JP7169127B2 - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車部品、電子材料、家電、電気機器、医療用具、包装資材、文具・雑貨用品等の各種成形品に使用される熱可塑性エラストマー組成物に関する。
熱可塑性ポリエステル系エラストマーは、成形性に優れ、機械的強度が高く、耐油性の高い材料であり、自動車部品、電気・電子部品、繊維及びフィルム等に広く用いられている。しかし、その一方で、エラストマーとしては比較的硬度が高いことや、加水分解を受けやすいことと共に、高温雰囲気で使用した場合に酸化劣化が起きやすく、比較的短時間で強度や伸び等の性能が低下する「熱老化」と呼ばれる現象が起きやすいことも知られており、実用上の課題となっている。
特許文献1には、熱可塑性ポリエステル系エラストマーとカルボキシル基および/またはエポキシ基を含有するオレフィン系共重合体を併用するとこれらの課題が解決された組成物が得られることが開示されている。
特許文献2には、(A)PBT樹脂と、(B)ポリカーボネート樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物において(A)-(B)間のエステル交換反応が起きると、(A)PBT樹脂の結晶化度が下がるために耐熱性が低下することや、難燃剤の四酸化アンチモンがエステル交換反応を促進すること、その対策として有機難燃剤とセピオライトを併用するとエステル交換反応を妨げるので耐熱性の低下を防ぐことや、さらに金属不活化剤を併用してもよいこと等が開示されている。
特開昭61-40355号公報 特開平7-268193号公報
特許文献1には、実施例として、150℃で7日間程度の耐熱試験に耐えられる組成物の具体例が記載されているが、耐熱老化性についてはいまだ十分とは言えず、耐熱試験がより長時間にわたると急速に熱老化が進んでしまうものであって、自動車部品用途等、長期間高温の雰囲気になり得る用途では応用することが難しい。
特許文献2では、金属不活化剤として、アルキルアシッドホスフェート化合物、シュウ酸アミド化合物、ヒドラジド化合物等が挙げられているが、熱可塑性ポリエステル系エラストマーの熱老化とは反応機構が全く異なるものであり、参考にはならない。
本発明の課題は、柔軟性及び機械的強度を損なうことなく、耐熱老化性に優れたポリエステル系の熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
本発明者らが前記課題に対し鋭意検討した結果、熱可塑性ポリエステル系エラストマーを、エステル交換触媒失活剤と酸化防止剤と混合することで、耐熱老化性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、熱可塑性ポリエステル系エラストマーAと、該熱可塑性ポリエステル系エラストマーA 100質量部に対して、エステル交換触媒失活剤B 0.1~10質量部、及び酸化防止剤C 0.1~10質量部を含有してなる熱可塑性エラストマー組成物に関する。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性及び機械的強度を損なうことなく、耐熱老化性に優れるという効果を奏するものである。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性ポリエステル系エラストマーA、エステル交換触媒失活剤B、及び酸化防止剤Cを含有するものであり、柔軟性及び機械的強度を損なうことなく、優れた耐熱老化性を有するものであり、エステル交換触媒失活剤を含有する点に大きな特徴を有する。
ポリエステル系重縮合体と他の重縮合体との間でエステル交換反応が起き得る場合に、エステル交換触媒失活剤によってエステル交換触媒の作用を抑制することができることは知られている。しかしながら、エステル交換反応を起こす他の重縮合体が存在しない系において、熱可塑性ポリエステル系エラストマーをエステル交換触媒失活剤として知られる化合物と混合することで、どのような効果が得られるのかについては全く知られていないなかで、エステル交換触媒失活剤により耐熱老化性が向上する本発明の効果は、驚くべき新規な知見であると言える。
熱可塑性ポリエステル系エラストマーAは、柔軟性及び成形性の観点から、ハードセグメントとソフトセグメントとを有するものが好ましい。
熱可塑性ポリエステル系エラストマーのハードセグメントとしては、芳香族ポリエステルブロックが好ましい。
芳香族ポリエステルブロックは、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4-又は2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、そのアルキルエステル、及び無水物の1種又は2種以上と、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等の炭素数2~6のアルキレングリコールの1種又は2種以上との重縮合体である結晶性ポリエステルブロックであることが好ましい。
