JP3797453B2 - 透明導電性フィルムおよびタッチパネル - Google Patents
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Description
本発明はプラスチックフィルムを用いた透明導電性フィルムに関するものであり、殊にタッチパネルに用いた際の耐ペン入力性に優れたものである。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックフィルム上に透明かつ低抵抗な化合物薄膜を形成した透明導電性フィルムは、その導電性を利用した用途、例えば、液晶ディスプレイ、ELディスプレイといったフラットパネルディスプレイや、タッチパネルの透明電極など電気、電子分野の用途に広く使用される。
【0003】
透明導電性薄膜としては、一般的には、酸化すず、酸化インジウム、酸化インジウム・すず、酸化亜鉛などが代表的なものであり、基板としては、ポリエチレンテレフタレートをはじめとする各種のプラスチックフィルムをもちいる。
【0004】
近年、携帯情報端末の普及により、ペンによる文字入力の機能を有することが要求されるようになった。このため、ペン入力により導電性が劣化しないなどの耐久特性がもとめらている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の透明導電性フィルムは次のような課題を有していた。
【0006】
タッチパネル用に透明導電性フィルムを用いた場合、スペーサーを介して対向させた一対の導電性薄膜同士が、ペン入力による押圧で強く接触するため、薄膜にクラックや剥離が生じてしまい、電気抵抗が増大したり、断線を生じたりするという問題点があった。
【0007】
また、点荷重のみに対する耐久性すなわち打点特性を向上させるために、120μm以下の厚さの透明プラスチック上に透明導電性薄膜を形成し、粘着剤層で他の透明基体と貼りあわせた透明導電性フィルム(特開平2−66809公報)が提案されているが、ペン入力に対する耐久性は十分ではない。
【0008】
本発明は、上記の従来の問題点に鑑み、透明なプラスチックフィルム上に透明導電性薄膜を形成した透明導電性フィルムにおいて、タッチパネルに用いた際のペン入力耐久性を改良することを目的としている。
【0009】
上記目的を達成するために鋭意検討した結果、厚さが10μmを超え300μmの範囲の透明なプラスチックフィルム(11)の一方の面に、厚さが2〜100μmのクッション層(12)/厚みが2〜100μmの透明樹脂層(13)/厚さが 0.005 〜2μmの硬化性高分子硬化層(14)/透明導電性薄膜(15)の順に積層した透明導電性フィルム(1)であって、クッション層は、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン系樹脂から選択される樹脂と架橋剤から構成され、ダイナミック硬度が0.005〜2であり、硬化性高分子硬化層はアクリル系硬化層またはポリエステル系硬化層であり、硬化性高分子硬化層の透明導電性薄膜側が物理的表面粗面化処理法、放電処理法、または化学薬品処理法により表面処理されてなり、かつ硬化性高分子硬化層と透明導電性薄膜との付着力が15g/15mm以上であることを特徴とする透明導電性フィルムの発明に至った。
【0012】
【発明の効果・作用】
本発明における透明なプラスチックフィルム(11)とは、有機高分子を溶融押出し又は溶液押出しをして、必要に応じ、長手方向、および、または、幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルムであり、有機高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン66、ナイロン12、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルファン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアクリル、セルロースプロピオネート、ポリ塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、ポリスチレン、シンジオタクチクポリスチレン、ノルボルネン系ポリマーなどがあげられる。また、これらの(有機重合体)有機高分子は他の有機重合体を少量共重合したり、ブレンドしたりしてもよい。これらのうち、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、シンジオタクチクポリスチレンなどが、最も好ましく用いられる。
【0013】
本発明における透明なプラスチックフィルム(11)の厚みは、10μmを越え、300μmの範囲にあることが好ましく、とくに好適には70〜250μmの範囲にあるのがよい。10μm以下では機械的強度が不足し、特にタッチパネルに用いた際のペン入力に対する変形が大きくなり過ぎ、耐久性が十分でなくなる。一方、300 μmを越えると、タッチパネルに用いた際のペン入力時の荷重を大きくする必要があり、好ましくない。
【0014】
本発明におけるプラスチックフィルム(11)は、本発明の目的を損なわないかぎりにおいて、該フィルムをコロナ放電処理、グロー放電処理などの表面処理を施してもよく、また、公知のアンカーコート処理が施されてもよい。
【0015】
