JP2013148601A - 電子写真装置用クリーニングシート基材 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、強度、熱寸法安定性、拭き取り性が高く、均一で地合が良好な電子写真装置用クリーニングシート基材として使用可能な不織布を提供することである。
【解決手段】平均繊維径を1μm未満にフィブリル化したリヨセル、レーヨン等の再生繊維、未延伸ポリエステル繊維等の熱融着性バインダー繊維を含み、湿式抄紙法にて得られたウエブを加熱したカレンダーロールに通してなる電子写真装置用クリーニングシート基材。
【選択図】なし
【解決手段】平均繊維径を1μm未満にフィブリル化したリヨセル、レーヨン等の再生繊維、未延伸ポリエステル繊維等の熱融着性バインダー繊維を含み、湿式抄紙法にて得られたウエブを加熱したカレンダーロールに通してなる電子写真装置用クリーニングシート基材。
【選択図】なし
Description
本発明は、電子写真装置用クリーニングシート基材に関するものである。
電子写真方式の定着装置に用いる定着ロールに付着した紙粉やトナーかす等の汚染物を取り除く際、オイルを含有する電子写真装置用クリーニングシート基材(以下、「クリーニングシート基材」と略す場合がある)を巻き出し、定着ロール表面をクリーニングすると同時にオイルを塗布し、巻き取る方法が広く用いられている。この方法に用いられるクリーニングシート基材は、拭き取り時に接触する定着ロールが200℃以上の高温となるため、高温条件でも、破断やシワの発生、変形がないように、高い熱寸法安定性が求められる。加えて、クリーニングシート基材は定着ロールに強い圧力で押しつけられるため、高い強度が必要とされる。クリーニングシート基材の強度が低すぎると、作動中に破断してしまうことがある。さらに、繊維の分散性が悪く、均一なシートを得られない場合には、不均一な部分で破断しやすいといった問題もある。
クリーニングシート基材として、耐摩耗性を有するように、梳毛したレーヨン繊維の不織布が開示されている(特許文献1参照)が、このようにフィブリル化していないレーヨン繊維は繊維同士の絡みが少ないため、十分な強度が得られないといった問題があった。
また、高い熱寸法安定性を有し、定着ロール表面を摩耗させることがないクリーニングシート基材として、アラミド繊維と未延伸ポリエステルからなる不織布が開示されている(特許文献2参照)が、アラミド繊維は分散が困難なため、均一なシートを得られ難く、不均一な部分で破断する場合があった。
高い熱寸法安定性を有し、微細なトナーを払拭できるように、フィブリル化させた全芳香族ポリアミド系樹脂繊維を含んだ不織布も用いられている(特許文献3参照)が、フィブリル化させた全芳香族ポリアミド系樹脂繊維も分散が困難なため、均一なシートを得られ難く、不均一な部分で破断する場合があった。
本発明は、強度、熱寸法安定性、拭き取り性が高く、均一で地合が良好な電子写真装置用クリーニングシート基材として使用可能な不織布を提供することを課題とする。
本発明者らは、この課題を解決するため鋭意研究を行った結果、以下の本発明を見出した。
(1)平均繊維径1μm未満にフィブリル化した再生繊維、熱融着性バインダー繊維を少なくとも含み、湿式抄紙法にて得られたウエブを加熱したカレンダーロールに通してなる電子写真装置用クリーニングシート基材、
(2)上記(1)において、平均繊維径を1μm未満にフィブリル化した再生繊維を5〜50質量%含む電子写真装置用クリーニングシート基材、
(3)上記(1)または(2)において、平均繊維径を1μm未満にフィブリル化した再生繊維の平均繊維長が0.20〜2.00mmである電子写真装置用クリーニングシート基材、
(3)上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、熱融着性バインダー繊維が融点220℃以上の未延伸ポリエステル繊維であり、該繊維を15〜65質量%含む電子写真装置用クリーニングシート基材。
(1)平均繊維径1μm未満にフィブリル化した再生繊維、熱融着性バインダー繊維を少なくとも含み、湿式抄紙法にて得られたウエブを加熱したカレンダーロールに通してなる電子写真装置用クリーニングシート基材、
(2)上記(1)において、平均繊維径を1μm未満にフィブリル化した再生繊維を5〜50質量%含む電子写真装置用クリーニングシート基材、
(3)上記(1)または(2)において、平均繊維径を1μm未満にフィブリル化した再生繊維の平均繊維長が0.20〜2.00mmである電子写真装置用クリーニングシート基材、
(3)上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、熱融着性バインダー繊維が融点220℃以上の未延伸ポリエステル繊維であり、該繊維を15〜65質量%含む電子写真装置用クリーニングシート基材。
本発明の電子写真装置用クリーニングシート基材は、平均繊維径1μm未満にフィブリル化した再生繊維、熱融着性バインダー繊維を含み、湿式抄紙法にて得られたウエブに加熱したカレンダーロールに通す加工を施すことで、強度、熱寸法安定性、拭き取り性が高く、均一で地合が良好な電子写真装置用クリーニングシート基材を得ることができる。
また、平均繊維径1μm未満にフィブリル化した再生繊維を5〜50質量%含むことで、より強度が高く、熱寸法安定性に優れた電子写真装置用クリーニングシート基材を得ることができる。
さらに、平均繊維径1μm未満にフィブリル化した再生繊維の平均繊維長が0.20〜2.00mmであることによって、より強度が高く、熱寸法安定性に優れた電子写真装置用クリーニングシート基材を得ることができる。
さらに、熱融着性バインダー繊維が、融点220℃以上の未延伸ポリエステル繊維であり、該繊維を15〜65質量%含むことで、熱寸法安定性に優れ、高温下においても問題なく使用が可能な電子写真装置用クリーニングシート基材を得ることができる。
