JPWO2015146503A1 - 無機薄膜積層フィルム - Google Patents

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Abstract

本発明は、安価な無機薄膜積層フィルムでありながら、レーザー加工性に優れることから、血糖値センサー等のバイオセンサー用電極フィルムとして好適に使用できる無機薄膜積層フィルムを提供することを目的とし、無機薄膜積層フィルムの構成を、フィルム基材の少なくとも片面上に直接、または他の層を介して無機薄膜を積層し、最表層の無機薄膜が、ニッケル、ニッケル−銅合金、ニッケル−パラジウム合金、インジウム錫酸化物のいずれかからなり、前記フィルム基材の全光線透過率を50%以下のものとする。

Description

本発明は無機薄膜積層フィルムに関するものであり、レーザー加工性に優れることから、血糖値センサー用の電極フィルムなどに好適に用いられる無機薄膜積層フィルムに関するものである。
血糖値センサーは、糖尿病患者または糖尿病の疑いのある人が、一日に数回、血糖値を測定し、その数値を管理するために用いられている。血糖値センサーにおいては、血糖値を検出するために、金、白金等の貴金属の薄膜を積層した電極フィルムをパターン化したものが使用される。
一方、糖尿病患者は欧米を中心に多いものであったが、近年、日本、中国、インドなど世界中で患者数が増加傾向にある。このため、安価な電極材料を用いた電極フィルムの要望が強くなってきた。
また、電極フィルムのパターン化に際して、レーザー加工が開示されている(特許文献1参照)。レーザー加工においては、小さいレーザー出力において電極フィルムから薄膜を除去できることが、生産上の観点から好ましい。
特開平9−189675号公報
すなわち、本発明の目的は、上記の従来の問題点に鑑み、安価な無機薄膜でありながら、レーザー加工性に優れるともに、低い表面抵抗値を有し、血糖値センサー等のバイオセンサー用電極フィルムとして好適に使用できる無機薄膜積層フィルムを提供することにある。
即ち、本発明は、以下の構成よりなる。
1. フィルム基材の少なくとも片面上に直接、または他の層を介して無機薄膜を積層した無機薄膜積層フィルムであって、最表層の無機薄膜が、ニッケル、ニッケル−銅合金、ニッケル−パラジウム合金、インジウム錫酸化物のいずれかからなり、前記フィルム基材の全光線透過率が50%以下であることを特徴とする無機薄膜積層フィルム。
2. フィルム基材の反射率が50%以上であることを特徴とする上記第1に記載の無機薄膜積層フィルム。
3. 最表層の無機薄膜がニッケル−銅合金であって、フィルム基材とニッケル−銅合金薄膜の間に無機中間層を有し、無機中間層が、チタン又はニッケル−チタン合金のいずれかの薄膜であることを特徴とする上記第1又は第2に記載の無機薄膜積層フィルム。
4. 最表層の無機薄膜がニッケル、ニッケル−パラジウム合金、インジウム錫酸化物のいずれかであって、フィルム基材と前記最表層の薄膜の間に無機中間層を有し、無機中間層が、ニッケル−銅合金、チタン及びニッケル−チタン合金から選ばれるいずれかの薄膜であることを特徴とする上記第1又は第2に記載の無機薄膜積層フィルム。
5. 最表層の無機薄膜と無機中間層の膜厚の合計が、5nm以上400nm以下であることを特徴とする上記第3又は第4に記載の無機薄膜積層フィルム。
6. 上記第1〜第5のいずれかに記載の無機薄膜積層フィルムに、レーザーパターニングが施されてなることを特徴とする血糖値センサー用電極フィルム。
7. 上記第6に記載の血糖値センサー用電極フィルムが用いられてなることを特徴とする血糖値センサー用ストリップ。
8. 上記第7に記載の血糖値センサー用ストリップが用いられてなることを特徴とする血糖値センサーデバイス。
本発明によれば、安価な無機薄膜でありながら、レーザー加工性に優れるともに、低い表面抵抗値を有し、血糖値センサー等のバイオセンサー用電極フィルムとして好適に使用できる無機薄膜積層フィルムの提供を可能とした。
無機薄膜積層フィルムのサイクリックボルタンメトリー測定結果を表すサイクリックボルタモグラムの一例である。
本発明における無機薄膜積層フィルムは、フィルム基材の少なくとも片面上に直接、または他の層を介して無機薄膜を積層した無機薄膜積層フィルムであって、該フィルム基材の全光線透過率が50%以下であり、より好ましくは45%以下である。50%より大きい場合は、レーザー加工性の向上が困難となる。全光線透過率は小さいほうが好ましく、ゼロとなる場合もある。
