JP5889776B2 - ポリエステルフィルム、太陽電池モジュール用バックシートおよび太陽電池モジュール - Google Patents

ポリエステルフィルム、太陽電池モジュール用バックシートおよび太陽電池モジュール Download PDF

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Description

本発明は、ポリエステルフィルム、太陽電池モジュール用バックシートおよび太陽電池モジュールに関する。
太陽電池モジュールは、一般に、太陽光が入射する受光面側からガラスまたはフロントシート/透明な充填材料(封止材)/太陽電池素子/封止材/バックシート(BS)がこの順に積層された構造を有している。バックシート(BS)は、太陽電池モジュールの最外層に設けられ、太陽電池素子を保護する働きをする。太陽電池モジュールが屋体に設置された場合、バックシート(BS)は、風雨に曝されたり、高温多湿環境下に長期間置かれることが想定されるため、優れた耐候性が求められる。
太陽電池モジュール用バックシートには、従来、ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレート(以下、PET)フィルムが使用されている。ポリエステルフィルムは、優れた耐熱性、機械特性及び耐薬品性などを有しているため、太陽電池モジュール用バックシートに好ましく用いられている。しかし、これらのフィルムは、耐加水分解性に乏しいため、加水分解により分子量が低下し、脆化が進行して機械的性質が低下してしまうため、太陽電池用のバックシートとして長期間に渡り実用的な強度を保持することができなかった。
そこで、ポリエステルフィルムの耐加水分解性を高めるために、特許文献1では、ポリエステルフィルムにケテンイミン化合物を末端封止剤として添加することが提案されている。
また、特許文献2には、ポリエステルフィルムの耐加水分解性を高めるために、ケテンイミン化合物を用いることが可能である旨の記載があり、ポリエステルフィルムの一般的な添加剤として顔料等を添加できることが記載されている。しかし、特許文献2では、ケテンイミン化合物は、グリシジルエーテル、カルボジイミド等の他の末端封止剤の中の一つとして列挙されているのみであり、ケテンイミン化合物の具体的な開示はなく、ケテンイミン化合物をポリエステルフィルムに添加した実施例もない。また、顔料についても、多数ある添加剤の一例として列挙されているのみであり、ケテンイミン化合物と顔料を組み合わせて用いることや、組み合わせることによる効果については記載されていない。
米国特許3692745号公報 特開平10−130482号公報
特許文献1および2で提案されているように、ポリエステルフィルムにケテンイミン化合物を含有させることにより、ポリエステルフィルムの耐加水分解性を向上させることはできる。しかしながら、ケテンイミン化合物をポリエステルフィルムに含有させると、ポリエステルフィルムが黄色く着色するということが、本発明者らの検討により明らかになった。ポリエステルフィルムが太陽電池モジュールのバックシートとして用いられる場合、このような着色は太陽電池モジュールの意匠性の悪化につながるため問題となる。
また、従来のケテンイミン化合物を含有したポリエステルフィルムでは、ケテンイミン化合物とポリエステルの末端カルボキシル基が反応することにより、ケテン化合物が遊離し、製造工程等でケテン化合物を含むガスが揮散するという問題があった。揮散したケテンイミン化合物を含むガスは、製造工程における作業環境を悪化させるため問題となる。
そこで、本願発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、耐加水分解性を向上させることに加え、黄着色が低減されたポリエステルフィルムを提供することを目的として検討を進めた。また、本願発明者らは、ケテン化合物の揮散が抑制されたポリエステルフィルムを提供することも目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本願発明者らは、ポリエステルフィルムに特定の構造を有するケテンイミン化合物と顔料とを組み合わせて含有させることにより、ポリエステルフィルムの耐加水分解性を高めると同時に、黄着色を低減できることを見出した。さらに、本願発明者らは、ポリエステルフィルムにケテンイミン化合物と顔料とを組み合わせ含有させることにより、ケテン化合物の揮散を抑えることができることを見出し、本願発明を完成させるに至った。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1]ポリエステルと、顔料と、下記一般式(1)で表されるケテンイミン化合物とを含むことを特徴とするポリエステルフィルム。
Figure 0005889776
(一般式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立にアリール基、アリールオキシ基、アリールアミノカルボニル基、またはアリールオキシカルボニル基を表し、R3はアルキル基またはアリール基を表す。)
[2]前記ケテンイミン化合物は下記一般式(2)で表されることを特徴とする[1]に記載のポリエステルフィルム。
Figure 0005889776
(一般式(2)中、R11〜R20は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表す。R11〜R20は互いに結合して環を形成してもよい。R3はアルキル基またはアリール基を表す。)
[3]前記顔料は、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムおよびこれらの組み合わせから選択されることを特徴とする[1]または[2]に記載のポリエステルフィルム。
[4]前記顔料は、酸化チタンであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[5]前記顔料の添加率は、前記ポリエステルの総量に対して、1〜10質量%であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[6]前記ケテンイミン化合物の添加率は、前記ポリエステルの総量に対して、0.05〜5質量%であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[7]2軸延伸されたことを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載のポリエステルフィルムを用いた太陽電池モジュール用バックシート。
[9][8]に記載の太陽電池モジュール用バックシートを用いた太陽電池モジュール。
[10]ポリエステルと、下記一般式(1)で表されるケテンイミン化合物と、顔料を含む混合物を溶融させた溶融体を流涎して冷却固化させ、未延伸フィルムを得るフィルム形成工程と、
前記未延伸フィルムを2軸方向に延伸する延伸工程とを含むことを特徴とするポリエステルフィルムの製造方法。
Figure 0005889776
(一般式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立にアリール基、アリールオキシ基、アリールアミノカルボニル基、またはアリールオキシカルボニル基を表し、R3はアルキル基またはアリール基を表す。)
本発明によれば、ポリエステルフィルムに特定の構造を有するケテンイミン化合物と顔料とを組み合わせて含有させることにより、ポリエステルフィルムの耐加水分解性を高めつつも、ポリエステルフィルムが黄色く着色することを抑制することができる。
さらに、本発明によれば、ケテンイミン化合物を含有したポリエステルフィルムからケテン化合物が揮散することを抑制することができる。
すなわち、本発明では、ケテンイミン化合物を含有したポリエステルフィルムに顔料を添加することにより、ケテンイミン化合物特有の問題である黄着色を解消できるだけでなく、ケテン化合物の揮散も抑制するという想定外の効果を得ることができる。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
(ポリエステルフィルム)
本発明は、ポリエステルと、顔料と、ケテンイミン化合物を含むポリエステルフィルムに関する。ケテンイミン化合物は、下記一般式(1)で表される。
Figure 0005889776
ここで、一般式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立にアリール基、アリールオキシ基、アリールアミノカルボニル基、またはアリールオキシカルボニル基を表し、R3はアルキル基またはアリール基を表す。
本発明では、ポリエステルフィルムに上記構造を有するケテンイミン化合物を含有させることにより、ポリエステルフィルムの耐加水分解性を効果的に高めることができる。また、ケテンイミン化合物と顔料を組み合わせて添加することにより、ポリエステルフィルムの黄着色を低減することができる。また、本発明では、ケテンイミン化合物を含有したポリエステルフィルムを高温環境下に長時間載置した場合であっても、ポリエステルフィルムが黄変することを効果的に抑制することができる。これにより、耐加水分解性を有しつつも、長期間に亘り黄着色が低減されたポリエステルフィルムを得ることができる。
さらに、本発明では、ポリエステルフィルムからケテン化合物が揮散することを抑制することができる。従来のケテンイミン化合物を含有するポリエステルフィルムでは、ケテンイミン化合物とポリエステルの末端カルボキシル基が反応することにより、ケテン化合物が遊離し、製造工程等でケテン化合物が揮散することがあった。しかし、本発明では、ポリエステルフィルムに顔料を添加することにより、ケテン化合物の揮散を抑えることができる。これは、ケテン化合物が顔料の表面に吸着(反応)することにより、ケテン化合物の揮散が抑えられるためであると考えられる。
本発明のポリエステルフィルムの厚みは、用途によって異なるが、太陽電池モジュール用バックシートの部材として用いる場合には、25〜300μmであることが好ましく、120〜300μmであることがより好ましい。ポリエステルフィルムの厚みを上記下限値以上とすることにより、十分な力学強度が得られ、上記上限値以下とすることにより、コスト上のメリットが得られる。
本発明のポリエステルフィルムは延伸されていることが好ましく、2軸延伸されていることがさらに好ましく、平面2軸延伸されていることがチューブラーなどの延伸と比較して特に好ましく、逐次2軸延伸されていることがより特に好ましい。
