JP2013227440A - ポリエステルフィルム、太陽電池モジュール用バックシートおよび太陽電池モジュール - Google Patents

ポリエステルフィルム、太陽電池モジュール用バックシートおよび太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】耐加水分解性に優れ、膜厚均一性が良好であり、太陽電池モジュール用バックシートに用いたときに湿熱経時後の機能層との密着性が良好であるポリエステルフィルムの提供。
【解決手段】(A)ポリエステルと、(B)カルボジイミド基を1個有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物とを含有し、前記(A)ポリエステルの固有粘度が0.5〜0.9dl/gであり、前記(B)カルボジイミド基を1個有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物を前記(A)ポリエステルに対して0.05〜0.9質量%含有するポリエステルフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステルフィルム、太陽電池モジュール用バックシートおよび太陽電池モジュールに関する。
太陽電池モジュールは、一般に、太陽光が入射する受光面側にガラス又はフロントシートの上に/透明な充填材料(以下、封止材ともいう。)/太陽電池素子/封止材/バックシート(以下、BSとも言う)がこの順に積層された構造を有している。具体的には、太陽電池素子は一般にEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)等の樹脂(封止材)で包埋し、更にこの上に太陽電池用保護シートを貼り付けた構造に構成される。また、この太陽電池用保護シートとしては、従来、ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレート(以下、PET)フィルムが使用されている。
しかし、太陽電池用保護シート、その中でも特に最外層となる太陽電池モジュール用のバックシート(BS)は、屋外の風雨などに曝されるような環境下に長期間置かれる状況が想定されるものであるため、優れた耐候性が求められる。
ここで、太陽電池モジュール用のバックシートとしても用いられるPET等のポリエステルフィルムは、優れた耐熱性、機械特性及び耐薬品性などを有しているため、工業的に多く用いられているが、未だ改善の余地がある。このようにポリエステルフィルムの特性を改善する技術として、特許文献1には、PETに末端封止剤としてポリカルボジイミドなどを添加して、結晶化パラメータ、カルボキシル末端量、固有粘度を制御した2軸配向ポリエステルフィルムが記載されている。特許文献1では、このような構成とすることでポリエステル末端のカルボン酸基を低減し、ポリエステルフィルムの耐加水分解性を改良でき、製膜時のガスの発生を抑制できると記載されている。
特開2010−235824号公報 特開2011−258641号公報 特開2011−256337号公報 特開2011−256333号公報 特開2011−225640号公報 特開2010−285554号公報 特開2011−153209号公報
上述のように、屋外で風雨などに曝されるような環境の下、ポリエステルフィルムが湿熱雰囲気下に曝された場合、ポリエステルフィルムの脆化が進行し、破断耐久性が低下するという問題がある。本発明者が鋭意検討したところ、ポリエステルフィルムが高湿高温下に置かれると、水分がポリエステルフィルムの密度の低い非晶部の分子間を通って内部に進入し、非晶部を可塑化させ分子の運動性を高めることがわかった。更に、分子運動性の高まった非晶部は、ポリエステルのカルボキシル基末端のプロトンを反応触媒として加水分解してしまう。このように、加水分解され低分子量化したポリエステルは分子運動性が更に高まり、結晶化が進行し、これが繰り返される結果、フィルムの脆化が進行し、破断耐久性が低下することが分かった。このように、耐加水分解性を高めることは、特に、太陽電池モジュールに用いられるポリエステルフィルムとしては重要な課題の一つである。
また、太陽電池モジュールに用いられるポリエステルフィルムは、求められる発電出力が高まってきていることに伴って部分放電電圧を高くする必要があるが、製膜安定性が悪く、部分的に膜厚が薄い部分が存在すると、部分放電電圧が大きく低下してしまう。そのため、太陽電池モジュールに用いられるポリエステルフィルムでは、製膜安定性、すなわち膜厚均一性が必要である。
しかしながら、本発明者が特許文献1の実施例に記載の2軸配向ポリエステルフィルムを製膜したところ、リニアなポリマー鎖のポリカルボジイミドを含むフィルムは、押出し時に生成したガスによりオペレーターに害を及ぼす問題があることがわかった。また、2軸延伸時にガスの発生や添加剤の泣き出しが起こり、それぞれオペレーターに害を及ぼしたり、得られたポリエステルフィルムを他の機能層と貼り合わせたときに密着性が悪化したりする問題があった。これらの問題は、リニアなポリマー鎖のポリカルボジイミドが、ポリエステル末端のカルボン酸基と反応し、遊離イソシアネートを生成したことに基づくものであった。
これに対し、近年、環状カルボジイミド化合物が提案され、遊離イソシアネートを生成しないことから、ガス抑制を可能としたことが報告されている(特許文献2〜7参照)。
しかし、本発明者がこれらの環状ポリカルボジイミドを用いて2軸配向ポリエステルフィルムを製膜したところ、PET末端にイソシアネートが結合しているため、ゲルが生成したり、著しく増粘したりすることから、製膜安定性、すなわち膜厚均一性が悪く、使用は困難であった。
本発明は、前記実情を検討してなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、耐加水分解性に優れ、膜厚均一性が良好であり、太陽電池モジュール用バックシートに用いたときに湿熱経時後の機能層との密着性が良好であるポリエステルフィルムを提供することである。
本発明者は、固有粘度がある程度高いポリエステルに対して、低濃度の環状カルボジイミド化合物を添加することで、耐加水分解性に優れ、増粘を抑制して膜厚均一性を改善でき、太陽電池モジュール用バックシートに用いたときに湿熱経時後の機能層との密着性も改善できることを見出し、以下の構成を有する本発明を提供するに至った。
[1] (A)ポリエステルと、(B)カルボジイミド基を1個有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物とを含有し、前記(A)ポリエステルの固有粘度が0.5〜0.9dl/gであり、前記(B)カルボジイミド基を1個有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物を前記(A)ポリエステルに対して0.05〜0.9質量%含有することを特徴とするポリエステルフィルム。
[2] [1]に記載のポリエステルフィルムは、前記(A)ポリエステルの固有粘度が0.6〜0.84dl/gであることが好ましい。
[3] [1]または[2]に記載のポリエステルフィルムは、前記(B)カルボジイミド基を1個有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物を前記(A)ポリエステルに対して0.05〜0.6質量%含有することが好ましい。
[4] [1]または[2]に記載のポリエステルフィルムは、前記(B)カルボジイミド基を1個有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物を前記(A)ポリエステルに対して0.05〜0.4質量%含有することが好ましい。
[5] [1]〜[4]のいずれか一項に記載のポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムのIV値が0.70〜0.94dl/gであることが好ましい。
[6] [1]〜[4]のいずれか一項に記載のポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムのIV値が0.71〜0.84dl/gであることが好ましい。
[7] [1]〜[6]のいずれか一項に記載のポリエステルフィルムは、前記(A)ポリエステルのカルボン酸価が25eq/トン以下であることが好ましい。
[8] [1]〜[6]のいずれか一項に記載のポリエステルフィルムは、前記(A)ポリエステルのカルボン酸価が20eq/トン以下であることが好ましい。
[9] [1]〜[6]のいずれか一項に記載のポリエステルフィルムは、(A)ポリエステルのカルボン酸価が16eq/トン以下であることが好ましい。
[10] [1]〜[9]のいずれか一項に記載のポリエステルフィルムは、前記(B)カルボジイミド基を1個有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物の分子量が400以上であることが好ましい。
[11] [1]〜[10]のいずれか一項に記載のポリエステルフィルムは、前記(A)ポリエステルのカルボン酸由来の成分が、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体由来の成分であることが好ましい。
[12] [1]〜[11]のいずれか一項に記載のポリエステルフィルムは、ゲル分率が0.1%未満であることが好ましい。
[13] [1]〜[12]のいずれか一項に記載のポリエステルフィルムは、逐次で延伸された2軸配向ポリエステルフィルムであることが好ましい。
[14] [1]〜[13]のいずれか一項に記載のポリエステルフィルムを用いたことを特徴とする太陽電池モジュール用バックシート。
[15] [14]に記載の太陽電池モジュール用バックシートを用いたことを特徴とする太陽電池モジュール。
本発明によれば、耐加水分解性に優れ、膜厚均一性が良好であり、太陽電池モジュール用バックシートに用いたときに湿熱経時後の機能層との密着性が良好であるポリエステルフィルムを提供することができる。
以下、本発明のポリエステルフィルム、太陽電池モジュール用バックシートおよび太陽電池モジュールについて詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
[ポリエステルフィルム]
本発明のポリエステルフィルム(以下、本発明のフィルムとも言う)は、(A)ポリエステルと、(B)カルボジイミド基を1個有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物とを含有し、前記(A)ポリエステルの固有粘度が0.5〜0.9dl/gであり、前記(B)カルボジイミド基を1個有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物を前記(A)ポリエステルに対して0.05〜0.9質量%含有することを特徴とする。
以下、(B)カルボジイミド基を1個有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物を、環状カルボジイミド化合物と略すことがある。
いかなる理論に拘泥するものでもないが、ポリエステルと環状カルボジイミド化合物を含む組成物を約280℃で溶融押出しするとき、下記反応スキームのように(1)カルボジイミド基とPET−COOHの反応、(2)イソシアネート基とPET−OHの反応が起こり、増粘し、ゲル生成すると推定される。
Figure 2013227440
上記反応スキームにより増粘し、ゲル生成したことによって、得られるポリエステルフィルムの膜厚均一性に悪影響を与える要因となる。
これに対し、本発明の構成のポリエステルフィルムは、ポリエステルの固有粘度を高い範囲に制御し、環状カルボジイミド化合物(末端封止剤)の添加量を少ない範囲に制御することで、上記反応スキームによる膜厚均一性への悪影響を抑制することができる。その結果、耐加水分解性に優れ、膜厚均一性が良好であり、太陽電池モジュール用バックシートに用いたときに湿熱経時後の機能層との密着性が良好であるポリエステルフィルムを提供することができる。
