JP6895682B2 - 一方向プリプレグ、繊維強化熱可塑性樹脂シート、一方向プリプレグおよび繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法、ならびに、成形体 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は以下の好適な態様を包含する。
〔1〕開繊された強化繊維、および、式(1):
で表されるビスフェノールA型エポキシ化合物と、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールB、ビスフェノールEおよびビスフェノールPからなる群から選択されるビスフェノール化合物との重合物を含む、テープ状の一方向プリプレグであって、該重合物は5,000〜25,000の重量平均分子量を有し、該一方向プリプレグの厚み方向における該強化繊維の平均含有数は10本以下である、一方向プリプレグ。
〔2〕前記一方向プリプレグの幅方向における前記強化繊維の平均含有密度は、次の式(2):
〔3〕熱可塑性樹脂100質量部に対して2〜3質量部の有機リン化合物を含む、前記〔1〕または〔2〕に記載の一方向プリプレグ。
〔4〕強化繊維は炭素繊維である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の一方向プリプレグ。
〔5〕前記一方向プリプレグの幅長の変動係数は20%以下である、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の一方向プリプレグ。
〔6〕開繊された強化繊維および熱可塑性樹脂を含み、一方向プリプレグのランダム積層体である繊維強化熱可塑性樹脂シートであって、一方向プリプレグあたりの厚み方向における強化繊維の平均含有数は10本以下であり、該熱可塑性樹脂は、式(1):
で表されるビスフェノールA型エポキシ化合物と、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールB、ビスフェノールEおよびビスフェノールPからなる群から選択されるビスフェノール化合物との重合物であり、該重合物は30,000以上の重量平均分子量を有する、繊維強化熱可塑性樹脂シート。
〔7〕一方向プリプレグの繊維方向の長さは10〜50mmである、前記〔6〕に記載の繊維強化熱可塑性樹脂シート。
〔8〕強化繊維は炭素繊維である、前記〔6〕または〔7〕に記載の繊維強化熱可塑性樹脂シート。
〔9〕前記繊維強化熱可塑性樹脂シートの単位厚みあたりの前記一方向プリプレグの層数は10〜40層/mmである、前記〔6〕〜〔8〕のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂シート。
〔10〕JIS K 7209に従い測定して1wt%以下の吸水率を有する、前記〔6〕〜〔9〕のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂シート。
〔11〕JIS−7075に従い測定して1vol%以下のボイド率を有する、前記〔6〕〜〔10〕のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂シート。
〔12〕前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の一方向プリプレグのランダム積層体からなる、または、前記〔6〕〜〔11〕のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂シートからなる、成形体。
〔13〕(a)強化繊維を、厚み方向における平均含有数が10本以下になるまで開繊する工程、および、
(b)開繊された強化繊維に、式(1):
で表されるビスフェノールA型エポキシ化合物と、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールB、ビスフェノールEおよびビスフェノールPからなる群から選択されるビスフェノール化合物とを含浸させる工程、ならびに、
(c)前記化合物を含浸させた強化繊維を加熱して、強化繊維に含浸させた化合物を、得られる重合物の重量平均分子量が5,000〜25,000となるまで重合させる工程
を少なくとも含む、一方向プリプレグの製造方法であって、該一方向プリプレグの厚み方向における強化繊維の平均含有数は10本以下である、製造方法。
〔14〕前記工程(b)において、ビスフェノールA型エポキシ化合物とビスフェノール化合物とを50:50〜90:10の質量比で含浸させる、前記〔13〕に記載の製造方法。
〔15〕(1)開繊された強化繊維および熱可塑性樹脂を含有するテープ状の一方向プリプレグをランダムに積層し積層物を得る工程、ここで、該熱可塑性樹脂は、式(1):
で表されるビスフェノールA型エポキシ化合物と、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールB、ビスフェノールEおよびビスフェノールPからなる群から選択されるビスフェノール化合物との重合物であり、該重合物の重量平均分子量はは5,000〜25,000であり、該強化繊維の一方向プリプレグの厚み方向における平均含有数は10本以下である、および、
(2)該積層物を、100〜200℃の温度で加熱する工程
を少なくとも含む、繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法。
