JP2014118426A - 炭素繊維複合材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温にて加圧プレス成形するにも関わらず、物性に優れた炭素繊維複合材料の製造方法を提供すること。
【解決手段】炭素繊維と熱可塑性樹脂と銅化合物とから構成されるランダムマットを、加圧プレス成形する炭素繊維複合材料の製造方法。さらには、加圧プレス成形前にあらかじめ熱可塑性樹脂の融点以上の温度に予備加熱することや、加圧プレス成形における金型温度が予備加熱温度以下のコールドプレスであることが好ましい。また、ランダムマットを構成する炭素繊維が長さ2〜100mmの不連続繊維であることや、炭素繊維含有量が20〜80体積%の範囲であること、炭素繊維がPAN系であることが好ましく、銅化合物の含有量が熱可塑性樹脂重量に対し銅濃度として20ppm以上であること、熱可塑性樹脂がポリアミド系樹脂であること、熱可塑性樹脂が樹脂ペレットを冷凍粉砕したものであること、その樹脂ペレットが銅化合物を含有するものであることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は複合材料の製造方法に関し、さらに詳しくは炭素繊維と熱可塑性樹脂とからなる炭素繊維複合材料の製造方法に関する。
炭素繊維により補強された複合体は、強度、剛性、寸法安定性、導電性等に優れることから、事務機器用途、自動車用途、コンピュータ用途(ICトレイ、ノートパソコンの筐体(ハウジング)など)等の一般産業分野に広く展開され、その需要は年々増加しつつある。特に従来から汎用されている熱硬化性樹脂に代えて、熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂に用いた炭素繊維複合材料は、加工性や生産効率に優れるために、特に今後の発展が期待されている。
そしてこの炭素繊維と熱可塑性樹脂とからなる炭素繊維複合材料の製造方法としては、たとえば、予め樹脂を含浸させたチョップドファイバーを金型内に投入し、型内にて繊維と樹脂を流動させる事により製品形状を得る方法(特許文献1など)や、補強用繊維を含む熱可塑性樹脂ペレットを射出成形する技術(特許文献2など)が知られている。
しかしこれらの方法においては、マトリックス樹脂と繊維の混合物に対し、金型内での高い流動性を確保する必要があるために、高温のプレス金型が使用され、加工工程において複合体の物性が低下しやすいという問題があった。また、樹脂と繊維の混合物を流動させる際に、繊維の配向が起こり、等方性の材料が得られにくいという問題があった。
特開平11−81146号公報 特開平9−286036号公報
本発明は、高温にて加圧プレス成形するにも関わらず、物性に優れた炭素繊維複合材料の製造方法を提供することにある。
本発明の炭素繊維複合材料の製造方法は、炭素繊維と熱可塑性樹脂と銅化合物とから構成されるランダムマットを、加圧プレス成形することを特徴とする。
さらには、加圧プレス成形前にあらかじめ熱可塑性樹脂の融点以上の温度に予備加熱することや、加圧プレス成形における金型温度が予備加熱温度以下のコールドプレスであることが好ましい。また、ランダムマットを構成する炭素繊維が長さ2〜100mmの不連続繊維であることや、炭素繊維含有量が20〜80体積%の範囲であること、炭素繊維がPAN系であることが好ましく、銅化合物の含有量が熱可塑性樹脂重量に対し銅濃度として20ppm以上であること、熱可塑性樹脂がポリアミド系樹脂であること、熱可塑性樹脂が樹脂ペレットを冷凍粉砕したものであること、その樹脂ペレットが銅化合物を含有するものであることが好ましい。
本発明によれば、高温にて加圧プレス成形するにも関わらず、物性に優れた炭素繊維複合材料の製造方法が提供される。
本発明の炭素繊維複合材料の製造方法は、炭素繊維と熱可塑性樹脂と銅化合物とから構成されるランダムマットを、加圧プレス成形する製造方法である。そしてここでランダムマットとは、複合材料を補正する繊維がランダムな方向に配向している形状をいい、三次元方向のいずれの方向に対しても繊維の補強効果が発揮されるマット(シート)形状であることをいう。
