JP5400300B2 - 捲縮繊維及びそれを用いた湿式摩擦材 - Google Patents

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Description

本発明は、高機能紙、特に摩擦耐久性を要する用途で使用される短繊維及びそれを用いた湿式摩擦材に関する。
従来からフィブリル化アラミド繊維は高強度、高耐熱性を有するため、ブレーキパッド、ブレーキライニングなどの乾式摩擦材、オートマチックトランスミッションのクラッチフェーシングなどの湿式摩擦材、ガスケットなどシール材の補強用繊維といったアスベスト代替素材として広く用いられている。特に湿式摩擦材用途では、例えば特公昭58−47345号公報(特許文献1)や特開平11−201206号公報(特許文献2)などに開示されているように、繊維状材料と摩擦調整剤や固体潤滑剤等の各種無機フィラーを抄造して紙状の基材を得、これにフェノール樹脂等のバインダー樹脂を含浸して加熱硬化して製造される。
アラミド繊維そのものは引っ張り強度など機械的強度が優れる繊維素材ではあるが、一般にフィブリル化アラミド繊維からなる紙状物は、化学的な結合は持たず、微細なフィブリルの絡み合いによって繊維ネットワークを形成しているため、紙状物の機械的強度は絡み合いの強度に大きく依存する。
一方、近年の自動車エンジンの出力増大や変速機の小型化等により、湿式摩擦材の機械的強度、特にせん断強度に関する要求が厳しくなっている。湿式摩擦材はパルプやアラミド繊維等の基材繊維と摩擦調整剤や体質充填材等の充填材とを抄造して得た抄紙体に、熱硬化性樹脂からなる樹脂結合剤を含浸し、加熱硬化して形成したものであり、軽量で安価であるだけでなく、材質が多孔質で比較的弾性にも富むため油吸収性が高く、しかも、耐熱性、耐摩耗性等にも比較的優れている等の特長を有しているため、この湿式摩擦材が広く使用されている。しかしながら、抄造法のように繊維を2次元平面状に堆積させてシート化するため、面方向のネットワークは強固であるものの、紙厚方向は比較的弱く、大きなせん断力が加わると湿式摩擦材を構成する繊維間で剥離が生じ、その機械的強度は十分ではなかった。
また、湿式摩擦材においては油中に浸した状態で高圧をかけることによって高い摩擦係数を得ようとするものであり、摩擦によって大きな熱が発生する。湿式摩擦材では、この熱を油を媒体として冷却させており、摩擦材としての気孔率が大きい構造で、油の透液性が高い摩擦材が望まれている。しかし、気孔率を大きくすると機械的強度がさらに低下してしまいジレンマとなっていた。
これに対し、特開2003−147335号公報(特許文献3)ではカールを有する特定の高弾性のアクリルチョップファイバーを添加して気孔率の確保を達成しようとするものであるが、ある程度高気孔率と剪断力向上は得られているものの繊維同士の絡まりが少なく繊維の湿式抄造性、又厚さ方向の機械的強度(剪断応力)に対して十分でないという問題があった。
特公昭58−47345号公報 特開平11−201206号公報 特開2003−147335号公報
湿式摩擦材の厚さ方向機械的強度向上に適する繊維材料及びそれを含む繊維集合体を使用した湿式摩擦材を提供すること。
本発明者は鋭意検討の結果、パラ型アラミド長繊維に捲縮を付与した後、切断して短繊維とし、フィブリル化繊維と複合的に使用して作成された湿式摩擦材は機械的強度、特に厚さ方向の機械的強度が高く、しかも油の透液性も良好な湿式摩擦材が得られることを見出した。即ち本発明によれば、パラ型アラミド長繊維フィラメントをカットして得られる短繊維であって、下記要件を満足することを特徴とする捲縮短繊維及び該短繊維を含む繊維集合体からなる湿式摩擦材とすることにより達成される。
下記式で表される平均カール度Cが28.2%以上であること。
平均カール度C=C0.5/N0.5
0.5;0.5mm以上の短繊維の下記Cの総和
0.5;0.5mm以上の全繊維本数
C=(l−d)/l×100
l;短繊維の総繊維長(カールの無い状態の長さ)(mm)
