JP6811628B2 - 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents
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特許文献2には、熱可塑性ポリエステルと液晶ポリエステルに対し、2つ以上のグリシジルエステル基を有するエポキシ化合物を含む組成物が例示されている。しかしながら、2つ以上のグリシジルエステル基を有するエポキシ化合物を用いた場合、ブロー性を悪化させる問題があった。
<A成分について>
本発明のA成分の液晶性を示さない熱可塑性ポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸類又はその反応性誘導体からなるジカルボン酸成分と、ジオール類又はそのエステル誘導体からなるジオール成分とを主成分とする縮合反応により得られる重合体又は共重合体であるが、好ましくは、ジカルボン酸成分のうち少なくとも50モル%がナフタレンジカルボン酸であり、ジオール成分のうち少なくとも50モル%がエチレングリコールである液晶性を示さない熱可塑性ポリエステル樹脂である。
本発明の樹脂組成物は、液晶性を示す熱可塑性ポリエステル樹脂(以下液晶ポリエステルと略す)を含有する。液晶ポリエステルを構成する主たる繰返し単位は、芳香族オキシカルボニル繰返し単位、芳香族ジカルボニル繰返し単位、芳香族ジオキシ繰返し単位、芳香族アミノオキシ繰返し単位、芳香族ジアミノ繰返し単位、芳香族アミノカルボニル繰返し単位、芳香族オキシジカルボニル繰返し単位、および脂肪族ジオキシ繰返し単位から選択される1種以上である。
式(2)で表される繰返し単位を与える単量体としては、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ならびに、そのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性の誘導体が挙げられる。
式(3)で表される繰返し単位を与える単量体としては、p−ヒドロキシ安息香酸ならびに、そのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性の誘導体が挙げられる。
溶融アシドリシス法とは、最初に単量体を加熱して反応物質の溶融溶液を形成し、続いて反応を続けて溶融ポリマーを得るものである。なお、縮合の最終段階で副生する揮発物(たとえば酢酸、水など)の除去を容易にするために真空を適用してもよい。この方法は、本発明において特に好適に用いられる。
スラリー重合法とは、熱交換流体の存在下で反応させる方法であって、固体生成物は熱交換媒質中に懸濁した状態で得られる。
A成分とB成分との重量比率は、A成分が50〜95重量%、B成分が5〜50重量%であり、好ましくはA成分が60〜92重量%、B成分が8〜40重量%、より好ましくはA成分が70〜90重量%、B成分が10〜30重量%である。B成分が5重量%未満になると、耐薬品性が不足する。また、50重量%を超えると、ブロー成形ができなくなる。
本発明の熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を構成するカルボジイミド化合物は、カルボジイミド基(−N=C=N−)を分子内に有する化合物である。
分子内に1個のカルボジイミド基を有するモノカルボジイミドとしては、例えば、N,N′−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,6−ジ−tert−ブチルフェニルカルボジイミド、N−トリル−N′−フェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N−オクタデシル−N′−フェニルカルボジイミド、N−ベンジル−N′−フェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−o−エチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−エチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−o−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−o−イソブチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−イソブチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,6−ジエチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2−エチル−6−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2−イソブチル−6−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,4,6−トリメチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,4,6−トリイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,4,6−トリイソブチルフェニルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド、N,N′−ジ−o−トリルカルボジイミド、N−トリル−N′−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−トリルカルボジイミド、N,N′−ベンジルカルボジイミド、N−オクタデシル−N′−トリルカルボジイミド、N−シクロヘキシル−N′−トリルカルボジイミド、N−ベンジル−N′−トリルカルボジイミド等の芳香族モノカルボジイミド、N,N′−ジオクチルデシルカルボジイミド、N,N′−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド等の脂肪族/または脂環族モノカルボジイミドが挙げられる。