以下、本発明の電子写真装置用クリーニングシート基材を詳細に説明する。本発明の電子写真装置用クリーニングシート基材は、シリコーンオイル等のオイルを含有し、複写機をはじめ、レーザービームプリンター、ファクシミリ等の電子写真装置における定着ロールに付着する紙粉やトナーかすを拭き取る装置に使用するものである。
本発明の電子写真装置用クリーニングシート基材は、平均繊維径1μm未満にフィブリル化した再生繊維(以下、「フィブリル化した再生繊維」と略す場合がある)と熱融着性バインダー繊維を少なくとも含む。
本発明における再生繊維とは、再生セルロース繊維のことであって、溶媒に溶かしたセルロースを繊維として再生したものである。例としては、セルロースを溶剤に溶かして紡糸するリヨセルや、セルロースをアルカリ及び二硫化炭素と反応させてアルカリ水溶液中に溶解して硫酸中で紡糸するビスコースレーヨン・ポリノジックレーヨン、セルロースを銅アンモニア溶液に溶解し水中で紡糸する銅アンモニアレーヨンが挙げられる。その他、本発明における再生繊維には、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート等のセルロースを原料とした半合成繊維も含まれる。これらの中でも、安定したクリーニング性能が得られることから、リヨセル、レーヨンが特に好ましい。なお、ここで言うレーヨンとは、上記したビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン、銅アンモニアレーヨンのことを言う。再生繊維は高温において軟化しない特徴があるため、電子写真装置用クリーニングシート基材に用いた場合、定着ロールに接しても繊維が変形、溶融することがなく、それに伴って起こるシートの破断やシワの発生もないため、安定してクリーニングが可能となる。
また、平均繊維径1μm未満にフィブリル化した再生繊維を用いることにより、再生繊維をフィブリル化しないで用いた場合よりも繊維同士が絡みやすくなり、強度の高いクリーニングシート基材を得ることができる。また、繊維同士の絡みがよくなることで、繊維の可動域が小さくなり、熱寸法安定性の高いクリーニングシート基材を得ることができる。
さらに、フィブリル化した全芳香族ポリアミド系樹脂繊維を含んだ不織布を用いた場合と比較すると、繊維ダマやヨレのない均一性に優れたクリーニングシート基材を得ることができる。
本発明における平均繊維径とは、走査型電子顕微鏡を用いてフィブリル化した繊維を撮影し、撮影画像中から任意に選んだ繊維30本の繊維径を測定した値の平均である。
フィブリル化した再生繊維の配合比率は、シート質量に対して5〜50質量%が好ましく、7〜40質量%がより好ましく、10〜35質量%がさらに好ましい。配合比率が5質量%未満の場合、十分な熱寸法安定性を得られないことがあり、配合比率が50質量%を超える場合、熱融着性バインダー繊維として配合可能な繊維の量が少なくなるため、十分な強度が得られないことがある。
本発明において、フィブリル化した繊維の平均繊維長は、0.20〜2.00mmであることが好ましく、より好ましくは0.30〜1.80mmであり、さらに好ましくは0.40〜1.60mmである。平均繊維長が0.20mm未満であると、繊維が絡まり難く、十分な強度が得られないため、クリーニングシート基材が定着ロールに押しつけられる際に破断することがある。また、2.00mmより長いと、繊維が絡まりやすく、地合むらや厚みむらが生じるため、拭き取り性が悪くなることがある。
なお、フィブリル化した繊維の繊維長は、繊維にレーザー光を当てて得られる偏向特性を利用して求めることができ、市販の繊維長測定器を用いて測定することができる。本発明では、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.52「紙及びパルプの繊維長 試験方法(光学的自動計測法)」に準じてKajaaniFiberLabV3.5(Metso Automation社製)を使用して測定した。フィブリル化した繊維の「平均繊維長」とは、上記に従って測定・算出される「長さ加重平均繊維長」を意味する。
フィブリル化した再生繊維は、下記に示す変法濾水度が0〜250mlのものが好ましく、0〜200mlのものがより好ましく、0〜160mlのものがさらに好ましい。変法濾水度が250mlを超える場合は、微細化処理が不十分であり、繊維の分割が十分に進まず、繊維径が太いまま残る割合が多くなる。
本発明で言う変法濾水度とは、JIS P8121に規定されるカナダ標準濾水度の測定方法に対して、ふるい板として線径0.14mm、目開き0.18mmの80メッシュ金網を用い、試料濃度0.1%にした以外はJIS P8121に準拠して測定した変法濾水度を意味し、以下、特に断りのない限り、単に変法濾水度と表記する。
また、本発明で変法濾水度を用いた理由は、微細化が進むに従ってフィブリル化した再生繊維の平均繊維長が短くなっていき、特に試料濃度が薄い場合に、繊維同士の絡みが少なくなり、繊維ネットワークが形成されにくくなるため、JIS P8121に規定されるカナダ標準濾水度の測定方法では、フィブリル化した繊維自体がふるい板の穴をすり抜けてしまい、正確な濾水度が計測できないためである。
本発明において、フィブリル化した再生繊維を得るには、再生繊維を適度な濃度で水等に分散させ、これをリファイナー、ビーター、ミル、摩砕装置、高速の回転刃により剪断力を与える回転刃式ホモジナイザー、高速で回転する円筒形の内刃と固定された外刃との間で剪断力を生じる二重円筒式の高速ホモジナイザー、超音波による衝撃で微細化する超音波破砕器、高圧ホモジナイザー等に通して、刃の形状、流量、処理回数、処理速度、処理濃度等の条件を調節して微細化処理すれば良い。これらの微細化処理により、再生繊維は、繊維長軸に平行に分割するとともに繊維長が短くなる。また、微細化の条件を変えることによって、変法濾水度0〜250mlの範囲内で平均繊維長をいかようにも調節することができるため、同程度の変法濾水度であっても、平均繊維長の異なるフィブリル化した繊維を作製することができる。
