JP2013221037A - ポリエステル組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
耐熱性に優れ、更に靭性および薄肉成型性に優れ、電子機器などの材料として好適な樹脂を提供すること。
【解決手段】
ポリエステルを構成するジオール成分の総量を100モル%とした場合、ジオール成分中のシクロヘキサンジメタノールの割合が80モル%以上であるポリエステル(A)と、
アルキレンジオールとポリアルキレングリコールおよびジカルボン酸成分を構成成分とするポリエーテルエステルであって、ポリエーテルエステル全体を100質量%とした場合、ポリアルキレングリコールの割合が5〜50質量%であるポリエーテルエステル(B)とからなるポリエステル組成物、その製造方法および該ポリエステル組成物を成形してなる成形体。
これらにより、靱性、成形性、耐熱性に優れた樹脂を提供することができる。
【選択図】 図1
耐熱性に優れ、更に靭性および薄肉成型性に優れ、電子機器などの材料として好適な樹脂を提供すること。
【解決手段】
ポリエステルを構成するジオール成分の総量を100モル%とした場合、ジオール成分中のシクロヘキサンジメタノールの割合が80モル%以上であるポリエステル(A)と、
アルキレンジオールとポリアルキレングリコールおよびジカルボン酸成分を構成成分とするポリエーテルエステルであって、ポリエーテルエステル全体を100質量%とした場合、ポリアルキレングリコールの割合が5〜50質量%であるポリエーテルエステル(B)とからなるポリエステル組成物、その製造方法および該ポリエステル組成物を成形してなる成形体。
これらにより、靱性、成形性、耐熱性に優れた樹脂を提供することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ポリエステルを含むポリエステル組成物に関する。より詳しくは、耐熱性に優れたポリエステルを含むポリエステル組成物に関する。
ポリエステルは数多くの報告があり、必要とされる物性に応じた樹脂設計がなされ、幅広い用途で使用されている。そして、近年、半導体封止材料等の耐熱性が要求される用途においても、ポリ(シクロヘキサンジメチレン)テレフタレート(以下「PCT」と略記することがある)等の耐熱性ポリエステルの適用を示唆する報告がある。(特許文献1)
半導体材料の形状は、微細化が進む傾向にあり、PCTを使用した半導体封止材料も、射出成型時の薄肉成型性の向上と靱性の向上等が望まれている。一方で、PCTは結晶性で比較的脆い傾向があり、その分子構造上、成形性にも制約があるのが実状である。
半導体材料の形状は、微細化が進む傾向にあり、PCTを使用した半導体封止材料も、射出成型時の薄肉成型性の向上と靱性の向上等が望まれている。一方で、PCTは結晶性で比較的脆い傾向があり、その分子構造上、成形性にも制約があるのが実状である。
ポリエステルの靭性を向上させる目的でポリエステルにオレフィン系のポリマーを混合する技術が開示されている(例えば、特許文献2および特許文献3)しかしながら、これらの樹脂組成物は溶融粘度が増加するという傾向があり、特に薄肉成形などを射出成形により行う際に、成形品の不良率を上げる可能性が懸念される。
射出成形は熱可塑性のポリエステル物品を形成する広く知られた方法である。射出成形では、ポリエステルはその融点より高い温度に加熱され、その溶融したポリエステルを、金型キャビティーを充填させるのに充分な圧力下で射出する。溶融ポリエステルは充分に硬くなって取り出されるようになるまで金型内で冷却される。0.5〜10重量%のアイソタクチックポリブテン−1を含有するポリエステル組成物の射出成形体は衝撃強度に優れることが特許文献4に記載されている。
さらに、ポリエステル樹脂の耐衝撃性を改良するために、特許文献5には耐衝撃性に優れたポリエステル樹脂組成物として、ポリエチレンテレフタレートとポリエーテルエステルブロック共重合体からなる樹脂組成物が開示されている。しかしながら、該公報にはPCTに関してはなんら言及されておらず、PCTにポリエーテルエステルを配合した場合の特性に関してはなんら報告されていない。
本発明者らの調査によれば、特許文献4の方法で得られる射出成形体は、金型への充填中に不均一な性質、即ち表面不規則性に基づくと予想される仕上げ物品のゆがみに通じる流れ筋や、レーヤーリングが発生することがある。この点は、薄肉物品の製造に適用するには懸念材料になると考えられる。
従って、本発明の課題は、耐熱性の高いPCTの様なポリエステルの特性を生かしつつ、靭性、射出成型時の薄肉成型性にも優れたポリマーアロイ(樹脂組成物)及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために、種々のポリエステル組成物、特に耐熱性に優れたポリエステル組成物に関して鋭意検討を行った結果、高融点のポリエステル成分と、特定の構造を満たすポリエステル成分とを含むポリエステルアロイが、高い耐熱性と、靱性、成形性とを高いレベルで併せ持つ事を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、
ポリエステルを構成するジオール成分の総量を100モル%とした場合、ジオール成分中のシクロヘキサンジメタノールの割合が80モル%以上であり、融点が、280℃以上であるポリエステル(A)と、
アルキレンジオールとポリアルキレングリコールおよびジカルボン酸成分を構成成分とするポリエーテルエステルであって、ポリエーテルエステル全体を100質量%とした場合、ポリアルキレングリコールの割合が5〜50質量%であるポリエーテルエステル(B)とを含むポリエステル組成物である。
ポリエステルを構成するジオール成分の総量を100モル%とした場合、ジオール成分中のシクロヘキサンジメタノールの割合が80モル%以上であり、融点が、280℃以上であるポリエステル(A)と、
アルキレンジオールとポリアルキレングリコールおよびジカルボン酸成分を構成成分とするポリエーテルエステルであって、ポリエーテルエステル全体を100質量%とした場合、ポリアルキレングリコールの割合が5〜50質量%であるポリエーテルエステル(B)とを含むポリエステル組成物である。
本発明のポリエステル組成物は、前記ポリエステル(A)95〜50重量%と、前記ポリエーテルエステル(B)5〜50重量%とを含むことが好ましい。
(但し、ポリエステル(A)とポリエーテルエステル(B)との合計を100重量%とする。)
(但し、ポリエステル(A)とポリエーテルエステル(B)との合計を100重量%とする。)
本発明のポリエステル組成物は、前記ポリエーテルエステル(B)中のポリアルキレングリコールの数平均分子量が200〜20000g/molであることが好ましい。
本発明のポリエステル組成物は、前記ポリエーテルエステル(B)中のポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールであることが好ましい。
本発明のポリエステル組成物は、前記ポリエーテルエステル(B)中のポリアルキレングリコールがポリテトラメチレングリコールであることが好ましい。
本発明のポリエステル組成物は、前記ポリエステル(A)を構成するジカルボン酸成分の総量を100モル%とした場合、ジカルボン酸成分中のテレフタル酸又はその低級アルキルエステルの割合が90モル%以上であることが好ましい。
本発明のポリエステル組成物は、前記ポリエーテルエステル(B)を構成するジカルボン酸成分の総量を100モル%とした場合、ジカルボン酸成分中のテレフタル酸又はその低級アルキルエステルの割合が90モル%以上であることが好ましい。
また本発明は、前記のポリエステル組成物を製造する方法であって、
ポリエステル(A)およびポリエーテルエステル(B)の両方の融点以上の温度で、溶融させる工程含むことを特徴とするポリエステル組成物の製造方法である。
ポリエステル(A)およびポリエーテルエステル(B)の両方の融点以上の温度で、溶融させる工程含むことを特徴とするポリエステル組成物の製造方法である。
また本発明は、前記のポリエステル組成物を成形してなる成形体である。
本発明により、靭性が強く(曲げ破断エネルギーが高く)、耐熱性が高く、さらに溶融流動性(特に射出成型時の薄肉成型性)に優れたポリエステル組成物を提供できる。本発明のポリエステル組成物は、例えば成形体として靭性、薄肉成型性および耐熱性が要求される種々の用途に好適に使用できる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、融点が高く、特定の構造を有するポリエステル(A)成分と、特定の構造を有するポリエーテルエステル(B)成分とを含むことを特徴とする。 以下、ポリエステル(A)、ポリエーテルエステル(B)等について詳細に説明する。
[ポリエステル(A)]
本発明にかかるポリエステル(A)はジオール由来の構造単位とジカルボン酸由来の構造単位とから構成され、融点が280℃以上であるポリエステルである。好ましい融点の範囲は、285℃以上、更には287℃以上、特に好ましくは290℃以上である。一方、融点の上限値に特に制限はないが、熱成形を行う等の観点からは、好ましくは350℃、より好ましくは340℃、さらに好ましくは330℃である。
[ポリエステル(A)]
本発明にかかるポリエステル(A)はジオール由来の構造単位とジカルボン酸由来の構造単位とから構成され、融点が280℃以上であるポリエステルである。好ましい融点の範囲は、285℃以上、更には287℃以上、特に好ましくは290℃以上である。一方、融点の上限値に特に制限はないが、熱成形を行う等の観点からは、好ましくは350℃、より好ましくは340℃、さらに好ましくは330℃である。