なお、ポリエステルフィルムは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の添加剤を含んでいてもよく、添加剤としては、酸化防止剤や紫外線防止剤が例示される。
(ポリエステル)
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルを含む。ポリエステルの種類は特に制限されるものではなく、ポリエステルとして公知のものを使用することができる。
ポリエステルは、飽和ポリエステルであることが好ましい。このように飽和ポリエステルを用いることで、不飽和のポリエステルを用いたフィルムと比べて力学強度の観点で優れるポリエステルフィルムを得ることができる。ポリエステルとしては、例えば、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルを挙げることができる。
線状飽和ポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレートを挙げることができる。このうち、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)が、力学的物性及びコストのバランスの点で特に好ましく、ポリエチレンテレフタレートがより特に好ましい。
ポリエステルは、単独重合体であってもよいし、共重合体であっても良い。更に、ポリエステルに他の種類の樹脂、例えばポリイミド等を少量ブレンドしたものであってもよい。また、ポリエステルとして、溶融時に異方性を形成することができる結晶性のポリエステルを用いてもよい。
ポリエステルの分子量は、耐熱性や粘度の観点から、重量平均分子量(Mw)は、5000〜30000であることが好ましく、8000〜26000であることが更に好ましく、12000〜24000であることが特に好ましい。ポリエステルの重量平均分子量は、ヘキサフルオロイソプロパノールを溶媒として用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定したポリメチルメタクリレート(PMMA)換算の値を用いることができる。
ポリエステルは、ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と、低分子量脂肪族ジオール又は高分子量ジオールとを反応させることにより得ることができる。ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、オルトフタル酸ジメチル、ナフタリンジカルボン酸ジメチル、パラフェニレンジカルボン酸ジメチル等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
低分子量脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
高分子量ジオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
上記の構成成分からなる結晶性ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、テレフタル酸ブタンジオールポリテトラメチレングリコール共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いられても良く、2種類以上が併用されても良い。
芳香族ポリエステルの中で特に好ましいのは、ジカルボン酸として、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸を主成分に用いるもの、ジオールとしてエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールを主成分とするものが好ましく、より好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートであり、さらに好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートである。
ポリエステルは公知の方法によって合成することができる。例えば、公知の重縮合法や開環重合法などによってポリエステルを合成することができ、エステル交換反応及び直接重合による反応のいずれでも適用することができる。
本発明で用いるポリエステルが、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体と、ジオール又はそのエステル形成性誘導体とを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体である場合には、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とを、エステル化反応又はエステル交換反応させ、次いで重縮合反応させることによって製造することができる。また、原料物質や反応条件を選択することにより、ポリエステルのカルボン酸価や固有粘度を制御することができる。なお、エステル化反応又はエステル交換反応及び重縮合反応を効果的に進めるために、これらの反応時に重合触媒を添加することが好ましい。
ポリエステルを重合する際の重合触媒としては、カルボキシル基含量を所定の範囲以下に抑える観点から、Sb系、Ge系、及びTi系の化合物を用いることが好ましいが、特にTi系化合物が好ましい。Ti系化合物を用いる場合、Ti系化合物を1〜30ppm、より好ましくは3〜15ppmの範囲で触媒として用いることにより重合する態様が好ましい。Ti系化合物の割合が前記範囲内であると、末端カルボキシル基を下記範囲に調整することが可能であり、ポリマー基材の耐加水分解性を低く保つことができる。
Ti系化合物を用いたポリエステルの合成には、例えば、特公平8−301198号公報、特許第2543624、特許第3335683、特許第3717380、特許第3897756、特許第3962226、特許第3979866、特許第3996871、特許第4000867、特許第4053837、特許第4127119、特許第4134710、特許第4159154、特許第4269704、特許第4313538等に記載の方法を適用できる。
ポリエステルは、重合後に固相重合されていることが好ましい。これにより、好ましいカルボン酸価を達成することができる。固相重合は、連続法(タワーの中に樹脂を充満させ、これを加熱しながらゆっくり所定の時間滞流させた後、送り出す方法)でもよいし、バッチ法(容器の中に樹脂を投入し、所定の時間加熱する方法)でもよい。具体的には、固層重合には、特許第2621563、特許第3121876、特許第3136774、特許第3603585、特許第3616522、特許第3617340、特許第3680523、特許第3717392、特許第4167159等に記載の方法を適用することができる。
固相重合の温度は、170〜240℃が好ましく、より好ましくは180〜230℃であり、さらに好ましくは190〜220℃である。また、固相重合時間は、5〜100時間が好ましく、より好ましくは10〜75時間であり、さらに好ましくは15〜50時間である。固相重合は、真空中あるいは窒素雰囲気下で行なうことが好ましい。
(顔料)
本発明のポリエステルフィルムは、顔料を含有する。顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、群青、紺青、カーボンブラック等の無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の有機顔料が挙げられる。中でも、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムの白色顔料を用いることが好ましく、酸化チタンを用いることが特に好ましい。
これら顔料は、入射する太陽光等の光を散乱させ、ケテンイミン化合物が持つ特有の黄色味を隠蔽(低減)する働きをする。中でも、酸化チタンは、より効果的に光を散乱させることができ、隠蔽率が高いため、好ましく用いられる。
また、本発明のポリエステルフィルムを太陽電池モジュール用のバックシートに用いる場合、入射する太陽光を反射する反射層として着色層を構成する観点からも、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の白色顔料が好ましく用いられる。
さらに、顔料は、ケテンイミン化合物とポリエステルの末端カルボキシル基が反応することにより生成されるケテン化合物の揮散を抑制する働きもする。これは、顔料の粒子表面にケテン化合物が吸着されることによって、ケテン化合物がポリエステルフィルム外に揮散しなくなるものと考えられる。このため、顔料としては、ケテン化合物との吸着性がよいものが特に好ましく用いられる。
このように、ケテン化合物の揮散が抑えられると、製造工程においてケテン化合物を含むガスの発生を抑制することができ、製造工程における作業環境を良好にすることができる。
顔料の平均粒径は、体積平均粒径で0.03〜0.8μmであることが好ましく、0.15〜0.5μmであることがより好ましい。平均粒径を上記範囲内とすることにより、光の反射効率を高めることができる。なお、平均粒径は、レーザー解析/散乱式粒子径分布測定装置LA950〔(株)堀場製作所製〕により測定される値である。
顔料は、ポリエステルの総量に対して、1〜10質量%となるように添加することが好ましく、2〜9質量%となるように添加することがより好ましく、3〜8質量%となるように添加することがさらに好ましい。なお、顔料は製膜したポリエステルフィルム中のポリエステルに対して、上記範囲内となるように含有されることが好ましい。このように、顔料の添加率を上記範囲内とすることにより、ポリエステルフィルムの黄着色を低減することができる。さらに、上記範囲内となるように顔料を添加することにより、ケテン化合物が揮散することも抑制することができる。
(ケテンイミン化合物)
本発明のポリエステルフィルムは、ケテンイミン化合物を含有する。ケテンイミン化合物は単独で用いても良く、カルボジイミド化合物などの他の末端封止剤と併用しても良い。
ケテンイミン化合物としては、下記一般式(1)で表されるケテンイミン化合物を用いることが好ましい。以下、下記一般式(1)で表されるケテンイミン化合物について説明する。
Figure 0005889776