d;短繊維の両端の距離(mm)
C;短繊維のカール度
パラ型アラミド長繊維に捲縮を付与した後、切断して短繊維とし、フィブリル化繊維(パルプ及び/又はフィブリッド等)と複合的に使用して作成された繊維構造体は、該短繊維を含まないものと比較して厚さ方向への繊維絡合が強化されるため、機械的強度に優れた湿式摩擦材となる。さらに、該短繊維は捲縮を有しているため、抄造法などによって得られる湿式摩擦材はかさ高く、大きな気孔率を維持しているため油の透液性が良好となる。したがって、本発明の短繊維を含むことによって、機械的強度と気孔率の両方を兼ね備えた湿式摩擦材が得られる。
本発明の捲縮短繊維には、パラ型アラミド長繊維が適している。
本発明でいう捲縮短繊維とは捲縮を有する短繊維であって、捲縮形状としては図1に示すようなジグザグ形状、図2に示すような波形状、図3に示すような3次元形状などがあるが、所望の平均カール度が得られるのであればその形状は限定しない。
捲縮の付与方法としては、例えば、長繊維に加撚−解撚法、仮撚り法、押し込み捲縮法、擦過法、空気噴射法、ニット・デニット法、ギア倦縮法など公知の手法を用いて捲縮を付与した後、ギロチンカッター、ロータリー式カッター などの公知の切断装置を用いて長さ加重平均繊維長で0.5〜6mmに切断して得られた短繊維をさすが、捲縮を有する短繊維であれば上記手法に限定されるものではない。また、捲縮付与後に繊維を加熱して捲縮形状を熱固定することもできる。
本発明の捲縮短繊維の平均カール度Cは捲縮の度合いを示す指標であるが、下記式で算出される。この値が28.2%以上であることが必要であり、30%以上であることがより好ましい。
平均カール度C=C0.5/N0.5
0.5;0.5mm以上の短繊維の下記Cの総和
0.5;0.5mm以上の全繊維本数
C=(l−d)/l×100
l;短繊維の総繊維長(カールの無い状態の長さ)(mm)
d;短繊維の両端の距離(mm)
C;短繊維のカール度
本発明の捲縮短繊維の平均カール度が25%未満の場合は湿式摩擦材を作成したとき、厚さ方向の繊維絡合が乏しく、十分な機械的強度が得られないだけでなく、気孔率も不十分となる。
本発明の捲縮短繊維の長さ加重平均繊維長は0.5〜6mmが好ましく、0.8〜5mmがより好ましい。加重平均繊維長が0.5mm未満の場合は気孔率及び厚さ方向の機械的強度が取れず、又6mmを超える場合は抄造工程での繊維分散が悪化するため好ましくない。
本発明の捲縮短繊維を湿式摩擦材とするためにはフィブリル化繊維と混合し繊維集合体(混合繊維)とし湿式抄造して厚さ、密度を有する複合構造体とし、更に熱硬化性樹脂等を含浸し繊維、無機フィラー、樹脂からなる複合体することが好ましい。ここで捲縮短繊維とフィブリル化繊維が巧妙な絡合構造を形成することにより湿式摩擦材の気孔率、厚さ方向の機械的強度が向上する。
ここでフィブリル化繊維とは有機高分子重合体からなる1μm以下のフィブリルを有するフィブリル化繊維である。
フィブリル化繊維としては機械的強度、耐熱性、フィブリル化の容易さの点で有機高分子重合体のうち全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、ポリベンザゾール等の液晶性高分子を短繊維化したものを水に分散させて公知のリファイナーやビーター、ミル、高圧ホモジナイザー、摩砕装置等の処理により繊維表面に微細な毛羽を多数有する繊維パルプや前記の液晶高分子より得られるフィブリッド等が好ましく使用できる。上記の繊維パルプ及び/又はフィブリッドは微細なフィブリルを有するので、捲縮短繊維及び混用するフィブリル化繊維間の絡合や繊維集合体の湿式抄造性を向上させることができ又熱収縮性を利用して湿式抄造後の繊維構造体の厚さ方向の機械的強度を向上させることができる。
