JPWO2015133259A1 - イオン分析装置 - Google Patents

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Abstract

イオントラップ(2)内に捕捉したイオンに対し、リング電極(21)に穿設したラジカル粒子導入口(26)を通して水素ラジカルを、4×1010[atoms/s]以上の流量で照射する。これにより、イオントラップ(2)内で電子の授受によらない不対電子誘導型の解離が起こり、c/z系列フラグメントイオンが効率よく生成される。水素ラジカル照射後に、イオントラップ(2)内に不活性ガスを導入するとともにイオンを共鳴励起して補助的な衝突誘起解離を生起させることにより、c/z系列フラグメントイオンの生成をより促進させることもできる。このようにして本発明によれば、ペプチド由来の1価イオンを不対電子誘導型解離させ、それにより生成されたc/z系列フラグメントイオンを質量分析に供することが可能となる。

Description

本発明は、試料成分由来のイオンを解離させ、その解離により生成されたフラグメントイオンを分析するイオン分析装置に関する。本発明に係るイオン分析装置は特に、解離により生成されたフラグメントイオンを質量電荷比に応じて分離して検出する質量分析装置や、解離により生成されたフラグメントイオンをイオン移動度に応じて分離して検出するイオン移動度計、或いはその両者を組み合わせたイオン移動度-質量分析装置などに好適である。
高分子化合物を同定したりその構造を解析したりするために、近年、目的とする化合物由来のイオンを解離させ、それにより生成されたフラグメントイオン(又はプロダクトイオン)を質量電荷比に応じて分離して検出する質量分析法が広く利用されている。このような質量分析のための装置としては、イオントラップ飛行時間型質量分析装置などがよく知られている。こうした質量分析装置においてイオントラップに捕捉されている分子量の大きなイオンを解離する手法としては低エネルギ衝突誘起解離(CID=Collision Induced Dissociation)が最も一般的であるが、タンパク質やペプチド由来のイオンの解離には電子移動解離(ETD=Electron Transfer Dissociation)や電子捕獲解離(ECD=Electron Capture Dissociation)なども広く用いられている。
ETDでは、負の分子イオンを反応イオンとしてイオントラップ内に照射し、それをイオントラップ内で試料成分由来のイオンと衝突させ相互作用を生じさせる。この相互作用によって反応イオンの電子が試料成分由来のイオンのプロトンに移動し、該プロトンは水素ラジカルに変化する。この反応により生成されるイオンのラジカル種が結合特異的に解離する。このときの反応は以下の式で表すことができる。
[M+nH]n+ + A- → {[M+nH](n-1)+}* + A → 解離
ここで、Mは目的分子、Hはプロトン、A-は反応イオン、nは正の整数であり、*はラジカル状態であることを示す。
一方、ECDでは、電子をイオントラップ内に照射し、イオントラップ内で試料成分由来のイオンのプロトンに電子を付加させる。それにより、該プロトンは水素ラジカルに変化し、この反応により生成されるイオンのラジカル種が結合特異的に解離する。このときの反応は以下の式で表すことができる。
[M+nH]n+ + e- → {[M+nH](n-1)+}* → 解離
ETDやECDはCIDなどの衝突性解離法とは異なり、不対電子誘導型の解離法であるため、ペプチド主鎖のN−Cα結合の開裂が特異的に起こる。そのため、低エネルギCIDでは生成されにくい、c/z系列のフラグメントイオンが盛んに生成される。また、糖鎖などの修飾部位が保持されたまま開裂するため、修飾物の同定や修飾部位の特定がし易く、高分子化合物の構造解析に有用である。
しかしながら、ETDやECDにおいては、上記の反応式を見れば明らかであるように、試料成分由来の1価イオンはラジカル反応後にすぐに中性化してしまうため、理論的に、2価以上の多価イオンの解離しか行うことができない。また、一般的に正イオンに対してのみ有効であって、負イオンを解離させることは難しい。また、1回の解離毎にイオンの価数が減少するため、アミノ酸の側鎖を含むインモニウムイオンを生成するために複数回の解離を行うという操作は、アミノ酸残基数以上の価数を持つイオンにしか適用することができない。さらにまた、負イオンや電子といった荷電粒子をイオントラップ内に照射するために、アインツェルレンズなどの荷電粒子光学系を用いる必要がある。
上述したETDやECDは荷電粒子を利用した不対電子誘導型解離法であるが、荷電粒子の代わりに、非荷電粒子である中性ラジカル粒子を用いた不対電子誘導型解離法も知られている。例えば非特許文献1、特許文献1などには、大気圧雰囲気の下で輸送される試料成分由来のイオンに対してヒドロキシルラジカル(OHラジカル)を照射することでイオンを解離する方法が開示されている。
しかしながら、ヒドロキシルラジカルを用いた上記不対電子誘導型解離法は大気圧雰囲気中での解離という制約がある。一般的な質量分析装置においてイオントラップは真空雰囲気中に配設されているため、こうしたイオントラップ内でのイオンの解離には上記解離法を利用することができない。
真空雰囲気の下で、中性ラジカル粒子を用いた不対電子誘導型解離を行う例としては、非特許文献2、3などに報告がある。非特許文献2では、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析装置(FT−ICR MS)のセルに捕捉されている1価のペプチドイオンに水素ラジカルを照射することでECDやETDと同様に不対電子誘導型の解離を生じさせる試みが行われたものの、イオンの解離は確認できなかったと結論付けられている。また非特許文献3には、非特許文献2における実験の追試を行ったものの、やはり解離は実現できなかったという報告がなされている。
一方、非特許文献4、特許文献2には、中性粒子ビーム又はラジカル粒子ビームをFAB(Fast Atom Bombardment)銃を利用して加速してイオントラップ内に照射することで、イオントラップ内に捕捉されているイオンを解離させる方法が開示されている。それら文献には、この方法は、高速に加速された粒子が励起状態になることで、その照射粒子から放出された電子がイオントラップ内に捕捉されているイオンに付着し、ETDやECDと同様のメカニズムによって解離が起こると説明されている。
