JP7224241B2 - 成膜方法及び成膜装置 - Google Patents

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本開示は、成膜方法及び成膜装置に関する。
回転テーブル上に5枚又は6枚のウエハを周方向に沿って載置し、回転テーブルの回転により移動(公転)するウエハの軌道と対向するように、原料ガス供給部やガスをプラズマ化するためのアンテナを配置した成膜装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2013-45903号公報
本開示は、プラズマ放電を安定的に発生させることができる技術を提供する。
本開示の一態様による成膜方法は、処理室内に設けられ、周方向に沿って上面に基板を載置可能な回転テーブルに少なくともダミー用の第1の基板と前記第1の基板とは異なる第2の基板を含む複数の基板を載置する工程と、前記回転テーブルを連続して回転させながら前記処理室内のプラズマ処理領域でプラズマ源により生成されたラジカルを用いて前記基板の上に成膜された膜を改質する工程と、を有し、前記改質する工程では、前記回転テーブルの回転を継続させつつ、前記プラズマ処理領域に前記第2の基板が位置するときにプラズマを着火させる。
本開示によれば、プラズマ放電を安定的に発生させることができる。
一実施形態の成膜装置の構成例を示す断面図 図1の成膜装置の平面図 図1の成膜装置の回転テーブルの同心円に沿った断面図 図1の成膜装置に設けられるプラズマ源の断面図 図1の成膜装置に設けられるプラズマ源の分解斜視図 図5のプラズマ源に設けられる筐体の一例の斜視図 図1の成膜装置に設けられるプラズマ源の別の断面図 プラズマ処理領域に設けられたプラズマ処理ガスノズルを拡大して示す斜視図 図5のプラズマ源の一例の平面図 プラズマ源に設けられるファラデーシールドの一部を示す斜視図 実施例1のプラズマ着火の際のプラズマ源とウエハの位置との関係の説明図 実施例1におけるプラズマの着火性の評価結果を示す図 比較例1のプラズマ着火の際のプラズマ源とウエハの位置との関係の説明図 比較例1におけるプラズマの着火性の評価結果を示す図
以下、添付の図面を参照しながら、本開示のでない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
(成膜装置)
一実施形態の成膜装置について説明する。図1は、一実施形態の成膜装置の構成例を示す断面図である。図2は、図1の成膜装置の平面図である。なお、図2では、説明の便宜上、天板11の図示を省略している。
図1に示されるように、成膜装置は、平面形状が概ね円形である真空容器1と、真空容器1内に設けられ、真空容器1の中心に回転中心を有すると共にウエハWを公転させるための回転テーブル2と、を備えている。
真空容器1は、ウエハWを収容してウエハWの表面上に成膜処理を施し、薄膜を堆積させるための処理室である。真空容器1は、回転テーブル2の後述する凹部24に対向する位置に設けられた天板11と、容器本体12とを備えている。容器本体12の上面の周縁には、円環状に設けられたシール部材13が設けられている。天板11は、容器本体12から着脱可能に構成されている。平面視における真空容器1の直径寸法(内径寸法)は、限定されないが、例えば1100mm程度であってよい。
真空容器1内の上面側における中央部には、真空容器1内の中心領域Cにおいて互いに異なる処理ガス同士が混ざり合うことを抑制するために分離ガスを供給する分離ガス供給管51が接続されている。
回転テーブル2は、中心部にて概略円筒形状のコア部21に固定されており、コア部21の下面に接続されると共に鉛直方向に伸びる回転軸22に対して、鉛直軸周り、図2に示す例では時計回りに、駆動部23によって回転自在に構成されている。回転テーブル2の直径寸法は、限定されないが、例えば1000mm程度であってよい。
駆動部23には、回転軸22の回転角度を検出するエンコーダ25が設けられている。一実施形態においては、エンコーダ25により検出された回転軸22の回転角度は、制御部120に送信されて、制御部120によって回転テーブル2上の各凹部24に載置されたウエハWの位置を特定するために利用される。
回転軸22及び駆動部23は、ケース体20に収納されている。ケース体20は、上面側のフランジ部が真空容器1の底面部14の下面に気密に取り付けられている。ケース体20には、回転テーブル2の下方領域にArガス等をパージガス(分離ガス)として供給するためのパージガス供給管72が接続されている。
真空容器1の底面部14におけるコア部21の外周側は、回転テーブル2に下方側から近接するように円環状に形成されて突出部12aをなしている。
回転テーブル2の表面には、直径寸法が例えば300mmのウエハWを載置可能な円形状の凹部24が形成されている。凹部24は、回転テーブル2の回転方向(図2の矢印Aで示す方向)に沿って、複数個所、例えば6箇所に設けられている。凹部24は、ウエハWの直径よりも僅かに、具体的には1mm乃至4mm程度大きい内径を有する。凹部24の深さは、ウエハWの厚さにほぼ等しいか、又はウエハWの厚さよりも大きく構成される。したがって、ウエハWが凹部24に収容されると、ウエハWの表面と、回転テーブル2のウエハWが載置されない平坦領域の表面とが同じ高さになるか、ウエハWの表面が回転テーブル2の表面よりも低くなる。また、凹部24の底面には、ウエハWを下方側から突き上げて昇降させるための例えば後述する3本の昇降ピンが貫通する貫通孔(図示せず)が形成されている。
図2に示されるように、回転テーブル2の回転方向に沿って、第1の処理領域P1と、第2の処理領域P2と、第3の処理領域P3とが互いに離間して設けられる。回転テーブル2における凹部24の通過領域と対向する位置には、例えば石英からなる複数本、例えば7本のガスノズル31、32、33、34、35、41、42が真空容器1の周方向に互いに間隔をおいて放射状に配置されている。