本発明における熱融着性バインダー繊維とは、所定の温度の加熱処理によって溶融し、その他の繊維と接着させる繊維のことである。本発明における熱融着性バインダー繊維としては、単繊維の他、芯鞘繊維(コアセルタイプ)、並列繊維(サイドバイサイドタイプ)等の複合繊維が挙げられる。複合型熱融着性バインダー繊維としては、例えばポリプロピレン(芯)と、ポリエチレン(鞘)の組み合わせ、ポリプロピレン(芯)とエチレンビニルアルコール(鞘)の組み合わせ、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組み合わせが挙げられる。本発明においては、熱カレンダー処理後の熱収縮に有利な未延伸ポリエステル繊維を用いることが好ましい。また、未延伸ポリエステル繊維の融点は、220℃以上が好ましい。融点が220℃を下回ると、高温の定着ロールを拭き取る際に繊維が溶融し、シートが伸びたり、破断したりすることがあるため、安定してクリーニングできないことがある。熱融着性バインダーを用いずに、熱水可溶性バインダー繊維を用いた場合、湿式抄紙時にシリンダードライヤー、ヤンキードライヤー等の接触型ドライヤーを用いた際に表面が平滑になりやすいため、オイルをシート内に保持できず、結果として定着ロールの拭き取り性が悪くなる。
本発明において、熱融着性バインダー繊維の繊度は特に限定されないが、0.1〜5.0デシテックスであることが好ましく、より好ましくは0.5〜3.0デシテックスである。また、繊維長は、湿式抄紙機で均一な地合を得るために10mm以下が好ましく、より好ましくは6mm以下である。また、熱融着性バインダー繊維の配合比率は、シート質量に対して15〜65質量%が好ましく、より好ましくは20〜60質量%であり、さらに好ましくは25〜55質量%である。配合比率が15質量%未満の場合、十分な強度が得られず、作動中にクリーニングシート基材が破断することがある。65質量%を超える場合、溶融したバインダー繊維がフィルム状になり、クリーニングシート基材内部の空隙が少なくなるため、オイルの吸収性に劣り、また表面が平滑になるため結果的に拭き取り性が悪くなることがある。
再生繊維、熱融着性バインダー繊維以外に、クリーニングシート基材製造工程の加熱処理によって溶融しない繊維として、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びこれらのコポリマー等のポリエステル系繊維、ポリスチレン等のポリオレフィン系繊維ポリアクリロニトリル、モダクリル等のアクリル系繊維、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12等の脂肪族ポリアミド系繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ウレタン繊維等の合成繊維を、本発明の特性を阻害しない限り用いることができる。これらの繊維を構成するポリマーは、ホモポリマー、変性ポリマー、ブレンド、共重合体等の形でも利用でき、また、複数の成分からなる複合繊維を用いても良い。但し、ガラス繊維、グラスウール等の無機繊維は、定着ロールの拭き取り時にロール表面を傷つけることがあるので、使用に適さない。
本発明において、再生繊維、熱融着性バインダー繊維以外の繊維の繊度は、特に限定されないが、0.1〜10デシテックスであることが好ましく、0.2〜8デシテックスがより好ましく、0.3〜6デシテックスがさらに好ましい。0.1デシテックスより小さいと、抄紙ワイヤーから抜け落ちることがある。また、10デシテックスより大きいと、単位面積当たりの繊維本数が減るため、十分な強度を得られないことがある。また、繊維長に関しても特に限定されないが、1〜20mmであることが好ましく、2〜15mmがより好ましく、3〜10mmがさらに好ましい。1mmより小さいと、繊維同士が絡みにくくなるため、十分な強度が得られないことがある。また、20mmより大きいと、均一な地合が得られないことがある。
本発明の電子写真装置用クリーニングシート基材において、ウエブは、一般紙や湿式不織布を製造するための抄紙機、例えば、長網抄紙機、円網抄紙機、傾斜ワイヤー式抄紙機が単独、またはこれらの抄紙機が同種または異種の2機以上がオンラインで設置されているコンビネーション抄紙機等により製造される。抄紙機で製造された湿紙は、エアドライヤー、シリンダードライヤー、ヤンキードライヤー、サクションドラム式ドライヤー、赤外方式ドライヤー等で乾燥させる。抄造の際に配合する薬品として、湿紙状態での断紙対策として、湿潤強度剤やヤンキードライヤーからの剥離を安定させるため、内添サイズ剤を使用しても良い。
乾燥させた後のウエブに、熱履歴を与えて熱寸法安定性を向上させるとともに、厚みを均一に調整できるよう、加熱したカレンダーロール間を通して熱カレンダー処理を行う。カレンダーロールの温度は特に限定されないが、160〜260℃が好ましく、180〜250℃がより好ましく、200〜240℃がさらに好ましい。160℃未満の場合、さらに高温である定着ロールに接した際に収縮やシワが起こることがあり、また、260℃より高い場合、溶融した繊維がカレンダーロールによって均されるため、平滑な仕上がりとなり、オイルの吸収性や定着ロールの拭き取り性が悪くなることがある。熱融着性バインダー繊維に未延伸ポリエステル繊維を用いる場合は、熱カレンダー処理を施すことで、繊維の結晶化を促し、熱寸法安定性を向上させるため、その融点より10℃ほど低い温度で処理することが好ましい。また、ニップ線圧は100〜2000N/cmの条件下で行うのが好ましく、300〜1800N/cmがより好ましく、500〜1500N/cmがさらに好ましい。線圧が100N/cm未満の場合、十分にウエブの厚みを潰すことができず、所定の長さでシャフトに巻こうとすると、径が大きくなり装置に入らない場合がある。また、ニップ線圧が低いと、密度が低くなりやすく、この場合、シート基材中に空隙が大きいため、繊維の自由度が大きくなり、熱寸法安定性が劣ることがある。一方、ニップ線圧が2000N/cmを超える場合、ウエブの厚みが大きく潰れ、シート基材内にオイルを保持する空隙が減少するため、トナーを効率的に拭き取ることができない。なお、カレンダーロールの素材は、金属ロール同士の組み合わせ以外に、加熱した金属ロールと非加熱のコットンロール、加熱した金属ロールと非加熱の弾性ロールの組み合わせでも良い。
