JPWO2015133505A1 - 酸化物超電導薄膜線材とその製造方法 - Google Patents

酸化物超電導薄膜線材とその製造方法 Download PDF

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Abstract

金属基板と積層体とCu安定化層を有する酸化物超電導薄膜線材であって、金属基板は、支持基材と前記支持基材上に位置する導電層を備え、導電層は、内層のCu層と2軸配向している表層を含み、積層体は、前記金属基板上に、金属基板側から順に中間層、酸化物超電導層、Ag安定化層が積層され、Cu安定化層は、積層体および金属基板の周囲を覆うように形成され、Cu安定化層およびAg安定化層のうち少なくとも一方の安定化層が、金属基板の前記導電層の少なくとも一部分に接触して、金属基板の導電層と電気的に導通するように形成されている酸化物超電導薄膜線材。

Description

本発明は、酸化物超電導薄膜線材とその製造方法に関する。
液体窒素の温度で超電導性を有する高温超電導材料の発見以来、ケーブル、限流器、マグネットなどの電力機器への応用を目指した高温超電導線材の開発が活発に行われている。中でも基板上にレア・アース系の酸化物超電導材料の薄膜層(以下、「酸化物超電導層」ともいう)を形成させた酸化物超電導薄膜線材が注目されている。
このような酸化物超電導薄膜線材は、一般的に、幅広で2軸配向性の金属基板上に、REBCO(REBaCu7−δ:REはレア・アース)で示される酸化物超電導材料などからなる酸化物超電導層を形成させた後、所定の幅に切断すること(細線加工)により製造される(例えば、特許文献1〜4)。
具体的には、まず、幅広の金属基板上に、スパッタ法などを用いて、Y(酸化イットリウム)、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、CeO(酸化セリウム)などの酸化物層を中間層として形成する。
次に、中間層の上に、パルスレーザ蒸着法(Pulse Laser Deposition、略称:PLD法)、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的蒸着法(PVD法)や塗布熱分解法(MOD法)などの化学的蒸着法(CVD法)を用いて、酸化物超電導層を形成する。
次に、酸化物超電導層の上に、スパッタ法などを用いて、銀(Ag)安定化層を形成する。以上により、幅広の酸化物超電導線材が作製される。
次に、この幅広の酸化物超電導線材を、機械スリットやレーザースリットなどを用いて、所定の幅に細線加工する。
図4は、このように細線加工された酸化物超電導薄膜線材の構成の一例を模式的に示す斜視図であり、酸化物超電導薄膜線材1は、金属基板B、中間層14、酸化物超電導層15、およびAg安定化層16を備えている。図4に示すように、金属基板Bとしては、支持基材となるステンレス(SUS)層11、配向層となる銅(Cu)層12、酸化防止層となるニッケル(Ni)層13から構成されるクラッド基板が広く用いられている。ここで、Cu層12およびNi層13が金属基板Bの導電層である。
特開平07−037444号公報 特開2003−308745号公報 特開2007−287629号公報 特開2013−12406号公報
しかしながら、酸化物超電導層15に臨界電流値(Ic)を超える電流が流れた場合、酸化物超電導層15は超電導状態を保つことができなくなり、常電導状態になってしまう。この結果、酸化物超電導層15に大きな抵抗が発生して発熱し、最終的には、酸化物超電導層15を破損(焼損)してしまう恐れがある。
そこで、このように一時的にIcを超える電流(過電流)が流れることがあっても、この過電流が酸化物超電導層に流れないように、Ag安定化層16だけでなくCu安定化層17を設けて、図4に示すような酸化物超電導薄膜線材1としている。
これらの安定化層は、その厚みが厚いほど電気抵抗が小さくなるため、過電流による温度上昇が抑制されて焼損が発生する恐れが低減され、超電導状態への復帰も速くなる。
しかし、安定化層の厚みが増すにつれて酸化物超電導薄膜線材は曲げにくくなり、酸化物超電導薄膜線材としての特徴が失われる。また、製造コストも増大する。
そこで本発明は、酸化物超電導薄膜線材の曲げ易さを充分に維持しながら、大きな過電流にも充分に耐えることができる酸化物超電導薄膜線材とその製造方法を提供することを課題とする。
本発明の一局面は、
金属基板と積層体とCu安定化層を有する酸化物超電導薄膜線材であって、
前記金属基板は、支持基材と前記支持基材上に位置する導電層を備え、
前記導電層は、内層のCu層と2軸配向している表層を含み、
前記積層体は、前記金属基板上に、前記金属基板側から順に中間層、酸化物超電導層、Ag安定化層が積層され、
前記Cu安定化層は、前記積層体および前記金属基板の周囲を覆うように形成され、
前記Cu安定化層および前記Ag安定化層のうち少なくとも一方の安定化層が、前記金属基板の前記導電層の少なくとも一部分に接触して、前記金属基板の前記導電層と電気的に導通するように形成されている酸化物超電導薄膜線材に関する。
本発明の他の一局面は、
支持基材と前記支持基材上に位置する導電層を備え、前記導電層が内層のCu層と2軸配向している表層を含む幅広の金属基板上に、前記金属基板側から順に中間層、酸化物超電導層、Ag安定化層を形成して積層体を形成する積層体形成工程と、
前記金属基板および前記積層体を所定の幅に切断して細線化する細線化工程と、
細線化された前記金属基板および前記積層体から前記金属基板の前記導電層の一部を露出させる導電層露出工程と、
前記積層体および前記金属基板の周囲を覆うようにCu安定化層を形成するCu安定化層形成工程と、を備え、
前記Cu安定化層形成工程において、前記Cu安定化層が前記金属基板の前記導電層の露出した部分に接触して、電気的に導通するように前記Cu安定化層を形成する酸化物超電導薄膜線材の製造方法に関する。
本発明のさらに他の一局面は、
支持基材と前記支持基材上に位置する導電層を備え、前記導電層が内層のCu層と2軸配向している表層を含む幅広の金属基板上に、前記金属基板側から順に中間層、酸化物超電導層を形成して積層体を形成する積層体形成工程と、
前記金属基板および前記積層体を所定の幅に切断して細線化する細線化工程と、
細線化された前記積層体の表面から前記金属基板の前記導電層に至る貫通孔を、少なくとも1箇所設ける導電層露出工程と、
前記積層体上にAg安定化層を形成するAg安定化層形成工程と、
前記Ag安定化層が形成された前記積層体および前記金属基板の周囲を覆うようにCu安定化層を形成するCu安定化層形成工程と、を備え、
