JP2006224498A - 記録媒体の製造方法および記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 分散液安定性が高く、塗布液粘度が安定で経時増粘のない、安定した性能の塗布液を供給するインクジェット記録用の記録媒体を製造する方法と、それによって得られる塗布故障がなく、印字濃度の高い記録媒体を提供する。
【解決手段】 無機微粒子分散液と水溶性バインダーを混合した塗布液を塗布する記録媒体の製造方法であって、前記無機微粒子分散液を45℃以上60℃以下の条件下で0.5〜5時間加温処理した後、10℃以上40℃以下の条件下で0.5〜5時間停滞し、水溶性バインダーと混合し塗布液を作製することを特徴とする記録媒体の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、主にインクジェット記録方法に用いられる記録媒体の製造方法および記録媒体に関するものである。
これまでも、高品質で高生産性のインクジェット記録用の記録媒体(記録用紙)が、各方面から要望されている。これらの要望を満たすものとして、無機微粒子分散物と水溶性バインダーを混合して塗布液を作製し、これを塗布乾燥して製造した記録媒体が知られている。
しかしながら、シリカ分散液と水溶性バインダーを混合させ、塗布液を作製する際にゲル化や激しい増粘、また、経時で増粘がおきてしまう場合などがあり、解決方法が求められていた。これまでにも、特許文献1、2および3等に記載されている如く、無機微粒子分散物を室温で長時間放置したり、加温処理する方法が開示されている。
即ち、特許文献1には、シリカ分散液を5時間以上または50℃以上の少なくとも何れかで停滞することが記載されている。しかし、加温後の時間は記載されていない。また、特許文献2には、シリカ分散液を50℃以下、5時間未満停滞するという記録媒体の製造方法が記載されている。特許文献3には、シリカを2段階にて分散し、5時間以上または室温以上の少なくとも何れかで停滞させる製造方法が記載され、さらに特許文献4には、シリカ分散液を(37−T)×12+24(T:25〜37℃の加温温度)以上の時間停滞させるという発明が記載されている。
しかし、これまでは例えば特許文献4に記載されているように、分散液を長時間停滞したりする方法が一般的であり、その後の処理には注目したものがなく、また、高速に塗布を行う場合、これまで加温するだけの方法が採られていたが、安定した塗布液を供給し、高品質の記録媒体を得るには不十分であった。
特開2001−149856号公報 特開2003−276303号公報 特開2004−43623号公報 特開2004−255596号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされた。
即ち、本発明の目的は、分散液安定性が高く、塗布液粘度が安定で経時増粘のない、安定した性能の塗布液を供給するインクジェット記録用の記録媒体を製造する方法と、それによって得られる塗布故障がなく、印字濃度の高い記録媒体を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、無機微粒子分散液を加温処理した後、水溶性バインダーと混合するまでの停滞時間により、塗布液の粘度安定性や塗布の安定性が大きく異なることがわかった。
物理化学特性が安定した塗布液を供給し、安定した品質の記録媒体を製造するためには、無機微粒子分散液の加温処理時間とその後の放置時間が重要であることが判明し、さらに検討を進める中で、加温処理後5時間以内に水溶性バインダーと混合することによって、安定した物理化学特性の塗布液を供給できることがわかった。また、その後の停滞時間が短すぎると、水溶性バインダーを混合した時に生じる激しい粘度上昇等の影響で、ゲル化物の発生が起きてしまう場合があることも判明し本発明に至った。
即ち、本発明の目的は、下記構成を採ることにより達成されることがわかった。
(請求項1)
支持体上に、無機微粒子分散液と水溶性バインダーを混合した塗布液を塗布する記録媒体の製造方法であって、前記無機微粒子分散液を45℃以上60℃以下の条件下で0.5〜5時間加温処理した後、10℃以上40℃以下の条件下で0.5〜5時間停滞し、水溶性バインダーと混合し塗布液を作製することを特徴とする記録媒体の製造方法。
(請求項2)
無機微粒子が気相法シリカであり、該分散液中にカチオン性ポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の記録媒体の製造方法。
(請求項3)
前記無機微粒子分散液が水溶性多価金属化合物を含むことを特徴とする請求項1または2記載の記録媒体の製造方法。
(請求項4)
前記無機微粒子分散液が2種類以上のカチオン性ポリマーを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の記録媒体の製造方法。
