JP5466660B2 - 電子写真装置用クリーニングシート基材 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真装置用クリーニングシート基材に関するものである。
電子写真方式の定着装置に用いる定着ロールに付着した紙粉やトナーかすなどの汚染物を取り除く際、オイルを含有する電子写真装置用クリーニングシート基材(以下、「クリーニングシート基材」と略す場合がある)を巻き出し、定着ロール表面をクリーニングすると同時にオイルを塗布し、巻き取る方法が広く用いられている。この方法に用いられるクリーニングシート基材は、拭き取り時に接触する定着ロールが200℃以上の高温となるため、高温条件でも破断やシワの発生、変形が無いよう、高い熱寸法安定性が求められており、全芳香族ポリアミド系樹脂からなる繊維を含んだ不織布などが用いられている(特許文献1参照)。しかし、該繊維は剛直かつ繊維同士の絡み合いが少ないことから、毛羽立ちが多くなり、繊維が脱落しやすい。そのため、脱落繊維によって定着ロールが汚れてクリーニング性能が悪化したり、蓄積した脱落繊維が記録用紙や装置内部に付着したり、また、脱落繊維が定着ロール表面を傷つけ、複写画像の画像抜けなどの不具合が生じるという問題がある。
一方で、毛羽立ちを防ぐために、熱により軟化する繊維を用いた方法も開示されているが(特許文献2参照)、かかる方法では、十分な熱寸法安定性が得られないことがあり、高温になる定着ロールへ接触させて使用するには問題となることがある。
さらに、フィブリル化させた全芳香族ポリアミド系樹脂繊維を含んだ不織布も用いられている(特許文献3参照)が、該繊維は分散が困難で、均一なシートを得られ難く、不均一な部分で破断する場合や、分散できずにダマとなった繊維塊が定着ロール表面を傷つける原因となり、問題となることがある。
特開平04−083283号公報 特開平08−137319号公報 特開2005−266470号公報
本発明は、毛羽立ちが少なく、且つ熱寸法安定性が良好で、さらに均一で地合いが良好な電子写真装置用クリーニングシート基材として使用可能な不織布を提供することを課題とする。
本発明者らは、この課題を解決するため鋭意研究を行った結果、以下の本発明を見出した。
(1)少なくとも半芳香族ポリアミド繊維、熱融着性バインダー繊維、熱水可溶性バインダーを含み、湿式抄紙法にて得られたウエブを加熱したカレンダーロールに通してなる電子写真装置用クリーニングシート基材、
(2)上記(1)において、半芳香族ポリアミド繊維を5〜55質量%含む電子写真装置用クリーニングシート基材、
(3)上記(1)または(2)において、半芳香族ポリアミド繊維の繊度が0.1〜3.0デシテックスであり、且つ、繊維長が3〜20mmである電子写真装置用クリーニングシート基材。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、再生セルロース繊維を含む電子写真装置用クリーニングシート基材。
本発明の電子写真装置用クリーニングシート基材は、半芳香族ポリアミド繊維、熱融着性バインダー繊維、熱水可溶性バインダーを含み、湿式抄紙法にて得られたウエブを加熱したカレンダーロールに通す加工を施すことで、毛羽立ちが少なく、かつ熱寸法安定性に優れ、さらに均一で地合いが良好な電子写真装置用クリーニングシート基材を得ることができる。
また、半芳香族ポリアミド繊維を5〜55質量%を含むことで、より熱寸法安定性に優れた電子写真装置用クリーニングシート基材を得ることができる。
さらに、半芳香族ポリアミド繊維の繊維径が0.1〜3.0デシテックス、且つ、繊維長が3〜20mmであることで、より均一で地合いが良好な電子写真装置用クリーニングシート基材を得ることができる。
以下、本発明の電子写真装置用クリーニングシート基材を詳細に説明する。本発明の電子写真装置用クリーニングシート基材は、シリコーンオイル等のオイルを含有し、複写機をはじめ、レーザービームプリンター、ファクシミリなどの電子写真装置における定着ロールに付着する紙粉やトナーかすを拭き取る装置に使用するものである。
本発明の電子写真装置用クリーニングシート基材は、半芳香族ポリアミド繊維、熱融着性バインダー繊維、熱水可溶性バインダー繊維を少なくとも含む。
