JP4665263B2 - 透明導電性フィルムおよびこれを用いたタッチパネル - Google Patents

透明導電性フィルムおよびこれを用いたタッチパネル Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチックフィルムを用いた透明導電性フィルムおよびこれを用いたタッチパネルに関し、特にタッチパネルとして用いた時のペン入力耐久性に優れた透明導電性フィルムおよびこれを用いたタッチパネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックフィルム上に透明で電気抵抗の低い化合物薄膜を形成した透明導電性フィルムは、その優れた導電性を利用して例えば液晶ディスプレイ、ELディスプレイ、エレクトロクロミックディスプレイの如き表示素子の電極や太陽電池の如き光電変換素子の窓電極、あるいは電磁波シールドの電磁波遮蔽膜やタッチパネルなどの入力装置の電極として広く実用化されている。
【0003】
ところで、この種の透明導電性フィルムに用いられる透明導電層としては、金、銀、白金、パラジウムなどの貴金属薄膜と、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウム−スズ、酸化亜鉛などの酸化物半導体薄膜とを組合わせたものが知られている。
【0004】
また、近年における携帯情報端末の普及により、入力や操作性の簡便さが強く求められるにつれて、表示画面上の任意の点を押圧することによって簡単に入力できるペン入力方式のものが広く採用されている。ペン入力方式としては、静電容量方式や光センサー方式、タッチパネル方式が知られているが、これらの中でもタッチパネル方式は、位置検出がアナログ的で分解能が高く、また周辺装置をコンパクトにできるといった特長を有していることから、ワープロ、パソコン、電子手帳の如き携帯用や個人用の情報端末に多く使われている。
【0005】
上記タッチパネルに用いられる透明導電性フィルムは、基本的には導電層(殊に、ITO層)/高分子フィルムの層構成からなり、タッチパネルとして使用するときは、2枚の透明導電性フィルムの導電層側をスペーサを介して対向配置して用いられる。
【0006】
通常のタッチパネルは、液晶表示素子の最上面に重ね合わせて用いられることから、透明性、機械的性質、表面平滑性、耐溶剤性、耐スクラッチ性、非透湿性、コストなどの総合的性能を考慮して、二軸廷伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが最も汎用されている。
【0007】
そして上記の様なタッチパネルを配設した液晶表示機器においては、ペン入力による位置検出精度が経時的に劣化しない様な耐久性が要求されており、耐久特性として特に重要となるのは、位置検出回路とタッチパネルを接続する接続部材の耐久性と、ペン入力による押圧で透明導電性フィルムの透明導電性薄膜にクラックや剥離を生じない、という透明導電性薄膜自体の耐久性である。
【0008】
上記位置検出回路とタッチパネルの接続には、通常銀ペーストが用いられており、銀ペーストと透明導電性薄膜を強固に接着するには、透明導電性薄膜上に銀ペーストを塗布し、150℃以上の高温で焼成すればよい。ところが、基材フィルムとして一般的に使用されているポリエステルフィルムは、150℃以上の温度で熱処理するとオリゴマーの析出によってフィルムが白濁してしまう。そこでオリゴマー析出防止策として、透明なプラスチックフィルム上に、有機ケイ素化合物の加水分解によって生成する層を設け、その上に透明導電性薄膜を形成した透明導電性フィルムが提案されている(特開昭60−131711号公報)。
【0009】
またペン入力用タッチパネルに透明導電性フィルムを用いたものでは、スペーサーを介して対向させた一対の導電性薄膜同士がペン入力による押圧力で強く接触するため、薄膜にクラックや剥離が生じて電気抵抗が増大したり断線を生じるといった問題を生じる。
【0010】
そこで、ペン入力による導電性劣化の問題を軽減するための耐久特性向上策として、例えば特開平2−66809号公報には、120μm以下の厚さの透明プラスチックフィルム上に透明導電性薄膜を形成し、粘着剤により他の透明基体と貼り合わせた透明導電性フィルムが提案されている。
【0011】
また特許第2525475号には、加熱処理を施すことによりインジウム酸化物の結晶粒径を0.3μm以下とした透明導電性フィルムも提案されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記ペン入力による導電性劣化の防止策として提案されている、透明プラスチック上に透明導電性薄膜を形成して、粘着剤により他の透明基体と貼り合わせる方法では、ペン入力に対する耐久性が十分とはいえず、しかも、粘着剤を用いて貼り合わせるため、貼合せ時にゴミなどの異物が混入し易く、光学欠陥の多い透明導電性フィルムとなってしまう。
【0013】
また、透明プラスチックフィルム上に有機ケイ素化合物の加水分解により生成した層を設け、その上に透明導電性薄膜を積層した透明導電性フィルムでは、耐久性を確保することの必要上、透明導電性薄膜の製膜後に、有機ケイ素化合物の加水分解により生成した層を架橋させるため150℃×10時間もの熱処理が必要となる。その結果、透明導電性薄膜が結晶質となってタッチパネル作製時における透明導電性薄膜のエッチング特性が極めて悪くなり、タッチパネルの製造コストが高くなる。
【0014】
また、加熱処理によりインジウム酸化物の結晶粒径を0.3μm以下とした透明導電性フィルムを用いる方法でも、透明導電性フィルムが結晶質の透明導電性薄膜となるため、この場合もタッチパネル作製時の透明導電性薄膜のエッチング特性が極めて悪くなり、タッチパネルの製造コストが高くなる。
【0015】