ガスノズル31~35、41、42の各々は、回転テーブル2と天板11との間に配置される。ガスノズル31~34、41、42の各々は、例えば真空容器1の外周壁から中心領域Cに向かって回転テーブル2に対向して水平に伸びるように取り付けられている。一方、ガスノズル35は、真空容器1の外周壁から中心領域Cに向かって延びた後、屈曲して直線的に中心領域Cに沿うように反時計回り(回転テーブル2の回転方向の反対方向)に延びている。
図2に示す例では、後述する搬送口15から時計回り(回転テーブル2の回転方向)に、プラズマ処理ガスノズル33、34、35、分離ガスノズル41、第1の処理ガスノズル31、分離ガスノズル42、第2の処理ガスノズル32がこの順番で配列されている。なお、第2の処理ガスノズル32で供給されるガスは、プラズマ処理ガスノズル33~35で供給されるガスと同質のガスが供給される場合が多いが、プラズマ処理ガスノズル33~35で当該ガスの供給が十分な場合には、必ずしも設けられなくてもよい。
また、プラズマ処理ガスノズル33~35は、1本のプラズマ処理ガスノズルで代用してもよい。この場合、例えば、第2の処理ガスノズル32と同様に、真空容器1の外周壁から中心領域Cに向かって延びたプラズマ処理ガスノズルを設けるようにしてもよい。
第1の処理ガスノズル31は、第1の処理ガス供給部をなしている。また、第2の処理ガスノズル32は、第2の処理ガス供給部をなしている。更に、プラズマ処理ガスノズル33~35は、各々プラズマ処理ガス供給部をなしている。また、分離ガスノズル41、42は、各々分離ガス供給部をなしている。
各ガスノズル31~35、41、42は、流量調整バルブを介して、各々のガス供給源(図示せず)に接続されている。
ガスノズル31~35、41、42の下面側(回転テーブル2に対向する側)には、前述の各ガスを吐出するためのガス吐出孔36が回転テーブル2の半径方向に沿って複数箇所に例えば等間隔に形成されている。各ガスノズル31~35、41、42の各々の下端縁と回転テーブル2の上面との離間距離が例えば1~5mm程度となるように配置されている。
第1の処理ガスノズル31の下方領域は、原料ガスをウエハWに吸着させるための第1の処理領域P1であり、第2の処理ガスノズル32の下方領域は、原料ガスを酸化して酸化物を生成可能な酸化ガスをウエハWに供給する第2の処理領域P2である。また、プラズマ処理ガスノズル33~35の下方領域は、ウエハW上の膜の改質処理を行うための第3の処理領域P3となる。
なお、第1の処理ガスノズル31は、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜を成膜する場合にはシリコン含有ガス、金属酸化膜や金属窒化膜を成膜する場合には金属含有ガスを供給する。このように、第1の処理ガスノズル31は、薄膜の主成分となる原料を含んだ原料ガス(プリカーサ)を供給するノズルである。よって、第1の処理ガスノズル31を、原料ガスノズル31とも称する。また、第1の処理領域P1は、原料ガスをウエハW上に吸着させる領域であるから、原料ガス吸着領域P1とも称する。
同様に、第2の処理ガスノズル32は、酸化膜を成膜する場合に、酸素、オゾン、水、過酸化水素といった酸化ガスをウエハWに供給するので、酸化ガスノズル32とも称する。また、第2の処理領域P2は、第1の処理領域P1で原料ガスが吸着したウエハWに酸化ガスを供給してウエハWに吸着した原料ガスを酸化する領域であるので、酸化領域P2とも称する。酸化領域P2において、酸化膜の分子層がウエハW上に堆積する。
同様に、第3の処理領域P3は、第2の処理領域P2で形成された酸化膜の分子層をプラズマ処理し、酸化膜を改質する領域であるので、プラズマ処理領域P3とも称する。一実施形態では、酸化膜を成膜するので、プラズマ処理ガスノズル33~35から供給されるプラズマ処理ガスは、例えば酸素を含有するガスである。ただし、窒化膜を成膜する場合には、プラズマ処理ガスノズル33~35から供給されるプラズマ処理ガスは、例えば窒素を含有するガスである。
分離ガスノズル41、42は、第1の処理領域P1と第2の処理領域P2及び第3の処理領域P3と第1の処理領域P1とを分離する分離領域Dを形成するために設けられる。分離ガスノズル41、42から供給される分離ガスは、窒素等の不活性ガス、ヘリウム、アルゴン等の希ガスである。分離ガスは、パージガスとしても機能するので、分離ガスのことをパージガスと呼んでもよく、分離ガスノズル41、42をパージガスノズル41、42とも称する。なお、第2の処理領域P2と第3の処理領域P3との間には分離領域Dは設けられていない。これは、第2の処理領域P2で供給する酸化ガスと、第3の処理領域P3で供給する混合ガスは、混合ガスに含まれている酸素ガスが共通に酸素原子を含んでおり、双方とも酸化剤として機能する。そのため、分離ガスを用いて第2の処理領域P2と第3の処理領域P3とを分離する必要がないからである。
なお、プラズマ処理ガスノズル33~35は、回転テーブル2上の異なる領域にガスを供給する構造となっているので、領域毎に、混合ガスの各成分の流量比を異ならせ、改質処理が全体で均一に行われるように供給してもよい。
図3は、図1の成膜装置の回転テーブル2の同心円に沿った断面図であり、分離領域Dから第1の処理領域P1を経て分離領域Dまでの断面図である。
分離領域Dにおける真空容器1の天板11には、概略扇形の凸状部4が設けられている。凸状部4は、天板11の裏面に取り付けられている。真空容器1内には、凸状部4の下面である平坦な低い天井面(以下「第1の天井面44」という。)と、第1の天井面44の周方向の両側に位置する、第1の天井面44よりも高い天井面(以下「第2の天井面45」という。)とが形成される。
第1の天井面44を形成する凸状部4は、図2に示されるように、頂部が円弧状に切断された扇型の平面形状を有している。凸状部4には、周方向の中央において、半径方向に伸びるように溝部43が形成されている。溝部43内には、分離ガスノズル41、42が収容される。なお、凸状部4の周縁(真空容器1の外縁側の部位)は、各処理ガス同士の混合を阻止するために、回転テーブル2の外端面に対向すると共に容器本体12に対して僅かに離間するように、L字型に屈曲している。
