JP5889776B2 - ポリエステルフィルム、太陽電池モジュール用バックシートおよび太陽電池モジュール - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、ポリエステルフィルムの耐加水分解性を高めるために、ケテンイミン化合物を用いることが可能である旨の記載があり、ポリエステルフィルムの一般的な添加剤として顔料等を添加できることが記載されている。しかし、特許文献2では、ケテンイミン化合物は、グリシジルエーテル、カルボジイミド等の他の末端封止剤の中の一つとして列挙されているのみであり、ケテンイミン化合物の具体的な開示はなく、ケテンイミン化合物をポリエステルフィルムに添加した実施例もない。また、顔料についても、多数ある添加剤の一例として列挙されているのみであり、ケテンイミン化合物と顔料を組み合わせて用いることや、組み合わせることによる効果については記載されていない。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[2]前記ケテンイミン化合物は下記一般式(2)で表されることを特徴とする[1]に記載のポリエステルフィルム。
[3]前記顔料は、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムおよびこれらの組み合わせから選択されることを特徴とする[1]または[2]に記載のポリエステルフィルム。
[4]前記顔料は、酸化チタンであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[5]前記顔料の添加率は、前記ポリエステルの総量に対して、1〜10質量%であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[6]前記ケテンイミン化合物の添加率は、前記ポリエステルの総量に対して、0.05〜5質量%であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[7]2軸延伸されたことを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載のポリエステルフィルムを用いた太陽電池モジュール用バックシート。
[9][8]に記載の太陽電池モジュール用バックシートを用いた太陽電池モジュール。
[10]ポリエステルと、下記一般式(1)で表されるケテンイミン化合物と、顔料を含む混合物を溶融させた溶融体を流涎して冷却固化させ、未延伸フィルムを得るフィルム形成工程と、
前記未延伸フィルムを2軸方向に延伸する延伸工程とを含むことを特徴とするポリエステルフィルムの製造方法。
さらに、本発明によれば、ケテンイミン化合物を含有したポリエステルフィルムからケテン化合物が揮散することを抑制することができる。
すなわち、本発明では、ケテンイミン化合物を含有したポリエステルフィルムに顔料を添加することにより、ケテンイミン化合物特有の問題である黄着色を解消できるだけでなく、ケテン化合物の揮散も抑制するという想定外の効果を得ることができる。
本発明は、ポリエステルと、顔料と、ケテンイミン化合物を含むポリエステルフィルムに関する。ケテンイミン化合物は、下記一般式(1)で表される。
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルを含む。ポリエステルの種類は特に制限されるものではなく、ポリエステルとして公知のものを使用することができる。
高分子量ジオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
芳香族ポリエステルの中で特に好ましいのは、ジカルボン酸として、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸を主成分に用いるもの、ジオールとしてエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールを主成分とするものが好ましく、より好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートであり、さらに好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートである。
本発明のポリエステルフィルムは、顔料を含有する。顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、群青、紺青、カーボンブラック等の無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の有機顔料が挙げられる。中でも、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムの白色顔料を用いることが好ましく、酸化チタンを用いることが特に好ましい。