本発明は上記の様な従来技術に指摘される問題点を改善しようとするものであり、透明なプラスチックフィルム上に透明導電性薄膜を形成した透明導電性フィルムにおいて、特にタッチパネルとして用いたときのペン入力耐久性に優れ、且つ低コストで製造することのできる透明導電性フィルムを提供し、更には該透明導電性フィルムを用いた高性能で低コストのタッチパネルを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、一軸延伸ポリエステルフィルム上に、特定の表面張力を有する非晶質の透明導電性薄膜を形成すれば上記目的が達成されることを知り、本発明に想到した。
【0017】
即ち本発明の銀ペースト密着性に優れる透明導電性フィルムは、以下の構成よりなる。
1. 一軸延伸ポリエステルフィルムの少なくとも片面に非晶質透明導電性薄膜が形成された透明導電性フィルムであって、該非晶質透明導電性薄膜が酸化スズ含有率10〜60質量%の非晶質インジウム−スズ複合酸化物薄膜であり、該非晶質透明導電性薄膜の表面張力が35〜60mN/mであり、且つ、該一軸延伸ポリエステルフィルムに対する該非晶質透明導電性薄膜の付着力が10g/15mm以上であるところに特徴を有している。
【0018】
上記本発明において、透明導電性フィルムを構成する上記一軸延伸ポリエステルフィルムを構成する高分子としては、ポリエチレンテレフタレートまたはこれを主体とするポリエステルが好ましい。また、該透明導電性フィルムの透明導電性薄膜を形成していない面に、ハードコート処理層、防眩処理層または反射防止処理層を形成したものも、本発明の好ましい実施態様に含まれる。
【0019】
また本発明に係るタッチパネルは、表面に透明導電性薄膜が形成された一対のパネル材を、該透明導電性薄膜が対向する様にスペーサーを介して重ね合わせてなるタッチパネルであって、少なくとも1方のパネル材として、前述した透明導電性フィルムを配置してなるところに要旨を有している。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0021】
本発明の透明導電性フィルムおよびタッチパネルを構成する基材フィルムは一軸延伸ポリエステルフィルムであり、該フィルムの少なくとも片面に積層される透明導電性薄膜は非晶質で、且つその表面張力が35〜60mN/mの範囲にあるもので、該透明導電性フィルムの製法は特に制限されないが、例えば次の様な方法によって製造される。
【0022】
まず本発明で使用する一軸延伸ポリエステルフィルムは、ポリエステルを溶融押出し又は溶液押出しし、必要により長手方向または幅方向に延伸してから冷却、熱固定したフィルムであり、ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート等のポリエステルが挙げられる。また、これらのポリエステルは、他の有機重合体を少量共重合させたり、ブレンドしたものであってもよい。
【0023】
本発明に係る上記一軸延伸ポリエステルフィルムの好ましい厚みは、10μm超、300μm以下、より好ましくは70μm以上、250μm以下であり、10μm以下ではベースフィルムとしての機械的強度が不足気味となり、特にタッチパネルとして用いたときのペン入力に対する変形が過大となり、満足な耐久性が得られ難くなる。一方300μmを超えると、タッチパネルに用いたときのペン入力時の荷重を過度に大きくしなければならず、操作性や感度不良となる。
【0024】
この発明で上記ポリエステルフィルムに積層される透明導電性薄膜としては、透明性と導電性を併せ持つ材料であれば特に制限なく使用できるが、代表的なものとしては、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウム−スズ複合酸化物、スズ−アンチモン複合酸化物、亜鉛−アルミニウム複合酸化物、インジウム−亜鉛複合酸化物などの薄膜が例示される。これらの化合物薄膜は、適当な造膜条件を採用することで透明性と導電性を兼ね備えた透明導電性薄膜になることが知られている。
【0025】
透明導電性薄膜の好ましい膜厚は、40Å以上、より好ましくは50Å以上で、8000Å以下、より好ましくは5000Å以下であり、該膜厚が40Å未満の場合は、連続した薄膜になり難くて安定した導電性が得られにくくなり、逆に8000Åを超えて過度に厚くなると透明性が低下する。
【0026】
透明導電性薄膜の形成法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法、スプレー法、ゾル−ゲル法の如き公知の方法を、上記材料の種類や必要膜厚に応じて適宜選択して採用すればよい。
【0027】
上記スパッタリング法の場合、化合物を用いた通常のスパッタリング法、あるいは金属ターゲットを用いた反応性スパッタリング法などを採用できる。この時、反応性ガスとして酸素、窒素、水蒸気などを導入したり、オゾン添加やイオンアシスト等を併用することも有効である。また本発明の目的を損なわない範囲で、基板に直流、交流、高周波などのバイアスを印加してもよい。
【0028】
非晶質の透明導電性薄膜を得るには、透明導電性薄膜を製膜する際に、基板である一軸延伸ポリエステルフィルムの温度を100℃以下に抑えることが必要であり、蒸着法やCVDの如き他の方法を採用する場合も同様である。
【0029】
本発明に係る透明導電性フィルムをタッチパネル用として使用するに際し、上記透明導電性薄膜を位置検出回路に銀ペーストを用いて強固に接着するには、透明導電性薄膜の表面張力を35〜60mN/mにすることが重要であり、この範囲の表面張力を確保することによって、例えば120℃以上の焼成温度を採用した場合でも、銀ペーストと透明導電性薄膜とを強固に接着することが可能となる。
【0030】
ちなみに、透明導電性薄膜の表面張力が35mN/m未満では、120℃を超える焼成温度では銀ペーストとの接着性が不十分となり、逆に該表面張力が60mN/mを超えると、透明導電性薄膜上の水分などの吸着水量が増大し、やはり銀ペーストとの接着性が低下してくる。
【0031】