(請求項5)
請求項1〜4のいずれか1項記載の記録媒体の製造方法により作製されたことを特徴とする記録媒体。
本発明により、分散液安定性が高く、塗布液粘度が安定で経時増粘のない、安定した性能の塗布液を供給するインクジェット記録用の記録媒体を製造する方法と、それによって得られる塗布故障がなく、印字濃度の高い記録媒体を提供することができる。
本発明では、無機微粒子分散液を45℃〜60℃で、0.5〜5時間加温し、加温後0.5〜5時間停滞させた後、水溶性バインダーと混合することを特徴としている。
まず、加温処理をせずに、無機微粒子分散液を分散終了直後に水溶性バインダーと混合すると、ゲル化したり、激しい増粘、また経時増粘が激しくなってしまう場合がある。
加温温度は、温度が高すぎると、加温時間を短くしても、微粒子分散液の粘度が激しく上昇したり、ゲル化物が発生する場合がある。また、水溶性バインダーと混合したときにもゲル化物が発生してしまうなどの問題が発生する。
逆に、40℃以下で加温した場合は本発明の効果はほとんど得られなかった。45℃以上に加温することによって、無機微粒子の反応が急激に促進されるものと推察される。また、40℃程度の加温でも長時間加温することにより、塗布液のゲル化や経時増粘を抑えることができるが、分散液のゲル化や、プリント時の印字濃度低下などの問題が発生する場合があった。
また、分散液を長時間加温していると、ゲル化物が発生し、加温容器の壁面に付着してしまうという問題が発生する場合がある。この問題を回避するためには、加温時間を5時間以内としなければならなかった。しかし、加温時間があまりにも短いと加温しなかった場合と同様の挙動が発生し、塗布液の粘度上昇などを引き起す現象がみられた。塗布液の粘度が高い場合は水などで希釈し粘度を下げることが可能であるが、乾燥付加などの増加を招き、生産性を低下させてしまう。
このように、分散液、塗布液の安定性という点から、45℃〜60℃で、0.5〜5時間加温することが好ましく、48〜55℃で、1〜3時間加温することがより好ましく、48℃〜53℃で、1.5〜2.5時間加温することがさらに好ましい。
また、加温後の停滞時間が0.5〜5時間であることが特に重要である。加温後の停滞時間が長すぎると、塗布ムラやヒビなどが発生する場合があった。加温後5時間を超えてしまうと、無機微粒子同士の相互作用関係が変化し、塗布した後の良好な塗膜が得られなくなってしまうためではないかと推察する。
逆に、停滞時間が短すぎると、水溶性バインダーと混合した際に、激しい粘度上昇が起こったり、ゲル化物が発生してしまうという問題があった。
さらに、水溶性多価金属や2種カチオン性ポリマーが分散液に入っていることが好ましい。これにより、その後の塗布液の安定性が特に向上する。
分散終了後から加温までの時間は0.5〜24時間が好ましく、さらには1〜18時間が好ましい。停滞中や加温処理中は撹拌することが好ましい。加温後の停滞温度は40℃以下、10℃以上とすることが好ましい。高すぎると、塗布液の粘度低下や分散液でのゲル化物発生、また、塗布故障発生の原因となり、低すぎると水溶性バインダーとの混合時の混合不良や塗布液のゲル化物発生の原因となる。
なお、本発明における無機微粒子分散液とは、実質的に水溶性バインダーを含まない分散液のことを言う。本発明においては実質的に水溶性バインダーを含有した液は塗布液と呼ぶことにしている。
無機微粒子の分散には、例えば、高速回転分散機、媒体攪拌型分散機(ボールミル、サンドミルなど)、超音波分散機、コロイドミル分散機、ロールミル分散機、高圧分散機等、従来公知の各種の分散機を用いることができる。
〔無機微粒子〕
本発明に用いられる無機微粒子は、特に限定はないが、シリカ微粒子が好ましい。
本発明に係るシリカ微粒子としては、珪酸ソーダを原料として沈降法またはゲル法により合成された湿式シリカまたは気相法シリカであることが好ましい。
例えば、湿式シリカとしては沈降法による作製されたトクヤマ社製のファインシール等、ゲル法によるシリカとしては日本シリカ工業社製のNIPGEL等が市販されている。沈降法シリカは概ね10〜60nm、ゲル法シリカは概ね3〜10nmの一次粒子が二次凝集体を形成したシリカ粒子として特徴づけられる。
湿式シリカの一次粒子径に関する下限に特に制約はないが、シリカ粒子の製造安定性の観点から3nm以上であり、皮膜の透明性の観点から50nm以下であることが好ましい。一般的には、ゲル法により合成される湿式シリカの方が、沈降法に対して一次粒径が小さい傾向にあり好ましい。
気相法シリカとは、四塩化ケイ素と水素を原料にして燃焼法により合成されるものであり、例えば、日本アエロジル社製のアエロジルシリーズが市販されている。
