JP5895380B2 - 繊維樹脂複合構造体、繊維樹脂複合構造体の製造方法及び成形体の製造方法 - Google Patents

繊維樹脂複合構造体、繊維樹脂複合構造体の製造方法及び成形体の製造方法 Download PDF

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本発明は、繊維複合構造体、成形体の製造方法及び成形体に関する。
プラスチック繊維、炭素繊維、ガラス繊維などの強化繊維と樹脂マトリックスからなる繊維強化複合材料は、強度、剛性に優れているため、電気・電子用途、土木・建築用途、自動車用途、航空機用途等に広く用いられている。なかでも強化繊維が均一に分散した基材を用いた複合材料は、力学特性が等方的になり、さらには高強度を発現する材料であれば適用可能な用途は非常に多くなる。
強化繊維を均一かつ等方的に分散し、繊維強化複合材料を作製する方法として、湿式抄造法が検討されている。例えば特許文献1には、フェノール樹脂粉末と強化繊維としてガラス繊維とアラミド繊維を水中に分散し抄造したウェブ状の成形材料を、成形金型にて加熱加圧成形(圧縮成形)して繊維強化のフェノール樹脂成形品を作製している。また、特許文献2には、ガラス繊維とビニロン繊維をフェノール樹脂の微粒子と共に水中に分散させ、これらを抄造し乾燥してシート状の成形材料を得た後に、金型内で加熱加圧成形して板状成形品を作製することが記載されており、抄造する強化繊維及び分散混抄する樹脂を選定することで、機械的特性を中心とした成形品特性の改良検討が行われている。
湿式抄造法は、マトリックス樹脂粒子と強化繊維を水中に分散し、漉きとることによって均一に分散混合した繊維複合材料あり、強化繊維が絡み合うことで加熱加圧成形後の成形体に高強度な特性を付与出来ている。しかし、繊維が強固に絡み合っているために、流動性が乏しく、3次元的な絞り成形では成形体表面に皺が出たり地割れが生じたりするため、板状成形体や極浅い凸形状を有する成形体にしか使われていなかった。また、抄造後の繊維複合材料は樹脂粒子が取扱時に脱落が生じ易く、取扱いが難しかった。
立体的な成形容器を製造する方法として、目的とする成形体の外形に合致する窪みを有する網型を作製しておき、その網型によって抄紙原料を湿式抄紙した後に、乾燥して立体的な成形容器製造する方法が一般に知られている。しかし、湿式成形法は成形容器の製造に時間と手間がかかり、極めて生産性が低いといった課題があり、湿式抄造法により作製した抄紙シートの絞り加工が検討されている。
湿式抄造法により作製した複合シートの絞り加工について、特許文献3には、天然パルプと熱接着性を有し適度な繊維伸度を有する熱可塑性繊維を含むプレス成形用紙が記載されており、特許文献4には、熱可塑性繊維を主成分とする紙層とセルロースパルプを主成分とする紙層の積層構造による熱成形用の板紙が記載されているが、抄造した複合シートの絞り成形性は良いものの、成形体の機械強度については高強度と言えるものではなく、適用可能な用途が電気・電子部品の包装容器、その他の工業用部品の包装容器、各種食品の包装容器や、トレイ、使い捨て食器(弁当箱、折り箱など)、車輌内装材、包装用緩衝材などに限定されるものであった。
特開平10−95024号公報 特開平10−166361号公報 特開平10−8393号公報 特開2000−265400公報
本発明の目的は、外観の良好な機械的特性に優れた3次元成形体、及び成形することにより成形体を容易に製造することができ、材料脱落の無い取扱性の良好な繊維樹脂複合構造体を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(12)の本発明により達成される。
(1) (A)熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂と、(B)伸縮性を有する伸縮性繊維と、(C)前記(B)伸縮性繊維を除く有機繊維及び無機繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維と、を含み、前記(B)伸縮性繊維の平均繊維長(Lb)と前記(C)繊維の平均繊維長(Lc)との比(Lb/Lc)が1.5〜15であることを特徴とする繊維樹脂複合構造体。
(2) 前記(B)伸縮性繊維が当該繊維複合構造体中に1質量%以上、30質量%以下の割合で含まれることを特徴とする第(1)項に記載の繊維樹脂複合構造体。
(3) 前記(B)伸縮性繊維が、長さ方向に波形状の折れ曲がった部分を有していて、繊維長の中に折れ曲がり部分を2〜15か所有している捲縮性繊維であることを特徴とする第(1)項又は第(2)項に記載の繊維樹脂複合構造体。
(4) 前記(B)伸縮性繊維が、熱収縮率の異なる二種類以上の材料をそれぞれ溶融し、芯鞘構造又は積層型構造に紡糸してなる複合繊維からなることを特徴とする第(1)項から第(3)項のいずれか1項に記載の繊維樹脂複合構造体。
(5) 前記複合繊維を構成する最も低融点の成分を除く他の成分の融点が、前記(A)樹脂に含まれてもよい前記熱可塑性樹脂の融点及び前記(C)繊維に含まれてもよい有機繊維を構成する樹脂の融点よりも低いことを特徴とする第(4)項に記載の繊維樹脂複合構造体。
(6) 前記複合繊維を構成する最も低融点の成分の融点が、前記(A)樹脂に含まれてもよい前記熱硬化性樹脂の硬化温度よりも低いことを特徴とする第(4)項に記載の繊維樹脂複合構造体。
(7) 前記(C)繊維が、アラミド繊維、ガラス繊維及び炭素繊維から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする第(1)項から第(6)項のいずれか1項に記載の繊維樹脂複合構造体。
(8) 前記(C)繊維が、有機繊維をフィブリル化したパルプ繊維をさらに含むことを特徴とする第(1)項から第(7)項のいずれか1項に記載の繊維樹脂複合構造体。
(9) 前記(A)樹脂、前記(B)伸縮性繊維、前記(C)繊維を含む構成材料を溶媒に分散させた後、抄造薬剤を添加して構成材料を凝集させ、その凝集物を溶媒と分離させた後、その溶媒を除去して得られることを特徴とする第(1)項から第(8)項のいずれか1項に記載の繊維樹脂複合構造体。
(10) 第(1)項から第(9)項のいずれか1項に記載の繊維樹脂複合構造体を裁断して所定の形状にする過程を経た後、加熱加圧成形することを特徴とする成形体の製造
方法。