以下、本発明のポリエステルフィルムに用いられる材料と、本発明のポリエステルフィルムの構成および特性と、本発明のポリエステルフィルムを製造する方法について説明するが、本発明は以下の態様に限定されるものではない。
なお、本発明の効果を阻害しない範囲内であれば、本発明のポリエステルフィルムには、各種添加剤、例えば、ポリカルボジイミド化触媒、相溶化剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、顔料および染料などが添加されてもよい。
<ポリエステルフィルムに用いられる材料>
(A)ポリエステル
本発明のポリエステルフィルムは、(A)ポリエステルを含み、前記(A)ポリエステルの固有粘度が0.5〜0.9dl/gである。
前記ポリエステルの固有粘度(IV)は、0.5〜0.9dl/gであり、ゲル生成することができ、耐加水分解性と膜厚均一性を両立することができる。前記ポリエステルの固有粘度をこのような範囲とすることで、ポリエステル末端数、すなわち架橋点を少なくすることができ、ゲル生成を抑制することができる。
ゲル生成を抑制し、耐加水分解性と膜厚均一性を両立し、さらにフィルムとして成膜した後の固有粘度を後述する好ましい範囲に設定する観点、及び、後述するポリカルボジイミドとの合成時における攪拌性の観点から、0.55〜0.85dl/gが更に好ましく、0.6〜0.84dl/gが特に好ましい。
ポリエステルの固有粘度(IV)は、フィルム製膜時に使用するポリエステルが2種以上である場合(特開2011−256337号公報の回収ポリエステルを使用する場合など)、すべてのポリエステルを混合したポリエステルの固有粘度が、上記範囲を満たすことが好ましい。
ポリエステルの固有粘度(IV)は、ポリエステルをオルトクロロフェノールに溶解し、25℃で測定した溶液粘度から、下式より固有粘度を得た。
ηsp/C=[η]+K[η]2・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは、溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量であり(本測定では1g/100mlとする)、Kはハギンス定数(0.343とする)であり、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。
前記(A)ポリエステルは、飽和ポリエステルであることが好ましい。このように飽和ポリエステルを用いることで、不飽和のポリエステルを用いたフィルムと比べて力学強度の観点で優れるポリエステルフィルムを得ることができる。
前記ポリエステルは、高分子の途中に、−COO−結合、又は、−OCO−結合を有する。また、ポリエステルの末端基は、OH基、COOH基又はこれらが保護された基(ORX基、COORX基(RXは、アルキル基等任意の置換基)であって、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体と、ジオール又はそのエステル形成性誘導体と、から合成される線状飽和ポリエステルであることが好ましい。前記線状飽和ポリエステルとしては、例えば、2009−155479号公報や特開2010−235824号公報に記載のものを適宜用いることができる。
前記線状飽和ポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、このうち、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレン−2,6−ナフタレートが、力学的物性及びコストのバランスの点で特に好ましく、ポリエチレンテレフタレートがより特に好ましい。なお、ポリエチレン−2,6−ナフタレートやポリブチレンテレフタレートは製膜時に230℃以上に加熱して溶融製膜するのに対し、PETでは250℃以上に加熱して溶融製膜するため、さらにイソシアネートが生成しやすいが、本発明のポリエステルフィルムでは、前記(A)ポリエステルがPETの場合でもイソシアネートの残留量を低減させることができる。
前記ポリエステルは、単独重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。更に、前記ポリエステルに他の種類の樹脂、例えばポリイミド等を少量ブレンドしたものであってもよい。また、前記ポリエステルとして、溶融時に異方性を形成することができる結晶性のポリエステルを用いてもよい。
前記ポリエステル中の末端カルボキシル基含量(前記ポリエステルのカルボン酸価、以下、AVともいう)は、前記ポリエステルに対して25eq/ton以下が好ましく、20eq/ton以下がより好ましく、特に好ましくは16eq/ton以下であり、より特に好ましくは15eq/ton以下である。カルボキシル基含量が25eq/ton以下であると、前記環状カルボジイミド化合物と組み合わせることでポリエステルフィルムの耐加水分解性、耐熱性を保持し、湿熱経時したときの強度低下を小さく抑制することができる。前記末端カルボキシル基含量の下限は、本発明のポリエステルフィルムを太陽電池モジュール用バックシートとするときに形成される層(例えば白色層)との間の密着性(接着性)を保持する点で、10eq/ton以上が望ましい。前記ポリエステル中の末端カルボキシル基含量は、重合触媒種、重合時間、製膜条件(製膜温度や時間)によって調整することが可能である。前記カルボキシル基含量は、H.A.Pohl,Anal.Chem.26(1954)2145に記載の方法に従って、滴定法にて測定することができる。具体的には、ポリエステルを、ベンジルアルコールに205℃で溶解し、フェノールレッド指示薬を加え、水酸化ナトリウムの水/メタノール/ベンジルアルコール溶液で滴定することで、その適定量からカルボン酸価(eq/ton)を算出することができる。
前記ポリエステル中の末端ヒドロキシル基含量は、前記ポリエステルに対して120eq/ton以下が好ましく、より好ましくは90eq/ton以下である。ヒドロキシル基含量が120eq/ton以下であると、ポリカルボジイミドとヒドロキシル基の反応が抑制され、カルボキシル基と優先的に反応し、カルボン酸価をより低下させることができる。ヒドロキシル基含量の下限は、上層との密着性の観点で、20eq/tonが望ましい。前記ポリエステル中のヒドロキシル基含量は、重合触媒種、重合時間、製膜条件(製膜温度や時間)によって調整することが可能である。前記末端ヒドロキシル基含量は、重水素化ヘキサフルオロイソプロパノール溶媒を用いて、1H−NMRにより測定した値を用いることできる。
前記ポリエステルの分子量は、耐熱性や粘度の観点から、重量平均分子量(Mw)5000〜30000であることが好ましく、8000〜26000であることが更に好ましく、12000〜24000であることが特に好ましい。前記ポリエステルの重量平均分子量は、ヘキサフルオロイソプロパノールを溶媒として用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定したポリメチルメタクリレート(PMMA)換算の値を用いることができる。
前記ポリエステルは公知の方法によって合成することができる。例えば、公知の重縮合法や開環重合法などによってポリエステルを合成することができ、エステル交換反応及び直接重合による反応のいずれでも適用することができる。
本発明で用いるポリエステルが、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体と、ジオール又はそのエステル形成性誘導体とを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体である場合には、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とを、エステル化反応又はエステル交換反応させ、次いで重縮合反応させることによって製造することができる。また、原料物質や反応条件を選択することにより、ポリエステルのカルボン酸価や固有粘度を制御することができる。なお、エステル化反応又はエステル交換反応及び重縮合反応を効果的に進めるために、これらの反応時に重合触媒を添加することが好ましい。
前記ポリエステルを重合する際の重合触媒としては、カルボキシル基含量を所定の範囲以下に抑える観点から、Sb系、Ge系、及びTi系の化合物を用いることが好ましいが、特にTi系化合物が好ましい。Ti系化合物を用いる場合、Ti系化合物を1ppm以上30ppm以下、より好ましくは3ppm以上15ppm以下の範囲で触媒として用いることにより重合する態様が好ましい。Ti系化合物の割合が前記範囲内であると、末端カルボキシル基を下記範囲に調整することが可能であり、ポリマー基材の耐加水分解性を低く保つことができる。
Ti系化合物を用いたポリエステルの合成には、例えば、特公平8−301198号公報、特許第2543624、特許第3335683、特許第3717380、特許第3897756、特許第3962226、特許第3979866、特許第3996871、特許第4000867、特許第4053837、特許第4127119、特許第4134710、特許第4159154、特許第4269704、特許第4313538等に記載の方法を適用できる。
前記ポリエステルは、重合後に固相重合されていることが好ましい。これにより、好ましいカルボン酸価を達成することができる。前記固相重合は、連続法(タワーの中に樹脂を充満させ、これを加熱しながらゆっくり所定の時間滞流させた後、送り出す方法)でもよいし、バッチ法(容器の中に樹脂を投入し、所定の時間加熱する方法)でもよい。具体的には、固層重合には、特許第2621563、特許第3121876、特許第3136774、特許第3603585、特許第3616522、特許第3617340、特許第3680523、特許第3717392、特許第4167159等に記載の方法を適用することができる。
前記固相重合の温度は、170℃以上240℃以下が好ましく、より好ましくは180℃以上230℃以下であり、さらに好ましくは190℃以上220℃以下である。また、固相重合時間は、5時間以上100時間以下が好ましく、より好ましくは10時間以上75時間以下であり、さらに好ましくは15時間以上50時間以下である。固相重合は、真空中あるいは窒素雰囲気下で行なうことが好ましい。
(B)環状カルボジイミド
本発明のポリエステルフィルムは、(B)カルボジイミド基を1個有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物を前記(A)ポリエステルに対して0.05〜0.9質量%含む。前記(B)カルボジイミド基を1個有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物は、いわゆる末端封止剤として前記(A)ポリエステルの末端カルボキシル基を封止して、ポリエステルフィルムの湿熱耐久性を改善することができる。
ここで、ポリエステルフィルムの耐加水分解性を高めるためには、ポリエステルの多くのカルボキシル末端を封止することが好ましいとも考えられる。しかしながら、ポリエステルに対して、多量の前記環状カルボジイミド化合物を投入すると、ゲル生成し、ポリエステルフィルムの膜厚均一性が不十分となる。そこで、本発明では、前記(B)カルボジイミド基を1個有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物の添加量を特定の範囲に制御することで、ポリエステルフィルムの耐加水分解性と膜厚均一性を両立する。
なお、副次的反応として多量に投入した環状カルボジイミド化合物は未反応の環状カルボジイミド化合物として残留するだけでなく、水分やポリエステルの末端基やその他遊離酸と反応して、イソシアネートに分解されることもある。
本発明のポリエステルフィルムは、前記(A)ポリエステル100質量部に対して、前記(B)カルボジイミド基を1個有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物を0.05〜0.6質量部含むことが好ましく、0.05〜0.4質量部含むことがより好ましく、0.05質量%以上0.2質量%未満含むことが特に好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、前記(B)カルボジイミド基を1個有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物の分子量が400以上であることが好ましく、500〜1500であることがより好ましい。