ここでフィブリッドとは機械的にフィブリル化した一般的なフィブリル化繊維と異なり、微小のフィブリルを有する微小短繊維で、且つ繊維の結晶構造が強固に形成されること無く、非結晶状態で水分子又は水分が結晶構造内に存在するようなものを指す。このようなフィブリッドは高分子重合体溶剤溶液を貧溶媒或いは非溶媒凝固液中に導入し、攪拌等のせん断をかけた状態で凝固させることによって得られ、微小のフィブリルを有する薄葉状、鱗片状の小片、又は、ランダムにフィブリル化した微小繊維の総称である。
好ましいフィブリッドとしては、例えば、WO2004/099476 A1、特公昭35−11851号公報、特公昭37−5732号公報等に記載された方法により、全芳香族ポリアミド重合体溶液をその沈澱剤と剪断力の存在する系において混合することにより製造されるフィブリッドや、特公昭59−603号公報に記載された方法により、光学的異方性を示す高分子重合体溶液から成形した分子配向性を有する成形物に叩解等の機械的剪断力を与えてランダムにフィブリル化させたフィブリッドを例示することができる。尚、芳香族ポリアミドフィブリッドは、その製造において一旦乾燥工程を経ている全芳香族ポリアミド短繊維をリファイナーやビーター、ミル、高圧ホモジナイザー、摩砕装置等の処理により高度にフィブリル化させた芳香族ポリアミドパルプとは異なり、乾燥時に大きな収縮を示す。このとき、フィブリッド同士及び他成分を抱きかかえた状態で乾燥収縮するため、優れたバインダー性能を有する。含水率が70wt%以上であれば上記で説明した方法で得られた全芳香族ポリアミドフィブリッドに限定されるものではなく、例えば、フィルムやフィラメント製造工程において意図的に乾燥させずに上記のようなフィブリル化処理を施して得られた水膨潤フィブリル化繊維でもかまわない。
上記捲縮短繊維と上記フィブリル化繊維は混合され繊維集合体(混合繊維)とすることが好ましく、その際繊維集合体のフィブリル化の度合いとしては比表面積で3〜20m/gであることが必要である。好ましくは8〜15m/gである。比表面積が3m/g未満の場合は、繊維間絡合が低下し湿式抄造性が低下するとともに湿式摩擦材の機械的強度も低下する。又無機フィラー等を混合使用するとき無機フィラーが繊維へ絡まりにくくなり、脱落し好ましくない。比表面積が20m/gを超えるときは湿式抄造時に繊維の分散が悪化するため好ましくない。繊維集合体の比表面積は該繊維集合体のフィブリル化度合いを示す指標の一つであり、窒素ガスの吸着によるBET法など公知の比表面積測定装置で測定できる。
また、本発明でいう捲縮短繊維とフィブリル化繊維の混合繊維の長さ加重平均繊維長は0.5〜6mmが好ましく、0.8〜5mmがより好ましい。加重平均繊維長が0.5mm未満の場合は繊維の補強効果が低く、6mmを超える場合は抄造工程での繊維分散が悪化するため好ましくない。
また、捲縮短繊維とフィブリル化繊維からなる繊維集合体を構成する繊維全体の長さ加重平均繊維長は0.5〜6mmが好ましく、0.8〜5mmがより好ましい。加重平均繊維長が0.5mm未満の場合は繊維の絡合が不足し機械的強度が取れず、6mmを超える場合は抄造工程での繊維分散が悪化するため好ましくない。
さらに捲縮短繊維とフィブリル化繊維からなる繊維集合体の平均カール度C(上記捲縮短繊維の平均カール度Cと同様の式で算出される)の値が20%以上であることが好ましく、23%以上であることがより好ましい。平均カール度Cは捲縮短繊維とフィブリル化繊維それぞれ単独の平均カール度とこれらの混合比率により調整可能であるが、この値が20%を下回る場合は繊維構造体とした際に繊維同士の絡合が不十分となり、厚さ方向の機械的強度を向上させることができない。
次に本発明の捲縮短繊維とフィブリル化繊維を用いた湿式摩擦材について説明する。
本発明の湿式摩擦材は次の工程で作成することができる。まず、本発明の捲縮短繊維とフィブリル化繊維を1〜50重量%:99〜50重量%の比率でなる繊維集合体と無機フィラーを水などの分散媒で公知の離解機を用いて混合してスラリーとし、その後公知の抄造装置を用いてシート状に成形して厚さや密度を有する繊維とフィラーからなる複合構造体とする。複合構造体は必要に応じ更に乾燥工程、必要に応じ加圧工程をとおして所望の厚さ、密度を調整することが好ましい。
