JP2021185034A - 繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い強度を有すると共に、強度のばらつきが少ない繊維強化熱可塑性樹脂シートを効率的に製造する方法を提供する。【解決手段】強化繊維および熱可塑性樹脂を含む一方向プリプレグが、繊維方向がランダムになるように積層された、繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法であって、一方向プリプレグを散布するための散布口を備える散布部、および、一方向プリプレグを積層させるための被積層面を備える積層部を少なくとも有する装置を用いて、被積層面の上方に位置する散布口から一方向プリプレグを被積層面に落下させる散布工程を含み、ここで、一方向プリプレグ1枚あたりの平均体積をVmm3とし、1つの散布口から1回に落下させる一方向プリプレグの重量をXgとし、被積層面から散布口までの距離をHmmとすると、V、XおよびHから次の式(1):により算出される値Aは0.7以下である、製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法に関する。
繊維強化プラスチック(FRP)は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂をマトリックスとし、さらに該樹脂中に炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等の強化繊維を含む複合材料である。
エポキシ樹脂やウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂をマトリックスとする繊維強化プラスチックは、軽量かつ高強度であるため、例えば航空宇宙、自動車、スポーツ用品等の分野で使用されている。熱硬化性樹脂は、未硬化の状態で低粘度であるため強化繊維に対して含浸が容易であり、硬化反応により強度を高めることができる。しかし、熱硬化性樹脂は脆く耐衝撃性に劣るという欠点を有する。また、熱硬化性樹脂をマトリックスとして使用し、プリプレグを製造する場合、樹脂の可使時間が短いために取り扱いが難しい場合があったり、貯蔵安定性が十分でない場合がある。また、複合樹脂材料から部品等を成形する際に、長い成形時間を要するという問題もある。近年、樹脂を含浸させていない強化繊維基材を金型内にセットした後、熱硬化性樹脂を流し込むRTM成形方法が提案され、この方法により成形時間は大幅に短縮された。しかしながら、RTM成形方法を用いた場合でも、1つの成形品を成形するまでに10分以上が必要となる。
これに対して、熱可塑性樹脂をマトリックスとする繊維強化プラスチック(FRTP)は、靭性が高く、プリプレグの保存管理が容易であり、硬化反応が不要なので射出成形・スタンピング成形などに使用可能であり、成形サイクルの高速化が可能である。さらに、FRTPはリサイクル性に優れ、溶接、補修等のリペア性も優れている等、熱硬化性樹脂をマトリックスとする繊維強化プラスチックを上回る多数の利点があることから幅広い分野で実用化されている。
例えば特許文献1には、所定の長さに切断されたチョップド炭素繊維を樹脂ペレットあるいは樹脂パウダーと共に押出機で溶融混練してペレット化し、これを射出成型によって成形品とする方法において使用される、チョップド炭素繊維の製造方法が記載されている。特許文献2には、SMC(シートモールディングコンパウンド)やスタンパブルシートに使用されるチョップド繊維束の製造方法が記載されている。
特許文献3には、薄型成形品にも対応でき、等方的に力学的に優れた成形品を得ることができるとされる、特定の繊維長と特定の二次元配向角を有する強化繊維を含むプリプレグが記載されている。特許文献3に記載されるプリプレグ中で、強化繊維は単糸状で存在している。
熱可塑性樹脂をマトリックスとする繊維強化プラスチックの製造方法として、熱可塑性樹脂と強化繊維を含むチョップド・プリプレグが積層された積層物である繊維強化熱可塑性樹脂シートも知られている。例えば特許文献4には、所定の繊維方向の長さを有するチョップドストランドプリプレグを、繊維配向が二次元ランダムになるようにシート状に積層させて得た積層物を点溶着することで一体化して得られる繊維強化熱可塑性樹脂シートが記載されている。特許文献5には、特定のチョップドストランドプリプレグを繊維配向がランダムになるように積層して得た積層物を加熱・加圧してなる等方性の繊維強化熱可塑性樹脂シートが記載されている。
特許第4161409号公報 特開2009−114612号公報 特開2010−235779号公報 特開2007−262360号公報 特開2013−221040号公報
繊維強化プラスチックの製造方法について、上記種々の方法が提案されてはいるが、繊維強化プラスチックの強度の向上に対する要求はなお存在する。また、高強度で強度ばらつきの少ない繊維強化プラスチックに対する要求も存在する。例えば、特許文献1および特許文献2等に開示されている方法は、射出成型時またはプレス成形時に成形用の型内で繊維と樹脂とを含浸させるために、薄肉の成形品の製造が困難である。また、成形時に、樹脂が流動することにより繊維配向が乱れ、繊維の配向性の制御が困難である等の問題がある。特許文献3に開示されるようにプリプレグ中の強化繊維が単糸状となる場合、繊維長が長くなると繊維の直線性が維持できなくなり、物性が低下する場合がある。
