JPWO2008123450A1 - 樹脂組成物および成形物 - Google Patents

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Abstract

樹脂組成物は、必須成分として、(A):下記式(1)で表されるトリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)と、炭素数6〜22の分岐型飽和ジアミン、炭素数6〜16の分岐脂環式ジアミンおよびノルボルナンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種類のジアミン化合物(A2)とを含むジアミン化合物(A)と、(B):ポリアミド形成性モノマー(B)と、(C):ジカルボン酸化合物(C)とを含む成分を重合して得られるポリエーテルアミドエラストマー(X)を50質量%以上含むポリアミド系エラストマー;および、共存成分として、(a)熱可塑性樹脂、および(b)難燃剤もしくは磁性粉末、の少なくとも一方を含有する。この樹脂組成物は、柔軟性や耐衝撃性が改良され、かつ耐加水分解性に優れる。

Description

本発明は、ポリアミドをハードセグメントとしABA型トリブロックポリエーテルをソフトセグメントとするポリアミド系エラストマーを含む樹脂組成物、およびその成型品に関する。
ポリアミド樹脂は耐油性、耐溶剤性、耐熱性、靭性蝋等に優れるため、チューブ・ホース、電線被覆、電気部品、自動車部品等として広く用いられている。ポリアミド樹脂の柔軟性や耐衝撃性を改良する目的で、アイオノマー樹脂や酸変性ポリオレフィン樹脂を配合することが提案されている。
例えば、特公昭55−41659号公報(特許文献1)には、ポリアミド樹脂にエチレン−α,β−不飽和酸共重合体のアイオノマーを配合することが提案されている。
特開2004−161964号公報(特許文献7)にはポリアミド系エラストマーが、特開2004−352789号公報(特許文献8)には熱可塑性樹脂およびポリアミド系エラストマーを含む樹脂組成物が記載されている。
また、ポリアミド樹脂に可塑剤を添加し、柔軟性を付与したポリアミド樹脂組成物は、自動車用チューブ・ホースとして好適に使用されている。例えば、特開2001−002915号公報(特許文献2)には、ポリアミド樹脂100質量部に対して可塑剤15〜100質量部及び比表面積500m/g以上の導電性充填剤5〜100質量部を配合したポリアミド系樹脂組成物が開示されている。特開2004−352790号公報(特許文献9)には熱可塑性樹脂、ポリアミド系エラストマーおよび可塑剤を含む樹脂組成物が記載されている。
さらに、ポリアミドをハードセグメントとし、ポリエーテルをソフトセグメントとするポリアミド系エラストマーは耐油性、耐溶剤性、耐熱性、靭性等に優れるため、チューブ、ホース、電線被覆、電気部品、自動車部品等として広く用いられている。
特開2002−138197号公報(特許文献3)には、(A)テレフタル酸成分単位30〜100モル%と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分単位0〜70モル%および/または炭素原子数4〜20の脂肪族ジカルボン酸成分単位0〜70モル%とからなるジカルボン酸成分単位と、脂肪族ジアミン成分単位および/または脂環族ジアミン成分単位からなるジアミン成分単位とからなる繰返し単位から構成され、荷重2160g、融点+10℃で測定されるMFRが40〜300g/10分の範囲にあり、融点が290℃を超える芳香族ポリアミド:20〜80質量%、(B)無機質強化材:5〜50質量%、(C)臭素化スチレンを重合して得られるポリ臭素化スチレンを少なくとも1種類以上含む臭素系難燃剤:5〜40質量%、(D)アンチモンを含む化合物、および/または、亜鉛を含む複合酸化物:0.1〜10質量%(但し、上記(A)、(B)、(C)、(D)成分の合計は100質量%である)からなるポリアミド組成物であり、該ポリアミド組成物についてUL94規格に基づいて測定した難燃性がV−0相当であると共に、該ポリアミド組成物をペレット状に成形した際に、該ペレット中における臭素系難燃剤の数平均粒子径が0.90μm未満であることを特徴とする難燃性ポリアミド組成物が開示されている。
特開2003−049067号公報(特許文献4)には、相対粘度が2.8〜5.5であるポリアミド樹脂98〜80質量部と、トリアジン系難燃剤2〜20質量部を含有し、かつ水分率が0.07%未満である難燃ポリアミド樹脂組成物が開示されている。
特開2004−352794号公報(特許文献10)および特開2004−352795号公報(特許文献11)には難燃剤を含むポリアミド組成物が記載されている。
ところで、ポリアミド樹脂の用途の1つとして、樹脂磁石が知られている。樹脂磁石は、押出や射出などの成形により製品形状に成形することができ、複雑な形状でも容易に成形できるため様々な分野で使用されている。樹脂磁石の柔軟性を改良するために、オレフィン系のエラストマーを配合する技術が開示されている。
樹脂磁石の磁気特性を上げるために磁性粉末の含量を高めること及び磁性粉末の配向を良くする必要がある。しかしながら、磁性粉末の含量を多くすると溶融時の流動性が低下し、磁性粉末の配向も悪くなるという問題点があった。この問題を解決するために樹脂に可塑剤を添加し、ナイロン樹脂の溶融時の流動性を上げる試みがなされている。
特開2002−270419号公報(特許文献5)では、磁性粉末とポリアミド樹脂からなるポリアミド樹脂磁石であって、該ポリアミド樹脂は、該ポリアミド樹脂磁石全体に対して3〜20質量%の範囲を占め、融点280℃以上で吸水率0.3%未満の芳香族ポリアミドと、融点265℃以下で吸水率2.0%未満の脂肪族ポリアミドの混合物からなることを特徴とするポリアミド樹脂磁石を開示している。
特開2003−041116号公報(特許文献6)では、(A)磁性粉末、(B)ポリアミド樹脂、および(C)該ポリアミド樹脂に基づいて3〜30質量%の次式R−CONH−R−NHCO−R[式中、RおよびRは二重結合を一つ以上有する不飽和炭化水素基を表し、そしてRは炭化水素基を表す。]で表されるビス不飽和脂肪酸アミドを混練して得られることを特徴とする、ポリアミド系プラスチック磁性材料が開示されている。
特開2004−352791号公報(特許文献12)および特開2004−352792号公報(特許文献13)にはポリアミド樹脂組成物、成形物および樹脂磁石部品が記載されている。
特公昭55−41659号公報 特開2001−002915号公報 特開2002−138197号公報 特開2003−049067号公報 特開2002−270419号公報 特開2003−041116号公報 特開2004−161964号公報 特開2004−352789号公報 特開2004−352790号公報 特開2004−352794号公報 特開2004−352795号公報 特開2004−352791号公報 特開2004−352792号公報
熱可塑性樹脂の柔軟性や耐衝撃性を改良する目的で、熱可塑性樹脂にエラストマー成分をブレンドすることが広く行われている。エラストマー成分により柔軟性や耐衝撃性は改良されるものの、溶融粘度がベースの熱可組成樹脂に比べ高くなる、あるいは高温高湿状態など過酷な条件では材料が劣化し使用を制限されるという問題があった。
本発明の一態様は、ベースの熱可塑性樹脂の溶融粘度に影響を与えることなく成形性を変化させることなく、柔軟性や耐衝撃性を改良することができ、かつ耐加水分解性に優れた樹脂組成物の提供することを目的とする。
また、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂の柔軟性、耐衝撃性を高度に改良するためには可塑剤の添加量を多くする必要があり、可塑剤のブリードアウト等の問題があった。
本発明の一態様は、可塑剤のブリードアウトがなく、柔軟性に優れ、かつ耐加水分解性に優れた可塑剤を含む樹脂組成物の提供することを目的とする。
また、ポリアミドをハードセグメントとし、ポリエーテルをソフトセグメントとするポリアミド系エラストマーをチューブ、ホース、電線被覆、電気部品、自動車部品等に使用する場合、難燃性が要求され、ポリアミド系エラストマーに難燃剤を配合する技術が開示されている。しかしながら、電線被覆、電気部品、自動車部品等に使用する場合、高温高湿下の過酷な環境化で使用されるため、長期にこのような環境下で使用される場合、加水分解により樹脂が劣化しエラストマーとしての優れた性能を維持できないといった問題があった。
本発明の一態様は、高温高湿下の過酷な環境下においても加水分解による樹脂の劣化がなく、エラストマーとしての優れた性能を維持することのできる難燃性の樹脂組成物の提供することを目的とする。
また、樹脂磁石の磁気特性を上げるために、磁性粉末の含量を高めることが必要となる。しかしながら、磁性粉末の含量を多くすると樹脂磁石の柔軟性が不足し、割れが発生するなどの問題があった。これらの問題を解決するためにバインダー樹脂としてポリアミド樹脂を用いる場合、ポリアミド樹脂にエラストマー成分を配合し、樹脂磁石の柔軟性を改良する技術が提案されている。しかしながら、配合したエラストマー成分の耐熱性や耐加水分解性が十分ではなく、高温や高温高湿環境下では使用に制限があった。
本発明の一態様は、前記問題点を解決し、過酷な環境下、特に高温高湿下で加水分解によるバインダー樹脂の劣化による性能低下のない樹脂磁石を提供することを目的とする。
さらに、樹脂磁石の磁気特性を上げるために、磁性粉末の含量を高めること、磁性粉末の配向を良くすることが必要となる。しかしながら、磁性粉末の含量を多くすると溶融時の流動性が低下し、磁性粉末の配向も悪くなるという問題点があった。また、樹脂磁石の柔軟性を改良するためエラストマー成分を配合した樹脂磁石は、エラストマー成分の耐熱性や耐加水分解性が十分ではなく、高温や高温高湿環境下では使用に制限があった。これらの問題を解決するためにバインダー樹脂としてナイロン樹脂を用いる場合、ナイロン樹脂に可塑剤を添加し、樹脂の溶融時の流動性を上げる試みがなされている。ナイロンに可塑剤を添加したバインダー樹脂を使用した樹脂磁石は磁性粉末の含量を上げることができ、更に磁性粉末の配向も良くなるため、磁気特性の優れた材料となるが、高温環境に曝された場合、可塑剤がブリードアウトし、製品の表面に移行するばかりでなく、寸法変化が大きくなり寸法安定性が要求される電気・電子機器部品で使用することができない。また、特に金属部品をインサートした樹脂磁石部品は、冬季の屋外における低温環境と、夏季の屋外及び/又は組み込まれている機器内での発熱による高温環境といった実使用環境下での温度変化の繰り返しによって、樹脂磁石部分に亀裂が発生し実用上問題があった。
本発明の一態様は、前記問題点を解決し、金属部品をインサートした樹脂磁石部品においても冬季の屋外における低温環境と、夏季の屋外及び/又は組み込まれている機器内での発熱による高温環境といった実使用環境下での温度変化の繰り返しによっても亀裂を発生せず、高温環境でも寸法変化の少ない樹脂磁石を提供することを目的とする。さらに、過酷な環境下、特に高温高湿下で加水分解によるバインダー樹脂の劣化による性能低下のない樹脂磁石を提供することを目的とする。
本発明は、下記〔1〕で規定される事項に関する。
〔1〕必須成分として、
(A):下記式(1)で表されるトリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)と、炭素数6〜22の分岐型飽和ジアミン、炭素数6〜16の分岐脂環式ジアミンおよびノルボルナンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種類のジアミン化合物(A2)とを含むジアミン化合物(A)と、
(B):ポリアミド形成性モノマー(B)と、
(C):ジカルボン酸化合物(C)と
