JP2016204490A - 組成物及びそれからなる成形品 - Google Patents

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JP2016204490A
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前田 修一
Shuichi Maeda
修一 前田
知之 中川
Tomoyuki Nakagawa
知之 中川
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Abstract

【課題】弾性、耐衝撃性、耐加水分解性が同時に優れる組成物の提供。
【解決手段】ポリアミドエラストマー(X)とそれ以外の成分(Y)を含み、(X)が、ポリアミド単位(A)とポリエーテルジアミン単位(B)を含み、(A)が式(1)及び式(2)、(B)が式(3)を含む、組成物。
Figure 2016204490

Figure 2016204490

(R1はC1〜20の炭化水素又はC1〜20のアルキレン基)
Figure 2016204490

(x及びzは1〜20;yは4〜50)
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミドエラストマーに充填剤を含む組成物及びそれからなる成形品に関する。
ポリアミドエラストマーは、一般的に、脂肪族ポリアミドをハードセグメント、脂肪族ポリエーテルをソフトセグメントに用いられており、柔軟性、伸長回復性等に優れ、自動車部品、電子機器周辺部品、電池材料、パッキン、シール材、靴のソールを始めに、各種用途に用いられている。その優れた特性を生かし、それ以外の特性を付与する為に、もしくは、別の熱可塑性樹脂に、ポリアミドエラストマーの優れた特性を付与する為に、ポリアミドエラストマーにポリアミドエラストマー以外の成分を加える。例えば、特許文献1〜4が挙げられる。
特開2004−161964号公報 特開2004−352789号公報 特開2004−352790号公報 特開2004−352794号公報
しかしながら、これまでのポリアミドエラストマーとそれ以外の成分を加えた組成物では、弾性、柔軟性、耐加水分解性が同時に優れる事はなかった。
したがって、本願の課題は、弾性、耐衝撃性、耐加水分解性が同時に優れる組成物の提供である。
本発明者らは、特定のポリアミドエラストマー(X)とそれ以外の成分(Y)を含む組成物が上記課題を解決することを見出した。
則ち、ポリアミドエラストマー(X)とそれ以外の成分(Y)を含む組成物であって、
ポリアミドエラストマー(X)は、ポリアミド単位(A)とポリエーテルジアミン単位(B)を含み、
ポリアミド単位(A)は、一般式(1)で表わされる単位及び一般式(2)で表わされる単位を含み、
ポリエーテルジアミン単位(B)は、一般式(3)で表わされる単位を含む組成物である。
Figure 2016204490
Figure 2016204490
(ここで、R1は炭素数1〜20の炭化水素の分子鎖又は炭素原子1〜20を有するアルキレン基を示す。)
Figure 2016204490
(ここで、x及びzは1〜20であり、yは4〜50を示す。)
本発明の組成物は、弾性、耐衝撃性、耐加水分解性が同時に優れる。
本発明の組成物は、
ポリアミドエラストマー(X)とそれ以外の成分(Y)を含む組成物であって、
ポリアミドエラストマー(X)は、ポリアミド単位(A)とポリエーテルジアミン単位(B)を含み、
ポリアミド単位(A)は、一般式(1)で表わされる単位及び一般式(2)で表わされる単位を含み、
ポリエーテルジアミン単位(B)は、一般式(3)で表わされる単位を含む組成物である。
[ポリアミドエラストマー(X)]
本発明に用いるポリアミドエラストマー(X)は、ポリアミド単位(A)とポリエーテルジアミン単位(B)を含み、
ポリアミド単位(A)は、一般式(1)で表わされる単位及び一般式(2)で表わされる単位を含み、
ポリエーテルジアミン単位(B)は、一般式(3)で表わされる単位を含む。
ポリアミドエラストマー(X)を十分に高分子量にさせる観点から、使用する化合物(原料)の酸末端基数とアミノ末端基数が、化合物全体として、同じになるようにすることが好ましい。すなわち、ポリアミド単位(A)を提供する化合物とポリエーテルジアミン単位(B)を提供する化合物のアミノ末端基の合計モル数が、ポリアミド単位(A)を提供する化合物の酸末端基のモル数と同じになるようにすることが好ましい。
ポリアミドエラストマー(X)は、エラストマー特性の発現と成形性の観点から、1.0g/dlトリフルオロ酢酸溶液を用い、25℃で測定した相対粘度(ηr)が、好ましくは1.0〜4.0、より好ましくは1.2〜3.0である。
ポリアミドエラストマー(X)は、耐熱性の観点から、融点(Tm)が好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上である。
ポリアミドエラストマー(X)は、エラストマー特性の発現の観点から、弾性率が好ましくは900MPa以下、より好ましくは800MPa以下のものである。
ポリアミドエラストマー(X)は、エラストマー特性の発現の観点から、20%伸長条件で測定した伸長回復率が、好ましくは45%以上、さらに好ましくは55%以上のものである。
ポリアミドエラストマー(X)の製造方法としては、知られている任意の方法を用いて製造することができるが、高分子量化および生産性の観点から、好ましくは一般式(1)、(2)、(3)であらわされる単位を提供する化合物をバッチ式又は連続式で重縮合反応させることにより得ることができる。
具体的には、前重縮合工程と後重縮合工程からなる(i)二段重合法もしくは、(ii)一段重合法もしくは、(iii)プレポリマー法によって得ることができる。
(i−1)二段重合法:前重縮合工程
