JP2003012800A - ポリアミド系エラストマー及びその製造方法 - Google Patents

ポリアミド系エラストマー及びその製造方法

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JP2003012800A JP2002059283A JP2002059283A JP2003012800A JP 2003012800 A JP2003012800 A JP 2003012800A JP 2002059283 A JP2002059283 A JP 2002059283A JP 2002059283 A JP2002059283 A JP 2002059283A JP 2003012800 A JP2003012800 A JP 2003012800A
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    • C08G69/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carboxylic amide link in the main chain of the macromolecule
    • C08G69/44Polyester-amides

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、反発・回復弾性、低
温柔軟性などの物性には優れ、熱可塑性エラストマーの
実使用時の特性として重要な耐熱性、耐黄変性に優れた
新規脂肪族ポリアミド系エラストマー及びその製造方法
を提供すること。 【解決手段】 脂肪族ポリアミド形成性モノマ
ー(A)からなる単位、ポリカーボネートジオール
(B)からなる単位、及びジカルボン酸(C)からなる
単位を含有すること特徴とするポリアミド系エラストマ
ー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は脂肪族ポリアミドを
ハードセグメントとし、ポリカーボネートをソフトセグ
メントとする柔軟性、回復・反発弾性、耐熱性、耐黄変
性などに優れた新規な脂肪族ポリアミド系エラストマー
及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、ポリアミ
ド12をハードセグメント、脂肪族ポリカーボネートを
ソフトセグメントとする新規な結晶性脂肪族ポリアミド
系エラストマー及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平8−134210号公報には、高
耐熱性、高耐熱老化性及び優れた機械強度を有するエラ
ストマー組成物として、ハードセグメントに芳香族アミ
ド、ソフトセグメントに脂肪族ポリエステル、脂肪族ポ
リカーボネート、脂肪族ポリエーテルカーボネート、も
しくはポリオルガノシロキサンを用いた、重量平均分子
量が30000〜1000000であるエステルアミド
ブロック共重合体が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、反発・回復
弾性、低温柔軟性などの物性には優れ、熱可塑性エラス
トマーの実使用時の特性として重要な耐熱性、耐黄変性
に優れた新規脂肪族ポリアミド系エラストマー及びその
製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の第一の発明は、
脂肪族ポリアミド形成性モノマー(A)からなる単位、
ポリカーボネートジオール(B)からなる単位、及びジ
カルボン酸(C)からなる単位を含有すること特徴とす
るポリアミド系エラストマーを提供することである。
【0005】本発明の第二の発明は、脂肪族ポリアミド
形成性モノマー(A)からなる単位が、下記一般式
(1)で表される脂肪族ポリアミド形成性モノマー
(A)からなる単位であること特徴とするポリアミド系
エラストマーを提供することである。
【化4】 (ここで、Rは炭素原子2〜20を有する脂肪族の炭
化水素の分子鎖を示す。)
【0006】本発明の第三の発明は、ポリカーボネート
ジオール(B)からなる単位が、下記一般式(2)で表
されるポリカーボネートジオール(B)からなる単位で
あること特徴とするポリアミド系エラストマーを提供す
ることである。
【化5】 (ここで、Rは炭素数2〜12の脂肪族の炭化水素の
分子鎖又は、炭素数5〜12の脂環式及び炭素数2〜1
2の脂肪族を含む炭化水素の分子鎖を示し、nは2〜6
0を示す。)
【0007】本発明の第四の発明は、ジカルボン酸
(C)からなる単位が、下記一般式(3)で表されるジ
カルボン酸(C)からなる単位であること特徴とするポ
リアミド系エラストマーを提供することである。
【化6】 (ここで、Rは炭素数1〜25の脂肪族の炭化水素の
分子鎖、炭素数5〜20の脂環族及び炭素数1〜25の
脂肪族を含む炭化水素の分子鎖、又はnone(R
なし。このとき、COOHとCOOHが直接結合す
る。)を示す。)
【0008】本発明の第五の発明は、ポリアミド系エラ
ストマーの相対粘度が1.2〜3.5(0.5重量/容
量%メタクレゾール溶液、25℃)であることを特徴と
するポリアミド系エラストマーを提供することである。
【0009】本発明の第六の発明は、本発明の第一〜第
五のポリアミド系エラストマーの製造方法を提供するこ
とである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のポリアミド系エラストマ
ーは、脂肪族ポリアミド形成性モノマー(A)からなる
単位、ポリカーボネートジオール(B)からなる単位、
及びジカルボン酸(C)からなる単位を含有すること特
徴とするポリアミド系エラストマーである。
【0011】上記脂肪族ポリアミド系エラストマーにお
ける、全成分に対するポリアミド形成性モノマー(A)
の割合は、好ましくは15〜95重量%、さらに好まし
くは20〜93重量%、より好ましくは25〜92重量
%、特に好ましくは30〜90重量%である。ポリアミ
ド形成性モノマー(A)の割合が15重量%より少ない
と、ポリアミド成分の結晶性が著しく低くなり材料とし
ての力学的な性質が低下するので好ましくない。一方、
95重量%を超えると、弾力性、柔軟性の付与などのエ
ラストマーとしての機能・性能が充分発現しにくくなり
好ましくない。ポリカーボネートジオール(B)及びジ
カルボン酸(C)は、ポリカーボネートジオール(B)
の水酸基とジカルボン酸(C)のカルボキシル基がほぼ
等モルになるような割合が好ましい。
【0012】脂肪族ポリアミド形成性モノマー(A)か
らなる単位は、下記一般式(1)で表される脂肪族ポリ
アミド形成性モノマー(A)からなる単位であることが
好ましい。