透明導電性薄膜の表面張力を35〜60mN/mの範囲にするための手段は特に制限されないが、一般的な方法としては、(1)透明導電性薄膜を酸性もしくはアルカリ性溶液で処理して表面を活性化する方法、(2)紫外線や電子線を薄膜表面に照射して活性化する方法、(3)コロナ処理やプラズマ処理を施して活性化する方法、等が例示される。
【0032】
上記表面活性化処理を実施する際に、酸性水溶液処理に用いられる酸としては、塩酸、硫酸、フツ酸、硝酸などが例示され、これらは単独酸として使用してもよく、あるいは混酸として使用することもできる。またアルカリ性水溶液処理に用いられるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウムなどが例示され、これらも単独で使用し得る他、混合アルカリとして使用できる。また、これらの酸やアルカリを含む洗浄液を使用してもよい。
【0033】
また、低圧もしくは高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射することにより空気中の酸素を活性酸素とし、これを透明導電性薄膜表面と反応させることによって、表面張力の高い透明導電性薄膜を得ることもできる。このときの紫外線照射量としては、5〜2000mJ/cmの範囲が好ましく、5mJ/cm未満の照射量では表面を十分に活性化できず、また2000mJ/cmを超えて過度に照射量を多くすることは、表面活性化処理に時間がかかり過ぎるので実用性を欠く。
【0034】
また電子線照射に用いる電子線源としては、電子発生方式として熱陰極型、電界放出型、冷陰極型などが、また高電圧発生方式としてはコッククロフト・ウォルトン型、変圧器整流型、バンテクラフ型などが好ましく採用される。電子線のエネルギーは50KeV〜30MeVの範囲が好ましく、50KeV未満の低エネルギーでは透明導電性薄膜の表面活性化が十分でなく、また30MeVを超える高エネルギーを得るには、非常に高価な設備が必要となるので工業的実用性を欠く。また電子線照射量は0.1〜500Mradの範囲が好ましく、0.1Mrad未満の照射線量では、透明導電性薄膜の表面活性化が十分でなく、また500Mradを超える照射線量を得るには処理に時間がかかり過ぎるので実用的でない。
【0035】
上記の様に事後的に表面張力を高める方法を採用する方法の他、表面張力の高い材料を透明導電性薄膜構成素材として使用することも有効であり、例えば、透明導電性薄膜として好適に用いられるインジウム−スズ複合酸化物薄膜のうち、酸化スズの含有率を多くすると、表面張力の高い透明導電性薄膜を得ることができる。この場合のインジウム−スズ複合酸化物薄膜中の好ましい酸化スズ含量は10〜60質量%、より好ましくは15〜50質量%の範囲である。酸化スズ含量が10質量%未満では、前述した表面活性化処理を併用しなければ、表面張力を35〜60mN/mの範囲内とすることができず、また60質量%を超えると薄膜の導電性が損なわれる。
【0036】
本発明に係る上記透明導電性フィルムにおいて、ペン入力耐久性を十分に高めるには、一軸延伸ポリエステルフィルムに対する透明導電性薄膜の付着力を10g/15mm以上とする。
【0037】
一軸延伸ポリエステルフィルムと透明導電性薄膜との接着性を更に向上させるため、透明導電性薄膜を製膜するに先だって一軸延伸ポリエステルフィルムに表面処理を施しておくことも有効である。そのための具体的な手法としては、サンドブラスト処理やエンボス加工によって表面積を増加させる物理的表面粗面化処理法、フィルム表面にグロー放電やコロナ放電処理を施し、表層部のカルボニル基やカルボキシル基、水酸基などの活性基量を増大させる放電処理法、或いは、フィルム表面の水酸基やカルボニル基などの塩性基を増加させるため、酸やアルカリでポリエステルフィルムを処理する化学薬品処理法などが例示される。
【0038】
これらの中でも、一軸延伸ポリエステルフィルムと透明導電性薄膜との接着性への寄与、経時安定性、処理コスト等を総合的に考えて特に好ましいのは、酸性またはアルカリ性水溶液を用いる表面処理法である。
【0039】
ここで用いられる酸性水溶液としては、重クロム酸アルカリと硫酸の混合水溶液であるクロム酸混液や塩酸水溶液などが好ましく使用され、アルカリ性水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などが好ましく用いられる。
【0040】
透明導電性薄膜と一軸延伸ポリエステルフィルムとの付着力を更に強固にするため、透明導電性薄膜と一軸延伸ポリエステルフィルムとの間にプライマー層を設けることも有効である。ここで用いられるプライマー層の構成材としては、透明導電性薄膜と一軸延伸ポリエステルフィルムの双方に優れた接着性を示すもので、具体的には、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタンアクリル樹脂、シリコンアクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリシロキサン樹脂などが好ましく用いられる。
【0041】
該プライマー層の厚さは特に限定されないが、0.005〜10μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.01〜5μmの範囲である。0.005μm未満の薄いプライマー層では、連続した膜になり難いため付着力向上効果が有効に発揮され難く、一方10μmを超える厚膜では、プライマー層の凝集破壊が起り易くなり、やはり満足のいく付着力向上効果が発揮されない。
【0042】
プライマー層を一軸延伸ポリエステルフィルム上に形成する方法も特に限定されないが、好ましいのはコーティング法である。コーティング法としては、例えばエアドクタコート法、ナイフコート法、ロッドコート法、正回転ロールコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ビードコート法、スリットオリフェスコート法、キャストコート法などが挙げられる。また、プライマー層に架橋構造を付与する場合には、コーティング後に加熱したり或いは紫外線や電子線照射によりエネルギーを印加する方法等を採用すればよい。