この透明なプラスチックフィルム(11)の一方の面に、クッション層(12)を積層する。このクッション層(12)は柔らかいため、タッチパネルに用いた際のペン入力の衝撃を緩和する効果がある。この衝撃緩和効果により、ペン入力時に透明導電性薄膜(14)にクラックや剥離が生じ、電気抵抗が増大したり、断線を生じたりすることがなくなる。
このクッション層(12)としては、透明性を有するものであり、かつ、硬さがダイナミック硬度で 0.005〜2の範囲内であることが好ましい。ダイナミック硬度が0.005 よりも小さい場合は、柔らか過ぎるため、積層体としての形態保持性に欠け、ダイナミック硬度が2よりも大きい場合には、ペン入力に対するクッション効果が発現しない。
ダイナミック硬度とは、三角すい圧子を樹脂表面に押し当て、荷重P(mN)とその時の圧子の樹脂への侵入長D(μm)から算出される。三角すい圧子の先端角が115度の場合、ダイナミック硬度DHは以下の式で定義できることが知られている。
DH=3.8584 ×P/D2
樹脂の平均的な硬さを測定するために、圧子の樹脂への侵入長D(μm)を0.5 μmとした。
【0016】
このクッション層(12)に用いられる樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン系樹脂などが用いられる。これらの樹脂は他の樹脂を少量共重合したり、ブレンドしたりしてもよい。
これらの樹脂のうち、ポリエステル樹脂は多価カルボン酸類と多価アルコ−ル類からなる。ポリエステル樹脂に用いられる多価カルボン酸類としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタルレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7ジカルボン酸、5〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル酸、スルホテレフタル酸、およびまたはそれらの金属塩、アンモニウム塩などの芳香族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸などの芳香族オキシカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フマ−ル酸、マレイン酸、イタコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、等の不飽和脂肪族、および、脂環族ジカルボン酸等を、また多価カルボン酸としては他にトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の三価以上の多価カルボン酸等を例示できる。
【0017】
ポリエステル樹脂に用いられる多価アルコ−ル類としては脂肪族多価アルコ−ル類、脂環族多価アルコ−ル類、芳香族多価アルコ−ル類等を例示できる。
脂肪族多価アルコ−ル類としては、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、2,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル等の脂肪族ジオ−ル類、トリメチロ−ルエタン、トリメチロ−ルプロパン、グリセリン、ペンタエルスリト−ル等のトリオ−ルおよびテトラオ−ル類等を例示できる。
【0018】
脂環族多価アルコ−ル類としては1,4−シクロヘキサンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、スピログリコ−ル、水素化ビスフェノ−ルA、水素化ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、トリシクロデカンジオ−ル、トリシクロデカンジメタノ−ル等を例示できる。
芳香族多価アルコ−ル類としてはパラキシレングリコ−ル、メタキシレングリコ−ル、オルトキシレングリコ−ル、1,4−フェニレングリコ−ル、1,4−フェニレングリコ−ルのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物等を例示できる。
また、イソシアネート、メラミン、エポキシなどを添加して架橋構造を付与してもよい。
【0019】
これらの樹脂を用いたクッション層(12)のダイナミック硬さは、樹脂の分子量、架橋剤の添加量により変化させることが出来る。樹脂の数平均分子量、架橋剤の添加量はダイナミック硬さが 0.005〜2の範囲内にあれば特に制限されない。樹脂の分子量の目安となる還元粘度は0.05〜5の範囲が好ましく、架橋剤の添加量は 0.1〜80重量%の範囲が好ましい。還元粘度が0.05よりも小さい場合は、架橋密度が高く硬い樹脂をなってしまい、5より大きい場合は架橋密度が低く柔らかすぎる樹脂になってしまう。架橋剤の添加量が 0.1重量%よりも少ない場合は架橋の効果がないため柔らかい樹脂層になり、80重量%よりも多い場合は硬すぎる樹脂になってしまう。
【0020】
この衝撃緩和効果を発現させるためには、クッション層(12)の厚さは2〜100μmの範囲が好ましく、より好ましくは、5〜90μmの範囲である。厚さが2μmより薄い場合は、衝撃緩和効果が十分発現せず、100 μmよりも厚い場合は、透明導電性フィルム(1)全体として柔らかくなり過ぎ、タッチパネル組立プロセスで支障をきたす。
【0021】
クッション層(12)を透明なプラスチックフィルム(11)上に積層するには、コーティング法を用いるのが適している。コーティング法としては、エアドクタコート法、ナイフコート法、ロッドコート法、正回転ロールコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ビードコート法、スリットオリフェスコート法、キャストコート法などが用いられる。架橋構造を付与する場合には、コーティング後に加熱もしくは紫外線照射によりエネルギー印加する。
