JP2019210417A - 繊維強化複合材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】繊維間の空隙(ボイド)と製品強度のバラツキを抑制し、薄肉FRP成形品の製造も容易化する強化複合材の製造方法を提供する【解決手段】強化繊維に熱可塑性樹脂を含浸させたチョップドストランド・プリプレグ1Bを、繊維配向を二次元ランダムにして所定厚さのプリプレグ積層体1Cとし、当該プリプレグ積層体1Cを、20〜1800[Pa・s]の複素粘度になるまで加熱すると共に、1〜8[MPa]で加圧することで所定厚さのシート状に成形した後、冷却する。【選択図】図1

Description

本発明は、強化繊維に熱可塑性樹脂を含浸させたチョップドストランド・プリプレグを使用した繊維強化複合材の製造方法に関する。
熱可塑性樹脂(CFRTP)をマトリックスとした繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグには、チョップドストランドを使用したプリプレグ(チョップドストランド・プリプレグ)がある。これは、熱可塑性樹脂をマトリックスとする一方向配列ストランド(繊維束)を、例えば25mmから50mm程度の繊維長に切断した短冊状のプリプレグである。かかるプリプレグは、成形時の流動性、例えばスタンピング成形時の流動性が良好であり、色々な複雑形状のFRP成形品を熱可塑プレス成形するのに適している(特許文献1〜6参照)。
特開平9−155862号公報 特開平2−143810号公報 特開平7−164439号公報 特許第4161409号公報 特開2009−114612号公報 特開2010−235779号公報
従来の熱可塑プレス成形では、成形時にプレス型内で強化繊維に樹脂を含浸させるため、比較的低粘度域で高い圧力をかける必要があった。このため、成形時の樹脂流動により繊維配向の制御不能な乱れが発生し、これにより、製品強度のバラツキが発生したり、或いは薄肉FRP成形品の製造が困難になったりする等の問題があった。
そこで本発明の目的は、繊維間の空隙(ボイド)と製品強度のバラツキを抑制し、薄肉FRP成形品のプレス成形も容易化する繊維強化複合材の製造方法を提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明の繊維強化複合材の製造方法は、強化繊維に熱可塑性樹脂を含浸させたチョップドストランド・プリプレグを、繊維配向を二次元ランダムに積層して所定厚さのプリプレグ積層体とし、当該プリプレグ積層体を、20〜1800[Pa・s]の複素粘度になるまで加熱すると共に、1〜8[MPa]で加圧することで所定厚さのシート状に成形した後、冷却することを特徴とする。
本発明によれば、マトリックスの熱可塑性樹脂の可塑性を利用し、20〜1800[Pa・s]の適正複素粘度と1〜8[MPa]の適正圧力でプレス成形するので、プレス成形時に積層体に含まれるプリプレグ同士の隙間に樹脂が浸透することでボイドを効率的に除去でき、物性バラツキを抑制した等方性繊維強化複合材を製造することができる。したがって、これを熱可塑プレス成形して薄肉FRP成形品を容易に製造することができる。
本発明に係る繊維強化複合材の製造方法を示す工程図である。 本発明で得られた炭素繊維強化複合材の平面図である。 熱可塑エポキシ樹脂の重合過程における粘度曲線を示す図である。 プレス成形の変形実施形態を示す斜視図(a)と断面図(b)である。
以下、本発明の繊維強化複合材の製造工程に関する一実施形態について図面を参照して説明する。図1は繊維強化複合材の製造工程の一例を示す図である。
(1.強化繊維の開繊工程)
この工程では、まず強化繊維としての単繊維(炭素繊維)を所定本数収束してなる炭素繊維ストランド1を、水道水で満たされた水槽2内の数本のガイドローラ3を通すことで開繊して開繊ストランド1Aにする。ここでは、炭素繊維ストランド1として、炭素繊維TC36P−12K(800tex、12,000フィラメント、Formosa Plastics Corporation製)を使用した。開繊ストランド1Aの厚さは、製品の十分な強度を確保する観点と、熱可塑性樹脂の十分な含浸を確保することを両立する観点から、通常、平均厚さとして10〜60μmが好適である。なお、炭素繊維ストランドは無撚でも有撚でも構わない。