そして本発明の炭素繊維複合材料に用いられる炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、石油・石炭ピッチ系、レーヨン系、リグニン系など、何れの炭素繊維であっても良いが、工業規模における生産性及び機械特性の観点からは、PAN系炭素繊維であることが好ましい。
この本発明に用いられる炭素繊維の繊度としては、平均直径として3〜12μmのものを使用することが好ましく、さらには5〜10μmであることが好ましい。このような範囲では繊維の物性が高いだけではなく、熱可塑性樹脂であるマトリックス中での分散性に優れる。また、生産性及び物性の面から、この補強用繊維は、1000〜50000本の単繊維が繊維束となったものであることが好ましい。さらには繊維束を構成するモノフィラメント本数のより好ましい範囲としては3000〜40000本、更には5000〜30000本の範囲であることが好ましい。
また本発明の複合材料に用いる繊維としては、樹脂を補強するためにも強度は高い方が好ましく、繊維の引張強度としては、3500MPa〜7000MPaであることや、モジュラスとしては220GPa〜900GPaであることが好ましい。その意味では高強度の成形品が得られる観点からも繊維としては、PAN系炭素繊維であることが好ましい。
これらの繊維の複合材料中での形態としては、長繊維を用いることも可能だが、ランダムマット形状としやすいためには、炭素繊維が主に短繊維(不連続繊維)であることが好ましい。もっとも、樹脂補強の観点からは長繊維形状は有効であり、不連続繊維と併用する方法も好ましい態様の一つである。炭素繊維が不連続繊維(短繊維)である場合には、あらかじめ繊維の配向がランダムとなる繊維集合体(マット形状)とするために、不織布の形状にて用いることが好ましい。炭素繊維が長繊維である場合には、ランダムマットとするよりも、一方向性シート(いわゆるUDシート)や、織物、編物、組紐、などの形態にてランダムマットを部分補強するように用いることが好ましい。特に好ましい形態としては、構造体中において不連続繊維がランダムに配向しており、補強用繊維の一部が部分的に一方向繊維シートである形状を挙げることが出来る。
この炭素繊維が不連続繊維(短繊維形状)である場合には、その長さとしては2mmから100mmの範囲であることが好ましい。さらには3mm以上であることが好ましく、15〜80mmの範囲であること、特には20〜60mmであることが好ましい。また、ランダムマットとしては三次元方向にランダムであることが好ましいが、厚さ方向を除いた面の二次元方向のみがランダムであっても、等方性の複合材料を得ることは可能である。さらに繊維がランダムに配置されることにより、繊維の物性がより効率よく発揮され、複合材料の強度や寸法に対する異方性が改善される。
また炭素繊維の表面には、サイジング剤が付着されたものを用いることが好ましい。サイジング剤としてはエポキシ系やポリエステル系などを用いることができる。また繊維の表面を表面処理することも好ましく、特に液相電解表面処理を行うことが好ましい。
また複合材料に占める炭素繊維の含有量としては、全体体積の20〜80体積%であることが好ましい。炭素繊維の含有量が少ないと、複合材料の機械特性も低下する傾向にある。一方、炭素繊維の含有量が多すぎると、複合材料の機械特性は向上しやすいものの、成形性が低下する傾向にある。複合材料に占める炭素繊維の含有量の範囲としては30〜60体積%であることがより好ましい。
本発明の製造方法ではこのような炭素繊維と共に熱可塑性樹脂を用いる。具体的に例示すると、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、それらの共重合体など)、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなどを挙げることが出来る。また、機械的特性向上のために、上記熱可塑性樹脂にその他のエラストマーもしくはゴム成分を添加した樹脂であっても良い。これらの中でも、ポリアミドが成形品の力学特性、成形サイクルの速さの観点から好適である。