本発明のポリエステル(A)を構成するジオール由来の構造単位は、全てのジオール由来の構造単位を100モル%とした場合、ジオール成分中のシクロヘキサンジメタノール由来の構造単位の割合が80モル%以上であり、好ましくは90モル%以上であり、より好ましくは95モル%以上である。シクロヘキサンジメタノールとしては、特に、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノールが好ましく、1,4−シクロヘキサンジメタノールがより好ましい。1,4−シクロヘキサンジメタノールとしては、入手の容易さの点から、トランス体とシス体の混合物が通常使用される。トランス体とシス体の比率は、例えば100:0〜60:40の範囲から所望する耐熱性に応じて選べば良い。その比率は90:10〜60:40が好ましく、80:20〜60:40がより好ましく、80:20〜70:30がさらに好ましい。
ポリエステル(A)を構成するジオール由来の構造単位を導く成分としては、シクロヘキサンジメタノール以外のジオール成分を併用しても良い。その具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、2,4−ジエチルペンタン−1,5−ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の脂肪族ジオール、2,2−ビス〔4'−(2”−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、4,4'−ビス(2”−ヒドロキシエトキシ)ジフェニルスルフィド、4,4'−ビス(2”−ヒドロキシエトキシ)ジフェニルスルホン、9,9−ビス〔4'−(2”−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕フルオレン、1,4−ビス(2'−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の芳香族ジヒドロキシ化合物のエチレンオキサイド付加物、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、2,2−ビス(4'―ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン(水添ビスフェノールA)等の脂環式ジオールが挙げられる。1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族ジオールが好ましい。
ポリエステル(A)を構成するジカルボン酸由来の構造単位を導く成分は、ポリエステル(A)を構成するジカルボン酸由来の構造単位の総量を100モル%とした場合、ジカルボン酸成分中の90モル%以上、好ましくは95モル%以上が、芳香族ジカルボン酸およびその低級アルキルエステルであることがより好ましい。より好ましい具体例は、テレフタル酸またはその低級アルキルエステルである。テレフタル酸またはその低級アルキルエステル以外のジカルボン酸成分は、脂肪族ジカルボン酸成分、芳香族ジカルボン酸成分のどちらでも良い。
前記のテレフタル酸およびその誘導体も含む芳香族ジカルボン酸成分の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、4,4'−ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4'−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4'−トランス−スチルベンジカルボン酸、エチレングリコールビス(4−カルボキシフェニル)エーテル、4,4'−ジフェニルスルホンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;及びこれら芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステルが挙げられる。この芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステルにおける低級アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。メチル基およびエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸成分の具体例としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、デカヒドロナフタレンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族ジカルボン酸;及びこれら脂肪族ジカルボン酸の低級アルキルエステルが挙げられる。この脂肪族ジカルボン酸の低級アルキルエステルにおける低級アルキル基の具体例は、芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステルの例と同様である。
ジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸成分が好ましく、テレフタル酸、4,4'−ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及びこれらの低級アルキルエステルがより好ましく、テレフタル酸及びテレフタル酸の低級アルキルエステルがさらに好ましい。
本発明のポリエステルは、上述したジカルボン酸成分及びジオール成分以外の共重合成分を、本発明の目的を損なわない範囲内で含んでいても良い。共重合成分の具体例としては、グリコール酸、4−ヒドロキシ安息香酸、4−(2'−ヒドロキシエトキシ)安息香酸等のヒドロキシカルボン酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレンテトラカルボン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール等の三官能以上の多官能成分が挙げられる。
[ポリエステル(A)の製造方法]
本発明のポリエステル(A)は、例えば、ジカルボン酸成分と、シクロヘキサンジメタノールを80モル%以上含有するジオール成分とを触媒存在下又は非存在下でエステル化反応し、さらに触媒の存在下に重縮合反応することにより製造できる。特に、ジカルボン酸成分と、シクロヘキサンジメタノールを80モル%以上含有するジオール成分とをエステル交換触媒の存在下、溶融状態で減圧下に反応させる工程を実施することが好ましい。
本発明のポリエステル(A)は、例えば、ジカルボン酸成分と、シクロヘキサンジメタノールを80モル%以上含有するジオール成分とを触媒存在下又は非存在下でエステル化反応し、さらに触媒の存在下に重縮合反応することにより製造できる。特に、ジカルボン酸成分と、シクロヘキサンジメタノールを80モル%以上含有するジオール成分とをエステル交換触媒の存在下、溶融状態で減圧下に反応させる工程を実施することが好ましい。
使用するジカルボン酸成分のカルボキシル基のモル数と、ジオール成分のヒドロキシ基のモル数の比率は、1.00:1.01〜1.00:2.00が好ましく、1.00:1.05〜1.00:1.50がより好ましく、1.00:1.10〜1.00:1.30がさらに好ましい。
より具体的には、ジカルボン酸成分として、ジカルボン酸成分のジメチルエステルを使用した場合、ジカルボン酸成分とジオール成分とを触媒の存在下に150〜260℃に加熱してエステル交換反応を行い、エステル交換反応により生成したメタノールを留出しながらメタノールの発生が完了するまで加熱を継続し、その後280℃以上に昇温し、反応装置内を減圧にして過剰のジオール成分を留去しながら重縮合反応を行う方法が好ましい。
温度条件や圧力条件としては、公知の条件を適用できる。また、公知のエステル交換触媒や重縮合触媒を使用できる。エステル交換触媒や重縮合触媒の具体例としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属アルコキシド、亜鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物、錫化合物が挙げられる。特に、アセチルトリ-iso-プロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラ−iso−プロピルチタネート等のチタン化合物が好ましい。触媒の添加量は製造されるポリエステルに対して金属換算で1〜300ppmが好ましく、5〜200ppmがより好ましく、10〜100ppmがさらに好ましい。
重縮合反応を行う際には、所望によりリン化合物を添加してもよい。リン化合物の具体例としては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリ−iso−プロピル、リン酸トリ−n−プロピル、リン酸トリフェニルが挙げられる。リン化合物の添加量は、製造されるポリエステルの総量に対してリン換算で、1〜600ppmが好ましく、5〜400ppmがより好ましく、10〜200ppmがさらに好ましい。
本発明のポリエステル(A)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン基準で測定した重量平均分子量は、40000g/mol以上、好ましくは45000g/mol以上、より好ましくは50000g/mol以上、さらに好ましくは55000g/mol以上である。これらの範囲は、機械強度向上の点で意義が有る。より具体的な測定方法は、実施例に記載の通りである。
本発明のポリエステル(A)の示差走査熱量計(DSC)による昇温速度10℃/分で測定した融点(Tm)は、280℃以上、好ましくは285℃以上、より好ましくは287℃以上、さらに好ましくは290℃以上である。これらの範囲は、耐熱性の点で意義が有る。より具体的な測定方法は、実施例に記載の通りである。
本発明に係るポリエステル(A)は、前記の通り環状構造を有しているので、分子の剛直性とエステル基の極性等から高い融点を示し、極めて高い剛性も有する。
[ポリエーテルエステル(B)]
本発明にかかるポリエーテルエステル(B)は、アルキレンジオールとポリアルキレングリコールおよびジカルボン酸由来の構造単位を有する事を特徴とする。ここで、アルキレンジオールとしては、ポリエステル(A)を構成するジオール成分として、シクロヘキサンジメタノール以外のジオール成分として挙げた脂肪族ジオールを挙げることができる。