本発明の一方向プリプレグは、開繊された強化繊維、および、式(1):
で表されるビスフェノールA型エポキシ化合物と、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールB、ビスフェノールEおよびビスフェノールPからなる群から選択されるビスフェノール化合物との重合物を含む、テープ状の一方向プリプレグであって、該重合物は5,000〜25,000の重量平均分子量を有し、該一方向プリプレグの厚み方向における該強化繊維の平均含有数は10本以下である。本発明の一方向プリプレグにおいて、厚み方向における強化繊維の平均含有数が10本以下であることと、5,000〜25,000の重量平均分子量を有する上記重合物とを含んでいることにより、樹脂マトリックス中にボイド等が含まれることなく強化繊維が存在する。このため、本発明の一方向プリプレグを用いて得られる繊維強化熱可塑性樹脂シートが、高い成形性と強度とを兼ね備える。
で表されるビスフェノールA型エポキシ化合物と、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールB、ビスフェノールEおよびビスフェノールPからなる群から選択されるビスフェノール化合物とを原料として得られる重合物である。
厚み方向における平均含有数の上限は、上記原料化合物の浸透をより高めると共に、本発明の一方向プリプレグのランダム積層体の強度を高めやすい観点から、好ましくは8本以下、より好ましくは7本以下、さらにより好ましくは6本以下である。該厚み方向における平均含有数の下限値は、樹脂の浸透を高めやすい観点からは少ないほどよく、特に限定されないが、好ましくは1本以上、より好ましくは2本以上、さらにより好ましくは3本以上である。
一方向プリプレグあたりの幅方向における平均含有密度を上記の範囲内にすることにより、一方向プリプレグを薄層でありながらも割れが生じにくくし、かつ、ボイドが低減されやすくなる。そして、このような一方向プリプレグを用いて本発明の繊維強化熱可塑性樹脂シートを製造することにより、シートとしての成形性および強度を高めやすく、また、本発明の繊維強化熱可塑性樹脂シートから製造した成形体の品質も向上させやすい。
幅方向における前記強化繊維の平均含有密度は、次の式(2)より算出される。なお、式(2)中の厚み方向における強化繊維の平均含有数の測定方法は上記に述べたとおりである。また、式(2)中の(1/強化繊維の単糸直径[mm])は、幅方向1mmあたりの単位積層内に含まれ得る強化繊維の本数を表す。
で除することにより、幅方向の強化繊維の粗密を表すパラメータが{(m/n)/p}/(1/q)(以下において「値X」とも称する)として算出される。ここで、例えば値Xが1である場合、つまり、(m/n)/pが1/qに等しい場合、強化繊維が隙間なく幅方向に並んでいることを表し、値Xが1より小さくなるにつれて、つまり、(m/n)/pが(1/q)より小さくなるにつれて、幅方向に並ぶ強化繊維間の間隔が大きくなることを意味する。値Xは、プリプレグ内に樹脂と繊維が均一に存在しやすい観点および一方向プリプレグの割れを防止しやすいから、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上、さらに好ましくは0.9以上である。また、値Xは、繊維強化熱可塑性樹脂シートの強度のばらつきを抑制する観点から、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.2以下、さらに好ましくは1.1以下である。
本発明の好ましい一態様を示す図1においては、ビスフェノールA型エポキシ化合物とビスフェノール化合物との重合物である現場重合型の熱可塑性樹脂(マトリックス樹脂1)が強化繊維2の間に十分に浸透しているが、本発明に該当しない一態様を示す図2では、強化繊維2の間にマトリックス樹脂1が十分浸透せずにボイド3が存在している。この違いが、最終的な成形品を製造する際の成形性や、得られた成形品の強度に影響を与える。なお、図1は本発明の一方向プリプレグの一態様を示す模式図であり、本発明の一方向プリプレグの断面形状を何ら限定するものではない。
で表されるビスフェノールA型エポキシ化合物と、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールB、ビスフェノールEおよびビスフェノールPからなる群から選択されるビスフェノール化合物との重合物を含む。該重合物は、5,000〜25,000の重量平均分子量を有する。これにより、テープ生産時の取扱い性が良く、さらにこのテープを用いて製造される繊維強化熱可塑性シートの成形性・賦形性を高めることができる。上記重合物の重量平均分子量は、生産性・成形性の観点から、好ましくは7,000〜20,000、より好ましくは7,000〜15,000である。ここで、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いた装置により測定される。重量平均分子量が上記の下限以上であることが一方向プリプレグの取扱性の観点から好ましく、重量平均分子量が上記の上限以下であることが、ランダム積層体を製造する際の樹脂の流動性が良好となり、ボイド率が低く十分な強度を有する成形体を製造することができるため好ましい。上記重量平均分子量を有する重合物は、上記ビスフェノールA型エポキシ化合物とビスフェノール化合物とが、式(1)で示されるビスフェノールA型エポキシ化合物の末端の反応基(エポキシ基)と、2個のフェノール性水酸基を有する上記ビスフェノール化合物のフェノール基を介して直鎖状に重合した直鎖状の重合物である。上記重合物は、このような構造を有することにより熱可塑性を示す。また、上記重量平均分子量を有する重合物は、現場重合型の重合物であり、一方向プリプレグから熱可塑性樹脂シートを製造する工程、および/または、熱可塑性樹脂シートから成形体を製造する工程において、該重合物のさらなる重合が進行する。具体的には、例えば、該重合物と一方向プリプレグ中になお含まれるビスフェノール化合物とのさらなる重合が進行する。このため、熱可塑性樹脂シートの強度、最終的な成形品を製造する際の成形性、成形品の強度等を高めやすい。