(11) 凹凸形状を有する成形体の製造方法であって、第(1)項から第(9)項のいずれか1項に記載の繊維樹脂複合構造体を、コールドプレスにより最終成形体に類似した凹凸を賦形した後に所定の形状にする過程を経て、加熱加圧プレスすることを特徴とする成形体の製造方法。
(12) 第(10)項又は第(11)項に記載の成形体の製造方法によって得られることを特徴とする成形体。
本発明によれば、外観が良好で機械的特性に優れた絞り成形体が得られる。特に、軽くて高強度な3次元成形体が得られるので、携帯性を有する電子機器の筐体の様な構造体に好適に利用することができる。
また、本発明によれば、成形することにより、成形体を容易に製造することができる繊維樹脂複合構造体が得られる。
以下に、本発明の好ましい実施形態に基づき説明する。
本発明の繊維樹脂複合構造体は、(A)熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂と、(B)伸縮性を有する伸縮性繊維と、(C)(B)伸縮性繊維を除く有機繊維及び無機繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維と、を含み、(B)伸縮性繊維の平均繊維長(Lb)と(C)繊維の平均繊維長(Lc)との比(Lb/Lc)が1.5〜15であることを特徴とする。また、本発明の成形体は、上述の繊維樹脂複合構造体を裁断して所定の形状にする過程を経た後、加熱加圧成形することを特徴とする本発明の成形体の製造方法によって得られる。これにより、繊維樹脂複合構造体を加熱加圧成形する過程において、(B)伸縮性繊維による絡み合い点を有する弾性変形可能な網目状構造の形成によって、絞り等の立体的な変形に対する形状賦形性が向上することで、外観が良好で機械的特性に優れた絞り成形体、特に、軽くて高強度な3次元成形体を得ることが可能となる。なお、成形体の外観とは、表面に見られる地割れ等の構造欠陥の有無を示し、成形体の機械的特性とは、表面の変形し難さといった機械的強度、疲労強度、衝撃強度等の物理的特性の総称である。
まず、本発明の繊維樹脂複合構造体について詳細に説明する。本発明の繊維樹脂複合構造体には、(A)熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を用いることができる。このような(A)樹脂としては、特に限定されるものではなく、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂が挙げられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン
(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、又はこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。樹脂は湿式抄造により繊維等と複合化することから、常温で粒子状又は繊維状であり、水に不溶であるものが好ましい。これらのなかでも熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリフェニレンスルフィドから選ばれる少なくとも一種の樹脂が、成形体の耐熱性を高めることができる点で、更に高融点であるため、併用する(B)伸縮性繊維として後述する伸縮性複合繊維を用いる場合における伸縮性複合繊維の選択幅が広くできる点で特に好ましい。また、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂から選ばれる少なくとも一種の樹脂が、成形体の耐熱性を高めることができる点で特に好ましい。
(A)樹脂の配合量としては、繊維樹脂複合構造体全体に対して、好ましくは10〜80質量%、さらに好ましくは20〜70質量%、特に好ましくは30〜60質量%である。これにより、繊維樹脂複合構造体を加熱加圧成形した場合に、外観が良好で且つ樹脂偏在の少ない成形体を作製することができる。
本発明の繊維樹脂複合構造体には、(B)伸縮性を有する伸縮性繊維を用いることができる。このような(B)伸縮性繊維としては、特に限定されるものではないが、繊維の長さ方向に対して縮れを有している捲縮性繊維が好ましい。このような捲縮性繊維としては、例えば、少なくとも一部分が螺旋状を呈している繊維、少なくとも一部分が波形に曲がった繊維、繊維長の中にニか所以上の湾曲部が三次元的かつ不規則的に連続した繊維が挙げられる。
(B)伸縮性繊維は、有機系の繊維が好ましいが、無機系の繊維を併用してもよい。また、2種以上の有機系繊維を併用してもよい。
有機系の伸縮性繊維としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリフェニレンスルフィド、芳香族ポリアミド(アラミド)等の熱可塑性の合成繊維に捲縮を与えた繊維を用いるのが好ましい。これらの有機系繊維に捲縮を与え得る方法としては、例えば、繊維を二つの歯車に挟むか、ナイフエッジのような治具でこする等により、機械的に捲縮させる方法、あるいは、熱収縮率の異なる二種類以上の材料をそれぞれ溶融し、芯鞘構造又は積層型構造の複合繊維に紡糸した後に捲縮させる方法などが挙げられる。これらの中でも、高強度で高耐熱性を有する伸縮性繊維を用いることにより、3次元構造成形体の機械強度や熱寸法安定性等の特性を向上させることができる。このような観点では、芳香族ポリアミド(アラミド)の伸縮性繊維が好ましい。
(B)伸縮性繊維は、その平均繊維長が1〜30mmであるのが好ましく、より好ましくは1.5〜20mm、更に好ましくは2〜15mmである。(B)伸縮性繊維の平均繊維長が上記下限値未満であると、(B)伸縮性繊維同士の網目状構造の形成が不十分とな
り、絞り加工した成形体の地割れを抑制する効果が充分に得られない恐れがある。一方、(B)伸縮性繊維の平均繊維長が上記上限値を超える場合、繊維樹脂複合構造体中において(B)伸縮性繊維を均一に分散させることができず、機械的特性が不均一になる恐れがある。