また、本発明のポリエステルフィルムを太陽電池モジュール用のバックシートに用いる場合、入射する太陽光を反射する反射層として着色層を構成する観点からも、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の白色顔料が好ましく用いられる。
このように、ケテン化合物の揮散が抑えられると、製造工程においてケテン化合物を含むガスの発生を抑制することができ、製造工程における作業環境を良好にすることができる。
本発明のポリエステルフィルムは、ケテンイミン化合物を含有する。ケテンイミン化合物は単独で用いても良く、カルボジイミド化合物などの他の末端封止剤と併用しても良い。
ケテンイミン化合物としては、下記一般式(1)で表されるケテンイミン化合物を用いることが好ましい。以下、下記一般式(1)で表されるケテンイミン化合物について説明する。
アリール基にはヘテロアリール基が含まれるものとする。ヘテロアリール基とは、芳香族性を示す5員、6員又は7員の環又はその縮合環の環構成原子の少なくとも1つがヘテロ原子に置換されたものをいう。ヘテロアリール基としては、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、チエニル基、ベンズオキサゾリル基、インドリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、カルバゾリル基、アゼピニル基を例示することができる。ヘテロアリール基に含まれるヘテロ原子は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子であることが好ましく、中でも、酸素原子または窒素原子であることが好ましい。
R1およびR2が表すアリール基またはヘテロアリール基はさらに置換基を有していてもよく、ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されない。なお、R1およびR2が表すアリール基またはヘテロアリール基の炭素数は、置換基を含まない炭素数を示す。
R1およびR2が表すアルキル基はさらに置換基を有していてもよい。ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されることはなく、上記の置換基を同様に例示することができる。なお、R1およびR2が表すアルキル基の炭素数は、置換基を含まない炭素数を示す。
R3が表すアルキル基はさらに置換基を有していてもよい。ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されることはなく、上記の置換基を同様に例示することができる。
アリール基にはヘテロアリール基が含まれるものとする。ヘテロアリール基とは、芳香族性を示す5員、6員又は7員の環又はその縮合環の環構成原子の少なくとも1つがヘテロ原子に置換されたものをいう。ヘテロアリール基としては、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、チエニル基、ベンズオキサゾリル基、インドリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、カルバゾリル基、アゼピニル基を例示することができる。ヘテロアリール基に含まれるヘテロ原子は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子であることが好ましく、中でも、酸素原子または窒素原子であることが好ましい。
R3が表すアリール基またはヘテロアリール基はさらに置換基を有していてもよく、ケテンイミン基とカルボキシル基との反応性を低下させない限り、置換基は特に制限されない。
このように、ケテンイミンを構成する窒素原子と該窒素原子に結合している置換基を除く部分の分子量を上記範囲内とすることにより、ケテンイミン化合物やケテン化合物をポリエステルフィルム中に安定して存在させることができる。また、ケテンイミン化合物をある程度の分子量とすることにより、ポリエステルフィルムの製膜工程等において、ケテン化合物が揮散することを抑制するだけではなく、ケテンイミン化合物の揮散も抑制することができる。
