JP4082046B2 - ポリアミド系エラストマー及びその製造方法 - Google Patents

ポリアミド系エラストマー及びその製造方法 Download PDF

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    • C08G69/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carboxylic amide link in the main chain of the macromolecule
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は脂肪族ポリアミドをハードセグメントとし、ポリカーボネートをソフトセグメントとする柔軟性、回復・反発弾性、耐熱性、耐黄変性などに優れた新規な脂肪族ポリアミド系エラストマー及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、ポリアミド12をハードセグメント、脂肪族ポリカーボネートをソフトセグメントとする新規な結晶性脂肪族ポリアミド系エラストマー及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平8−134210号公報には、高耐熱性、高耐熱老化性及び優れた機械強度を有するエラストマー組成物として、ハードセグメントに芳香族アミド、ソフトセグメントに脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族ポリエーテルカーボネート、もしくはポリオルガノシロキサンを用いた、重量平均分子量が30000〜1000000であるエステルアミドブロック共重合体が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、反発・回復弾性、低温柔軟性などの物性には優れ、熱可塑性エラストマーの実使用時の特性として重要な耐熱性、耐黄変性に優れた新規脂肪族ポリアミド系エラストマー及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の発明は、12−アミノドデカン酸(A)からなる単位、ポリカーボネートジオール(B)からなる単位、及びジカルボン酸(C)からなる単位を含有することを特徴とするポリアミド系エラストマーを提供することである。
【0006】
前記ポリカーボネートジオール(B)からなる単位、下記一般式(2)で表されるポリカーボネートジオール(B)からなる単位である。
【化3】
Figure 0004082046
(ここで、Rは炭素数5〜8の脂肪族の炭化水素の直鎖の分子鎖又は分岐した分子鎖を示し、nは2〜60を示す。)
【0007】
前記ジカルボン酸(C)からなる単位、下記一般式(3)で表されるジカルボン酸(C)からなる単位である。
【化4】
Figure 0004082046
(ここで、Rは炭素数2〜15の脂肪族の炭化水素の分子鎖を示す。)
【0008】
本発明の第五の発明は、ポリアミド系エラストマーの相対粘度が1.2〜3.5(0.5重量/容量%メタクレゾール溶液、25℃)であることを特徴とするポリアミド系エラストマーを提供することである。
【0009】
本発明の第六の発明は、本発明の第一〜第五のポリアミド系エラストマーの製造方法を提供することである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のポリアミド系エラストマーは、脂肪族ポリアミド形成性モノマー(A)からなる単位、ポリカーボネートジオール(B)からなる単位、及びジカルボン酸(C)からなる単位を含有すること特徴とするポリアミド系エラストマーである。
【0011】
上記脂肪族ポリアミド系エラストマーにおける、全成分に対するポリアミド形成性モノマー(A)の割合は、好ましくは15〜95重量%、さらに好ましくは20〜93重量%、より好ましくは25〜92重量%、特に好ましくは30〜90重量%である。ポリアミド形成性モノマー(A)の割合が15重量%より少ないと、ポリアミド成分の結晶性が著しく低くなり材料としての力学的な性質が低下するので好ましくない。一方、95重量%を超えると、弾力性、柔軟性の付与などのエラストマーとしての機能・性能が充分発現しにくくなり好ましくない。ポリカーボネートジオール(B)及びジカルボン酸(C)は、ポリカーボネートジオール(B)の水酸基とジカルボン酸(C)のカルボキシル基がほぼ等モルになるような割合が好ましい。
【0013】
(A)ポリアミド形成性モノマーとしては、12−アミノドデカン酸を用いる。
【0014】
ポリカーボネートジオール(B)からなる単位は、下記一般式(2)で表されるポリカーボネートジオール(B)からなる単位である。
【化5】
Figure 0004082046
(ここで、Rは炭素数5〜8の脂肪族の炭化水素の直鎖の分子鎖又は分岐した分子鎖を示す。Rは飽和炭化水素の分子鎖を示すことが好ましい。)
【0015】
一般式(2)で表されるポリカーボネートジオール(B)において、nが2より小さいとソフトセグメントに基づく物性が発現しにくくなるので好ましくなく、一方、nが60を超えるとハードセグメントであるポリアミドとの相溶性が悪くなり、相分離が生じて材料物性が低下する場合があり好ましくない。
【0016】