強化繊維の種類は前述した炭素繊維に限定されない。無機繊維、有機繊維、金属繊維、またはこれらを組み合わせたハイブリッド構成の繊維も強化繊維として使用可能である。
無機繊維としては、炭素繊維、黒鉛繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、タングステンカーバイド繊維、ボロン繊維、ガラス繊維などが挙げられる。有機繊維としては、アラミド繊維、高密度ポリエチレン繊維、その他一般のナイロン繊維、ポリエステルなどが挙げられる。
金属繊維としては、ステンレス、鉄等の繊維を挙げられ、また金属を被覆した炭素繊維でもよい。これらの中では、最終成形物の強度等の機械特性を考慮すると、炭素繊維が最も好ましい。
開繊ストランド1Aを作成後、当該開繊ストランド1Aの水分をホットローラ対4に通して除去し乾燥する。本発明の実施形態ではホットローラ対4の温度を100℃にした。当該温度は、炭素繊維ストランド1のサイジング剤が溶融しない範囲であれば100℃に限らず任意の高温でよい。乾燥した開繊ストランド1Aの幅Wは15mm〜17mmになった。
(2.熱可塑性樹脂の含浸工程)
この工程は、乾燥した開繊ストランド1Aにマトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を含浸させる工程である。この含浸の方法としては、樹脂を吐出させるダイを用いて開繊ストランド1Aの上下面から塗布することにより行ってもよいし、開繊ストランド1Aを熱可塑性樹脂の溶融槽に浸漬させて行ってもよい。
浸漬させた場合、ニップロール等を用いて開繊ストランド1Aに対する樹脂付着量を調整してもよい。溶剤を使用して含浸させる場合は含浸後に溶剤を揮発させるため、また反応性樹脂を使用する場合は樹脂の重合を進めるため、それぞれ加熱処理を行ってもよい。
図1の例では、乾燥した開繊ストランド1Aの上下両面にマトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を樹脂吐出ダイを使用して塗布する。そして熱可塑性樹脂を塗布した開繊ストランド1Aを直ちに離型ベルト対5に通し、上下両面に塗布された熱可塑性樹脂を加熱下で押圧して開繊ストランド1Aに含浸させ冷却する。これにより高含浸率・高平滑性のプリプレグテープが得られる。
本発明の実施形態では、熱可塑性樹脂として熱可塑性エポキシ樹脂(ナガセケムテックス(株)製、XNR6850V)を使用した。そして当該熱可塑性エポキシ樹脂100重量部と、硬化剤(ナガセケムテックス(株)製、XNH6850V)8重量部を十分に混合攪拌して樹脂ペーストにしたものを、開繊ストランド1Aの上下両面に塗布した。当該樹脂ペーストは、離型ベルト対5の直前位置で、開繊ストランド1Aの上下両面に樹脂体積含有率(Vf)が40%、したがって繊維体積含有率(Vf)が60%となるように塗布する。塗布治具としては、ドクターブレードや平口ノズルを使用することができる。なお、繊維体積含有率(Vf)は10〜80%の範囲であれば繊維強化複合材の十分な機械的強度を得ることができる。尚、この熱可塑性エポキシ樹脂は非晶性であり現場重合型樹脂である。
ここで、熱可塑性樹脂は前述した熱可塑性エポキシ樹脂のほか、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン46に代表されるポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレ−トやポリブチレンテレフタレ−トなどのポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエ−テルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエ−テルイミド樹脂、ポリカ−ボネ−ト樹脂などを使用することも可能である。これらの樹脂の特徴としては結晶性樹脂や非晶性樹脂、また後述する成形工程等で分子量が大きくなる現場重合型樹脂等が挙げられる。