また、分子量を上記範囲内とすることにより、ポリエステルフィルムの上に易接着層を積層した場合に、易接着層との密着性を高めることができる。これは、ケテンイミン化合物が一定範囲の分子量を有することで、ポリエステル末端を嵩高くすることができ、このポリエステル末端が易接着層に拡散し投錨効果を発揮するためである。
アリール基にはヘテロアリール基が含まれるものとする。ヘテロアリール基とは、芳香族性を示す5員、6員又は7員の環又はその縮合環の環構成原子の少なくとも1つがヘテロ原子に置換されたものをいう。ヘテロアリール基としては、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、チエニル基、ベンズオキサゾリル基、インドリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、カルバゾリル基、アゼピニル基を例示することができる。ヘテロアリール基に含まれるヘテロ原子は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子であることが好ましく、中でも、酸素原子または窒素原子であることが好ましい。
同様に、例えば、R16〜R20の2以上が互いに結合して縮合環を形成してもよく、R16〜R20が置換しているベンゼン環とともに炭素数10以上のアリーレン基やヘテロアリーレン基を形成してもよく、そのときの好ましい範囲はR16〜R20が置換しているベンゼン環とともに炭素数10以上のアリーレン基やヘテロアリーレン基を形成するときの好ましい範囲と同様である。
但し、本発明のケテンイミン化合物は、上記一般式(2)中、R11〜R20は互いに結合して環を形成しないことが好ましい。
二価の連結基の具体例としては、例えば、−NR8−(R8は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を表し、水素原子が好ましい)で表される基、−SO2−、−CO−、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルケニレン基、アルキニレン基、置換もしくは無置換のフェニレン基、置換もしくは無置換のビフェニレン基、置換もしくは無置換のナフチレン基、−O−、−S−および−SO−ならびにこれらを2つ以上組み合わせて得られる基が挙げられる。
三価の連結基の具体例としては、例えば、二価の連結基の例として挙げた連結基のうち置換基を有するものから1つの水素原子を取り除いた基が挙げられる。
四価の連結基の具体例としては、例えば、例えば、二価の連結基の例として挙げた連結基のうち置換基を有するものから2つの水素原子を取り除いた基が挙げられる。
ケテンイミン化合物の反応率は、ポリエステルフィルムのIRスペクトルから得ることができ、2000cm-1のピークから算出できる。
以下において、本発明のポリエステルフィルムの製造方法の各工程について詳細に説明する。
フィルム形成工程においては、本発明で用いられるポリエステルと、上述したケテンイミン化合物と、顔料を含む混合物を溶融させた溶融体を流涎して冷却固化させることで、未延伸フィルムを製膜することができる。
溶融の際の溶融温度は、120〜350℃であることが好ましく、150〜320℃であることがより好ましく、180〜300℃であることがさらに好ましい。溶融温度を上記範囲内とすることにより、ポリエステル、ケテンイミン化合物および顔料の各々の反応性を高めることができる。
フィルム形成工程によって形成された未延伸フィルムは、延伸工程において、延伸処理を施すことができる。延伸工程においては、冷却ロールで冷却固化させた未延伸フィルムを1軸方向または2軸方向に延伸することが好ましく、2軸方向に延伸することがより好ましい。2軸方向への延伸(2軸延伸)は、長手方向(MD:Machine Direction)の延伸(以下「縦延伸」ともいう)及び幅方向(TD:Transverse Direction)の延伸(以下、「横延伸」ともいう)であることが好ましい。当該縦延伸、横延伸は各々1回で行っても良く、複数回に亘って実施しても良く、同時に縦、横に延伸してもよい。
延伸処理は、フィルムのガラス温度(Tg)℃〜(Tg+60)℃で行うのが好ましく、より好ましくはTg+3℃〜Tg+40℃、さらに好ましくはTg+5℃〜Tg+30℃である。
延伸倍率(%)=100×(延伸後の長さ)/(延伸前の長さ)
〜210℃)で1秒間〜60秒間(更に好ましくは2秒間〜30秒間)の熱処理をフィルムに施してもよい。
150℃熱収縮率(%)=100×(300−L)/300
また、熱収縮率が正の場合は縮みを、負は伸びを表わす。
また、本発明のフィルムは、その上に塗布層を設けた積層体として用いることもできる。