前記Ag安定化層形成工程において、前記貫通孔を貫通して前記金属基板の前記導電層に接触して、前記金属基板の前記導電層と電気的に導通するように前記Ag安定化層を形成する酸化物超電導薄膜線材の製造方法に関する。
本発明の別の一局面は、
支持基材と前記支持基材上に位置する導電層を備え、前記導電層が内層のCu層と2軸配向している表層を含む幅広の金属基板上に、前記金属基板側から順に中間層、酸化物超電導層を形成して積層体を形成する積層体形成工程と、
前記金属基板および前記積層体を所定の幅に切断して細線化する細線化工程と、
細線化された前記積層体および前記金属基板のサイド側端面から、前記金属基板の前記Cu層の少なくとも一部分を露出させる導電層露出工程と、
前記積層体および前記金属基板上にAg安定化層を形成するAg安定化層形成工程と、
前記Ag安定化層が形成された前記積層体および前記金属基板の周囲をさらに覆うようにCu安定化層を形成するCu安定化層形成工程と、を備え、
前記Ag安定化層形成工程において、前記積層体および前記金属基板の周囲を覆うように前記Ag安定化層を形成して、露出した前記金属基板の前記Cu層と前記Ag安定化層とを導通させる酸化物超電導薄膜線材の製造方法に関する。
本発明によれば、酸化物超電導薄膜線材の曲げ易さを充分に維持しながら、大きな過電流にも充分に耐えることができる酸化物超電導薄膜線材とその製造方法を提供することができる。
細線加工された酸化物超電導薄膜線材の切断面端部の状態を模式的に示す横断面図である。 本発明の実施形態に係る酸化物超電導薄膜線材の構成の一例を模式的に示す横断面図である。 本発明の実施形態に係る酸化物超電導薄膜線材の構成の一例を模式的に示す横断面図である。 本発明の実施形態に係る酸化物超電導薄膜線材の構成の一例を模式的に示す横断面図である。 本発明の実施形態に係る酸化物超電導薄膜線材の構成の一例を模式的に示す横断面図である。 本発明の実施形態に係る酸化物超電導薄膜線材の構成の一例を模式的に示す横断面図である。 本発明の実施形態に係る酸化物超電導薄膜線材の構成の一例を模式的に示す横断面図である。 酸化物超電導薄膜線材の構成の一例を模式的に示す斜視図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の実施形態に係る酸化物超電導薄膜線材は、金属基板と積層体とCu安定化層を有する酸化物超電導薄膜線材であって、前記金属基板は、支持基材と前記支持基材上に位置する導電層を備え、前記導電層は、内層のCu層と2軸配向している表層を含み、前記積層体は、前記金属基板上に、前記金属基板側から順に中間層、酸化物超電導層、Ag安定化層が積層され、前記Cu安定化層は、前記積層体および前記金属基板の周囲を覆うように形成され、前記Cu安定化層および前記Ag安定化層のうち少なくとも一方の安定化層が、前記金属基板の前記導電層の少なくとも一部分に接触して、前記金属基板の前記導電層と電気的に導通するように形成されている。
本発明者は、前記した課題の解決について検討するに当って、従来の酸化物超電導薄膜線材の構造について詳細に観察したところ、図1に示すように、細線化された酸化物超電導薄膜線材1の切断面端部では、絶縁体である中間層14により金属基板BのCu層12やNi層13とAg安定化層16とが覆われており、この状態を維持したまま、Cu安定化層17が形成されていることが分かった。このような現象が生じた原因としては、細線化工程で、機械スリットの場合は刃が当ることによって基板に歪みが発生し、レーザースリットの場合は切断面が合金化してドロスが発生して、切断面端部にCu層12やNi層13が露出することが妨げられたためと推測される。
そこで、本発明者は、この金属基板Bの導電層を構成するCu層12やNi層13をCu安定化層17またはAg安定化層16の安定化層と電気的に導通させることができれば、これらの層も安定化層として機能させることができると考えた。即ち、従来の酸化物超電導薄膜線材において、単に、2軸配向層や酸化防止層を形成することを目的として使用されていたCu層12やNi層13を、酸化物超電導薄膜線材における過電流の通電経路として機能させることができれば、安定化層の厚みを増加させずに、大きな過電流にも充分に耐えることができることに思い至った。具体的には、Cu安定化層およびAg安定化層のうち少なくとも一方の安定化層が金属基板の導電層の少なくとも一部分に接触して、金属基板の導電層と電気的に導通するように形成することにより、過電流を金属基板にも流して、発熱を充分に抑制することができる。
(2)また、上記酸化物超電導薄膜線材においては、積層体の表面から金属基板の導電層に至る貫通孔が、少なくとも1箇所設けられており、Cu安定化層が、貫通孔を貫通して金属基板の導電層に接触して、金属基板の前記導電層と電気的に導通するように形成されていることが好ましい。中間層、酸化物超電導層、Ag安定化層が積層された積層体に、金属基板の導電層まで貫通孔を貫通させて、Cu安定化層がこの貫通孔を貫通して金属基板の導電層に接触して電気的に導通するように、Cu安定化層が形成されているため、金属基板のCu層とCu安定化層との間で、過電流を一層小さな電気抵抗で導通させることができる。なお、Cu安定化層は、金属基板の導電層に含まれる表層に接触してもよいし、内層のCu層に接触してもよい。Cu安定化層が導電層の表層に接触する場合には、表層を介して内層のCu層と充分に小さな電気抵抗で導通する。
(3)また、上記酸化物超電導薄膜線材においては、Cu安定化層が、金属基板のCu層のサイド側端面の少なくとも一部分と接触して、金属基板のCu層と電気的に導通するようにしてもよい。金属基板のCu層のサイド側端面の少なくとも一部分を露出させて、この露出部を介して、金属基板のCu層とCu安定化層とが電気的に導通するように、Cu安定化層を形成させることにより、過電流を金属基板にも流して、発熱を充分に抑制することができる。
(4)また、上記酸化物超電導薄膜線材においては、積層体の表面から金属基板の導電層に至る貫通孔が、少なくとも1箇所設けられており、Ag安定化層が、貫通孔を貫通して金属基板の導電層に接触して、金属基板の導電層と電気的に導通するように形成してもよい。貫通孔を金属基板の導電層まで貫通させて、導電性に優れたAg安定化層がこの貫通孔を貫通して金属基板の導電層に接触して電気的に導通するように、Ag安定化層が形成されているため、金属基板のCu層とAg安定化層との間で、過電流を一層小さな電気抵抗で導通させることができる。なお、Ag安定化層は、金属基板の導電層に含まれる表層に接触してもよいし、内層のCu層に接触してもよい。Ag安定化層が導電層の表層に接触する場合には、表層を介して内層のCu層と充分に小さな電気抵抗で導通する。