まず反応器内を窒素置換した後、一般式(1)、(2)、(3)であらわされる単位を提供する化合物を混合する。混合する場合に上記3成分が共に可溶な溶媒を用いても良い。3成分が共に可溶な溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、トリクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、フェノール、クレゾール等のフェノール系溶媒、2,2,2−トリフルオロエタノール等のハロゲン化アルコール系溶媒を挙げることができ、好ましい溶媒としては、トルエンを挙げることができる。このように仕込んだ反応器内を攪拌及び/又は窒素バブリングしながら、常圧下で昇温する。反応温度は、最終到達温度が80〜150℃、好ましくは100〜140℃の範囲になるように制御するのが好ましい。最終到達温度での反応時間は3時間〜6時間である。
(i―2)二段重合法:後重縮合工程
さらに高分子量化を図るために、前重縮合工程で生成した重合物を常圧下において反応器内で徐々に昇温する。昇温過程において前重縮合工程の最終到達温度、すなわち好ましくは80〜150℃から、最終的に、好ましくは220℃以上280℃以下、より好ましくは230℃以上270℃以下の温度範囲にまで到達させ、昇温時間を含めて好ましくは1〜8時間、より好ましくは2〜6時間保持して反応を行うことが好ましい。さらに後重合工程において、必要に応じて減圧下での重合を行うこともできる。減圧重合を行う場合の好ましい最終到達圧力は0.1MPaG未満〜13.3PaGである。
(ii)一段重合法
まず一般式(2)、(3)であらわされる単位を提供する化合物を反応容器内に入れ窒素置換した後、常圧もしくは加圧条件において一次反応温度まで昇温する。一次反応温度は、一般式(1)であらわされる単位を提供する化合物の熱分解を阻止する観点から、好ましくは100℃から200℃、さらに好ましくは120℃から180℃である。その後、一次反応温度において、常圧もしくは加圧条件下、一般式(1)であらわされる単位を提供する化合物を反応容器内に注入し、重縮合反応を開始させる。
重縮合反応を開始させた後、常圧もしくは加圧条件を保ちながら二次反応温度に昇温する。二次反応温度は、生成物を均一に溶融混練させる観点から、好ましくは160℃以上270℃以下、より好ましくは180℃以上260℃以下である。二次反応温度に到達するまでの反応容器内の圧力は、0.1〜1MPaGに調整する。二次反応温度到達後は放圧し、三次反応温度まで昇温する。三次反応温度は、一般式(3)であらわされる単位を提供する化合物の熱分解を阻止する観点から、好ましくは200℃以上280℃以下、より好ましくは220℃以上270℃以下である。三次反応温度到達後は、必要に応じて常圧窒素気流下もしくは減圧下において0.5〜30時間継続して重縮合反応を行う。減圧重合を行う場合の好ましい最終到達圧力は0.1MPaG〜13.3PaGである。
(iii)プレポリマー法
上記(i−1)二段重合法:前重縮合工程もしくは(ii)一段重合法の手順により、一般式(1)、(2)であらわされる単位を提供する化合物を反応させプレポリマーを得る。次に、上記(i−1)二段重合法:後重縮合工程もしくは(ii−1)一段重合法の手順により製造されたプレポリマーと一般式(3)であらわされる単位を提供する化合物を反応させる。
ポリアミドエラストマー(X)の製造に当たり、原料(化合物)を仕込む方法に特に制限はないが、ポリアミド成分の結晶性を低下させない観点とエラストマーとしての機能、性能が発現する観点から、原料の仕込み比から計算されるポリアミド単位(A)は、ポリアミドエラストマー全量に対し、好ましくは10〜95重量%、より好ましく30〜80重量%であり、原料の仕込み比から計算されるポリエーテルジアミン単位(B)は、ポリアミドエラストマー全量に対し、好ましくは2〜87重量%、より好ましくは7〜78重量%である。また、ポリアミド単位(A)とポリエーテルジアミン単位(B)を提供する化合物全量のアミノ末端基の合計モル数が、ポリアミド単位(A)を提供する化合物の酸末端基の合計モル数と同じにすることが望ましい。
ポリアミドエラストマー(X)の製造は、回分式でも、連続式でも実施することができ、またバッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置などを単独であるいは適宜組み合わせて用いることができる。
ポリアミドエラストマー(X)の製造において、必要に応じて分子量調節や成形加工時の溶融粘度安定のために、ラウリルアミン、ステアリルアミン、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミンなどのモノアミン、或いはジアミン、酢酸、安息香酸、ステアリン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などのモノカルボン酸、或いはジカルボン酸などを添加することができる。これらの使用量は、最終的に得られるエラストマーの相対粘度(ηr)が1.0〜4.0(1.0g/dlトリフルオロ酢酸溶液、25℃)の範囲になるように適宜添加することが好ましい。
ポリアミドエラストマー(X)の製造において、上記モノアミン及びジアミン、モノカルボン酸及びジカルボン酸などの添加量は、得られるポリアミドエラストマーの特性が阻害されない範囲とするのが好ましい。
ポリアミドエラストマー(X)の製造において、必要に応じて触媒として、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸などを、また触媒と耐熱剤の両方の効果をねらって亜リン酸、次亜リン酸、及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などの無機系リン化合物を添加することができる。添加量は、通常、仕込み量に対して50〜3000ppmである。
ポリアミドエラストマー(X)は、その特性が阻害されない範囲で、耐熱剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、スリップ剤、結晶核剤、粘着性付与剤、シール性改良剤、防曇剤、離型剤、顔料、染料、香料、などを添加することができる。
