JPH11198273A - 透明導電性フィルムおよびタッチパネル - Google Patents

透明導電性フィルムおよびタッチパネル

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JPH11198273A
JPH11198273A JP559098A JP559098A JPH11198273A JP H11198273 A JPH11198273 A JP H11198273A JP 559098 A JP559098 A JP 559098A JP 559098 A JP559098 A JP 559098A JP H11198273 A JPH11198273 A JP H11198273A
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conductive film
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寿幸 大谷
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哲生 下村
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陽三 山田
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】ペン入力耐久性に優れた透明導電性フィルムお
よびこのフィルムを用いたタッチパネルの提供。 【解決手段】透明なプラスチックフィルム11の一方の
面にクッション層12/透明樹脂層13/硬化性高分子
硬化層14/透明導電性薄膜15の順に積層した透明導
電性フィルム1であって、かつクッション層12の硬さ
がダイナミック硬度で 0.005〜2の範囲内であり、かつ
硬化性高分子硬化層14と透明導電性薄膜15との付着
力が15g/15mm以上であることを特徴とする透明導電性フ
ィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラスチックフィル
ムを用いた透明導電性フィルムおよびこれを用いたタッ
チパネルに関するものであり、殊にタッチパネルに用い
た際の耐ペン入力性に優れたものである。
【0002】
【従来の技術】プラスチックフィルム上に透明かつ低抵
抗な化合物薄膜を形成した透明導電性フィルムは、その
導電性を利用した用途、例えば、液晶ディスプレイ、EL
ディスプレイといったフラットパネルディスプレイや、
タッチパネルの透明電極など電気、電子分野の用途に広
く使用される。
【0003】透明導電性薄膜としては、一般的には、酸
化すず、酸化インジウム、酸化インジウム・すず、酸化
亜鉛などが代表的なものであり、基板としては、ポリエ
チレンテレフタレートをはじめとする各種のプラスチッ
クフィルムをもちいる。
【0004】近年、携帯情報端末の普及により、ペンに
よる文字入力の機能を有することが要求されるようにな
った。このため、ペン入力により導電性が劣化しないな
どの耐久特性がもとめらている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の透明
導電性フィルムは次のような課題を有していた。
【0006】タッチパネル用に透明導電性フィルムを用
いた場合、スペーサーを介して対向させた一対の導電性
薄膜同士が、ペン入力による押圧で強く接触するため、
薄膜にクラックや剥離が生じてしまい、電気抵抗が増大
したり、断線を生じたりするという問題点があった。
【0007】また、点荷重のみに対する耐久性すなわち
打点特性を向上させるために、120μm以下の厚さの
透明プラスチック上に透明導電性薄膜を形成し、粘着剤
層で他の透明基体と貼りあわせた透明導電性フィルム
(特開平2−66809公報)が提案されているが、ペ
ン入力に対する耐久性は十分ではない。
【0008】本発明は、上記の従来の問題点に鑑み、透
明なプラスチックフィルム上に透明導電性薄膜を形成し
た透明導電性フィルムにおいて、タッチパネルに用いた
際のペン入力耐久性を改良することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に鋭意検討した結果、透明なプラスチックフィルム(1
1)の一方の面にクッション層(12)/透明樹脂層
(13)/硬化性高分子硬化層(14)/透明導電性薄
膜(15)の順に積層した透明導電性フィルム(1)で
あって、かつクッション層(12)の硬さがダイナミッ
ク硬度で 0.005〜2の範囲内であり、かつ硬化性高分子
硬化層(14)と透明導電性薄膜(15)との付着力が
15g/15mm以上であることを特徴とする透明導電性フィル
ムの発明に至った。
【0010】また、透明導電性フィルム(1)の透明導
電性薄膜(14)を形成していない面にハードコート処
理層(HC)を積層したことを特徴とした透明導電性フィ
ルムに係るものである。また、透明導電性フィルム
(1)の透明導電性薄膜(14)を形成していない面に
防眩処理層(AG)を積層したことを特徴とした透明導電
性フィルムに係るものである。また、透明導電性フィル
ム(1)の透明導電性薄膜(14)を形成していない面
に反射防止処理層(AR)を積層したことを特徴とした透
明導電性フィルムに係るものである。
【0011】また、透明導電性薄膜を有する一対のパネ
ル板を、透明導電性薄膜が対向するようにスペーサーを
介して配置してなるタッチパネルにおいて、少なくとも
一方のパネル板が上記に記載の透明導電性フィルムから
なることを特徴とするタッチパネルに係るものである。
【0012】
【発明の効果・作用】本発明における透明なプラスチッ
クフィルム(11)とは、有機高分子を溶融押出し又は
溶液押出しをして、必要に応じ、長手方向、および、ま
たは、幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルムで
あり、有機高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−
2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレー
ト、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン66、ナイロン
12、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサ
ルファン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネ
ート、ポリアリレート、ポリアクリル、セルロースプロ
ピオネート、ポリ塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン、
ポリビニルアルコール、ポリエーテルイミド、ポリフェ
ニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、ポリス
チレン、シンジオタクチクポリスチレン、ノルボルネン
系ポリマーなどがあげられる。また、これらの(有機重
合体)有機高分子は他の有機重合体を少量共重合した
り、ブレンドしたりしてもよい。これらのうち、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレー
ト、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、シンジオタ
クチクポリスチレンなどが、最も好ましく用いられる。
【0013】本発明における透明なプラスチックフィル
ム(11)の厚みは、10μmを越え、300μmの範
囲にあることが好ましく、とくに好適には70〜250
μmの範囲にあるのがよい。10μm以下では機械的強
度が不足し、特にタッチパネルに用いた際のペン入力に
対する変形が大きくなり過ぎ、耐久性が十分でなくな
る。一方、300 μmを越えると、タッチパネルに用いた
際のペン入力時の荷重を大きくする必要があり、好まし
くない。
【0014】本発明におけるプラスチックフィルム(1
1)は、本発明の目的を損なわないかぎりにおいて、該
フィルムをコロナ放電処理、グロー放電処理などの表面
処理を施してもよく、また、公知のアンカーコート処理
が施されてもよい。
【0015】この透明なプラスチックフィルム(11)
の一方の面に、クッション層(12)を積層する。この
クッション層(12)は柔らかいため、タッチパネルに
用いた際のペン入力の衝撃を緩和する効果がある。この
衝撃緩和効果により、ペン入力時に透明導電性薄膜(1
4)にクラックや剥離が生じ、電気抵抗が増大したり、
断線を生じたりすることがなくなる。このクッション層
(12)としては、透明性を有するものであり、かつ、
硬さがダイナミック硬度で 0.005〜2の範囲内であるこ
とが好ましい。ダイナミック硬度が0.005 よりも小さい
場合は、柔らか過ぎるため、積層体としての形態保持性
に欠け、ダイナミック硬度が2よりも大きい場合には、
ペン入力に対するクッション効果が発現しない。ダイナ
ミック硬度とは、三角すい圧子を樹脂表面に押し当て、
荷重P(mN)とその時の圧子の樹脂への侵入長D(μ
m)から算出される。三角すい圧子の先端角が115度
の場合、ダイナミック硬度DHは以下の式で定義できるこ
とが知られている。 DH=3.8584 ×P/D2 樹脂の平均的な硬さを測定するために、圧子の樹脂への
侵入長D(μm)を0.5μmとした。
【0016】このクッション層(12)に用いられる樹
脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ
アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン系樹脂など
が用いられる。これらの樹脂は他の樹脂を少量共重合し
たり、ブレンドしたりしてもよい。これらの樹脂のう
ち、ポリエステル樹脂は多価カルボン酸類と多価アルコ
−ル類からなる。ポリエステル樹脂に用いられる多価カ
ルボン酸類としては、例えば、テレフタル酸、イソフタ
ル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタルレンジカルボ
ン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、
スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−ス
ルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7ジカルボ
ン酸、5〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル酸、スル
ホテレフタル酸、およびまたはそれらの金属塩、アンモ
ニウム塩などの芳香族ジカルボン酸、p−オキシ安息香
酸p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸などの芳香族オ
キシカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカ
ルボン酸、フマ−ル酸、マレイン酸、イタコン酸、ヘキ
サヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、等の不飽和
脂肪族、および、脂環族ジカルボン酸等を、また多価カ
ルボン酸としては他にトリメリット酸、トリメシン酸、
ピロメリット酸等の三価以上の多価カルボン酸等を例示
できる。
【0017】ポリエステル樹脂に用いられる多価アルコ
−ル類としては脂肪族多価アルコ−ル類、脂環族多価ア
ルコ−ル類、芳香族多価アルコ−ル類等を例示できる。
脂肪族多価アルコ−ル類としては、エチレングリコ−
ル、プロピレングリコ−ル、1,3−プロパンジオ−
ル、2,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−
ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ
−ル、ネオペンチルグリコ−ル、ジエチレングリコ−
ル、ジプロピレングリコ−ル、2,2,4−トリメチル
−1,3−ペンタンジオ−ル、ポリエチレングリコ−
ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレング
リコ−ル等の脂肪族ジオ−ル類、トリメチロ−ルエタ
ン、トリメチロ−ルプロパン、グリセリン、ペンタエル
スリト−ル等のトリオ−ルおよびテトラオ−ル類等を例
示できる。
【0018】脂環族多価アルコ−ル類としては1,4−
シクロヘキサンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジメ
タノ−ル、スピログリコ−ル、水素化ビスフェノ−ル
A、水素化ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加
物およびプロピレンオキサイド付加物、トリシクロデカ
ンジオ−ル、トリシクロデカンジメタノ−ル等を例示で
きる。芳香族多価アルコ−ル類としてはパラキシレング
リコ−ル、メタキシレングリコ−ル、オルトキシレング
リコ−ル、1,4−フェニレングリコ−ル、1,4−フ
ェニレングリコ−ルのエチレンオキサイド付加物、ビス
フェノ−ルA、ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド
付加物およびプロピレンオキサイド付加物等を例示でき
る。また、イソシアネート、メラミン、エポキシなどを
添加して架橋構造を付与してもよい。
【0019】これらの樹脂を用いたクッション層(1
2)のダイナミック硬さは、樹脂の分子量、架橋剤の添
加量により変化させることが出来る。樹脂の数平均分子
量、架橋剤の添加量はダイナミック硬さが 0.005〜2の
範囲内にあれば特に制限されない。樹脂の分子量の目安
となる還元粘度は0.05〜5の範囲が好ましく、架橋剤の
添加量は 0.1〜80重量%の範囲が好ましい。還元粘度
が0.05よりも小さい場合は、架橋密度が高く硬い樹脂を
なってしまい、5より大きい場合は架橋密度が低く柔ら
かすぎる樹脂になってしまう。架橋剤の添加量が 0.1重
量%よりも少ない場合は架橋の効果がないため柔らかい
樹脂層になり、80重量%よりも多い場合は硬すぎる樹
脂になってしまう。
【0020】この衝撃緩和効果を発現させるためには、
クッション層(12)の厚さは2〜100μmの範囲が
好ましく、より好ましくは、5〜90μmの範囲であ
る。厚さが2μmより薄い場合は、衝撃緩和効果が十分
発現せず、100 μmよりも厚い場合は、透明導電性フィ
ルム(1)全体として柔らかくなり過ぎ、タッチパネル
組立プロセスで支障をきたす。
【0021】クッション層(12)を透明なプラスチッ
クフィルム(11)上に積層するには、コーティング法
を用いるのが適している。コーティング法としては、エ
アドクタコート法、ナイフコート法、ロッドコート法、
正回転ロールコート法、リバースロールコート法、グラ
ビアコート法、キスコート法、ビードコート法、スリッ
トオリフェスコート法、キャストコート法などが用いら
れる。架橋構造を付与する場合には、コーティング後に
加熱もしくは紫外線照射によりエネルギー印加する。
【0022】透明なプラスチックフィルム(11)上に
クッション層(12)を積層し、さらに透明樹脂層(1
3)を設ける。この透明樹脂層(13)の形態保持性に
より透明導電性薄膜(15)に対するペン入力耐久性が
さらに向上する。この透明樹脂層(13)に用いられる
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポ
リイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアクリル樹
脂、ポリウレタン樹脂、シリコン系樹脂などが用いられ
る。これらの樹脂は他の樹脂を少量共重合したり、ブレ
ンドしたりしてもよい。また、イソシアネート、メラミ
ン、エポキシなどを添加して架橋構造を付与してもよ
い。
【0023】また、透明樹脂層(13)を形成するに
は、上記の樹脂をエアドクタコート法、ナイフコート
法、ロッドコート法、正回転ロールコート法、リバース
ロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ビ
ードコート法、スリットオリフェスコート法、キャスト
コート法などのコーティング法で積層してもよい。
【0024】また、透明樹脂層(13)を形成するに
は、上記の樹脂を溶融押出し又は溶液押出しをして、必
要に応じ、長手方向、および、または、幅方向に延伸、
冷却、熱固定を施したフィルムを作製し、クッション層
(12)の粘着性を利用し、プラスチックフィルム(1
1)/クッション層(12)上に貼り付けても良い。透
明樹脂層(13)の厚さは2〜100μmの範囲が好ま
い。2μmよりも薄い場合は形態保持特性に欠け、10
0μmよりも厚い場合は透明導電性薄膜(15)がクッ
ション層(12)と離れすぎるため衝撃緩和効果が十分
に発揮しない。
【0025】本発明における透明導電性フィルム(1)
のための好ましい硬化性高分子硬化層(14)は、透明
樹脂層(13)および透明導電性薄膜(15)の双方に
卓越した接着性質を提供する硬化性高分子からなる。適
切な硬化性高分子は、アクリル酸のエステル、特にアル
キルエステルに由来する少なくとも一つのモノマーを含
んでおり、ここで前記アルキル基は、10個までの炭素
原子を有する基、たとえばメチル、エチル、n-プロピ
ル、イソプロピル、テルブチル、ヘキシル、2−エチル
ヘキシル、ペプチルおよびn-アクチルである。アルキル
アクリレート、例えば、エチルアクリレートおよびブチ
ルアクリレート、並びにアルキルメタクリレートに由来
する高分子が好ましい。アクリレートモノマーは好まし
くは30〜65モル%の割合で存在し、メタクリレート
モノマーは20〜60モル%の割合で存在する。
【0026】硬化性高分子の調整に使用するのに適切で
ある他のモノマー(アクリル酸および/またはメタクリ
ル酸のエステルおよびその誘導体と共に、任意のモノマ
ーとして共重合されえる)は、アクリロニトリル、メタ
クリロニトリル、ハロ置換のアクリロニトリル、ハロ置
換のメタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリル
アミド、N-メチロールアクリルアミド、N−エタノール
アクリルアミド、N-プロパノールアクリルアミド、N-メ
タクリルアミド、N-エタノールメタクリルアミド、N-メ
チルアクリルアミド、N-tert. ブチルアクリルアミド、
ブチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレー
ト、ジメチルアミノエチルメタクリレート、イタコン
酸、無水イタコン酸およびイタコン酸の半エステルを包
含する。
【0027】硬化性高分子の他の任意のモノマーは、ビ
ニルエステル、例えば酢酸ビニル、ビニルピリジン、塩
化ビニル、塩化ビニリデン、マレイン酸、無水マレイン
酸、スチレンおよびスチレン誘導体、たとえばクロロス
チレン、ヒドロキシスチレンおよびアルキル化スチレン
(ここでアルキル基は1〜10個の炭素原子を含む)を包
含する。
【0028】好ましい硬化性高分子は、3種類のモノマ
ー:(1)エチルアクリレート35〜60モル%、
(2)メチルメタクリレート30〜55モル%、(3)
メタクリレートアミド2〜20モル%に由来する。
【0029】硬化性高分子の分子量は、広範囲にわたっ
て変化するが、好ましくは40000〜300000、
さらに好ましくは50000〜200000の範囲であ
る。
【0030】任意の硬化性高分子は、被膜層内に架橋構
造を形成するように硬化剤を含め、これによって、透明
導電性薄膜との接着性が改良され、硬化性高分子硬化層
(12)と透明導電性薄膜(15)との付着力が15g/15
mm以上となる。硬化可能な被覆組成物の硬化は、従来の
延伸および/または熱固定温度で達成されえる。適当な
硬化剤は、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、アミン誘導
体、たとえばヘキサメトキシメチルメラミンおよび/ま
たはアミン、メラミン、ジアミン、尿素、環状エチレン
尿素、環状プロピレン尿素、チオ尿素、環状エチレンチ
オ尿素、アルキルメラミン、アリールメラミン、ベンゾ
グアナミン、グアナミン、アルキルバナミンおよびアリ
ールグアナミンとアルデヒド、たとえばホルムアルデヒ
トとの縮合生成物を包含する。好ましい硬化剤はメラミ
ンとホルムアルデヒドの縮合生成物である。
【0031】縮合生成物は、場合によってはアルコキシ
ル化される。硬化剤は、任意の被覆組成物の重量に基づ
いて、2〜25重量%までの量で使用される。2%より
も少ない場合は、透明なプラスチックフィルムおよび透
明導電性薄膜との接着性が十分ではない。触媒はまた、
硬化剤の硬化作用を促進するために使用される。メラミ
ンホルムアルデヒドを硬化するための好ましい触媒は、
塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、アンモニウムチ
オシアネート、リン酸水素二アンモニウム、硫酸アンモ
ニウム、リン酸二水素アンモニウム、パラトルエンスル
ホン酸、塩基との反応により安定化されたマレイン酸お
よびモルホリニウムパラトルエンスルホネートを包含す
る。
【0032】本発明の硬化性高分子硬化層の厚さは、
0.005〜2μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.0
1〜1μmの範囲である。0.005 μmより薄い場合は連
続した膜になりにくいため透明導電性薄膜(15)の付
着力が不足し、2μmよりも厚い場合は、硬化性高分子
硬化層(14)の凝集破壊が起りやすくなるため、やは
り透明導電性薄膜(15)の付着力が不足する。
【0033】本発明の硬化性高分子硬化層を透明樹脂層
(13)上に積層するには、コーティング法を用いて積
層する。コーティング法としては、エアドクタコート
法、ナイフコート法、ロッドコート法、正回転ロールコ
ート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、
キスコート法、ビードコート法、スリットオリフェスコ
ート法、キャストコート法などが用いられる。架橋構造
を付与する場合には、コーティング後に加熱もしくは紫
外線、電子線照射によりエネルギー印加する。
【0034】また、透明樹脂層(13)として長手方向
および幅方向に延伸、冷却、熱固定を行ったフィルムを
用いる場合には、硬化性高分子硬化層(14)を二つの
延伸段階の間、すなわち二軸延伸操作の長手方向および
幅方向への延伸の間で、コーティングする方法を適用し
てもよい。このような延伸およびコーティングの順序は
特に、硬化性高分子硬化層(14)を積層したポリエス
テルフィルムの製造に好ましい。好ましくは、まず長手
方向に、一連の回転ローラー上で延伸され、次に硬化性
高分子をコーティングし、そして最後に、テンターオー
ブン中で横方向に延伸され冷却、熱固定をおこなう。さ
らに好ましくは、このあとにフィルムに加熱もしくは紫
外線、電子線照射によりエネルギー印加し、硬化性高分
子を硬化させる。
【0035】このようにして作製した硬化性高分子硬化
層(14)は有機物同士であり、なおかつ硬化剤による
反応で透明樹脂層(13)であるプラスチックフィルム
とは非常に強固に密着しており、後述する硬化性高分子
硬化層/透明導電性薄膜の界面の付着力よりも圧倒的に
強い。
【0036】硬化性高分子をコーティングするに先立
ち、本発明の目的を損なわないかぎりにおいて、透明樹
脂層(13)をコロナ放電処理、グロー放電処理などの
表面処理を施してもよい。
【0037】本発明における透明導電性薄膜(15)と
しては、透明性、及び、導電性をあわせもつ材料であれ
ば特に制限はないが、代表的なものとしては、酸化イン
ジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウムースズ複合酸
化物、スズーアンチモン複合酸化物、亜鉛ーアルミニウ
ム複合酸化物、インジウムー亜鉛複合酸化物等の薄膜が
ある。これらの化合物薄膜は、適当な作成条件とするこ
とで、透明性と導電性をあわせもつ透明導電性薄膜とな
ることが知られている。
【0038】透明導電性薄膜(15)の膜厚としては、
40〜8000Åの範囲が望ましく、さらに望ましくは
