耐加水分解性を高めることができる。さらに、イミノエーテル化合物の含有量を上記範囲内とすることにより、ポリエステルフィルムの可視光隠蔽性も向上させることに加えて、ポリエステルフィルムを製膜する際の膜厚均一性を改善することができる。
さらに、本発明のポリエステルフィルムは、顔料を含む。顔料は、ポリエステルフィルムの全質量に対し、0.1〜10質量%含まれることが好ましく、0.5〜10質量%含まれることがより好ましく、0.5〜5質量%含まれることがさらに好ましい。ポリエステルフィルム中の顔料の含有量を上記範囲内とすることにより、ポリエステルフィルムの可視光隠蔽性を向上させることができ、さらに太陽光の反射率を高めることができる。
本発明のポリエステルフィルムの厚みは、用途によって異なるが、太陽電池モジュール用バックシートの部材として用いる場合には、25μm〜300μmであることが好ましく、120〜300μmであることがより好ましい。厚みが25μm以上であることで、十分な力学強度が得られ、300μm以下とすることで、コスト上のメリットが得られる。
本発明のポリエステルフィルムは延伸されていることが好ましく、2軸延伸されていることがさらに好ましい。すなわち、本発明のポリエステルフィルムは2軸配向フィルムであることが好ましい。中でも、平面2軸延伸されていることがチューブラーなどの延伸と比較して特に好ましく、逐次2軸延伸されていることがより特に好ましい。2軸延伸されたポリエステルフィルムは、長手方向(MD:Machine Direction)の延伸(以下「縦延伸」ともいう)と幅方向(TD:Transverse Direction)の延伸(以下、「横延伸」ともいう)が施されたフィルムである。縦延伸、横延伸は各々1回で行っても良く、複数回に亘って実施しても良く、同時に縦、横に延伸してもよい。
本発明のポリエステルフィルムのMD配向度、及び、TD配向度は、それぞれ0.14以上であることが好ましく、0.155以上がさらに好ましく、0.16以上が特に好ましい。各配向度が0.14以上であると、非晶鎖の拘束性が向上し(運動性が低下)、耐加水分解性が向上する。MD及びTD配向度は、アッベの屈折率計を用い、光源としては単色光ナトリウムD線を用い、マウント液としてはヨウ化メチレンを用いて25℃雰囲気中で2軸配向フィルムのx、y、z方向の屈折率を測定し、MD配向度:Δn(x−z)、TD配向度;Δn(y−z)から算出することができる。
ポリエステルフィルム中の末端カルボキシル基含量(ポリエステルのカルボン酸価、以下、AVともいう)は、ポリエステルに対して25eq/ton以下が好ましく、20eq/ton以下がより好ましく、特に好ましくは16eq/ton以下であり、より特に好ましくは15eq/ton以下である。カルボキシル基含量が25eq/ton以下であると、イミノエーテル化合物と組み合わせることでポリエステルフィルムの耐加水分解性、耐熱性を保持することができ、湿熱経時したときの強度低下を小さく抑制することができる。ポリエステル中の末端カルボキシル基含量は、重合触媒種、重合時間、製膜条件(製膜温度や時間)によって調整することが可能である。カルボキシル基含量は、H.A.Pohl,Anal.Chem.26(1954)2145に記載の方法に従って、滴定法にて測定することができる。具体的には、ポリエステルを、ベンジルアルコールに205℃で溶解し、フェノールレッド指示薬を加え、水酸化ナトリウムの水/メタノール/ベンジルアルコール溶液で滴定することで、その適定量からカルボン酸価(eq/ton)を算出することができる。
ポリエステルフィルム中の末端ヒドロキシル基含量は、ポリエステルに対して120eq/ton以下が好ましく、より好ましくは90eq/ton以下である。ヒドロキシル基含量の下限は、上層との密着性の観点から、20eq/ton以上が望ましい。ポリエステル中のヒドロキシル基含量は、重合触媒種、重合時間、製膜条件(製膜温度や時間)によって調整することが可能である。末端ヒドロキシル基含量は、重水素化ヘキサフルオロイソプロパノール溶媒を用いて、H−NMRにより測定した値を用いることできる。
また、本発明のポリエステルフィルムの固有粘度(IV)は、0.55〜0.94dl/gが好ましく、0.60〜0.84dl/gがさらに好ましく、0.62〜0.80dl/gが特に好ましい。ポリエステルフィルムの固有粘度を上記範囲内とすることにより、製膜性を改善し、膜厚均一性を改善することができる。
ポリエステルの固有粘度(IV)は、フィルム製膜時に使用するポリエステルが2種以上である場合(特開2011−256337号公報の回収ポリエステルを使用する場合など)、すべてのポリエステルを混合したポリエステルの固有粘度が、上記範囲を満たすことが好ましい。
ポリエステルの固有粘度(IV)は、ポリエステルをオルトクロロフェノールに溶解し、25℃で測定した溶液粘度から、下式を用いて算出することができる。
ηsp/C=[η]+K[η]・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは、溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量であり(本測定では1g/100mlとする)、Kはハギンス定数(0.343とする)であり、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定することができる。
(ポリエステルフィルムの製造方法)
(フィルム形成工程)
フィルム形成工程においては、ポリエステルと、上述したイミノエーテル化合物と、顔料を含む混合物を溶融させた溶融体を流涎して冷却固化させることで、未延伸フィルムを製膜することができる。溶融体は、ギアポンプや濾過器を通すことが好ましく、濾過器を通った溶融体は、ダイを介して冷却ロールに押出され、冷却固化される。なお、押出された溶融体は、静電印加法を用いて冷却ロールに密着させることができる。この際、冷却ロールの表面温度は、おおよそ10〜40℃とすることが好ましい。
(延伸工程)