本発明においては、シリカ微粒子としては、高い空隙率が得られ、かつカチオン性複合微粒子分散液を製造する場合に粗大凝集体が形成されにくいという観点から、気相法シリカが、特に好ましい。また、気相法シリカは、二次凝集体が湿式シリカに対して比較的弱い相互作用により形成されているため、湿式シリカに対して低エネルギーで分散できるという特徴を有している。
気相法シリカ微粒子は、その一次粒子の平均粒径は3〜50nmのものが好ましい。一次粒子の平均粒径が50nm以下であれば、記録用紙の高光沢性を達成することができ、また表面での乱反射による最高濃度の低下を低減できるという点で、鮮明でかつ高濃度の画像を得ることができる。
本発明でいうシリカ微粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは形成したインク吸収層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、数100個の任意のシリカ粒子の粒径を求め、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒径はその投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
特に好ましい態様として、二次粒子以上の粒子を形成して多孔質インク吸収層を形成する場合、その平均粒径は、20〜200nmであることが、高インク吸収性及び高光沢を達成した記録用紙を得るという観点において好ましい。
前記気相法シリカを湿度20〜60%で3日以上保存して気相法シリカの含水率を調整することも好ましい。
シリカ微粒子の添加量は、要求されるインク吸収容量、空隙層の空隙率、親水性バインダーの種類に大きく依存するが、一般には記録用紙1m2当たり5〜30g、好ましくは10〜25gである。インク吸収層に用いられるシリカ微粒子と親水性バインダーの比率は、質量比で概ね2:1〜20:1であり、特に3:1〜10:1であることが好ましい。
シリカ微粒子の添加量の増加に従いインク吸収容量も増加するが、カールやひび割れといった性能の低下を招く恐れがあり、空隙率によって容量を増加させる方法が好ましい。好ましい空隙率は40〜75%である。
〔カチオン性ポリマー〕
カチオン性ポリマーは、ポリマー主鎖または側鎖に第1〜3級アミン、第4級アンモニウム塩基、または第4級ホスホニウム塩基などを有するポリマーであり、インクジェット記録用紙で公知の化合物が用いられる。製造の容易性から、実質的に水溶性であるものが好ましい。
カチオン性ポリマーの例としては、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、エピクロルヒドリン−ジアルキルアミン付加重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・SO2共重合物、ポリビニルイミダゾール、ビニルピロリドン・ビニルイミダゾール共重合物、ポリビニルピリジン、ポリアミジン、キトサン、カチオン化澱粉、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド重合物、(2−メタクロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウムクロライド重合物、ジメチルアミノエチルメタクリレート重合物、などが挙げられる。
または、化学工業時報平成10年8月15日及び25日に記載されるカチオン性ポリマー、「高分子薬剤入門」(三洋化成工業社発行、p787、1992年)に記載される高分子染料固着剤が例として挙げられる。
カチオン性ポリマーの平均分子量としては2000〜50万の範囲であることが好ましく、更に好ましくは1万〜10万の範囲である。
本発明でいう平均分子量とは数平均分子量のことであり、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーから求めたポリエチレングリコール換算値を言う。
また、カチオン性ポリマーを塗布液にあらかじめ添加する場合、均一に塗布液に添加するのみならず、無機微粒子とともに複合粒子を形成する形で添加してもよい。無機微粒子とカチオン性ポリマーによって複合粒子を調製する方法としては、無機微粒子にカチオン性ポリマーを混合して吸着被覆させる方法、その被覆粒子を凝集させてより高次の複合粒子を得る方法、さらには混合して得られる粗大粒子を分散機によってより均一な複合粒子にする方法などが挙げられる。
カチオン性ポリマーは概ね水溶性基を有するために水溶性を示すが、例えば、共重合成分の組成によって水に溶解しないことがある。製造の容易性から水溶性であることが好ましいが、水に難溶であっても水混和性有機溶媒を用いて溶解し使用することも可能である。