ここで該繊維集合体中の捲縮短繊維とフィブリル化繊維の比率が1〜50重量%:99〜50重量%であることが必要で、捲縮短繊維が1重量%未満であれば湿式摩擦材の気孔率が取れず、50重量%を超える場合は湿式抄造性が低下し、又湿式摩擦材の機械的強度特に厚さ方向の機械的強度が低下し好ましくない。
又複合構造体における繊維材料(捲縮短繊維、フィブリル化繊維等繊維成分等)と無機フィラーの組成比は、繊維材料が20〜80重量%、無機フィラーが80〜20重量%であることが望ましい。得られた複合構造体に、フェノール樹脂などのバインダー樹脂を含浸せしめ、熱プレスにより加圧・硬化させて湿式摩擦材とする。
繊維材料と無機フィラーの混合のタイミングは捲縮短繊維とフィブリル化繊維を予め混合して用いても良く、捲縮短繊維とフィブリル化繊維と無機フィラーを同時に混合しても良い。
更に本発明では、上記捲縮単繊維、フィブリル化繊維以外に他の繊維成分を配合して使用することも可能である。リンターパルプや木材パルプ等のセルロース繊維、パラ型アラミド繊維、メタ型アラミド繊維、アクリル繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維や、ガラス繊維、ロックウール、チタン酸カリウム繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、金属繊維などの無機繊維を繊維材料として併用することができる。繊維構造体として機械的強度や耐熱性が損なわれない適量の範囲で併用される。
本発明に使用できる無機フィラーは、摩擦調整や固体潤滑等を目的に添加され、例えば硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭化ケイ素、炭化チタン、アルミナ、シリカ、カシューダスト、珪藻土、グラファイト、タルク、カオリン、酸化マグネシウムなどを1種類または複数種を同時に適量用いることができる。
次に本発明の製造方法の一例を示すが、これに限定されるものではない。
以下に本発明を実施例に基づき具体的に説明する。なお本発明はこれらに限定されるものではない。
<捲縮短繊維の物性測定方法>
繊維の平均カール度の測定、長さ加重平均繊維長の測定は市販のパルプ繊維長測定装置(メッツォオートメーション製、Pulp Expert Fiber Analyzer)を用いて次の手順に従って行った。
1)繊維を絶乾重量で1.5g秤量し、水1.5LとともにJIS標準離解機にて3000rpmで1分間離解する。
2)Pulp Expert Fiber Analyzerの4本のサンプルチューブ離解スラリーを50ccづつに投入し、測定を開始。
尚、Pulp Expert Fiber Analyzerには顕微鏡とCCDカメラが併設されており、繊維スラリーを攪拌しながら繊維画像を撮影し、1水準につき約400枚の画像を元に画像解析により平均カール度、長さ加重平均繊維長などを算出する。
含捲縮フィブリル化繊維本数Nc、及び0.5mm以上の全繊維本数N0.5のカウントは、Pulp Expert Fiber Analyzer で撮影した400枚のうちのランダムに4枚の画像を選び出し、繊維長で0.5mm以上の繊維を対象に行った。画像の一例を図4に示す。
フィブリル化繊維の比表面積測定は市販の比表面積測定装置(島津製作所製、フローソーブIII2310)を用いた。
<捲縮短繊維の作成>
[実施例1]
パラ型アラミド長繊維フィラメント(帝人アラミド製、トワロン1000)を使用して編み密度25本/inchの天竺編の編み物とした後、300℃×10分間の熱セットを行い、編地を解編してパラ型アラミド長繊維フィラメントに捲縮を付与した。その後、この長繊維フィラメントをギロチンカッターを用いてカット長=約3.5mmでカットして捲縮短繊維を得た。得られた捲縮短繊維の物性を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において300℃×10分間の熱セットを行わなかったこと以外は同様の方法で捲縮短繊維を得た。得られた捲縮短繊維の物性を表1に示す。