ビスフェノールA型エポキシ化合物は、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの縮合反応より製造される。従来、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、熱硬化型の合成樹脂として代表的な樹脂であり、各種の硬化剤と反応させることにより三次元に硬化し、様々な特性を持つ硬化樹脂が得られる。一方、本発明で使用するビスフェノールA型エポキシ化合物は、式(1)に示されるように、分子鎖の両末端のみに官能基であるエポキシ基を有し、分子鎖の繰り返し単位nが1〜4である。なお、nが1〜4である場合、ビスフェノールA型エポキシ化合物の重量平均分子量は594〜1416である。また、原料として使用するビスフェノール化合物の1つであるビスフェノールAは、フェノールとアセトンの反応によって合成され、次の式(4):
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂シートは、一方向プリプレグのランダム積層体であり、開繊された強化繊維および熱可塑性樹脂を含む。なお、以下において、繊維強化熱可塑性樹脂シートに含まれる熱可塑性樹脂を「熱可塑性樹脂B」とも称する。熱可塑性樹脂Bは、上記式(1)で表されるビスフェノールA型エポキシ化合物と、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールB、ビスフェノールEおよびビスフェノールPからなる群から選択されるビスフェノール化合物との重合物であり、該重合物は30,000以上の重量平均分子量を有する。熱可塑性樹脂Bは、現場重合型の重合物であり、本発明の繊維強化熱可塑性樹脂シートから成形体を製造する際に、該重合物がさらに重合し、より高分子量の重合物となることを意味している。なお、熱可塑性樹脂Bに関し、重量平均分子量に関する記載をのぞいて、上記の熱可塑性樹脂Aに関する記載が同様にあてはまる。本明細書において、一方向プリプレグのランダム積層体とは、一方向プリプレグを切断したチョップドプリプレグを繊維方向がランダムになるように積層させた積層物を加熱・プレス成形することにより得られるシート状の材料であり、このような積層体には、シート物性としての等方性が期待される。
本発明は、本発明の一方向プリプレグのランダム積層体からなる成形体および本発明の繊維強化熱可塑性樹脂シートからなる成形体も提供する。これらの成形体は、本発明の一方向プリプレグのランダム積層体または本発明の繊維強化熱可塑性樹脂シートをプレス等することにより製造される。成形体の用途は何ら限定されないが、例えば、OA機器および携帯電話等に用いられる電気、電子機器部品、支柱および補強材等の建築材料、自動車用構造部品、航空機用部品等が挙げられる。本発明の一方向プリプレグのランダム積層体からなる成形体および本発明の繊維強化熱可塑性樹脂シートからなる成形体は、高い強度を少ないばらつきで有している。また、シートに限らず一方向材としての補強材等にも利用することができる。
次に本発明に係る一方向プリプレグ、繊維強化熱可塑性樹脂シート、および、成形体の製造方法について説明する。
本発明の一方向プリプレグの製造方法は、
(a)強化繊維を、厚み方向における平均含有数が10本以下になるまで開繊する工程、
(b)開繊された強化繊維に、式(1):
で表されるビスフェノールA型エポキシ化合物と、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールB、ビスフェノールEおよびビスフェノールPからなる群から選択されるビスフェノール化合物とを含浸させる工程、ならびに、
(c)前記化合物を含浸させた強化繊維を加熱して、強化繊維に含浸させた化合物を、得られる重合物の重量平均分子量が5,000〜25,000となるまで重合させる工程とを含んでいる。ここで、得られる一方向プリプレグの厚み方向における該強化繊維の平均含有数は10本以下である。
巻き取る工程において、開繊された強化繊維を巻き取る機構(巻き取り軸、モーターなど)とリールが使用される。巻き取り軸に取り付けられたリールが回転することにより、開繊された強化繊維をリールに巻き取ることができる。巻き取り速度は、繊維束の開繊性・開繊された強化繊維の幅等に応じて適宜変更してよい、好ましくは50m/分以下であり、より好ましくは5〜30m/分である。上記範囲の速度で巻き取りを行うことが、幅の精度を高めやすいため好ましい。
で表されるビスフェノールA型エポキシ化合物と、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールB、ビスフェノールEおよびビスフェノールPからなる群から選択されるビスフェノール化合物とを含浸させる。