さらに、特許文献4および5に開示されるように、チョップドストランドプリプレグを繊維配向が二次元ランダムになるようにシート状に積層させる工程を経て繊維強化熱可塑性樹脂シートを製造することが知られてはいるが、特許文献4および5は、落下高さや基材重量の明確な規定はなく、それら方法による繊維強化熱可塑性樹脂シートの強度のばらつきについて何ら着目するものではない。
そのため、本発明は、高い強度を有すると共に、強度のばらつきが少ない繊維強化熱可塑性樹脂シートを、任意のサイズで自由に製造できることで、材料ロスを最小限に抑えつつ高品質なシートを効率的に製造する方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明者らは鋭意検討を行った結果、一方向プリプレグを落下高さ、基材重量および体積が特定の関係を満たす条件下において自由落下させて散布および積層することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
[1]強化繊維および熱可塑性樹脂を含む一方向プリプレグが、繊維方向がランダムになるように積層された、繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法であって、
一方向プリプレグを散布するための散布口を備える散布部、および、一方向プリプレグを積層させるための被積層面を備える積層部を少なくとも有する装置を用いて、被積層面の上方に位置する散布口から一方向プリプレグを被積層面に落下させる散布工程を含み、ここで、一方向プリプレグ1枚あたりの平均体積をVmmとし、1つの散布口から1回に落下させる一方向プリプレグの重量をXgとし、被積層面から散布口までの距離をHmmとすると、V、XおよびHから次の式(1):
Figure 2021185034
により算出される値Aは0.7以下である、製造方法。
[2]1つの散布口から1回に落下させる一方向プリプレグの重量(Xg)、および、被積層面から散布口までの距離(Hmm)から次の式(2):
Figure 2021185034
により算出される値Bは0.03以下である、前記[1]に記載の製造方法。
[3]一方向プリプレグの平均体積(Vmm)は、4〜60mmである、前記[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]被積層面を1または2以上の積層区画に分け、各積層区画において前記散布工程を行う、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]1つの積層区画に対し2回以上の散布工程を行う、前記[4]に記載の製造方法。
[6]2つ以上の散布口から一方向プリプレグを落下させる、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]散布部および/または積層部が、被積層面に対して略水平方向に連続的または間欠的に移動する、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]各積層区画の大きさ(Lmm)、および、被積層面から散布口までの距離(Hmm)から次の式(3):
Figure 2021185034
により算出される値Cは1〜50である、前記[4]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
[9]散布工程により得た積層物を加熱して一次接着凝集物を得る工程をさらに含む、前記[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法。
[10]繊維強化熱可塑性樹脂シートの単位面積あたりの重量は300〜1600g/mである、前記[1]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11]繊維強化熱可塑性樹脂シートの繊維体積含有率は10〜99体積%である、前記[1]〜[10]のいずれかに記載の製造方法。
[12]強化繊維は炭素繊維である、前記[1]〜[11]のいずれかに記載の製造方法。
[13]繊維強化熱可塑性樹脂シートにおいて、JIS K 7164に従い測定した引張強度のCV値は20.0%未満である、前記[1]〜[12]のいずれかに記載の製造方法。
本発明の製造方法によれば、薄層でありながらも高い強度を有すると共に、強度のばらつきが少ない繊維強化熱可塑性樹脂シートを、効率的に製造することができる。
本発明の製造方法の一実施形態で用いる装置の散布部および積層部の概略図を示す図である。 本発明の製造方法における散布工程の一例を説明するための図である。 本発明の製造方法の一実施形態で用いる装置全体の概略図を示す図である。 本発明の製造方法における散布工程の一例を説明するための図である。 本発明の製造方法における散布工程の別の一例を説明するための図である。 本発明の実施例で使用した装置を説明するための概略図を示す図である。 本発明の実施例および比較例で使用した装置を説明するための概略図を示す図である。 本発明の実施例および比較例における散布工程を説明するための図である。 本発明の実施例および比較例における散布工程を説明するための図である。 本発明の実施例および比較例における散布工程を説明するための図である。 本発明の実施例および比較例における散布工程を説明するための図である。 本発明の実施例および比較例における散布工程を説明するための図である。 本発明の実施例および比較例における散布工程を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更をすることができる。