を含む成分を重合して得られるポリエーテルアミドエラストマー(X)を50質量%以上含むポリアミド系エラストマー;および
共存成分として、
(a)熱可塑性樹脂、および
(b)難燃剤もしくは磁性粉末
の少なくとも一方
を含有することを特徴とする樹脂組成物。
Figure 2008123450

式中、xは1〜20の整数、yは4〜50の整数、およびzは1〜20の整数をそれぞれ表わす。
本発明の代表的態様を次に示す。
〔2〕 前記熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする上記〔1〕記載の樹脂組成物。
〔3〕 前記熱可塑性樹脂が、ポリアミドを含むことを特徴とする上記〔2〕記載の樹脂組成物。
〔4〕 前記熱可塑性樹脂を95〜50質量%と、前記ポリアミド系エラストマーを5〜50質量%とを含むことを特徴とする上記〔2〕または〔3〕記載の樹脂組成物。
〔5〕 前記ポリアミド系エラストマーおよび前記熱可塑性樹脂の合計量100質量部に対して、1〜30重量部の可塑剤をさらに含有することを特徴とする上記〔2〕〜〔4〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
〔6〕 前記難燃剤を含有し、前記ポリアミド系エラストマー100質量部に対して、5〜40質量部の前記難燃剤を含有することを特徴とする上記〔1〕記載の樹脂組成物。
〔7〕 前記熱可塑性樹脂および難燃剤を含有し、前記ポリアミド系エラストマーと前記熱可塑性樹脂の合計量100質量部に対して、前記難燃剤の割合が、5〜40質量部であることを特徴とする上記〔6〕記載の樹脂組成物。
〔8〕 前記熱可塑性樹脂が、ポリアミドであることを特徴とする上記〔7〕記載の樹脂組成物。
〔9〕 前記ポリアミド系エラストマーと前記熱可塑性樹脂の合計量100質量%に、前記熱可塑性樹脂を95〜50質量%、前記ポリアミド系エラストマーを5〜50質量%含むこと特徴とする上記〔7〕または〔8〕記載の樹脂組成物。
〔10〕 少なくとも磁性粉末を含有し、
前記ポリエーテルアミドエラストマー(X)は、バインダー樹脂の少なくとも一部として存在し、
前記磁性粉末と前記バインダー樹脂の合計を100質量%として、それぞれ80〜95質量%および20〜5質量%の割合で含有することを特徴とする上記〔1〕記載の樹脂組成物。
〔11〕 さらに可塑剤を、前記バインダー樹脂100質量%の中で、5〜20質量%の割合で含有していることを特徴とする上記〔10〕記載の樹脂組成物。
〔12〕 前記バインダー樹脂が、さらにポリアミドを含有することを特徴とする〔10〕または〔11〕記載の樹脂組成物。
さらに本発明は、これらの組成物を含む成形物に関する。
本発明において、好ましい態様を次に挙げる。
− ジカルボン酸化合物(C)が、下記式(2)で表される。
Figure 2008123450
(ただし、Rは炭化水素鎖を含む連結基を表し、mは0又は1を表す。)
− ポリアミド形成性モノマー(B)が、アミノカルボン酸化合物、ラクタム化合物、ジアミンとジカルボン酸とから合成されるもの及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種類の脂肪族、脂環族および/または芳香族を含む。
− ポリアミド形成性モノマー(B)が、下記式(3)で表されるアミノカルボン酸化合物(B1)と、下記式(4)で表されるラクタム化合物(B2)との少なくともいずれか一方を含む。
Figure 2008123450
(ただし、Rは炭化水素鎖を含む連結基を表わす。)
Figure 2008123450
(ただし、Rは炭化水素鎖を含む連結基を表わす。)
− ジカルボン酸化合物(C)が、脂肪族ジカルボン酸化合物および/または脂環族ジカルボン酸化合物である。
− ジアミン化合物(A)、ポリアミド形成性モノマー(B)およびジカルボン酸化合物(C)の総量に対して、ポリアミド形成性モノマー(B)の割合が10〜95質量%である。
− ジアミン化合物(A)、ポリアミド形成性モノマー(B)およびジカルボン酸化合物(C)の総量に対して、ポリアミド形成性モノマー(B)の割合が15〜80質量%であり、ジアミン化合物(A)およびジカルボン酸化合物(C)の合計の割合が20〜85質量%である。
− 式(3)のRが、炭素原子数が2〜20のアルキレン基を含む。
− 式(4)のRの炭素原子数が3〜20のアルキレン基を含む。
− 式(1)のxが2〜6の整数を、yは6〜12の整数を、およびzは1〜5の整数をそれぞれ表わす。
− 式(1)のxが2〜10の整数を、yは13〜28の整数を、およびzは1〜9の整数をそれぞれ表わす。
− ジアミン化合物(A)、ポリアミド形成性モノマー(B)およびジカルボン酸化合物(C)の総量に対して、ジアミン化合物(A2)の割合が0.5〜10質量%である。
− 炭素数6〜22の分岐型飽和ジアミンが2,2,4−トリメチル−1,6−ジアミノヘキサン、2,4,4−トリメチル−1,6−ジアミノヘキサン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、2−メチル−1,8−ジアミノオクタン又はこれらの混合物から選ばれるジアミンである。
− 炭素数6〜16の分岐脂環式ジアミンが5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン又はこれらの混合物から選ばれるジアミンである。
− ノルボルナンジアミンが2,5−ノルボルナンジメチルアミン、2,6−ノルボルナンジメチルアミン又はこれらの混合物から選ばれるジアミンである。
− 式(2)のmが1で、Rが炭素原子数1〜20のアルキレン基を表わす。
棒状の金属部品をインサート成形した樹脂磁石部品の概略図である。 円柱状の金属部品をインサート成形した樹脂磁石部品の概略図である。
符号の説明
1:金属部品
2:樹脂磁石
3:金属部品
4:樹脂磁石
本発明の樹脂組成物の代表的態様を以下に説明する。
〔第1の態様〕
本発明の第1の態様の樹脂組成物は、
必須成分として、
(A):式(1)で表されるトリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)と、炭素数6〜22の分岐型飽和ジアミン、炭素数6〜16の分岐脂環式ジアミンおよびノルボルナンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種類のジアミン化合物(A2)とを含むジアミン化合物(A)と、
(B):ポリアミド形成性モノマー(B)と、
(C):ジカルボン酸化合物(C)と
を含む成分を重合して得られるポリエーテルアミドエラストマー(X)を50質量%以上含むポリアミド系エラストマー;および
共存成分として、
(a)熱可塑性樹脂
を含有する。
第1の態様によれば、ベースの熱可塑性樹脂の溶融粘度に影響を与えることなく成形性を変化させることなく、柔軟性や耐衝撃性を改良することができ、かつ耐加水分解性に優れた樹脂組成物を実現できる。
第1の態様の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂の95〜50質量%と、ポリアミド系エラストマーの5〜50質量%とを含むことが好ましく、さらに熱可塑性樹脂の90〜60質量%と、ポリアミド系エラストマーの10〜40質量%とを含むことが好ましく、特に熱可塑性樹脂の85〜70質量%と、ポリアミド系エラストマーの15〜30質量%を含むことが好ましい。ただし、熱可塑性樹脂とポリアミド系エラストマーとの合計は100質量%である。
ポリアミド系エラストマーおよび熱可塑性樹脂の詳細については、後述の〔各成分および材料の説明〕の項で説明する。
この態様の樹脂組成物は、溶融成形性に優れ、成形加工性に優れ、強靭性に優れ、耐衝撃性に優れ、耐加水分解性などに優れている。
樹脂組成物を得る方法は特に制限されるものではなく、公知の種々の方法を用いることができる。例えば、ポリアミド等の熱可塑性組成物とポリアミド系エラストマー、或いは必要に応じて各種の添加剤の所定量を、V型ブレンダー、タンブラーなどの低速回転混合機やヘンシェルミキサーなどの高速回転混合機を用いてあらかじめ混合した後、一軸押出機、二軸押出機などで溶融混練後ペレット化する方法や、ポリアミドとポリアミド系エラストマー、或いは必要に応じて各種の添加剤の所定量を、低速回転混合機やヘンシェルミキサーなどの高速回転混合機を用いてあらかじめ混合した後、射出成形機や押出成形機を用いて直接、樹脂組成物の成形品を得る方法が適用できる。
この態様の樹脂組成物は、スポーツシューズ材、スキー板の表面材、機械・電気精密機器のギア・コネクタ・シール、自動車用モール、シール材、各種チューブ・ホース、シート、フィルム、モノフィラメント、自動車用ミラーブーツ、等速ジョイントブーツなどに用いることができる。
この樹脂組成物は、加水分解後の破断伸び保持率が90%以上であることが好ましい。
この樹脂組成物は、押出成形、射出成形などの公知の成形法を用いて、チューブ、フィラメント、シート、フィルムなどの成形物を製造することが出来る。
〔第2の態様〕
本発明の第2の態様の樹脂組成物は、前述の第1の態様の樹脂組成物において、ポリアミド系エラストマーおよび前記熱可塑性樹脂の合計量100質量部に対して、1〜30重量部の可塑剤をさらに含有することを特徴とする。
第2の態様の発明によれば、可塑剤のブリードアウトがなく、柔軟性に優れ、かつ耐加水分解性に優れた可塑剤を含む樹脂組成物を実現できる。
可塑剤については、後述の〔各成分および材料の説明〕の項で説明する。
この可塑剤含有樹脂組成物は、溶融成形性に優れ、成形加工性に優れ、強靭性に優れ、低比重性、低温柔軟性に優れ、低温耐衝撃性に優れ、耐加水分解性に優れている。
この可塑剤含有樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形などの成形方法により、チューブ、フィラメント、シート、フィルムなどの成形物を得ることが出来る。
第2の態様の組成物を得る方法は特に制限されるものではなく、第1の態様と同様の公知の種々の方法を用いることができる。
この可塑剤含有樹脂組成物は、スポーツシューズ材、スキー板の表面材、機械・電気精密機器のギア・コネクタ・シール、自動車用モール、シール材、各種チューブ・ホース、シート、フィルム、モノフィラメント、自動車用ミラーブーツ、等速ジョイントブーツ、被覆材料などに用いることができる。
この可塑剤含有樹脂組成物は、引張破断伸びの保持率が90%以上、さらに100%以上が好ましい。
〔第3の態様〕
本発明の第3の態様の樹脂組成物は、
必須成分として、
(A):式(1)で表されるトリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)と、炭素数6〜22の分岐型飽和ジアミン、炭素数6〜16の分岐脂環式ジアミンおよびノルボルナンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種類のジアミン化合物(A2)とを含むジアミン化合物(A)と、
(B):ポリアミド形成性モノマー(B)と、
(C):ジカルボン酸化合物(C)と
を含む成分を重合して得られるポリエーテルアミドエラストマー(X)を50質量%以上含むポリアミド系エラストマー;および
共存成分として、
(b)難燃剤
を含有する。
第3の態様によれば、高温高湿下の過酷な環境下においても加水分解による樹脂の劣化がなく、エラストマーとしての優れた性能を維持することのできる難燃性の樹脂組成物を実現できる。
ポリアミド系エラストマーおよび難燃剤の詳細については、後述の〔各成分および材料の説明〕の項で説明する。
第3の態様において、難燃剤の含有量は、ポリアミド系エラストマー100質量部に対して、好ましくは5〜40質量部であり、より好ましくは10〜35質量部、更に好ましくは15〜30質量部である。