前記(B)カルボジイミド基を1個有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物は、環状構造を複数有していてもよい。
環状構造は、カルボジイミド基(−N=C=N−)を1個有しその第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている。一つの環状構造中には、1個のカルボジイミド基のみを有するが、例えば、スピロ環など、分子中に複数の環状構造を有する場合にはスピロ原子に結合するそれぞれの環状構造中に1個のカルボジイミド基を有していれば、化合物として複数のカルボジイミド基を有していてよいことはいうまでもない。環状構造中の原子数は、好ましくは8〜50、より好ましくは10〜30、さらに好ましくは10〜20、特に、10〜15が好ましい。
ここで、環状構造中の原子数とは、環状構造を直接構成する原子の数を意味し、例えば、8員環であれば8、50員環であれば50である。環状構造中の原子数が8より小さいと、環状カルボジイミド化合物の安定性が低下して、保管、使用が困難となる場合があるためである。また反応性の観点よりは環員数の上限値に関しては特別の制限はないが、50を超える原子数の環状カルボジイミド化合物は合成上困難となり、コストが大きく上昇する場合が発生するためである。かかる観点より環状構造中の原子数は好ましくは、10〜30、より好ましくは10〜20、特に好ましくは10〜15の範囲が選択される。
環状構造は、下記式(1)で表される構造であることが好ましい。
Figure 2013227440
式中、Qは、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、脂肪族基、脂環族基、芳香族基またはこれらの組み合わせである2〜4価の結合基である。ヘテロ原子とはこの場合、O、N、S、Pを指す。この結合基の価のうち2つの価は環状構造を形成するために使用される。Qが3価あるいは4価の結合基である場合、単結合、二重結合、原子、原子団を介して、ポリマーあるいは他の環状構造と結合している。
結合基は、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基またはこれらの組み合わせであり、上記で規定される環状構造を形成するための必要炭素数を有する結合基が選択される。組み合わせの例としては、アルキレン基とアリーレン基が結合した、アルキレン−アリーレン基のような構造などが挙げられる。
結合基(Q)は、下記式(1−1)、(1−2)または(1−3)で表される2〜4価の結合基であることが好ましい。
Figure 2013227440
式中、Ar1およびAr2は各々独立に、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基である。
芳香族基として、それぞれへテロ原子を含んで複素環構造を持っていてもよい、炭素数5〜15のアリーレン基、炭素数5〜15のアレーントリイル基、炭素数5〜15のアレーンテトライル基が挙げられる。アリーレン基(2価)として、フェニレン基、ナフタレンジイル基などが挙げられる。アレーントリイル基(3価)として、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基などが挙げられる。アレーンテトライル基(4価)として、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基などが挙げられる。これらの芳香族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
1およびR2は各々独立に、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、およびこれらの組み合わせ、またはこれら脂肪族基、脂環族基と2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基の組み合わせである。
脂肪族基として、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数1〜20のアルカントリイル基、炭素数1〜20のアルカンテトライル基などが挙げられる。アルキレン基として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、へキサデシレン基などが挙げられる。アルカントリイル基として、メタントリイル基、エタントリイル基、プロパントリイル基、ブタントリイル基、ペンタントリイル基、ヘキサントリイル基、ヘプタントリイル基、オクタントリイル基、ノナントリイル基、デカントリイル基、ドデカントリイル基、ヘキサデカントリイル基などが挙げられる。アルカンテトライル基として、メタンテトライル基、エタンテトライル基、プロパンテトライル基、ブタンテトライル基、ペンタンテトライル基、ヘキサンテトライル基、ヘプタンテトライル基、オクタンテトライル基、ノナンテトライル基、デカンテトライル基、ドデカンテトライル基、ヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。これらの脂肪族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
脂環族基として、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルカントリイル基、炭素数3〜20のシクロアルカンテトライル基が挙げられる。シクロアルキレン基として、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロへプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロドデシレン基、シクロへキサデシレン基などが挙げられる。アルカントリイル基として、シクロプロパントリイル基、シクロブタントリイル基、シクロペンタントリイル基、シクロヘキサントリイル基、シクロヘプタントリイル基、シクロオクタントリイル基、シクロノナントリイル基、シクロデカントリイル基、シクロドデカントリイル基、シクロヘキサデカントリイル基などが挙げられる。アルカンテトライル基として、シクロプロパンテトライル基、シクロブタンテトライル基、シクロペンタンテトライル基、シクロヘキサンテトライル基、シクロヘプタンテトライル基、シクロオクタンテトライル基、シクロノナンテトライル基、シクロデカンテトライル基、シクロドデカンテトライル基、シクロヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。これらの脂環族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
芳香族基として、それぞれへテロ原子を含んで複素環構造を持っていてもよい、炭素数5〜15のアリーレン基、炭素数5〜15のアレーントリイル基、炭素数5〜15のアレーンテトライル基が挙げられる。アリーレン基として、フェニレン基、ナフタレンジイル基などが挙げられる。アレーントリイル基(3価)として、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基などが挙げられる。アレーンテトライル基(4価)として、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基などが挙げられる。これら芳香族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
上記式(1−1)、(1−2)においてX1およびX2は各々独立に、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせである。
脂肪族基として、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数1〜20のアルカントリイル基、炭素数1〜20のアルカンテトライル基などが挙げられる。アルキレン基として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、へキサデシレン基などが挙げられる。アルカントリイル基として、メタントリイル基、エタントリイル基、プロパントリイル基、ブタントリイル基、ペンタントリイル基、ヘキサントリイル基、ヘプタントリイル基、オクタントリイル基、ノナントリイル基、デカントリイル基、ドデカントリイル基、ヘキサデカントリイル基などが挙げられる。アルカンテトライル基として、メタンテトライル基、エタンテトライル基、プロパンテトライル基、ブタンテトライル基、ペンタンテトライル基、ヘキサンテトライル基、ヘプタンテトライル基、オクタンテトライル基、ノナンテトライル基、デカンテトライル基、ドデカンテトライル基、ヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。これらの脂肪族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
脂環族基として、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルカントリイル基、炭素数3〜20のシクロアルカンテトライル基が挙げられる。シクロアルキレン基として、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロへプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロドデシレン基、シクロへキサデシレン基などが挙げられる。アルカントリイル基として、シクロプロパントリイル基、シクロブタントリイル基、シクロペンタントリイル基、シクロヘキサントリイル基、シクロヘプタントリイル基、シクロオクタントリイル基、シクロノナントリイル基、シクロデカントリイル基、シクロドデカントリイル基、シクロヘキサデカントリイル基などが挙げられる。アルカンテトライル基として、シクロプロパンテトライル基、シクロブタンテトライル基、シクロペンタンテトライル基、シクロヘキサンテトライル基、シクロヘプタンテトライル基、シクロオクタンテトライル基、シクロノナンテトライル基、シクロデカンテトライル基、シクロドデカンテトライル基、シクロヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。これらの脂環族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
芳香族基として、それぞれへテロ原子を含んで複素環構造を持っていてもよい、炭素数5〜15のアリーレン基、炭素数5〜15のアレーントリイル基、炭素数5〜15のアレーンテトライル基が挙げられる。アリーレン基として、フェニレン基、ナフタレンジイル基などが挙げられる。アレーントリイル基(3価)として、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基などが挙げられる。アレーンテトライル基(4価)として、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基などが挙げられる。これらの芳香族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
上記式(1−1)、(1−2)においてs、kは0〜10の整数、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0〜1の整数である。s及びkが10を超えると、環状カルボジイミド化合物は合成上困難となり、コストが大きく上昇する場合が発生するためである。かかる観点より整数は好ましくは0〜3の範囲が選択される。なお、sまたはkが2以上であるとき、繰り返し単位としてのX1、あるいはX2が、他のX1、あるいはX2と異なっていてもよい。