但し、耐熱性が要求される分野では、熱可塑性樹脂がポリエステル系樹脂であることが好ましい。特に耐熱性や機械的強度、クリ−プ特性、耐薬品性、耐油性が要求される分野では、ポリエチレンテレフタレ−トがより好ましい。また加水分解防止剤、熱劣化防止剤等の添加剤を目的に応じて添加することができる。
更にコストや賦形時の流動性、耐水性、耐熱水性、耐化学薬品性が要求される分野では、熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。更に好ましくは経済的に優れることから、ポリプロピレンであることが望ましい。
そして摩耗性、耐油性、長期耐熱特性が必要な場合は、熱可塑性樹脂がポリアミド系樹脂であることが好ましい。更に好ましくはナイロン6であることが望ましい。この場合、例えば酸素雰囲気下で、加熱されると酸化劣化を起こす場合があるので、これを防止するために酸化劣化防止剤等を目的に応じて添加することができる。
(3.プリプレグテープの裁断工程)
この工程は、上記の工程で得られたプリプレグテープを、今度はカッタ6によって所定長さに裁断し、チョップドストランド・プリプレグ1Bとする工程である。本発明の実施形態では、チョップドストランド・プリプレグ1Bの体積が33.5mmとなるように裁断長さを調節した(ストランド長さは約29mm)。
チョップドストランド・プリプレグ1Bの形状は特に制限されない。多角形のものや、辺の一部に曲線を有するものであってもよい。但し、長方形にすると製造が簡便であり、効率がよいことから好ましい。この場合、長方形の一方の長辺が繊維軸方向と平行であり、他方の短辺が繊維軸方向と直角であることがより好ましい。裁断方法は特に限定されないが、ギロチン方式、コダック方式、ペレタイザー、ロータリー方式等を採用することができる。
(4.散布・積層工程)
この工程は、上記工程で得られた所要量のチョップドストランド・プリプレグ1Bを散布機7から下方に配置された堆積盤8の上に自由落下で散布・積層させ、プリプレグ積層体1Cを得る工程である。本発明の実施形態では、プリプレグ積層体1Cのシート目付けが1013g/m2になるようにチョップドストランド・プリプレグ1Bを散布機7から300mm下方に配置された堆積盤8の上に散布・積層した。
(5.仮留め工程)
この工程は、散布・積層工程で得られたプリプレグ積層体1Cを近赤外線や遠赤外線で加熱し、プリプレグ含まれている樹脂を軟化させ、チョップドストランド・プリプレグ1B同士を接着させることによりプリプレグ積層体1Cを固定させる工程である。プリプレグ積層体1Cを加圧ローラ9の間に通過させることにより、プリプレグ積層体1Cに含まれるチョップドストランド・プリプレグ同士が仮留めされた仮留めシート1Dが得られる。この加熱・加圧工程では、加熱・加圧機構のあるベルトコンベヤを使用することができる。当該ベルトコンベヤは例えば420mm/minの速度で駆動させ、当該プリプレグ積層体1Cを上下一対の加圧ローラ9の間(7mmの隙間)を通過させる。この工程での加熱温度については特に限定されないが、使用する熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)や融点温度(Tm)付近であることが仮留めシート1Dに含まれるチョップドストランド・プリプレグの繊維配向を維持する観点から好ましい。
ここで、本発明の製造方法においては、散布・積層工程で得られたプリプレグ積層体1Cを次の予備加熱工程からプレス成形しても良いし、仮留め工程で得られた仮留めシートを予備加熱工程からプレス成形しても良い。
(6.予備加熱工程)
この工程は、プレス成形時に基材を流れやすくするために基材を加熱する工程であり、プリプレグ積層体1C又は仮留めシート1Dを上下一対で配設された加圧板10、ヒーターが内蔵されている金型10aの間に配置し、これらに含まれている熱可塑性樹脂の粘度が20〜1800[Pa・s]になるまで加熱する。ここで、単に「粘度」というときは「複素粘度」を意味するものとする(以下同様)。この際、マトリックス樹脂が結晶性樹脂の場合は融点以上であって熱分解未満の温度で加熱する。また、マトリックス樹脂が融点を有しないときはガラス転移温度以上であって熱分解未満の温度で加熱する。本発明の実施形態では、無圧下(又は0.5MPa以下)で150℃で5分(300sec)間加熱し、樹脂粘度が119[Pa・s]になった。また、この予備加熱工程では上記したような金型内での加熱に加えて、予備加熱機を用いて近赤外線又は遠赤外線を用いて加熱しても良い。