より具体的に述べると、より好ましいポリアミド樹脂としては、成型性、耐熱性、靭性、剛性などの観点より、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミドMXD6、ポリアミド6T/6、ポリアミド6T/66やそれらのブレンド物であることが好ましく、高い曲げ弾性率を満足するためには、特にポリアミドMXD6を主体にして、ポリアミド6もしくはポリアミド66をブレンドすることが好ましい。
さらに本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、樹脂ペレットを冷凍粉砕したものであることが好ましく、このような製造方法を採用することによりランダムマットに最適な形状の樹脂を得ることが可能になる。さらにはこの樹脂ペレットが、次に述べる銅化合物を含有したものであることも好ましく、熱可塑性樹脂と銅化合物を含有する樹脂ペレットを冷凍粉砕したものであることが最も好ましい。
本発明の製造方法に用いるランダムマットは、上記のように炭素繊維と熱可塑性樹脂と共に、銅化合物とから構成される。銅化合物としては具体的には、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、等の銅化合物であることが好ましい。またこの銅化合物は、ナトリウム、カリウムおよびリチウム等のハロゲン化物塩との配合物として用いることが好ましい。ハロゲン化物塩としては、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウムおよびヨウ化ナトリウム等を挙げることができ、特にはヨウ化銅とヨウ化カリウムの組み合わせであることが好ましい。樹脂組成物中の組成比としては、熱可塑性樹脂重量に対し銅濃度として20ppm以上であることが好ましく、50ppm〜5000ppmの範囲であることがさらに好ましい。またヨウ化銅等の銅化合物全体としては、熱可塑性樹脂重量に対して50ppm(0.005重量%)〜5000ppm(0.5重量%)の範囲であることが好ましく、さらには100ppm(0.01重量%)〜1000ppm(0.1重量%)の範囲であることが好ましい。また同時にヨウ化カリウム等のハロゲン化物塩を用いる場合には、その含有量としては0.015〜1・5重量%の範囲であることが、さらには0.03〜0.3重量%の範囲であることが好ましい。
本発明の製造方法においては、このような銅化合物を使用することにより、通常なら分子量が大きく低下しやすい炭素繊維と熱可塑性樹脂からなる系においても、分子量の低下を大きく減少させることが可能となった。
本発明の炭素繊維複合材料の製造方法では、上に述べた炭素繊維と熱可塑性樹脂と銅化合物とから構成されるランダムマットを、加圧プレス成形する製造方法である。
そして本発明で使用するランダムマットとしては、太い繊維束と、繊維束を一部開繊させた細い繊維束との、幅の異なった繊維束が、補強用の繊維としてランダムに配置させたものであることが好ましい。ランダムマット中には、もちろん一部は完全に単繊維となった炭素繊維が存在してもよいが、本発明のランダムマットとしては、その炭素繊維の一部が上記のような炭素繊維束の形状で混在し、繊維が実質的に熱可塑性樹脂中に面内ランダムに配向しているものであることが好ましい。
ランダムマットにおける繊維の存在量が、複合体全体を100としたとき、繊維が10〜90容量%の割合であることが好ましい。より好ましくは15〜80容量%、特には20〜60容量%の範囲であることが好ましい。
このような炭素繊維を用いたランダムマットは、例えば次のような具体的な工程を経て製造することが可能である。
1.炭素繊維束をカットする工程、
2.カットされた炭素繊維束を管内に導入し、空気を繊維に吹き付ける事により、繊維束の一部を開繊させる工程、
3.炭素繊維を拡散させると同時に、銅化合物を含む熱可塑性樹脂とともに吸引しつつ、繊維と熱可塑性樹脂を同時に散布する塗布工程、