50〜5000Åである。透明導電性薄膜(15)の膜
厚が40Åよりも薄い場合、連続した薄膜になりにくく
良好な導電性を示さない。また、8000Åよりも厚い
場合、透明性の低下をきたす。
【0039】本発明における透明導電性薄膜(15)の
作成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、CV
D 法、イオンプレーティング法、スプレー法などが知ら
れており、上記材料の種類および必要膜厚に応じて適宜
の方法を用いることが出来る。
【0040】例えばスパッタリング法の場合、化合物を
用いた通常のスパッタリング法、あるいは、金属ターゲ
ットを用いた反応性スパッタリング法等が用いられる。
この時、反応性ガスとして、酸素、窒素、水蒸気等を導
入したり、オゾン添加、イオンアシスト等の手段を併用
してもよい。また、本発明の目的を損なわないかぎりに
おいて、基板に直流、交流、高周波などのバイアスを印
加してもよく、また、加熱もしくは冷却することで基板
温度をかえても良い。
【0041】蒸着法、CVD 法などの他の作成方法におい
ても同様である。
【0042】硬化性高分子硬化層(14)と透明導電性
薄膜(15)との接着性をさらに向上させるために、透
明導電性薄膜(15)を製膜する前に硬化性高分子硬化
層(14)上を表面処理することが有効である。具体的
な手法としては、サンドブラストやエンボス加工により
表面積を増加させる物理的表面粗面化処理法や、カルボ
ニル基やカルボキシル基、水酸基を硬化性高分子硬化層
上に増加するためにグローまたはコロナ放電を照射する
放電処理法、アミノ基、水酸基、カルボニル基などの極
性基を増加させるために酸またはアルカリで硬化性高分
子硬化層(14)上を処理する化学薬品処理法などが挙
げられる。これらのうち、硬化性高分子硬化層(14)
と透明導電性薄膜(15)との接着性への寄与、経時安
定性、処理コストの点から、酸性またはアルカリ性水溶
液による硬化性高分子硬化層(14)の表面処理法が適
している。
【0043】酸性水溶液としては、重クロム酸ナトリウ
ムと硫酸の混合水溶液であるクロム酸混液や塩酸水溶液
などが用いられ、アルカリ性水溶液としては、水酸化ナ
トリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などが用いられ
る。
【0044】酸性またはアルカリ性水溶液にプラスチッ
クフィルム(11)/クッション層(12)/透明樹脂
層(13)/硬化性高分子硬化層(14)からなる積層
体を浸漬した後に、純水中に浸漬し酸またはアルカリ性
成分を十分に除去する。さらにこの後、窒素ガスをプラ
スチックフィルムに吹き付け、表面に残存している水分
を乾燥させる。
【0045】以上のように、硬化性高分子硬化層(1
4)中の硬化剤および硬化性高分子硬化層(14)上の
表面処理の結果、硬化性高分子硬化層(14)と透明導
電性薄膜(15)の付着力は極めて強くなり、クッショ
ン層(12)の衝撃緩和効果、透明樹脂層(13)の形
態保持特性と相まって、本発明の透明導電性フィルム
(1)は極めてペン入力耐久性に優れたものである。
【0046】また、透明導電性フィルム(1)の透明導
電性薄膜(15)を設けた面の反対側の面に、タッチパ
ネルの用いた際のペンなどからの傷つき防止のために、
ハードコート処理層(HC)を設けてもよい。このハード
コート処理層(HC)としては、ポリエステル系樹脂、ウ
レタン系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポ
キシ系樹脂、シリコン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの
硬化性樹脂を単体もしくは混合した架橋性樹脂硬化物層
が好ましい。
【0047】このハードコート処理層(HC)の厚さは、
1〜50μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは、2
〜30μmの範囲である。1μmより薄い場合は、ハード
コート処理の機能が十分発現せず、50μmをこえる厚さ
では、樹脂コーティングの速度が著しく遅くなり、生産
性の面で好結果を得にくい。
【0048】ハードコート処理層(HC)を積層する方法
としては、透明導電性フィルム(1)の透明導電性薄膜
(15)を設けた面の反対側の面に、上記の樹脂をグラ
ビア方式、リバース方式、ダイ方式などでコーティング
した後、熱、紫外線、電子線等のエネルギーを印加する
ことで、硬化させる。
【0049】また、タッチパネルの視認性向上のため
に、透明導電性フィルム(1)の透明導電性薄膜(1
5)を設けた面の反対側の面に、防眩処理層(AG)を設
けてもよい。防眩処理層(AG)は、硬化性樹脂をコーテ
ィング、乾燥後にエンボスロールで表面に凹凸を形成
し、この後熱、紫外線、電子線等のエネルギーを印加す
ることで、硬化させる。硬化性樹脂としては、ポリエス
テル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、メラミ
ン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、ポリイミ
ド系樹脂などの単体もしくは混合したものが好ましい。
【0050】また、透明導電性フィルム(1)の透明導
電性薄膜(15)を設けた面の反対側の面に、タッチパ
ネルの用いた際に可視光線の透過率をさらに向上させる
ために、反射防止処理層(AR)を設けてもよい。この反
射防止処理層(AR)には、プラスチックフィルム(1
1)の屈折率とは異なる屈折率を有する材料を単層もし
くは2層以上の積層するのが好ましい。単層構造の場
合、プラスチックフィルム(11)よりも小さな屈折率
を有する材料を用いるのがよい。また、2層以上の多層
構造とする場合は、プラスチックフィルム(11)と隣
接する層は、プラスチックフィルム(11)よりも大き
な屈折率を有する材料を用い、この上の層にはこれより
も小さな屈折率を有する材料を選ぶのがよい。このよう
な反射防止処理層(AR)を構成する材料としては、有機
材料でも無機材料でも上記の屈折率の関係を満足すれば