ポリアミド単位(A)は、一般式(1)で表わされる単位及び一般式(2)で表わされる単位を含む。
ポリアミドエラストマー(X)の全量中のポリアミド単位(A)の割合は、強度、弾性率などの機械的物性に影響を与えるポリアミド成分の結晶性を低下させない観点とゴム弾性や柔軟性などのエラストマーとしての機能、性能が発現する観点から、好ましくは10〜95重量%、より好ましくは20〜95重量%、さらに好ましくは25〜85重量%、特に好ましくは30〜80重量%である。
一般式(1)で表わされる単位を提供する化合物としては、蓚酸若しくはその塩、蓚酸モノエステル若しくはその塩、又は蓚酸ジエステル等を挙げることができる。(これらの化合物を以下、蓚酸化合物と称する場合がある。)
蓚酸化合物は、ポリアミドエラストマー(X)の原料にでき、重縮合反応における副反応を抑制する観点から、蓚酸ジエステルを用いるのが好ましい。
蓚酸ジエステルとしては、炭素数が1から6であるアルコキシ基を有する蓚酸ジエステル、炭素数が2から6であるシクロアルコキシ基を有する蓚酸ジエステル及び/又は蓚酸ジアリールエステルが好ましい。
炭素数が1から6であるアルコキシ基を有する蓚酸ジエステルとしては、蓚酸ジメチル、蓚酸ジエチル、蓚酸ジ(n若しくはiso)プロピル、蓚酸ジ(n、iso、sec若しくはtert)ブチル、蓚酸ジヘキシル等が挙げられる。
炭素数が2から6であるシクロアルコキシ基を有する蓚酸ジエステルとしては、蓚酸ジシクロヘキシルが挙げられる。
蓚酸ジアリールエステルとしては、蓚酸ジフェニル等が挙げられる。
これらの中でも、蓚酸ジブチル及び/又は蓚酸ジフェニルが好ましく、蓚酸ジブチルがより好ましい。
ポリアミド単位(A)全量中に、一般式(1)で表わされる単位が含まれる割合は、耐熱性の観点から、好ましくは18〜50重量%、より好ましくは20〜45重量%、さらに好ましくは22〜40重量%である。
ポリアミド単位(A)に含まれる一般式(2)で表わされる単位を提供する化合物としては、蓚酸化合物とアミド結合を形成しうる化合物であればよく、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン等をあげることができる。
脂肪族ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,9−ノナンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,13−トリデカンジアミン、1,14−テトラデカンジアミン、1,15−ペンタデカンジアミン、1,16−ヘキサデカンジアミン、1,18−オクタデカンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等が挙げられる。
脂環式ジアミンとしては、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル等が挙げられる。
これらジアミンは、一種または二種以上を用いることができる。
これらのジアミンの中でも、本発明のポリアミドエラストマーの分解温度以下で重合できる1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,9−ノナンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン及び1,12−ドデカンジアミンよりなる群から選ばれる1種以上のジアミンが好ましく、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミンおよび1,12−ドデカンジアミンよりなる群から選ばれる1種以上のジアミンがより好ましく、1,12−ドデカンジアミンがさらに好ましい。
ポリアミド単位(A)全量中に、一般式(2)で表わされる単位が含まれる割合は、耐熱性の観点から、好ましくは50〜90重量%、より好ましくは55〜85重量%、さらに好ましくは60〜80重量%である。
ポリアミド単位(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、一般式(1)で表わされる単位及び一般式(2)で表わされる単位以外の単位を含んでもよい。そのような単位を提供する化合物としては、直鎖脂肪族ジカルボン酸、ダイマー酸、脂環式ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、スベリン酸等が挙げられる。
ダイマー酸は、トリグリセリドの分留により得られる不飽和脂肪酸を二量化した二量化脂肪族ジカルボン酸を指す。
水添ダイマー酸は、ダイマー酸の水素添加物を指す。
ダイマー酸及び水添ダイマー酸としては、「プリポール1004」、「プリポール1006」、「プリポール1009」、「プリポール1013」などを用いることができる。
脂環式ジカルボン酸としては、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジ安息香酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等挙げられる。これらの化合物の一種又は二種以上を加えて、重縮合反応時に添加することができる。さらに、上記の化合物以外にも、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸を溶融成形が可能な範囲内で、ポリアミド単位(A)に含まれる一般式(1)で表わされる単位及び一般式(2)で表わされる単位以外の単位を提供する化合物(原料)として、用いることもできる。
ポリエーテルジアミン単位(B)は、一般式(3)で表わされる単位を含む。
一般式(3)で表わされる単位を提供する化合物としては、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコールなどの両末端にプロピレンオキシドを付加することによりポリプロピレングリコールとした後、このポリプロピレングリコールの末端にアンモニアなどを反応させることによって製造されるポリエーテルジアミンなどを用いることができる。