【0022】
透明なプラスチックフィルム(11)上にクッション層(12)を積層し、さらに透明樹脂層(13)を設ける。この透明樹脂層(13)の形態保持性により透明導電性薄膜(15)に対するペン入力耐久性がさらに向上する。
この透明樹脂層(13)に用いられる樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン系樹脂などが用いられる。これらの樹脂は他の樹脂を少量共重合したり、ブレンドしたりしてもよい。また、イソシアネート、メラミン、エポキシなどを添加して架橋構造を付与してもよい。
【0023】
また、透明樹脂層(13)を形成するには、上記の樹脂をエアドクタコート法、ナイフコート法、ロッドコート法、正回転ロールコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ビードコート法、スリットオリフェスコート法、キャストコート法などのコーティング法で積層してもよい。
【0024】
また、透明樹脂層(13)を形成するには、上記の樹脂を溶融押出し又は溶液押出しをして、必要に応じ、長手方向、および、または、幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルムを作製し、クッション層(12)の粘着性を利用し、プラスチックフィルム(11)/クッション層(12)上に貼り付けても良い。透明樹脂層(13)の厚さは2〜100μmの範囲が好まい。2μmよりも薄い場合は形態保持特性に欠け、100μmよりも厚い場合は透明導電性薄膜(15)がクッション層(12)と離れすぎるため衝撃緩和効果が十分に発揮しない。
【0025】
本発明における透明導電性フィルム(1)のための好ましい硬化性高分子硬化層(14)は、透明樹脂層(13)および透明導電性薄膜(15)の双方に卓越した接着性質を提供する硬化性高分子からなる。適切な硬化性高分子は、アクリル酸のエステル、特にアルキルエステルに由来する少なくとも一つのモノマーを含んでおり、ここで前記アルキル基は、10個までの炭素原子を有する基、たとえばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、テルブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、ペプチルおよびn-アクチルである。アルキルアクリレート、例えば、エチルアクリレートおよびブチルアクリレート、並びにアルキルメタクリレートに由来する高分子が好ましい。アクリレートモノマーは好ましくは30〜65モル%の割合で存在し、メタクリレートモノマーは20〜60モル%の割合で存在する。
【0026】
硬化性高分子の調整に使用するのに適切である他のモノマー(アクリル酸および/またはメタクリル酸のエステルおよびその誘導体と共に、任意のモノマーとして共重合されえる)は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ハロ置換のアクリロニトリル、ハロ置換のメタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N−エタノールアクリルアミド、N-プロパノールアクリルアミド、N-メタクリルアミド、N-エタノールメタクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-tert. ブチルアクリルアミド、ブチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、イタコン酸、無水イタコン酸およびイタコン酸の半エステルを包含する。
【0027】
硬化性高分子の他の任意のモノマーは、ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、ビニルピリジン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、マレイン酸、無水マレイン酸、スチレンおよびスチレン誘導体、たとえばクロロスチレン、ヒドロキシスチレンおよびアルキル化スチレン(ここでアルキル基は1〜10個の炭素原子を含む)を包含する。
【0028】
好ましい硬化性高分子は、3種類のモノマー:(1)エチルアクリレート35〜60モル%、(2)メチルメタクリレート30〜55モル%、(3)メタクリレートアミド2〜20モル%に由来する。
【0029】
硬化性高分子の分子量は、広範囲にわたって変化するが、好ましくは40000〜300000、さらに好ましくは50000〜200000の範囲である。
【0030】
任意の硬化性高分子は、被膜層内に架橋構造を形成するように硬化剤を含め、これによって、透明導電性薄膜との接着性が改良され、硬化性高分子硬化層(12)と透明導電性薄膜(15)との付着力が15g/15mm以上となる。硬化可能な被覆組成物の硬化は、従来の延伸および/または熱固定温度で達成されえる。適当な硬化剤は、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、アミン誘導体、たとえばヘキサメトキシメチルメラミンおよび/またはアミン、メラミン、ジアミン、尿素、環状エチレン尿素、環状プロピレン尿素、チオ尿素、環状エチレンチオ尿素、アルキルメラミン、アリールメラミン、ベンゾグアナミン、グアナミン、アルキルバナミンおよびアリールグアナミンとアルデヒド、たとえばホルムアルデヒトとの縮合生成物を包含する。好ましい硬化剤はメラミンとホルムアルデヒドの縮合生成物である。