[比較例
パラ型アラミド長繊維フィラメント(帝人アラミド製、トワロン1000)をギロチンカッターを用いてカット長=3.5mmでカットし捲縮を持たない短繊維を得た。得られた短繊維の物性を表1に示す。
実施例は比較例に対し、長繊維をニット作成後に熱処理を行って編地のループ形状を固定したため、短繊維の平均カール度が大きいものとなった。
比較例は捲縮付与を行っていないため、平均カール度が小さい短繊維が得られた。
<捲縮短繊維とフィブリル化繊維からなる繊維集合体(混合繊維)の物性測定>
捲縮短繊維とフィブリル化繊維の混合は下記の方法で実施したが、捲縮短繊維とフィブリル化繊維が均一に混合されれば本法に限定されるものではない。
1)捲縮短繊維及びフィブリル化繊維を所定の重量比で絶乾重量1.5g秤量し、水1.5LとともにJIS標準離解機にて3000rpmで3分間離解を用いて3分間離解する。
2)得られた繊維−水分散体を目開き20μmの篩いで脱水し、105℃×2時間の乾燥処理を行い捲縮短繊維とフィブリル化繊維の繊維集合体を得た。
繊維集合体の平均カール度の測定、長さ加重平均繊維長の測定は上記捲縮短繊維の測定方法と同様の方法で実施した。
また、繊維集合体の比表面積測定は市販の比表面積測定装置(島津製作所製、フローソーブIII2310)を用いた。
湿式抄造性は上記105℃×2時間の乾燥処理前のウエットな状態での湿紙の取り扱い性で評価した。すぐに破れやすい場合×、破れにくい場合○とした。
<繊維集合体(混合繊維)の作成>
[実施例
実施例1の捲縮短繊維10重量部とフィブリル化繊維として全芳香族ポリアミドパルプ(帝人アラミド製、トワロン1099)を90重量部を上記手法で混合し捲縮短繊維とフィブリル化繊維の繊維集合体を得た。得られた繊維集合体の物性を表2に示す。
[比較例
実施例において実施例1の捲縮短繊維の代わりに比較例1の捲縮短繊維を用いたこと以外は同様の方法で繊維集合体を得た。得られた繊維集合体の物性を表2に示す。
[比較例
実施例において実施例1の捲縮短繊維の代わりに比較例の捲縮短繊維を用いたこと
以外は同様の方法で繊維集合体を得た。得られた繊維集合体の物性を表2に示す。
<摩擦材の作成>
[実施例
2Lの水に、実施例の繊維集合体を50重量部、珪藻土(商品名「ラヂオライト#200」、昭和化学工業株式会社製)を50重量部添加し、これをJIS標準離解機にて3000rpmで3分間離解して、スラリーを得た。更にこのスラリーを、TAPPI式角型抄紙機で抄造し、プレス脱水した後、120℃の乾燥機で2時間乾燥させることで、目付けが250g/mの繊維構造体を得た。
次に、得られた繊維構造体を、液状フェノール樹脂(品番PR−53123、住友ベークライト(株)製)をメタノールにて希釈した、濃度が16重量%のフェノール樹脂メタノール溶液に浸漬してフェノール樹脂を含浸し、その後室温で24時間乾燥してプリプレグを得た。さらにこのプリプレグを、プレス機によって60kg/cmの面圧により180℃で5分間プレスを行ない、さらに180℃のオーブン中で2時間硬化させることにより、フィブリル化繊維/無機フィラー/バインダー樹脂=38.5/38.5/23.0(重量比)の組成を持つ摩擦材試料を得た。
[実施例
実施例において予め捲縮短繊維とフィブリル化繊維を混合した実施例の繊維集合体でなく、実施例1の捲縮短繊維5重量部とフィブリル化繊維として全芳香族ポリアミドパルプ(帝人アラミド製、トワロン1099)45重量部及び珪藻土50重量部を湿式抄造前に3者を混合した繊維集合体とした以外は同様の方法で摩擦材試料を作成した。
[比較例
実施例において実施例の繊維集合体の代わりに、比較例の繊維集合体を用いたこと以外は同様の方法で摩擦材試料を作成した。
[比較例
実施例において実施例の繊維集合体の代わりに、比較例の繊維集合体を用いこと以外は同様の方法で摩擦材試料を作成した。
[比較例