特に限定されないが、例えば、CaF2, MgF2, NaAiF4, Si
O2, SiO2, ThF4, ZrO2, Nd2O3, SnO2, TiO2, CeO2, Zn
S, In2O3 などの誘電体を用いるのが好ましい。
【0051】この反射防止処理層(AR)は、真空蒸着
法、スパッタリング法、CVD 法、イオンプレーティング
法などのドライコーティングプロセスでも、グラビア方
式、リバース方式、ダイ方式などのウェットコーティン
グプロセスでもよい。
【0052】さらに、このハードコート処理層(HC)、
防眩処理層(AG)、反射防止処理層(AR)の積層に先立
って、前処理として、コロナ放電処理、プラズマ処理、
スパッタエッチング処理、電子線照射処理、紫外線照射
処理、プライマ処理、易接着処理などの公知の処理を施
してもよい。
【0053】図5に、本発明の透明導電性フィルム
(1)を用いた、タッチパネルの例を示す。透明導電性
薄膜を有する一対のパネル板を、透明導電性薄膜が対向
するようにスペーサーを介して配置してなるタッチパネ
ルにおいて、一方のパネル板に本発明の透明導電性フィ
ルム(1)を用いたものである。このタッチパネルは、
透明導電性フィルム(1)側より、ペンにより文字入力
したときに、ペンからの押圧により、対向した透明導電
性薄膜同士が接触し、電気的にONになり、ペンのタッチ
パネル上での位置を検出できる。このペン位置を連続的
かつ正確に検出することで、ペンの軌跡から文字を入力
できる。この際、ペン接触側のパネル板が本発明の透明
導電性フィルム(1)であるため、ペン入力耐久性に優
れるため、長期にわたって安定なタッチパネルである。
【0054】なお、図5において、もう一方のパネル板
は、プラスチックフィルムやガラス板の透明基板の上に
透明導電性薄膜を積層したものであるが、本発明の透明
導電性フィルム(1)を使用してもよい。
【0055】実施例 以下に、本発明の実施例を記載してより具体的に説明す
る。なお、以下において、部とある重量部である。
【0056】実施例1 厚さが125μmのポリエチレンテレフタレートフィル
ム(東洋紡績(株)製:A4300 )を透明なプラスチック
フィルム(11)として用いた。光線透過率は92%で
ある。このプラスチックフィルム(11)の上に、クッ
ション層(12)としてポリエステル樹脂を積層した。
このポリエステル樹脂は以下のようにして合成した。温
度計、撹拌機を備えたオ−トクレ−ブ中に、 テレフタル酸 120重量部 イソフタル酸 56重量部 アゼライン酸 6重量部 トリメリット酸 3重量部 エチレングリコ−ル 159重量部 ネオペンチルグリコール 35重量部 を仕込み180〜230℃で100分間加熱してエステ
ル交換反応を行った。ついで反応系を240℃まで昇温
し、系の圧力1〜10mmHgで反応を続けた結果、共
重合ポリエステル樹脂を得た。反応時間を変え、分子量
の異なる共重合ポリエステル樹脂を得た。これらの樹脂
の還元粘度を表1に示す。次に、得られたポリエステル
樹脂300重量部、メチルエチルケトン150重量部、
テトラヒドロフラン150重量部、硬化剤として日本ポ
リウレタン工業(株)製:コロネートL 15重量部を
溶解後、ナイフコート法にてコーティングした。 120℃
10分の乾燥後、 130℃1時間の加熱で硬化させ、厚さ30
μmのクッション層(12)とした。
【0057】次に、硬化性高分子硬化層(14)付の透
明樹脂層(13)として、以下のようなアクリル系コー
ト層を積層した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフ
ィルムを準備した。ポリエチレンテレフタレートを水冷
却した回転急冷ドラム上にフィルム形成ダイを通して押
出し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルム
を長手方向に 3.2倍延伸した後、アクリル酸エチル40モ
ル%、メタクリル酸メチル49モル%、メタクリル酸グリ
シジル8モル%、メタクリル酸ヒドロキシエチル3モル
%からなる単量体混合物に対し水溶性メラミン(住友化
学工業(株)製スミマルM-3)2重量%を加え、固形分
が5重量%に希釈した塗工液を上記フィルムの片面にロ
ールコーターで塗工した。乾燥しつつ幅方向に 3.5倍延
伸し、230℃で熱固定して25μmの二軸延伸ポリエチ
レンテレフタレートフィルムを得た。こうして得られた
硬化性高分子硬化層(14)は、幅方向延伸時の加熱お
よび熱固定時の加熱により完全硬化した。硬化性高分子
硬化層(14)の厚さは0.05μmであった。
【0058】この硬化性高分子硬化層(14)を積層し
た透明樹脂層(13)を、クッション層(12)の粘着
性を利用し、透明樹脂層(13)とクッション層(1
2)が対向するように貼りあわせた。
【0059】このプラスチックフィルム(11)/クッ
ション層(12)/透明樹脂層(13)/硬化性高分子
硬化層(14)からなる積層体を40℃ 0.5mol/Lの水酸
化ナトリウム水溶液中に2分間浸漬し、さらに表面に残
存している水酸化ナトリウムを洗浄するために純水中に
2分間浸漬した。純水中から引き上げた積層体上に窒素
ガスを吹き付け、水分を乾燥させた。この硬化性高分子
硬化層(14)上に、インジウムスズ複合酸化物をター
ゲットに用いて、高周波マグネトロンスパッタリング法
で、250Å厚、酸化すず含有率30重量%のインジウム
スズ複合酸化物薄膜を透明導電性薄膜(14)として製
膜した。この時、真空度は3×10-3Torrとし、ガスと
してAr 60sccm, O2 2sccm 流した。また、基板は製膜
中、加熱もしくは冷却せず、室温のままとした。
【0060】この透明導電性フィルム(1)を一方のパ
ネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板
上に上記と同等の方法で400Å厚の透明導電性薄膜を
形成したものを用いた。この2枚のパネル板を透明導電
性薄膜が対向するように、直径30μmのエポキシビーズ
を介して、配置しタッチパネルを作製した。
【0061】実施例2 厚さが125μmのポリエチレンテレフタレートフィル