ここで、一般式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立にアリール基、アリールオキシ基、アリールアミノカルボニル基、またはアリールオキシカルボニル基を表し、R3はアルキル基またはアリール基を表す。
1およびR2で表されるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜12のアリール基であることがより好ましい。R1およびR2が表すアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などを挙げることができ、その中でもフェニル基が特に好ましい。
アリール基にはヘテロアリール基が含まれるものとする。ヘテロアリール基とは、芳香族性を示す5員、6員又は7員の環又はその縮合環の環構成原子の少なくとも1つがヘテロ原子に置換されたものをいう。ヘテロアリール基としては、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、チエニル基、ベンズオキサゾリル基、インドリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、カルバゾリル基、アゼピニル基を例示することができる。ヘテロアリール基に含まれるヘテロ原子は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子であることが好ましく、中でも、酸素原子または窒素原子であることが好ましい。
1およびR2が表すアリール基またはヘテロアリール基はさらに置換基を有していてもよく、ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されない。なお、R1およびR2が表すアリール基またはヘテロアリール基の炭素数は、置換基を含まない炭素数を示す。
1およびR2で表されるアリールオキシ基は、炭素数6〜20のアリールオキシ基であることが好ましく、炭素数6〜12のアリールオキシ基であることがより好ましい。R1およびR2が表すアリールオキシ基のアリール部としては、上述したアリール基またはヘテロアリール基の例を挙げることができる。R1およびR2が表すアリールオキシ基はさらに置換基を有していてもよく、ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されない。なお、R1およびR2が表すアリールオキシ基の炭素数は、置換基を含まない炭素数を示す。
1およびR2で表されるアリールアミノカルボニル基は、炭素数6〜20のアリールアミノカルボニル基であることが好ましい。炭素数6〜20のアリールアミノカルボニル基のアリールアミノ部の好ましい例としては、R1およびR2が表すアリール基の末端に−NH−が連結した基を挙げることができる。R1およびR2が表すアリールアミノカルボニル基のアリール部としては、上述したアリール基またはヘテロアリール基の例を挙げることができる。R1およびR2が表すアリールアミノカルボニル基はさらに置換基を有していてもよく、ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されない。なお、R1およびR2が表すアリールアミノカルボニル基の炭素数は、置換基を含まない炭素数を示す。
1およびR2で表されるアリールオキシカルボニル基は、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基であることが好ましく、炭素数7〜12のアリールオキシカルボニル基であることがより好ましいR1およびR2が表すアリールオキシカルボニル基のアリール部としては、上述したアリール基またはヘテロアリール基の例を挙げることができる。R1およびR2が表すアリールオキシカルボニル基はさらに置換基を有していてもよく、ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されない。なお、R1およびR2が表すアリールオキシカルボニル基の炭素数は、置換基を含まない炭素数を示す。
また、一般式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立にアリール基、アリールオキシ基、アリールアミノカルボニル基、またはアリールオキシカルボニル基を表すが、一般式(1)で表されるケテンイミン化合物と、R1およびR2がアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、またはアシル基であるケテンイミン化合物とを併用してもよい。この場合、ケテンイミン化合物の総量に対して、一般式(1)で表されるケテンイミン化合物の割合は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、100%であることが特に好ましい。
1およびR2で表されるアルキル基は、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基であることがより好ましい。R1およびR2が表すアルキル基は直鎖であっても分枝であっても環状であってもよい。R1およびR2が表すアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、iso−ペンチル基、n−ヘキシル基、sec−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、シクロヘキシル基、などを挙げることができる。中でもメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、シクロヘキシル基とすることがより好ましい。
1およびR2が表すアルキル基はさらに置換基を有していてもよい。ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されることはなく、上記の置換基を同様に例示することができる。なお、R1およびR2が表すアルキル基の炭素数は、置換基を含まない炭素数を示す。
1およびR2で表されるアルコキシ基は、炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数2〜6のアルコキシ基であることが特に好ましい。R1およびR2が表すアルコキシ基は直鎖であっても分枝であっても環状であってもよい。R1およびR2が表すアルコキシ基の好ましい例としては、R1およびR2が表すアルキル基の末端に−O−が連結した基を挙げることができる。R1およびR2が表すアルコキシ基はさらに置換基を有していてもよく、ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されない。なお、R1およびR2が表すアルコキシ基の炭素数は、置換基を含まない炭素数を示す。
1およびR2で表されるアルコキシカルボニル基は、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基であることが好ましく、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基であることがより好ましく、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基であることが特に好ましい。R1およびR2が表すアルコキシカルボニル基のアルコキシ部としては、上述したアルコキシ基の例を挙げることができる。R1およびR2が表すアルコキシカルボニル基はさらに置換基を有していてもよく、ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されない。なお、R1およびR2が表すアルコキシカルボニル基の炭素数は、置換基を含まない炭素数を示す。
1およびR2で表されるアミノカルボニル基は、炭素数1〜20のアルキルアミノカルボニル基であることが好ましく、炭素数2〜12のアルキルアミノカルボニル基であることがより好ましく、炭素数2〜6のアルキルアミノカルボニル基であることが特に好ましい。アルキルアミノカルボニル基のアルキルアミノ部の好ましい例としては、R1およびR2が表すアルキル基の末端に−NH−が連結した基を挙げることができる。R1およびR2が表すアルキルアミノカルボニル基はさらに置換基を有していてもよく、ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されない。なお、R1およびR2が表すアルキルアミノカルボニル基の炭素数は、置換基を含まない炭素数を示す。
1およびR2で表されるアシル基は、炭素数2〜20のアシル基であることが好ましく、炭素数2〜12のアシル基であることがより好ましく、炭素数2〜6のアシル基であることが特に好ましい。R1およびR2が表すアシル基はさらに置換基を有していてもよく、ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されない。なお、R1およびR2が表すアシル基の炭素数は、置換基を含まない炭素数を示す。
3はアルキル基またはアリール基を表す。アルキル基は、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基であることがより好ましい。R3が表すアルキル基は直鎖であっても分枝であっても環状であってもよい。R3が表すアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、iso−ペンチル基、n−ヘキシル基、sec−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、シクロヘキシル基、などを挙げることができる。中でもメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、シクロヘキシル基とすることがより好ましい。
3が表すアルキル基はさらに置換基を有していてもよい。ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されることはなく、上記の置換基を同様に例示することができる。
アリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜12のアリール基であることがより好ましい。R3が表すアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などを挙げることができ、その中でもフェニル基が特に好ましい。