(5)また、上記酸化物超電導薄膜線材においては、Ag安定化層が、金属基板のCu層のサイド側端面の少なくとも一部分と接触して、金属基板のCu層と電気的に導通していてもよい。金属基板のCu層のサイド側端面の少なくとも一部分を露出させて、この露出部を介して、金属基板のCu層とAg安定化層とが電気的に導通するように、Ag安定化層を形成させることにより、過電流を金属基板にも流して、発熱を充分に抑制することができる。
(6)本発明の実施形態に係る酸化物超電導薄膜線材の製造方法は、支持基材と支持基材上に位置する導電層を備え、導電層が内層のCu層と2軸配向している表層を含む幅広の金属基板上に、金属基板側から順に中間層、酸化物超電導層、Ag安定化層を形成して積層体を形成する積層体形成工程と、前記金属基板および前記積層体を所定の幅に切断して細線化する細線化工程と、細線化された金属基板および積層体から金属基板の導電層の一部を露出させる導電層露出工程と、積層体および金属基板の周囲を覆うようにCu安定化層を形成するCu安定化層形成工程と、を備え、Cu安定化層形成工程において、Cu安定化層が金属基板の導電層の露出した部分に接触して、電気的に導通するようにCu安定化層を形成する酸化物超電導薄膜線材の製造方法である。
これにより、上記(1)〜(3)の酸化物超電導薄膜線材を高品質、且つ効率良く、低コストで製造することが可能な酸化物超電導薄膜線材の製造方法を提供することができる。
(7)上記酸化物超電導薄膜線材の製造方法において、導電層露出工程は、細線化された積層体の表面から金属基板の導電層に至る貫通孔を、少なくとも1箇所設ける導電層露出工程であり、Cu安定化層形成工程において、貫通孔を貫通して金属基板の導電層に接触して、金属基板の導電層と電気的に導通するようにCu安定化層を形成してもよい。積層体に貫通孔を形成することで金属基板の導電層を確実に露出させることができ、これによりCu安定化層と金属基板の導電層を充分小さな電気抵抗で導通させることができる。なお、Cu安定化層は、金属基板の表層に至る貫通孔を形成して表層に接触させてもよいし、あるいは金属基板のCu層に至る貫通孔を形成してCu層に接触させてもよい。
(8)また、上記酸化物超電導薄膜線材の製造方法においては、導電層露出工程は、細線化された積層体および金属基板のサイド側端面から、金属基板のCu層の少なくとも一部分を露出させる導電層露出工程であり、Cu安定化層形成工程は、積層体および金属基板の周囲を覆うようにCu安定化層を形成して、露出した金属基板のCu層とCu安定化層とを導通させるCu安定化層形成工程としてもよい。金属基板のCu層のサイド側端面は簡便な方法で露出させることができ、これによりCu安定化層と金属基板のCu層を充分小さな電気抵抗で導通させることができる。
(9)また、上記酸化物超電導薄膜線材の製造方法においては、導電層露出工程において、細線化された前記積層体および金属基板のサイド側端面を研磨して、金属基板のCu層の少なくとも一部分を露出させるCu層露出工程であることが好ましい。Cu層を露出させる具体的な方法としては、金属基板のCu層を覆っている絶縁体を確実に除去できる限り、特に限定されないが、研磨は簡便な作業でありながら、確実にCu層を露出させることができるため好ましい。
(10)また、本発明の実施形態に係る酸化物超電導薄膜線材の他の製造方法は、支持基材と前記支持基材上に位置する導電層を備え、前記導電層が内層のCu層と2軸配向している表層を含む幅広の金属基板上に、金属基板側から順に中間層、酸化物超電導層を形成して積層体を形成する積層体形成工程と、金属基板および積層体を所定の幅に切断して細線化する細線化工程と、細線化された積層体の表面から金属基板の導電層に至る貫通孔を、少なくとも1箇所設ける導電層露出工程と、積層体上にAg安定化層を形成するAg安定化層形成工程と、Ag安定化層が形成された積層体および金属基板の周囲を覆うようにCu安定化層を形成するCu安定化層形成工程と、を備え、Ag安定化層形成工程において、貫通孔を貫通して金属基板の導電層に接触して、金属基板の導電層と電気的に導通するようにAg安定化層を形成する酸化物超電導薄膜線材の製造方法である。
上記製造方法では、導電性に優れたAg安定化層を貫通孔を貫通して金属基板の導電層の表層またはCu層と接触させることにより、金属基板の表層またはCu層とAg安定化層との間を充分に小さい電気抵抗で導通できる。また、Cu安定化層形成をめっきにより行う場合には、Cu安定化層形成の前に、貫通孔内に露出した酸化物超電導層の端面をAg安定化層で覆うことによりめっき液による酸化物超電導層の劣化を防止することができる。これにより、上記(1)および(4)の酸化物超電導薄膜線材を高品質で、且つ効率良く、低コストで製造することが可能な酸化物超電導薄膜線材の製造方法を提供することができる。
(11)また、本発明の実施形態に係る酸化物超電導薄膜線材のさらに他の製造方法は、支持基材と支持基材上に位置する導電層を備え、前記導電層が内層のCu層と2軸配向している表層を含む幅広の金属基板上に、金属基板側から順に中間層、酸化物超電導層を形成して積層体を形成する積層体形成工程と、金属基板および積層体を所定の幅に切断して細線化する細線化工程と、細線化された積層体および金属基板のサイド側端面から、金属基板の前記Cu層の少なくとも一部分を露出させる導電層露出工程と、積層体および金属基板上にAg安定化層を形成するAg安定化層形成工程と、前記Ag安定化層が形成された積層体および金属基板の周囲をさらに覆うようにCu安定化層を形成するCu安定化層形成工程と、を備え、Ag安定化層形成工程において、積層体および金属基板の周囲を覆うようにAg安定化層を形成して、露出した金属基板のCu層とAg安定化層とを導通させる酸化物超電導薄膜線材の製造方法である。
上記製造方法では、導電性に優れたAg安定化層を、露出した金属基板のCu層と接触させることにより、金属基板のCu層とAg安定化層との間を充分小さい電気抵抗で導通できる。また、Cu安定化層形成をめっきにより行う場合には、Cu安定化層形成の前に、金属基板のサイド側端面に露出した酸化物超電導層の端面をAg安定化層で覆うことによりめっき液による酸化物超電導層の劣化を防止することができる。これにより、上記(1)および(5)の酸化物超電導薄膜線材を高品質で、且つ効率良く、低コストで製造することが可能な酸化物超電導薄膜線材の製造方法を提供することができる。