ここでいう水混和性有機溶媒とは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどのグリコール類、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類など、水に対して概ね10%以上溶解し得る有機溶媒を言う。この場合、有機溶媒の使用量は水の使用量以下であることが好ましい。
カチオン性ポリマーは、記録媒体1m2当たり、通常0.1〜10g、好ましくは0.2〜5gの範囲で用いられる。
本発明の記録媒体におけるインク吸収層および必要に応じて設けられるその他の層には、前記した以外に各種の添加剤を添加することができるが、特に、紫外線吸剤、酸化防止剤、ニジミ防止剤等の画像保存性向上剤を含有することが好ましい。
〔水溶性多価金属化合物〕
本発明の記録媒体(記録用紙)においては、前記したごとく水溶性多価金属化合物を含有することが望ましい。
本発明に係る水溶性多価金属化合物としては、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、ストロンチウム、バリウム、ニッケル、銅、スカンジウム、ガリウム、インジウム、チタン、ジルコニウム、スズ、鉛などの金属の塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩、クロロ酢酸塩等が挙げられる。中でもアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ジルコニウムからなる水溶性塩はその金属イオンが無色のため好ましい。更に、水溶性アルミニウム化合物、水溶性ジルコニウム化合物が長期保存時の滲み耐性に優れると言う点で特に好ましい。
水溶性アルミニウム化合物の具体例としては、ポリ塩化アルミニウム(塩基性塩化アルミニウム)、硫酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)、硫酸アンモニウムアルミニウム(アンモニウムミョウバン)、硫酸ナトリウムアルミニウム、硝酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、ポリ硫酸ケイ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性乳酸アルミニウム等を挙げることができる。ここで、水溶性多価金属化合物における水溶性とは、20℃の水に1質量%以上、より好ましくは3質量%以上溶解することを意味する。
最も好ましい水溶性アルミニウム化合物は、インク吸収性の観点から塩基度が80%以上の塩基性塩化アルミニウムであり、次の分子式で表すことができる。
〔Al2(OH)nCl6-nm
(ただし、0<n<6、m≦10)
塩基度はn/6×100(%)で表される。
水溶性ジルコニウム化合物の具体例としては、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、酸塩化ジルコニウム、乳酸ジルコニル、クエン酸ジルコニルが好ましい。炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニルは特に好ましい。特に酸塩化ジルコニウム、酢酸ジルコニルが長期保存時の滲み耐性の点から好ましい。
〔硬膜剤〕
本発明においては、製造(塗布及び乾燥)時におけるひび割れを防止するために、最表層のシリカ微粒子分散液にバインダーの硬膜剤を含有することができ、ホウ素化合物を含有することが好ましく、ほう酸又はその塩を含有することがより好ましい。ほう酸又はその塩としてはホウ素原子を中心原子とする酸素酸又はその塩のことを示し、具体的には、オルトほう酸、二ほう酸、メタほう酸、四ほう酸、五ほう酸、八ほう酸及びそれらの塩が含まれる。ほう酸又はその塩の使用量は、親水性バインダーの種類、架橋剤の種類等により変化するが、通常親水性バインダー1gあたり、5〜500mg、好ましくは10〜300mgである。硬膜剤を使用しない場合にはバインダー自体が電離放射線(例えば、紫外線、電子線)等により架橋するバインダーが好ましく用いられる。
〔記録媒体の支持体(基体)〕
本発明で用いる支持体は従来インクジェット記録用紙に公知のものを適宜使用できる。
本発明で用いることのできる吸水性支持体としては、例えば一般の紙、布、木材等からなるシートや板等を挙げることができるが、特に紙は基材自身の吸水性に優れかつコスト的にも優れるために最も好ましい。紙支持体としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、CGP、RMP、TMP、CTMP、CMP、PGW等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプを主原料としたものが使用可能である。また、必要に応じて合成パルプ、合成繊維、無機繊維等の各種繊維状物質も原料として適宜使用することができる。
上記紙支持体中には必要に応じて、サイズ剤、顔料、紙力増強剤、定着剤等、蛍光増白剤、湿潤紙力剤、カチオン化剤等の従来公知の各種添加剤を添加することができる。