ポリカーボネートジオール(B)からなる単位の具体例としては、アルカンジオールとジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネートなどとエステル交換反応によって製造されるポリカーボネートジオール、あるいはアルカンジオールとホスゲンを反応させる界面重縮合法によって製造されるポリカーボネートジオールなどを挙げることが出来る。
アルカンジオールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、シクロヘキサン1,4−ジメタノールなどを挙げることが出来る。
【0017】
ジカルボン酸(C)からなる単位は、下記一般式(3)で表されるジカルボン酸(C)からなる単位である。
【化6】
Figure 0004082046
(ここで、Rは、炭素数2〜15の脂肪族の炭化水素の分子鎖を示す。Rは飽和炭化水素の分子鎖を示すことが好ましい。)
【0018】
(C)ジカルボン酸としては、脂肪族及び脂環族ジカルボン酸から選ばれる少なくとも一種のジカルボン酸又はこれらの誘導体を用いることが出来る。
ジカルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの炭素数2〜25の直鎖脂肪族ジカルボン酸、又は、トリグリセリドの分留により得られる不飽和脂肪酸を二量化した炭素数2〜500の二量化脂肪族ジカルボン酸(ダイマー酸)及びこれらの水素添加物(水添ダイマー酸)などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸を挙げることが出来る。
ダイマー酸及び水添ダイマー酸としては、ユニケマ社製商品名「プリポール1004」、「プリポール1006」、「プリポール1009」、「プリポール1013」などを用いることが出来る。
【0019】
本発明における脂肪族ポリアミド系エラストマーは、上記(A)、(B)及び(C)の重合反応を利用して製造され、加圧及び/又は常圧下で溶融重合し、又は必要に応じさらに減圧下で溶融重合を行う方法を用いることが出来る。製造に当たり原料の仕込む方法に特に制限はないが、(A)、(B)及び(C)を同時に仕込む方法、(A)と(C)から両末端がカルボキシル基のポリアミドを製造し、その後(B)を仕込む方法などがある。全成分に対する(A)の仕込比は好ましくは15〜95重量%、特に好ましくは30〜90重量%である。15重量%より少ないと、ポリアミド成分の結晶性が著しく低くなり材料としての力学的な性質が低下するので好ましくない。一方、95重量%を超えると、弾力性、柔軟性の付与などのエラストマーとしての機能・性能が充分発現しなくなり好ましくない。(B)及び(C)は、(B)の水酸基と(C)のカルボキシル基がほぼ等モルになるように仕込むことが好ましい
【0020】
本発明のポリアミド系エラストマーの製造は、重合温度が好ましくは150〜300℃、さらに好ましくは160〜280℃、さらに好ましくは170〜260℃、特に好ましくは180〜250℃で行うことが出来る。重合温度が上記温度より低い場合重合反応が遅く、上記温度より大きい場合熱分解が起きやすく良好な物性のポリマーが得られない場合がある。
(A)、(B)及び(C)を同時に仕込む方法では、成分(A)としてω−アミノカルボン酸を使用する場合、常圧溶融工程とそれに続く減圧工程からなる方法で製造され、ラクタム、又はジアミンとジカルボン酸及び/又はそれらの塩を用いる場合には適量の水を共存させて加圧容器中0.1〜3MPaの加圧下での溶融重合工程とそれに続く減圧工程からなる方法で製造することができる。
一方、(A)と(C)から両末端がカルボキシル基のポリアミド又はポリアミドオリゴマーを製造し、その後(B)を仕込む方法では、成分(A)としてω−アミノカルボン酸を使用する場合、常圧溶融工程において、ラクタム、又はジアミンとジカルボン酸及び/又はそれらの塩を用いる場合には加圧下での溶融重合工程において(A)と(C)を反応させて両末端がカルボキシル基のポリアミド又はポリアミドオリゴマーを製造し、このポリアミド又はポリアミドオリゴマーに(B)を加えて減圧重合することによってエラストマーを製造することができる。
上記加圧及び/又は常圧溶融重合工程では主としてアミド化反応が起こり、エステル化反応は主として減圧重合工程において起こり、本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマーが得られる。
【0021】
エステル化反応においては公知のエステル化触媒を用いることができる。エステル化触媒の具体例としては、酢酸リチウム、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、酸化マグネシウム、塩化チタン(IV)、塩化ジルコニウム(IV)、塩化ハフニウム(IV)、塩化スズ(IV)、テトラメチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラブチルジルコネート、1−ヒドロキシ−3−イソチオシアネート−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサンなどのジスタノキサン類、ジフェニルアンモニウムトリフラート、塩化ハフニウム(IV)・テトラヒドロフランなどの一種以上が用いられる。触媒の添加量は仕込み原料の10〜10000ppmが好ましく用いられる。10ppmより少ないと触媒効果が十分発揮されず、10000ppmを超えると場合によっては得られるポリマーの物性を変化させることがあるので好ましくない。