(12)また、上記酸化物超電導薄膜線材の製造方法においては、導電層露出工程において、細線化された積層体および金属基板のサイド側端面を研磨して、金属基板のCu層の少なくとも一部分を露出させるCu層露出工程であることが好ましい。Cu層を露出させる具体的な方法としては、金属基板のCu層を覆っている絶縁体を確実に除去できる限り、特に限定されないが、研磨は簡便な作業でありながら、確実にCu層を露出させることができるため好ましい。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明に係る酸化物超電導薄膜線材の一実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。また、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1.酸化物超電導薄膜線材の構造
はじめに酸化物超電導薄膜線材の構造について説明する。本実施の形態の酸化物超電導薄膜線材の基本的な構造は、Cu安定化層およびAg安定化層のうち少なくとも一方の安定化層が、金属基板の導電層の少なくとも一部分に接触して、金属基板の導電層と電気的に導通していること以外は、図4に示した酸化物超電導薄膜線材と同じである。
図2Aを参照して、本実施の形態における酸化物超電導薄膜線材を説明する。図2Aに示す酸化物超電導薄膜線材1において、17aはCu安定化層の一部分であり、18は貫通孔であり、Sは中間層14、酸化物超電導層15およびAg安定化層16を積層させた積層体である。この酸化物超電導薄膜線材1においては、貫通孔18が積層体Sを貫通しており、Cu安定化層の一部分17aが貫通孔18を貫通して金属基板Bの導電層の表層(具体的にはNi層13)に接触している。図2Aに示す通り、Cu安定化層の一部分17aが金属基板Bの導電層の表層(具体的にはNi層13)に接触しており、金属基板BのCu層12がNi層13を介し、充分に小さな電気抵抗でCu安定化層17と導通する。これによって、従来過電流の通電経路として機能しにくかったCu層12を通電経路として充分に機能させることが可能となり、安定化層の厚みを増加させなくても、大きな過電流に耐えることができる。
(変形例1)
また、Cu安定化層17は金属基板Bの導電層のCu層12と接触させてもよい。図2Bに示す酸化物超電導薄膜線材1においては、貫通孔18が金属基板BのCu層12にまで達しており、Cu安定化層17の一部分17aが直接Cu層12と接触している点で、図2Aの酸化物超電導薄膜線材1と異なる。Cu安定化層17が直接Cu層12と接触していることにより、Cu層12は、より充分に小さな電気抵抗でCu安定化層と導通する。これによって、従来過電流の通電経路として機能しにくかったCu層12を通電経路として充分に機能させることが可能となり、安定化層の厚みを増加させなくても、大きな過電流に耐えることができる。
即ち、図1に示すようにCu層12は絶縁体である中間層14によって覆われているため酸化物超電導層15と電気的に接続されていない。これは、上記したように、細線化工程で、機械スリットの場合は刃が当ることによって基板に歪みが発生するため、またレーザースリットの場合は切断面が合金化してドロスが発生するため、Cu層12がサイド端部に露出しないからである。このため、貫通孔18を設けない場合、Cu層12は、導電性が高いとはいえないSUS層11を介してCu安定化層17と導通し、且つ酸化物超電導層15とは遠回りをして導通するため過電流の通電経路とはなりにくい。一方、図2Aおよび図2Bに示すように貫通孔18を設けた場合には金属基板のCu層12が上記のように充分に小さい電気抵抗でCu安定化層17と導通する。このため、充分に通電経路として機能させることができる。
貫通孔18の数は特に限定されず、酸化物超電導薄膜線材の長手方向に複数、幅方向にも複数設けることができる。また、貫通孔18として平面視長方形の貫通溝を設ける場合、溝の長さは特に限定されない。また、貫通孔18が平面視長方形の場合の幅または貫通孔18が平面視円形状の場合の直径は、充分に大きな電流を通電することができるよう、且つIcの低下が充分に抑制されるよう、酸化物超電導薄膜線材の幅、貫通孔の数、想定される過電流の大きさを考慮し、また貫通孔18の内部にもCuを形成させるようにすることなども考慮して適宜決定されるが、一般的に貫通孔18の幅または直径は0.1〜0.5mmが好ましく、0.2〜0.4mmであるとより好ましい。
(変形例2)
図2Cに示す酸化物超電導薄膜線材1においては、Cu安定化層17が金属基板BのCu層12のサイド側端面19に接触している点で、図2Aおよび図2Bの酸化物超電導薄膜線材1と異なる。本実施態様の酸化物超電導薄膜線材1の場合、金属基板Bのサイド端部でCu層12が露出しており、Cu安定化層17がCu層12のサイド側端面19と接触している。これにより、金属基板BのCu層12が充分に小さな電気抵抗でCu安定化層17と導通する。このようにCu層12を充分に小さい電気抵抗でCu安定化層17と導通させることによって、従来過電流の通電経路として機能しにくかったCu層12を通電経路として充分に機能させることが可能となり、安定化層の厚みを増加させなくても、大きな過電流に耐えることができる。
これは、上記したように、細線化工程後、金属基板BのCu層12は絶縁体である中間層14によって覆われてサイド端部に露出しないため、酸化物超電導層15と電気的に接続されていない。このため、Cu層12が金属基板Bのサイド端部に露出していない場合、Cu層12は、導電性が高いとはいえないSUS層11を介してCu安定化層17と導通し、且つ酸化物超電導層15とは遠回りをして導通するため過電流の通電経路とはなりにくい。一方、図2Cに示すようにCu層12を露出させた場合にはCu層12が上記のように充分に小さい電気抵抗でCu安定化層17と導通する。このため、充分に通電経路として機能させることができる。
Cu層12の露出箇所の位置や数は特に限定されず、Cu層12の一方のサイドでもよく、図2Cに示すように両方のサイドでもよく、想定される過電流の大きさなどに応じて露出箇所の大きさ(面積)および個数を設定すればよい。
(変形例3)
図3Aに示す酸化物超電導薄膜線材1においては、Ag安定化層の一部分16aが貫通孔18を貫通して金属基板Bの導電層の表層(具体的にはNi層13)に接触している点で、図2Aの酸化物超電導薄膜線材1と異なる。貫通孔内には、Ag安定化層の一部分16aがNi層13と接触するように形成され、その上にCu安定化層17が形成されている。導電性の優れたAg安定化層16が、貫通孔内に露出した金属基板Bの表層(具体的にはNi層13)と接触することにより、Ni層13を介して金属基板BのCu層12とAg安定化層16とが充分に小さな電気抵抗で導通する。これにより、従来過電流の通電経路として機能しにくかったCu層12を通電経路として充分に機能させることが可能となり、安定化層の厚みを増加させなくても、大きな過電流に耐えることができる。