【0043】
上記プライマー層をコーティングするに先立ち、本発明の目的を損なわない限度で、一軸延伸ポリエステルフィルム表面にコロナ放電処理やグロー放電処理などの表面処理を施しても構わない。
【0044】
図1は、本発明に係る透明導電性フィルムFの基本的な層構造を示す断面説明図であり、一軸延伸ポリエステルフィルムA片面に透明導電性薄膜を形成したものであるが、タッチパネルとして組立てた時のペン入力などによる傷付きを防止するため、例えば図2に示す如く透明導電性フィルムFの透明導電性薄膜Bが形成されていない面にハードコート処理層(HC)を設けておくことも、好ましい態様として推奨される。このハードコート処理層としては、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル糸樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの硬化性樹脂を、単独もしくは併用した架橋性樹脂硬化物層が好ましい。
【0045】
該ハードコート処理層の厚さは1〜50μm、より好ましくは2〜30μmの範囲が好ましく、1μm未満ではハードコート処理層としての機能が十分に発現されず、また50μmを超える厚肉になると、樹脂コーティングの形成速度が著しく遅くなるので生産性の面で好ましくない。
【0046】
ハードコート処理層の形成法としては、透明導電性フィルムにおける透明導電性薄膜が形成されていない側の面に、上述した様な樹脂をグラビア方式、リバース方式、ダイ方式などでコーティングした後、熱、紫外線、電子線等のエネルギーを印加して硬質皮膜化する方法を採用すればよい。
【0047】
更に、タッチパネルの視認性向上のため、図3に示す如く、透明導電性フィルムFにおける透明導電性薄膜Bが形成されていない側の面に、防眩処理層(AG)A設けることも極めて有効である。防眩処理層の形成は、硬化性樹脂をコーティングして乾燥した後、その表面にエンボスロールなどで凹凸を形成してから、熱や紫外線、電子線等のエネルギーを印加して硬化させる方法等によって実現でき、このとき用いられる硬化性樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン糸樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、ポリイミド系樹脂などが、単独でもしくは混合して使用できる。
【0048】
また、タッチパネルとして用いた時の可視光線透過率を更に向上させるため、図4に示す如く、透明導電性フィルムFにおける透明導電性薄膜Bが形成されていない側の面に反射防止処理層(AR)を設けることも有効である。該反射防止処理層には、基材フィルムの屈折率とは異なる屈折率を有する素材を単層もしくは2層以上に積層形成する方法が好ましく採用される。単層構造の場合は、基材フィルムよりも小さな屈折率を有する素材を使用するのがよく、また2層以上の多層構造とする場合は、基材フィルムと隣接する層は基材フィルムよりも大さな屈折率を有する素材とし、その上に積層される層には、これよりも小さな屈折率を有する素材を選択することが好ましい。
【0049】
この様な反射防止処理層を構成する素材としては、有機材料、無機材料の如何を問わず上記屈折率の関係を満足するものであればよいが、好ましい例としては、CaF,MgF,NaAlF,SiO,ThF,ZrO,Nd,SnO,TiO,CeO,ZnS,Inなどの誘電体が挙げられる。
【0050】
上記反射防止処理層を積層する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーテイング法などのドライコーティング法でも、グラビア方式、リバース方式、ダイ方式などのウェットコーティング法でも構わない。
【0051】
更に上記反射防止処理層の積層に先立って、コロナ放電処理、プラズマ処理、スパッタエッチング処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、プライマ処理、易接着処理などの公知の前処理を施してもよい。
【0052】
次に、上記透明導電性フィルムを用いたタッチパネルについて説明する。図5は、本発明に係るタッチパネルを例示する断面説明図であり、透明導電性薄膜を有する一対のパネル材を、透明導電性薄膜Bが対向する様にスペーサーSを介して対向配置してなるタッチパネルにおいて、1方のパネル材として、前述した本発明の透明導電性フィルムFを用いたものである。このタッチパネルは、透明導電性フィルムF側からペンにより文字入力したときに、対向した透明導電性薄膜B同士がペンからの押圧により接触して電気的にONになり、ペンのタッチパネル上での位置を検出できる。このペンタッチ位置を連続的かつ正確に検出することで、ペンの軌跡から文字を入力できる。この際、ペン接触側のパネル材が前記本発明の透明導電性フィルムで構成されており、ペン入力耐久性に優れたものであるから、長期にわたって安定なタッチパネルとなる。
【0053】
なお図5において、もう一方のパネル材としては、ガラス板Gよりなる透明基板上に透明導電性薄膜Bを積層したものであるが、本発明の前記透明導電性フィルムFを使用してもよい。また、液晶ガラス基板における配向膜設置面の反対側の面上に透明導電性薄膜を積層したものであっても勿論構わない。
【0054】
【実施例】
以下、実施例をあげて発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、下記実施例において「部」および「%」とあるのは、特記しない限り「質量部」および「質量%」を意味する。
【0055】
参考例1
