JP2016183248A - シート材料、一体化成形品および一体化成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】不連続炭素繊維基材に熱可塑性樹脂が含浸されてなるシート材料であり、前記シート材料の炭素繊維の数平均繊維長が10mm以上50mm未満であり、前記シート材料の炭素繊維は単糸および繊維束からなり、炭素繊維全体に対し、前記単糸および単糸数50未満の繊維束の重量割合が60wt%以上85wt%未満であり、単糸数50以上300未満の繊維束の重量割合が37wt%未満5wt%以上であり、単糸数300以上の繊維束の重量割合が3wt%以上10wt%未満であることを特徴とする、シート材料。
【選択図】図1
Description
(1)不連続炭素繊維基材に熱可塑性樹脂が含浸されてなるシート材料であり、前記シート材料の炭素繊維の数平均繊維長が10mm以上50mm未満であり、前記シート材料の炭素繊維は単糸および繊維束からなり、炭素繊維全体に対し、前記単糸および単糸数50未満の繊維束の重量割合が60wt%以上85wt%未満であり、単糸数50以上300未満の繊維束の重量割合が37wt%未満5wt%以上であり、単糸数300以上の繊維束の重量割合が3wt%以上10wt%未満であることを特徴とする、シート材料。
(2)前記シート材料の炭素繊維は単糸および繊維束からなり、炭素繊維全体に対し、前記単糸および単糸数50未満の繊維束の重量割合が70wt%以上85wt%未満であり、単糸数50以上300未満の繊維束の重量割合が27wt%未満10wt%以上であり、単糸数300以上の繊維束の重量割合が3wt%以上5wt%未満であることを特徴とする、(1)に記載のシート材料。
(3)前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン、ポリアミドまたはポリフェニレンスルフィドである、(1)または(2)に記載のシート材料。
(4)前記シート材料の炭素繊維の体積割合が10vol%以上50vol%以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載のシート材料。
(5)前記シート材料の23℃での厚みが0.1〜10mmである、(1)〜(4)のいずれかに記載のシート材料。
(6)前記シート材料の23℃での厚み(ta)と熱可塑性樹脂の溶融温度以上、熱分解温度以下での厚み(tb)の比tb/taが4以上12以下である、(1)〜(5)のいずれかに記載のシート材料。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載のシート材料を、複数枚積層したシート材料。
(8)(1)〜(7)のいずれかに記載のシート材料である、第1のシート材料(i)と第2のシート材料(ii)が、それらの一部が溶融を介して互いに接合されることにより得られる、一体化成形品であって、第1のシート材料(i)の23℃での厚み(ti)と第2のシート材料(ii)の23℃での厚み(tii)の差(ti−tii)の絶対値が0.1mm以上6mm未満である、一体化成形品。
(9)以下の工程(A)〜(D)を順に経ることにより、(8)に記載の一体化成形品を得る、一体化成形品の製造方法。
工程(A):第1のシート材料(i)と第2のシート材料(ii)を、同時にヒーター炉内に搬送し、シート材料に含浸された熱可塑性樹脂をその融点以上に加熱し、溶融させる工程。
工程(B):第1のシート材料(i)と第2のシート材料(ii)を金型内に搬送、配置する工程。
工程(C):第1のシート材料(i)と第2のシート材料(ii)を金型内で加圧冷却して成形品となす工程。
工程(D):金型から一体化成形品を取り出す工程。
[炭素繊維(CF)]
CF−1:炭素繊維
ポリアクリロニトリルを主成分とする重合体から紡糸、焼成処理を行い、総フィラメント数12000本の連続炭素繊維を得た。さらに該連続炭素繊維を電解表面処理し、120℃の加熱空気中で乾燥して炭素繊維(CF−1)を得た。この炭素繊維(CF−1)の特性は次に示す通りであった。
密度:1.8g/cm3
単糸径:7μm
引張強度:4.9GPa
引張弾性率:230GPa
繊度:800g/1000m
フィラメント数:12000本
PA−1:ポリアミド短繊維
ポリアミド樹脂(東レ(株)製、“アミラン”(登録商標)CM1001)を溶融紡糸して、次に示す特性を有するポリアミド短繊維(PA−1)を得た。
短繊維繊度:1.7dtex
カット長:51mm
捲縮数:12山/25mm
捲縮率:15%
PP−1:ポリプロピレン短繊維
未変性ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー(株)製、“プライムポリプロ”(登録商標)J707G)を溶融紡糸して、次に示す特性を有するポリプロピレン短繊維(PP−1)を得た。
