JP2014218726A - 透明電極付き基板およびその製造方法、ならびにタッチパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】透明電極層のパターンに沿った皺の発生が抑制され、パターンが視認され難い透明電極付き基板の製造方法を提供する。【解決手段】透明フィルム11の少なくとも片面に1層以上の透明誘電体層12とパターニングされた透明電極層20とがこの順に積層された透明電極付き基板の製造方法において、透明誘電体層12を製膜する工程としてドライ製膜工程を含み、ドライ製膜工程は、ロール・トゥ・ロール法で搬送される基板にスパッタリング法で製膜するスパッタリング工程と、スパッタリング工程の直前にインラインで行なうプレスパッタ工程とを有しており、プレスパッタ工程は、スパッタリング工程より高圧で行う第一プレスパッタ工程と、第一プレスパッタ工程よりも低圧で行う第二プレスパッタ工程とを含み、第一プレスパッタ工程の時間をT1、前記第二プレスパッタ工程の時間をT2とした場合、T1>T2、T1>10分の関係を満たすことを特徴とする透明電極付き基板の製造方法。【選択図】図2
Description
本発明は、静電容量方式タッチパネルに好適に用いられる透明電極付き基板およびその製造方法に関する。また、本発明は当該透明電極付き基板を備えるタッチパネルに関する。
フィルムやガラス等の透明基板上に透明電極層が形成された透明電極付き基板は、タッチパネル等のディスプレイや発光素子、光電変換素子等の透明電極として使用される。透明電極付き基板が静電容量方式タッチパネルの位置検出に使用される場合、透明電極層には微細なパターニングが施される。パターニング方法としては、例えば、透明基板上の略全面に透明電極層が形成された後、面内の一部において透明電極層がエッチング等によって除去される方法が用いられる。これによって、基板上に、電極層形成部(「非エッチング部」ともいう)と電極層非形成部(「エッチング部」ともいう)とにパターニングされた透明電極層を有する透明電極付き基板が得られる。
ディスプレイの画像を鮮明に表示するためには、透明電極付き基板の透明性を向上させることが重要である。さらに、透明電極層がパターニングされた透明電極付き基板においては、透明電極層のパターンが視認され難いことが求められる。
例えば、特許文献1、2では、透明フィルム上に2層の透明誘電体層を介して透明電極層が形成された透明電極付き基板が提案されている。特許文献1では、各透明誘電体層の膜厚および屈折率を所定の値とすることで、電極層形成部と電極層非形成部との透過率差および△b*を低減させることが提案されている。特許文献2では、各透明誘電体層の膜厚および屈折率を所定の値とすることで、電極層形成部と電極層非形成部との反射率差を低減させて、パターンの視認を抑止することが提案されている。
特許文献3には、ITOを黒化させることなくITO上に酸化物誘電体薄膜を形成する手段として、アルゴンガスのみでプレスパッタ、アルゴンと酸素ガスでプレスパッタを交互に行う方法が開示されている。また、特許文献4には2工程の製膜速度で形成することにより、結晶性を有する透明導電膜を形成する手段が記載されており、第2工程においてプレスパッタしたターゲットを使用することが記載されている。また、特許文献5の実施例1の6には透明導電層製膜前に圧力1Paの条件下でプレスパッタを行う例が記載されている。
しかしながら、特許文献3〜5では、透明電極層がパターニングされた場合のパターン視認に関しては、何ら検討がなされていない。また特許文献5には透明誘電体層製膜や、その前のプレスパッタに関しては記載されていない。
本発明者らの検討によれば、透明電極層がパターニングされた透明電極付き基板では、電極層形成部と電極層非形成部との透過率差や△b*を低減させても、パターンが視認される場合があることが判明した。このようなパターン視認の問題に鑑みてさらに検討したところ、パターニングされた透明電極層を有する透明電極付き基板は、透明電極層のパターンに沿った皺が生じており、皺の形状に応じて光が反射されるために、パターンが視認されやすくなる傾向があることが判明した。
また、本発明者らが、上記特許文献3に開示されているようなガス組成のプレスパッタを交互に行って透明誘電体層を形成した透明電極付き基板や、特許文献4に記載されているように透明導電層の製膜前にプレスパッタを行った透明電極付き基板の透明導電体層をパターニングして、透明電極付き基板の視認性を確認したところ、透明電極層のパターンに沿った皺が生じており、パターンが視認されることが判明した。
