JP7142867B2 - イオン分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、試料成分由来のイオンにラジカルを照射して分析するイオン分析装置に関する。
高分子化合物を同定したりその構造を解析したりするために、高分子化合物由来のイオン(プリカーサイオン)を1又は複数回解離させてプロダクトイオン(フラグメントイオンとも呼ばれる。)を生成し、それを質量電荷比に応じて分離し検出する質量分析法が広く利用されている。質量分析においてイオンを解離させる代表的な方法として、イオンに窒素ガス等の不活性ガス分子を衝突させる、衝突誘起解離(CID: Collision-Induced Dissociation)法が知られている。CID法では不活性分子との衝突エネルギーによってイオンを解離させるため、様々なイオンを解離させることができる。しかし、CID法ではイオンが解離する位置の選択性が低い。そのため、CID法は、構造解析のために特定の部位でイオンを解離させる必要がある場合には不向きである。例えば、ペプチドなどを分析する場合は、アミノ酸の結合位置で特異的に解離させることが望まれるが、CID法ではそれが難しい。
ペプチドをアミノ酸の結合位置で特異的に解離させるイオン解離法として、従来、プリカーサイオンに負イオンを衝突させる電子移動解離(ETD: Electron Transfer Dissociation)法や、プリカーサイオンに電子を照射する電子捕獲解離(ECD: Electron Capture Dissociation)法が用いられている。これらは、不対電子誘導型の解離法と呼ばれるものであり、ペプチド主鎖のN-Cα結合を解離させてc/z系列のプロダクトイオンを生成する。
ETD法やECD法では、正のプリカーサイオンに負イオンを衝突させたり電子を照射したりしてプロダクトイオンを生成するため、2価以上の正のプリカーサイオンしか対象とすることができない。タンパク質やペプチドのイオン化に用いられている、マトリクス支援レーザ脱離イオン化(MALDI: Matrix-Assisted Laser Desorption/Ionization)法等のソフトなイオン化法で生成されるイオンは、ほとんどが1価のイオンである。従って、ETD法やECD法は、1価のイオンを多く生成するMALDI法等のソフトなイオン化法と組み合わせるには不向きである。
本発明者は、ペプチド由来のプリカーサイオンに対して水素ラジカルを照射することによって不対電子誘導型の解離を生じさせる水素付着解離(HAD: Hydrogen-Attached Dissociation)法を提案している(特許文献1、非特許文献1)。HAD法ではプリカーサイオンの価数を変化させずに解離させることから、MALDI法等のソフトなイオン化法との組み合わせにも適している。また、HAD法によってもc/z系列のプロダクトイオンを生成することができる。
本発明者は、また、ヒドロキシラジカル、酸素ラジカル、あるいは窒素ラジカルを用いることによって、ペプチド由来のプリカーサイオンをアミノ酸の結合位置で特異的に解離させることも提案している(特許文献2)。これらのペプチド由来のプリカーサイオンに対してラジカルを照射すると、a/x系列のプロダクトイオンやb/y系列のプロダクトイオンが生成される。
国際公開第2015/133259号 国際公開第2018/186286号
Yuji Shimabukuro, Hidenori Takahashi, Shinichi Iwamoto, Koichi Tanaka, Motoi Wada, "Tandem Mass Spectrometry of Peptide Ions by Microwave Excited Hydrogen and Water Plasmas", Anal. Chem. 2018, 90 (12) pp 7239-7245 Hidenori Takahashi, Sadanori Sekiya, Takashi Nishikaze, Kei Kodera, Shinichi Iwamoto, Motoi Wada, Koichi Tanaka, "Hydrogen Attachment/Abstraction Dissociation (HAD) of Gas-Phase Peptide Ions for Tandem Mass Spectrometry.", Anal. Chem. 2016, 88 (7), pp 3810-3816
測定した試料成分が目的とするペプチドであることを確認(同定)する際には、当該試料成分について取得したプロダクトイオンスペクトルを、予めライブラリに収録された当該ペプチドのプロダクトイオンスペクトルと照合する。
しかし、ライブラリに収録されているプロダクトイオンスペクトルの取得時にプリカーサイオンに照射されたラジカルの密度(空間密度=単位体積当たりのラジカルの個数)と、実際の試料に含まれる成分(実試料成分)の測定時にプリカーサイオンに照射されたラジカルの密度が異なると、プリカーサイオンへのラジカルの付着量が異なり、解離の進行度や態様が相違して別のプロダクトイオンが生成される場合がある。すると、同一のペプチドであるにもかかわらず、実試料成分の測定により得られるプロダクトイオンスペクトルのマスピークの位置や強度が、ライブラリに収録されているプロダクトイオンスペクトルのマスピークの位置や強度と相違し、ペプチドを同定することができなくなってしまう。
こうした問題は、ライブラリに登録されているプロダクトイオンスペクトルが、プリカーサイオンにどのような密度のラジカルを照射することにより得られたものであるかを事前に確認し、実試料成分の測定時にも同じ密度のラジカルをプリカーサイオンに照射することにより解消することができる。しかし、従来、試料成分由来のプリカーサイオンに照射されるラジカルの密度に関する指標がなく、ラジカルの照射条件を種々に変更しながら適切な密度のラジカルがプリカーサイオンに照射される条件を探索しなければならないという問題があった。
ここではプロダクトイオンを質量電荷比に応じて分離し測定する質量分析装置を例に説明したが、プロダクトイオンをイオン移動度に応じて分離し測定するイオン移動度分析装置等のイオン分析装置においても上記同様の問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、試料成分由来のプリカーサイオンにラジカルを照射して分析するイオン分析装置において、プリカーサイオンに照射されるラジカルの密度に関する指標を与えることである。