アリール基にはヘテロアリール基が含まれるものとする。ヘテロアリール基とは、芳香族性を示す5員、6員又は7員の環又はその縮合環の環構成原子の少なくとも1つがヘテロ原子に置換されたものをいう。ヘテロアリール基としては、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、チエニル基、ベンズオキサゾリル基、インドリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、カルバゾリル基、アゼピニル基を例示することができる。ヘテロアリール基に含まれるヘテロ原子は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子であることが好ましく、中でも、酸素原子または窒素原子であることが好ましい。
3が表すアリール基またはヘテロアリール基はさらに置換基を有していてもよく、ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されない。
なお、一般式(1)は、繰り返し単位を含んでいてもよい。この場合、R1またはR3の少なくとも一方が繰り返し単位であり、この繰り返し単位には、ケテンイミン部が含まれることが好ましい。
ケテンイミン化合物のケテンイミンを構成する窒素原子と該窒素原子に結合している置換基を除く部分の分子量は320以上であることが好ましい。すなわち、上記一般式(1)では、R1−C(=C)−R2基の分子量は320以上であることが好ましい。ケテンイミン化合物の窒素原子と該窒素原子に結合している置換基を除く部分の分子量は、320以上であることが好ましく、500〜1500であることがより好ましく、600〜1000であることがさらに好ましい。
このように、ケテンイミンを構成する窒素原子と該窒素原子に結合している置換基を除く部分の分子量を上記範囲内とすることにより、ケテンイミン化合物やケテン化合物をポリエステルフィルム中に安定して存在させることができる。また、ケテンイミン化合物をある程度の分子量とすることにより、ポリエステルフィルムの製膜工程等において、ケテン化合物が揮散することを抑制するだけではなく、ケテンイミン化合物の揮散も抑制することができる。
また、分子量を上記範囲内とすることにより、ポリエステルフィルムの上に易接着層を積層した場合に、易接着層との密着性を高めることができる。これは、ケテンイミン化合物が一定範囲の分子量を有することで、ポリエステル末端を嵩高くすることができ、このポリエステル末端が易接着層に拡散し投錨効果を発揮するためである。
また、ケテンイミン化合物としては、下記一般式(2)で表されるケテンイミン化合物を用いることが好ましい。以下、下記一般式(2)で表されるケテンイミン化合物について説明する。
Figure 0005889776
ここで一般式(2)中、R11〜R20は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表す。なお、R11〜R20は互いに結合して環を形成してもよい。R3はアルキル基またはアリール基を表す。
一般式(2)中、R11〜R20は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表し、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましく、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、水素原子が特に好ましい。
11〜R20が表すアルキル基は、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基であることがより好ましく、炭素数2〜6のアルキル基であることが特に好ましい。R11〜R20が表すアルキル基は直鎖であっても分枝であっても環状であってもよい。R11〜R20が表すアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、iso−ペンチル基、n−ヘキシル基、sec−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、シクロヘキシル基、などを挙げることができる。中でもメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、シクロヘキシル基とすることがより好ましい。
11〜R20が表すアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜12のアリール基であることがより好ましく、炭素数6のアリール基であることが特に好ましい。R11〜R20が表すアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などを挙げることができ、その中でもフェニル基が特に好ましい。
アリール基にはヘテロアリール基が含まれるものとする。ヘテロアリール基とは、芳香族性を示す5員、6員又は7員の環又はその縮合環の環構成原子の少なくとも1つがヘテロ原子に置換されたものをいう。ヘテロアリール基としては、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、チエニル基、ベンズオキサゾリル基、インドリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、カルバゾリル基、アゼピニル基を例示することができる。ヘテロアリール基に含まれるヘテロ原子は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子であることが好ましく、中でも、酸素原子または窒素原子であることが好ましい。
11〜R20が表すアルコキシ基は、炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数2〜6のアルコキシ基であることが特に好ましい。R1およびR5が表すアルコキシ基は直鎖であっても分枝であっても環状であってもよい。R11〜R20が表すアルコキシ基の好ましい例としては、R11〜R20が表すアルキル基の末端に−O−が連結した基を挙げることができる。
11〜R20が表すアルキル基、アリール基またはアルコキシ基はさらに置換基を有していてもよく、該置換基としては特に制限されるものではない。
一般式(2)中、R11〜R20は互いに結合して環を形成してもよい。このときに形成される環は特に制限はないが、芳香族環であることが好ましい。例えば、R11〜R15の2以上が互いに結合して縮合環を形成してもよく、R11〜R15が置換しているベンゼン環とともに炭素数10以上のアリーレン基やヘテロアリーレン基を形成してもよい。このときに形成される炭素数10以上のアリーレン基としては、ナフタレンジイル基などの炭素数10〜15の芳香族基が挙げられる。
同様に、例えば、R16〜R20の2以上が互いに結合して縮合環を形成してもよく、R16〜R20が置換しているベンゼン環とともに炭素数10以上のアリーレン基やヘテロアリーレン基を形成してもよく、そのときの好ましい範囲はR16〜R20が置換しているベンゼン環とともに炭素数10以上のアリーレン基やヘテロアリーレン基を形成するときの好ましい範囲と同様である。
但し、本発明のケテンイミン化合物は、上記一般式(2)中、R11〜R20は互いに結合して環を形成しないことが好ましい。
ケテンイミン化合物としては、下記一般式(3)で表されるケテンイミン化合物を用いてもよい。以下、下記一般式(3)で表されるケテンイミン化合物について説明する。
Figure 0005889776
ここで一般式(3)中、R1はアリール基、アリールオキシ基、アリールアミノカルボニル基、またはアリールオキシカルボニル基であることが好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基またはアシル基としてもよい。R2は置換基としてL1を有するアリール基、アリールオキシ基、アリールアミノカルボニル基、またはアリールオキシカルボニル基であることが好ましく、置換基としてL1を有するアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基またはアシル基としてもよい。R3はアルキル基またはアリール基を表す。nは1〜4の整数を表し、L1はn価の連結基を表す。(R1−C(=C)−R2−)n−L1基の分子量は320以上であることが好ましい。
一般式(3)中、R1は、一般式(1)におけるそれと同意であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(3)中、R2は、n価の連結基であるL1を有するアリール基、アリールオキシ基、アリールアミノカルボニル基、またはアリールオキシカルボニル基であることが好ましく、置換基としてL1を有するアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基またはアシル基としてもよい。アリール基、アリールオキシ基、アリールアミノカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基またはアシル基としては、一般式(1)におけるそれと同意であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(3)中、R3は、一般式(1)におけるそれと同意であり、好ましい範囲も同様である。
1はn価の連結基を表し、ここで、nは1〜4の整数を表す。中でも、nは2〜4であることが好ましい。
二価の連結基の具体例としては、例えば、−NR8−(R8は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を表し、水素原子が好ましい)で表される基、−SO2−、−CO−、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルケニレン基、アルキニレン基、置換もしくは無置換のフェニレン基、置換もしくは無置換のビフェニレン基、置換もしくは無置換のナフチレン基、−O−、−S−および−SO−ならびにこれらを2つ以上組み合わせて得られる基が挙げられる。
三価の連結基の具体例としては、例えば、二価の連結基の例として挙げた連結基のうち置換基を有するものから1つの水素原子を取り除いた基が挙げられる。
四価の連結基の具体例としては、例えば、例えば、二価の連結基の例として挙げた連結基のうち置換基を有するものから2つの水素原子を取り除いた基が挙げられる。