【0022】
本発明のポリアミド系エラストマーの製造は、重合時間が通常0.5〜30時間で行うことが出来る。重合時間が上記範囲より短いと、分子量の上昇が十分でなく、長いと熱分解による着色などが起こり、いずれの場合も所望の物性を有するポリアミド系エラストマーが得られない場合があり好ましくない。
【0023】
上記重合反応により相対粘度が1.2〜3.5(0.5重量/容量%メタクレゾール溶液、25℃)の脂肪族ポリアミド系エラストマーを製造することができる。さらに、必要に応じて固相重合を行うことにより更に高粘度物を得ることができる。固相重合温度は100℃以上、エラストマーの融点以下の温度が好ましいが、エラストマー同士が相互に融着しない温度を選ぶことが好ましい。固相重合の時間は、通常1〜50時間であり、重合時間が長いと熱分解を起こし、所望の物性を有するエラストマーを得ることができなくなるので好ましくない。
【0024】
ポリアミド系エラストマーの相対粘度(ηr)は、好ましくは1.2〜3.5、さらに好ましくは1.3〜3.0、より好ましくは1.35〜2.5、特に好ましくは1.4〜2.2(0.5重量/容量%メタクレゾール溶液、25℃)の範囲が好ましい。
【0025】
本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマーの製造は、回分式でも、連続式でも実施することができ、バッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置などを単独であるいは組み合わせて用いることができる。
【0026】
上記重合において、必要ならば、重合促進や酸化防止のために、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などの無機系リン化合物を添加することができる。添加量は、通常、仕込み原料に対して50〜3000ppmである。また、分子量調節や成形加工時の溶融粘度安定のために、ラウリルアミン、ステアリルアミン、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミンなどのモノアミン、ジアミン又は酢酸、安息香酸、ステアリン酸、イソフタル酸、テレフタル酸などのモノカルボン酸、ジカルボン酸を添加することができる。これらの使用量は最終的に得られるエラストマーの相対粘度が上記範囲になるように適宜決められる。
【0027】
本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマーは、その特性が阻害されない範囲で、耐熱剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、スリップ剤、結晶核剤、粘着性付与剤、シール性改良剤、防曇剤、離型剤、可塑剤、顔料、染料、香料、難燃剤、補強材などを添加することができる。
【0028】
本発明で得られる脂肪族ポリアミド系エラストマーの成形加工は容易であり、柔軟性、回復・反発弾性、耐熱性、耐黄変性などに優れた成形品を与える。
成形品としては、射出成形品、チューブ、ホース、異形材、シート、フィルム、モノフィラメント、繊維などの押出成形品があげられる。
また、本発明による脂肪族ポリアミド系エラストマーはポリアミド樹脂との相溶性が良く、ポリアミド樹脂とブレンドしたり、多層成形加工することが可能である。ブレンドして用いた場合にはポリアミド樹脂の耐衝撃性、弾性、柔軟性などを改善することができる。
【0029】
本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマーにおいて、成形直後の応力緩和は、好ましくは2.5以上、さらに好ましくは2.8以上、より好ましくは2.8〜12、特に好ましくは3〜8が好ましい。
本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマーにおいて、100℃・30日処理後の応力緩和をtとし、成形直後の応力緩和をtとすると、(t/t)の値は、好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.7以上、より好ましくは0.7〜0.95、特に好ましくは0.7〜0.9が好ましい。
【0030】
本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマーにおいて、成形直後のYIをYとすると、Yの値は、好ましくは9.5以下、さらに好ましくは9.2以下、より好ましくは9以下、特に好ましくは8.8以下が好ましい。
本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマーにおいて、50℃・60日処理後のYIをYとし、成形直後のYIをYとすると、(Y−Y)の値は、好ましくは25以下、さらに好ましくは20以下、より好ましくは18以下、特に好ましくは17以下が好ましい。
本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマーにおいて、80℃・60日処理後のYIをYとし、成形直後のYIをYとすると、(Y−Y)の値は、好ましくは80以下、さらに好ましくは60以下、より好ましくは50以下、特に好ましくは40以下が好ましい。