【化7】 (ここで、Rは炭素数2〜20の炭化水素の分子、好
ましくは炭素数3〜18の炭化水素の分子、さらに好ま
しくは炭素数4〜15の炭化水素の分子、特に好ましく
は炭素数10〜15の炭化水素の分子を示す。Rは飽
和炭化水素の分子を示すことが好ましい。)
【0013】(A)ポリアミド形成性モノマーとして
は、ω−アミノカルボン酸、ラクタム、及びジアミンと
ジカルボン酸から合成されるもの及び/又はそれらの塩
から選ばれる少なくとも一種の脂肪族ポリアミド形成性
モノマーが使用される。ジアミンとジカルボン酸から合
成されるもの及び/又はそれらの塩において、ジアミン
としては、脂肪族ジアミン又はこれらの誘導体から選ば
れる少なくとも一種のジアミン化合物などを挙げること
が出来、ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸又
はこれらの誘導体から選ばれる少なくとも一種のジカル
ボン酸化合物などを挙げることが出来る。特に、ジアミ
ンとジカルボン酸から合成されるもの及び/又はそれら
の塩において、脂肪族ジアミン化合物と脂肪族ジカルボ
ン酸化合物の組合せを使用することにより、低比重で、
引張り伸びが大きく、耐衝撃性に優れ、溶融成形性が良
好なポリアミド系エラストマーを得ることが出来る。ジ
アミンとジカルボン酸のモル比(ジアミン/ジカルボン
酸)は0.9〜1.1の範囲が好ましく、0.93〜
1.07の範囲がさらに好ましく、0.95〜1.05
の範囲がより好ましく、0.97〜1.03の範囲が特
に好ましい。この範囲から外れると高分子量化しにくく
なる場合があるため好ましくない。ジアミンとジカルボ
ン酸から合成されるもの及び/又はそれらの塩におい
て、ジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、ト
リメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサ
メチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメ
チレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレン
ジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレン
ジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジア
ミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミ
ン、3−メチルペンタメチレンジアミンなどの炭素数2
〜20の脂肪族ジアミン化合物を挙げることが出来、ジ
カルボン酸の具体例としては、シュウ酸、コハク酸、グ
ルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼ
ライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの炭素数2〜
20の脂肪族ジカルボン酸化合物を挙げることが出来
る。ラクタムとしては、ε−カプロラクタム、ω−エナ
ントラクタム、ω−ウンデカラクタム、ω−ドデカラク
タム、2−ピロリドンなどの炭素数5〜20の脂肪族ラ
クタムを挙げることが出来る。ω−アミノカルボン酸と
しては、6-アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン
酸、8−アミノオクタン酸、10−アミノカプリン酸、
11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸な
どの炭素数5〜20の脂肪族ω−アミノカルボン酸を挙
げることが出来る。
【0014】ポリカーボネートジオール(B)からなる
単位は、下記一般式(2)で表されるポリカーボネート
ジオール(B)からなる単位であることが好ましい。
【化8】 (ここで、Rは炭素数2〜12の脂肪族の炭化水素の
分子鎖又は、炭素数5〜12の脂環式及び炭素数2〜1
2の脂肪族を含む炭化水素の分子鎖であり、好ましくは
炭素数3〜12の脂肪族の炭化水素の分子鎖又は、炭素
数5〜12の脂環式及び炭素数3〜12の脂肪族を含む
炭化水素の分子鎖であり、さらに好ましくは炭素数4〜
12の脂肪族の炭化水素の分子鎖又は、炭素数5〜12
の脂環式及び炭素数4〜12の脂肪族を含む炭化水素の
分子鎖であり、より好ましくは炭素数4〜10の脂肪族
の炭化水素の分子鎖又は、炭素数5〜12の脂環式及び
炭素数4〜10の脂肪族を含む炭化水素の分子鎖であ
り、特に好ましくは炭素数5〜8の脂肪族の炭化水素の
分子鎖又は、炭素数5〜12の脂環式及び炭素数5〜8
の脂肪族を含む炭化水素の分子鎖を示し、nは2〜60
であり、好ましくは3〜30であり、さらに好ましくは
4〜20であり、特に好ましくは5〜15を示す。R
は飽和炭化水素の分子鎖を示すことが好ましい。)
【0015】一般式(2)で表されるポリカーボネート
ジオール(B)において、nが2より小さいとソフトセ
グメントに基づく物性が発現しにくくなるので好ましく
なく、一方、nが60を超えるとハードセグメントであ
るポリアミドとの相溶性が悪くなり、相分離が生じて材
料物性が低下する場合があり好ましくない。
【0016】ポリカーボネートジオール(B)からなる
単位の具体例としては、アルカンジオールとジメチルカ
ーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボ
ネートなどとエステル交換反応によって製造されるポリ
カーボネートジオール、あるいはアルカンジオールとホ
スゲンを反応させる界面重縮合法によって製造されるポ
リカーボネートジオールなどを挙げることが出来る。ア
ルカンジオールの具体例としては、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペン
タンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘ
プタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−
ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11
−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、
シクロヘキサン1,4−ジメタノールなどを挙げること
が出来る。
【0017】ジカルボン酸(C)からなる単位は、下記
一般式(3)で表されるジカルボン酸(C)からなる単
位であることが好ましい。
【化9】 (ここで、Rは、炭素数1〜25の脂肪族の炭化水素