【0031】
縮合生成物は、場合によってはアルコキシル化される。硬化剤は、任意の被覆組成物の重量に基づいて、2〜25重量%までの量で使用される。2%よりも少ない場合は、透明なプラスチックフィルムおよび透明導電性薄膜との接着性が十分ではない。触媒はまた、硬化剤の硬化作用を促進するために使用される。メラミンホルムアルデヒドを硬化するための好ましい触媒は、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、アンモニウムチオシアネート、リン酸水素二アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、パラトルエンスルホン酸、塩基との反応により安定化されたマレイン酸およびモルホリニウムパラトルエンスルホネートを包含する。
【0032】
本発明の硬化性高分子硬化層の厚さは、 0.005〜2μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.01〜1μmの範囲である。0.005 μmより薄い場合は連続した膜になりにくいため透明導電性薄膜(15)の付着力が不足し、2μmよりも厚い場合は、硬化性高分子硬化層(14)の凝集破壊が起りやすくなるため、やはり透明導電性薄膜(15)の付着力が不足する。
【0033】
本発明の硬化性高分子硬化層を透明樹脂層(13)上に積層するには、コーティング法を用いて積層する。コーティング法としては、エアドクタコート法、ナイフコート法、ロッドコート法、正回転ロールコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ビードコート法、スリットオリフェスコート法、キャストコート法などが用いられる。架橋構造を付与する場合には、コーティング後に加熱もしくは紫外線、電子線照射によりエネルギー印加する。
【0034】
また、透明樹脂層(13)として長手方向および幅方向に延伸、冷却、熱固定を行ったフィルムを用いる場合には、硬化性高分子硬化層(14)を二つの延伸段階の間、すなわち二軸延伸操作の長手方向および幅方向への延伸の間で、コーティングする方法を適用してもよい。このような延伸およびコーティングの順序は特に、硬化性高分子硬化層(14)を積層したポリエステルフィルムの製造に好ましい。好ましくは、まず長手方向に、一連の回転ローラー上で延伸され、次に硬化性高分子をコーティングし、そして最後に、テンターオーブン中で横方向に延伸され冷却、熱固定をおこなう。さらに好ましくは、このあとにフィルムに加熱もしくは紫外線、電子線照射によりエネルギー印加し、硬化性高分子を硬化させる。
【0035】
このようにして作製した硬化性高分子硬化層(14)は有機物同士であり、なおかつ硬化剤による反応で透明樹脂層(13)であるプラスチックフィルムとは非常に強固に密着しており、後述する硬化性高分子硬化層/透明導電性薄膜の界面の付着力よりも圧倒的に強い。
【0036】
硬化性高分子をコーティングするに先立ち、本発明の目的を損なわないかぎりにおいて、透明樹脂層(13)をコロナ放電処理、グロー放電処理などの表面処理を施してもよい。
【0037】
本発明における透明導電性薄膜(15)としては、透明性、及び、導電性をあわせもつ材料であれば特に制限はないが、代表的なものとしては、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウムースズ複合酸化物、スズーアンチモン複合酸化物、亜鉛ーアルミニウム複合酸化物、インジウムー亜鉛複合酸化物等の薄膜がある。これらの化合物薄膜は、適当な作成条件とすることで、透明性と導電性をあわせもつ透明導電性薄膜となることが知られている。
【0038】
透明導電性薄膜(15)の膜厚としては、40〜8000Åの範囲が望ましく、さらに望ましくは50〜5000Åである。透明導電性薄膜(15)の膜厚が40Åよりも薄い場合、連続した薄膜になりにくく良好な導電性を示さない。また、8000Åよりも厚い場合、透明性の低下をきたす。
【0039】
本発明における透明導電性薄膜(15)の作成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD 法、イオンプレーティング法、スプレー法などが知られており、上記材料の種類および必要膜厚に応じて適宜の方法を用いることが出来る。
【0040】
例えばスパッタリング法の場合、化合物を用いた通常のスパッタリング法、あるいは、金属ターゲットを用いた反応性スパッタリング法等が用いられる。この時、反応性ガスとして、酸素、窒素、水蒸気等を導入したり、オゾン添加、イオンアシスト等の手段を併用してもよい。また、本発明の目的を損なわないかぎりにおいて、基板に直流、交流、高周波などのバイアスを印加してもよく、また、加熱もしくは冷却することで基板温度をかえても良い。
【0041】
蒸着法、CVD 法などの他の作成方法においても同様である。
【0042】
