JP2023045093A - プラズマ処理を行う装置、及びプラズマ処理を行う方法 - Google Patents

プラズマ処理を行う装置、及びプラズマ処理を行う方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プラズマ化した処理ガスから、基板に対して高密度のラジカルを供給して処理を行う技術を提供する。【解決手段】載置台上の基板にプラズマ化した処理ガスを供給して処理を行う装置は、互いに対向させて配置される対向面を有し、高周波電源に接続されたカソード電極、及び接地端側のアノード電極からなる電極セットを配置して得られた前記対向面の間の空間であって、前記処理ガスをプラズマ化するための複数のプラズマ生成空間と、前記プラズマ生成空間でプラズマ化した前記処理ガスを前記載置台側へ供給すると共に、前記プラズマ化した処理ガス中に含まれるイオンをシース領域にトラップするための、誘電体面を有する複数の供給流路が形成されたイオントラップ部と、を備える。【選択図】図1

Description

本開示は、プラズマ処理を行う装置、及びプラズマ処理を行う方法に関する。
半導体デバイスの製造工程にて半導体ウエハ(以下、「ウエハ」と記載する)に成膜を行う処理として、CVD(Chemical Vapor Deposition)法や、ALD(Atomic Layer Deposition)法が知られている。これらの成膜処理では、膜原料を含む原料ガス、原料ガスの酸化や還元を行う反応ガスなど(以下、これらをまとめて「成膜ガス」という)が用いられる。
成膜処理においては、成膜ガスをプラズマ化することにより得られた反応性の高い活性種を利用する場合がある。例えば特許文献1、2には、径の異なる円環形状や円筒形状の電極を同心円状に配置し、電極に高周波電力を供給することにより、電極付近に供給されたガスをプラズマ化する技術が記載されている。
また、成膜処理以外に、エッチング処理や改質処理などにおいても、プラズマ化したガス中の活性種を利用した処理が行われる。
特開2016-122491号公報 特開平5-226258号公報
本開示は、プラズマ化した処理ガスから、基板に対して高密度のラジカルを供給してプラズマ処理を行う技術を提供する。
本開示は、処理容器内の基板にプラズマ化した処理ガスを供給してプラズマ処理を行う装置であって、
前記処理容器内に設けられ、前記基板を載置するための載置台と、
各々、互いに対向させて配置される対向面を有し、高周波電源に接続されたカソード電極、及び接地端側のアノード電極からなる電極セットと、
前記載置台の上方側の空間に、複数の前記電極セットを配置して得られた前記対向面の間の空間であって、前記処理ガスをプラズマ化するための複数のプラズマ生成空間と、
前記複数のプラズマ生成空間に前記処理ガスを供給するための処理ガス供給部と、
前記複数のプラズマ生成空間と前記載置台との間に配置され、前記プラズマ生成空間でプラズマ化した前記処理ガスを前記載置台側へ供給すると共に、前記プラズマ化した処理ガス中に含まれるイオンをシース領域にトラップするための、誘電体面を有する複数の供給流路が形成されたイオントラップ部と、を備えた、装置である。
本開示によれば、プラズマ化した処理ガスから、基板に対して高密度のラジカルを供給してプラズマ処理を行うことができる。
本開示に係る成膜装置の縦断側面図である。 前記成膜装置に設けられているカソード電極及びアノード電極の横断平面図である。 イオントラップ部の第1の構成例を示す平面図である。 イオントラップ部の第2の構成例を示す平面図である。 イオントラップ部の作用図である。 成膜ガスの供給流路に形成される電位分布を示す説明図である。 他の例に係るイオントラップ部の作用図である。 前記カソード電極の他の構成例を示す縦断側面図である。 カソード電極及びアノード電極の変形例に係る横断平面図である。 第2の実施形態に係る成膜装置の縦断側面図である。 第2の実施形態に係るカソード電極及びアノード電極の作用図である。 第2の実施形態に係るプラズマ生成空間に形成されるシースの電位分布を示す説明図である。 第2の実施形態に係るカソード電極を移動させる駆動部の他の構成例を示す縦断側面図である。 前記他の構成例に係る駆動部の平面図である。 前記他の構成例に係る駆動部の横断平面図である。
<成膜装置>
以下、図1、図2を参照しながら、本開示に係る「プラズマ処理を行う装置」の実施形態である成膜装置1の構成例について説明する。
図1は、成膜装置1の縦断側面図である。この成膜装置1は、処理ガスとして、膜原料を含む原料ガスや反応ガスなどの成膜ガスをウエハWに供給し、ウエハWの表面に所望の物質の膜を成膜するように構成されている。成膜を行う手法としては、成膜ガスを連続的に供給しウエハWの表面に膜物質を堆積させるCVD法であってもよい。また、原料ガスの供給と排気、反応ガスの供給と排気を交互に実施し、ウエハWへの原料ガスの吸着と、反応とを繰り返して、膜物質の薄膜を積層させるALD法であってもよい。
成膜装置1は、接地された金属製の略円筒状の処理容器11を備える。処理容器11の側面には、不図示の真空搬送室との間でウエハWの搬入出を行うための搬入出口12が形成されている。この搬入出口12はゲートバルブ13により開閉自在に構成されている。
