JP2023079776A - 液体フィルタ用濾材及びその製造方法 - Google Patents

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Tadashi Sato
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Yuki Yamazaki
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Abstract

【課題】本開示の課題は、低い圧力損失、高い濾過効率及び長い濾過寿命を兼ね備えた液体フィルタ用濾材及びその製造方法を提供することである。【解決手段】本開示に係る液体フィルタ用濾材は、フィブリル化リヨセル繊維と、繊維径が35μm以上である熱融着繊維と、を含み、少なくとも前記フィブリル化リヨセル繊維がネットワーク構造を形成している湿式不織布を有する。本開示に係る液体フィルタ用濾材の製造方法は、フィブリル化リヨセル繊維と、繊維径が35μm以上である熱融着繊維と、を含む原料スラリーを準備する工程と、前記原料スラリーを抄紙して、湿潤シートを形成する工程と、前記湿潤シートを乾燥させて液体フィルタ用濾材となる乾燥シートを得る工程と、を有する。【選択図】図1

Description

本開示は、液体に含まれる固体粒子を除去して清浄な液体を得るために使用される、液体フィルタ用濾材及びその製造方法に関する。
液体に含まれる固体粒子を除去するために使用される濾材としては、天然繊維、有機合成繊維または無機繊維等から構成される紙または不織布からなる濾材が広く用いられている。濾過効率の高い濾材を得るためには、細径の繊維が緻密に充填された濾材を用いることが有効であるが、繊維径が細すぎたり繊維の充填が緻密すぎたりすると、圧力損失が上昇して、通液量を確保しにくくなるとともに、濾過寿命すなわち所定の圧力損失に達するまでの濾過時間が低下する問題がある。
液体フィルタ用濾材を構成する繊維としては、高い濾過効率が得られることから、フィブリル化されたリヨセル繊維が広く用いられており、例えば、繊維径1μm以下のフィブリル化リヨセル繊維と繊維径1~30μmの有機繊維を含有する濾材(例えば、特許文献1を参照。)や、約20~約80重量%の二成分ステープル繊維と約10~約50質量%のフィブリル化リヨセルステープル繊維を含有する濾材(例えば、特許文献2を参照。)が提案されている。しかしながら、低い圧力損失を維持しつつ、さらに高い濾過効率と長い濾過寿命を有する濾材が望まれている。
特開2004-188409号公報 特表2021-521000号公報
前記の通り、低い圧力損失を維持しつつ、液体に含まれる固体粒子を高効率で濾過するとともに、長い濾過寿命を有する濾材が求められているが、従来の技術では、これらの特性を兼ね備えた濾材を得ることが難しかった。したがって、本開示の課題は、低い圧力損失、高い濾過効率及び長い濾過寿命を兼ね備えた液体フィルタ用濾材及びその製造方法を提供することである。
本発明に係る液体フィルタ用濾材は、フィブリル化リヨセル繊維と、繊維径が35μm以上である熱融着繊維と、を含み、少なくとも前記フィブリル化リヨセル繊維がネットワーク構造を形成している湿式不織布を有することを特徴とする。
本発明に係るエアフィルタ用濾材では、前記フィブリル化リヨセル繊維は、平均繊維径が0.3μm以上、最大繊維径が8μm以下、かつ、長さ加重平均繊維長が1mm以上であることが好ましい。これにより、高い濾過効率を得ることができる。
本発明に係る液体フィルタ用濾材では、前記湿式不織布が、フィブリル化されていない非熱融着繊維を含む形態を包含する。これにより、物性バランスの良い濾材を得ることができる。
本発明に係る液体フィルタ用濾材では、前記フィブリル化リヨセル繊維の配合量は、濾材を構成する全繊維質量100部に対して20~80部であることが好ましい。十分な濾過効率を確保しつつ、圧力損失を低減することができる。