上記課題を解決するために成された本発明は、試料成分由来のプリカーサイオンに所定の種類のラジカルを照射してプロダクトイオンを生成し分析するイオン分析装置であって、
反応室と、
前記ラジカルを生成して前記反応室に供給するラジカル供給部と、
前記ラジカル供給部から前記反応室に供給される前記ラジカルの温度を取得するラジカル温度取得部と、
前記ラジカルが付着する反応の活性化エネルギーが既知である標準物質から生成した所定のプリカーサイオンを所定量、前記反応室に供給する標準物質供給部と、
前記ラジカルとの反応によって前記標準物質由来のプリカーサイオンから生成される所定のプロダクトイオンの量を測定するイオン測定部と、
前記測定されたプロダクトイオンの量に基づいて、前記反応室に供給されたラジカルのうち前記活性化エネルギー以上のエネルギーを有するラジカルである反応ラジカルの量を求める反応ラジカル量算出部と、
前記ラジカルの温度、前記活性化エネルギー、及び前記反応ラジカル量に基づいてラジカル密度を求めるラジカル密度算出部と
を備える。
本発明に係るイオン分析装置は、例えば、ライブラリに登録するプロダクトイオンスペクトルを取得するために標準物質を用いた測定を行う際の測定条件の1つとしてラジカル密度を求めるために用いられる。また、例えば、ライブラリに登録されている目的成分を含む未知試料を分析する際に、ライブラリに登録されているラジカル密度を再現すべく該未知試料に照射されるラジカルの密度を求めるためにも用いられる。
本発明に係るイオン分析装置では、まず、ラジカル付着反応の活性化エネルギーが既知である標準物質から生成した所定のプリカーサイオンを所定量、反応室に供給する。そして、この反応室内に、本装置を用いて密度を求めようとする対象である所定の種類のラジカル(対象ラジカル)を導入する。このとき、ラジカル温度取得部により、反応室に導入されるラジカルの温度を求める。この温度を求める方法については後述する。反応室内では、前記所定のプリカーサイオンと、この対象ラジカルが反応し、プロダクトイオンが生成する。そして、こうして生成されたプロダクトイオン中の所定のプロダクトイオンの量を測定する。この「所定のプロダクトイオン」とは、典型的には前記対象ラジカルが付着したイオン(ラジカル付着イオン)であるが、対象ラジカルが付着することによって前記所定のプリカーサイオンの解離が生じる場合には、フラグメントイオンとしてもよい。こうして測定される所定のプロダクトイオンの量は、前記反応室内に導入された対象ラジカルのうち、前記活性化エネルギー以上のエネルギーを有するラジカル(反応ラジカル)の量を反映する。ラジカルが有するエネルギーは、ラジカルの温度に依存して統計的に分布する。そこで本発明では、反応ラジカルの量と前記のように求めたラジカル温度に基づいて、前記所定のプリカーサイオンに照射された対象ラジカルの量を求める。また、反応室の形状等に基づいて前記所定のプリカーサイオンと対象ラジカルが反応する空間の体積を求める。こうして得られた対象ラジカルの量とラジカル照射空間の体積からラジカル密度を算出することができる。
このようにラジカル供給部から反応室に供給されるラジカル密度の算出を可能とすることで、例えばライブラリに収録されるプロダクトイオンスペクトル作成時のラジカル照射条件を明確にすることができる。即ち、標準物質から生成した所定のプリカーサイオンを反応室に導入しておき、対象ラジカルを同様の方法でラジカル供給部から反応室に供給することにより、該標準物質のプロダクトイオンスペクトル取得時のラジカルの密度を求め、それを該プロダクトイオンスペクトルと一緒にライブラリに収録しておく。未知試料を分析する際は、該未知試料を同じ反応室に入れ、そこに同様の方法でラジカル供給部から対象ラジカルを供給して分析対象の試料成分由来のプロダクトイオンを生成し、そのプロダクトイオンスペクトルを測定する。これにより、該試料成分について測定されたプロダクトイオンスペクトルとライブラリに収録されているプロダクトイオンスペクトルとが同じ条件(密度)のラジカルにより生成されたこととなり、両者を正しく比較することができ、その試料成分を正しく同定することができる。
本発明に係るイオン分析装置の一実施形態である第1実施形態のイオントラップ-飛行時間型質量分析装置の概略構成図。 分析例1における標準物質であるRCLのラジカル付着反応を説明する図。 分析例1において、複数のラジカル照射条件で生成した水素ラジカルをRCLに照射した結果を説明する図。 本発明に係るイオン分析装置の別の実施形態である第2実施形態のイオントラップ-飛行時間型質量分析装置の概略構成図。 第2実施形態のイオントラップ-飛行時間型質量分析装置におけるラジカル照射部の概略構成図。 分析例2において、複数のラジカル照射条件で生成した水素ラジカルをRCLに照射した結果を説明する図。 分析例2において、フラーレンに関する反応ラジカル量に対するRCLに関する反応ラジカル量の比と、水素ラジカルのラジカル温度の関係を示すグラフ。
本発明に係るイオン分析装置の具体的な実施形態について、以下、図面を参照して説明する。以下に説明する第1実施形態及び第2実施形態のイオン分析装置はいずれも、イオントラップ-飛行時間型(IT-TOF型)質量分析装置(以下、単に「質量分析装置」とも呼ぶ。)である。
<第1実施形態>
図1に第1実施形態の質量分析装置の概略構成を示す。第1実施形態の質量分析装置は、試料中の成分をイオン化するイオン源1と、イオン源1で生成されたイオンを高周波電場の作用により捕捉するイオントラップ2と、イオントラップ2から射出されたイオンを質量電荷比に応じて分離する飛行時間型質量分離部3と、分離されたイオンを検出するイオン検出器4とを備える。これらは真空雰囲気に維持される図示しない真空チャンバの内部に収容されている。本実施形態の質量分析装置は、さらに、イオントラップ2内に捕捉されているプリカーサイオンにラジカルを照射すべく該イオントラップ2内にラジカルを供給するラジカル供給部6と、イオントラップ2内に所定の不活性ガスを供給する不活性ガス供給部7と、トラップ電圧発生部74と、機器制御部8と、制御・処理部9とを備える。機器制御部8は、制御・処理部9から送信される制御信号に基づき、質量分析装置の各部の動作を制御する。