第3の態様の組成物を得る方法は特に制限されるものではなく、第1の態様と同様の公知の種々の方法を用いることができる。
この樹脂組成物は、その特性が阻害されない範囲で、耐熱剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、スリップ剤、結晶核剤、粘着性付与剤、シール性改良剤、防曇剤、離型剤、顔料、染料、香料、補強材などを添加することができる。
この樹脂組成物は、溶融成形性に優れ、成形加工性に優れ、強靭性に優れ、耐屈曲疲労性に優れ、反ぱつ弾性に優れ、低比重性、低温柔軟性に優れ、低温耐衝撃性に優れ、伸長回復性に優れ、消音特性に優れ、ゴム的な性質及び透明性などに優れている。
この樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形などの成形方法により、成形物を得ることが出来る。
この樹脂組成物の射出成形品としては、強靭性、耐屈曲疲労性、反ぱつ弾性、低比重の材料が好ましい野球、サッカー、陸上競技などの分野におけるシューズソール材があげられ、その他の射出成形品としては、機械・電気精密機器のギア、コネクタ、シール、自動車用モール、シール材などを挙げることが出来る。
この樹脂組成物は、スポーツシューズ材、スキー板の表面材、機械・電気精密機器のギア・コネクタ・シール、自動車用モール、シール材、各種チューブ・ホース、シート、フィルム、モノフィラメント、自動車用ミラーブーツ、等速ジョイントブーツなどに用いることができる。
〔第4の態様〕
本発明の第4の態様の樹脂組成物は、前記第3の態様の樹脂組成物において、さらに熱可塑性樹脂を含有する。即ち、本発明の第4の態様の樹脂組成物は、
必須成分として、
(A):式(1)で表されるトリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)と、炭素数6〜22の分岐型飽和ジアミン、炭素数6〜16の分岐脂環式ジアミンおよびノルボルナンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種類のジアミン化合物(A2)とを含むジアミン化合物(A)と、
(B):ポリアミド形成性モノマー(B)と、
(C):ジカルボン酸化合物(C)と
を含む成分を重合して得られるポリエーテルアミドエラストマー(X)を50質量%以上含むポリアミド系エラストマー;および
共存成分として、
(a)熱可塑性樹脂および(b)難燃剤
を含有する。
第4の態様によれば、高温高湿下の過酷な環境下においても加水分解による樹脂の劣化がなく、エラストマーとしての優れた性能を維持することのできる難燃性の樹脂組成物を実現できる。
ポリアミド系エラストマー、熱可塑性樹脂および難燃剤の詳細については、後述の〔各成分および材料の説明〕の項で説明する。
第4の態様において、ポリアミド系エラストマーと熱可塑性樹脂の合計量100質量部に対して、難燃剤の割合は、好ましくは5〜40質量部、より好ましくは10〜30質量部、さらに好ましくは20〜30質量部である。
前記熱可塑性樹脂は、ポリアミドを含有すること、特にポリアミドが好ましい。
この難燃剤含有樹脂組成物において、樹脂成分は、熱可塑性樹脂95〜50質量%とポリアミド系エラストマー5〜50質量%を含むことが好ましく、さらに熱可塑性樹脂90〜60量%とポリアミド系エラストマー10〜40質量%を含むことが好ましく、特に熱可塑性樹脂85〜70質量%とポリアミド系エラストマー15〜30質量%を含むことが好ましい(熱可塑性樹脂とポリアミド系エラストマーの合計は100質量%である)。
この樹脂組成物は、その特性が阻害されない範囲で、耐熱剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、導電性フィラー、滑剤、スリップ剤、結晶核剤、粘着性付与剤、シール性改良剤、防曇剤、離型剤、可塑剤、顔料、染料、香料、難燃剤、補強材などを添加することができる。
この難燃剤含有樹脂組成物は、溶融成形性に優れ、成形加工性に優れ、強靭性に優れ、耐衝撃性に優れ、耐加水分解性などに優れている。
この難燃剤含有樹脂組成物において、樹脂組成物を得る方法は特に制限されるものではなく、第1の態様と同様の公知の種々の方法を用いることができる。
この樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形などの成形方法により、成形物を得ることが出来る。
この樹脂組成物の成形品は、チューブ、ホース、電線被覆、電気部品、自動車部品等の難燃性を要求される部品に適用することができる。
さらにこの樹脂組成物の成形品は、高温高湿下の過酷な環境下においても加水分解による劣化がなく、このような過酷な環境下においても使用することのできるチューブ、ホース、電線被覆、電気部品、自動車部品等に適用できる。
この難燃剤含有樹脂組成物は、加水分解後の破断伸び保持率が90%以上、さらに95%以上であることが好ましい。
〔第5の態様〕
本発明の第5の態様の樹脂組成物は、樹脂磁石に関し、
必須成分として、
(A):下記式(1)で表されるトリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)と、炭素数6〜22の分岐型飽和ジアミン、炭素数6〜16の分岐脂環式ジアミンおよびノルボルナンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種類のジアミン化合物(A2)とを含むジアミン化合物(A)と、
(B):ポリアミド形成性モノマー(B)と、
(C):ジカルボン酸化合物(C)と
を含む成分を重合して得られるポリエーテルアミドエラストマー(X)を50質量%以上含むポリアミド系エラストマー;および
共存成分として、
(b)磁性粉末
を含有する。ここで、ポリエーテルアミドエラストマー(X)は、磁性粉末を結着するためのバインダー樹脂の少なくとも一部として存在する。
第5の態様によれば、過酷な環境下、特に高温高湿下で加水分解によるバインダー樹脂の劣化による性能低下のない樹脂磁石を実現できる。
磁性粉末とバインダー樹脂の合計を100質量%として、この樹脂組成物は、磁性粉末80〜95質量%とバインダー樹脂20〜5質量%、好ましくは磁性粉末85〜95質量%とバインダー樹脂15〜5質量%、さらに好ましくは磁性粉90〜95質量%とバインダー樹脂10〜5質量%の割合で含有する。
バインダー樹脂は、ポリアミド系エラストマーを0〜100質量%(0質量%を除く)を含み、残分は熱可塑性樹脂、特に好ましくはポリアミドを0〜100質量%(100質量%を除く)(ポリアミド系エラストマーとポリアミドの合計が100質量%である)である。
バインダー樹脂が、ポリアミド系エラストマー及びポリアミドとの組成物の場合、ポリアミド系エラストマー5〜30質量%とポリアミド95〜70質量%との組成物が好ましく、さらにポリアミド系エラストマー10〜25質量%とポリアミド90〜75質量%との組成物が好ましい。
ポリアミド系エラストマーおよびバインダーを構成する熱可塑性樹脂、特にポリアミドの詳細については、後述の〔各成分および材料の説明〕の項で説明する。
この樹脂組成物は、バインダー樹脂と磁性粉末とを混練して又は溶融混練して製造することが出来る。
この樹脂組成物は、射出成形、押出成形などの成形方法により、成形することができる。成形物は、樹脂磁石として使用できる。
この樹脂組成物は、金属部品と組み合わせて樹脂磁石部品を形成することができる。例えば、金属部品をインサートして樹脂磁石部品を製造することができる。得られる樹脂磁石部品は、例えば80℃の熱水中に2000時間浸漬した後にも、加水分解によりバインダー樹脂の劣化がなく、樹脂磁石部品に亀裂を発生することなく、長期の使用にも耐えるものである。
この樹脂組成物は図1に示すような円盤状金属部品1をインサート成形した樹脂磁石部品や図2に示すような棒状金属部品3をインサート成形したロール状の樹脂磁石部品などの金属部品と組み合わせた状態で使用される。
〔第6の態様〕
本発明の第6の態様の樹脂組成物は、樹脂磁石に関し、前記第5の態様において、バインダー樹脂が可塑剤を含有し、特に前記バインダー樹脂100質量%の中で、可塑剤が5〜20質量%の割合で含まれる。
第6の態様によれば、金属部品をインサートした樹脂磁石部品においても冬季の屋外における低温環境と、夏季の屋外及び/又は組み込まれている機器内での発熱による高温環境といった実使用環境下での温度変化の繰り返しによっても亀裂を発生せず、高温環境でも寸法変化の少ない樹脂磁石を提供することができる。さらに、過酷な環境下、特に高温高湿下で加水分解によるバインダー樹脂の劣化による性能低下のない樹脂磁石を実現できる。
この態様の樹脂組成物において、磁性粉末とバインダー樹脂の割合は、前述の第5の態様と同じである。この態様において、バインダー樹脂は、好ましくは樹脂成分80〜95質量%及び可塑剤20〜5質量%を含有し、より好ましくは樹脂成分80〜10質量%及び可塑剤20〜10質量%を含有する(樹脂成分と可塑剤の合計が100質量%である)。
バインダー樹脂の中の樹脂成分は、ポリアミド系エラストマーを0〜100質量%(0質量%を除く)、および熱可塑性樹脂、特にポリアミドを0〜100質量%(100質量%を除く)(ポリアミド系エラストマーとポリアミドの合計が100質量%である)含有する。
樹脂成分が、ポリアミド系エラストマーとポリアミドとを含む場合、ポリアミド系エラストマー5〜30質量%とポリアミド95〜70質量%との組成物が好ましく、さらにポリアミド系エラストマー10〜25質量%とポリアミド90〜75質量%との組成物が好ましい(ポリアミド系エラストマーとポリアミドの合計が100質量%である。)。
ポリアミド系エラストマーおよびバインダーを構成する熱可塑性樹脂、特にポリアミドの詳細については、後述の〔各成分および材料の説明〕の項で説明するとおりである。また、可塑剤については、後述の〔各成分および材料の説明〕の項で説明する材料でもよいが、特に、p−又はo−ヒドロキシ安息香酸と、炭素数12〜22の側鎖を有するアルコールから誘導される化合物、例えばエステル化合物などを含む可塑剤が好ましく、他の公知の可塑剤と併せて用いることが出来る。
可塑剤は、p−又はo−ヒドロキシ安息香酸と、炭素数12〜22の側鎖を有するアルコールから誘導される化合物を好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上含むことが好ましい。
可塑剤は、p−又はo−ヒドロキシ安息香酸と、炭素数12〜22の側鎖を有するアルコールとから誘導されるエステル化合物が好ましい。可塑剤は、単独で用いても良く、2種以上組み合わせて使用しても良い。
炭素数12〜22の側鎖を有するアルコールとしては、2−オクチルオクタノール、2−オクチル−3−オクタノール、2−エチルドデシルアルコール、2−オクチルドデシルアルコール、2−デシルドデシルアルコール、2−デシルデカノール、2−ヘキシルデカノール、2−エチルデカノールなどを用いることが出来る。
可塑剤として、p−又はo−ヒドロキシ安息香酸と、炭素数12〜22の側鎖を有するアルコールとから誘導されるエステル化合物としては、p−又はo−ヒドロキシ安息香酸2−オクチルオクタノールエステル、p−又はo−ヒドロキシ安息香酸2−オクチル−3−オクタノールエステル、p−又はo−ヒドロキシ安息香酸2−エチルドデシルアルコールエステル、p−又はo−ヒドロキシ安息香酸2−オクチルドデシルアルコールエステル、p−又はo−ヒドロキシ安息香酸2−デシルドデシルアルコールエステル、p−又はo−ヒドロキシ安息香酸2−デシルデカノールエステル、p−又はo−ヒドロキシ安息香酸2−ヘキシルデカノールエステル、p−又はo−ヒドロキシ安息香酸2−エチルデカノールエステルなどを挙げることが出来る。
可塑剤は、単独で用いても良く、2種類以上組み合わせて使用しても良い。