(変形例4)
また、Ag安定化層は金属基板Bの導電層のCu層と直接接触させてもよい。図3Bに示す酸化物超電導薄膜線材1においては、貫通孔18が金属基板BのCu層12にまで達しており、Ag安定化層16の一部分16aが直接Cu層12と接触している点で、図3Aの酸化物超電導薄膜線材1と異なる。貫通孔内には、Ag安定化層の一部分16aがCu層12と接触するように形成され、その上にCu安定化層17が形成されている。導電性の優れたAg安定化層17が直接Cu層12と接触していることにより、Cu層12は、より充分に小さな電気抵抗でAg安定化層16と導通する。これにより、従来過電流の通電経路として機能しにくかったCu層12を通電経路として充分に機能させることが可能となり、安定化層の厚みを増加させなくても、大きな過電流に耐えることができる。
これは、前記したように、細線化工程後、金属基板BのCu層12は絶縁体である中間層14によって覆われてサイド端部に露出しないため、酸化物超電導層15と電気的に接続されていない。このため、貫通孔18を設けない場合、Cu層12は、導電性が高いとはいえないSUS層11を介してCu安定化層17やAg安定化層16と導通し、且つ酸化物超電導層15とは遠回りをして導通するため過電流の通電経路とはなりにくい。一方、図3Aおよび図3Bに示すように貫通孔18を設けた場合には金属基板のCu層12が上記のように充分に小さい電気抵抗でAg安定化層16と導通する。このため、充分に通電経路として機能させることができる。
貫通孔18の数は特に限定されず、酸化物超電導薄膜線材の長手方向に複数、幅方向にも複数設けることができる。また、貫通孔18として平面視長方形の貫通溝を設ける場合、溝の長さは特に限定されない。また、貫通孔18が平面視長方形の場合の幅または貫通孔18が平面視円形状の場合の直径は、充分に大きな電流を通電することができるよう、且つIcの低下が充分に抑制されるよう、酸化物超電導薄膜線材の幅、貫通孔の数、想定される過電流の大きさを考慮し、また貫通孔18の内部にもAgを形成させるようにすることなども考慮して適宜決定されるが、一般的に貫通孔18の幅または直径は0.1〜0.5mmが好ましく、0.2〜0.4mmであるとより好ましい。
(変形例5)
図3Cに示す酸化物超電導薄膜線材1においては、Ag安定化層16が金属基板BのCu層12のサイド側端面19で接触している点で、図3Aおよび図3Bの酸化物超電導薄膜線材1と異なる。本実施態様の酸化物超電導薄膜線材1の場合、金属基板Bのサイド端部でCu層12が露出しており、導電性に優れたAg安定化層16がCu層12のサイド側端面19と接触している。これにより、金属基板BのCu層12が充分に小さな電気抵抗でAg安定化層16と導通する。これにより、従来過電流の通電経路として機能しにくかったCu層12を通電経路として充分に機能させることが可能となり、安定化層の厚みを増加させなくても、大きな過電流に耐えることができる。
これは、上記したように、細線化工程後、金属基板BのCu層12は絶縁体である中間層14によって覆われてサイド端部に露出しないため、酸化物超電導層15と電気的に接続されていない。このため、Cu層12が金属基板Bのサイド端部に露出していない場合、Cu層12は、導電性が高いとはいえないSUS層11を介してCu安定化層17やAg安定化層16と導通し、且つ酸化物超電導層15とは遠回りをして導通するため過電流の通電経路とはなりにくい。一方、図3Cに示すようにCu層12を露出させた場合にはCu層12が上記のように充分に小さい電気抵抗でAg安定化層16と導通する。このため、充分に通電経路として機能させることができる。
Cu層12の露出箇所の位置や数は特に限定されず、Cu層12の一方のサイドでもよく、図3Cに示すように両方のサイドでもよく、想定される過電流の大きさなどに応じて露出箇所の大きさ(面積)および個数を設定すればよい。
2.酸化物超電導薄膜線材を構成する部材
(1)金属基板
金属基板Bは、支持基材と支持基材上に位置する導電層を有する。金属基板BにはCu層12を備える2軸配向性の金属基板が用いられ、例えばSUS/Cu/Niクラッド材である。例えば、SUS層11、Cu層12およびNi層13の厚みがそれぞれ100μm程度、20〜50μm、2〜3μmの金属基板が好ましく用いられる。ここで、SUS層は支持基材であり、導電層は内層のCu層12および表層のNi層13である。導電層のCu層12およびNi層13はSUS層11より導電性に優れる。このような金属基板Bは、例えば圧延によりSUS層11にCuを貼り合わせた後、Cu層12の表面にNiめっきを施すことによって製造される。
(2)中間層
中間層14は、金属基板B側から順に金属基板の配向を引き継いで中間層をエピタキシャル成長させるためのシード層(種層)、金属基板BのNiなどの元素が酸化物超電導層15側に拡散するのを防止するためのバリア層(拡散防止層)、酸化物超電導層15と格子整合性を有し、酸化物超電導層をエピタキシャル成長させるためのキャップ層(格子整合層)の多層構造で形成されており、例えば、Y、YSZ、CeOの3層構造で、それぞれの厚みが0.1〜0.2μm、0.2〜0.4μm、0.1μm程度の中間層が好ましく用いられる。
(3)酸化物超電導層
酸化物超電導層15は、エピタキシャル成長によって2軸配向させたレア・アース系の酸化物超電導材料で形成される。具体的には、例えばGdBCO(GdBaCu7−δ)が好ましく用いられる。厚みは特に限定されず、要求性能などに応じて適宜決定されるが、例えば1〜5μmである。なお、酸化物超電導層15は、GdBCOに限定されるものではなく、REBCO(REBaCu7−δ:REはレア・アース元素)で示される酸化物超電導材料を用いることができる。
(4)安定化層
安定化層は、Ag安定化層16とCu安定化層17からなる。
Ag安定化層16は、酸化物超電導層15上、あるいは、金属基板Bと積層体の外周面を覆うように、例えば5〜10μmの厚みで設けられている。Agは導電性に優れ、且つ酸化物超電導材料やCuと密着性がよい金属であるため、酸化物超電導層15、あるいは細線化された金属基板と積層体の外周面を被覆するとともに貫通孔18を貫通する安定化層の材料として好適である。