フィルム形成工程によって形成された(未延伸)フィルムは、延伸工程において、延伸処理を施すことができる。延伸工程においては、冷却ロールで冷却固化させた(未延伸)フィルムに1つまたは2つの方向に延伸されることが好ましく、2つの方向に延伸されることがより好ましい。2つの方向への延伸(2軸延伸)は、縦延伸、横延伸は各々1回で行っても良く、複数回に亘って実施しても良く、同時に縦、横に延伸してもよい。
延伸処理は、フィルムのガラス温度(Tg)℃〜(Tg+60)℃で行うのが好ましく、より好ましくはTg+3℃〜Tg+40℃、さらに好ましくはTg+5℃〜Tg+30℃である。
好ましい延伸倍率は少なくとも一方に280〜500%、より好ましくは300〜480%、さらに好ましくは320〜460%である。2軸延伸の場合、縦、横均等に延伸してもよいが、一方の延伸倍率を他方より大きくし不均等に延伸するほうがより好ましい。縦(MD)、横(TD)いずれを大きくしてもよい。ここでいう延伸倍率は、以下の式を用いて求めたものである。
延伸倍率(%)=100×(延伸後の長さ)/(延伸前の長さ)
2軸延伸処理は、例えば、フィルムのガラス転移温度である(Tg)℃〜(Tg+60)℃で長手方向に1回もしくは2回以上、合計の倍率が3〜6倍になるよう延伸し、その後、(Tg)℃〜(Tg+60)℃で幅方向に倍率が3〜5倍になるよう施すことができる。
2軸延伸処理は出口側の周速を速くした2対以上のニップロールを用いて、長手方向に延伸することができ(縦延伸)、フィルムの両端をチャックで把持しこれを直交方向(長手方向と直角方向)に広げておこなうことができる(横延伸)。
延伸工程においては、延伸処理の前又はその後、好ましくは延伸処理後に、フィルムに熱処理を施すことができる。熱処理を施すことによって、微結晶を生成し、力学特性や耐久性を向上させることができる。180〜210℃程度(さらに好ましくは、185〜220℃)で1〜60秒間(さらに好ましくは2〜30秒間)の熱処理をフィルムに施してもよい。
延伸工程においては、熱処理後、熱緩和処理を施すことができる。熱緩和処理とは、フィルムに対して応力緩和のために熱を加えて、フィルムを収縮させる処理である。熱緩和処理は、フィルムのMD及びTDの両方向に施すことが好ましい。熱緩和処理における諸条件は、熱処理温度より低い温度で処理することが好ましく、130〜220℃が好ましい。また、熱緩和処理は、フィルムの熱収縮率(150℃)がMD及びTDがいずれも1〜12%であることが好ましく、1〜10%がさらに好ましい。尚、熱収縮率(150℃)は、測定方向350mm、幅50mmのサンプルを切り出し、サンプルの長手方向の両端近傍300mm間隔に標点を付け、150℃の温度に調整されたオーブンに一端を固定、他端をフリーで30分間放置し、その後、室温で標点間距離を測定し、この長さをL(mm)とし、かかる測定値を用いて、下記式にて熱収縮率を求めることができる。
150℃熱収縮率(%)=100×(300−L)/300
また、熱収縮率が正の場合は縮みを、負は伸びを表わす。
(太陽電池モジュール用バックシート)
本発明のポリエステルフィルムは、その上に易接着層等の塗布層を設けた積層フィルムとして用いることもできる。また、本発明のポリエステルフィルムや積層フィルムは、太陽電池モジュール用バックシート(太陽電池モジュールの保護シート)として好適に用いることができる。本発明のポリエステルフィルムは、面状が良好であり、優れた耐湿熱性を有するため、太陽電池モジュール用バックシートに用いた場合、長期間に亘って太陽電池モジュールを保護することができる。さらに、本発明のポリエステルフィルムは、可視光隠蔽性を備え、太陽光を反射することができるため、太陽電池モジュールの発電効率を損ねることがない。
本発明のポリエステルフィルムに、下記のような機能性層を積層することで太陽電池モジュール用バックシートを形成することができる。機能性層を積層する際には、易接着層を間に設けることが好ましい。なお、機能性層を積層する前に、ポリエステルフィルムの表面を表面処理することが好ましく、例えば、火炎処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理等を施すことができる。
<反射層(着色層)>
本発明のポリエステルフィルムは、反射層(着色層)としての機能を発揮することもできるが、太陽電池モジュール用バックシートはさらに機能性層として反射層(着色層)を有してもよい。着色層は、ポリエステルフィルムの表面に接触させて、あるいは他の層を介して配置される層であり、顔料やバインダーを用いて構成することができる。反射層を設けることにより太陽電池モジュールに入射した太陽光のうち、太陽電池セルをすり抜けてバックシートに到達した光を反射させて太陽電池セルに戻すことが可能になる。これにより、発電効率を向上させることができる。
(バインダー)
反射層に用いるバインダーとしてはアクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系ポリマー等を用いることができるが、この中ではポリオレフィン系ポリマーが好ましい。
本発明の太陽電池モジュール用バックシートは内側面(封止材に接着する側)に光の反射層を設けることが好ましい。反射層は、封止材との接着性をより向上させるため、エポキシ系、イソシアネート系、オキサゾリン系、カルボジイミド系等の架橋剤を含有することが好ましい。これらの架橋剤のうち、湿熱経時後の接着性を確保する観点から、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤が特に好ましい。
反射層には反射率を上げる目的で白色顔料を添加することが好ましい。好ましい白色顔料としては、例えば酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク等を挙げることができる。これらの内で白色度、反射率、耐久性の観点から酸化チタンは特に好ましい。酸化チタンにはルチル、アナターゼ、ブルカイトの3種類の結晶系があるが、高い屈折率と白色度、及び低い光触媒活性からルチル型の結晶構造を持つものが好ましい。