硬化性高分子硬化層(14)と透明導電性薄膜(15)との接着性をさらに向上させるために、透明導電性薄膜(15)を製膜する前に硬化性高分子硬化層(14)上を表面処理する。具体的な手法としては、サンドブラストやエンボス加工により表面積を増加させる物理的表面粗面化処理法や、カルボニル基やカルボキシル基、水酸基を硬化性高分子硬化層上に増加するためにグローまたはコロナ放電を照射する放電処理法、アミノ基、水酸基、カルボニル基などの極性基を増加させるために酸またはアルカリで硬化性高分子硬化層(14)上を処理する化学薬品処理法が挙げられる。これらのうち、硬化性高分子硬化層(14)と透明導電性薄膜(15)との接着性への寄与、経時安定性、処理コストの点から、酸性またはアルカリ性水溶液による硬化性高分子硬化層(14)の表面処理法が適している。
【0043】
酸性水溶液としては、重クロム酸ナトリウムと硫酸の混合水溶液であるクロム酸混液や塩酸水溶液などが用いられ、アルカリ性水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などが用いられる。
【0044】
酸性またはアルカリ性水溶液にプラスチックフィルム(11)/クッション層(12)/透明樹脂層(13)/硬化性高分子硬化層(14)からなる積層体を浸漬した後に、純水中に浸漬し酸またはアルカリ性成分を十分に除去する。さらにこの後、窒素ガスをプラスチックフィルムに吹き付け、表面に残存している水分を乾燥させる。
【0045】
以上のように、硬化性高分子硬化層(14)中の硬化剤および硬化性高分子硬化層(14)上の表面処理の結果、硬化性高分子硬化層(14)と透明導電性薄膜(15)の付着力は極めて強くなり、クッション層(12)の衝撃緩和効果、透明樹脂層(13)の形態保持特性と相まって、本発明の透明導電性フィルム(1)は極めてペン入力耐久性に優れたものである。
【0046】
また、透明導電性フィルム(1)の透明導電性薄膜(15)を設けた面の反対側の面に、タッチパネルの用いた際のペンなどからの傷つき防止のために、ハードコート処理層(HC)を設けてもよい。このハードコート処理層(HC)としては、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの硬化性樹脂を単体もしくは混合した架橋性樹脂硬化物層が好ましい。
【0047】
このハードコート処理層(HC)の厚さは、1〜50μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは、2〜30μmの範囲である。1μmより薄い場合は、ハードコート処理の機能が十分発現せず、50μmをこえる厚さでは、樹脂コーティングの速度が著しく遅くなり、生産性の面で好結果を得にくい。
【0048】
ハードコート処理層(HC)を積層する方法としては、透明導電性フィルム(1)の透明導電性薄膜(15)を設けた面の反対側の面に、上記の樹脂をグラビア方式、リバース方式、ダイ方式などでコーティングした後、熱、紫外線、電子線等のエネルギーを印加することで、硬化させる。
【0049】
また、タッチパネルの視認性向上のために、透明導電性フィルム(1)の透明導電性薄膜(15)を設けた面の反対側の面に、防眩処理層(AG)を設けてもよい。
防眩処理層(AG)は、硬化性樹脂をコーティング、乾燥後にエンボスロールで表面に凹凸を形成し、この後熱、紫外線、電子線等のエネルギーを印加することで、硬化させる。硬化性樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの単体もしくは混合したものが好ましい。
【0050】
また、透明導電性フィルム(1)の透明導電性薄膜(15)を設けた面の反対側の面に、タッチパネルの用いた際に可視光線の透過率をさらに向上させるために、反射防止処理層(AR)を設けてもよい。この反射防止処理層(AR)には、プラスチックフィルム(11)の屈折率とは異なる屈折率を有する材料を単層もしくは2層以上の積層するのが好ましい。単層構造の場合、プラスチックフィルム(11)よりも小さな屈折率を有する材料を用いるのがよい。また、2層以上の多層構造とする場合は、プラスチックフィルム(11)と隣接する層は、プラスチックフィルム(11)よりも大きな屈折率を有する材料を用い、この上の層にはこれよりも小さな屈折率を有する材料を選ぶのがよい。このような反射防止処理層(AR)を構成する材料としては、有機材料でも無機材料でも上記の屈折率の関係を満足すれば特に限定されないが、例えば、CaF2, MgF2, NaAiF4, SiO2, SiO2, ThF4, ZrO2, Nd2O3, SnO2, TiO2, CeO2, ZnS, In2O3 などの誘電体を用いるのが好ましい。
【0051】
この反射防止処理層(AR)は、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD 法、イオンプレーティング法などのドライコーティングプロセスでも、グラビア方式、リバース方式、ダイ方式などのウェットコーティングプロセスでもよい。
【0052】
さらに、このハードコート処理層(HC)、防眩処理層(AG)、反射防止処理層(AR)の積層に先立って、前処理として、コロナ放電処理、プラズマ処理、スパッタエッチング処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、プライマ処理、易接着処理などの公知の処理を施してもよい。
【0053】