イオン源1には標準物質供給部11が接続されている。標準物質供給部11は、機器制御部8による制御の下で、1乃至複数種類の標準物質を個別にイオン源1に供給する。標準物質については後述する。
イオントラップ2は、円環状のリング電極21と、該リング電極21を挟んで対向配置された一対のエンドキャップ電極(入口側エンドキャップ電極22、出口側エンドキャップ電極24)とを含む三次元イオントラップである。リング電極21にはラジカル導入口26とラジカル排出口27が形成されている。また、入口側エンドキャップ電極22にはイオン導入孔23が形成されている。さらに、出口側エンドキャップ電極24にはイオン射出孔25が形成されている。トラップ電圧発生部74は、機器制御部8による制御の下で、上記リング電極21、入口側エンドキャップ電極22、及び出口側エンドキャップ電極24のそれぞれに対して所定のタイミングで高周波電圧と直流電圧のいずれか一方又はそれらを合成した電圧を印加する。これにより、イオントラップ2内に所定の質量電荷比を有するイオンが捕捉される。
ラジカル供給部6は、ラジカルの原料となるガスを供給する原料ガス供給源61と、該原料ガスが導入されるキャピラリ62と、該キャピラリ62を加熱する加熱部63と、該キャピラリ62に導入する原料ガスの流量を調整するバルブ64とを有している。第1実施形態におけるラジカル供給部6は、加熱されたキャピラリ62内で原料ガスを熱解離させることによりラジカルを生成する(特許文献1、非特許文献2参照)。即ち、キャピラリ62は本発明における熱解離部に相当する。キャピラリ62には、融点や硬度が高い材料からなるものを好適に用いることができる。そうした材料の1つにタングステンが挙げられる。ラジカル供給部6は、また、キャピラリ62の温度を計測する温度計測部65を備えている。温度計測部65には、例えば赤外放射計が用いられる。本実施形態のようにキャピラリ62内で原料ガスを熱解離させてラジカルを生成する場合には、生成されるラジカルとキャピラリ62は熱平衡状態にあると考えられる。従って、キャピラリ62の温度を測定することによりラジカル温度を推定することができる。さらに、キャピラリ62の出口とイオン導入孔23の間には、該キャピラリ62から放出されるガス流を細径のラジカル流に成形するスキマー66が配置されている。
不活性ガス供給部7は、バッファガスやクーリングガスなどとして使用される不活性ガスを貯留した不活性ガス供給源71と、不活性ガスの流量を調整するバルブ72と、ガス導入管73とを備えている。不活性ガスには、例えば、ヘリウムガス、窒素ガス、アルゴンが用いられる。
制御・処理部9は、記憶部90のほか、機能ブロックとして、ラジカル温度取得部911、イオン測定部92、反応ラジカル量算出部93、ラジカル密度算出部94、ラジカル密度情報保存部95、ラジカル照射条件入力受付部96、及びラジカル照射条件決定部97を備えている。制御・処理部9の実体はパーソナルコンピュータであり、予めインストールされているイオン分析用プログラムを実行することにより各機能ブロックが具現化される。また、制御・処理部9には入力部98と表示部99が接続されている。
<分析例1>
第1実施形態の質量分析装置を用いてラジカル密度を求める一例を説明する。この例では、ある分析対象試料について、あるラジカル照射条件下で有用な測定結果が得られた後に、該照射条件をそのまま用いてラジカル付着反応の活性化エネルギーの大きさが既知である1種類の標準物質を測定する。
使用者がラジカル密度の測定開始を指示すると、ラジカル照射条件入力受付部96は、ラジカル照射条件を入力する画面を表示部99に表示し、使用者に入力を促す。ここでは、原料ガス供給源61から供給する原料ガスの種類及び流量と、ラジカル照射時間とを含むラジカル照射条件を入力する。
ラジカル照射条件が入力されると、イオン測定部92が機器制御部8を通じて各部の動作を制御し、入力されたラジカル照射条件を用いて以下の測定動作を行う。まず、真空ポンプ(図示略)により真空チャンバ内を所定の真空度まで排気する。また、加熱部63によりキャピラリ62を加熱する。
続いて、標準物質供給部11からイオン源1に標準物質を供給し、標準物質からイオンを生成する。多くの場合、主として1価の分子イオンが生成される。こうして生成されたイオンはパケット状にイオン源1から射出され、入口側エンドキャップ電極22に形成されているイオン導入孔23を経てイオントラップ2の内部に導入される。
イオン源1におけるイオンの生成と並行して、又はイオンの生成に先立ち、リング電極21、入口側エンドキャップ電極22、及び出口側エンドキャップ電極24のそれぞれにトラップ電圧発生部74から所定の高周波電圧(及び直流電圧)を印加する。
イオントラップ2内に導入されたイオンは、イオントラップ2内に形成される高周波電場で捕捉される。そのあと、トラップ電圧発生部74からリング電極21等に所定の高周波電圧(及び直流電圧)を印加し、目的とする特定の質量電荷比を持つイオン以外の質量電荷比を持つイオンを励振して、イオントラップ2から放出する。これにより、イオントラップ2内に特定の質量電荷比を持つ所定のプリカーサイオンが選択的に捕捉される。
イオントラップ2内に所定のプリカーサイオンを捕捉した後、不活性ガス供給部7のバルブ72を開放し、イオントラップ2内に不活性ガスを導入する。不活性化ガスが導入されることによりプリカーサイオンがクーリングされ、イオントラップ2の中心付近に収束される。
その後、ラジカル供給部6のバルブ64を開放し、原料ガス供給源61からキャピラリ62に所定の種類の原料ガスを供給する。そして、キャピラリ62を通過する間に原料ガスを熱解離させて所定の種類のラジカルを生成する。生成されたラジカルは、スキマー66の開口を通過して細径のビーム状となり、ラジカル導入口26からイオントラップ2内に供給される。こうしてイオントラップ2内に捕捉されているプリカーサイオンにラジカルが照射される。また、バルブ64の開放により原料ガスがキャピラリ62に供給されラジカルが生成されている間に、ラジカル温度取得部911は、温度計測部65によりキャピラリ62の温度を測定することで、ラジカル温度を取得する。