本発明の電子写真装置用クリーニングシート基材の密度は、0.20〜0.80g/cm3であることが好ましく、0.25〜0.75g/cm3がより好ましく、0.30〜0.70g/cm3がさらに好ましい。密度が0.20g/cm3未満の場合、強度が弱くなることや毛羽立ちが発生することがある。また、シート基材中に空隙が多いため、繊維の自由度が高く、熱寸法安定性が劣ることがある。一方、密度が0.80g/cm3を超えると、シート基材内部の空隙が少なくなることから、オイル吸液量が低下し、トナーを効率的に拭き取れないことがある。また、本発明に電子写真装置用クリーニングシートの厚みは、20〜80μmが好ましく、25〜70μmがより好ましく、30〜60μmがさらに好ましい。厚みが20μm未満の場合、強度が弱くなることや、また、十分な量のオイルを含有できず、トナーの拭き取り性が悪くなることがある。一方、厚みが80μmを超えると、所定の長さでシャフトに巻こうとすると径が大きくなり、装置に入らない場合がある。
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部数や百分率は、特に断りのない限り質量基準である。
実施例1
フィブリル化していないリヨセル繊維(繊度0.3デシテックス、繊維長5mm)に対し、ダブルディスクリファイナーを用いてフィブリル化処理を行い、平均繊維径1μm未満にフィブリルしたリヨセル繊維(以下、「フィブリル化リヨセル繊維」と略す場合がある)を得た。このフィブリル化リヨセル繊維の変法濾水度は20ml、平均繊維長は0.81mmであった。
フィブリル化していないリヨセル繊維(繊度0.3デシテックス、繊維長5mm)に対し、ダブルディスクリファイナーを用いてフィブリル化処理を行い、平均繊維径1μm未満にフィブリルしたリヨセル繊維(以下、「フィブリル化リヨセル繊維」と略す場合がある)を得た。このフィブリル化リヨセル繊維の変法濾水度は20ml、平均繊維長は0.81mmであった。
熱融着性バインダー繊維として未延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維(繊度1.2デシテックス、繊維長5mm、融点230℃)、その他の繊維として延伸PET繊維(繊度0.6デシテックス、繊維長5mm)を用いた。これらの繊維を、フィブリル化リヨセル繊維/未延伸PET繊維/延伸PET繊維=30/40/30となるようにパルパーで分散し、円網抄紙機で抄紙後、130℃のシリンダードライヤーにて乾燥し、25g/m2のウエブを得た。このウエブを、上下ロールともに220℃に加熱したシリンダーロール(ニップ線圧:1000N/cm)に通し、クリーニングシート基材を得た。
実施例2
繊維の配合比率を、フィブリル化リヨセル繊維/未延伸PET繊維/延伸PET繊維=3/40/57とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
繊維の配合比率を、フィブリル化リヨセル繊維/未延伸PET繊維/延伸PET繊維=3/40/57とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
実施例3
繊維の配合比率を、フィブリル化リヨセル繊維/未延伸PET繊維/延伸PET繊維=5/40/55とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
繊維の配合比率を、フィブリル化リヨセル繊維/未延伸PET繊維/延伸PET繊維=5/40/55とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
実施例4
繊維の配合比率を、フィブリル化リヨセル繊維/未延伸PET繊維/延伸PET繊維=50/40/10とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
繊維の配合比率を、フィブリル化リヨセル繊維/未延伸PET繊維/延伸PET繊維=50/40/10とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
実施例5
繊維の配合比率を、フィブリル化リヨセル繊維/未延伸PET繊維/延伸PET繊維=55/40/5とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
繊維の配合比率を、フィブリル化リヨセル繊維/未延伸PET繊維/延伸PET繊維=55/40/5とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
実施例6
フィブリル化リヨセル繊維の平均繊維長を0.16mmとした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
フィブリル化リヨセル繊維の平均繊維長を0.16mmとした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
実施例7
フィブリル化リヨセル繊維の平均繊維長を0.21mmとした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
フィブリル化リヨセル繊維の平均繊維長を0.21mmとした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
実施例8
フィブリル化リヨセル繊維の平均繊維長を1.98mmとした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
フィブリル化リヨセル繊維の平均繊維長を1.98mmとした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
実施例9