紙支持体は前記の木材パルプなどの繊維状物質と各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造することができる。また、必要に応じて抄紙段階又は抄紙機にスターチ、ポリビニルアルコール等でサイズプレス処理したり、各種コート処理したり、カレンダー処理したりすることもできる。
本発明で好ましく用いることのできる非吸水性支持体には、プラスチック樹脂フィルム支持体、あるいは紙の両面をプラスチック樹脂フィルムで被覆した支持体が挙げられる。
プラスチック樹脂フィルム支持体としては、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム、セルローストリアセテートフィルム、ポリスチレンフィルムあるいはこれらの積層したフィルム支持体等が挙げられる。これらのプラスチック樹脂フィルムは透明、または半透明なものも使用できる。
本発明で特に好ましい支持体は、紙の両面をプラスチック樹脂で被覆した支持体であり、最も好ましいのは紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体である。
以下、最も好ましいポリオレフィン樹脂の代表であるポリエチレンでラミネートした非吸水性の紙支持体について説明する。
紙支持体に用いられる原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプにポリプロピレンなどの合成パルプあるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を加えて抄紙される。木材パルプとしては、例えば、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSPまたはLDPの比率は10質量%以上、70質量%以下であることが好ましい。
また、インク吸収層を塗布する面側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行われているようにルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量は、ポリエチレンに対して1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%である。
ポリオレフィン層中には白地の調整を行うための耐熱性の高い顔料や蛍光増白剤を添加することができる。着色顔料としては、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、マンガンブルー、セルリアン、タングステンブルー、モリブデンブルー、アンスラキノンブルー等が挙げられる。蛍光増白剤としては、ジアルキルアミノクマリン、ビスジメチルアミノスチルベン、ビスメチルアミノスチルベン、4−アルコキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸−N−アルキルイミド、ビスベンズオキサゾリルエチレン、ジアルキルスチルベン等が挙げられる。
紙の表裏のポリエチレンの使用量は、インク吸収層の膜厚やバック層を設けた後で低湿及び高湿化でのカールを最適化するように選択されるが、一般にはポリエチレン層の厚さはインク吸収層側で15〜50μm、バック層側で10〜40μmの範囲である。表裏のポリエチレンの比率はインク吸収層の種類や厚さ、中紙の厚み等により変化するカールを調整する様に設定されるのが好ましく、通常は表/裏のポリエチレンの比率は厚みで概ね3/1〜1/3である。
〔塗布方法〕
インクジェット記録用紙の製造方法としては、インク吸収層を含む各構成層を、各々単独にあるいは同時に、公知の塗布方式から適宜選択して、支持体上に塗布、乾燥して製造することができる。
塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,761,419号、同第2,761,791号に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
無機微粒子分散物を含む塗布液を高速に同時多層塗布できるという点から、スライドビード塗布方式、あるいはカーテン塗布方式が好ましい。
2層以上の構成層を同時重層塗布を行う際の各塗布液の粘度としては、スライドビード塗布方式を用いる場合には、5〜100mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは10〜50mPa・sの範囲である。また、カーテン塗布方式を用いる場合には、5〜1200mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは25〜500mPa・sの範囲である。