上記に鑑み、本発明は、透明電極層のパターンに沿った皺の発生が抑制され、パターンが視認され難い透明電極付き基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らの検討によれば、透明誘電体層とパターニングされた透明導電層とがこの順に積層された透明電極付き基板の製造方法において、前記透明導電層直下の透明誘電体層製膜前のプレスパッタを所定の条件で二段階で行うことによりパターン皺の発生を抑制できることを見出し、本発明に至った。すなわち本発明は、透明フィルムの少なくとも片面に1層以上の透明誘電体層とパターニングされた透明電極層とがこの順に積層された透明電極付き基板の製造方法において、前記透明誘電体層を製膜する工程としてドライ製膜工程を含んでおり、前記ドライ製膜工程は、ロール・トゥ・ロール法で搬送される基板にスパッタリング法で製膜するスパッタリング工程と、該スパッタリング工程の直前にインラインで行なうプレスパッタ工程とを有しており、前記プレスパッタ工程は、前記スパッタリング工程より高圧で行う第一プレスパッタ工程と、第一プレスパッタ工程よりも低圧で行う第二プレスパッタ工程とを含み、前記第一プレスパッタ工程の時間をT1、前記第二プレスパッタ工程の時間をT2とした場合、T1>T2、T1>10分の関係を満たすことを特徴とする透明電極付き基板の製造方法である。
本発明の透明電極付き基板は、透明フィルムと透明電極層との間に透明誘電体層を備える。透明誘電体層の形成前に2段階のプレスパッタを行い、1段階目のプレスパッタにおいて高圧または大流量で行うことにより、当該透明電極付き基板は、透明電極層がパターニングされた際に、透明電極層のパターンに沿った皺の発生が抑制され、パターンが視認され難いため、静電容量方式タッチパネルに用いられた場合は、視認性の向上に寄与し得る
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、透明フィルム基材10上に、透明電極層20を有する透明電極付き基板100を示している。図1に示す実施形態において、透明フィルム基材10は、透明フィルム11の透明電極層20形成面側に透明誘電体層12を備える。
透明フィルム基材10を構成する透明フィルム11は、少なくとも可視光領域で無色透明であり、透明電極層形成温度における耐熱性を有していれば、その材料は特に限定されない。透明フィルムの材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフテレート(PBT)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂やシクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレートやシクロオレフィン系樹脂が好ましく用いられる。
透明フィルム11の厚みは特に限定されないが、10μm〜400μmが好ましく、50μm〜300μmがより好ましい。厚みが上記範囲内であれば、透明フィルム11が耐久性と適度な柔軟性とを有し得るため、その上に各透明誘電体層および透明電極層をロール・トゥ・ロール方式により生産性高く製膜することが可能である。
本発明において、透明フィルム11上には、酸化物を主成分とする透明誘電体層12が形成されている。透明誘電体層12を構成する酸化物としては、少なくとも可視光領域で無色透明であり、抵抗率が1×10−2Ω・cm以上であるものが好ましく、例えば、Si,Nb,Ta,Ti,ZrおよびHfからなる群から選択される1以上の元素の酸化物が好適に用いられる。中でも、酸化シリコン(SiO2)および酸化ニオブ(Nb2O5)が好ましい。なお、本明細書において、ある物質を「主成分とする」とは、当該物質の含有量が51重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%であることを指す。本発明の機能を損なわない限りにおいて、各層には、主成分以外の成分が含まれていてもよい。
透明誘電体層12は、その上に透明電極層20が形成される際に、透明フィルム11から水分や有機物質が揮発することを抑制するガスバリア層として作用し得るとともに、膜成長の下地層としても作用し得る。本発明においては、透明誘電体層12上に透明電極層20が製膜されることで、透明電極層を低抵抗化することができる。透明誘電体層にこれらの機能を持たせる観点から、透明誘電体層12の膜厚は4nm〜100nmであることが好ましく、5nm〜85nmであることがより好ましく、6nm〜70nmであることがさらに好ましい。
透明誘電体層の製膜開始前に、基材をボンバード工程に供することもできる。ボンバード工程においては、SUSターゲット等を用いて、アルゴン等の不活性ガスを主成分とするガス供給下で放電を行い、プラズマを発生させる。基材をボンバード工程に供することで、基材がプラズマに曝され、基材表面の酸化膜や有機成分等が除去されるため、その上に製膜される誘電体層、および誘電体層上に製膜される透明電極層の膜質を向上することができる。
透明フィルム11上への透明誘電体層12への形成方法は、スパッタリング法やウエット法が用いられるが、透明電極層の直下の層はスパッタリング法が用いられる。
各透明誘電体層がスパッタリング法により製膜される場合、ターゲットとしては金属、金属酸化物、金属炭化物等を用いることができる。電源としては、DC,RF,MF電源等が使用できる。生産性の観点からはDC電源が好ましい。製膜時の印加電力は特に限定されないが、透明フィルムに過剰な熱を与えず、かつ生産性を損なわない範囲で調整されることが好ましい。例えば、透明誘電体層12としてSiOx層が形成される場合、パワー密度は0.2〜10W/cm2が好ましい。