ム(東洋紡績(株)製:A4300 )を透明なプラスチック
フィルム(11)として用いた。このプラスチックフィ
ルム(11)の上に、クッション層(12)としてポリ
エステル樹脂を積層した。このポリエステル樹脂は実施
例1と同様にして作製した樹脂であり、得られたポリエ
ステル樹脂340重量部、メチルエチルケトン150重
量部、テトラヒドロフラン140重量部、硬化剤として
日本ポリウレタン工業(株)製:コロネートHX 15
重量部を溶解後、ナイフコート法にてコーティングし
た。120℃10分の乾燥後、 130℃1時間の加熱で硬化さ
せ、厚さ25μmのクッション層(12)とした。さら
にこの上に、透明樹脂層(13)として、厚さが20μ
mのポリエステル系樹脂を積層した。この樹脂として
は、東洋紡績(株)製:バイロン280をメチルエチル
ケトン、トルエンの1:1混合溶液で溶解し、40重量%
溶液とし、キャストコート法で成膜後、 130℃5分で乾
燥した。
【0062】さらにこの上に硬化性高分子硬化層(1
4)として、ポリエステル系硬化物層を透明樹脂層(1
3)上に形成した。メチルエチルケトン、トルエンの
1:1混合溶液300重量部に、東洋紡績(株)製:バ
イロン296 350重量部、日本ポリウレタン工業
(株)製:コロネートHX 15重量部を溶解後、グラ
ビアコート法でコーティングし、 120℃2分の乾燥後、
130℃10分の加熱で硬化させ、厚さ0.05μmの硬化性
高分子硬化層(14)とした。
【0063】つぎに、硬化性高分子硬化層(14)上を
重クロム酸ナトリウム1部、硫酸10部、水30部からなる
クロム酸混液中を40℃に保ち、2分間浸漬し、さらに表
面の残存物を洗浄するために純水中に2分間浸漬した。
純水中から引き上げた硬化性高分子硬化層(14)を積
層したフィルムに窒素ガスを吹き付け、水分を乾燥させ
た。硬化性高分子硬化層(14)上に、インジウムスズ
複合酸化物をターゲットに用いて、高周波マグネトロン
スパッタリング法で、300Å厚、酸化スズ含有率25重
量%のインジウムスズ複合酸化物薄膜を透明導電性薄膜
(14)として製膜した。この時、真空度は1×10-3To
rrとし、ガスとしてAr 30sccm, O2 1sccm流した。ま
た、基板(1)は製膜中、加熱もしくは冷却せず、室温
のままとした。さらに、基板電位はグランドとした。
【0064】この透明導電性フィルム(3)を一方のパ
ネル板として用い、他方のパネル板として、ガラス基板
上に上記と同等の方法で400Å厚の透明導電性薄膜を
形成したものを用いた。この2枚のパネル板を透明導電
性薄膜が対向するように、直径30μmのエポキシビーズ
を介して、配置しタッチパネルを作製した。
【0065】実施例3 実施例1と同様にして作製した積層体のインジウムスズ
複合酸化物薄膜を形成した面と反対側の透明なプラスチ
ックフィルム(11)の面上にハードコート処理層(HC)
を設けた。ハードコート剤としては、エポキシアクリル
樹脂100部にベンゾフェノン4部を加えた紫外線硬化
型樹脂組成物を用い、リバースコート法で成膜後、80℃
5分の予備乾燥、500mJ/cm2 の紫外線照射により硬化さ
せた。硬化後の厚さは5μmである。さらにこの透明導
電性フィルム(1)を用いて、実施例1と同様にしてタ
ッチパネルを作製した。
【0066】実施例4 実施例1と同様にして作製した積層体のインジウムスズ
複合酸化物薄膜を形成した面と反対側の透明なプラスチ
ックフィルム(11)の面上に防眩処理層(AG)を設け
た。コート剤としては、エポキシアクリル樹脂100部
にベンゾフェノン2部を加えた紫外線硬化型樹脂組成物
を用い、リバースコート法で成膜後、80℃5分の予備乾
燥し、エンボスロールで表面に凹凸を形成し500mJ/cm2
の紫外線照射により硬化させた。硬化後の厚さは5μm
である。さらにこの透明導電性フィルム(1)を用い
て、実施例1と同様にしてタッチパネルを作製した。
【0067】実施例5 実施例1と同様にして作製したポリエチレンテレフタレ
ートフィルム/アクリル系硬化性高分子硬化層/インジ
ウムスズ複合酸化物薄膜からなる積層体のインジウムス
ズ複合酸化物薄膜を形成した面と反対側の透明なプラス
チックフィルム(11)の面上に厚さ730Åで屈折率
1.89のY2O3を設け、さらに厚さ1200Åで屈折率2.3 のTi
O2を設け、さらに厚さ940Åで屈折率1.46のSiO2を、
それぞれ高周波スパッタリング法で製膜し、反射防止処
理層(AR)とした。このそれぞれの誘電体薄膜を製膜す
る時、いずれも真空度は1×10-3Torrとし、ガスとし
てAr 55sccm, O2 5sccm 流した。また、基板(1)は製
膜中、加熱もしくは冷却せず、室温のままとした。さら
にこの透明導電性フィルム(1)を用いて、実施例1と
同様にしてタッチパネルを作製した。
【0068】比較例1 実施例1と還元粘度が異なるポリエステル樹脂をクッシ
ョン層(12)として用いた。クッション層(12)以
外のプラスチックフィルム(11)、透明樹脂層(1
3)、硬化性高分子硬化層(14)、透明導電性薄膜
(15)は実施例1と同様にして透明導電性フィルム
(1)を作製した。また、この透明導電性フィルム
(1)を用いて、実施例1と同様にしてタッチパネルを
作製した。
【0069】比較例2 硬化性高分子硬化層を延伸途中にコーティングしなかっ
た厚さ25μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを透明
樹脂層(13)として用いた以外は、実施例1と同様に
して作製したプラスチックフィルム(11)/クッショ
ン層(12)/透明樹脂層(13)/透明導電性薄膜
(15)からなる透明導電性フィルムを作製した。ま
た、この透明導電性フィルム(1)を用いて、実施例1
と同様にして、タッチパネルを作製した。
【0070】以上の実施例1〜5および比較例1〜2の
透明導電性フィルムについて、光線透過率、表面抵抗
率、クッション層のダイナミック硬度、クッション層に
用いた架橋前の樹脂の還元粘度、硬化性高分子硬化層
(14)/透明導電性薄膜(15)の付着力を下記の方
法で測定した。また、実施例1〜6および比較例1〜3