本発明に係る液体フィルタ用濾材では、前記熱融着繊維の配合量は、濾材を構成する全繊維質量100部に対して20~80部であることが好ましい。濾材の強度を確保しつつ十分な濾過効率を得ることができる。
本発明に係る液体フィルタ用濾材では、前記熱融着繊維は、加熱により溶融しない非熱融着成分と加熱により溶融する熱融着成分とを有する複合型熱融着繊維であることが好ましい。フィブリル化リヨセル繊維が形成するネットワーク構造中に複合型熱融着繊維も加わって、濾材の強度を確保しつつ十分な濾過効率を得ることができる。
本発明に係る液体フィルタ用濾材では、前記非熱融着繊維の配合量は、濾材を構成する全繊維質量100部に対して0~70部であることが好ましい。これにより、物性バランスの良い濾材を得ることができる。
本発明に係る液体フィルタ用濾材では、前記非熱融着繊維は、繊維径が5μm以上の繊維であることが好ましい。圧力損失が高くなりすぎることを防止することができる。
本発明に係る液体フィルタ用濾材の製造方法は、フィブリル化リヨセル繊維と、繊維径が35μm以上である熱融着繊維と、を含む原料スラリーを準備する工程と、前記原料スラリーを抄紙して、湿潤シートを形成する工程と、前記湿潤シートを乾燥させて液体フィルタ用濾材となる乾燥シートを得る工程と、を有することを特徴とする。
本開示により、低い圧力損失、高い濾過効率及び長い濾過寿命を兼ね備えた液体フィルタ用濾材を得ることができる。
実施例及び比較例における圧力損失と濾過効率の関係を比較したグラフである。 実施例及び比較例における圧力損失と濾過寿命の関係を比較したグラフである。
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本実施形態におけるリヨセル繊維は、溶剤としてN-メチルモルホリン-N-オキシドを用いた有機溶剤紡糸法によって紡糸された再生セルロース繊維である。有機溶剤紡糸法は、セルロースをそのまま有機溶剤に溶解させて紡糸するため、分子の切断が少なく、平均重合度が他の再生セルロース繊維に比べて高く、繊維の剛直性が高いとともに、繊維の断面形状が円形に近い特徴を有する。この剛直性と断面形状により、濾材中の空隙を維持し易くなる。また、叩解後のフィブリル化リヨセル繊維も、前記の剛直性と断面形状の特徴を維持する。さらに、叩解によりフィブリル化されると、粒子捕集に寄与する繊維の表面積が大きくなるため、濾過効率が上昇する。
リヨセル繊維をフィブリル化するための叩解方法としては、ナイヤガラビーター、PFIミル、シングルディスクリファイナー、ダブルディスクリファイナー等の叩解機を使用できる。叩解においては、リヨセルの繊維長を短くしすぎないように、強すぎる負荷をかけずに叩解することが好ましい。
リヨセル繊維の叩解を進めると、繊維が切断されて繊維長が短くなる。繊維長が短くなりすぎると、シート形成後の空隙を埋めてしまうため、圧力損失が高くなるおそれがある。本実施形態で使用するフィブリル化リヨセル繊維は、長さ加重平均繊維長が1mm以上であることが好ましく、1~3mmであることがより好ましく、1~2mmであることがさらに好ましい。
なお、フィブリル化リヨセル繊維の長さ加重平均繊維長は、ISO 16065-2:2007「Determination of fibre length by automated optical analysis-Part2」にしたがって測定した。
リヨセル繊維は、叩解によりフィブリル化が進行して繊維径が細くなる。本実施形態で使用するフィブリルリヨセル繊維の平均繊維径は0.3μm以上であることが好ましく、0.3~1.0μmであることがより好ましく、0.3~0.8μmであることがさらに好ましい。平均繊維径が0.3μm未満であると、フィブリル化の進行にともなって繊維が切断され、濾材中の空隙を維持することができなくなり、圧力損失が上昇するおそれがある。一方、平均繊維径が1.0μmを超えると、粒子捕集に寄与する繊維の表面積が小さくなり、濾過効率が低下するおそれがある。