の分子鎖、炭素数5〜20の脂環族及び炭素数1〜25
の脂肪族とを含む炭化水素の分子鎖、又はnone(R
はなし。このとき、COOHとCOOHが直接結合す
る。)であり、さらに好ましくは炭素数1〜20の脂肪
族の炭化水素の分子鎖又は、炭素数5〜20の脂環族及
び炭素数1〜20の脂肪族を含む炭化水素の分子鎖であ
り、より好ましくは炭素数2〜15の脂肪族の炭化水素
の分子鎖又は、炭素数5〜20の脂環族及び炭素数2〜
15の脂肪族を含む炭化水素の分子鎖であり、特に好ま
しくは炭素数4〜10の脂肪族の炭化水素の分子鎖又
は、炭素数5〜20の脂環族及び炭素数4〜10の脂肪
族を含む炭化水素の分子鎖を示す。Rは飽和炭化水素
の分子鎖を示すことが好ましい。)
【0018】(C)ジカルボン酸としては、脂肪族及び
脂環族ジカルボン酸から選ばれる少なくとも一種のジカ
ルボン酸又はこれらの誘導体を用いることが出来る。ジ
カルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル
酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの炭素数2〜25の
直鎖脂肪族ジカルボン酸、又は、トリグリセリドの分留
により得られる不飽和脂肪酸を二量化した炭素数2〜5
00の二量化脂肪族ジカルボン酸(ダイマー酸)及びこ
れらの水素添加物(水添ダイマー酸)などの脂肪族ジカ
ルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの
脂環族ジカルボン酸を挙げることが出来る。ダイマー酸
及び水添ダイマー酸としては、ユニケマ社製商品名「プ
リポール1004」、「プリポール1006」、「プリ
ポール1009」、「プリポール1013」などを用い
ることが出来る。
【0019】本発明における脂肪族ポリアミド系エラス
トマーは、上記(A)、(B)及び(C)の重合反応を
利用して製造され、加圧及び/又は常圧下で溶融重合
し、又は必要に応じさらに減圧下で溶融重合を行う方法
を用いることが出来る。製造に当たり原料の仕込む方法
に特に制限はないが、(A)、(B)及び(C)を同時
に仕込む方法、(A)と(C)から両末端がカルボキシ
ル基のポリアミドを製造し、その後(B)を仕込む方法
などがある。全成分に対する(A)の仕込比は好ましく
は15〜95重量%、特に好ましくは30〜90重量%
である。15重量%より少ないと、ポリアミド成分の結
晶性が著しく低くなり材料としての力学的な性質が低下
するので好ましくない。一方、95重量%を超えると、
弾力性、柔軟性の付与などのエラストマーとしての機能
・性能が充分発現しなくなり好ましくない。(B)及び
(C)は、(B)の水酸基と(C)のカルボキシル基が
ほぼ等モルになるように仕込むことが好ましい
【0020】本発明のポリアミド系エラストマーの製造
は、重合温度が好ましくは150〜300℃、さらに好
ましくは160〜280℃、さらに好ましくは170〜
260℃、特に好ましくは180〜250℃で行うこと
が出来る。重合温度が上記温度より低い場合重合反応が
遅く、上記温度より大きい場合熱分解が起きやすく良好
な物性のポリマーが得られない場合がある。(A)、
(B)及び(C)を同時に仕込む方法では、成分(A)
としてω−アミノカルボン酸を使用する場合、常圧溶融
工程とそれに続く減圧工程からなる方法で製造され、ラ
クタム、又はジアミンとジカルボン酸及び/又はそれら
の塩を用いる場合には適量の水を共存させて加圧容器中
0.1〜3MPaの加圧下での溶融重合工程とそれに続
く減圧工程からなる方法で製造することができる。一
方、(A)と(C)から両末端がカルボキシル基のポリ
アミド又はポリアミドオリゴマーを製造し、その後
(B)を仕込む方法では、成分(A)としてω−アミノ
カルボン酸を使用する場合、常圧溶融工程において、ラ
クタム、又はジアミンとジカルボン酸及び/又はそれら
の塩を用いる場合には加圧下での溶融重合工程において
(A)と(C)を反応させて両末端がカルボキシル基の
ポリアミド又はポリアミドオリゴマーを製造し、このポ
リアミド又はポリアミドオリゴマーに(B)を加えて減
圧重合することによってエラストマーを製造することが
できる。上記加圧及び/又は常圧溶融重合工程では主と
してアミド化反応が起こり、エステル化反応は主として
減圧重合工程において起こり、本発明の脂肪族ポリアミ
ド系エラストマーが得られる。
【0021】エステル化反応においては公知のエステル
化触媒を用いることができる。エステル化触媒の具体例
としては、酢酸リチウム、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウ
ム、酸化マグネシウム、塩化チタン(IV)、塩化ジルコ
ニウム(IV)、塩化ハフニウム(IV)、塩化スズ(I
V)、テトラメチルチタネート、テトラエチルチタネー
ト、テトラプロピルチタネート、テトライソプロピルチ
タネート、テトラブチルチタネート、テトラブチルジル
コネート、1−ヒドロキシ−3−イソチオシアネート−
1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサンなどのジ
スタノキサン類、ジフェニルアンモニウムトリフラー
ト、塩化ハフニウム(IV)・テトラヒドロフランなどの
一種以上が用いられる。触媒の添加量は仕込み原料の1
0〜10000ppmが好ましく用いられる。10pp
mより少ないと触媒効果が十分発揮されず、10000
ppmを超えると場合によっては得られるポリマーの物
性を変化させることがあるので好ましくない。
【0022】本発明のポリアミド系エラストマーの製造
は、重合時間が通常0.5〜30時間で行うことが出来
る。重合時間が上記範囲より短いと、分子量の上昇が十
分でなく、長いと熱分解による着色などが起こり、いず
れの場合も所望の物性を有するポリアミド系エラストマ
ーが得られない場合があり好ましくない。
【0023】上記重合反応により相対粘度が1.2〜
3.5(0.5重量/容量%メタクレゾール溶液、25
℃)の脂肪族ポリアミド系エラストマーを製造すること
ができる。さらに、必要に応じて固相重合を行うことに
より更に高粘度物を得ることができる。固相重合温度は
100℃以上、エラストマーの融点以下の温度が好まし
いが、エラストマー同士が相互に融着しない温度を選ぶ
ことが好ましい。固相重合の時間は、通常1〜50時間
であり、重合時間が長いと熱分解を起こし、所望の物性
を有するエラストマーを得ることができなくなるので好
ましくない。
【0024】ポリアミド系エラストマーの相対粘度(η
r)は、好ましくは1.2〜3.5、さらに好ましくは
1.3〜3.0、より好ましくは1.35〜2.5、特