〔繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法〕
本発明の製造方法は、強化繊維および熱可塑性樹脂を含む一方向プリプレグが、繊維方向がランダムになるように積層された、繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法であって、一方向プリプレグを散布するための散布口を備える散布部、および、一方向プリプレグを積層させるための被積層面を備える積層部を少なくとも有する装置を用いて、被積層面の上方に位置する散布口から一方向プリプレグを被積層面に落下させる散布工程を含み、ここで、一方向プリプレグ1枚あたりの平均体積をVmmとし、1つの散布口から1回に落下させる一方向プリプレグの重量をXgとし、被積層面から散布口までの距離をHmmとすると、V、XおよびHから次の式(1):
Figure 2021185034
により算出される値Aは0.7以下である、製造方法である。上記特徴を有する本発明の製造方法によれば、薄層でありながらも高い強度と賦形性とを兼ね備え、強度のばらつきが少ない繊維強化熱可塑性樹脂シートを効率的に製造することができる。
上記式(1)により算出される値Aが0.7を超える場合、一方向プリプレグを十分なランダム性で散布および積層させることができない。その結果、得られる繊維強化熱可塑性樹脂シートの強度が低下し、強度のばらつきが大きくなる。ここで、本明細書において一方向プリプレグのランダム性とは、特に被積層面に対しての2次元方向における強化繊維のランダム性であり、プリプレグを2次元方向においてランダムに積層することにより、高い強度を有すると共に、強度のばらつきが少ない繊維強化熱可塑性樹脂シートを得ることができる。値Aが上記の上限以下である場合、引張強度等の機械的強度のばらつきを抑制することができる。値Aの下限値は特に限定されないが、延べ散布回数を低下させて生産効率を高めやすい観点からは、1回あたりの散布重量が大きい条件が好ましく、例えば0.05以上であることが好ましい。値Aは、上記式(1)から理解されるように、一方向プリプレグ1枚あたりの平均体積(Vmm)、および/または、1つの散布口から1回に落下させる一方向プリプレグの重量(Xg)を大きくするか、被積層面から散布口までの距離(Hmm)を小さくすることにより、増大する値である。そのため、これらの条件を適宜設定することにより、値Aを上記範囲に調整することができる。なお、一方向プリプレグ1枚あたりの平均体積(Vmm)、1つの散布口から1回に落下させる一方向プリプレグの重量(Xg)、および、被積層面から散布口までの距離(Hmm)は、後述する方法により測定される。
本発明の製造方法において、1つの散布口から1回に落下させる一方向プリプレグの重量(Xg)、および、被積層面から散布口までの距離(Hmm)から次の式(2):
Figure 2021185034
により算出される値Bは、好ましくは0.03以下である。値Bが上記の上限以下である場合、繊維強化熱可塑性樹脂シートの強度ばらつきを抑制しやすい。値Bの下限値は特に限定されず、例えば0.001以上であることが好ましい。値Bは、上記式(2)から理解されるように、1つの散布口から1回に落下させる一方向プリプレグの重量(Xg)を大きくするか、被積層面から散布口までの距離(Hmm)を小さくすることにより、増大する値である。そのため、これらの条件を適宜設定することにより、値Bを上記範囲に調整することができる。なお、1つの散布口から1回に落下させる一方向プリプレグの重量(Xg)、および、被積層面から散布口までの距離(Hmm)は、後述する方法により測定される。
本発明の製造方法によれば、一方向プリプレグが、繊維方向がランダムになるように積層された繊維強化熱可塑性樹脂シートを効率的に製造することができる。ここで、繊維強化熱可塑性樹脂シートにおいて一方向プリプレグが、繊維方向がランダムになるように積層されている場合、繊維強化熱可塑性樹脂シートの等方性を高めることができる。これは、繊維方向が一定の方向に対し局所的に過多とならないために、繊維を介した繊維軸方向と異にする方向への応力伝達が十分に行われ、等方的に本来繊維が持つ強度を十分に活かすことができるためであると考えられる。また、一方向プリプレグの繊維方向がランダムになるように積層されている場合、繊維強化熱可塑性樹脂シートの機械的強度のばらつきを抑制することができ、等方性を高めやすい。これは以下の理由によると考えられる。まず、繊維強化熱可塑性樹脂シートに含まれる一方向プリプレグ1枚に着目すると、繊維方向に対しては機械的強度が高く、繊維方向に直交する幅方向に対しては機械的強度が弱い傾向にある。