この解離法によれば、イオントラップ内へ中性粒子やラジカル粒子を照射するために荷電粒子光学系を必要としない。しかしながら、非荷電粒子を利用しているとはいうものの、ETDやECDと同様に電子の授受により解離を誘発する解離法であるから、解離対象であるイオンは原理的に2価以上である必要があり、1価イオンを解離させることはできない。
米国特許第7723676号明細書 米国特許第7476853号明細書
ヴィルコフ(Andrey N. Vilkov)、ほか2名、「ペプタイド・フラグメンテイション・インデュースド・バイ・ラディカルズ・アット・アトモスフェリック・プレッシャー(Peptide Fragmentation Induced by Radicals at Atmospheric Pressure)」、ジャーナル・オブ・マス・スペクトロメトリ(Journal of Mass Spectrometry)、2009年、Vol.44、pp.477-484 デミレフ(Plamen A. Demirev)、「ジェネレイション・オブ・ハイドロジェン・ラディカルズ・フォー・リアクティビティ・スタディーズ・イン・フーリエ・トランスフォーム・イオン・サイクロトロン・リゾナンス・マス・スペクトロメトリ(Generation of hydrogen radicals for reactivity studies in Fourier transform ion cyclotron resonance mass spectrometry)」、ラピッド・コミュニケイションズ・イン・マス・スペクトロメトリ(Rapid Communications in Mass Spectrometry)、2000年、Vol.14、pp.777-781 ズバレフ(Roman. A. Zubarev)、ほか4名、「トゥワーズ・アン・アンダースタンディング・オブ・ザ・メカニズム・オブ・エレクトロン-キャプチャ・ディソシエイション:ア・ヒストリカル・パースペクティブ・アンド・モダン・アイディアズ(Towards an understanding of the mechanism of electron-capture dissociation: a histrical perspective and modern ideas)」、ジャーナル・オブ・マス・スペクトロメトリ(Journal of Mass Spectrometry)、2002年、Vol.8、pp.337-349 ミシャリン(Alexander S. Misharin)、ほか3名、「ディソシエイション・オブ・ペプタイド・イオンズ・バイ・ファスト・アトム・ボムバードメント・イン・ア・クァドルポール・イオン・トラップ(Dissociation of peptide ions by fast atom bombardment in a quadrupole ion trap)」、ラピッド・コミュニケイションズ・イン・マス・スペクトロメトリ(Rapid Communications in Mass Spectrometry)、2005年、Vol.19、Issue 15、pp.2163-2171 コチャー(T. Kocher)、ほか2名、「フラグメンテイション・オブ・ペプタイズ・イン・マルディ・イン-ソース・ディケイ・メディエイテッド・バイ・ハイドロジェン・ラディカルズ(Fragmentation of peptides in MALDI in-source decay mediated by hydrogen radicals)」、アナリティカル・ケミストリ(Analytical Chemistry)、2005年、Vol.77、pp.172-177 スワニー(Danielle L. Swaney)、ほか5名、「サプリメンタル・アクティベイション・メソッド・フォー・ハイ-エフィシェンシー・エレクトロン-トランスファー・ディソシエイション・オブ・ダブリー・プロトネイテッド・ペプタイド・プリカーサーズ(Supplemental Activation Method for High-Efficiency Electron-Transfer Dissociation of Doubly Protonated Peptide Precursors)」、アナリティカル・ケミストリ(Analytical Chemistry)、2007年、Vol.79、pp.477-485
上述したように、ペプチド分子イオンを解離させてc/z系列のフラグメントイオンを生成するには、不対電子誘導型の解離法が有用であるものの、ETDやECD、或いは、中性粒子ビームやラジカル粒子ビームをFAB銃を利用してイオントラップ内に照射する解離法(非特許文献4、特許文献2に開示された解離法)では、1価イオンを解離させることはできない。よく知られているように、マトリクス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)法などのイオン化法により生成されるイオンは、通常、1価のイオンであるため、1価イオンの解離が行えないと分析手法としては大きな制約となる。また、ヒドロキシルラジカルを試料成分由来のイオンに照射する解離法は1価イオンの解離にも適用可能であるが、真空雰囲気の下では利用できないため、イオントラップに捕捉したイオンの解離には不向きであり、nが3以上のMSn分析には適用できない。
また、水素ラジカルを試料成分由来のイオンに照射する解離法は非特許文献2、3などで提案されているものの、その試みは成功に至っていない。なお、上記特許文献2には、水素ラジカルをイオンに照射する解離法も複数の解離法の一つとして開示されているものの、解離が成功に至らなかったとされた非特許文献2、3における報告以上の技術的な改良は何ら提案されていない。そのため、特許文献2に記載のイオン解離法では、実際にペプチド分子イオンを解離させることは困難である。
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その主たる目的は、真空雰囲気の下でイオントラップなどに捕捉されているペプチド由来の1価イオンを解離させ、低エネルギCIDでは生成されにくいc/z系列のフラグメントイオンを生成させることが可能である不対電子誘導型の解離を行うイオン分析装置を提供することである。
例えばインソース分解(In-Source Decay)法における水素付着反応のメカニズムと同様に、水素ラジカル(水素原子)をペプチド分子イオンに照射すると、該イオン中のカルボニル酸素に水素が付着し、ラジカルイオンとなることが予想される。これにより、ETDやECDと同様に、下記式による反応により、イオンの解離が生じる筈である。