各透明誘電体層の製膜圧力は適宜に設定され得る。透明電極層の直下に形成される透明誘電体層12は、0.4未満の圧力下で、スパッタリング法により製膜されることが好ましい。透明誘電体層の製膜圧力は、0.35Pa以下がより好ましく、0.25Pa以下がさらに好ましい。第三誘電体層の製膜圧力を低くすることで、透明電極層形成面側の表面を平滑として、算術平均粗さRaや空孔を小さくすることができる。
透明誘電体層がドライ製膜工程において低圧条件で製膜されると、その上に形成される透明電極層がエッチング等によってパターニングされた際のパターン皺の発生が抑制される傾向がある。皺は透明導電層の形成部と非形成部において応力差があるため発生すると考えられるが、本発明者らが鋭意検討した結果、透明導電層の製膜条件よりもドライ製膜における透明誘電体層の製膜条件の調整がパターン皺の抑制に有効であり、特に透明誘電体層の製膜前に二段階のプレスパッタを行うことが有効であることを見出した。パターン皺を抑制できた理由は、透明誘電体層への透明導電層材料の浸入を抑制し、ITO形成部と非形成部の応力差を低減できるからと考えられる。
図3にパターン皺を抑制されたサンプルの断面TEM像、図4にパターン皺が発生したサンプルの断面TEM像を記載した。図3においてはSiO2とITOの界面が明確に分かれているが、図4においては界面の下のSiO2側にコントラストが異なる濃い部分が存在する。この部分はSiO2層である透明誘電体層にITOの成分であるインジウムや錫が浸入したものと考えられる。図3において、透明電極層の厚さは25nmであり、透明誘電体層と透明電極層の間の透明誘電体材料−透明電極材料混合層は、0.1〜3.0nmであった。また、図4において、透明電極の厚さは24nmであり、透明誘電体層と透明電極層の間の透明誘電体材料−透明電極材料混合層は、約5.0nmであった。インジウムや錫がSiO2層に浸入することにより、SiO2層の応力を変化させ、ITO形成部と非形成部の応力差を大きくしていると考えている。
非特許文献1には低圧で製膜したSiO2は空孔サイズが小さくなることが記載されており、低圧で製膜することにより空孔サイズが小さくし、インジウムや錫の浸入を抑制しているものと考えられる。低圧製膜することにより空孔サイズが小さくなる理由は低圧になることでスパッタ粒子がアルゴン粒子と衝突しにくくなることと、製膜時の電圧が高くなり(電力固定なので電流は小さくなる)スパッタ粒子の運動エネルギーが増大することによって基板に高エネルギーで入射し、マイグレーションして密に充填されるからと考えられる。
ドライ製膜工程で透明誘電体層を製膜する前に、2段階のプレスパッタを行うことにより、パターン皺をより抑制できる。プレスパッタを行うこと自体は知られており、2段階目のプレスパッタがそれにあたる。パターン皺の抑制に有効なのは1段階目のプレスパッタであり、これを高圧または大流量で行うことによりパターン皺を抑制することができる。
プレスパッタの条件調整を行うことにより、パターン皺が抑制できる理由はターゲット表面を均質に洗浄できるからと考えられる。ターゲット表面を均質に洗浄することがパターン皺の抑制に有効である理由は、スパッタ粒子の運動エネルギーのバラつきを低減し、空孔サイズのバラつきを低減しているからと考えられる。スパッタ粒子の運動エネルギーにはバラつきがあり、特にターゲットの表面状態の影響を大きく受ける。たとえば金属ターゲットを用いた反応性スパッタの場合、製膜モードで大きく異なる。金属ターゲット表面をスパッタする金属モードでは高スパッタ率(高エネルギー)になり、ターゲット表面の酸化膜をスパッタする酸化物モードでは低スパッタ率(低エネルギー)となる。1段階目の高圧プレスパッタによりターゲット表面を均質に洗浄できる理由は、高圧プレスパッタ時は電流が大きくなり電圧が低くなるため、ターゲットに入射するアルゴンイオンは多く、スパッタ率が低くなる。そのためターゲット表面を緻密に削り、均質に洗浄できると考えられる。製膜条件と同じ低圧条件でプレスパッタすると高電圧・小電流となり、少ないアルゴンイオンで粗く削ることになるため、原子レベルで考えると十分に表面の酸化物などを除去できない部分が残り、運動エネルギー、空孔サイズにもバラつきが生じていると考えられる。
第一プレスパッタを実施する時間は10分より長く、かつ第二プレスパッタより長く行うことが好ましい。第一プレスパッタを長時間行うことによってターゲットの表面処理が促進されるため、第一プレスパッタは15分以上がさらに好ましく、20分以上がさらに好ましい。
第二プレスパッタは製膜条件での放電を安定させる程度に必要であるが、長く実施しすぎると第一プレスパッタの効果を持続させるため2時間以下が好ましく、1時間以下がさらに好ましく、40分以下がさらに好ましい。
透明誘電体層12は、1層のみからなるものでもよく、2層以上からなるものであってもよい。透明誘電体層12が2層以上からなる場合、各層の厚みや屈折率を調整することにより、透明電極付き基板の透過率や反射率を調整して、表示装置の視認性を高めることができる。また、静電容量方式タッチパネル用の透明電極付き基板においては、透明電極層20の面内の一部がエッチング等によりパターニングされて用いられる。この場合、透明誘電体層の厚みや屈折率を調整することにより、電極層がエッチングされずに残存している電極形成部と、電極層がエッチングにより除去された電極非形成部との透過率差、反射率差、色差を低減して、皺だけでなく色目の観点から電極パターンの視認を抑止することができる。