フィブリル化リヨセル繊維の平均繊維長を2.20mmとした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
フィブリル化リヨセル繊維の平均繊維長を2.20mmとした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
実施例10
熱融着性バインダーとして、未延伸PET繊維ではなく、PET−低融点PETの芯鞘繊維(繊度1.1デシテックス、繊維長5mm、低融点PETの融点110℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
熱融着性バインダーとして、未延伸PET繊維ではなく、PET−低融点PETの芯鞘繊維(繊度1.1デシテックス、繊維長5mm、低融点PETの融点110℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
実施例11
繊維の配合比率を、フィブリル化リヨセル繊維/未延伸PET繊維/延伸PET繊維=30/10/60とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
繊維の配合比率を、フィブリル化リヨセル繊維/未延伸PET繊維/延伸PET繊維=30/10/60とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
実施例12
繊維の配合比率を、フィブリル化リヨセル繊維/未延伸PET繊維/延伸PET繊維=30/15/55とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
繊維の配合比率を、フィブリル化リヨセル繊維/未延伸PET繊維/延伸PET繊維=30/15/55とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
実施例13
繊維の配合比率を、フィブリル化リヨセル繊維/未延伸PET繊維/延伸PET繊維=30/65/5とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
繊維の配合比率を、フィブリル化リヨセル繊維/未延伸PET繊維/延伸PET繊維=30/65/5とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
実施例14
繊維の配合比率を、フィブリル化リヨセル繊維/未延伸PET繊維/延伸PET繊維=30/70/0とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
繊維の配合比率を、フィブリル化リヨセル繊維/未延伸PET繊維/延伸PET繊維=30/70/0とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
実施例15
フィブリル化していないセルロースジアセテート繊維(繊度0.3デシテックス、繊維長5mm)に対し、ダブルディスクリファイナーを用いてフィブリル化処理を行い、繊維径1μm未満にフィブリル化したセルロースジアセテート繊維(以下、「フィブリル化ジアセテート繊維」と略す場合がある)を得た。このフィブリル化ジアセテート繊維の変法濾水度は20ml、平均繊維長は0.84mmであった。
フィブリル化していないセルロースジアセテート繊維(繊度0.3デシテックス、繊維長5mm)に対し、ダブルディスクリファイナーを用いてフィブリル化処理を行い、繊維径1μm未満にフィブリル化したセルロースジアセテート繊維(以下、「フィブリル化ジアセテート繊維」と略す場合がある)を得た。このフィブリル化ジアセテート繊維の変法濾水度は20ml、平均繊維長は0.84mmであった。
熱融着性バインダー繊維として未延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維(繊度1.2デシテックス、繊維長5mm、融点230℃)、その他の繊維として延伸PET繊維(繊度0.6デシテックス、繊維長5mm)を用いた。これらの繊維を、フィブリル化ジアセテート繊維/未延伸PET繊維/延伸PET繊維=30/40/30となるようにパルパーで分散し、円網抄紙機で抄紙後、130℃のシリンダードライヤーにて乾燥し、25g/m2のウエブを得た。このウエブを、上下ロールともに220℃に加熱したシリンダーロール(ニップ線圧:1500N/cm)に通し、クリーニングシート基材を得た。
比較例1
繊維の配合比率を、未延伸PET繊維/延伸PET繊維=40/60とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
繊維の配合比率を、未延伸PET繊維/延伸PET繊維=40/60とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
比較例2
繊維の配合比率を、フィブリル化リヨセル繊維/延伸PET繊維=30/70とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
繊維の配合比率を、フィブリル化リヨセル繊維/延伸PET繊維=30/70とした以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
比較例3
熱カレンダー処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
熱カレンダー処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
比較例4
熱カレンダー処理を常温で行った以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
熱カレンダー処理を常温で行った以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
比較例5