熱可塑性ポリエステル系エラストマーのソフトセグメントとしては、ポリエステル型ポリマーブロック、ポリエーテル型ポリマーブロック、ポリカーボネート型ポリマーブロック等が挙げられ、これらの中では、柔軟性の観点から、ポリエーテル型ポリマーブロックが好ましい。
ポリエステル型ポリマーブロックとしては、ポリカプロラクトン、ポリエナンラクトン、ポリカプリロラクトン、脂肪族ジカルボン酸化合物と脂肪族ジオールの縮合反応等より形成されたポリアルキレンエステル等が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸化合物と脂肪族ジオールの縮合反応等より形成されたポリアルキレンエステルとしては、ポリブチレンアジペート等が挙げられる。
ポリエーテル型ポリマーブロックは、脂肪族ポリエーテルブロックが好ましく、主としてポリアルキレンエーテルグリコールからなるものがより好ましい。
熱可塑性ポリエステル系エラストマーAにおけるハードセグメントとソフトセグメントの質量比(ハードセグメント/ソフトセグメント)は、耐熱老化性の観点から、好ましくは20/80~80/20、より好ましくは30/70~70/30である。
熱可塑性ポリエステル系エラストマーAのD硬度は、熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性の観点から、好ましくは15~90、より好ましくは25~80、さらに好ましくは45~70である。
熱可塑性ポリエステル系エラストマーAの融点は、耐熱性の観点から、好ましくは130~240℃、より好ましくは140~230℃、さらに好ましくは150~225℃である。
本発明の組成物中の熱可塑性ポリエステル系エラストマーAの含有量は、好ましくは20~99.8質量%、より好ましくは40~99質量%である。
本発明で用いるエステル交換触媒失活剤Bとしては、有機リン系化合物が好ましく、有機リン酸エステル系化合物がより好ましく、酸性リン酸エステル化合物がさらに好ましい。酸性リン酸エステル化合物としては、式(I):
Figure 0007169127000001
(式中、Rは炭素数1~36の飽和又は不飽和有機基、好ましくは炭素数3~24の飽和アルキル基、より好ましくは炭素数4~18の直鎖飽和アルキル基であり、nは1又は2の整数である)
又は式(II):
Figure 0007169127000002
(式中、Rは前記と同じ)
で表される化合物が好ましい。
式(I)又は(II)で表される酸性リン酸エステル化合物の具体例としては、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルピロホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、アルキル(C12,C14,C16,C18)アシッドホスフェート、イソトリデシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェートエチレングリコールアシッドホスフェート、2-ヒドロキシエチルメタクリレートアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート等が挙げられ、これらの中では、アルキル(C12,C14,C16,C18)アシッドホスフェートが好ましく、より好ましくはアルキル(C16,C18)アシッドホスフェートである。アルキル(C16,C18)アシッドホスフェートは、式(I)中、Rの炭素数が16又は18であるアルキルアシッドホスフェートであり、なかでも、Rが炭素数16又は18の直鎖飽和アルキル基であるアルキルアシッドホスフェート、すなわち、ヘキサデシルアシッドホスフェート又はオクタデシルアシッドホスフェートが好ましい。なお、式(I)におけるnは1でも2でもよく、それらの混合物であってよい。
エステル交換触媒失活剤Bの含有量は、熱可塑性ポリエステル系エラストマーA 100質量部に対して、0.1~10質量部であり、好ましくは0.3~8質量部、より好ましくは0.5~3質量部である。
本発明の組成物中のエステル交換触媒失活剤Bの含有量は、好ましくは0.02~10質量%、より好ましくは0.04~1質量%である。
本発明における酸化防止剤Cとしては、芳香族アミン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられる。
芳香族アミン系酸化防止剤としては、フェニルナフチルアミン、4,4’-ジメトキシジフェニルアミン、4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、4-イソプロポキシジフェニルアミン等が挙げられ、これらの中では、芳香族第2級アミン化合物が好ましく、ジフェニルアミン系化合物がより好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,4-ジメチル-6-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ヒドロキシメチル-2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-α-ジメチルアミノ-p-クレゾール、2,5-