電極パターンの視認を抑止するための透明誘電体層12の構成の一例としては、透明フィルム11側から、屈折率が1.45〜1.95で膜厚が1nm〜25nmの中屈折率透明誘電体層、屈折率が2.00〜2.35で膜厚が5nm〜10nmの高屈折率透明誘電体層、および屈折率が1.45〜1.55で膜厚が35nm〜55nmの低屈折率透明誘電体層の3層からなるものが挙げられる。このような3層の具体例としては、酸化シリコン(SiOx、ただし、1.5≦x<2)を主成分とする中屈折率透明誘電体層、酸化ニオブ(Nb2O5)を主成分とする高屈折率透明誘電体層、酸化シリコン(SiO2)を主成分とする低屈折率透明誘電体層の組み合わせが挙げられる。
透明誘電体層12が2層以上からなるものである場合、透明電極層に20に接する層以外はウェットコーティングなど均一に製膜できる方法なら他の手段で作製してもよい。
ウェットコーティングを使用する構成の一例としては、透明フィルム11側から、屈折率が1.50〜1.90で膜厚が10nm〜50nmの高屈折率透明誘電体層、および屈折率が1.45〜1.55で膜厚が10nm〜60nmの低屈折率透明誘電体層の2層からなるものが挙げられる。このような2層の具体例としては、酸化ジルコニウム(ZrO2)や酸化チタン(TiO2)を主成分とし、アクリル系樹脂などに分散させた高屈折率透明誘電体層、アクリル系樹脂や酸化シリコン(SiO2)を主成分とする低屈折率透明誘電体層の組み合わせが挙げられる。このようにウェットコーティングにより屈折率の異なる光学調整層を設けたフィルムをインデックスマッチングフィルムとも呼ぶ。
また光学調整層の塗布液は以下のように作製することができる。しかし、この作製方法は一例であり、この方法に厳密に従うものではない。
[低屈折率制御層塗布液A]
アクリル樹脂(商品名:ダイヤナールBR−102、三菱レイヨン製)をメチルセロソルブに溶解した。固形分濃度は30重量%とした。
アクリル樹脂(商品名:ダイヤナールBR−102、三菱レイヨン製)をメチルセロソルブに溶解した。固形分濃度は30重量%とした。
この樹脂溶液をバーコート法により、3マイクロメートルの厚みに塗布し、125℃で15分間乾燥させることで、1マイクロメートル厚の樹脂層を形成した。この低屈折率層の屈折率は1.49であった。
[中屈折率制御層塗布液B]
アクリル樹脂(商品名:ダイヤナールBR−102、三菱レイヨン製)をメチルセロソルブに溶解した。固形分濃度は30重量%とした。この樹脂溶液に、酸化ジルコニウム(商品名:ジルコニア粒子TZ−3Y−E、東ソー製)を、アクリル樹脂に対して1重量%添加して十分に撹拌することで、中屈折率制御層塗布液を作成した。
アクリル樹脂(商品名:ダイヤナールBR−102、三菱レイヨン製)をメチルセロソルブに溶解した。固形分濃度は30重量%とした。この樹脂溶液に、酸化ジルコニウム(商品名:ジルコニア粒子TZ−3Y−E、東ソー製)を、アクリル樹脂に対して1重量%添加して十分に撹拌することで、中屈折率制御層塗布液を作成した。
この樹脂溶液をバーコート法により、3マイクロメートルの厚みに塗布し、125℃で15分間乾燥させることで、1マイクロメートル厚の樹脂層を形成した。この低屈折率層の屈折率は1.53であった。
[高屈折率制御層塗布液C]
アクリル樹脂(商品名:ダイヤナールBR−102、三菱レイヨン製)をメチルセロソルブに溶解した。固形分濃度は30重量%とした。この樹脂溶液に、酸化チタン(商品名:チタニア粒子TECNAPOW−TIO2、エアブラウン製)を、アクリル樹脂に対して4重量%添加して十分に撹拌することで、中屈折率制御層塗布液を作成した。
アクリル樹脂(商品名:ダイヤナールBR−102、三菱レイヨン製)をメチルセロソルブに溶解した。固形分濃度は30重量%とした。この樹脂溶液に、酸化チタン(商品名:チタニア粒子TECNAPOW−TIO2、エアブラウン製)を、アクリル樹脂に対して4重量%添加して十分に撹拌することで、中屈折率制御層塗布液を作成した。
この樹脂溶液をバーコート法により、3マイクロメートルの厚みに塗布し、125℃で15分間乾燥させることで、1マイクロメートル厚の樹脂層を形成した。この低屈折率層の屈折率は1.65であった。
透明フィルム基材10は、上記透明誘電体層12以外に、透明フィルム11の片面または両面にハードコート層等の機能性層(不図示)が形成されたものであってもよい。透明フィルム基材に適度な耐久性と柔軟性を持たせるためには、ハードコート層の厚みは3〜10μmが好ましく、3〜8μmがより好ましく、5〜8μmがさらに好ましい。ハードコート層の材料は特に制限されず、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂等を、塗布・硬化させたもの等を適宜に用いることができる。なお、ハードコート層等の機能性層が、透明フィルム11の透明電極層20形成面側に形成される場合、当該機能性層は、透明フィルム11と透明誘電体層12との間に形成されることが好ましい。