バインダー樹脂は、(1)ポリアミド等の熱可塑性樹脂、ポリアミド系エラストマー及び可塑剤とを同時に溶融混練することにより、または(2)ポリアミド等の熱可塑性樹脂とポリアミド系エラストマーを溶融混練した後、さらに可塑剤を加えて混練すること等の方法により得ることが出来る。
この態様の樹脂組成物は、バインダー樹脂と磁性粉末とを混練して又は溶融混練して製造することが出来る。
この樹脂組成物は、射出成形、押出成形などの成形方法により、成形することができる。
この樹脂組成物は、成形して成形物を得ることが出来る。この成形物は、樹脂磁石として使用できる。
このナイロン樹脂組成物は、金属部品をインサートした樹脂磁石部品を製造することができる。例えば、80℃の熱水中に2000時間浸漬した後にも、加水分解によりバインダー樹脂の劣化がなく、樹脂磁石部品に亀裂を発生することなく、長期の使用にも耐えるものである。
金属部品をインサートした樹脂磁石部品は、冬季の屋外といった低温環境から、夏季の屋外及び/又は機器の発熱による高温環境の温度変化の繰り返しに対しても樹脂磁石部分に亀裂を発生することなく長期の使用に耐えるものである。
この樹脂組成物には必要に応じて酸化防止剤、耐熱剤、紫外線吸収剤、滑剤等の添加剤を使用することができる。
この樹脂組成物は図1に示すような円盤状金属部品1をインサート成形した樹脂磁石部品や図2に示すような棒状金属部品3をインサート成形したロール状の樹脂磁石部品などの金属部品と組み合わせた状態で使用される。
この樹脂組成物及びこれらの成形品において、質量減少率は好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.4%以下、特に好ましくは0.25%以下である。
このナイロン樹脂組成物及びこれらの成形品において、寸法変化率は好ましくは0.25%以下、さらに好ましくは0.2%以下、特に好ましくは0.15%以下である。
〔各成分および材料の説明〕
以下に各成分および材料を説明する。
<<ポリアミド系エラストマー>>
ポリアミド系エラストマーは、公知のポリアミドエラストマーを含んでいても構わない。
ポリアミド系エラストマーとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12から選ばれる少なくとも1種類の脂肪族ナイロンからなるポリアミドブロックと、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンから選ばれる少なくとも1種類のポリエーテルブロックとから構成されるエラストマーなどを用いることが出来る。
ポリアミド系エラストマーは、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックからなる熱可塑性エラストマーが好ましく、硬度(ショアD)は、好ましくは15〜70の範囲、さらに好ましくは18〜70の範囲、より好ましくは20〜70の範囲、特に好ましくは25〜70の範囲が好ましい。
ポリアミド系エラストマーの弾性率は、好ましくは20〜450MPa、さらに好ましくは20〜400MPa、より好ましくは20〜350MPa、特に好ましくは20〜300MPaが好ましい。
ポリアミド系エラストマーは、破断伸びは600%以上が好ましい。
本発明の樹脂組成物において、ポリアミド系エラストマーは、ポリエーテルアミドエラストマー(X)を、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、特に90質量%以上含むこと(100%でもよい)が好ましい。ポリエーテルアミドエラストマー(X)の含有量が多いポリアミド系エラストマーは、耐水性に優れ、溶融成形性に優れ、成形加工性に優れ、強靭性に優れ、耐屈曲疲労性に優れ、反ぱつ弾性に優れ、低比重性、低温柔軟性に優れ、低温耐衝撃性に優れ、伸長回復性に優れ、消音特性に優れ、ゴム的な性質及び透明性などに優れている。
ポリエーテルアミドエラストマー(X)は、下記式(1)で表されるトリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)と、炭素数6〜22の分岐型飽和ジアミン、炭素数6〜16の分岐脂環式ジアミンおよびノルボルナンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種類のジアミン化合物(A2)とを含むジアミン化合物(A)と;ポリアミド形成性モノマー(B)と、ジカルボン酸化合物(C)とを重合して得られる重合体である。
Figure 2008123450
式中、xは1〜20の整数、yは4〜50の整数、およびzは1〜20の整数をそれぞれ表わす。
本発明のポリエーテルアミドエラストマー(X)の特に好ましい態様の1つは、
式(1)で表されるXYX型トリブロックポリエーテルジアミン(A1)(Yはポリオキシブチレンである)、及び、炭素数6〜22の分岐型飽和ジアミン、炭素数6〜16の分岐脂環式ジアミン、ノルボルナンジアミンから選ばれる少なくとも1種類のジアミン化合物(A2)を含むジアミン化合物(A)、
式(3)で表されるアミノカルボン酸化合物(B1)及び式(4)で表されるラクタム化合物(B2)から選ばれるポリアミド形成性モノマー(B)、及び
式(2)で表されるジカルボン酸化合物(C)
を重合して得られるポリエーテルアミドエラストマー(X)である。
本発明において用いられるポリエーテルアミドエラストマー(X)において、ジアミン化合物(A)、ポリアミド形成性モノマー(B)、およびジカルボン酸化合物(C)に含まれる末端のカルボン酸又はカルボキシル基と、末端のアミノ基とがほぼ等モルになるような割合が好ましい。
特に、ポリアミド形成性モノマー(B)の一方の末端がアミノ基で、他方の末端がカルボン酸又はカルボキシル基の場合、ジアミン化合物(A)のアミノ基とジカルボン酸化合物(C)のカルボキシル基がほぼ等モルになるような割合とするのが好ましい。
ジアミン化合物(A)における式(1)で表されるXYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)としては、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコールなどの両末端にプロピレンオキシドを付加することによりポリプロピレングリコールとした後、このポリプロピレングリコールの末端にアンモニアなどを反応させることによって製造されるポリエーテルジアミンなどを用いることができる。
XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)において、x及びzは1〜20、好ましくは1〜18、さらに好ましくは1〜16、より好ましくは1〜14、特に好ましいのは1〜12であり、yは4〜50、好ましくは5〜45、さらに好ましくは6〜40、より好ましくは7〜35、特に好ましいのは8〜30である。
XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)において、x及びzがそれぞれ上記の範囲より小さい場合には、得られるエラストマーの特性のうち特に透明性が低下し、yが上記範囲より小さい場合には、ゴム弾性が低くなる。また、xおよびzが上記範囲より大きい場合又は、yが上記範囲より大きい場合ポリアミド成分との相容性が低くなり強靭なエラストマーが得られにくいことがある。
XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)の具体例としては、米国HUNTSMBN社製XTJ−533(式(1)において、xがおよそ12、yがおよそ11、zがおよそ11)、XTJ−536(式(1)において、xがおよそ8.5、yがおよそ17、zがおよそ7.5)、XTJ−542(式(1)において、xがおよそ3、yがおよそ9、zがおよそ2)、そしてXTJ−559(式(1)において、xがおよそ3、yがおよそ14、zがおよそ2)などを用いることができる。
また、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)として、XYX−1(式(1)において、xがおよそ3、yがおよそ14、zがおよそ2)、XYX−2(式(1)において、xがおよそ5、yがおよそ14、zがおよそ2)、そしてXYX−3(式(1)において、xがおよそ3、yがおよそ19、zがおよそ2)なども用いることができる。
XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)の割合は、ジアミン化合物(A)、ポリアミド形成性モノマー(B)およびジカルボン酸化合物(C)の総量に対して、好ましくは2〜87質量%、特に好ましくは7〜78質量%である。XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)の割合が、上記範囲より少ない場合、屈曲疲労性などのエラストマーとしての特性が十分に発現されず、ポリアミド系エラストマーとして好ましくない場合がある。XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)の割合が、上記範囲より大きい場合、ポリアミド成分が少ないためにポリアミドに特徴的な優れた力学的な強度が発現されず、ポリアミド系エラストマーとして好ましくない場合がある。
また、ジアミン化合物(A2)において、炭素数6〜22の分岐型飽和ジアミンとしては、例えば、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン及び2−メチル−1,8−ジアミノオクタンなどが挙げられる。これらは単独で使用しても良く、または2種類以上を適当な割合に混合して使用しても良い。
ジアミン化合物(A2)において、炭素数6〜16の分岐脂環式ジアミンとしては、例えば、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン(「イソホロンジアミン」ともいう)などが挙げられる。また、これらのジアミンはシス体及びトランス体のいずれであっても良く、あるいはこれら異性体の混合物であっても良い。さらにこれらのジアミンは単独で使用しても良く、または2種類以上を適当な割合に混合して使用しても良い。
ジアミン化合物(A2)において、ノルボルナンジアミンとしては、例えば、2,5−ノルボナンジメチルアミン、2,6−ノルボナンジメチルアミンあるいはこれらの混合物などが挙げられる。これらは単独で使用しても良く、または2種類を適当な割合に混合して使用しても良い。
ジアミン化合物(A2)の割合は、ジアミン化合物(A)、ポリアミド形成性モノマー(B)およびジカルボン酸化合物(C)の総量に対して、好ましくは0.5〜10質量%さらに好ましくは1〜5質量%である。ジアミン化合物(A2)の割合が、上記範囲より少ない場合、透明性が十分に発現されず、好ましくない場合がある。ジアミン化合物(A2)の割合が、上記範囲より大きい場合、ポリアミド形成性モノマー由来の結晶性が低下して、十分な力学的強度が発現されず、好ましくない場合がある。
また、ジアミン化合物(A)として、トリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)及びジアミン化合物(A2)以外の他のジアミン化合物(A3)を含んでもよい。
他のジアミン化合物(A3)としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、3−メチルペンタンメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサンなどの脂環式ジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミンなどが挙げられ、これらのジアミンは単独で使用しても良く、または2種類以上を適宜組合せて使用しても良い。
次に、ポリアミド形成性モノマー(B)におけるアミノカルボン酸化合物(B1)及びラクタム化合物(B2)について説明する。