4.塗布された繊維および熱可塑性樹脂を定着させる工程。
この工程において、3.では上記のように熱可塑性樹脂を同時に散布する以外にも、繊維のみを散布し、厚さ10μm〜300μmの熱可塑性樹脂フィルムを上に被せる工程を採用することもできる。また熱可塑性粒子を繊維と共に散布する場合には、熱可塑性樹脂はパウダー状又は針状の形状であることが好ましい。
この時樹脂の粒子径は、ランダムマット基材への樹脂の含浸しやすさに影響を及ぼす傾向にある。たとえば粒子径が極端に大きすぎると樹脂が溶解しにくくなる傾向にあり、含浸が困難、含浸に要する時間が長くなるといった問題が発生しやすい。そのため2000μm以上の大きな粒子は、排除しておくことが好ましい。一方で粒子径が極端に小さすぎると、ランダムマット基材から脱落しやすく重量調整が困難になる、粉じんとして作用しやすく、例えば乾燥工程などで安全上の制約が生じる、といった問題が生じやすい傾向にある。従って、粒子径としては、100μm〜1000μmの範囲であることが好ましく、製造上の制約が少なく効率的である。またこの工程では、温度や圧力といった成形条件やパウダーの塗布条件の影響を受けることは言うまでもない。
本発明の製造方法では、熱可塑性樹脂マトリックス中の繊維の開繊程度をコントロールし、繊維束で存在するものと、それ以外の開繊された繊維を含むランダムマットとすることが好ましい。開繊率を適切にコントロールすることにより、種々の用途、目的に適したランダムマットを提供することができる。
例えば、繊維束をカットしそのまま分散させてもいいし、さらに繊維束をテーパ管内に導入し、圧縮空気を流すことで吹き付ける方法も好ましい。繊維束の分散状態の良い、適切なランダムマットを作製することにより、より緻密に繊維と熱可塑性樹脂を密着させ、高い物性を達成することが可能となる。
本発明の製造方法は、上記のようなランダムマットをプレス成形する方法である。本発明の製造方法では、ランダムマットをプレス成形する際に、炭素繊維は等方的に存在するため、反りの少ない均質な成形体を容易に得ることができる。さらにはこのプレス成形における金型温度が後に述べる予熱温度以下のコールドプレスであることが好ましい。具体的には90℃から170℃の範囲であることが好ましい。このような低温にてプレスすることにより、成形が終了すると同時に金型から製品を取り外すことが可能となり、高い生産性を確保することが可能になる。通常このような条件下でのプレス加工では炭素繊維が流動しにくいのであるが、本願発明の好ましい態様であるランダムマットに炭素繊維束を含んでいる場合には、高効率でありながら物性の優れた複合体を得ることが可能となる。
またプレス成形時のランダムマットは、あらかじめ予熱しておくことが好ましく、その時のランダムマットの温度としては熱可塑性樹脂の融点以上の温度であることが好ましい。上限としては融点より150℃以内の温度であることが好ましい。さらには融点より20℃以上から100℃以内の温度範囲であることが好ましい。具体的な温度としては220℃〜320℃の範囲であることが好ましい。
通常このようにランダムマットを予熱した場合には、熱伝導率の高い炭素繊維が存在するために熱可塑性樹脂の分子量が大きく低下するが、本発明では銅化合物を併用することにより、分子量の低下を防止することが出来、このようなコールドプレスを有効に行うことが可能となった。
また、本発明の製造方法では、銅化合物が添加されているために、炭素繊維が大量に存在する熱可塑性樹脂であるにも関わらす、予備加熱時のマットの厚さ変動(スプリングバック)を有効に抑制することが可能になった。このスプリングバックは剛性の高い炭素繊維、特に炭素繊維が繊維束状の形態の場合に顕著に発現しやすいが、本発明では有効に抑制されうるのである。またこのスプリングバックの小ささは予備加熱時の表面平滑性を高め、結果的に最終的なプレス成形後の表面平滑性を向上させる効果をもたらす。またスプリングバックが小さいために含まれる空気の量が小さく、ランダムマットへの熱伝導度が高くなるために昇温時間を短くすることが可能となり、成形サイクルが短縮された。