第1の処理ガスノズル31の上方側には、第1の処理ガスをウエハWに沿って通流させるために、且つ分離ガスがウエハWの近傍を避けて真空容器1の天板11側を通流するように、ノズルカバー230が設けられている。ノズルカバー230は、図3に示されるように、カバー体231と、整流板232とを備える。カバー体231は、第1の処理ガスノズル31を収納するために下面側が開口する概略箱形を有する。整流板232は、カバー体231の下面側開口端における回転テーブル2の回転方向上流側及び下流側に各々接続された板状体である。回転テーブル2の回転中心側におけるカバー体231の側壁面は、第1の処理ガスノズル31の先端部に対向するように回転テーブル2に向かって伸び出している。また、回転テーブル2の外縁側におけるカバー体231の側壁面は、第1の処理ガスノズル31に干渉しないように切り欠かれている。なお、ノズルカバー230は、必須ではなく、必要に応じて設けられてよい。
図2に示されるように、プラズマ処理ガスノズル33~35の上方側には、真空容器1内に吐出されるプラズマ処理ガスをプラズマ化するために、プラズマ源80が設けられている。プラズマ源80は、アンテナ83を用いて誘導結合型プラズマを発生させる。
図4は、図1の成膜装置に設けられるプラズマ源80の断面図である。図5は、図1の成膜装置に設けられるプラズマ源80の分解斜視図である。図6は、図5のプラズマ源80に設けられる筐体90の一例の斜視図である。
プラズマ源80は、金属線等から形成されるアンテナ83をコイル状に例えば鉛直軸回りに3重に巻回して構成されている。また、プラズマ源80は、平面視で回転テーブル2の径方向に伸びる帯状体領域を囲むように、且つ回転テーブル2上のウエハWの直径部分を跨ぐように配置されている。
アンテナ83は、整合器84を介して周波数が例えば13.56MHz及び出力電力が例えば5000Wの高周波電源85に接続されている。そして、アンテナ83は、真空容器1の内部領域から気密に区画されるように設けられている。なお、図4及び図5において、アンテナ83と整合器84及び高周波電源85とを電気的に接続するための接続電極86が設けられている。
なお、アンテナ83は、上下に折り曲げ可能な構成、アンテナ83を自動的に上下に折り曲げ可能な上下動機構、回転テーブル2の中心側の箇所を上下動可能な機構を必要に応じて備えてよい。図4においてはそれらの構成は省略されている。
図4及び図5に示されるように、プラズマ処理ガスノズル33~35の上方側における天板11には、平面視で概略扇形に開口する開口11aが形成されている。
開口11aには、図4に示されるように、開口11aの開口縁部に沿って、開口11aに気密に設けられる環状部材82を有する。後述する筐体90は、環状部材82の内周面側に気密に設けられる。即ち、環状部材82は、外周側が天板11の開口11aの内周面11bと接触すると共に、内周側が後述する筐体90のフランジ部90aに接触して気密に設けられる。そして、環状部材82を介して、開口11aには、アンテナ83を天板11よりも下方側に位置させるために、例えば石英等の誘導体により構成された筐体90が設けられる。筐体90の底面は、プラズマ処理領域P3の天井面46を構成する。
筐体90は、図6に示されるように、上方側の周縁が周方向に亘ってフランジ状に水平に伸び出してフランジ部90aをなすと共に、平面視において、中央部が下方側の真空容器1の内部領域に向かって窪むように形成されている。
筐体90は、この筐体90の下方にウエハWが位置した場合に、回転テーブル2の径方向におけるウエハWの直径部分を跨ぐように配置されている。なお、環状部材82と天板11との間には、O-リング等のシール部材11cが設けられる(図4参照)。
真空容器1の内部雰囲気は、環状部材82及び筐体90を介して気密に設定されている。具体的には、環状部材82及び筐体90を開口11a内に嵌め込み、次いで環状部材82及び筐体90の上面であって、環状部材82及び筐体90の接触部に沿うように枠状に形成された押圧部材91によって筐体90を下方側に向かって周方向に亘って押圧する。さらに、押圧部材91をボルト(図示せず)等により天板11に固定する。これにより、真空容器1の内部雰囲気は気密に設定される。なお、図5においては、図示の簡素化のため、環状部材82を省略して示している。
図6に示されるように、筐体90の下面には、当該筐体90の下方側のプラズマ処理領域P3を周方向に沿って囲むように、回転テーブル2に向かって垂直に伸び出す突起部92が形成されている。そして、突起部92の内周面、筐体90の下面及び回転テーブル2の上面により囲まれた領域には、前述したプラズマ処理ガスノズル33~35が収納されている。なお、プラズマ処理ガスノズル33~35の基端部(真空容器1の内壁側)における突起部92は、プラズマ処理ガスノズル33~35の外形に沿うように概略円弧状に切り欠かれている。
筐体90の下方(プラズマ処理領域P3)側には、図4に示されるように、突起部92が周方向に亘って形成されている。シール部材11cは、突起部92によって、プラズマに直接曝されず、即ち、プラズマ処理領域P3から隔離されている。そのため、プラズマ処理領域P3からプラズマが例えばシール部材11c側に拡散しようとしても、突起部92の下方を経由して行くことになるので、シール部材11cに到達する前にプラズマが失活する。
また、図4に示されるように、筐体90の下方の第3の処理領域P3内には、プラズマ処理ガスノズル33~35が設けられ、アルゴンガス供給源140、水素ガス供給源141、酸素ガス供給源142及びアンモニアガス供給源143に接続されている。ただし、水素ガス供給源141とアンモニアガス供給源143は、いずれか一方が設けられていればよく、必ずしも両方とも設けられていなくてもよい。