アミノカルボン酸化合物(B1)において、Rは炭素数2〜20の炭化水素の分子鎖、特に炭素原子2〜20を有するアルキレン基であることが好ましく、さらに好ましくは炭素数3〜18の炭化水素の分子鎖、特に炭素原子3〜18を有するアルキレン基であり、より好ましくは炭素数4〜15の炭化水素の分子鎖、特に炭素原子4〜15を有するアルキレン基であり、特に好ましくは炭素数10〜15の炭化水素の分子鎖、特に炭素原子10〜15を有するアルキレン基を示す。
ラクタム化合物(B2)において、Rは炭素数3〜20の炭化水素の分子鎖、特に炭素原子3〜20を有するアルキレン基であることが好ましく、さらに好ましくは炭素数3〜18の炭化水素の分子鎖、特に炭素原子3〜18を有するアルキレン基であり、より好ましくは炭素数4〜15の炭化水素の分子鎖、特に炭素原子4〜15を有するアルキレン基であり、特に好ましくは炭素数10〜15の炭化水素の分子鎖、特に炭素原子10〜15を有するアルキレン基を示す。
アミノカルボン酸化合物(B1)としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、10−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などの炭素数5〜20の脂肪族ω−アミノカルボン酸などを挙げることができる。
ラクタム化合物(B2)としては、ε−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−ウンデカラクタム、ω−ドデカラクタム、2−ピロリドンなどの炭素数5〜20の脂肪族ラクタムなどを挙げることができる。
ポリエーテルアミドエラストマー(X)の全成分に対するポリアミド形成性モノマー(B)の割合は、好ましくは10〜95質量%、さらに好ましくは15〜95質量%、より好ましくは15〜85質量%、特に好ましくは15〜80質量%が好ましい。ポリエーテルアミドエラストマー(X)の全成分に対するポリアミド形成性モノマー(B)の割合が、上記範囲より少ない場合、ポリアミド成分の結晶性が低くなる場合があり、強度、弾性率などの機械的物性が低下するので好ましくない場合がある。ポリエーテルアミドエラストマー(X)の全成分に対するポリアミド形成性モノマー(B)の割合が、上記範囲より大きい場合、ゴム弾性や柔軟性などのエラストマーとしての機能、性能が発現しにくくなるために好ましくない場合がある。
ジカルボン酸化合物(C)において、Rは炭素数1〜20の分子鎖、特に炭素原子1〜20を有するアルキレン基であることが好ましく、さらに好ましくは炭素数1〜15の炭化水素の分子鎖、特に炭素原子を1〜15有するアルキレン基であり、より好ましくは炭素数2〜12の炭化水素の分子鎖、特に炭素原子2〜12を有するアルキレン基であり、特に好ましくは炭素数4〜10の炭化水素の分子鎖、特に炭素原子4〜10を有するアルキレン基を示すものである。mは0又は1を示し、好ましくは1を示す。
ジカルボン酸化合物(C)としては、脂肪族、脂環式及び芳香族ジカルボン酸から選ばれる少なくとも一種のジカルボン酸又はこれらの誘導体を用いることができる。
ジカルボン酸化合物(C)の具体例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの炭素数2〜25の直鎖脂肪族ジカルボン酸、又は、トリグリセリドの分留により得られる不飽和脂肪酸を二量化した炭素数14〜48の二量化脂肪族ジカルボン酸(ダイマー酸)及びこれらの水素添加物(水添ダイマー酸)などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、及びテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸を挙げることができる。ダイマー酸及び水添ダイマー酸としては、「プリポール1004」、「プリポール1006」、「プリポール1009」、「プリポール1013」などを用いることができる。
本発明に使用されるポリエーテルアミドエラストマー(X)の製造方法として、一例を挙げると、ポリアミド形成性モノマー(B)、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)、ジアミン化合物(A2)、及びジカルボン酸化合物(C)の4成分を、加圧及び/又は常圧下で溶融重合し、必要に応じてさらに減圧下で溶融重合する工程からなる方法を用いることができ、ポリアミド形成性モノマー(B)、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)、ジアミン化合物(A2)、及びジカルボン酸化合物(C)の4成分を同時に、加圧及び/又は常圧下で溶融重合し、必要に応じてさらに減圧下で溶融重合する工程からなる方法を用いることができる。なお、ポリアミド形成性モノマー(B)とジカルボン酸化合物(C)の2成分を先に重合させ、ついで、XYX型のトリブロックポリエーテルジアミン(A1)とジアミン化合物(A2)を重合させる方法も利用できる。
ポリエーテルアミドエラストマー(X)の製造に当たり、原料の仕込む方法に特に制限はないが、ポリアミド形成性モノマー(B)、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)、ジアミン化合物(A2)、及びジカルボン酸化合物(C)の仕込み割合は、全成分に対してポリアミド形成性モノマー(B)が好ましくは10〜95質量%、特に好ましくは15〜80質量%の範囲、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)は、好ましくは2〜87質量%、特に好ましくは7〜78質量%、ジアミン化合物(A2)は、好ましくは0.5〜10質量%、特に好ましくは1〜5質量%である。XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)とジアミン化合物(A2)とジカルボン酸化合物(C)は、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)とジアミン化合物(A2)のアミノ基とジカルボン酸化合物(C)のカルボキシル基がほぼ等モルになるように仕込むことが好ましい。
ポリエーテルアミドエラストマー(X)の製造は、重合温度が好ましくは150〜300℃、さらに好ましくは160〜280℃、特に好ましくは170〜250℃で行うことができる。重合温度が上記温度より低い場合重合反応が遅く、上記温度より高い場合熱分解が起きやすく良好な物性のポリマーが得られない場合がある。
ポリエーテルアミドエラストマー(X)は、ポリアミド形成性モノマー(B)としてω−アミノカルボン酸を使用する場合、常圧溶融重合又は常圧溶融重合とそれに続く減圧溶融重合での工程からなる方法で製造することができる。
一方、ポリアミド形成性モノマー(B)としてラクタムを用いる場合には、適量の水を共存させ、0.1〜5MPBの加圧下での溶融重合とそれに続く常圧溶融重合及び/又は減圧溶融重合からなる方法で製造することができる。
ポリエーテルアミドエラストマー(X)は、重合時間が通常0.5〜30時間で製造することができる。重合時間が上記範囲より短いと、分子量の上昇が十分でなく、長いと熱分解による着色などが起こり、いずれの場合も所望の物性を有するポリエーテルアミドエラストマー(X)が得られない場合がある。
ポリエーテルアミドエラストマー(X)の製造は、回分式でも、連続式でも実施することができ、またバッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置などを単独であるいは適宜組み合わせて用いることができる。
本発明に使用されるポリエーテルアミドエラストマー(X)は、相対粘度(ηr)1.2〜3.5(0.5質量/容量%メタクレゾール溶液、25℃)の範囲にあることが好ましい。
ポリエーテルアミドエラストマー(X)の製造において、必要に応じて分子量調節や成形加工時の溶融粘度安定のために、ラウリルアミン、ステアリルアミン、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミンなどのモノアミン、或いはジアミン、酢酸、安息香酸、ステアリン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などのモノカルボン酸、或いはジカルボン酸などを添加することができる。これらの使用量は、最終的に得られるエラストマーの相対粘度(ηr)が1.2〜3.5(0.5質量/容量%メタクレゾール溶液、25℃)の範囲になるように適宜添加することが好ましい。
ポリエーテルアミドエラストマー(X)の製造において、上記モノアミン及びジアミン、モノカルボン酸及びジカルボン酸などの添加量は、得られるポリエーテルアミドエラストマー(X)の特性が阻害されない範囲とするのが好ましい。
ポリエーテルアミドエラストマー(X)の製造において、必要に応じて触媒として、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸などを、また触媒と耐熱剤の両方の効果をねらって亜リン酸、次亜リン酸、及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などの無機系リン化合物を添加することができる。添加量は、通常、仕込み量に対して50〜3000ppmである。
本発明のポリエーテルアミドエラストマー(X)は、その特性が阻害されない範囲で、耐熱剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、スリップ剤、結晶核剤、粘着性付与剤、シール性改良剤、防曇剤、離型剤、可塑剤、顔料、染料、香料、難燃剤、補強材などを添加することができる。
<<熱可塑性樹脂>>
熱可塑性樹脂は、脂肪族ポリアミド、脂環族ポリアミド、芳香族ポリアミドなどを少なくとも1種類含むポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなど又はこれらのマレイン酸などの変性物などのポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ASB樹脂などを挙げることができる。
熱可塑性樹脂は、成形温度が好ましくは300℃以下、さらに好ましくは290℃以下、特に好ましくは280℃以下のものが好ましい。
熱可塑性樹脂は、ポリアミドを主体とすることが好ましい。ポリアミド単独でもよく、また、ポリアミドを除く他の熱可塑性樹脂、エラストマー、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、ABS樹脂、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレンなどのポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂を含むことも好ましい。
ポリアミドは、主鎖中に酸アミド結合(−CONH−)を有するものであり、脂肪族、脂環族及び/又は芳香族から選ばれる少なくとも1種類を含むもの、または少なくとも2種類を含む共重合体を含むものを用いることが出来る。特に、脂肪族及び脂環族から選ばれる少なくとも1種類の成分から得られる重合体、または少なくとも2種類の成分から得られる重合体などの脂肪族或いは脂環族のポリアミドが好ましい。特に、脂肪族ポリアミドが好ましい。
ポリアミドは、ラクタム、アミノカルボン酸、またはジアミンとジカルボン酸との組合せから誘導される。
ポリアミドの原料となるラクタムとしては、ε−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−ラウロラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドンなどを、アミノカルボン酸としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンドデカン酸、12−アミノドデカン酸などを挙げることができる。
