JP4196759B2 - 芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体及びその製造方法 - Google Patents

芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱可塑性エラストマーとしての性質を有し、耐熱性、耐加水分解性、機械特性に優れた芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体、特に繊維、フィルム、シートブーツ、ギヤ、チューブ、パッキンなどの各種成形材料に適した芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、リサイクル性、省エネルギー性の観点から、熱可塑性エラストマーによる架橋ゴム代替が進んでいる。熱可塑性エラストマーは、ゴム弾性に富むソフトセグメントと分子鎖拘束相となるハードセグメントから構成され、ハードセグメントの種類の異なる各種熱可塑性エラストマーが開発、上市されている。なかでも、ポリアミド系、ポリエステル系熱可塑性エラストマーは耐熱性、耐油性に優れた熱可塑性エラストマーとして自動車部品、電気・電子部品、工業用部品等に幅広く用いられている。
【0003】
一方、ポリラクトンは樹脂原料、樹脂改質材、粘接着剤、塗料、電子材料、医療材料等、幅広い産業分野で用いられている材料であり、水酸基やアミノ基等の活性水素を有する有機化合物を開始剤とし、触媒の存在下、ラクトン化合物を開環重合することにより製造される。開始剤や触媒を選択することにより、ポリラクトンの分子量分布や結晶性を制御でき、用途に応じた多種多様のポリラクトンを製造することができる。例えば、分子量1万以上のポリラクトンは、樹脂改質材、ホットメルト接着剤、さらにはその生分解性を活かした医療材料、各種成形材料として用いられている。一方、分子量1万未満のポリラクトンは、ポリウレタン、ポリエステル、塗料の原料として用いられており、ポリウレタン系、ポリエステル系エラストマーのソフトセグメントとしても有用である。
【0004】
熱可塑性エラストマーの耐熱性向上の要求に対応して、ポリカプロラクトンをソフトセグメントとする新しいタイプの熱可塑性エラストマーとその製造方法が提案されている。例えば液晶性を示すオリゴマーである4,4’−ジヒドロキシ−p−クォーターフェニルを開始剤としてε−カプロラクトンの開環重合を行うことによりポリカプロラクトンを製造する方法(例えば特許文献1参照。)、また、該ポリカプロラクトンとビス−2−ヒドロキシエチルアジペートとのエステル交換反応を行うことにより液晶性オリゴマーをハードセグメント、ポリカプロラクトンをソフトセグメントとする低硬度かつ耐熱性に優れた熱可塑性エラストマーを製造する方法(例えば特許文献2参照。)。
【0005】
また、高結晶性、高融点の活性末端芳香族アミド化合物とポリカプロラクトンジオールの反応により、耐熱老化性に優れたエステルアミドブロック共重合体を製造する方法(例えば特許文献3参照。)が提案されている。
【0006】
さらに、4,4’−ジアミノジフェニルメタンのようなアミン化合物によりラクトンを開環重合させた後、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートにより鎖延長、架橋することにより高強度でゴム弾性に優れたポリアミド系エラストマーを製造する方法(例えば特許文献4参照。)が提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平02−311523号公報
【特許文献2】
特開平02−276817号公報
【特許文献3】
特開平08−134210号公報
【特許文献4】
特開2000−302864号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献2に提案された方法は、反応温度が非常に高いためポリカプロラクトンの熱分解や解重合を来しやすく、その結果、高分子量体の製造が困難であるばかりかポリカプロラクトンの連鎖長が不均一となるため機械特性の悪化を招く恐れがある。
【0009】
また、特許文献3に提案された方法は、均質な構造をもつ高分子量のエステルアミドブロック共重合体の合成が可能であるが、活性末端アミド化合物の合成ルートが3段階と煩雑であり、その収率も低く製造コストの面で課題を有する。さらに特許文献4に提案された方法で得られるエラストマーは耐熱性の面で課題を有する。
【0010】
以上のように、均質な構造を有する耐熱性、機械特性に優れた熱可塑性エラストマーが望まれているものの、その製造は極めて困難であった。
【0011】
そこで、本発明は、このような事情に鑑み、低硬度領域を含む幅広い硬度範囲において、耐熱性、耐加水分解性、機械特性に優れた熱可塑性エラストマーとしての性質を有する芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体及びその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討した結果、ハードセグメントに芳香族オリゴアミド単位、ソフトセグメントにポリラクトン単位を用いた芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体が耐熱性、耐加水分解性、機械特性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で示される芳香族アミド単位を含有するポリラクトン成分単位及び下記一般式(2)〜(4)で示される群から選ばれる少なくとも一種以上の鎖延長剤成分単位からなることを特徴とする芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体及びその製造方法に関するものである。
【0014】
【化7】
Figure 0004196759
(ここで、R1、R2は、それぞれ独立して炭素数1〜20の2価の炭化水素基、R3、R4は、それぞれ独立して炭素数2〜20の2価の脂肪族炭化水素基、p、qはそれぞれ独立して1以上の実数を示す。)
【0015】
【化8】
Figure 0004196759
(ここで、R5は二価の有機基を示す。)
【0016】
【化9】
Figure 0004196759
(ここで、R6は炭素数2以上の二価の炭化水素基を示す。)
【0017】
【化10】
Figure 0004196759