また、(B)伸縮性繊維の平均繊維長(Lb)と(C)繊維の平均繊維長(Lc)との比(Lb/Lc)が1.5〜15であるのが好ましく、より好ましくは1.5〜10であり、特に好ましくは1.5〜7.0である。(B)伸縮性繊維の平均繊維長(Lb)と(C)繊維の平均繊維長(Lc)との比(Lb/Lc)が上記下限値未満であると、(B)伸縮性繊維同士の網目状構造の形成が不十分となり、絞り加工した成形体の地割れを抑制する効果が充分に得られない恐れがある。一方、(B)伸縮性繊維の平均繊維長(Lb)と(C)繊維の平均繊維長(Lc)との比(Lb/Lc)が上記上限値を超える場合、繊維樹脂複合構造体中において(B)伸縮性繊維単体内の絡み合いが過剰になり均一に分散させることができず、機械的特性が不均一になる恐れがある。
また、(B)伸縮性繊維の波形状の折れ曲がった部分の数は、繊維長中に2〜15か所あるのが好ましく、より好ましくは3〜10か所である。折れ曲がり箇所の数が上記下限値未満であると、(B)伸縮性繊維同士の網目状構造の形成が不十分となり、絞り加工した成形体の地割れを抑制する効果が充分に得られない恐れがある。一方、折れ曲がり箇所の数が上記上限値を超える場合、繊維樹脂複合構造体中において(B)伸縮性繊維単体内の絡み合いが過剰になり均一に分散させることができず、機械的特性が不均一になる恐れがある。
また、(B)伸縮性繊維の繊維径は、5〜60μmであるのが好ましく、10〜30μmであるのがより好ましい。(B)伸縮性繊維の平均繊維径が上記範囲内であれば、(B)伸縮性繊維が絡み合い点を有する網目状構造の形成が十分であり、更に、繊維樹脂複合構造体中の均一な分散性が付与される。(B)伸縮性繊維の繊維径が上記下限値を下回る場合には、(B)伸縮性繊維同士、及び(B)伸縮性繊維と(C)繊維との絡み合いによる拘束力が低下してしまう恐れがある。また、(B)伸縮性繊維の繊維径が上記上限値を超える場合には、繊維樹脂複合構造体中において(B)伸縮性繊維単体の絡み合いが過剰となって(B)伸縮性繊維が偏在し易くなり分散性が低下するため、(A)樹脂及び(C)繊維の保持力が低下してしまう恐れがある。
(B)伸縮性繊維が芯鞘構造又は積層型構造の複合繊維である場合には、最も低融点の成分の融点より高い温度で熱処理するなどして、最も低融点の成分を溶融させることによって、(B)伸縮性繊維間や、繊維樹脂複合構造体の各構成成分間を結着することができ、繊維樹脂複合構造体の構成成分の脱落を抑制することができ、更には、加熱成形により得られる成形体の衝撃強度を向上させることができる。これらの中でも、最も低融点の成分が鞘部を構成し、他の成分が芯部を構成する芯鞘型の構造を有する複合繊維が、熱結着性の点から好ましい。芯鞘型の構造を有する複合繊維は、芯部分と鞘部分とは同心でもよく、偏心していてもよい。
芯鞘構造又は積層型構造の複合繊維における最も低融点の成分は、その融点Tmlが繊維樹脂複合構造体を構成する(A)樹脂に含まれてもよい熱可塑性樹脂の融点及び(C)繊維に含まれてもよい有機繊維を構成する樹脂の融点よりも低いことが好ましい。また、複合繊維における最も低融点の成分は、その融点Tmlが(A)樹脂に含まれてもよい熱硬化性樹脂の硬化温度よりも低いことが好ましい。より具体的には、融点Tmlは80〜200℃であることが好ましく、90〜160℃であることが特に好ましい。これにより、繊維樹脂複合構造体を構成する(A)樹脂や(C)繊維に支障をきたすことなく、(B)伸縮性繊維における最も低融点の成分を溶融して絡み合い点の強度を増すだけでなく、
(B)伸縮性繊維と繊維樹脂複合構造体の他の構成成分である(A)樹脂、(C)繊維などとの接点の結着性が良好となり、材料脱落の十分抑制された繊維樹脂複合体を得ることが可能となる。一方、(B)伸縮性繊維における最も低融点の成分を除く他の成分は、その融点Tmhが繊維樹脂複合構造体を構成する(A)樹脂に含まれてもよい熱可塑性樹脂の融点及び(C)繊維に含まれてもよい有機繊維を構成する樹脂の融点よりも低いことが好ましい。また、(B)伸縮性繊維における最も低融点の成分を除く他の成分は、その融点Tmhが繊維樹脂複合構造体を構成する(A)樹脂に含まれてもよい熱硬化性樹脂の硬化温度よりも低いことが好ましい。より具体的には、融点Tmhは150〜250℃であることが好ましく、160〜200℃であることが特に好ましい。これにより、最終成形体の成形時において、Tmhよりも低い温度域に留まるプレス成形初期の加熱段階では、(B)伸縮性繊維の網目状構造体が弾性変形することで繊維樹脂複合構造体の地割れを抑制し、Tmhを越えて成形設定温度近傍まで到達した段階では、(B)伸縮性繊維の網目状構造が消失し、繊維樹脂複合構造体が成形体形状を成す際の(A)樹脂や(C)繊維の局所的な再配向を促すことが可能となる。このため、プレス成形初期の加熱段階の弾性変形を効果的に活用でき、特に、(A)樹脂として熱硬化樹脂を用いた場合は、(B)伸縮性繊維の溶融固化成分がマトリックス樹脂中に分散しているため、成形体の衝撃強度等の機械的特性を向上させることが可能となる。
(B)伸縮性繊維の最も低融点の成分を除く他の成分の融点Tmhと、最も低融点の成分の融点Tmlとの温度差、即ち、ΔT=Tmh−Tmlは、10〜150℃であることが好ましく、20〜100℃であることが特に好ましい。これにより、(B)伸縮性繊維の最も低融点の成分を除く他の成分の強度を保持したままで、最も低融点の成分が溶融して網目状構造が形成され、凹凸賦形時の弾性変形が効果的に発現でき、更には、外観が良好で機械的特性が良好な成形体を得ることが可能となる。
また、(B)伸縮性繊維の横断面において、最も低融点の成分の占有面積Sと最も低融点の成分を除く他の成分の占有面積Sとの面積比S/Sは、伸縮性繊維同士の接点の結着性の点から、2/8〜8/2であることが好ましく、3/7〜7/3であることが特に好ましい。S/Sが、上記下限値未満の場合、繊維同士の結着性が不十分となるため、繊維樹脂複合構造体の構成成分の脱落を抑制できなくなる恐れがある。また、上記上限値を超える場合は、結着性は良いものの、成形体に地割れ等の外観不良が生じる恐れがある。
このような(B)伸縮性繊維において単一成分の繊維としては、例えば、(東レ・デュポン(株)製「Kevlar(登録商標)ステープル クリンプ加工」)などが市販品として入手可能であり、熱収縮率の異なる二種類以上の材料からなる複合繊維としては、例えば、ダイワボウポリテック(株)製のNBF(E)クリンプ、NBF(H)クリンプ(いずれも芯鞘型の構造を有する伸縮性繊維)、などが市販品として入手可能であるが、これらに限定されるものではない。
また、(B)伸縮性繊維の配合量としては、繊維樹脂複合構造体に対して、1質量%以上、30質量%以下であるのが好ましく、5質量%以上、20質量%以下であるのがより好ましい。これにより、成形体の機械的特性を高く維持したまま、立体的な成形加工性も付与することができる。