使用者により入力されたラジカル照射時間、バルブ64の開度は一定の状態に維持される。その間、イオントラップ2内に捕捉された標準物質由来の所定のプリカーサイオンにラジカルが照射され、該プリカーサイオンにラジカル付着反応が生じてプロダクトイオンが生成される。ラジカル付着反応によってプリカーサイオンから生成されるプロダクトイオンには、大別して、プリカーサイオンにラジカルが付着してなるラジカル付加イオンと、プリカーサイオンにラジカルが付着した後に該プリカーサイオンが解離して生成されるフラグメントイオンがある。ラジカル付着反応により生成されたプロダクトイオンはイオントラップ2内に捕捉され、不活性ガス供給部7から供給される不活性ガスによってクーリングされる。その後、所定のタイミングでトラップ電圧発生部74から入口側エンドキャップ電極22と出口側エンドキャップ電極24に直流高電圧を印加する。これにより、イオントラップ2内に捕捉されているプロダクトイオンに一定の加速エネルギーを付与してイオン射出孔25から一斉に射出する。
一定の加速エネルギーを持ったイオンは飛行時間型質量分離部3の飛行空間に導入され、飛行空間を飛行する間に質量電荷比に応じて分離される。イオン検出器4は分離されたイオンを順次検出して制御・処理部9に検出信号を送信する。制御・処理部9では受信した検出信号を順次、記憶部90に保存する。
反応ラジカル量算出部93は、イオントラップ2からプロダクトイオンが射出された時点を時刻ゼロとする飛行時間スペクトルを作成する。そして、予め用意された、飛行時間をイオンの質量電荷比に対応づける質量換算情報を用いて飛行時間を質量電荷比に換算する。これにより、飛行時間スペクトルからプロダクトイオンスペクトルを作成する。反応ラジカル量算出部93は、また、標準物質のプロダクトイオンスペクトルから、ラジカルの付着反応により生成された所定のプロダクトイオン(ラジカル付加イオン又はフラグメントイオン)の量を求める。このプロダクトイオンの量は、プリカーサイオンにラジカル付着反応を生じさせたラジカル(反応ラジカル)の量を反映している。このラジカルは、ラジカル供給部6により生成されたラジカルのうち、標準物質のラジカル付着反応の活性化エネルギー以上のエネルギーを有するラジカルである。
反応ラジカル量算出部93により標準物質由来の所定のプロダクトイオンの量が求められると、ラジカル密度算出部94は、ラジカル温度取得部911により取得したラジカル温度、標準物質へのラジカル付着反応の活性化エネルギーの大きさ、及び反応ラジカルの量に基づいて、標準物質由来のプリカーサイオンに照射されたラジカルのラジカル密度を求める。ラジカル密度を求める方法の詳細は後述する。
ラジカル密度算出部94によりラジカル密度が求められると、ラジカル密度情報保存部95は、使用者により入力されたラジカル照射条件と該ラジカル照射条件で得られたラジカル密度を対応付けたラジカル密度情報を記憶部90に保存する。このような一連の測定等を繰り返すことにより、複数の異なるラジカル照射条件とラジカル密度を対応付けた情報が記憶部90に蓄積され、ラジカル密度情報データベースが作成される。
次に、ラジカル密度算出部94によるラジカル密度の算出について説明する。
ラジカル温度をT、標準物質Xのプリカーサイオンのラジカル付着反応の活性化エネルギー(ラジカル付着反応が生じるエネルギー閾値)をExとする。この標準物質X由来のプリカーサイオンに付着するラジカルは、上記のエネルギー閾値EXを上回るエネルギーを持つラジカルのみである。ラジカルのエネルギーは1/2×mv2で表される。ここで、mはラジカルの質量、vはラジカルの飛行速度である。標準物質Xに照射された全ラジカルのうち、エネルギー閾値EXを上回るエネルギーを持つラジカルの割合Fは以下の式(1)で表される。
Figure 0007142867000001

ここで、f(v,T)はラジカル温度Tに対するマクスウェル分布である。マクスウェル分布は次式(2)で表される。
Figure 0007142867000002


従って、ラジカル密度(単位体積あたりのラジカル数)をNRとすると、単位時間(1秒)あたりのラジカル付着数(反応ラジカル量)RXは以下の式(3)で表される。
Figure 0007142867000003

上式から、ラジカル密度NRは以下の式(4)で表される。
Figure 0007142867000004
第1実施形態の質量分析装置では、温度計測部65により測定したキャピラリ62の温度からラジカル温度Tを推定することができる。また、F(EX,T)の近似解については、数値解が広く知られている誤差関数と同様に、数値的解法により算出できる。従って、ラジカル付着数RXを反映した所定のプロダクトイオンのマスピークの実測値からラジカル密度の相対値(任意単位)を求めることができる。
なお、予備実験やシミュレーションによって上記所定のプロダクトイオンのマスピークの実測値と反応ラジカルの実数の関係を求めるとともに、イオントラップ2の形状や印加電圧に基づくシミュレーションを行ってイオントラップ2内でプリカーサイオンが収束される空間の体積を求めれば、ラジカル密度の絶対値(個/m3)を求めることも可能である。しかし、同じ型の質量分析装置であれば、同じイオン検出器を使用することからマスピークの実測値と反応ラジカルの実数の関係は同じである。また、イオントラップ2内でプリカーサイオンが捕捉される空間の体積も実質的に同じであると考えられる。従って、同型の質量分析装置を使用する場合には上記相対値を、そのままラジカル密度の指標として使用すればよい。
次に、上記の手順で実際にラジカル密度の相対値を求めた例を説明する。この例では標準物質としてRCL(フェノチアジン-5-イウム)を用い、RCL由来の1価の分子イオンを上記所定のプリカーサイオンとして水素ラジカルを照射した。図2に示すように、RCLへの水素ラジカルの付着反応の活性化エネルギーは11kJ/molである。また、分子イオンへのラジカルの付着により水素付加イオン(所定のプロダクトイオン)が生成される。この測定では、水素ラジカルの照射時間(HAD反応の時間)を100ms、水素ガスの流量を2sccmとした。また、キャピラリ62を加熱する加熱部63のフィラメントに供給する電流値が異なる複数のラジカル照射条件によりプロダクトイオンを測定した。なお、ラジカル照射条件を複数、設定することは本発明に必須の要件ではなく、1つのラジカル照射条件のみを用いることによってラジカル密度を求めることができる。