また処理容器11には、排気ライン14が接続されている。排気ライン14の下流側には、例えばバタフライバルブからなる圧力調整バルブや真空ポンプを含む真空排気部141が接続されている。真空排気部141により、予め設定された圧力まで処理容器11内を減圧し、この減圧された空間に成膜ガスを供給してウエハWへの成膜が行われる。
また処理容器11内の底面の中央部には、成膜対象のウエハWを載置するための載置台15が設けられている。載置台15には不図示のヒーターが埋設され、予め設定された設定温度にウエハWを加熱することができる。さらに載置台15には、ウエハWを保持して昇降させるための図示しない昇降ピンが設けられている。昇降ピンの昇降により、載置台15と、外部の図示しない搬送機構との間でウエハWの受け渡しを行うことができる。
本例の成膜装置1は、高周波電源72に接続されたカソード電極3と、接地端側のアノード電極2とを用いて成膜ガスをプラズマ化し、得られた活性種を用いて成膜を行う。図1、図2に示すように、処理容器11内には、柱状電極2bまたは筒状電極2aである複数のアノード電極2と、筒状電極3aである複数のカソード電極3とが同心円状に交互に配置されている。カソード電極3及びアノード電極2は、各々、導電性を有する金属により構成される。またカソード電極3及びアノード電極2の少なくとも一方の表面は、金属よりもラジカル再結合率が低い、セラミックス被膜によって被覆してもよい。特に、二酸化ケイ素(SiO)は、ラジカル再結合率が極めて低いことが知られており、カソード電極3やアノード電極2を被覆するセラミックス被膜として好適である。
これら複数のカソード電極3及びアノード電極2のうち、隣り合って配置されたカソード電極3とアノード電極2とは、本例の電極セットを構成している。電極セットを構成するカソード電極3、アノード電極2は、互いに対向して配置される対向面を有している。これら対向面の間の円筒状の空間が、成膜ガスをプラズマ化するためのプラズマ生成空間40となっている。
ここで図2には、中央位置に配置されたアノード電極2から、最外周側に配置されたアノード電極2まで、各電極2、3にI~Vの識別符号を付してある。これらの識別符号を用いて示すと、本例の成膜装置1には、アノード電極2(I)-カソード電極3(II)、カソード電極3(II)-アノード電極2(III)、アノード電極2(III)-カソード電極3(IV)、及びカソード電極3(IV)-アノード電極2(V)の4つの電極セットが設けられていることになる。そして、アノード電極2(I)の外周面-カソード電極3(II)の内周面、カソード電極3(II)の外周面-アノード電極2(III)の内周面、アノード電極2(III)の外周面-カソード電極3(IV)の内周面、及びカソード電極3(IV)の外周面-アノード電極2(V)の内周面が、各々、既述の対向面に相当している。
同心円状に配置されたカソード電極3及びアノード電極2は、図1に示すように、処理容器11の天井面側に固定配置された誘電体製の支持部材6によって、各々、その上端部が支持されている。この構成により、カソード電極3及びアノード電極2は、柱状電極2b、筒状電極2a、3aの軸を上下方向に向け、処理容器11内へ向けて吊り下げ支持された状態となる。従って、これらカソード電極3、アノード電極2の対向面間に複数形成される円筒状のプラズマ生成空間40についても、各円筒の軸を上下方向に向けて、同心円状に配置される。
さらに図1に示すように、これらのカソード電極3、アノード電極2は、載置台15に載置されたウエハWの上方側の空間を区画するように配置される。この配置により、上面側から平面視したとき、載置台15に載置されたウエハWの全面が、同心円状に形成、配置された複数のプラズマ生成空間40によって覆われた状態となる。
支持部材6によって吊り下げ支持されているカソード電極3の上端部は、当該支持部材6内に埋め込まれた円板状の給電板31の下面に接続されている。給電板31の上面側中央部には、給電軸32が接続されている。給電軸32は、支持部材6及び処理容器11の天井部を貫通するように上方側へ向けて延在するように設けられている。
給電軸32の上端は、整合器71を介して高周波電源72に接続されている。また、給電軸32が処理容器11の天井部を貫通する位置には、給電軸32と処理容器11との短絡を防止するための絶縁部材33が設けられている。給電軸32が処理容器11の天井部を貫通する位置には、処理容器11内を気密に保つためのシール部材111が設けられている。
また、支持部材6によって吊り下げ支持されているアノード電極2の上端部は、当該支持部材6内に埋め込まれた接続線22によって互いに電気的に接続されている。なお、支持部材6内において、カソード電極3には、アノード電極2を通すための不図示の配線用の孔部が設けられている。一方、接続線22は、例えば絶縁被覆された状態で支持部材6内に配置されているので、カソード電極3と接続線22とは互いに絶縁された状態となっている。
接続線22によって互いに電気的に接続された複数のアノード電極2の1つには、接地線21が接続されている。接地線21は、支持部材6及び処理容器11の天井部を貫通するように上方側へ向けて延在するように設けられ、フィルター73及びDCバイアス74を介して接地されている。但し、フィルター73やDCバイアス74を設けることは必須の要件ではなく、接地線21を直接、接地してもよい。また、接地線21が処理容器11の天井部を貫通する位置には、接地線21と処理容器11との短絡を防止するための絶縁部材110が設けられている。