本発明における半芳香族ポリアミドは、ジカルボン酸成分とジアミン成分とからなり、ジカルボン酸成分においては、その60モル%以上が芳香族ジカルボン酸であることが好ましく、75モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましい。芳香族ジカルボン酸の含有量が60モル%未満の場合、繊維の強度、耐熱性が劣ることがある。芳香族ジカルボン酸成分としては、耐熱性の点でテレフタル酸が最も好ましく、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、ジ安息香酸、4,4−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4′−ジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸を1種類以上併用して使用することもできる。
一方、ジアミン成分においては、その60モル%以上が炭素数6〜12の脂肪族アルキレンジアミンであることが好ましく、75モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることがさらに好ましい。脂肪族ジアミンの含有量が60モル%未満の場合、繊維の強度が劣ることがある。脂肪族アルキレンジアミンとしては、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の直鎖または側鎖を有する脂肪族ジアミンなどを挙げることができるが、耐熱性の面から1,9−ノナンジアミン単独または1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとの併用が好ましい。
本発明において、半芳香族ポリアミド繊維の繊度は、0.1〜3.0デシテックスであることが好ましく、0.2〜2.5デシテックスがより好ましく、0.3〜2.0デシテックスがさらに好ましい。繊度が0.1デシテックス未満の場合、シート基材が密になりやすくなるため、十分な量のオイルを含有できず、トナー拭き取り性が劣ることがある。一方、3.0デシテックスを超える場合、単位面積当たりの半芳香族ポリアミドの本数が減るため強度が低下することがある。また、本発明において、半芳香族ポリアミド繊維の繊維長は3〜20mmが好ましく、4〜18mmがより好ましく、5〜15mmがさらに好ましい。繊維長が3mm未満の場合、繊維同士が絡みにくくなるため、十分な強度が得られないことがあり、また、20mmより大きいと、均一な地合いが得られないことがある。また、本発明において、半芳香族ポリアミド繊維の配合比率は、シート基材質量に対して5〜55質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、15〜45質量%がさらに好ましい。配合比率が5質量%未満の場合、十分な熱寸法安定性が得られないことがあり、また、55質量%を超えると、バインダー繊維として配合可能な繊維の量が少なくなるため、十分な強度が得られないことがある。
熱融着性バインダー繊維としては、単繊維の他、芯鞘繊維(コアセルタイプ)、並列繊維(サイドバイサイドタイプ)などの複合繊維が挙げられる。複合型熱融着性バインダー繊維としては、例えばポリプロピレン(芯)と、ポリエチレン(鞘)の組み合わせ、ポリプロピレン(芯)とエチレンビニルアルコール(鞘)の組み合わせ、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組み合わせが挙げられる。本発明においては、熱カレンダー処理後の熱収縮に有利な未延伸ポリエステル繊維を用いることが好ましい。未延伸ポリエステル繊維は結晶化していないため、融点よりやや低い温度にて熱カレンダー等の装置で熱圧着加工させると、繊維の溶融によって繊維同士が接着し、強度が発現するとともに、加工時の熱によって結晶化が進み、高い熱寸法安定性が得られる。また、未延伸ポリエステル繊維の融点は、220℃以上が好ましい。融点が220℃を下回ると、高温の定着ロールを拭き取る際に繊維が溶融し、シートが伸びたり、破断したりすることがあるため、安定してクリーニングできないことがある。
本発明において、熱融着性バインダー繊維の繊度は特に限定されないが、0.1〜5.0デシテックスであることが好ましく、より好ましくは0.5〜3.0デシテックスである。また、繊維長は、湿式抄紙機で均一な地合いを得るために10mm以下が好ましく、より好ましくは6mm以下である。また、熱融着性バインダー繊維の配合比率は、シート質量に対して10〜70質量%が好ましく、より好ましくは20〜60質量%である。配合比率が10質量%未満の場合、十分な強度が得られず、作動中にクリーニングシート基材が破断することがある。70質量%を超える場合、溶融したバインダー繊維がフィルム状になり、シート内の空隙が少なくなるため、オイルの吸収性に劣り、また表面が平滑になるため結果的に拭き取り性が悪くなることがある。