Cu安定化層17は、Ag安定化層16の外側に、酸化物超電導薄膜線材の外周面全体を被覆するように、例えば10〜50μmの厚みで設けられている。Cuは導電性に優れ、且つAgよりも安価であるため、このように細線化された金属基板と積層体の外周面を被覆するとともに貫通孔18を貫通する安定化層の材料として好適である。
そして、上記したように、本発明の実施形態に係る酸化物超電導薄膜線材1においては、Cu安定化層17またはAg安定化層16が金属基板Bの導電層と接触している。より具体的には、図2A、図2B、図3Aおよび図3Bに示す通り、貫通孔18を貫通してCu安定化層17の一部分17aまたはAg安定化層16の一部分16aが金属基板Bの表層(具体的には、Ni層13)またはCu層12と接触している。また、図2Cおよび図3Cに示す通り、Cu安定化層17またはAg安定化層16が、金属基板BのCu層12のサイド側端面19の少なくとも一部分と接触する態様としてもよい。
3.酸化物超電導薄膜線材の製造方法
次に、本実施の形態に係る酸化物超電導薄膜線材1の製造方法について、まず、図2Aに示す酸化物超電導薄膜線材1を例として、以下に工程順に説明する。
(1)中間層の形成
まず、金属基板B上に中間層14を形成する。具体的には、例えば10mmもしくはそれ以上の幅の金属基板Bを用い、Ni層13上にY層、YSZ層、CeO層を順に形成する。中間層14の形成には通常スパッタ法などのPVD法を用いる。
(2)酸化物超電導層の形成
次に、中間層14上にエピタキシャル成長により酸化物超電導層15を形成する。酸化物超電導層15の成膜には前記のようにPVD法、MOD法などを用いることができ、PVD法としてはPLD(Pulse Laser Deposition)法、スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法などを挙げることができるが、PLD法を用いた場合、ターゲットと同じ組成比の薄膜を容易に形成できるため好ましい。
また、成膜後、所定の温度・雰囲気の下で、所定時間アニールを行って酸化物超電導層15を形成する。具体的には、例えばO濃度100ppmの雰囲気下、800℃で120分間保持して高温低酸素アニールを行った後、O濃度98%の雰囲気下、550℃で120分間保持する酸素アニールを行う。
(3)Ag安定化層の形成
次に、例えばDCスパッタ法などのスパッタ法を用いてAg安定化層16を酸化物超電導層15上に形成する。なお、Ag安定化層16の形成後、必要に応じて酸素雰囲気中で熱処理を行う。
(4)細線化
次に、前記した機械スリット、レーザースリットなどを用いて、中間層14、酸化物超電導層15およびAg安定化層16を積層した積層体Sと金属基板Bとを所定の幅に切断することにより細線化する。
(5)導電層の露出加工
次に、細線化された金属基板Bおよび積層体Sから金属基板Bの導電層の一部を露出させる加工を行う。図2Aに示す酸化物超電導薄膜線材1においては、Ag安定化層16、酸化物超電導層15、中間層14からなる積層体Sを貫通して金属基板Bの表層(具体的には、Ni層13)に達する所定の大きさの貫通孔18を、所定の数、所定の位置にレーザー加工等により形成する。
(6)Cu安定化層の形成
次に、細線化され、貫通孔18が形成された酸化物超電導薄膜線材の外周面にめっきによりCu安定化層17を形成する。このとき、上記(5)の導電層の露出加工において、形成された貫通孔18の中にもCuがめっきされて、貫通孔18を貫通するCu安定化層17の一部分17aが形成される。
めっきは、一例として以下の条件の下で行う。
めっき液:硫酸銅五水和物(CuSO;5HO) 75g/L
硫酸(HSO) 190g/L
塩化カリウム(KCl) 75g/L
光沢剤 0.001g/L
電流密度:5A/dm
(変形例1の製造方法)
図2Bに示す酸化物超電導薄膜線材1(変形例1)の製造方法については、上記した図2Aに示す酸化物超電導薄膜線材1の製造方法における(5)の導電層の露出加工において、積層体Sに加えてNi層13をも貫通してCu層12にまで到達する貫通孔18を形成する点で、図2Aに示す酸化物超電導薄膜線材1の製造方法と異なる。その他の工程は同じであるため説明を省略する。上記した通り、金属基板Bの導電層のCu層12およびNi層13の厚みは、それぞれ、例えば20〜50μm、および2〜3μmである。このように、Ni層13の厚みに比べてCu層12は十分に厚いため、Cu層12に到達するように貫通孔を形成することはより容易である。
(変形例2の製造方法)
図2Cに示す酸化物超電導薄膜線材1(変形例2)の製造方法については、上記した図2Aに示す酸化物超電導薄膜線材1の製造方法における(5)の導電層の露出加工において、貫通孔を設けずに、金属基板BのCu層12のサイド側端面19が露出される点で、図2Aに示す酸化物超電導薄膜線材1の製造方法と異なる。金属基板Bのサイド側端面のCu層12の露出加工は、金属基板Bのサイド側端面を被覆するドロスなどの被覆物を除去して、金属基板Bのサイド側端面にCu層12を露出させる。
露出の方法としては、積層体Sのサイド端部を基板を歪ませることなく切断可能な刃を有する特殊な切断装置を用いて積層体Sのサイド端部を切除する方法も考えられるが、研磨によって被覆物だけを除去する方法が線材の品質を低下させることなく確実に被覆物を除去してCu層を露出させることができるため好ましい。そして、具体的な研磨方法としては、前記したように、例えば、砥粒による研削や、メカノケミカル研磨、サンドペーパーや研磨用ベルトによる研磨などの方法を採用することができる。
(変形例3の製造方法)
次に、図3Aに示す酸化物超電導薄膜線材1(変形例3)の製造方法について工程順に以下、説明する。
(1)中間層の形成、および(2)酸化物超電導層の形成
図2Aに示す酸化物超電導薄膜線材1の製造方法の場合と同様にして、金属基板B上に中間層14および酸化物超電導層15を形成して積層体を形成する。なお、酸化物超電導層15を形成後、その上に、Ag安定化層16を続いて形成して積層体としてもよいが、しなくてもよい。
(3)細線化
次に、上記した機械スリット、レーザースリットなどを用いて、上記積層体と金属基板Bを所定の幅に切断することにより細線化する。
(4)導電層の露出加工
次に、細線化された積層体および金属基板Bから金属基板Bの導電層の一部を露出させる加工を行う。図3Aに示す酸化物超電導薄膜線材1の製造方法においては、上記積層体を貫通して金属基板Bの表層に達する所定の大きさの貫通孔18を、所定の数、所定の位置にレーザー加工等により形成する。
(5)Ag安定化層の形成