本発明の繊維樹脂複合構造体には、(C)(B)伸縮性繊維を除く有機繊維及び無機繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維を用いることができる。このような(C)繊維としては、いかなる材料で構成されたものでもよいが、例えば、ポリエステル繊維、ポリアリレート繊維、ポリアミド繊維、パラ型全芳香族ポリアミド繊維やその共重合体、メタ型アラミド繊維やその共重合体、ポリフェニレンサルファイド繊維、アリル繊維、ポリイミド
繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスチアゾール繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、セルロース繊維のような樹脂繊維の他、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維、ロックウール、綿繊維、絹繊維、木質繊維等が挙げられるが、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの(C)繊維のうち、アラミド繊維、ガラス繊維及び炭素繊維から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。これらの繊維は、十分な引張強度を有するとともに、優れた耐候性を有するものとなるため、成形体を補強する繊維として有用である。
(C)繊維の平均繊維長としては、好ましくは0.5〜20mm、より好ましくは1〜15mmのものが用いられる。(C)繊維の平均繊維長が上記範囲内であれば、(C)繊維の分散状態が均一になるので、成形体の機械的特性をムラなく均一に高めることができる。なお、(C)繊維の平均繊維長が上記下限値未満である場合、(C)繊維同士が絡まる確率が低下し、成形体の機械的特性を十分に高めることができない恐れがある。一方、(C)繊維の平均繊維長が上記上限値を超える場合、多数の繊維が絡まり合う確率が高くなり、繊維を均一に分散させることができない恐れがある。
また、(C)繊維の繊維径は、0.5〜60μmであるのが好ましく、1〜30μmであるのがより好ましい。(C)繊維の繊維径が上記範囲内であれば、繊維に十分な引張強度と均一な分散性とが付与される。なお、(C)繊維の繊維径が上記下限値未満である場合、(C)繊維の構成材料によっては(C)繊維の引張強度が低下する恐れがある。一方、(C)繊維の繊維径が上記上限値を超える場合、成形体中において(C)繊維を均一に分散させることができず、機械的特性が不均一になる恐れがある。
また、(C)繊維の配合量としては、繊維樹脂複合構造体に対して、10〜90質量%であるのが好ましく、20〜80質量%であるのがより好ましい。これにより、成形体の機械的特性を高めることができる。
また、(C)繊維には、(A)樹脂との密着性、親和性を高める表面処理をあらかじめ施してもよい。表面処理方法としては、例えば、紫外線照射処理、電子線照射処理、プラズマ照射処理、表面層形成処理等が挙げられる。
このうち、表面層としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤のようなカップリング剤、各種界面活性剤、各種油剤等が挙げられる。
本発明に用いられる(C)繊維には、有機繊維をフィブリル化したパルプ繊維をさらに含むことができる。パルプ繊維としては、特に限定されるものではないが、例えば、リンターパルプや木材パルプ等のセルロース繊維、ケナフ、ジュート、竹などの天然繊維、パラ型全芳香族ポリアミド繊維やその共重合体、芳香族ポリエステル繊維、ポリベンザゾール繊維、メタ型アラミド繊維やその共重合体、アクリル繊維、アクリロニトリル繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維をフィブリル化したパルプ状繊維が挙げられる。
有機繊維のフィブリル化方法については特に限定されないが、有機繊維を水に分散させたスラリーとしてビーターもしくはリファイナーなどで叩解することにより、フィブリル化処理有機繊維を作製することができる。叩解時のスラリー濃度は任意であるが、固形分濃度0.1〜10質量%が好ましい。
また、パルプ繊維の配合量としては、繊維樹脂複合構造体に対して、好ましくは1〜5
0質量%、さらに好ましくは3〜30質量%、特に好ましくは5〜20質量%である。これにより、樹脂粒子の歩留りが高く、樹脂粒子脱落を抑えた取り扱い性の良い繊維樹脂複合構造体を得ることができ、加熱加圧成形した成形体の機械的特性を高めることができる。
本発明の繊維樹脂複合構造体には、材料歩留まり等の向上を目的として抄造薬剤を添加することができる。抄造薬剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル系重合体、ビニル系重合体、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンオキシド等の熱可塑性樹脂が挙げられ、これらより選ばれる1種、又は2種以上が用いられる。また、抄造薬剤として用いられる熱可塑性樹脂は、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、オキサゾリン基、カルボン酸塩基及び酸無水物基から選択される少なくとも1種の官能基を有することが好ましく、2種以上の官能基を有していてもよい。中でも、アミノ基を有する熱可塑性樹脂がより好ましい。
本発明の繊維樹脂複合構造体には、さらに添加剤を添加することができる。添加剤としては、充填剤、導電性付与剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、染料、滑剤、離型剤、相溶化剤、分散剤、結晶核剤、可塑剤、熱安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、流動性改質剤、発泡剤、抗菌剤、制震剤、防臭剤、摺動性改質剤、帯電防止剤などが例示される。