本発明にかかるポリエーテルエステル(B)は、アルキレンジオールとポリアルキレングリコールおよびジカルボン酸由来の構造単位を有する事を特徴とする。ここで、アルキレンジオールとしては、ポリエステル(A)を構成するジオール成分として、シクロヘキサンジメタノール以外のジオール成分として挙げた脂肪族ジオールを挙げることができる。
アルキレンジオールは好ましくは炭素数2〜6のアルキレンジオールであり、より好ましくは炭素数2〜4のアルキレンジオールであり、さらに好ましくは炭素数3〜4の直鎖状アルキレンジオールである。
ポリアルキレングリコールとしては、下記一般式(1)で表されるポリエチレングリコール、下記一般式(2)で表されるポリテトラメチレングリコールおよび下記一般式(3)で表されるポリエチレングリコールとポリテトラメチレングリコールのランダム共重合体が好ましい。
前記ポリアルキレングリコールの分子量は200〜20000g/molが好ましく、400〜10000g/molがより好ましく、1000〜6000g/molがさらに好ましい。これらの範囲の上限値は、末端ヒドロキシ基の濃度が低くなることによる重合時間の長時間化を回避する点で意義が有る。また下限値は、ポリエーテルエステルの融点を高くする点で意義が有る。
前記ポリアルキレングリコールは、一種を単独で用いても良いし、二種以上を併用しても良い。
前記ポリアルキレングリコールは、一種を単独で用いても良いし、二種以上を併用しても良い。
本発明のポリエーテルエステル全体を100質量%とした場合、ポリアルキレングリコールセグメントの割合は0.5〜50質量%である。そしてこの範囲内において、種々の条件、例えばポリアルキレングリコールの分子量に応じて、より具体的な割合を決定すれば良い。例えばポリアルキレングリコールの分子量が200〜20000g/molである場合は、ポリアルキレングリコールセグメントの割合は1〜50質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、5〜30質量%がさらに好ましい。これらの範囲の下限値は、溶融粘度を低くする点で意義がある。また上限値は、耐熱性向上で意義がある。
ポリエーテルエステル(B)を構成するジカルボン酸由来の構造単位を構成する成分は、環状構造を有するジカルボン酸およびその低級アルキルエステルが含まれることが好ましい。極めて好ましい例としてはテレフタル酸またはその低級アルキルエステルである。ポリエーテルエステル(B)を構成するジカルボン酸成分の総量を100モル%とした場合、ジカルボン酸成分中の環状構造を有するジカルボン酸由来の構造単位は90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましい。
ポリエーテルエステル(B)を構成するジカルボン酸由来の構造単位を構成する成分は、環状構造を有するジカルボン酸およびその低級アルキルエステルが含まれることが好ましい。極めて好ましい例としてはテレフタル酸またはその低級アルキルエステルである。ポリエーテルエステル(B)を構成するジカルボン酸成分の総量を100モル%とした場合、ジカルボン酸成分中の環状構造を有するジカルボン酸由来の構造単位は90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましい。
前記の環状構造を有するジカルボン酸およびその低級アルキルエステルとして具体的には、ポリエステル(A)で例示した芳香族ジカルボン酸およびその低級アルキルエステルと同様の化合物を挙げることが出来る。
上記のカルボン酸およびその低級エステル以外に用いても良い化合物としては、ポリエステル(A)で例示した脂肪族ジカルボン酸およびその低級エステルを挙げることが出来る。
脂肪族ジカルボン酸成分の具体例としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、デカヒドロナフタレンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族ジカルボン酸;及びこれら脂肪族ジカルボン酸の低級アルキルエステルが挙げられる。この脂肪族ジカルボン酸の低級アルキルエステルにおける低級アルキル基の具体例もポリエステル(A)で例示した物と同様である。
本発明のポリエーテルエステル(B)に係るジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸成分が好ましく、テレフタル酸、4,4'−ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及びこれらの低級アルキルエステルがより好ましく、テレフタル酸及びテレフタル酸の低級アルキルエステルがさらに好ましい。
本発明のポリエーテルエステル(B)は、上述したジカルボン酸成分及びジオール成分以外の共重合成分を、本発明の目的を損なわない範囲内で含んでいても良い。共重合成分の具体例としては、グリコール酸、4−ヒドロキシ安息香酸、4−(2'−ヒドロキシエトキシ)安息香酸等のヒドロキシカルボン酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレンテトラカルボン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール等の三官能以上の多官能成分が挙げられる。
本発明のポリエーテルエステル(B)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン基準で測定した重量平均分子量は、70000g/mol以上、好ましくは90000g/mol以上、より好ましくは100000g/mol以上、さらに好ましくは110000g/mol以上である。これらの範囲は、機械強度向上の点で意義が有る。より具体的な測定方法は、実施例に記載の通りである。
本発明のポリエーテルエステル(B)の示差走査熱量計(DSC)による昇温速度10℃/分で測定した融点(Tm)は、150℃以上、好ましくは180℃以上、より好ましくは190℃以上、さらに好ましくは200℃以上である。これらの範囲は、耐熱性の点で意義が有る。より具体的な測定方法は、後述する実施例に記載の通りである。
[ポリエーテルエステル(B)の製造方法]
本発明のポリエーテルエステル(B)は、例えば、ジカルボン酸成分と、アルキレンジオールと、ポリアルキレングリコールとを触媒存在下又は非存在下でエステル化反応し、さらに触媒の存在下に重縮合反応することにより製造できる。特に、ジカルボン酸成分と、アルキレンジオールと、ポリアルキレングリコールとをエステル交換触媒の存在下、溶融状態で減圧下に反応させる工程を行うことが好ましい。
本発明のポリエーテルエステル(B)は、例えば、ジカルボン酸成分と、アルキレンジオールと、ポリアルキレングリコールとを触媒存在下又は非存在下でエステル化反応し、さらに触媒の存在下に重縮合反応することにより製造できる。特に、ジカルボン酸成分と、アルキレンジオールと、ポリアルキレングリコールとをエステル交換触媒の存在下、溶融状態で減圧下に反応させる工程を行うことが好ましい。
使用するジカルボン酸成分のカルボキシル基のモル数と、アルキレンジオール及びポリアルキレングリコールのヒドロキシ基のモル数の比率は、1.00:1.01〜1.00:2.00が好ましく、1.00:1.05〜1.00:1.50がより好ましく、1.00:1.10〜1.00:1.30がさらに好ましい。
より具体的には、ジカルボン酸成分として、ジカルボン酸成分のジメチルエステルを使用した場合、ジカルボン酸成分とアルキレンジオールとポリアルキレングリコールとを触媒の存在下に150〜260℃に加熱してエステル交換反応を行い、エステル交換反応により生成したメタノールを留出しながらメタノールの発生が完了するまで加熱を継続し、その後150〜260℃に昇温し、反応装置内を減圧にして過剰のアルキレンジオールを留去しながら重縮合反応を行う方法が好ましい。
温度条件や圧力条件としては、公知の条件を適用できる。また、公知のエステル交換触媒や重縮合触媒を使用できる。エステル交換触媒や重縮合触媒の具体例としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属アルコキシド、亜鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物、錫化合物が挙げられる。特に、アセチルトリ-iso-プロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラ−iso−プロピルチタネート等のチタン化合物が好ましい。触媒の添加量は製造されるポリエステルに対して金属換算で1〜300ppmが好ましく、5〜200ppmがより好ましく、10〜100ppmがさらに好ましい。
重縮合反応を行う際には、所望によりリン化合物を添加してもよい。リン化合物の具体例としては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリ−iso−プロピル、リン酸トリ−n−プロピル、リン酸トリフェニルが挙げられる。リン化合物の添加量は、製造されるポリエステルの総量に対してリン換算で、1〜600ppmが好ましく、5〜400ppmがより好ましく、10〜200ppmがさらに好ましい。
本発明に係るポリエーテルエステル(B)は、特定の構造のアルキレングリコール構造やポリアルキレングリコール構造を有する。この柔軟な構造を有するポリエステルは、後述する靱性と流動性に寄与すると考えられる。
(ポリエステル組成物)
本発明のポリエステル組成物は、ポリエステル(A)とポリエーテルエステル(B)とを含むことを特徴とする。ポリエステル(A)とポリエーテルエステル(B)との合計を100重量%とした場合、ポリエステル(A)の含有率は、95〜50重量%であることが好ましい。好ましい下限値としては、60重量%、より好ましくは70重量%である。一方、好ましい上限値は90重量%である。