(ここで、R7はカルボニル基又は二価の有機基を示す。)
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明の芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体は、上記一般式(1)で示される芳香族アミド単位を含有するポリラクトン成分単位及び上記一般式(2)〜(4)で示される群から選ばれる少なくとも一種以上の鎖延長剤成分単位からなる芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体である。
【0019】
ここで、一般式(1)で示されるポリラクトン成分単位のR1およびR2は、それぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基であり、該炭化水素基としては直鎖状又は分岐状であってもよく、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、2,2−ジメチルトリメチレン基、ヘキサメチレン基、2−メチルヘプタメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、1,4−シクロヘキシレン基、2−ベンジル基、3−ベンジル基、4−ベンジル基、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等を挙げることができ、なかでも得られる芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体が特に耐熱性、耐加水分解性、機械特性に優れることからメチレン基、エチレン基、テトラメチレン基が好ましく、特にエチレン基が好ましい。
【0020】
一般式(1)中のR3およびR4は、それぞれ独立して炭素数2〜20の2価の脂肪族炭化水素基であり、該脂肪族炭化水素基としては直鎖状または分岐状であってもよく、例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基等の炭素数2〜20のアルキレン基またはこれらにメチル基等のアルキル置換基が1個以上結合したものが挙げられ、なかでも芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体を熱可塑性エラストマーとする際にはペンタメチレン基が好ましい。
【0021】
一般式(1)中のp、qは、それぞれ1以上の実数であり、通常1〜5000であり、芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体を熱可塑性エラストマーとする際には2〜100が好ましく、特に4〜50であることが好ましい。
【0022】
また、本発明の芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体は、もう一方の構成成分として、上記一般式(2)〜(4)で示される群から選ばれる少なくとも一種以上の鎖延長剤成分単位からなるものである。
【0023】
ここで、一般式(2)で示される鎖延長剤成分単位は2価のカルボニル有機化合物基からなる鎖延長成分単位を示し、R5は二価の有機基であり、例えばアリーレン基、置換アリーレン基、アルキレン基、置換アルキレン基等が挙げられ、該置換基にヘテロ原子を含有していてもよい。該有機基の具体例としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基等のアルキレン基;1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、2,6−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基、ビフェニレン基等のアリーレン基等が挙げられ、その中でも特に耐熱性に優れた芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体となることから1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基が好ましい。
【0024】
また、一般式(2)で示される鎖延長剤成分単位の具体例としては、例えば;マロニル基、サクシニル基、グルタニル基、アジポイル基、ピメロイル基、スベロイル基、アゼラロイル基、セバコイル基等の脂肪族ジカルボン酸残基;フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、2,6−ナフタレンジカルボニル基、1,5−ナフタレンジカルボニル基、2,7−ナフタレンジカルボニル基、4,4’−ビフェニレンジカルボニル基等のアリーレンジカルボン酸残基、ピロメリット酸二無水物残基、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物残基、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物残基、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物残基等のカルボン酸二無水物残基等を挙げることができ、なかでも特に耐熱性に優れた芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体となることから、イソフタロイル基、テレフタロイル基が好ましい。
【0025】
一般式(3)で示される鎖延長剤成分単位は2価のアミド有機化合物基からなる鎖延長成分単位であり、一般式(3)中のR6は炭素数2以上の二価の炭化水素基を示し、該炭化水素基としては、例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基等のアルキレン基;1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、2,6−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基等のアリーレン基;これらのアルキル置換体;メチレン基もしくはアルキレン基とアリーレン基とが結合した置換基等を挙げることができ、その中でも特に耐熱性に優れた芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体となることから、4,4’−ジフェニルメタン基、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、キシリレン基、ヘキサメチレン基、これらのメチル置換体が好ましい。