本発明では、nを2〜4とすることにより、ケテンイミン部を一分子中に2以上有する化合物とすることができ、より優れた末端封止効果を発揮することができる。また、ケテンイミン部を一分子中に2以上有する化合物とすることにより、ケテンイミン基当たりの分子量を低くすることができ、効率良くケテンイミン化合物とポリエステルの末端カルボキシル基を反応させることができる。さらに、ケテンイミン部を一分子中に2以上有することにより、ケテンイミン化合物やケテン化合物が揮散することを抑制することができる。
一般式(3)中、nは3または4であることがより好ましい。nを3または4とすることにより、ケテンイミン部を一分子中に3または4有する化合物とすることができ、より優れた末端封止効果を発揮することができる。
ケテンイミン化合物としては、下記一般式(4)で表されるケテンイミン化合物を用いてもよい。以下、下記一般式(4)で表されるケテンイミン化合物について説明する。
Figure 0005889776
一般式(4)中、R1およびR5はアリール基、アリールオキシ基、アリールアミノカルボニル基、またはアリールオキシカルボニル基であることが好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基またはアシル基としてもよい。R2およびR4は置換基としてL2を有するアリール基、アリールオキシ基、アリールアミノカルボニル基、またはアリールオキシカルボニル基であることが好ましく、置換基としてL2を有するアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基またはアシル基としてもよい。R3およびR6はアルキル基またはアリール基を表す。L2は単結合または二価の連結基を表す。R1−C(=C)−R2−L2−R4―C(=C)−R5基の分子量は320以上であることが好ましい。
一般式(4)中、R1は、一般式(1)におけるそれと同意であり、好ましい範囲も同様である。また、R5は、一般式(1)におけるR1と同意であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(4)中、R2は、一般式(3)におけるそれと同意であり、好ましい範囲も同様である。また、R4は、一般式(3)におけるR2と同意であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(4)中、R3は、一般式(1)におけるそれと同意であり、好ましい範囲も同様である。また、R6は、一般式(1)におけるR3と同意であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(4)中、L2は、単結合または二価の連結基を表す。二価の連結基の具体例としては、一般式(3)のL1で例示した連結基を挙げることができる。
本発明のケテンイミン化合物は、ケテンイミン基を少なくとも1つ有する化合物であり、例えば、J.Am.Chem.Soc.,1953,75(3),pp 657−660記載の方法などを参考にして合成することができる。
下記に一般式(1)の好ましい具体例を示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 0005889776
Figure 0005889776
ケテンイミン化合物は、ポリエステルに対して、0.05〜5質量%となるように添加することが好ましく、0.1〜3質量%となるように添加することがより好ましく、0.2〜2質量%となるように添加することがさらに好ましい。このように、ケテンイミン化合物の添加率を上記範囲内とすることにより、ポリエステルフィルムの耐加水分解性を効果的に高めることができる。
本発明のポリエステルフィルムは、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、本発明のケテンイミン化合物以外のケテンイミン化合物を含むことを拒むものではないが、本発明のポリエステルフィルム中に含まれるケテンイミン化合物の90%以上が本発明のケテンイミン化合物であることが好ましく、95%以上が本発明のケテンイミン化合物であることがより好ましく、100%が本発明のケテンイミン化合物であることが特に好ましい。
ケテンイミン化合物は、添加量の5〜99%、好ましくは10〜90%、更に好ましくは20〜80%が反応していることが好ましい。反応率が低すぎると耐加水分解性が悪くなり、反応性が高すぎると増粘して製膜が困難になることがある。
ケテンイミン化合物の反応率は、ポリエステルフィルムのIRスペクトルから得ることができ、2000cm-1のピークから算出できる。
(ポリエステルフィルムの製造方法)
以下において、本発明のポリエステルフィルムの製造方法の各工程について詳細に説明する。
<フィルム形成工程>
フィルム形成工程においては、本発明で用いられるポリエステルと、上述したケテンイミン化合物と、顔料を含む混合物を溶融させた溶融体を流涎して冷却固化させることで、未延伸フィルムを製膜することができる。
溶融の際の溶融温度は、120〜350℃であることが好ましく、150〜320℃であることがより好ましく、180〜300℃であることがさらに好ましい。溶融温度を上記範囲内とすることにより、ポリエステル、ケテンイミン化合物および顔料の各々の反応性を高めることができる。
溶融体は、ギアポンプや濾過器を通すことが好ましく、濾過器を通った溶融体は、ダイを介して冷却ロールに押出され、冷却固化される。なお、押出された溶融体は、静電印加法を用いて冷却ロールに密着させることができる。この際、冷却ロールの表面温度は、おおよそ10℃〜40℃とすることが好ましい。
<延伸工程>
フィルム形成工程によって形成された未延伸フィルムは、延伸工程において、延伸処理を施すことができる。延伸工程においては、冷却ロールで冷却固化させた未延伸フィルムを1軸方向または2軸方向に延伸することが好ましく、2軸方向に延伸することがより好ましい。2軸方向への延伸(2軸延伸)は、長手方向(MD:Machine Direction)の延伸(以下「縦延伸」ともいう)及び幅方向(TD:Transverse Direction)の延伸(以下、「横延伸」ともいう)であることが好ましい。当該縦延伸、横延伸は各々1回で行っても良く、複数回に亘って実施しても良く、同時に縦、横に延伸してもよい。
延伸処理は、フィルムのガラス温度(Tg)℃〜(Tg+60)℃で行うのが好ましく、より好ましくはTg+3℃〜Tg+40℃、さらに好ましくはTg+5℃〜Tg+30℃である。
好ましい延伸倍率は少なくとも一方に280%〜500%、より好ましくは300%〜480%、さらに好ましくは320%〜460%である。2軸延伸の場合、縦、横均等に延伸してもよいが、一方の延伸倍率を他方より大きくし不均等に延伸するほうがより好ましい。縦(MD)、横(TD)いずれを大きくしてもよい。ここで云う延伸倍率は、以下の式を用いて求めたものである。
延伸倍率(%)=100×(延伸後の長さ)/(延伸前の長さ)
2軸延伸処理は、例えば、フィルムのガラス転移温度である(Tg1)℃〜(Tg1+60)℃で長手方向に1回もしくは2回以上、合計の倍率が3倍〜6倍になるよう延伸し、その後、(Tg1)℃〜(Tg+60)℃で幅方向に倍率が3〜5倍になるよう施すことができる。
2軸延伸処理は出口側の周速を速くした2対以上のニップロールを用いて、長手方向に延伸することができ(縦延伸)、フィルムの両端をチャックで把持しこれを直交方向(長手方向と直角方向)に広げておこなうことができる(横延伸)。
延伸工程においては、延伸処理の前又はその後、好ましくは延伸処理後に、フィルムに熱処理を施すことができる。熱処理を施すことによって、微結晶を生成し、力学特性や耐久性を向上させることができる。180℃〜210℃程度(更に好ましく185℃
〜210℃)で1秒間〜60秒間(更に好ましくは2秒間〜30秒間)の熱処理をフィルムに施してもよい。
延伸工程においては、熱処理後、熱緩和処理を施すことができる。熱緩和処理とは、フィルムに対して応力緩和のために熱を加えて、フィルムを収縮させる処理である。熱緩和処理は、フィルムのMD及びTDの両方向に施すことが好ましい。熱緩和処理における諸条件は、熱処理温度より低い温度で処理することが好ましく、130℃〜205℃が好ましい。また、熱緩和処理は、フィルムの熱収縮率(150℃)がMD及びTDがいずれも1〜12%であることが好ましく、1〜10%が更に好ましい。尚、熱収縮率(150℃)は、測定方向350mm、幅50mmのサンプルを切り出し、サンプルの長手方向の両端近傍300mm間隔に標点を付け、150℃の温度に調整されたオーブンに一端を固定、他端をフリーで30分間放置し、その後、室温で標点間距離を測定し、この長さをL(mm)とし、かかる測定値を用いて、下記式にて熱収縮率を求めることができる。
150℃熱収縮率(%)=100×(300−L)/300
また、熱収縮率が正の場合は縮みを、負は伸びを表わす。
以上説明したように、上述の方法によって、黄着色が低減されたポリエステルフィルムを作製することができる。本発明のポリエステルフィルムは、後述するように太陽電池モジュールの保護シート(太陽電池モジュール用バックシート)として好適に用いることができるのみならず、他の用途にも用いることができる。
また、本発明のフィルムは、その上に塗布層を設けた積層体として用いることもできる。
(太陽電池モジュール用バックシート)
本発明の太陽電池モジュール用バックシートは、上述したポリエステルフィルムを含むことを特徴とする。本発明のポリエステルフィルムは、黄着色が低減されているため、太陽電池モジュール用バックシートに用いた場合であっても、太陽電池モジュール用の意匠性を損ねることがない。
本発明の太陽電池モジュール用バックシートには、例えば、1軸延伸後及び/又は2軸延伸後のポリエステルフィルムに下記の機能性層を塗設してもよい。塗設には、ロールコート法、ナイフエッジコート法、グラビアコート法、カーテンコート法等の公知の塗布技術を用いることができる。
また、これらの塗設前に表面処理(火炎処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理等)を実施してもよい。さらに、粘着剤を用いて貼り合わせることも好ましい。
<易接着性層>