反射層には必要に応じて界面活性剤、防腐剤などの公知の添加剤を添加してもよい。界面活性剤としては、アニオン系やノニオン系等の公知の界面活性剤が挙げることができる。アニオン系界面活性剤としてはアルキル硫酸ナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩などがあり、ノニオン系界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテルなどがある。また、パーフロロアルキル硫酸ナトリウム塩のようなフッ素系界面活性剤も好ましい。
反射層の厚みは3〜10μm、より好ましくは4〜8μmの範囲が好ましい。反射層の厚みを3〜10μmの範囲にすることで、必要な反射率と接着性を両立することができる。
反射層の形成方法は特に制限はなく、ロールコート法、バーコーター法、スライドダイ法、グラビアコーター法などの公知の塗布方法を用いて形成できる。塗布溶媒にも制約はなく、メチルエチルケトン、トルエン、キシレンのような有機溶剤系の溶媒を用いても、水を溶媒として用いてもよい。環境負荷が小さいことを考えると水を溶媒として用いることは特に好ましい。塗布溶媒は単独で用いても混合して用いてもよい。特に水系の塗布溶媒の場合、水に水混和性の有機溶剤を少量加えた混合溶媒として用いてもよい。
反射層の乾燥にも特に制限はないが、乾燥時間の短縮化の観点から120〜200℃程度の温度で1〜10分間程度乾燥させることが好ましい。乾燥温度が120℃未満の場合、乾燥時間が長くなり製造をする上で不利である。逆に200℃を超えると得られるバックシートの平面性が損なわれる場合がある。
<オーバーコート層>
本発明の太陽電池モジュール用バックシートは、封止材との接着性を向上させる目的で反射層の上にオーバーコート層を設けてもよい。
オーバーコート層のバインダーとしては反射層のところで述べたものを好ましく用いることができる。オーバーコート層の架橋剤種としては反射層のところで述べたものを好ましく用いることができる。
また、オーバーコート層のその他の添加剤の種類と添加量としては反射層のところで述べたものを好ましく用いることができる。
オーバーコート層の膜厚は0.1〜1.0μm、より好ましくは0.2〜0.8μmの範囲が好ましい。オーバーコート層の厚みを0.1〜1.0μmの範囲にすることで、封止材との強固な接着性を得ることができる。
オーバーコート層の形成方法、塗布溶媒、乾燥方法については反射層のところで述べたものや方法を好ましく用いることができる。
<裏面層>
本発明の太陽電池モジュール用バックシートは外側面(太陽電池セルの反対側の面)に支持体を保護するための裏面層を設けることが好ましい。裏面層のバインダーとしては耐久性と支持体との接着性の点から以下に述べるシリコーン系複合ポリマーを用いることが好ましい。シリコーン系複合ポリマー(以降「複合ポリマー」と言う場合がある)は、分子中に−(Si(R)(R)−O)−部分と上記部分に共重合するポリマー構造部分を含むポリマーである。裏面層のバインダーとしてシリコーン系複合ポリマーを用いることにより、裏面層と支持体の間の接着性を特に良好にすることが可能になり、長期間経時させても接着性の低下を小さく保つことが可能になる。
シリコーン系複合ポリマーは水系のポリマー分散物(いわゆるラテックス)の形とすることが好ましい。シリコーン系複合ポリマーを、水系のポリマーをラテックスの形態とする場合、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、アミド基などの水親和性の官能基を持つものであることが好ましい。シリコーン系複合ポリマーが、カルボキシル基を持つ場合、カルボキシル基はナトリウム、アンモニウム、アミンなどで中和されていてもよい。
また、シリコーン系複合ポリマーを、ラテックスの形態で使用する場合、安定性を向上させるために界面活性剤(例:アニオン系やノニオン系界面活性剤)、ポリマー(例:ポリビニルアルコール)等の乳化安定剤を含有させてもよい。さらに、必要に応じてpH調整剤(例:アンモニア、トリエチルアミン、炭酸水素ナトリウム等)、防腐剤(例:1、3、5−ヘキサヒドロ−(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール等)、増粘剤(例:ポリアクリル酸ナトリウム、メチルセルロース等)、造膜助剤(例:ブチルカルビトールアセテート等)等のラテックスの添加剤として公知の化合物を添加してもよい。
裏面層には支持体への接着性を向上させるため架橋剤を添加する事が好ましい。架橋剤の種類については反射層のところで述べたものを使用することができる。
裏面層には紫外線吸収剤を添加することが好ましい。紫外線吸収剤の例としては、例えば、有機系の紫外線吸収剤の場合は、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤およびヒンダードアミン系等の紫外線安定剤などが挙げられる。また、無機系の紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、などの金属酸化物や、カーボン、フラーレン、カーボンファイバー、カーボンナノチューブなどの炭素系成分等が挙げられる。 これらの中でコストと耐久性の観点から酸化チタンは特に好ましい。
裏面層には反射層の反射率を補う目的で白色顔料を添加してもよい。白色顔料の種類については反射層のところで述べた白色顔料を好ましく使用することができる。なお、白色顔料として酸化チタンを用いる場合は顔料と紫外線吸収剤を兼ねることができる。裏面層のその他の添加剤の種類と添加量としては反射層のところで述べたものを好ましく用いることができる。
裏面層の厚みは3〜12μm、より好ましくは4〜8μmの範囲が好ましい。裏面層の厚みを3〜12μmの範囲にすることで、必要な耐久性と接着性を両立することができる。
裏面層の形成方法、塗布溶媒、乾燥方法については反射層のところで述べたものや方法を好ましく用いることができる。
<裏面保護層>
本発明の太陽電池モジュール用バックシートでは、耐久性をさらに向上させる目的で裏面層の上に裏面保護層を設けてもよい。