ポリエチレンテレフタレートを、フィルム形成ダイを通して、水冷した回転急冷ドラム上に押出し、未延伸フィルムを作製する。この未延伸フィルムを幅方向に90℃で4.0倍延伸し、更に220℃で熱固定してから、200℃で4%リラックス処理し、厚さ188μmの一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
【0056】
この一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを、表面清浄化のため洗浄剤(商品名「スキャット20−X」、第一工業製薬社製)の10体積%水溶液中に2分間浸漬し、更に、表面に付着した洗浄剤を洗浄するため純水の流水中へ2分間浸漬処理した。該一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを十分に乾燥した後、インジウム−スズ複合酸化物をターゲットとして使用し、高周波マグネトロンスパッタリング法によって300Å厚、酸化スズ含有率8%のインジウム−スズ複合酸化物薄膜(透明導電性薄膜)を製膜した。このとき、真空度は1×10−3Torrとし、ガスとしてAr:60sccm,O:2sccmを流した。また製膜工程中、一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの温度は20℃に保った。
【0057】
上記で得た透明導電性薄膜に、UVオゾン洗浄機(アイグラフィック社製「OC−250315G」)を用いて、UVランプ25W、3灯、照射時間15秒の処理を施した。
【0058】
得られた透明導電性フィルムを一方のパネル材として用い、他方のパネル材としては、ガラス基板上に上記と同じ方法で400Å厚の透明導電性薄膜を形成したものを使用し、これら2枚のパネル板を、直径30μmのエポキシビーズを介して透明導電性薄膜が対向する様に配置し、タッチパネルを作製した。
【0059】
実施例1
上記参考例1と同様にして作成した一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、該一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、インジウム−スズ複合酸化物をターゲットに用いて高周波マグネトロンスパッタリング法により厚さ300Åのインジウム−スズ複合酸化物薄膜(透明導電性薄膜)を形成した。
【0060】
このとき、インジウム−スズ複合酸化物ターゲットとしては、酸化スズ含有率が15、25、35、45、60%のものを用い、各ターゲットを用いたときのインジウム−スズ複合酸化物薄膜中の酸化スズ含有量は、夫々14、24、33、42、56%であった。なお、真空度は何れの場合も1×10−3Torrに調整し、ガスとしては、Ar:60sccm,O:2secmを流し、製膜中、一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの温度は20℃に保った。
【0061】
得られた透明導電性フィルムを使用し、前記参考例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
【0062】
実施例2
前記参考例1と同様にして得た一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを洗浄した後、40℃、0.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液中に2分間浸漬し、その後、表面の水酸化ナトリウムを除去するため純水の流水中に2分間浸漬した。
【0063】
この一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、インジウム−スズ複合酸化物をターゲットとして用いて、高周波マグネトロンスパックリング法により、厚さ300Å、酸化スズ含有率20%のインジウム−スズ複合酸化物薄膜(透明導電性薄膜)を製膜した。このターゲットを用いたときの、インジウム−スズ複合酸化物薄膜中の酸化スズ含有率は18%であった。この時、真空度は1×10−3Torr、ガスとしてはAr:40sccm、O:1sccmで流し、また製膜中、一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルの温度は20℃に保った。この透明導電性フィルムを用い、前記参考例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
【0064】
実施例3
前記参考例1と同様にして得た一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを洗浄した後、重クロム酸ナトリウム1部、硫酸10部、水30部からなるクロム酸混液中に40℃で2分間浸漬し、更に表面の残存物を除去するため純水の流水中に2分間浸漬処理した以外は、前記実施例2と同様にしてタッチパネルを作製した。
【0065】
実施例4
前記参考例1と同様にして得た一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、該フィルムの面上に、プライマー層形成剤として、ポリエステル樹脂(東洋紡績社製「バイロン280」)3部を、メチルエチルケトン50部、トルエン50部、架橋剤(日本ポリウレタン工業社製「コロネートL」)1部に溶解した塗液をグラビア法でコートし、120℃×1分間の予備乾燥後、更に硬化のため130℃で5分間加熱処理した。硬化後のプライマー層の厚さは0.08μmであった。
【0066】
このプライマー面上に、前記実施例2と同じ条件でインジウム−スズ複合酸化物薄膜を透明導電性薄膜として製膜した。このインジウム−スズ複合酸化物薄膜中の酸化スズ含有率は18%であった。この透明導電性フィルムを使用し、前記参考例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
【0067】
実施例5