充填剤としては、破砕ガラス、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、ベントナイト、ゾノトライト、セピオライト、スメクタイト、モンモリロナイト、ワラステナイト、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化アルミ、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウム、グラファイト、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸亜カルシウム、ホウ酸アルミニウムウィスカ、チタン酸カリウムウィスカが例示される。
次に、本発明の繊維樹脂複合構造体の製造方法について、一例を挙げて説明するが、この方法に限定されるものではない。まず、(A)樹脂、(B)伸縮性繊維、及び(C)繊維を含む構成材料を、水、アルコール等の溶媒に分散させたスラリー組成物を調製する。スラリー組成物を調製する際の溶媒への各構成材料の投入順序等は、特に限定されず、(A)樹脂、(B)伸縮性繊維、及び(C)繊維の分散状態を確認しながら順次溶媒中に投入することができる。また、このスラリー組成物の調整工程で添加剤、充填剤を混合することができる。スラリー組成物の混合は、パルパーなどの公知のミキサーを用いることができる。構成材料を均一に攪拌混合した後に、抄造薬剤を添加して構成材料を凝集させ、抄造用のスラリー組成物(凝集物)を作製する。これらの工程で、混合の際、気泡の発生を抑制する目的で、一般の抄造の際に用いられる公知の消泡剤を用いることができる。
次に、このスラリー組成物(凝集物)を抄造し、繊維樹脂複合構造体を得る。抄造は、長網抄紙機や丸網抄紙機といった連続抄紙機や、箱型抄紙機など公知の抄造装置を用いて抄造することができ、また抄造後、連続抄紙機の場合はそのまま乾燥工程を経てローラーへ巻き取る。箱型抄紙機などのバッチ式での抄紙機の場合は、抄造後の紙状物を金枠等に保持し、乾燥機などで適宜時間を調整し乾燥する。
(B)伸縮性繊維が繊維樹脂複合構造体中で絡み合いを生じ、弾性変形可能な網目状構造を生成することができることで、樹脂粒子の脱落が無く、破断や崩れの無い、取扱い性の良好な繊維樹脂複合構造体を得ることができる。
また、(B)伸縮性繊維として芯鞘構造又は積層型構造の複合繊維を用いる場合には、
抄造後の紙状物を金枠等に保持し、乾燥機などで複合繊維の最も低融点の成分の融点よりも低い温度で適宜時間を調整し乾燥する。次いで、複合繊維の最も低融点の成分の融点より高い温度にて熱処理することにより、複合繊維における最も低融点の成分を溶融させて、複合繊維を構成する1成分の熱可塑性樹脂の繊維が少なくとも2本以上の複合繊維間を結着している状態とする。これらの操作により、複合繊維同士間や、繊維樹脂複合構造体の各構成成分間が結着して網目状構造が十分に形成された、網目状構造体の強固な繊維樹脂複合構造体を製造することができる。なお、熱処理行う温度としては、複合繊維の最も低融点の成分の融点よりも高い温度であって、且つ、複合繊維の最も低融点の成分を除く他の成分の融点、(C)繊維に含まれてもよい有機繊維を構成する樹脂の融点、及び、(A)樹脂に含まれてもよい熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度、あるいは、(A)樹脂に含まれてもよい熱硬化性樹脂の硬化温度よりも低い温度であることがより好ましい。これにより、繊維樹脂複合構造体の成形性を損なうことなく、強化用に使う(C)繊維は繊維形状のまま残し、さらには、(A)樹脂として熱硬化樹脂を用いる場合は、その部分的なゲル化を生じさせずに、複合繊維が繊維樹脂複合構造体中で絡み合いを生じ、弾性変形可能な網目状構造を生成することができることで、樹脂粒子の脱落が無く、破断や崩れの無い、取扱い性の良好な繊維樹脂複合構造体を得ることができる。
本発明の成形体は、本発明の繊維樹脂複合構造体を加熱加圧成形してなるものである。以下に、本発明の成形体の製造方法について、一例を挙げて説明するが、この方法に限定されるものではない。成形体を作製する準備として、繊維樹脂複合構造体を、成形体に類似した凹凸形状に賦形する予備成形(コールドプレス)と、成形に供しない部分を除く裁断を行うことが好ましい。予備成形無しに、繊維樹脂複合構造体中の(B)伸縮性繊維による網目状構造の弾性的な形状保持力を利用できる温度と時間を調整しながら加圧型締めすることで、繊維樹脂複合構造体中の(B)伸縮性繊維や(C)繊維の絡み合いを保持しながら絞り形状を賦形し成形体を得ることもできるが、予備成形を経ることで成形型への配置作業が容易になり、成形型締め時の繊維樹脂複合構造体のズレ防止、成形型による予熱効率の向上、更に、繊維樹脂複合構造体中の(B)伸縮性繊維で形成された網目状構造の弾性変形を有効に活用できるため、成形体の地割れ抑制を確実に行うことができる。また、予備成形した繊維樹脂複合構造体を裁断することで、不要な部分のトリミング作業が削減でき、不要部分を除くことで加圧加熱時の型締めの均一性が向上し良好な成形体を得ることができる。
繊維樹脂複合構造体を、成形体に類似した凹凸形状を賦形する予備成形する方法としては、成形体となる基準面を固体表面で固定し、基準面と対向する面を加圧圧縮でき、成形体の厚みの150〜600%の厚みまで圧縮できる方法であれば特に限定されない。例えば、2つの型で繊維樹脂複合構造体を加圧圧縮するプレス法が挙げられる。プレス法の場合、基準面となる面側は成形体と同様の形状を有する型を用い、対向する面側を賦形する型は、型締めした時のクリアランスが、成形体厚みより150〜600%になるように型の凹凸深さを調整すると良い。予備成形型のクリアランスが上記下限値未満の場合は、繊維樹脂複合構造体を立体的に変形圧縮する時に、構造体に部分的なシワやヨレが生じる恐れがある。また、上記上限値を超える場合は、予備成形による圧縮が不十分となり、成形体を得る加圧加熱成形の型締め時に、構造体に部分的なシワやヨレが生じ成形体の外観も低下してしまう恐れがある。
また、プレス法による予備成形の工程において、形状賦形性と型外しの点から、繊維樹脂複合構造体の両面にセパレータを配置しても良く、賦形する絞り形状によってはセパレータの種類を変えても良い。例えば、箱の様な基準面を外側凸面とする凸面と凹面を有する成形体形状の場合、引張せん断歪が生じる凸面側は、スパンボンドシート、プラスチックネット及びプラスチック織布の伸縮率が200〜400%(ここは、後に記載するストッキングの伸縮率をカバーするため、200〜600%と表現した方が良いでしょうか?