本発明における無機薄膜積層フィルムの表面抵抗値は、300Ω/□以下が好ましく、さらに好ましくは250Ω/□以下、特に好ましくは200Ω/□以下である。表面抵抗値300Ω/□より高い場合、上記の酸化ピーク電流と還元ピーク電流が確認できず、血糖値センサーの電極として使用した際に電気信号が得られなくなるので好ましくない。表面抵抗値は低いほうが好ましいが、通常0Ω/□が達成されることは通常なく、その下限は0.01Ω/□でよく、1Ω/□以上でも構わない。
本発明の無機薄膜積層フィルムは、フィルム基材の少なくとも片面上に直接、または他の層を介して無機薄膜を積層した構造を有する。通常は、フィルム基材の片面上に直接、または他の層を介して無機薄膜を積層した構造で、十分に血糖値センサー用電極フィルムとしての使用に適した無機薄膜積層フィルムである。以下、各層別に詳細に説明する。
(フィルム基材)
本発明で用いるフィルム基材とは、有機高分子をフィルム状に溶融押出し又は溶液押出しをしてフィルム状に成形し、必要に応じ、長手方向及び/又は幅方向に延伸、熱固定、熱弛緩処理等を施したフィルムである。有機高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン66、ナイロン12、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルファン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、セルロースプロピオネート、ポリ塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、ノルボルネン系ポリマーなどが挙げられる。
これらの有機高分子のなかで、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、シンジオタクチックポリスチレン、ノルボルネン系ポリマー、ポリカーボネート、ポリアリレートなどが好適である。また、これらの有機高分子は他の有機重合体の単量体を少量共重合してもよいし、他の有機高分子をブレンドしてもよい。
本発明で用いるフィルム基材の厚みは、10〜300μmであることが好ましく、より好ましくは20〜250μmである。プラスチックフィルムの厚みが10μm以上であれば、機械的強度を満足でき、血糖値センサーなどのセンサーのハンドリングが一通り確保されるので好ましい。一方、厚みが300μm以下であれば、血糖値センサーなどのセンサーの厚みが厚くなりすぎることがなく好ましい。
本発明で用いるフィルム基材は、全光線透過率が50%以下のフィルムであるが、このようなフィルム基材として、好ましく白色フィルムを使用することができる。全光線透過率が50%以下のフィルムを基材フィルムとして使用することで、無機薄膜(及び中間層が存在する場合は中間層も同時に除去する場合がある)をレーザーエッチングで部分的に除去してパターニングする際、無色透明フィルム基材を使用する場合に比べてレーザーエッチングの作業効率が向上することが初めてわかった。
全光線透過率が50%以下であるフィルム基材として、空洞率が3〜50体積%の空洞含有フィルム基材を好適に使用することができる。3%より小さい全光線透過率が50%以下とならない場合があり、あまり好ましくない。一方、50%より大きいと基材としての十分な強度が確保できない場合があり、あまり好ましくない。空洞を含有させるには、基材フィルムを構成する有機高分子(熱可塑性樹脂)に対して非相溶な熱可塑性樹脂を混合し、溶融押出し、冷却固化後、少なくとも一軸方向に延伸して空洞を含有させる方法を好ましく採用することができ、基材フィルムを構成する有機高分子がポリエステルの場合、前記ポリエステルに非相溶な熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等を代表例とするポリオレフィン、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ポリアクリル、ポリカーボネート、ポリスルホン、セルロース系樹脂等を採用することができる。
また、全光線透過率が50%以下であるフィルム基材として、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、有機粒子などの白色フィラーを含有するフィルム基材を好適に使用することができる。なかでも、屈折率の高い酸化チタン、硫酸バリウムを含有するフィルム基材を好適に使用することができる。白色フィラーの含有率は、0.2〜50重量%の範囲が好ましい。0.2重量%より小さい全光線透過率が50%以下とならない場合があり、あまり好ましくない。一方、白色フィラーの含有率が50重量%より大きいと基材としての十分な強度が確保しづらくなる場合があり、あまり好ましくない。