上記実施例4と同様にして作成した透明導電性フィルムを用い、この透明導電性フィルムをUVオゾン洗浄機(アイグラフィック社製「OC−250315G」)を用い、UVランプ25W、3灯、照射時間15秒で処理し、参考例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
【0068】
実施例6
前記実施例1と同様にして作製した一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム/インジウム−スズ複合酸化物薄膜からなる積層体の、インジウム−スズ複合酸化物薄膜を形成した面と反対側の面にハードコート処理層を設けた。ハードコート剤としては、エポキシ変性アクリル樹脂100部にベンゾフェノン4部を加えた紫外線硬化型樹脂組成物を用い、リバースコート法により製膜してから、80℃×5分の予備乾燥後、500mJ/cmの紫外線照射により硬化させた。硬化後の厚さは5μmである。また、この透明導電性フィルムを使用し、参考例1と同様にしてタッチパネルを作製した。但し、インジウム−スズ複合酸化物ターゲットとしては、酸化スズ含有率20%のものを使用した。
【0069】
実施例7
前記実施例1と同様にして作製した一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム/インジウム−スズ複合酸化物薄膜からなる積層体の、インジウム−スズ複合酸化物薄膜を形成した面と反対側の面に、防眩処理層を形成した。コート剤としては、エポキシアクリル樹脂100部にベンゾフェノン2部を加えた紫外線硬化型樹脂組成物を使用し、リバースコート法で成膜した後、80℃×5分の予備乾燥後、エンボスロールで表面に凹凸を形成し、500mJ/cmの紫外線照射により硬化させた。硬化後の厚さは5μmである。また、この透明導電性フィルムを使用し、前記参考例1と同様にしてタッチパネルを作製した。但し、インジウム−スズ複合酸化物ターゲットとしては、酸化スズ含有率20%のものを使用した。
【0070】
実施例8
前記実施例1と同様にして作製した一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム/インジウム−スズ複合酸化物薄膜からなる積層体のインジウム−スズ複合酸化物薄膜を形成した面とは反対側の面に、厚さ730Åで屈折率1.89のY層、その上に厚さ1200Åで屈折率2.3のTiO層、更にその上に厚さ940Åで屈折率1.46のSiOを、夫々高周波スパッタリング法によって製膜し、反射防止処理層とした。各静電体薄膜を製膜するに際し、いずれも真空度は1×10−3Torrとし、ガスとしてAr:55sccm、O:5sccmを流した。また、基板は製膜行程中、加熱もしくは冷却をすることなく室温のままとした。
【0071】
得られた透明導電性フィルムを使用し、前記参考例1と同様にしてタッチパネルを作製した。但し、インジウム−スズ複合酸化物ターゲットとしては酸化スズ含有率20%のものを使用した。
【0072】
実施例9
一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに代えて、ポリエチレン−2,6−ナフタレートを使用し、水冷した回転急冷ドラム上にフィルム形成ダイを通して押出し末延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを幅方向に110℃で4.0倍延伸し、その後230℃で熱固定してから210℃で4%リラックス処理し、47μmの一軸延伸ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムを得た。
【0073】
この一軸延伸ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムを用いた以外は前記実施例1と同様にして透明導電性薄膜を製膜し、透明導電性フィルムを作製した。また、この透明導電性フィルムを使用し、前記参考例1と同様にしてタッチパネルを作製した。このとき、インジウム−スズ複合酸化物ターゲットとしては酸化スズ含有率20%のものを使用した。
【0074】
参考例2
ノルボルネン系樹脂(商品名「ZEONEX」、日本ゼオン社製)を水冷した回転急冷ドラム上にフィルム形成ダイを通して押出し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを、幅方向に3.5倍延伸して厚さ100μmの一軸延伸ZEONEXフィルムを得た。
【0075】
得られた一軸延伸ZEONEXフィルムを、表面の汚れを除去するため洗浄剤(商品名「スキャット20−X」、第一工業製薬社製)の10体積%水溶液に2分間浸漬した。この一軸延伸ZEONEXフィルム上に、インジウム−スズ複合酸化物をターゲットとして用いて、高周波マグネトロンスパッタリング法により厚さ300Å、酸化スズ含有率20%のインジウム−スズ複合酸化物薄膜(透明導電性薄膜)を製膜した。この時、真空度は1×10−3Torrとし、ガスとしてAr:60sccm、O:2sccmを流し、製膜中、一軸延伸ZEONEXフィルムの温度は20℃に保った。また、この透明導電性フィルムを使用し、参考例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
【0076】
比較例1
UVオゾン処理を行わなかった以外は前記参考例1と同様にして、透明導電性フィルムを作製し、更にこの透明導電性フィルムを用いて、前記参考例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
【0077】
比較例2
酸化スズ含有率が70%、80%または90%であるインジウム−スズ複合酸化物ターゲットを使用した以外は前記実施例1と同様にして、透明導電性フィルムを作製した。また、この透明導電性フィルムを用いて、参考例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
【0078】