フィブリル化リヨセル繊維の最大繊維径は8μm以下であることが好ましく、6μm以下であることがより好ましく、4μm以下であることがさらに好ましい。最大繊維径が8μmを超えると、粒子捕集に寄与する繊維の表面積が小さくなり、濾過効率が低下するおそれがある。
なお、本実施形態における繊維径は、電子顕微鏡を用いて濾材の表面の写真撮影を行い、得られた電子顕微鏡写真に横方向に直線を1本引き、その直線と繊維との交点における繊維径を計測した。平均繊維径は、測定200点の算術平均値とした。
本実施形態におけるフィブリル化リヨセル繊維の配合量は、濾材に必要とされる物性に応じて適宜調整できるが、濾材を構成する全繊維質量を100部とした場合に、20~80部であることが好ましく、30~70部であることがより好ましい。フィブリル化リヨセル繊維の配合量が少なすぎると、十分な濾過効率を得ることが難しい場合がある。フィブリル化繊維の配合量が多すぎると、濾材の構造が緻密になり圧力損失が高くなる場合がある。
本実施形態における熱融着繊維は、湿式不織布の製造工程における加熱により溶融する熱融着成分を含む繊維である。熱融着繊維を添加することで溶融接着により湿式不織布の強度を付与することができる。溶融接着には、熱融着繊維がフィブリル化リヨセル繊維に点接着する形態が包含される。熱融着繊維の例としては、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維等が挙げられる。熱融着繊維の形態としては、溶融する部分と溶融しない部分とが隣り合わせで複合化されたサイドバイサイド型熱融着繊維、溶融しない芯部と溶融する鞘部を有する芯鞘型熱融着繊維、全体が溶融してガラス繊維等の主体繊維同士の接着に寄与する全融型熱融着繊維などがある。このうち、サイドバイサイド型熱融着繊維及び芯鞘型熱融着繊維を含む、加熱により溶融しない非熱融着成分と加熱により溶融する熱融着成分からなる複合型熱融着繊維であることが好ましく、非熱融着成分を芯部として熱融着成分を鞘部とした芯鞘型熱融着繊維であることがより好ましい。非熱融着成分の例としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、セルロース系ポリマー等があり、その中でも、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましい。熱融着成分の例としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)、ポリ(エチレン-ビニルアルコール)等があり、その中でも、共重合ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエチレン等のポリオレフィンが好ましい。
熱融着繊維は、サイドバイサイド型熱融着繊維、芯鞘型熱融着繊維及び全融型熱融着繊維のうち、いずれか一種を湿式不織布に含ませる形態のほか、2種又は3種を含ませてもよい。2種を含ませる例としては、サイドバイサイド型熱融着繊維と芯鞘型熱融着繊維の組み合わせ、サイドバイサイド型熱融着繊維と全融型熱融着繊維の組み合わせ、又は芯鞘型熱融着繊維と全融型熱融着繊維の組み合わせがある。
熱融着繊維は、湿潤状態のシートのときは、配合時の形状を維持しているが、加熱乾燥工程において熱融着繊維が加熱されると、一部又は全体が溶融して、主体繊維であるフィブリル化リヨセル繊維又はフィブリル化されていない非熱融着繊維と結合する若しくは熱融着繊維同士で結合する。加熱乾燥工程を経た濾材に含まれる溶融済みの熱融着繊維は、繊維の形状を維持しているか、または、途切れている部分はあるものの繊維の形状が観察でき、点又は線の形状のみが観察される。より具体的には、全融型熱融着繊維が加熱されると、全体が溶融して、フィブリル化リヨセル繊維又はフィブリル化されていない非熱融着繊維と結合する、若しくは全融型熱融着繊維同士で結合する。