一般式(3)で表わされる単位において、x及びzは1〜20であり、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜14、特に好ましくは1〜12であり、yは4〜50であり、好ましくは5〜45、より好ましくは6〜40、さらに好ましくは7〜35、特に好ましいのは8〜30である。
一般式(3)で表わされる単位において、x及びzが上記の範囲より小さい場合には、得られるエラストマーの特性のうち特に透明性が劣るために好ましくなく、yが上記範囲より小さい場合には、ゴム弾性が低くなるので好ましくない。また、xおよびzが上記範囲より大きい場合と、yが上記範囲より大きい場合、ポリアミド成分との相容性が低くなり強靭なエラストマーが得られにくいために好ましくない。
一般式(3)で表わされる単位を提供する化合物の市販品としては、米国HUNTSMAN社製XTJ−533(式(1)において、xがおよそ12、yがおよそ11、zがおよそ11)、XTJ−536(式(1)において、xがおよそ8.5、yがおよそ17、zがおよそ7.5)、XTJ−542(式(1)において、xがおよそ3、yがおよそ9、zがおよそ2)、そしてXTJ−559(式(3)において、xがおよそ3、yがおよそ14、zがおよそ2)などを用いることができる。
また、一般式(3)で表わされる単位を提供する化合物として、XYX型トリブロックポリエーテルジアミンが挙げられ、例えば、XYX−1(式(1)において、xがおよそ3、yがおよそ14、zがおよそ2)、XYX−2(式(1)において、xがおよそ5、yがおよそ14、zがおよそ2)、そしてXYX−3(式(1)において、xがおよそ3、yがおよそ19、zがおよそ2)なども用いることができる。
ポリアミドエラストマー(X)の全量中のポリエーテルジアミン単位(B)の割合は、屈曲疲労性などのエラストマーとしての特性とポリアミドに特徴的な優れた力学的な強度を発現する観点から、好ましくは2〜87重量%、特に好ましくは7〜78重量%である。
ポリエーテルジアミン単位(B)全量中に含まれる一般式(1)で表わされる単位の割合は、エラストマーとしての特性を発現する観点から、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは60〜100重量%、さらに好ましくは70〜100重量%である。
[それ以外の成分(Y)]
それ以外の成分(Y)は、組成物全量に対し、5〜95質量%含まれることが好ましい。
それ以外の成分(Y)は、本発明に用いるポリアミドエラストマー(X)でなく、耐熱剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、スリップ剤、結晶核剤、粘着性付与剤、シール性改良剤、防曇剤、離型剤、顔料、染料、香料でもない。
それ以外の成分(Y)は、難燃剤、ガラス繊維、タルク、炭素繊維、マイカ、カオリン、可塑剤及びポリアミドエラストマー(X)を除く熱可塑性樹脂からなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、難燃剤、可塑剤及びポリアミドエラストマー(X)を除く熱可塑性樹脂からなる群より選択される少なくとも一種がより好ましい。
ポリアミドエラストマー(X)を除く熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらをマレイン酸などで酸変性したポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ABS樹脂などを挙げることができる。
ポリアミドエラストマー(X)を除く熱可塑性樹脂の融点は、300℃以下が好ましく、290℃以下がさらに好ましく、280℃以下が特に好ましい。
ポリアミドとしては、主鎖中に酸アミド結合(−CONH−)を有するものであり、脂肪族及び脂環族から選ばれる少なくとも一種の成分から得られる重合体、或いは少なくとも二種の成分から得られる重合体などの脂肪族或いは脂環族のポリアミドが好ましく、脂肪族ポリアミドがより好ましい。
脂肪族ポリアミドとしては、例えば、ポリカプロアミド(ナイロン−6)、ポリアミノウンデカン酸(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン−12)、ポリヘキサメチレンジアミノアジピン酸(ナイロン−66)、ポリヘキサメチレンジアミノセバシン酸(ナイロン−610)、ポリヘキサメチレンジアミノドデカン二酸(ナイロン−612)の如き重合体、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸共重合体(ナイロン−6/11)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸共重合体(ナイロン−6/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/アミノドデカン二酸(ナイロン−6/66/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ラウリルラクタム(ナイロン−6/66/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノセバシン酸(ナイロン−6/66/610)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノドデカン二酸(ナイロン−6/66/612)などの(共)重合体などの脂肪族ポリアミドなどを挙げることが出来る。これらのポリアミド樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、また2種以上を混合して用いることもできる。その中でも、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12及びナイロン612からなる群より選ばれる少なくとも1種の脂肪族ポリアミドが好ましい。
ポリアミドは、ラクタム、アミノカルボン酸、またはジアミンとジカルボン酸との組合せにより製造する事ができる。