熱水可溶性バインダー繊維として、ポリビニルアルコール系繊維が挙げられる。該繊維は、常温の水では殆ど溶解せずその形態を維持しているが、抄紙後のドライヤー面で加熱すると徐々に溶解し、タッチロール等の装置で加圧することでその他の繊維にまたがって繊維状バインダーとなり、さらに乾燥・脱水工程を得ると再凝固し、高い乾燥強度を発揮する。また、本発明において用いる熱融着性バインダー繊維の融点によっては、抄紙工程では繊維が溶融せず、原布の強度低下や毛羽立ちが起こることがあるが、該繊維を配合することで、抄紙段階において一定の強度を得、毛羽立ちを少なくすることができる。熱水可溶性バインダー繊維の配合比率は、シート質量に対して1〜10質量%が好ましく、2〜7質量%がより好ましく、3〜5質量%がさらに好ましい。である。配合比率が1質量%未満の場合、十分な強度が得られず、毛羽立ちが発生することがある。10質量%を超える場合、湿式抄紙時の乾燥にシリンダードライヤー、ヤンキードライヤー等の接触型ドライヤーを用いた際に表面が平滑になるため、オイルをシート内部に保持できず、結果的に定着ロールの拭き取り性が悪くなることがある。
本発明において、再生セルロース繊維としては、レーヨン、リヨセル等が挙げられる。レーヨンはビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン、酢酸アンモニアレーヨンのことを言う。レーヨン、リヨセルなどのこれらの再生セルロース繊維は、高温において軟化しない特徴があり、電子写真装置用クリーニングシート基材に用いた場合、定着ロールに接しても繊維が変形、溶融することが無く、それに伴って起こるシートの破断やシワの発生も無いため、安定してクリーニングが可能となる。また、再生セルロース繊維は、他の合成繊維と比較して親水性があり、湿式抄紙時において一定の湿紙水分を持つことから、フエルトへの繊維とられが少なく、結果的に毛羽立ちの少ない電子写真装置用クリーニングシート基材が得られる。再生セルロース繊維の配合比率は、シート質量に対して10〜50質量%が好ましく、15〜45質量%がより好ましく、20〜30質量%がさらに好ましい。配合比率が10質量%未満の場合、熱寸法安定性や毛羽立ち抑制に関して十分な効果が得られないことがあり、配合比率が50質量%を超える場合、バインダー繊維として配合可能な繊維の量が少なくなるため、十分な強度が得られないことがある。
本発明において、再生セルロース繊維の繊度は特に限定されないが、0.1〜7.0デシテックスが好ましく、0.3〜6.0デシテックスがより好ましく、0.5〜5.5デシテックスがさらに好ましい。繊度が0.1デシテックス未満の場合、シートが密になりやすくなるため、十分な量のオイルを含有できず、トナー拭き取り性が劣ることがある。一方、7.0デシテックスを超える場合、単位面積当たりの再生セルロース繊維の本数が減るため強度が低下することがある。再生セルロース繊維の繊維長は特に限定されないが、1〜15mmが好ましく、より好ましくは2〜12mmであり、さらに好ましくは3〜10mmである。繊維長が1mm未満の場合、繊維の交絡が少なくなるため、十分な強度が得られないことがある。一方、繊維長が15mmを超える場合、均一な地合いが得られないことがある。
この他に、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びこれらのコポリマー等のポリエステル系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系繊維、ポリアクリロニトリル、モダクリル等のアクリル系繊維、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12等の脂肪族ポリアミド系繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ウレタン繊維等の合成繊維を本発明の特性を阻害しない限り用いることができる。これらの繊維を構成するポリマーは、ホモポリマー、変性ポリマー、ブレンド、共重合体などの形でも利用でき、また、複数の成分からなる複合繊維を用いても良い。但し、ガラス繊維、グラスウール等の無機繊維は、定着ロールの拭き取り時にロール表面を傷つけることがあるので、使用に適さない。