溶融済みの全融型熱融着繊維は、途切れ、潰れ、曲がり等変形している部分が存在している場合があるものの繊維の形状が観察でき、線状又は点状の形状のみが観察される。本実施形態では、全融型熱融着繊維は、加熱乾燥工程の前後で繊維状であることに対して繊維状であった痕跡があることの差異があるだけなので、溶融前の全融型熱融着繊維と溶融済み全融型熱融着繊維とを「全融型熱融着繊維」と表記する。また、サイドバイサイド型熱融着繊維又は芯鞘型熱融着繊維が加熱されると、サイドバイサイド型熱融着繊維の溶融する部分又は芯鞘型熱融着繊維の鞘部が溶融して、フィブリル化リヨセル繊維と結合する、サイドバイサイド型熱融着繊維同士で結合する又は芯鞘熱融着繊維同士で結合する。溶融済みのサイドバイサイド型熱融着繊維又は溶融済みの芯鞘熱融着繊維は、サイドバイサイド型熱融着繊維の溶融しない部分又は芯鞘熱融着繊維の芯部が繊維の形状を維持している。本実施形態では、サイドバイサイド型熱融着繊維又は芯鞘型熱融着繊維は、加熱乾燥工程の前後でいずれも繊維状であることから、溶融前のサイドバイサイド型熱融着繊維又は芯鞘型熱融着繊維と、溶融済みのサイドバイサイド型熱融着繊維又は芯鞘型熱融着繊維のいずれも「サイドバイサイド型熱融着繊維又は芯鞘型熱融着繊維」と表記する。なお、バインダー樹脂は、加熱乾燥工程等によって、バインダー樹脂が加熱されると、溶融するか又はエマルジョン粒子同士が融合することにより皮膜を形成し、濾材全体に広がって平面状に分布する。
本実施形態における熱融着繊維は、繊維径が35μm以上の繊維であり、繊維径が35~80μmであることが好ましく、38~50μmであることがより好ましい。繊維径が35μm以上であることにより、これよりも細い熱融着繊維に比べて、同じ圧力損失で比較した場合に、高い濾過効率と長い濾過寿命を有する濾材を得ることができる。この理由は定かではないが、フィブリル化リヨセル繊維によって形成される微細なネットワーク構造に及ぼす影響の違いによるものであると推定される。一方、繊維径が80μmを超えると、十分な濾材の強度が得られない恐れがある。本実施形態において液体フィルタ用濾材に含まれる熱融着繊維のうち、繊維径が35μm以上の熱融着繊維は80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることがさらに好ましい。
本実施形態に係る液体フィルタ用濾材は、フィブリル化リヨセル繊維と、繊維径が35μm以上である熱融着繊維と、を含み、少なくとも前記フィブリル化リヨセル繊維がネットワーク構造を形成している湿式不織布を有する。ここで、「少なくとも」と規定したのは、次に示すいくつかの態様において、フィブリル化リヨセル繊維がネットワーク構造を構成する繊維として必ず含まれているからである。第1の態様として、熱融着繊維が全融型熱融着繊維であり、全体的に溶融して結着の役割をしている場合、フィブリル化リヨセル繊維のネットワーク構造が湿式不織布において存在する。ここで溶融した熱融着繊維によって繊維同士が結着させられている。第2の態様として、熱融着繊維が全融型熱融着繊維であり、部分的に溶融して結着の役割を果たしつつ、繊維形状を残している場合、フィブリル化リヨセル繊維と一部の繊維形状を維持している熱融着繊維とが形成しているネットワーク構造が湿式不織布において存在する。ここで残りの溶融した熱融着繊維によって繊維同士が結着させられている。第3の態様として、フィブリル化されていない非熱融着繊維が配合され、熱融着繊維が全融型熱融着繊維であり、全体的に溶融して結着の役割をしている場合、フィブリル化リヨセル繊維と非熱融着繊維とが形成しているネットワーク構造が湿式不織布において存在する。ここで溶融した熱融着繊維によって繊維同士が結着させられている。