本発明の製造方法において、基本的にプレス前のランダムマットの形状はシート状であるが、本発明の製造方法では、プレス成形時の形態上の自由度が高く、そのようなシート状のランダムマットを用いて、様々な形状にプレス成形することが可能となる。特に、屈曲部を有する形状であってもその屈曲部分の炭素繊維含有量が均一となるため、最適な複合体をえることが可能となる。
また作業工程の自由度を確保する観点からは、コールドプレス前にあらかじめマトリックス樹脂の融点以上の温度にて予備プレス成形を行うものであることが好ましい。予備プレス成形後は、移動時においても板状の形状を保つために、どのような工程レイアウトを採用した場合でも、安定した生産が可能となる。このような予備プレスを行った中間体(複合体)は、コールドプレス用の中間基材として特に有用である。たとえば薄い中間基材を2枚以上重ね、複数枚を一度にコールドプレスすることにより、多様な形状の複合材料を容易に生産することが可能となる。
もっとも、生産効率を高めるためには、連続した一工程にて本発明の複合材料の製造方法を行うことが好ましく、その場合には予備プレス工程を行わずに、シート状のランダムマットをいきなりコールドプレスする方法を採用することが好ましい。
本発明の製造方法においては、上記のようなコールドプレスを行うことにより、高い生産性を確保することが可能となる。
また本発明の製造方法においては、ランダムマットにおいて不連続繊維がランダムに配向していることが好ましいが、さらには補強用繊維の一部が一方向性繊維シートであることが好ましい。このような一方向性繊維シートを、たとえば最終的な成形体の強度の弱い部分や角を形成する部分に配置し、プレス成形することにより、ランダムマットのみを用いた場合に比べ、さらに強度の高い成形品とすることが可能となる。
最終的な成形品の形状としては、単純な板状に加え、円筒状や角柱状であることが好ましい。また複数の部品により、円筒状や角柱状になるような形状を採用することも好まし。本発明の複合材料は、繊維により補強された熱可塑性樹脂でありながら、プレス成形時に形状を付与する自由度が高く、それら深絞りの製品を提供しうることが可能となる。
またこのような本発明の製造方法で得られる複合材料は、熱可塑性樹脂と補強効果の高い炭素繊維から構成され、かつプレス成形により一体化されているために極めて高い機械強度等の物性を満足する材料となり、各種用途に用いることが可能である。具体的には、各種構成部材、例えば自動車の内板、外板、また各種電気製品、機械のフレームや筐体に用いることができる。さらには、強度に優れる利点を活かし、開断面構造や閉断面構造からなる自動車の構成部材、中でもサイドメンバー、クロスメンバー、サイドピラー、フロアパンなどにも適用できる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、下記実施例は本発明を制限するものではない。なお、本発明の実施例は、下記に示す方法で評価した。
(1)熱可塑性樹脂パウダー粒子の耐熱劣化挙動(重量減少率)
熱可塑性樹脂からなるパウダー粒子を熱重量分析し、重量減少率を測定した。測定条件は、空気中、260℃、熱処理時間10分の条件を採用した。なおこの熱処理時間10分は、プレス成形時の熱処理時間に相当する時間である。
(2)複合材料成形体の耐熱劣化挙動(平均分子量)
複合材料からなる成形体の耐熱性を把握するため、熱処理後の複合材料中の樹脂の数平均分子量をゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定した。
試料としては、寸法100mm×100mm、厚さ2mmの成形体を使用した。まず赤外線ヒーターを用い、試料を300℃で200秒間熱処理した。測定サンプルは、試料表面、内部の熱履歴の差を排除するために、試料中央部分から厚み方向の偏りが生じないようにサンプルを採取した(表面のみを採取などしないよう、切断してからサンプルは採取した)。測定用のサンプルとして0.5g採取し、それを溶媒としてHFIPを用いて希釈し、GPC測定を行い、数平均分子量を求めた。