また、プラズマ処理ガスノズル33~35とアルゴンガス供給源140、水素ガス供給源141、酸素ガス供給源142及びアンモニアガス供給源143との間には、各々に対応する流量制御器130、131、132、133が設けられている。アルゴンガス供給源140、水素ガス供給源141、酸素ガス供給源142及びアンモニアガス供給源143は、それぞれArガス、Hガス、Oガス、NHガスをプラズマ処理ガスノズル33~35に供給する。Arガス、Hガス、Oガス、NHガスは、各々流量制御器130、131、132、133により流量が制御されて、所定の流量比(混合比)でプラズマ処理ガスノズル33~35に供給される。ただし、上述のように、水素ガス供給源141及びアンモニアガス供給源143のうち、いずれか一方のみが設けられる場合には、流量制御器131、133も、設けられる方の一方に合わせて設けられる。なお、流量制御器130~133には、例えばマスフローコントローラが用いられてもよい。
なお、プラズマ処理ガスノズルが1本の場合には、例えば、上述のArガス、Hガス又はNHガス、及びOガスの混合ガスを1本のプラズマ処理ガスノズルに供給するようにする。
図7は、図1の成膜装置に設けられるプラズマ源80の別の断面図であり、回転テーブル2の回転方向に沿って真空容器1を切断した縦断面図を示した図である。図7に示されるように、プラズマ処理中には回転テーブル2が時計周りに回転するので、Arガスがこの回転テーブル2の回転に連れられて回転テーブル2と突起部92との間の隙間から筐体90の下方側に侵入しようとする。そのため、隙間を介して筐体90の下方側へのArガスの侵入を阻止するために、隙間に対して筐体90の下方側からガスを吐出させている。具体的には、プラズマ処理ガスノズル33のガス吐出孔36について、図4及び図7に示されるように、隙間を向くように、即ち回転テーブル2の回転方向上流側且つ下方を向くように配置している。鉛直軸に対するプラズマ処理ガスノズル33のガス吐出孔36の向く角度θは、図7に示されるように例えば45°程度であってもよいし、突起部92の内側面に対向するように、90°程度であってもよい。つまり、ガス吐出孔36の向く角度θは、Arガスの侵入を適切に防ぐことができる45°~90°程度の範囲内で用途に応じて設定できる。
図8は、プラズマ処理領域P3に設けられたプラズマ処理ガスノズル33~35を拡大して示す斜視図である。図8に示されるように、プラズマ処理ガスノズル33は、ウエハWが配置される凹部24の全体をカバーでき、ウエハWの全面にプラズマ処理ガスを供給可能なノズルである。一方、プラズマ処理ガスノズル34は、プラズマ処理ガスノズル33よりも僅かに上方に、プラズマ処理ガスノズル33と略重なるように設けられた、プラズマ処理ガスノズル33の半分程度の長さを有するノズルである。また、プラズマ処理ガスノズル35は、真空容器1の外周壁から扇型のプラズマ処理領域P3の回転テーブル2の回転方向下流側の半径に沿うように延び、中心領域C付近に到達したら中心領域Cに沿うように直線的に屈曲した形状を有している。以後、区別の容易のため、全体をカバーするプラズマ処理ガスノズル33をベースノズル33、外側のみカバーするプラズマ処理ガスノズル34を外側ノズル34、内側まで延びたプラズマ処理ガスノズル35を軸側ノズル35とも称する。
ベースノズル33は、プラズマ処理ガスをウエハWの全面に供給するためのガスノズルであり、図7で説明したように、プラズマ処理領域P3を区画する側面を構成する突起部92の方に向かってプラズマ処理ガスを吐出する。
一方、外側ノズル34は、ウエハWの外側領域に重点的にプラズマ処理ガスを供給するためのノズルである。
軸側ノズル35は、ウエハWの回転テーブル2の軸側に近い中心領域にプラズマ処理ガスを重点的に供給するためのノズルである。
なお、プラズマ処理ガスノズルを1本とする場合には、ベースノズル33のみを設けるようにすればよい。
次に、プラズマ源80のファラデーシールド95について、より詳細に説明する。図4及び図5に示されるように、筐体90の上方側には、当該筐体90の内部形状に概略沿うように形成された導電性の板状体である金属板例えば銅などからなる、接地されたファラデーシールド95が収納されている。ファラデーシールド95は、筐体90の底面に沿うように水平に係止された水平面95aと、水平面95aの外終端から周方向に亘って上方側に伸びる垂直面95bと、を備えており、平面視で例えば概略六角形となるように構成されていても良い。
図9は、図5のプラズマ源80の一例の平面図であり、アンテナ83の構造の詳細及び上下動機構を省略したプラズマ源80の一例を示す。図10は、プラズマ源80に設けられるファラデーシールド95の一部を示す斜視図である。
回転テーブル2の回転中心からファラデーシールド95を見た場合の右側及び左側におけるファラデーシールド95の上端縁は、各々、右側及び左側に水平に伸び出して支持部96を為している。ファラデーシールド95と筐体90との間には、支持部96を下方側から支持すると共に筐体90の中心領域C側及び回転テーブル2の外縁部側のフランジ部90aに各々支持される枠状体99が設けられている(図5参照)。
電界がウエハWに到達する場合、ウエハWの内部に形成されている電気配線等が電気的にダメージを受けてしまう場合がある。そのため、図10に示されるように、水平面95aには、アンテナ83において発生する電界及び磁界(電磁界)のうち電界成分が下方のウエハWに向かうことを阻止すると共に、磁界をウエハWに到達させるために、多数のスリット97が形成されている。
スリット97は、図9及び図10に示されるように、アンテナ83の巻回方向に対して直交する方向に伸びるように、周方向に亘ってアンテナ83の下方位置に形成されている。スリット97は、アンテナ83に供給される高周波に対応する波長の1/10000以下程度の幅寸法となるように形成されている。また、各々のスリット97の長さ方向における一端側及び他端側には、スリット97の開口端を塞ぐように、接地された導電体等から形成される導電路97aが周方向に亘って配置されている。ファラデーシールド95においてこれらスリット97の形成領域から外れた領域、即ち、アンテナ83の巻回された領域の中央側には、当該領域を介してプラズマの発光状態を確認するための開口98が形成されている。