本発明では、基材フィルムとして、50%以下の全光線透過率であれば、空洞含有層と白色フィラー含有層の積層体を好適に使用することができる。この場合、空洞含有層が外側に位置しても内側に位置しても構わない。
また、単一の層が空洞と白色フィラーの両者を含有していても構わない。更には、空洞含有層と空洞を含有しない層とが積層されていても構わず、空洞含有層をA層とし、空洞を含有しない層をB層とするとき、A層/B層、B層/A層/B層、B層/A層/その他のC層の積層構造を採用でき、これらの積層構造を有する全光線透過率が50%以下のフィルム基材は、B層、C層の表面が平滑である点で好ましい。白色フィラーはA層に含有されていても、B層に含有されていても、A層及びB層の両層に含有されていても構わない。もちろん、空洞が含有されているA層があれば、白色フィラーはフィルムに含まれていなくても構わない。A層:B層の層厚み比は2:1以上であることが空洞含有による全光線透過率を下げる点で効果的であり、4:1以上が更に好ましい。但し、あまりにもB層の層厚み比が小さいと、製膜がしづらくなる場合があるので、A層:B層の層厚み比は20:1以下であることが好ましい。フィルム基材中にB層が複数層存在する構成の場合は、B層の層厚みにより計算するものとする。
本発明で用いるフィルム基材は、本発明の目的を損なわない範囲で、前記のようなフィルムにコロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、オゾン処理などの表面活性化処理が施されていてもよい。
また、本発明で用いるフィルム基材には、無機薄膜との密着性向上、耐薬品性の付与、オリゴマーなどの低分子量物の析出防止を目的として、硬化型樹脂を主たる構成成分とする硬化物層を設けることも好ましい。
前記の硬化型樹脂は、加熱、紫外線照射、電子線照射などのエネルギー印加により硬化する樹脂であれば特に限定されなく、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
(無機薄膜)
本発明における無機薄膜は、ニッケル、ニッケル−銅合金、ニッケル−パラジウム合金、インジウム錫酸化物からなる薄膜であるが好ましく、これらが積層された積層物でも良い。ニッケル−銅合金の場合は、ニッケル含有率が40重量%以上、銅含有率が60重量%以下であることが好ましく、この範囲外では、センサー試験において、電極が溶出する場合があり、血糖値センサー用の電極として用いられづらく、あまり好ましくない。一方、ニッケル100重量%であっても構わないが、ニッケル−銅合金のニッケル含有率95重量%以下、銅含有率が5%以上であることがより好ましい。この範囲外では、スパッタリングによる積層の生産性が低下する場合があるので、あまり好ましくない。インジウム錫酸化物の場合、導電性の観点から、インジウムの重量割合が40〜100重量%で、錫の重量割合が60〜0重量%であることが好ましく、実質的にインジウム100重量%のものでも構わないが、スパッタリングのし易さなどの観点から、より好ましくはインジウムが97重量%以下であり、錫が3重量%以上である。
ニッケル−パラジウム合金は任意の組成にて好適に使用することができる。
フィルム基材との密着力向上を図るため、最表層の無機薄膜がニッケル、ニッケル−銅合金、ニッケル−パラジウム合金、インジウム錫酸化物の場合、フィルム基材との間に、チタン、ニッケル−銅合金(無機薄膜がニッケル−銅合金の場合は同一素材の薄膜が2層になる)、ニッケル−チタン合金のいずれかの薄膜層を無機中間層として設けても良い。無機中間層としての、ニッケル−銅合金およびニッケル−チタン合金は、任意の組成にて好適に使用することができるが、ニッケル−銅合金における銅やニッケル−チタン合金のチタンは3重量%以上存在させた方が成膜のし易さの観点から好ましい。
本発明における無機薄膜と無機中間層の合計膜厚は、5〜400nmの範囲が好ましく、更に好ましくは10〜300nm、特に好ましくは15〜200nmである。この膜厚が5nm未満の場合、薄膜のピンホールが生成し、血糖値センサーの電極として使用した際に電気信号が得づらくなるのであまり好ましくない。一方、この膜厚が400nmよりも厚い場合、無機薄膜の応力が大きくなり、剥離が発生しやすく、密着性が低下する場合があり、また、基材の反りも発生する場合があるので、あまり好ましくない。
本発明における無機薄膜の成膜方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法、スプレー法などが知られており、必要とする膜厚に応じて、前記の方法を適宜用いることができるが、高い付着力の発現や膜厚のバラツキを低減するという観点からスパッタリング法が好ましい。