第4の態様として、フィブリル化されていない非熱融着繊維が配合され、熱融着繊維が全融型熱融着繊維であり、部分的に溶融して結着の役割を果たしつつ、繊維形状を残している場合、フィブリル化リヨセル繊維と非熱融着繊維と一部の繊維形状を維持している熱融着繊維とが形成しているネットワーク構造が湿式不織布において存在する。ここで残りの溶融した熱融着繊維によって繊維同士が結着させられている。第5の態様として、熱融着繊維が複合型熱融着繊維である場合、フィブリル化リヨセル繊維と複合型熱融着繊維とが形成しているネットワーク構造が湿式不織布において存在する。第6の態様として、フィブリル化されていない非熱融着繊維が配合され、熱融着繊維が複合型熱融着繊維である場合、フィブリル化リヨセル繊維と非熱融着繊維と複合型熱融着繊維とが形成しているネットワーク構造が湿式不織布において存在する。なお、熱融着繊維の繊維径は、繊維の形状を維持している場合、途切れている部分はあるものの繊維の形状が観察でき、点又は線の形状のみが観察される場合のいずれにおいても、溶融前と比較して、同じであるか又は+40%以内で大きくなっている。
本実施形態における熱融着繊維の配合量は、濾材に必要とされる物性に応じて適宜調整できるが、濾材を構成する全繊維質量を100部とした場合に、20~80部であることが好ましく、30~70部であることがより好ましい。熱融着繊維の配合量が少なすぎると、加工時及び使用時に必要される濾材の強度を得ることが難しい場合がある。熱融着繊維の配合量が多すぎると、フィブリル化リヨセルの配合量が少なくなり、十分な濾過効率を得ることが難しい場合がある。
本実施形態においては、フィブリル化されていない非熱融着繊維を用いることができる。ここで言う非熱融着繊維は、湿式不織布の製造工程における加熱により溶融しない非熱融着成分からなる繊維である。非熱融着繊維の例としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル等の合成繊維、木材パルプ、コットンリンターパルプ、麻パルプ、ケナフパルプ、木材パルプをアルカリ処理して得られるマーセル化パルプ等の天然繊維、セルロースを原料として、ビスコース法により紡糸されたビスコースレーヨン繊維や、有機溶媒紡糸法により紡糸されたリヨセル繊維等の再生繊維がある。
本実施形態における非熱融着繊維は、繊維径が5μm以上の繊維であることが好ましく、5~30μmであることがより好ましく、8~25μmであることがさらに好ましい。繊維径が細すぎると圧力損失が高くなりすぎるおそれがある。繊維径が太すぎると濾過効率を低下させるおそれがある。
本実施形態における非熱融着繊維の配合量は、濾材に必要とされる物性に応じて適宜調整できるが、濾材を構成する全繊維質量を100部とした場合に、0~70部であることが好ましく、5~50部であることがより好ましい。
本実施形態においては、本発明の効果を妨げない範囲で、フィブリル化リヨセル繊維の粉体保持能力を利用して、珪藻土、セライト、パーライト等の濾過助剤を配合してもよい。これらの濾過助剤は、フィブリル化リヨセル繊維に対して1~40質量%程度含有させることができる。
本実施形態における濾材の坪量は、特に限定するものではないが、好ましくは20~400g/m、より好ましくは30~300g/mである。
本実施形態の濾材は、湿式抄紙法を用いて製造される。ここで、濾材を構成する繊維をパルパー等の分散機を用いて水中に分散させて、得られた原料スラリーをワイヤー上に堆積及び脱水してシートを形成し、得られた湿潤シートを熱風ドライヤーやシリンダードライヤー等の乾燥機を用いて乾燥させて、液体フィルタ用濾材となる乾燥シートとしての濾材を得る。乾燥温度は80~180℃であることが好ましく、100~160℃であることがより好ましい。
本実施形態においては、本発明の効果を妨げない範囲で、湿式抄紙法を用いた製造において、分散剤、消泡剤、粘剤、歩留向上剤、紙力増強剤等の製紙助剤を用いてもよい。