工程(b)で含浸させる、原料として使用するビスフェノールA型エポキシ化合物とビスフェノール化合物の重量平均分子量は、それぞれ、好ましくは2000以下である。このように、低分子量であり、低粘度の原料を使用することにより、プリプレグ製造の際に開繊された強化繊維間に原料となる化合物が浸透しやすくなり、得られるプリプレグは、繊維間にボイドが含まれることなくこれらの化合物の重合物である熱可塑性樹脂が均一に含浸した状態(フル含浸)となる。
例えば、樹脂の重合反応を促進させるために反応促進剤を使用してもよい。現場重合型の熱可塑性樹脂の原料であるビスフェノールA型エポキシ化合物とビスフェノール化合物とは、求電子置換反応により逐次的に重合する。そのため、求電子置換反応が進みやすい塩基性のリン系・アミン系の反応促進剤を使用することが好ましく、生産速度の観点から有機リン化合物を使用することが特に好ましい。
図6に示す機構は、開繊された強化繊維を導く導糸ローラー19と、樹脂吐出ダイ(20a、20b)と、含浸後の強化繊維を搬送する搬送ベルト22、搬送ローラー21とを備えている。
搬送ローラー21aは導糸ローラー19よりも高い位置となるように設けられている。搬送ローラー21の設置位置は高さが21a>21b>21cとなるように設けられており、原料化合物を含浸後の強化繊維はベルトに面張力を持たせた状態で搬送される。これにより、次の固化工程におけるビスフェノールA型エポキシ化合物とビスフェノール化合物との重合の際の収縮を抑制し、開繊された強化繊維の幅精度を維持して固化させることができる。
樹脂吐出ダイ20は、開繊された強化繊維に原料化合物を塗工・含浸させるために設けられており、強化繊維の搬送路の両側に設けられた一対のダイ(20a、20b)からなる。また、一対の樹脂吐出ダイ(20a、20b)は、基材の搬送方向に対して異なる位置に設けられている。これにより、強化繊維の上下面から原料化合物を塗工することができ、強化繊維間にボイドを生じさせることなく原料化合物を透過させることができる。含浸ダイの吐出口の前後関係は基材の搬送方向に対して異なる位置に設けられていれば特に限定しない。ダイに使用されるダイヘッド及びシムの材質は金属であれば特に限定されずステンレス等が好適に利用される。
現場重合型の熱可塑性樹脂の原料となる化合物を含浸させた強化繊維は搬送ローラー21を経て固化する工程(乾燥炉23)へ送られる。
この固化により、ビスフェノールA型エポキシ化合物とビスフェノール化合物とが直鎖状に重合し、5,000〜25,000、好ましくは5,000〜20,000、より好ましくは7,000〜15,000の重量平均分子量を有する現場重合型の熱可塑性樹脂Aを含む一方向プリプレグが得られる。また、原料と有機溶媒とを含むワニスを用いて含浸させる場合、溶剤の揮発とともにビスフェノールA型エポキシ化合物とビスフェノール化合物との重合反応が進行する。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂シートは、例えば次の工程:
(1)開繊された強化繊維および熱可塑性樹脂を含有するテープ状の一方向プリプレグをランダムに積層し積層物を得る工程、ここで該熱可塑性樹脂は、式(1):
で表されるビスフェノールA型エポキシ化合物と、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールB、ビスフェノールEおよびビスフェノールPからなる群から選択されるビスフェノール化合物との重合物であり、該重合物の重量平均分子量は5,000〜25,000、好ましくは7,000〜20,000、より好ましくは7,000〜15,000であり、該強化繊維の一方向プリプレグの厚み方向における平均含有数は10本以下であり、一方向プリプレグあたりの繊維方向の平均長さは、10〜50mm、好ましくは10〜30mmである、及び
(2)該積層物を、100〜200℃の温度で加熱する工程
を含む製造方法により製造する事ができる。
一方向プリプレグをランダムに積層し積層物を得る工程では、所定の大きさ(例えば300mm角や600mm角等)を有する金型に一方向プリプレグをランダムに積層させる。この場合、得られる積層物の嵩高さは使用する一方向プリプレグの繊維方向の長さによって異なるが20〜50mm程度となり、金型面に対して略均一となることが好ましい。これにより、得られる繊維強化熱可塑性樹脂シートの厚み方向における一方向プリプレグの積層数が一定となり、機械的強度が等方性となる。
(成形体の製造方法)
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂シートは、高い強度と成形性を兼ね備えると共に、強度のばらつきが少なく、様々な繊維強化プラスチック成型体を製造するための中間材料として好適に用いることができる。ここで、従来既知のプリプレグには、少なからずボイドが含まれている場合が多く、このボイドは、このようなプリプレグから製造した熱可塑性樹脂シート中にも残存する。そのため、該ボイドに起因して、成形体の十分な強度が得られなかった。また、成形体の十分な強度を達成するためには、ボイドが除去されるように高温および/または高圧、長時間のプレス成形により、ボイドを除去する必要が生じる場合があった。また、繊維配向が過多となる部分がある場合にも、繊維配向過多による影響を低減するために、高圧での成形を行う必要が生じる場合があった。しかし、本発明の繊維強化熱可塑性樹脂シートは、現場重合型の熱可塑性樹脂を含み、ボイドの発生が限りなく抑制され、繊維強化熱可塑性樹脂シート内で局所的に繊維配向が過多となる部分が限りなく少ないか、存在しないため、従来よりも低温、低圧、短時間の条件でも十分な強度を有する成形体を製造することが可能である。
