JPWO2015098902A1 - トナークリーニング用シートおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明のトナークリーニング用シートの製造方法は、基本的に、繊維を薄い膜状に配置して繊維ウェブを形成する段階と、形成した繊維ウェブを結合する段階とで構成される。
本発明において、好適に使用される湿式抄紙法によるトナークリーニング用シートの作製は、融点が265℃以上の熱可塑性樹脂で構成される熱可塑性繊維から選ばれた少なくとも一種の繊維を水に分散させた熱可塑性繊維スラリーを作製する工程、非溶融性のセルロース繊維から選ばれた少なくとも一種類の繊維を水に分散させたセルロース繊維スラリーを作製する工程、前記の両スラリーを混合して混合スラリーとする工程、得られた混合スラリーを用いて抄紙機で抄紙した後、乾燥し湿式不織布とする工程、および作製した前記の湿式不織布をカレンダー加工機や熱プレス機で加熱加圧処理する工程、に大別することができる。
湿式抄紙法で用いられる熱可塑性繊維スラリーは、融点が265℃以上の熱可塑性樹脂で構成される熱可塑性繊維を水に混合させたものであり、熱可塑性樹脂で構成される熱可塑性繊維と水の使用割合は、質量比で1:100〜10:100の範囲とすることが好ましく、より好ましくは1:100〜5:100の範囲であり、特に好ましくは1:100〜2:100の範囲である。また、この熱可塑性繊維スラリーには、必要に応じて、分散剤や粘度調整剤や消泡剤等を添加することもできる。
本発明で用いられるセルロース繊維スラリーは、非溶融性のセルロース繊維を水に混合させたものであり、セルロース繊維と水の使用割合は、質量比で1:100〜10:100の範囲とすることが好ましく、より好ましくは1:100〜5:100の範囲であり、特に好ましくは2:100〜4:100の範囲である。このセルロース繊維スラリーには、必要に応じて分散剤や粘度調整剤や消泡剤等を添加することもできる。
上記の熱可塑性繊維スラリーとセルロース繊維スラリーとを混合し攪拌することにより、混合スラリーを得ることができる。熱可塑性繊維スラリーとセルロース繊維スラリーの混合割合は、目的とするシートの特性を考慮し、適宜、設定することができる。
熱可塑性繊維スラリーとセルロース繊維スラリーとを含む混合スラリーを抄紙して、湿紙を得る。抄紙機は一般的な構造のものであれば問題なく採用することができる。例えば、円網抄紙機、長網抄紙機および短網抄紙機や、これらの抄紙機のいずれかをコンビネーションした抄紙機を用いることができる。
得られた湿紙の水分を乾燥除去する際は、抄紙機に付属するドライヤーパートを用いることができ、例えば、ヤンキードライヤーや多筒式ドライヤーのような回転ドラムによって乾燥する工程を用いることができる。回転ドラムの乾燥温度は、好ましくは90℃〜130℃とすることにより水分を効率良く除去することができる。
本発明のトナークリーニング用シートの好ましい製造方法は、水分を乾燥除去した後にカレンダー装置で加熱加圧処理を行うことである。カレンダー装置は、2本のロールが1対以上で形成され、加熱と加圧手段を有するものである。また、ロールの材質としては、金属、ペーパーおよびゴムなどを適宜選択して用いることができるが、シートの表面の微細な毛羽を減少させるためには、鉄などの金属のロールが好適に用いられる。
融点が265℃以上の熱可塑性繊維として融点が285℃のPPS繊維を用いた。
延伸されたPPS繊維として、単繊維繊度が1.0dtexで、カット長が6mmの東レ社製“トルコン”(登録商標)、品番S301を用いた。
未延伸のPPS繊維として、単繊維繊度が3.0dtexで、カット長が6mmの東レ社製“トルコン”(登録商標)、品番S111を用いた。
非溶融性のセルロース繊維として、繊維長約3.0〜5.0mm、幅約50μmのカラマツチップの木材パルプ繊維を用いた。
木材パルプ繊維を叩解する装置として、ナイヤガラビーター(熊谷理機工業社製)を用いた。