ラクタムとしては、3員環以上のラクタムとしては、ε−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−ラウロラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドンなどが挙げられる。
アミノカルボン酸としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−ア
ミノノナン酸、11−アミノウンドデカン酸、12−アミノドデカン酸などが挙げられる。
ジアミンとしては、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ペンタデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、ヘプタデカンジアミン、オクタデカンジアミン、ノナデカンジアミン、エイコサンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、2,2,4/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、1,3/1,4−シクロヘキシルジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、1,3/1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、ノルボルナンジメチレンアミンなどの脂環式ジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン等を挙げることができる。
ジカルボン酸としては、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸、トリデカンジオン酸、テトラデカンジオン酸、ペンタデカンジオン酸、ヘキサデカンジオン酸、オクタデカンジオン酸、エイコサンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,3/1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキサンメタン−4,4’−ジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4/1,8/2,6/2,7−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸等を挙げることができる。
ポリアミドエラストマー以外の熱可塑性樹脂は、ポリアミドを主体とすることが好ましく、ポリアミドを除く他の熱可塑性樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、ABS樹脂、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレンなどのポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
難燃剤としては、臭素系難燃剤とトリアジン系難燃剤などを用いることが出来る。
臭素化難燃剤として、臭素化フェノキシ樹脂、臭素化ポリカーボネート、臭素化ポリスチレン、ポリ臭素化スチレン、臭素化ポリフェニレンエーテルなどを用いることが出来る。
トリアジン系難燃剤としては、シアヌル酸、イソシアヌル酸、メラミン、シアヌル酸メラミン等を用いることが出来る。
難燃剤の添加量は、組成物全量に対し、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。
難燃助剤として、アンチモンを含む化合物を用いることが出来る。アンチモンを含む化
合物として、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、四酸化アンチモン、アンチ
モン酸ソーダなどが挙げられる。
アンチモンを含む化合物の添加量は、組成物全量に対し、0.1〜12質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。これらを臭素系難燃剤と併用することにより、難燃性が向上する。
可塑剤としては、エステル類及びアルキルアミド類から選ばれた1種類以上の化合物である。
エステル類としては、フタル酸エステル類、脂肪酸エステル類、多価アルコールエステル類、燐酸エステル類、トリメリット酸エステル類及びヒドロキシ安息香酸エステル類である。
フタル酸エステル類としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ジn−オクチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジイソノニル、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、フタル酸ジウンデシル及びテトラヒドロフタル酸ジ2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
脂肪酸エステル類としては、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジブチルジグリコール、アジピン酸ジ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジn−オクチル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジn−混合アルキルエステル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ2−エチルヘキシル、ジ2−エチルヘキシル混合酸エステル、ドデカ二酸ビス2−エチルヘキシルなどの二塩基性飽和カルボン酸エステル、フマル酸ジブチル、フマル酸ビス2−メチルプロピル、フマル酸ビス2−エチルヘキシル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ビス2−エチルヘキシルなどの二塩基性不飽和カルボン酸エステル、オレイン酸ブチル、オレイン酸イゾブチル、リシノール酸アセチルブチル、アセチルクエン酸トリブチル及び酢酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