図5に、本発明の透明導電性フィルム(1)を用いた、タッチパネルの例を示す。透明導電性薄膜を有する一対のパネル板を、透明導電性薄膜が対向するようにスペーサーを介して配置してなるタッチパネルにおいて、一方のパネル板に本発明の透明導電性フィルム(1)を用いたものである。このタッチパネルは、透明導電性フィルム(1)側より、ペンにより文字入力したときに、ペンからの押圧により、対向した透明導電性薄膜同士が接触し、電気的にONになり、ペンのタッチパネル上での位置を検出できる。このペン位置を連続的かつ正確に検出することで、ペンの軌跡から文字を入力できる。この際、ペン接触側のパネル板が本発明の透明導電性フィルム(1)であるため、ペン入力耐久性に優れるため、長期にわたって安定なタッチパネルである。
【0054】
なお、図5において、もう一方のパネル板は、プラスチックフィルムやガラス板の透明基板の上に透明導電性薄膜を積層したものであるが、本発明の透明導電性フィルム(1)を使用してもよい。
【0055】
実施例
以下に、本発明の実施例を記載してより具体的に説明する。なお、以下において、部とある重量部である。
【0056】
実施例1
厚さが125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製:A4300 )を透明なプラスチックフィルム(11)として用いた。光線透過率は92%である。このプラスチックフィルム(11)の上に、クッション層(12)としてポリエステル樹脂を積層した。このポリエステル樹脂は以下のようにして合成した。
温度計、撹拌機を備えたオ−トクレ−ブ中に、
テレフタル酸 120重量部
イソフタル酸 56重量部
アゼライン酸 6重量部
トリメリット酸 3重量部
エチレングリコ−ル 159重量部
ネオペンチルグリコール 35重量部
を仕込み180〜230℃で100分間加熱してエステル交換反応を行った。ついで反応系を240℃まで昇温し、系の圧力1〜10mmHgで反応を続けた結果、共重合ポリエステル樹脂を得た。反応時間を変え、分子量の異なる共重合ポリエステル樹脂を得た。これらの樹脂の還元粘度を表1に示す。
次に、得られたポリエステル樹脂300重量部、メチルエチルケトン150重量部、テトラヒドロフラン150重量部、硬化剤として日本ポリウレタン工業(株)製:コロネートL 15重量部を溶解後、ナイフコート法にてコーティングした。 120℃10分の乾燥後、 130℃1時間の加熱で硬化させ、厚さ30μmのクッション層(12)とした。
【0057】
次に、硬化性高分子硬化層(14)付の透明樹脂層(13)として、以下のようなアクリル系コート層を積層した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。ポリエチレンテレフタレートを水冷却した回転急冷ドラム上にフィルム形成ダイを通して押出し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを長手方向に 3.2倍延伸した後、アクリル酸エチル40モル%、メタクリル酸メチル49モル%、メタクリル酸グリシジル8モル%、メタクリル酸ヒドロキシエチル3モル%からなる単量体混合物に対し水溶性メラミン(住友化学工業(株)製スミマルM-3)2重量%を加え、固形分が5重量%に希釈した塗工液を上記フィルムの片面にロールコーターで塗工した。乾燥しつつ幅方向に 3.5倍延伸し、230℃で熱固定して25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。こうして得られた硬化性高分子硬化層(14)は、幅方向延伸時の加熱および熱固定時の加熱により完全硬化した。硬化性高分子硬化層(14)の厚さは0.05μmであった。
【0058】
この硬化性高分子硬化層(14)を積層した透明樹脂層(13)を、クッション層(12)の粘着性を利用し、透明樹脂層(13)とクッション層(12)が対向するように貼りあわせた。
【0059】
このプラスチックフィルム(11)/クッション層(12)/透明樹脂層(13)/硬化性高分子硬化層(14)からなる積層体を40℃ 0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液中に2分間浸漬し、さらに表面に残存している水酸化ナトリウムを洗浄するために純水中に2分間浸漬した。純水中から引き上げた積層体上に窒素ガスを吹き付け、水分を乾燥させた。この硬化性高分子硬化層(14)上に、インジウムスズ複合酸化物をターゲットに用いて、高周波マグネトロンスパッタリング法で、250Å厚、酸化すず含有率30重量%のインジウムスズ複合酸化物薄膜を透明導電性薄膜(14)として製膜した。この時、真空度は3×10-3Torrとし、ガスとしてAr 60sccm, O2 2sccm 流した。また、基板は製膜中、加熱もしくは冷却せず、室温のままとした。
【0060】
この透明導電性フィルム(1)を一方のパネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板上に上記と同等の方法で400Å厚の透明導電性薄膜を形成したものを用いた。この2枚のパネル板を透明導電性薄膜が対向するように、直径30μmのエポキシビーズを介して、配置しタッチパネルを作製した。
【0061】
実施例2
厚さが125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製:A4300 )を透明なプラスチックフィルム(11)として用いた。このプラスチックフィルム(11)の上に、クッション層(12)としてポリエステル樹脂を積層した。このポリエステル樹脂は実施例1と同様にして作製した樹脂であり、得られたポリエステル樹脂340重量部、メチルエチルケトン150重量部、テトラヒドロフラン140重量部、硬化剤として日本ポリウレタン工業(株)製:コロネートHX 15重量部を溶解後、ナイフコート法にてコーティングした。 120℃10分の乾燥後、 130℃1時間の加熱で硬化させ、厚さ25μmのクッション層(12)とした。