(3)複合材料成形体の曲げ物性測定方法
得られた成形体から幅15mm×長さ100mmの試験片を切り出し、JIS K 7074に準拠した中央荷重とする3点曲げにて評価した。まず支点間距離を80mmとしたr=2mmの支点上に試験片を置き、支点間中央部にr=5mmの圧子にて、試験速度5mm/分で荷重を与えた場合の最大荷重および中央たわみ量を測定し、曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
(4)複合材料成形体の引張物性測定方法
得られた成型体からダンベル型試験片を採取し、JIS K 7174に準拠した引張試験にて評価した。引張試験の条件は、試験速度2mm/min、標点間距離115mmとした。
[実施例1]
<銅化合物を含むパウダー粒子の作製>
数平均分子量15000のナイロン6ペレット、5kgを秤量し、循環式の熱風乾燥機を用いて80℃にて24時間乾燥させた。次に銅化合物を含むマスターバッチ(ヨウ化銅;3重量%、ヨウ化カリウム;9重量%、ナイロン6樹脂;88重量%)を50g秤量した。乾燥したナイロン6ペレットと銅化合物を含むマスターバッチを袋にいれ、よく攪拌して射出成形の出発原料とした。
射出成形は、温度260℃、スクリュー回転速度200rpm、フィーダー送り出し速度15kg/hの条件で行った。射出成形機から吐出される樹脂を水冷し、銅化合物が添加(ヨウ化銅290ppm、ヨウ化カリウム900ppm)されたナイロン6の樹脂ペレットを得た。
得られたナイロン6の樹脂ペレットを冷凍粉砕し、さらに、20メッシュ及び30メッシュにて分級した。粉砕条件を調整することにより、粒子径の分布ピークが100μm〜1000μmの範囲内にあり、2000μm以上の粒子が除かれた、ナイロン6樹脂中に銅化合物を含むパウダー粒子が得られた。
このパウダー粒子を260℃×10分処理を行ったところ重量減少率は0.35%の値であった。
<ランダムマットの作製>
ランダムマットに用いる炭素繊維として、東邦テナックス株式会社製のSTS40−24K F13を準備した。この炭素繊維は、24000本の単糸から成り立つストランドであり、繊度1600tex、引張強度4000MPa、引張弾性率240GPa、伸度1.7%、繊維径7μm、密度1.75g・cm、体積抵抗率1.7x10−3ohm・cmの特性を有している。
この炭素繊維を超硬合金を用いてナイフを形成するロータリーカッターを用いて、カットした。なお、ナイフの角度は周方向に対し90度であり、ナイフは刃幅が1mmのものであった。各ナイフは周方向に16mmピッチで配置され、隣り合うナイフは周方向に互いに1mmオフセットする配置とした。
装置を稼動したところ、平均繊維長16mm、厚み0.5mmの炭素繊維束を得た。
次に開繊装置としては、小孔を有した管を用意し、コンプレッサーを用いて圧縮空気を送気する。使用時の小孔からの風速は、100m/secに設定した。この管の出口は、ロータリーカッターの直下となるように配置した。さらに、その下部にはテーパ管を溶接した。
炭素繊維の供給量は1500g/min、上記の銅化合物を含むパウダー粒子の供給量は1400g/minとした。パウダー粒子はテーパ管の側面より供給した。最後に、テーパ管出口の下部に、XY方向に移動可能なテーブルを設置し、テーブル下部よりブロワにて吸引を行い、炭素繊維とナイロン6樹脂中に銅化合物が添加されたパウダー粒子が混合された、厚み6mmのランダムマットを得た。
<複合材料の作成>
得られたランダムマットを幅30cm×長さ50cmのサイズに切り出し、10層分重ねあわせた。300℃に加熱したプレス装置にて、2.0MPaにて5分間加熱し、t=2mmの成形体を得た。成形体中の炭素繊維は一部繊維束の形状を保ったものであった。また繊維含有量は35体積%であった。