【0026】
また、一般式(3)で示される鎖延長剤成分単位の具体例としては、例えば;1,2−エタンジカルバモイル基、1,3−プロパンジカルバモイル基、1,4−ブタンジカルバモイル基、1,5−ペンタンジカルバモイル基、1,6−ヘキサンジカルバモイル基、1,7−ヘプタンジカルバモイル基、1,8−オクタンジカルバモイル基、1,9−ノナンジカルバモイル基、1,10−デカンジカルバモイル基等のアルキレンジカルバモイル基;1,2−フェニルジカルバモイル基、1,3−フェニルジカルバモイル基、1,4−フェニルジカルバモイル基、2,6−ナフタレンジカルバモイル基、1,5−ナフタレンジカルバモイル基、2,7−ナフタレンジカルバモイル基等のアリーレンジカルバモイル基;これらのアルキル置換体;メチレン基もしくはアルキレン基とアリーレン基とが結合したジカルバモイル置換基等を挙げることができ、その中でも特に耐熱性に優れた芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体となることから、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルバモイル基、1,2−フェニルジカルバモイル基、1,3−フェニルジカルバモイル基、1,4−フェニルジカルバモイル基、キシリレンジカルバモイル基、1,6−ヘキサンジカルバモイル基、これらのメチル置換体が好ましい。
【0027】
一般式(4)で示される鎖延長剤成分単位はカルボニル基又は二価の有機基からなる鎖延長剤成分単位であり、一般式(4)中のR7はカルボニル基又は二価の有機基を示す。該二価の有機基としては、例えばアリーレン基、置換アリーレン基、アルキレン基、置換アルキレン基、該置換基にヘテロ原子を含有していてもよい。該有機基の具体例としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基等のアルキレン基;1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、2,6−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基、ビフェニレン基等のアリーレン基;テレフタル酸ジグリシジルエステル残基等のジカルボン酸のジグリシジルエステル化合物残基、p−フェニレンジグリシジルエーテル等のジグリシジルエーテル化合物残基等を挙げることができる。
【0028】
本発明の芳香族アミド−ポリラクトン系共重合体の製造方法としては、該芳香族アミド−ポリラクトン系共重合体の製造が可能であれば如何なる方法を用いてもよく、例えば下記一般式(5)で示されるジヒドロキシ芳香族アミド化合物の存在下、下記一般式(6)で示されるラクトン化合物を加熱開環重合し、得られるポリラクトン及び鎖延長剤を反応することにより製造することができる。
【0029】
【化11】
Figure 0004196759
(ここで、R8およびR9は、それぞれ独立して炭素数1〜20の2価の炭化水素基を示す。)
【0030】
【化12】
Figure 0004196759
(ここで、R10は、炭素数2〜20の2価の脂肪族炭化水素基を示す。)
上記一般式(5)で示されるジヒドロキシ芳香族アミド化合物を構成するR8およびR9は、それぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基であり、該炭化水素基としては直鎖状又は分岐状であってもよく、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、2,2−ジメチルトリメチレン基、ヘキサメチレン基、2−メチルヘプタメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、1,4−シクロヘキシレン基、2−ベンジル基、3−ベンジル基、4−ベンジル基、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等を挙げることができ、なかでもメチレン基、エチレン基、テトラメチレン基が好ましく、特にエチレン基が好ましい。該ジヒドロキシ芳香族アミド化合物としては、例えばN,N’−ビス(4−(ヒドロキシメチルカルバモイル)フェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(4−(2−ヒドロキシエチルカルバモイル)フェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(4−(3−ヒドロキシプロピルカルバモイル)フェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(4−(4−ヒドロキシブチルカルバモイル)フェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(4−(5−ヒドロキシペンチルカルバモイル)フェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(4−(6−ヒドロキシヘキシルカルバモイル)フェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(3−(ヒドロキシメチルカルバモイル)フェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(3−(2−ヒドロキシエチルカルバモイル)フェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(3−(3−ヒドロキシプロピルカルバモイル)フェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(3−(4−ヒドロキシブチルカルバモイル)フェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(3−(5−ヒドロキシペンチルカルバモイル)フェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(3−(6−ヒドロキシヘキシルカルバモイル)フェニル)テレフタルアミド、N,N’−ビス(4−(ヒドロキシメチルカルバモイル)フェニル)イソフタルアミド、N,N