プレス成形の方法としては、金型を加熱させて成形した後冷却するヒート&クール法や、シートを加熱し軟化させた状態で低温の金型で成形を行うコールドプレス(スタンピング)法等を好適に使用することができる。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂シートから製造した成形体の用途は何ら限定されないが、例えば、OA機器および携帯電話等に用いられる電気、電子機器部品、支柱および補強材等の建築材料、自動車用構造部品、航空機用部品等が挙げられる。本発明の繊維強化熱可塑性樹脂シートから製造した成形体は、高い強度を少ないばらつきで有している。また、シートに限らず一方向材としての補強材等にも利用することができる。
樹脂の重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定した。具体的な測定条件は次の通りである。
後述する製造例3および4で得たプリプレグ1および2に含まれる樹脂の重量平均分子量の測定においては、各プリプレグからテトラヒドロフランを用いて樹脂を抽出し、抽出液の樹脂の濃度が1wt%となるように調整し、測定試料を得た。
実施例1〜3で得た繊維強化熱可塑性樹脂シート1〜3に含まれる熱可塑性樹脂の重量平均分子量の測定においては、各繊維強化熱可塑性樹脂シートからテトラヒドロフランを用いて熱可塑性樹脂を抽出し、抽出液の樹脂の濃度が1wt%となるように調整し、測定試料を得た。
平均曲げ強度および平均曲げ弾性率の測定は、ASTM D790に従い、島津製作所製万能試験機(100kNテンシロン)を用いて行った。測定試料としては、実施例および比較例で得た繊維強化熱可塑性樹脂シートから、縦80mm、横35mm、厚み2mmに切り出した試験片を多数作成し、そこから10本を抜き出して使用した。10回の測定で得た結果から、平均値およびCVを算出した。
平均引張強度及び平均引張弾性率は、JIS K 7100に従い、島津製作所製万能試験機(オートグラフAG-100kNXplus)を用いて行った。測定試料としては、実施例および比較例で得た繊維強化熱可塑性樹脂シート、または、成形性試験2および3で得た成形体から、縦80mm、横35mm、厚み2mmに切り出した試験片を多数作成し、そこから10本を抜き出して使用した。10回の測定で得た結果から、平均値およびCVを算出した。
界面せん断強度は、マイクロドロップレット法により測定した。具体的には、製造例1に記載される開繊された強化繊維から単繊維を取り出し、該単繊維を金具で固定し、そこに製造例2に記載される樹脂組成物のドロップレットを付け、単繊維に固定させるために150℃、30分の条件で加熱処理を行った。単繊維に固定させた10個のドロップレットについて引抜試験を行った。引抜試験には、東栄産業(株)製複合材料界面特性評価装置(MODEL HM410)を使用した。試験から得られた最大引抜き荷重F、予め測定した樹脂玉の埋め込み長さ(L)、繊維径(D)から下式より界面せん断強度τを求めた。
吸水率の測定は、JIS K 7209に準じて行った。規格D法に則り、実施例9で得た繊維強化熱可塑性樹脂シートから、厚み2mm、100mm角の試験片を3つ切り出し、50℃にて乾燥させた。乾燥は重量変化が±0.1mg程度になるまで繰り返した。これを乾燥後の試験片質量m1とした。乾燥後の試験片を、50%RH、23℃(±1℃以内)の恒温恒湿槽に放置し、24時間後に秤量した。重量変化が±0.1mgになるまで、上記の恒温恒湿槽に放置すると共に24時間毎に秤量を行った。これを吸水後の試験片質量m2とした。
各試験片の吸水率(吸収した水の質量百分率)cは、m1及びm2から下式より算出した。
強化繊維を開繊する装置は、原糸を送り出す機構、開繊された強化繊維を巻き取る機構、および炭素繊維が通るガイド、強化繊維を開繊する開繊槽、送りだし或いは巻き取り速度を制御する制御機構を備えていた。なお、原糸を送り出す機構は、トラバースを解消する装置を有していた。繊維束を巻き取り速度20m/分で通糸し、張力を0.04〜0.06g/本の条件で繊維束を解舒後に、開繊槽中の溶液に浸した状態で、繊維束に押圧をかけることにより開繊し、水分を乾燥させて、開繊された強化繊維(以下において「開繊テープ」とも称する)を得た。なお、各実施例および比較例において、所望の平均幅が得られるようにガイド幅をそれぞれ調整した。各実施例および比較例において使用した開繊された強化繊維のフィラメント数、平均幅およびその変動係数、厚み方向における強化繊維の平均含有数は各実施例に示すとおりである。開繊された強化繊維の平均幅およびその変動係数は、カメラを用いて幅を測定した。
ナガセケムテックス社製のXNR6850を1000g(重量平均分子量200〜1,000を有する上記式(1)で表されるビスフェノールA型エポキシ化合物550g、ビスフェノールA300G、および、メチルエチルケトン100gを含む)と反応促進剤(XNH6850)を80g(メチルエチルケトン27g、酢酸エチル27g、有機リン化合物24gを含む)を用意し、攪拌機を用いて均一に混合し、100〜200mPa・sの粘度を有する樹脂組成物を得た。