前記の下限を下回ると、耐熱性の低下や冷却時間の増大、引いては生産性の低下に繋がる場合がある。一方、前記の上限値を越えると後述する靱性や成形性が不充分になる場合がある。
本発明のポリエステル組成物は、ポリエステル(A)とポリエーテルエステル(B)とを含むことを特徴とする。ポリエステル(A)とポリエーテルエステル(B)との合計を100重量%とした場合、ポリエステル(A)の含有率は、95〜50重量%であることが好ましい。好ましい下限値としては、60重量%、より好ましくは70重量%である。一方、好ましい上限値は90重量%である。
前記の下限を下回ると、耐熱性の低下や冷却時間の増大、引いては生産性の低下に繋がる場合がある。一方、前記の上限値を越えると後述する靱性や成形性が不充分になる場合がある。
一方、ポリエステル(A)とポリエーテルエステル(B)との合計を100重量%とした場合、ポリエーテルエステル(B)の含有率は、5〜50重量%であることが好ましい。好ましい下限値としては、10重量%である。一方、好ましい上限値は40重量%、より好ましくは30重量%である。
本発明のポリエステル組成物の調製は、公知の方法を制限無く用いることが出来る。例えば、ポリエステル(A)とポリエーテルエステル(B)の存在下に加熱して押出機などで組成物とする方法を例示することが出来る。前記の所謂重縮合反応で得られるポリエステルをそのまま用いても、粉砕して粒子としたり、ペレットを製造する等のハンドリングの良い形状としてから組成物にすることも可能である。
ポリエステル(A)とポリエーテルエステル(B)を、押出機などを用いた溶融状態で混練する方法で樹脂組成物を製造する場合、その温度は、ポリエステル(A)とポリエーテルエステル(B)の両方の融点以上の温度として、溶融状態で混練する工程を含むことが好ましい。
本発明のポリエステル組成物は、本発明の目的の範囲内であれば、必要に応じて他の成分を含んでいても良い。例えば、各種公知の安定剤は、その添加量はコスト及び樹脂の外観の点から、ポリエステル(A)とポリエーテルエステル(B)の総量を100質量部とした場合、0.001〜5質量部が好ましく、0.001〜2.5質量部がより好ましく、0.001〜1質量部がさらに好ましい。
安定剤としては、例えば、フェノール系化合物(ヒンダードフェノール系化合物)、チオエーテル系化合物、ビタミン系化合物、トリアゾール系化合物、多価アミン系化合物、ヒドラジン誘導体系化合物、リン系化合物を使用できる。これらは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール系化合物の具体例としては、n−オクタデシル−3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3'−メチル−5'−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート〕、1,4−ブタンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート〕、2,2'−メチレンビス(4−メチル−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート〕、テトラキス〔メチレン−3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、3,9−ビス{2−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、N,N'−ビス−3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N'−テトラメチレン−ビス−3−(3'−メチル−5'−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェノール)プロピオニルジアミン、N,N'−ビス−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニル〕ヒドラジン、N−サリチロイル−N'−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、N,N'−ビス{2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル}オキシアミド、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N'−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイドが挙げられる。中でも、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート〕、テトラキス〔メチレン−3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート〕、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N'−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイドが好ましい。
フェノール系化合物の市販品の商品名としては、例えば、ADEKA製のアデカスタブAO−20、AO−30、AO−40、AO−50、AO−60、AO−70、AO−80、AO−330、チバスペシャリティケミカル製のイルガノックス245、259、565、1010、1035、1076、1098、1222、1330、1425、1520、3114、5057、住友化学工業製のスミライザーBHT−R、MDP−S、BBM−S、WX−R、NW、BP−76、BP−101、GA−80、GM、GS、サイアナミド製のサイアノックスCY−1790が挙げられる。
チオエーテル系化合物の具体例としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−オクタデシルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ミリスチルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ステアリルチオプロピオネート)が挙げられる。
チオエーテル系化合物の市販品の商品名としては、例えば、ADEKA製のアデカスタブA0−23、AO−412S、AO−503A、チバスペシャリティケミカル製のイルガノックスPS802、住友化学製のスミライザーTPL−R、TPM、TPS、TP−D、エーピーアイコーポレーション製のDSTP、DLTP、DLTOIB、DMTP、シプロ化成製のシーノックス412S、サイアミド製のサイアノックス1212が挙げられる。
ビタミン系化合物の具体例としては、酢酸d−α−トコフェロール、コハク酸d−α−トコフェロール、d−α−トコフェロール、d−β−トコフェロール、d−γ−トコフェロール、d−δ−トコフェロール、d−α−トコトリエノール、d−β−トコフェトリエノール、d−γ−トコフェトリエノール、d−δ−トコフェトリエノール等の天然品、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム、ニコチン酸dl−α−トコフェロール等の合成品が挙げられる。ビタミン系化合物の市販品の商品名としては、例えば、エイザイ製のトコフェロール、チバスペシャリティケミカル製のイルガノックス”E201が挙げられる。
トリアゾール系化合物の具体例としては、ベンゾトリアゾール、3−(N−サリシロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾールが挙げられる。
多価アミン系化合物の具体例としては、3,9−ビス〔2−(3,5−ジアミノ−2,4,6−トリアザフェニル)エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、エチレンジアミン−テトラアセチックアシッド、エチレンジアミン−テトラアセチックアシッドのアルカリ金属塩(Li,Na,K)塩、N,N'−ジサリチリデン−エチレンジアミン、N,N'−ジサリチリデン−1,2−プロピレンジアミン、N,N”−ジサリチリデン−N'−メチル−ジプロピレントリアミン、3−サリチロイルアミノ−1,2,4−トリアゾールが挙げられる。
ヒドラジン誘導体系化合物の具体例としては、デカメチレンジカルボキシリックアシッド−ビス(N'−サリチロイルヒドラジド)、イソフタル酸ビス(2−フェノキシプロピオニルヒドラジド)、N−ホルミル−N'−サリチロイルヒドラジン、2,2−オキザミドビス−〔エチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ハイドロオキシフェニル)プロピオネート〕、オギザリル−ビス(ベンジリデン)ヒドラジド、ニッケル−ビス(1−フェニル−3−メチル−4−デカノイル−5−ピラゾレート)、2−エトキシ−2'−エチルオキサニリド、5−tert−ブチル−2−エトキシ−2'−エチルオキサニリド、N,N−ジエチル−N',N'−ジフェニルオキサミド、N,N'−ジエチル−N,N'−ジフェニルオキサミド、オキサリックアシッド−ビス(ベンジリデンヒドラジド)、チオジプロピオニックアシッド−ビス(ベンジリデンヒドラジド)、ビス(サリシロイルヒドラジン)、N−サリシリデン−N'−サリシロイルヒドラゾン、N,N'−ビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン、N,N'−ビス{2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル}オキサミドが挙げられる。
リン系化合物としては、例えば、ホスファイト系化合物、ホスフェート系化合物が挙げられる。