’−ビス(4−(2−ヒドロキシエチルカルバモイル)フェニル)イソフタルアミド、N,N’−ビス(4−(3−ヒドロキシプロピルカルバモイル)フェニル)イソフタルアミド、N,N’−ビス(4−(4−ヒドロキシブチルカルバモイル)フェニル)イソフタルアミド、N,N’−ビス(4−(5−ヒドロキシペンチルカルバモイル)フェニル)イソフタルアミド、N,N’−ビス(4−(6−ヒドロキシヘキシルカルバモイル)フェニル)イソフタルアミド、N,N’−ビス(3−(ヒドロキシメチルカルバモイル)フェニル)イソフタルアミド、N,N’−ビス(3−(2−ヒドロキシエチルカルバモイル)フェニル)イソフタルアミド、N,N’−ビス(3−(3−ヒドロキシプロピルカルバモイル)フェニル)イソフタルアミド、N,N’−ビス(3−(4−ヒドロキシブチルカルバモイル)フェニル)イソフタルアミド、N,N’−ビス(3−(5−ヒドロキシペンチルカルバモイル)フェニル)イソフタルアミド、N,N’−ビス(3−(6−ヒドロキシヘキシルカルバモイル)フェニル)イソフタルアミド等を挙げることができる。なかでも得られる芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体が熱可塑性エラストマーとしての特性に優れることから、N,N’−ビス(4−(2−ヒドロキシエチルカルバモイル)フェニル)イソフタルアミド、N,N’−ビス(4−(2−ヒドロキシエチルカルバモイル)フェニル)テレフタルアミドが好ましい。該ジヒドロキシ芳香族アミド化合物は、例えば特願2003−085773号に記載の製造方法により製造することも可能である。
【0031】
一般式(6)で示されるラクトン化合物を構成するR10としては、炭素数2〜20の2価の脂肪族炭化水素基であり、該脂肪族炭化水素基としては直鎖状または分岐状であってもよく、例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基等の炭素数2〜20のアルキレン基またはこれらにメチル基等のアルキル置換基が1個以上結合したものが挙げられ、なかでもポリラクトンを熱可塑性エラストマーの前駆体とする際にはペンタメチレン基が好ましい。該ラクトン化合物としては、例えばβ−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、ζ−エナントラクトン、η−カプリロラクトン、またはこれらのラクトンにメチル基等のアルキル基置換基が1個以上結合したものが挙げられ、なかでもε−カプロラクトンが好ましい。これらは単独で使用してもよく、あるいは併用してもよい。
【0032】
ここで、ジヒドロキシ芳香族アミド化合物とラクトン化合物の使用割合は、目的とするポリラクトンの分子量に応じて適宜選択すればよく、目的によりオリゴマーからポリマーまでのポリラクトンを製造することが可能であり、その際のジヒドロキシ芳香族アミド化合物とラクトン化合物のモル比は、通常ジヒドロキシ芳香族アミド化合物:ラクトン化合物=1:1〜1:5000モル比であり、なかでもポリラクトンを熱可塑性エラストマーの前駆体とする際には1:2〜1:100が好ましく、特に1:4〜1:50であることが好ましい。
【0033】
また、ジヒドロキシ芳香族アミド化合物の存在下、ラクトン化合物を開環重合する際には単に加熱開環重合を行うことが可能ではあるが、より反応効率を促進するために開環重合触媒を用いることが好ましく、該開環重合触媒としては、一般にラクトン化合物の開環重合反応で用いられているものを使用でき、例えば無機塩基、無機酸、アルカリ金属触媒、アルカリ土類金属、ランタノイド等の化合物が挙げられ、詳細には、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、コバルト、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、砒素、セリウム、硼素、カドミウム、マンガン、タングステン、モリブデン等の金属の酸化物;これら金属を含む有機金属化合物;これら金属の有機酸塩;これら金属のハロゲン化物;これら金属のアルコキシドが挙げられ、特に低毒性であり、反応性、無着色性、耐安定性のバランスに優れる開環重合触媒であることから有機スズ化合物、有機チタン化合物が好ましい。
【0034】
該有機スズ化合物の具体例としては、スズテトラアセテート、モノブチルスズヒドロキサイドオキサイド、モノブチルスズトリ−2−エチルヘキサノエート、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジラウレート、スズジオクタノエート等が挙げられる。また、該有機チタン化合物の具体例としては、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラエチルチタネート等が挙げられる。本発明のポリラクトンを製造する際には、上記開環重合触媒を単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。
【0035】
該開環重合触媒の使用量としては、本発明のポリラクトンが得られる限りにおいて如何なるものでもよく、その中でも特に反応効率に優れ、得られるポリラクトンが色相、熱安定性に優れることからジヒドロキシ芳香族アミド化合物およびラクトン化合物の合計量に対し0.0001〜0.2重量%であることが好ましく、特に0.0005〜0.05重量%であることが好ましい。
【0036】
また、開環重合反応を行う際の反応温度及び反応時間は、任意に選択することが可能であり、特に反応効率に優れ、得られるポリラクトンが色相、熱安定性に優れることから反応温度は、50〜250℃が好ましく、特に80〜200℃の範囲であることが好ましい。
【0037】
開環重合反応を行う際には、例えば窒素、ヘリウム、アルゴン、メタン等の不活性ガス雰囲気下で行うことができる。また、溶媒中で行うことも可能であり、溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素;N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、テトラメチルホスホルトリアミド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒を用いることができ、なかでもジヒドロキシ芳香族アミド化合物の溶解性に富む非プロトン性極性溶媒が好ましい。
【0038】