[M+H]+ + H* → [M+2H]+ * → 解離
非特許文献2、3に開示されている解離法は上記メカニズムを利用した方法であるが、これら文献では解離が起こることは実験的に確認されなかったとされている。また、特許文献2でも実際に解離を起こすための実効的な方策は提案されていない。
上述した従来の試みではイオンに照射されるラジカル粒子として水素ラジカルが用いられているが、水素ラジカルは反応性に富むため、例えば水素ラジカルをイオントラップ内にまで案内する配管の内壁やチャンバ壁等において容易に再結合して水素分子になってしまうことが考えられる。また、水素ラジカルが配管内壁やチャンバ壁等に衝突すると、粒子温度は即座に室温程度にまで低下してしまう。こうした点を踏まえると、水素ラジカルをイオントラップ内に捕捉されているイオンに照射しようとしても、反応に寄与する水素ラジカルが解離対象であるイオンにまで到達する効率はかなり低いことが予測される。そうであるとすると、上記従来の試みにおいて解離が生起されない主たる原因が、解離反応に寄与するラジカル量が十分に確保できないことにある可能性が十分に考えられる。
そこで、本願発明者はこうした推測の下で、特にイオントラップ内への水素ラジカルの導入方法や導入条件などを変えながら実験を繰り返した。その結果、水素ラジカルを効率よくイオントラップ内に導入しイオンとの反応に寄与する水素ラジカルの量を十分に確保することで、イオンに対する不対電子誘導型の解離が実現できることを確認した。本発明はこうした実験的な知見に基づいてなされたものである。
即ち、上記課題を解決するためになされた本発明は、試料成分由来のイオンを解離して生成したフラグメントイオンを分析するイオン分析装置であって、
a)目的とする試料成分由来のイオンが存在する空間に対して4×1010 [atoms/s]以上の流量で以て水素ラジカルを導入することにより該イオンを解離させるイオン解離部と、
b)前記イオン解離部で生成されたフラグメントイオンを質量電荷比又はイオン移動度の少なくとも一方に応じて分離して検出する分離検出部と、
を備えることを特徴としている。
また、水素ラジカルを流量ではなく密度で捉えれば、イオン解離部は、目的とする試料成分由来のイオンが存在する空間に対して3×1012[atoms/m3]以上の密度で以て水素ラジカルを導入すればよい。
即ち、本発明に係るイオン分析装置において、イオン解離部は、例えばイオントラップ内に捕捉されている目的とする試料成分由来のイオンに対して、4×1010 [atoms/s]以上の流量の、又は3×1012[atoms/m3]以上の密度の水素ラジカルを所定時間導入する。本願発明者の実験によれば、この程度以上の流量又は密度で水素ラジカルを導入すると、プリカーサイオンのピーク強度の0.1%程度以上のフラグメントイオンピーク強度を得ることができ、マススペクトルにおいて十分にフラグメントイオンピークを検出することが可能である。
本発明に係るイオン分析装置では、試料成分由来のイオン流に対して水素ラジカルを照射して解離を促進させることも可能ではあるものの、やはりイオンが閉じ込められている比較的狭い空間に水素ラジカルを導入したほうが解離効率の点では有利である。そこで、本発明に係るイオン分析装置において、好ましくは、上記イオン解離部は、3次元四重極型イオントラップ、多重極リニア型イオントラップ、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析装置のセルなど、高周波電場や磁場の作用によりイオンを所定の空間に閉じ込めるイオン閉じ込め部に水素ラジカルを導入し、該イオン閉じ込め部の内部で目的とする試料成分由来のイオンと水素ラジカルとを反応させて該イオンを解離させる構成とするとよい。
また、非特許文献2、3に記載された実験においてイオンの解離が確認できなかった他の原因として、ラジカル粒子が高分子イオンのカルボニル酸素に付着したとしても、イオンの立体構造の中でラジカル粒子自身が該イオン内の他の原子と非共有結合してしまい、不対電子誘導型の解離が行われないことが考えられる。この現象は、ECDやETDにおいて広く知られている現象である。これに対し、非特許文献6には、ETDにおいてイオントラップ内に捕捉されたイオンに解離用の負イオンを照射したあとに、電極に補助的に電圧を印加してイオンに共鳴励起を生起させ、ヘリウムなどの中性粒子と衝突させることで不対電子誘導型の解離が促進されることが報告されている。
本発明に係るイオン分析装置における、ラジカル粒子と閉じ込めイオンとの反応においても、上記のような補助的な電場の形成によるイオンの励振が解離効率の向上に効果的である。即ち、本発明に係るイオン分析装置において、上記イオン閉じ込め部としてイオントラップを用いた場合に、上記イオン解離部は、水素ラジカルを導入する前又は導入した後の少なくとも一方の期間に、イオントラップ内に捕捉したイオンを励振させ、該イオントラップ内に導入した中性粒子に衝突させることでイオンの解離を促進させる補助解離促進部を含む構成とすることが好ましい。
イオントラップ内に捕捉したイオンを励振させるには、例えばイオントラップを構成するエンドキャップ電極又はそれに相当する電極に所定の共鳴励起電圧を印加すればよい。また、イオンの解離を促進させるためにイオンを励起する手段としてレーザ光照射を用いてもよい。
また、本発明に係るイオン分析装置において、上記イオン閉じ込め部に水素ラジカルを導入する際には、イオンができるだけ高い密度で存在している領域に水素ラジカルを導入したほうが、解離効率を上げるうえで有利である。そこで、本発明に係るイオン分析装置では、上記イオン閉じ込め部としてイオントラップを用いた場合に、上記イオン解離部は、水素ラジカルを導入する前に、イオントラップ内に捕捉しているイオンに対しクーリングガスによるクーリングを行うようにするとよい。
クーリングによってイオンはイオントラップの中心付近に収束し易くなるから、イオントラップの中心付近に水素ラジカルを導入することにより、解離の効率を高めることができる。
また、本発明に係るイオン分析装置において、上記イオン閉じ込め部に水素ラジカルを導入してイオンに照射する場合、例えばその照射時間が長くなりすぎると、一度解離したイオンがさらに解離してしまい、観測したいフラグメントイオンが得られなくなることがある。そこで、本発明に係るイオン分析装置の一実施態様では、こうした多次的な解離を抑制するために、上記イオン解離部は、イオントラップ内に水素ラジカルを導入する期間の少なくとも一部で、プリカーサイオン以外の質量電荷比範囲に含まれるイオンに対する共鳴励起を行うことにより反応速度を抑制する構成とするとよい。