(粘度曲線)
プリプレグ積層体1Cの樹脂粘度が所要の粘度に到達するまで加熱時間は、加熱温度によって異なる。図2は加熱温度を180℃にして加熱した場合の熱可塑エポキシ樹脂の重合過程における粘度曲線を示す。
図2の粘度曲線は、2分経過後に粘度勾配が立上り始め、4分経過後11分までは略一律の急勾配で粘度が増大し、その後はやや緩やかな上り勾配となる。上限粘度1800[Pa・s]には約7分30秒で到達する。
(樹脂粘度の測定方法)
ここで、樹脂粘度の測定方法を説明する。測定に使用した樹脂は、熱可塑性エポキシ樹脂(ナガセケムテックス(株)社製、XNR6850V)100重量部に、硬化剤(ナガセケムテックス(株)社製、XNH6850V)8質量部を十分に混合し、当該混合物に含まれる溶剤成分を取り除いたものである。
測定に使用した粘度測定装置は、回転式粘度計レオメータ(型式:MCR302、(株)アントンパール社製)である。粘度の測定条件は、ひずみ3%、周波数1Hzとし、熱板とジオメトリの間に前記樹脂を挟み、熱板の温度を180℃に保ち、時間変化における粘度の測定を行った。その結果が前述した図2である。
(7.シート成形工程)
この工程は、プリプレグ積層体1C又は仮留めシート1Dを予備加熱工程と同様にこれらに含まれている熱可塑性樹脂の粘度が20〜1800[Pa・s]となるように維持させながら、1〜8[MPa]の圧力でプレスすることにより圧縮し所定厚さのシート状に成形する工程である。成形時の粘度が上記以上、プレス圧が下限以下の場合、得られる繊維強化複合材の内部にボイドが残存しやすくなるため好ましくない。また、粘度が下限以下、プレス圧が上限以上の場合、繊維配向の乱れが発生したり、得られる繊維強化複合材にバリが発生しやすく重量のばらつきが大きくなるため好ましくない。更にプレス圧が上限以上の場合、使用する金型が変形するため好ましくない。
本発明の実施形態では、仮留めシート1Dに含まれている樹脂の粘度が119[Pa・s]に150℃・4MPaの条件で15分間加熱・加圧処理した。この加熱・加圧処理の結果、厚さ2mmの炭素繊維強化複合材1Eが得られた。なお、当該「15分間」は、仮留めシート1Dや目標複合材の厚み・目付けに応じて、ボイド除去のため増減調節することができる。また前記加熱温度(150℃)は、炭素繊維強化複合材1Eの厚み方向中央部付近に挿入した熱電対温度センサで測定した。
このプレス形成では、仮留めシート1Dの繊維間隙間に樹脂が繊維配向を乱すことなく含浸する。したがって、低ボイド率で物性バラツキの少ない等方性炭素繊維強化複合材1Eが得られる。
(8.冷却工程)
この工程は、シート成形の後に上記したプレス圧を保持したまま加圧板10及び金型10aを所定温度まで冷却する工程であり、これより強化繊維複合材1Eを金型aから脱型させることができる。この際の冷却温度についてはマトリクス樹脂として使用する熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)以下、或いは融点温度(Tm)以下であることが好ましい。
(チョップドストランド・プリプレグ)
次に、本実施形態で使用するチョップドストランド・プリプレグの大きさについて説明する。
(平均体積)
本実施形態で使用するチョップドストランド・プリプレグは、プリプレグ1枚あたりの平均体積(mm)が、好ましくは5〜120mm、より好ましくは4〜60mである。1枚あたりの平均体積が前記上限(60mまたは120mm)を超えると、単位面積あたりに散布できる基材枚数(チョップドストランド・プリプレグ1Bの数)が減少することにより、物性のばらつきが増大し等方性を確保することが難しくなる。
(長さ)
チョップドストランド・プリプレグの繊維方向の長さは、好ましくは平均5〜50mm、より好ましくは平均10〜30mmである。当該平均長さにすることにより、シートとしての高い機械的強度と等方性を確保しやすくなり、シート内のボイドの発生を抑制することができる。