さらに図1に示すように、支持部材6の内部には、各プラズマ生成空間40へ向けて成膜ガスを供給するためのガス分配流路62が形成されている。ガス分配流路62には、各プラズマ生成空間40の天井部に向けて開口する複数の吐出孔63が接続されている。
なお、成膜ガスの供給は、プラズマ生成空間40の天井部側から行う場合のみに限定されない。例えば支持部材6を介してカソード電極3、アノード電極2の内部に連通するガス分配流路62を設け、このガス分配流路62に対し、各電極3、2の側壁面に向けて開口する複数の吐出孔63を接続してもよい。
ガス分配流路62は、支持部材6を上下方向に貫通するガス供給流路61に接続され、さらにガス供給流路61は、処理容器11の外部に設けられたガス供給ライン81に接続されている。ガス供給ライン81の上流側には、バルブV1及び流量調節部82を介してガス供給源83が接続されている。
ガス供給源83からは、既述の成膜ガス(原料ガスや反応ガス)の他、処理容器11からの成膜ガスの排出を促進するパージガス、成膜ガスのプラズマ化を補助するために添加されるアルゴンガスなどの補助ガスを供給してもよい。このように、複数種類のガスの供給を行う場合に、共通のガス分配流路62に対して複数系統のガス供給ライン81を接続してもよいし、複数系統のガス供給ライン81に対応した複数のガス分配流路62を支持部材6内に設けてもよい。
プラズマ生成空間40に成膜ガスを供給する観点において、ガス分配流路62や吐出孔63が形成された支持部材6、ガス供給ライン81やガス供給源83などは、本例の処理ガス供給部に相当している。
上述の構成により、高周波電源72に接続されたカソード電極3と、接地端側のアノード電極2との間には、平行平板型のプラズマ生成空間40が構成される。そして、吐出孔63から成膜ガスなどを供給して高周波電力を印加することにより、当該ガスが電離してプラズマが形成される。
ここでプラズマ化した成膜ガス中には、イオンやラジカルなど多種類の活性種が含まれている。これらのうち、高いエネルギーを持つイオンは、ウエハWに成膜される膜の荒れや、下地の損傷を引き起こすおそれがある。この観点で、イオンの含有量を低減し、ラジカルを多く含むプラズマをウエハWに供給することができれば、良質な膜の成膜を実現することができる。
そこで、本例の成膜装置1は、プラズマ生成空間40内で形成されたプラズマ中のイオンをトラップするためのイオントラップ部5を備えている。
イオントラップ部5は、誘電体部材、または表面が誘電体により被覆された金属部材により構成される円板状の部材である。誘電体部材の本体を構成する誘電体、または金属部材を被覆する誘電体としては、金属よりもラジカル再結合率が低いセラミックスを用いる。既述のように、二酸化ケイ素(SiO)は、ラジカル再結合率が極めて低く、誘電体部材の本体を構成する誘電体、または金属部材を被覆する誘電体として好適である。
図1に示すように、イオントラップ部5は、カソード電極3及びアノード電極2よって構成されるプラズマ生成空間40と、ウエハWの載置台15との間に配置される。イオントラップ部5は、カソード電極3及びアノード電極2の下端部を下面側から覆うように配置されている。イオントラップ部5の周縁領域には、上方へ向けて突出する縁部52が形成され、この縁部52により、最外周側のアノード電極2の下端部を外周面側から覆うように取り付けられている。この他、アノード電極2の下面に、ネジを用いて、板状のイオントラップ部5を取り付ける構成としてもよい。
図1、図5に示すように、イオントラップ部5には、プラズマ生成空間40内で形成された成膜ガスのプラズマを載置台15上のウエハW側に向けて供給するための多数の供給流路51が形成されている。これらの供給流路51は、プラズマ生成空間40が形成されている領域の下面側に配置されている。
図3、図4は、いずれもイオントラップ部5を下面側から見た平面図であり、開口形状が異なる供給流路51a、51bの構成例を示している。なお、図5に示す例のように、流路形状がイオントラップ部5内で変形していない場合には、上記開口形状は、供給流路51a、51bの横断面形状を示している。これらの図中、長い破線は、下面側から見たカソード電極3の輪郭線を示し、一点鎖線は、同じくアノード電極2の輪郭線を示している。
図3は、開口形状が細長いスリット状となるように供給流路51aを形成した例であり、図4は、開口形状が円形となるように供給流路51bを形成した例である。供給流路51a、51bの流路壁面を構成する誘電体面のラジカル再結合率が同じ場合には、図3のスリット状の供給流路51bの方が、ラジカルと供給流路51bの壁面との接触確率が小さくなり、ウエハWに対して効率的にラジカルを供給することができる。
また、後述するイオントラップの作用の観点から、供給流路51の流路幅は、0.1~5mm、好適には0.8~1.2mm程度の範囲内の寸法に構成されていることが好ましい。ここでスリット状の横断面形状を有する供給流路51aにおいて、流路幅とは、スリットの短辺方向の流路壁面間の距離に相当している。また、円形の横断面形状を有する供給流路51aにおいて、流路幅とは、円の直径に相当している。