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、4,4’-ビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-4-メチル-6-t-ブチルフェノール、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-メチレン-ビス(6-t-ブチル-o-クレゾール)、4,4’-メチレン-ビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルベンジル)スルフィド、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-o-クレゾール)、2,2’-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,6-ビス(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルベンジル)-4-メチルフェノール、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸ジエチルエステル、2,2’-ジヒドロキシ-3,3’-ジ(α-メチルシクロヘキシル)-5,5’-ジメチル-ジフェニルメタン、α-オクタデシル-3(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、6-(ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-2,4-ビス-オクチル-チオ-1,3,5-トリアジン、ヘキサメチレングリコール-ビス[β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェノール)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレン-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシヒドロ桂皮酸アミド)、2,2-チオ[ジエチル-ビス-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゼンホスホン酸ジオクタデシルエステル、テトラキス[メチレン-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-ジ-t-ブチルフェニル)ブタン、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス[β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル-オキシエチル]イソシアヌレート等が挙げられ、これらの中では、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンのような分子量が500以上のものが好ましい。
イオウ系酸化防止剤としては、チオエーテル系、ジチオ酸塩系、メルカプトベンズイミダゾール系、チオカルバニリド系、チオジプロピオンエステル系等のイオウを含む化合物が挙げられ、これらの中では、チオエーテル系が好ましい。チオエーテル系酸化防止剤は、分子構造中に少なくとも1個のチオエーテル結合を有する化合物である。具体的に、チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、ジ長鎖アルキルチオジプロピオネート(ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート等)、テトラキス[メチレン-3-(長鎖アルキルチオ)プロピオネート]アルカン(例えば、テトラキス[メチレン-3-(ドデシルチオ)プロピオネート]メタン等)等が挙げられる。なお、長鎖アルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状の、炭素数8~20のアルキル基等が挙げられる。これらのチオエーテル系酸化防止剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
リン系酸化防止剤としては、ホスファイト系化合物、ホスフェート系化合物等が挙げられ、これらの中では、ホスファイト系化合物が好ましい。
ホスファイト系化合物としては、テトラキス[2-t-ブチル-4-チオ(2’-メチル-4’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)-5-メチルフェニル]-1,6-ヘキサメチレン-ビス(N-ヒドロキシエチル-N-メチルセミカルバジド)-ジホスファイト、テトラキス[2-t-ブチル-4-チオ(2’-メチル-4’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)-5-メチルフェニル]-1,10-デカメチレン-ジ-カルボキシリックアシッド-ジ-ヒドロキシエチルカルボニルヒドラジド-ジホスファイト、テトラキス[2-t-ブチル-4-チオ(2’-メチル-4’