本発明において、半芳香族ポリアミド繊維、熱融着性バインダー繊維、再生セルロース繊維以外の繊維の繊度は、特に限定されないが、0.1〜10デシテックスであることが好ましく、0.2〜8デシテックスがより好ましく、0.3〜6デシテックスがさらに好ましい。0.1デシテックスより小さいと、抄紙ワイヤーから抜け落ちることがあり、また、10デシテックスより大きいと、単位面積当たりの繊維本数が減るため、十分な強度を得られないことがある。また、繊維長に関しても特に限定されないが、1〜20mmであることが好ましく、2〜15mmがより好ましく、3〜10mmがさらに好ましい。1mmより小さいと、繊維同士が絡みにくくなるため十分な強度が得られず、また、20mmより大きいと、均一な地合いが得られないことがある。
本発明の電子写真装置用クリーニングシート基材において、ウエブは、一般紙や湿式不織布を製造するための抄紙機、例えば、長網抄紙機、円網抄紙機、傾斜ワイヤー式抄紙機が単独、またはこれらの抄紙機が同種または異種の2機以上がオンラインで設置されているコンビネーション抄紙機などにより製造される。抄紙機で製造された湿紙は、エアドライヤー、シリンダードライヤー、ヤンキードライヤー、サクションドラム式ドライヤー、赤外方式ドライヤー等で乾燥させる。抄造の際に配合する薬品として、湿紙状態での断紙対策として、湿潤強度剤やヤンキードライヤーからの剥離を安定させるため、内添サイズ剤を使用してもよい。
乾燥させた後のウエブに、熱履歴を与えて熱寸法安定性を向上させるとともに、厚みを均一に調整できるよう、加熱したカレンダーロール間を通して熱カレンダー処理を行う。カレンダーロールの温度は特に限定されないが、160〜260℃が好ましく、180〜250℃がより好ましく、200〜240℃がさらに好ましい。160℃未満の場合、さらに高温である定着ロールに接した際に収縮やシワが起こることがあり、また、260℃より高い場合、溶融した繊維がカレンダーロールによって均されるため、平滑な仕上がりとなり、オイルの吸収性や定着ロールの拭き取り性が悪くなることがある。熱融着性バインダー繊維に未延伸ポリエステル繊維を用いる場合は、熱カレンダー処理を施すことで、繊維の結晶化を促し、熱寸法安定性を向上させるため、その融点より10℃ほど低い温度で処理することが好ましい。また、ニップ線圧は100〜2000N/cmの条件下で行うのが好ましく、300〜1800N/cmがより好ましく、500〜1500N/cmがさらに好ましい。線圧が100N/cm未満の場合、十分にウエブの厚みを潰すことができず、所定の長さでシャフトに巻こうとすると、径が大きくなり装置に入らない場合がある。また、ニップ線圧が低いと、密度が低くなりやすく、この場合、シート基材中に空隙が大きいため、繊維の自由度が大きくなり、熱寸法安定性が劣ることがある。一方、ニップ線圧が2000N/cmを超える場合、ウエブの厚みが大きく潰れ、シート基材内にオイルを保持する空隙が減少するため、トナーを効率的に拭き取ることができない。なお、カレンダーロールの素材は、金属ロール同士の組み合わせ以外に、加熱した金属ロールと非加熱のコットンロール、加熱した金属ロールと非加熱の弾性ロールの組み合わせでも良い。
本発明の電子写真装置用クリーニングシート基材の密度は、0.20〜0.80g/cmであることが好ましく、0.25〜0.75g/cmがより好ましく、0.30〜0.70g/cmがさらに好ましい。密度が0.20g/cm未満の場合、強度が弱くることや毛羽立ちが発生することがある。また、シート基材中に空隙が多いため、繊維の自由度が高く、熱寸法安定性が劣ることがある。一方、密度が0.80g/cmを超えると、シート基材内部の空隙が少なくなることから、オイル吸液量が低下し、トナーを効率的に拭き取れないことがある。また、本発明に電子写真装置用クリーニングシートの厚みは、20〜80μmが好ましく、25〜70μmがより好ましく、30〜60μmがさらに好ましい。厚みが20μm未満の場合、強度が弱くなることや、また、十分な量のオイルを含有できず、トナーの拭き取り性が悪くなることがある。一方、厚みが80μmを超えると、所定の長さでシャフトに巻こうとすると径が大きくなり、装置に入らない場合がある。
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部数や百分率は質量基準である。