本発明の太陽電池モジュール用バックシートは、上述したポリエステルフィルムを含むことを特徴とする。本発明のポリエステルフィルムは、黄着色が低減されているため、太陽電池モジュール用バックシートに用いた場合であっても、太陽電池モジュール用の意匠性を損ねることがない。
また、これらの塗設前に表面処理(火炎処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理等)を実施してもよい。さらに、粘着剤を用いて貼り合わせることも好ましい。
本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池素子が封止材で封止された電池側基板の該封止材と向き合う側に、易接着性層を有していることが好ましい。封止材(特にエチレン−酢酸ビニル共重合体)を含む被着物(例えば太陽電池素子が封止材で封止された電池側基板の封止材の表面)に対して接着性を示す易接着性層を設けることにより、バックシートと封止材との間を強固に接着することができる。具体的には、易接着性層は、特に封止材として用いられるEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)との接着力が10N/cm以上、好ましくは20N/cm以上であることが好ましい。
さらに、易接着性層は、太陽電池モジュールの使用中にバックシートの剥離が起こらないことが必要であり、そのために易接着性層は高い耐加水分解性を有することが望ましい。易接着層には、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリオレフィン等のバインダーや、微粒子、架橋剤、添加剤を含有することができる。
また、易接着性層を塗布により形成する場合は、熱処理後の乾燥ゾーンにおいて塗布層の乾燥と熱処理を兼ねることが好ましい。なお、後述する反射層(着色層)やその他の機能性層を塗布により形成する場合も同様である。
また、本発明における易接着性層は、透明性を有していることが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、反射層(着色層)としての機能を発揮することもできるが、太陽電池モジュール用バックシートはさらに機能層として反射層(着色層)を有してもよい。着色層は、ポリエステルフィルムの表面に接触させて、あるいは他の層を介して配置される層であり、顔料やバインダーを用いて構成することができる。
また、着色層に好適なバインダーとしては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリオレフィン等を用いることができる。バインダーは、耐久性の観点から、アクリル樹脂、ポリオレフィンが好ましい。また、アクリル樹脂として、アクリルとシリコーンとの複合樹脂も好ましい。好ましいバインダーの例として、以下のものが挙げられる。
前記ポリオレフィンの例としては、ケミパールS−120、同S−75N(ともに三井化学(株)製)などが挙げられる。前記アクリル樹脂の例としては、ジュリマーET−410、SEK−301(ともに日本純薬工業(株)製)などが挙げられる。前記アクリルとシリコーンとの複合樹脂の例としては、セラネートWSA1060、WSA1070(ともにDIC(株)製)、H7620、H7630、H7650(ともに旭化成ケミカルズ(株)製)等を挙げることができる。
本発明のポリエステルフィルムには、下塗り層を設けることができる。下塗り層は、例えば、着色層が設けられるときには、着色層とポリエステルフィルムとの間に下塗り層を設けてもよい。下塗り層は、バインダー、架橋剤、界面活性剤等を用いて構成することができる。
本発明のポリエステルフィルムには、フッ素系樹脂層及びケイ素系(Si系)樹脂層の少なくとも一方を防汚層として設けることが好ましい。フッ素系樹脂層やSi系樹脂層を設けることで、ポリエステル表面の汚れ防止、耐候性向上が図れる。具体的には、特開2007−35694号公報、特開2008−28294号公報、WO2007/063698明細書に記載のフッ素樹脂系塗布層を有していることが好ましい。
また、テドラー(DuPont社製)等のフッ素系樹脂フィルムを張り合わせることも好ましい。
本発明の太陽電池モジュールは、本発明のポリエステルフィルムまたは本発明の太陽電池モジュール用バックシートを含むことを特徴とする。
本発明の太陽電池モジュールは、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池素子を、太陽光が入射する透明性の基板と既述の本発明のポリエステルフィルム(太陽電池用バックシート)との間に配置して構成されている。基板とポリエステルフィルムとの間は、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体等の樹脂(いわゆる封止材)で封止して構成することができる。