透明フィルム基材10の透明電極層形成面側表面の算術平均粗さRaは、1nm以下が好ましく、0.8nm以下がより好ましく、0.6nm以下がさらに好ましい。透明フィルム11の表面に透明誘電体層12が形成されている場合は、透明誘電体層12表面の算術平均粗さが上記範囲であることが好ましい。算術平均粗さRaは、走査プローブ顕微鏡を用いた非接触法により測定された表面形状(粗さ曲線)に基づいて、JIS B0601:2001(ISO1302:2002)に準拠して算出される。透明フィルム基材10の表面を平滑とすることで、パターン皺が抑制された透明電極層が得られ易くなる。
本発明の透明電極付き基板は、前記透明フィルム基材10の少なくとも一方の面に、結晶質のインジウム・スズ複合酸化物を主成分とする透明電極層20を備える。本発明において、低抵抗化のためには、この透明電極層20は、透明フィルム基材10の透明誘電体層12上に直接形成されていることが好ましい。
透明電極層20は、抵抗率が3.5×10−4Ω・cm以下であることが好ましい。また、透明電極層20の表面抵抗は、150Ω/□であることが好ましく、100Ω/□であることがより好ましい。透明電極層が低抵抗であれば、静電容量方式タッチパネルの応答速度向上等に寄与し得る。
透明電極層を低抵抗かつ高透過率とする観点から、透明電極層20の膜厚は、15nm〜40nmであることが好ましく、17nm〜35nmであることがより好ましく、19nm〜30nmであることがさらに好ましい。
[透明電極層の形成方法]
透明電極層の形成方法としては、透明フィルム基材10上に、非晶質のITOを主成分とする非晶質透明電極層が形成された後、加熱によりITOが結晶化される方法が好ましい。透明フィルム基材10上への非晶質透明電極層の形成方法としては、スパッタリング法が好ましい。スパッタ電源としては、DC,RF,MF電源等が使用できる。中でも、本発明においては、生産性および低抵抗化の観点から、DC電源が好適に用いられる。
透明電極層の形成方法としては、透明フィルム基材10上に、非晶質のITOを主成分とする非晶質透明電極層が形成された後、加熱によりITOが結晶化される方法が好ましい。透明フィルム基材10上への非晶質透明電極層の形成方法としては、スパッタリング法が好ましい。スパッタ電源としては、DC,RF,MF電源等が使用できる。中でも、本発明においては、生産性および低抵抗化の観点から、DC電源が好適に用いられる。
スパッタリング製膜に用いられるターゲットとしては金属、金属酸化物等が用いられる。特に、酸化インジウムと酸化スズを含有する酸化物ターゲットが好適に用いられる。酸化物ターゲット中の酸化スズの含有量は、酸化インジウムと酸化スズとの合計100重量部に対して、1重量部〜15重量部であることが好ましく、3重量部〜12重量部であることがより好ましく、5〜10重量部であることがさらに好ましい。
非晶質透明電極層がスパッタリング法により製膜される際の基板温度は、透明フィルム基材が耐熱性を有する範囲であればよいが、−35℃〜35℃であることが好ましく、−30℃〜30℃であることがより好ましく、−25℃〜25℃であることがさらに好ましい。基板温度を35℃以下とすることで、透明フィルム基材からの水分や有機物質(例えばオリゴマー成分)の揮発等が起こり難くなり、ITOの結晶化が起こりやすくなり、また非晶質膜が結晶化された後の透明電極層の抵抗率の上昇を抑制することができる。また、基板温度を−35℃以上とすることで、透明電極層の透過率の低下や、透明フィルム基材の脆化を抑制することができる。
スパッタリング製膜に用いられる導入ガスとしては、アルゴン等の不活性ガスを主成分とするものが好ましい。ここで、「不活性ガスを主成分とする」とは、使用するガスのうち、アルゴン等の不活性ガスを50%以上含むことを意味する。導入ガスは、アルゴン等の不活性ガス単独でもよく、2種類以上の混合ガスでもよい。中でも、アルゴンと酸素の混合ガスが好ましい。アルゴンと酸素の混合ガスは、酸素を0.01〜5.00体積%含むことが好ましく、0.10〜4.00体積%含むことがより好ましい。上記体積の酸素を供給することで、透明電極層の透明性および導電性を向上させることができる。なお、アルゴンと酸素の混合ガスには、本発明の機能を損なわない限りにおいて、その他のガスが含まれていてもよい。
透明フィルム基材上に製膜された非晶質透明電極層は、加熱されることにより結晶化され、透明電極層が得られる。結晶化のための加熱条件は特に限定されないが、例えば、120℃〜150℃のオーブン中で、30分〜90分程度の比較的低温、短時間の加熱が好ましい。あるいは、より低温(例えば50℃〜120℃程度)で、1日〜3日程度の加熱によっても、結晶化が可能である。
静電容量方式タッチパネルに用いられる場合、透明電極層は、電極層形成部と電極層非形成部とにパターニングされる。パターニングは、例えば透明電極層を面内の一部においてエッチング等によって除去することにより行われる。透明電極層のエッチング方法としては、ウェットプロセスおよびドライプロセスのいずれでもよいが、透明電極層20のみが選択的に除去されやすいという観点から、ウェットプロセスが適している。