バインダー繊維として、熱融着性バインダー繊維ではなく、熱水可溶性バインダー繊維のポリビニルアルコール繊維(繊度0.1デシテックス、繊維長5mm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
バインダー繊維として、熱融着性バインダー繊維ではなく、熱水可溶性バインダー繊維のポリビニルアルコール繊維(繊度0.1デシテックス、繊維長5mm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
比較例6〜10
再生繊維をフィブリル化せずに用いた以外は、実施例1〜5と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
再生繊維をフィブリル化せずに用いた以外は、実施例1〜5と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
比較例11〜16
再生繊維をフィブリル化せずに用いた以外は、実施例10〜15と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
再生繊維をフィブリル化せずに用いた以外は、実施例10〜15と同様にして、クリーニングシート基材を得た。
比較例17
パラ系全芳香族ポリアミド繊維に対し、リファイナーを用いてフィブリル化処理を行い、フィブリル化したパラ系全芳香族ポリアミド繊維(以下、「フィブリル化パラ系全芳香族ポリアミド繊維」と略す場合がある)を得た。このフィブリル化パラ系全芳香族ポリアミド繊維の濾水度は90mlであった。なお、濾水度はJIS P8121に規定されるカナダ標準濾水度の測定方法に準拠して測定した。
パラ系全芳香族ポリアミド繊維に対し、リファイナーを用いてフィブリル化処理を行い、フィブリル化したパラ系全芳香族ポリアミド繊維(以下、「フィブリル化パラ系全芳香族ポリアミド繊維」と略す場合がある)を得た。このフィブリル化パラ系全芳香族ポリアミド繊維の濾水度は90mlであった。なお、濾水度はJIS P8121に規定されるカナダ標準濾水度の測定方法に準拠して測定した。
フィブリル化パラ系全芳香族ポリアミド繊維/未延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維(繊度1.2デシテックス、繊維長5mm、融点230℃)=70/30となるようにパルパーで分散し、円網抄紙機で抄紙後、130℃のシリンダードライヤーにて乾燥し、25g/m2のウエブを得た。このウエブを、上下ロールともに220℃に加熱したシリンダーロール(ニップ線圧:1500N/cm)に通し、クリーニングシート基材を得た。
比較例18
パラ系全芳香族ポリアミド繊維に対しダブルディスクリファイナーを用いてフィブリル化処理を行った後、さらに、高圧ホモジナイザーでフィブリル化処理を行い、平均繊維径1μm未満にフィブリル化したフィブリル化パラ系全芳香族ポリアミド繊維を得た。このフィブリル化パラ系全芳香族ポリアミド繊維の濾水度は0ml、繊維長0.61mmであった。なお、濾水度はJIS P8121に規定されるカナダ標準濾水度の測定方法に準拠して測定した。
パラ系全芳香族ポリアミド繊維に対しダブルディスクリファイナーを用いてフィブリル化処理を行った後、さらに、高圧ホモジナイザーでフィブリル化処理を行い、平均繊維径1μm未満にフィブリル化したフィブリル化パラ系全芳香族ポリアミド繊維を得た。このフィブリル化パラ系全芳香族ポリアミド繊維の濾水度は0ml、繊維長0.61mmであった。なお、濾水度はJIS P8121に規定されるカナダ標準濾水度の測定方法に準拠して測定した。
フィブリル化パラ系全芳香族ポリアミド繊維/未延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維(繊度1.2デシテックス、繊維長5mm、融点230℃)=70/30となるようにパルパーで分散し、円網抄紙機で抄紙後、130℃のシリンダードライヤーにて乾燥し、25g/m2のウエブを得た。このウエブを、上下ロールともに220℃に加熱したシリンダーロール(ニップ線圧:1500N/cm)に通し、クリーニングシート基材を得た。
比較例19
メタ系全芳香族ポリアミド繊維(繊度0.9dtex、繊維長5mm)/未延伸PET繊維(繊度1.2デシテックス、繊維長5mm、融点230℃)/延伸PET繊維(繊度3.3デシテックス、繊維長10mm)=50/40/10となるようにパルパーで分散し、円網抄紙機で抄紙後、130℃のシリンダードライヤーにて乾燥し、25g/m2のウエブを得た。このウエブを、上下ロールともに220℃に加熱したシリンダーロール(ニップ線圧:1500N/cm)に通し、クリーニングシート基材を得た。
メタ系全芳香族ポリアミド繊維(繊度0.9dtex、繊維長5mm)/未延伸PET繊維(繊度1.2デシテックス、繊維長5mm、融点230℃)/延伸PET繊維(繊度3.3デシテックス、繊維長10mm)=50/40/10となるようにパルパーで分散し、円網抄紙機で抄紙後、130℃のシリンダードライヤーにて乾燥し、25g/m2のウエブを得た。このウエブを、上下ロールともに220℃に加熱したシリンダーロール(ニップ線圧:1500N/cm)に通し、クリーニングシート基材を得た。
上記の実施例1〜15、比較例1〜19で作製したクリーニングシート基材について、下記の評価方法により評価し、その結果を表1に示した。なお、表中の「平均繊維長」とは、フィブリル化した繊維の平均繊維長(単位:mm)である。
(1)密度(単位:g/cm3)
JIS P 8118に準じて測定を行った。
JIS P 8118に準じて測定を行った。
(2)引張強度(単位:N/50mm)
実施例1〜15、比較例1〜19で作製したクリーニングシート基材について、それぞれ幅方向:50mm×流れ方向:200mmに断裁し、シリコーンオイル(商品名:KF−96−1万cs、信越化学工業社製)をグラビアコーター方式で15g/m2を含浸させ、試験片を作製した。JIS L1906に準じて、テンシロン機を用いてチャック間距離10cm、ヘッドスピード20cm/minで流れ方向での引張強度を測定した。流れ方向の引張強度は、30N/50mm以上が好ましく、より好ましくは40N/50mm以上である。30N/50mmよりも小さいと、作動時に破断することがあるため、実用上問題がある。