次に、例えばDCスパッタ法などのスパッタ法を用いて、上記積層体上にAg安定化層16を形成する。これにより、酸化物超電導層15上にAg安定化層が形成されると共に、上記の(4)導電層の露出加工において形成された貫通孔18の中にもAg層が形成されて、貫通孔18を貫通するAg安定化層16の一部分16aが形成される。
(6)Cu安定化層の形成
次に、酸化物超電導薄膜線材1の外周面にめっきによりCu安定化層17を形成する。これにより、積層体Sおよび金属基板Bの周囲を覆うようにCu安定化層17が形成される。このとき、貫通孔内に形成されたAg安定化層の一部分16a上にもCu安定化層17が形成される。この製造方法では、貫通孔内に露出した酸化物超電導層15の端面はAg安定化層16で覆われているので、Cu安定化層形成において、めっき液による酸化物超電導層15の劣化が防止できる。なお、めっきの条件は、図2Aに示す酸化物超電導薄膜線材1の製造方法に記載した通りである。
(変形例4の製造方法)
図3Bに示す酸化物超電導薄膜線材1(変形例4)の製造方法については、上記した変形例3の製造方法の(5)導電層の露出加工において、積層体に加えてNi層13をも貫通してCu層12にまで到達する貫通孔18を形成する点で、図3Aに示す酸化物超電導薄膜線材1(変形例3)の製造方法と異なる。その他の工程は同じであるため説明を省略する。上記した通り、金属基板Bの導電層のCu層12およびNi層13は、それぞれ、例えば20〜50μm、および2〜3μmの厚みである。このように、Ni層13の厚みに比べてCu層12は十分に厚いため、Cu層12に到達するように貫通孔を形成することはより容易である。
(変形例5の製造方法)
次に、図3Cに示す酸化物超電導薄膜線材1(変形例5)の製造方法について工程順に以下、説明する。
(1)中間層の形成、および(2)酸化物超電導層の形成
図3Aに示す酸化物超電導薄膜線材1の製造方法の場合と同様にして、金属基板B上に中間層14および酸化物超電導層15を形成して積層体を形成する。なお、酸化物超電導層15を形成後、その上に、Ag安定化層16を続いて形成して積層体としてもよいが、しなくてもよい。
(3)細線化
次に、上記した機械スリット、レーザースリットなどを用いて、上記積層体と金属基板Bを所定の幅に切断することにより細線化する。
(4)導電層の露出加工
次に、細線化された積層体および金属基板Bから金属基板Bの導電層の一部を露出させる加工を行う。図3Cに示す酸化物超電導薄膜線材1(変形例5)の製造方法においては、金属基板Bのサイド端部を被覆するドロスなどの被覆物を除去して、金属基板Bのサイド端部にCu層12を露出させる。露出の方法としては、積層体のサイド端部を基板を歪ませることなく切断可能な刃を有する特殊な切断装置を用いて積層体のサイド端部を切除する方法も考えられるが、研磨によって被覆物だけを除去する方法が線材の品質を低下させることなく確実に被覆物を除去してCu層を露出させることができるため好ましい。そして、具体的な研磨方法としては、前記したように、例えば、砥粒による研削や、メカノケミカル研磨、サンドペーパーや研磨用ベルトによる研磨などの方法を採用することができる。
(5)Ag安定化層の形成
次に、例えばDCスパッタ法などのスパッタ法を用いて、上記積層体および金属基板Bの周囲を覆うようにAg安定化層16を形成する。これにより、酸化物超電導層15上にAg安定化層が形成されると共に、上記(4)の導電層の露出加工において金属基板Bのサイド端部に露出したCu層12のサイド側端面19上にもAg安定化層16が形成される。
(6)Cu安定化層の形成
次に、Ag安定化層が形成された酸化物超電導薄膜線材1の外周面にめっきによりCu安定化層17を形成する。このとき、金属基板Bのサイド側端面19に露出した酸化物超電導層15の端面はAg安定化層16で覆われているので、Cu安定化層形成において、めっき液による酸化物超電導層15の劣化が防止できる。なお、めっきの条件は、図2Aに示す酸化物超電導薄膜線材1の製造方法に記載した通りである。
上記のうち各部材について、好ましい構成(材料、膜厚)、成膜(製造)方法および役割(機能)をまとめて表1に示す。
Figure 2015133505
[実験例]
次に、実験例に基づき、本発明をより具体的に説明する。
1.酸化物超電導薄膜線材の作製
最初に、金属基板として、厚み150μm、幅30mm、長さ1mのSUS/Cu/Niクラッド材(SUS層:100μm、Cu層:48μm、Ni層:2μm)を用意した。次に、金属基板上に、スパッタ法を用いて、厚み0.5μmの3層構造の中間層(Y:0.1μm、YSZ:0.3μm、CeO:0.1μm)を形成した。
次に、PLD法を用いてGdBCO酸化物超電導層(厚み4μm)を形成した後、スパッタ法を用いてAg安定化層(厚み5μm)を形成して積層体とし、幅広の酸化物超電導薄膜線材を作製した。そして、幅広の酸化物超電導薄膜線材を幅4mmに細線化した。
次に、細線化された酸化物超電導薄膜線材のAg安定化層表面から金属基板のCu層まで積層体を貫通する貫通溝(幅0.2mm)2本を、レーザー加工を用いて設けた。
次に、前記した処方のめっき液を用いて、5A/dmの電流密度で10分間めっき処理することにより、厚み50μmのCu安定化層を形成して、実験例1の酸化物超電導薄膜線材を作製した。このとき、貫通溝にもCuがめっきされて充填されていた。
また、細線化された酸化物超電導薄膜線材のサイド側端面を、200番のサンドペーパーを用いて研磨して、金属基板のCu層を露出させたことの他は、上記と同様にして実験例2の酸化物超電導薄膜線材として作製した。
一方、細線化された酸化物超電導薄膜線材に貫通溝を設けず、またサイド側端面も研磨しなかったことの他は、上記と同様にして実験例3の酸化物超電導薄膜線材として作製した。
なお、作製した各線材のIc値は、いずれも200Aであった。
2.評価
次に、各実験例の酸化物超電導薄膜線材に13msecの矩形波で電流を印加し、酸化物超電導薄膜線材が破損(焼損)したときの電流値を測定した。その結果、実験例3では350Aで焼損が発生したのに対し、実験例1および2では、同一サイズ、同一構成の酸化物超電導薄膜線材でありながら、500Aまで焼損が発生せず、1.4倍以上の過電流に耐えられることが確認された。
そして、上記の結果は、金属基板の導電層に接触させる安定化層をCu安定化層からAg安定化層に変更しても、Cu安定化層の場合と同様であった。さらに、上記の結果は、酸化物超電導層をGdBCO酸化物超電導層からYBCO酸化物超電導層に変更しても、GdBCO酸化物超電導層の場合と同様であった。