ウェットプロセスとしては、フォトリソグラフィ法が好適である。フォトリソグラフィに使用されるフォトレジスト、現像液およびリンス剤としては、透明電極層20を侵すことなく、所定のパターンを形成し得るものを任意に選択し得る。エッチング液としては、透明電極層20を除去可能であり、かつ透明誘電体層を侵さないものが好適に用いられる。
透明電極層のパターニングは、透明電極層の結晶化前に行われてもよい。また、透明電極層の結晶化のための加熱処理は、下記のようなタッチパネル形成のための加熱処理を兼ねるものであってもよい。
タッチパネルの形成においては、上記透明電極付き基板上に、導電性インクやペーストが塗布されて、熱処理されることで、引き廻し回路用配線としての集電極が形成される。加熱処理の方法は特に限定されず、オーブンやIRヒータ等による加熱方法が挙げられる。加熱処理の温度・時間は、導電性ペーストが透明電極に付着する温度・時間を考慮して適宜に設定される。例えば、オーブンによる加熱であれば120〜150℃で30〜60分、IRヒータによる加熱であれば150℃で5分等の例が挙げられる。なお、引き廻し回路用配線の形成方法は、上記に限定されず、ドライコーティング法によって形成されてもよい。また、フォトリソグラフィによって引き廻し回路用配線が形成されることで、配線の細線化が可能である。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
各透明誘電体層および透明電極層の膜厚は、透明電極付き基板の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めた値を使用した。透明電極層の表面抵抗は、低抵抗率計ロレスタGP(MCP‐T710、三菱化学社製)を用いて四探針圧接測定により測定した。透明電極層の抵抗率は、前記表面抵抗の値と膜厚との積により算出した。
[製造例1]
透明フィルムとして、ウレタン系樹脂からなるハードコート層が両面に形成された厚み100μmの2軸延伸PETフィルム(品名:GSAB−R きもと株式会社)が用いられた。
透明フィルムとして、ウレタン系樹脂からなるハードコート層が両面に形成された厚み100μmの2軸延伸PETフィルム(品名:GSAB−R きもと株式会社)が用いられた。
この基材の一方の面上に、ロール・トゥ・ロール方式の巻取り式スパッタリング装置を用いて、酸化珪素及び酸化ニオブが順次形成された透明誘電体層が形成された。
まず、基材Aに中屈折率透明誘電体層が形成された。B−Siをターゲットとして用い、酸素/アルゴン(20sccm/400sccm)混合ガスを装置内に導入しながら、装置内圧力0.1Pa、基板温度−20℃、パワー密度1.4W/cm2、電圧620Vの条件でスパッタリングが行われた。得られたSiOx層は、膜厚が5nm、屈折率が1.65であった。
このSiOx層上に、高屈折率透明誘電体層が形成された。ニオブ(Nb)をターゲットとして用い、酸素/アルゴン(80sccm/400sccm)混合ガスを装置内に導入しながら、装置内圧力0.2Pa、基板温度−20℃、パワー密度5.1W/cm2の条件でスパッタリングが行われた。得られた酸化ニオブ(Nb2O5)層は、膜厚が7nm、屈折率が2.18であった。以下、本製造例で得られたフィルム基材を「基材A」とする。
[製造例2]
ハードコート層が両面に形成された厚み50μmの2軸延伸PETフィルムの一方の面に光学調整層が塗布されたインデックスマッチングフィルム(品名:ライトナビCW2300L/NP−50 日油株式会社)も用いられた。以下、このフィルムを「基材B」とする。
ハードコート層が両面に形成された厚み50μmの2軸延伸PETフィルムの一方の面に光学調整層が塗布されたインデックスマッチングフィルム(品名:ライトナビCW2300L/NP−50 日油株式会社)も用いられた。以下、このフィルムを「基材B」とする。
[製造例3]
透明フィルムとして、ウレタン系樹脂からなるハードコート層が両面に形成された厚み100μmの2軸延伸PETフィルム(品名:GSAB−R きもと株式会社)が用いられた。以下、このフィルムを「基材C」とする。
透明フィルムとして、ウレタン系樹脂からなるハードコート層が両面に形成された厚み100μmの2軸延伸PETフィルム(品名:GSAB−R きもと株式会社)が用いられた。以下、このフィルムを「基材C」とする。
[実施例および比較例]
上記で得られた各透明フィルム基材の透明誘電体層上に、ロール・トゥ・ロール方式の巻取り式スパッタリング装置を用いて、表1に示す2段階プレスパッタ条件でホウ素添加Si(B−Si)ターゲットを処理し、膜厚50nmのSiO2透明誘電体層及び膜厚25nmの非晶質ITO透明電極層が順次形成された。実施例7においてのみ2nmのSiO2透明誘電体層が形成された。
上記で得られた各透明フィルム基材の透明誘電体層上に、ロール・トゥ・ロール方式の巻取り式スパッタリング装置を用いて、表1に示す2段階プレスパッタ条件でホウ素添加Si(B−Si)ターゲットを処理し、膜厚50nmのSiO2透明誘電体層及び膜厚25nmの非晶質ITO透明電極層が順次形成された。実施例7においてのみ2nmのSiO2透明誘電体層が形成された。