(幅)
チョップドストランド・プリプレグの繊維方向と直角方向の幅は、好ましくは平均10〜20mm、より好ましくは平均12〜20mm、さらに好ましくは平均15〜20mmである。幅方向平均長さを10mm以上とすることで、単位厚さあたりの積層枚数を十分な枚数としやすくなり、等方性を確保しやすくなる。また、幅方向平均長さを20mm以下とすることで、テープ割れを防止しやすくなり、それによりプリプレグ1枚あたりの基材体積を安定させやすくなり、機械的強度のばらつきを抑制しやすくなる。
(厚み)
チョップドストランド・プリプレグの厚みは、好ましくは平均55〜115μm、より好ましくは55〜95μmである。平均厚みを55μm以上とすることでテープ割れを防止しやすくなり、それによりプリプレグ1枚あたりの基材体積を安定させやすくなり、機械的強度のばらつきを抑制しやすくなる。また、平均厚みを115μm以下とすることで、単位厚さあたりの積層枚数を十分な枚数としやすくなり、それにより等方性を確保しやすくなる。
(層数)
強化複合材の厚み方向に積層されるチョップドストランド・プリプレグの層数は、好ましくは9〜19層/mm、より好ましくは13〜19層/mmである。9層以上とすることで等方性を確保しやすくなり、またプリプレグの安定生産の観点から19層以下とすることが好ましい。
(仮留めシートの好適展開率)
仮留めシート1Dの好適展開率は100〜115%である。ここでの展開率とは、仮留めシート1Dの大きさ(縦横の長さ)から目標とする複合材の大きさ(縦横の長さ)へ展開する比率(%)であり、(展開率)=100×(複合材の目標とする大きさ(縦横の長さ))/(仮留めシート1Dの大きさ(縦横の長さ))の式で示される。例えば、複合材の目標とする大きさが600mmx600mmの角型シートである場合、縦横長さが560mm〜580mm程度の大きさになるように仮留めシート1Dを製造するとよい。展開率が上限の115%以上(縦横長さが560mm未満)になると、シート成形時に複合材に含まれるプリプレグが流動しすぎて、シートとしての等方性(後述のCV値)が得られないため好ましくない。
上記した好適展開率(100〜115%)により、仮留めシート1Dに含まれるプリプレグ同士の配向を崩すことなく、且つプリプレグ内の繊維配向の並行度を維持したまま、シート成形をすることが可能となる。これにより、物性のばらつきが少ない等方性の複合材を得ることが可能となる。
(物性バラツキの確認試験)
得られた炭素繊維強化複合材1Eの1枚のシートの任意の箇所の第1方向から、5本の試験片を短冊状に切り出し、また当該第1方向に対して垂直な第2方向で、同じく5本の試験片を短冊状に切り出した。これら短冊状試験片の大きさは、長さ250mm±1.0mm、幅35mm±0.2mmである。これをJIS K 7164規格に準じ、チャック間距離150mm、試験速度1.0mm/minで物性バラツキの確認試験を実施した。
ここでCV値(Coefficient of Variation)とは、相対的な散らばりを表す指標(変動係数)であり、(標準偏差/測定値の平均値)×100(%)で表される値である。引張強度CV値が小さいほど引張強度のバラツキが少ないことを示している。
(実施例と比較例)
以下の表1の実施例1〜12と比較例1〜5は、加熱温度を180℃とし、炭素繊維ストランド1や熱可塑性樹脂の種類等は同じ条件で揃え、予備加熱時間、プレス粘度(プレス成形時の樹脂粘度)及びプレス圧を様々に変えて行った試験結果をまとめたものである。右端のボイドとバリの欄は、ボイド率とバリ重量率を以下の表2の基準に従って判定したものである。
ボイド率はJIS K 7052に準拠して測定した。ここでは0.6%未満のボイド率を合格とした。バリ重量率は、試料である繊維強化複合材の大きさが600mm角、2mm厚で、樹脂体積含有率(Vf)が40%、全体重量995gのものを試料とし、その全体重量995gに対するバリ部分の重量を%表示した。ここでは0.8%未満のバリ重量率を合格とした。