そのため、繊維強化熱可塑性樹脂シートのある方向に対し繊維方向が局所的に過多となっている場合には、該方向に対しては高い機械的強度を有するが、該方向に直交する方向に対しては機械的強度が低下する。そのため、繊維強化熱可塑性樹脂シート中に、このような局所的に繊維方向が過多となる部分が存在すると、ある方向に対しては高い機械的強度を示すが、別のある方向に対しては機械的強度が低くなり、十分な等方性が得られなくなると考えられる。この場合、繊維強化熱可塑性樹脂シートの機械的強度を測定し、変動係数を算出すると、ばらつきが多いために変動係数が高くなる傾向がある。本発明においては、繊維強化熱可塑性樹脂シートの引張強度の変動係数(CV値)が好ましくは20.0%未満、より好ましくは19.0%以下、さらに好ましくは15.0%以下、特に好ましくは10.0%以下となるように一方向プリプレグがランダムに積層されることが好ましい。なお、繊維強化熱可塑性樹脂シートの引張強度は、JIS K 7164に従い測定される。測定条件の詳細は後述する通りである。変動係数(CV値)は、少なくとも5個の測定試料について測定した結果から得た標準偏差および平均値から、次の式:
Figure 2021185034
により算出される。変動係数の値が小さいほど、繊維強化熱可塑性樹脂シートの等方性が高く、強度のばらつきが少ないことを表す。ここで、本発明においては、繊維強化熱可塑性樹脂シートの等方性の指標として、機械的強度、特に引張強度のばらつき(変動係数)に着目している。繊維強化熱可塑性樹脂シートについて測定可能な機械的強度としては、引張強度の他に、曲げ強度、曲げ弾性率等が挙げられる。この中でも、引張強度は、繊維強化熱可塑性樹脂シート全体における一方向プリプレグの配向性の影響をより受けやすい。そのため、引張強度のばらつきから、繊維強化熱可塑性樹脂シート全体における一方向プリプレグの配向性(等方性)のばらつきをより精度よく評価できると考えられる。これに対し、曲げ強度および曲げ弾性率は、実際には繊維強化熱可塑性樹脂シートの表層における一方向プリプレグの配向性の影響を反映しやすいため、これらの機械的強度のばらつきからは、シート全体におけるばらつきを高い精度で評価しにくい場合がある。本発明の製造方法により製造した繊維強化熱可塑性樹脂シートは、等方性が高く、強度のばらつきが少ないため、高い賦形性を有している。
本発明において、繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造に使用する一方向プリプレグの1枚あたりの平均体積(Vmm)は、好ましくは4〜60mm、より好ましくは4〜40mmである。一方向プリプレグ1枚あたりの平均体積が上記の上限を超えると、単位面積あたりに散布できる基材枚数が減少することにより、物性のばらつきが増大する場合がある。該平均体積が上記の上限以下であると、基材枚数を等方性を高めるに十分な量としやすく、物性のばらつきを抑制しやすい。一方向プリプレグの1枚あたりの体積(Vmm)は、一方向プリプレグについて繊維方向、繊維方向と直交する幅方向、厚み方向の長さを、デジタルノギスを用いて測定し、それらの積を算出することにより測定される。上記測定を任意に選出した少なくとも10枚の一方向プリプレグのそれぞれについて行い、得られた結果の平均値を一方向プリプレグ1枚あたりの平均体積とする。
本発明において、繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造に使用する一方向プリプレグの繊維方向の平均長さは、好ましくは10〜50mm、より好ましくは10〜30mmである。一方向プリプレグの繊維方向の平均長さが上記の下限以上であると、繊維強化熱可塑性樹脂シートの機械的強度を高めやすく、そのばらつきを低減しやすい。また、該平均長さが上記の上限以下であると、繊維強化熱可塑性樹脂シートにおけるボイドの発生を抑制しやすい。一方向プリプレグの繊維方向の長さは、デジタルノギスを用いて測定される。上記測定を任意に選出した少なくとも10枚の一方向プリプレグのそれぞれについて行い得た結果の平均値を一方向プリプレグの繊維方向の平均長さとする。
本発明において、繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造に使用する一方向プリプレグの幅方向の平均長さは、好ましくは10〜20mm、より好ましくは12〜20mm、さらに好ましくは15〜20mmである。ここで、一方向プリプレグの幅方向とは、一方向プリプレグの繊維方向に直交する方向である。一方向プリプレグの幅方向の平均長さが上記の下限以上であると、単位厚さあたりの積層枚数を十分な枚数としやすく、機械的強度のばらつきを抑制しやすい。また、該平均長さが上記の上限以下であると、テープの割れを防止しやすいため、一方向プリプレグ1枚あたりの基材体積を安定させやすく、機械的強度のばらつきを抑制しやすい。一方向プリプレグの幅方向の長さは、デジタルノギスを用いて測定される。上記測定を任意に選出した少なくとも10枚の一方向プリプレグのそれぞれについて行い得た結果の平均値を一方向プリプレグの幅方向の平均長さとする。