上記式(1−3)においてX3は、それぞれヘテロ原子ならびに置換基を含んでいてもよい、2〜4価の炭素数1〜20の脂肪族基、2〜4価の炭素数3〜20の脂環族基、2〜4価の炭素数5〜15の芳香族基、またはこれらの組み合わせである。
脂肪族基として、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数1〜20のアルカントリイル基、炭素数1〜20のアルカンテトライル基などが挙げられる。アルキレン基として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、へキサデシレン基などが挙げられる。アルカントリイル基として、メタントリイル基、エタントリイル基、プロパントリイル基、ブタントリイル基、ペンタントリイル基、ヘキサントリイル基、ヘプタントリイル基、オクタントリイル基、ノナントリイル基、デカントリイル基、ドデカントリイル基、ヘキサデカントリイル基などが挙げられる。アルカンテトライル基として、メタンテトライル基、エタンテトライル基、プロパンテトライル基、ブタンテトライル基、ペンタンテトライル基、ヘキサンテトライル基、ヘプタンテトライル基、オクタンテトライル基、ノナンテトライル基、デカンテトライル基、ドデカンテトライル基、ヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。これら脂肪族基は置換基を含んでいてもよく、置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
脂環族基として、炭素数3〜20のシクロアルキレン基、炭素数3〜20のシクロアルカントリイル基、炭素数3〜20のシクロアルカンテトライル基が挙げられる。シクロアルキレン基として、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロへプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロドデシレン基、シクロへキサデシレン基などが挙げられる。アルカントリイル基として、シクロプロパントリイル基、シクロブタントリイル基、シクロペンタントリイル基、シクロヘキサントリイル基、シクロヘプタントリイル基、シクロオクタントリイル基、シクロノナントリイル基、シクロデカントリイル基、シクロドデカントリイル基、シクロヘキサデカントリイル基などが挙げられる。アルカンテトライル基として、シクロプロパンテトライル基、シクロブタンテトライル基、シクロペンタンテトライル基、シクロヘキサンテトライル基、シクロヘプタンテトライル基、シクロオクタンテトライル基、シクロノナンテトライル基、シクロデカンテトライル基、シクロドデカンテトライル基、シクロヘキサデカンテトライル基などが挙げられる。これら脂環族基は置換基を含んでいてもよく、置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリーレン基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
芳香族基として、それぞれへテロ原子を含んで複素環構造を持っていてもよい、炭素数5〜15のアリーレン基、炭素数5〜15のアレーントリイル基、炭素数5〜15のアレーンテトライル基が挙げられる。アリーレン基として、フェニレン基、ナフタレンジイル基などが挙げられる。アレーントリイル基(3価)として、ベンゼントリイル基、ナフタレントリイル基などが挙げられる。アレーンテトライル基(4価)として、ベンゼンテトライル基、ナフタレンテトライル基などが挙げられる。これらの芳香族基は置換されていても良い。置換基として、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミド基、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、アルデヒド基などが挙げられる。
また、Ar1、Ar2、R1、R2、X1、X2およびX3はヘテロ原子を含有していてもよい、また、Qが2価の結合基であるときは、Ar1、Ar2、R1、R2、X1、X2およびX3は全て2価の基である。Qが3価の結合基であるときは、Ar1、Ar2、R1、R2、X1、X2およびX3の内の一つが3価の基である。Qが4価の結合基であるときは、Ar1、Ar2、R1、R2、X1、X2およびX3の内の一つが4価の基であるか、二つが3価の基である。
本発明で用いる環状カルボジイミド化合物として、以下(a)〜(c)で表される化合物が挙げられる。
(環状カルボジイミド化合物(a))
本発明で用いる環状カルボジイミド化合物として下記式(2)で表される化合物(以下、「環状カルボジイミド化合物(a)」ということがある。)を挙げることができる。
Figure 2013227440
式中、Qaは、脂肪族基、脂環族基、芳香族基またはこれらの組み合わせである2価の結合基であり、ヘテロ原子を含有していてもよい。脂肪族基、脂環族基、芳香族基は、式(1)で説明したものと同じである。但し、式(2)の化合物においては、脂肪族基、脂環族基、芳香族基は全て2価である。Qaは、下記式(2−1)、(2−2)または(2−3)で表される2価の結合基であることが好ましい。
Figure 2013227440
式中、Ara 1、Ara 2、Ra 1、Ra 2、Xa 1、Xa 2、Xa 3、sおよびkは、各々式(1−1)〜(1−3)中のAr1、Ar2、R1、R2、X1、X2、X3、sおよびkと同じである。但し、これらは全て2価である。
かかる環状カルボジイミド化合物(a)としては、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2013227440
Figure 2013227440
Figure 2013227440
Figure 2013227440
Figure 2013227440
Figure 2013227440
Figure 2013227440
Figure 2013227440
Figure 2013227440
Figure 2013227440
Figure 2013227440
Figure 2013227440
Figure 2013227440
Figure 2013227440
(環状カルボジイミド化合物(b))
さらに、本発明で用いる環状カルボジイミド化合物として下記式(3)で表される化合物(以下、「環状カルボジイミド化合物(b)」ということがある。)を挙げることができる。
Figure 2013227440
式中、Qbは、脂肪族基、脂環族基、芳香族基、またはこれらの組み合わせである3価の結合基であり、ヘテロ原子を含有していてもよい。Yは、環状構造を担持する担体である。脂肪族基、脂環族基、芳香族基は、式(1)で説明したものと同じである。但し、式(3)の化合物においては、Qbを構成する基の内一つは3価である。
bは、下記式(3−1)、(3−2)または(3−3)で表される3価の結合基であることが好ましい。
Figure 2013227440
式中、Arb 1、Arb 2、Rb 1、Rb 2、Xb 1、Xb 2、Xb 3、sおよびkは、各々式(1−1)〜(1−3)のAr1、Ar2、R1、R2、X1、X2、X3、sおよびkと同じである。但しこれらの内の一つは3価の基である。
Yは、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーであることが好ましい。Yは結合部であり、複数の環状構造がYを介して結合し、式(3)で表される構造を形成している。
かかる環状カルボジイミド化合物(b)としては、下記化合物が挙げられる。
Figure 2013227440
Figure 2013227440
Figure 2013227440
Figure 2013227440
(環状カルボジイミド化合物(c))
本発明で用いる環状カルボジイミド化合物として下記式(4)で表される化合物(以下、「環状カルボジイミド化合物(c)」ということがある。)を挙げることができる。
Figure 2013227440
式中、Qcは、脂肪族基、脂環族基、芳香族基またはこれらの組み合わせである4価の結合基であり、ヘテロ原子を保有していてもよい。Z1およびZ2は、環状構造を担持する担体である。Z1およびZ2は、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。
脂肪族基、脂環族基、芳香族基は、式(1)で説明したものと同じである。但し、式(4)の化合物において、Qcは4価である。従って、これらの基の内の一つが4価の基であるか、二つが3価の基である。
cは、下記式(4−1)、(4−2)または(4−3)で表される4価の結合基であることが好ましい。
Figure 2013227440
Arc 1、Arc 2、Rc 1、Rc 2、Xc 1、Xc 2、Xc 3、sおよびkは、各々式(1−1)〜(1−3)の、Ar1、Ar2、R1、R2、X1、X2、X3、sおよびkと同じである。但し、Arc 1、Arc 2、Rc 1、Rc 2、Xc 1、Xc 2およびXc 3は、これらの内の一つが4価の基であるか、二つが3価の基である。Z1およびZ2は各々独立に、単結合、二重結合、原子、原子団またはポリマーであることが好ましい。Z1およびZ2は結合部であり、複数の環状構造がZ1およびZ2を介して結合し、式(4)で表される構造を形成している。
かかる環状カルボジイミド化合物(c)としては、下記化合物を挙げることができる。
Figure 2013227440
Figure 2013227440
Figure 2013227440
(環状カルボジイミド化合物の製造方法)
前記環状カルボジイミド化合物は、特開2011−256337号公報に記載の方法などに基づいて合成することができる。
<ポリエステルフィルムの構成および特性>
本発明のポリエステルフィルムは、上述の構造を有する前記ポリマーを含有することが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムの厚みは、用途によって異なるが、太陽電池モジュール用バックシートの部材として用いる場合には、25μm〜300μmであることが好ましく、120μm以上300μm以下であることがより好ましい。厚みが25μm以上であることで、十分な力学強度が得られ、300μm以下とすることで、コスト上、有利である。
本発明のポリエステルフィルムは延伸されていることが好ましく、二軸延伸されていることがさらに好ましく、平面二軸延伸されていることがチューブラーなどの延伸と比較して特に好ましく、逐次二軸延伸されていることがより特に好ましい。本発明のポリエステルフィルムのMD配向度、及び、TD配向度は、それぞれ0.14以上であることが好ましく、0.155以上が更に好ましく、0.16以上が特に好ましい。各配向度が0.14以上であると、非晶鎖の拘束性が向上し(運動性が低下)、耐加水分解性が向上する。前記MD及びTD配向度は、アッベの屈折率計を用い、光源としては単色光ナトリウムD線を用い、マウント液としてはヨウ化メチレンを用いて25℃雰囲気中で二軸配向フィルムのx、y、z方向の屈折率を測定し、MD配向度:Δn(x−z)、TD;Δn(y−z)から算出することができる。
また、本発明のポリエステルフィルムの固有粘度(IV)は、0.70〜0.94dl/gが好ましく、0.71〜0.84dl/gが更に好ましく、0.72〜0.84dl/gが特に好ましい。
ポリエステルフィルムの固有粘度は上記下限値以下であることが、製膜性を改善し、膜厚均一性を改善する観点から好ましい。
得られたポリエステルフィルムの固有粘度(IV)は、ポリエステルフィルムをオルトクロロフェノールに溶解し、25℃で測定した溶液粘度から、下式より固有粘度を得た。
ηsp/C=[η]+K[η]2・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは、溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量であり(本測定では1g/100mlとする)、Kはハギンス定数(0.343とする)であり、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。