)であって剛性のあるセパレータを用いることが好ましい。また、圧縮せん断歪が生じる凹面側は、繊維樹脂複合構造体の圧縮による厚み変化も大きいため、薄めのスパンボンドシート、ストッキングなどナイロン織布の伸縮率が300〜500%であって剛性の低いセパレータを用いることが好ましい。
繊維樹脂複合構造体を裁断する方法としては、トムソン刃等による打ち抜き加工、ウォータージェット加工、エアージェット加工、サンドブラスト加工、ショットブラスト加工のような加工媒体を吹き付ける加工方法、レーザー加工による方法等を用いることができる。中でも、ウォータージェット加工が、熱ダメージなく立体形状を賦形した繊維樹脂複合構造体の高さ方向の制約も無い点から好ましい。
繊維樹脂複合構造体の加熱加圧成形方法としては特に限定されないが、加熱プレスや金型による加熱圧縮成形等により成形することができる。加熱プレスの方法としては、特に規定はなく、公知のプレス機などを用いることにより行うことができる。このときの、プレス温度やプレス圧、加圧・加熱時間については特に規定はなく、(A)樹脂の組成や融点(熱可塑性樹脂を主な樹脂成分とする場合)又は硬化温度(熱硬化性樹脂を主な樹脂成分とする場合)、また成形体の厚みや密度を考慮した条件で行えば特に問題はないが、(A)樹脂が熱可塑性樹脂を主な樹脂成分とする場合は、主な樹脂成分である熱可塑性樹脂の融点よりも高温であり、(C)繊維中の有機繊維の融点よりも低温となるようにプレス温度を調整することが好ましい。また、(A)樹脂が熱硬化性樹脂を主な樹脂成分とする場合は、その硬化温度と同等の温度であり、(C)繊維中の有機繊維の融点よりも低温となるようにプレス温度を調整することが好ましい。また、(B)伸縮性繊維の融点Tmb(単一組成繊維の場合)又は低融点を除く成分の融点Tmh(複合繊維の場合)よりも低温に、プレス温度を調整した場合は、(B)伸縮性繊維の絡み合いによる網目状構造が繊維樹脂複合構造体の地割れを抑制し、更に成形体中に残るため、機械特性が向上した外観の良好な成形体が得られる。また、(B)伸縮性繊維の融点Tmb(単一組成繊維の場合)又は低融点を除く成分の融点Tmh(複合繊維の場合)よりも高温に、プレス温度を調整した場合は、加熱加圧成形時において、Tmb又はTmhよりも低い温度域に留まる成形初期の加熱段階では、(B)伸縮性繊維の網目状構造体が弾性変形することで繊維樹脂複合構造体の地割れを抑制し、TmbやTmhを越えて成形設定温度近傍まで到達した段階では、(B)伸縮性繊維の網目状構造が消失し、繊維樹脂複合構造体が成形体形状を成す際の(A)樹脂や(C)繊維の局所的な再配向を促すことが可能となる。
更に、(A)樹脂が熱硬化樹脂を主な樹脂成分とする場合は、熱硬化樹脂を完全に硬化させる目的で、後硬化を行うこともできる。この後硬化条件については、特に規定はなく用いたマトリックス樹脂の硬化温度、(C)繊維中の有機繊維の融点、又は使用環境から求められる耐熱温度等を考慮して適宜決定できるが、例えば、硬化温度±50℃程度とすることができる。
以上、本発明について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば成形体には、その表面に任意の構成物(例えば被覆層等)が付加されていてもよい。
次に、本発明を実施例に基いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本実施例に使用した物性項目の測定法は下記の通りで行った。
1)成形体の引張強度
下記試験方法・条件により引張強度を測定した。
準拠規格:JIS K7113 プラスチックの引張試験方法
温度:室温
試験機:島津オートグラフ AG−5kNUS MS ((株)島津製作所製)
試験片:JIS K7113 ダンベル1(1/2)号
試験速度:1mm/min
つかみ具間距離:58mm
測定結果は表1に示す。
(実施例1)
まず、平均繊維長3mm、繊維径12μmのパラ型アラミド繊維1(帝人テクノプロダクツ(株)製「テクノーラ(登録商標) T32PNW 3−12」)と、平均粒径15μm、軟化点75℃のフェノール樹脂粉末(住友ベークライト(株)製の、PR−50731、PR−51723、PR−53529を1:1:1の質量比で混合したフェノール樹脂粉末)と、平均繊維長1mm、繊維径1〜20μmで濾水度が417mlCSFのアラミドパルプ(東レ・デュポン(株)製「Kevlar(登録商標)パルプ1F303」)と、平均繊維長6mm、繊維径12μm、繊維長中の折曲り点数5のアラミドクリンプ繊維(東レ・デュポン(株)製「Kevlar(登録商標)ステープル クリンプ加工」)とを、30.7:45:15:9.3の質量比で混合し、固形分の濃度が0.5質量%になるように水に分散させて分散液を調製した。
次いで、固形分に対して800ppmのポリエチレンオキシドを抄造薬剤として、分散液に添加して分散スラリー組成物を調製し、これを抄造、脱水、80℃で2時間乾燥し、繊維樹脂複合構造体を得た。作製した繊維樹脂複合構造体は樹脂成分の脱落も無く取扱いが良好であった。
次いで、内径が縦×横×深さ=60×120×10mmで各辺が2Rの曲率のある雌型と、雌型とクリアランス3mmにした雄型を用いて、室温(25℃)で30秒間、面圧4.8MPaでプレスし予備成形した。その後成形に不要な部分をトムソン刃で打ち抜き、地割れの無い絞り賦形した繊維樹脂複合構造体を作製した。
次いで、この絞り賦形繊維樹脂複合構造体を、熱プレス機を用いて200℃で10分間、面圧300MPaで熱プレスを行って、縦×横×深さ=60×120×10mmで各辺が2Rの曲率のある壁部分の平均厚さが1mmの箱状の成形体を作製した。得られた成形体は、底面や底部の4つの隅部分や直角に折曲る部分に全くシワ、ヨレ及び地割れが生じておらず、良好な外観であった。
この箱状成形体の底面からの打ち抜き(ダンベル形状に作製したトムソン刃を使用)で引張試験用の試験片を作製して、引張強度を測定した結果、引張強度は225MPaであった。
また、平板状の繊維樹脂複合構造体を200℃で10分間、面圧300MPaで加熱加圧成形し1mm厚さの平板成形体を作製したのち、平板成形体からの打ち抜き(ダンベル形状に作製したトムソン刃を使用)で同様に引張試験用の試験片を作製して、引張強度を測定した結果、引張強度は230MPaであり箱状の成形体からの打ち抜き品と同様の結果であった。
箱状の成形体からの打ち抜き品の引張強度と平板成形体からの打ち抜き品の引張強度の結果から、立体形状を賦形しても伸縮性繊維や繊維及びパルプ繊維の絡み合いを維持したまま成形されたことにより、地割れが無く外観の良好な機械的特性の優れた成形体を得ることができたと推察される。
(実施例2)