図3に測定結果を示す。ラジカル密度の算出については、フィラメントに13.5Aの電流を供給したときのプロダクトイオンの測定結果に基づき説明する。フィラメントに13.5Aの電流を供給したときのキャピラリ62の温度(即ち、水素ラジカルの推定温度)は2300Kであった。上記の通り、RCLの分子イオンへの水素ラジカル付着反応の活性化エネルギーは11kJ/molであることから、式(1)の値はF=0.76となる。また、図3の下図に示すように、0.1s(水素ラジカル照射時間)で30%のプリカーサイオンに水素が付着していることからRX=3となり、ラジカル密度の相対値は4となる。従って、上記ラジカル照射条件とこの相対値RX=4を対応づけて記憶部90に保存しておけばよい。
例えば、あるラジカル照射条件で標準試料を測定することにより取得したプロダクトイオンスペクトルをスペクトルライブラリ等に保存する際に、RCL等の標準物質についても同じラジカル照射条件で測定を行ってラジカル密度の指標値を求めておき、その指標値及びラジカル照射時間を併せて保存しておく。また、未知試料を測定する際にも、適宜のラジカル照射条件でRCL等の標準物質を測定し、ラジカル密度の指標値を求める。そして、実試料のラジカル密度の指標値とラジカル照射時間(即ちラジカル付着反応の時間)の積が上記ライブラリに記録されたものと同じになるようにラジカル照射条件及び/又はラジカル照射時間を調整する。これにより、ライブラリに登録されているプロダクトイオンスペクトルが取得されたときと同じ量のラジカルをプリカーサイオンに照射し、未知試料を高い再現性で分析することができる。
未知試料の測定時には、ライブラリに記録されているプロダクトイオンスペクトルの取得時と同等の密度のラジカルを同等の時間、プリカーサイオンに照射することがより好ましい。そこで、次に、第1実施形態の質量分析装置において、使用者が指定したラジカル密度の指標値となるようにラジカル照射条件を決定する例を説明する。この例も、未知試料の分析時に用いられる。ここでは、異なるラジカル照射条件で標準物質を測定することにより、ラジカル照射条件とラジカル密度の指標値とを対応付けたラジカル密度情報データベースを予め作成して記憶部90に保存しておく。ラジカル密度情報データベースは、テーブル形式や数式など、適宜の形態で保存される。
使用者がラジカル照射条件の探索を指示すると、まず、ラジカル照射条件入力受付部96が、ラジカル密度の指標値及び照射時間を使用者に入力させる画面を表示部99に表示する。
使用者によりラジカル密度の指標値及び照射時間が入力されると、ラジカル照射条件決定部97は記憶部90に保存されているラジカル密度情報データベースを参照し、入力されたラジカル密度の指標値のラジカルが照射されるラジカル照射条件を決定する。具体的には、ラジカル密度情報データベースに、使用者が入力したラジカル密度の指標値の情報が保存されているか否かを判定し、保存されていれば(あるいは数式等から算出可能であれば)、そのラジカル照射条件と、使用者が入力したラジカル照射時間をラジカル照射条件として決定する。
一方、例えばラジカル密度情報データベースがテーブル形式等であるなど、ラジカル密度の指標値が離散的な値として保存されている場合には、使用者により入力されたラジカル密度の指標値そのものに合致するラジカル照射条件が保存されていないことがあり得る。その場合には、使用者により入力されたラジカル密度の指標値に最も近いラジカル密度の指標値を読み出し、その指標値に対応するラジカル照射条件を決定する。そして、読み出したラジカル密度の指標値とラジカル照射時間の積が、使用者に入力されたラジカル密度の指標値とラジカル照射時間の積と同じになるように、ラジカル照射時間を決定する。
ラジカル照射条件が決定されると、解析対象の試料成分がイオン源1に導入され、上記同様に測定が行われる。測定の手順は上記同様であるため、説明を省略する。
従来、別の質量分析装置で得られた測定結果を再現するには、ラジカル照射条件を種々に変更しながら適切な密度のラジカルが照射される条件を決定する必要があったが、本実施形態の質量分析装置を用いることにより、ラジカル温度を入力するのみでラジカル照射条件を簡便に決定することができる。また、同型のラジカル供給部6であってもそのラジカル生成効率が完全に同じではなく、加えて、その使用を継続するうちにラジカル生成効率が変化する。こうした場合でも、本実施形態のイオン分析装置を用いることにより、当該ラジカル供給部における当該時点でのラジカル密度の指標値を得ることができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の質量分析装置について説明する。第2実施形態の質量分析装置の概略構成を図4に、その一部であるラジカル供給部5の概略構成を図4に示す。第1実施形態の質量分析装置との構成の違いはラジカル供給部5のみであり、主な分析動作の違いはラジカル供給部5及びラジカル温度取得部912にあるため、以下ではこれらを中心に説明し、第1実施形態の質量分析装置と共通の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
このラジカル供給部5は、大別して、原料ガス供給源51、高周波プラズマ源53、及びノズル54で構成される。高周波プラズマ源53は、誘導結合型のプラズマ源であり、マイクロ波供給源531とスリースタブチューナー532を備えている。ノズル54は外周部を構成する接地電極541、その内側に位置するトーチ542を備えており、該トーチ542の内部がラジカル生成室52となる。トーチ542には、誘電体からなるものが用いられる。例えば、パイレックス(登録商標)ガラス製のトーチ542を好適に用いることができる。
ラジカル生成室52の内部では、コネクタ544を介して高周波プラズマ源53と接続されたニードル電極543がラジカル生成室52の長手方向に貫通している。また、原料ガス供給源51からラジカル生成室52に原料ガスを供給する流路が設けられており、この流路上には原料ガスの流量を調整するためのバルブ56が設けられている。
<分析例2>
第2実施形態の質量分析装置における測定の手順と第1実施形態の質量分析装置における測定の手順の違いは、上記ラジカル供給部5及びラジカル温度取得部912の動作にあり、他の手順は第1実施形態と同様であるため、これらの動作を中心に説明する。
第1実施形態の質量分析装置では、ラジカル供給部5において熱解離により原料ガスからラジカルを生成した。一方、第2実施形態の質量分析装置では、ラジカル供給部6において真空放電により原料ガスからラジカルを生成する。