単糸直径7μm、フィランメント数12kの炭素繊維の原糸(a)を、製造例1の方法に従い開繊した。開繊された炭素繊維(以下、「開繊テープ1」とも称する)は、16mmの平均幅、2.4%の幅長の変動係数(CV)、5.25本の厚み方向における強化繊維の平均含有数を有していた。開繊テープ1を、所定の速度(4mm/分)で通糸し、製造例2で得た樹脂組成物を樹脂吐出ダイ(含浸ダイ)から吐出させ、テープに含浸させた。ここで、含浸工程における装置の設定の詳細は、図6に示される搬送ベルトガイドローラー21の中心と下面ダイヘッド20bとの間の距離Bを20mmとし、角度Aを1°とした。含浸後の樹脂含浸テープを搬送ベルトで受け、200℃に設定した乾燥・重合炉を1分間かけて通過させ、テープ状の一方向プリプレグ1を製造した。製造したテープの長さは2000mであった。上記工程においてテープにかかる張力は300gであった。その結果、平均厚み0.071mm、平均幅15.1mm、繊維体積含有量(Vf)40%(付着量精度±2%)のプリプレグを得た。得られたプリプレグは、両面の樹脂付着性が良好であった。
単糸直径7μm、フィラメント数12kの炭素繊維の原糸(b)を、製造例1の方法に従い開繊した。開繊された炭素繊維(以下、「開繊テープ2」とも称する)は、16mmの平均幅、4.7%の幅長の変動係数(CV)、5.25本の厚み方向における強化繊維の平均含有数を有していた。開繊テープ2を用い、図6に示される距離Bを10mmとし、角度Aを2°としたこと以外は実施例1と同様にして、テープ状の一方向プリプレグ2を製造した。その結果、平均厚み0.06mm、平均幅17.1mm、繊維体積含有量(Vf)40%(付着量精度±2%)のプリプレグを得た。得られたプリプレグは、両面の樹脂付着性が良好であった。
単糸直径7μm、フィランメント数12kの炭素繊維の原糸(c)を、製造例1の方法に従い開繊した。開繊された炭素繊維(以下、「開繊テープ3」とも称する)は、13mmの平均幅、4.4%の幅長の変動係数(CV)、6.46本の厚み方向における強化繊維の平均含有数を有していた。開繊テープ3を用い、図6に示される距離Bを10mmとし、角度Aを2°としたこと以外は実施例1と同様にして、テープ状の一方向プリプレグ3を製造した。その結果、平均厚み0.10mm、平均幅14.1mm、繊維体積含有量(Vf)40%(付着量精度±2%)のプリプレグを得た。得られたプリプレグは、両面の樹脂付着性が良好であった。
単糸直径7μm、フィランメント数12kの炭素繊維の原糸(d)を、製造例1の方法に従い開繊した。開繊された炭素繊維(以下、「開繊テープ4」とも称する)は、13mmの平均幅、4.1%の幅長の変動係数(CV)、6.46本の厚み方向における強化繊維の平均含有数を有していた。開繊テープ4を用い、図6に示される距離Bを20mmとし、角度Aを1°としたこと以外は実施例1と同様にして、テープ状の一方向プリプレグ4を製造した。その結果、平均厚み0.10mm、平均幅13.2mm、繊維体積含有量(Vf)40%(付着量精度±2%)のプリプレグを得た。得られたプリプレグは、両面の樹脂付着性が良好であった。
単糸直径7μm、フィランメント数60kの炭素繊維の原糸(e)を、製造例1の方法に従い開繊した。開繊された炭素繊維(以下、「開繊テープ5」とも称する)は、80mmの平均幅、3.8%の幅長の変動係数(CV)、5.25本の厚み方向における強化繊維の平均含有数を有していた。開繊テープ5を用い、テープにかかる張力を1000gとし、図6に示される距離Bを20mmとし、角度Aを1°としたこと以外は実施例1と同様にして、テープ状の一方向プリプレグ5を製造した。その結果、平均厚み0.072mm、平均幅78mm、繊維体積含有量(Vf)40%(付着量精度±2%)のプリプレグを得た。得られたプリプレグは、両面の樹脂付着性が良好であった。
単糸直径7μm、フィランメント数15kの炭素繊維の原糸(f)を、製造例1の方法に従い開繊した。開繊された炭素繊維(以下、「開繊テープ6」とも称する)は、17mmの平均幅、1.6%の幅長の変動係数(CV)、6.2本の厚み方向における強化繊維の平均含有数を有していた。開繊テープ6を用い、図6に示される距離Bを20mmとし、角度Aを1°としたこと以外は実施例1と同様にして、テープ状の一方向プリプレグ6を製造した。その結果、平均厚み0.075mm、平均幅15mm、繊維体積含有量(Vf)40%(付着量精度±2%)のプリプレグを得た。得られたプリプレグは、両面の樹脂付着性が良好であった。
単糸直径7μm、フィランメント数12kの炭素繊維の原糸(g)を、製造例1の方法に従い開繊した。なお、開繊工程において、拘束剤として変性ポリオレフィン樹脂を炭素繊維の重量に対して0.4%の量で付着させた。開繊された炭素繊維(以下、「開繊テープ7」とも称する)は、17mmの平均幅、1.6%の幅長の変動係数(CV)、6.2本の厚み方向における強化繊維の平均含有数を有していた。開繊テープ7を用い、図6に示される距離Bを20mmとし、角度Aを1°としたこと以外は実施例1と同様にして、テープ状の一方向プリプレグ7を製造した。その結果、平均厚み0.095mm、平均幅13mm、繊維体積含有量(Vf)40%(付着量精度±2%)のプリプレグを得た。得られたプリプレグは、両面の樹脂付着性が良好であった。
単糸直径7μm、フィランメント数12kの炭素繊維の原糸(h)を、製造例1の方法に従い開繊した。開繊された炭素繊維(以下、「開繊テープ8」とも称する)は、16mmの平均幅、6.4%の幅長の変動係数(CV)、5.25本の厚み方向における強化繊維の平均含有数を有していた。開繊テープ8を用い、図6に示される距離Bを70mmとし、角度Aを10°としたこと以外は実施例1と同様にして、テープ状の一方向プリプレグ8を製造した。一方向プリプレグ8を製造時、強化繊維の幅方向への収縮が見られた。その結果、平均厚み0.17mm、平均幅7.1mm、繊維体積含有量(Vf)40%(付着量精度±2%)のプリプレグを得た。得られたプリプレグは、幅が収縮した。