本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマーにおいて、80℃・60日処理後のYIをYとし、成形直後のYIをYとすると、(Y/Y)の値は、好ましくは10以下、さらに好ましくは9以下、より好ましくは8以下、特に好ましくは7.5以下が好ましい。
【0031】
本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマーにおいて、成形直後の伸長回復率は、好ましくは78%以上、さらに好ましくは80%以上、より好ましくは81%以上、特に好ましくは82%以上が好ましい。
【0032】
本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマーにおいて、成形直後の弾性率は、好ましくは205MPa以下、さらに好ましくは202MPa以下、より好ましくは200MPa以下、特に好ましくは50〜200MPaが好ましい。
【0033】
本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマーにおいて、成形直後の降伏点強度は、好ましくは18MPa以下、さらに好ましくは17MPa以下、より好ましくは16MPa以下、特に好ましくは5〜15MPaが好ましい。
本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマーにおいて、100℃・30日処理後の降伏点強度は、好ましくは18MPa以下、さらに好ましくは17MPa以下、より好ましくは16MPa以下、特に好ましくは5〜15MPaが好ましい。
【0034】
本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマーにおいて、成形直後の破断伸びは、好ましくは200%以上、さらに好ましくは300%以上、より好ましくは400%以上、特に好ましくは450%以上が好ましい。
本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマーにおいて、100℃・30日処理後の破断伸びは、好ましくは200%以上、さらに好ましくは300%以上、より好ましくは350%以上、特に好ましくは400%以上が好ましい。
【0035】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
特性値は次のようにして測定した。
【0036】
1)相対粘度(ηr)(0.5重量/容量%メタクレゾール溶液、25℃):
試薬特級品のm−クレゾールを溶媒として、5g/dmの濃度で、オストワルド粘度計を用いて25℃で測定した。
【0037】
2)末端カルボキシル基濃度([COOH]):
重合物約1gに40mlのベンジルアルコールを加え、窒素ガス雰囲気で加熱溶解し、得られた試料溶液に指示薬としてフェノールフタレインを加えて、N/20水酸化カリウム−エタノール溶液で滴定した。
【0038】
3)末端アミノ基濃度([NH]):
重合物約1gを40mlのフェノール/メタノール混合溶媒(容量比:9/1)に溶解し、得られた試料溶液に指示薬としてチモールブルーを加えて、N/20塩酸で滴定した。
【0039】
4)数平均分子量(Mn):
数平均分子量(Mn)は、末端カルボキシル基濃度([COOH])及び末端アミノ基濃度([NH])を用い、式(1)により求めた。
【数1】
Figure 0004082046
【0040】
5)融点(Tm)及び結晶化温度(Tc):
Tm及びTcは(株)島津製作所製示差走査熱量計DSC−50を用いて窒素雰囲気下で測定した。室温から230℃まで10℃/分の速度で昇温し(昇温ファーストランと呼ぶ)、230℃で10分保持したのち、−100℃まで10℃/分の速度で降温し(降温ファーストランと呼ぶ)、次に230℃まで10℃/分の速度で昇温した(昇温セカンドランと呼ぶ)。得られたDSCチャートから降温ファーストランの発熱ピーク温度をTc、昇温セカンドランの吸熱ピーク温度をTmとした。
【0041】
6)組成:
重トリフロロ酢酸を溶媒として、4重量%の濃度で、日本電子(株)製JNM−EX400WB型FT−NMRを用いて、室温で測定したプロトンNMRスペクトルから各成分の組成を求めた。
【0042】
7)応力緩和:
厚さ約100μmのフィルムからJIS3号ダンベルを用いて切り出した試料を引張試験機のチャックに、チャック間距離50mmで挟み、500mm/分の速度で延伸し、試料中央部直線部分の2%に当たる0.4mmを延伸したところで止めて、その状態を保ったまま応力の変化を測定した。2%延伸時の初期応力(σ)とt時間後の応力(σ)との比(σ/σ)が、0.9になる時間(t0.9)を測定した。t0.9が大きくなるほど緩和しにくく、ゴム弾性が優れる。測定は、温度23℃で行った。
厚さ約100μmのフィルムは、圧縮成形法により製造した。
【0043】
8)伸長回復率:
厚さ約100μmのフィルムからJIS3号ダンベルを用いて切り出した試料を引張試験機のチャックにチャック間距離50mmで挟み、100mm/分の速度で延伸し、試料中央部直線部分の20%に当たる4mmを延伸したところで直ちに同じ速度で元に戻し、応力が0になった時のチャック間距離r(mm)を測定し、式(2)により伸長回復率を求めた。伸長回復率が大きいほどゴム弾性に優れる。測定は、温度23℃で行った。厚さ約100μmのフィルムは、圧縮成形法により製造した。
【数2】
Figure 0004082046
【0044】
9)引張物性:
厚さ約100μmのフィルムから切り出した長さ100mm、幅10mmの短冊を試料とし、チャック間距離50mm、引張速度500mm/分で破断まで引張り試験を行い、弾性率、降伏点強度及び破断伸びを測定した。測定は、温度23℃で行った。
厚さ約100μmのフィルムは、圧縮成形法により製造した。
【0045】
10)耐熱性:
厚さ約100μmのフィルムを100℃のオーブン中にて30日熱処理したのち、前記方法により、t0.9、伸長回復率及び、引張り物性を測定した。
厚さ約100μmのフィルムは、圧縮成形法により製造した。
【0046】
11)耐黄変性:
厚さ約100μmのフィルムを50及び80℃のオーブン中にて60日熱処理したのち、スガ試験機製SMカラーコンピューターSM−5−1S−2Bを用いて黄変度(YI)を測定した。YIは厚さ1mmに補正した。
厚さ約100μmのフィルムは、圧縮成形法により製造した。
【0047】
[実施例1]
攪拌機及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に12−アミノドデカン酸(宇部興産社製)25.000重量部及びアジピン酸3.190重量部を仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを50ml/分で流しながら200℃で1時間加熱し、次に1時間かけて240℃とし、さらに240℃で4時間加熱し、重合を終了した。重合物の末端基濃度は、[COOH]=167.28×10−5eq/g、[NH]=0eq/gであり、数平均分子量(Mn)=1195.6の両末端カルボキシル基のナイロン12オリゴマーを得た。
このオリゴマー16.316重量部、ポリカーボネートジオール(宇部興産社製、商品名:ETERNACOLL H100)13.825重量部及びテトラブチルチタネート0.1重量部を攪拌機及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを50ml/分で流しながら210℃で3時間加熱し、次に徐々に減圧を行い、1時間かけて約30Paとし、2時間重合を行った後、さらに30分かけて昇温、減圧を行い、230℃で約10Paで2時間重合を行い終了した。
得られた重合物は白色柔軟で強靭なポリマーであり、ηr=1.50、Tm=151.1℃、Tc=111.8℃であった。ポリマー組成は、PA12/PCD/AA=48.3/46.5/5.2(重量%)(ただし、PA12、PCD及びAAはポリマー中の各成分を表し、PA12はナイロン12単位を、PCDはポリカーボネートジオール単位を、AAはアジピン酸単位をそれぞれ表す)であった。
続いて、重合物に酸化防止剤としてトミノックス(吉富製薬社製)917を1000ppm添加して、230℃で10MPaで圧縮成形し、厚さ約100μmのフィルムを得た。このフィルムの成形直後及び熱処理後のt0.9、伸長回復率、引張物性及びYIを表1に示す。
【0048】
[実施例2]
攪拌機及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に12−アミノドデカン酸(宇部興産社製)66.024重量部及びアジピン酸4.483重量部を仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを50ml/分で流しながら200℃で1時間加熱し、次に1時間かけて240℃とし、さらに240℃で3時間加熱し、重合を終了した。重合物の末端基濃度は、[COOH]=105.66×10 eq/g、[NH]=0.10×10−5eq/gであり、数平均分子量(Mn)=1891.1の両末端カルボキシル基のナイロン12オリゴマーを得た。
このオリゴマー19.735重量部、ポリカーボネートジオール(宇部興産社製、商品名:ETERNACOLL H100)10.542重量部及びテトラブチルチタネート0.1重量部を攪拌機及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを50ml/分で流しながら210℃で3時間加熱し、次に徐々に減圧を行い、30分で約10Paとし、2.5時間重合を行った後、さらに30分かけて昇温、減圧を行い、230℃−約5Paで1.25時間重合を行い終了した。
得られた重合物は白色柔軟で強靭なポリマーであり、ηr=1.61、Tm=163.1℃、Tc=130.5℃であった。ポリマー組成は、PA12/PCD/AA=54.9/40.6/4.5(重量%)(ただし、PA12、PCD及びAAはポリマー中の各成分を表し、PA12はナイロン12単位を、PCDはポリカーボネートジオール単位を、AAはアジピン酸単位をそれぞれ表す)であった。
続いて、重合物に酸化防止剤としてトミノックス(吉富製薬社製)917を1000ppm添加して、230℃−10MPaで圧縮成形し、厚さ約100μmのフィルムを得た。このフィルムの成形直後及び熱処理後のt0.9、伸長回復率、引張物性及びYIを表1に示す。
【0049】
[実施例3]
攪拌機及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に12−アミノドデカン酸(宇部興産社製)35.000重量部及びアジピン酸3.422重量部を仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを50ml/分で流しながら200℃で1時間加熱し、次に1時間かけて240℃とし、さらに240℃で4時間加熱し、重合を終了した。重合物の末端基濃度は、[COOH]=132.00×10−5eq/g、[NH]=0eq/gであり、数平均分子量(Mn)=1515.2の両末端カルボキシル基のナイロン12オリゴマーを得た。