更に、そのカルボジイミドは環状であることがより好ましい。環状であることにより、イソシアネートガスの発生が抑制でき、作業環境が良くなる。
環状カルボジイミド化合物において、下記式(1) で表される化合物が挙げられる。
環状カルボジイミド化合物の分子量は、好ましくは100〜1,000である。分子量が、100より小さいと、環状カルボジイミド化合物について構造の安定性や揮発性が問題となる場合がある。また分子量が、1,000より大きいと、環状カルボジイミドの製造上、希釈系での合成が必要となったり、収率が低下したりするため、コスト面で問題となる場合がある。かかる観点より、より好ましくは100〜750であり、さらに好ましくは250〜750である。
かかる環状カルボジイミド化合物としては、下記化合物を挙げることができる。
C成分の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対し、0.1〜5重量部であり、0.2〜4重量部が好ましく、0.3〜3重量部がより好ましく、0.4〜2重量部がさらに好ましい。C成分の含有量が0.1重量部未満では、耐薬品性が十分発揮できないか、又はブロー成形ができなくなる。5重量部を超えると、加工性が悪化する。
なお、本発明の樹脂組成物は、本発明の趣旨に反しない範囲で、加熱助剤、酸化防止剤、離型剤等の各添加剤を含むことが出来る。
本発明の樹脂組成物は、ブロー成形時の赤外線(IR)ヒーターによる加熱効率を良くし、加熱時間を短縮する目的で、加熱助剤を含むことが出来る。かかる加熱助剤としてはフタロシアニン系近赤外線吸収剤、ATO、ITO、酸化イリジウムおよび酸化ルテニウムおよび酸化イモニウムなどの金属酸化物系近赤外線吸収剤、ホウ化ランタン、ホウ化セリウムおよびホウ化タングステンなどの金属ホウ化物系や酸化タングステン系近赤外線吸収剤などの近赤外吸収能に優れた各種の金属化合物、ならびに炭素フィラーが好適に例示される。かかるフタロシアニン系近赤外線吸収剤としてはたとえば三井化学(株)製MIR−362が市販され容易に入手可能である。炭素フィラーとしてはカーボンブラック、グラファイト(天然、および人工のいずれも含む)およびフラーレンなどが例示され、好ましくはカーボンブラックおよびグラファイトである。これらは単体または2種以上を併用して使用することができる。フタロシアニン系近赤外線吸収剤の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対し、0.0005〜0.2重量部が好ましく、0.0008〜0.1重量部がより好ましく、0.001〜0.07重量部がさらに好ましい。上記含有量が0.0005重量部より少ない場合は加熱助剤としての効果が十分に得られずに、ブロー成形時のプリフォームの加熱に時間を多く要する場合がある。また、かかる含有量が0.2重量部よりも多い場合、ブロー成形の過熱時に加熱助剤がブリードアウトする場合がある。金属酸化物系近赤外線吸収剤、金属ホウ化物系近赤外線吸収剤、酸化タングステン系赤外線吸収剤および炭素フィラーの含有量は、樹脂組成物中、0.1〜500ppm(重量割合)の範囲が好ましく、0.5〜300ppmの範囲がより好ましい。上記含有量が0.1ppmより少ない場合は加熱助剤としての効果が十分に得られずに、ブロー成形時のプリフォームの加熱に時間を多く要する場合がある。また、かかる含有量が500ppmよりも多い場合、樹脂成分が大きく分解する場合がある。
本発明の樹脂組成物は酸化防止剤として、ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、ホスホナイト系化合物、およびチオエーテル系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤を含むことができる。酸化防止剤を配合することにより、成形加工時の色相や流動性が安定するだけでなく、耐加水分解性の向上にも効果がある。
また、前記ヒンダードフェノール系化合物とホスファイト系化合物、ホスホナイト系化合物、チオエーテル系化合物のいずれか2種類以上を組み合わせて使用することが好ましい。ヒンダードフェノール系化合物とホスファイト系化合物、ホスホナイト系化合物、チオエーテル系化合物のいずれか2種類以上を組み合わせて使用することで、安定剤としての相乗効果が発揮され、より成形加工時の色相、流動性の安定化、耐加水分解性の向上に効果がある。
本発明の樹脂組成物は離型剤を含むことができる。離型剤として具体的には、脂肪酸、脂肪酸金属塩、オキシ脂肪酸、パラフィン、低分子量のポリオレフィン、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸部分鹸化エステル、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルおよび変性シリコーン等を挙げることができる。これらを配合することで機械特性、成形性、耐熱性に優れた成形品を得ることができる。