イオントラップ部5が誘電体部材により構成されている場合、または金属部材により構成されたイオントラップ部5の表面が誘電体により被覆されている場合のいずれにおいても、供給流路51の流路壁面は、誘電体面により構成された領域を含んでいる。
また図1に示すように、成膜装置1は制御部100を備えている。制御部100は、プログラムを記憶した記憶部、メモリ、CPUを含むコンピュータにより構成される。プログラムは、制御部100から成膜装置1の各部に向けて制御信号を出力し、ウエハWの搬入出や処理を実行するための命令(ステップ)が組まれている。プログラムは、コンピュータの記憶部、例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)、不揮発性メモリなどに格納され、この記憶部から読み出されて制御部100にインストールされる。
<成膜処理>
次いで、以上に説明した構成を備える成膜装置1を用い、プラズマ処理として、ウエハWへの成膜処理を行う動作について説明する。
外部の真空搬送室に処理対象のウエハWが搬送されてきたら、ゲートバルブ13を開き、搬入出口12を介して、ウエハWを保持した搬送機構(不図示)を処理容器11内に進入させる。そして、載置台15に設けられた不図示の昇降ピンとの協働作用により、搬送機構からウエハWを受け取り、載置台15上に載置する。
しかる後、処理容器11から搬送機構を退出させ、ゲートバルブ13を閉じると共に、処理容器11内の圧力調節、ウエハWの温度調節を行う。次いで、各プラズマ生成空間40へ向けて成膜ガスの供給を行うと共に、高周波電源72から高周波電力を印加することにより、プラズマ生成空間40に供給された成膜ガスをプラズマ化する。
このとき、CVD法により成膜を行う場合は、プラズマ生成空間40に対して成膜ガスが連続的に供給される。反応の内容に応じて、原料ガスを単独で連続供給してもよいし、原料ガスと反応ガスとを同時に連続供給してもよい。
また、ALD法により成膜を行う場合には、例えば「原料ガスの供給(ウエハWへの吸着)→パージガスの供給→反応ガスの供給(ウエハWに吸着した原料との反応)→パージガスの供給」のサイクルが、所定回数繰り返される。
<イオントラップ>
上述した成膜ガスの供給期間中、プラズマ化した成膜ガスは、図5に示すように載置台15(ウエハW)が配置されている方向へ向けてプラズマ生成空間40内を下方側へ向けて流れていく。一方、カソード電極3およびアノード電極2の壁面(対向面)の近傍には、プラズマのバルク領域Pに対して電位差があるシース領域Sh1が形成される。
このシース領域Sh1は、プラズマのバルク領域Pと比較して相対的に電位が低いため、プラズマに含まれる正イオンPIは、シース領域Sh1の電位差により、ウエハWと平行な方向へ向けて加速される。ここで図5に示すように、正イオンPIは、プラズマの流れ方向と交差する方向へ向けて移動するため、シース領域Sh1により加速されるイオンはカソード電極3およびアノード電極2の壁面に衝突して消滅する。但し、各電極3、2の壁面に到達せず、消滅していない正イオンPIがプラズマ中に残存する場合もある。この点、既述のようにウエハWと平行な方向に加速された正イオンPIは、ウエハWに成膜される膜の荒れや、下地の損傷を引き起こすおそれが小さい。この点、本例のプラズマ生成空間40は、正イオンPIのエネルギーが低減された状態のプラズマをウエハWに向けて供給することができる。
一方、ラジカルは、シース領域Sh1への電位差によるドリフトに伴うプラズマ中の含有量の減少は生じにくい。また、カソード電極3やアノード電極2の表面が、ラジカル再結合率が低い誘電体によって被覆されている場合には、壁面でのラジカル消滅が抑制できる。
さらに本例の成膜装置1は、プラズマ生成空間40の出口側にイオントラップ部5が配置されている。このため、プラズマ生成空間40から流出したプラズマの殆どは、イオントラップ部5の上面に衝突するか、そのまま供給流路51内に流れ込む。しかる後、供給流路51から流れ出たプラズマが、載置台15上のウエハW側へと供給される。このとき、プラズマの流れはイオントラップ部5の表面に接触することになるが、イオントラップ部5の表面近傍にも、プラズマのバルク領域Pに対して電位差があるシース領域Sh2が形成される。
イオントラップ部5に形成されるシース領域Sh2においても、プラズマの流れに含まれる正イオンPIをシース領域Sh2によりイオントラップ部5の壁面に移動させ、プラズマ中の正イオンPIの含有量を低減する効果が得られる。特に、供給流路51の流路幅を0.8~1.2mmの範囲内の寸法とすることで、より広い流路幅を持つ場合の図6(a)の状態から、図6(b)の状態に、供給流路51内の電位分布を調節することができる。図6(b)に示す電位分布は、プラズマの流れの中央側まで、シース領域Sh2が形成されていることを示している。この結果、プラズマの流れ全体に含まれる正イオンPIに対し、供給流路51の壁面側へ向けて移動させる力を及ぼすことができる。