本発明において、繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造に使用する一方向プリプレグの平均厚みは、好ましくは115〜55μm、より好ましくは96〜55μm、さらに好ましくは77〜55μmである。一方向プリプレグの平均厚みが上記の下限以上であると、テープの割れを抑制しやすいため、一方向プリプレグ1枚あたりの基材体積を安定させやすく、機械的強度のばらつきを抑制しやすい。また、該平均厚みが上記の上限以下であると、単位厚さあたりの積層枚数を十分な枚数としやすく、機械的強度のばらつきを抑制しやすい。一方向プリプレグの厚みは、マイクロメーターを用いて測定される。上記測定を任意に選出した少なくとも10枚の一方向プリプレグのそれぞれについて行って得た結果の平均値を一方向プリプレグの平均厚みとする。
(装置)
次に、本発明の製造方法において使用する装置について説明する。本発明の製造方法においては、一方向プリプレグを散布するための散布口を備える散布部、および、一方向プリプレグを積層させるための被積層面を備える積層部を少なくとも有する装置を使用する。本発明の製造方法において、例えば図1に示すような構成を有する装置を使用してよい。散布装置は、散布部および積層部の他に、散布部の高さを調整する機構や、散布部または積層部を2次平面方向(例えば被積層面に対して略水平な方向)に移動させるための機構などを有していてもよい。移動させるための機構としては、例えば電動モーターや油圧式モーターなどを用いてよい。
(散布部)
一方向プリプレグを散布するための散布口を備える散布部は、所定量の一方向プリプレグを散布口から被積層面に散布することができる限りその構成は特に限定されない。散布部は、例えば、一方向プリプレグを散布するための散布口、1つの散布口から1回に落下させる一方向プリプレグの重量(以下において、「散布量」とも称する)を調整するための計量部、プリプレグを貯留しておくための貯留槽、貯留槽から計量部へとプリプレグを輸送するための輸送部等を備えていてよい。該装置においては、貯留槽に貯留された一方向プリプレグが、輸送部を経て計量部へと供給され、軽量部にて重量計測が行われ、所定の重量に達すると散布口が開き、一方向プリプレグが被積層面へと自由落下する。この際、散布口から被積層面までの環境は、重力以外の外力が加わらない環境とすることが好ましい。
散布口は、通常、被積層面の上方に位置しており、開閉可能であり、散布口が開くことにより所定の散布量の一方向プリプレグが散布され、被積層面に積層されるように設定されている。本発明の装置において、散布部は1つの散布口を有していてもよいし、2つ以上の散布口を有していてもよい。本発明の製造方法による繊維強化熱可塑性樹脂シートの生産効率を高めやすい観点からは、散布部は、好ましくは2つ以上の散布口を有する。散布口の大きさや形状は特に限定されず、所望の大きさおよび形状の散布口を使用してよいが、一方向プリプレグが引っかからず、散布させやすい形状が好ましい。散布工程において一方向プリプレグが自由落下する際、基本的には、散布点を中心に放射状に広がり積層が行われる。
(積層部)
一方向プリプレグを積層させるための被積層面を備える積層部は、散布口から散布された一方向プリプレグが被積層面に積層されるような装置である限りその構成は特に限定されない。被積層面は、通常、散布口の下方に位置し、散布口から重力により落下した一方向プリプレグが、被積層面に積層されるように設定される。積層部は、例えば、ダブルベルトプレス機、ベルトコンベア、金型(例えばシアエッジ構造の平板金型等)、テーブル等であってよい。
(散布工程)
本発明の製造方法は、上記のような散布部および積層部を少なくとも有する装置を用いて、被積層面の上方に位置する散布口から一方向プリプレグを被積層面に落下させる散布工程を含む。本明細書においては、1つの散布口から、所定の散布量(Xg)の一方向プリプレグを1回散布することを、1回の散布工程が行われたと考える。その場合、散布口の中心の下方に位置する被積層面上の所定の座標点を中心とする1つの区画に対し、1回の散布工程が行われたと考える。1回の散布工程により積層が行われる上記1つの区画を、以下において、積層区画とも称する。具体的には、所望される繊維強化熱可塑性樹脂シートの大きさに応じて、最終的に得られる繊維強化熱可塑性樹脂シートの大きさを有する被積層面を1つの積層区画として散布工程を行い熱可塑性樹脂シートを製造してもよいし、最終的に得られる繊維強化熱可塑性樹脂シートの大きさを有する被積層面を2以上の積層区画に分けて2回以上の散布工程を行い、1つの熱可塑性樹脂シートを製造してもよい。
繊維強化熱可塑性樹脂シートの機械的強度を高めると共に、機械的強度のばらつきを抑制し等方性を高めやすい観点からは、被積層面における1つの積層区画に対して行う散布工程の回数(プライ数)は、好ましくは2回以上、より好ましくは3回以上、さらに好ましくは4回以上である。1つの積層区画に対して行う散布回数の上限は特に限定されず、例えば50回以下、好ましくは20回以下、より好ましくは10回以下程度であればよい。また、同様の観点から、平米あたりの被積層面を好ましくは25以上、より好ましくは45以上、さらに好ましくは100以上の積層区画に分けて、散布を行うことが好ましい。なお、繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造を連続的に行ってもよいため、被積層面における積層区画の区画数の上限は特に限定されない。