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)-5-メチルフェニル]-1,10-デカメチレン-ジ-カルボキシリックアシッド-ジ-サリシロイルヒドラジド-ジホスファイト、テトラキス[2-t-ブチル-4-チオ(2’-メチル-4’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)-5-メチルフェニル]-ジ(ヒドロキシエチルカルボニル)ヒドラジド-ジホスァイト、テトラキス[2-t-ブチル-4-チオ(2’-メチル-4’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)-5-メチルフェニル]-N,N’-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド-ジホスファイト等が挙げられるが、本発明では、少なくとも1つのP-O結合又はP=O結合が芳香族基に結合しているホスファイト系化合物が好ましい。かかるホスファイト系化合物としては、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)4,4’-ビフェニレンホスフォナイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトール-ジ-ホスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール-ジ-ホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェニル-ジ-トリデシル)ホスファイト、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ジトリデシルホスファイト-5-t-ブチル-フェニル)ブタン、トリス(ミックスドモノ及びジ-ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’-イソプロピリデンビス(フェニル-ジアルキルホスファイト)、3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン等が挙げられる。
ホスファイト系化合物の市販品としては、旭電化工業社の“アデカスタブ”C、PEP-4C、PEP-8、PEP-11C、PEP-24G、PEP-36、HP-10、2112、260、522A、329A、1178、1500、C、135A、3010、TPP、チバスペシャリティケミカル社の“イルガフォス”168、住友化学社の“スミライザー”P-16、クラリアント社の“サンドスタブ”P-EPQ、GE社の“ウエストン”618、619G、624等が挙げられる。
前記酸化防止剤のなかでは、芳香族アミン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、及びイオウ系酸化防止剤が好ましく、芳香族アミン系酸化防止剤がより好ましい。
酸化防止剤はそれ自体に熱可塑性ポリエステル系エラストマーの耐熱老化性を向上させる効果があるが、その効果は持続性がなく、酸化防止剤自身の分解に伴って徐々に効果を失う。しかしながら、本発明は、酸化防止剤Cをエステル交換触媒失活剤Bと併用したときには相乗効果を生じ、長期間にわたって耐熱老化性を維持し続けるという特徴を有する。一般的に、種類の異なる複数の酸化防止剤を併用することは、相加的な効果を生ずるために好ましく、併用する場合には、芳香族アミン系酸化防止剤と他の酸化防止剤を併用することが好ましい。エステル交換触媒失活剤Bを必須とする本発明においても、芳香族アミン系酸化防止剤の併用は好ましいが、単なる相加効果とはメカニズムが異なるために、併用する酸化防止剤として芳香族アミン系酸化防止剤は必ずしも必須ではなく、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤及びイオウ系酸化防止剤の併用が、明らかな相乗効果を示す。酸化防止剤Cとして複数の種類のものを併用するとき、各々の種類の配合比率は、酸化防止剤C中、1質量%以上90質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以上80質量%以下である。
酸化防止剤Cの含有量は、熱可塑性ポリエステル系エラストマーA 100質量部に対して、0.1~10質量部であり、好ましくは0.3~8質量部、より好ましくは0.7~5質量部である。
本発明の組成物中の酸化防止剤Cの含有量は、好ましくは0.05~10質量%、より好ましくは0.1~5質量%である。
本発明の組成物は、耐油性、及びさらなる耐熱老化性向上の観点から、ポリアミド系樹脂Dを含有することが好ましい。
ポリアミド系樹脂Dとしては、ポリアミド樹脂、ポリアミドブロックを有するポリアミド系ブロック共重合体等が挙げられる。
ポリアミド樹脂は、分子鎖中にアミド結合を有する高分子化合物であり、ラクタム類の重合体、ω-アミノカルボン酸の重合体、ジアミン類とジカルボン酸との反応により得られる塩の重合体等が挙げられる。