この時、プラズマ照射、イオンアシスト等の手段を併用したりしてもよい。また、本発明の目的を損なわない範囲で、基板に直流、交流、高周波などのバイアスを印加してもよい。
例えば、スパッタリング法にて成膜する場合には、スパッタリングを行う前に真空チェンバー内の圧力を0.0005Pa以下の真空度まで排気(到達真空度が0.0005Pa以下)した後に、Arなどの不活性ガスを真空チェンバーに導入し、0.01〜10Paの圧力範囲において放電を発生させ、スパッタリングを行うのが好ましい。特に生産性の観点からDCスパッタリング法が好ましく、DCマグネトロンスパッタリング法が更に好ましい。また、蒸着法、CVD法などの他の方法においても同様である。
このようにフィルム上に無機薄膜をスパッタリングなどの真空プロセスにより成膜するが、プラスチックフィルム中に揮発成分を含んでいると、無機薄膜積層フィルムの性能うに悪影響を与える場合があり、あまり好ましくない。
即ち、プラスチックフィルム中に揮発成分を含んでいると、例えば、スパッタリング法で無機薄膜をフィルム基板上に形成させる場合、スパッタリングされた無機粒子とプラスチックフィルムから揮発したガスが気相中で衝突して、無機粒子のエネルギーが低下する場合がある。この結果、プラスチックフィルム上に形成される無機薄膜の付着性は低下し易くなり好ましくない。
また、揮発成分が無機薄膜に取り込まれた場合、欠陥が生成するので、血糖値センサーの電極として使用した際に適切な動作ができづらくなり好ましくない。
例えば、プラスチックフィルム中に存在する揮発成分としては、フィルム中に吸水された水分やオリゴマーなどの低分子量成分などが挙げられる。
前記の揮発成分を減少させるためには、スパッタリングを行う前に加熱処理を施すのが好適である。このときの加熱処理温度は0〜200℃の範囲であることが好ましい。0℃未満では揮発成分を減少させる効果が不十分となりやすいためあまり好ましくなく、200℃を越える温度では、フィルムの平面性を保つのが難しくなる傾向にありあまり好ましくない。なお、下限として0℃以上の加熱で実施できる理由は、減圧して実質的真空状態で実施する場合があるからである。
また、スパッタリング等を行う真空チェンバーの中でフィルムを真空暴露することで揮発成分を減少させることも有効な手段である。真空暴露の際にフィルムに接触するロール設定温度を高くしてすること、あるいは赤外線ヒーターによるフィルム加熱を併用することで揮発成分をより減少させることも好ましい。
この時の圧力は、1000Pa以下であることが好ましく、さらに好ましくは100Pa以下である。1000Paよりも高い圧力では揮発成分除去の効果が不十分になり易くあまり好ましくない。揮発成分の除去のために、圧力は低いほうが好ましく、下限は1×10−6Paである。
また、真空暴露時間は、1分〜100分とすることが好ましい。真空暴露時間が1分未満では、揮発成分除去の効果が不十分となり易くあまり好ましくない。一方、100分を超える時間では、生産性が低下するために、工業的にあまり好ましくない。
さらに、真空暴露の際にフィルム温度を高くすることでより効率的に揮発成分の低減を行うことができる。フィルム温度としては、0〜200℃の範囲が好ましく、より好ましくは20〜180℃の範囲である。
フィルム温度を制御するためには、フィルムに接触するロール設定温度を高くすること、あるいは赤外線ヒーターによるフィルム加熱を併用する手段が有効である。この時のロール設定温度としては、上記フィルム温度と同様に0〜200℃の範囲が好ましく、より好ましくは20〜180℃の範囲である。
また、赤外線ヒーターは近赤外線型、中赤外線型、遠赤外線型のうちいずれでもよい。赤外線ヒーターへの投入電力は、5〜50000W/m・minの範囲が好ましい。5W・m/min未満の投入電力ではフィルム温度を上昇させる効果が乏しくなるため好ましくなく、50000W/m・minよりも高い投入電力では、フィルム温度が高くなりすぎ、フィルムの平面性が低下するために好ましくない。
前記のように、成膜雰囲気中の水分や有機物などの不純物を可能な限り除去することで、基材との付着力および膜質に優れた無機薄膜を有する電極フィルムが得られる。そのため、この電極フィルムを血糖値センサーに用いると、センサーの信頼性を損なうことがない。
上記のようにして得られた無機薄膜積層フィルムは、レーザーによってパターニングが施され、血糖値センサー用の電極フィルムとして好ましく用いられる。血糖値センサー用電極フィルムは、血糖値センサーデバイスの種類に応じた血糖値センサー用ストリップに作成され、血糖値センサー用デバイスに装着されて使用される。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。なお、無機薄膜積層フィルムの各特性は、下記の方法により測定した。