に好ましくは1.4〜2.2(0.5重量/容量%メタ
クレゾール溶液、25℃)の範囲が好ましい。
【0025】本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマー
の製造は、回分式でも、連続式でも実施することがで
き、バッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装
置、管状連続反応装置などを単独であるいは組み合わせ
て用いることができる。
【0026】上記重合において、必要ならば、重合促進
や酸化防止のために、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、
ピロリン酸、ポリリン酸及びこれらのアルカリ金属塩、
アルカリ土類金属塩などの無機系リン化合物を添加する
ことができる。添加量は、通常、仕込み原料に対して5
0〜3000ppmである。また、分子量調節や成形加
工時の溶融粘度安定のために、ラウリルアミン、ステア
リルアミン、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレン
ジアミンなどのモノアミン、ジアミン又は酢酸、安息香
酸、ステアリン酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの
モノカルボン酸、ジカルボン酸を添加することができ
る。これらの使用量は最終的に得られるエラストマーの
相対粘度が上記範囲になるように適宜決められる。
【0027】本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマー
は、その特性が阻害されない範囲で、耐熱剤、紫外線吸
収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、スリ
ップ剤、結晶核剤、粘着性付与剤、シール性改良剤、防
曇剤、離型剤、可塑剤、顔料、染料、香料、難燃剤、補
強材などを添加することができる。
【0028】本発明で得られる脂肪族ポリアミド系エラ
ストマーの成形加工は容易であり、柔軟性、回復・反発
弾性、耐熱性、耐黄変性などに優れた成形品を与える。
成形品としては、射出成形品、チューブ、ホース、異形
材、シート、フィルム、モノフィラメント、繊維などの
押出成形品があげられる。また、本発明による脂肪族ポ
リアミド系エラストマーはポリアミド樹脂との相溶性が
良く、ポリアミド樹脂とブレンドしたり、多層成形加工
することが可能である。ブレンドして用いた場合にはポ
リアミド樹脂の耐衝撃性、弾性、柔軟性などを改善する
ことができる。
【0029】本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマー
において、成形直後の応力緩和は、好ましくは2.5以
上、さらに好ましくは2.8以上、より好ましくは2.
8〜12、特に好ましくは3〜8が好ましい。本発明の
脂肪族ポリアミド系エラストマーにおいて、100℃・
30日処理後の応力緩和をtとし、成形直後の応力緩
和をtとすると、(t/t)の値は、好ましくは
0.6以上、さらに好ましくは0.7以上、より好まし
くは0.7〜0.95、特に好ましくは0.7〜0.9
が好ましい。
【0030】本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマー
において、成形直後のYIをYとすると、Yの値
は、好ましくは9.5以下、さらに好ましくは9.2以
下、より好ましくは9以下、特に好ましくは8.8以下
が好ましい。本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマー
において、50℃・60日処理後のYIをYとし、成
形直後のYIをYとすると、(Y−Y)の値は、
好ましくは25以下、さらに好ましくは20以下、より
好ましくは18以下、特に好ましくは17以下が好まし
い。本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマーにおい
て、80℃・60日処理後のYIをYとし、成形直後
のYIをYとすると、(Y−Y)の値は、好まし
くは80以下、さらに好ましくは60以下、より好まし
くは50以下、特に好ましくは40以下が好ましい。本
発明の脂肪族ポリアミド系エラストマーにおいて、80
℃・60日処理後のYIをYとし、成形直後のYIを
とすると、(Y/Y)の値は、好ましくは10
以下、さらに好ましくは9以下、より好ましくは8以
下、特に好ましくは7.5以下が好ましい。
【0031】本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマー
において、成形直後の伸長回復率は、好ましくは78%
以上、さらに好ましくは80%以上、より好ましくは8
1%以上、特に好ましくは82%以上が好ましい。
【0032】本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマー
において、成形直後の弾性率は、好ましくは205MP
a以下、さらに好ましくは202MPa以下、より好ま
しくは200MPa以下、特に好ましくは50〜200
MPaが好ましい。
【0033】本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマー
において、成形直後の降伏点強度は、好ましくは18M
Pa以下、さらに好ましくは17MPa以下、より好ま
しくは16MPa以下、特に好ましくは5〜15MPa
が好ましい。本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマー
において、100℃・30日処理後の降伏点強度は、好
ましくは18MPa以下、さらに好ましくは17MPa
以下、より好ましくは16MPa以下、特に好ましくは
5〜15MPaが好ましい。
【0034】本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマー
において、成形直後の破断伸びは、好ましくは200%
以上、さらに好ましくは300%以上、より好ましくは
400%以上、特に好ましくは450%以上が好まし
い。本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマーにおい
て、100℃・30日処理後の破断伸びは、好ましくは
200%以上、さらに好ましくは300%以上、より好
ましくは350%以上、特に好ましくは400%以上が
好ましい。
【0035】以下、実施例および比較例を挙げて本発明
を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。特性値は次のようにして測定した。