短繊維繊度:1.7dtex
カット長:51mm
捲縮数:12山/25mm
捲縮率:15%
炭素繊維(CF−1)を10Hzで振動する振動棒にて幅25mmになるまで拡幅した後、円盤状の分割刃を用いて0.5mm間隔にスリットした上で、繊維長15mmにカットすることでチョップドストランド1を得た。
チョップドストランド1、チョップドストランド2およびポリアミド短繊維(PA−1)を質量比で28:52:20の割合で混合したこと以外は、炭素繊維マット1と同様にして炭素繊維マット2を得た。
チョップドストランド1、チョップドストランド2およびポリアミド短繊維(PA−1)を質量比で52:28:20の割合で混合したこと以外は、炭素繊維マット1と同様にして炭素繊維マット3を得た。
ポリアミド短繊維(PA−1)の代わりに、ポリプロピレン短繊維(PP−1)を用いたこと以外、炭素繊維マット1と同様にして炭素繊維マット4を得た。
拡幅した炭素繊維(CF−1)を5mm間隔にスリットしたこと以外、チョップドストランド1と同様にして、チョップドストランド7を得た。
チョップドストランド2およびポリアミド短繊維(PA−1)を質量比で80:20の割合で混合したこと以外、炭素繊維マット7と同様にして炭素繊維マット7を得た。
炭素繊維(CF−1)をカートリッジカッターで6mmにカットし、チョップドファイバーを得た。水と界面活性剤(ナカライテスク(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(商品名))からなる濃度0.1重量%の分散媒を60リットル作製し、かかる分散媒を抄造装置に投入した。抄造装置は、回転翼付き攪拌機を備えた上部の抄造槽(容量50リットル)と、下部の貯水槽(容量10リットル)からなり、抄造槽と貯水槽の間には多孔支持体を設けてある。まず、所望の目付となるように、質量を調整したチョップドファイバーを分散媒中に投入した。次に、攪拌機で、分散液を3分間攪拌し、炭素繊維が分散したスラリーを得た。そして、貯水層からスラリーを吸引し、多孔支持体を介して脱水し、バインダー(B−1)を付与して、不連続炭素繊維からなる炭素繊維マットとした。前記炭素繊維マットを熱風乾燥機にて150℃、2時間の条件下で乾燥させ、目付け100g/m2の不連続炭素繊維からなる炭素繊維マット8を得た。
拡幅した炭素繊維(CF−1)を0.25mm間隔にスリットしたこと以外、チョップドストランド1と同様にして、チョップドストランド8を得た。
チョップドストランド7およびポリアミド短繊維(PA−1)を質量比で80:20の割合で混合した混合物を、コンベア上に堆積させ目付125g/m2の炭素繊維マット10を得た。
拡幅した炭素繊維(CF−1)を1mm間隔にスリットしたこと以外、チョップドストランド1と同様にして、チョップドストランド9を得た。
ポリアミド樹脂(東レ(株)製、“アミラン”(登録商標)CM1001)を、定量、ステンレス製の板上に配置し、その上からもう一枚のステンレス製板を重ね、板間には所望の厚みのスペーサーを入れた。プレス温度は250℃とし、圧力を1MPaとして5分間保持し、熱可塑性樹脂フィルム1を得た。
未変性ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー(株)製、“プライムポリプロ”(登録商標)J707G)90質量%と、酸変性ポリプロピレン樹脂(三井化学(株)製、“アドマー”(登録商標)QB510)10質量%とからなるマスターバッチを用いたこと以外、熱可塑性樹脂フィルム1と同様にして熱可塑性樹脂フィルム2を作製した。
(金型1)平板用金型
図5の一体化成形品を得るための、対向する一対の金型であり、下記に示す寸法を有する金型を用意した。図7、図8の概略図に示す下金型(凸金型)、上金型(凹金型)の寸法は下記のとおりである。
・W1:300mm、W2:296mm、W3:148mm、H1:14mm、H2:12mm、H3:10mm
(金型2)一体化成形品用金型
図5の一体化成形品を得るための、対向する一対の金型であり、下記に示す寸法を有する金型を用意した。図7、図8の概略図に示す下金型(凸金型)、上金型(凹金型)の寸法は下記のとおりである。
・W1:300mm、W2:296mm、W3:148mm、H1:17mm、H2:12mm、H3:10mm
(1)シート材料に含まれる不連続炭素繊維の体積割合(Vf)
シート材料の質量W0を測定したのち、該CFRTPシート状物を空気中500℃で30分間加熱して熱可塑性樹脂成分を焼き飛ばし、残った不連続強化繊維の質量W1を測定し、次式により算出した。
Vf=(W1/ρf)/{W1/ρf+(W0−W1)/ρr}×100(単位:体積%)
・ρf:強化繊維の密度(g/cm3)