散布工程において、1回の散布による被積層面の単位面積あたりの重量(以下において、「散布目付け」とも称する)は、所望される繊維強化熱可塑性樹脂シートの単位面積あたりの重量(以下において「シート目付け」とも称する)に応じて適宜設定してよい。繊維強化熱可塑性樹脂シートの強度および等方性を高めやすい観点からは、好ましくは1600g/m以下、より好ましくは1100g/m以下である。該シート目付の下限は特に限定されず、例えば300g/m以上程度であればよい。ここで、散布目付けは、散布部のロードセルにて計測した1回あたりの散布量を、積層区画の大きさにより除することで算出される。
散布工程において、一方向プリプレグを繊維方向がランダムになるように積層させる観点から、値Aが上記所定の範囲になるように、被積層面から散布口までの距離(Hmm、以下において「散布高さ」とも称する)を調整することが好ましい。被積層面から散布口までの距離は、一方向プリプレグの落下が開始される部分である散布口の位置と、落下した一方向プリプレグが積層する被積層面の位置との間の距離である。具体的には、例えば図1中に散布高さ10として示される部分の距離である。該距離は、例えばスケール用いて測定される。散布高さ(Hmm)は、本発明の製造方法において使用する一方向プリプレグの平均体積や、一方向プリプレグの散布量等に応じて、例えば上記所定の範囲の値Aが得られるように適宜設定すればよいが、自然の摂理を十分に作用させる観点から好ましくは100mm以上である。また、基材が広範囲に広がりすぎることを抑制する観点から好ましくは1000mm以下である。
本発明の製造方法において、散布部および/または積層部は、連続的または間欠的に移動してよい。上記被積層面から散布口までの距離を維持して複数回の散布工程を行いやすい観点からは、散布部および/または積層部が被積層面に対して略水平方向に連続的または間欠的に移動することが好ましい。
散布部および/または積層部を連続的または間欠的に移動させ、一方向プリプレグを散布および積層させることで、面方向に等方性の積層物を形成することができる。散布部または積層部を一方向に連続的に移動させながら連続的に熱可塑性樹脂シートを製造する場合、生産性を高めやすい観点からは、移動方向と垂直な方向に、並列に、2個以上の散布口を据えつけることが好ましい。この場合、散布間隔(散布部または積層部を移動させる間隔)と、隣り合う散布口間の間隔とを等しくすることが好ましい。
散布部および/または積層部を間欠的に移動させる場合、一つの散布口でも散布は可能であり、この際所定のシート幅に対して積層部か散布部の送り量を合わせることで積層を行ってもよい。
油圧プレス機などによるバッチ式生産の場合、所望される被積層面の大きさに合わせて散布部および/または積層部を連続的または間欠的に移動させながら、積層物が所定の厚みとなるまで、散布工程を繰り返すことが好ましい。広範囲に散布をする場合には、等しい散布間隔で、升目状に順次積層させることが好ましい。ダブルベルトプレス機などによる連続式生産の場合、所定厚みの積層に必要なシート積層数だけ、散布部を多条化させることが好ましい。また、ベルトの進行方向に対して垂直な方向に、並列に並べられた散布口の間隔に合わせて、ベルト進行方向に対しても等間隔で散布することが好ましい。
(被積層面および積層区画)
本発明の製造方法において、被積層面を1または2以上の積層区画に分け、各積層区画において前記散布工程を行ってよい。具体的には上記に述べたように、被積層面において、所望される繊維強化熱可塑性樹脂シートの大きさを有する区画を1つの積層区画として散布工程を行い熱可塑性樹脂シートを製造してもよいし、所望される繊維強化熱可塑性樹脂シートの大きさを有する区画を2以上の積層区画に分けて2回以上の散布工程を行い、1つの熱可塑性樹脂シートを製造してもよい。等方性に優れる繊維強化熱可塑性樹脂シートを得やすい観点からは、所望される繊維強化熱可塑性樹脂シートの大きさを有する区画を2以上の積層区画に分けて2回以上の散布工程を行い、1つの熱可塑性樹脂シートを製造することが好ましい。
高い強度を有すると共に、強度のばらつきが少ない繊維強化熱可塑性樹脂シートを製造しやすい観点から、各積層区画の大きさ(Lmm)、および、被積層面から散布口までの距離(Hmm)から次の式(3):
Figure 2021185034
により算出される値Cは、好ましくは1〜50、より好ましくは1〜30である。値Cが上記の範囲内である場合、隣り合う積層区画間での積層された一方向プリプレグの重なりが良好となりやすく、繊維強化熱可塑性樹脂シートの機械的強度のばらつきを抑制しやすい。