【0036】1)相対粘度(ηr)(0.5重量/容量
%メタクレゾール溶液、25℃):試薬特級品のm−ク
レゾールを溶媒として、5g/dmの濃度で、オスト
ワルド粘度計を用いて25℃で測定した。
【0037】2)末端カルボキシル基濃度([COO
H]):重合物約1gに40mlのベンジルアルコール
を加え、窒素ガス雰囲気で加熱溶解し、得られた試料溶
液に指示薬としてフェノールフタレインを加えて、N/
20水酸化カリウム−エタノール溶液で滴定した。
【0038】3)末端アミノ基濃度([NH]):重
合物約1gを40mlのフェノール/メタノール混合溶
媒(容量比:9/1)に溶解し、得られた試料溶液に指
示薬としてチモールブルーを加えて、N/20塩酸で滴
定した。
【0039】4)数平均分子量(Mn):数平均分子量
(Mn)は、末端カルボキシル基濃度([COOH])
及び末端アミノ基濃度([NH])を用い、式(1)
により求めた。
【数1】
【0040】5)融点(Tm)及び結晶化温度(T
c):Tm及びTcは(株)島津製作所製示差走査熱量
計DSC−50を用いて窒素雰囲気下で測定した。室温
から230℃まで10℃/分の速度で昇温し(昇温ファ
ーストランと呼ぶ)、230℃で10分保持したのち、
−100℃まで10℃/分の速度で降温し(降温ファー
ストランと呼ぶ)、次に230℃まで10℃/分の速度
で昇温した(昇温セカンドランと呼ぶ)。得られたDS
Cチャートから降温ファーストランの発熱ピーク温度を
Tc、昇温セカンドランの吸熱ピーク温度をTmとし
た。
【0041】6)組成:重トリフロロ酢酸を溶媒とし
て、4重量%の濃度で、日本電子(株)製JNM−EX
400WB型FT−NMRを用いて、室温で測定したプ
ロトンNMRスペクトルから各成分の組成を求めた。
【0042】7)応力緩和:厚さ約100μmのフィル
ムからJIS3号ダンベルを用いて切り出した試料を引
張試験機のチャックに、チャック間距離50mmで挟
み、500mm/分の速度で延伸し、試料中央部直線部
分の2%に当たる0.4mmを延伸したところで止め
て、その状態を保ったまま応力の変化を測定した。2%
延伸時の初期応力(σ)とt時間後の応力(σ)と
の比(σ/σ)が、0.9になる時間(t0.9)を
測定した。t0.9が大きくなるほど緩和しにくく、ゴム
弾性が優れる。測定は、温度23℃で行った。厚さ約1
00μmのフィルムは、圧縮成形法により製造した。
【0043】8)伸長回復率:厚さ約100μmのフィ
ルムからJIS3号ダンベルを用いて切り出した試料を
引張試験機のチャックにチャック間距離50mmで挟
み、100mm/分の速度で延伸し、試料中央部直線部
分の20%に当たる4mmを延伸したところで直ちに同
じ速度で元に戻し、応力が0になった時のチャック間距
離r(mm)を測定し、式(2)により伸長回復率を求
めた。伸長回復率が大きいほどゴム弾性に優れる。測定
は、温度23℃で行った。厚さ約100μmのフィルム
は、圧縮成形法により製造した。
【数2】
【0044】9)引張物性:厚さ約100μmのフィル
ムから切り出した長さ100mm、幅10mmの短冊を
試料とし、チャック間距離50mm、引張速度500m
m/分で破断まで引張り試験を行い、弾性率、降伏点強
度及び破断伸びを測定した。測定は、温度23℃で行っ
た。厚さ約100μmのフィルムは、圧縮成形法により
製造した。
【0045】10)耐熱性:厚さ約100μmのフィル
ムを100℃のオーブン中にて30日熱処理したのち、
前記方法により、t0.9、伸長回復率及び、引張り物性
を測定した。厚さ約100μmのフィルムは、圧縮成形
法により製造した。
【0046】11)耐黄変性:厚さ約100μmのフィ
ルムを50及び80℃のオーブン中にて60日熱処理し
たのち、スガ試験機製SMカラーコンピューターSM−
5−1S−2Bを用いて黄変度(YI)を測定した。Y
Iは厚さ1mmに補正した。厚さ約100μmのフィル
ムは、圧縮成形法により製造した。
【0047】[実施例1]攪拌機及び窒素ガス導入口を
備えた反応容器に12−アミノドデカン酸(宇部興産社
製)25.000重量部及びアジピン酸3.190重量
部を仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガス
を50ml/分で流しながら200℃で1時間加熱し、
次に1時間かけて240℃とし、さらに240℃で4時
間加熱し、重合を終了した。重合物の末端基濃度は、
[COOH]=167.28×10 eq/g、[N
]=0eq/gであり、数平均分子量(Mn)=1
195.6の両末端カルボキシル基のナイロン12オリ
ゴマーを得た。このオリゴマー16.316重量部、ポ
リカーボネートジオール(宇部興産社製、商品名:ET
ERNACOLL H100)13.825重量部及び
テトラブチルチタネート0.1重量部を攪拌機及び窒素
ガス導入口を備えた反応容器に仕込んだ。容器内を十分
窒素置換した後、窒素ガスを50ml/分で流しながら
210℃で3時間加熱し、次に徐々に減圧を行い、1時
間かけて約30Paとし、2時間重合を行った後、さら
に30分かけて昇温、減圧を行い、230℃で約10P
aで2時間重合を行い終了した。得られた重合物は白色
柔軟で強靭なポリマーであり、ηr=1.50、Tm=
151.1℃、Tc=111.8℃であった。ポリマー
組成は、PA12/PCD/AA=48.3/46.5
/5.2(重量%)(ただし、PA12、PCD及びA
Aはポリマー中の各成分を表し、PA12はナイロン1
2単位を、PCDはポリカーボネートジオール単位を、
AAはアジピン酸単位をそれぞれ表す)であった。続い
て、重合物に酸化防止剤としてトミノックス(吉富製薬
社製)917を1000ppm添加して、230℃で1
0MPaで圧縮成形し、厚さ約100μmのフィルムを
得た。このフィルムの成形直後及び熱処理後のt0.9
伸長回復率、引張物性及びYIを表1に示す。
【0048】[実施例2]攪拌機及び窒素ガス導入口を
備えた反応容器に12−アミノドデカン酸(宇部興産社
製)66.024重量部及びアジピン酸4.483重量
部を仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガス
を50ml/分で流しながら200℃で1時間加熱し、
次に1時間かけて240℃とし、さらに240℃で3時
間加熱し、重合を終了した。重合物の末端基濃度は、
[COOH]=105.66×10 eq/g、[N
]=0.10×10−5eq/gであり、数平均分
子量(Mn)=1891.1の両末端カルボキシル基の
ナイロン12オリゴマーを得た。このオリゴマー19.
735重量部、ポリカーボネートジオール(宇部興産社
製、商品名:ETERNACOLL H100)10.