(1)Yb:YAGレーザー加工
IPG 社製連続発振Yb:YAGレーザー(YLP−1−100−20−20)を使用した。レーザー波長は1060nm、パルス幅は100ns、周波数は20kHzである。照射スポット径を30μmとし、1回/1ドットの照射回数で、幅0.5mm長さ20mmの線で無機薄膜(最表層の無機薄膜、及び中間層が存在する場合は中間層も除去)を除去できるよう、レーザー出力を変化させてレーザーを照射した。照射された線に対して垂直方向に10mm幅の短冊を切り出し、照射された部位をまたぐ形で、2点間の電気抵抗を測定した。各実施例において、抵抗値が測定できなくなる最小のレーザー出力をP1(W)とした。また、対応する各比較例(透明フィルム基材を使用)において、抵抗値が測定できなくなる最小のレーザー出力をP2(W)とした。P1/P2≦0.95の場合、レーザー加工性が向上したことを示す。
(2)COレーザー加工
レーザーワークス社製COレーザー(VersaLaser)を使用した。スポット径を72μmとし、1270mm/秒の照射速度で、幅0.5mm長さ20mmの線にて線で無機薄膜(最表層の無機薄膜、及び中間層が存在する場合は中間層も除去)を除去できるよう、レーザー出力を変化させてレーザーを照射した。照射された線に対して垂直方向に10mm幅の短冊を切り出し、照射された部位をまたぐ形で、2点間の電気抵抗を測定した。各実施例において、抵抗値が測定できなくなる最小のレーザー出力をP3(W)とした。また、対応する各比較例(透明フィルム基材を使用)において、抵抗値が測定できなくなる最小のレーザー出力をP4(W)とした。P3/P4≦0.95の場合、レーザー加工性が向上したことを示す。
(3)フィルム基材の全光線透過率
JIS−K7136に準拠し、日本電色工業(株)製、NDH−1001DPを用いて、フィルム基材の全光線透過率を測定した。
なお、無機薄膜積層フィルムから基材フィルムの透過率を測定する場合には、濃硫酸、濃硝酸又は濃塩酸で無機薄膜、及び、無機中間層が存在する場合は無機中間層も溶解除去、洗浄した後に測定する。
(4)フィルム基材の反射率
島津製作所製分光光度計(UV−vis UV−3150)に積分球を取り付け、硫酸バリウムの標準白色板を100%とした時の反射率を400〜700nmにわたって測定した。得られたチャートより5nm間隔で反射率を読み取り、その算術平均値を反射率とした。
なお、無機薄膜積層フィルムから基材フィルムの反射率を測定する場合には、濃硫酸、濃硝酸又は濃塩酸で無機薄膜、及び、無機中間層が存在する場合は無機中間層も溶解除去、洗浄した後に測定する。
(5)フィルム基材の空洞率
フィルムの断面を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製SU1510)で撮影し、汎用的な画像解析ソフトウェア(ImageJ)を用いて各領域の空洞を抽出し、空洞率を面積率で求め、この値をそのまま体積%とし表示した。
(6)表面抵抗値
JIS−K7194に準拠し、4端子法にて測定した。測定機は、三菱油化(株)製 Lotest AMCP−T400を用いた。
(7)無機薄膜及び無機中間層の膜厚
無機薄膜積層フィルム試料片を1mm×10mmの大きさに切り出し、電子顕微鏡用エポキシ樹脂に包埋した。これをウルトラミクロトームの試料ホルダに固定し、包埋した試料片の短辺に平行な断面薄切片を作製した。次いで、この切片の薄膜の著しい損傷がない部位において、透過型電子顕微鏡(JEOL社製、JEM−2010)を用い、加速電圧200kV、明視野で観察倍率1万倍にて写真撮影を行って得られた写真から膜厚を求めた。
(8)サイクリックボルタンメトリー測定
ニッケル銅合金薄膜積層フィルムを50mm×5mm幅の短冊状に切り出した。5mMのフェロシアン化カリウムおよび1Mの硝酸カリウムを含む水溶液に、短冊状のニッケル銅合金薄膜積層フィルムを10mm浸漬させた。参照極の銀/塩化銀、対極の白金コイルも該溶液に設置した。対銀/塩化銀にて、まず、開始電圧を、+0.1V、折り返し電圧を+0.5V、終了電圧を+0.1Vとし、50mV/sの走査速度で測定を行った。この+0.1V〜+0.5Vの範囲に酸化ピーク電流及び還元ピーク電流が見られた場合には、前記の測定を1回目測定とし、続いて2回目も同一条件で測定した。+0.2Vから+0.5Vの間の電位に酸化ピーク電流が、0Vから+0.3Vの間の電位に還元ピーク電流が観測され、1回目と2回目測定の実質的に同一(酸化および還元ピーク電流を示す電位の値が±0.1V以内)の場合を表1において○と表現した。