実施例1
半芳香族ポリアミド繊維(繊度0.7デシテックス、繊維長10mm)、熱融着性バインダー繊維として未延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維(繊度1.2デシテックス、繊維長5mm)、熱水可溶性バインダー繊維としてポリビニルアルコール(PVA)繊維(繊度0.1デシテックス、繊維長5mm)、レーヨン繊維(繊度0.8デシテックス、繊維長5mm)、その他の繊維として延伸PET繊維(繊度0.6デシテックス、繊維長5mm)を用いた。これらの繊維を、半芳香族ポリアミド繊維/未延伸PET繊維/PVA繊維/レーヨン繊維/延伸PET繊維=30/35/5/20/10となるようパルパーで分散し、円網抄紙機で抄紙後、シリンダードライヤーにて乾燥し、25g/mのウエブを得た。このウエブを、上下ロールともに220℃に過熱したシリンダーロールに通し、クリーニングシート基材を得た。
実施例2
ウエブの組成を、半芳香族ポリアミド繊維/未延伸PET繊維/PVA繊維/レーヨン繊維/延伸PET繊維=3/35/5/20/37とした以外は、実施例1と同様にして実施例2のクリーニングシート基材を得た。
実施例3
ウエブの組成を、半芳香族ポリアミド繊維/未延伸PET繊維/PVA繊維/レーヨン繊維/延伸PET繊維=5/35/5/20/35とした以外は、実施例1と同様にして実施例3のクリーニングシート基材を得た
実施例4
ウエブの組成を、半芳香族ポリアミド繊維/未延伸PET繊維/PVA繊維/レーヨン繊維/延伸PET繊維=55/35/5/5/0とした以外は、実施例1と同様にして実施例4のクリーニングシート基材を得た。
実施例5
ウエブの組成を、半芳香族ポリアミド繊維/未延伸PET繊維/PVA繊維/レーヨン繊維/延伸PET繊維=60/30/5/5/0とした以外は、実施例1と同様にして実施例5のクリーニングシート基材を得た。
実施例6
熱融着性バインダーとして、未延伸PETではなく、PET−低融点PETの芯鞘繊維(繊度1.1デシテックス、繊維長5mm、低融点PETの融点110℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例6のクリーニングシート基材を得た。
実施例7
半芳香族ポリアミド繊維を0.05デシテックス、繊維長10mmとした以外は、実施例1と同様にして実施例7のクリーニングシート基材を得た。
実施例8
半芳香族ポリアミド繊維を0.1デシテックス、繊維長10mmとした以外は、実施例1と同様にして実施例8のクリーニングシート基材を得た。
実施例9
半芳香族ポリアミド繊維を3.0デシテックス、繊維長10mmとした以外は、実施例1と同様にして実施例9のクリーニングシート基材を得た。
実施例10
半芳香族ポリアミド繊維を3.5デシテックス、繊維長10mmとした以外は、実施例1と同様にして実施例10のクリーニングシート基材を得た。
実施例11
半芳香族ポリアミド繊維を0.7デシテックス、繊維長1mmとした以外は、実施例1と同様にして実施例11のクリーニングシート基材を得た。
実施例12
半芳香族ポリアミド繊維を0.7デシテックス、繊維長3mmとした以外は、実施例1と同様にして実施例12のクリーニングシート基材を得た。
実施例13
半芳香族ポリアミド繊維を0.7デシテックス、繊維長20mmとした以外は、実施例1と同様にして実施例13のクリーニングシート基材を得た。
実施例14
半芳香族ポリアミド繊維を0.7デシテックス、繊維長25mmとした以外は、実施例1と同様にして実施例14のクリーニングシート基材を得た。
実施例15
ウエブの組成を、半芳香族ポリアミド繊維/未延伸PET繊維/PVA繊維/レーヨン繊維/延伸PET繊維=30/35/5/0/30とした以外は、実施例1と同様にして実施例15のクリーニングシート基材を得た。
実施例16
繊度0.6デシテックス、繊維長5mmの脂肪族ポリアミド繊維(ナイロン6繊維)を用い、ウエブの組成を半芳香族ポリアミド繊維/未延伸PET繊維/PVA繊維/レーヨン繊維/ナイロン6繊維=30/35/5/20/10とした以外は、実施例1と同様にして実施例16のクリーニングシート基材を得た。
実施例17
繊度0.7デシテックス、繊維長3mmのパラ型全芳香族ポリアミド繊維を用い、ウエブの組成を半芳香族ポリアミド繊維/未延伸PET繊維/PVA繊維/レーヨン繊維/パラ型芳香族ポリアミド繊維=30/35/5/20/10とした以外は、実施例1と同様にして実施例17のクリーニングシート基材を得た。