具体的には、プリカーサイオンをイオントラップ2の中心付近に収束させた後、バルブ56を開放し、高周波プラズマ源53からラジカル生成室52にマイクロ波を供給する。こうしてラジカル生成室52内で真空放電を生じさせることにより、原料ガスからラジカルを生成する。生成されたラジカルを含むガスはノズル54から噴出し、スキマー55の開口を通過したラジカルが細径のビーム状となってラジカル導入口26を通過し、イオントラップ2内に供給され、該イオントラップ2内に捕捉されているプリカーサイオンにラジカルが照射される。
また、第1実施形態の質量分析装置では、ラジカル温度取得部911が、温度計測部65を動作させてキャピラリ62の温度を測定することによりラジカル温度の情報を取得したが、第2実施形態の質量分析装置では、ラジカル温度取得部912が、イオン測定部92によって複数の標準物質由来の所定のプロダクトイオンの検出強度を測定し、以下のようにしてラジカル温度の情報を取得する。
第1実施形態において説明した式(1)~(4)を用いると、同一のラジカル照射条件において、標準物質Aと標準物質Bに対するラジカル付着数の比k(T)は以下の式で表される。
Figure 0007142867000005
EA及びEBは、2種類の標準物質A, Bに関するラジカル付着反応の活性化エネルギーの大きさであり、いずれも既知である。また、σA、σBは、標準物質A, Bのラジカル付着に対する衝突断面積であり、これらは標準物質A、Bの分子構造によって決まり、ラジカルの温度や量には依存しない。従って、σBAの値も数値シミュレーションやモデル計算等から概算できる。さらに、分析例1において説明したとおり、F(E,T)の近似解は数値的解法により算出できる。従って、k(T)の実測値からラジカル温度Tを推定することができる。
ラジカル温度取得部912によりラジカル温度Tを推定した後は、分析例1と同様にしてラジカル密度の指標値を求めることができる。なお、第1実施形態の質量分析装置においも、温度計測部65を使用する代わりに複数の標準物質を使用した測定によりラジカル密度の指標値を求めることもできる。
2つの標準物質A, Bからラジカル温度Tを推定する具体的な例を説明する。ここで説明に使用する測定例は第1実施形態の質量分析装置においてRCL及びフラーレンを標準物質として使用した結果であるが、第2実施形態の質量分析装置においても同様の測定を行ってラジカル温度Tを推定できる。なお、フラーレンのラジカル付着反応の活性化エネルギーは0kJ/molである。
図6は分析例1におけるRCLの測定と同じく複数のラジカル照射条件でフラーレンに水素ラジカルを付着させることにより生成したプロダクトイオン(水素付加イオン)の測定結果である。図6の上段左は測定により得られたプロダクトイオンスペクトルであり、上段右はプロダクトイオンスペクトル全体を1つのピークとして表してピークトップのシフト量を求めたものである。また、図7は、フラーレン(活性化エネルギーEA=0kJ/mol)とRCL(活性化エネルギーEB=11kJ/mol)について上述した式から数値的解法により算出した、ラジカル温度Tと反応ラジカル量の比k(T)の関係を示すグラフである。図3に示した、RCLに対するHAD(10A)の結果では、約10%のプリカーサイオンに水素が付着している。また、図6に示す、フラーレンに対するHAD(10A)の結果では、約50%のプリカーサイオンに水素が付着している。これらの比からk(T)=0.2となる。この比の値と図7のグラフから、水素ラジカルのラジカル温度が800Kであることが分かる。
以上、説明したように、第1実施形態及び2の質量分析装置では、ラジカル供給部5、6からイオントラップ2に供給されるラジカル密度の指標値を算出することができる。そのため、例えばライブラリに収録するプロダクトイオンスペクトル作成時のラジカルの条件を明確にすることができる。未知試料を分析する際は、該未知試料を同じイオントラップ2に入れ、そこに同様の方法でラジカル供給部5、6から対象ラジカルを供給して分析対象の試料成分のプロダクトイオンを生成し、そのプロダクトイオンスペクトルを測定する。これにより、当該試料成分について測定されたプロダクトイオンスペクトルとライブラリに収録されているプロダクトイオンスペクトルとが同じ条件(密度)のラジカルにより生成され、両者を正しく比較することができ、目的化合物の正しい同定を行うことができるようになる。
上記第1実施形態及び2と分析例1及び2はいずれも一例であって、本発明の趣旨に沿って適宜に変更することができる。
上記分析例1及び2では、水素ラジカルを用いた分析を行う場合に水素ラジカルの密度(の指標値)を求める場合を説明したが、ヒドロキシラジカル、酸素ラジカル、窒素ラジカル等、他の種類のラジカルを用いる分析にも適用可能である。原料ガスとして水蒸気を用いた場合には、ヒドロキシルラジカル、酸素ラジカル、及び水素ラジカルが生成される。空気を用いた場合には、主として酸素ラジカルと窒素ラジカルが生成される。酸素ガスを用い場合には酸素ラジカルが生成される。窒素ガスを用いた場合には窒素ラジカルが生成される。水素ラジカルをペプチド由来のプリカーサイオンに照射することによりc/z系列のプロダクトイオンを生成することができる。ヒドロキシルラジカル、酸素ラジカル、あるいは窒素ラジカルをペプチド由来のプリカーサイオンに照射することによりa/x系列やb/y系列のプロダクトイオンを生成することができる。
また、本発明者による先の出願(PCT/JP2018/043074)に記載のとおり、炭化水素鎖を含む試料成分由来のプリカーサイオンに対してヒドロキシラジカルや酸素ラジカルなどの酸化能を有するラジカルを照射する場合にも適用することができる。この場合には、該炭化水素鎖に含まれる不飽和結合の位置で特異的に解離を生じさせ、それにより生成したプロダクトイオンから炭化水素鎖の構造を推定することができる。加えて、炭化水素鎖に含まれる不飽和結合の位置に酸素原子が付加したプロダクトイオンを生成させ、該炭化水素の不飽和結合の構造がシス型であるかトランス型であるかを推定する場合にも適用することができる。