ホスファイト系化合物の具体例としては、テトラキス〔2−tert−ブチル−4−チオ(2'−メチル−4'−ヒドロキシ−5'−tert−ブチルフェニル)−5−メチルフェニル〕−1,6−ヘキサメチレン−ビス(N−ヒドロキシエチル−N−メチルセミカルバジド)ジホスファイト、テトラキス〔2−tert−ブチル−4−チオ(2'−メチル−4'−ヒドロキシ−5'−tert−ブチルフェニル)−5−メチルフェニル〕−1,10−デカメチレンジカルボン酸ジヒドロキシエチルカルボニルヒドラジドジホスファイト、テトラキス〔2−tert−ブチル−4−チオ(2'−メチル−4'−ヒドロキシ−5'−tert−ブチルフェニル)−5−メチルフェニル〕−1,10−デカメチレンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジドジホスファイト、テトラキス〔2−tert−ブチル−4−チオ(2'−メチル−4'−ヒドロキシ−5'−tert−ブチルフェニル)−5−メチルフェニル〕−ジ(ヒドロキシエチルカルボニル)ヒドラジドジホスァイト、テトラキス〔2−tert−ブチル−4−チオ(2'−メチル−4'−ヒドロキシ−5'−tert−ブチルフェニル)−5−メチルフェニル〕−N,N'−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミドジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、サイクリックネオペンタテトライルビス(2,6―tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイトが挙げられる。
特に、少なくとも1つのP−O結合が芳香族基に結合しているホスファイト系化合物が好ましい。その具体例としては、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−tert−ブチル−フェニル)ブタン、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4'−イソプロピリデンビス(フェニル−ジアルキルホスファイト)が挙げられる。中でも、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイトが好ましい。
ホスファイト系化合物の市販品の商品名としては、例えば、ADEKA製のアデカスタブC、PEP−4C、PEP−8、PEP−11C、PEP−24G、PEP−36、HP−10、2112、260、522A、329A、1178、1500、C、135A、3010、TPP、チバスペシャリティケミカル製のイルガフォス168、住友化学製のスミライザーP−16、クラリアント製のサンドスタブPEPQ、GE製のウエストン618、619G、624が挙げられる。
ホスフェート系化合物の具体例としては、モノステアリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、メチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート、イソデシルアシッドホスフェート、ジオクタデシルホスフェートが挙げられる。中でも、モノステアリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェートが好ましい。ホスフェート系化合物の市販品の商品名としては、例えば、チバスペシャリティケミカル製のイルガノックスMD1024、イーストマン・コダック製のインヒビターOABH、ADEKA製のアデカスタブCDA−1、CDA−6、AX−71が挙げられる。
以上の安定剤のうち、特に、リン系化合物を少なくとも1種含む安定剤が好ましく、ホスフェート系化合物やホスファイト系化合物を含む安定剤がより好ましい。特に好ましいリン系化合物の市販品としては、ADEKA製のアデカスタブAX−71(ジオクタデシルホスフェート)、PEP−8(ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト)、PEP−36(サイクリックネオペンタテトライルビス(2,6−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト)が挙げられる。リン系化合物はポリエステルの調製に用いる触媒の失活剤として作用すると考えられ、本発明のポリエステル組成物の触媒失活剤として有効である。
本発明のポリエステル組成物に対しては、必要に応じて、上述した安定剤以外の成分を本発明の目的を損なわない範囲内で添加又は混合することもできる。他の成分としては、例えば、充填剤(ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、天然繊維、有機繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、セラミックスファイバー、セラミックビーズ、アスベスト、ワラステナイト、タルク、クレー、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、モンモリロナイト、合成マイカ、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイト、白土等)、紫外線吸収剤(レゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン等)、熱安定剤(ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類及びこれらの置換体等)、滑剤、離形剤(モンタン酸及びその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、ポリエチレンワックス等)、染料(ニグロシン等)又は顔料(酸化チタン、硫化カドミウム、フタロシアニン等)を含む着色剤、着色防止剤(亜リン酸塩、次亜リン酸塩等)、難燃剤(赤燐、燐酸エステル、ブロム化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、水酸化マグネシウム、メラミン及びシアヌール酸又はその塩等)、導電又は着色剤(酸化チタン、カーボンブラック等)、摺動性改良剤(グラファイト、フッ素樹脂等)、結晶核剤(タルク等の無機系核剤、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビス−12−ジヒドロキシステアリン酸アミド及びトリメシン酸トリシクロヘキシルアミド等の有機アミド系化合物、銅フタロシアニン及びピグメントイエロー110等の顔料系核剤、有機カルボン酸金属塩、フェニルホスホン酸亜鉛等)、帯電防止剤が挙げられる。これらは1種又は2種以上を添加することができる。
本発明のポリエステル組成物に対しては、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲内で他の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を配合できる。熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエーテルイミド、軟質熱可塑性樹脂(例えば、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、エチレン/プロピレンターポリマー、エチレン/ブテン−1共重合体等)が挙げられる。熱硬化性樹脂の具体例としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。その配合量は本発明の目的を損なわない範囲内であれば良く、特に限定されないが、本発明のポリエステル組成物の総量を100質量部とした場合、0〜50質量部が好ましい。
以上説明した本発明のポリエステル組成物は、公知の成型方法で成形することにより、様々な成形体とすることが出来る。例えば、射出成型、押出成型、インフレーション成型、押出中空成型、発泡成型、カレンダー成型、ブロー成型、バルーン成型、真空成型および紡糸等の成型加工法を用いることができる。中でも、ポリエステルの特徴を生かした射出成型、発泡成型および紡糸が好ましい。
本発明のポリエステル組成物は、好ましくは高い耐熱性、靱性、成形性を兼ね備えているので、電子機器などの樹脂材料として好適な態様である。
本発明のポリエステル組成物は、特定のポリエステル(A)と特定のポリエーテルエステル(B)とを含んでいる。
本願のポリエステル組成物は、後述する実施例の結果からも分かる通り、必要十分な耐熱性を維持しつつ、靱性や流動性をも併せ持つ組成物である。特に、ポリエーテルエステル(B)の割合が少量でも、靱性と流動性が明らかに向上する傾向がある。(図1、図2参照)このような効果が発現する理由は定かではないが、本発明者らは以下の様に推測している。
ポリエステル(A)とポリエーテルエステル(B)とは構造が異なるため、完全には相溶しないものの、微分散し易い組合せであると考えられる。またポリエーテルエステル(B)は、少ない含有率であっても独立した島構造ではなく連続相を形成しているのではないかと推測される。もしくは、成型に用いられる金型に対して相互作用を持ち易いと考えられるポリエーテルエステル(B)が成型体表面に偏在する比率が高い可能性も考えられる。ポリエーテルエステル(B)の好ましいジカルボン酸構造単位が、環状構造を有するジカルボン酸由来の構造単位であるのも上記の考えと矛盾しない。
上記の様な推定される高次構造を持つこと、更にはそのような構造を取りうるポリエステル(A)とポリエーテルエステル(B)との組合せにより、耐熱性、靱性、成形性の全てに優れた性質を示すポリエステル組成物が得られたと推測される。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。各物性の測定方法は以下の通りである。
(1)重量平均分子量(Mw):
サンプルを、クロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール(容積比1:1)に溶解した後、クロロホルムで希釈して、濃度を約10mg/mlとした。