また、塗布液の15℃における粘度としては、100mPa・s以上が好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましく、さらに好ましくは3,000〜30,000mPa・sであり、最も好ましいのは10,000〜30,000mPa・sである。
次に、本発明の代表的実施態様を実施例という形で示し、本発明をさらに説明するが、無論本発明の範囲は、これらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
(無機微粒子分散液D1の作製)
無機微粒子(気相法シリカ:日本アエロジル製:アエロジル200) 50kg
水 74L
ホウ酸 0.27kg
ほう砂 0.24kg
エタノール 2.2L
カチオン性ポリマー(P−1)25%水溶液 17L
退色防止剤(AF1 *1)10%水溶液 8.5L
蛍光増白剤水溶液(*2) 0.1L
以上を添加し、三和(株)社製の高圧ホモジナイザーで分散し、シリカ分散液D1を作製した。
Figure 2006224498
*1:退色防止剤(AF−1) HO−N(C24SO3Na)2
*2:チバ・スペシャリティーケミカルズ社製 UVITEX NFW LIQUID
これを、後記表1に示すように加温処理をした後、以下のように塗布液を作製した。なお、加温前は、室温(約25℃)で、15時間停滞させた。
また、記録用紙1の作製では加温はせずに、室温(約25℃)で21時間停滞させた後、以下の塗布液を調製した。
なお、全ての記録用紙作製時分散液は撹拌した。
加温後の放置温度は室温(約25℃)とした。
(多孔質層塗布液の調製)
上記調製した各分散液を使用して、以下に記載の各添加剤を順次混合し、多孔質層用の各塗布液を調製した。なお、各添加量は塗布液1L当たりの量で表示した。
〈第1層用塗布液:最下層〉
シリカ分散液D1 610ml
ポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235とPVA245の7:3の混合物)
6.5%水溶液 320ml
ラテックス分散液(昭和高分子社製 ポリゾールAE803) 20ml
エタノール 8.5ml
純水で全量を1000mlに仕上げる。
〈第2層用塗布液〉
シリカ分散液D1 630ml
ポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235とPVA245の7:3の混合物)
6.5%水溶液 280ml
ラテックス分散液(昭和高分子社製:ポリゾールAE803) 5ml
エタノール 8ml
純水で全量を1000mlに仕上げる。
〈第3層用塗布液〉
シリカ分散液D1 660ml
ポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235とPVA245の7:3の混合物)
6.5%水溶液 280ml
エタノール 3ml
純水で全量を1000mlに仕上げる。
〈第4層用塗布液:最上層〉
シリカ分散液D1 690ml
ポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235とPVA245の7:3の混合物)
6.5%水溶液 260ml
界面活性剤(花王製;コータミン24P)6%水溶液 3.0ml
エタノール 3ml
純水で全量を1000mlに仕上げる。
(塗布)
これを、ホッパーを使用するスライドビード塗布方式にて、4層同時塗布を行い、記録用紙1を作製した。
塗布は塗布液作製後、2時間〜6時間の範囲で行った。
作製条件を表1に記載した様に変更し、記録用紙2〜28を作製した。
(性能の評価)
《分散液状態》
加温時の分散液の状態を目視観察するとともに、加温後の容器内壁を観察し以下の様に評価を行った。
A:加温時・内壁ともに異常なし
B:加温時に目視上は明らかな異常は見られなかったが、内壁にゲル化物が付着していた
C:加温時に目視上わかるゲル化物が発生した
《混合状態》
各塗布液の混合状態を目視観察し、また、混合終了10分後の塗布液の粘度を測定した。もっとも混合状態の悪かった層の塗布液の評価を表に記入した。
A:良好に混合されており、粘度も好ましい範囲であった
B:良好に混合されていたが、若干粘度が高かった
C:良好に混合されていたが、粘度が高く塗布可能な範囲ぎりぎりとなった
D:良好に混合されていたが、塗布可能な粘度範囲を超えてしまった
E:混合時、ゲル化物の発生などが見られ、塗布可能な粘度範囲を超えてしまった
なお、良好に混合されていれば希釈し、塗布することができるが、生産性の低下や経時増粘などの影響がでる。
《経時増粘》
混合終了後、3時間後再び粘度を測定し混合直後からの粘度変化を測定した。値は平均値である。
A:1時間あたりの粘度上昇が、0.3mPa・sec以下であった
B:1時間あたりの粘度上昇が、0.6mPa・sec以下であった