各積層区画の大きさは次のようにして算出される。例えば被積層面において所望される繊維強化熱可塑性樹脂シートの大きさを有する区画を1つの積層区画として散布工程を行う場合には、最終的に得られる繊維強化熱可塑性樹脂シートの大きさが積層区画の大きさとなる。例えば1口の散布口を用いて、被積層面において所望される繊維強化熱可塑性樹脂シートの大きさを有する区画を2以上の積層区画に分けて散布工程を行う場合には、散布部および/または積層部を、被積層面に略水平方向のx軸およびy軸方向に移動させて2回以上の散布を行う必要がある。この場合、x軸およびy軸方向の移動距離の積を各積層区画の大きさとする。また、例えば2口以上の散布口を用いて、被積層面において所望される繊維強化熱可塑性樹脂シートの大きさを有する区画を2以上の積層区画に分けて散布工程を行う場合には、該2口以上の散布口を有する散布部および/または積層部を、被積層面に略水平方向のx軸および/またはy軸方向に移動させて2回以上の散布を行う必要があるが、この場合、散布口間の距離と、x軸および/またはy軸方向の移動距離との積を各積層区画の大きさとする。各積層区画の形状は、所望される繊維強化熱可塑性樹脂シートの形状に応じて適宜決定してよいが、散布工程において一方向プリプレグが自由落下する際、基本的には、散布点を中心に放射状に広がり積層が行われるため、正方形や円形などの形状の積層区画を対象として散布を行うことが好ましく、積層区画が正方形となるように移動距離および/または散布口間距離を互いに等しい長さとすることがより好ましい。
被積層面を1または2以上の積層区画に分け、各積層区画において前記散布工程を行い繊維強化熱可塑性樹脂シートを製造する方法としては、例えば次の態様(1)〜(3)が挙げられる。
(1)被積層面を1つの積層区画に分け、1つの散布口を用い散布工程を行う態様
この態様において、具体的には、被積層面において、所望される繊維強化熱可塑性樹脂シートの大きさを有する区画を1つの積層区画として散布工程を行い熱可塑性樹脂シートを製造する。1つの積層区画における散布回数は1回でもよいし、2回以上であってもよいが、1つの積層区画に対し2回以上の散布工程を行うことが好ましい。
(2)被積層面を2以上の積層区画に分け、1つの散布口を用い散布工程を行う態様
この態様において、具体的には、被積層面において、所望される繊維強化熱可塑性樹脂シートの大きさを有する区画を2以上のn個の積層区画に分けて、各積層区画において散布工程を行い熱可塑性樹脂シートを製造する。この態様において、散布部および/または積層部を、被積層面に対して略水平方向に連続的または間欠的に移動させて、n個の積層区画のそれぞれにおいて散布工程を行う。ここで、1つの積層区画における散布回数は1回でもよいし、2回以上であってもよいが、1つの積層区画に対し2回以上の散布工程を行うことが、高い強度を有すると共に、強度のばらつきが少ない繊維強化熱可塑性樹脂シートを効率的に製造しやすい観点から好ましい。
(3)被積層面を2以上の積層区画に分け、2つの散布口を用い散布工程を行う態様
この態様において、具体的には、被積層面において、所望される繊維強化熱可塑性樹脂シートの大きさを有する区画を2以上のn個の積層区画に分けて、各積層区画において散布工程を行い熱可塑性樹脂シートを製造する。この態様において、散布部および/または積層部を、被積層面に対して略水平方向に連続的または間欠的に移動させて、n個の積層区画のそれぞれにおいて散布工程を行う。ここで、1つの積層区画における散布回数は1回でもよいし、2回以上であってもよいが、1つの積層区画に対し2回以上の散布工程を行うことが、高い強度を有すると共に、強度のばらつきが少ない繊維強化熱可塑性樹脂シートを効率的に製造しやすい観点から好ましい。
上記の(2)および(3)の態様について、n個の積層区画のそれぞれに対しm回の散布工程を行う方法について、より詳細に説明する(ここでnおよびmは2以上の整数である)。この場合、例えば次の(a)および(b)の態様が考えられる。(a)の態様としては、n個の積層区画の1つの区画において1回の散布工程を行った後、x軸方向またはy軸方向に所定の距離で散布部または積層部を移動させて次の区画へと移動し、次の区画において1回の散布工程を行う。これをn個の積層区画の全てについて行い、合計してn回の散布工程を行った後、同様にして各積層区画において2回目の散布工程を行い、合計して2×n回の散布工程を行う。そして、各積層区画における散布回数がm回となるまで上記工程を繰り返す方法が挙げられる。(b)の態様としては、n個の積層区画の1つの区画においてm回の散布工程を行った後、x軸方向またはy軸方向に所定の距離で散布部または積層部を移動させて次の区画へと移動し、次の区画においてm回の散布工程を行う方法が挙げられる。上記(a)の態様が、高い強度を有すると共に、強度のばらつきが少ない繊維強化熱可塑性樹脂シートを効率的に製造しやすい観点から好ましい。
(積層物)
本発明の製造方法において、上記のような散布工程を経て被積層面上に一方向プリプレグの積層物が得られる。積層物の高さは、シート成形時に含まれるボイドを抑制する観点から、好ましくは5〜50mm、より好ましくは5〜30mm、さらに好ましくは5〜15mmである。ここで、積層物の高さは、平均高さとしてスケールにより測定することができる。
〔加熱工程〕