上記の方法等により得られるポリラクトンと鎖延長剤を反応することにより、芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体を得ることが可能となる。
【0039】
鎖延長剤としては、ポリラクトンの両末端に存する水酸基と反応可能な官能基を有し、該ポリラクトンを複数個連結し芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体の生成が可能である化合物であればよく、該化合物としては、例えば二官能性酸ハライド化合物、二官能性イソシアネート化合物、二官能性カーボネート化合物、二官能性エステル化合物、二官能性アシルラクタム化合物、二官能性エポキシ化合物、二官能性芳香族テトラカルボン酸無水物等が挙げられ、該鎖延長剤は単独又は2種以上を併用してもよく、特にポリラクトンとの反応性に優れ、効率よく芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体が得られることから、二官能性酸ハライド化合物、二官能性イソシアネート化合物、二官能性カーボネート化合物、二官能性エステル化合物であることが好ましい。
【0040】
該二官能性酸ハライド化合物としては、例えばシュウ酸ジクロライド、マロン酸ジクロライド、コハク酸ジクロライド、グルタル酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、ピメリン酸ジクロライド、スベリン酸ジクロライド、アゼライン酸ジクロライド、セバシン酸ジクロライド、ドデカン酸ジクロライド、テレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド、フタル酸ジクロライド等の二官能性酸クロライド;シュウ酸ジブロマイド、マロン酸ジブロマイド、コハク酸ジブロマイド、グルタル酸ジブロマイド、アジピン酸ジブロマイド、ピメリン酸ジブロマイド、スベリン酸ジブロマイド、アゼライン酸ジブロマイド、セバシン酸ジブロマイド、ドデカン酸ジブロマイド、テレフタル酸ジブロマイド、イソフタル酸ジブロマイド、フタル酸ジブロマイド等の二官能性酸ブロマイド、などを挙げることができ、なかでもポリラクトンとの反応性に優れ、効率よく芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体が得られることから、芳香族酸ジクロライドが好ましく、特にテレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライドが好ましい。さらにこれらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0041】
該二官能性イソシアネート化合物としては、例えばジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が挙げられ、特にポリラクトンとの反応性に優れ、効率よく芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体が得られることから、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが好ましく、さらにこれらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0042】
該二官能性カーボネート化合物としては、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等が挙げられ、なかでも特にポリラクトンとの反応性に優れ、効率よく芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体が得られることから、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネートが好ましく、さらにこれらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0043】
該二官能性エステル化合物としては、例えばテレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル、フタル酸ジフェニル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジフェニル、2,7−ナフタレンジカルボン酸ジフェニル、4,4−ビフェニルジカルボン酸ジフェニル、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、フタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、2,7−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、4,4−ビフェニルジカルボン酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジエチル、フタル酸ジエチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジエチル、2,7−ナフタレンジカルボン酸ジエチル、4,4−ビフェニルジカルボン酸ジエチル等が挙げられ、なかでも特にポリラクトンとの反応性に優れ、効率よく芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体が得られることから、テレフタル酸ジフェニル、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジメチルが好ましく、さらにこれらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0044】
該二官能性アシルラクタム化合物としては、例えばテレフタロイルビスカプロラクタム、イソフタロイルビスカプロラクタム、アジポイルビスカプロラクタム、スクシニルビスカプロラクタムなどが挙げられ、なかでも特にポリラクトンとの反応性に優れ、効率よく芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体が得られることから、テレフタロイルビスカプロラクタム、イソフタロイルビスカプロラクタムが好ましく、さらにこれらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0045】