(ケテンイミン(1)の合成)
<ケチミン体(1)の合成>
ベンゾフェノン 91g(0.50mol)、p−フェニレンジアミン 27g(0.25mol)、DABCO 112g(1.0mol)、クロロベンゼン1.5Lを三つ口フラスコに仕込み125℃で1時間攪拌した後、四塩化チタン 95g(0.5mol)をゆっくり添加した。4時間攪拌した後、沈殿物を濾過し、ろ液を濃縮後した。濃縮して得た固体をメタノールで洗浄し、黄色粉末のケチミン体(1)86g(0.2mol)を得た。
ケチミン体(1) 44g(0.1mol)、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド 2g、クロロホルム300mlを三つ口フラスコに仕込み、攪拌しながら60℃の50%水酸化ナトリウム水溶液200gを一気に加え、内温が40〜50℃で1時間攪拌した。純水300ml、クロロホルム500mlを加えて水層を除去した後、濃縮し、MEKで洗浄し、アジリジン体(1)30g(0.05mol)を得た。
アジリジン体(1)30g(0.05mol)、ヨウ化ナトリウム135g、アセトン700mlをフラスコに仕込み、2時間還流した。冷却後、4%チオ硫酸ナトリウム水溶液1.4Lに添加して30分攪拌した。析出した固体を濾過してメタノールで洗浄し、黄色固体23g(0.05mol)を得た。
1H−NMR(DMSO) δ(ppm); 7.2―7.6(24H)
(ケテンイミン(2)の合成)
<メシル体(2)の合成>
ネオペンチルグリコール 100g(0.96mol)、メタンスルホニルクロリド242g(2.11mol)、酢酸エチル900mlを三つ口フラスコに仕込み、0〜10℃でトリエチルアミン214g(2.11mol)をゆっくり滴下し、室温で1時間攪拌した。純水500mlを加え、水層を除去した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過した後、ろ液を濃縮してメシル体(2)234g(0.90mol)を得た。
4−ヒドロキシベンゾフェノン 147g(0.744mol)、メシル体(2) 80.6g(0.31mol)、炭酸カリウム 308g(2.23mol)、DMF 1.3Lをフラスコに仕込み、16時間120℃で攪拌した。反応後冷却し、純水10Lに反応液を添加し30分攪拌した後、減圧濾過し、メタノールで洗浄することで、ベンゾフェノン体(2)90g(0.194mol)を得た。
ベンゾフェノン体(2) 82g(0.177mol)、アニリン 49g(0.53mol)、DABCO 119g(1.06mol)、クロロベンゼン3.0Lを三つ口フラスコに仕込み125℃で1時間攪拌した後、四塩化チタン 67g(0.353mol)をゆっくり添加した。4時間攪拌した後、沈殿物を濾過し、ろ液を濃縮後した。濃縮して得た固体をメタノールで洗浄し、黄色粉末のケチミン体(2)103g(0.17mol)を得た。
ケチミン体(2) 88g(0.143mol)、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド 4.0g、クロロホルム 600mlを三つ口フラスコに仕込み、攪拌しながら60℃の50%水酸化ナトリウム水溶液400gを一気に加え、内温が40〜50℃で1時間攪拌した。純水800ml、クロロホルム1200mlを加えて水層を除去した後、濃縮し、アジリジン体(2)111g(0.14mol)を得た。
アジリジン体(2)111g(0.14mol)、ヨウ化ナトリウム428g、アセトン2.0Lをフラスコに仕込み、2時間還流した。冷却後、4%チオ硫酸ナトリウム水溶液4.2Lに添加して30分攪拌した。析出した固体を濾過しカラム精製してケテンイミン体(2)63.8g(0.1mol)得た。
1H−NMR(DMSO) δ(ppm); 1.1(6H)、3.85(4H)、7.0−7.6(28H)
(ケテンイミン(3)の合成)
<メシル体(3)の合成>
トリメチロールプロパン 100g(0.75mol)、メタンスルホニルクロリド282g(2.46mol)、酢酸エチル900mlを三つ口フラスコに仕込み、0−10℃でトリエチルアミン249g(2.46mol)をゆっくり滴下し、室温で1時間攪拌した。純水500mlを加え、水層を除去した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過した後、ろ液を濃縮し、メシル体(3)2002g(0.55mol)を得た。