(これは、無機薄膜積層フィルム上の無機薄膜が、フェロシアン化物イオンに溶解することなく、フェロシアン化物イオンをフェリシアン化イオンに酸化でき、また、フェリシアン化イオンに溶解することなく、フェリシアン化イオンがフェロシアン化イオンに還元できることを確認し、血糖値センサー用電極フィルムとして、繰り返し使用にも耐えることの確認評価である。)
〔実施例1〕
プラスチックフィルムとして、平均粒径が0.45μmのルチル型の酸化チタンを10重量%にて含む、全光線透過率が1.8%、反射率が96.3%である厚み250μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを用いた。
続いて二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、ニッケル薄膜を成膜するために、フィルムの真空暴露を行った。真空チャンバーで巻き返し処理を行い、このときの圧力は2×10−3Paであり、暴露時間は20分とした。また、センターロールの設定温度は40℃とした。
その後、ニッケルターゲットを用いて、二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、ニッケル薄膜を成膜した。このときスパッタリング前の真空チャンバーの到達圧力が1×10 −4Pa(到達真空度)であることを確認後、スパッタリングを実施した。スパッタリングの条件は、3W/□のDC電力を印加した。また、Arガスを流し、0.4Paの雰囲気下とし、DCマグネトロンスパッタリング法を用いて成膜した。また、センターロール設定温度は0℃とした。以上のようにして、膜厚100nmのニッケル薄膜を堆積させた。
図1に前記ニッケル薄膜積層フィルムのサイクリックボルタンメトリー測定結果のサイクリックボルタモグラムを示す。+0.2Vから+0.5Vの間の電位に酸化ピーク電流が観測され、0Vから+0.3Vの間の電位に還元ピーク電流が観測された。また、1回目と2回目測定の実質的に同一であり、血糖値センサー用電極フィルムとして、繰り返し使用にも耐えることが確認された。
レーザー加工を実施したところ、下記比較例1の全光線透過率が88%で、反射率が4.5%のフィルムを基材として用いた場合と比較して、抵抗値が測定できなくなるレーザー出力が低下することが認められた。
〔比較例1〕
基材フィルムを全光線透過率が88%で、反射率が4.5%である二軸延伸ポリエステルフィルムに変更したこと以外は、実施例1と同様に実施した。
〔実施例2〕
膜厚50nmのチタン薄膜を積層し、さらにその上に膜厚50nmのニッケル薄膜を積層したこと以外は、実施例1と同様に実施した。下記比較例2の全光線透過率が88%で、反射率が4.5%のフィルムを基材として用いた場合と比較して、抵抗値が測定できなくなるレーザー出力が低下することが認められた。
〔比較例2〕
基材フィルムを全光線透過率が88%で、反射率が4.5%である二軸延伸ポリエステルフィルムに変更したこと以外は、実施例2と同様に実施した。
〔実施例3〕
平均粒径0.3μmの硫酸バリウムを20重量%にて含む全光線透過率が1.9%、反射率が96.1%の二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、膜厚100nmのニッケル(65重量%)−パラジウム(35重量%)の合金薄膜を成膜したこと以外は、実施例1と同様に実施した。下記比較例3の全光線透過率が88%で、反射率が4.5%のフィルムを基材として用いた場合と比較して、抵抗値が測定できなくなるレーザー出力が低下することが認められた。
〔比較例3〕
基材フィルムを全光線透過率が88%で、反射率が4.5%である二軸延伸ポリエステルフィルムに変更したこと以外は、実施例3と同様に実施した。
〔実施例4〕
平均粒径0.3μmの硫酸バリウムを20重量%にて含む全光線透過率が1.9%、反射率が96.1%の二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、膜厚100nmのニッケル(75重量%)−パラジウム(25重量%)の合金薄膜を成膜したこと以外は、実施例1と同様に実施した。下記比較例4の全光線透過率が88%で、反射率が4.5%のフィルムを基材として用いた場合と比較して、抵抗値が測定できなくなるレーザー出力が低下することが認められた。
〔比較例4〕
基材フィルムを全光線透過率が88%で、反射率が4.5%である二軸延伸ポリエステルフィルムに変更したこと以外は、実施例4と同様に実施した。
〔実施例5〕