低分子量のポリオレフィンとしては例えば分子量5000以下のものが好ましく、具体的にはポリエチレンワックス、マレイン酸変性ポリエチレンワックス、酸化タイプポリエチレンワックス、塩素化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられる。
アルキレンビス脂肪酸アミドとしては炭素数6以上のものが好ましく、具体的にはメチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ステアリン酸アミド等が挙げられる。
脂肪族ケトンとしては炭素数6以上のものが好ましく、高級脂肪族ケトン等が挙げられる。
脂肪酸多価アルコールエステルとしては、グリセロールトリステアレート、グリセロールジステアレート、グリセロールモノステアレート、ペンタエリスルトールテトラステアレート、ペンタエリスルトールトリステアレート、ペンタエリスルトールジミリステート、ペンタエリスルトールモノステアレート、ペンタエリスルトールアジペートステアレート、ソルビタンモノベヘネート等が挙げられる。脂肪酸ポリグリコールエステルとしてはポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリトリメチレングリコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
そのうち脂肪酸、脂肪酸金属塩、オキシ脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸部分鹸化エステル、パラフィン、低分子量ポリオレフィン、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミドが好ましく、脂肪酸部分鹸化エステル、アルキレンビス脂肪酸アミドがより好ましい。なかでもモンタン酸エステル、モンタン酸部分鹸化エステル、ポリエチレンワックス、酸価ポリエチレンワックス、ソルビタン脂肪酸エステル、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドが好ましく、特にモンタン酸部分鹸化エステル、エチレンビスステアリン酸アミドが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、通常ペレットとして得られ、これを原料としてプリフォームを成形する。成形方法は、射出成形、プレス成形、押出成形など各種成形方法を選択出来るが、プリフォームを結晶化させずに急冷する観点から、射出成形、プレス成形が好ましい。射出成形においては、通常のコールドランナー方式の成形法だけでなく、ホットランナー方式の成形法も可能である。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、急速加熱冷却金型成形などの射出成形法を用いて成形品を得ることができる。例えばブロー成形用のプリフォームの射出成形であれば、各ペレットを130〜170℃の熱風乾燥機で5時間以上予備乾燥した後、シリンダ温度260〜300℃で溶融し、射出成形するのが好ましい。予備乾燥温度が130℃未満では乾燥が不十分となり、ペレット中に残存した水分によって樹脂分解を起こし、固有粘度が安定しない場合があり、予備乾燥温度が170℃より高いとペレットが黄変し、成形体の外観が損なわれる場合がある。成形する際の金型温度は5〜40℃が好ましく、10〜30℃が更に好ましい。金型温度が5℃未満では、金型の結露により成形品にシルバーなどの外観が多発する場合があり、金型温度が40℃を超えると成形品の結晶化が進み、ブロー成形の際に容器が破損する場合がある。
本発明の容器の作製方法は、任意の方法が採用される。例えば、ダイレクトブロー成形、押出ダイレクトブロー成形、1ステージの2軸延伸ブロー成形、2ステージの2軸延伸ブロー成形などを挙げることができるが、2ステージの2軸延伸ブロー成形が好ましい。
本発明の容器は、縦2倍以上、横2倍以上の延伸倍率が好ましく、縦2.5倍以上、横2.5倍以上の延伸倍率が更に好ましい。延伸倍率が縦2倍未満、横2倍未満の場合、容器に延伸ムラが発生することがある。さらに、縦方向に少なくとも2倍以上延伸し、かつ、縦方向への延伸の開始から完了までの間に、横方向への2倍以上の延伸を開始することが好ましい。
物性の評価は以下の方法により実施した。
常温下、規格NO.JIS K 6251記載のJIS3号ダンベル片を薬液シクロペンタノンに1週間浸漬した後、下記評価を行った。サンプル数は、n=3で実施した。
(i)外観変化
1週間浸漬後に取出したサンプルを観察し、浸漬前と比較し、下記の基準で評価した。
○ ・・・ 変化無し
△ ・・・ 表面光沢が若干低下
× ・・・ 表面光沢がない
浸漬実施前後の3ケのダンベル片の重量を測定した。得られた重量を用いて、下記式(a)により重量変化率を算出した。
浸漬実施前後のダンベル片の引張試験を行った。引張チャック間の距離30mm、引張速度50mm/minの条件で試験を実施した。浸漬前後で得られた最大応力値を用い、下記式(b)により引張応力低下率を算出した。
プリフォームを用いてブロー成形を実施し、下記の評価を実施した。