一方、イオントラップ部5の上面に衝突し、また狭い供給流路51内を流れるプラズマにおいては、プラズマ中のラジカルがイオントラップ部5の上面や供給流路51の壁面と接触する頻度も大きくなる。このとき、既述のように本例のイオントラップ部5は、ラジカル再結合率の低い誘電体部材によって構成されているか、または表面が前記誘電体により被覆された金属部材によりが構成されている。これにより、プラズマ中のラジカルがイオントラップ部5の上面や供給流路51の壁面と接触したとしても、ラジカルの減少を抑制することができる。
以上に説明したメカニズムにより、プラズマ生成空間40内及びイオントラップ部5にて正イオンPIがトラップされ、当該正イオンPIの含有量が低減されたプラズマは、供給流路51を通過して載置台15上のウエハWに供給される。
正イオンPIの含有量が低減され、ラジカルを高密度で含有するプラズマを利用することにより、膜の荒れや、下地の損傷の少ない成膜を行うことができる。
予め設定された期間、CVD法やALD法による成膜を行ったら、プラズマ生成空間40への成膜ガスの供給、及びカソード電極3への高周波電力の供給を停止する。しかる後、搬入時とは反対の手順にて、成膜が行われたウエハWを処理容器11から搬出する。
本実施形態に係る成膜装置1によれば以下の効果がある。カソード電極3及びアノード電極2の対向面間に形成されたプラズマ生成空間40、及びイオントラップ部5に形成されるシース領域Sh1、Sh2にて、成膜ガスのプラズマに含まれる正イオンPIをトラップする。この結果、プラズマ化した成膜ガスから、ウエハWに対して高密度のラジカルを供給して成膜を行うことができる。
<バリエーション>
以下、図7~図14Bを参照し、既述の成膜装置1のバリエーションについて説明する。これらの図において、図1~図5を用いて説明したものと共通の構成要素に対しては、図1~図5に示したものと共通の符号を付してある。
図7は、イオントラップ部5内に形成される供給流路51cのバリエーションを示している。本例の供給流路51cは、イオントラップ部5の内部にて分岐し、分岐した位置にてプラズマ(成膜ガス)の流れ方向と交差する向きに配置された衝突面53が設けられている。供給流路51c内の他の領域の流路壁面と同様に、衝突面53は誘電体面により構成されている。
衝突面53を設けることにより、供給流路51c内に流れ込んだプラズマを衝突面53に衝突させ、正イオンPIのトラップ効率を向上させることができる。
イオントラップ部5内に衝突面53を形成する構成は、図7に示した構成に限定されない。例えば、クランク状に供給流路51を屈曲させ、屈曲位置にてプラズマの流れと対向する壁面を衝突面53としてもよい。
図8は、ホローカソード効果を利用して、高密度のラジカルを得る場合のカソード電極3bの縦断面を模式的に示している。本例のカソード電極3bは、アノード電極2との対向面(図8に向かって左側の面)にホロー(凹部)35が形成されている。ホロー35は、カソード電極3bの対向面の周方向に沿って伸びる溝により構成してもよい。この場合には、対向面の高さ方向に、互いに間隔を開けて複数列の溝状のホロー35を形成してもよい。また、例えば開口形状が円形の多数のホロー35を、カソード電極3bの対向面の全面に分散して形成してもよい。
上記構成のカソード電極3bによれば、ホローカソード効果により、ホロー35内で高密度のプラズマが形成される。しかる後、当該プラズマがプラズマ生成空間40、イオントラップ部5を流れる過程にて、既述のようにシース領域Sh1、Sh2に正イオンPIがトラップされ原料ガスの高密度ラジカルをウエハWに供給することができる。
なお、便宜上、図8においてはカソード電極3bの一面側のみにホロー35が形成されている例を示してある。これに対して、例えば筒状電極3aからなるカソード電極3bの内周面側、外周面側の双方にアノード電極2が配置されている場合、対向面となる両面に各々ホロー35を形成してもよい。
さらには、ホロー35は、カソード電極3b側のみに形成する場合に限定されない。アノード電極2にホロー35を設けてもよいし、カソード電極3とアノード電極2との両方にホロー35を設けてもよい。
この他、カソード電極3及びアノード電極2は、図2などを用いて説明した柱状電極2bや筒状電極3a、2aにより構成する場合に限定されない。例えば図9は、平板形状のカソード電極(板状電極3c)及びアノード電極2(板状電極2c)を用いてプラズマ生成空間40を構成した例を示している。この例では、各々、複数枚の板状電極3c及び板状電極2cが互いに平行に並ぶように、間隔を開けて交互に配置されている。また、成膜ガスの側方への流出を防ぐため、板状電極3c及び板状電極2cの隙間(プラズマ生成空間40)の両端部は、誘電体からなる側面部材64によって塞がれている。
上述の構成の板状電極3c及び板状電極2cを備えた成膜装置1においても、イオントラップ部5を設けることにより、図5を用いて説明した例と同様の作用効果を得ることができる。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態として、カソード電極3d及びアノード電極2の一方を移動可能に構成することにより、対向面の面積を変化させることが可能な成膜装置1aの例を説明する。
図10、図11に示す成膜装置1aは、カソード電極3dが、誘電体部分301と金属部分302とを組み合わせて構成されている点と、プラズマ生成空間40内に誘電体部23が挿入されている点と、カソード電極3を移動させるための駆動部9が設けられている点とが、図1、図2を用いて説明した第1の実施形態に係る成膜装置1と相違している。