プリカーサイオン以外の質量電荷比範囲に含まれるイオンに対する共鳴励起を行うには、例えば対応する質量電荷比範囲に応じた周波数成分の信号が重畳されたFNF(Filtered Noise Field)信号を、例えばイオントラップを構成するエンドキャップ電極又はそれに相当する電極に印加すればよい。
また逆に、単一アミノ酸由来のインモニウムイオンを観測したい場合には、複数回の解離が生起されるようにすればよい。そこで、本発明に係るイオン分析装置の他の実施態様では、上記イオン解離部は、複数回の解離を生起させるように水素ラジカルを導入する時間を長く設定する構成としてもよい。
また本発明に係るイオン分析装置において、イオンの解離効率を上げるには、イオンが存在する領域、例えばイオントラップ内まで、損失をできるだけ抑えつつ水素ラジカルを輸送することが望ましい。一般に、二酸化珪素の壁面では水素ラジカルの再結合が抑えられることが知られている。そこで、本発明に係るイオン分析装置において、上記イオン解離部は、イオンが存在する領域まで水素ラジカルを輸送するための、ガラス管又は少なくとも内壁面にガラス被膜が形成されている配管である水素ラジカル導入管を含む構成とするとよい。これにより、水素ラジカルを輸送する間の水素ラジカルの再結合による損失を抑えることができる。
また一般に、水素ラジカルの温度は反応速度に依存するから、できるだけ高温に保った水素ラジカルをイオンが存在する領域に供給することも、イオンの解離効率を上げるうえで有効である。そこで、本発明に係るイオン分析装置において上記イオン解離部は、イオンが存在する領域まで水素ラジカルを輸送するための水素ラジカル導入管と、該水素ラジカル導入管を高温に維持する又は加熱する加熱部と、を含む構成としてもよい。これにより、水素ラジカルを輸送する間の水素ラジカルの再結合による損失を抑えることができるとともに、水素ラジカルの温度が高温に保たれるために、イオンの解離効率を高めることができる。
また本発明に係るイオン分析装置においては、イオンが存在する領域まで水素ラジカルを輸送するための水素ラジカル導入管の内壁面に沿って不活性ガスを流し、その不活性ガスの流れによって水素ラジカルが導入管内壁面に接触しないようにしつつ、水素ラジカルを輸送する構成としてもよい。こうした構成によっても、水素ラジカルが再結合することによる損失を低減し、解離効率を高めることができる。
また本発明に係るイオン分析装置においては、ガス配管を用いずに、イオントラップ内などのイオンが存在する領域に直接的に水素ラジカル流を導入する構成としてもよい。そのために、上記イオン解離部は、指向性を有する水素ラジカル流を取り出す流束整形部を含む構成とするとよい。こうした流束整形部により取り出された指向性を有する水素ラジカル流を3次元四重極型のイオントラップの内部に導入する場合には、イオントラップを構成するリング電極に導入孔を穿設し、該導入孔を通してイオントラップの中心付近に細径の水素ラジカル流を導入するとよい。これにより、水素ラジカルの熱的な損失を抑えつつ効率的にイオントラップ内に水素ラジカルを導入することができる。
本発明に係るイオン分析装置によれば、ETD、ECD等の従来の一般的な不対電子誘導型解離法ではイオン解離が行えなかった1価のイオンも、高い効率で解離しフラグメントイオンを生成させることができる。これにより、MALDI法などの1価イオンが支配的に生成されるイオン化法を利用した質量分析装置やイオン移動度計などにおいても、例えばペプチド分子イオンからc/z系列のフラグメントイオンを生成させ、これを分析に供することができる。また、電子の授受による解離ではないため、負イオンについても正イオンと同様に解離させることができる。
また本発明に係るイオン分析装置では、不対電子誘導型の解離に荷電粒子ではなく中性粒子を用いるため、電場の作用によりイオンを閉じ込めた領域にも、空間電荷等の影響による導入流量の制約などを受けることなく、解離用の中性粒子を多量に導入することができる。そのため、解離効率の改善が容易である。また、解離用の粒子をイオントラップ内などに導入するためにイオン光学系などの荷電粒子光学系を用いる必要がなく、ガス配管などの一般的なガス導入系を利用することができ、コスト的にも有利である。
さらにまた本発明に係るイオン分析装置では、イオン解離によりイオンの価数は減少しないので、例えば水素ラジカルの照射時間を制御することで、目的とするイオンの複数回の解離を生じさせることもできる。それにより、ペプチド由来のインモニウムイオンも容易に生成することができ、ペプチドの構造解析に有効である。
本発明に係るイオン分析装置の一実施例である質量分析装置の概略構成図。 イオントラップ内に捕捉した1価イオンに対し水素ラジカルを反応させ解離させることで得られたフラグメントイオンのマススペクトルの実測例を示す図。 イオントラップ内に導入する水素ラジカルの流量とフラグメントイオンピーク強度との関係の実測結果を示す図。 フラグメントイオンのピークスペクトルの実測例を示す図。 本発明の他の実施例である質量分析装置の概略構成図。
本発明に係るイオン分析装置の一実施例である質量分析装置について、添付図面を参照して説明する。
図1は本実施例の質量分析装置の概略構成図である。
本実施例の質量分析装置は、真空雰囲気に維持される図示しない真空チャンバの内部に、目的試料成分をイオン化するイオン源1と、イオン源1で生成されたイオンを高周波電場の作用により捕捉するイオントラップ2と、イオントラップ2から射出されたイオンを質量電荷比に応じて分離する飛行時間型質量分離部3と、分離されたイオンを検出するイオン検出器4と、を備える。本実施例の質量分析装置はさらに、イオントラップ2内に捕捉されているイオンを解離させるべく該イオントラップ2内に水素ラジカルを導入するための水素ラジカル照射部5と、イオントラップ2内に所定のガスを供給するガス供給部6と、を備える。
イオン源1は例えば、MALDI法などのイオン化法を用いたイオン源である。イオントラップ2は、円環状のリング電極21と、該リング電極21を挟んで対向配置された一対のエンドキャップ電極22、24と、を含む3次元四重極型のイオントラップである。制御部8による指示に応じてトラップ電圧発生部7は、上記電極21、22、24それぞれに対し、所定のタイミングで高周波電圧、直流電圧のいずれか一方又はそれらを合成した電圧を印加する。飛行時間型質量分離部3はこの例ではリニア型であるが、リフレクトロン型やマルチターン型等でもよく、また飛行時間型の質量分離器ではなく、例えばイオントラップ2自体のイオン分離機能を利用して質量分離を行うものやオービトラップなどでもよい。