542重量部及びテトラブチルチタネート0.1重量部
を攪拌機及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に仕込ん
だ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを50ml
/分で流しながら210℃で3時間加熱し、次に徐々に
減圧を行い、30分で約10Paとし、2.5時間重合
を行った後、さらに30分かけて昇温、減圧を行い、2
30℃−約5Paで1.25時間重合を行い終了した。
得られた重合物は白色柔軟で強靭なポリマーであり、η
r=1.61、Tm=163.1℃、Tc=130.5
℃であった。ポリマー組成は、PA12/PCD/AA
=54.9/40.6/4.5(重量%)(ただし、P
A12、PCD及びAAはポリマー中の各成分を表し、
PA12はナイロン12単位を、PCDはポリカーボネ
ートジオール単位を、AAはアジピン酸単位をそれぞれ
表す)であった。続いて、重合物に酸化防止剤としてト
ミノックス(吉富製薬社製)917を1000ppm添
加して、230℃−10MPaで圧縮成形し、厚さ約1
00μmのフィルムを得た。このフィルムの成形直後及
び熱処理後のt0.9、伸長回復率、引張物性及びYIを
表1に示す。
【0049】[実施例3]攪拌機及び窒素ガス導入口を
備えた反応容器に12−アミノドデカン酸(宇部興産社
製)35.000重量部及びアジピン酸3.422重量
部を仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガス
を50ml/分で流しながら200℃で1時間加熱し、
次に1時間かけて240℃とし、さらに240℃で4時
間加熱し、重合を終了した。重合物の末端基濃度は、
[COOH]=132.00×10 eq/g、[N
]=0eq/gであり、数平均分子量(Mn)=1
515.2の両末端カルボキシル基のナイロン12オリ
ゴマーを得た。このオリゴマー18.003重量部、ポ
リカーボネートジオール(宇部興産社製、商品名:ET
ERNACOLL H100)12.042重量部及び
テトラブチルチタネート0.1重量部を攪拌機及び窒素
ガス導入口を備えた反応容器に仕込んだ。容器内を十分
窒素置換した後、窒素ガスを50ml/分で流しながら
200℃で1時間加熱し、20分かけて220℃まで昇
温した後1時間加熱し、続いて30分で約5Paまで減
圧し、1.5時間重合を行った後、さらに20分かけて
昇温、減圧を行い、230℃−約3Paで2.2時間重
合を行い終了した。得られた重合物は白色柔軟で強靭な
ポリマーであり、ηr=1.83であった。ポリマー組
成は、PA12/PCD/AA=60.9/35.2/
3.9(重量%)(ただし、PA12、PCD及びAA
はポリマー中の各成分を表し、PA12はナイロン12
単位を、PCDはポリカーボネートジオール単位を、A
Aはアジピン酸単位をそれぞれ表す)であった。続い
て、重合物に酸化防止剤としてトミノックス(吉富製薬
社製)917を1000ppm添加して、230℃−1
0MPaで圧縮成形し、厚さ約100μmのフィルムを
得た。このフィルムの成形直後及び熱処理後のt0.9
伸長回復率、引張物性及びYIを表1に示す。
【0050】[実施例4]攪拌機及び窒素ガス導入口を
備えた反応容器に12−アミノドデカン酸(宇部興産社
製)15.006重量部、ポリカーボネートジオール
(宇部興産社製、商品名:ETERNACOLL H2
00)14.021重量部及びアジピン酸1.022重
量部を仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガ
スを50ml/分で流しながら200℃で2時間加熱
し、次に1時間かけて220℃とし、2時間加熱後30
分かけて約7Paまで減圧し、1.5時間重合を行った
後、さらに30分かけて昇温、減圧を行い、230℃−
約5Paで2時間重合を行い終了した。得られた重合物
は白色柔軟で強靭なポリマーであり、ηr=1.60、
Tm=162.9℃、Tc=128.2℃であった。ポ
リマー組成は、PA12/PCD/AA=48.0/4
9.2/2.8(重量%)(ただし、PA12、PCD
及びAAはポリマー中の各成分を表し、PA12はナイ
ロン12単位を、PCDはポリカーボネートジオール単
位を、AAはアジピン酸単位をそれぞれ表す)であっ
た。続いて、重合物に酸化防止剤としてトミノックス
(吉富製薬社製)917を1000ppm添加して、2
30℃−10MPaで圧縮成形し、厚さ約100μmの
フィルムを得た。このフィルムの成形直後及び熱処理後
のt0.9、伸長回復率、引張物性及びYIを表1に示
す。
【0051】[実施例5]実施例2で用いた数平均分子
量(Mn)=1891.1の両末端カルボキシル基のナ
イロン12オリゴマー17.527重量部、ポリカーボ
ネートジオールとして、Mn=1010のポリ(1,6
−ヘキサンジオールカーボネート)6.271重量部、
Mn=2040のポリ(3−メチル−1,5−ペンタン
ジオールカーボネート)6.241重量部及びテトラブ
チルチタネート0.1重量部を攪拌機、窒素ガス導入口
及び縮合水トラップを備えた容器に仕込んだ。容器内を
十分窒素置換した後、窒素ガスを50ml/分で流しな
がら200℃で1時間加熱し、次に20分かけて220
℃まで昇温した後1時間加熱し、続いて10分で約8P
aまで減圧し、1.1時間重合を行った後、さらに20
分かけて昇温、減圧を行い、230℃−約3Paで2時
間重合を行い終了した。得られた重合物は白色柔軟で強
靭なポリマーであり、ηr=1.87であった。ポリマ
ー組成は、PA12/UH/UHP/AA=54.4/
21.1/21.0/3.5(重量%)(ただし、PA
12、UH、UHP及びAAはポリマー中の各成分を表
し、PA12はナイロン12単位を、UHはポリ(1,
6−ヘキサンジオールカーボネート)単位を、UHPは
ポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオールカーボネ
ート)単位を、AAはアジピン酸単位をそれぞれ表す)
であった。続いて、重合物に酸化防止剤としてトミノッ
クス(吉富製薬社製)917を1000ppm添加し
て、230℃−10MPaで圧縮成形し、厚さ約100
μmのフィルムを得た。このフィルムの成形直後及び熱
処理後のt0.9、伸長回復率、引張物性及びYIを表1
に示す。
【0052】[実施例6]圧力計、窒素ガス導入口及び