比較例1
ウエブの組成を、半芳香族ポリアミド繊維/未延伸PET繊維/PVA繊維/レーヨン繊維/延伸PET繊維=0/35/5/0/60とした以外は、実施例1と同様にして比較例1のクリーニングシート基材を得た。
比較例2
ウエブの組成を、半芳香族ポリアミド繊維/未延伸PET繊維/PVA繊維/レーヨン繊維/延伸PET繊維=35/0/5/0/60とした以外は、実施例1と同様にして比較例2のクリーニングシート基材を得た。
比較例3
ウエブの組成を、半芳香族ポリアミド繊維/未延伸PET繊維/PVA繊維/レーヨン繊維/延伸PET繊維=25/35/0/0/40とした以外は、実施例1と同様にして比較例3のクリーニングシート基材を得た。
比較例4
ウエブの組成を、半芳香族ポリアミド繊維/未延伸PET繊維/PVA繊維/レーヨン繊維/延伸PET繊維=20/35/5/0/40とし、熱カレンダー処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして比較礼4のクリーニングシート基材を得た。
比較例5
繊度1.7デシテックス、繊維長38mmのメタ型芳香族ポリアミド繊維60質量%と、繊度7.7デシテックス、繊維長51mmのポリフェニレンサルファイド繊維40質量%とをガーネット機で混綿し、繊維が一方向に配列するようにカード機で開繊し、25g/m2の繊維ウエブを形成した。これを、表面温度220℃の加熱ロールとシリコンゴムロールの対ロールで1000N/cmの線圧力にて熱圧着し、比較例5のクリーニングシート基材を得た。
比較例6
軟化点240℃の繊度1.7デシテックス、繊維長38mmのポリエステル繊維35質量%、軟化点240℃の繊度5.5デシテックス、繊維長38mmの未延伸ポリエステル繊維40質量%、繊度1.7デシテックス、繊維長38mmのメタ型芳香族ポリアミド繊維25質量%とを、繊維が一方向に配列するようにカード機で開繊し、25g/mの繊維ウエブを形成した。表面温度210℃の加熱ロールとシリコンゴムロールの対ロールで400N/cmの線圧力にて熱圧着し、比較例6のクリーニングシート基材を得た。
比較例7
パラ系全芳香族ポリアミドからなるフィブリルを有する繊維をリファイナーによりフィブリル化を促進させたもの(csf90ml)と、繊度0.11デシテックス、繊維長3mmのポリエチレンテレフタレート繊維とを、70:30の質量比率で分散させ、スラリーを形成した。その後、順流円網、傾斜ワイヤー型短網、順流円網、及びヤンキードライヤーを備えた抄紙機に、前記スラリーを各網へ供給し、それぞれ湿潤繊維ウエブを形成し、120℃のヤンキードライヤーにて乾燥させ、25g/mの三層湿式ウエブを得た。次いで、これを490℃に設定した赤外線セラミックヒーターを上下にそれぞれ12基ずつ備えた遠赤外線照射装置の赤外線セラミックヒーター間を、速度15m/minで前記の三層湿式ウエブを通過させ、ポリエステル繊維を溶解させた。その後、前記の三層湿式ウエブを無圧下、室温で空冷し、さらに220℃に加熱したドライヤー内を5秒間かけて通過させ、ポリエステル樹脂を結晶化させ、比較例7のクリーニングシート基材を得た。
比較例8
繊度0.6デシテックス、繊維長5mmの脂肪族ポリアミド繊維(ナイロン6繊維)を用い、ウエブの組成を、脂肪族ポリアミド繊維(ナイロン6)/未延伸PET繊維/PVA繊維/レーヨン繊維/延伸PET繊維=30/35/5/20/10とした以外は、実施例1と同様にして比較例8のクリーニングシート基材を得た。
比較例9
繊度0.7デシテックス、繊維長3mmのパラ型全芳香族ポリアミド繊維を用い、ウエブの組成を、全芳香族ポリアミド繊維/未延伸PET繊維/PVA繊維/レーヨン繊維/延伸PET繊維=30/35/5/20/10とした以外は、実施例1と同様にして比較例8のクリーニングシート基材を得た。
上記の実施例及び比較例で作製したクリーニングシート基材について、下記の評価方法により評価し、その結果を表1に示した。
(1)密度(単位:g/cm
JIS P 8118に準じて測定を行った。
(2)引張強度(単位:N/50mm)