実施例1〜15、比較例1〜19で作製したクリーニングシート基材について、それぞれ幅方向:50mm×流れ方向:200mmに断裁し、シリコーンオイル(商品名:KF−96−1万cs、信越化学工業社製)をグラビアコーター方式で15g/m2を含浸させ、試験片を作製した。JIS L1906に準じて、テンシロン機を用いてチャック間距離10cm、ヘッドスピード20cm/minで流れ方向での引張強度を測定した。流れ方向の引張強度は、30N/50mm以上が好ましく、より好ましくは40N/50mm以上である。30N/50mmよりも小さいと、作動時に破断することがあるため、実用上問題がある。
(3)拭き取り性
実施例1〜15、比較例1〜19で作製したクリーニングシート基材について、それぞれ100mm×100mmに断裁し、シリコーンオイル(商品名:KF−96−1万cs、信越化学工業社製)をグラビアコーター方式で15g/m2を含浸させ、試験片を作製した。ガラス板状にJIS8種粉体を10mg滴下し、100mm×100mm角の試験片で3回拭き取った後に、ガラス板上の粉体の残存程度を目視観察し、評価した。拭き取り性の評価基準としては、以下の通りである。
◎:粉体が全く残らず良好。
○:粉体が殆ど残らず良好。
△:粉体が僅かに残るものの、効果は認められる。
×:粉体が殆ど残り、実用上問題がある。
実施例1〜15、比較例1〜19で作製したクリーニングシート基材について、それぞれ100mm×100mmに断裁し、シリコーンオイル(商品名:KF−96−1万cs、信越化学工業社製)をグラビアコーター方式で15g/m2を含浸させ、試験片を作製した。ガラス板状にJIS8種粉体を10mg滴下し、100mm×100mm角の試験片で3回拭き取った後に、ガラス板上の粉体の残存程度を目視観察し、評価した。拭き取り性の評価基準としては、以下の通りである。
◎:粉体が全く残らず良好。
○:粉体が殆ど残らず良好。
△:粉体が僅かに残るものの、効果は認められる。
×:粉体が殆ど残り、実用上問題がある。
(4)オイル保液性(単位:g/m2)
実施例1〜15、比較例1〜19で作製したクリーニングシート基材について、それぞれ100mm×100mmに断裁して試験片を作製し、乾燥質量を測定する。次に、シリコーンオイル(商品名:KF−96−1万cs、信越化学工業社製)中に試験片を広げて浸漬し、10分間放置したのち液体中から取り出し、表面のオイルを濾紙で軽く拭いた。これを120℃のオーブン内にて30分間吊し置きした後、湿潤質量を測定し、試験片の乾燥質量と湿潤質量から試験片のオイル保液量を算出し、オイル保液性を評価した。オイル保液性が悪いと、トナーの拭き取り性が悪化し、特にオイル保液量が7g/m2以下であると実用上問題がある。
実施例1〜15、比較例1〜19で作製したクリーニングシート基材について、それぞれ100mm×100mmに断裁して試験片を作製し、乾燥質量を測定する。次に、シリコーンオイル(商品名:KF−96−1万cs、信越化学工業社製)中に試験片を広げて浸漬し、10分間放置したのち液体中から取り出し、表面のオイルを濾紙で軽く拭いた。これを120℃のオーブン内にて30分間吊し置きした後、湿潤質量を測定し、試験片の乾燥質量と湿潤質量から試験片のオイル保液量を算出し、オイル保液性を評価した。オイル保液性が悪いと、トナーの拭き取り性が悪化し、特にオイル保液量が7g/m2以下であると実用上問題がある。
(6)熱寸法安定性
実施例1〜15、比較例1〜19で作製したクリーニングシート基材について、それぞれ100mm×100mmに断裁し、シリコーンオイル(商品名:KF−96−1万cs、信越化学工業社製)をグラビアコーター方式で15g/m2を含浸させ、試験片を作製した。この試験片を220℃の熱風乾燥機中で1時間保持し、熱処理後各辺の熱収縮率(単位:%)を下記式で求め、シートの流れ方向、幅方向それぞれ2辺を平均して熱収縮率を算出し、熱寸法安定性を評価した。なお、熱収縮率は、定着ロール拭き取り時の破断や収縮を回避するため2.0%未満が好ましく、より好ましくは1.5%未満である。熱収縮率が2.0%以上であると実用上問題がある。
実施例1〜15、比較例1〜19で作製したクリーニングシート基材について、それぞれ100mm×100mmに断裁し、シリコーンオイル(商品名:KF−96−1万cs、信越化学工業社製)をグラビアコーター方式で15g/m2を含浸させ、試験片を作製した。この試験片を220℃の熱風乾燥機中で1時間保持し、熱処理後各辺の熱収縮率(単位:%)を下記式で求め、シートの流れ方向、幅方向それぞれ2辺を平均して熱収縮率を算出し、熱寸法安定性を評価した。なお、熱収縮率は、定着ロール拭き取り時の破断や収縮を回避するため2.0%未満が好ましく、より好ましくは1.5%未満である。熱収縮率が2.0%以上であると実用上問題がある。
熱収縮率=[(熱処理前の試験片長さ−熱処理後の試験片長さ)/(熱処理前の試験片長さ)]×100
(7)均一性
実施例1〜15、比較例1〜19で作製したクリーニングシート基材について、それぞれ300mm×300mmに断裁し、繊維ダマ、ヨレの状態を観察した。評価はモニター6名によって行われ、各人がそれぞれ評価した等級の最多数をその等級とした。
実施例1〜15、比較例1〜19で作製したクリーニングシート基材について、それぞれ300mm×300mmに断裁し、繊維ダマ、ヨレの状態を観察した。評価はモニター6名によって行われ、各人がそれぞれ評価した等級の最多数をその等級とした。
◎:繊維ダマやヨレが全く見られず、均一性が非常に良好。
○:直径5mm以下の小さなダマやヨレが1〜3箇所見られるが、均一性が良好。
△:直径5mm以下の小さなダマやヨレが4〜10箇所見られるが、効果は認められる。
×:直径5mm以下の小さなダマやヨレが11箇所以上、または直径が5mmより大きいダマが見られ、均一性不良。実用上問題がある。