本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池素子が封止材で封止された電池側基板の該封止材と向き合う側に、易接着性層を有していることが好ましい。封止材(特にエチレン−酢酸ビニル共重合体)を含む被着物(例えば太陽電池素子が封止材で封止された電池側基板の封止材の表面)に対して接着性を示す易接着性層を設けることにより、バックシートと封止材との間を強固に接着することができる。具体的には、易接着性層は、特に封止材として用いられるEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)との接着力が10N/cm以上、好ましくは20N/cm以上であることが好ましい。
さらに、易接着性層は、太陽電池モジュールの使用中にバックシートの剥離が起こらないことが必要であり、そのために易接着性層は高い耐加水分解性を有することが望ましい。易接着層には、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリオレフィン等のバインダーや、微粒子、架橋剤、添加剤を含有することができる。
本発明における易接着性層の形成方法としては、易接着性を有するポリマーシートをポリエステルフィルムに貼合する方法や塗布による方法があるが、塗布による方法は、簡便でかつ均一性の高い薄膜での形成が可能である点で好ましい。塗布方法としては、例えば、グラビアコーターやバーコーターなどの公知の方法を利用することができる。塗布に用いる塗布液の溶媒には、水を用いても良く、トルエンやメチルエチルケトンのような有機溶媒を用いても良い。溶媒は、1種類を単独で用いても良く、2種類以上を混合して用いても良い。
また、易接着性層を塗布により形成する場合は、熱処理後の乾燥ゾーンにおいて塗布層の乾燥と熱処理を兼ねることが好ましい。なお、後述する反射層(着色層)やその他の機能性層を塗布により形成する場合も同様である。
易接着性層の厚みには特に制限はないが、通常は0.05〜8μmが好ましく、より好ましくは0.1〜5μmの範囲である。易接着性層の厚みは、0.05μm以上であることで必要とする易接着性が得られやすく、8μm以下であることで面状をより良好に維持することができる。
また、本発明における易接着性層は、透明性を有していることが好ましい。
<反射層(着色層)>
本発明のポリエステルフィルムは、反射層(着色層)としての機能を発揮することもできるが、太陽電池モジュール用バックシートはさらに機能層として反射層(着色層)を有してもよい。着色層は、ポリエステルフィルムの表面に接触させて、あるいは他の層を介して配置される層であり、顔料やバインダーを用いて構成することができる。
着色層の第一の機能は、入射光のうち太陽電池セルで発電に使われずにバックシートに到達した光を反射させて太陽電池セルに戻すことにより、太陽電池モジュールの発電効率を上げることにある。第二の機能は、太陽電池モジュールをオモテ面側から見た場合の外観の装飾性を向上することにある。一般に太陽電池モジュールをオモテ面側から見ると、太陽電池セルの周囲にバックシートが見えており、バックシートに着色層を設けることにより装飾性を向上させることができる。
顔料としては、上述した顔料を挙げることができ、好ましい顔料も同様である。
また、着色層に好適なバインダーとしては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリオレフィン等を用いることができる。バインダーは、耐久性の観点から、アクリル樹脂、ポリオレフィンが好ましい。また、アクリル樹脂として、アクリルとシリコーンとの複合樹脂も好ましい。好ましいバインダーの例として、以下のものが挙げられる。
前記ポリオレフィンの例としては、ケミパールS−120、同S−75N(ともに三井化学(株)製)などが挙げられる。前記アクリル樹脂の例としては、ジュリマーET−410、SEK−301(ともに日本純薬工業(株)製)などが挙げられる。前記アクリルとシリコーンとの複合樹脂の例としては、セラネートWSA1060、WSA1070(ともにDIC(株)製)、H7620、H7630、H7650(ともに旭化成ケミカルズ(株)製)等を挙げることができる。
本発明における着色層には、バインダー及び顔料以外に、必要に応じて、さらに架橋剤、界面活性剤、フィラー等を添加してもよい。
<下塗り層>
本発明のポリエステルフィルムには、下塗り層を設けることができる。下塗り層は、例えば、着色層が設けられるときには、着色層とポリエステルフィルムとの間に下塗り層を設けてもよい。下塗り層は、バインダー、架橋剤、界面活性剤等を用いて構成することができる。
下塗り層中に含有するバインダーとしては、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリオレフィン等が挙げられる。下塗り層には、バインダー以外にエポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤、アニオン系やノニオン系等の界面活性剤、シリカ等のフィラーなどを添加してもよい。
<防汚層(フッ素系樹脂層・ケイ素系樹脂層)>
本発明のポリエステルフィルムには、フッ素系樹脂層及びケイ素系(Si系)樹脂層の少なくとも一方を防汚層として設けることが好ましい。フッ素系樹脂層やSi系樹脂層を設けることで、ポリエステル表面の汚れ防止、耐候性向上が図れる。具体的には、特開2007−35694号公報、特開2008−28294号公報、WO2007/063698明細書に記載のフッ素樹脂系塗布層を有していることが好ましい。
また、テドラー(DuPont社製)等のフッ素系樹脂フィルムを張り合わせることも好ましい。
[太陽電池モジュール]
本発明の太陽電池モジュールは、本発明のポリエステルフィルムまたは本発明の太陽電池モジュール用バックシートを含むことを特徴とする。
本発明の太陽電池モジュールは、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池素子を、太陽光が入射する透明性の基板と既述の本発明のポリエステルフィルム(太陽電池用バックシート)との間に配置して構成されている。基板とポリエステルフィルムとの間は、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体等の樹脂(いわゆる封止材)で封止して構成することができる。
太陽電池モジュール、太陽電池セル、バックシート以外の部材については、例えば、「太陽光発電システム構成材料」(杉本栄一監修、(株)工業調査会、2008年発行)に詳細に記載されている。
透明性の基板は、太陽光が透過し得る光透過性を有していればよく、光を透過する基材から適宜選択することができる。発電効率の観点からは、光の透過率が高いものほど好ましく、このような基板として、例えば、ガラス基板、アクリル樹脂などの透明樹脂などを好適に用いることができる。
太陽電池素子としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン系、銅−インジウム−ガリウム−セレン、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルル、ガリウム−砒素などのIII−V族やII−VI族化合物半導体系など、各種公知の太陽電池素子を適用することができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
本発明の一般式(1)で表されるケテンイミン化合物であって、以下の構造のケテンイミン化合物を末端封止剤として、各実施例に用いた。
Figure 0005889776
上記のケテンイミン化合物は以下の方法によって合成した。
[合成例1]
(ケテンイミン(1)の合成)
<ケチミン体(1)の合成>
ベンゾフェノン 91g(0.50mol)、p−フェニレンジアミン 27g(0.25mol)、DABCO 112g(1.0mol)、クロロベンゼン1.5Lを三つ口フラスコに仕込み125℃で1時間攪拌した後、四塩化チタン 95g(0.5mol)をゆっくり添加した。4時間攪拌した後、沈殿物を濾過し、ろ液を濃縮後した。濃縮して得た固体をメタノールで洗浄し、黄色粉末のケチミン体(1)86g(0.2mol)を得た。
<アジリジン体(1)の合成>
ケチミン体(1) 44g(0.1mol)、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド 2g、クロロホルム300mlを三つ口フラスコに仕込み、攪拌しながら60℃の50%水酸化ナトリウム水溶液200gを一気に加え、内温が40〜50℃で1時間攪拌した。純水300ml、クロロホルム500mlを加えて水層を除去した後、濃縮し、MEKで洗浄し、アジリジン体(1)30g(0.05mol)を得た。
<ケテンイミン体(1)の合成>
アジリジン体(1)30g(0.05mol)、ヨウ化ナトリウム135g、アセトン700mlをフラスコに仕込み、2時間還流した。冷却後、4%チオ硫酸ナトリウム水溶液1.4Lに添加して30分攪拌した。析出した固体を濾過してメタノールで洗浄し、黄色固体23g(0.05mol)を得た。
1H−NMR(DMSO) δ(ppm); 7.2―7.6(24H)
[合成例2]
(ケテンイミン(2)の合成)
<メシル体(2)の合成>
ネオペンチルグリコール 100g(0.96mol)、メタンスルホニルクロリド242g(2.11mol)、酢酸エチル900mlを三つ口フラスコに仕込み、0〜10℃でトリエチルアミン214g(2.11mol)をゆっくり滴下し、室温で1時間攪拌した。純水500mlを加え、水層を除去した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過した後、ろ液を濃縮してメシル体(2)234g(0.90mol)を得た。
<ベンゾフェノン体(2)の合成>
4−ヒドロキシベンゾフェノン 147g(0.744mol)、メシル体(2) 80.6g(0.31mol)、炭酸カリウム 308g(2.23mol)、DMF 1.3Lをフラスコに仕込み、16時間120℃で攪拌した。反応後冷却し、純水10Lに反応液を添加し30分攪拌した後、減圧濾過し、メタノールで洗浄することで、ベンゾフェノン体(2)90g(0.194mol)を得た。
<ケチミン体(2)の合成>
ベンゾフェノン体(2) 82g(0.177mol)、アニリン 49g(0.53mol)、DABCO 119g(1.06mol)、クロロベンゼン3.0Lを三つ口フラスコに仕込み125℃で1時間攪拌した後、四塩化チタン 67g(0.353mol)をゆっくり添加した。4時間攪拌した後、沈殿物を濾過し、ろ液を濃縮後した。濃縮して得た固体をメタノールで洗浄し、黄色粉末のケチミン体(2)103g(0.17mol)を得た。