さらにこの複合材料を材料の表面温度が280℃に到達するまで予備加熱したところ、厚さは2.3mm(1.15倍)の僅かなスプリングバックが見られたものの、表面粗さはRaが0.96μm、Rzが3.29μmとの優れた物であった。その後コールドプレス成形したところ、均一に繊維が分布した複合材料からなる成形体が得られた。
得られた成形体の曲げ強度は460MPa、曲げ弾性率は25GPa、引張強度は370MPa、引張弾性率は26GPaの優れた物性であった。また、300℃、200秒の熱処理後の熱可塑性樹脂の分子量は14000と、処理前(分子量15000)の10%の低下率に留まっていた。また300℃、120秒×3回の繰り返し熱処理後の分子量も14500との優れた値であった。
[比較例1]
実施例1の銅化合物を添加しなかった以外は、実施例1と同様にパウダー粒子を作成し、それと炭素繊維を用いて実施例1と同様に複合材料を得た。この複合材料を材料の表面温度が280℃に到達するまで予備加熱したところ、厚さは3.6mm(1.8倍)と実施例より大きなスプリングバックが認められ、表面粗さはRaが4.45μm、Rzが15.3μmと実施例1と比べ悪化が顕著であった。その後、実施例1と同様にコールドプレス成形を行い、成形体を得た。
得られた成形体の曲げ強度は420MPa、曲げ弾性率は24GPa、引張強度は350MPa、引張弾性率は25GPaの物性であった。
またこのパウダー粒子の260℃×10分処理後の重量減少率は、0.60%との劣った値であった。炭素繊維が含有した成形体での測定でも、300℃、200秒の熱処理後の熱可塑性樹脂の分子量は10100と、処理前(分子量15000)の35%もの低下率であり、また300℃、120秒×3回の繰り返し熱処理後の分子量も12800との、大きく劣る値であった。
[比較例2]
実施例1の銅化合物に代えて、フェノール系酸化防止剤;25g、ホスファイト系酸化防止剤;15gを用いた以外は、実施例1と同様にパウダー粒子を作成し、それと炭素繊維を用いて実施例1と同様に成形体を得た。
得られた成形体の曲げ強度は450MPa、曲げ弾性率は25GPa、引張強度は350MPa、引張弾性率は27GPaの物性であった。
またこのパウダー粒子の260℃×10分処理後の重量減少率は、実施例1と同等の0.35%の優れた値であった。しかし、条件が厳しい炭素繊維が含有した成形体での測定では、300℃、200秒の熱処理後の熱可塑性樹脂の分子量は11200と、処理前(分子量15000)の28%もの低下率であり、また300℃、120秒×3回の繰り返し熱処理後の分子量も13600と、実施例1よりも大きく劣る値であった。

Claims (10)

  1. 炭素繊維と熱可塑性樹脂と銅化合物とから構成されるランダムマットを、加圧プレス成形することを特徴とする炭素繊維複合材料の製造方法。
  2. 加圧プレス成形前に、あらかじめ熱可塑性樹脂の融点以上の温度に予備加熱する請求項1記載の炭素繊維複合材料の製造方法。
  3. 加圧プレス成形における金型温度が予備加熱温度以下のコールドプレスである請求項1または2記載の炭素繊維複合材料の製造方法。
  4. ランダムマットを構成する炭素繊維が、長さ2〜100mmの不連続繊維である請求項1〜3のいずれか1項記載の炭素繊維複合材料の製造方法。
  5. 炭素繊維含有量が20〜80体積%の範囲である請求項1〜4のいずれか1項記載の炭素繊維複合材料の製造方法。
  6. 炭素繊維がPAN系である請求項1〜5のいずれか1項記載の炭素繊維複合材料の製造方法。
  7. 銅化合物の含有量が、熱可塑性樹脂重量に対し銅濃度として20ppm以上である請求項1〜6のいずれか1項記載の炭素繊維複合材料の製造方法。
  8. 熱可塑性樹脂がポリアミド系樹脂である請求項1〜7のいずれか1項記載の炭素繊維複合材料の製造方法。
  9. 熱可塑性樹脂が、樹脂ペレットを冷凍粉砕したものである請求項1〜8のいずれか1項記載の炭素繊維複合材料の製造方法。
  10. 樹脂ペレットが、銅化合物を含有したものである請求項9記載の炭素繊維複合材料の製造方法。
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