[実施例1]
基板A上に、ロール・トゥ・ロール方式の巻取り式スパッタリング装置を用いて二段階のプレスパッタを行った後、透明誘電体層が形成された。第一段階のプレスパッタはフィルムを搬送速度1.0m/minで搬送しながらB−Siをターゲットとして用い、酸素/アルゴン(100sccm/2000sccm)混合ガスを装置内に導入しながら、装置内圧力1.1Pa、基板温度−20℃、パワー密度10.2W/cm2、電圧680Vの条件で30分間プレスパッタが行われた。次に放電を切ることなく条件を変え、第二段階のプレスパッタが行われた。酸素/アルゴン(165sccm/300sccm)混合ガスを装置内に導入しながら、装置内圧力0.13Pa、基板温度−20℃、パワー密度10.2W/cm2の条件で3分間プレスパッタが行われた。次に放電を切ることなくフィルムの搬送速度を2m/minに上げ、スパッタリング製膜が行われた。得られたSiOx層(x=2)は、膜厚が50nm、屈折率が1.47であった。
基板A上に、ロール・トゥ・ロール方式の巻取り式スパッタリング装置を用いて二段階のプレスパッタを行った後、透明誘電体層が形成された。第一段階のプレスパッタはフィルムを搬送速度1.0m/minで搬送しながらB−Siをターゲットとして用い、酸素/アルゴン(100sccm/2000sccm)混合ガスを装置内に導入しながら、装置内圧力1.1Pa、基板温度−20℃、パワー密度10.2W/cm2、電圧680Vの条件で30分間プレスパッタが行われた。次に放電を切ることなく条件を変え、第二段階のプレスパッタが行われた。酸素/アルゴン(165sccm/300sccm)混合ガスを装置内に導入しながら、装置内圧力0.13Pa、基板温度−20℃、パワー密度10.2W/cm2の条件で3分間プレスパッタが行われた。次に放電を切ることなくフィルムの搬送速度を2m/minに上げ、スパッタリング製膜が行われた。得られたSiOx層(x=2)は、膜厚が50nm、屈折率が1.47であった。
上記透明フィルム基材の透明誘電体層上に、ロール・トゥ・ロール方式の巻取り式スパッタリング装置を用いて、非晶質ITO透明電極層が形成された。スパッタ製膜は、インジウム・スズ複合酸化物(酸化スズ含有量5重量%)をターゲットとして用い、酸素/アルゴン(2sccm/1000sccm)混合ガスを装置内に導入しながら、装置内圧力0.4Pa、基板温度−20℃、パワー密度5.2W/cm2の条件で行われた。得られた透明電極層は、膜厚が25nmであった。
上記非晶質ITO透明電極層が形成された透明導電フィルムを、140℃で90分間加熱することによりITOの結晶化が行われた。
その後、フォトリソグラフィによる透明電極層のパターニングが行われた。まず透明電極層上に、フォトレジスト(製品名TSMR−8900(東京応化工業製))がスピンコートにより約2μm程度の膜厚で塗布された後、90℃のオーブンでプリベークされた。フォトマスクを介して、40mJの紫外光が照射された。その後110℃でフォトレジスト層がポストベークされた後、現像液(製品名NMD−W(東京応化工業製))を用いてパターニングされた。さらに、エッチング液(製品名:ITO02(関東化学製))を用いて透明電極層がエッチングされた。最後にリンス液(製品名104(東京応化工業製))を用いて残ったフォトレジストが除去された。
透明電極付き基板のパターン皺の有無は、目視にて判定した。透明電極層のパターン形成方向と直管式蛍光灯の反射光とが略直交するように配置された状態で、蛍光灯からの反射光を観察し、蛍光灯の反射像が直線状に見えるもの(パターン皺レベル=5:皺なし)から反射像が歪んで見えるもの(パターン皺レベル=1:皺あり)までの5段階で評価を行った。その結果パターン皺レベルは5だった。
[実施例2〜5、比較例1〜3]
第一、第二プレスパッタ時のアルゴンの導入量、圧力を表1に示すように変更された。それ以外は、実施例1と同様にして、透明誘電体層および透明電極層が順次形成された後、透明電極層の熱処理及びパターニングが行われた。
第一、第二プレスパッタ時のアルゴンの導入量、圧力を表1に示すように変更された。それ以外は、実施例1と同様にして、透明誘電体層および透明電極層が順次形成された後、透明電極層の熱処理及びパターニングが行われた。
[実施例6]
基材をBに変更された。また透明誘電体層は2nm製膜された。それ以外は、実施例1と同様にして、透明誘電体層および透明電極層が順次形成された後、透明電極層の熱処理及びパターニングが行われた。
基材をBに変更された。また透明誘電体層は2nm製膜された。それ以外は、実施例1と同様にして、透明誘電体層および透明電極層が順次形成された後、透明電極層の熱処理及びパターニングが行われた。
[実施例7]
基材をCに変更された。それ以外は、実施例1と同様にして、透明誘電体層および透明電極層が順次形成された後、透明電極層の熱処理及びパターニングが行われた。
基材をCに変更された。それ以外は、実施例1と同様にして、透明誘電体層および透明電極層が順次形成された後、透明電極層の熱処理及びパターニングが行われた。
[比較例4]