本発明のポリエステルフィルムのゲル分率が0.1%未満であることが好ましく、0.05%以下であることがより好ましく、0.01%以下であることが特に好ましい。
ここで、ポリエステルフィルムのゲル分率は、ポリエステルフィルム5gをHFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)95gに溶解し、5質量%HFIP溶液を平均孔径が50μmのフィルター(例えば、東京スクリーン社製)で濾過し、2時間室温で乾燥させた後、110℃で1時間真空乾燥させ重量を測定し、下記式により算出した値を用いる。
ゲル分率(%)
=([濾過後フィルター重量(g)]−[濾過前フィルター重量(g)])/5(g)×100
得られたゲル分率をもとに、下記基準にしたがってゲル分率を評価した。
<ポリエステルフィルムの製造方法>
(フィルム形成工程)
フィルム形成工程においては、本発明のポリエステルフィルムを形成するための樹脂組成物に含まれる前記ポリエステルおよび前記環状カルボジイミド化合物を溶融させた溶融体をギアポンプや濾過器を通し、その後、ダイを介して冷却ロールに押出し、これを冷却固化させることで(未延伸)フィルムを形成することができる。なお、押出された溶融体は、静電印加法を用いて冷却ロールに密着させることができる。この際、冷却ロールの表面温度は、おおよそ10℃〜40℃とすることができる。
(延伸工程)
前記フィルム形成工程によって形成された(未延伸)フィルムは、延伸工程において、延伸処理を施すことができる。前記延伸工程においては、冷却ロールで冷却固化させた(未延伸)フィルムに1つまたは2つの方向に延伸されることが好ましく、2つの方向に延伸されることがより好ましい。前記2つの方向への延伸(二軸延伸)は、長手方向(MD:Machine Direction)の延伸(以下「縦延伸」ともいう)及び幅方向(TD:Transverse Direction)の延伸(以下、「横延伸」ともいう)であることが好ましい。当該縦延伸、横延伸は各々1回で行っても良く、複数回に亘って実施しても良く、同時に縦、横に延伸してもよい。
前記延伸処理は、フィルムのガラス温度(Tg)℃〜(Tg+60)℃で行うのが好ましく、より好ましくはTg+3℃〜Tg+40℃、さらに好ましくはTg+5℃〜Tg+30℃である。
好ましい延伸倍率は少なくとも一方に280%〜500%、より好ましくは300%〜480%、さらに好ましくは320%〜460%である。二軸延伸の場合、縦、横均等に延伸してもよいが、一方の延伸倍率を他方より大きくし不均等に延伸するほうがより好ましい。縦(MD)、横(TD)いずれを大きくしてもよい。ここで云う延伸倍率は、以下の式を用いて求めたものである。
延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)−(延伸前の長さ)}/(延伸前の長さ)
前記二軸延伸処理は、例えば、フィルムのガラス転移温度である(Tg1)℃〜(Tg1+60)℃で長手方向に1回もしくは2回以上、合計の倍率が3倍〜6倍になるよう延伸し、その後、(Tg1)℃〜(Tg+60)℃で幅方向に倍率が3〜5倍になるよう施すことができる。
前記二軸延伸処理は出口側の周速を速くした2対以上のニップロールを用いて、長手方向に延伸することができ(縦延伸)、フィルムの両端をチャックで把持しこれを直交方向(長手方向と直角方向)に広げておこなうことができる(横延伸)。
前記延伸工程においては、延伸処理の前又はその後、好ましくは延伸処理後に、フィルムに熱処理を施すことができる。前記熱処理を施すことによって、微結晶を生成し、力学特性や耐久性を向上させることができる。180℃〜210℃程度(更に好ましくは、185℃℃〜210℃)で1秒間〜60秒間(更に好ましくは2秒間〜30秒間)の熱処理をフィルムに施してもよい。
前記延伸工程においては、前記熱処理後、熱緩和処理を施すことができる。前記熱緩和処理とは、フィルムに対して応力緩和のために熱を加えて、フィルムを収縮させる処理である。熱緩和処理は、フィルムのMD及びTDの両方向に施すことが好ましい。前記熱緩和処理における諸条件は、熱処理温度より低い温度で処理することが好ましく、130℃〜205℃が好ましい。また、前記熱緩和処理は、フィルムの熱収縮率(150℃)がMD及びTDがいずれも1〜12%であることが好ましく、1〜10%が更に好ましい。尚、熱収縮率(150℃)は、測定方向350mm、幅50mmのサンプルを切り出し、サンプルの長手方向の両端近傍300mm間隔に標点を付け、150℃の温度に調整されたオーブンに一端を固定、他端をフリーで30分間放置し、その後、室温で標点間距離を測定し、この長さをL(mm)とし、かかる測定値を用いて、下記式にて熱収縮率を求めることができる。
150℃熱収縮率(%)=100×(300−L)/300
また、熱収縮率が正の場合は縮みを、負は伸びを表わす。
以上説明したように、上述の方法によって、耐加水分解性に優れたフィルムを作製することができる。本発明のポリエステルフィルムは、後述するように太陽電池モジュールの保護シート(太陽電池モジュール用バックシート)として好適に用いることができるのみならず、他の用途にも用いることができる。
また、本発明のフィルムは、その上に、COOH、OH、SO3H、NH2及びその塩から選ばれる少なくとも一つの官能基を含む塗布層を設けた積層体として用いることもできる。
[太陽電池モジュール用バックシート]
本発明の太陽電池モジュール用バックシートは、本発明のポリエステルフィルムを含むことを特徴とする。本発明のポリエステルフィルムを太陽電池モジュール用バックシートに用いると、層間の密着性の問題が少なくなり、特に湿熱経時後の層間の密着性を大きく改善することができる。
本発明の太陽電池モジュール用バックシートは、例えば、一軸延伸後及び/又は二軸延伸後のポリエステルフィルムに下記の機能性層を塗設してもよい。塗設には、ロールコート法、ナイフエッジコート法、グラビアコート法、カーテンコート法等の公知の塗布技術を用いることができる。
また、これらの塗設前に表面処理(火炎処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理等)を実施してもよい。さらに、粘着剤を用いて貼り合わせることも好ましい。
−易接着性層−
本発明のポリエステルフィルムは、太陽電池モジュールを構成する場合に太陽電池素子が封止材で封止された電池側基板の該封止材と向き合う側に、易接着性層を有していることが好ましい。封止材(特にエチレン−酢酸ビニル共重合体)を含む被着物(例えば太陽電池素子が封止材で封止された電池側基板の封止材の表面)に対して接着性を示す易接着性層を設けることにより、バックシートと封止材との間を強固に接着することができる。具体的には、易接着性層は、特に封止材として用いられるEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)との接着力が10N/cm以上、好ましくは20N/cm以上であることが好ましい。
さらに、易接着性層は、太陽電池モジュールの使用中にバックシートの剥離が起こらないことが必要であり、そのために易接着性層は高い耐加水分解性を有することが望ましい。
(1)バインダー
本発明における易接着性層はバインダーの少なくとも1種を含有することができる。
バインダーとしては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリオレフィン等を用いることができる。中でも、耐久性の観点から、アクリル樹脂、ポリオレフィンが好ましい。また、アクリル樹脂として、アクリルとシリコーンとの複合樹脂も好ましい。好ましいバインダーの例として、以下のものを挙げることができる。
前記ポリオレフィンの例として、ケミパールS−120、同S−75N(ともに三井化学(株)製)が挙げられる。前記アクリル樹脂の例として、ジュリマーET−410、同SEK−301(ともに日本純薬工業(株)製)が挙げられる。また、前記アクリルとシリコーンとの複合樹脂の例として、セラネートWSA1060、同WSA1070(ともにDIC(株)製)、及びH7620、H7630、H7650(ともに旭化成ケミカルズ(株)製)が挙げられる。
前記バインダーの量は、0.05〜5g/m2の範囲が好ましく、0.08〜3g/m2の範囲が特に好ましい。バインダー量は、0.05g/m2以上であることでより良好な接着力が得られ、5g/m2以下であることでより良好な面状が得られる。
(2)微粒子
本発明における易接着性層は、微粒子の少なくとも1種を含有することができる。易接着性層は、微粒子を層全体の質量に対して5質量%以上含有することが好ましい。
微粒子としては、シリカ、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化錫等の無機微粒子が好適に挙げられる。特にこの中でも、湿熱雰囲気に曝されたときの接着性の低下が小さい点で、酸化錫、シリカの微粒子が好ましい。
微粒子の粒径は、10〜700nm程度が好ましく、より好ましくは20〜300nm程度である。粒径が前記範囲の微粒子を用いることにより、良好な易接着性を得ることができる。微粒子の形状には特に制限はなく、球形、不定形、針状形等のものを用いることができる。
微粒子の易接着性層中における添加量としては、易接着性層中のバインダー当たり5〜400質量%が好ましく、より好ましくは50〜300質量%である。微粒子の添加量は、5質量%以上であると、湿熱雰囲気に曝されたときの接着性に優れており、1000質量%以下であると、易接着性層の面状がより良好である。
(3)架橋剤
本発明における易接着性層は、架橋剤の少なくとも1種を含有することができる。
架橋剤の例としては、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤を挙げることができる。湿熱経時後の接着性を確保する観点から、これらの中でも特にオキサゾリン系架橋剤が好ましい。
前記オキサゾリン系架橋剤の具体例として、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2,2’−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−メチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−トリメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2、2’−ヘキサメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、ビス−(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド、ビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィド等が挙げられる。さらに、これらの化合物の(共)重合体も好ましく利用することができる。
また、オキサゾリン基を有する化合物として、エポクロスK2010E、同K2020E、同K2030E、同WS500、同WS700(いずれも日本触媒化学工業(株)製)等も利用できる。
架橋剤の易接着性層中における好ましい添加量は、易接着性層のバインダー当たり5〜50質量%が好ましく、より好ましくは20〜40質量%である。架橋剤の添加量は、5質量%以上であることで良好な架橋効果が得られ、反射層の強度低下や接着不良が起こりにくく、50質量%以下であることで塗布液のポットライフをより長く保てる。
(4)添加剤
本発明における易接着性層には、必要に応じて、更にポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、シリカ等の公知のマット剤、アニオン系やノニオン系などの公知の界面活性剤などを添加してもよい。
(5)易接着性層の形成方法