C:1時間あたりの粘度上昇が、1.0mPa・sec以下であった
D:1時間あたりの粘度上昇が、2.0mPa・sec以下であった
E:1時間あたりの粘度上昇が、2.0mPa・secを超えていた
なお、製造上、1時間あたり1.0mPa・secを超えると塗布困難になる場合がある。
《塗布故障》
塗布後の膜面100cm×100cmに範囲を観察し、スジや表面の安定性などを以下のように評価した。
A:塗布故障は見られない
B:ごくわずかにスジもしくは表面性の変化の塗布故障が見られた
C:スジなどの明らかな塗布故障が見られた
《印字濃度》
通常環境下で、エプソン社製インクジェットプリンターPM−950Cを用いて、黒のベタ印字を行い、反射濃度を測定した。反射濃度は、分光測色計濃度計X−Rite938(X−Rite社製)で測定した。
上記の結果は、記録用紙1〜30として表1に示した。
Figure 2006224498
本発明内のものは、何れの特性も良好なことがわかる。
〔実施例2〕
無機微粒子分散液の作製を以下のように変更し、下記表2に示す温度・時間で停滞させた以外は実施例1と同様にして記録用紙を得た。
(無機微粒子分散液D2の作製)
無機微粒子(気相法シリカ:日本アエロジル製;アエロジル200) 50kg
水 47L
ホウ酸 0.27kg
ほう砂 0.24kg
エタノール 2.2L
塩基性塩化アルミニウム(多木化学:タキバイン#1500;23.7%) 4L
退色防止剤(AF1 *1)10%水溶液 8.5L
蛍光増白剤水溶液(*2) 0.1L
以上を添加し、三和(株)社製の高圧ホモジナイザーで分散し、シリカ分散液D2を作製した。
*1:退色防止剤(AF−1) HO−N(C24SO3Na)2
*2:チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、UVITEX NFW LIQUID
上記で得られた記録用紙31〜37を、実施例1と同様なやり方にて評価した。
結果は、下記表2に示す。
Figure 2006224498
多価金属含有の場合、加温後の時間の効果が大きいことがわかる。
〔実施例3〕
無機微粒子分散液の作製を以下のように変更し、下記表3に示す温度・時間で停滞させた以外は実施例1と同様にして記録用紙を得た。
(無機微粒子分散液D3の作製)
無機微粒子(気相法シリカ:日本アエロジル製:アエロジル200) 50kg
水 33L
ホウ酸 0.27kg
ほう砂 0.24kg
エタノール 2.2L
カチオン性ポリマー(P−1)25%水溶液 14L
カチオン性ポリマー(日東紡製:PAS−H−5L、28%) 4L
退色防止剤(AF1 *1)10%水溶液 8.5L
蛍光増白剤水溶液(*2) 0.1L
以上を添加し、三和(株)社製の高圧ホモジナイザーで分散し、シリカ分散液D3を作製した。
*1:退色防止剤(AF−1) HO−N(C24SO3Na)2
*2:チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、UVITEX NFW LIQUID
上記で得られた記録用紙38〜44を、実施例1と同様なやり方にて評価した。
結果は、下記表3に示す。
Figure 2006224498
表1、2および3からわかるように、加温後0.5〜5時間の範囲で停滞させた分散液を用いた製造方法が塗布液安定性に優れ、塗布適性にも優れ、さらに、高品位を有していることが明らかである。また、水溶性多価金属や、2種類以上のカチオン性ポリマーを用いた場合にさらに塗布液安定性が向上し、好ましい実施形態であることがわかる。

Claims (5)

  1. 支持体上に、無機微粒子分散液と水溶性バインダーを混合した塗布液を塗布する記録媒体の製造方法であって、前記無機微粒子分散液を45℃以上60℃以下の条件下で0.5〜5時間加温処理した後、10℃以上40℃以下の条件下で0.5〜5時間停滞し、水溶性バインダーと混合し塗布液を作製することを特徴とする記録媒体の製造方法。
  2. 無機微粒子が気相法シリカであり、該分散液中にカチオン性ポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の記録媒体の製造方法。
  3. 前記無機微粒子分散液が水溶性多価金属化合物を含むことを特徴とする請求項1または2記載の記録媒体の製造方法。
  4. 前記無機微粒子分散液が2種類以上のカチオン性ポリマーを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の記録媒体の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の記録媒体の製造方法により作製されたことを特徴とする記録媒体。
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