実施例及び比較例で作製したクリーニングシート基材について、それぞれ幅方向:50mm×流れ方向:200mmに断裁し、シリコーンオイル(商品名:KF−96−1万cs、信越化学工業社製)をグラビアコーター方式で15g/mを含浸させ、試験片を作製した。JIS L 1906に準じて、テンシロン機を用いてチャック間距離10cm、ヘッドスピード20cm/minで流れ方向での引張強度を測定した。流れ方向の引張強度は30N/50mm以上が好ましく、より好ましくは40N/50mm以上である。30N/50mmよりも小さいと作動時に破断することがあるため、実用上問題がある。
(3)拭き取り性
実施例及び比較例で作製したクリーニングシート基材について、それぞれ100mm×100mmに断裁し、シリコーンオイル(商品名:KF−96−1万cs、信越化学工業社製)をグラビアコーター方式で15g/mを含浸させ、試験片を作製した。ガラス板状にJIS8種粉体を10mg滴下し、100mm×100mm角の試験片で3回拭き取った後に、ガラス板上の粉体の残存程度を目視観察し、評価した。拭き取り性の評価基準としては、以下の通りである。
◎:粉体が全く残らず良好。
○:粉体が殆ど残らず良好。
△:粉体が僅かに残るものの、効果は認められる。
×:粉体が殆ど残り、実用上問題がある。
(4)オイル保液性(単位:g/m
実施例及び比較例で作製したクリーニングシート基材について、それぞれ100mm×100mmに断裁して試験片を作製し、乾燥質量を測定する。次に、シリコーンオイル(商品名:KF−96−1万cs、信越化学工業社製)中に試験片を広げて浸漬し、10分間放置したのち液体中から取り出し、表面のオイルを濾紙で軽く拭いた。これを120℃のオーブン内にて30分間吊し置きした後、湿潤質量を測定し、試験片の乾燥質量と湿潤質量から試験片のオイル保液量を算出し、オイル保液性を評価した。オイル保液性が悪いと、トナーの拭き取り性が悪化し、特にオイル保液量が7g/m以下であると実用上問題がある。
(5)毛羽立ち
実施例及び比較例で作製したクリーニングシート基材について、それぞれ50mm×50mmに断裁し、シリコーンオイル(商品名:KF−96−1万cs、信越化学工業社製)をグラビアコーター方式で15g/mを含浸させ、試験片を作製した。これをシートの流れ方向と直角に折り、折った背の部分を10倍のルーペで観察し、立ち上がっている繊維の本数を数える。表、裏ともに同様に測定を行い、表裏の平均を毛羽の本数とする。毛羽の本数が多いほど、定着ロールを傷つけて印刷抜けとなったり、脱落した繊維が付着して記録用紙や装置内部を汚したりするなどのトラブルが起こりやすく、安定な印字性能が得られない。特に、毛羽の本数が20本以上になるとこれらの問題から実用には適さない。なお、ここで言う「表」とは、抄紙の際の湿紙乾燥時に接触型ドライヤーに接していた面、もしくは、非接触型の乾燥機を用いた際は熱量が多くかかった側の面を言う。
(6)熱寸法安定性(単位:%)
実施例及び比較例で作製したクリーニングシート基材について、それぞれ100mm×100mmに断裁し、シリコーンオイル(商品名:KF−96−1万cs、信越化学工業社製)をグラビアコーター方式で15g/mを含浸させ、試験片を作製した。この試験片を220℃の熱風乾燥機中で1時間保持し、熱処理後各辺の熱収縮率(%)を下記式で求め、シートの流れ方向、幅方向それぞれ2辺を平均して熱収縮率を算出し、熱寸法安定性を評価した。なお、熱収縮率は、定着ロール拭き取り時の破断や収縮を回避するため2.0%未満が好ましく、より好ましくは1.5%未満である。熱収縮率が2.0%より大きいと、実用上問題がある。
熱収縮率=[(熱処理前の試験片長さ−熱処理後の試験片長さ)/(熱処理前の試験片長さ)]×100
(7)均一性
実施例及び比較例で作製したクリーニングシート基材について、それぞれ300mm×300mmに断裁し、繊維ダマ、ヨレの状態を観察した。評価はモニター6名によって行われ、各人がそれぞれ評価した等級の最多数をその等級とした。
◎:繊維ダマやヨレが全く見られず、均一性が非常に良好。
○:直径5mm以下の小さなダマやヨレが1〜3箇所見られるが、均一性が良好。
△:直径5mm以下の小さなダマやヨレが4〜10箇所見られるが、効果は認められる。
×:直径5mm以下の小さなダマやヨレが11箇所以上、または直径が5mmより大きいダマが見られ、均一性不良。実用上問題がある。
Figure 0005466660
表1から明らかなように、半芳香族ポリアミド繊維、熱融着性バインダー繊維、熱水可溶性バインダー繊維を含んだ湿式抄紙法にて得られたウエブを加熱したカレンダーロールを通して得られる実施例1〜17のクリーニングシート基材は、毛羽立ちが少なく、且つ、強度、拭き取り性、オイル保液性、熱寸法安定性、均一性に優れている。