裏面保護層のバインダーは耐久性の観点からフッ素系ポリマーが好ましい。本発明で好ましく用いることができるフッ素系ポリマーは、主鎖又は側鎖にフッ素含有モノマーを含むポリマーである。フッ素含有モノマーは主鎖、側鎖のどちらに含まれていてもよいが、耐久性の観点から主鎖に含まれている事が好ましい。
フッ素系ポリマーをラテックス形態で使用する場合、粒径は50〜500nm程度が好ましく、固形分濃度は15〜50質量%程度が好ましい。フッ素系ポリマーは水系のポリマーをラテックスの形態とする場合、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、アミド基などの水親和性の官能基を持つものであることが好ましい。
裏面保護層には支持体への接着性を向上させるため架橋剤を添加する事が好ましい。架橋剤の種類については反射層のところで述べたものを使用することができる。
裏面保護層には必要に応じてすべり剤を添加してもよい。すべり剤としては、例えば、合成ワックス系化合物、天然ワックス系化合物、界面活性剤系化合物、無機系化合物、有機樹脂系化合物などが挙げられる。中でも、ポリマー層の表面強度の点で、合成ワックス系化合物、天然ワックス系化合物、及び界面活性剤系化合物から選ばれる化合物が好ましい。
裏面保護層には必要に応じてコロイダルシリカを添加してもよい。コロイダルシリカは、ケイ素酸化物を主成分とする微粒子が水または単価のアルコール類またはジオール類またはこれらの混合物を分散媒として微粒子状態で存在するものである。
裏面保護層のその他の添加剤の種類と添加量としては反射層のところで述べたものを好ましく用いることができる。
裏面保護層の厚みは0.5〜6μm、より好ましくは1〜5μmの範囲が好ましい。裏面保護層の厚みが0.5μm以上になると耐久性が充分になり、6μm以下であるとコスト上有利である。裏面保護層の塗布方法、塗布溶媒、乾燥方法については反射層のところで述べたものや方法を好ましく用いることができる。
(太陽電池モジュール)
本発明の太陽電池モジュールは、本発明のポリエステルフィルムまたは本発明の太陽電池モジュール用バックシートを備える。本発明の太陽電池モジュールは、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池素子を、太陽光が入射する透明性の基板と既述の本発明のポリエステルフィルム(太陽電池用バックシート)との間に配置して構成されている。基板とポリエステルフィルムとの間は、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体等の樹脂(いわゆる封止材)で封止して構成することができる。
太陽電池モジュール、太陽電池セル、バックシート以外の部材については、例えば、「太陽光発電システム構成材料」(杉本栄一監修、(株)工業調査会、2008年発行)に詳細に記載されている。
透明性の基板は、太陽光が透過し得る光透過性を有していればよく、光を透過する基材から適宜選択することができる。発電効率の観点からは、光の透過率が高いものほど好ましく、このような基板として、例えば、ガラス基板、アクリル樹脂などの透明樹脂などを好適に用いることができる。
太陽電池素子としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン系、銅−インジウム−ガリウム−セレン、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルル、ガリウム−砒素などのIII−V族やII−VI族化合物半導体系など、各種公知の太陽電池素子を適用することができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
実施例及び比較例で用いたイミノエーテル(1)〜(7)は以下の合成方法にて合成した。
Figure 2015182546
[合成例1]
<イミノエーテル(1)の合成>
Figure 2015182546
5L三口フラスコに、トリエトキシメチルベンゼン600g(2.80mol)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン498g(1.28mol)、トルエン480ml、メタンスルホン酸0.24g(2.5mmol)を仕込み、加熱還流下2時間攪拌した。反応系温度を100℃以下とし、還流されたエタノールはDean−Stark装置にて取り除いた。TLC(薄層クロマトグラフィー)にて反応終了を確認した後、室温まで冷却し、メタノールを加え晶析することで、イミノエーテル(1)777g(収率95%)を得た。得られた化合物はH−NMRにて同定した。
[合成例2]
<イミノエーテル(2)の合成>
Figure 2015182546
5L三口フラスコに、トリメトキシメチルベンゼン512g(2.80mol)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン498g(1.28mol)、トルエン480ml、メタンスルホン酸0.24g(2.5mmol)を仕込み、加熱還流下2時間攪拌した。反応系温度を100℃以下とし、還流されたメタノールはDean−Stark装置にて取り除いた。TLCにて反応終了を確認した後、室温まで冷却し、メタノールを加え晶析することで、イミノエーテル(2)745g(収率95%)を得た。得られた化合物はH−NMRにて同定した。
[合成例3]
<イミノエーテル(3)の合成>
Figure 2015182546
5L三口フラスコに、オルト酢酸トリメチル338g(2.80mol)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン498g(1.28mol)、トルエン480ml、メタンスルホン酸0.24g(2.5mmol)を仕込み、加熱還流下2時間攪拌した。反応系温度を100℃以下とし、還流されたメタノールはDean−Stark装置にて取り除いた。TLCにて反応終了を確認した後、室温まで冷却し、メタノールを加え晶析することで、イミノエーテル(3)615g(収率92%)を得た。得られた化合物はH−NMRにて同定した。