<アジリジン体(2)の合成>
ケチミン体(2) 88g(0.143mol)、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド 4.0g、クロロホルム 600mlを三つ口フラスコに仕込み、攪拌しながら60℃の50%水酸化ナトリウム水溶液400gを一気に加え、内温が40〜50℃で1時間攪拌した。純水800ml、クロロホルム1200mlを加えて水層を除去した後、濃縮し、アジリジン体(2)111g(0.14mol)を得た。
<ケテンイミン体(2)の合成>
アジリジン体(2)111g(0.14mol)、ヨウ化ナトリウム428g、アセトン2.0Lをフラスコに仕込み、2時間還流した。冷却後、4%チオ硫酸ナトリウム水溶液4.2Lに添加して30分攪拌した。析出した固体を濾過しカラム精製してケテンイミン体(2)63.8g(0.1mol)得た。
1H−NMR(DMSO) δ(ppm); 1.1(6H)、3.85(4H)、7.0−7.6(28H)
[合成例3]
(ケテンイミン(3)の合成)
<メシル体(3)の合成>
トリメチロールプロパン 100g(0.75mol)、メタンスルホニルクロリド282g(2.46mol)、酢酸エチル900mlを三つ口フラスコに仕込み、0−10℃でトリエチルアミン249g(2.46mol)をゆっくり滴下し、室温で1時間攪拌した。純水500mlを加え、水層を除去した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過した後、ろ液を濃縮し、メシル体(3)2002g(0.55mol)を得た。
<ベンゾフェノン体(3)の合成>
4−ヒドロキシベンゾフェノン 151g(0.76mol)、メシル体(3) 77g(0.21mol)、炭酸カリウム 315g(2.28mol)、DMF 1.3Lをフラスコに仕込み、16時間120℃で攪拌した。反応後冷却し、純水10Lに反応液を添加し30分攪拌した後、減圧濾過し、メタノールで洗浄することでベンゾフェノン体(3)110g(0.163mol)を得た。
<ケチミン体(3)の合成>
ベンゾフェノン体(3) 100g(0.148mol)、アニリン 62g(0.67mol)、DABCO 150g(1.34mol)、クロロベンゼン3.8Lを三つ口フラスコに仕込み125℃で1時間攪拌した後、四塩化チタン 84g(0.453mol)をゆっくり添加した。4時間攪拌した後、沈殿物を濾過し、ろ液を濃縮後した。濃縮して得た固体をメタノールで洗浄し、黄色粉末のケチミン体(3)126g(0.14mol)を得た。
<アジリジン体(3)の合成>
ケチミン体(2) 88g(0.143mol)、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド 4.0g、クロロホルム 600mlを三つ口フラスコに仕込み、攪拌しながら60℃の50%水酸化ナトリウム水溶液400gを一気に加え、内温が40〜50℃で1時間攪拌した。純水800ml、クロロホルム1200mlを加えて水層を除去した後、濃縮し、アジリジン体(2)111g(0.14mol)を得た。
<ケテンイミン体(2)の合成>
アジリジン体(2)111g(0.14mol)、ヨウ化ナトリウム428g、アセトン2.0Lをフラスコに仕込み、2時間還流した。冷却後、4%チオ硫酸ナトリウム水溶液4.2Lに添加して30分攪拌した。析出した固体を濾過しカラム精製してケテンイミン体(2)63.8g(0.1mol)得た。
1H−NMR(DMSO) δ(ppm); 1.10(3H)、2.90(2H)、3.85(6H)、7.0−7.6(42H)
[合成例4]
(ケテンイミン(4)の合成)
<ベンゾフェノン体(4)の合成>
4−ヒドロキシベンゾフェノン 335g(1.69mol)、テトラブロモペンタエリスリトール 135g(0.35mol)、炭酸カリウム 691g(5.0mol)、DMF 3.0Lをフラスコに仕込み、6時間120℃で攪拌した。反応後冷却し、純水10Lに反応液を添加し30分攪拌した後、減圧濾過しベンゾフェノン体(4) 300g(1.69mol)を得た。
<ケチミン体(4)の合成>
ベンゾフェノン体(4) 109g(0.127mol)、アニリン 70.8g(0.762mol)、DABCO 229.6g(1.546mol)、クロロベンゼン3.0Lを三つ口フラスコに仕込み125℃で1時間攪拌した後、四塩化チタン 99g(0.51mol)をゆっくり添加した。4時間攪拌した後、沈殿物を濾過し、ろ液を濃縮後した。濃縮して得た固体をメタノールで洗浄し、黄色粉末のケチミン体(4)135g(0.117mol)を得た。
<アジリジン体(4)の合成>
ケチミン体(4) 43g(0.0375mol)、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド 1.5g、クロロホルム 230mlを三つ口フラスコに仕込み、攪拌しながら60℃の50%水酸化ナトリウム水溶液150gを一気に加え、内温が40〜50℃で1時間攪拌した。純水300ml、クロロホルム450mlを加えて水層を除去した後、濃縮し、アジリジン体(4)41g(0.0276mol)を得た。
<ケテンイミン体(4)の合成>
アジリジン体(4)41g(0.0276mol)、ヨウ化ナトリウム170g、アセトン900mlをフラスコに仕込み、2時間還流した。冷却後、4%チオ硫酸ナトリウム水溶液1.7Lに添加して30分攪拌した。析出した固体を濾過しカラム精製してケテンイミン体(4)24g(0.02mol)得た。
1H−NMR(DMSO) δ(ppm); 4.34(8H)、7.0―7.5(56H)
[合成例5]
(ケテンイミン(5)の合成)
ケチミン体(5)の合成時、アニリンをo―トルイジンに変更した以外は、ケテンイミン(4)と同様に合成した。
[合成例6]
(ケテンイミン(6)の合成)
<ベンゾフェノン体(6)の合成>
ジフェニルエーテル250g(1.47mol)、クロロベンゼン3.0Lを三つ口フラスコに仕込み、0℃に冷却して攪拌しながら塩化アルミニウム420g(3.16mol)、ベンゾイルクロライド444g(3・16mol)を加えた。2時間攪拌した後、酢酸エチル2.0L、1NHCl水15Lを加え、濾過し、純水1L、酢酸エチル1L、メタノール1Lで洗浄し、ベンゾフェノン体(6)495gを得た。
<ケチミン体(6)の合成>
ベンゾフェノン体(6) 134g(0.354mol)、アニリン 99g(1.06mol)、DABCO 238g(2.12mol)、クロロベンゼン3.0Lを三つ口フラスコに仕込み125℃で1時間攪拌した後、四塩化チタン 13.4g(0.7mol)をゆっくり添加した。4時間攪拌した後、沈殿物を濾過し、ろ液を濃縮後した。濃縮して得た固体をメタノールで洗浄し、黄色粉末のケチミン体(6)184.9g(0.35mol)を得た。
<アジリジン体(6)の合成>
ケチミン体(6) 120g(0.227mol)、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド 2.9g、クロロホルム 1.2Lを三つ口フラスコに仕込み、攪拌しながら60℃の50%水酸化ナトリウム水溶液720gを一気に加え、内温が40〜50℃で1時間攪拌した。純水1.4ml、クロロホルム1.8Lを加えて水層を除去した後、濃縮し、アジリジン体(6)152.3g(0.227mol)を得た。
<ケテンイミン体(6)の合成>
アジリジン体(6)60g(0.087mol)、亜鉛粉末20g、THF800mlをフラスコに仕込んだ。0℃に冷却し攪拌しながら、濃塩酸0.9mlを3回に別けて加えた。30分攪拌した後、メタノール4Lに反応液を添加し、析出した固体を濾過しケテンイミン体(6)44g(0.08mol)を得た。
1H−NMR(DMSO) δ(ppm); 7.12(4H)、7.25―7.6(24H)
[合成例7]
(ケテンイミン(7)の合成)
ケチミン体(7)の合成時、アニリンを2,6−ジメチルアニリン変更した以外は、ケテンイミン(6)と同様に合成した。
(実施例1〜17、比較例1〜3)
実施例1〜17および比較例1〜3のポリエステルフィルムを下記の方法により作製した。ケテンイミン化合物または顔料の種類および添加量は表1の通りとした。
[ポリエステルフィルムの作製]
−工程(A)−
高純度テレフタル酸4.7トンとエチレングリコール1.8トンとを90分間かけて混合してスラリーを形成し、3800kg/hの流量で連続的に第一エステル化反応槽に供給した。次いで、クエン酸がTi金属に配位したクエン酸キレートチタン錯体(「VERTEC AC−420」、ジョンソン・マッセイ社製)のエチレングリコール溶液を連続的に第一エステル化反応槽に供給し、反応槽内温度250℃として攪拌しながら平均滞留時間約4.4時間で反応を行なってオリゴマーを得た。この際、クエン酸キレートチタン錯体は、Ti添加量が元素換算値で9ppmとなるように連続的に添加した。得られたオリゴマーの酸価は500eq/トンであった。
得られたオリゴマーを第二エステル化反応槽に移送し、反応槽内温度250℃・平均滞留時間1.2時間で攪拌して反応させ、酸価が180eq/トンのオリゴマーを得た。第二エステル化反応槽は内部が第1ゾーン〜第3ゾーンまでの3つのゾーンに仕切られており、第2ゾーンから酢酸マグネシウムのエチレングリコール溶液を、Mg添加量が元素換算値で75ppmになるように連続的に供給し、続いて第3ゾーンから、リン酸トリメチルのエチレングリコール溶液を、P添加量が元素換算値で65ppmになるように連続的に供給した。なお、リン酸トリメチルのエチレングリコール溶液は、25℃のエチレングリコール液に、25℃のリン酸トリメチル液を加え、25℃で2時間攪拌することにより調製した(溶液中のリン化合物含有量:3.8質量%)。
以上により、エステル化反応生成物を得た。
−工程(B)−
工程(A)で得られたエステル化反応生成物を連続的に第一重縮合反応槽に供給した。次いで、反応温度270℃・反応槽内圧力20torr(2.67×10-3MPa)でエステル化反応生成物を攪拌しながら、平均滞留時間約1.8時間で重縮合(エステル交換反応)させた。
次いで、得られた反応物を、第一重縮合反応槽から第二重縮合反応槽に移送した。その後、反応物を第二重縮合反応槽反応槽において、反応槽内温度276℃・反応槽内圧力5torr(6.67×10-4MPa)で攪拌し、滞留時間約1.2時間の条件で反応(エステル交換反応)させた。