4−ヒドロキシベンゾフェノン 151g(0.76mol)、メシル体(3) 77g(0.21mol)、炭酸カリウム 315g(2.28mol)、DMF 1.3Lをフラスコに仕込み、16時間120℃で攪拌した。反応後冷却し、純水10Lに反応液を添加し30分攪拌した後、減圧濾過し、メタノールで洗浄することでベンゾフェノン体(3)110g(0.163mol)を得た。
ベンゾフェノン体(3) 100g(0.148mol)、アニリン 62g(0.67mol)、DABCO 150g(1.34mol)、クロロベンゼン3.8Lを三つ口フラスコに仕込み125℃で1時間攪拌した後、四塩化チタン 84g(0.453mol)をゆっくり添加した。4時間攪拌した後、沈殿物を濾過し、ろ液を濃縮後した。濃縮して得た固体をメタノールで洗浄し、黄色粉末のケチミン体(3)126g(0.14mol)を得た。
ケチミン体(2) 88g(0.143mol)、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド 4.0g、クロロホルム 600mlを三つ口フラスコに仕込み、攪拌しながら60℃の50%水酸化ナトリウム水溶液400gを一気に加え、内温が40〜50℃で1時間攪拌した。純水800ml、クロロホルム1200mlを加えて水層を除去した後、濃縮し、アジリジン体(2)111g(0.14mol)を得た。
アジリジン体(2)111g(0.14mol)、ヨウ化ナトリウム428g、アセトン2.0Lをフラスコに仕込み、2時間還流した。冷却後、4%チオ硫酸ナトリウム水溶液4.2Lに添加して30分攪拌した。析出した固体を濾過しカラム精製してケテンイミン体(2)63.8g(0.1mol)得た。
1H−NMR(DMSO) δ(ppm); 1.10(3H)、2.90(2H)、3.85(6H)、7.0−7.6(42H)
(ケテンイミン(4)の合成)
<ベンゾフェノン体(4)の合成>
4−ヒドロキシベンゾフェノン 335g(1.69mol)、テトラブロモペンタエリスリトール 135g(0.35mol)、炭酸カリウム 691g(5.0mol)、DMF 3.0Lをフラスコに仕込み、6時間120℃で攪拌した。反応後冷却し、純水10Lに反応液を添加し30分攪拌した後、減圧濾過しベンゾフェノン体(4) 300g(1.69mol)を得た。
ベンゾフェノン体(4) 109g(0.127mol)、アニリン 70.8g(0.762mol)、DABCO 229.6g(1.546mol)、クロロベンゼン3.0Lを三つ口フラスコに仕込み125℃で1時間攪拌した後、四塩化チタン 99g(0.51mol)をゆっくり添加した。4時間攪拌した後、沈殿物を濾過し、ろ液を濃縮後した。濃縮して得た固体をメタノールで洗浄し、黄色粉末のケチミン体(4)135g(0.117mol)を得た。
ケチミン体(4) 43g(0.0375mol)、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド 1.5g、クロロホルム 230mlを三つ口フラスコに仕込み、攪拌しながら60℃の50%水酸化ナトリウム水溶液150gを一気に加え、内温が40〜50℃で1時間攪拌した。純水300ml、クロロホルム450mlを加えて水層を除去した後、濃縮し、アジリジン体(4)41g(0.0276mol)を得た。
アジリジン体(4)41g(0.0276mol)、ヨウ化ナトリウム170g、アセトン900mlをフラスコに仕込み、2時間還流した。冷却後、4%チオ硫酸ナトリウム水溶液1.7Lに添加して30分攪拌した。析出した固体を濾過しカラム精製してケテンイミン体(4)24g(0.02mol)得た。
1H−NMR(DMSO) δ(ppm); 4.34(8H)、7.0―7.5(56H)
(ケテンイミン(5)の合成)
ケチミン体(5)の合成時、アニリンをo―トルイジンに変更した以外は、ケテンイミン(4)と同様に合成した。
(ケテンイミン(6)の合成)
<ベンゾフェノン体(6)の合成>
ジフェニルエーテル250g(1.47mol)、クロロベンゼン3.0Lを三つ口フラスコに仕込み、0℃に冷却して攪拌しながら塩化アルミニウム420g(3.16mol)、ベンゾイルクロライド444g(3・16mol)を加えた。2時間攪拌した後、酢酸エチル2.0L、1NHCl水15Lを加え、濾過し、純水1L、酢酸エチル1L、メタノール1Lで洗浄し、ベンゾフェノン体(6)495gを得た。