該二官能性エポキシ化合物としては、例えばテレフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル等の芳香族ジカルボン酸ジグリシジルエステル;p−フェニレンジグリシジルエーテル等の芳香族ジグリシジルエーテル;ジエチレングリコールジグリシジルエステル等の脂肪族ジカルボン酸ジグリシジルエステル;ジエチレングリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族ジカルボン酸ジグリシジルエーテル等が挙げられ、さらにこれらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0046】
該二官能性芳香族テトラカルボン酸無水物としては、例えばピロメリット酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、さらにこれらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0047】
上記鎖延長剤の添加時期としては、芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体が得られる限りにおいて如何なる時期に添加してもよく、例えばジヒドロキシ芳香族アミド化合物の存在下、ラクトン化合物の加熱開環重合を行いポリラクトンが得られた後に、直ちに鎖延長剤を添加する方法;ジヒドロキシ芳香族アミド化合物の存在下、ラクトン化合物の加熱開環重合を行いポリラクトンが得られた後、未反応のラクトン化合物、加熱開環重合時に用いた溶媒等を除去し、ポリラクトンを単離し鎖延長剤を添加する方法;ジヒドロキシ芳香族アミド化合物の存在下、ラクトン化合物の加熱開環重合を行いポリラクトンを得る際に、鎖延長剤も存在させ開環重合と同時に鎖延長を行う方法、等が挙げられる。
【0048】
また、鎖延長剤の添加量にも特に制限はなく、用いる鎖延長剤の種類、反応性に応じ適宜選択すればよく、例えばポリラクトンのモル数に対し当モル量〜1.5倍モル量程度を用いればよい。ポリラクトンと鎖延長剤との反応条件についても特に制限はなく、通常室温〜250℃、5分〜100時間の範囲で行われる。この際、場合によっては用いられる開環重合触媒をあらかじめ部分的あるいは完全に失活させておいてもよく、その際には、例えば亜燐酸、燐酸、燐酸トリフェニル、燐酸トリストリエチレングリコール、オルト燐酸、ホスホン酸カルベトキジメチルジエチル、亜燐酸トリフェニル、燐酸トリメチル、亜燐酸トリメチル等の燐化合物等を添加することにより失活を行うことが可能である。
【0049】
本発明の芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体は、より耐熱性、特に熱変色性を向上させるために製造時又は製造後に安定剤を添加していてもよく、該安定剤としては、例えばリン酸、亜リン酸、次亜リン酸誘導体、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスホン酸、ポリホスホネート、ジアルキルペンタエリスリトールジホスファイト、ジアルキルビスフェノールAジホスファイト等のリン化合物;ヒンダードフェノール系化合物、チオエーテル系、ジチオ酸塩系、メルカプトベンズイミダゾール系、チオカルバニリド系、チオジプロピオン酸エステルなどの硫黄含有化合物;スズマレート、ジブチルスズモノオキシドなどのスズ系化合物が挙げられ、該安定剤の添加量としては制限はなく、通常芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体100重量部に対して0.01〜2重量部であることが好ましい。
【0050】
また、本発明の芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体には、成形性を向上させるためにカルシウム、バリウム、アルミニウム等のステアリン酸塩類;ステアリン酸エステル、シリコンオイル、ワックス類、エチレンビスステアリルアミドなどの滑剤を添加してもよく、その際の添加量としては、通常芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体100重量部に対して0.05〜5重量部であることが好ましい。
【0051】
さらに、本発明の芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体は、本発明の目的を損なわない限りにおいて、熱可塑性樹脂、繊維、染料、有機顔料、無機顔料、無機補強剤、難燃剤、帯電防止剤、可塑剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、発泡剤、エポキシ化合物やイソシアネート化合物等の公知の添加剤を加えることができる。
【0052】
本発明の芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体は、射出成形、押出成形、トランスファー成形、インフレーション成形、ブロー成形、加熱成形、圧縮成形、真空成形等、通常の熱可塑性樹脂の成形方法により成形加工でき、各種成形品、繊維、フィルム、シート、プラスチック改質剤、塗料、接着剤等の幅広い用途に展開可能である。
【0053】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら限定されるものではない。
【0054】
なお、以下に実施例により得られた芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体の分析に用いた分析機器及び評価方法を示す。
【0055】
〜ポリラクトン、芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体の分子量測定〜
ゲル・パーミエイション・クラマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製、商品名CP−8000)により、溶離液に20mmol/lに調整した塩化リチウム−N−メチル−2−ピロリドン溶液を用い、カラム温度40℃、流速1.0ml/分で測定した溶出曲線より、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を算出した。
【0056】
〜ポリラクトンの平均連鎖数の測定(1H−NMRスペクトル)〜