比較例3
UVオゾン処理を行わなかった以外は実施例4と同様にして、透明導電性フィルムを作製し、この透明導電性フィルムを用いて、参考例1と同様にしてタッチパネルを作製した。但し、インジウム−スズ複合酸化物ターゲットとしては、酸化スズ含有率9%のものを使用した。
【0079】
比較例4
前記参考例1と同様にして厚さ188μmの一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを作製し、このフィルムの一方の面に有機ケイ素化合物のブタノール、イソプロパノール混合アルコール溶液(濃度1%)を塗工した後、100℃で1分間乾燥した。その後、有機ケイ素化合物上に前記参考例1と同様にして、インジウム−スズ複合酸化物薄膜からなる透明導電性薄膜を基板温度120℃で製膜した。この積層体を更に150℃で10時間加熱処理し、得られた透明導電性フィルムを用いて参考例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
【0080】
参考例3
一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに代えて、ポリエチレンテレフタレートを水冷した回転急冷ドラム上にフィルム形成ダイを通して押出して未延伸フィルムを作製し、この未延伸フィルムを長手方向に3.2倍延伸した後、幅方向に3.5倍延伸し、230℃で熱固定して得た厚さ50μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた以外は、前記参考例1と同様にして透明導電性フィルムを作製し、更にこれを用いてタッチパネルを作製した。
【0081】
上記実施例1〜9および比較例1〜4、参考例1〜3の透明導電性フィルムについて、透明導電性薄膜の組成、透明導電性薄膜のエッチング時間、透明導電性薄膜の電子線回折像、透明導電性フィルムの光線透過率、透明導電性薄膜の表面張力、透明導電性薄膜の表面抵抗率、基材フィルムに対する透明導電性薄膜の付着カ、銀ペーストと透明導電性薄膜との接着性を、下記の方法によって測定した。また、各透明導電性フィルムを用いて作製したタッチパネルについて、ペン入力耐久性試験を行った。
【0082】
<透明導電性薄膜中の組成分析>
インジウム−スズ複合酸化物薄膜中の酸化スズの質量%は、薄膜中のインジウムとスズの組成を原子吸光分析で求め、インジウムとスズが薄膜中で完全酸化物であると仮定してIn、SnOの比重(Inは7.18、SnOは6.95)を用いて算出した値である。
【0083】
<表面抵抗率>
三菱化学社製の「Lotest AMCP−T400」を使用し、JIS K7194に準拠した4端子法により側定した。
【0084】
<光線透通率>
日本電色工業社製の「NDH−1001DP」を使用し、JIS K7105に準拠した積分球式光線透過率法により測定した。
【0085】
<表面張力>
表面張力が既知である水、およびヨウ化メチレンの透明導電性薄膜に対する接触角:θw、θyを接触角計(協和界面科学社製「CA−X型」)を使用し、25℃、50%RHの条件で測定した。これらの測定値を用い、以下の様にして透明導電性薄膜の表面張力γsを算出した。
【0086】
透明導電性薄膜の表面張力γsは、分散性成分γsdと極性成分γspとの和である。即ち、
γs=γsd+γsp (式1)
また、Youngの式より、
γs=γsw+γw・cosθw (式2)
γs=γsy+γy・cosθy (式3)
ここで、γswは透明導電性薄膜と水との間に働く張力、γswは透明導電性薄膜とヨウ化メチレンとの間に働く張力、γwは水の表面張力、γyはヨウ化メチレンの表面張力である。
【0087】
また、Fowkesの式より
γsw=γ+γ−2×(γsd・γwd1/2−2×(γsp・γwp1/2 (式4)
γsy=γ+γ−2×(γsd・γyd1/2−2×(γsp・γyp1/2 (式5)
である。ここで、γwdは水の表面張力の分散性成分、γwpは水の表面張力の極性成分、γydはヨウ化メテレンの表面張力の分散性成分、γypはヨウ化メチレンの表面張力の極性成分である。
【0088】
式1〜5の連立方程式を解くことにより、透明導電性薄膜の表層張力γ=γsd+γspを算出できる。この時、水の表面張力(γ):72.8mN/m、よう化メチレンの表面張力(γ):50.5mN/m、水の表面張力の分散性成分(γwd):21.8mN/m、水の表面張力の極性成分(γwp):51.0mN/m、ヨウ化メチレンの表面張力の分散性成分(γd):49.5mN/m、ヨウ化メテレンの表面張力の極性成分(γyp):1.3mN/mを用いた。
【0089】
<付着力測定>
厚さ40cmのアイオノマーフィルムとポリエステル系接着剤を使用し、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムにラミネートした付着力測定用積層体を作製した。
【0090】
この付着力測定用積層体のアイオノマー面と透明導電性フィルムの透明導電性薄膜面を対向させ、130℃でヒートシールした。この積層体を付着力測定用積層体と透明導電性フィルムとを180度剥離法で剥離し、そのときの剥離カを付着力とした。この時の剥離速度は1000mm/分とした。
【0091】
<電子線回折>
プラスチックフィルムおよび硬化性高分子硬化層を溶解し、透明導電性薄膜の単独膜を得るため、透明導電性フィルムを構成する基材フィルムの溶解する溶剤中に2日間浸漬する。溶液中の透明導電性薄膜をマイクログリツドに乗せ、溶液を乾燥させるため1日間風乾する。これを試料とし、電子線回折像を透過型電子顕微鏡(日本電子社製「JBM−2010」)を用いて測定した。電子線条件は、加速電圧200kV、波長0.0025nmとした。この回折像から、透明導電性薄膜が結晶質であるか、非晶質であるかを確認した。
【0092】
<エッチング時間>
10cm×lcmのサイズに切り出した透明導電性フィルムの両端にテスターを接続し、抵抗を測定しながら40℃、20%硫酸水溶液中に浸漬し、抵抗が10MΩ以上となる時間をエッチング時間とした。