[合成例4]
<イミノエーテル(4)の合成>
Figure 2015182546
5L三口フラスコに、トリメトキシメチルベンゼン512g(2.80mol)、4,4‘−ジアミノベンズアニリド310g(1.28mol)、トルエン480ml、メタンスルホン酸0.24g(2.5mmol)を仕込み、加熱還流下2時間攪拌した。反応系温度を100℃以下とし、還流されたメタノールはDean−Stark装置にて取り除いた。TLCにて反応終了を確認した後、室温まで冷却し、メタノールを加え晶析することで、イミノエーテル(4)504g(収率85%)を得た。得られた化合物はH−NMRにて同定した。
[合成例5]
<イミノエーテル(5)の合成>
Figure 2015182546
5L三口フラスコに、トリメトキシメチルベンゼン512g(2.80mol)、4−アミノアセトアニリド191.8g(1.28mol)、トルエン480ml、メタンスルホン酸0.24g(2.5mmol)を仕込み、加熱還流下2時間攪拌した。反応系温度を100℃以下とし、還流されたメタノールはDean−Stark装置にて取り除いた。TLCにて反応終了を確認した後、室温まで冷却し、メタノールを加え晶析することで、イミノエーテル(5)309g(収率90%)を得た。得られた化合物はH−NMRにて同定した。
[合成例6]
<イミノエーテル(6)の合成>
Figure 2015182546
5L三口フラスコに、4,4‘−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)210g(1.0mol)、トリエチルアミン243g(2.4mol)、ジメチルアセトアミド1.0Lを仕込み、氷浴下でベンゾイルクロライド336g(2.4mol)を滴下した後、室温下で1時間攪拌した。1mol/Lの塩酸水2.0Lを加え、1時間攪拌し、ろ過することで(6−1)397g(収率95%)を得た。得られた化合物はH−NMRにて同定した。
5L三口フラスコに、(6−1)300g、塩化チオニル1.0Lを加え、65℃で2時間攪拌した後、過剰量の塩化チオニルを減圧下で除去した。室温まで冷却しTHF(テトラヒドロフラン)1.0mlを加え、氷浴下でSM−28(ナトリウムメチラート28%メタノール溶液)を310g(1.6mol)滴下した後、室温下で1時間攪拌した。酢酸エチル1.5Lと純水1.0Lを加えて分液し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮することで固体が得られた。そこへメタノール2.0Lを加え、室温下で1時間攪拌し、ろ過することでイミノエーテル(6)288g(収率90%)を得た。得られた化合物はH−NMRにて同定した。
[合成例7]
<イミノエーテル(7)>
Figure 2015182546
5Lフラスコに、2−アミノベンジルアルコール296g(2.4mol)、トリエチルアミン243g(2.4mol)、ジメチルアセトアミド1.5Lを仕込み、氷浴下でテレフタル酸クロリド203g(1.0mol)を分割添加し、1時間攪拌した後、1mol/Lの塩酸水2.0Lを加えて1時間攪拌し、ろ過することで(7−1)357g(収率95%)を得た。得られた化合物はH−NMRにて同定した。
5L三口フラスコに、(7−1)300g(0.8mol)、塩化チオニル1.0Lを加え、65℃で2時間攪拌した後、過剰の塩化チオニルを濃縮除去した。メタノール1.0Lを加えた後、氷浴下でSM−28 386g(2.0mol)をゆっくり滴下し、室温で1時間、40℃で50時間攪拌した。沈殿物をろ過して減圧下でメタノールを除去し、酢酸エチルを1.5L加え、分液した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、メタノールを加えて晶析し、ろ過することでイミノエーテル(7)136g(収率50%)を得た。得られた化合物はH−NMRにて同定した。
(マスターペレット(ポリエステルペレット)の作製と評価)
<ポリエチレンテレフタレート(PET(1)、PET(2))の合成>
−工程(A)−
高純度テレフタル酸4.7トンとエチレングリコール1.8トンとを90分間かけて混合してスラリーを形成し、3800kg/hの流量で連続的に第一エステル化反応槽に供給した。次いで、クエン酸がTi金属に配位したクエン酸キレートチタン錯体(ジョンソン・マッセイ社製、VERTEC AC−420)のエチレングリコール溶液を連続的に第一エステル化反応槽に供給し、反応槽内温度250℃として攪拌しながら平均滞留時間約4.3時間で反応を行なってオリゴマーを得た。この際、クエン酸キレートチタン錯体は、Ti添加量が元素換算値で9ppmとなるように連続的に添加した。得られたオリゴマーの酸価は550eq/tonであった。
得られたオリゴマーを第二エステル化反応槽に移送し、反応槽内温度250℃、平均滞留時間1.2時間で攪拌して反応させ、酸価が180eq/tonのオリゴマーを得た。第二エステル化反応槽は内部が第1ゾーン〜第3ゾーンまでの3つのゾーンに仕切られており、第2ゾーンから酢酸マグネシウムのエチレングリコール溶液を、Mg添加量が元素換算値で75ppmになるように連続的に供給し、続いて第3ゾーンから、リン酸トリメチルのエチレングリコール溶液を、P添加量が元素換算値で65ppmになるように連続的に供給した。なお、リン酸トリメチルのエチレングリコール溶液は、25℃のエチレングリコール溶液に、25℃のリン酸トリメチル液を加え、25℃で2時間攪拌することにより調製した(溶液中のリン化合物含有量:3.8質量%)。
以上により、エステル化反応生成物を得た。
−工程(B)−
工程(A)で得られたエステル化反応生成物を連続的に第一重縮合反応槽に供給した。次いで、反応温度270℃、反応槽内圧力20torr(2.67×10−3MPa)でエステル化反応生成物を攪拌しながら、平均滞留時間約1.8時間で重縮合(エステル交換反応)させた。
次いで、得られた反応物を、第一重縮合反応槽から第二重縮合反応槽に移送した。その後、反応物を第二重縮合反応槽において、反応槽内温度276℃、反応槽内圧力5torr(6.67×10−4MPa)で攪拌し、滞留時間約1.2時間の条件で反応(エステル交換反応)させた。