○:直径5mm以下の小さなダマやヨレが1〜3箇所見られるが、均一性が良好。
△:直径5mm以下の小さなダマやヨレが4〜10箇所見られるが、効果は認められる。
×:直径5mm以下の小さなダマやヨレが11箇所以上、または直径が5mmより大きいダマが見られ、均一性不良。実用上問題がある。
表1から明らかなように、フィブリル化した再生繊維、熱融着性バインダー繊維を含んだ湿式抄紙法にて得られたウエブを加熱したカレンダーロールに通して得られる実施例1〜15のクリーニングシート基材は、引張強度、熱寸法安定性、拭き取り性、オイル保液性、均一性に優れている。
再生繊維を用いなかった比較例1は、引張強度は良好であったが、熱寸法安定性が低かった。一方、熱融着性バインダー繊維を用いなかった比較例2は、引張強度、熱寸法安定性が低かった。熱カレンダー処理を行わなかった比較例3と、熱カレンダー処理を常温で行った比較例4は、熱融着性バインダー繊維が十分に溶融しないため、引張強度が低く、未延伸PET繊維の結晶化が起きないため、熱寸法安定性も低かった。さらに、比較例3は、比較例4よりも低密度の仕上がりとなることから、繊維の可動域が大きく、熱寸法安定性が低かった。バインダー繊維として、熱融着性バインダーではなく熱水可溶性バインダー繊維を用いた比較例5は、シリンダードライヤーでの乾燥時にシート表面が平滑となったため、オイル保液性が下がり、拭き取り性も下がった。再生繊維をフィブリル化せずに用いた比較例6〜16は、繊維同士の絡みが悪いため、引張強度が低かった。また、繊維の可動域が大きく、熱寸法安定性も低かった。フィブリル化した全芳香族ポリアミド繊維を用いた比較例17、18と、フィブリル化していない全芳香族ポリアミド繊維を用いた比較例19は、繊維を水中に均一に分散することが困難なため、均一性に劣った。
実施例1〜5の比較から、フィブリル化した再生繊維の含有量が5質量%より少ない実施例2は、熱収縮率が大きくなり、一方、フィブリル化した再生繊維の量が50質量%より多い実施例5は、熱寸法安定性は良くなるが、引張強度が低下した。しかし、いずれも実用上問題ないレベルであった。
実施例1、6〜9の比較から、フィブリル化した再生繊維の平均繊維長が0.20mmよりも短い実施例6は、引張強度が若干低くなり、一方、フィブリル化した再生繊維の平均繊維長が2.00mmよりも長い実施例9は、地合むらが生じ、若干拭き取り性が低下した。しかし、いずれも実用上問題ないレベルであった。
実施例1と実施例15の比較から、再生繊維として、半合成繊維を用いた実施例15は、引張強度が若干弱くなったが、実用上問題ないレベルであった。
実施例1と10の比較から、熱融着性バインダー繊維として、PET−低融点PETの芯鞘繊維(低融点PETの融点110℃)を用いた実施例10は、融点が低いため、実際の使用を想定した高温での熱収縮が大きく、また、熱カレンダー処理時に繊維が溶融してフィルム状となるため、拭き取り性、オイル保液性が若干劣ったが、実用上問題ないレベルであった。
実施例1、11〜14の比較から、熱融着性バインダー繊維の含有量が15質量%よりも少ない実施例11は、引張強度が低くなり、熱収縮が大きくなる傾向が見られたが、実用上問題ないレベルであった。一方、熱融着性バインダー繊維の含有量が65質量%より多い実施例14は、熱カレンダー処理により表面が平滑になるため、拭き取り性、オイル保液性が若干劣ったが、いずれも実用上問題ないレベルであった。
以上説明したように、本発明の電子写真装置用クリーニングシート基材は、平均繊維径を1μm未満にフィブリル化した再生繊維、熱融着性バインダー繊維を含むウエブを、加熱したカレンダーロールに通して熱処理を施すことによって、高い引張強度と熱寸法安定性が得られ、シリコーンオイル等のオイルを付与して電子写真装置用クリーニングシート基材としての使用が可能である。
本発明の電子写真装置用クリーニングシート基材は、シリコーンオイル等のオイルを付与して、複写機をはじめ、レーザービームプリンター、ファクシミリ等の電子写真装置における定着ロールに付着する紙粉やトナーかすを拭き取る装置に用いることができる。
Claims (4)
- 平均繊維径を1μm未満にフィブリル化した再生繊維、熱融着性バインダー繊維を少なくとも含み、湿式抄紙法にて得られたウエブを加熱したカレンダーロールに通してなる電子写真装置用クリーニングシート基材。
- 平均繊維径を1μm未満にフィブリル化した再生繊維を5〜50質量%含む請求項1に記載の電子写真装置用クリーニングシート基材。
- 平均繊維径を1μm未満にフィブリル化した再生繊維の平均繊維長が0.20〜2.00mmである請求項1または2に記載の電子写真装置用クリーニングシート基材。
- 熱融着性バインダー繊維が融点220℃以上の未延伸ポリエステル繊維であり、該繊維を15〜65質量%含む請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真装置用クリーニングシート基材。
Priority Applications (1)
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JP2012006661A JP2013148601A (ja) | 2012-01-17 | 2012-01-17 | 電子写真装置用クリーニングシート基材 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2015098902A1 (ja) * | 2013-12-27 | 2015-07-02 | 東レ株式会社 | トナークリーニング用シートおよびその製造方法 |
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-
2012
- 2012-01-17 JP JP2012006661A patent/JP2013148601A/ja active Pending
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