図5に示されるように、ファラデーシールド95の水平面95a上には、ファラデーシールド95の上方に載置されるプラズマ源80との間の絶縁性を確保するために、厚み寸法が例えば2mm程度の石英等から形成される絶縁板94が積層されている。即ち、プラズマ源80は、筐体90、ファラデーシールド95及び絶縁板94を介して真空容器1の内部(回転テーブル2上のウエハW)を覆うように配置されている。
再び、一実施形態の成膜装置の他の構成要素について、説明する。
図1及び図2に示されるように、回転テーブル2の外周側において、回転テーブル2よりも下方の位置には、カバー体であるサイドリング100が配置されている。サイドリング100の上面には、互いに周方向に離間するように第1の排気口61及び第2の排気口62が形成されている。別の言い方をすると、真空容器1の底面には、2つの排気口が形成され、これら排気口に対応する位置におけるサイドリング100には、第1の排気口61及び第2の排気口62が形成されている。
第1の排気口61は、第1の処理ガスノズル31と、第1の処理ガスノズル31に対して、回転テーブル2の回転方向下流側に位置する分離領域Dとの間において、分離領域D側に寄った位置に形成されている。第2の排気口62は、プラズマ源80と、プラズマ源80よりも回転テーブル2の回転方向下流側の分離領域Dとの間において、分離領域D側に寄った位置に形成されている。
第1の排気口61は、第1の処理ガスや分離ガスを排気する排気口であり、第2の排気口62は、プラズマ処理ガスや分離ガスを排気する排気口である。図1に示されるように、第1の排気口61及び第2の排気口62は、各々、バタフライバルブ等の圧力調整部65が介設された排気管63により、真空排気機構である例えば真空ポンプ64に接続されている。
前述したように、中心領域C側から外縁側に亘って筐体90を配置しているため、第2の処理領域P2に対して回転テーブル2の回転方向上流側から通流してくるガスは、筐体90によって第2の排気口62に向かおうとするガス流が規制される場合がある。そのため、筐体90よりも外周側におけるサイドリング100の上面には、ガスが流れるための溝状のガス流路101が形成されている。
天板11の下面における中央部には、図1に示されるように、凸状部4における中心領域C側の部位と連続して周方向に亘って概略円環状に形成されると共に、その下面が凸状部4の下面(第1の天井面44)と同じ高さに形成された突出部5が設けられている。突出部5よりも回転テーブル2の回転中心側におけるコア部21の上方側には、中心領域Cにおいて各種ガスが互いに混ざり合うことを抑制するためのラビリンス構造部110が配置されている。
前述したように筐体90は中心領域C側に寄った位置まで形成されているので、回転テーブル2の中央部を支持するコア部21は、回転テーブル2の上方側の部位が筐体90を避けるように回転中心側に形成されている。そのため、中心領域C側では、外縁部側よりも、各種ガス同士が混ざりやすい状態となっている。そのため、コア部21の上方側にラビリンス構造部110を形成することにより、ガスの流路を稼ぎ、ガス同士が混ざり合うことを防止できる。
回転テーブル2と真空容器1の底面部14との間の空間には、図1に示されるように、加熱機構であるヒータユニット7が設けられている。ヒータユニット7は、回転テーブル2を介して回転テーブル2上のウエハWを例えば室温~700℃程度に加熱できる構成となっている。なお、図1に、ヒータユニット7の側方側にカバー部材71が設けられると共に、ヒータユニット7の上方側を覆う覆い部材7aが設けられる。また、真空容器1の底面部14には、ヒータユニット7の下方側において、ヒータユニット7の配置空間をパージするためのパージガス供給管73が、周方向に亘って複数個所に設けられている。
真空容器1の側壁には、図2に示されるように、搬送アーム10と回転テーブル2との間においてウエハWの受け渡しを行うための搬送口15が形成されている。搬送口15は、ゲートバルブGより気密に開閉自在に構成されている。
回転テーブル2の凹部24は、搬送口15に対向する位置にて搬送アーム10との間でウエハWの受け渡しが行われる。そのため、回転テーブル2の下方側の受け渡し位置に対応する箇所には、凹部24を貫通してウエハWを裏面から持ち上げるための図示しない昇降ピン及び昇降機構が設けられている。
また、一実施形態の成膜装置には、装置全体の動作を制御するためのコンピュータからなる制御部120が設けられている。制御部120のメモリ内には、後述の基板処理を行うためのプログラムが格納されている。プログラムは、装置の各種動作を実行するようにステップ群が組まれており、ハードディスク、コンパクトディスク、光磁気ディスク、メモリカード、フレキシブルディスク等の記憶媒体である記憶部121から制御部120内にインストールされる。
制御部120は、成膜装置が実施する一実施形態の成膜方法の制御を行う。具体的には、制御部120は、エンコーダ25から取得した回転軸22の回転角度に基づいて、回転テーブル2の凹部24に載置されたウエハWの位置を特定する。そして、制御部120は、高周波電源85のON/OFFのタイミングを制御することにより、プラズマ処理領域P3に製品ウエハWpが位置するときにプラズマを着火させる。なお、一実施形態の成膜方法の詳細については後述する。
(成膜方法)
一実施形態の成膜方法について、前述の成膜装置を用いて薄膜を成膜する場合を例に挙げて説明する。一実施形態の成膜方法で成膜可能な薄膜としては、例えばSiO、ZrO、HfO、TiO、Al等の酸化膜、SiN、HfN、TiN、AlNの窒化膜、ZrAlO、HfAlO、HfSiON等の上記化合物を組み合わせた複合膜が挙げられる。
以下では、原料ガスとしてシリコン含有ガス、酸化ガスとしてオゾン、プラズマ処理ガスとしてアルゴン、酸素、水素の混合ガス、分離ガスとしてアルゴンを用いて、SiOの薄膜を成膜する場合を説明する。