次いで、エステル交換反応によって得られた反応物を、第二重縮合反応槽から、さらに第三重縮合反応槽に移送し、この反応槽では、反応槽内温度278℃、反応槽内圧力1.5torr(2.0×10−4MPa)で攪拌しながら、滞留時間1.5時間の条件で反応(エステル交換反応)させ、カルボン酸価24eq/ton、固有粘度0.63dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET(1))を得た。
−工程(C)−
上記樹脂を170℃で5時間乾燥させた。この後、固相重合槽にペレットを移し、固相重合槽に水蒸気200ppmを含むNガスを、樹脂1kgあたり1Nm/hrとなるように流しながら210℃で固相重合した。なお、固相重合時間、Nガス中に吹き込むエチレングリコール(EG)ガス濃度を変えることで、固有粘度0.78dl/g、カルボン酸価12eq/ton、融点255℃のポリエチレンテレフタレート樹脂(PET(2))を得た。
なお、固相重合時間を長くすることでカルボン酸価は低下し、固有粘度は増加する。また、EGガスを多くすることで、カルボン酸価を低下できる。なお、EGガスを多くしても、固有粘度には影響しない。
(マスターペレット(1)の作製)
−押出成形−
上記方法で固相重合したPET(2)の55.5質量部に対し、イミノエーテル(1)0.5質量部、酸化チタン44.0質量部を混合し、マスターペレット(1)を調製した。具体的には、マスターペレットは2軸混練押出機を用いて調製した。すなわち、ホッパーからPET樹脂を添加し、粉体の末端封止剤はフィーダーを用いホッパーから計量しながら投入し混練した。混練した組成物をストランド状に押出した後、水冷、カッティングし、マスターペレット(1)を作製した。マスターペレット(1)は長さ3mm×底辺直径2mmの円柱状のサイズであった。
(マスターペレット(2)〜(27)の作製)
樹脂、末端封止剤及び顔料の種類や添加量を下記表1に記載した条件に変更した以外はマスターペレット(1)の作製方法と同様にして、マスターペレット(2)〜(27)を作製した。
なお、マスターペレット(17)で用いたPEN(ポリエチレンナフタレート)はテオネックスTN−80655(帝人社製)を用いた。マスターペレット(18)で用いたPBT(ポリブチレンテレフタレート)は、ジュラネックス2000(ポリプラスチックス社製)を用いた。
また、マスターペレット(23)及び(24)では、末端封止剤として下記のStabaxol P400(ラインケミー社製)を用いた。マスターペレット(25)では、末端封止剤とし下記のBOXA(和光純薬社製)を用いた。マスターペレット(26)では、末端封止剤としてPOXA エポクロスRPS(日本触媒社製)を用いた。マスターペレット(27)では、末端封止剤として合成例7で合成したイミノエーテル化合物(7)を用いた。
Figure 2015182546
<マスターペレットの揮散性評価>
マスターペレットを作製する際に、臭気及び白煙が発生するか否かを評価した。評価結果は表1に示した。マスターペレットを作製する際には、白煙が発生しないことが好ましく、臭気及び白煙の両方が発生しないことがより好ましい。
A:臭気、白煙共になし
B:臭気はあるが、白煙はない
C:臭気、白煙共にあり
Figure 2015182546
表1より、本発明の一般式(1)で表されるイミノエーテル化合物を用いるとマスターペレット作製時の白煙の発生が抑えられていることがわかる(マスターペレット(1)〜(21))。特に、一般式(1)で表されるイミノエーテル化合物であって、分子量が 300以上のイミノエーテル化合物を用いることにより、臭気と白煙の両方の発生が抑えられることがわかる(マスターペレット(1)〜(13)及びマスターペレット(15)〜(19))。また、一般式(1)で表されるイミノエーテル化合物の添加量は、マスターペレットの全質量に対し、0.05〜35質量%であることが好ましく、顔料の添加量は0.2〜50質量%であることが好ましいことがわかる(マスターペレット(19)〜(21))。
次いで、上記のマスターペレット(1)〜(18)及び(22)〜(27)を用いて、ポリエステルフィルムを作製し、その性能について評価を行った。
(実施例1)ポリエステルフィルムの作製と評価
<4>ポリエチレンテレフタレートフィルム(2軸延伸フィルム)の製膜
得られたマスターペレット(1)を含水率が100ppm以下となるように乾燥した後、樹脂組成物全体に対して、イミノエーテル(1)の含有量が0.05質量%、酸化チタンの含有量が4.4質量%になるように、マスターペレットの作製時と同じPET(2)を用いて混合しながら押出し、未延伸フィルムを得た。なお、押出しには2軸押出機を用い、窒素気流下、280℃で溶融混練し、この溶融体(メルト)をギアポンプ、ろ過器、ダイを通してチルロール上に押出し、厚み3222mmの未延伸フィルムを作製した。
この未延伸フィルムを輻射ヒーターにより膜面温度85℃程度になるまで加熱したのち、長手方向(搬送方向)に3.0倍、続いてテンターに送り込み膜面温度が140℃程度になるまで加熱したのち、幅方向に4.2倍延伸し、220℃で熱処理することで厚み250μm、幅1100mmの2軸延伸フィルムを得た。これを実施例1のポリエステルフィルムとした。
(実施例2〜18)
マスターペレット(2)〜(18)を用い、実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを作製した。なお、ポリエステルフィルムを作製する際は、マスターペレット(2)〜(18)は、マスターペレットの作製時に使用した樹脂と同じ樹脂と混合した。マスターペレット(2)〜(18)を含むポリエステルフィルムは、各々実施例2〜18のポリエステルフィルムに相当する。
(比較例1)
上記のPET(2)のみを押出し、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムに、実施例1と同様の方法で加熱処理及び延伸処理を施し、比較例1のポリエステルフィルムを得た。