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー[Waters社製GPCシステム:検出器=RI、Waters社製2414、カラム=Shodex社製、LF−G、LF−804をそれぞれ1本使用(カラム温度40℃、流速1ml/min、クロロホルム溶媒)]により、ポリスチレン標準サンプルを基準として重量平均分子量を算出した。サンプル注入量は、前記のサンプル溶液50μLとした。
サンプルを、クロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール(容積比1:1)に溶解した後、クロロホルムで希釈して、濃度を約10mg/mlとした。
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー[Waters社製GPCシステム:検出器=RI、Waters社製2414、カラム=Shodex社製、LF−G、LF−804をそれぞれ1本使用(カラム温度40℃、流速1ml/min、クロロホルム溶媒)]により、ポリスチレン標準サンプルを基準として重量平均分子量を算出した。サンプル注入量は、前記のサンプル溶液50μLとした。
(2)熱物性:
熱物性は、示差走査熱量計(島津製作所製DSC:DSC−60)を用いて測定した。具体的には、まず試料約5mgをアルミニウム製押さえ蓋型パンに入れ、クランプしてサンプルを調製した。このサンプルを、予め25℃に設定したDSC測定部に装入し、窒素気流下、10℃/minの昇温速度で320℃まで昇温した。その後、同温度で2分間保持し、10℃/minで0℃まで冷却し、0℃で2分間保持し、再び10℃/minで320℃まで昇温した。2回目の昇温時の結晶融解時のピークトップを融点(Tm)とした。
熱物性は、示差走査熱量計(島津製作所製DSC:DSC−60)を用いて測定した。具体的には、まず試料約5mgをアルミニウム製押さえ蓋型パンに入れ、クランプしてサンプルを調製した。このサンプルを、予め25℃に設定したDSC測定部に装入し、窒素気流下、10℃/minの昇温速度で320℃まで昇温した。その後、同温度で2分間保持し、10℃/minで0℃まで冷却し、0℃で2分間保持し、再び10℃/minで320℃まで昇温した。2回目の昇温時の結晶融解時のピークトップを融点(Tm)とした。
(3)溶融粘度:
高化式フローテスター(島津製作所製CFT−500D)を用いて、300℃(実施例15および実施例16は330℃)、荷重50kg、予熱時間300秒で、0.5mm(Φ)×10mm(L)のダイから流出する溶融樹脂の溶融粘度を測定した。
高化式フローテスター(島津製作所製CFT−500D)を用いて、300℃(実施例15および実施例16は330℃)、荷重50kg、予熱時間300秒で、0.5mm(Φ)×10mm(L)のダイから流出する溶融樹脂の溶融粘度を測定した。
(4)曲げ強度:
小型射出成型機(株式会社メイホー社製マイクロ2)を用いて、シリンダー温度290℃、金型温度150℃で射出成型することにより、厚さ2mm×幅5mmの断面を有する長さ40mmの試験片を作製した。この試験片に対して、曲げ試験機(島津製作所製EZ test)を用いてASTM D790規格に準拠して3点曲げを行い、曲げ破断エネルギーを測定した。
小型射出成型機(株式会社メイホー社製マイクロ2)を用いて、シリンダー温度290℃、金型温度150℃で射出成型することにより、厚さ2mm×幅5mmの断面を有する長さ40mmの試験片を作製した。この試験片に対して、曲げ試験機(島津製作所製EZ test)を用いてASTM D790規格に準拠して3点曲げを行い、曲げ破断エネルギーを測定した。
<製造例1:ポリエステルA−1の製造>
1,4−シクロヘキサンジメタノール(cis/trans比=30/70)47.52g(0.33mol)及びジメチルテレフタレート58.20g(0.30mol)を、200mlの反応器内に装入して、200℃に加熱して溶融状態とした。ここに、テトライソプロポキシチタン18μlを添加して200℃で1時間、その後260℃まで加熱して同温度で1時間加熱撹拌を行った。
1,4−シクロヘキサンジメタノール(cis/trans比=30/70)47.52g(0.33mol)及びジメチルテレフタレート58.20g(0.30mol)を、200mlの反応器内に装入して、200℃に加熱して溶融状態とした。ここに、テトライソプロポキシチタン18μlを添加して200℃で1時間、その後260℃まで加熱して同温度で1時間加熱撹拌を行った。
次に、リン酸トリエチル12μlを添加し、300℃まで加熱しながら反応器内を減圧し、最終的に1mmHgになるまで減圧した状態で加熱撹拌を行った。その際の撹拌機のトルクをモニタリングし、トルクが最大となったところで反応器内を窒素により常圧に戻し、反応器の下部から溶融樹脂を抜き出した。そして、この溶融樹脂のストランドをペレタイザーにより切断して、ポリエステルA−1のペレット81.02gを得た。
このポリエステルA−1は重量平均分子量52000g/molであり、融点(Tm)が291℃であった。
このポリエステルA−1は重量平均分子量52000g/molであり、融点(Tm)が291℃であった。
<製造例2:ポリエステルA−2の製造>
1,4−シクロヘキサンジメタノール(cis/trans比=30/70)47.52g(0.33mol)及びジメチルテレフタレート58.20g(0.30mol)を、500mlの反応機内に装入して、200℃まで加熱して溶融状態とした。ここに、テトライソプロポキシチタン18μlを添加し、200℃で1時間、その後260℃まで加熱して同温度で1時間加熱撹拌を行った。
1,4−シクロヘキサンジメタノール(cis/trans比=30/70)47.52g(0.33mol)及びジメチルテレフタレート58.20g(0.30mol)を、500mlの反応機内に装入して、200℃まで加熱して溶融状態とした。ここに、テトライソプロポキシチタン18μlを添加し、200℃で1時間、その後260℃まで加熱して同温度で1時間加熱撹拌を行った。
次に、リン酸トリエチル12μlを添加し、300℃まで加熱しながら反応機内を減圧し、最終的に1mmHgになるまで減圧した状態で加熱撹拌を行った。その際の撹拌機のトルクをモニタリングし、トルクが最大値となったところで反応機内を窒素により常圧に戻し、反応機の下部から溶融樹脂を抜き出した。そして、この溶融樹脂のストランドをペレタイザーにより切断して、ポリエステルA−2のペレット81.06gを得た。
このポリエステルA−2は重量平均分子量63000g/molであり、融点(Tm)が290℃であった。
このポリエステルA−2は重量平均分子量63000g/molであり、融点(Tm)が290℃であった。
<製造例3:ポリエステルA−3の製造>
製造例1において、1,4−シクロヘキサンジメタノール(cis/trans比=30/70)47.52g(0.330mol)を使用する代わりに、1,4−シクロヘキサンジメタノール(cis/trans比=30/70)45.07g(0.313mol)および1,6−ヘキサンジオール1.95g(0.0165mol)を使用した以外は、製造例1に記載の操作に従い、ポリエステルA−3のペレット80.31gを得た。
このポリエステルA−3は重量平均分子量56000g/molであり、融点(Tm)が285℃であった。
製造例1において、1,4−シクロヘキサンジメタノール(cis/trans比=30/70)47.52g(0.330mol)を使用する代わりに、1,4−シクロヘキサンジメタノール(cis/trans比=30/70)45.07g(0.313mol)および1,6−ヘキサンジオール1.95g(0.0165mol)を使用した以外は、製造例1に記載の操作に従い、ポリエステルA−3のペレット80.31gを得た。
このポリエステルA−3は重量平均分子量56000g/molであり、融点(Tm)が285℃であった。
<製造例4:ポリエステルA−4の製造>
製造例1において、ジメチルテレフタレート58.20g(0.30mol)を使用する代わりに、2,6−ナフタレンカルボン酸ジメチルエステル73.22g(0.30mol)を使用し、300℃までの加熱を335℃まで加熱した以外は製造例1に記載の操作に従い、ポリエステルA−4のペレット92.34gを得た。
このポリエステルA−4は重量平均分子量42000g/molであり、融点(Tm)が329℃であった。
製造例1において、ジメチルテレフタレート58.20g(0.30mol)を使用する代わりに、2,6−ナフタレンカルボン酸ジメチルエステル73.22g(0.30mol)を使用し、300℃までの加熱を335℃まで加熱した以外は製造例1に記載の操作に従い、ポリエステルA−4のペレット92.34gを得た。
このポリエステルA−4は重量平均分子量42000g/molであり、融点(Tm)が329℃であった。
<製造例5:ポリエステルA−5の製造>
製造例1において、ジメチルテレフタレート58.20g(0.30mol)を使用する代わりに4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジメチルエステル81.03g(0.30mol)を使用し、300℃までの加熱を330℃まで加熱した以外は製造例1に記載の操作に従い、ポリエステルA−5のペレット98.74gを得た。
このポリエステルA−5は重量平均分子量44000g/molであり、融点(Tm)が326℃であった。
製造例1において、ジメチルテレフタレート58.20g(0.30mol)を使用する代わりに4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジメチルエステル81.03g(0.30mol)を使用し、300℃までの加熱を330℃まで加熱した以外は製造例1に記載の操作に従い、ポリエステルA−5のペレット98.74gを得た。
このポリエステルA−5は重量平均分子量44000g/molであり、融点(Tm)が326℃であった。
<製造例6:ポリエーテルエステルB−1の製造>
数平均分子量1200のポリテトラメチレングリコール30.00g、1,4−ブタンジオール40.50g(0.45mol)およびジメチルテレフタレート58.20g(0.30mol)を、200mlの反応器内に装入して、180℃に加熱して溶融状態とした。ここに、テトライソプロポキシチタン18μlを添加して180℃で1時間、その後250℃まで加熱して同温度で2時間加熱撹拌を行った。