多価アルコールエステル類としては、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ2−エチルブチラート、ペンタエリスリトールモノオレエート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールトリアルキルエステル、ベヘニン酸モノグリセライド、2−エチルヘキシルトリグリセライド、グリセリントリアセテート及びグリセリントリブチラートなどが挙げられる。
燐酸エステル類としては、燐酸トリメチル、燐酸トリエチル、燐酸トリブチル、燐酸トリ2−エチルヘキシル、燐酸トリブトキシエチル、燐酸トリフェニル、燐酸n−オクチルジフェニル、燐酸クレジルジフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸トリキシレニル及び燐酸2−エチルヘキシルジフェニルなどが挙げられる。
トリメリット酸エステル類としては、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリn−オクチル、トリメリット酸トリイソノニル、トリメリット酸トリイソデシル及びトリメリット酸トリ混合アルコールエステルなどが挙げられる。
ヒドロキシ安息香酸エステル類としては、o−又はp−ヒドロキシ安息香酸エチルヘキシル、o−又はp−ヒドロキシ安息香酸ヘキシルデシル、o−又はp−ヒドロキシ安息香酸エチルデシル、o−又はp−ヒドロキシ安息香酸オクチルオクチル、o−又はp−ヒドロキシ安息香酸デシルドデシル、o−又はp−ヒドロキシ安息香酸メチル、o−又はp−ヒドロキシ安息香酸ブチル、o−又はp−ヒドロキシ安息香酸ヘキシル、o−又はp−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、o−又はp−ヒドロキシ安息香酸デシル及びo−又はp−ヒドロキシ安息香酸ドデシルなどが挙げられる。
アルキルアミド類としては、トルエンスルホン酸アルキルアミド類やベンゼンスルホン酸アルキルアミド類が挙げられる。
トルエンスルホン酸アルキルアミド類としては、N−エチル−o−トルエンスルホン酸ブチルアミド、N−エチル−p−トルエンスルホン酸ブチルアミド、N−エチル−o−トルエンスルホン酸2−エチルヘキシルアミド、N−エチル−p−トルエンスルホン酸2−エチルヘキシルアミドなどが挙げられる。
ベンゼンスルホン酸アルキルアミド類としては、ベンゼンスルホン酸プロピルアミド、ベンゼンスルホン酸ブチルアミド、ベンゼンスルホン酸2−エチルヘキシルアミドなどが挙げられる。
以上に挙げた可塑剤は単独で使用しても良く、2種類以上を適宜組合せて使用しても良い。
これらの可塑剤の中で、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジ2−エ
チルヘキシルなどのフタル酸エステル類、p−ヒドロキシ安息香酸エチルヘキシル、p−
ヒドロキシ安息香酸ヘキシルデシルなどのヒドロキシ安息香酸エステル類、ベンゼンスル
ホン酸ブチルアミド、ベンゼンスルホン酸2−エチルヘキシルアミドなどのアルキルアミ
ド類が好ましく使用される。
[組成物]
本発明の組成物は、
ポリアミドエラストマー(X)とそれ以外の成分(Y)を含む組成物であって、
ポリアミドエラストマー(X)は、ポリアミド単位(A)とポリエーテルジアミン単位(B)を含み、
ポリアミド単位(A)は、一般式(1)で表わされる単位及び一般式(2)で表わされる単位を含み、
ポリエーテルジアミン単位(B)は、一般式(3)で表わされる単位を含む組成物である。
ポリアミドエラストマー(X)は、組成物全量に対し、95〜5質量%含まれることが好ましい。
それ以外の成分(Y)は、組成物全量に対し、5〜95質量%含まれることが好ましい。
ポリアミドエラストマー(X)とそれ以外の成分(Y)は、組成物全量に対し、80質量%含まれる事が好ましく、90質量%以上含まれる事がより好ましく、95質量%以上含まれる事がさらに好ましく、98質量%以上含まれる事が特に好ましい。
本発明の組成物は、耐熱剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、スリップ剤、結晶核剤、粘着性付与剤、シール性改良剤、防曇剤、離型剤、顔料、染料、香料等を添加することができる。
本発明の組成物を得る方法は、特に制限されるものではなく、公知の種々の方法を用いることができる。例えば、V型ブレンダー、タンブラーなどの低速回転混合機やヘンシェルミキサーなどの拘束回転混合機を用いて、ポリアミドエラストマー(X)とそれ以外の成分(Y)をあらかじめ混合した後、一軸押出機、二軸押出機などで溶融混練する方法や、ポリアミドエラストマー(X)とそれ以外の成分(Y)を、低速回転混合機やヘンシェルミキサーなどの拘束回転混合機を用いてあらかじめ混合する方法が挙げられる。
[成形及び成形品]
本発明の組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、圧空成形などの公知の成形方法により成形物を得ることができる。
耐加水分解性、弾性、耐衝撃性が求められるような野外のスポーツシューズ材、スキー板の表面材、自動車用モール、自動車用ミラーブーツ、被覆材等に、本発明の組成物が好適に使用する事が出来る。
[物性測定、成形、評価方法]
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。なお、測定、成形、評価は以下の方法により行った。
(1)相対粘度(ηr)
相対粘度は、ポリアミドエラストマー濃度が1.0g/dlであるトリフルオロ酢酸溶液を使用して、オストワルド型粘度計にて、25℃で測定した。
(2)融点(Tm)