単糸直径7μm、フィランメント数12kの炭素繊維の原糸(i)を、製造例1の方法に従い開繊した。開繊された炭素繊維(以下、「開繊テープ9」とも称する)は、16mmの平均幅、7.2%の幅長の変動係数(CV)、5.25本の厚み方向における強化繊維の平均含有数を有していた。開繊テープ9を用い、図6に示される距離Bを100mmとし、角度Aを0°としたこと以外は実施例1と同様にして、テープ状の一方向プリプレグ9を製造した。その結果、平均厚み0.3mm、平均幅5mm、繊維体積含有量(Vf)40%(付着量精度±2%)のプリプレグを得た。得られたプリプレグは、幅が収縮し、棒状になった。
樹脂付着性の評価基準
A:繊維が剥き出しになった部分が全くない
B:繊維が剥き出しになった部分がほぼない
C:繊維が剥き出しになった部分がやや多い
D:繊維が剥き出しになった部分が非常に多い
実施例1で得たテープを、繊維方向の長さが20mmとなるようにカットした。このようにして得た一方向プリプレグを、300mm角の金型内に繊維方向がばらばらになるように散布した後、金型を、加圧せずに150℃で10分間加熱し、一方向プリプレグに含まれる樹脂を重合させた。その後、150℃を維持しながら、4MPaで20分間加圧し、その後80℃以下まで降温させて脱型した。このようにして、2mmの平均厚みを有する、300mm角の一方向プリプレグの繊維強化熱可塑性樹脂シート1(一方向プリプレグのランダム積層体である非連続繊維等方性シート)を製造した。
製造例1で得たテープを、繊維方向の長さが15mmとなるようにカットした。このようにして得た一方向プリプレグを、600mm角の金型内に繊維方向がばらばらになるようにランダムに散布した後、金型を、加圧せずに150℃で10分間加熱し、一方向プリプレグに含まれる樹脂を重合させた。その後、150℃を維持しながら、4MPaで20分間加圧し、その後80℃以下まで降温させて脱型した。このようにして、2mmの平均厚みを有する、600mm角の繊維強化熱可塑性樹脂シート2(一方向プリプレグのランダム積層体である非連続繊維等方性シート)を製造した。
製造例1で得たテープを、繊維方向の長さが25mmとなるようにカットした。このようにして得た一方向プリプレグを用いたこと以外は実施例9と同様にして、2mmの平均厚みを有する、繊維強化熱可塑性樹脂シート3(一方向プリプレグのランダム積層体である非連続繊維等方性シート)を製造した。
実施例3で得たテープを用いたこと以外は実施例8と同様にして、繊維強化熱可塑性樹脂シート4を製造した。
製造例3で得たテープを、繊維方向の長さが28mmとなるようにカットした。このようにして得た一方向プリプレグを用いたこと以外は実施例1と同様にして、2mmの平均厚みを有する、600mm角の繊維強化熱可塑性樹脂シート5(一方向プリプレグのランダム積層体である非連続繊維等方性シート)を製造した。
実施例6で得たテープを用いたこと以外は実施例8と同様にして、繊維強化熱可塑性樹脂シート6を製造した。
実施例7で得たテープを用いたこと以外は実施例8と同様にして、繊維強化熱可塑性樹脂シート7を製造した。
比較例1で得たテープを用いたこと以外は実施例8と同様にして、繊維強化熱可塑性樹脂シート8製造した。
比較例2で得たテープを用いたこと以外は実施例8と同様にして、繊維強化熱可塑性樹脂シート9を製造した。
製造例1で得られたテープを改めて150℃・20minで加熱することにより、一方向プリプレグに含まれる重合物のさらなる重合を進め、重量平均分子量が80,000の重合物を含む一方向プリプレグを得た。このプリプレグを繊維方向の長さが28mmとなるようにカットした。このようにして得た一方向プリプレグを、300mm角の金型内に繊維方向がばらばらになるようにランダムに散布した後、金型を、加圧せずに200℃で10分間加熱し、その後、200℃を維持しながら、5MPaで20分間加圧し、その後80℃以下まで降温させて脱型した。このようにして2mmの平均厚みを有する、300mm角の繊維強化熱可塑性樹脂シート10(一方向プリプレグのランダム積層体である非連続繊維等方性シート)を製造した。
断面性状の評価基準
A:樹脂の偏りが全くない
B:樹脂の偏りがほぼない
C:樹脂の偏りがやや多い
D:樹脂の偏りが非常に多い
実施例9および比較例5で得た繊維強化熱可塑性樹脂シートを500×200mm角にカットし、遠赤外線ヒーターで190℃および200℃で加熱した。加熱後、樹脂シートを金型(オープン構造)へ搬送し、常温(10℃程度)の金型を用い、10MPaのプレス圧で20秒間プレスした。プレスは、クランクプレス仕様のプレス機、および、自動車のBピラーで使用される金型(図7(金型を凸面側から見た図)および図8(金型を斜めから見た図)参照)を使用して行った。実施例で得た繊維強化熱可塑性樹脂シートについては、何れのサンプルにおいても、加熱温度が異なっていても、樹脂引け等がなく、非常にきれいな転写性のある成形品が得られた。比較例5で得た繊維強化熱可塑性樹脂シートについては、表面転写性が悪く表面にヒケが多く見られた。