・ρr:熱可塑性樹脂の密度(g/cm3)
シート材料の一部を切り出し、バインダーおよびマトリックスを溶解させる溶媒によりバインダーおよびマトリックスを十分溶解させた後、ろ過などの公知の操作により不連続炭素繊維と分離した。バインダーおよびマトリックスを溶解させる溶媒がない場合は、シート材料の一部を切り出し、500℃の温度で30分間加熱し、バインダーおよびマトリックスを焼飛ばして不連続炭素繊維を分離した。分離した不連続炭素繊維を、無作為に400本抽出し、光学顕微鏡にてその長さを1μm単位まで測定し、繊維長Liとした。次式により数平均繊維長(Ln)、およびCV値を求めた。
Ln=ΣLi/400
・Li:測定した繊維長(i=1,2,3,・・・400)(単位:mm)
シート材料から100mm×100mmの試料を切り出し、500℃の温度で30分間加熱し、熱可塑性樹脂フィルム成分を焼き飛ばして不連続炭素繊維を分離した。次に、分離した炭素繊維から、炭素繊維束(A)を取出し、1/100mgまで測定可能な天秤を用いて測定した、炭素繊維束の重量miと、1/100mmまで測定可能なノギスを用いて測定した繊維長Liから、繊維束1本に含まれる単糸数xnを算出した。さらに、分離した炭素繊維に含まれる全ての繊維素束について単糸数xnを算出し、単糸数毎の繊維束の重量割合Mnを次式により求めた。
xn=mi/(Li×F)
Mn=Mi/(M1+M2+M3)×100
・mi:測定した重量(i=1,2,3,・・・)(単位:mg)
・Li:測定した繊維長(i=1,2,3,・・・)(単位:mm)
・F:繊度(単位:g/1000m)
・Mi:単糸数毎の繊維束の重量総和(i=1,50,300)(単位:mg)
・M1:単糸数xnが1以上50未満の炭素繊維束の重量総和(単位:mg)
・M50:単糸数xnが50以上300未満の炭素繊維の重量総和(単位:mg)
・M300:単糸数xnが300以上12000未満の炭素繊維の重量総和(単位:mg)
シート材料の23℃雰囲気下の厚み(ta)をマイクロメータにて測定した。また、加熱後のシート材料を取出し、23℃、無荷重にて十分に冷却した後、厚み(tb)をマイクロメータにて測定し、厚みの比(tb/ta)を算出した。
ASTM D3039の規格に準拠し、図5に示す一体化成形品の接合部の引張強度を評価した。
一体化成形品の外観を目視により観察し、以下の基準で判定し、いずれの評価においてもA、Bは可とし、Cは不可とした。
A:表面に光沢があり、優れた一体化成形品の表面外観である。
B:実用上問題はないものの、一体化成形品の一部にかすれ状の後が見られる。
C:樹脂の穴あき、焼けまたは全体的にかすれがあり、劣る。
厚み4mm、炭素繊維の体積含有率30%になるように、炭素繊維マット1(CFM−1)と熱可塑性樹脂シート1(TPF−1)を重ね合わせたプリフォームを、平板用金型にセットして、プレス温度260℃、圧力5MPa、5分間プレス機でプレス成形し、プレス機でプレスした状態のまま、25℃の室温になるまで自然冷却してシート材料1を得た。
厚み6mmになるように炭素繊維マット1(CFM−1)と熱可塑性樹脂シート1(TPF−1)を重ね合わせ、該シート材料1と同様にしてシート材料3を得た。
炭素繊維マット1(CFM−1)の代わりに炭素繊維マット2(CFM−2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして一体化成形品を得て、評価に供した。評価条件および特性を表1にまとめて示す。
炭素繊維マット1(CFM−1)の代わりに炭素繊維マット3(CFM−3)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして一体化成形品を得て、評価に供した。評価条件および特性を表1にまとめて示す。
炭素繊維マット1(CFM−1)と熱可塑性樹脂シート1(TPF−1)の代わりに、炭素繊維マット4(CFM−4)と熱可塑性樹脂シート2(TPF−2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして一体化成形品を得て、評価に供した。評価条件および特性を表1にまとめて示す。
炭素繊維マット1(CFM−1)の代わりに炭素繊維マット5(CFM−5)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして一体化成形品を得て、評価に供した。評価条件および特性を表2にまとめて示す。
炭素繊維マット1(CFM−1)の代わりに炭素繊維マット6(CFM−6)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして一体化成形品を得て、評価に供した。評価条件および特性を表2にまとめて示す。