融点は、PerkinELmer社製PYRIS Diamond DSCを用いて窒素雰囲気下で測定した。
得られたポリアミドエラストマーを30℃から280℃まで10℃/分の速度で昇温し(昇温ファーストランと呼ぶ)、280℃で3分保持したのち、30℃まで10℃/分の速度で降温し(降温ファーストランと呼ぶ)、次に280℃まで10℃/分の速度で昇温した(昇温セカンドランと呼ぶ)。昇温セカンドランの吸熱ピーク温度を融点(Tm)とした。
(3)フィルム成形
東邦マシナリー社製真空プレス機TMB−10を用いて、以下の方法でポリアミドエラストマーのフィルム成形を行った。
得られたポリアミドエラストマーを、500〜700PaGの減圧雰囲気下240〜270℃で3分間加熱溶融させた後、10MPaGで1分間プレスを行い、次に減圧雰囲気を常圧まで戻した後、室温、5MPaGで3分間冷却させて厚さ0.25mmと1mmのフィルムを得た。
(4)弾性率
上記(3)で得た厚さ0.25mmのフィルムから、JISの引張8号形のダンベルを打ち抜き、ダンベル試験片を作製した。ORIENTEC社製TENSILON RTA−500を用いて、このダンベル試験片の引張試験を行った。23℃環境下、チャック間距離30mm、引張速度30mm/minの条件で引張試験を行い、伸度0.5%〜2%の間の応力歪み直線の傾きから弾性率を算出した。
(5)伸長回復率
上記(4)と同様にダンベル試験片を作製し、ORIENTEC社製TENSILON RTA−500の試験機で伸長回復率の測定を行った。23℃環境下、チャック間距離30mm、引張速度100mm/minの条件で、3.2mm引っ張り、3.2mm延伸されたところで直ちに同じ速度で元に戻し、応力がゼロになった時の残留ひずみA(mm)を求めた。伸長回復率は、求めた残留ひずみAを下記式(1)に、代入して、算出した。
Figure 2016204490
(6)曲げ弾性率
ASTM D790に準拠して、6.35mm×12.7mm×127mmの試験片の曲げ弾性率を23℃で測定した。
(7)アイゾット衝撃強度(ノッチ付)
ASTM D256に準拠して、3.18mm×12.7mm×127mmのノッチ付試験片のアイゾット衝撃強度を23℃で測定した。
(8)耐加水分解性
射出成形により成形した100mm×300mm×2mmの板からJIS3号ダンベル
(試験片)を用いて切り出し、切り出した試験片を重ならないように、容量5リットルのステンレス容器に入れ、2リットルの蒸留水を入れてふたをして密閉状態にした後80℃の湯浴中に入れた。その2000時間後に試験片(加水分解処理をした試験片)を取り出し、試験片の表面の水分を除去した後、引張試験機を用い、チャック間距離50mmで挟み、500mm/minの速度で引張試験を行い、引張破断伸びを測定した。加水分解処理していない(ステンレス容器に入れていない)試験片の引張破断伸びの測定を行い、以下の式より引張破断伸びの保持率を計算した。
引張り破断伸び保持率(%)=100×(加水分解処理をした試験片の引張り破断伸び)/(加水分解処理していない試験片の引張り破断伸び)
[製造例1]
撹拌機、還流冷却器、窒素導入管、原料投入口を備えた内容積が2Lのセパラブルフラスコの内部を純度が99.9999%の窒素ガスで置換し、脱水済みトルエン1150ml、1,12−ドデカンジアミン156g(0.78モル)、XYX型のトリブロックポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製XTJ−542)91g(0.087モル)を仕込んだ。このセパラブルフラスコをオイルバス中に設置して50℃に昇温した後、蓚酸ジブチル175g(0.87モル)を仕込んだ。次にオイルバスの温度を130℃まで昇温し、還流下、5時間反応を行った。なお、原料仕込みから反応終了までの全ての操作は50ml/分の窒素気流下で行った。
上記操作によって得られた前重合物10gと次亜リン酸ナトリウム1水和物0.02gを撹拌機、空冷管、窒素導入管を備えた直径約35mmφのガラス製反応管に仕込み、反応管内を13.3PaG以下の減圧下に保ち、次に常圧まで窒素ガスを導入する操作を5回繰り返した後、50ml/分の窒素気流下250℃に保った塩浴に移し4時間反応させた。続いて常圧まで窒素ガスを導入したのち、塩浴から取り出し50ml/分の窒素気流下で室温まで冷却してポリアミドエラストマー(以下、PAE1と呼ぶ場合がある。)を得た。
[製造例2]
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、放圧口、ポリマー取出口、及び直径1/8インチのSUS316製配管によって原料フィードポンプを直結させた原料投入口を備えた5Lの耐圧容器に、1,12−ドデカンジアミン347g(1.7モル)とXYX型のトリブロックポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製XTJ−542)457g(0.43モル)、次亜リン酸ナトリウム1水和物2.50gを仕込み、耐圧容器内を窒素ガスで3.0MPaGに加圧した後、次に常圧まで窒素ガスを放出して窒素置換を行い、封圧下、系内を昇温した。一次反応温度(150℃)にした後、蓚酸ジブチル438g(2.2モル)を原料フィードポンプにより流速65ml/分で反応容器内に注入した。全量注入直後の耐圧容器内の内圧は、重縮合反応により生成した1−ブタノールによって0.65MPaGまで上昇し、内部温度は155℃まで上昇した。
注入直後から生成したブタノールの留去を開始し、内圧を0.50MPaGに保持したまま、二次反応温度(230℃)まで昇温させた。内部温度が230℃に達した直後から放圧口より重縮合反応によって生成した1−ブタノールを抜き出した。放圧後、260ml/分の窒素気流下において昇温を開始し、三次反応温度(245℃)まで昇温し、245℃において3時間保持した。その後、攪拌を止めて系内を窒素で3MPaGに加圧して10分間静置した後、内圧0.5MPaGまで放圧し、重合物を圧力容器下部より抜き出した。抜き出したポリアミドエラストマー(以下、PAE2と呼ぶ場合がある。)は、直ちに水で冷却し回収した。