水素ラジカル照射部5は、水素ラジカルを貯留した又は水素ラジカルを生成する水素ラジカル供給源51と、流量を調整可能であるバルブ52と、水素ラジカルを噴出するノズル53と、ノズル53からの噴出流の中心軸上に開口を有し、拡散する水素分子等のガスを分離して細径の水素ラジカル流を取り出すスキマー54と、を含む。
ガス供給部6は、クーリングガスや場合によってはCIDガスとして使用されるヘリウム、アルゴンなどを貯留したガス供給源61と、流量を調整可能であるバルブ62と、を含む。
本実施例の質量分析装置における分析動作を概略的に説明する。
イオン源1においてペプチド混合物などの試料から生成された各種イオンはパケット状にイオン源1から射出され、入口側エンドキャップ電極22に形成されているイオン導入孔23を経てイオントラップ2の内部に導入される。イオントラップ2内に導入されたペプチド由来のイオンは、トラップ電圧発生部7からリング電極21に印加される電圧によってイオントラップ2内に形成される高周波電場に捕捉される。そのあと、トラップ電圧発生部7からリング電極21等に所定の電圧が印加され、それによって目的とする特定の質量電荷比を有するイオン以外の質量電荷比範囲に含まれるイオンは励振され、イオントラップ2から排除される。これにより、イオントラップ2内に、特定の質量電荷比を有するプリカーサイオンが選択的に捕捉される。
それに続き、ガス供給部6においてバルブ62が開放され、イオントラップ2内にクーリングガスとしてヘリウムなどの不活性ガスが導入されることで、プリカーサイオンのクーリングが行われる。これにより、プリカーサイオンはイオントラップ2の中心付近に収束される。その状態で、水素ラジカル照射部5のバルブ52が開放され、水素ラジカル(水素原子)を含むガスがノズル53から噴出する。その噴出流の前方に位置するスキマー54により、水素ガス(水素分子)などのガスは除去され、スキマー54の開口を通過した水素ラジカルは細径のビーム状となって、リング電極21に穿設されているラジカル粒子導入口26を通過する。そして、この水素ラジカルはイオントラップ2内に導入され、イオントラップ2内に捕捉されているプリカーサイオンに照射される。
後述するように、このときにイオンに照射される水素ラジカルの流量が所定流量以上になるように、バルブ52の開度などが予め調整されている。また、水素ラジカルの照射時間も予め適宜に設定されている。それによって、プリカーサイオンは不対電子誘導型の解離を生じ、ペプチド由来のc/z系列のフラグメントイオンが主として生成される。生成された各種フラグメントイオンはイオントラップ2内に捕捉され、クーリングが行われたる。そのあと、所定のタイミングでトラップ電圧発生部7からエンドキャップ電極22、24に直流高電圧が印加され、これにより、イオントラップ2内に捕捉されていたイオンは加速エネルギを受け、イオン射出孔25を通して一斉に射出される。こうして一定の加速エネルギを持ったイオンが飛行時間型質量分離部3の飛行空間に導入され、飛行空間を飛行する間に質量電荷比に応じて分離される。イオン検出器4は分離されたイオンを順次検出し、この検出信号を受けたデータ処理部9は、例えばイオントラップ2からのイオンの射出時点を時刻ゼロとする飛行時間スペクトルを作成する。そして、予め求めておいた質量校正情報を用いて飛行時間を質量電荷比に換算することにより、フラグメントイオンによるマススペクトルを作成する。
本実施例の質量分析装置では、イオントラップ2内に捕捉したイオンに対し水素ラジカルを直接的に照射することにより、イオンを解離させてフラグメントイオンを生成する。すでに述べたように、こうした解離法の試みは非特許文献2、3などで行われているものの成功に至っておらず、また特許文献2にもそうした解離法の開示はあるものの、実際に解離を成功させるための方策は何ら提案されていない。これに対し、本願発明者は、水素ラジカルをイオンに直接的に照射することでそのイオンを解離させるための条件を実験的に調べ、適切な条件の下で良好な解離が起こることを確認した。
次に、その実験結果を説明しつつ、本実施例の質量分析装置における詳細な構成やより好ましい構成について述べる。
[実測1]
図2は、本実施例の質量分析装置においてイオントラップ2内に捕捉したP物質(substance-P、分子式:C63981813S、アミノ酸配列:RPKPQQFFGLM)の1価イオンに対し水素ラジカルを照射することで生成されたフラグメントイオンのマススペクトルの実測例である。この実測において、イオントラップ2内に捕捉されているイオンに照射した水素ラジカルの流量は約1.3×1013[atoms/sec]であり、照射時間は8[sec]である。図2に示すように、一般に中性粒子との衝突解離によってフラグメントイオンが生成されるCIDでは生成されることがないc系列のフラグメントピークが明確に現れている。比較のために、水素ラジカルを含まない水素分子のみをイオントラップ2内のイオンに照射する実測も行ったが、図2で見られるようなc系列のフラグメントピークは観測されなかった。この実測結果から、図1に示した構成において少なくとも上記条件の下で、水素ラジカルとイオンとの相互作用により不対電子誘導型の解離が実現されたと結論付けることができる。
CIDでは通常、塩基性アミノ酸付近で特異的に解離が生じることが多いため、マススペクトルにおいてアミノ酸残基数が1ずつ異なるラダー状のフラグメントイオンピークが得られない場合がある。これに対し、上記実測で得られたマススペクトルでは、イオントラップ2の低質量カットオフよりも大きな質量電荷比範囲において、c4〜c10のフラグメントイオンピークが全て得られている。これは、ETDやECDと同様に、アミノ酸配列が非特異的に切断されていることを意味している。このようにラダー状のフラグメントイオンピークが得られると、隣接するピーク間の質量電荷比差などに基づくアミノ酸配列の推定が容易になり、ペプチドの構造解析に非常に有用である。
なお、この実測では、イオントラップ2においてプリカーサイオンを選択する際に同時にイオントラップ2内に残留した(つまりはプリカーサイオン選択では除去しきれなかった)夾雑イオンを、FNF信号をエンドキャップ電極22、24に印加することで排除し、そのあとにイオントラップ2内に捕捉されているイオンに対する水素ラジカルの照射を開始するようにした。このため、図2に示すマススペクトルには、夾雑イオン由来のフラグメントイオンピークは存在せず、図2において観測されたフラグメントイオンピークは目的のプリカーサイオン由来であるということができる。