数平均分子量1200のポリテトラメチレングリコール30.00g、1,4−ブタンジオール40.50g(0.45mol)およびジメチルテレフタレート58.20g(0.30mol)を、200mlの反応器内に装入して、180℃に加熱して溶融状態とした。ここに、テトライソプロポキシチタン18μlを添加して180℃で1時間、その後250℃まで加熱して同温度で2時間加熱撹拌を行った。
次に、リン酸トリエチル12μlを添加し、250℃で加熱しながら反応器内を減圧し、最終的に1mmHgになるまで減圧した状態で加熱撹拌を行った。その際の撹拌機のトルクをモニタリングし、トルクが最大となったところで反応器内を窒素により常圧に戻し、反応器の下部から溶融樹脂を抜き出した。そして、この溶融樹脂のストランドをペレタイザーにより切断して、ポリエーテルエステルB−1のペレット92.00gを得た。
このポリエーテルエステルB−1は重量平均分子量110000g/molであり、融点(Tm)が209℃であった。
このポリエーテルエステルB−1は重量平均分子量110000g/molであり、融点(Tm)が209℃であった。
<製造例7:ポリエーテルエステルB−2の製造>
製造例6において、数平均分子量1200のポリテトラメチレングリコール30.00gを使用する代わりに、数平均分子量800のポリエチレングリコール30.00gを使用した以外は製造例7に記載の操作に従い、ポリエーテルエステルB−2のペレット91.41gを得た。
このポリエーテルエステルB−2は重量平均分子量108000g/molであり、融点(Tm)が204℃であった。
製造例6において、数平均分子量1200のポリテトラメチレングリコール30.00gを使用する代わりに、数平均分子量800のポリエチレングリコール30.00gを使用した以外は製造例7に記載の操作に従い、ポリエーテルエステルB−2のペレット91.41gを得た。
このポリエーテルエステルB−2は重量平均分子量108000g/molであり、融点(Tm)が204℃であった。
<製造例8:ポリエーテルエステルB−3の製造>
製造例6において、数平均分子量1200のポリテトラメチレングリコール30.00gを使用する代わりに、数平均分子量1800のポリエチレングリコール・ポリテトラメチレングリコールのランダム共重合体(日本油脂株式会社製:ポリセリンDC−1800E)30.00gを使用した以外は製造例7に記載の操作に従い、ポリエーテルエステルB−3のペレット90.82gを得た
このポリエーテルエステルB−3は重量平均分子量が102000g/molであり、融点(Tm)が214℃であった。
製造例6において、数平均分子量1200のポリテトラメチレングリコール30.00gを使用する代わりに、数平均分子量1800のポリエチレングリコール・ポリテトラメチレングリコールのランダム共重合体(日本油脂株式会社製:ポリセリンDC−1800E)30.00gを使用した以外は製造例7に記載の操作に従い、ポリエーテルエステルB−3のペレット90.82gを得た
このポリエーテルエステルB−3は重量平均分子量が102000g/molであり、融点(Tm)が214℃であった。
<製造例9:ポリエーテルエステルB−4の製造>
製造例6において、数平均分子量1200のポリテトラメチレングリコール30.00gを使用する代わりに、数平均分子量1800のポリエチレングリコール10.00gを使用した以外は製造例7に記載の操作に従い、ポリエーテルエステルB−4のペレット85.63gを得た。
このポリエーテルエステルB−4は重量平均分子量が84000g/molであり、融点(Tm)が218℃であった。
製造例6において、数平均分子量1200のポリテトラメチレングリコール30.00gを使用する代わりに、数平均分子量1800のポリエチレングリコール10.00gを使用した以外は製造例7に記載の操作に従い、ポリエーテルエステルB−4のペレット85.63gを得た。
このポリエーテルエステルB−4は重量平均分子量が84000g/molであり、融点(Tm)が218℃であった。
<製造例10:ポリエーテルエステルB−5の製造>
製造例6において、数平均分子量1200のポリテトラメチレングリコール30.00gを使用する代わりに、数平均分子量1800のポリエチレングリコール50.00gを使用した以外は製造例7に記載の操作に従い、ポリエーテルエステルB−5のペレット106.54gを得た。
このポリエーテルエステルB−5は重量平均分子量95000g/molであり、融点(Tm)が176℃であった。
製造例6において、数平均分子量1200のポリテトラメチレングリコール30.00gを使用する代わりに、数平均分子量1800のポリエチレングリコール50.00gを使用した以外は製造例7に記載の操作に従い、ポリエーテルエステルB−5のペレット106.54gを得た。
このポリエーテルエステルB−5は重量平均分子量95000g/molであり、融点(Tm)が176℃であった。
<製造例11:ポリエーテルエステルB−6の製造>
製造例6において、数平均分子量1200のポリテトラメチレングリコール30.00gを使用する代わりに、数平均分子量3800のポリエチレングリコール30.00gを使用した以外は製造例7に記載の操作に従い、ポリエーテルエステルB−6のペレット91.52gを得た。
このポリエーテルエステルB−6は重量平均分子量123000g/molであり、融点(Tm)が219℃であった。
製造例6において、数平均分子量1200のポリテトラメチレングリコール30.00gを使用する代わりに、数平均分子量3800のポリエチレングリコール30.00gを使用した以外は製造例7に記載の操作に従い、ポリエーテルエステルB−6のペレット91.52gを得た。
このポリエーテルエステルB−6は重量平均分子量123000g/molであり、融点(Tm)が219℃であった。
<製造例12:ポリエーテルエステルB−7の製造>
製造例6において、数平均分子量1200のポリテトラメチレングリコール30.00gを使用する代わりに、数平均分子量19800のポリエチレングリコール10.00gを使用した以外は製造例7に記載の操作に従い、ポリエーテルエステルB−7のペレット84.38gを得た。
このポリエーテルエステルB−7は78000g/molであり、融点(Tm)が218℃であった。
製造例6において、数平均分子量1200のポリテトラメチレングリコール30.00gを使用する代わりに、数平均分子量19800のポリエチレングリコール10.00gを使用した以外は製造例7に記載の操作に従い、ポリエーテルエステルB−7のペレット84.38gを得た。
このポリエーテルエステルB−7は78000g/molであり、融点(Tm)が218℃であった。
<その他のポリエーテルエステル>
東レ・デュポン株式会社製のハイトレル5557(テレフタル酸、1,4−ブタンジオールおよびポリテトラメチレングリコールよりなるポリエーテルエステル;重量平均分子量126000g/mol)を
ポリエーテルエステルB−8として使用した。
東レ・デュポン株式会社製のハイトレル5557(テレフタル酸、1,4−ブタンジオールおよびポリテトラメチレングリコールよりなるポリエーテルエステル;重量平均分子量126000g/mol)を
ポリエーテルエステルB−8として使用した。
<実施例1:ポリエステル組成物の製造>
ポリエステルA−1のペレット80質量部およびポリエーテルエステルB−1のペレット20質量部をペレット状態のままドライブレンドして、小型射出成型機(株式会社メイホー製:マイクロ2)内で溶融混合して、試験片を作成した。
この試験片の曲げ試験結果、フローテスターによる溶融粘度測定の結果および熱物性を表1に示す。
ポリエステルA−1のペレット80質量部およびポリエーテルエステルB−1のペレット20質量部をペレット状態のままドライブレンドして、小型射出成型機(株式会社メイホー製:マイクロ2)内で溶融混合して、試験片を作成した。
この試験片の曲げ試験結果、フローテスターによる溶融粘度測定の結果および熱物性を表1に示す。
<実施例2〜16:ポリエステル組成物の製造>
表1に示したポリエステルのペレットおよびポリエーテルエステルのペレットを表1に示した質量部ずつ計量し、ペレット状態のままドライブレンドして、小型射出成型機(株式会社メイホー製:マイクロ2)内で溶融混合して、試験片を作成した。
この試験片の曲げ試験結果、フローテスターによる溶融粘度測定の結果および熱物性を表1、表2に示す。
表1に示したポリエステルのペレットおよびポリエーテルエステルのペレットを表1に示した質量部ずつ計量し、ペレット状態のままドライブレンドして、小型射出成型機(株式会社メイホー製:マイクロ2)内で溶融混合して、試験片を作成した。
この試験片の曲げ試験結果、フローテスターによる溶融粘度測定の結果および熱物性を表1、表2に示す。
<実施例17:ポリエステル組成物の製造>
ポリエステルA−1のペレット80質量部およびポリエーテルエステルB−2のペレット20質量部をペレット状態のままドライブレンドして、ラボプラストミル(東洋精機製作所社製)を用いて300℃で10分間溶融混練した。その後得られた樹脂をペレット化し、小型射出成型機(株式会社メイホー製:マイクロ2)により試験片を作成した。
この試験片の曲げ試験結果、フローテスターによる溶融粘度測定の結果および熱物性を表2に示す。
ポリエステルA−1のペレット80質量部およびポリエーテルエステルB−2のペレット20質量部をペレット状態のままドライブレンドして、ラボプラストミル(東洋精機製作所社製)を用いて300℃で10分間溶融混練した。その後得られた樹脂をペレット化し、小型射出成型機(株式会社メイホー製:マイクロ2)により試験片を作成した。
この試験片の曲げ試験結果、フローテスターによる溶融粘度測定の結果および熱物性を表2に示す。
<比較例1>
ポリエステルA−1単独で小型射出成型機(株式会社メイホー製:マイクロ2)により試験片を作成した。