また、一実施形態では、回転テーブル2の6つの凹部24のうち5つの凹部24に製品ウエハWpを載置し、残りの1つの凹部24にダミーウエハWdを載置して成膜を行う場合について説明する。ダミーウエハWdは、テストウエハとも称され、成膜の際に繰り返し使用されるダミー用のウエハであり、一実施形態では、表面に膜厚が0.1μm~2μmの酸化膜や窒化膜等の絶縁膜が堆積したシリコンウエハである。製品ウエハWpは、表面に回路パターン等の製品を形成するための製品用のウエハであり、一実施形態では、シリコンウエハである。ダミーウエハWdは第1の基板の一例であり、製品ウエハWpは第2の基板の一例である。なお、第2の基板としては、製品ウエハWpに代えて、例えば未使用ウエハWn、モニタウエハWmを使用してもよい。このように、第2の基板としては、表面に厚膜、例えば0.1μm~2μmの膜厚の絶縁膜が堆積していないウエハが用いられる。
一実施形態の成膜方法では、まず、ウエハW(製品ウエハWp及びダミーウエハWd)を真空容器1内に搬入する。ウエハWの搬入に際しては、ゲートバルブGを開放し、回転テーブル2を間欠的に回転させながら、搬送アーム10により搬送口15を介して回転テーブル2上にウエハWを載置する。
続いて、ゲートバルブGを閉じて、真空ポンプ64及び圧力調整部65により真空容器1内を所定の圧力にした状態で、回転テーブル2を回転させながら、ヒータユニット7によりウエハWを所定の温度に加熱する。このとき、分離ガスノズル41、42からは、分離ガスとしてArガスが供給される。このような一連の制御は、制御部120が行う。
続いて、第1の処理ガスノズル31からシリコン含有ガスを供給し、第2の処理ガスノズル32からオゾンガスを供給し、プラズマ処理ガスノズル33~35から所定の流量でアルゴン、酸素、水素の混合ガスからなるプラズマ処理ガスを供給する。
続いて、回転テーブル2の回転により、プラズマ処理領域P3に製品ウエハWpが位置するときに高周波電源85からアンテナ83に高周波電力を供給し、プラズマを着火させて、プラズマを生成する。一実施形態では、まず、制御部120が、エンコーダ25から回転軸22の回転角度を取得する。続いて、制御部120は、取得した回転軸22の回転角度に基づいて、回転テーブル2の凹部24に載置された製品ウエハWpの位置を特定し、プラズマ処理領域P3に製品ウエハWpが位置するときに高周波電源85をオンする。なお、「プラズマ処理領域P3に製品ウエハWpが位置する」とは、プラズマ処理領域P3に製品ウエハWpの全ての部分が位置する場合のみならず、プラズマ処理領域P3に製品ウエハWpの一部分が位置する場合も含む。
ウエハWの表面では、回転テーブル2の回転によって第1の処理領域P1においてシリコン含有ガスが吸着し、次いで、第2の処理領域P2においてウエハW上に吸着したシリコン含有ガスが、オゾンガスによって酸化される。これにより、薄膜成分であるシリコン酸化膜(SiO)の分子層が1層又は複数層形成されてウエハW上に堆積する。
更に回転テーブル2が回転すると、ウエハWはプラズマ処理領域P3に到達し、プラズマ処理によるシリコン酸化膜の改質処理が行われる。プラズマ処理領域P3においては、ベースノズル33、外側ノズル34、軸側ノズル35からAr/O/Hの混合ガスをプラズマ処理ガスとして供給する。なお、必要に応じて、ベースノズル33からの供給を基準とし、角速度が遅くプラズマ処理量が多くなり易い中心軸側の領域では、ベースノズル33から供給される混合ガスよりも改質力の弱くなるように酸素の流量を低くしてもよい。また、角速度が速く、プラズマ処理量が不足する傾向がある外周側の領域では、ベースノズル33から供給される混合ガスよりも改質力の強くなるように酸素の流量を高くしてもよい。これにより、回転テーブル2の角速度の影響を適宜調整できる。
このような状態で、回転テーブル2の回転を継続することにより、ウエハW表面へのシリコン含有ガスの吸着、ウエハW表面に吸着したシリコン含有ガス成分の酸化、及び反応生成物であるシリコン酸化膜のプラズマ改質が、この順番で多数回に亘って行われる。即ち、ALD法による成膜処理と、形成された膜の改質処理とが、回転テーブル2の回転よって、多数回に亘って行われる。
また、一実施形態の成膜装置における第1の処理領域P1及び第2の処理領域P2の間と、第3の処理領域P3及び第1の処理領域P1の間には、回転テーブル2の周方向に沿って分離領域Dを配置している。そのため、分離領域Dにおいて、処理ガスとプラズマ処理ガスとの混合が阻止されながら、各ガスが第1の排気口61及び第2の排気口62に向かって排気されていく。
このような成膜処理及び改質処理を繰り返し、シリコン酸化膜が所定の膜厚に到達した後、シリコン含有ガス、オゾンガス及びプラズマ処理ガスの供給を停止する。または、シリコン含有ガス及びオゾンガスの供給を停止し、プラズマ処理ガスの供給のみを継続する。これは、シリコン酸化膜の改質処理のみを継続し、高品質なシリコン酸化膜を成膜するためである。
この後、プラズマ処理ガスの供給も停止し、回転テーブル2の回転を停止してから、処理済みのウエハWを真空容器1から搬出する。
ところで、従来の成膜方法では、高周波電源85からアンテナ83に高周波電力を供給するタイミングについては制御していない。そのため、回転テーブル2の6つの凹部24のうち少なくとも1つの凹部24にダミーウエハWdが載置されていると、高周波電源85からアンテナ83に高周波電力を供給する際、プラズマ処理領域P3にダミーウエハWdが位置する場合がある。特に、凹部24に載置されるダミーウエハWdの枚数が多い場合には、高周波電源85からアンテナ83に高周波電力を供給する際、プラズマ処理領域P3にダミーウエハWdが位置する可能性が高まる。