平均粒径0.3μmの硫酸バリウムを20重量%にて含む全光線透過率が1.9%、反射率が96.1%の二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、膜厚50nmのニッケル(5重量%)−チタン(50重量%)合金薄膜を積層し、さらにそのうえに膜厚50nmのニッケル(75重量%)−パラジウム(25重量%)の合金薄膜を成膜したこと以外は、実施例1と同様に実施した。下記比較例5の全光線透過率が88%で、反射率が4.5%のフィルムを基材として用いた場合と比較して、抵抗値が測定できなくなるレーザー出力が低下することが認められた。
〔比較例5〕
基材フィルムを全光線透過率が88%で、反射率が4.5%である二軸延伸ポリエステルフィルムに変更したこと以外は、実施例5と同様に実施した。
〔実施例6〕
インジウム錫酸化物(In:Sn=90重量%:10重量%)ターゲットを使用し、膜厚23nmのインジウム錫酸化物を積層し、さらに、150℃、1時間の加熱処理を行なったこと以外は、実施例1と同様に実施した。下記比較例6の全光線透過率が88%で、反射率が4.5%のフィルムを基材として用いた場合と比較して、抵抗値が測定できなくなるレーザー出力が低下することが認められた。
〔比較例6〕
基材フィルムを全光線透過率が88%で、反射率が4.5%である二軸延伸ポリエステルフィルムに変更したこと以外は、実施例6と同様に実施した。
〔実施例7〕
膜厚100nmのチタン薄膜を積層し、さらにその上に膜厚10nmのインジウム錫酸化物(In:Sn=90重量%:10重量%)薄膜を積層し、さらに、150℃、1時間の加熱処理を行なったこと以外は、実施例1と同様に実施した。下記比較例7の全光線透過率が88%で、反射率が4.5%のフィルムを基材として用いた場合と比較して、抵抗値が測定できなくなるレーザー出力が低下することが認められた。
〔比較例7〕
基材フィルムを全光線透過率が88%で、反射率が4.5%である二軸延伸ポリエステルフィルムに変更したこと以外は、実施例7と同様に実施した。
〔実施例8〕
膜厚100nmのニッケル(70重量%)−銅(30重量%)合金薄膜を積層し、さらにその上に膜厚10nmのインジウム錫酸化物(In:Sn=90重量%:10重量%)薄膜を積層し、さらに、150℃、1時間の加熱処理を行なったこと以外は、実施例1と同様に実施した。下記比較例8の全光線透過率が88%で、反射率が4.5%のフィルムを基材として用いた場合と比較して、抵抗値が測定できなくなるレーザー出力が低下することが認められた。
〔比較例8〕
基材フィルムを全光線透過率が88%で、反射率が4.5%である二軸延伸ポリエステルフィルムに変更したこと以外は、実施例8と同様に実施した。
〔実施例9〕
平均粒径が0.45μmのルチル型の酸化チタンを2重量%にて含む全光線透過率が44.4%、反射率が51.3%である厚み250μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートの片面に、ニッケル(65重量%)−銅(35重量%)の合金薄膜を成膜したこと以外は、実施例1と同様に実施した。下記比較例9の全光線透過率が88%で、反射率が4.5%のフィルムを基材として用いた場合と比較して、抵抗値が測定できなくなるレーザー出力が低下することが認められた。
〔比較例9〕
基材フィルムを全光線透過率が88%で、反射率が4.5%である二軸延伸ポリエステルフィルムに変更したこと以外は、実施例9と同様に実施した。
〔実施例10〕
平均粒径0.3μmの硫酸バリウムを20重量%にて含む全光線透過率が1.9%、反射率が96.1%の二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、膜厚50nmのチタン薄膜を積層し、さらにその上に、膜厚100nmのニッケル(75重量%)−銅(25重量%)の合金薄膜を積層したこと以外は、実施例1と同様に実施した。下記比較例10の全光線透過率が88%で、反射率が4.5%のフィルムを基材として用いた場合と比較して、抵抗値が測定できなくなるレーザー出力が低下することが認められた。
〔比較例10〕
基材フィルムを全光線透過率が88%で、反射率が4.5%である二軸延伸ポリエステルフィルムに変更したこと以外は、実施例10と同様に実施した。
〔実施例11〕
平均粒径0.3μmの硫酸バリウムを10重量%にて含む全光線透過率が7.0%、反射率が86.1%の二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、膜厚50nmのニッケル(50重量%)−チタン(50重量%)の合金薄膜を積層し、さらにその上に、膜厚100nmのニッケル(90重量%)−銅(10重量%)の合金薄膜を積層したこと以外は、実施例1と同様に実施した。下記比較例11の全光線透過率が88%で、反射率が4.5%のフィルムを基材として用いた場合と比較して、抵抗値が測定できなくなるレーザー出力が低下することが認められた。