(比較例2〜7)
マスターペレット(22)〜(27)を用いて、実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを作製した。なお、ポリエステルフィルムを作製する際は、マスターペレット(22)〜(27)は、マスターペレットの作製時に使用した樹脂と同じ樹脂と混合した。マスターペレット(22)〜(27)を含むポリエステルフィルムは、各々比較例2〜7のポリエステルフィルムに相当する。
<ポリエステルフィルムの性能評価>
(粘度変化)
フィルムの固有粘度(IV)とマスターペレットの固有粘度(IV)を下記評価基準に従って評価した。固有粘度(IV)は、ポリエステルをオルトクロロフェノールに溶解し、25℃で測定した溶液粘度から、下記式を用いて算出した。
ηsp/C=[η]+K[η]・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは、溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量であり(本測定では1g/100mlとする)、Kはハギンス定数(0.343とする)であり、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。
A:フィルムのIVがマスターペレットのIVと同等以下
B:フィルムのIVがマスターペレットのIVより増加
(耐湿熱性(PCT試験))
耐加水分解性の評価は破断伸度保持率半減期で評価した。破断伸度保持率半減期は、実施例及び比較例にて得られたポリエステルフィルムに対して、120℃、相対湿度100%の条件で保存処理(加熱処理)を行い、保存後のポリエステルフィルムが示す破断伸度(%)が、保存前のポリエステルフィルムが示す破断伸度(%)に対して50%となる保存時間を測定することで評価した。得られた結果を下記表2に記載した。破断伸度保持率半減期が長い程、ポリエステルフィルムの耐加水分解性が優れていることを示す。破断伸度半減期は80時間以上であることが好ましく、90時間以上であることがより好ましい。
A:破断伸度半減期が90時間以上
B:破断伸度半減期が80時間以上90時間未満
C:破断伸度半減期が70時間以上80時間未満
D:破断伸度半減期が60時間以上70時間未満
E:破断伸度半減期が60時間未満
(揮散成分)
得られたポリエステルフィルムを、280℃で10分加熱し、発生したガスを検出した。下記の基準にしたがってフィルム中の揮散成分の量をガスクロマトグラフィ(日本分光(株)社製、商品名P&T−GC/MS)により測定し、以下の基準で評価した。なお、揮散成分には、イミノエーテル由来の化合物が含まれており、具体的には、イミノエーテル化合物とアミド化合物が含まれている。すなわち、揮散成分の検出量が少ないことは、イミノエーテル化合物とアミド化合物の揮散が少なく、製造環境が良化することを意味する。揮散成分の検出量は100ppm以下であることが好ましく、検出限界(1ppm以下)であることがより好ましい。
A: イミノエーテル由来の揮散成分は検出限界以下
B: イミノエーテル由来の揮散成分が100ppm以下検出された
C: イミノエーテル由来の揮散成分が100ppm以上検出された
(可視光隠蔽性)
マクベス光濃度計により、可視光域(380〜700nm)での光学濃度(O.D.)を測定し、下記の評価基準にしたがって評価した。A及びBが実用上許容できる基準である。
A:光学濃度が0.6(O.D.)を超えるもの
B:光学濃度が0.4(O.D.)を超え、0.6(O.D.)以下のもの
C:光学濃度が0.4(O.D.)以下のもの
(フィルム面状)
得られたポリエステルフィルムに対して、下記の基準にしたがってフィルムの面状を評価した。Aが実用上許容できる基準である。
A:フィルムを目視し、フィルム表面にブツ等がない
B:フィルムを目視し、フィルム表面にブツ等がある。
Figure 2015182546
表2より、実施例1〜18で得られたポリエステルフィルムにおいては、作製時の樹脂組成物の粘度変化が少なく、イミノエーテル化合物とアミド化合物由来の揮散成分の揮散が抑えられていることがわかる。特に、イミノエーテル化合物(1)〜(5)を含むポリエステルフィルムにおいては、フィルム作製時に粘度変化がより少なくなっていることがわかる。
また、実施例1〜18で得られたポリエステルフィルムの耐湿熱性も優れていることがわかる。特に、ポリエステルフィルムの全質量に対して、イミノエーテル化合物を0.1質量%以上含む場合に良好な耐湿熱性が得られていることがわかる。
さらに、実施例1〜18で得られたポリエステルフィルムは、十分な可視光隠蔽性を有しており、かつフィルムの面状も良好であることがわかる。特にポリエステルフィルムの全質量に対してイミノエーテル化合物を2質量%以下含み、かつポリエステルフィルムの全質量に対して顔料を0.5質量%以上含む場合に可視光隠蔽性が高まっている。
本発明によれば、耐加水分解性と可視光隠蔽性の両方を兼ね備え、フィルム面状が良好なポリエステルフィルムを提供することができる。また、本発明によれば、耐加水分解性と可視光隠蔽性の両方を兼ね備えたポリエステルフィルムの製造工程において、刺激性ガスの発生を抑制することができ産業上の利用可能性が高い。

Claims (17)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物と、顔料と、ポリエステルとを含むポリエステル樹脂組成物;
    Figure 2015182546
    一般式(1)中、Rは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアルコキシ基を表し、Rは下記一般式(2)で表されるアルキル基、又は下記一般式(3)で表されるアリール基を表し、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表す。また、R、R、R11、R12及びR13は互いに結合して環を形成してもよい。但し、Rが下記一般式(2)で表される場合、R11〜R13の少なくとも1つとR31〜R33の少なくとも1つが形成する結合は連結原子数が2以上の結合である。