本発明における易接着性層の形成方法としては、易接着性を有するポリマーシートをポリエステルフィルムに貼合する方法や塗布による方法があるが、塗布による方法は、簡便でかつ均一性の高い薄膜での形成が可能である点で好ましい。塗布方法としては、例えば、グラビアコーターやバーコーターなどの公知の方法を利用することができる。塗布に用いる塗布液の溶媒としては、水でもよいし、トルエンやメチルエチルケトンのような有機溶媒でもよい。溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
また、易接着性層を塗布により形成する場合は、熱処理後の乾燥ゾーンにおいて塗布層の乾燥と熱処理を兼ねることが好ましい。なお、後述する着色層やその他の機能性層を塗布により形成する場合も同様である。
(6)物性
本発明における易接着性層の厚みには特に制限はないが、通常は0.05〜8μmが好ましく、より好ましくは0.1〜5μmの範囲である。易接着性層の厚みは、0.05μm以上であることで必要とする易接着性が得られやすく、8μm以下であることで面状をより良好に維持することができる。
また、本発明における易接着性層は、ポリエステルフィルムとの間に着色層(特に反射層)が配置された場合の該着色層の効果を損なわない観点から、透明性を有していることが好ましい。
−着色層−
本発明のポリエステルフィルムには、着色層を設けることができる。着色層は、ポリエステルフィルムの表面に接触させて、あるいは他の層を介して配置される層であり、顔料やバインダーを用いて構成することができる。
着色層の第一の機能は、入射光のうち太陽電池セルで発電に使われずにバックシートに到達した光を反射させて太陽電池セルに戻すことにより、太陽電池モジュールの発電効率を上げることにある。第二の機能は、太陽電池モジュールをオモテ面側から見た場合の外観の装飾性を向上することにある。一般に太陽電池モジュールをオモテ面側から見ると、太陽電池セルの周囲にバックシートが見えており、バックシートに着色層を設けることにより装飾性を向上させることができる。
(1)顔料
本発明における着色層は、顔料の少なくとも1種を含有することができる。顔料は、2.5〜8.5g/m2の範囲で含有されるのが好ましい。より好ましい顔料含有量は、4.5〜7.5g/m2の範囲である。顔料の含有量が2.5g/m2以上であることで、必要な着色が得られやすく、光の反射率や装飾性をより優れたものに調整することができる。顔料の含有量が8.5g/m2以下であることで、着色層の面状をより良好に維持することができる。
顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、群青、紺青、カーボンブラック等の無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の有機顔料が挙げられる。これら顔料のうち、入射する太陽光を反射する反射層として着色層を構成する観点からは、白色顔料が好ましい。白色顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルクなどが好ましい。
顔料の平均粒径としては、0.03〜0.8μmが好ましく、より好ましくは0.15〜0.5μm程度が好ましい。平均粒径が前記範囲内であると、光の反射効率が低下する場合がある。
入射した太陽光を反射する反射層として着色層を構成する場合、顔料の反射層中における好ましい添加量は、用いる顔料の種類や平均粒径により変化するため一概には言えないが、1.5〜15g/m2が好ましく、より好ましくは3〜10g/m2程度である。添加量は、1.5g/m2以上であることで必要な反射率が得られやすく、15g/m2以下であることで反射層の強度をより一層高く維持することができる。
(2)バインダー
本発明における着色層は、バインダーの少なくとも1種を含有することができる。バインダーを含む場合の量としては、前記顔料に対して、15〜200質量%の範囲が好ましく、17〜100質量%の範囲がより好ましい。バインダーの量は、15質量%以上であることで着色層の強度を一層良好に維持することができ、200質量%以下であることで反射率や装飾性が低下する。
着色層に好適なバインダーとしては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリオレフィン等を用いることができる。バインダーは、耐久性の観点から、アクリル樹脂、ポリオレフィンが好ましい。また、アクリル樹脂として、アクリルとシリコーンとの複合樹脂も好ましい。好ましいバインダーの例として、以下のものが挙げられる。
前記ポリオレフィンの例としては、ケミパールS−120、同S−75N(ともに三井化学(株)製)などが挙げられる。前記アクリル樹脂の例としては、ジュリマーET−4
10、SEK−301(ともに日本純薬工業(株)製)などが挙げられる。前記アクリルとシリコーンとの複合樹脂の例としては、セラネートWSA1060、WSA1070(ともにDIC(株)製)、H7620、H7630、H7650(ともに旭化成ケミカルズ(株)製)等を挙げることができる。
(3)添加剤
本発明における着色層には、バインダー及び顔料以外に、必要に応じて、さらに架橋剤、界面活性剤、フィラー等を添加してもよい。
架橋剤としては、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤を挙げることができる。架橋剤の着色剤中における添加量は、着色層のバインダーあたり5〜50質量%が好ましく、より好ましくは10〜40質量%である。架橋剤の添加量は、5質量%以上であることで良好な架橋効果が得られ、着色層の強度や接着性を高く維持することができ、また50質量%以下であることで、塗布液のポットライフをより長く維持することができる。
界面活性剤としては、アニオン系やノニオン系等の公知の界面活性剤を利用することができる。界面活性剤の添加量は、0.1〜15mg/m2が好ましく、より好ましくは0.5〜5mg/m2が好ましい。界面活性剤の添加量は、0.1mg/m2以上であることでハジキの発生が効果的に抑制され、また、15mg/m2以下であることで接着性に優れる。
さらに、着色層には、上記の顔料とは別に、シリカ等のフィラーなどを添加してもよい。フィラーの添加量は、着色層のバインダーあたり20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下である。フィラーを含むことにより、着色層の強度を高めることができる。また、フィラーの添加量が20質量%以下であることで、顔料の比率が保てるため、良好な光反射性(反射率)や装飾性が得られる。
(4)着色層の形成方法
着色層の形成方法としては、顔料を含有するポリマーシートをポリエステルフィルムに貼合する方法、ポリエステルフィルム成形時に着色層を共押出しする方法、塗布による方法等がある。このうち、塗布による方法は、簡便でかつ均一性の高い薄膜での形成が可能である点で好ましい。塗布方法としては、例えば、グラビアコーターやバーコーターなどの公知の方法を利用することができる。塗布に用いられる塗布液の溶媒としては、水でもよいし、トルエンやメチルエチルケトンのような有機溶媒でもよい。しかし、環境負荷の観点から、水を溶媒とすることが好ましい。
溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
(5)物性
着色層は、白色顔料を含有して白色層(光反射層)として構成されることが好ましい。反射層である場合の550nmの光反射率としては、75%以上であるのが好ましい。反射率が75%以上であると、太陽電池セルを素通りして発電に使用されなかった太陽光をセルに戻すことができ、発電効率を上げる効果が高い。
白色層(光反射層)の厚みは、1〜20μmが好ましく、1〜10μmがより好ましく、更に好ましくは1.5〜10μm程度である。膜厚が1μm以上である場合、必要な装飾性や反射率が得られやすく、20μm以下であると面状が悪化する場合がある。
−下塗り層−
本発明のポリエステルフィルムには、下塗り層を設けることができる。下塗り層は、例えば、着色層が設けられるときには、着色層とポリエステルフィルムとの間に下塗り層を設けてもよい。下塗り層は、バインダー、架橋剤、界面活性剤等を用いて構成することができる。
下塗り層中に含有するバインダーとしては、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリオレフィン等が挙げられる。下塗り層には、バインダー以外にエポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤、アニオン系やノニオン系等の界面活性剤、シリカ等のフィラーなどを添加してもよい。
下塗り層を塗布形成するための方法や用いる塗布液の溶媒には、特に制限はない。
塗布方法としては、例えば、グラビアコーターやバーコーターを利用することができる。前記溶媒は、水でもよいし、トルエンやメチルエチルケトンのような有機溶媒でもよい。溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
塗布は、二軸延伸した後のポリエステルフィルムに塗布してもよいし、一軸延伸後のポリエステルフィルムに塗布してもよい。この場合、塗布後に初めの延伸と異なる方向に更に延伸してフィルムとしてもよい。さらに、延伸前のポリエステルフィルムに塗布した後に、2方向に延伸してもよい。
下塗り層の厚みは、0.05μm〜2μmが好ましく、より好ましくは0.1μm〜1.5μm程度の範囲が好ましい。膜厚が0.05μm以上であることで必要な接着性が得られやすく、2μm以下であることで、面状を良好に維持することができる。
−防汚層(フッ素系樹脂層・ケイ素系樹脂層)−
本発明のポリエステルフィルムには、フッ素系樹脂層及びケイ素系(Si系)樹脂層の少なくとも一方を防汚層として設けることが好ましい。フッ素系樹脂層やSi系樹脂層を設けることで、ポリエステル表面の汚れ防止、耐候性向上が図れる。具体的には、特開2007−35694号公報、特開2008−28294号公報、WO2007/063698明細書に記載のフッ素樹脂系塗布層を有していることが好ましい。
また、テドラー(DuPont社製)等のフッ素系樹脂フィルムを張り合わせることも好ましい。
フッ素系樹脂層及びSi系樹脂層の厚みは、各々、1μm〜50μmの範囲が好ましく、より好ましくは1μm〜40μmの範囲が好ましく、更に好ましくは1μm〜10μmである。
[太陽電池モジュール]
本発明の太陽電池モジュールは、本発明のポリエステルフィルムまたは本発明の太陽電池モジュール用バックシートを含むことを特徴とする。
本発明の太陽電池モジュールは、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池素子を、太陽光が入射する透明性の基板と既述の本発明のポリエステルフィルム(太陽電池用バックシート)との間に配置して構成されている。基板とポリエステルフィルムとの間は、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体等の樹脂(いわゆる封止材)で封止して構成することができる。
太陽電池モジュール、太陽電池セル、バックシート以外の部材については、例えば、「太陽光発電システム構成材料」(杉本栄一監修、(株)工業調査会、2008年発行)に詳細に記載されている。
透明性の基板は、太陽光が透過し得る光透過性を有していればよく、光を透過する基材から適宜選択することができる。発電効率の観点からは、光の透過率が高いものほど好ましく、このような基板として、例えば、ガラス基板、アクリル樹脂などの透明樹脂などを好適に用いることができる。
太陽電池素子としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン系、銅−インジウム−ガリウム−セレン、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルル、ガリウム−砒素などのIII−V族やII−VI族化合物半導体系など、各種公知の太陽電池素子を適用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