本実施形態に係る液体フィルタ用濾材は、得られた湿式不織布単体で濾材として使用することが可能であるが、湿式不織布に不織布等の補強材が貼り合わせされていてもよい。
本実施形態に係る液体フィルタ用濾材の製造方法では、次の形態を包含する。
(1)前記フィブリル化リヨセル繊維が、平均繊維径が0.3μm以上、最大繊維径が8μm以下、かつ、長さ加重平均繊維長が1mm以上である形態、
(2)前記湿式不織布が、フィブリル化されていない非熱融着繊維を含む形態、
(3)前記フィブリル化リヨセル繊維の配合量が、濾材を構成する全繊維質量100部に対して20~80部である形態、
(4)前記熱融着繊維の配合量が、濾材を構成する全繊維質量100部に対して20~80部である形態、
(5)前記熱融着繊維が、加熱により溶融しない非熱融着成分と加熱により溶融する熱融着成分とを有する複合型熱融着繊維である形態、
(6)前記非熱融着繊維の配合量が、濾材を構成する全繊維質量100部に対して0~70部である形態、又は
(7)前記非熱融着繊維が、繊維径が5μm以上の繊維である形態。
以下に本発明について具体的な実施例を示して説明するが、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。なお、例中の「部」は、原料スラリー中の繊維の固形分質量比率を示し、全ての繊維の合計量を100部とした。
<実施例1>
リヨセル繊維(繊度1.7dtex(繊維径12μm)、繊維長4mm、製造元:Lenzing AG)に対して、ナイヤガラビーターを用いて叩解処理を行い、平均繊維径が0.7μm、最大繊維径3.5μm、長さ加重平均繊維長が1.1mmであるフィブリル化リヨセル繊維を得た。
次に、原料繊維として、得られたフィブリル化リヨセル繊維50部と、芯鞘型熱融着PET繊維(製品名:メルティ4080、繊度17dtx(繊維径40μm)、繊維長10mm、製造元:ユニチカ(株))50部を用いて、標準離解機において水中で離解して原料スラリーを得た。得られた原料スラリーを、手抄装置において抄紙して湿紙を得た。得られた湿紙を130℃のロータリードライヤーで乾燥し、坪量140g/mの液体フィルタ用濾材を得た。
<実施例2>
原料繊維として、実施例1で得られたフィブリル化リヨセル繊維50部と、芯鞘型熱融着PET繊維(製品名:メルティ4080、繊度17dtx(繊維径40μm)、繊維長10mm、製造元:ユニチカ(株))40部と、フィブリル化されていない非熱融着繊維として非熱融着PET繊維(製品名:N081、繊度1.6dtx(繊維径12μm)、繊維長5mm、製造元:ユニチカ(株))10部を用いて、それ以外は実施例1と同様の方法により、坪量141g/mの液体フィルタ用濾材を得た。
<実施例3>
原料繊維として、実施例1で得られたフィブリル化リヨセル繊維50部と、芯鞘型熱融着PET繊維(製品名:メルティ4080、繊度17dtx(繊維径40μm)、繊維長10mm、製造元:ユニチカ(株))40部と、フィブリル化されていない非熱融着繊維としてリヨセル繊維(繊度1.7dtx(繊維径12μm)、繊維長4mm、製造元:Lenzing AG)10部を用いて、それ以外は実施例1と同様の方法により、坪量142g/mの液体フィルタ用濾材を得た。
<実施例4>
原料繊維として、実施例1で得られたフィブリル化リヨセル繊維25部と、芯鞘型熱融着PET繊維(製品名:メルティ4080、繊度17dtx(繊維径40μm)、繊維長10mm、製造元:ユニチカ(株))75部を用いて、それ以外は実施例1と同様の方法により、坪量142g/mの液体フィルタ用濾材を得た。
<実施例5>
原料繊維として、実施例1で得られたフィブリル化リヨセル繊維75部と、芯鞘型熱融着PET繊維(製品名:メルティ4080、繊度17dtx(繊維径40μm)、繊維長10mm、製造元:ユニチカ(株))25部を用いて、それ以外は実施例1と同様の方法により、坪量140g/mの液体フィルタ用濾材を得た。
<実施例6>