また、c/z系列の解離効率を高めるために、水素ラジカルをイオンに照射して解離を促進した後、ガス供給部6からイオントラップ2内にヘリウム(又はアルゴン)ガスを導入するとともに、トラップ電圧発生部7からエンドキャップ電極22、24に所定の共鳴励起電圧を印加し、解離されずにイオントラップ2内に残っているプリカーサイオンを励振させてガスと衝突させる実験も行った。これにより、c/z系列のフラグメントイオンピークの強度が数倍程度増加することが確認された。これは、水素ラジカルの照射によっても解離されずにイオントラップ2内に残っているプリカーサイオンに対し、補助的なCID操作を行うことでc/z系列のフラグメントイオンの生成を促進させることができることを意味している。この現象のメカニズムは未解明であるが、不対電子誘導型解離に必要である結合状態とは異なる状態で以てイオンに付着した水素原子が外部からのエネルギを受け取ることで、不対電子誘導型の解離が促進されたこと、などが一つの要因として想定される。
そこで、本実施例の質量分析装置では、イオントラップ2に捕捉しているイオンに対し水素ラジカルを所定時間だけ照射して不対電子誘導型解離を行うのに引き続き、上記のような補助的なCID操作を実施し、それら2段階の解離により得られたフラグメントイオンをイオントラップ2に捕捉して質量分析の対象とするようにしてもよい。
なお、水素ラジカル照射部5においてスキマー54を設けても、水素ラジカルと同程度の流量の水素分子(H2)が水素ラジカルとともにイオントラップ2内に供給されることは避けられない。水素分子は解離のための反応には関与せず、イオントラップ2内の真空度の悪化をもたらし、イオントラップ2におけるイオンの捕捉効率を低下させる上に質量分解能も悪化させる可能性がある。ただし、上記実験で用いた流量程度であれば、水素分子がイオントラップ2内に導入されても、真空チャンバ内の真空度には大きな影響を与えない。実際、上記実験においてイオントラップ2周辺の真空度は1×10-4[Pa]程度に保たれており、イオン捕捉効率及び質量分解能に対する悪影響は確認されなかった。
[実測2]
図3は、イオントラップ2内のイオンに照射する水素ラジカルの流量とフラグメントピーク強度特性との関係の実測結果である。解離対象のイオンは上記実験と同じくP物質であり、その1価イオンから最も高いSN比で得られたc5フラグメントイオンのピーク強度とプリカーサイオンピーク強度との比率を縦軸とした。計算に用いたプリカーサイオンのピーク強度は、水素ラジカルを照射しない状態で実施した予備実験で得られた値(68[mV])を用いた。また、図3の横軸は水素ラジカル流量の絶対値を示している。この水素ラジカル流量の絶対値計測には四重極型質量分析装置を用いた。なお、本実測におけるノイズ成分は約0.02[mV]であり、プリカーサイオンのSN比は3500程度であった。
図3に示した実測結果によれば、水素ラジカル流量が最小である4×1010[atoms/s]の場合でも、プリカーサイオンピーク強度の0.1%程度のフラグメントイオンピーク強度が得られている。即ち、SN比が3.5程度のフラグメントイオンピークが得られており、これは十分に検出可能なピーク強度である。図4は、このときのフラグメントイオンのピークが現れたマススペクトルの実測例である。このマススペクトルからも、c5フラグメントイオンピークが十分に検出可能であることが分かる。
この実測では、イオントラップ2内への水素ラジカルの照射時間を60[sec]とした。この値を選択したのは、本実測における水素ラジカル最大流量(1.3×1012[atoms/s])の条件下で、c5フラグメントイオンピークの最大強度が得られたことからである。この場合、水素ラジカルの照射時間を60[sec]よりさらに長くしてもフラグメントイオンのピーク強度はむしろ低下した。これは、解離により新たに生成されるフラグメントイオンの増加量よりも、既に解離したフラグメントイオンの解離がさらに、つまり多段階に進むことによる、1次解離で生成されたフラグメントイオンの減少量のほうが上回るためであると推定される。逆に、この現象を利用し、水素ラジカルの照射時間を十分に長くすれば、最終的にはアミノ酸1残基(インモニウムイオン)まで解離が進むことは容易に推測し得る。
前述のように、ETDやECDにおいてはイオンが解離する度にフラグメントイオンの価数が減少するため、ETDやECDによる解離を繰り返すことで最終的にインモニウムイオンを得るという手法はアミノ酸残基数よりも価数が大きなイオンに対してしか適用できない。これに対し、本発明における解離法で用いている水素ラジカルは中性であることから、解離を繰り返してもフラグメントイオンの価数は減少せず、水素ラジカルの照射時間を十分に長くしてインモニウムイオンを必要に応じて生成することが可能であり、インモニウムイオンを構造解析に用いる際に本発明で用いている解離法は有用であるということができる。なお、インモニウムイオンを生成するために必要な照射時間の長さは予め実験的に決めておくことが可能である。
これとは逆に、既に解離したイオンの多段階の解離を抑制したい場合には、水素ラジカルをイオンに照射している間に、プリカーサイオンの質量電荷比を除く質量電荷比範囲に対応した広帯域周波数成分を有する小振幅の共鳴励起電圧(FNF信号)をエンドキャップ電極22、24に印加するとよい。これにより、プリカーサイオンが解離して生成されたフラグメントイオンが励振され、少なくともその一部が、イオントラップ2内で水素ラジカルが照射されている領域から外れる。即ち、水素ラジカルが照射される領域に存在するフラグメントイオンの密度が低減されるため、フラグメントイオンと水素ラジカルとの反応を抑制することができ、これによって1次的な解離によるフラグメントイオンの収集効率を改善することができる。
本実施例の質量分析装置では、イオントラップ2内へ水素ラジカルを導入するラジカル粒子導入口26と同一直線上に、ラジカル粒子排出口27を設けているため、イオントラップ2内に照射された水素ラジカルは該イオントラップ2の中心付近を通過した後にその多くがそのままイオントラップ2の外部に排出される。このようにラジカル粒子排出口27を設けると、イオントラップ2内に水素ラジカルとともに導入されたガスが該排出口27を通してイオントラップ2外部へ速やかに排気されるので、イオントラップ2内の残留ガス圧が上がることを防止することができる。これにより、真空度が悪化した状態で電極21、22、24に高電圧が印加されることで生じる放電のリスクを低減することができる。また、イオントラップ2内のガス圧上昇によるイオンの捕捉効率の低下及び質量電荷比測定時の質量分解能低下を回避することができる。