ラクタム類としては、プロピオラクタム、α-ピロリドン、ε-カプロラクタム、エナントラクタム、ω-ラウロラクタム、シクロドデカラクタム等が挙げられる。ω-アミノカルボン酸としては、アミノカプロン酸、6-アミノヘキサン酸、7-アミノヘプタン酸、9-アミノノナン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸等が挙げられる。ジアミン類としては、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、ピペラジン等が挙げられる。ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、グルタール酸等が挙げられ、これらの無水物やアルキルエステル等であってもよい。
ポリアミド樹脂は共重合体であっても、異なる重合体を2種類以上組み合わせて使用してもよいが、本発明においては、耐熱老化性の観点から、2元又は3元以上の共重合体(共重合ポリアミド樹脂)が好ましい。
ポリアミド系ブロック共重合体はポリアミド系エラストマーとも呼ばれるもので、ハードセグメント(X)として、炭素数6以上のアミノカルボン酸、ラクタム、又はm+nが12以上のナイロンmn塩等からなるポリアミドブロックと、ソフトセグメント(Y)として、ポリエーテルブロックから構成されるものが好ましい。ここで、XとYの質量比(X/Y)は、95/5~5/95範囲が好ましい。
炭素数6以上のアミノカルボン酸としては、ω-アミノカプロン酸、ω-アミノエナン酸、ω-アミノカプリル酸、ω-アミノベルゴン酸、ω-アミノカプリン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸等が挙げられる。ラクタムとしては、カプロラクタム、ラウロラクタム等が挙げられる。ナイロンmn塩としては、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン11,6、ナイロン11,10、ナイロン12,6、ナイロン11,12、ナイロン12,10、ナイロン12,12等が挙げられる。
好ましいポリアミドブロックは、組成物の耐熱老化性の点から、ナイロン6、ナイロン6,6、及びナイロン12であり、ナイロン12がより好ましい。
また、ポリエーテルブロックとしては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2-及び1,3-)プロピレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等のポリアルキレンエーテルグリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロック又はランダム共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとのブロック又はランダム共重合体等が挙げられる。また、ソフトセグメント(Y)として、ビスフェノールA、ヒドロキノン等の2価フェノールを含有したものも使用することができる。このうち好ましいソフトセグメント(Y)は、相溶性の点から、ポリテトラメチレンエーテルグリコールである。これらのソフトセグメント(Y)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の数平均分子量(Mn)は、好ましくは200~6,000、より好ましくは250~4,000である。
本発明において、ポリアルキレンエーテルグリコールの両末端は、アミノ化又はカルボキシル化されていてもよい。ポリアミドブロックとポリアルキレンエーテルグリコールブロックとの結合は、各成分の末端基に対して、エステル結合又はアミド結合であることができる。また、このような結合を形成する際に、ジカルボン酸やジアミン等の第3成分を添加することもできる。
ジアミンとしては、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン等の脂肪族ジアミン、フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン等が挙げられる。
ポリアミド系ブロック共重合体におけるポリアミドブロックの含有量は、好ましくは20~80質量%であり、より好ましくは30~70質量%、さらに好ましくは40質量%以上60質量%以下である。また、ポリエーテルブロックの含有量は、好ましくは20~80質量%、より好ましくは30~70質量%、さらに好ましくは40~60質量%である。
本発明では、熱可塑性ポリエステル系エラストマーAが芳香族ポリエステルとポリエーテルのブロック共重合体である場合、ポリアミド系樹脂Dとしては、耐熱老化性の観点から、ポリアミド系ブロック共重合体よりも共重合ポリアミド樹脂が好ましく、ジアミンがピペラジンのように2級アミンである複素環系ジアミンとジカルボン酸との共縮合反応により得られるピペラジン系共重合ポリアミド樹脂がより好ましい。なお、ポリアミド系樹脂Dのアルコールに対する溶解性は、可溶性であっても不溶性であってもよい。
ポリアミド系樹脂DのD硬度は、柔軟性の観点から、好ましくは10~90、より好ましくは20~80、さらに好ましくは25~75である。