さらにこの上に、透明樹脂層(13)として、厚さが20μmのポリエステル系樹脂を積層した。この樹脂としては、東洋紡績(株)製:バイロン280をメチルエチルケトン、トルエンの1:1混合溶液で溶解し、40重量%溶液とし、キャストコート法で成膜後、 130℃5分で乾燥した。
【0062】
さらにこの上に硬化性高分子硬化層(14)として、ポリエステル系硬化物層を透明樹脂層(13)上に形成した。メチルエチルケトン、トルエンの1:1混合溶液300重量部に、東洋紡績(株)製:バイロン296 350重量部、日本ポリウレタン工業(株)製:コロネートHX 15重量部を溶解後、グラビアコート法でコーティングし、 120℃2分の乾燥後、 130℃10分の加熱で硬化させ、厚さ0.05μmの硬化性高分子硬化層(14)とした。
【0063】
つぎに、硬化性高分子硬化層(14)上を重クロム酸ナトリウム1部、硫酸10部、水30部からなるクロム酸混液中を40℃に保ち、2分間浸漬し、さらに表面の残存物を洗浄するために純水中に2分間浸漬した。純水中から引き上げた硬化性高分子硬化層(14)を積層したフィルムに窒素ガスを吹き付け、水分を乾燥させた。硬化性高分子硬化層(14)上に、インジウムスズ複合酸化物をターゲットに用いて、高周波マグネトロンスパッタリング法で、300Å厚、酸化スズ含有率25重量%のインジウムスズ複合酸化物薄膜を透明導電性薄膜(14)として製膜した。この時、真空度は1×10-3Torrとし、ガスとしてAr 30sccm, O2 1sccm流した。また、基板(1)は製膜中、加熱もしくは冷却せず、室温のままとした。さらに、基板電位はグランドとした。
【0064】
この透明導電性フィルム(3)を一方のパネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板上に上記と同等の方法で400Å厚の透明導電性薄膜を形成したものを用いた。この2枚のパネル板を透明導電性薄膜が対向するように、直径30μmのエポキシビーズを介して、配置しタッチパネルを作製した。
【0065】
実施例3
実施例1と同様にして作製した積層体のインジウムスズ複合酸化物薄膜を形成した面と反対側の透明なプラスチックフィルム(11)の面上にハードコート処理層(HC)を設けた。ハードコート剤としては、エポキシアクリル樹脂100部にベンゾフェノン4部を加えた紫外線硬化型樹脂組成物を用い、リバースコート法で成膜後、80℃5分の予備乾燥、500mJ/cm2 の紫外線照射により硬化させた。硬化後の厚さは5μmである。さらにこの透明導電性フィルム(1)を用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
【0066】
実施例4
実施例1と同様にして作製した積層体のインジウムスズ複合酸化物薄膜を形成した面と反対側の透明なプラスチックフィルム(11)の面上に防眩処理層(AG)を設けた。コート剤としては、エポキシアクリル樹脂100部にベンゾフェノン2部を加えた紫外線硬化型樹脂組成物を用い、リバースコート法で成膜後、80℃5分の予備乾燥し、エンボスロールで表面に凹凸を形成し500mJ/cm2 の紫外線照射により硬化させた。硬化後の厚さは5μmである。さらにこの透明導電性フィルム(1)を用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
【0067】
実施例5
実施例1と同様にして作製したポリエチレンテレフタレートフィルム/アクリル系硬化性高分子硬化層/インジウムスズ複合酸化物薄膜からなる積層体のインジウムスズ複合酸化物薄膜を形成した面と反対側の透明なプラスチックフィルム(11)の面上に厚さ730Åで屈折率1.89のY2O3を設け、さらに厚さ1200Åで屈折率2.3 のTiO2を設け、さらに厚さ940Åで屈折率1.46のSiO2を、それぞれ高周波スパッタリング法で製膜し、反射防止処理層(AR)とした。このそれぞれの誘電体薄膜を製膜する時、いずれも真空度は1×10-3Torrとし、ガスとしてAr 55sccm, O2 5sccm 流した。また、基板(1)は製膜中、加熱もしくは冷却せず、室温のままとした。さらにこの透明導電性フィルム(1)を用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
【0068】
比較例1
実施例1と還元粘度が異なるポリエステル樹脂をクッション層(12)として用いた。クッション層(12)以外のプラスチックフィルム(11)、透明樹脂層(13)、硬化性高分子硬化層(14)、透明導電性薄膜(15)は実施例1と同様にして透明導電性フィルム(1)を作製した。また、この透明導電性フィルム(1)を用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
【0069】
比較例2
硬化性高分子硬化層を延伸途中にコーティングしなかった厚さ25μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを透明樹脂層(13)として用いた以外は、実施例1と同様にして作製したプラスチックフィルム(11)/クッション層(12)/透明樹脂層(13)/透明導電性薄膜(15)からなる透明導電性フィルムを作製した。また、この透明導電性フィルム(1)を用いて、実施例1と同様にして、タッチパネルを作製した。