炭素繊維マット1(CFM−1)の代わりに炭素繊維マット7(CFM−7)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして一体化成形品を得て、評価に供した。評価条件および特性を表2にまとめて示す。
炭素繊維マット1(CFM−1)の代わりに炭素繊維マット8(CFM−8)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして一体化成形品を得て、評価に供した。評価条件および特性を表2にまとめて示す。
炭素繊維マット1(CFM−1)の代わりに炭素繊維マット9(CFM−9)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして一体化成形品を得て、評価に供した。評価条件および特性を表2にまとめて示す。
炭素繊維マット1(CFM−1)の代わりに炭素繊維マット10(CFM−10)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして一体化成形品を得て、評価に供した。評価条件および特性を表2にまとめて示す。
2 シリンダーロール
3 テイクインロール
4 ドッファーロール
5 ワーカーロール
6 ストリッパーロール
7 フィードロール
8 ベルトコンベアー
9 不連続な炭素繊維
10 シート状のウエブ
11 単糸
12 単糸または繊維束に付着した熱可塑性樹脂
13 単糸数50以上300未満の繊維束
14 繊維素国含浸した熱可塑性樹脂
15 単糸数300以上の繊維束
16 一体化成形品用下金型
17 一体化成形品用下金型の第1底面
18 一体化成形品用下金型の第2底面
Claims (9)
- 不連続炭素繊維基材に熱可塑性樹脂が含浸されてなるシート材料であり、前記シート材料の炭素繊維の数平均繊維長が10mm以上50mm未満であり、前記シート材料の炭素繊維は単糸および繊維束からなり、炭素繊維全体に対し、前記単糸および単糸数50未満の繊維束の重量割合が60wt%以上85wt%未満であり、単糸数50以上300未満の繊維束の重量割合が37wt%未満5wt%以上であり、単糸数300以上の繊維束の重量割合が3wt%以上10wt%未満であることを特徴とする、シート材料。
- 前記シート材料の炭素繊維は単糸および繊維束からなり、炭素繊維全体に対し、前記単糸および単糸数50未満の繊維束の重量割合が70wt%以上85wt%未満であり、単糸数50以上300未満の繊維束の重量割合が27wt%未満10wt%以上であり、単糸数300以上の繊維束の重量割合が3wt%以上5wt%未満であることを特徴とする、請求項1に記載のシート材料。
- 前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン、ポリアミドまたはポリフェニレンスルフィドである、請求項1または2に記載のシート材料。
- 前記シート材料の炭素繊維の体積割合が10vol%以上50vol%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のシート材料。
- 前記シート材料の23℃での厚み(ta)が0.1〜10mmである、請求項1〜4のいずれかに記載のシート材料。
- 前記シート材料の23℃での厚み(ta)と熱可塑性樹脂の溶融温度以上、熱分解温度以下での厚み(tb)の比tb/taが4以上12以下である、請求項1〜5のいずれかに記載のシート材料。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のシート材料を、複数枚積層したシート材料。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のシート材料である、第1のシート材料(i)と第2のシート材料(ii)が、それらの一部が溶融を介して互いに接合されることにより得られる、一体化成形品であって、第1のシート材料(i)の23℃での厚み(ti)と第2のシート材料(ii)の23℃での厚み(tii)の差(ti−tii)の絶対値が0.1mm以上6mm未満である、一体化成形品。
- 以下の工程(A)〜(D)を順に経ることにより、請求項8に記載の一体化成形品を得る、一体化成形品の製造方法。
工程(A):第1のシート材料(i)と第2のシート材料(ii)を、同時にヒーター炉内に搬送し、シート材料に含浸された熱可塑性樹脂をその融点以上に加熱し、溶融させる工程。
工程(B):第1のシート材料(i)と第2のシート材料(ii)を金型内に搬送、配置する工程。
工程(C):第1のシート材料(i)と第2のシート材料(ii)を金型内で加圧冷却して成形品となす工程。
工程(D):金型から一体化成形品を取り出す工程。
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