このオリゴマー18.003重量部、ポリカーボネートジオール(宇部興産社製、商品名:ETERNACOLL H100)12.042重量部及びテトラブチルチタネート0.1重量部を攪拌機及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを50ml/分で流しながら200℃で1時間加熱し、20分かけて220℃まで昇温した後1時間加熱し、続いて30分で約5Paまで減圧し、1.5時間重合を行った後、さらに20分かけて昇温、減圧を行い、230℃−約3Paで2.2時間重合を行い終了した。
得られた重合物は白色柔軟で強靭なポリマーであり、ηr=1.83であった。ポリマー組成は、PA12/PCD/AA=60.9/35.2/3.9(重量%)(ただし、PA12、PCD及びAAはポリマー中の各成分を表し、PA12はナイロン12単位を、PCDはポリカーボネートジオール単位を、AAはアジピン酸単位をそれぞれ表す)であった。
続いて、重合物に酸化防止剤としてトミノックス(吉富製薬社製)917を1000ppm添加して、230℃−10MPaで圧縮成形し、厚さ約100μmのフィルムを得た。このフィルムの成形直後及び熱処理後のt0.9、伸長回復率、引張物性及びYIを表1に示す。
【0050】
[実施例4]
攪拌機及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に12−アミノドデカン酸(宇部興産社製)15.006重量部、ポリカーボネートジオール(宇部興産社製、商品名:ETERNACOLL H200)14.021重量部及びアジピン酸1.022重量部を仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを50ml/分で流しながら200℃で2時間加熱し、次に1時間かけて220℃とし、2時間加熱後30分かけて約7Paまで減圧し、1.5時間重合を行った後、さらに30分かけて昇温、減圧を行い、230℃−約5Paで2時間重合を行い終了した。
得られた重合物は白色柔軟で強靭なポリマーであり、ηr=1.60、Tm=162.9℃、Tc=128.2℃であった。ポリマー組成は、PA12/PCD/AA=48.0/49.2/2.8(重量%)(ただし、PA12、PCD及びAAはポリマー中の各成分を表し、PA12はナイロン12単位を、PCDはポリカーボネートジオール単位を、AAはアジピン酸単位をそれぞれ表す)であった。
続いて、重合物に酸化防止剤としてトミノックス(吉富製薬社製)917を1000ppm添加して、230℃−10MPaで圧縮成形し、厚さ約100μmのフィルムを得た。このフィルムの成形直後及び熱処理後のt0.9、伸長回復率、引張物性及びYIを表1に示す。
【0051】
[実施例5]
実施例2で用いた数平均分子量(Mn)=1891.1の両末端カルボキシル基のナイロン12オリゴマー17.527重量部、ポリカーボネートジオールとして、Mn=1010のポリ(1,6−ヘキサンジオールカーボネート)6.271重量部、Mn=2040のポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオールカーボネート)6.241重量部及びテトラブチルチタネート0.1重量部を攪拌機、窒素ガス導入口及び縮合水トラップを備えた容器に仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを50ml/分で流しながら200℃で1時間加熱し、次に20分かけて220℃まで昇温した後1時間加熱し、続いて10分で約8Paまで減圧し、1.1時間重合を行った後、さらに20分かけて昇温、減圧を行い、230℃−約3Paで2時間重合を行い終了した。
得られた重合物は白色柔軟で強靭なポリマーであり、ηr=1.87であった。ポリマー組成は、PA12/UH/UHP/AA=54.4/21.1/21.0/3.5(重量%)(ただし、PA12、UH、UHP及びAAはポリマー中の各成分を表し、PA12はナイロン12単位を、UHはポリ(1,6−ヘキサンジオールカーボネート)単位を、UHPはポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオールカーボネート)単位を、AAはアジピン酸単位をそれぞれ表す)であった。
続いて、重合物に酸化防止剤としてトミノックス(吉富製薬社製)917を1000ppm添加して、230℃−10MPaで圧縮成形し、厚さ約100μmのフィルムを得た。このフィルムの成形直後及び熱処理後のt0.9、伸長回復率、引張物性及びYIを表1に示す。
【0052】
参考例1