底に140メッシュの手漉き抄紙網を設置した大きさが25cm×25cmで、高さが40cmの手漉き抄紙機(熊谷理機工業社製)を用いた。
手漉き抄紙機で得られた湿紙を乾燥させ、乾燥した紙とする工程で、ロータリー式乾燥機(熊谷理機工業社製)を使用した。
乾燥した紙を加熱加圧する工程で、金属ロールとペーパーロールとからなるカレンダー加工機(由利ロール社製)を使用した。
前記のPPS繊維を用いて、PPS繊維濃度が0.5質量%となるように水と混合した後、家庭用ジューサーミキサーで10秒間撹拌し、PPS繊維スラリーを作製した。前記の延伸PPS繊維と未伸延PPS繊維の質量比が7:3、5:5、および3:7の3種類のPPS繊維スラリーを準備した。
実施例1〜9および比較例1〜5については、前記のようにして得られた乾燥処理したペーパーを、濾紙から剥離して、温度200℃、線圧2,000N/cm、およびロール回転速度10m/分の条件下でカレンダー加工機に通して加熱加圧処理を施し、表1のシートを得た。
各特性の測定と評価方法は、次のとおりである。
JIS L 1906:2000に準じて、25cm×25cmの試験片を、1枚採取し、標準状態におけるそれぞれの質量(g)を量り、1m2当たりの質量(g/m2)で表した。
JIS L 1906:2000で準用するJIS L 1096:1999に準じて、試料の異なる10か所について、厚さ測定機を用いて、直径22mmの加圧子による2kPaの加圧下、厚さを落ち着かせるために10秒間待った後に厚さを測定し、平均値を算出した。
JIS P 8113(2006年版)に準じて、試験片幅15mm、試験片長180mm、引張速度200mm/分で、引張試験機(島津製作所社製AGS−J5kN)を使用して引張強度(a)を測定した。試験片の長手方向が、シートのたて方向となるように試験片を採取した。
シートを200℃の温度の熱風循環型乾燥機の中で4.5時間静置する方法で熱処理を行い、乾燥機から取り出した後の引張強度(b)を測定し、下記式から強度保持率を求めた。なお、引張強度の測定は、JIS P 8113(2006年版)に準じて、試験片幅15mm、試験片長180mm、引張速度200mm/分で、引張り試験機(島津製作所社製AGS−J5kN)を使用して測定した。試験片の長手方向が、シートのたて方向となるように試験片を採取した。
(4b)強度保持率−2(オーバーシュート温度での強度保持率):
230℃に加熱した金属ロールとシリコンゴムロールの間にシートを挟み、前記金属ロールを圧力0.1kgf/cm2で1分間押し当てた後、押し当てた状態のまま引張強度(c)を測定し、下記式から強度保持率を求めた。なお、引張強度の測定は、JIS P 8113(2006年版)に準じて、試験片幅15mm、試験片長180mm、引張速度200mm/分で、引張り試験機(島津製作所社製AGS−J5kN)を使用して測定した。試験片の長手方向が、シートのたて方向となるように試験片を採取した。
(5)乾熱収縮率:
たて200mm、よこ200mmの寸法にカットしたシートを200℃の温度の熱風循環型乾燥機の中で15分間静置する方法で熱処理し、乾燥機から取り出した後のよこ寸法(d)を単位mmで測定し、下記式から乾熱収縮率を求めた。
(6)クリーニング性:
シートにシリコーンオイル(信越シリコーン社製 KF−965−10000cs)を5g/m2塗布した後、市販の複写機(冨士ゼロックス社製)にトナークリーニングシートとして装着し、黒ベタ画像を50回複写した。次いで、シートを取り出し、トナー付着面の濃度を目視観察し、JIS L 0805(2005年版)に準じた汚染用グレースケールで1級〜5級までの等級を判定した。等級の数字が低いもの程、クリーニング性が優れることとなる。1級以上の濃度のものは全て1級とした。トナーは冨士ゼロックス社製CT200564を使用した。