○ ・・・ ブロー成形可能であり、かつボトルの肉厚が均一
△ ・・・ ブロー成形可能であるが、ボトルの肉厚が不均一
× ・・・ ブロー成形不可能
<A成分>
A−I:下記の製造例1で製造されたポリエチレンナフタレート樹脂。
[製造例1]
ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル100重量部およびエチレングリコール60重量部を酢酸コバルト四水和物0.010重量部(10ミリモル%)および酢酸マンガン四水和物0.030重量部(30ミリモル%)の存在下、常法によりエステル交換反応させ、メタノール溜出20分後に三酸化アンチモン0.012重量部(10ミリモル%)を添加し、エステル交換反応終了前に正リン酸0.020重量部(50ミリモル%)を添加し、次いで295℃、高真空下重縮合反応を行い固有粘度0.51dl/gのポリエチレンナフタレート樹脂を得た。次に、該ポリエチレンナフタレート樹脂を、温度227℃、真空度0.5Torrの条件にて8時間固相重合を行い、ポリエチレンナフタレート樹脂(A−I)を得た。得られたポリエチレンナフタレート樹脂(A−I)の固有粘度は0.65dl/gであった。
[製造例2]
製造例1にて得られたポリエチレンナフタレート樹脂(A−I)を、温度227℃、真空度0.5Torrの条件にて24時間固相重合を行った。得られたポリエチレンナフタレート樹脂(A−II)の固有粘度は0.79dl/gであった。
A−III:帝人(株)製 TRN−8550FF[テレフタル酸100モル%およびエチレングリコール100モル%より製造されたポリエチレンテレフタレート、固有粘度0.77dl/g]
製造例において、下記の略号は以下の化合物を表す。
BON6:6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸
POB:p−ヒドロキシ安息香酸
HQ:ハイドロキノン
BP:4,4’−ジヒドロキシビフェニル
TPA:テレフタル酸
NDA:2,6−ナフタレンジカルボン酸
トルクメーター付き攪拌装置および留出管を備えた反応容器にBON6、POB、HQおよびTPAを、表1に示す組成比で、総量5molとなるように仕込んだ。ここへ酢酸カリウム0.05g、および全モノマーの水酸基量(モル)に対して1.025倍モルの無水酢酸を仕込み、下記条件で脱酢酸重合を行った。窒素ガス雰囲気下に室温〜150℃まで1時間で昇温し、同温度にて30分間保持した。次いで、副生する酢酸を留去させつつ210℃まで速やかに昇温し、同温度にて30分間保持した。その後、335℃まで3時間かけ昇温した後、30分かけ20mmHgにまで減圧を行なった。所定のトルクを示した時点で重合反応を終了し、反応容器内容物を取り出し、粉砕機により液晶ポリエステルのペレットを得た。得られた液晶ポリエステル(B−I)のDSCにより測定された融点は221℃であった。
モノマー組成比を、表2に示す組成比に変更する以外は、製造例3と同様にして、液晶ポリエステルのペレットを得た。得られた液晶ポリエステル(B−II)のDSCにより測定された融点は255℃であった。
C−I:下記の製造例で製造された環状カルボジイミド
製造例中における各値は下記の方法で求めた。
(1)環状カルボジイミド構造のNMRによる同定
NMRによる同定は、日本電子(株)製JNREX270を使用し、1H−NMR、13C−NMRによって確認した。尚、溶媒は重クロロホルムを用いた。
(2)カルボジイミド骨格のIRによる同定
カルボジイミド骨格の同定は、ニコレー(株)製Magna−750を使用し、FT−IRよってカルボジイミドに特徴的な2100〜2200cm−1の吸収ピークを確認することで行った。
o−ニトロフェノール(0.11mol)とペンタエリトリチルテトラブロミド(0.025mol)、炭酸カリウム(0.33mol)、N,N−ジメチルホルムアミド200mlを攪拌装置及び加熱装置を設置した反応装置にN2雰囲気下仕込み、130℃で12時間反応後、DMFを減圧により除去し、得られた固形物をジクロロメタン200mlに溶かし、水100mlで3回分液を行った。有機層を硫酸ナトリウム5gで脱水し、ジクロロメタンを減圧により除去し、中間生成物D(ニトロ体)を得た。
次に中間生成物D(0.1mol)と5%パラジウムカーボン(Pd/C)(2g)、エタノール/ジクロロメタン(70/30)400mlを、攪拌装置を設置した反応装置に仕込み、水素置換を5回行い、25℃で水素を常に供給した状態で反応させ、水素の減少がなくなったら反応を終了した。Pd/Cを回収し、混合溶媒を除去すると中間生成物E(アミン体)が得られた。
次に、攪拌装置及び滴下ロートを設置した反応装置に、N2雰囲気下、ジ−tert−ブチルジカーボネート(0.11mol)とN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(0.055mol)、ジクロロメタン150mlを仕込み攪拌させた。そこに、25℃で中間生成物F(0.025mol)を溶かしたジクロロメタン100mlをゆっくりと滴下させた。滴下後、12時間反応させた。その後、ジクロロメタンを除去し得られた固形物を、精製することで、下記式で表されるB−1成分を得た。B−1成分の構造はNMR、IRにより確認した。
C−III:ラインケミージャパン(株)製 stabaxol−I[ビスカルボジイミド]
C−IV:ナガセケムテックス(株)製 EX−711[2官能芳香族エポキシ樹脂]