この試験片の曲げ試験結果、フローテスターによる溶融粘度測定の結果および熱物性を表2に示す。
ポリエステルA−1単独で小型射出成型機(株式会社メイホー製:マイクロ2)により試験片を作成した。
この試験片の曲げ試験結果、フローテスターによる溶融粘度測定の結果および熱物性を表2に示す。
<比較例2>
ポリエステルA−2単独で小型射出成型機(株式会社メイホー製:マイクロ2)により試験片を作成した。
この試験片の曲げ試験結果、フローテスターによる溶融粘度測定の結果および熱物性を表2に示す。
ポリエステルA−2単独で小型射出成型機(株式会社メイホー製:マイクロ2)により試験片を作成した。
この試験片の曲げ試験結果、フローテスターによる溶融粘度測定の結果および熱物性を表2に示す。
<比較例3>
( エチレン・1 -ブテン共重合体の調製)
[ 触媒溶液の調製]
十分に窒素置換したガラス製フラスコに、ビス( 1 , 3 -ジメチルシクロペンタジエニル) ジルコニウムジクロリドを0.63mg入れ、更にメチルアミノキサンのトルエン溶液(Al;0.13ミリモル/リットル)1.57ml、およびトルエン2.43mlを添加することにより触媒溶液を得た。
( エチレン・1 -ブテン共重合体の調製)
[ 触媒溶液の調製]
十分に窒素置換したガラス製フラスコに、ビス( 1 , 3 -ジメチルシクロペンタジエニル) ジルコニウムジクロリドを0.63mg入れ、更にメチルアミノキサンのトルエン溶液(Al;0.13ミリモル/リットル)1.57ml、およびトルエン2.43mlを添加することにより触媒溶液を得た。
[ エチレン/1−ブテン共重合]
充分に窒素置換した内容積2 リットルのステンレス製オートクレーブにヘキサン912ml および1−ブテン290mlを導入し、系内の温度を80℃に昇温した。引き続き、トリイソブチルアルミニウム0.9ミリモルおよび上記の如く調製した触媒溶液2.0ml(Zrとして0.0005ミリモル)をエチレンで圧入することにより重合を開始した。エチレンを連続的に供給することにより全圧を8.0kg/cm2-Gに保ち、80℃で30分間重合を行った。
充分に窒素置換した内容積2 リットルのステンレス製オートクレーブにヘキサン912ml および1−ブテン290mlを導入し、系内の温度を80℃に昇温した。引き続き、トリイソブチルアルミニウム0.9ミリモルおよび上記の如く調製した触媒溶液2.0ml(Zrとして0.0005ミリモル)をエチレンで圧入することにより重合を開始した。エチレンを連続的に供給することにより全圧を8.0kg/cm2-Gに保ち、80℃で30分間重合を行った。
少量のエタノールを系中に導入して重合を停止させた後、未反応のエチレンをパージした。得られた溶液を大過剰のメタノール中に投入することにより白色固体を析出させた。この白色固体を濾過により回収し、減圧下で一晩乾燥し、白色固体(エチレン・1 − ブテン共重合体)を得た。
密度=0.870g/cm3
MFR(ASTM D1238規格、190℃:2160g荷重)=0.5g/10分
密度=0.870g/cm3
MFR(ASTM D1238規格、190℃:2160g荷重)=0.5g/10分
(エチレン・1−ブテン共重合体の変性)
上記で得たエチレン・1−ブテン共重合体100質量部に、無水マレイン酸2.1質量部と過酸化物[パーヘキシン25B、日本油脂(株)製、商標]0.08質量部とを混合し、得られた混合物を230℃に設定した1軸押出機で溶融グラフト変性することによって下記の物性を有する変性エチレン・1−ブテン共重合体を得た。
無水マレイン酸グラフト変性量は2.0質量%であった。
(ポリエステル組成物の調製)
ポリエステルA−1のペレット80質量部と前記変性エチレン・1−ブテン共重合体20質量部とをドライブレンドして、小型射出成型機(株式会社メイホー製:マイクロ2)内で溶融混合して、試験片を作成した。
この試験片の曲げ試験結果、フローテスターによる溶融粘度測定の結果および熱物性を表2に示す。
上記で得たエチレン・1−ブテン共重合体100質量部に、無水マレイン酸2.1質量部と過酸化物[パーヘキシン25B、日本油脂(株)製、商標]0.08質量部とを混合し、得られた混合物を230℃に設定した1軸押出機で溶融グラフト変性することによって下記の物性を有する変性エチレン・1−ブテン共重合体を得た。
無水マレイン酸グラフト変性量は2.0質量%であった。
(ポリエステル組成物の調製)
ポリエステルA−1のペレット80質量部と前記変性エチレン・1−ブテン共重合体20質量部とをドライブレンドして、小型射出成型機(株式会社メイホー製:マイクロ2)内で溶融混合して、試験片を作成した。
この試験片の曲げ試験結果、フローテスターによる溶融粘度測定の結果および熱物性を表2に示す。
<評価>
表1、表2に示す通り、比較例1および比較例2の曲げ試験結果および溶融粘度と比較して、本願発明の実施例1〜17のポリエステル組成物は高い破断エネルギーを有しており、なお且つ溶融粘度が低く、さらに融点(Tm)も高いという特徴を有する。また、この結果から、本発明のポリエステル組成物は耐熱性および靭性に優れ、さらに射出成型時の薄肉成形性にも優れていることが判る。
表1、表2に示す通り、比較例1および比較例2の曲げ試験結果および溶融粘度と比較して、本願発明の実施例1〜17のポリエステル組成物は高い破断エネルギーを有しており、なお且つ溶融粘度が低く、さらに融点(Tm)も高いという特徴を有する。また、この結果から、本発明のポリエステル組成物は耐熱性および靭性に優れ、さらに射出成型時の薄肉成形性にも優れていることが判る。
比較例1および比較例2のポリエステルはポリエーテルエステルを使用せずに調製したものであり、実施例1−13および実施例17よりも溶融粘度が高く、また曲げ試験の破断エネルギーも低くかった。
比較例3は、比較例1のポリエステルに衝撃改良剤として改質ポリオレフィンを混練したものであり、曲げ強度の向上は認められるものの、実施例1−13および実施例17よりも溶融粘度が高いことが判る。
本発明のポリエステル組成物は、靱性、成形性に優れ、更には高い耐熱性を付与することも可能であるので、例えば、電子機器などの樹脂材料として好適である。
Claims (9)
- ポリエステルを構成するジオール成分の総量を100モル%とした場合、ジオール成分中のシクロヘキサンジメタノールの割合が80モル%以上であり、融点が、280℃以上であるポリエステル(A)と、
アルキレンジオールとポリアルキレングリコールおよびジカルボン酸成分を構成成分とするポリエーテルエステルであって、ポリエーテルエステル全体を100質量%とした場合、ポリアルキレングリコールの割合が5〜50質量%であるポリエーテルエステル(B)とを含むポリエステル組成物。 - 前記ポリエステル(A)95〜50重量%と、前記ポリエーテルエステル(B)5〜50重量%とを含むことを特徴とする請求項1に記載のポリエステル組成物。
(但し、ポリエステル(A)とポリエーテルエステル(B)との合計を100重量%とする。) - ポリエーテルエステル(B)中のポリアルキレングリコールの数平均分子量が200〜20000g/molである請求項1または2に記載のポリエステル組成物。
- ポリエーテルエステル(B)中のポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールである請求項1〜の3いずれかに記載のポリエステル組成物。
- ポリエーテルエステル(B)中のポリアルキレングリコールがポリテトラメチレングリコールである請求項1〜の3いずれかに記載のポリエステル組成物。
- ポリエステル(A)を構成するジカルボン酸成分の総量を100モル%とした場合、ジカルボン酸成分中のテレフタル酸又はその低級アルキルエステルの割合が90モル%以上である請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル組成物。
- ポリエーテルエステル(B)を構成するジカルボン酸成分の総量を100モル%とした場合、ジカルボン酸成分中のテレフタル酸又はその低級アルキルエステルの割合が90モル%以上である請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステル組成物。
- 請求項1に記載のポリエステル組成物を製造する方法であって、
ポリエステル(A)およびポリエーテルエステル(B)の両方の融点以上の温度で、溶融させる工程含むことを特徴とするポリエステル組成物の製造方法。 - 請求項1〜7に記載のポリエステル組成物を成形してなる成形体。
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JP2018168212A (ja) * | 2017-03-29 | 2018-11-01 | 東レ・デュポン株式会社 | 熱可塑性エラストマー組成物 |
JP2020033462A (ja) * | 2018-08-30 | 2020-03-05 | アロン化成株式会社 | 熱可塑性エラストマー組成物 |
JP7361197B2 (ja) | 2019-07-29 | 2023-10-13 | ブリヂストン アメリカズ タイヤ オペレーションズ、 エルエルシー | 非空気圧タイヤで使用するための温度安定性ポリマーブレンド |
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2012
- 2012-04-12 JP JP2012091456A patent/JP2013221037A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2018168212A (ja) * | 2017-03-29 | 2018-11-01 | 東レ・デュポン株式会社 | 熱可塑性エラストマー組成物 |
JP2020033462A (ja) * | 2018-08-30 | 2020-03-05 | アロン化成株式会社 | 熱可塑性エラストマー組成物 |
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