ベンゾフェノン体(6) 134g(0.354mol)、アニリン 99g(1.06mol)、DABCO 238g(2.12mol)、クロロベンゼン3.0Lを三つ口フラスコに仕込み125℃で1時間攪拌した後、四塩化チタン 13.4g(0.7mol)をゆっくり添加した。4時間攪拌した後、沈殿物を濾過し、ろ液を濃縮後した。濃縮して得た固体をメタノールで洗浄し、黄色粉末のケチミン体(6)184.9g(0.35mol)を得た。
ケチミン体(6) 120g(0.227mol)、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド 2.9g、クロロホルム 1.2Lを三つ口フラスコに仕込み、攪拌しながら60℃の50%水酸化ナトリウム水溶液720gを一気に加え、内温が40〜50℃で1時間攪拌した。純水1.4ml、クロロホルム1.8Lを加えて水層を除去した後、濃縮し、アジリジン体(6)152.3g(0.227mol)を得た。
アジリジン体(6)60g(0.087mol)、亜鉛粉末20g、THF800mlをフラスコに仕込んだ。0℃に冷却し攪拌しながら、濃塩酸0.9mlを3回に別けて加えた。30分攪拌した後、メタノール4Lに反応液を添加し、析出した固体を濾過しケテンイミン体(6)44g(0.08mol)を得た。
1H−NMR(DMSO) δ(ppm); 7.12(4H)、7.25―7.6(24H)
(ケテンイミン(7)の合成)
ケチミン体(7)の合成時、アニリンを2,6−ジメチルアニリン変更した以外は、ケテンイミン(6)と同様に合成した。
実施例1〜17および比較例1〜3のポリエステルフィルムを下記の方法により作製した。ケテンイミン化合物または顔料の種類および添加量は表1の通りとした。
−工程(A)−
高純度テレフタル酸4.7トンとエチレングリコール1.8トンとを90分間かけて混合してスラリーを形成し、3800kg/hの流量で連続的に第一エステル化反応槽に供給した。次いで、クエン酸がTi金属に配位したクエン酸キレートチタン錯体(「VERTEC AC−420」、ジョンソン・マッセイ社製)のエチレングリコール溶液を連続的に第一エステル化反応槽に供給し、反応槽内温度250℃として攪拌しながら平均滞留時間約4.4時間で反応を行なってオリゴマーを得た。この際、クエン酸キレートチタン錯体は、Ti添加量が元素換算値で9ppmとなるように連続的に添加した。得られたオリゴマーの酸価は500eq/トンであった。
以上により、エステル化反応生成物を得た。
工程(A)で得られたエステル化反応生成物を連続的に第一重縮合反応槽に供給した。次いで、反応温度270℃・反応槽内圧力20torr(2.67×10-3MPa)でエステル化反応生成物を攪拌しながら、平均滞留時間約1.8時間で重縮合(エステル交換反応)させた。
得られたポリエステル樹脂ポリエステル1を用いて、カルボン酸価を以下に示す方法により測定した。
(樹脂の酸価(末端COOH基量))
得られたポリエステル樹脂ポリエステル1について、H.A.Pohl,Anal.Chem.26(1954)2145に記載の方法に従って、滴定法にて末端COOH基量を測定した。具体的には、ポリエステル樹脂を、ベンジルアルコールに205℃で溶解し、フェノールレッド指示薬を加え、水酸化ナトリウムの水/メタノール/ベンジルアルコール溶液で滴定を行った。
得られた上述のポリエステル樹脂ポリエステル1を、直径50mmの2軸混練押出し機のホッパーに、主フィーダーで投入し、副フィーダーにケテンイミン化合物と顔料を投入し、それぞれの含有率が表1となるように計量しながら、樹脂温度の最高到達温度が300℃になるよう溶融して押出した。押出した溶融体(メルト)をギアポンプ及び濾過器(孔径20μm)を通した後、ダイから20℃の冷却ロールに押出し、非晶性シートを得た。なお、押出されたメルトは、静電印加法を用い冷却ロールに密着させた。
・酸化チタン(石原産業社製、PF−739)
・硫酸バリウム(堺化学社製、B−30)
・炭酸カルシウム(ALDRICH社製)
冷却ロール上に押出し、固化した未延伸フィルムに対し、以下の方法で逐次2軸延伸を施し、厚み250μmのポリエステルフィルムを得た。
<延伸方法>
(a)縦延伸
未延伸フィルムを周速の異なる2対のニップロールの間に通し、縦方向(搬送方向)に延伸した。なお、予熱温度を90℃、延伸温度を90℃、延伸倍率を3.5倍、延伸速度を3000%/秒として実施した。
(b)横延伸
縦延伸した前記フィルムに対し、テンターを用いて下記条件にて横延伸した。
<条件>
・予熱温度:100℃
・延伸温度:110℃
・延伸倍率:4.2倍
・延伸速度:70%/秒
続いて、縦延伸及び横延伸を終えた後の延伸フィルムを下記条件で熱固定した。さらに、熱固定した後、テンター幅を縮め下記条件で熱緩和した。