の透明導電性フィルムをもちいて作製したタッチパネル
について、ペン入力耐久試験を実施した。
【0071】<表面抵抗率>JIS K 7194に準拠した4端
子法にて測定した。測定機としては、三菱油化(株)
製:Lotest AMCP-T400を用いた。
【0072】<光線透過率>JIS K 7105に準拠した積分
球式光線透過率法にて測定した。測定機としては、日本
電色工業(株)製:NDH-1001DPを用いた。
【0073】<ダイナミック硬度>クッション層(1
2)のダイナミック硬度を、島津製作所製:島津ダイナ
ミック超微小硬度計 DUH-201を用いて測定した。圧子は
115度三角すい圧子を用いた。また、圧子の樹脂への
侵入量が 0.5μmの時の値を樹脂のダイナミック硬度と
した。
【0074】<還元粘度>クッション層(12)に用いる
架橋前の樹脂の還元粘度を、フェノールとテトラクロル
エタンとの混合溶媒を用いて測定した。粘度管の温度は
30℃に設定し、混合溶媒と樹脂を溶解した溶液との流下
時間の比から計算した。
【0075】<付着力測定>40μm厚のアイオノマーフ
ィルムをポリエステル系接着剤を用いて、75μm厚のポ
リエチレンテレフタレートフィルムにラミネートした付
着力測定用積層体を作製した。この付着力測定用積層体
のアイオノマー面と透明導電性フィルムの透明導電性薄
膜面を対向させ、130 ℃でヒートシールした。この積層
体を付着力測定用積層体と透明導電性フィルムとを 180
度剥離法で剥離し、この剥離力を付着力とした。この時
の剥離速度は 1000mm/分とした。
【0076】<ペン入力耐久試験>透明導電性フィルム
で構成されたパネル板側から、ポリアセタール樹脂から
なるペン先半径0.8mm のタッチペン(シャープ(株)製
ハイパー電子手帳DB-Zタッチペン)を用いて、プロッタ
(ローランド(株)製:DXY-1150)により、2cm角サ
イズのカタカナのア〜ンまでの文字を100000字の
筆記を行った。この時、ペン荷重200g、文字筆記速
度2000字/時間とした。
【0077】このペン入力試験前後に、タッチペンの位
置検出精度をタッチパネルの電圧線形性のズレで測定し
た。パネル板の上下に配置した電極部に5Vの定電圧を
印加し、上部電極から下部電極にかけて、印加電圧が線
形変化から最も変化した割合を測定した。
【0078】表1の結果から、本発明の透明導電性フィ
ルムは、導電性および透明性に極めて優れ、かつ本発明
の透明導電性フィルムを用いたタッチパネルはペン入力
耐久性に極めて優れている。
【0079】
【発明の効果】本発明によると、透明なプラスチックフ
ィルム(11)の一方の面にクッション層(12)/透
明樹脂層(13)/硬化性高分子硬化層(14)/透明
導電性薄膜(15)の順に積層した透明導電性フィルム
(1)であって、かつクッション層(12)の硬さがダ
イナミック硬度で 0.005〜2の範囲内であり、かつ硬化
性高分子硬化層(14)と透明導電性薄膜(15)との
付着力が15g/15mm以上であるため、ペン入力用タッチパ
ネルに用いた際にのペンの押圧をクッション層が緩和
し、さらに対向の透明導電性薄同士が接触しても、透明
導電性薄膜(15)が下地と非常に強く付着しているた
め、剥離、クラック等を生じることがなく、ペン入力耐
久性に極めて優れた透明導電性フィルム(1)を提供す
ることができる。
【0080】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は実施例1、2の透明導電性フィルムの
層構成を表す。
【図2】 図2は実施例3の透明導電性フィルムの層構
成を表す。
【図3】 図3は実施例4の透明導電性フィルムの層構
成を表す。
【図4】 図4は実施例5の透明導電性フィルムの層構
成を表す。
【図5】 図5はタッチパネルの断面図例である。
【符号の説明】
1 透明導電性フィルム 11 プラスチックフィルム 12 クッション層 13 透明樹脂層 14 硬化性高分子硬化層 15 透明導電性薄膜 HC ハードコート処理層 AG 防眩処理層 AR 反射防止処理層 2 ガラス板 3 ビーズ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明なプラスチックフィルム(11)の
    一方の面にクッション層(12)/透明樹脂層(13)
    /硬化性高分子硬化層(14)/透明導電性薄膜(1
    5)の順に積層した透明導電性フィルム(1)であっ
    て、かつクッション層(12)の硬さがダイナミック硬
    度で 0.005〜2の範囲内であり、かつ硬化性高分子硬化
    層(14)と透明導電性薄膜(15)との付着力が15g/
    15mm以上であることを特徴とする透明導電性フィルム。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の透明導電性フィルム
    (1)の透明導電性薄膜(15)を形成した面の反対面
    にハードコート処理層(HC)を積層したことを特徴とす
    る透明導電性フィルム。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の透明導電性フィルム
    (1)の透明導電性薄膜(15)を形成した面の反対面
    に防眩処理層(AG)を積層したことを特徴とする透明導
    電性フィルム。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の透明導電性フィルム
    (1)の透明導電性薄膜(14)を形成した面の反対面
    に反射防止処理層(AR)を積層したことを特徴とする透
    明導電性フィルム。
  5. 【請求項5】 透明導電性薄膜を有する一対のパネル板
    を、透明導電性薄膜が対向するようにスペーサーを介し
    て配置してなるタッチパネルにおいて、少なくとも一方
    のパネル板が請求項1乃至4のいずれかに記載の透明導
    電性フィルム(1)からなることを特徴とするタッチパ
    ネル。
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