なお、炭素繊維ストランド1は前述した炭素繊維TC36P−12K(800tex、12,000フィラメント、Formosa Plastics Corporation製)を使用したが、太さ(tex)とフィラメント数を変えた他の炭素繊維ストランドを使用して行った同様の試験でも、表1における結果で有意差は認められなかった。
したがって、本発明で強化繊維に炭素繊維を使用する場合、そのフィラメント数は特に限定されない。前記実施形態で示した12000本(12K)に加えて、1000本(1K)、3000本(3K)、6000本(6K)、15000本(15K)、18000本(18K)、24000本(24K)、30000本(30K)、60000本(60K)等、本発明で使用するプリプレグの幅や厚みに応じて適宜変更して使用可能である。
(実施例)
実施例1〜12は、いずれも、プレス粘度が20〜1800Pa・s、プレス圧が1〜8MPaの適正範囲内である。したがって、変動係数、ボイド率およびバリ重量率のすべてが合格である。
実施例1はプレス圧が下限(1MPa)だが、低粘度(27Pa・s)のためボイド率が少なく合格である。実施例2と3は実施例1と同様に低粘度(27Pa・s)だが、プレス圧がやや大きい(4MPa、8MPa)ためバリ重量率(0.61%、0.79%)がやや大きいが、ボイド率(0.20%、0.13%)は実施例1の0.28%より少なく合格である。実施例4はプレス圧が下限(1MPa)でやや粘度(128Pa・s)が高いため、ボイド率(0.32%)がやや大きいが合格である。
実施例5〜11は粘度とプレス圧のバランスがよいため、変動係数、ボイド率およびバリ重量率のすべてが合格であるが、実施例8はプレス圧が上限(8MPa)のためバリ重量率(0.72%)がやや大きく、実施例10はプレス圧が下限(1Pa・s)のためボイド率(0.48%)がやや大きくなっている。実施例12も粘度とプレス圧のバランスがよいため変動係数、ボイド率およびバリ重量率のすべてが合格であるが、プレス圧が上限(8Pa・s)のためバリ重量率(0.67%)がやや大きくなっている。
(比較例)
一方、比較例1は、プレス粘度が15(Pa・s)で不足しているため、ボイド率(0.16%)は合格だが変動係数(21.8%)とバリ重量率(0.82%)が不合格であった。比較例2はプレス圧が0.5MPaで不足しているため、バリ重量率(0.12%)は合格だが変動係数(36.8%)とボイド率(1.04%)が不合格であった。
比較例3はプレス圧が10MPaで過大であったため、ボイド率(0.14%)は合格だが変動係数(22.0%)とバリ重量率(0.84%)が不合格であった。比較例4はプレス粘度(1850Pa・s)が過大であったため、バリ重量率(0.29%)は合格だが変動係数(24.1%)とボイド率(0.62%)が不合格であった。比較例5もプレス粘度(2780Pa・s)が過大であったため、バリ重量率(0.22%)は合格だが変動係数(24.6%)とボイド率(0.81%)が不合格であった。
以上のように、樹脂の粘度が20[Pa・s]より低くなると樹脂の流動性が高くなりすぎるので、成形後のシート内に含まれるプリプレグの繊維配向が乱れやすく、物性のばらつきにつながる。また、プレス圧が8[MPa]より高くなっても、成形後のシート内に含まれるプリプレグの繊維配向が同様に乱れやすく物性のばらつきにつながる。また、樹脂の粘度が1800[Pa・s]よりも高い場合や、プレス圧が1[MPa]よりも低い場合も、成形後のシートに含まれるボイドが除去できないため物性低下を引き起こす。
本発明で得られる等方性炭素繊維強化複合材を中間素材として、所望製品形状の金型を使用して加熱・加圧することで、表面性状・物性に優れたFRP製品を容易に製造することができる。当該等方性炭素繊維強化複合材1Eは、不連続繊維と熱可塑性材料の特性から、板金の代替的利用も可能であって、ハイサイクルでのFRP成形品製造を実現することができる。また、プレス成形時に繊維配向を維持することができるので、高強度薄肉FRP成形品の低コスト製造も可能であり、幅広い製品ニーズに応えることが可能となる。