成形体に類似した凹凸形状を繊維樹脂複合構造体に賦形する予備成形を除く以外は、実施例1と同様に、縦×横×深さ=60×120×10mmで平均厚さが1mmの成形体を得た。成形体は、底面や底部の4つの隅部分や直角に折曲る部分に全くシワ、ヨレ及び地割れが生じておらず、良好な外観であり、箱状成形体及び平板成形体からの打ち抜き(ダンベル形状に作製したトムソン刃を使用)で試験片を作製して測定した引張強度特性は、箱状成形体の試験片引張強度が218MPaで、板状成形体の試験片引張強度が230M
Paであり、共に良好であった。
成形体を作製する加熱加圧成形温度は200℃であるが、伸縮性のアラミドクリンプ繊維の熱分解温度(500℃。融点は無い)により低いために、クリンプ繊維による網目状構造を保ち、繊維及びパルプ繊維の絡み合いを維持しながら弾性変形をすることで、成形体の地割れを抑制できたものと推察される。
(実施例3)
繊維樹脂複合構造体に用いる、パラ型アラミド繊維、フェノール樹脂粉末、アラミドパルプ、伸縮性繊維(アラミドクリンプ繊維)の質量比を、24.2:45:15:15.8として混合した以外は、実施例1と同様にして、縦×横×深さ=60×120×10mmで平均厚さが1mmの成形体を得た。作製した繊維樹脂複合構造体は樹脂成分の脱落も無く取扱いが良好であった。また、作製した成形体は、底面や底部の4つの隅部分や直角に折曲る部分に全くシワ、ヨレ及び地割れが生じておらず、良好な外観であった。
また、実施例1と同様に、実施例3の繊維樹脂複合構造体から、箱状成形体と板状成形体を作製し、それぞれからの打ち抜き試験片で引張強度を評価した結果、箱状成形体の試験片引張強度は238MPaで、板状成形体の試験片引張強度は240MPaであり、成形体の形状によらず良好な強度特性を維持していた。
(比較例1)
実施例1の配合から伸縮性繊維を除き、パラ型アラミド繊維、フェノール樹脂粉末、アラミドパルプの質量比を、40:45:15として混合した以外は、実施例1と同様にして、繊維樹脂複合構造体を得た。縦×横×深さ=60×120×10mmで平均厚さが1mmの成形体を得た。作製した繊維樹脂複合構造体は、実施例1よりも樹脂成分の脱落が見られ、取扱い性が低下していた。
次いで、実施例2と同様に成形体に類似した凹凸形状を繊維樹脂複合構造体に賦形する予備成形を行わずに箱状成形体を得た。成形体は、底部の4つの隅部分にシワ、ヨレがあり、底面や底面から立ち上がる直角部分に部分的な地割れが生じていた。比較例1の繊維樹脂複合構造体から箱状成形体と板状成形体を作製し、その成形体からの打ち抜き(ダンベル形状に作製したトムソン刃を使用)で試験片を作製して測定した引張強度を評価した結果、板状成形体の引張強度は250MPaと良好であったが、箱状成形体の底面から加工した試験片の引張強度は78MPaであった。機械的強度の低下は繊維及びパルプ繊維の絡み合いが解けた部分(地割れ)が生じてしまい、その部分で樹脂体積の比率が高まったことによるものと推察される。
(比較例2)
平均繊維長6mm、繊維径12μmのパラ型アラミド繊維2(帝人テクノプロダクツ(株)製「テクノーラ(登録商標) T32PNW 6−12」)と、平均粒径15μm、軟化点75℃のフェノール樹脂粉末(住友ベークライト(株)製の、PR−50731、PR−51723、PR−53529を1:1:1の質量比で混合したフェノール樹脂粉末)と、平均繊維長1mm、繊維径1〜20μmで濾水度が417mlCSFのアラミドパルプ(東レ・デュポン(株)製「Kevlar(登録商標)パルプ1F303」)と、平均繊維長6mm、繊維径12μm、繊維長中の折曲り点数5のアラミドクリンプ繊維(東レ・デュポン(株)製「Kevlar(登録商標)ステープル クリンプ加工」)とを、30.7:45:15:9.3の質量比で混合し、実施例1と同様に繊維樹脂複合構造体を得た。
次いで、実施例2と同様に成形体に類似した凹凸形状を繊維樹脂複合構造体に賦形する予備成形を行わずに箱状成形体を得た。成形体は、底部の4つの隅部分にシワ、ヨレが僅かに確認され、直角に立ち上がる底面部分に辺に沿った地割れが僅かに生じていた。比較例2の繊維樹脂複合構造体から箱状成形体と板状成形体を作製し、その成形体からの打ち抜き(ダンベル形状に作製したトムソン刃を使用)で試験片を作製して測定した引張強度
を評価した結果、板状成形体の引張強度は235MPaと良好であったが、箱状成形体の底面から加工した試験片の引張強度は148MPaであった。機械的強度の低下は繊維と伸縮性繊維の繊維長が同じであるため、伸縮性繊維による網目状構造体の形状保持力の低下が生じてしまい、部分的な構造欠陥が成形体内部に点在した事によるものと推察される。
(実施例4)
実施例1で用いたものと同じパラ型アラミド繊維、フェノール樹脂粉末、アラミドパルプを用い、(B)伸縮性繊維としてアラミドクリンプを用いる代わりに、平均繊維長5mm、繊維径18μm、繊維長中の折曲り点数5、鞘成分の融点が128℃、芯成分の融点が165℃の芯鞘型クリンプ繊維1(ダイワボウポリテック(株)製NBF(H)クリンプ品)を用い、それらを24:45:15:16の質量比で混合し、固形分の濃度が0.5質量%になるように水に分散させて分散液を調製した。
次いで、固形分に対して800ppmのポリエチレンオキシドを抄造薬剤として、分散液に添加して分散スラリー組成物を調製し、これを抄造、脱水、80℃で2時間乾燥して、繊維樹脂複合構造体を得た。作製した繊維樹脂複合構造体は樹脂成分の脱落も無く取扱いが良好であった。
次いで、実施例1と同様に予備成形をした後に、実施例1と同様に加熱加圧成形して縦×横×深さ=60×120×10mmで平均厚さが1mmの成形体を得た。成形体は、底面や底部の4つの隅部分や直角に折曲る部分に全くシワ、ヨレ及び地割れが無く良好な外観であった。また、実施例1と同様に、実施例4の繊維樹脂複合構造体から、箱状成形体と板状成形体を作製し、その成形体からの打ち抜き(ダンベル形状に作製したトムソン刃を使用)で試験片を作製して測定した引張強度を評価した結果、箱状成形体の試験片引張強度は153MPaで、板状成形体の試験片引張強度は150MPaであり、成形体の形状によらず良好な強度特性を維持していた。
成形体を作製する加熱加圧成形温度は200℃であり、網目状構造体を形成する伸縮性繊維である芯鞘型クリンプ繊維1の低融点成分(鞘成分)及び高融点成分(芯成分)のいずれよりも高温であるが、凹凸形状を賦形する型締めの初期段階では、室温から200℃の成形温度へ昇温される過程のため、複合繊維により形成されている網目状構造体は部分的に融解されず構造を保ち、繊維及びパルプ繊維の絡み合いを維持しながら弾性変形をすることで、成形体の地割れを抑制できたものと推察される。
(実施例5)
実施例4で用いたものと同じパラ型アラミド繊維、フェノール樹脂粉末、アラミドパルプ、芯鞘型クリンプ繊維1を用い、それらを24:45:15:16の質量比で混合し、固形分の濃度が0.5質量%になるように水に分散させて分散液を調製した。