ポリアミド系樹脂Dの融点は、溶融混錬時の分散性の観点から、好ましくは50~250℃、より好ましくは70~230℃、さらに好ましくは80~210℃である。
ポリアミド系樹脂Dの含有量は、熱可塑性ポリエステル系エラストマーA 100質量部に対して、機械的強度の観点から、好ましくは40質量部以下、より好ましくは0.1~40質量部、さらに好ましくは1~35質量部である。
本発明の組成物中のポリアミド系樹脂Dの含有量は、好ましくは0.1~29質量%、より好ましくは0.5~26質量%である。
本発明の組成物は、機械的強度向上の観点から、カルボジイミド化合物Eを含有することが好ましい。
カルボジイミド化合物Eは、式(III):
Figure 0007169127000003
(式中、n個のRはそれぞれ異なっていてもよく、炭素数1~18の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数3~12の2価の複素環基、炭素数6~14の2価の芳香族炭化水素基、炭素数3~13の2価の脂環式炭化水素基、又は末端水酸基であり、nは1~15の整数である)
で表される構造を有し、カルボン酸と反応して架橋反応することができる。
式(III)において、nが1のものとしては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩の他、BEC(1-t-ブチル-3-エチルカルボジイミド)、CMC(1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリノエチル)カルボジイミドメト-p-トルエンスルホナート)等の略称で知られるものが挙げられる。
式(III)において、nが2以上のものとしては、ポリカルボジイミドと呼ばれる線状ポリマーが知られており、Rが脂肪族基である脂肪族ポリカルボジイミドと、Rに芳香族基を有する芳香族ポリカルボジイミドとに大別される。脂肪族ポリカルボジイミドの方が芳香族よりも反応性が高いので好ましく、また分枝状よりも線状の方が反応性が高いので好ましい。ポリカルボジイミドの重量平均分子量は、安全性や扱いやすさの観点から、好ましくは100~100,000、より好ましくは500~10,000である。
カルボジイミド化合物Eは、例えば、適当な触媒の存在下に、有機イソシアネートを加熱して脱炭酸反応させて、カルボジイミド結合基を形成することにより製造することができ、カルボジイミド結合基の生成は、2260cm-1のイソシアネ-ト基の吸収ピ-クの消失、及びカルボジイミド結合基の吸収ピ-クの生成によって確認することができる。また、カルボジイミド化合物Eは、上記の基本的な製造方法の他、例えば、米国特許第2,941,956号、特公昭47-33279号公報、特開平5-178954号公報、特開平7-330849号公報等に開示されている方法や、J.Org.Chem.,28,2069(1963)、Chem.,Review81,619(1981)に記載されている方法等でも製造することができる。さらに、特開平5-178954号公報、特開平6-56950号公報等に開示されている様に無溶媒下でも行うことができる。
カルボジイミド化合物Eの市販品としては、日清紡ケミカル社製のカルボジライトシリーズが知られており、中でもカルボジライトHMV-15CAは、脂肪族カルボジイミドの線状ポリマーで、末端のイソシアネート基を封止したものであり、本発明には好適である。一方、芳香族ポリカルボジイミド化合物の市販品としては、スタバクゾールPや、スタバクゾールP-400、スタバクゾールI(以上、ラインケミー(株)製)等が知られている。
カルボジイミド化合物Eの含有量は、熱可塑性ポリエステル系エラストマーA 100質量部に対して、成形性の観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは0.05~10質量部、さらに好ましくは0.1~5質量部である。
本発明の組成物中のカルボジイミド化合物Eの含有量は、好ましくは0.03~20質量%、より好ましくは0.06~35質量%である。
本発明の組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマー、例えばNBR(ニトリルゴム)、ポリウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、スチレン系熱可塑性エラストマー、アクリル系熱可塑性エラストマー等を含有していてもよい。
本発明の組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、軟化剤、各種難燃剤、架橋剤、特にはエポキシ系架橋剤、カーボンブラック、シリカ、炭素繊維、ガラス繊維等の補強剤、無機充填剤、絶縁性熱伝導性フィラー、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の外滑剤、可塑剤、顔料、帯電防止剤、粘着付与剤、架橋助剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、シール性改良剤、離型剤、着色剤、香料等の各種添加剤を含有していてもよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性ポリエステル系エラストマーA、エステル交換触媒失活剤B、及び酸化防止剤Cと、さらに必要に応じてポリアミド系樹脂D、カルボジイミド化合物E等を含む原料を混合し、冷却により固化させて得られる。