実施例において実施例の繊維集合体の代わりに、捲縮短繊維を用いずフィブリル化繊維として全芳香族ポリアミドパルプ(帝人アラミド製、トワロン1099)のみを50重量部用いた繊維集合体としたこと以外は同様の方法で摩擦材試料を作成した。
[比較例
実施例において実施例の繊維集合体の代わりに、捲縮短繊維を用いずフィブリル化繊維として全芳香族ポリアミドフィブリッド(帝人アラミド製、トワロンジェットスパンフィブリッドType8026)のみを50重量部用いた繊維集合体としたこと以外は同様の方法で摩擦材試料を作成した。
<摩擦材の物性評価>
摩擦材耐剥離性評価は、市販の摩擦磨耗試験機((株)オリエンテック製、EFM−III
−EN/F)に3脚リング状圧子(硬質クロムメッキベアリング鋼、外径25.4mm、内径20mm)を取り付け、脚部を摩擦材試料に押し付けながら回転させ、摩擦材試料表面が剥離するまでの回転数をカウントした。このときの試験条件は負荷荷重6kgf、常温油中、100rpmで行った。図5に試験法の様子を示す。
油透液性の評価は、Automatic Transmission Fluid(ATF)をスポイトで摩擦材試料表面に約0.1cc滴下し、滴下面の裏面にATFが浸透するまでの秒数を測定した。
表3に耐剥離性及び油浸透性評価結果を示す。尚、数値はN数=5で評価を実施したものの平均値である。
実施例の摩擦材は比較例のものに比べ、耐剥離性が優れた摩擦材であった。これは平均カール度が高く捲縮短繊維同士および捲縮短繊維とフィブリル化繊維の繊維絡合が強固となったためと考えられる。また、実施例は比較例と比較して、油浸透性も優れたものであった。これは平均カール度の高い捲縮短繊維が嵩高いため、抄造されたペーパーの気孔径が大きくなったためと考えられる。
また、実施例は摩擦材を作成する際の捲縮短繊維の添加量を変えたものであるが、捲縮短繊維を含まない比較例の摩擦材と比較して耐剥離性が優れたものであった。
本発明によれば、低密度でも繊維間の絡まり強度が高い紙状物が得られ、大きなせん断力が加わり、かつ密度を低く抑えることが要求される自動車等のオートマチックトランスミッション用摩擦材、ロックアップクラッチ用摩擦材、マニュアルトランスミッション用のシンクロナイザーリング用摩擦材などの耐久性向上に有効である。
捲縮形状の一例 ジグザグ 捲縮形状の一例 波形 捲縮形状の一例 3次元 Pulp Expert Fiber Analyzer撮影画像の一例 耐剥離試験法

Claims (6)

  1. パラ型アラミド長繊維フィラメントをカットして得られる短繊維であって、下記要件を満足することを特徴とする捲縮短繊維。
    下記式で表される平均カール度Cが28.2%以上であること。
    平均カール度C=C0.5/N0.5
    0.5;0.5mm以上の短繊維の下記Cの総和
    0.5;0.5mm以上の全繊維本数
    C=(l−d)/l×100
    l;短繊維の総繊維長(カールの無い状態の長さ)(mm)
    d;短繊維の両端の距離(mm)
    C;短繊維のカール度
  2. 該短繊維の長さ加重平均繊維長が0.5〜6mmである請求項1記載の捲縮短繊維。
  3. 該短繊維が、長繊維にニット・デニット法を用いて捲縮を付与した後、切断して得られた短繊維である請求項1又は2記載の捲縮短繊維。
  4. 請求項1〜3いずれか記載の捲縮短繊維を1〜50重量%、フィブリル化繊維を99〜50重量%からなる繊維集合体であって、下記要件を満足することを特徴とする繊維集合体。
    a)繊維集合体の比表面積が3〜20g/m であること。
    b)繊維集合体の長さ加重平均繊維長が0.5〜6mmであること。
    c)繊維集合体の平均カール度が20%以上であること。
  5. 請求項1〜3いずれか記載の捲縮短繊維を1〜30重量%含むことを特徴とする湿式摩擦材。
  6. 請求項4記載の繊維集合体を1〜70重量%含むことを特徴とする湿式摩擦材。
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