次いで、固形分に対して800ppmのポリエチレンオキシドを抄造薬剤として、分散液に添加して分散スラリー組成物を調製し、これを抄造、脱水、80℃で2時間乾燥した後に、133℃で5分熱処理して厚み5mmの繊維樹脂複合構造体を得た。作製した繊維樹脂複合構造体は樹脂成分の脱落も無く取扱いが良好であった。更に実施例4に比べて繊維樹脂複合体の曲げに対する剛性も改善されていた。
次いで、実施例1と同様に予備成形をした後に、実施例1と同様に加熱加圧成形して縦×横×深さ=60×120×10mmで平均厚さが1mmの成形体を得た。成形体は、底面や底部の4つの隅部分や直角に折曲る部分に全くシワ、ヨレ及び地割れが無く良好な外観であった。また、実施例1と同様に、実施例5の繊維樹脂複合構造体から、箱状成形体と板状成形体を作製し、その成形体からの打ち抜き(ダンベル形状に作製したトムソン刃を使用)で試験片を作製して測定した引張強度を評価した結果、箱状成形体の試験片引張強度は155MPaで、板状成形体の試験片引張強度は150MPaであり、成形体の形状によらず良好な強度特性を維持していた。
(実施例6)
実施例4で用いたものと同じパラ型アラミド繊維、フェノール樹脂粉末、アラミドパルプを用い、芯鞘型クリンプ繊維1を用いる代わりに、平均繊維長5mm、繊維径34μm、繊維長中の折曲り点数8、鞘成分の融点が128℃、芯成分の融点が165℃の芯鞘型クリンプ繊維2(ダイワボウポリテック(株)製NBF(H)クリンプ品)を用い、それらを24:45:15:16の質量比で混合し、固形分の濃度が0.5質量%になるように水に分散させて分散液を調製した。
次いで、固形分に対して800ppmのポリエチレンオキシドを抄造薬剤として、分散液に添加して分散スラリー組成物を調製し、これを抄造、脱水、80℃で2時間乾燥した後に、133℃で5分熱処理して厚み5mmの繊維樹脂複合構造体を得た。作製した繊維樹脂複合構造体は樹脂成分の脱落も無く取扱いが良好であった。更に実施例4に比べて繊維樹脂複合体の曲げに対する剛性も改善されていた。
次いで、実施例1と同様に予備成形をした後に、実施例1と同様に加熱加圧成形して縦×横×深さ=60×120×10mmで平均厚さが1mmの成形体を得た。成形体は、底面や底部の4つの隅部分や直角に折曲る部分に全くシワ、ヨレ及び地割れが無く良好な外観であった。また、実施例1と同様に、実施例6の繊維樹脂複合構造体から、箱状成形体と板状成形体を作製し、その成形体からの打ち抜き(ダンベル形状に作製したトムソン刃を使用)で試験片を作製して測定した引張強度を評価した結果、箱状成形体の試験片引張強度は146MPaで、板状成形体の試験片引張強度は148MPaであり、成形体の形状によらず良好な強度特性を維持していた。
(比較例3)
実施例4で用いたものと同じパラ型アラミド繊維、フェノール樹脂粉末、アラミドパルプを用い、芯鞘型クリンプ繊維1を用いる代わりに、平均繊維長5mm、繊維径18μm、鞘成分の融点が128℃、芯成分の融点が165℃の捲縮処理をしていない芯鞘型繊維(ダイワボウポリテック(株)製NBF(H)クリンプなし品)を用い、それらを24:45:15:16の質量比で混合し、固形分の濃度が0.5質量%になるように水に分散させて分散液を調製した。
次いで、固形分に対して800ppmのポリエチレンオキシドを抄造薬剤として、分散液に添加して分散スラリー組成物を調製し、これを抄造、脱水、80℃で2時間乾燥し、繊維樹脂複合構造体を得た。作製した繊維樹脂複合構造体は、実施例4よりも樹脂成分の脱落が見られ、取扱い性が低下していた。
次いで、実施例1と同様に予備成形を行った結果、絞り賦形した繊維樹脂複合構造体の底面に地割れが生じ、繊維やパルプ繊維の絡み合いが崩れてしまっていたため、箱状成形体を作製することができなかった。
本発明によれば、外観が良好で機械的特性に優れた絞り成形体、特に軽くて高強度な3次元成形体が得られるので、携帯性を有する電子機器の筐体の様な構造体に好適に利用することができる。

Claims (9)

  1. (A)熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂と、
    (B)捲縮性繊維と、
    (C)前記(B)捲縮性繊維を除く有機繊維及び無機繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維と、
    を含み、
    前記(C)繊維が、アラミド繊維、ガラス繊維及び炭素繊維から選ばれる少なくとも1種を含み、
    前記(C)繊維が、有機繊維をフィブリル化したパルプ繊維をさらに含み、
    前記(B)捲縮性繊維の平均繊維長(Lb)と前記(C)繊維の平均繊維長(Lc)との比(Lb/Lc)が1.5〜15であることを特徴とする繊維樹脂複合構造体。
  2. 前記(B)捲縮性繊維が当該繊維複合構造体中に1質量%以上、30質量%以下の割合で含まれることを特徴とする請求項1に記載の繊維樹脂複合構造体。
  3. 前記パルプ繊維の配合量が、前記繊維樹脂複合構造体に対して、1〜50質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維樹脂複合構造体。
  4. 前記(B)捲縮性繊維が、熱収縮率の異なる二種類以上の材料をそれぞれ溶融し、芯鞘構造又は積層型構造に紡糸してなる複合繊維からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の繊維樹脂複合構造体。
  5. 前記複合繊維を構成する最も低融点の成分を除く他の成分の融点が、前記(A)樹脂に含まれてもよい前記熱可塑性樹脂の融点及び前記(C)繊維に含まれてもよい有機繊維を構成する樹脂の融点よりも低いことを特徴とする請求項4に記載の繊維樹脂複合構造体。
  6. 前記複合繊維を構成する最も低融点の成分の融点が、前記(A)樹脂に含まれてもよい前記熱硬化性樹脂の硬化温度よりも低いことを特徴とする請求項4に記載の繊維樹脂複合構造体。
  7. 前記(A)樹脂、前記(B)捲縮性繊維、前記(C)繊維を含む構成材料を溶媒に分散させた後、抄造薬剤を添加して構成材料を凝集させ、その凝集物を溶媒と分離させた後、その溶媒を除去して得られることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の繊維樹脂複合構造体の製造方法
  8. 請求項1からのいずれか1項に記載の繊維樹脂複合構造体を裁断して所定の形状にする過程を経た後、加熱加圧成形することを特徴とする成形体の製造方法。
  9. 凹凸形状を有する成形体の製造方法であって、
    請求項1からのいずれか1項に記載の繊維樹脂複合構造体を、コールドプレスにより最終成形体に類似した凹凸を賦形した後に所定の形状にする過程を経て、加熱加圧プレスすることを特徴とする成形体の製造方法
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