ジアミンとジカルボン酸から誘導されるポリアミドの原料となるジアミンとしては、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ペンタデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、ヘプタデカンジアミン、オクタデカンジアミン、ノナデカンジアミン、エイコサンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、2,2,4/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、1,3/1,4−シクロヘキシルジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、1,3/1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、ノルボルナンジメチレンアミンなどの脂環式ジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン等を挙げることができる。
ジアミンとジカルボン酸から誘導されるポリアミドの原料となるジカルボン酸としては、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸、トリデカンジオン酸、テトラデカンジオン酸、ペンタデカンジオン酸、ヘキサデカンジオン酸、オクタデカンジオン酸、エイコサンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,3/1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキサンメタン−4,4’−ジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4/1,8/2,6/2,7−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸等を挙げることができる。
これらのポリアミドは、それぞれ単独で用いることもできるし、また、2種類以上を混合して用いることもできる。更に、2種類以上の組合せからなる共重合ポリアミドを用いることができる。
脂肪族ポリアミドとしては、例えば、ポリカプロアミド(ナイロン−6)、ポリアミノウンデカン酸(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン−12)、ポリヘキサメチレンジアミノアジピン酸(ナイロン−66)、ポリヘキサメチレンジアミノセバシン酸(ナイロン−610)、ポリヘキサメチレンジアミノドデカン二酸(ナイロン−612)の如き重合体、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸共重合体(ナイロン−6/11)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸共重合体(ナイロン−6/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/アミノドデカン二酸(ナイロン−6/66/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ラウリルラクタム(ナイロン−6/66/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノセバシン酸(ナイロン−6/66/610)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノドデカン二酸(ナイロン−6/66/612)などの(共)重合体などの脂肪族ポリアミドなどを挙げることが出来る。これらのポリアミド樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、また2種以上を混合して用いることもできる。
熱可塑性樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12及びナイロン612から選ばれる少なくとも1種類の脂肪族ポリアミドが好ましい。
<<可塑剤>>
可塑剤は、エステル類及びアルキルアミド類から選ばれた1種類以上の化合物である。本発明で言うエステル類とは、フタル酸エステル類、脂肪酸エステル類、多価アルコールエステル類、燐酸エステル類、トリメリット酸エステル類及びヒドロキシ安息香酸エステル類である。フタル酸エステル類の具体例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ジn−オクチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジイソノニル、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、フタル酸ジウンデシル及びテトラヒドロフタル酸ジ2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
脂肪酸エステル類の具体例としては、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジブチルジグリコール、アジピン酸ジ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジn−オクチル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジn−混合アルキルエステル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ2−エチルヘキシル、ジ2−エチルヘキシル混合酸エステル、ドデカ二酸ビス2−エチルヘキシルなどの二塩基性飽和カルボン酸エステル、フマル酸ジブチル、フマル酸ビス2−メチルプロピル、フマル酸ビス2−エチルヘキシル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ビス2−エチルヘキシルなどの二塩基性不飽和カルボン酸エステル、オレイン酸ブチル、オレイン酸イゾブチル、リシノール酸アセチルブチル、アセチルクエン酸トリブチル及び酢酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
多価アルコールエステル類の具体例としては、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ2−エチルブチラート、ペンタエリスリトールモノオレエート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールトリアルキルエステル、ベヘニン酸モノグリセライド、2−エチルヘキシルトリグリセライド、グリセリントリアセテート及びグリセリントリブチラートなどが挙げられる。
燐酸エステル類の具体例としては、燐酸トリメチル、燐酸トリエチル、燐酸トリブチル、燐酸トリ2−エチルヘキシル、燐酸トリブトキシエチル、燐酸トリフェニル、燐酸n−オクチルジフェニル、燐酸クレジルジフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸トリキシレニル及び燐酸2−エチルヘキシルジフェニルなどが挙げられる。
トリメリット酸エステル類の具体例としては、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリn−オクチル、トリメリット酸トリイソノニル、トリメリット酸トリイソデシル及びトリメリット酸トリ混合アルコールエステルなどが挙げられる。
ヒドロキシ安息香酸エステル類の具体例としては、o−又はp−ヒドロキシ安息香酸エチルヘキシル、o−又はp−ヒドロキシ安息香酸ヘキシルデシル、o−又はp−ヒドロキシ安息香酸エチルデシル、o−又はp−ヒドロキシ安息香酸オクチルオクチル、o−又はp−ヒドロキシ安息香酸デシルドデシル、o−又はp−ヒドロキシ安息香酸メチル、o−又はp−ヒドロキシ安息香酸ブチル、o−又はp−ヒドロキシ安息香酸ヘキシル、o−又はp−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、o−又はp−ヒドロキシ安息香酸デシル及びo−又はp−ヒドロキシ安息香酸ドデシルなどが挙げられる。
又、アルキルアミド類は、トルエンスルホン酸アルキルアミド類やベンゼンスルホン酸アルキルアミド類である。トルエンスルホン酸アルキルアミド類の具体例としては、N−エチル−o−トルエンスルホン酸ブチルアミド、N−エチル−p−トルエンスルホン酸ブチルアミド、N−エチル−o−トルエンスルホン酸2−エチルヘキシルアミド、N−エチル−p−トルエンスルホン酸2−エチルヘキシルアミドなどが挙げられる。ベンゼンスルホン酸アルキルアミド類の具体例としては、ベンゼンスルホン酸プロピルアミド、ベンゼンスルホン酸ブチルアミド、ベンゼンスルホン酸2−エチルヘキシルアミドなどが挙げられる。以上に挙げた可塑剤は単独で使用しても良く、2種類以上を適宜組合せて使用しても良い。
これらの可塑剤の中で、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジ2−エチルヘキシルなどのフタル酸エステル類、p−ヒドロキシ安息香酸エチルヘキシル、p−ヒドロキシ安息香酸ヘキシルデシルなどのヒドロキシ安息香酸エステル類、ベンゼンスルホン酸ブチルアミド、ベンゼンスルホン酸2−エチルヘキシルアミドなどのアルキルアミド類が好ましく使用される。
<<難燃剤>>
難燃剤としては、臭素系難燃剤とトリアジン系難燃剤などを用いることが出来る。臭素化難燃剤として、臭素化フェノキシ樹脂、臭素化ポリカーボネート、臭素化ポリスチレン、ポリ臭素化スチレン、臭素化ポリフェニレンエーテルなどを用いることが出来る。
トリアジン系難燃剤としては、シアヌル酸、イソシアヌル酸、メラミン、シアヌル酸メラミン等を用いることが出来る。
難燃剤の添加量は、ポリアミド系エラストマー100質量部に対し、5〜40質量部、好ましくは10〜30質量部である。
難燃助剤として、アンチモンを含む化合物を用いることが出来る。アンチモンを含む化合物として、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、四酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダなどが挙げられる。
アンチモンを含む化合物の添加量は、ポリアミド系エラストマー100質量部に対し(熱可塑性樹脂を含むときは、熱可塑性樹脂を加えた樹脂成分100質量部に対し)、0.1〜12質量部、好ましくは1〜10質量部である。これらを臭素系難燃剤と併用することにより、難燃性が向上する。
<<磁性粉末>>
本発明で用いられる磁性粉末は、公知の粉末磁性材料を用いることが出来、例えばバリウムフェライト、ストロンチウムフェライトなどのフェライト系磁性材料、サマリウム−コバルト系、ネオジウム−鉄−ボロン系などの希土類磁性材料など粉末を用いることが出来る。
本発明で用いられる磁性粉末は、樹脂成分との混和性を改良するため、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等で表面処理して用いることができる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
特性値は次のようにして測定した。
1)相対粘度(ηr)(0.5質量/容量%メタクレゾール溶液、25℃):