原料繊維として、実施例1で得られたフィブリル化リヨセル繊維20部と、芯鞘型熱融着PET繊維(製品名:メルティ4080、繊度17dtx(繊維径40μm)、繊維長10mm、製造元:ユニチカ(株))20部と、フィブリル化されていない非熱融着繊維としてリヨセル繊維(繊度1.7dtx(繊維径12μm)、繊維長4mm、製造元:Lenzing AG)60部を用いて、それ以外は実施例1と同様の方法により、坪量140g/mの液体フィルタ用濾材を得た。
<比較例1>
原料繊維として、実施例1で得られたフィブリル化リヨセル繊維50部と、芯鞘型熱融着PET繊維(製品名:メルティ4080、繊度1.7dtx(繊維径13μm)、繊維長5mm、製造元:ユニチカ(株))50部を用いて、それ以外は実施例1と同様の方法により、坪量140g/mの液体フィルタ用濾材を得た。
<比較例2>
原料繊維として、実施例1で得られたフィブリル化リヨセル繊維50部と、芯鞘型熱融着PET繊維(製品名:メルティ4080、繊度1.7dtx(繊維径13μm)、繊維長5mm、製造元:ユニチカ(株))40部と、フィブリル化されていない非熱融着繊維として非熱融着PET繊維(製品名:N081、繊度1.6dtx(繊維径12μm)、繊維長5mm、製造元:ユニチカ(株))10部を用いて、それ以外は実施例1と同様の方法により、坪量141g/mの液体フィルタ用濾材を得た。
<比較例3>
原料繊維として、実施例1で得られたフィブリル化リヨセル繊維50部と、芯鞘型熱融着PET繊維(製品名:メルティ4080、繊度1.7dtx(繊維径13μm)、繊維長5mm、製造元:ユニチカ(株))40部と、フィブリル化されていない非熱融着繊維としてリヨセル繊維(繊度1.7dtx(繊維径12μm)、繊維長4mm、製造元:Lenzing AG)10部を用いて、それ以外は実施例1と同様の方法により、坪量140g/mの液体フィルタ用濾材を得た。
<比較例4>
原料繊維として、実施例1で得られたフィブリル化リヨセル繊維25部と、芯鞘型熱融着PET繊維(製品名:メルティ4080、繊度1.7dtx(繊維径13μm)、繊維長5mm、製造元:ユニチカ(株))75部を用いて、それ以外は実施例1と同様の方法により、坪量141g/mの液体フィルタ用濾材を得た。
<比較例5>
原料繊維として、実施例1で得られたフィブリル化リヨセル繊維75部と、芯鞘型熱融着PET繊維(製品名:メルティ4080、繊度1.7dtx(繊維径13μm)、繊維長5mm、製造元:ユニチカ(株))25部を用いて、それ以外は実施例1と同様の方法により、坪量142g/mの液体フィルタ用濾材を得た。
<比較例6>
原料繊維として、実施例1で得られたフィブリル化リヨセル繊維20部と、芯鞘型熱融着PET繊維(製品名:メルティ4080、繊度1.7dtx(繊維径13μm)、繊維長5mm、製造元:ユニチカ(株))20部と、フィブリル化されていない非熱融着繊維としてリヨセル繊維(繊度1.7dtx(繊維径12μm)、繊維長4mm、製造元:Lenzing AG)60部を用いて、それ以外は実施例1と同様の方法により、坪量140g/mの液体フィルタ用濾材を得た。
実施例及び比較例において得られた液体フィルタ用濾材の評価は、以下に示す方法を用いて行った。
<坪量[g/m]>
坪量は、JIS P 8124:2011にしたがって測定した。
<厚さ[mm]>
厚さは、JIS P 8118;1998にしたがって、デジタル厚さ計(製造元:(有)佐川製作所)を用いて測定した。なお、測定圧力は50kPaとした。
<密度[g/cm]>
密度は、JIS P 8118;1998にしたがって測定した。
<圧力損失[Pa]>
圧力損失は、有効面積100cmの液体フィルタ用濾材に、面風速5.3cm/secで通風した時の差圧を、差圧計(製品名:マノスターゲージ、製造元:(株)山本電機製作所)を用いて測定した。
<濾過効率[%]>