    Figure 2015182546
    一般式(2)中、R31、R32及びR33はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。R31、R32及びR33は互いに連結して環を形成してもよい。一般式(3)中、R41は置換基を表し、R41が複数存在する場合は同じであっても、異なっていてもよい。また、nは0〜5の整数を表す。なお、一般式(2)及び(3)において*は、窒素原子と結合する位置を表す。
  2. 前記ポリエステル樹脂組成物の全質量に対し、前記一般式(1)で表される化合物を0.05〜35質量%含む請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 前記ポリエステル樹脂組成物の全質量に対し、前記顔料を0.2〜50質量%含む請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. 前記化合物が下記一般式(4)で表される請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物;
    Figure 2015182546
    一般式(4)中、Rは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアルコキシ基を表し、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表す。R41は置換基を表し、R41が複数存在する場合は同じであっても、異なっていてもよい。nは0〜5の整数を表す。
  5. 前記化合物が下記一般式(5)で表される請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物;
    Figure 2015182546
    一般式(5)中、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表す。R21及びR41はそれぞれ独立に置換基を表す。R21及びR41がそれぞれ複数存在する場合は同じであっても、異なっていてもよい。nは0〜5の整数を表し、mは0〜5の整数を表す。
  6. 前記化合物が下記一般式(6)で表される請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物;
    Figure 2015182546
    一般式(6)中、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表す。R41は置換基を表し、R41が複数存在する場合は同じであっても、異なっていてもよい。nは0〜5の整数を表す。また、pは2〜4の整数を表し、Lは、炭素原子との結合末端が、置換基を有してもよいアルキレン部、置換基を有してもよいシクロアルキレン部、置換基を有してもよいアリーレン部、又は、置換基を有してもよいアルコキシレン部である、p価の基を表す。
  7. 前記化合物が下記一般式(7)で表される請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物;
    Figure 2015182546
    一般式(7)中、Rは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアルコキシ基を表し、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表す。また、pは2〜4の整数を表し、Lは、窒素原子との結合末端が、置換基を有してもよいアリーレン部、又は、置換基を有してもよいシクロアルキレン部であるp価の基を表す。
  8. 前記化合物が下記一般式(8)で表される請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物;
    Figure 2015182546
    一般式(8)中、Rは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアルコキシ基を表し、R41は置換基を表し、R41が複数存在する場合は同じであっても、異なっていてもよい。nは0〜5の整数を表す。また、pは2〜4の整数を表し、Lは、酸素原子との結合末端が、アルキレン部であるp価の基を表す。但し、Lのアルキレン部は、水素原子の一部または全部が、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基で置換されていてもよい。
  9. 前記顔料が白色顔料である請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物。
  10. 前記顔料が酸化チタンである請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物を用いて形成されるマスターペレット。
  12. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物を用いて形成されるポリエステルフィルム。
  13. 前記ポリエステルフィルムの全質量に対し、前記一般式(1)で表される化合物を0.1〜2質量%含む請求項12に記載のポリエステルフィルム。
  14. 前記ポリエステルフィルムの全質量に対し、前記顔料を0.5〜10質量%含む請求項12又は13に記載のポリエステルフィルム。
  15. 2軸配向フィルムである請求項12〜14のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
  16. 請求項12〜15のいずれか1項に記載のポリエステルフィルムを用いた太陽電池モジュール用バックシート。
  17. 請求項16に記載の太陽電池モジュール用バックシートを備える太陽電池モジュール。
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