圧力計、窒素ガス導入口及び放圧口を備えたオートクレーブに宇部興産(株)製ラウロラクタム25.002重量部、ドデカン二酸4.758重量部及び水5重量部を仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、270℃で10時間重合を行った。圧力は2MPaであった。重合物の末端基濃度は、[COOH]=139.43×10−5eq/g、[NH]=0.13eq/gであり、数平均分子量(Mn)=1433.1の両末端カルボキシル基のナイロン12オリゴマーを得た。このオリゴマー17.403重量部、ポリカーボネートジオール(宇部興産社製、商品名:ETERNACOLL H100)12.253重量部及びテトラブチルチタネート0.1重量部を攪拌機、窒素ガス導入口及び縮合水トラップを備えた容器に仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを50ml/分で流しながら200℃で1時間加熱し、次に30分かけて220℃まで昇温した後、1時間加熱し、続いて30分で約8Paまで減圧し、1.5時間重合を行った後、さらに20分かけて昇温、減圧を行い、230℃、約5Paで3時間重合を行い終了した。得られた重合物は白色柔軟で強靭なポリマーであり、ηr=1.78であった。ポリマー組成は、PA12/PCD/DDA=50.3/41.8/7.9(重量%)(ただし、PA12、PCD及びDDAはポリマー中の各成分を表し、PA12はナイロン12単位を、PCDはポリカーボネートジオール単位を、DDAはドデカン二酸単位をそれぞれ表す)であった。続いて、重合物に酸化防止剤としてトミノックス(吉富製薬社製)917を1000ppm添加して、230℃−10MPaで圧縮成形し、厚さ約100μmのフィルムを得た。このフィルムの成形直後及び熱処理後のt0.9、伸長回復率、引張物性及びYIを表1に示す。
【0053】
[比較例1]
攪拌機及び窒素ガス導入口備えた反応容器に12−アミノドデカン酸(宇部興産社製)30.000重量部を仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを50ml/分で流しながら190℃で1時間加熱し、次に1時間かけて250℃とし、さらに250℃で5時間加熱し、ηr=2.18のナイロン12を得た。
続いて、重合物に酸化防止剤としてトミノックス(吉富製薬社製)917を1000ppm添加して、230℃−10MPaで圧縮成形し、厚さ約100μmのフィルムを得た。このフィルムは、t0.9=0.48s、伸長回復率=73%であった。
【0054】
[比較例2]
攪拌機及び窒素ガス導入口備えた反応容器に12−アミノドデカン酸(宇部興産社製)25.000重量部及びドデカン二酸4.723重量部を仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを50ml/分で流しながら200℃で1時間加熱し、次に1時間かけて240℃とし、さらに240℃で4時間加熱し、重合を終了した。重合物の末端基濃度は、[COOH]=148.37×10−5eq/g、[NH]=0eq/gであり、数平均分子量(Mn)=1348.0の両末端カルボキシル基のナイロン12オリゴマーを得た。
このオリゴマー17.406重量部、Mn=989のポリテトラメチレングリコール12.768重量部及びテトラブチルチタネート0.1重量部を攪拌機及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを50ml/分で流しながら240℃で3時間加熱し、次に1時間かけて昇温、減圧し、270℃−400Paで4時間重合を行った。
得られた重合物は白色柔軟で強靭なポリマーであり、ηr=1.71、Tm=157.1℃、Tc=122.3℃であった。ポリマー組成は、PA12/PTMG/DDA=49.8/42.9/7.3(重量%)(ただし、PA12、PTMG及びDDAはポリマー中の各成分を表し、PA12はナイロン12単位を、PTMGはポリテトラメチレングリコール単位を、DDAはドデカン二酸単位をそれぞれ表す)であった。
続いて、重合物に酸化防止剤としてトミノックス(吉富製薬社製)917を1000ppm添加して、230℃−10MPaで圧縮成形し、厚さ約100μmのフィルムを得た。このフィルムの成形直後及び熱処理後のt0.9、伸長回復率、引張物性及びYIを表1に示す。
【0055】
[比較例3]
攪拌機及び窒素ガス導入口備えた反応容器に12−アミノドデカン酸(宇部興産社製)30.005重量部及びアジピン酸2.485重量部を仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを50ml/分で流しながら200℃で1時間加熱し、次に1時間かけて240℃とし、さらに240℃で4時間加熱し、重合を終了した。重合物の末端基濃度は、[COOH]=113.41×10−5eq/g、[NH]=0eq/gであり、数平均分子量(Mn)=1763.5の両末端カルボキシル基のナイロン12オリゴマーを得た。
このオリゴマー19.600重量部、Mn=989のポリテトラメチレングリコール10.992重量部及びテトラブチルチタネート0.1重量部を攪拌機及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを50ml/分で流しながら200℃で3時間加熱し、続いて10分で約130Paまで減圧し、1時間重合を行った後、10Paまで減圧して1時間重合を行った。さらに20分かけて昇温し、240℃−約10Paで3時間重合を行い終了した。
得られた重合物は白色柔軟で強靭なポリマーであり、ηr=2.07、Tm=160.2℃、Tc=125.3℃であった。ポリマー組成は、PA12/PTMG/AA=59.6/36.3/4.1(重量%)(ただし、PA12、PTMG及びAAはポリマー中の各成分を表し、PA12はナイロン12単位を、PTMGはポリテトラメチレングリコール単位を、AAはアジピン酸単位をそれぞれ表す)であった。