核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名JNM−GSX270型)を用い、重水素化ジメチルスルホキシド中、室温の条件で1H−NMRを測定した。
【0057】
得られた1H−NMRスペクトルより、アミド基とラクトン単位のメチレン基のピーク強度比より芳香族アミド単位とラクトンのモル比を算出した。
【0058】
〜融点測定〜
熱天秤(セイコー電子工業製、商品名DSC200)を用い、昇温速度10℃/分、−100〜300℃の範囲で測定した。
【0059】
合成例1(ジヒドロキシ芳香族アミド化合物の合成)
窒素導入管、温度計および攪拌翼を備えた500mlの4つ口フラスコに、4−アミノ−N−(2−ヒドロキシエチル)ベンズアミド72.1g(0.4モル)及びN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと記す。)200mlを加え撹拌し均一溶液を得た。別途、窒素導入管を備えた200ml滴下ロートに、NMP100ml及びイソフタル酸ジクロライド40.6g(0.2モル)を加え、撹拌し均一溶液とし、この溶液を先の溶液中に1時間かけて滴下した。さらに50℃で2時間反応を行った。
【0060】
得られたスラリーをアセトン2.5リットルに投入し、固形分を吸引濾過により回収した。得られた固体をNMP/トルエン混合溶媒により再結晶を行い、ジヒドロキシ芳香族アミド化合物88gを得た。
【0061】
得られたジヒドロキシ芳香族アミド化合物は、N,N’−ビス(4−(2−ヒドロキシエチルカルバモイル)フェニル)イソフタルアミドであり、その構造式を下記に示す。以下、該ジヒドロキシ芳香族アミド化合物を化合物(a)と記す。
【0062】
【化13】
Figure 0004196759
実施例1
窒素導入管、温度計、攪拌翼を備えた300mlの4ツ口フラスコに、化合物(a)9.8g(20ミリモル)、ε−カプロラクトン34.2g(300ミリモル)、NMP100gを仕込み、150℃に昇温した後、テトラブチルチタネート0.02g(0.06ミリモル)を加え、150℃で8時間開環重合を行った。室温まで冷却し、反応液を一部サンプリングし、水に再沈殿、洗浄、乾燥しポリカプロラクトンを得た。
【0063】
得られたポリカプロラクトンは、重量平均分子量(Mw)3800、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)1.50であった。
【0064】
一方、残った反応液にピリジン3.2g(40ミリモル)とテレフタル酸ジクロライド4.1g(20ミリモル)をNMP15gに溶解した溶液を加え、さらに室温で12時間反応させた。反応終了後の溶液をメタノールに投入し、固形分をメタノールで洗浄後、乾燥し芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体を得た。
【0065】
得られた芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体は、重量平均分子量(Mw)22700、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)1.60、融点18.2℃,198℃であった。また、芳香族アミド単位とカプロラクトン単位のモル比は1:13.8であった。
【0066】
実施例2
窒素導入管、温度計、攪拌翼を備えた300mlの4ツ口フラスコに、化合物(a)14.0g(28.5ミリモル)、ε−カプロラクトン57.1g(500ミリモル)、NMP50gを仕込み、180℃に昇温した後、ジラウリン酸ジブチル錫0.06g(0.1ミリモル)を加え、180℃で8時間開環重合を行った。室温まで冷却し、反応液を一部サンプリングし、水に再沈殿、洗浄、乾燥しポリカプロラクトンを得た。
【0067】
得られたポリカプロラクトンは、重量平均分子量(Mw)4200、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)1.45であった。
【0068】
一方、残った反応液にピリジン4.5g(57.0ミリモル)とテレフタル酸ジクロライド5.8g(28.5ミリモル)をNMP15gに溶解した溶液を加え、さらに室温で24時間反応させた。反応終了後の溶液をメタノールに投入し、固形分をメタノールで洗浄し、乾燥し芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体を得た。
【0069】
得られた芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体は、重量平均分子量(Mw)66500、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)1.80、融点15℃,169℃であった。また、芳香族アミド単位とカプロラクトン単位のモル比は1:15.8であった。
【0070】
実施例3
化合物(a)に対するε−カプロラクトンの仕込みモル比を9倍モル量とした以外は、実施例1と同様の方法により芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体の製造を行った。
【0071】
得られた芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体は、重量平均分子量(Mw)62700、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)1.97、融点198℃であった。また、芳香族アミド単位とカプロラクトン単位のモル比は1:7.7であった。
【0072】
実施例4
化合物(a)に対するε−カプロラクトンの仕込みモル比を26倍モル量とした以外は、実施例1と同様の方法により芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体の製造を行った。
【0073】
得られた芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体は、重量平均分子量(Mw)76600、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)1.80、融点42℃,154℃であった。また、芳香族アミド単位とカプロラクトン単位のモル比は1:24.4であった。
【0074】
実施例5