試薬特級品のm−クレゾールを溶媒として、5g/dmの濃度で、オストワルド粘度計を用いて25℃で測定した。
2)曲げ試験(曲げ弾性率):
試験片寸法6.35mm×12.7mm×127mmの試験片を用いてASTM D790に準拠して測定した。
3)衝撃強度(アイゾットノッチ付):
試験片寸法3.18mm×12.7mm×127mmの試験片を用いてASTM D256に準拠し、23℃で測定した。
4)メルトフローレート:
ペレットを使用し、温度235℃、荷重2160gの条件で測定した。
5)耐加水分解性(1):
射出成形により成形した100mm×300×厚さ2mmの板からJIS3号ダンベルを用いて切り出した試料を重ならないように、容量5リットルのステンレス容器に入れ、約2リットルの蒸留水を入れてふたをして密閉状態にした後80℃の湯浴中に入れた。2000時間処理後に試験片を取り出し表面の水分を除去した後、引張試験機を用い、チャック間距離50mmで挟み、500mm/minの速度で引張試験を行い、引張破断伸びを測定した。加水分解処理していない試験片の測定を行い、下記数式(1)より引張破断伸びの保持率を計算した。
Figure 2008123450
6)引張物性:
ASTM1号片を用い、ASTM D638に準拠し、23℃で測定を行った。
7)燃焼性の評価:
0.8mm×12.7mm×127mmの試験片を用いて、UL−94に準拠して測定した。
また、磁性粉末を含有する樹脂組成物、樹脂磁石成型品について(第5および第6の態様の実施例・比較例)、物性値を次のように測定した。
8)樹脂磁石組成物の質量変化率の測定
樹脂磁石ペレットを圧縮成形機にて厚さ1mmのシートを作成し、このシートから25mm×150mmのサイズに切り出し試験片とした。試験片を120℃の熱風循環式恒温槽に14日間保持し、その後試験片を室温に戻して、質量減少を測定した。
9)樹脂磁石組成物の寸法変化率の測定
樹脂磁石ペレットを圧縮成形機にて厚さ1mmのシートを作成し、このシートから25mm×150mmのサイズに切り出し試験片とした。試験片を120℃の熱風循環式恒温槽に14日間保持し、その後試験片を室温に戻して、長さ方向の寸法変化を測定した。
10)樹脂磁石組成物の表面のべたつき
樹脂磁石ペレットを圧縮成形機にて厚さ1mmのシートを作成し、このシートから25mm×150mmのサイズに切り出し試験片とした。試験片を120℃の熱風循環式恒温槽に14日間保持し、試験片の表面を指で触り、判定した。
11)樹脂磁石成形品の温度変化による亀裂の発生の評価
図1に示したように直径30mm、厚さ30mmの円柱形状の金属部品をインサートして、全体の直径が40mm樹脂磁石を成形し、樹脂磁石と金属部品を組み合わせた試験片を作成し、−20〜100℃の範囲で1000サイクルのヒートサイクル処理をした後に、樹脂磁石部分の亀裂の発生の有無を確認した。
12)樹脂磁石成形品の耐加水分解性評価
図1に示したように直径30mm、厚さ30mmの円柱形状の金属部品をインサートして、全体の直径が40mm樹脂磁石を成形し、樹脂磁石と金属部品を組み合わせた試験片を作成し、80℃の温水中に浸漬し、2000時間処理後に試験片を取り出し、亀裂の発生を確認した。
[製造例1:PAE1の製造]
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を備えた70リットルの圧力容器に宇部興産(株)製12−アミノドデカン酸10.354kg、アジピン酸1.581kg、XYX型のトリブロックポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製XTJ−542(式(1)において、xがおよそ3、yがおよそ9、zがおよそ2)、アミン価:1.94meq/g)7.452kg、イソホロンジアミン(Degussa社製 商品名:VESTAMIN IPD)0.612kg、次亜リン酸ナトリウム1水和物6g及び耐熱剤(吉富製薬製トミノックス917)60gを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを186リットル/時間で供給しながら、容器内の圧力を0.05MPaに調整しながら3.5時間かけて室温から230℃まで昇温し、さらに容器内の圧力を0.05MPaに調整しながら230℃で4時間重合を行い、重合体を得た。重合終了後、攪拌を停止し、ポリマー取り出し口から溶融状態の無色透明の重合体を紐状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約15kgのペレットを得た。得られたペレットは無色半透明強靭でゴム弾性に富む重合体であり、ηr=1.96であった。
[製造例2:PAE2の製造]
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を備えた70リットルの圧力容器に宇部興産(株)製12−アミノドデカン酸7.557kg、アジピン酸1.691kg、XYX型のトリブロックポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製XTJ−542(式(1)において、xがおよそ3、yがおよそ9、zがおよそ2)、アミン価:1.94meq/g)10.517kg、イソホロンジアミン(Degussa社製 商品名:VESTAMIN IPD)0.234kg、次亜リン酸ナトリウム1水和物6g及び耐熱剤(吉富製薬製トミノックス917)60gを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを186リットル/時間で供給しながら、容器内の圧力を0.05MPaに調整しながら3.5時間かけて室温から230℃まで昇温し、さらに容器内の圧力を0.05MPaに調整しながら230℃で4時間重合を行い、重合体を得た。重合終了後、攪拌を停止し、ポリマー取り出し口から溶融状態の無色透明の重合体を紐状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約15kgのペレットを得た。得られたペレットは無色半透明強靭でゴム弾性に富む重合体であり、ηr=1.96であった。
[製造例3:PAE3の製造]
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を備えた70リットルの圧力容器に宇部興産(株)製12−アミノドデカン酸10.370kg、アジピン酸1.585kg、XYX型のトリブロックポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製XTJ−542(式(1)において、xがおよそ3、yがおよそ9、zがおよそ2)、アミン価:1.94meq/g)7.476kg、2,2,4−トリメチル−1,6−ジアミノヘキサンと2,4,4−トリメチル−1,6−ジアミノヘキサンとの混合物(Degussa社製、商品名:VESTAMIN TMD)0.569kg、次亜リン酸ナトリウム1水和物6g及び耐熱剤(吉富製薬製トミノックス917)60gを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを186リットル/時間で供給しながら、容器内の圧力を0.05MPaに調整しながら3.5時間かけて室温から230℃まで昇温し、さらに容器内の圧力を0.05MPaに調整しながら230℃で4時間重合を行い、重合体を得た。重合終了後、攪拌を停止し、ポリマー取り出し口から溶融状態の無色透明の重合体を紐状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約15kgのペレットを得た。得られたペレットは無色半透明強靭でゴム弾性に富む重合体であり、ηr=1.98であった。
[製造例4:PAE4の製造]
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を備えた70リットルの圧力容器に宇部興産(株)製12−アミノドデカン酸10.426kg、アジピン酸1.582kg、XYX型のトリブロックポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製XTJ−542(式(1)において、xがおよそ3、yがおよそ9、zがおよそ2)、アミン価:1.94meq/g)7.436kg、ノルボルナンジアミン(三井化学製 商品名:NBDA)0.556kg、次亜リン酸ナトリウム1水和物6g及び耐熱剤(吉富製薬製トミノックス917)60gを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを186リットル/時間で供給しながら、容器内の圧力を0.05MPaに調整しながら3.5時間かけて室温から230℃まで昇温し、さらに容器内の圧力を0.05MPaに調整しながら230℃で4.5時間重合を行い、重合体を得た。重合終了後、攪拌を停止し、ポリマー取り出し口から溶融状態の無色透明の重合体を紐状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約15kgのペレットを得た。得られたペレットは無色半透明強靭でゴム弾性に富む重合体であり、ηr=2.02であった。
[製造例5:PAE5の製造]
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を備えた70リットルの圧力容器に宇部興産(株)製12−アミノドデカン酸7.985kg、アジピン酸1.115kg、XYX型のトリブロックポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製XTJ−559(式(1)において、xがおよそ3、yがおよそ14、zがおよそ2)、アミン価:1.40meq/g)10.900kg、次亜リン酸ナトリウム1水和物6g及び耐熱剤(吉富製薬製トミノックス917)60gを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを186リットル/時間で供給しながら、容器内の圧力を0.05MPaに調整しながら3.5時間かけて室温から230℃まで昇温し、さらに容器内の圧力を0.05MPaに調整しながら230℃で4時間重合を行い、重合体を得た。重合終了後、攪拌を停止し、ポリマー取り出し口から溶融状態の無色透明の重合体を紐状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約15kgのペレットを得た。得られたペレットは無色半透明強靭でゴム弾性に富む重合体であり、ηr=1.98であった。
[製造例6:PAE6の製造]
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を備えた70リットルの圧力容器に12−アミノドデカン酸(宇部興産(株)製)12.897kg及びアジピン酸0.906kg(試薬特級)を仕込んだ。容器を十分窒素置換した後、窒素ガスを流速300リットル/時で供給しながら徐々に加熱した。攪拌は速度20rpmで行った。3時間かけて室温から240℃まで昇温し、230℃で4時間重合を行い、ナイロン12のオリゴマーを合成した。
このオリゴマーにポリテトラメチレングリコール(BASF社製、PolyTHF1000)6.197kg、テトラブチルジルコネート0.020kg及び酸化防止剤(吉富製薬製、商品名:トミノックス917)0.050kgを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを流速300リットル/時で供給しながら徐々に加熱を行った。攪拌は速度20rpmで行った。3時間かけて室温から210℃まで昇温し、210℃で3時間加熱し、次に徐々に減圧を行い、1時間かけて50Paとし、2時間重合を行った後、さらに30分かけて昇温、減圧を行い、230℃、約30Paで3時間重合を行い終了した。次に、攪拌を停止し、重合層内に窒素ガスを供給し圧力を常圧に戻した。次にポリマー取り出し口から溶融状態の無色透明のポリマーを紐状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約13kgのペレットを得た。