カルボジイミド末端封止剤として、以下の化合物を各実施例および比較例に用いた。
環状カルボジイミド(1)は特開2011−258641号公報の実施例に記載の分子量516の化合物であり、特開2011−258641号公報の参考例2に記載の合成方法を参考に合成した。
環状カルボジイミド(2)は特開2011−258641号公報の実施例に記載の分子量252の化合物であり、特開2011−258641号公報の参考例1に記載の合成方法を参考に合成した。
比較例に用いた線状カルボジイミド(1)はStabaxol P400(ラインケミー社製、重量平均分子量:約2000)である。
比較例に用いたモノカルボジイミド(1)はStabaxol I(ラインケミー社製、平均分子量:362.5)である。
これらのカルボジイミド末端封止剤の構造を以下に示す。
Figure 2013227440
[実施例1]
1.飽和ポリエステル樹脂の作製
−工程(A)−
高純度テレフタル酸4.7トンとエチレングリコール1.8トンとを90分間かけて混合してスラリーを形成し、3800kg/hの流量で連続的に第一エステル化反応槽に供給した。次いで、クエン酸がTi金属に配位したクエン酸キレートチタン錯体(「VERTEC AC−420」、ジョンソン・マッセイ社製)のエチレングリコール溶液を連続的に第一エステル化反応槽に供給し、反応槽内温度250℃として攪拌しながら平均滞留時間約4.4時間で反応を行なってオリゴマーを得た。この際、クエン酸キレートチタン錯体は、Ti添加量が元素換算値で9ppmとなるように連続的に添加した。得られたオリゴマーの酸価は500eq/トンであった。
得られたオリゴマーを第二エステル化反応槽に移送し、反応槽内温度250℃・平均滞留時間1.2時間で攪拌して反応させ、酸価が180eq/トンのオリゴマーを得た。第二エステル化反応槽は内部が第1ゾーン〜第3ゾーンまでの3つのゾーンに仕切られており、第2ゾーンから酢酸マグネシウムのエチレングリコール溶液を、Mg添加量が元素換算値で75ppmになるように連続的に供給し、続いて第3ゾーンから、リン酸トリメチルのエチレングリコール溶液を、P添加量が元素換算値で65ppmになるように連続的に供給した。なお、リン酸トリメチルのエチレングリコール溶液は、25℃のエチレングリコール液に、25℃のリン酸トリメチル液を加え、25℃で2時間攪拌することにより調製した(溶液中のリン化合物含有量:3.8質量%)。
以上により、エステル化反応生成物を得た。
−工程(B)−
工程(A)で得られたエステル化反応生成物を連続的に第一重縮合反応槽に供給した。次いで、反応温度270℃・反応槽内圧力20torr(2.67×10-3MPa)でエステル化反応生成物を攪拌しながら、平均滞留時間約1.8時間で重縮合(エステル交換反応)させた。
次いで、得られた反応物を、第一重縮合反応槽から第二重縮合反応槽に移送した。その後、反応物を第二重縮合反応槽反応槽において、反応槽内温度276℃・反応槽内圧力5torr(6.67×10-4MPa)で攪拌し、滞留時間約1.2時間の条件で反応(エステル交換反応)させた。
次いで、エステル交換反応によって得られた反応物を、第二重縮合反応槽から、更に第三重縮合反応槽に移送し、この反応槽では、反応槽内温度278℃、反応槽内圧力1.5torr(2.0×10-4MPa)で攪拌しながら、滞留時間1.5時間の条件で反応(エステル交換反応)させ、カルボン酸価:22eq/ton、IV(固有粘度):0.65dl/gの反応物(ポリエチレンテレフタレート(PET))を得た。
更に、回転型真空重合装置を用いて、50Paの減圧下で、得られたPETに210℃で30時間加熱処理(固相重合)を行った。なお、固相重合時間を長くすることでIVは増加しAVは減少し易く、固相重合温度を上げることでAVは減少し難く、IVは増加し易い。
目的のAV、IVとなるように、温度、時間を調節して固相重合を実施した。
その後、真空重合装置内に、25℃の窒素ガスを流し、ペレットを25℃まで、冷却し、カルボン酸価27eq/トン、IVが0.52dl/gのPETを得た。
2.ポリエステルフィルムの作製と評価
−押出成形(合成工程・フィルム形成工程)−
得られた上述のPETを直径50mmの2軸混練押出し機のホッパーに主フィーダーで投入し、副フィーダーに環状カルボジイミド(1)を投入し、280℃で溶融して押出した。押出した溶融体(メルト)をギアポンプ及び濾過器(孔径20μm)を通した後、ダイから20℃の冷却ロールに押出し、非晶性シートを得た。なお、押出されたメルトは、静電印加法を用い冷却ロールに密着させた。
−延伸(二軸延伸工程)−
冷却ロール上に押出し、固化した未延伸フィルムに対し、以下の方法で逐次2軸延伸を施し、厚み175μmのポリエステルフィルムを得た。
<延伸方法>
(a)縦延伸
未延伸フィルムを周速の異なる2対のニップロールの間に通し、縦方向(搬送方向)に延伸した。なお、予熱温度を90℃、延伸温度を90℃、延伸倍率を3.5倍、延伸速度を3000%/秒として実施した。
(b)横延伸
縦延伸した前記フィルムに対し、テンターを用いて下記条件にて横延伸した。
<条件>
・予熱温度:100℃
・延伸温度:110℃
・延伸倍率:4.2倍
・延伸速度:70%/秒
−熱固定・熱緩和−
続いて、縦延伸及び横延伸を終えた後の延伸フィルムを下記条件で熱固定した。さらに、熱固定した後、テンター幅を縮め下記条件で熱緩和した。
<熱固定条件>
・熱固定温度:198℃
・熱固定時間:2秒
<熱緩和条件>
・熱緩和温度:195℃
・熱緩和率:5%
−巻き取り−
熱固定及び熱緩和の後、ポリエステルフィルムの両端を10cmずつトリミングした。その後、両端に幅10mmで押出し加工(ナーリング)を行なった後、張力25kg/mで巻き取った。なお、幅は1.5m、巻長は2000mであった。
以上のようにして、実施例1のポリエステルフィルムを作製した。得られたサンプルフィルムはブツや皺などなく面状も良好であった。
−ポリエステルフィルムの物性測定−
(耐加水分解性(PCT試験))
耐加水分解性の評価は破断伸度保持率半減期で評価した。破断伸度保持率半減期は、実施例1にて得られたポリエステルフィルムに対して、120℃、相対湿度100%の条件で保存処理(加熱処理)を行い、保存後のポリエステルフィルムが示す破断伸度(%)が、保存前のポリエステルフィルムが示す破断伸度(%)に対して50%となる保存時間を測定することで評価した。得られた結果を下記表1に記載した。
◎:破断伸度半減期が220時間以上
○:破断伸度半減期が160時間以上220時間未満
△:破断伸度半減期が130時間以上60時間未満
×:破断伸度半減期が130時間未満
破断伸度保持率半減期が長い程、ポリエステルフィルムの耐加水分解性が優れていることを示す。すなわち、本発明のポリエステルフィルムは、120℃、相対湿度100%の条件で保存処理した前後の破断伸度半減期が130時間以上であることが好ましく、160時間以上であることがより好ましく、220時間以上であることが特に好ましい。
(耐熱性)
実施例1にて得られたポリエステルフィルムを150℃で48時間加熱処理し、耐熱性評価用ポリエステルフィルムとした。耐熱性評価用ポリエステルフィルムの最大強度をS(MPa)とし、180℃で120時間加熱処理した後の最大強度をT(MPa)とした。下記計算式により耐熱性の指標Rを算出し、下記基準で評価した。得られた結果を下記表1に記載した。
R(%)=S/T×100
○:R(%)が70%以上。
△:R(%)が60%以上70%より小さい。
×:R(%)が60%より小さい。
すなわち、本発明のポリエステルフィルムは、150℃で48時間加熱処理した後の最大強度をS(MPa)とし、180℃で120時間加熱処理した後の最大強度をT(MPa)としたときの、上記指標Rが60%以上であることが好ましく、70%以上であることが好ましい。
(ゲル)
得られたポリエステルフィルム5gをHFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)95gに溶解し、5質量%HFIP溶液を調製した。この溶液を平均孔径が50μmのフィルター(東京スクリーン社製)で濾過し2時間室温で乾燥させた後、110℃で1時間真空乾燥させ重量を測定し下記式によりゲル分率を算出した。
ゲル分率(%)
=([濾過後フィルター重量(g)]−[濾過前フィルター重量(g)])/5(g)×100
得られたゲル分率をもとに、下記基準にしたがってゲル分率を評価した。
◎:ゲル分率≦0.01%
○:0.01%<ゲル分率≦0.05%
△:0.05%<ゲル分率<0.1%
×:0.1%≦ゲル分率
ゲル分率が高い比較例2、3および8〜11のポリエステルフィルムは、延伸性を低下させたり、透明性を悪化させたりしていた。
(膜厚均一性)
4時間連続して製膜した際のポリエステルフィルムの膜厚変動を評価した。得られた結果を下記表1に記載した。
◎:膜厚変動が5%以内
○:膜厚変動が5%より大きく、10%以内
△:膜厚変動が10%より大きく、〜15%以内
×:膜厚変動が15%より大きい
−プロセス評価−
(ガス)
2軸押し出し機のダイから発生する煙、臭いを官能評価し、下記の基準にしたがって揮発性を評価した。得られた結果を下記表1に記載した。
〈基準〉
○:煙・臭いの発生はなかった。
△:煙の発生はなかったが、臭いが発生した。
×:煙・臭いが発生した。
3.バックシートの作製
実施例1で作製したポリエステルフィルムを用いて、太陽電池用バックシートを作製した。
まず、実施例1で作製したポリエステルフィルムの片面に、下記の(i)反射層と(ii)易接着性層をこの順で塗設した。
(i)反射層(着色層)
下記組成の諸成分を混合し、ダイノミル型分散機により1時間分散処理して顔料分散物を調製した。
<顔料分散物の処方>
・二酸化チタン ・・・39.9部
(タイペークR−780−2、石原産業(株)製、固形分100質量%)
・ポリビニルアルコール ・・・8.0部
(PVA−105、(株)クラレ製、固形分10%)
・界面活性剤(デモールEP、花王(株)製、固形分:25%) ・・・0.5部
・蒸留水 ・・・51.6部
次いで、得られた顔料分散物を用い、下記組成の諸成分を混合することにより反射層形成用塗布液を調製した。
<反射層形成用塗布液の処方>
・前記の顔料分散物 ・・・71.4部
・ポリアクリル樹脂水分散液 ・・・17.1部
(バインダー:ジュリマーET410、日本純薬工業(株)製、固形分:30質量%)
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル ・・・2.7部
(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、固形分:1質量%)
・オキサゾリン化合物(架橋剤) ・・・1.8部
(エポクロスWS−700、日本触媒(株)製、固形分:25質量%)
・蒸留水 ・・・7.0部
前記より得られた反射層形成用塗布液を実施例1のポリエステルフィルムにバーコーターによって塗布し、180℃で1分間乾燥して、二酸化チタン塗布量が6.5g/m2の(i)反射層(白色層)を形成した。
(ii)易接着性層
下記組成の諸成分を混合して易接着性層用塗布液を調製し、これをバインダー塗布量が0.09g/m2になるように(i)反射層の上に塗布した。その後、180℃で1分間乾燥させ、(ii)易接着性層を形成した。
<易接着性層用塗布液の組成>
・ポリオレフィン樹脂水分散液 ・・・5.2部
(カルボン酸含有バインダー:ケミパールS75N、三井化学(株)製、固形分:24質量%)
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル ・・・7.8部
(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、固形分:1質量%)
・オキサゾリン化合物 ・・・0.8部
(エポクロスWS−700、日本触媒(株)製、固形分25質量%)
・シリカ微粒子水分散物 ・・・2.9部
(アエロジルOX−50、日本アエロジル(株)製、固形分:10質量%)
・蒸留水 ・・・83.3部