本発明は、レア・アース系などの酸化物超電導層を備える超電導薄膜線材において、曲げにくくなるなどの超電導薄膜線材としての特徴を損なうことなく、より大きな過電流に対する耐性を有する超電導薄膜線材の提供を可能にするものであり、超電導線材の実用化の一層の推進に寄与する。
1 酸化物超電導薄膜線材、11 SUS層、12 Cu層、13 Ni層、14 中間層、15 酸化物超電導層、16 Ag安定化層、16a Ag安定化層の一部分、17 Cu安定化層、17a Cu安定化層の一部分、18 貫通孔、19 サイド側端面、B 金属基板、S 積層体

Claims (12)

  1. 金属基板と積層体とCu安定化層を有する酸化物超電導薄膜線材であって、
    前記金属基板は、支持基材と前記支持基材上に位置する導電層を備え、
    前記導電層は、内層のCu層と2軸配向している表層を含み、
    前記積層体は、前記金属基板上に、前記金属基板側から順に中間層、酸化物超電導層、Ag安定化層が積層され、
    前記Cu安定化層は、前記積層体および前記金属基板の周囲を覆うように形成され、
    前記Cu安定化層および前記Ag安定化層のうち少なくとも一方の安定化層が、前記金属基板の前記導電層の少なくとも一部分に接触して、前記金属基板の前記導電層と電気的に導通するように形成されている酸化物超電導薄膜線材。
  2. 前記積層体の表面から前記金属基板の前記導電層に至る貫通孔が、少なくとも1箇所設けられており、前記Cu安定化層が、前記貫通孔を貫通して前記金属基板の前記導電層に接触して、前記金属基板の前記導電層と電気的に導通するように形成されている請求項1に記載の酸化物超電導薄膜線材。
  3. 前記Cu安定化層が、前記金属基板の前記Cu層のサイド側端面の少なくとも一部分と接触して、前記金属基板の前記Cu層と電気的に導通している請求項1に記載の酸化物超電導薄膜線材。
  4. 前記積層体の表面から前記金属基板の前記導電層に至る貫通孔が、少なくとも1箇所設けられており、前記Ag安定化層が、前記貫通孔を貫通して前記金属基板の前記導電層に接触して、前記金属基板の前記導電層と電気的に導通するように形成されている請求項1に記載の酸化物超電導薄膜線材。
  5. 前記Ag安定化層が、前記金属基板の前記Cu層のサイド側端面の少なくとも一部分と接触して、前記金属基板の前記Cu層と電気的に導通している請求項1に記載の酸化物超電導薄膜線材。
  6. 支持基材と前記支持基材上に位置する導電層を備え、前記導電層が内層のCu層と2軸配向している表層を含む幅広の金属基板上に、前記金属基板側から順に中間層、酸化物超電導層、Ag安定化層を形成して積層体を形成する積層体形成工程と、
    前記金属基板および前記積層体を所定の幅に切断して細線化する細線化工程と、
    細線化された前記金属基板および前記積層体から前記金属基板の前記導電層の一部を露出させる導電層露出工程と、
    前記積層体および前記金属基板の周囲を覆うようにCu安定化層を形成するCu安定化層形成工程と、を備え、
    前記Cu安定化層形成工程において、前記Cu安定化層が前記金属基板の前記導電層の露出した部分に接触して、電気的に導通するように前記Cu安定化層を形成する酸化物超電導薄膜線材の製造方法。
  7. 前記導電層露出工程は、細線化された前記積層体の表面から前記金属基板の前記導電層に至る貫通孔を、少なくとも1箇所設ける導電層露出工程であり、
    前記Cu安定化層形成工程において、前記貫通孔を貫通して前記金属基板の前記導電層に接触して、前記金属基板の前記導電層と電気的に導通するように前記Cu安定化層を形成する請求項6に記載の酸化物超電導薄膜線材の製造方法。
  8. 前記導電層露出工程は、細線化された前記積層体および前記金属基板のサイド側端面から、前記金属基板の前記Cu層の少なくとも一部分を露出させる導電層露出工程であり、
    前記Cu安定化層形成工程は、前記積層体および前記金属基板の周囲を覆うように前記Cu安定化層を形成して、露出した前記金属基板の前記Cu層と前記Cu安定化層とを導通させるCu安定化層形成工程である請求項6に記載の酸化物超電導薄膜線材の製造方法。
  9. 前記導電層露出工程において、細線化された前記積層体および前記金属基板のサイド側端面を研磨して、前記金属基板の前記Cu層の少なくとも一部分を露出させる請求項8に記載の酸化物超電導薄膜線材の製造方法。
  10. 支持基材と前記支持基材上に位置する導電層を備え、前記導電層が内層のCu層と2軸配向している表層を含む幅広の金属基板上に、前記金属基板側から順に中間層、酸化物超電導層を形成して積層体を形成する積層体形成工程と、
    前記金属基板および前記積層体を所定の幅に切断して細線化する細線化工程と、
    細線化された前記積層体の表面から前記金属基板の前記導電層に至る貫通孔を、少なくとも1箇所設ける導電層露出工程と、
    前記積層体上にAg安定化層を形成するAg安定化層形成工程と、
    前記Ag安定化層が形成された前記積層体および前記金属基板の周囲を覆うようにCu安定化層を形成するCu安定化層形成工程と、を備え、
    前記Ag安定化層形成工程において、前記貫通孔を貫通して前記金属基板の前記導電層に接触して、前記金属基板の前記導電層と電気的に導通するように前記Ag安定化層を形成する酸化物超電導薄膜線材の製造方法。
  11. 支持基材と前記支持基材上に位置する導電層を備え、前記導電層が内層のCu層と2軸配向している表層を含む幅広の金属基板上に、前記金属基板側から順に中間層、酸化物超電導層を形成して積層体を形成する積層体形成工程と、
    前記金属基板および前記積層体を所定の幅に切断して細線化する細線化工程と、
    細線化された前記積層体および前記金属基板のサイド側端面から、前記金属基板の前記Cu層の少なくとも一部分を露出させる導電層露出工程と、
    前記積層体および前記金属基板上にAg安定化層を形成するAg安定化層形成工程と、
    前記Ag安定化層が形成された前記積層体および前記金属基板の周囲をさらに覆うようにCu安定化層を形成するCu安定化層形成工程と、を備え、
    前記Ag安定化層形成工程において、前記積層体および前記金属基板の周囲を覆うように前記Ag安定化層を形成して、露出した前記金属基板の前記Cu層と前記Ag安定化層とを導通させる酸化物超電導薄膜線材の製造方法。
  12. 前記導電層露出工程において、細線化された前記積層体および前記金属基板のサイド側端面を研磨して、前記金属基板の前記Cu層の少なくとも一部分を露出させる請求項11に記載の酸化物超電導薄膜線材の製造方法。
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