本発明でいう「混合」とは、各種成分が良好に混合される方法であれば特に限定されず、各種成分を溶解可能な有機溶媒中に溶解させて混合してもよいし、溶融混練によって混合してもよい。
熱可塑性エラストマー組成物は、溶融混合して得たものを直接成形体に成形して利用する他に、用途に応じて、最終製品として利用される成形体にする前に、いったんペレット、粉体、シート等の中間製品とすることができる。例えば、押出機によって溶融混合してストランドに押出し、冷水中で冷却しつつカッターによって円柱状や米粒状等のペレットに切断される。得られたペレットは、通常、射出成形、押出成形、プレス成形等の成形方法によって所定のシート状成形品や金型成形品とすることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物のD硬度は、柔軟性の観点から、好ましくは90以下、より好ましくは85以下、さらに好ましくは80以下であり、また、機械的強度と耐熱性の観点から、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、さらに好ましく15以上である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を、常法に従って、適宜加熱成形することにより、成形体が得られる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物を加熱成形して得られる成形体の用途は、特に限定されるものではなく一般的なポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー等が用いられる分野に用いることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を用いた成形体の製造に用いられる装置は、成形材料を溶融できる任意の成形機を用いることができる。例えば、ニーダー、押出成形機、射出成形機、プレス成形機、ブロー成形機、ミキシングロール等が挙げられる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。実施例及び比較例で使用した原料の各種物性は、以下の方法により測定した。
<成分A:熱可塑性ポリエステル系エラストマー>
〔ハードセグメント(HS)/ソフトセグメント(SS)〕
ハードセグメントとソフトセグメントの質量比(HS/SS)は、核磁気共鳴装置(ドイツ国BRUKER社製、DPX-400)を用いて、重クロロホルム溶媒中、3~5vol%濃度、25℃でプロトンNMR測定を行い、分子構造中の各種酸素に隣接するメチレンピークのシグナル強度比から算出する。
〔D硬度〕
JIS K 6253 タイプDにて測定する。
〔融点〕
示差走査熱量測定(DSC)装置を用い、JIS K 7121で規定される方法に準拠して10℃/minで昇温して得られる融解ピークの温度を融点とする。融解ピークが複数表れる場合は、より低い温度で表れる融解ピークを融点とする。
<成分D:ポリアミド系樹脂>
〔組成〕
塩酸を用いた加圧酸分解法で樹脂を水溶化し、乾固した後、重メタノールに溶解してbruker社製AVANCE III NMR装置によりプロトンNMR測定をしてピペラジン成分の含有量を測定する。また、メタノールに溶解したものをWATERS社製AcQuity 液体クロマトグラフィー装置にかけ、質量分析法によりポリアミド系樹脂を構成するモノマー成分の同定、定量を行う。
〔D硬度〕
JIS K 6253-3タイプDに準拠して測定する。
〔融点〕
試料約10mgをアルミパンに入れてアルミ蓋を圧着する。アルミパンを示差走査熱量分析計(パーキンエルマー社DSC8000)の装置測定部に設置し、JIS K 7121で規定される方法に準拠して空気中・昇温速度20℃/分の条件で測定する。
<成分E:ポリカルボジイミド>
〔重量平均分子量〕
カルボジイミド化合物をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、マイクロフィルターでろ過したものを、THFを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にかけ、ポリスチレン標準物質の保持時間を基に重量平均分子量を決定する。
実施例1~12及び比較例3~8
(1) 熱可塑性エラストマー組成物(ペレット)の作製
表5に示す配合(質量比)で原料成分をミキサーに投入し、ドライブレンドした。
その後、得られた混合物を下記の条件で押出機(連続式混練機)で溶融混練して、熱可塑性組成物のペレットを製造した。
〔溶融混練条件〕
押出機:KZW32TW-60MG-NH((株)テクノベル製)
シリンダー温度:180~260℃
スクリュー回転数:200~650r/min
実施例及び比較例で使用した表5に記載の原料の詳細は以下の通り。