一方、通常のガス導入と同様に、イオントラップ2内に水素ラジカルが留まり易いように構成を変更してもよい。具体的には、図5に示すように、リング電極21にラジカル粒子排出口27を設けない構成とするとよい。この構成では、イオントラップ2内に導入された水素ラジカルはイオントラップ2の内壁への衝突を繰り返し、最終的にイオントラップ2の外部へと排出される。そのため、イオントラップ2内に閉じ込められた水素ラジカルは排出されるまで何度も反応に寄与し得るため、図1に示した実施例のようにイオントラップ2内から速やかに水素ラジカルが排気される構成に比べると、イオン解離に必要となる水素ラジカルの流量は少なくて済む。即ち、図5に示した構成では、図3の結果から得られた水素ラジカル流量の最小値(4×1010[atoms/s])よりも少ない流量で以て、その水素ラジカル流量と同等の効果を得ることができる。
この点についてより詳しく説明する。
図1に示した本実施例の質量分析装置において、イオントラップ2内のイオンと反応を起こす水素ラジカルの実質的な密度NA[atoms/m3]は次の(1)式で表される。
A=IA/(νπR2) …(1)
ここでIAは水素ラジカルの流量[atoms/s]であり、νは水素ラジカルの速度[m/s]、Rは水素ラジカル流束の半径[m]である。図3に示した実験では水素ガスを加熱することで水素ラジカルを生成しており、その加熱温度が2000Kであったことから、νは約7000[m/s]であると見積もられる。(1)式において、イオントラップ2のラジカル粒子導入口26の半径 0.75[mm]をRの値として用い、IAには水素ラジカル流量の最小値である4×1010[atoms/s]を代入すると、図3に示した実験においてNAの最小値は3×1012[atoms/m3]であることが分かる。即ち、図3の結果から得られた水素ラジカル流量の最小値に相当する水素ラジカルの密度は3×1012[atoms/m3]である。
一方、図5に示した別の実施例の質量分析装置では、反応に関与する水素ラジカルの密度NB[atoms/m3]の定常解はレート方程式(Rate Equation)を解くことで次の(2)式で表される。
dNB/dt=(IB/V)−(NB/τ)=0 → NB=τ(IB/V) …(2)
ここでIBは水素ラジカルの流量[atoms/s]であり、Vはイオントラップ2の内部の体積[m3]であり、τは水素ラジカルの排気及び再結合の両者を考慮した閉じ込め時間[sec]である。ここで、反応に対する水素ラジカルの粒子温度の影響を無視すると、図1の構成と図5の構成とで同一の解離効果を得るためには、密度NAとNBとが等しければよい。この場合、それぞれの構成で必要となる水素ラジカルの流量の比αは次の(3)式で表される。
A/(νπR2)=τ(IB/V) → α≡IB/IA=(1/τ)V/(νπR2) …(3)
イオントラップ2の内部領域の形状が球で近似可能であり、その球の半径が10[mm]、R=0.75[mm]、ν=7000[m/s] (2000K相当)であると仮定すると、(3)式中のαは次の(4)式で表される。
α≒3×10-4/τ …(4)
この(4)式は、閉じ込め時間τを300[μsec]よりも長くした場合には、図1の構成よりも少ない水素ラジカル流量(又は水素ラジカル密度)で以て同等の解離効果が図5の構成で得られることを示している。閉じ込め時間τを長くするためには、イオントラップ2の電極21、22、24の内壁面に、水素ラジカルの再結合を生じにくい材料、具体的には、二酸化珪素(SiO2)などによるコーティングを行うとよい。一般に知られているように、水素ラジカルはイオントラップ2の電極21、22、24の表面に衝突することで水素分子に容易に再結合してしまうが、電極21、22、24の内壁面に適宜の二酸化珪素の被膜層を形成すると、水素ラジカルの再結合の確率を下げることができる。また併せて、イオントラップ2の内部表面積に対する排気口(電極21、22、24間の間隙やイオン導入孔23、イオン射出孔25の開口)の面積の比率を小さくして、水素ラジカルの排気効率を低減することが望ましい。
もちろん、このようにイオントラップ2を構成する電極21、22、24の内壁面に適宜の被膜層を形成することは、図1に示した実施例の構成でも有効である。
なお、上記実施例ではリング電極21にラジカル粒子導入口26を設け、該開口を通してイオントラップ2内に水素ラジカルを導入していたが、クーリングガス等と同様に、ガス配管を通してイオントラップ内に水素ラジカルを導入してもよい。ただし、水素ラジカルがガス配管の内壁面などに接触すると容易に再結合して水素分子になってしまうため、こうした再結合を回避する対策を施しておくことが好ましい。
例えばガス配管の材料自体を水素ラジカルの再結合が生じにくい材料、具体的には上述した二酸化珪素としたり、ガス配管の内壁面に二酸化珪素などの適宜の材料による被膜層を形成したりするとよい。もちろん、図1、図5の構成でも、ラジカル粒子導入口26の内壁面に二酸化珪素などの適宜の材料による被膜層を形成しておくとよい。これにより、水素ラジカルをイオントラップ2内にまで輸送する間の該水素ラジカルの損失を低減することができる。
また、ガス配管の内部で水素ラジカルが配管内壁面に接触しないように、ガス配管の内壁面に沿ってヘリウムなどの不活性ガスを流し、その不活性ガス流の中央部に水素ラジカルを流すようにしてもよい。
また一般に、イオントラップ2内でのイオンと水素ラジカルとの反応の速度は水素ラジカルの温度に依存する。そのため、上述したようにガス配管を通して水素ラジカルをイオントラップ2内に供給する場合、該ガス配管を高温に維持するように加熱部などを設けるとよい。
また、上記実施例は本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜、変形、追加、修正を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。
例えば、上記実施例の質量分析装置ではイオントラップは3次元四重極型のイオントラップであるが、多重極リニア型イオントラップでもよい。イオントラップ内でイオンを効率よく解離させるには、イオントラップ内で捕捉されているイオンの密度が高いほうよい。一般的に、3次元四重極型イオントラップよりもリニア型イオントラップのほうが空間電荷の影響が少なく、イオンの面密度を高くすることができる。また、リニア型イオントラップにおいて、その軸方向に水素ラジカルを照射すれば水素ラジカルが反応に寄与する飛行距離が延びる。こうしたことから、リニア型イオントラップを用いたほうが解離効率のうえで有利である。