日立ハイテクノロジーズ社製の走査型電子顕微鏡S−3500Nを用いて、試験片を倍率300倍で観察したとき、1画面中に表示できる試験片の面積に相当する0.14mm2内に存在する繊維のうち、隣り合う繊維との境界線が消えて不明瞭である部分が一カ所でもあれば「有」、なければ「無」とした。観察したのは加熱加圧処理で金属ロールに接触していた面である。
繊維サンプルを約2mgを秤量し、アルミニウム製パンとパンカバーを用いて封入し、示差走査熱量計(島津製作所社製 DSC−60)によって測定する。測定においては、窒素雰囲気中で20℃から320℃の温度まで10℃/分の速度で昇温した後、液体窒素を用いて急冷し、再び窒素雰囲気中で20℃から320℃の温度まで10℃/分の速度で昇温した。この2度目の昇温過程で観察される主吸熱ピークが示す温度を測定し、融点とした。
Claims (12)
- 融点が265℃以上の熱可塑性樹脂から構成される熱可塑性繊維から選ばれた少なくとも一種類の繊維とセルロース繊維から選ばれた少なくとも一種類の繊維とを含むトナークリーニング用シートの製造方法であって、前記熱可塑性繊維の少なくとも一部を融着させて、隣接する熱可塑性繊維と結合させる結合工程を行うことを特徴とするトナークリーニング用シートの製造方法。
- 融点が265℃以上の熱可塑性樹脂から構成される熱可塑性繊維から選ばれた少なくとも一種類の繊維とセルロース繊維から選ばれた少なくとも一種類の繊維を薄い膜状に配置して繊維ウェブを形成する繊維ウェブ形成工程の後、結合工程を行うことを特徴とする請求項1記載のトナークリーニング用シートの製造方法。
- 繊維ウェブ形成工程および結合工程を行なうトナークリーニング用シートの製造が、湿式抄紙法により行われることを特徴とする請求項1記載のトナークリーニング用シートの製造方法。
- 湿式抄紙法が湿式不織布を作成する工程を行った後、作成した湿式不織布を加熱加圧処理する工程を行う請求項3記載のトナークリーニング用シートの製造方法。
- 湿式不織布を作成する工程が、融点が265℃以上の熱可塑性樹脂で構成される熱可塑性繊維から選ばれる少なくとも一種の繊維を水に分散させた熱可塑性繊維スラリーを作製する工程、セルロース繊維から選ばれる少なくとも一種類の繊維を水に分散させたセルロース繊維スラリーを作製する工程、前記両スラリーを混合して混合スラリーとする工程、前記混合スラリーを用いて抄紙機で抄紙した後、乾燥し湿式不織布とする工程を行うことを特徴とする請求項3記載のトナークリーニング用シートの製造方法。
- 加熱加圧処理が、前記湿式不織布をカレンダー加工機および/または熱プレス機で加熱加圧処理することである請求項4または5記載のトナークリーニング用シートの製造方法。
- 融点が265℃以上の熱可塑性樹脂から構成される熱可塑性繊維から選ばれた少なくとも一種類の繊維とセルロース繊維から選ばれた少なくとも一種類の繊維とを含み、前記熱可塑性繊維の少なくとも一部が融着し、隣接する熱可塑性繊維と結合していることを特徴とするトナークリーニング用シート。
- セルロース繊維が木材パルプ繊維であることを特徴とする請求項7記載のトナークリーニング用シート。
- 熱可塑性繊維が、延伸糸と未延伸糸の両方を含むことを特徴とする請求項7または8記載のトナークリーニング用シート。
- 延伸糸がポリフェニレンサルファイド延伸糸であり、未延伸糸がポリフェニレンサルファイド未延伸糸であることを特徴とする請求項9記載のトナークリーニング用シート。
- 熱可塑性繊維から選ばれた少なくとも一種類の繊維とセルロース繊維から選ばれた少なくとも一種類の繊維との使用割合が、質量比率で8:2〜2:8であることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載のトナークリーニング用シート。
- ポリフェ二レンサルファイド延伸糸とポリフェ二レンサルファイド未延伸糸との使用割合が、質量比率で7:3〜3:7であることを特徴とする請求項11記載のトナークリーニング用シート。
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