(組成物の調整)
A成分、B成分およびC成分を用いて、表3の組成をドライブレンドにて均一に予備混合した後、かかる予備混合物を第1供給口より供給し、溶融押出してペレット化した。ここで、第一供給口とは根元の供給口のことである。溶融押出は、サイドスクリューを備えた径30mmφのベント式二軸押出機[(株)日本製鋼所製TEX30α−38.5BW−3V]を用い実施した。また、押出温度は、C1/C2/C3/C4〜D=50℃/120℃/280℃/300℃とし、メインスクリュー回転数は200rpm、サイドスクリュー回転数は50rpm、吐出量は20kg/h、ベント減圧度は3kPaとした。
得られたペレットを160℃、5時間熱風乾燥機で乾燥したあと、日精50T(日精樹脂工業株式会社製 NEX50−5E)を用いて、シリンダ温度290℃、金型温度80℃、冷却時間20秒にて成形した。得られたJIS3号ダンベル片を用いて前述の耐薬品性の試験を行った。結果を表3に示す。
得られたペレットを160℃、5時間熱風乾燥機で乾燥した後、東芝機械(株)製EC160NII−4Yを使用し、シリンダ温度295℃、金型温度20℃、冷却時間20秒にて成形を行い、厚み4.2mmのプリフォームを得た。次に、フロンティア(株)製FDB−1Dをブロー機として用い、1.5L容器形状のブロー金型(縦2.3倍×横3.4倍)を用いて、下記の要領で前記プリフォームの2軸延伸ブロー成形を行った。100℃、1時間熱風乾燥機内で予備加熱を行ったプリフォームをブロー成形機内にセットし、プリフォーム表面温度が150℃になるようにIR加熱ヒーターの出力を設定し、本加熱を行った。続いて、ロッド延伸速度80%、1次ブロー遅延時間0.28秒、1次ブロー時間0.3秒、1次ブロー圧1.2MPa、2次ブロー時間1.2秒、2次ブロー圧3.4MPa、金型温度20℃の条件にて成形を行い、ブロー成形を行った。前述のブロー成形性の評価を行った。結果を表3に示す。
A成分とB成分を用い、実施例1と同様の方法で、JIS3号ダンベル片成形の成形とブロー成形を実施した。結果を表3に示す。
本発明の請求範囲にある樹脂組成物は、延伸ブロー成形が可能であり、重量変化率、引張応力低下率共に低く耐薬品性にも優れている。
<比較例1〜2>
C成分を含まないため、耐薬品が劣る結果であった。また、ブロー成形もできなかった。
<比較例3>
B成分の添加量が少ないため、耐薬品性が劣った。
<比較例4>
B成分の添加量が多いため、ブロー成形ができなかった。
<比較例5>
規定範囲外のC成分を用いたため、ブロー成形ができなかった。
<比較例6>
C成分の添加量が多いため、押出ができなかった。
Claims (9)
- (A)液晶性を示さない熱可塑性ポリエステル樹脂(A成分)95〜50重量%、(B)液晶性を示す熱可塑性ポリエステル樹脂(B成分)5〜50重量%からなる樹脂成分100重量部に対し、(C)カルボジイミド基を2つ以上有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のカルボジイミド化合物(C成分)0.1〜5重量部を含有する樹脂組成物。
- A成分がジカルボン酸成分(A−1成分)とジオール成分(A−2成分)とから構成され、ジカルボン酸成分のうち少なくとも50モル%がナフタレンジカルボン酸であり、ジオール成分のうち少なくとも50モル%がエチレングリコールであることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
- C成分がカルボジイミド基を2つ有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のカルボジイミド化合物であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂組成物。
- C成分が下記式(1)で表される環状カルボジイミド化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- B成分の、示差走査熱量計で20℃/minにて昇温して測定した融点が190〜250℃の範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
- B成分が、下記式(2)〜(5)で示される繰返し単位により構成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
0.4≦p/q≦2.0 ・・・[1]
[数2]
35モル%≦p≦48モル% ・・・[2]
[数3]
35モル%≦q≦48モル% ・・・[3]
[数4]
2モル%≦r≦15モル% ・・・[4]
[数5]
2モル%≦s≦15モル% ・・・[5] - Ar1およびAr2が、上記式(6)である請求項6に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物からブロー成形又は射出成形されてなる成形体。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物を用いてプリフォームを成形し、次に該プリフォームを縦方向に少なくとも2倍以上延伸し、かつ、縦方向への延伸の開始から完了までの間に、横方向への2倍以上の延伸を開始することを特徴とする延伸ブロー成形により成形品を得る方法。
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