このように、プラズマ処理領域P3にダミーウエハWdが位置するときに高周波電源85からアンテナ83に高周波電力を供給してプラズマを着火させると、プラズマ着火の時間遅れやプラズマの未着火が発生する場合がある。特に、プラズマ処理領域P3の圧力が1Torr(133Pa)以上の高圧環境においては、プラズマ着火の時間遅れやプラズマの未着火が発生しやすい。また、一実施形態の成膜装置のように真空容器1の内部を分離領域Dによって複数の処理領域に分離する装置の場合、原料ガス吸着領域P1とプラズマ処理領域P3の圧力を完全に別制御することは困難である。例えば、原料ガス吸着領域P1を原料ガスの吸着性の高い数Torrオーダの高圧、プラズマ処理領域P3をプラズマ改質に有利な0.1Torrオーダの低圧に設定することは困難である。そのため、実際の装置運用においては、原料ガスの吸着に有利な2Torr近傍で運用されることがある。そうすると、プラズマ着火の時間遅れやプラズマの未着火が発生しやすい。
そこで、一実施形態の成膜方法では、プラズマ処理領域P3に製品ウエハWpが位置するときにプラズマを着火させる。これにより、プラズマを着火させたときにプラズマ処理領域P3内の表面に付着した酸素が製品ウエハWpの表面を酸化することで還元され、プラズマ処理領域P3内を電荷的ニュートラルな状態に戻すことができる。このとき、プラズマ処理領域P3内の表面に付着した酸素をより多く還元できるという観点から、プラズマ処理領域P3に製品ウエハWpの全ての部分が位置するときにプラズマを着火させることが好ましい。
酸素プラズマをプラズマ処理領域P3に供給した状態で処理を終了すると、プラズマ処理領域P3の表面に酸素(酸素ラジカルも含む)が付着した状態で処理が終了する。この状態で、処理済みのウエハWを搬出し、次に成膜処理を施す新たなウエハWを真空容器1内に搬入し、プラズマを着火させる際にプラズマ処理領域P3にダミーウエハWdが位置していると、プラズマ着火の時間遅れやプラズマの未着火が発生する場合がある。つまり、1回目の成膜処理の際には、プラズマの着火はスムーズであるが、2回目以降の成膜処理の際には、プラズマの着火が上手くいかない場合がある。
これは、酸素の電気陰性度が非常に高く、電子を捕獲する能力が非常に高いことに起因すると考えられる。プラズマの着火し易い状態は、電子、陽イオン等の電荷が空間中に発生し易い状態であると考えられる。プラズマとは、気体を構成する分子が電離し、陽イオンと電子に分かれて運動している状態であり、電離によって生じた荷電粒子を含む気体のことであるから、荷電粒子が発生し易い環境は、当然にプラズマが発生し易い。つまり、荷電粒子が発生し易い環境は、着火し易い環境であると考えられる。
プラズマ処理領域P3、例えば筐体90の天井面、突起部92の内周面等の表面に酸素が付着していると、プラズマ処理ガスを供給し、アンテナ83に高周波電力を供給してプラズマ放電を発生させようとしても、電離した電子がすぐに表面の酸素に捕獲され得る。そのため、プラズマ処理領域P3に十分な荷電粒子が蓄積され難くなると考えられる。
(実施例)
一実施形態の成膜方法を実施し、プラズマの着火性を評価した実施例について説明する。
実施例1では、プラズマ処理領域P3に第2の基板である未使用ウエハWnが位置するときに高周波電源85からアンテナ83に高周波電力を供給してプラズマを着火させた。そして、プラズマを着火させる前後における高周波電力のVppを計測することにより、プラズマの着火性を評価した。実施例1では、プラズマの着火性の評価を10回(第1ラン目から第10ラン目まで)繰り返し行った。なお、Vpp(Volt peak to peak)は、高周波電源85からアンテナ83に印加される高周波電圧のピーク値からピーク値までの電圧差である。
具体的には、まず前述の成膜装置の回転テーブル2の6つの凹部24のうち1つの凹部24に未使用ウエハWnを載置し、残りの5つの凹部24にダミーウエハWdを載置した。続いて、分離ガスノズル41、42から分離ガスとしてArガスを吐出し、分離ガス供給管51及びパージガス供給管72からArガスを吐出した。また、圧力調整部65により真空容器1内を予め設定した処理圧力である1.8Torr(240Pa)に調整した。
続いて、回転テーブル2を時計回りに回転させながらヒータユニット7によりウエハW(未使用ウエハWn及びダミーウエハWd)を加熱した。また、プラズマ処理ガスノズル33、34、35からプラズマ処理ガスとしてArガス(15slm)とNHガス(100sccm)との混合ガスを供給した。
続いて、図11に示されるように、回転テーブル2を回転させ、プラズマ処理領域P3に未使用ウエハWnが位置するときに、高周波電源85からアンテナ83に対して13.56MHzの周波数を有する高周波電力(1500W)を供給し、プラズマを着火させた。なお、回転テーブル2の回転速度は、15rpmに設定した。また、プラズマを着火させる前後における高周波電力のVppを計測することにより、プラズマの着火性を評価した。
図12は、実施例1におけるプラズマの着火性の評価結果を示す図であり、プラズマを着火させる前後において高周波電力のVppを測定した結果を示す。図12(a)、図12(b)及び図12(c)は、それぞれ第1ラン目、第2ラン目及び第3ラン目の測定結果を示す。また、図12(a)~(c)において、横軸は時間[秒]を示し、縦軸はVpp[V]を示し、プラズマを着火させた時刻(高周波電源85からアンテナ83に高周波電力を供給した時刻)を時刻t1で示す。
図12(a)~(c)に示されるように、第1ラン目から第3ラン目の全てのランにおいて、プラズマを着火させた時刻t1から1.5秒程度経過した後にVppの値が安定状態に遷移していることが分かる。この結果から、実施例1では、短時間でプラズマが着火し、プラズマ放電を安定的に発生されることができると言える。
なお、図12では、実施例1の第4~10ラン目のVppを測定した結果を示していないが、第4~10ラン目においても第1~3ラン目までと同様に、プラズマを着火させた時刻t1から1.5秒程度経過した後にVppの値が安定状態に遷移した。
また、実施例1の比較のために以下の比較例1を実施した。比較例1では、図13に示されるように、プラズマ処理領域P3に第1の基板であるダミーウエハWdが位置するときに高周波電源85からアンテナ83に高周波電力を供給してプラズマを着火させた。そして、プラズマを着火させる前後における高周波電力のVppを計測することにより、プラズマの着火性を評価した。比較例1では、プラズマの着火の評価を2回(第1ラン目から第2ラン目まで)繰り返し行った。なお、プラズマを着火させるタイミング以外については、実施例1と同様である。