〔比較例11〕
基材フィルムを全光線透過率が88%で、反射率が4.5%である二軸延伸ポリエステルフィルムに変更したこと以外は、実施例11と同様に実施した。
〔実施例12〕
全光線透過率が2.1%、反射率が95.7%である空洞含有二軸延伸ポリエステルフィルム(80重量%のポリエチレンテレフタレートと20重量%のポリスチレンとを混合して製膜)の片面に、膜厚50nmのチタン薄膜を積層し、さらにその上に膜厚100nmのニッケル(75重量%)−銅(25重量%)の合金薄膜を積層したこと以外は、実施例1と同様に実施した。上記比較例10の全光線透過率が88%のフィルムを基材として用いた場合と比較して、抵抗値が測定できなくなるレーザー出力が低下することが認められた。
〔実施例13〕
A層が平均粒径を0.45μmのルチル型の酸化チタン5重量%、及びポリスチレン15重量%を含有するポリエチレンテレフタレートからなり、B層がポリエチレンテレフタレートからなる、B層/A層/B層の構成であり層厚み比が1/8/1の全光線透過率が2.0%、反射率が96.0%の総厚みが250μmの空洞含有二軸延伸ポリエステルフィルムの片面に、膜厚50nmのチタン薄膜を積層し、さらにその上に膜厚100nmのニッケル(75重量%)−銅(25重量%)の合金薄膜を積層したこと以外は、実施例1と同様に実施した。上記比較例10の全光線透過率が88%のフィルムを基材として用いた場合と比較して、抵抗値が測定できなくなるレーザー出力が低下することが認められた。空洞含有二軸延伸ポリエステルフィルム基材は、実施例12の空洞含有二軸延伸ポリエステルフィルム基材に比べて、表面が平滑で好ましいものであった。
実施例2〜13の薄膜積層フィルムについても、サイクリックボルタンメトリー測定による確認評価を行い、血糖値センサー用電極フィルムとして、繰り返し使用にも耐えることが確認できた。
各実施例と比較例により、全光線透過率が50%より大きいフィルム基材を使用した場合より、全光線透過率が50%以下のフィルム基材を使用した場合のほうが、絶縁を確保できるレーザー出力が低下することが確認できる。すなわち、本発明により、容易で効率的なレーザー加工を達成できる。
本発明によれば、安価な無機薄膜積層フィルムでありながら、レーザー加工性に優れるともに、低い表面抵抗値、耐薬品性を有する無機薄膜積層フィルムを提供できることから、血糖値センサー等のバイオセンサー用電極フィルムとして好適に使用できる。

Claims (8)

  1. フィルム基材の少なくとも片面上に直接、または他の層を介して無機薄膜を積層した無機薄膜積層フィルムであって、最表層の無機薄膜が、ニッケル、ニッケル−銅合金、ニッケル−パラジウム合金、インジウム錫酸化物のいずれかからなり、前記フィルム基材の全光線透過率が50%以下であることを特徴とする無機薄膜積層フィルム。
  2. フィルム基材の反射率が50%以上であることを特徴とする請求項1に記載の無機薄膜積層フィルム。
  3. 最表層の無機薄膜がニッケル−銅合金であって、フィルム基材とニッケル−銅合金薄膜の間に無機中間層を有し、無機中間層が、チタン又はニッケル−チタン合金のいずれかの薄膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の無機薄膜積層フィルム。
  4. 最表層の無機薄膜がニッケル、ニッケル−パラジウム合金、インジウム錫酸化物のいずれかであって、フィルム基材と前記最表層の薄膜の間に無機中間層を有し、無機中間層が、ニッケル−銅合金、チタン及びニッケル−チタン合金から選ばれるいずれかの薄膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の無機薄膜積層フィルム。
  5. 最表層の無機薄膜と無機中間層の膜厚の合計が、5nm以上400nm以下であることを特徴とする請求項3又は4に記載の無機薄膜積層フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の無機薄膜積層フィルムに、レーザーパターニングが施されてなることを特徴とする血糖値センサー用電極フィルム。
  7. 請求項6に記載の血糖値センサー用電極フィルムが用いられてなることを特徴とする血糖値センサー用ストリップ。
  8. 請求項7に記載の血糖値センサー用ストリップが用いられてなることを特徴とする血糖値センサーデバイス。
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