【0093】
<銀ペーストの密着性>
ステンレス製のスクリーンメッシュ(200mesh/inch)を使用し、銀ペースト(東洋紡績社製「DW・250H−5」)を透明導電性薄膜上に塗布し、120℃で30分間焼成した。焼成後の銀ペーストの厚さは20μmである。銀ペーストと透明導電性薄膜の密着性を、JIS D0202に準拠しクロスカット密着法により5枚の試験片について測定し、その平均値を算出した。
【0094】
<ペン入力耐久性試験>
まず、ペン入力試験前のリニアリティ測定を以下の様にして行った。即ち、本発明の透明導電性フィルムを100mm×100mmに切り出し、透明導電性薄膜形成面の両端辺に幅5mmの電極を銀ペーストを塗布して作成する。この電極間に定電圧電源により5Vを印加し、サンプルの中心部50mm×50mmの範囲を縦横1mm間隔で(x1,yl)〜(x50,y50)の2500点について電圧Vi,j(i,j=1〜50)を測定した。
【0095】
各電圧測定点での理論電圧Ui,j=V1,1+(V50,50−V1,1)/50×(J−1)からのズレを△i,j=(Vi,j−Ui,j)/Ui,jで定義し、この△i,jの絶対値の最大値をリニアリティと定義した。
【0096】
ペン入力試験前のリニアリティを測定した透明導電性フィルムを用い、実施例および比較例に記載した様にしてタッチパネルを作製した。透明導電性フィルムで構成されたパネル材側から、ポリアセタール樹脂製のペン先半径0.8mmのタッチペンを使用し、リニアリティ測定を行った部位に、プロッタ(ローランド社製「DXY−1150」)により、2cm角サイズのカタカナのア〜ンまでの文字を200,000字筆記し、ペン入力試験を行った。この時、ペン荷重は250gf、文字筆記速度は2,000字/時間とした。
【0097】
ペン入力試験後の透明導電性フィルムのリニアリティを前述と同様の手法で測定し、リニアリティが3%を越えた筆記字数をペン入力耐久性とした。
【0098】
実施例1〜9、比較例1〜4および参考例1〜3についての測定結果を表1,2に一括して示す。
【0099】
【表1】
Figure 0004665263
【0100】
【表2】
Figure 0004665263
【0101】
【発明の効果】
本発明の透明導電性フィルムは、一軸延伸ポリエステルフィルム上に設けた透明導電性薄膜の表面張力が35〜60mN/mであるため、銀ペーストとの間で高い密着性を示す。また、この透明導電性フィルムは、非晶質の透明導電性薄膜を形成したものであるから、導電性、透明性およびエッチング特性に極めて優れたものである。更には、一軸延伸ポリエステルフィルムと透明導電性薄膜との付着力を10g/15mm以上とすることにより、ペン入力用タッチパネルとして用いたときに、ペンによる押圧で対向する透明導電性薄膜同士が強く接触したときでも、透明導電性薄膜に剥離やクラックを生じることがなく、ペン入力耐久性に極めて優れた透明導電性フィルムとなる。
【0102】
そして、この透明導電性フィルムを使用することにより、ペン入力耐久性、入力感度などに極めて優れたタッチパネルを低コストで提供し得ることになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る透明導電性フィルムの基本構造を示す断面説明図である。
【図2】 本発明に係る透明導電性フィルムを例示する断面説明図である。
【図3】 本発明に係る更に他の透明導電性フィルムを例示する断面説明図である。
【図4】 本発明に係る更に他の透明導電性フィルムを例示する断面説明図である。
【図5】 本発明に係るタッチパネルの基本構造を例示する断面説明図である。
【符号の説明】
F 透明導電性フィルム
A 一軸延伸ポリエステルフィルム
B 透明導電性薄膜
S スペーサー
G ガラス板
HC ハードコート処理層
AG 防眩処理層
AR 反射防止処理層

Claims (6)

  1. 一軸延伸ポリエステルフィルムの少なくとも片面に非晶質透明導電性薄膜が形成された透明導電性フィルムであって、
    該一軸延伸ポリエステルフィルムは、酸性またはアルカリ性水溶液を用いる表面処理が施され、および/または、当該一軸延伸ポリエステルフィルム上にプライマー層が形成されてなり、
    該非晶質透明導電性薄膜は、酸化スズ含有率10〜60質量%の非晶質インジウム−スズ複合酸化物薄膜であり、且つ、当該非晶質透明導電性薄膜の表面が紫外線照射されてなるものであり、
    該非晶質透明導電性薄膜の表面張力が35〜60mN/mであり、且つ、
    該一軸延伸ポリエステルフィルムに対する該非晶質透明導電性薄膜の付着力が10g/15mm以上である銀ペースト密着性に優れることを特徴とする透明導電性フィルム。
  2. 前記一軸延伸ポリエステルフィルムが、ポリエチレンテレフタレートまたはこれを主体とするポリエステルで構成されている請求項1に記載の透明導電性フィルム。
  3. 前記透明導電性フィルムにおける透明導電性薄膜が形成されていない面に、ハードコート処理層が設けられている請求項1または2に記載の透明導電性フィルム。
  4. 前記透明導電性フィルムにおける透明導電性薄膜が形成されていない面に、防眩処理層が設けられている請求項1または2に記載の透明導電性フィルム。
  5. 前記透明導電性フィルムにおける透明導電性薄膜が形成されていない面に、反射防止処理層が設けられている請求項1または2に記載の透明導電性フィルム。
  6. 表面に透明導電性薄膜が形成された一対のパネル材を、該透明導電性薄膜が対向する様にスペーサーを介して重ね合わせてなるタッチパネルにおいて、少なくとも1方のパネル材として、前記請求項1〜5のいずれかに記載された透明導電性フィルムを用いたものであることを特徴とするタッチパネル。
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