図11(a)に示すように、本例の一方の電極であるカソード電極3dが円筒形状にされている点は、図2に示す第1の実施形態に係るカソード電極3と同様である。一方、このカソード電極3dは、円筒の周方向に沿って見たとき、カソード電極3dの本体を成す複数の金属部分302と、複数の誘電体部分301とを交互に配置して構成される。前記周方向は、プラズマ生成空間40から載置台15へ向かう成膜ガスの流れと交差する方向である交差方向に相当している。
また、本例の他方の電極であるアノード電極2には、複数の誘電体部23が設けられている。各誘電体部23は、円筒の壁面の一部を軸方向に沿って切り出した形状となっている。これらの誘電体部23は、プラズマ生成空間40の空間形状に対応するように構成され、各々、プラズマ生成空間40内に互いに間隔を開けて挿入される。本例の各誘電体部23は、アノード電極2における、カソード電極3dとの対向面に取り付けられている。そして図11(a)に示す、カソード電極3dを移動させる前のホームポジションにて、各誘電体部23は、カソード電極3d側の誘電体部分301の配置位置と重なるように配置される。
なお、誘電体部23を取り付ける位置は、前記対向面を成すアノード電極2の内周面/外周面に限定されない。例えばプラズマ生成空間40の天井面側の支持部材6に誘電体部23を取り付けてもよい。
ここで、図10に示す成膜装置1aの縦断側面図において、カソード電極3d及びアノード電極2の配置領域については、図11(a)中にA-A’で示す位置にて断面を矢視した状態を示している。一方、図11(a)中にB-B’で示す位置にて断面を矢視した状態は、図1中に示すカソード電極3及びアノード電極2の縦断面と相違がないので記載を省略している。
図10に示すように、本例の成膜装置1aには、カソード電極3dとアノード電極2とを円筒の周方向(既述の「交差方向」)に沿って相対的に移動させるための駆動部9が設けられている。以下の例では、駆動部9によりカソード電極3dを移動させる場合について説明する。
支持部材6及び処理容器11の天井部を貫通する絶縁部材33について、絶縁部材33の外周面側には、磁性流体シールを備えた軸受け112が設けられている。軸受け112は、処理容器11内を気密な状態に保ちつつ、絶縁部材33を回転自在に保持する。給電軸32は、絶縁部材33と一体に回転することが可能なように、絶縁部材33に対して固定されている。
処理容器11の天井部から上方側へ突出した絶縁部材33の上端部には、絶縁部材33と一体に給電軸32を回転させるためのプーリー91が設けられている。また、当該絶縁部材33側のプーリー91の側方位置には、駆動モーター94の回転軸に接続されたもう1つのプーリー93が設けられている。これらのプーリー91、93に駆動ベルト92を巻き掛けることにより駆動部9が構成されている。
上述の構成の駆動部9により、絶縁部材33を回転させると、給電軸32、給電板31及び各カソード電極3dが一体となって回転する。即ち、図11(a)、(b)に示すように、上面側から見ると、周方向に沿ってカソード電極3dを回転移動させることができる。この回転移動により、本例の成膜装置1aは、カソード電極3dとアノード電極2との間の対向面の面積を変化させることができる。
即ち、図11(a)に示すように、カソード電極3dを移動させる前のホームポジションにおいて、カソード電極3dの誘電体部分301は、プラズマ生成空間40内に挿入されるように設けられた誘電体部23に挟まれた状態となる。このホームポジションでは、カソード電極3d(302)とアノード電極2との間の対向面の面積が最大となる。図12(a)は、この状態で成膜ガスのプラズマを形成した場合におけるカソード電極3d-アノード電極2間の電位分布を模式的に示している。
次いでカソード電極3dを予め設定された角度、移動させると、誘電体部23に挟まれた状態となっていた誘電体部分301の一部が、プラズマ生成空間40側へと進入する。一方、カソード電極3dの本体を構成する金属部分302は、その一部が、誘電体部23に挟まれた領域へと進入する。この移動により、カソード電極3d(金属部分302)とアノード電極2との間の対向面の面積は、ホームポジションの状態と比べて小さくなる。
図12(b)は、この状態で成膜ガスのプラズマを形成した場合におけるカソード電極3d-アノード電極2間の電位分布を模式的に示している。このときカソード電極3dとアノード電極2との対向面積が小さくなる一方で、特に面積が小さくなったカソード電極3d(金属部分302)表面近傍では、負バイアスが発生する。この負バイアスによって、高周波電圧が正に振れたときにも、プラズマポテンシャルの大幅な変化を抑制することができる。そのため、イオントラップ5部のシース領域Sh2の電位差を低減し、供給流路51内を通過する正イオンPIのエネルギーを抑制できる。
さらに図12(b)に示すように、プラズマとアノード電極2との間は電位差が小さくなるので、スパッタリングが発生しにくい。なお、既述のようにカソード電極3dとプラズマとの間は電位差が大きくなるので、スパッタリング発生のおそれが生じる場合もあり得る。この点については、例えば予備実験を行い、スパッタリングによる損傷の影響が小さい範囲でカソード電極3dの回転角度を決定してもよい。