次に、ポリエステルフィルムの(i)反射層及び(ii)易接着性層が形成されている側と反対側の面に、下記の(iii)下塗り層、(iv)バリア層、及び(v)防汚層をポリエステルフィルム側から順次、塗設した。
(iii)下塗り層
下記組成の諸成分を混合して下塗り層用塗布液を調製し、この塗布液をポリエステルフィルムに塗布し、180℃で1分間乾燥させ、下塗り層(乾燥塗設量:約0.1g/m2)を形成した。
<下塗り層用塗布液の組成>
・ポリエステル樹脂 ・・・1.7部
(バイロナールMD−1200、東洋紡(株)製、固形分:17質量%)
・ポリエステル樹脂 ・・・3.8部
(スルホン酸含有バインダー:ペスレジンA−520、高松油脂(株)製、固形分:30質量%)
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル ・・・1.5部
(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、固形分:1質量%)
・カルボジイミド化合物 ・・・1.3部
(カルボジライトV−02−L2、日清紡(株)製、固形分:10質量%)
・蒸留水 ・・・91.7部
(iv)バリア層
続いて、形成された下塗り層の表面に下記の蒸着条件にて厚み800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成し、バリア層とした。
<蒸着条件>
・反応ガス混合比(単位:slm):ヘキサメチルジシロキサン/酸素ガス/ヘリウム=1/10/10
・真空チャンバー内の真空度:5.0×10-6mbar
・蒸着チャンバー内の真空度:6.0×10-2mbar
・冷却・電極ドラム供給電力:20kW
・フィルムの搬送速度 :80m/分
(v)防汚層
以下に示すように、第1及び第2防汚層を形成するための塗布液を調製し、前記バリア層の上に第1防汚層用塗布液、第2防汚層用塗布液の順に塗布し、2層構造の防汚層を塗設した。
<第1防汚層>
−第1防汚層用塗布液の調製−
下記組成中の成分を混合し、第1防汚層用塗布液を調製した。
<塗布液の組成>
・セラネートWSA1070(DIC(株)製) ・・・45.9部
・オキサゾリン化合物(架橋剤) ・・・7.7部
(エポクロスWS−700、日本触媒(株)製、固形分:25質量%)
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル ・・・2.0部
(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、固形分:1質量%)
・反射層で用いた顔料分散物 ・・・33.0部
・蒸留水 ・・・11.4部
−第1防汚層の形成−
得られた塗布液を、バインダー塗布量が3.0g/m2になるように、バリア層の上に塗布し、180℃で1分間乾燥させて第1防汚層を形成した。
−第2防汚層用塗布液の調製−
下記組成中の成分を混合し、第2防汚層用塗布液を調製した。
<塗布液の組成>
・フッ素系バインダー:オブリガード(AGCコーテック(株)製) ・・・45.9部
・オキサゾリン化合物 ・・・7.7部
(エポクロスWS−700、日本触媒(株)製、固形分:25質量%;架橋剤)
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル ・・・2.0部
(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、固形分:1質量%)
・前記反射層用に調製した前記顔料分散物 ・・・33.0部
・蒸留水 ・・・11.4部
−第2防汚層の形成−
調製した第2防汚層用塗布液を、バインダー塗布量が2.0g/m2になるように、バリア層上に形成された第1防汚層の上に塗布し、180℃で1分間乾燥させて第2防汚層を形成した。
以上のようにして、ポリエステルフィルムの一方の側に反射層及び易接着層を有し、他方の側に下塗り層、バリア層、及び防汚層を有する実施例1の太陽電池モジュール用バックシートを作製した。
(湿熱経時後の密着性)
実施例1にて得られた太陽電池モジュール用バックシートに対して、120℃、相対湿度100%の条件で、100時間保存した後の密着性を、テープ剥離試験によって評価した。テープ剥離試験は、碁盤目に切り込みを塗布層側の表面からポリエステルフィルム表層まで到達するように入れて実施し、下記の基準に従って評価した。結果を下記表1に示す。
○:剥がれ無し。
△:5%未満の剥離が認められた。
×:5%以上の剥離が認められた。
[実施例2〜18、比較例1〜11]
下記表1に記載の材料を用いた以外は実施例1と同様にして、各実施例および比較例のポリエステルフィルムを製造した。
フィルムのIV値が目的の値となるように、末端封止剤の添加量を調節して製膜を実施した。
得られた各実施例および比較例のポリエステルフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、各実施例および比較例の太陽電池モジュール用バックシートを作製した。
各実施例および比較例において、実施例1と同様の評価を行った結果を下記表1に記載した。下記表1中、末端封止剤の記載がない比較例1は、末端封止剤を添加せずにポリエステルフィルムを製造したものである。
なお、ポリエステルのIVとAVは実施例1のポリエステルを調製したときの固相重合条件を変化させて下記表1に記載の値に調製した。また、ポリエステルフィルムのIVは末端封止剤の添加量を変化させて下記表1に記載の値に調製した。
Figure 2013227440
上記表1より、各実施例のポリエステルフィルムは、耐加水分解性に優れ、膜厚均一性が良好であり、太陽電池モジュール用バックシートに用いたときに湿熱経時後の機能層との密着性が良好であった。
なお、本発明は以下の効果を奏することに限定されるものでもないが、各実施例のポリエステルフィルムは耐熱性も良好であり、ゲル分率が低く延伸性や透明性も良好であり、製膜プロセスにおける汚染(特にイソシアネートガスによる汚染)も少なかった。
一方、カルボジイミド系の末端封止剤を用いずに、製造した比較例1のポリエステルフィルムは、耐加水分解性に劣るものであった。
環状カルボジイミド化合物の添加量が本発明の上限値を超える比較例2および3のポリエステルフィルムは特開2011−258641号公報の態様に類似するものであり、ゲルが生成し膜厚均一性に劣るものであった。
環状カルボジイミド化合物の添加量が本発明の下限値未満の比較例4のポリエステルフィルムは、耐加水分解性の改善が不十分なものであった。
非環状カルボジイミド化合物である線状カルボジイミドを用いた比較例5のポリエステルフィルムは特開2010−235824号公報の態様に類似するものであり、ガスが発生し、太陽電池モジュール用バックシートに用いたときに湿熱経時後の機能層との密着性が劣るものであった。
非環状カルボジイミド化合物であるモノカルボジイミドを用いた比較例6のポリエステルフィルムは、ガスが発生し、太陽電池モジュール用バックシートに用いたときに湿熱経時後の機能層との密着性が劣るものであった。
ポリエステルのIV値が本発明の下限値未満である比較例7〜9のポリエステルフィルムは特開2011−2586416337号公報の態様に類似するものであり、末端封止剤の量が少ないときは耐加水分解性に劣り、末端封止剤の量が多い場合は膜厚均一性に劣るものであった。
ポリエステルのIV値が本発明の下限値未満であり、さらにポリエステルのIV値を比較例7〜9よりも低下させた比較例10および11のポリエステルフィルムは耐加水分解性に劣るものであった。
[太陽電池の作製]
前記のようにして作製した各実施例の太陽電池モジュール用バックシートを用い、特開2009−158952号公報の図1に示す構造になるように透明充填剤に貼り合わせ、太陽電池モジュールを作製した。このとき、各実施例の太陽電池モジュール用バックシートの易接着性層が、太陽電池素子を包埋する透明充填剤に接するように貼り付けた。
作製した太陽電池モジュールは、長期にわたって、安定して発電できることが確認された。

Claims (15)

  1. (A)ポリエステルと、
    (B)カルボジイミド基を1個有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物とを含有し、
    前記(A)ポリエステルの固有粘度が0.5〜0.9dl/gであり、
    前記(B)カルボジイミド基を1個有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物を前記(A)ポリエステルに対して0.05〜0.9質量%含有することを特徴とするポリエステルフィルム。
  2. 前記(A)ポリエステルの固有粘度が0.6〜0.84dl/gであることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. 前記(B)カルボジイミド基を1個有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物を前記(A)ポリエステルに対して0.05〜0.6質量%含有することを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
  4. 前記(B)カルボジイミド基を1個有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物を前記(A)ポリエステルに対して0.05〜0.4質量%含有することを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
  5. ポリエステルフィルムのIV値が0.70〜0.94dl/gであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリエステルフィルム。
  6. ポリエステルフィルムのIV値が0.71〜0.84dl/gであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリエステルフィルム。
  7. 前記(A)ポリエステルのカルボン酸価が25eq/トン以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリエステルフィルム。
  8. 前記(A)ポリエステルのカルボン酸価が20eq/トン以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリエステルフィルム。
  9. 前記(A)ポリエステルのカルボン酸価が16eq/トン以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリエステルフィルム。
  10. 前記(B)カルボジイミド基を1個有し、その第一窒素と第二窒素とが結合基により結合されている環状構造を含む化合物の分子量が400以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリエステルフィルム。
  11. 前記(A)ポリエステルのカルボン酸由来の成分が、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体由来の成分であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のポリエステルフィルム。
  12. ゲル分率が0.1%未満であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリエステルフィルム。
  13. 逐次で延伸された2軸配向ポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のポリエステルフィルム。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載のポリエステルフィルムを用いたことを特徴とする太陽電池モジュール用バックシート。
  15. 請求項14に記載の太陽電池モジュール用バックシートを用いたことを特徴とする太陽電池モジュール。
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