このように、本発明で得られる等方性炭素繊維強化複合材は、ハイサイクル・薄肉化が可能なことから、自動車の構造部材等への低コストの適応が可能となり、さらには、機械・装置等のフレームや筐体等の成形材料としても有利に適用することができる。
以上、本発明の実施形態及び実施例・比較例について述べたが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、前記実施形態では開繊工程で炭素繊維ストランド1を水中のガイドローラ3に通したが、他の方法、例えば空気流を使用して炭素繊維ストランド1を開繊してもよい。
また、チョップドストランド・プリプレグ1Bを散布機7を使用して繊維配向が二次元ランダムのプリプレグ積層体1Cにする方法は、堆積盤8に代えてベルトコンベアを使用して連続的にプリプレグ積層体1Cを形成する方法としてもよい。この場合、散布機7はチョップドストランド・プリプレグ1Bの定量フィーダと組み合わせたり、複数配置したりすることで、生産性を向上することができる。
また、チョップドストランド・プリプレグ1Bを、図1の散布機7から堆積盤8の上に自由落下させるのではなく、図4のような金型20の矩形凹部21に、図1の散布機7から直接散布・積層してもよい。この場合は、繊維配向が二次元ランダムで所定厚さのプリプレグ積層体1Cが矩形凹部21内に形成される。
図4(a)のようにチョップドストランド・プリプレグ1Bの散布・積層によるプリプレグ積層体1Cを、ポンチ30で加圧して図4(b)の炭素繊維強化複合材1Eを得る。ポンチ30で加圧する際、前述したようにプリプレグ積層体1Cを所定温度に加熱することは勿論である。この方法は図9の仮留め用の加圧ローラ9が不要であり、仮留めシート1Dの形成工程を省略可能なので、炭素繊維強化複合材1Eの生産効率を向上することができる。
1:炭素繊維ストランド 1A:開繊ストランド
1B:チョップドストランド・プリプレグ 1C:プリプレグ積層体
1D:仮留めシート 1E:炭素繊維強化複合材
2:水槽 3:ガイドローラ
4:ホットローラ対 5:離型ベルト対
6:カッタ 7:散布機
8:堆積盤 9:加圧ローラ
10:加圧板

Claims (8)

  1. 強化繊維に熱可塑性樹脂を含浸させたチョップドストランド・プリプレグを、繊維配向を二次元ランダムに積層して所定厚さのプリプレグ積層体とし、当該プリプレグ積層体を、20〜1800[Pa・s]の複素粘度になるまで加熱すると共に、1〜8[MPa]で加圧することで所定厚さのシート状に成形した後、冷却することを特徴とする繊維強化複合材の製造方法。
  2. 前記プリプレグ積層体を、20〜1800[Pa・s]の粘度になるまで無圧下又は0.5MPa以下で加熱することを特徴とする請求項1の繊維強化複合材の製造方法。
  3. 前記繊維強化複合材の繊維体積含有率が10〜80%であることを特徴とする請求項1又は2の繊維強化複合材の製造方法。
  4. 前記チョップドストランド・プリプレグの平均体積が、5〜120mmであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項の繊維強化複合材の製造方法。
  5. 前記チョップドストランド・プリプレグの平均長さが、5〜50mmであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項の繊維強化複合材の製造方法。
  6. 前記チョップドストランド・プリプレグの平均幅が、10〜20mmであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項の繊維強化複合材の製造方法。
  7. 前記チョップドストランド・プリプレグの平均厚みが、55〜115μmであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項の繊維強化複合材の製造方法。
  8. 前記チョップドストランド・プリプレグの平均層数が、9〜19層/mmであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項の繊維強化複合材の製造方法。
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