カソード電極3dの移動量(カソード電極3dとアノード電極2との対向面の面積)は、予備実験やシミュレーションにより、成膜条件に応じて好適なラジカル密度およびイオンエネルギーが得られる値を決定してもよい。この場合、カソード電極3dの移動量は、成膜装置1aのプロセス変数の1つとして、制御部100を制御するためのレシピ中に設定される。
また、分光計測法などにより、ウエハWに供給されるプラズマ中のラジカル密度およびイオンエネルギーをリアルタイムで測定し、このラジカル密度が予め設定した目標値に近付くようにカソード電極3dの移動量を常時調節する制御を行ってもよい。
また、駆動部9を構成する駆動モーター94の駆動力を伝達する機構は、プーリー91、93と駆動ベルト92とを利用するものに限定されない。例えば、駆動モーター94の回転軸及び絶縁部材33に設けた歯車を噛み合わせてギア機構を構成してもよい。
さらに図13、図14A、図14Bは、成膜装置1aに設けられる駆動部9aの他の構成例を示している。
本例の駆動部9aは、処理容器11の天井部から上方に突出する絶縁部材33の上端にコマ状の回転子34を設け、この回転子34の上面に設けられたリンクピン951にレバー952の先端部を接続している。回転子34は、ベアリング954を介して処理容器11の天井部の上面に支持され、鉛直軸周りに回転することができる。回転子34は、処理容器11の天井部の上面側に設けられた筐体部950内に収容されている。
図14A、図14Bに示すように、レバー952は、回転子34の側方側へ向けて横方向に延在するように設けられている。レバー952の基端部は、筐体部950の側壁面を貫通し、筐体部950の外部に設けられた支持板956にリンク接続されている。さらに支持板956は往復動モーター957の往復軸の先端部に接続されている。また、筐体部950の外部に突出したレバー952の周囲には、ベローズ955が設けられ、筐体部950内を気密な状態に維持している。
上述の構成により、往復動モーター957によりレバー952を移動させると、回転子34が所定の角度範囲で回転する。この回転子34の回転動作により、絶縁部材33を介して回転子34に接続されたカソード電極3dを回転移動させることができる。
図13に示すように、高周波電源72からの高周波電力を供給する給電バー70は、回転子34内に設けられた棒状の給電軸32に接続されている。この給電バー70は、筐体部950の天井面に設けられた開口部950aを介して外部へ延設されている。開口部950aは、回転子34の回転に応じて給電バー70が移動する軌道の形状に対応した扇型の開口を有している。また、筐体部950内の給電バー70の周囲には、筐体部950内を気密に維持するためのベローズ953が設けられている。ベローズ953は可撓性を有し、給電軸32の回転に伴う開口部950a内での給電バー70の移動に対応して変形することができる。
以上、図10~図14Bを用いて説明した第2の実施形態について、誘電体部分301と金属部分302とを組み合わせて構成される一方の電極は、カソード電極3dとする場合に限定されない。例えば各々複数の誘電体部分と金属部分とを周方向に組み合わせてアノード電極2を構成してもよい。
また駆動部9、9aにより回転移動させる対象は、カソード電極3d側に限定されない。カソード電極3dを固定配置する一方、アノード電極2側に駆動部を設けて、回転移動させてもよい。
また、図7~図9を用いて説明した各種のバリエーションは、第2の実施形態に係る成膜装置1aにも適用することができる。なお図9に示す例のように、図10に示すカソード電極3d、アノード電極2を平板形状とした場合には、その移動方向(成膜ガスの流れと交差する交差方向)は、平板の板面に沿った横方向となる。
以上に説明した各実施の形態に係る成膜装置1、1aにおいて、成膜対象の基板は、半導体ウエハに限定されない。例えばFPDのガラス基板であってもよい。
さらに、図1~図14を用いて説明した構成のアノード電極2、2a~2c、カソード電極3、3a~3d、イオントラップ部5を備えるプラズマ処理装置は、ウエハWへの成膜処理を行う成膜装置1、1aとして構成する場合に限定されない。エッチングガスのラジカルを利用して、ウエハWに形成された膜のエッチングを行うエッチング処理や、改質ガスのラジカルにより、ウエハW上の物質の改質を行う改質処理を、各々、プラズマ処理として実施するプラズマ処理装置として構成してもよい。
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
W ウエハ
1、1a 成膜装置
15 載置台
2 アノード電極
3 カソード電極
40 プラズマ生成空間
5 イオントラップ部
51 供給流路
72 高周波電源

Claims (12)

  1. 処理容器内の基板にプラズマ化した処理ガスを供給してプラズマ処理を行う装置であって、
    前記処理容器内に設けられ、前記基板を載置するための載置台と、
    各々、互いに対向させて配置される対向面を有し、高周波電源に接続されたカソード電極、及び接地端側のアノード電極からなる電極セットと、