続いて、重合物に酸化防止剤としてトミノックス(吉富製薬社製)917を1000ppm添加して、230℃−10MPaで圧縮成形し、厚さ約100μmのフィルムを得た。このフィルムの成形直後及び熱処理後のt0.9、伸長回復率、引張物性及びYIを表1に示す。
【0056】
[比較例4]
窒素ガス導入口及び圧力計を備えた80mlのステンレス鋼製圧力容器にイソフタル酸とヘキサメチレンジアミンから得られるナイロン塩15.000重量部、イソフタル酸2.113重量部、ポリカーボネートジオール(宇部興産社製、商品名:ETERNACOLL H100)12.887重量部及び水3.75重量部を仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、230℃で6時間加熱したのち、容器のまま室温の水槽につけて冷却し、重合を終了した。得られた重合物は白色半透明粘性の高い液状であった。
この重合物25.000重量部及びテトラブチルチタネート0.025重量部を攪拌機及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを50ml/分で流しながら210℃で3時間加熱し、次に徐々に減圧を行い、1時間かけて約30Paとし、2時間重合を行った後、さらに30分かけて昇温、減圧を行い、230℃−約10Paで2時間重合を行い終了した。
得られた重合物は無色透明で強靭なポリマーであり、ηr=1.60、であった。
続いて、重合物に酸化防止剤としてトミノックス(吉富製薬社製)917を1000ppm添加して、230℃−10MPaで圧縮成形し、厚さ約100μmのフィルムを得た。このフィルムを用いてt0.9、伸長回復率及び引張り物性を評価し、結果を表1に示す。
【0057】
[比較例5]
窒素ガス導入口及び圧力計を備えた80mlのステンレス鋼製圧力容器に等モルのメタキシリレンジアミンとアジピン酸から得られるナイロン塩15.000重量部、アジピン酸1.891重量部、ポリカーボネートジオール(宇部興産社製、商品名:ETERNACOLL H100)13.109重量部及び水3.75重量部を仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、230℃で6時間加熱したのち、容器のまま室温の水槽につけて冷却し、重合を終了した。得られた重合物は白色半透明粘性の高い液状であった。
この重合物25.000重量部及びテトラブチルチタネート0.02重量部を攪拌機及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを50ml/分で流しながら210℃で3時間加熱し、次に徐々に減圧を行い、1時間かけて約30Paとし、2時間重合を行った後、さらに30分かけて昇温、減圧を行い、230℃、約10Paで2時間重合を行い終了した。
得られた重合物は無色透明で強靭なポリマーであり、ηr=1.71、であった。
続いて、重合物に酸化防止剤としてトミノックス(吉富製薬社製)917を1000ppm添加して、230℃−10MPaで圧縮成形し、厚さ約100μmのフィルムを得た。このフィルムを用いてt0.9、伸長回復率及び引張り物性を評価し、結果を表1に示す。
【0058】
実施例及び比較例で用いたポリカーボネートジオール(宇部興産社製、商品名:ETERNACOLL H100、ETERNACOLL H200)を一般式(4)に示す。実施例及び比較例で用いたETERNACOLL H100及びETERNACOLL H200のnは、それぞれ6.1及び13.1である。
【化7】
Figure 0004082046
【0059】
【表1】
Figure 0004082046
【0060】
【発明の効果】
本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマーは、脂肪族ポリアミドをハードセグメント、脂肪族系ポリカーボネートをソフトセグメントとすることにより、優れた柔軟性、回復・反発弾性、耐熱性、耐黄変性を有する。
特に、本発明の脂肪族ポリアミド系エラストマーは、ポリアミド12をハードセグメント、脂肪族ポリカーボネートをソフトセグメントとすることにより、優れた柔軟性、回復・反発弾性、耐熱性、耐黄変性を有する。

Claims (3)

  1. 12−アミノドデカン酸(A)からなる単位、ポリカーボネートジオール(B)からなる単位、及びジカルボン酸(C)からなる単位を含有するポリアミド系エラストマーであって、
    前記ポリカーボネートジオール(B)からなる単位が、下記一般式(2)で表されるポリカーボネートジオール(B)からなる単位であり、
    前記ジカルボン酸(C)からなる単位が、下記一般式(3)で表されるジカルボン酸(C)からなる単位であることを特徴とするポリアミド系エラストマー。
    Figure 0004082046
    (ここで、R は炭素数5〜8の脂肪族の炭化水素の直鎖の分子鎖又は分岐した分子鎖を示し、nは2〜60を示す。)
    Figure 0004082046
    (ここで、R は炭素数2〜15の脂肪族の炭化水素の分子鎖を示す。)
  2. ポリアミド系エラストマーの相対粘度が1.2〜3.5(0.5重量/容量%メタクレゾール溶液、25℃)であることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド系エラストマー。
  3. 請求項1又は2に記載のポリアミド系エラストマーの製造方法。
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