基材をBに変更された。また透明誘電体層は2nm製膜された。それ以外は、比較例3と同様にして、透明誘電体層および透明電極層が順次形成された後、透明電極層の熱処理及びパターニングが行われた。
基材をBに変更された。また透明誘電体層は2nm製膜された。それ以外は、比較例3と同様にして、透明誘電体層および透明電極層が順次形成された後、透明電極層の熱処理及びパターニングが行われた。
[比較例5]
基材をCに変更された。それ以外は、比較例3と同様にして、透明誘電体層および透明電極層が順次形成された後、透明電極層の熱処理及びパターニングが行われた。
基材をCに変更された。それ以外は、比較例3と同様にして、透明誘電体層および透明電極層が順次形成された後、透明電極層の熱処理及びパターニングが行われた。
各実施例および比較例において用いられた透明フィルム基材、透明誘電体層の製膜前のプレスパッタ条件・時間、パターン皺レベルを表1に示す。
実施例1,2,5と比較例3を対比すると、第一プレスパッタのアルゴン流量を増やし、圧力を高めることにより、パターン皺の緩和された透明電極付き基板が得られることがわかる。実施例2,3と比較例2とを対比すると、第一プレスパッタ時間が長いほどパターン皺の緩和された透明電極付き基板が得られることがわかる。実施例3,4と比較例1とを対比すると、通常の第二プレスパッタ時間が短いほどパターン皺の緩和された透明電極付き基板が得られることがわかる。
実施例1,6,7と比較例3,4,5を対比すると、異なる基板に対しても高圧の第一プレスパッタを行うことによりパターン皺の緩和された透明電極付き基板が得られることがわかる。
本発明の透明電極付き基板は、ディスプレイや発光素子、光電変換素子等の透明電極として用いることができ、タッチパネル用の透明電極として好適に用いられる。中でも、透明電極層が低抵抗であることから、静電容量方式タッチパネルに好ましく用いられる。
10 透明フィルム基材
11 透明フィルム
12 透明誘電体層
20 透明電極層
100 透明電極付き基板
11 透明フィルム
12 透明誘電体層
20 透明電極層
100 透明電極付き基板
Claims (7)
- 透明フィルムの少なくとも片面に1層以上の透明誘電体層とパターニングされた透明電極層とがこの順に積層された透明電極付き基板の製造方法において、
前記透明誘電体層を製膜する工程としてドライ製膜工程を含んでおり、
前記ドライ製膜工程は、ロール・トゥ・ロール法で搬送される基板にスパッタリング法で製膜するスパッタリング工程と、該スパッタリング工程の直前にインラインで行なうプレスパッタ工程とを有しており、
前記プレスパッタ工程は、前記スパッタリング工程より高圧で行う第一プレスパッタ工程と、第一プレスパッタ工程よりも低圧で行う第二プレスパッタ工程とを含み、
前記第一プレスパッタ工程の時間をT1、前記第二プレスパッタ工程の時間をT2とした場合、T1>T2、T1>10分の関係を満たすことを特徴とする透明電極付き基板の製造方法。 - 前記第一プレスパッタ工程の圧力をP1、前記第二プレスパッタ工程の圧力をP2とした場合、0.01<P2/P1<0.90の関係を満たす請求項1に記載の透明電極付き基板の製造方法。
- 前記第一プレスパッタ工程のアルゴン流量をV1、前記第二プレスパッタ工程のアルゴン流量をV2とした場合、0.01<V2/V1<0.90の関係を満たす請求項1又は2のいずれかに記載の透明電極付き基板の製造方法。
- 前記透明誘電体層が複数の層からなり、前記ドライ製膜工程で製膜する層以外の透明誘電体層をウエット製膜工程で製膜する請求項1〜3のいずれかに記載の透明電極付き基板の製造方法。
- 前記ドライ製膜工程で製膜される透明誘電体層はSiOx(x≧1.5)を主成分とし、膜厚が1nm〜80nmのシリコン酸化物層を含んでおり、前記透明電極層は、インジウム・スズ複合酸化物を主成分とする、膜厚が10nm〜40nmの導電性金属酸化物層である請求項1〜4のいずれかに記載の透明電極付き基板の製造方法。
- 前記ドライ製膜工程で製膜される透明誘電体層はSiO2を主成分とするシリコン酸化物層を含んでおり、該透明誘電体層の屈折率は1.48以上である請求項1〜5のいずれかに記載の透明電極付き基板の製造方法。
- 基板透明フィルムの少なくとも片面に1層以上の透明誘電体層とパターニングされた透明電極層とがこの順に積層され、前記透明誘電体層と透明電極層の間に透明誘電体材料−透明電極材料混合層を0.1〜3.0nm有する透明電極付き基板。
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WO2016186131A1 (ja) * | 2015-05-21 | 2016-11-24 | 日東電工株式会社 | 調光フィルムおよびその製造方法、ならびに調光素子 |
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- 2013-05-10 JP JP2013100526A patent/JP2014218726A/ja active Pending
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