放圧口を備えたオートクレーブに宇部興産(株)製ラウ
ロラクタム25.002重量部、ドデカン二酸4.75
8重量部及び水5重量部を仕込んだ。容器内を十分窒素
置換した後、270℃で10時間重合を行った。圧力は
2MPaであった。重合物の末端基濃度は、[COO
H]=139.43×10−5eq/g、[NH]=
0.13eq/gであり、数平均分子量(Mn)=14
33.1の両末端カルボキシル基のナイロン12オリゴ
マーを得た。このオリゴマー17.403重量部、ポリ
カーボネートジオール(宇部興産社製、商品名:ETE
RNACOLL H100)12.253重量部及びテ
トラブチルチタネート0.1重量部を攪拌機、窒素ガス
導入口及び縮合水トラップを備えた容器に仕込んだ。容
器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを50ml/分で
流しながら200℃で1時間加熱し、次に30分かけて
220℃まで昇温した後、1時間加熱し、続いて30分
で約8Paまで減圧し、1.5時間重合を行った後、さ
らに20分かけて昇温、減圧を行い、230℃、約5P
aで3時間重合を行い終了した。得られた重合物は白色
柔軟で強靭なポリマーであり、ηr=1.78であっ
た。ポリマー組成は、PA12/PCD/DDA=5
0.3/41.8/7.9(重量%)(ただし、PA1
2、PCD及びDDAはポリマー中の各成分を表し、P
A12はナイロン12単位を、PCDはポリカーボネー
トジオール単位を、DDAはドデカン二酸単位をそれぞ
れ表す)であった。続いて、重合物に酸化防止剤として
トミノックス(吉富製薬社製)917を1000ppm
添加して、230℃−10MPaで圧縮成形し、厚さ約
100μmのフィルムを得た。このフィルムの成形直後
及び熱処理後のt0.9、伸長回復率、引張物性及びYI
を表1に示す。
【0053】[比較例1]攪拌機及び窒素ガス導入口備
えた反応容器に12−アミノドデカン酸(宇部興産社
製)30.000重量部を仕込んだ。容器内を十分窒素
置換した後、窒素ガスを50ml/分で流しながら19
0℃で1時間加熱し、次に1時間かけて250℃とし、
さらに250℃で5時間加熱し、ηr=2.18のナイ
ロン12を得た。続いて、重合物に酸化防止剤としてト
ミノックス(吉富製薬社製)917を1000ppm添
加して、230℃−10MPaで圧縮成形し、厚さ約1
00μmのフィルムを得た。このフィルムは、t0.9
0.48s、伸長回復率=73%であった。
【0054】[比較例2]攪拌機及び窒素ガス導入口備
えた反応容器に12−アミノドデカン酸(宇部興産社
製)25.000重量部及びドデカン二酸4.723重
量部を仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガ
スを50ml/分で流しながら200℃で1時間加熱
し、次に1時間かけて240℃とし、さらに240℃で
4時間加熱し、重合を終了した。重合物の末端基濃度
は、[COOH]=148.37×10 eq/g、
[NH]=0eq/gであり、数平均分子量(Mn)
=1348.0の両末端カルボキシル基のナイロン12
オリゴマーを得た。このオリゴマー17.406重量
部、Mn=989のポリテトラメチレングリコール1
2.768重量部及びテトラブチルチタネート0.1重
量部を攪拌機及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に仕
込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを50
ml/分で流しながら240℃で3時間加熱し、次に1
時間かけて昇温、減圧し、270℃−400Paで4時
間重合を行った。得られた重合物は白色柔軟で強靭なポ
リマーであり、ηr=1.71、Tm=157.1℃、
Tc=122.3℃であった。ポリマー組成は、PA1
2/PTMG/DDA=49.8/42.9/7.3
(重量%)(ただし、PA12、PTMG及びDDAは
ポリマー中の各成分を表し、PA12はナイロン12単
位を、PTMGはポリテトラメチレングリコール単位
を、DDAはドデカン二酸単位をそれぞれ表す)であっ
た。続いて、重合物に酸化防止剤としてトミノックス
(吉富製薬社製)917を1000ppm添加して、2
30℃−10MPaで圧縮成形し、厚さ約100μmの
フィルムを得た。このフィルムの成形直後及び熱処理後
のt0.9、伸長回復率、引張物性及びYIを表1に示
す。
【0055】[比較例3]攪拌機及び窒素ガス導入口備
えた反応容器に12−アミノドデカン酸(宇部興産社
製)30.005重量部及びアジピン酸2.485重量
部を仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガス
を50ml/分で流しながら200℃で1時間加熱し、
次に1時間かけて240℃とし、さらに240℃で4時
間加熱し、重合を終了した。重合物の末端基濃度は、
[COOH]=113.41×10−5eq/g、[N
]=0eq/gであり、数平均分子量(Mn)=1
763.5の両末端カルボキシル基のナイロン12オリ
ゴマーを得た。このオリゴマー19.600重量部、M
n=989のポリテトラメチレングリコール10.99
2重量部及びテトラブチルチタネート0.1重量部を攪
拌機及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に仕込んだ。
容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを50ml/分
で流しながら200℃で3時間加熱し、続いて10分で
約130Paまで減圧し、1時間重合を行った後、10
Paまで減圧して1時間重合を行った。さらに20分か
けて昇温し、240℃−約10Paで3時間重合を行い
終了した。得られた重合物は白色柔軟で強靭なポリマー
であり、ηr=2.07、Tm=160.2℃、Tc=
125.3℃であった。ポリマー組成は、PA12/P
TMG/AA=59.6/36.3/4.1(重量%)
(ただし、PA12、PTMG及びAAはポリマー中の
各成分を表し、PA12はナイロン12単位を、PTM
Gはポリテトラメチレングリコール単位を、AAはアジ
ピン酸単位をそれぞれ表す)であった。続いて、重合物
に酸化防止剤としてトミノックス(吉富製薬社製)91
7を1000ppm添加して、230℃−10MPaで
圧縮成形し、厚さ約100μmのフィルムを得た。この
フィルムの成形直後及び熱処理後のt0.9、伸長回復