Figure 0007169127000004
Figure 0007169127000005
Figure 0007169127000006
Figure 0007169127000007
(2) 熱可塑性エラストマー組成物の成形体の作製
ペレットを、下記の条件で射出成形し、厚さ2mm×幅125mm×長さ125mmのプレスシートを作製した。
〔射出成形条件〕
射出成形機:100MSIII-10E(商品名、三菱重工業(株)製)
射出成形温度:200℃
射出圧力:30%
射出時間:3sec
金型温度:40℃
実施例及び比較例で得られた組成物について、下記の評価を行った。結果を表5に示す。なお、比較例1、2はポリエステルエラストマーA又はBそのものである。
〔柔軟性(D硬度)〕
プレスシートを恒温恒湿室(温度23℃、相対湿度50%)に24時間以上静置し、シートの状態を安定させた。2mm厚さのプレスシートを3枚重ね、JIS K7215「プラスチックのデュロメータ硬さ試験法」に準じて、D硬度を測定した。
〔機械的強度(引張破壊応力及び破断伸び率)〕
プレスシートから、型抜機を用いてJIS K7113に記載の3号試験片(長さ20mm)を作製し、(株)島津製作所製の引張試験機(オートグラフ AG-50kND型)を用いて、23℃の温度環境下、200mm/minの速度で試験片を引っ張った。試験片破断時の応力(MPa)を引張破壊応力として記録した。また、破断時の試験片の長さから、破断伸び率((破断時の試験片の長さ(mm)-20)/20×100,%)を算出した。
〔耐熱老化性〕
プレスシートから、型抜機を用いてJIS K7113に記載の3号試験片(長さ20mm)を作製し、東洋精機社製ギヤーオーブンA45A2型を用いて、150℃で、250時間保存後、500時間保存後の試験片を、それぞれ機械的強度の引張試験に供した。破断時の試験片の長さを測定し、保存前の試験片の破断伸び率に対する伸び保持率(%)を算出した。即ち、保存前の破断伸び率が100%である試験片の、保存後の破断伸び率が80%である場合、伸び保持率は80%(80/100×100)と算出した。「崩壊」は高温下での保存により試験片が崩壊した状態を示す。
Figure 0007169127000008
以上の結果より、実施例1~12の熱可塑性エラストマー組成物は、250時間の耐熱試験で良好な耐熱老化性を有し、さらに500時間の耐熱試験にも耐え得る耐熱老化性を有していることが分かる。
これに対し、エステル交換触媒失活剤と酸化防止剤を含有していない比較例1、2の組成物は、250時間以内に崩壊している。
エステル交換触媒失活剤を含有していない比較例3、4の組成物は、実施例1、2の組成物と比べて、250時間後の耐熱老化性が低下し、500時間後には崩壊している。
エステル交換触媒失活剤の代わりに、チオエーテル系酸化防止剤又はホスファイト系酸化防止剤を含有した比較例5、6の組成物は、比較例3、4に比べると250時間後の耐熱老化性は向上しているが、500時間後には崩壊している。
また、比較例5~7は、エステル交換触媒失活剤を用いないときには、酸化防止剤として芳香族アミン系酸化防止剤を含む複数の成分の併用が有効なことを示しているが、実施例7、8を対比すると、エステル交換触媒失活剤を用いるときには序列が異なり、複数のC成分を併用するときは芳香族アミン系酸化防止剤を用いずに、ヒンダードフェノール系酸化防止剤とチオエーテル系酸化防止剤を併用した方が顕著に優れた効果を示していることが分かる。この理由は本発明におけるエステル交換触媒失活剤の作用効果が、単なる安定剤としての相加効果とは異なる異質なものであることを示している。
エステル交換触媒失活剤の代わりに金属不活化剤を含有した比較例8の組成物は、比較例の中では唯一500時間後も崩壊はしていないが、250時間後の耐熱老化性が不十分である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、電子材料、家電、電気機器、医療用具、包装資材、文具・雑貨用品等の各種成形品に用いられる。

Claims (4)

  1. 熱可塑性ポリエステル系エラストマーAと、該熱可塑性ポリエステル系エラストマーA 100質量部に対して、エステル交換触媒失活剤B 0.1~10質量部、及び酸化防止剤C 0.1~10質量部を含有してなる熱可塑性エラストマー組成物であって、前記エステル交換触媒失活剤Bが酸性リン酸エステル化合物を含有する、熱可塑性エラストマー組成物(ただし、難燃剤としてホスフィン酸塩及び/又はジスホスフィン酸塩を含むものを除く)
  2. 酸化防止剤Cが芳香族アミン系酸化防止剤を含有する、請求項1記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. さらに、ポリアミド系樹脂Dを含有する、請求項1又は2記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. さらに、カルボジイミド化合物Eを含有する、請求項1~3いずれか記載の熱可塑性エラストマー組成物。
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