    前記載置台の上方側の空間に、複数の前記電極セットを配置して得られた前記対向面の間の空間であって、前記処理ガスをプラズマ化するための複数のプラズマ生成空間と、
    前記複数のプラズマ生成空間に前記処理ガスを供給するための処理ガス供給部と、
    前記複数のプラズマ生成空間と前記載置台との間に配置され、前記プラズマ生成空間でプラズマ化した前記処理ガスを前記載置台側へ供給すると共に、前記プラズマ化した処理ガス中に含まれるイオンをシース領域にトラップするための、誘電体面を有する複数の供給流路が形成されたイオントラップ部と、を備えた、装置。
  2. 前記イオントラップ部は、誘電体部材、または表面が誘電体により被覆された金属部材により構成される、請求項1に記載の装置。
  3. 前記供給流路は、流路幅が0.1~10mmの範囲内に形成された領域を含む、請求項1または2に記載の装置。
  4. 前記供給流路は、前記プラズマ生成空間側から流入した前記処理ガスの流れ方向と交差する向きに配置された前記誘電体面からなる衝突面を備える、請求項1ないし3のいずれか一つに記載の装置。
  5. 前記プラズマ生成空間から前記載置台へ向かう前記処理ガスの流れと交差する方向である交差方向に沿って見たとき、前記カソード電極と前記アノード電極とのいずれか一方の電極は、当該一方の電極の本体を成す複数の金属部分と、複数の誘電体部分とを交互に配置して構成されることと、
    前記交差方向に沿って見たとき、前記一方の電極の前記複数の誘電体部分の配置位置に対応させて前記プラズマ生成空間に挿入された複数の誘電体部が設けられていることと、
    前記一方の電極と残る他方の電極とを、前記交差方向に沿って相対的に移動させ、前記一方の電極の金属部分を、前記誘電体部が配置されている領域に進入させることにより、前記対向面の面積を変化させるための駆動部を備えることと、を有する、請求項1ないし4のいずれか一つに記載の装置。
  6. 前記対向面を構成する、前記カソード電極及び前記アノード電極の少なくとも一方の表面は、前記処理ガスのプラズマ化により発生したラジカルの再結合を抑えるための二酸化ケイ素膜で被覆されている、請求項1ないし5のいずれか一つに記載の装置。
  7. 前記カソード電極または前記アノード電極の少なくとも一方には、前記処理ガスのプラズマ密度を高くするための凹部が形成されている、請求項1ないし6のいずれか一つに記載の装置。
  8. 前記カソード電極及び前記アノード電極は、円柱状または円筒状に構成され、中央側から周縁側へ向けて、各々、複数の前記カソード電極及び前記アノード電極を同心円状に交互に配置することにより、前記複数の電極セットを構成する、請求項1ないし7のいずれか一つに記載の装置。
  9. 前記処理ガスは、前記基板への成膜を行うための成膜ガスである、請求項1ないし8のいずれか一つに記載の装置。
  10. 処理容器内の基板にプラズマ化した処理ガスを供給してプラズマ処理を行う方法であって、
    前記処理容器内に設けられ、前記基板を載置するための載置台と、
    各々、互いに対向させて配置される対向面を有し、高周波電源に接続されたカソード電極、及び接地端側のアノード電極からなる電極セットと、
    前記載置台の上方側の空間に、複数の前記電極セットを配置して得られた前記対向面の間の空間である複数のプラズマ生成空間と、
    前記複数のプラズマ生成空間と前記載置台側との間に配置され、前記プラズマ生成空間でプラズマ化した前記処理ガスを前記載置台側へ供給すると共に、誘電体面を有する複数の供給流路が形成されたイオントラップ部と、を備えた装置を用い、
    前記高周波電源から前記カソード電極に高周波電力を供給すると共に、前記プラズマ生成空間に前記処理ガスを供給して、当該処理ガスをプラズマ化する工程と、
    前記イオントラップ部の前記複数の供給流路に、前記プラズマ化した処理ガスを流して、前記誘電体面側に形成されるシース領域に、当該プラズマ化した処理ガス中に含まれるイオンをトラップする工程と、
    前記イオントラップ部の複数の前記供給流路を通過した前記処理ガスを前記載置台に載置された基板に供給してプラズマ処理を行う工程と、を含む方法。
  11. 前記装置は、
    前記プラズマ生成空間から前記載置台へ向かう前記処理ガスの流れと交差する交差方向に沿って見たとき、前記カソード電極と前記アノード電極とのいずれか一方の電極は、当該一方の電極の本体を成す複数の金属部分と、複数の誘電体部分とを交互に配置して構成されることと、
    前記交差方向に沿って見たとき、前記一方の電極の前記複数の誘電体部分の配置位置に対応させて前記プラズマ生成空間に挿入された複数の誘電体部が設けられていることと、を有し、
    前記処理ガスをプラズマ化する工程を実施するにあたり、前記一方の電極と残る他方の電極とを、前記交差方向に沿って相対的に移動させ、前記一方の電極の金属部分を、前記誘電体部が配置されている領域に進入させることにより、前記対向面の面積を変化させる工程を含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記処理ガスは、前記基板への成膜を行うための成膜ガスである、請求項10または11に記載の方法。
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