率、引張物性及びYIを表1に示す。
【0056】[比較例4]窒素ガス導入口及び圧力計を
備えた80mlのステンレス鋼製圧力容器にイソフタル
酸とヘキサメチレンジアミンから得られるナイロン塩1
5.000重量部、イソフタル酸2.113重量部、ポ
リカーボネートジオール(宇部興産社製、商品名:ET
ERNACOLL H100)12.887重量部及び
水3.75重量部を仕込んだ。容器内を十分窒素置換し
た後、230℃で6時間加熱したのち、容器のまま室温
の水槽につけて冷却し、重合を終了した。得られた重合
物は白色半透明粘性の高い液状であった。この重合物2
5.000重量部及びテトラブチルチタネート0.02
5重量部を攪拌機及び窒素ガス導入口を備えた反応容器
に仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを
50ml/分で流しながら210℃で3時間加熱し、次
に徐々に減圧を行い、1時間かけて約30Paとし、2
時間重合を行った後、さらに30分かけて昇温、減圧を
行い、230℃−約10Paで2時間重合を行い終了し
た。得られた重合物は無色透明で強靭なポリマーであ
り、ηr=1.60、であった。続いて、重合物に酸化
防止剤としてトミノックス(吉富製薬社製)917を1
000ppm添加して、230℃−10MPaで圧縮成
形し、厚さ約100μmのフィルムを得た。このフィル
ムを用いてt0.9、伸長回復率及び引張り物性を評価
し、結果を表1に示す。
【0057】[比較例5]窒素ガス導入口及び圧力計を
備えた80mlのステンレス鋼製圧力容器に等モルのメ
タキシリレンジアミンとアジピン酸から得られるナイロ
ン塩15.000重量部、アジピン酸1.891重量
部、ポリカーボネートジオール(宇部興産社製、商品
名:ETERNACOLL H100)13.109重
量部及び水3.75重量部を仕込んだ。容器内を十分窒
素置換した後、230℃で6時間加熱したのち、容器の
まま室温の水槽につけて冷却し、重合を終了した。得ら
れた重合物は白色半透明粘性の高い液状であった。この
重合物25.000重量部及びテトラブチルチタネート
0.02重量部を攪拌機及び窒素ガス導入口を備えた反
応容器に仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素
ガスを50ml/分で流しながら210℃で3時間加熱
し、次に徐々に減圧を行い、1時間かけて約30Paと
し、2時間重合を行った後、さらに30分かけて昇温、
減圧を行い、230℃、約10Paで2時間重合を行い
終了した。得られた重合物は無色透明で強靭なポリマー
であり、ηr=1.71、であった。続いて、重合物に
酸化防止剤としてトミノックス(吉富製薬社製)917
を1000ppm添加して、230℃−10MPaで圧
縮成形し、厚さ約100μmのフィルムを得た。このフ
ィルムを用いてt0.9、伸長回復率及び引張り物性を評
価し、結果を表1に示す。
【0058】実施例及び比較例で用いたポリカーボネー
トジオール(宇部興産社製、商品名:ETERNACO
LL H100、ETERNACOLL H200)を
一般式(4)に示す。実施例及び比較例で用いたETE
RNACOLL H100及びETERNACOLL
H200のnは、それぞれ6.1及び13.1である。
【化10】
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマ
ーは、脂肪族ポリアミドをハードセグメント、脂肪族系
ポリカーボネートをソフトセグメントとすることによ
り、優れた柔軟性、回復・反発弾性、耐熱性、耐黄変性
を有する。特に、本発明の脂肪族ポリアミド系エラスト
マーは、ポリアミド12をハードセグメント、脂肪族ポ
リカーボネートをソフトセグメントとすることにより、
優れた柔軟性、回復・反発弾性、耐熱性、耐黄変性を有
する。
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Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】脂肪族ポリアミド形成性モノマー(A)か
    らなる単位、ポリカーボネートジオール(B)からなる
    単位、及びジカルボン酸(C)からなる単位を含有する
    こと特徴とするポリアミド系エラストマー。
  2. 【請求項2】脂肪族ポリアミド形成性モノマー(A)か
    らなる単位が、下記一般式(1)で表される脂肪族ポリ
    アミド形成性モノマー(A)からなる単位であること特
    徴とする請求項1に記載のポリアミド系エラストマー。 【化1】 (ここで、Rは炭素原子2〜20を有する脂肪族の炭
    化水素の分子鎖を示す。)
  3. 【請求項3】ポリカーボネートジオール(B)からなる
    単位が、下記一般式(2)で表されるポリカーボネート
    ジオール(B)からなる単位であること特徴とする請求
    項1又は請求項2に記載のポリアミド系エラストマー。 【化2】 (ここで、Rは炭素数2〜12の脂肪族の炭化水素の
    分子鎖又は、炭素数5〜12の脂環式及び炭素数2〜1
    2の脂肪族を含む炭化水素の分子鎖を示し、nは2〜6
    0を示す。)
  4. 【請求項4】ジカルボン酸(C)からなる単位が、下記
    一般式(3)で表されるジカルボン酸(C)からなる単
    位であること特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に
    記載のポリアミド系エラストマー。 【化3】 (ここで、Rは炭素数1〜25の脂肪族の炭化水素の
    分子鎖、炭素数5〜20の脂環族及び炭素数1〜25の
    脂肪族を含む炭化水素の分子鎖、又はnone(R
    なし。このとき、COOHとCOOHが直接結合す
    る。)を示す。)
  5. 【請求項5】ポリアミド系エラストマーの相対粘度が
    1.2〜3.5(0.5重量/容量%メタクレゾール溶
    液、25℃)であることを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれか1項に記載のポリアミド系エラストマー。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリ
    アミド系エラストマーの製造方法。
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