[製造例3]
1,12−ドデカンジアミン264g(1.3モル)、蓚酸ジブチル380g(1.9モル)を用い、実施例2と同様に重合を行い、プレポリマーを回収した。
続いて、得られたプレポリマーの全量、XYX型のトリブロックポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製XTJ−542)595g(0.56モル)、次亜リン酸ナトリウム1水和物2.42gを実施例2と同様に5Lの耐圧容器に仕込み窒素置換を行った。次に窒素気流下で槽内を200℃まで昇温し、200℃で1時間保持した後、さらに245℃まで昇温し、245℃で3時間保持した。その後、得られたポリアミドエラストマー(以下、PAE3と呼ぶ場合がある。)を圧力容器下部より抜き出し、直ちに水で冷却し回収した。
[製造例4]
12−アミノドデカン酸1042g(4.8モル)、アジピン酸38g(0.26モル)、数平均分子量Mn=989のポリテトラメチレングリコール257g(0.26モル)、テトラブチルチタネート4.10gを実施例2と同様に5Lの耐圧容器に仕込み窒素置換を行った。次に窒素気流下で槽内を200℃まで昇温し、200℃で4時間保持した後、さらに240℃まで昇温して減圧を行い、240℃、10Paで3時間保持した。その後、復圧し、得られたポリアミドエラストマー(以下、PAE4と呼ぶ場合がある。)を圧力容器下部より抜き出し、直ちに水で冷却し回収した。
製造例1〜4により得られたポリアミドエラストマーの相対粘度、融点、弾性率、伸長回復率の測定結果を表1に示す。表1中の構成単位の各単位は、原料の仕込み比より計算した値を示す。表1中のHSはハードセグメントの略称でポリアミド単位を指し、SSはソフトセグメントの略称でポリエーテルジアミン単位(B)を指す。表1中のHS/SSはポリアミド単位(A)とポリエーテルジアミン単位(B)の重量比を指す。
Figure 2016204490
[実施例1〜6、比較例1]
ポリアミドエラストマーと宇部興産株式会社製のナイロン12である3020Uを、表2に示した割合で、シリンダー径40mmの二軸混練機を用い、240℃で溶融混練して、ストランド状に押出、水槽で冷却した後、ペレタイザーを用いペレットにした。得られた組成物の曲げ弾性率、アイゾット衝撃値、加水分解処理後の破断伸び保持率を測定し、その結果を表2に示す。
Figure 2016204490

[実施例7〜11、比較例2]
難燃剤Aは、東都化成製のYPB-43C(臭素化フェノキシ樹脂)を用いた。
難燃剤Bは、グレートレークス製のBC-58(臭素化ポリカーボネート)を用いた。
難燃剤Cは、メラミンイソシアヌレートを用いた。
表3に示す割合で、ポリアミドエラストマー、難燃剤と難燃助剤を、シリンダー径40mmの二軸混練機を用い、240℃で溶融混練して、ストランド状に押出、水槽で冷却した後ペレタイザーを用いペレットにした。得られた組成物の曲げ弾性率、アイゾット衝撃値、加水分解処理後の破断伸び保持率を測定し、その結果を表3に示す。
Figure 2016204490
[実施例12〜15、比較例3〜4]
表4に示す割合で、宇部興産株式会社製のナイロン12である3020Uとポリアミドエラストマーと可塑剤を、シリンダー径40mmの二軸混練機を用い、240℃で溶融混練して、ストランド状に押出、水槽で冷却した後ペレタイザーを用いペレットにした。得られた組成物の曲げ弾性率、アイゾット衝撃値、加水分解処理後の破断伸び保持率を測定し、その結果を表4に示す。
Figure 2016204490

Claims (8)

  1. ポリアミドエラストマー(X)とそれ以外の成分(Y)を含む組成物であって、
    前記ポリアミドエラストマー(X)は、ポリアミド単位(A)とポリエーテルジアミン単位(B)を含み、
    前記ポリアミド単位(A)は、一般式(1)で表わされる単位及び一般式(2)で表わされる単位を含み、
    前記ポリエーテルジアミン単位(B)は、一般式(3)で表わされる単位を含む組成物。
    Figure 2016204490
    Figure 2016204490
    (ここで、R1は炭素数1〜20の炭化水素の分子鎖又は炭素原子1〜20を有するアルキレン基を示す。)
    Figure 2016204490
    (ここで、x及びzは1〜20であり、yは4〜50を示す。)
  2. 組成物全量に対し、前記のそれ以外の成分(Y)を5〜95質量%含む請求項1に記載の組成物。
  3. 前記のそれ以外の成分(Y)が、難燃剤、ガラス繊維、タルク、炭素繊維、マイカ、カオリン、可塑剤及びポリアミドエラストマー(X)を除く熱可塑性樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を含む請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記のそれ以外の成分(Y)が、難燃剤、可塑剤及びポリアミドエラストマー(X)を除く熱可塑性樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を含む請求項1又は2に記載の組成物。
  5. 前記ポリアミドエラストマー(X)の伸長回復率が55%以上であり、融点が200℃以上である請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
  6. 前記一般式(2)で表わされる単位が、炭素数5〜18の脂肪族ジアミン成分由来の単位を含む請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
  7. 前記ポリアミドエラストマー(X)の相対粘度が1.2〜3.0(1.0g/dlトリフルオロ酢酸溶液、25℃)である請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の組成物からなる成形品。
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