図14は、比較例1におけるプラズマの着火性の評価結果を示す図であり、プラズマを着火させる前後において高周波電力のVppを測定した結果を示す。図14(a)及び図14(b)は、それぞれ第1ラン目及び第2ラン目の測定結果を示す。図14(a)及び図14(b)において、横軸は時間[秒]を示し、縦軸はVpp[V]を示し、プラズマを着火させた時刻(高周波電源85からアンテナ83に高周波電力を供給した時刻)を時刻t2で示す。
図14(a)に示されるように、第1ラン目では、プラズマを着火させた時刻t2から1.5秒程度経過した後にVppの値が安定状態に遷移している。しかしながら、図14(b)に示されるように、第2ラン目では、プラズマを着火させた後にVppの値が安定することなく上昇し続けていることが分かる。なお、第2ラン目において、Vppの値が上昇した後に0Vとなっているのは、所定時間内にVppの値が安定状態に遷移しなかったことから、プラズマが着火していないと判断して高周波電源85をオフしたからである。このように、比較例1では、プラズマの着火性が悪いことが分かる。
以上、実施例1及び比較例1の評価結果から、プラズマ処理領域P3に未使用ウエハWnが位置するときにプラズマを着火させることにより、プラズマ放電を安定的に発生させることができると言える。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
上記の実施形態では、回転テーブル2の回転方向に沿って、原料ガス吸着領域P1と、酸化領域P2と、プラズマ処理領域P3とが互いに離間して設けられている場合を説明しが、これに限定されず、例えばプラズマ処理領域P3が複数設けられていてもよい。この場合、各々のプラズマ処理領域P3において、前述の成膜方法で説明したように、該プラズマ処理領域P3に製品ウエハWpが位置するときに、高周波電源85からアンテナ83に高周波電力を供給し、プラズマを着火させて、プラズマを生成すればよい。
1 真空容器
2 回転テーブル
80 プラズマ源
83 アンテナ
85 高周波電源
P1 原料ガス吸着領域
P2 酸化領域
P3 プラズマ処理領域
W ウエハ
Wd ダミーウエハ
Wm モニタウエハ
Wn 未使用ウエハ
Wp 製品ウエハ

Claims (10)

  1. 処理室内に設けられ、周方向に沿って上面に基板を載置可能な回転テーブルに少なくともダミー用の第1の基板と前記第1の基板とは異なる第2の基板を含む複数の基板を載置する工程と、
    前記回転テーブルを連続して回転させながら前記処理室内のプラズマ処理領域でプラズマ源により生成されたラジカルを用いて前記基板の上に成膜された膜を改質する工程と、
    を有し、
    前記改質する工程では、前記回転テーブルの回転を継続させつつ、前記プラズマ処理領域に前記第2の基板が位置するときにプラズマを着火させる、
    成膜方法。
  2. 前記基板の上に原料ガスを吸着させる工程と、
    前記基板の上に吸着した前記原料ガスを酸化して前記膜の分子層を堆積させる工程と、
    を有する、
    請求項1に記載の成膜方法。
  3. 前記回転テーブルの上方に、前記回転テーブルの回転方向に沿って原料ガス吸着領域、酸化領域、前記プラズマ処理領域が互いに離間して配置され、前記回転テーブルを前記回転方向に複数回回転させ、前記回転テーブルの上の前記基板に前記原料ガス吸着領域、前記酸化領域、前記プラズマ処理領域を順に通過させることにより前記吸着させる工程、前記堆積させる工程及び前記改質する工程を繰り返す、
    請求項2に記載の成膜方法。
  4. 前記第2の基板は、製品ウエハ、モニタウエハ又は未使用ウエハである、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の成膜方法。
  5. 前記第1の基板の表面には、絶縁膜が形成されている、
    請求項4に記載の成膜方法。
  6. 前記絶縁膜の膜厚は、0.1μm~μmである、
    請求項5に記載の成膜方法。
  7. 前記プラズマは、アンテナを用いて発生させた誘導結合型プラズマである、
    請求項1乃至6のいずれか一項に記載の成膜方法。
  8. 前記改質する工程は、前記プラズマ処理領域内に供給された酸素ガスを含むプラズマ処理ガスを前記プラズマ源によりプラズマ化することにより行われる、
    請求項1乃至7のいずれか一項に記載の成膜方法。
  9. 前記膜は、酸化膜である、
    請求項1乃至8のいずれか一項に記載の成膜方法。
  10. 処理室と、
    前記処理室内に設けられ、周方向に沿って上面に基板を載置する回転テーブルと、
    前記回転テーブルの周方向に互いに分離領域を介して離間した領域に各々第1の処理ガス及び第2の処理ガスを供給する第1の処理ガス供給部及び第2の処理ガス供給部と、
    前記基板に対してプラズマ処理を行うために、前記処理室内にプラズマ処理ガスを供給するプラズマ処理ガス供給部と、
    前記プラズマ処理ガス供給部を上方及び側方から囲むプラズマ処理領域と、
    前記プラズマ処理ガスをプラズマ化するために、前記回転テーブルに対向するように設けられ、前記プラズマ処理領域内でプラズマを発生させるプラズマ源と、
    前記回転テーブルに少なくともダミー用の第1の基板と前記第1の基板とは異なる第2の基板を含む複数の基板を載置した状態で前記回転テーブルを連続して回転させ、前記プラズマ処理ガス供給部から前記プラズマ処理ガスを供給しながら、前記回転テーブルの回転を継続させつつ、前記プラズマ処理領域に前記第2の基板が位置するときに前記プラズマ源を駆動して前記プラズマ処理領域でプラズマを着火させる、
    成膜装置。
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