得られたポリマーはポリエーテルエステルアミドであり、ペレットは白色強靭でゴム弾性に富む柔軟なポリマーであり、ηr=1.99であった。
[製造例7:PAE7の製造]
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を備えた70リットルの圧力容器に12−アミノドデカン酸(宇部興産(株)製)9.456kg及びアジピン酸0.792kg(試薬特級)を仕込んだ。容器を十分窒素置換した後、窒素ガスを流速300リットル/時で供給しながら徐々に加熱した。攪拌は速度20rpmで行った。3時間かけて室温から240℃まで昇温し、230℃で4時間重合を行い、ナイロン12のオリゴマーを合成した。
このオリゴマーにポリテトラメチレングリコール(BASF社製、PolyTHF1800)9.752kg、テトラブチルジルコネート0.020kg及び酸化防止剤(吉富製薬製、商品名:トミノックス917)0.050kgを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを流速300リットル/時で供給しながら徐々に加熱を行った。攪拌は速度20rpmで行った。3時間かけて室温から210℃まで昇温し、210℃で3時間加熱し、次に徐々に減圧を行い、1時間かけて50Paとし、2時間重合を行った後、さらに30分かけて昇温、減圧を行い、230℃、約30Paで3時間重合を行い終了した。次に、攪拌を停止し、重合層内に窒素ガスを供給し圧力を常圧に戻した。次にポリマー取り出し口から溶融状態の無色透明のポリマーを紐状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約13kgのペレットを得た。
得られたポリマーは、ポリエーテルエステルアミドであり、ペレットは白色強靭でゴム弾性に富む柔軟なポリマーであり、ηr=2.04であった。
〔第1の態様の実施例〕
[実施例A1〜A7、比較例A1〜A3]
表1に示した割合の混合物を、シリンダー径40mmの二軸混練機を用い、240℃で溶融混練して、ストランド状に押出、水槽で冷却した後ペレタイザーを用いペレットを作製した。ナイロン12は宇部興産(株)製ナイロン12 3020Uを用いた。なお、実施例A4については、Plabor製チューブ成形機にて、チューブ状に形成した。引き続き、寸法制御するサイジングダイにより冷却し、引き取りを行い、内径6mm、外径8mmのチューブを得た。
Figure 2008123450
〔第2の態様の実施例〕
[実施例B1〜B6、比較例B1〜B3]
表2に示した割合の混合物を、シリンダー径40mmの二軸混練機を用い、240℃で溶融混練して、ストランド状に押出、水槽で冷却した後ペレタイザーを用いペレットを作製する。得られるペレットを、射出成形により曲げ試験および衝撃試験用の試験片を作製する。試験片の評価結果を表1に示す。
ナイロン12は宇部興産(株)製ナイロン12 3020Uを用いる。
なお、実施例B4については、Plabor製チューブ成形機にて、チューブ状に成形する。引き続き、寸法制御するサイジングダイにより冷却し、引き取りを行い、内径6mm、外径8mmのチューブを製造する。
Figure 2008123450
〔第3の態様の実施例〕
[実施例C1〜C7、比較例C1〜C3]
表3に示した割合の混合物を、シリンダー径40mmの二軸混練機を用い、240℃で溶融混練して、ストランド状に押出、水槽で冷却した後ペレタイザーを用いペレットを作製した。
Figure 2008123450
〔第4の態様の実施例〕
[実施例D1〜D7、比較例D1〜D3]
表4に示した割合の混合物を、シリンダー径40mmの二軸混練機を用い、240℃で溶融混練して、ストランド状に押出、水槽で冷却した後ペレタイザーを用いペレットを作製した。
Figure 2008123450
〔第5の態様の実施例〕
[実施例E1〜E8、比較例E1〜E4]
表5に示すナイロン12(宇部興産製3014U)及びポリアミド系熱可塑性エラストマーの組成のバインダー樹脂成分10質量%と、アミノシランカップリング剤により処理されたフェライト粉末90質量%とをミキサーにより混合した後、混練機を使用して溶融混練し、ペレットを得た。
得られたペレットの評価結果を表5に示す。また得られたペレットを成形し、得られた成形物は、磁石として使用できた。
Figure 2008123450
〔第6の態様の実施例〕
[実施例F1〜F9、参考例F1、比較例F1〜F3]
表6に示す組成のナイロン12(宇部興産製3014U)及びポリアミド系熱可塑性エラストマーと、可塑剤とからなるバインダー樹脂成分10質量%と、アミノシランカップリング剤により処理されたフェライト粉末90質量%とをミキサーにより混合した後、混練機を使用して溶融混練し、樹脂磁石のペレットを得た。
得られたペレットの評価結果を表6に示す。また得られたペレットを成形し、得られた成形物は、磁石として使用できた。
Figure 2008123450
本発明の第1の態様によれば、ベースの熱可塑性樹脂の溶融粘度に影響を与えることなく成形性を変化させることなく、柔軟性や耐衝撃性を改良することができ、かつ耐加水分解性に優れた樹脂組成物を提供することができる。また、この樹脂組成物は、強靭性、溶融成形性、低温柔軟性、耐衝撃性に優れ、かつ耐加水分解性に優れる。
本発明の第2の態様によれば、強靭性、溶融成形性、低温柔軟性、耐衝撃性に優れ、かつ耐加水分解性に優れた可塑剤を含む樹脂組成物を提供することができる。
本発明の第3の態様によれば、高温高湿下の過酷な環境下においても加水分解による樹脂の劣化がなく、エラストマーとしての優れた性能を維持することのできる難燃性の樹脂組成物を提供することができる。
本発明の第4の態様によれば、高温高湿下の過酷な環境下においても加水分解による樹脂の劣化がなく、樹脂としての優れた性能を維持することのできる難燃性の樹脂組成物を提供することができる。
本発明の第5の態様によれば、樹脂磁石の磁気特性を上げるために、磁性粉末の含量を高めても成形品に割れを生じにくく、柔軟で、過酷な環境下、特に高温高湿下で加水分解によるバインダー樹脂の劣化がなく、高温高湿下においても亀裂の発生しない樹脂磁石部品を提供することができる。
本発明の第6の態様によれば、本発明の樹脂組成物を使用することにより、高温環境でも寸法変化が少なく、金属部品をインサートした樹脂磁石部品においても冬季の屋外における低温環境と、夏季の屋外及び/又は組み込まれている機器内での発熱による高温環境といった実使用環境下での温度変化の繰り返しによっても寸法変化や亀裂の発生しない優れた樹脂磁石部品を提供することができる。また、高温高湿下においても加水分解によるバインダー樹脂の劣化がなく、高温高湿下においても亀裂の発生しない樹脂磁石部品を提供することができる。

Claims (17)

  1. 必須成分として、
    (A):下記式(1)で表されるトリブロックポリエーテルジアミン化合物(A1)と、炭素数6〜22の分岐型飽和ジアミン、炭素数6〜16の分岐脂環式ジアミンおよびノルボルナンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種類のジアミン化合物(A2)とを含むジアミン化合物(A)と、
    (B):ポリアミド形成性モノマー(B)と、
    (C):ジカルボン酸化合物(C)と
    を含む成分を重合して得られるポリエーテルアミドエラストマー(X)を50質量%以上含むポリアミド系エラストマー;および
    共存成分として、
    (a)熱可塑性樹脂、および
    (b)難燃剤もしくは磁性粉末
    の少なくとも一方
    を含有することを特徴とする樹脂組成物。
    Figure 2008123450
    (ただし、xは1〜20の整数、yは4〜50の整数、およびzは1〜20の整数をそれぞれ表わす。)
  2. 前記熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 前記熱可塑性樹脂が、ポリアミドを含むことを特徴とする請求項2記載の樹脂組成物。
  4. 前記熱可塑性樹脂を95〜50質量%と、前記ポリアミド系エラストマーを5〜50質量%とを含むことを特徴とする請求項2または3記載の樹脂組成物。
  5. 前記ポリアミド系エラストマーおよび前記熱可塑性樹脂の合計量100質量部に対して、1〜30重量部の可塑剤をさらに含有することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 前記難燃剤を含有し、前記ポリアミド系エラストマー100質量部に対して、5〜40質量部の前記難燃剤を含有することを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
  7. 前記熱可塑性樹脂および難燃剤を含有し、前記ポリアミド系エラストマーと前記熱可塑性樹脂の合計量100質量部に対して、前記難燃剤の割合が、5〜40質量部であることを特徴とする請求項6記載の樹脂組成物。
  8. 前記熱可塑性樹脂が、ポリアミドであることを特徴とする請求項7記載の樹脂組成物。
  9. 前記ポリアミド系エラストマーと前記熱可塑性樹脂の合計量100質量%に、前記熱可塑性樹脂を95〜50質量%、前記ポリアミド系エラストマーを5〜50質量%含むこと特徴とする請求項7または8記載の樹脂組成物。
  10. 少なくとも磁性粉末を含有し、
    前記ポリエーテルアミドエラストマー(X)は、バインダー樹脂の少なくとも一部として存在し、
    前記磁性粉末と前記バインダー樹脂の合計を100質量%として、それぞれ80〜95質量%および20〜5質量%の割合で含有することを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
  11. さらに可塑剤を、前記バインダー樹脂100質量%の中で、5〜20質量%の割合で含有していることを特徴とする請求項10記載の樹脂組成物。
  12. 前記バインダー樹脂が、さらにポリアミドを含有することを特徴とする請求項10または11記載の樹脂組成物。
  13. 前記ジカルボン酸化合物(C)が、下記式(2)で表されることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の樹脂組成物。
    Figure 2008123450
    (ただし、Rは炭化水素鎖を含む連結基を表し、mは0又は1を表す。)
  14. 前記ポリアミド形成性モノマー(B)が、下記式(3)で表されるアミノカルボン酸化合物(B1)と、下記式(4)で表されるラクタム化合物(B2)との少なくともいずれか一方を含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の樹脂組成物。
    Figure 2008123450
    (ただし、Rは炭化水素鎖を含む連結基を表わす。)
    Figure 2008123450
    (ただし、Rは炭化水素鎖を含む連結基を表わす。)
  15. 前記ジカルボン酸化合物(C)が、脂肪族ジカルボン酸化合物および脂環族ジカルボン酸化合物の少なくともいずれか一方を含む請求項1〜14のいずれかに記載の樹脂組成物。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載の樹脂組成物を含む成形物。
  17. 請求項10〜12のいずれかに記載の樹脂組成物と、金属部品とを組み合わせた構造を含む樹脂磁石部品。
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