半芳香族ポリアミド繊維を用いなかった比較例1は、熱寸法安定性が悪かった。一方、熱融着性バインダー繊維を用いなかった比較例2は、毛羽立ちが多く、強度及び熱寸法安定性も悪かった。また、熱水可溶性バインダー繊維を用いなかった比較例3も、毛羽立ち、及び強度の点で劣った。熱カレンダー処理を行わなかった比較例4は、熱融着性バインダー繊維が十分に溶融しないため、強度が弱く、毛羽立ちが多かった。また、密度が小さい仕上がりとなることから、繊維の可動域が大きく、熱寸法安定性も悪かった。全芳香族ポリアミド繊維を用いた比較例5は、熱寸法安定性は良好だが、毛羽立ちが多かった。また、高温にて軟化する繊維を多く用いた比較例6は、毛羽立ちは少ないが、熱寸法安定性が悪かった。また、高密度の仕上がりとなることから、オイルをシート内に十分に保持することができず、オイル保液性及びトナー拭き取り性に劣った。さらに、フィブリル化した全芳香族ポリアミド繊維を用いた比較例7は、水中に均一に分散することが困難なため、均一性が劣った。また、半芳香族ポリアミド繊維の代わりに、脂肪族ポリアミド繊維を用いた比較例8は、耐熱性に劣り、熱寸法安定性が悪かった。半芳香族ポリアミド繊維の代わりに、全芳香族ポリアミド繊維を用いた比較例9は、密度が小さくなり、強度、毛羽立ちの点で劣った。
半芳香族ポリアミド繊維の含有量が5質量%より少ない実施例2は、熱寸法安定性が悪くなり、一方、半芳香族ポリアミド繊維の量が55質量%より多い実施例5は、熱寸法安定性は良くなるが、強度が低下した。
熱融着性バインダーとして、PET−低融点PETの芯鞘繊維を用いた実施例6は、融点が低いため、実際の使用を想定した高温での熱収縮が大きく、また、熱カレンダー処理時に繊維が溶融してフィルム状となるため、拭き取り性、オイル保液性に劣ったが、実用上問題ないレベルであった。
半芳香族ポリアミド繊維の繊度が0.1デシテックスより小さい実施例7は、密度が高くなり、オイル保液性、拭き取り性の点で劣るが、実用上問題ないレベルであった。一方、半芳香族ポリアミド繊維の繊度が3.0デシテックスより大きい実施例10は、低密度となり、強度が劣るが、実用上問題ないレベルであった。半芳香族ポリアミド繊維の繊維長が3mmより小さい実施例11は、繊維同士の絡み合いが少ないため強度が劣るが、実用上問題ないレベルであった。また、半芳香族ポリアミド繊維の繊維長が20mmより大きい実施例14は、繊維をスラリー中で分散させることが困難になるため均一性が劣るが、実用上問題ないレベルであった。
レーヨン繊維を用いなかった実施例15は、熱寸法安定性が劣るが、実用上問題ないレベルであった。また、半芳香族ポリアミド繊維と脂肪族ポリアミド繊維を併用した実施例16、半芳香族ポリアミド繊維と全芳香族ポリアミド繊維を併用した実施例17は、熱寸法安定性が若干向上した。
本発明の電子写真装置用クリーニングシート基材は、半芳香族ポリアミド繊維、熱融着性バインダー繊維、熱水可溶性バインダー繊維を含むウエブに、加熱したカレンダーロールを通して熱処理を施すことによって、均一で毛羽立ちが少なく、良好な熱寸法安定性が得られ、シリコーンオイル等のオイルを付与して電子写真装置用クリーニングシートとして使用が可能である。
本発明の電子写真装置用クリーニングシート基材は、シリコーンオイル等のオイルを付与して、複写機をはじめ、レーザービームプリンター、ファクシミリなどの電子写真装置における定着ロールに付着する紙粉やトナーかすを拭き取る装置に用いることができる。

Claims (4)

  1. 少なくとも半芳香族ポリアミド繊維、熱融着性バインダー繊維、熱水可溶性バインダー繊維を含み、湿式抄紙法にて得られたウエブを加熱したカレンダーロールに通してなる電子写真装置用クリーニングシート基材。
  2. 半芳香族ポリアミド繊維を5〜55質量%を含む請求項1に記載の電子写真装置用クリーニングシート基材。
  3. 半芳香族ポリアミド繊維の繊度が0.1〜3.0デシテックスであり、且つ、繊維長が3〜20mmである請求項1または2に記載の電子写真装置用クリーニングシート基材。
  4. 再生セルロース繊維を含む請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真装置用クリーニングシート基材。
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