濾過効率は、有効面積12.5cmの液体フィルタ用濾材に、試験粒子(製品名:グリーンデンシックGC#8000、製造元:昭和電工(株))の質量濃度100ppmの水分散液(以下、原液と称する。)を濾過流量20ml/minで通液させて濾過し、通液開始1分後の濾液を50ml採取した。原液及び濾液の濁度[%]を、濁度計(製品名:COH400、製造元:日本電色工業(株))を用いて測定し、濾過効率を数1に示す式を用いて計算した。
(数1)
濾過効率[%]=(原液濁度[%]‐濾液濁度[%])/(原液濁度[%])×100
<濾過寿命[min]>
前記の濾過効率の測定において、濾材の上流側圧力を、圧力計(製品名:KDM30、製造元:(株)クローネ)を用いて測定し、通液開始から100kPaに達するまでに要した時間を測定した。
<引張強度[kN/m]>
引張強度は、JIS P 8113-2006「紙及び板紙-引張特性の試験方法―第2部:定速伸張法」にしたがって、万能試験機(製品名:オートグラフAGS-X、製造元:(株)島津製作所)を用いて測定した。
前記の方法で行った液体フィルタ用濾材の評価結果を表1及び表2に示した。また、実施例1~6及び比較例1~6の結果を基にして、圧力損失と濾過効率の関係を図1に、圧力損失と濾過寿命の関係を図2に示した。
Figure 2023079776000002
Figure 2023079776000003
表1、表2、図1及び図2の結果より、圧力損失と濾過効率及び圧力損失と濾過寿命の関係において、実施例は比較例に比べて、高い濾過効率及び長い濾過寿命を有していることがわかった。

Claims (9)

  1. フィブリル化リヨセル繊維と、繊維径が35μm以上である熱融着繊維と、を含み、少なくとも前記フィブリル化リヨセル繊維がネットワーク構造を形成している湿式不織布を有することを特徴とする液体フィルタ用濾材。
  2. 前記フィブリル化リヨセル繊維は、平均繊維径が0.3μm以上、最大繊維径が8μm以下、かつ、長さ加重平均繊維長が1mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の液体フィルタ用濾材。
  3. 前記湿式不織布が、フィブリル化されていない非熱融着繊維を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体フィルタ用濾材。
  4. 前記フィブリル化リヨセル繊維の配合量は、濾材を構成する全繊維質量100部に対して20~80部であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の液体フィルタ用濾材。
  5. 前記熱融着繊維の配合量は、濾材を構成する全繊維質量100部に対して20~80部であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の液体フィルタ用濾材。
  6. 前記熱融着繊維は、加熱により溶融しない非熱融着成分と加熱により溶融する熱融着成分とを有する複合型熱融着繊維であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の液体フィルタ用濾材。
  7. 前記非熱融着繊維の配合量は、濾材を構成する全繊維質量100部に対して0~70部であることを特徴とする請求項1~6いずれか一つに記載の液体フィルタ用濾材。
  8. 前記非熱融着繊維は、繊維径が5μm以上の繊維であることを特徴とする請求項1~7いずれか一つに記載の液体フィルタ用濾材。
  9. フィブリル化リヨセル繊維と、繊維径が35μm以上である熱融着繊維と、を含む原料スラリーを準備する工程と、
    前記原料スラリーを抄紙して、湿潤シートを形成する工程と、
    前記湿潤シートを乾燥させて液体フィルタ用濾材となる乾燥シートを得る工程と、を有することを特徴とする液体フィルタ用濾材の製造方法。


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