【0070】
以上の実施例1〜5および比較例1〜2の透明導電性フィルムについて、光線透過率、表面抵抗率、クッション層のダイナミック硬度、クッション層に用いた架橋前の樹脂の還元粘度、硬化性高分子硬化層(14)/透明導電性薄膜(15)の付着力を下記の方法で測定した。また、実施例1〜6および比較例1〜3の透明導電性フィルムをもちいて作製したタッチパネルについて、ペン入力耐久試験を実施した。
【0071】
<表面抵抗率>
JIS K 7194に準拠した4端子法にて測定した。測定機としては、三菱油化(株)製:Lotest AMCP-T400を用いた。
【0072】
<光線透過率>
JIS K 7105に準拠した積分球式光線透過率法にて測定した。測定機としては、日本電色工業(株)製:NDH-1001DPを用いた。
【0073】
<ダイナミック硬度>
クッション層(12)のダイナミック硬度を、島津製作所製:島津ダイナミック超微小硬度計 DUH-201を用いて測定した。圧子は115度三角すい圧子を用いた。また、圧子の樹脂への侵入量が 0.5μmの時の値を樹脂のダイナミック硬度とした。
【0074】
<還元粘度>
クッション層(12)に用いる架橋前の樹脂の還元粘度を、フェノールとテトラクロルエタンとの混合溶媒を用いて測定した。粘度管の温度は30℃に設定し、混合溶媒と樹脂を溶解した溶液との流下時間の比から計算した。
【0075】
<付着力測定>
40μm厚のアイオノマーフィルムをポリエステル系接着剤を用いて、75μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムにラミネートした付着力測定用積層体を作製した。この付着力測定用積層体のアイオノマー面と透明導電性フィルムの透明導電性薄膜面を対向させ、130 ℃でヒートシールした。この積層体を付着力測定用積層体と透明導電性フィルムとを 180度剥離法で剥離し、この剥離力を付着力とした。この時の剥離速度は 1000mm/分とした。
【0076】
<ペン入力耐久試験>
透明導電性フィルムで構成されたパネル板側から、ポリアセタール樹脂からなるペン先半径0.8mm のタッチペン(シャープ(株)製ハイパー電子手帳DB-Zタッチペン)を用いて、プロッタ(ローランド(株)製:DXY-1150)により、2cm角サイズのカタカナのア〜ンまでの文字を100000字の筆記を行った。この時、ペン荷重200g、文字筆記速度2000字/時間とした。
【0077】
このペン入力試験前後に、タッチペンの位置検出精度をタッチパネルの電圧線形性のズレで測定した。パネル板の上下に配置した電極部に5Vの定電圧を印加し、上部電極から下部電極にかけて、印加電圧が線形変化から最も変化した割合を測定した。
【0078】
表1の結果から、本発明の透明導電性フィルムは、導電性および透明性に極めて優れ、かつ本発明の透明導電性フィルムを用いたタッチパネルはペン入力耐久性に極めて優れている。
【0079】
【発明の効果】
本発明によると、透明なプラスチックフィルム(11)の一方の面にクッション層(12)/透明樹脂層(13)/硬化性高分子硬化層(14)/透明導電性薄膜(15)の順に積層した透明導電性フィルム(1)であって、かつクッション層(12)の硬さがダイナミック硬度で 0.005〜2の範囲内であり、かつ硬化性高分子硬化層(14)と透明導電性薄膜(15)との付着力が15g/15mm以上であるため、ペン入力用タッチパネルに用いた際にのペンの押圧をクッション層が緩和し、さらに対向の透明導電性薄同士が接触しても、透明導電性薄膜(15)が下地と非常に強く付着しているため、剥離、クラック等を生じることがなく、ペン入力耐久性に極めて優れた透明導電性フィルム(1)を提供することができる。
【0080】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は実施例1、2の透明導電性フィルムの層構成を表す。
【図2】 図2は実施例3の透明導電性フィルムの層構成を表す。
【図3】 図3は実施例4の透明導電性フィルムの層構成を表す。
【図4】 図4は実施例5の透明導電性フィルムの層構成を表す。
【図5】 図5はタッチパネルの断面図例である。
【符号の説明】
1 透明導電性フィルム
11 プラスチックフィルム
12 クッション層
13 透明樹脂層
14 硬化性高分子硬化層
15 透明導電性薄膜
HC ハードコート処理層
AG 防眩処理層
AR 反射防止処理層
2 ガラス板
3 ビーズ
Claims (1)
- 厚さが10μmを超え300μmの範囲の透明なプラスチックフィルム(11)の一方の面に、厚さが2〜100μmのクッション層(12)/厚みが2〜100μmの透明樹脂層(13)/厚さが0.005〜2μmの硬化性高分子硬化層(14)/透明導電性薄膜(15)の順に積層した透明導電性フィルム(1)であって、
クッション層は、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン系樹脂から選択される樹脂と架橋剤から構成され、ダイナミック硬度が0.005〜2であり、
硬化性高分子硬化層はアクリル系硬化層またはポリエステル系硬化層であり、硬化性高分子硬化層の透明導電性薄膜側が物理的表面粗面化処理法、放電処理法、または化学薬品処理法により表面処理されてなり、かつ硬化性高分子硬化層と透明導電性薄膜との付着力が15g/15mm以上であることを特徴とする透明導電性フィルム。
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