<熱固定条件>
・熱固定温度:198℃
・熱固定時間:2秒
<熱緩和条件>
・熱緩和温度:195℃
・熱緩和率:5%
熱固定及び熱緩和の後、ポリエステルフィルムの両端を10cmずつトリミングした。その後、両端に幅10mmで押出し加工(ナーリング)を行なった後、張力25kg/mで巻き取った。なお、幅は1.5m、巻長は2000mであった。
以上のようにして、実施例1〜17および比較例1〜3のポリエステルフィルムを作製した。
(耐加水分解性(PCT試験))
耐加水分解性の評価は破断伸度保持率半減期で評価した。破断伸度保持率半減期は、実施例1にて得られたポリエステルフィルムに対して、120℃、相対湿度100%の条件で保存処理(加熱処理)を行い、保存後のポリエステルフィルムが示す破断伸度(%)が、保存前のポリエステルフィルムが示す破断伸度(%)に対して50%となる保存時間を測定することで評価した。得られた結果を下記表1に記載した。
5:破断伸度半減期が200時間以上
4:破断伸度半減期が170時間以上200時間未満
3:破断伸度半減期が140時間以上170時間未満
2:破断伸度半減期が110時間以上140時間未満
1:破断伸度半減期が110時間未満
破断伸度保持率半減期が長い程、ポリエステルフィルムの耐加水分解性が優れていることを示す。すなわち、本発明のポリエステルフィルムは、120℃、相対湿度100%の条件で保存処理した前後の破断伸度半減期が130時間以上であることが好ましく、160時間以上であることがより好ましい。
着色度合いの評価は、得られたポリエステルフィルムを目視で評価した。着色評価用に膜厚300、150、100、50μmのポリエステルフィルムを作製し、黄色味を確認できる膜厚を判断基準とした。
5: いずれの膜厚でも黄色味を確認できなかった
4: 膜厚150μmと100μmと50μmは黄色味を確認できなかった
3: 膜厚100μmと50μmは黄色味を確認できなかった
2: 膜厚50μmのみ黄色味を確認できなかった
1: いずれの膜厚でも黄色味を確認できた
得られたポリエステルフィルムに対して、290℃で10分の加熱処理を行い、発生したガス(ケテン化合物)を検出した。発生したガスは、フィルム中の揮散成分の量をガスクロマトグラフィ(商品名P&T−GC/MS、日本分光(株)社製)により測定し、評価した。得られた結果を下記表1に記載した。
5: 検出限界以下
4: ガス量が100ppm以下
3: ガス量が100ppm以上500ppm未満
2: ガス量が500ppm以上1000ppm未満
1: ガス量が1000ppm未満
一方、比較例1は、顔料を含有していないため、ポリエステルフィルムの着色が低減されておらず、ケテン化合物の揮散も確認された。
また、比較例2は、ケテンイミン化合物と顔料のどちらも含有していない。ケテンイミン化合物を含有していないため、ポリエステルフィルムの着色とケテン化合物の揮散は認められなかったが、耐加水分解性が得られていないことがわかる。
また、比較例3は、ケテンイミン化合物を含有していないため、ポリエステルフィルムの着色とケテン化合物の揮散は認められなかったが、耐加水分解性が著しく悪い。比較例2に比べて、耐加水分解性が悪いのは、これは、顔料がポリエステルフィルムの加水分解を促進しているためである。
Claims (10)
- 前記顔料は、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムおよびこれらの組み合わせから選択されることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
- 前記顔料は、酸化チタンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
- 前記顔料の添加率は、前記ポリエステルの総量に対して、1〜10質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
- 前記ケテンイミン化合物の添加率は、前記ポリエステルの総量に対して、0.05〜5質量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
- 2軸延伸ポリエステルフィルムである請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリエステルフィルムを用いた太陽電池モジュール用バックシート。
- 請求項8に記載の太陽電池モジュール用バックシートを用いた太陽電池モジュール。
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