また、イオントラップは高周波電場の作用によりイオンを閉じ込めるものであるが、磁場の作用によりイオンを閉じ込めるフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析装置のセルなどに閉じ込めたイオンに対して水素ラジカルを照射するようにしてもよい。もちろん、そうした所定の空間に閉じ込められたイオンではなく、例えばイオン流に対してそれに斜交するように又はその流れと同方向若しくは逆方向に水素ラジカルを照射し、イオンを解離させるようにしてもよい。
さらにまた、上記実施例は解離により生成したフラグメントイオンを質量分析する質量分析装置であるが、フラグメントイオンをイオン移動度に応じて分離して検出するイオン移動度計や、フラグメントイオンをイオン移動度に応じて分離したうえで、さらに質量電荷比に応じて分離して検出するイオン移動度-質量分析装置に本発明を適用可能であることは明らかである。
1…イオン源
2…イオントラップ
21…リング電極
22、24…エンドキャップ電極
23…イオン導入孔
25…イオン射出孔
26…ラジカル粒子導入口
27…ラジカル粒子排出口
3…質量分離部
4…イオン検出器
5…水素ラジカル照射部
51…水素ラジカル供給源
52、62…バルブ
53…ノズル
54…スキマー
6…ガス供給部
61…ガス供給源
7…トラップ電圧発生部
8…制御部

Claims (12)

  1. 試料成分由来のイオンを解離して生成したフラグメントイオンを分析するイオン分析装置であって、
    a)目的とする試料成分由来のイオンが存在する空間に対して4×1010 [atoms/s]以上の流量で以て水素ラジカルを導入することにより該イオンを解離させるイオン解離部と、
    b)前記イオン解離部で生成されたフラグメントイオンを質量電荷比又はイオン移動度の少なくとも一方に応じて分離して検出する分離検出部と、
    を備えることを特徴とするイオン分析装置。
  2. 試料成分由来のイオンを解離して生成したフラグメントイオンを分析するイオン分析装置であって、
    a)目的とする試料成分由来のイオンが存在する空間に対して3×1012[atoms/m3]以上の密度で以て水素ラジカルを導入することにより該イオンを解離させるイオン解離部と、
    b)前記イオン解離部で生成されたフラグメントイオンを質量電荷比又はイオン移動度の少なくとも一方に応じて分離して検出する分離検出部と、
    を備えることを特徴とするイオン分析装置。
  3. 請求項1又は2に記載のイオン分析装置であって、
    前記イオン解離部は、電場又は磁場の作用によりイオンを所定の空間に閉じ込めるイオン閉じ込め部に水素ラジカルを導入し、該イオン閉じ込め部の内部で目的とする試料成分由来のイオンと水素ラジカルとを反応させて該イオンを解離させることを特徴とするイオン分析装置。
  4. 請求項3に記載のイオン分析装置であって、
    前記イオン閉じ込め部はイオントラップであり、前記イオン解離部は、水素ラジカルを導入する前又は導入した後の少なくとも一方の期間に、前記イオントラップ内に捕捉したイオンを励振させ、該イオントラップ内に導入した中性粒子に衝突させることでイオンの解離を促進させる補助解離促進部を含むことを特徴とするイオン分析装置。
  5. 請求項3に記載のイオン分析装置であって、
    前記イオン閉じ込め部はイオントラップであり、前記イオン解離部は、水素ラジカルを導入する前又導入した後の少なくとも一方の期間に、前記イオントラップ内に捕捉したイオンにレーザ光を照射することで該イオンの解離を促進させる補助解離促進部を含むことを特徴とするイオン分析装置。
  6. 請求項3〜5のいずれか1項に記載のイオン分析装置であって、
    前記イオン閉じ込め部はイオントラップであり、前記イオン解離部は、水素ラジカルを導入する前に、前記イオントラップ内に捕捉しているイオンに対しクーリングガスによるクーリングを行うことを特徴とするイオン分析装置。
  7. 請求項3〜5のいずれか1項に記載のイオン分析装置であって、
    前記イオン閉じ込め部はイオントラップであり、前記イオン解離部は、水素ラジカルを導入する期間の少なくとも一部で、プリカーサイオン以外の質量電荷比範囲に含まれるイオンに対する共鳴励起を行うことによりイオンと水素ラジカルとの反応速度を抑制することを特徴とするイオン分析装置。
  8. 請求項3に記載のイオン分析装置であって、
    前記イオン解離部は、複数回の解離を生起させるように水素ラジカルを導入する時間を長く設定することを特徴とするイオン分析装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のイオン分析装置であって、
    前記イオン解離部は、イオンが存在する領域まで水素ラジカルを輸送するための、ガラス管又は少なくとも内壁面にガラス被膜が形成されている配管である水素ラジカル導入管を含むことを特徴とするイオン分析装置。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のイオン分析装置であって、
    前記イオン解離部は、イオンが存在する領域まで水素ラジカルを輸送するための水素ラジカル導入管と、該水素ラジカル導入管を高温に維持する又は加熱する加熱部と、を含むことを特徴とするイオン分析装置。
  11. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のイオン分析装置であって、
    前記イオン解離部は、イオンが存在する領域まで水素ラジカルを輸送するための水素ラジカル導入管の内壁面に沿って不活性ガスを流し、その不活性ガスの流れによって水素ラジカルが導入管内壁面に接触しないようにしつつ、イオンが存在する領域まで水素ラジカルを輸送することを特徴とするイオン分析装置。
  12. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のイオン分析装置であって、
    前記イオン解離部は、指向性を有する水素ラジカル流を取り出す流束整形部を含むことを特徴とするイオン分析装置。
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