次いで、エステル交換反応によって得られた反応物を、第二重縮合反応槽から、更に第三重縮合反応槽に移送し、この反応槽では、反応槽内温度276℃、反応槽内圧力1.5torr(2.0×10-4MPa)で攪拌しながら、滞留時間1.5時間の条件で反応(エステル交換反応)させ、カルボン酸価:22eq/ton、IV(固有粘度):0.65dl/gの反応物(ポリエチレンテレフタレート(PET))を得た。
更に、回転型真空重合装置を用いて、50Paの減圧下で、得られたPETに205℃で24時間加熱処理(固相重合)を行った。その後、真空重合装置内に、25℃の窒素ガスを流し、ペレットを25℃まで、冷却し、カルボン酸価15eq/トン、IVが0.78dl/gのPETをポリエステル1として得た。
<ポリエステル樹脂の評価>
得られたポリエステル樹脂ポリエステル1を用いて、カルボン酸価を以下に示す方法により測定した。
(樹脂の酸価(末端COOH基量))
得られたポリエステル樹脂ポリエステル1について、H.A.Pohl,Anal.Chem.26(1954)2145に記載の方法に従って、滴定法にて末端COOH基量を測定した。具体的には、ポリエステル樹脂を、ベンジルアルコールに205℃で溶解し、フェノールレッド指示薬を加え、水酸化ナトリウムの水/メタノール/ベンジルアルコール溶液で滴定を行った。
−押出成形(合成工程・フィルム形成工程)−
得られた上述のポリエステル樹脂ポリエステル1を、直径50mmの2軸混練押出し機のホッパーに、主フィーダーで投入し、副フィーダーにケテンイミン化合物と顔料を投入し、それぞれの含有率が表1となるように計量しながら、樹脂温度の最高到達温度が300℃になるよう溶融して押出した。押出した溶融体(メルト)をギアポンプ及び濾過器(孔径20μm)を通した後、ダイから20℃の冷却ロールに押出し、非晶性シートを得た。なお、押出されたメルトは、静電印加法を用い冷却ロールに密着させた。
顔料には、以下のものを各々用いた。
・酸化チタン(石原産業社製、PF−739)
・硫酸バリウム(堺化学社製、B−30)
・炭酸カルシウム(ALDRICH社製)
−延伸(2軸延伸工程)−
冷却ロール上に押出し、固化した未延伸フィルムに対し、以下の方法で逐次2軸延伸を施し、厚み250μmのポリエステルフィルムを得た。
<延伸方法>
(a)縦延伸
未延伸フィルムを周速の異なる2対のニップロールの間に通し、縦方向(搬送方向)に延伸した。なお、予熱温度を90℃、延伸温度を90℃、延伸倍率を3.5倍、延伸速度を3000%/秒として実施した。
(b)横延伸
縦延伸した前記フィルムに対し、テンターを用いて下記条件にて横延伸した。
<条件>
・予熱温度:100℃
・延伸温度:110℃
・延伸倍率:4.2倍
・延伸速度:70%/秒
−熱固定・熱緩和−
続いて、縦延伸及び横延伸を終えた後の延伸フィルムを下記条件で熱固定した。さらに、熱固定した後、テンター幅を縮め下記条件で熱緩和した。
<熱固定条件>
・熱固定温度:198℃
・熱固定時間:2秒
<熱緩和条件>
・熱緩和温度:195℃
・熱緩和率:5%
−巻き取り−
熱固定及び熱緩和の後、ポリエステルフィルムの両端を10cmずつトリミングした。その後、両端に幅10mmで押出し加工(ナーリング)を行なった後、張力25kg/mで巻き取った。なお、幅は1.5m、巻長は2000mであった。
以上のようにして、実施例1〜17および比較例1〜3のポリエステルフィルムを作製した。
以下の方法で、実施例1〜17および比較例1〜3のポリエステルフィルムを評価し、結果を表1に示した。
−ポリエステルフィルムの性能の評価−
(耐加水分解性(PCT試験))
耐加水分解性の評価は破断伸度保持率半減期で評価した。破断伸度保持率半減期は、実施例1にて得られたポリエステルフィルムに対して、120℃、相対湿度100%の条件で保存処理(加熱処理)を行い、保存後のポリエステルフィルムが示す破断伸度(%)が、保存前のポリエステルフィルムが示す破断伸度(%)に対して50%となる保存時間を測定することで評価した。得られた結果を下記表1に記載した。
5:破断伸度半減期が200時間以上
4:破断伸度半減期が170時間以上200時間未満
3:破断伸度半減期が140時間以上170時間未満
2:破断伸度半減期が110時間以上140時間未満
1:破断伸度半減期が110時間未満
破断伸度保持率半減期が長い程、ポリエステルフィルムの耐加水分解性が優れていることを示す。すなわち、本発明のポリエステルフィルムは、120℃、相対湿度100%の条件で保存処理した前後の破断伸度半減期が130時間以上であることが好ましく、160時間以上であることがより好ましい。
(色味)
着色度合いの評価は、得られたポリエステルフィルムを目視で評価した。着色評価用に膜厚300、150、100、50μmのポリエステルフィルムを作製し、黄色味を確認できる膜厚を判断基準とした。
5: いずれの膜厚でも黄色味を確認できなかった
4: 膜厚150μmと100μmと50μmは黄色味を確認できなかった
3: 膜厚100μmと50μmは黄色味を確認できなかった
2: 膜厚50μmのみ黄色味を確認できなかった
1: いずれの膜厚でも黄色味を確認できた
(揮散性)
得られたポリエステルフィルムに対して、290℃で10分の加熱処理を行い、発生したガス(ケテン化合物)を検出した。発生したガスは、フィルム中の揮散成分の量をガスクロマトグラフィ(商品名P&T−GC/MS、日本分光(株)社製)により測定し、評価した。得られた結果を下記表1に記載した。
5: 検出限界以下
4: ガス量が100ppm以下
3: ガス量が100ppm以上500ppm未満
2: ガス量が500ppm以上1000ppm未満
1: ガス量が1000ppm未満
Figure 0005889776
実施例1〜17のポリエステルフィルムは、上述した一般式(1)で表されるケテンイミン化合物と、顔料を含むため、耐加水分解性に優れており、黄着色が低減されていることがわかる。さらに、ケテン化合物の揮散も抑えられている。
一方、比較例1は、顔料を含有していないため、ポリエステルフィルムの着色が低減されておらず、ケテン化合物の揮散も確認された。
また、比較例2は、ケテンイミン化合物と顔料のどちらも含有していない。ケテンイミン化合物を含有していないため、ポリエステルフィルムの着色とケテン化合物の揮散は認められなかったが、耐加水分解性が得られていないことがわかる。
また、比較例3は、ケテンイミン化合物を含有していないため、ポリエステルフィルムの着色とケテン化合物の揮散は認められなかったが、耐加水分解性が著しく悪い。比較例2に比べて、耐加水分解性が悪いのは、これは、顔料がポリエステルフィルムの加水分解を促進しているためである。
以上のことより、本発明では、ポリエステルフィルムにケテンイミン化合物と顔料の両方を添加することにより、黄着色の低減とケテン化合物の揮散の抑制を両立できることがわかった。
本発明によれば、ケテンイミン化合物を含有したポリエステルフィルムの黄着色を低減することに加えて、ケテン化合物の揮散も抑制することができる。このため、本発明のポリエステルフィルムを用いれば、意匠性と製造適性に優れた太陽電池モジュール用バックシートを得ることができき、産業上の利用可能性が高い。

Claims (10)

  1. ポリエステルと、顔料と、下記一般式(1)で表されるケテンイミン化合物とを含むことを特徴とするポリエステルフィルム;但し、ケテンイミン化合物の含有率がポリエステルの質量に対して0.1〜5質量%であり、顔料の粒径が0.1〜10μmであり、顔料の含有率がポリエステルの質量に対して1〜10質量%であり、かつ、顔料の一部が凝集しており、その凝集率が10〜50%であるポリエステルフィルムを除く
    Figure 0005889776
    (一般式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立にアリール基、アリールオキシ基、アリールアミノカルボニル基、またはアリールオキシカルボニル基を表し、R3はアルキル基またはアリール基を表す。)
  2. 前記ケテンイミン化合物は下記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルフィルム。
    Figure 0005889776
    (一般式(2)中、R11〜R20は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはアルコキシ基を表す。R11〜R20は互いに結合して環を形成してもよい。R3はアルキル基またはアリール基を表す。)
  3. 前記顔料は、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムおよびこれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
  4. 前記顔料は、酸化チタンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
  5. 前記顔料の添加率は、前記ポリエステルの総量に対して、1〜10質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
  6. 前記ケテンイミン化合物の添加率は、前記ポリエステルの総量に対して、0.05〜5質量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
  7. 2軸延伸ポリエステルフィルムである請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリエステルフィルムを用いた太陽電池モジュール用バックシート。
  9. 請求項8に記載の太陽電池モジュール用バックシートを用いた太陽電池モジュール。
  10. ポリエステルと、下記一般式(1)で表されるケテンイミン化合物と、顔料を含む混合物を溶融させた溶融体を流涎して冷却固化させ、未延伸フィルムを得るフィルム形成工程と、
    前記未延伸フィルムを2軸方向に延伸する延伸工程とを含むことを特徴とするポリエステルフィルムの製造方法。
    Figure 0005889776
    (一般式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立にアリール基、アリールオキシ基、アリールアミノカルボニル基、またはアリールオキシカルボニル基を表し、R3はアルキル基またはアリール基を表す。)
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