さらに、上記先の出願に記載のとおり、炭化水素鎖を含む試料成分由来のプリカーサイオンに対して、窒素ラジカル等の還元能を有するラジカルを照射する場合にも適用することができる。この場合には、飽和結合と不飽和結合を問わず、炭化水素鎖に含まれる炭素-炭素結合の位置で特異的に解離を生じさせることにより、該炭化水素鎖の構造を推定することができる。
上記分析例1では、温度計測部65の赤外放射計によりキャピラリ62の温度を測定することによりラジカルの温度を推定したが、ラジカル温度の推定法はこれに限定されず、装置の構成等に応じた適宜の方法でラジカル温度を推定すればよい。
上記分析例2ではラジカル付着反応の活性化エネルギーが0J/mol(エネルギー閾値EA=0kJ/mol)であるフラーレンと、活性化エネルギーが11kJ/mol(エネルギー閾値EB=11kJ/mol)であるRCLの2種類を標準物質として使用したが、ラジカル付着反応の活性化エネルギーが既知のものであり、その活性化エネルギーの大きさが異なるものであれば、他の標準物質の組み合わせを用いることもできる。また、3種類以上の標準物質を用いることにより、ラジカル温度の算出精度をより高めることもできる。さらに、上記分析例では、プリカーサイオンにラジカルが付加したイオンをプロダクトイオンとし、該プロダクトイオンの量からラジカル付着反応を生じさせたラジカルの量を求めたが、ラジカルの付着反応によってプリカーサイオンが解離して生成されたフラグメントイオンの量を測定し、その量からラジカル付着反応を生じさせたラジカルの量を求めることもできる。
さらに、上記第1実施形態及び第2実施形態は、三次元イオントラップを備えたイオントラップ-飛行時間型質量分析装置としたが、三次元イオントラップに代えてリニアイオントラップや衝突セルを使用し、それらにプリカーサイオンが導入されるタイミングでラジカルを照射するように構成することもできる。また、上記の第1実施形態及び第2実施形態では飛行時間型質量分離部をリニア型としたが、リフレクトロン型やマルチターン型等の飛行時間型質量分離部を用いてもよい。また、飛行時間型質量分離部以外に、例えばイオントラップ2自体のイオン分離機能を利用して質量分離を行うものや、オービトラップなど、他の形態の質量分離部を用いることもできる。さらに、上記実施形態で説明したラジカル供給部は、質量分析装置のほか、イオン移動度分析装置においても好適に用いることができる。さらに、上記第2実施形態では高周波プラズマ源を用いたが、これに代えてホローカソードプラズマ源を用いることもできる。あるいは大気圧雰囲気でラジカルを生成してもよい。
[態様]
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
(第1項)一態様に係る前記イオン分析装置は、
試料成分由来のプリカーサイオンに所定の種類のラジカルを照射してプロダクトイオンを生成し分析するイオン分析装置であって、
反応室と、
前記ラジカルを生成して前記反応室に供給するラジカル供給部と、
前記ラジカル供給部から前記反応室に供給される前記ラジカルの温度を取得するラジカル温度取得部と、
前記ラジカルが付着する反応の活性化エネルギーが既知である標準物質から生成した所定のプリカーサイオンを所定量、前記反応室に供給する標準物質供給部と、
前記ラジカルとの反応によって前記標準物質由来のプリカーサイオンから生成される所定のプロダクトイオンの量を測定するイオン測定部と、
前記測定されたプロダクトイオンの量に基づいて、前記反応室に供給されたラジカルのうち前記活性化エネルギー以上のエネルギーを有するラジカルである反応ラジカルの量を求める反応ラジカル量算出部と、
前記ラジカルの温度、前記活性化エネルギー、及び前記反応ラジカル量に基づいてラジカル密度を求めるラジカル密度算出部と
を備える。
第1項に記載のイオン分析装置では、ラジカル供給部から反応室に供給されるラジカル密度が算出されるため、例えばライブラリに収録されるプロダクトイオンスペクトル作成時のラジカル照射条件を明確にすることができる。また、未知試料を分析する際は、該未知試料を同じ反応室に入れ、そこに同様の方法でラジカル供給部から対象ラジカルを供給して分析対象の試料成分由来のプロダクトイオンを生成し、そのプロダクトイオンスペクトルを測定することにより、ライブラリに収録されているプロダクトイオンスペクトルと同じ条件(密度)でラジカルを照射したプロダクトイオンスペクトルを取得して、当該試料成分を正しく同定することができる。
(第2項)第1項に記載のイオン分析装置において、
前記ラジカル供給部が、原料ガス供給源と、前記原料ガス供給源から供給される原料ガスを熱解離させる熱解離部とを備え、
前記ラジカル温度取得部が、前記熱解離部の温度を測定することによりラジカルの温度を取得するものであってもよい。
第2項に記載のイオン分析装置によれば、熱解離部の温度を測定することにより、ラジカル温度を簡便に取得することができる。
(第3項)第1項又は第2項のイオン分析装置において、
前記イオン測定部が、前記活性化エネルギーが異なる複数の標準物質についてそれぞれ所定のプロダクトイオンの量を測定し、
前記反応ラジカル量算出部が、前記複数の標準物質についてそれぞれ反応ラジカルの量を求め、
前記ラジカル温度取得部が、前記標準物質の反応ラジカル数の比に基づいてラジカルの温度を取得するものであってもよい。
第3項のイオン分析装置によれば、物理的な温度測定器等を用いることなくラジカルの温度を取得することができる。
(第4項)第1項から第3項のいずれかに記載のイオン分析装置において、
前記イオン測定部により測定されるプロダクトイオンは、前記プリカーサイオンにラジカルが付加したラジカル付加イオンであってもよい。
第4項に記載のイオン分析装置では、ラジカル付加イオンを測定して反応ラジカルの量を求める。ラジカルの付加反応ではプリカーサイオンが解離しフラグメントイオンが生成される場合もあるが、その場合、1つのラジカルから複数のイオンが生成される。一方、ラジカル付加イオンはラジカル量と同量になるため、より簡便かつ正確に反応ラジカル量を求めることができる。
(第5項)第1項から第4項のいずれかに記載のイオン分析装置において、
前記ラジカルが、水素ラジカル、酸素ラジカル、又は窒素ラジカルであってもよい。
第5項に記載のイオン分析装置では、試料成分の特性(例えばペプチド、炭化水素鎖を含む化合物)や解析の目的に応じた種類のラジカルのラジカル温度を求めることができる。
(第6項)第1項から第5項のいずれかに記載のイオン分析装置において、さらに、
記憶部と、