化合物(a)に対するε−カプロラクトンの仕込みモル比を35倍モル量とした以外は、実施例1と同様の方法により芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体の製造を行った。
【0075】
得られた芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体は、重量平均分子量(Mw)82700、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)1.78であった。また、芳香族アミド単位とカプロラクトン単位のモル比は1:32.6であった。
【0076】
実施例6
窒素導入管、温度計、攪拌翼を備えた300mlの4ツ口フラスコに、化合物(a)21.0g(43ミリモル)、ε−カプロラクトン85.6g(750ミリモル)、NMP75gを仕込み、180℃に昇温した後、ジラウリン酸ジブチル錫0.095g(0.15ミリモル)を加え、180℃で8時間開環重合を行った。その後、リン酸トリフェニル0.20g(0.61ミリモル)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(チバガイギー製、商品名イルガノックス1330)0.12gを加えた後、減圧蒸留によりNMPと未反応ε−カプロラクトンを留去し、ポリカプロラクトンを得た。
【0077】
さらに、テレフタロイルビスラクタム15.3g(43ミリモル)をNMP60gに溶解した溶液を加え、210℃で2時間反応させた。その後、NMPを減圧留去しながら230℃まで昇温し、25分反応させた。反応容器を脱気した後、内容物を取り出し、冷却することにより良好なゴム弾性を示す芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体を得た。
【0078】
得られた芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体は、重量平均分子量(Mw)142000、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)3.22であった。
【0079】
実施例7
テレフタロイルビスラクタム15.3g(43ミリモル)の代わりに、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート10.8g(43ミリモル)を用いた以外は、実施例6と同様の方法により芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体の製造を行った。
【0080】
得られた芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体は、良好なゴム弾性を示し、重量平均分子量(Mw)178000、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)3.02であった。
【0081】
実施例8
テレフタロイルビスラクタム15.3g(43ミリモル)の代わりに、ジフェニルカーボネート9.2g(43ミリモル)を用いた以外は、実施例6と同様の方法により芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体の製造を行った。
【0082】
得られた芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体は、良好なゴム弾性を示し、重量平均分子量(Mw)87000、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)3.56であった。
【0083】
【発明の効果】
本発明の芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体は、ハードセグメントに芳香族オリゴアミドエステル単位、ソフトセグメントにポリラクトン単位からなり、幅広い硬度範囲において耐熱性、耐加水分解性、機械特性のバランスに優れた熱可塑性エラストマーとなり得る。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で示される芳香族アミド単位を含有するポリラクトン成分単位及び下記一般式(2)〜(4)で示される群から選ばれる少なくとも一種以上の鎖延長剤成分単位からなることを特徴とする芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体。
    Figure 0004196759
    (ここで、R1、R2は、それぞれ独立して炭素数1〜20の2価の炭化水素基、R3、R4は、それぞれ独立して炭素数2〜20の2価の脂肪族炭化水素基、p、qはそれぞれ独立して1以上の実数を示す。)
    Figure 0004196759
    (ここで、R5は二価の有機基を示す。)
    Figure 0004196759
    (ここで、R6は炭素数2以上の二価の炭化水素基を示す。)
    Figure 0004196759
    (ここで、R7はカルボニル基又は二価の有機基を示す。)
  2. 下記一般式(5)で示されるジヒドロキシ芳香族アミド化合物の存在下、下記一般式(6)で示されるラクトン化合物を加熱開環重合し、得られるポリラクトン及び鎖延長剤を反応することを特徴とする請求項1に記載の芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体の製造方法。
    Figure 0004196759
    (ここで、R8およびR9は、それぞれ独立して炭素数1〜20の2価の炭化水素基を示す。)
    Figure 0004196759
    (ここで、R10は、炭素数2〜20の2価の脂肪族炭化水素基を示す。)
  3. 鎖延長剤が、二官能性酸ハライド化合物、二官能性イソシアネート化合物、二官能性カーボネート化合物、二官能性エステル化合物、二官能性アシルラクタム化合物、二官能性エポキシ化合物、二官能性テトラカルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の化合物であることを特徴とする請求項2に記載の芳香族アミド−ポリラクトン系ブロック共重合体の製造方法。
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