実施例10で得た繊維強化熱可塑性樹脂シート2を450×350mm角にカットし、150℃に加熱後、180℃に加熱した金型(オープン構造)へ搬送し、4MPaのプレス圧で1分間プレスした。金型を冷却後、脱型させ成形品を得た。金型として、タイヤハウスで使用されている金型(図9参照)を使用した。
得られた成形品について、曲げ強度及び曲げ弾性率の測定を行った。縦80mm、横35mm、厚み2mmに切り出して試験片を多数作成し、そこから10本を抜き出して使用した。10回の測定で得た結果から、平均値およびCVを算出した。平均曲げ強度は453MPa(CV16.7%)、平均弾性率は24.4GPaであった。
実施例12で得た繊維強化熱可塑性樹脂シート3を450×350mm角にカットし、240℃に加熱後、70℃に加熱した金型(オープン構造)へ搬送し、20MPaのプレス圧で1分間プレスした。プレス後、金型から脱型させ成形品を得た。金型として、タイヤハウスで使用されている金型(図9参照)を使用した。
得られた成形品について、曲げ強度及び曲げ弾性率の測定を行った。縦80mm、横35mm、厚み2mmに切り出して試験片を多数作成し、そこから10本を抜き出して使用した。10回の測定で得た結果から、平均値およびCVを算出した。平均曲げ強度は455MPa(CV17.7%)、平均弾性率は26.1GPaであった。
2 強化繊維
3 ボイド
4 原糸
5 原糸ボビンホルダー
6 送出張力発生モーター
7 糸道ガイド
7a 直前の糸道ガイド
7b 直後の糸道ガイド
8 トラバースガイド
9 開繊前の強化繊維
10 幅ガイド
11 開繊槽
12 開繊溶液
13a〜13h 開繊ガイド
14 乾燥ローラー
15 駆動ローラー
16 巻取部
17 開繊された強化繊維の巻取りパッケージ
18 開繊された強化繊維
19 導糸ローラー
20 樹脂吐出ダイ
20a 上面ダイヘッド
20b 下面ダイヘッド
21 搬送ベルトガイドローラー
22 搬送ベルト
23 乾燥炉
24 冷却装置
25 一方向プリプレグテープ
Claims (15)
- 熱可塑性樹脂100質量部に対して2〜3質量部の有機リン化合物を含む、請求項1または2に記載の一方向プリプレグ。
- 強化繊維は炭素繊維である、請求項1〜3のいずれかに記載の一方向プリプレグ。
- 前記一方向プリプレグの幅長の変動係数は20%以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の一方向プリプレグ。
- 一方向プリプレグの繊維方向の長さは10〜50mmである、請求項6に記載の繊維強化熱可塑性樹脂シート。
- 強化繊維は炭素繊維である、請求項6または7に記載の繊維強化熱可塑性樹脂シート。
- 前記繊維強化熱可塑性樹脂シートの単位厚みあたりの前記一方向プリプレグの層数は10〜40層/mmである、請求項6〜8のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂シート。
- JIS K 7209に従い測定して1wt%以下の吸水率を有する、請求項6〜9のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂シート。
- JIS−7075に従い測定して1vol%以下のボイド率を有する、請求項6〜10のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂シート。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の一方向プリプレグのランダム積層体からなる、または、請求項6〜11のいずれかに記載の繊維強化熱可塑性樹脂シートからなる、成形体。
- (a)強化繊維を、厚み方向における平均含有数が10本以下になるまで開繊する工程、
(b)開繊された強化繊維に、式(1):
で表されるビスフェノールA型エポキシ化合物と、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールB、ビスフェノールEおよびビスフェノールPからなる群から選択されるビスフェノール化合物とを含浸させる工程、ならびに、
(c)前記化合物を含浸させた強化繊維を加熱して、強化繊維に含浸させた化合物を、得られる重合物の重量平均分子量が5,000〜25,000となるまで重合させる工程
を少なくとも含む、一方向プリプレグの製造方法であって、該一方向プリプレグの厚み方向における強化繊維の平均含有数は10本以下である、製造方法。 - 前記工程(b)において、ビスフェノールA型エポキシ化合物とビスフェノール化合物とを50:50〜90:10の質量比で含浸させる、請求項13に記載の製造方法。
- (1)開繊された強化繊維および熱可塑性樹脂を含有するテープ状の一方向プリプレグをランダムに積層し積層物を得る工程、ここで、該熱可塑性樹脂は、式(1):
で表されるビスフェノールA型エポキシ化合物と、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールB、ビスフェノールEおよびビスフェノールPからなる群から選択されるビスフェノール化合物との重合物であり、該重合物の重量平均分子量はは5,000〜25,000であり、該強化繊維の一方向プリプレグの厚み方向における平均含有数は10本以下である、および、
(2)該積層物を、100〜200℃の温度で加熱する工程
を少なくとも含む、繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法。
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