前記ラジカル供給部によるラジカルの照射条件の入力を受け付けるラジカル照射条件入力受付部と、
前記ラジカル照射条件とラジカル密度とを対応付けたラジカル密度情報を前記記憶部に保存するラジカル密度情報保存部と
を備えていてもよい。
第6項に記載のイオン分析装置では、ラジカル照射条件と該ラジカル照射条件でプリカーサイオンに照射されるラジカルの密度を対応付けたラジカル温度情報が得られる。このラジカル温度情報を記憶部等に蓄積することによってラジカル温度情報のデータベースを構築することができる。
(第7項)第6項に記載のイオン分析装置において、さらに、
前記プリカーサイオンに照射するラジカルのラジカル密度の入力を受け付けるラジカル照射条件入力受付部と、
前記ラジカル密度情報に基づいて、前記入力されたラジカル密度のラジカルを照射する条件を決定するラジカル照射条件決定部と
を備えていてもよい。
第7項に記載のイオン分析装置では、ラジカル密度を入力するのみで、その密度のラジカルをプリカーサイオンに照射することができるラジカル照射条件を簡便に決めることができる。
(第8項)第6項に記載のイオン分析装置において、さらに、
前記プリカーサイオンに照射するラジカルのラジカル密度と照射時間の入力を受け付けるラジカル照射条件入力受付部と、
前記ラジカル密度情報に基づいて、前記入力されたラジカル密度と照射時間の積と一致するように、ラジカル照射条件及び照射時間を決定するラジカル照射条件決定部と
を備えていてもよい。
第8項に記載のイオン分析装置では、ラジカル密度情報にラジカル密度が離散的な値として保存されており、入力されたラジカル密度に一致するラジカル照射条件が保存されていない場合でも、入力されたラジカル密度及び照射時間でプリカーサイオンに照射されるラジカルと同量のラジカルを照射可能なラジカル照射条件及び照射時間を簡便に決めることができる。
1…イオン源
11…標準物質供給部
2…イオントラップ
21…リング電極
22…入口側エンドキャップ電極
23…イオン導入孔
24…出口側エンドキャップ電極
25…イオン射出孔
26…ラジカル導入口
27…ラジカル排出口
3…飛行時間型質量分離部
4…イオン検出器
5、6…ラジカル供給部
51、61…原料ガス供給源
52…ラジカル生成室
53…高周波プラズマ源
531…マイクロ波供給源
532…スリースタブチューナー
54…ノズル
541…接地電極
542…トーチ
543…ニードル電極
544…コネクタ
55、66…スキマー
56、64…バルブ
62…キャピラリ
63…加熱部
65…温度計測部
7…不活性ガス供給部
71…不活性ガス供給源
72…バルブ
73…ガス導入管
74…トラップ電圧発生部
8…機器制御部
9…制御・処理部
90…記憶部
911、912…ラジカル温度取得部
92…イオン測定部
93…反応ラジカル量算出部
94…ラジカル密度算出部
95…ラジカル密度情報保存部
96…ラジカル照射条件入力受付部
97…ラジカル照射条件決定部
98…入力部
99…表示部

Claims (8)

  1. 試料成分由来のプリカーサイオンに所定の種類のラジカルを照射してプロダクトイオンを生成し分析するイオン分析装置であって、
    反応室と、
    前記ラジカルを生成して前記反応室に供給するラジカル供給部と、
    前記ラジカル供給部から前記反応室に供給される前記ラジカルの温度を取得するラジカル温度取得部と、
    前記ラジカルが付着する反応の活性化エネルギーが既知である標準物質から生成した所定のプリカーサイオンを所定量、前記反応室に供給する標準物質供給部と、
    前記ラジカルとの反応によって前記標準物質由来のプリカーサイオンから生成される所定のプロダクトイオンの量を測定するイオン測定部と、
    前記測定されたプロダクトイオンの量に基づいて、前記反応室に供給されたラジカルのうち前記活性化エネルギー以上のエネルギーを有するラジカルである反応ラジカルの量を求める反応ラジカル量算出部と、
    前記ラジカルの温度、前記活性化エネルギー、及び前記反応ラジカル量に基づいてラジカル密度を求めるラジカル密度算出部と
    を備えるイオン分析装置。
  2. 前記ラジカル供給部が、原料ガス供給源と、前記原料ガス供給源から供給される原料ガスを熱解離させる熱解離部とを備え、
    前記ラジカル温度取得部が、前記熱解離部の温度を測定することによりラジカルの温度を取得する、請求項1に記載のイオン分析装置。
  3. 前記イオン測定部が、前記活性化エネルギーが異なる複数の標準物質についてそれぞれ所定のプロダクトイオンの量を測定し、
    前記反応ラジカル量算出部が、前記複数の標準物質についてそれぞれ反応ラジカルの量を求め、
    前記ラジカル温度取得部が、前記標準物質の反応ラジカル数の比に基づいてラジカルの温度を取得する、請求項1に記載のイオン分析装置。
  4. 前記イオン測定部により測定されるプロダクトイオンが、前記プリカーサイオンにラジカルが付加したラジカル付加イオンである、請求項1に記載のイオン分析装置。
  5. 前記ラジカルが、水素ラジカル、酸素ラジカル、又は窒素ラジカルである、請求項1に記載のイオン分析装置。
  6. さらに、
    記憶部と、
    前記ラジカル供給部によるラジカルの照射条件の入力を受け付けるラジカル照射条件入力受付部と、
    前記ラジカル照射条件とラジカル密度とを対応付けたラジカル密度情報を前記記憶部に保存するラジカル密度情報保存部と
    を備える請求項1に記載のイオン分析装置。
  7. さらに、
    前記プリカーサイオンに照射するラジカルのラジカル密度の入力を受け付けるラジカル照射条件入力受付部と、
    前記ラジカル密度情報に基づいて、前記入力されたラジカル密度のラジカルを照射する条件を決定するラジカル照射条件決定部と
    を備える請求項に記載のイオン分析装置。
  8. さらに、
    前記プリカーサイオンに照射するラジカルのラジカル密度と照射時間の入力を受け付けるラジカル照射条件入力受付部と、
    前記ラジカル密度情報に基づいて、前記入力されたラジカル密度と照射時間の積と一致するように、ラジカル照射条件及び照射時間を決定するラジカル照射条件決定部と
    を備える請求項に記載のイオン分析装置。
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