上記のようにして得た一方向プリプレグの積層物を加熱することにより、繊維強化熱可塑性樹脂シートを製造することができる。加熱と共に、加圧を行ってもよい。繊維強化熱可塑性樹脂シートの機械的強度を高めやすい観点からは、該積層物を加熱および加圧して、繊維強化熱可塑性樹脂シートを製造することが好ましい。繊維強化熱可塑性樹脂シートを製造するための加熱工程における加熱温度は、好ましくは100〜300℃である。加圧を行う場合、加圧時の圧力は、好ましくは0.1〜10MPa、より好ましくは0.5〜5.0MPaである。具体的には、例えばスチールベルト等のコンベア上に堆積・積層させた一方向プリプレグの積層物を、スチールベルトごと熱ロール間に通過させ、加熱、加圧、あるいは間欠プレスする方法や、ベルトプレスにより加熱および冷却を連続して行う方法、遠赤外線ヒーターによって予熱した後、コールドプレスする方法、あるいは、加熱冷却プレスを用いるバッチ方式などが挙げられる。繊維強化熱可塑性樹脂シートを製造するための加熱工程の温度は、樹脂のガラス転移温度より100℃以上高いことが好ましい。これにより、樹脂の流動性が良好となり、さらに加圧することで積層されたプリプレグ間に存在する隙間を埋めることが可能となる。この結果、得られる成形体のボイドを低減させやすくなる。
〔本発明の製造方法の実施形態〕
次に、本発明の製造方法を以下の実施形態により詳細に説明する。なお、以下において、図面に表された構成を説明するうえで、「上」、「下」等の方向を示す用語、およびそれらを含む別の用語を使用するが、それらの用語を使用する目的は図面を通じて実施形態の理解を容易にすることである。したがって、それらの用語は本発明の実施形態が実際に使用されるときの方向を示すものとは限らないし、それらの用語によって特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲は何ら限定されない。
(第1実施形態)
本発明の製造方法の第1実施形態を、図1および図2を用いて説明する。図1は本実施形態に用いる装置の散布部および積層部の概略図である。図1に示すように、本実施形態の製造方法で使用する装置は、一方向プリプレグを散布するための散布口1、1つの散布口から1回に落下させる一方向プリプレグの重量(Xg)を調整するための計量部2、プリプレグを貯留しておくための貯留槽3、および、貯留槽3から計量部2へとプリプレグを輸送するための輸送部4を備える散布部5を1つ有する。本実施形態においては、被積層面を図2に示すように25の積層区画に分けて、各積層区画において3回の散布工程を行い、繊維強化熱可塑性樹脂シートを製造する。具体的には、図2に示すように1回目の散布工程をa1として示す積層区画において行った後、散布部および/または積層部が図2中のx軸またはy軸方向に移動することにより、隣のa2として示す積層区画において2回目の散布工程を行う。そして、25の積層区画のそれぞれにおいて1回の散布工程(合計して25回の散布工程)を行った後、次にa26として示す積層区画において、該区画における2回目の散布工程を行い、これを25の積層区画のそれぞれにおいて行う。例えばこの散布工程を3回繰り返し、合計して75回の散布工程を行い、プライ数が3の繊維強化熱可塑性樹脂シートを製造することができる。この実施形態において、各積層区画の大きさ(Lmm)は、散布工程間で散布口をx軸方向に移動させる距離と、y軸方向に移動させる距離との積から算出される。図2に示すように、積層区画が正方形となるように、x軸およびy軸方向の移動距離を等しく設定することが、繊維強化熱可塑性樹脂シートの等方性を高めやすい観点から好ましい。
(第2実施形態)
本発明の製造方法の第2実施形態を、図1、図3および図4を用いて説明する。図1については、第1実施形態について述べたとおりである。本実施形態の製造方法で使用する装置は、図3に示すように、図1に示す散布部5を5つ並列に並べた構造を有する。本実施形態においては、被積層面6に積層される積層物が複数回の散布工程により得られるものであることが好ましく、例えば1つの積層区画において3回の散布工程が行われたものであることが好ましい。具体的な散布工程を、図4を用いて説明する。図4には、被積層面を25個の積層区画に分けた概略図が記載されている。本実施形態の製造方法で使用する装置は、5つの散布口を有し、各散布口を散布口a〜eとすると、散布口aから1回目の散布工程により散布された一方向プリプレグは、図4に示すa1として記載する積層区画に積層される。同様に散布口b〜eのそれぞれから、1回目の散布工程により散布された一方向プリプレグは、それぞれ、図4に示すb1〜e1として記載する積層区画に積層される。本実施形態では、5つの散布口a〜eから散布された一方向プリプレグが互いに重なり合い、1つの積層物が得られるように、隣り合う散布口の間隔を設定している。なお、1回目の散布工程と記載するが、この場合、5個の散布口のそれぞれにおいて1回の散布工程が行われていることから、散布工程の回数としては5回と数える。以下についても同様である。1回目の散布工程の後、積層部7が図4の矢印方向とは反対方向に所定の距離で移動する、および/または、散布部5が図4の矢印方向に所定の距離で移動することにより、次のa2〜e2として示す積層区画に積層させる。本実施形態においては、1回目の散布工程において散布されたa1〜e1の区画に積層された一方向プリプレグと、2回目の散布工程において散布されたa2〜e2の区画に積層された一方向プリプレグとが互いに重なり合い、1つの積層物が得られるように、散布部または積層部の移動距離および/または移動速度を設定している。全25の積層区画のそれぞれにおいて1回目の散布工程を行った後、この操作を3回繰り返して、最終的に5つの散布口のそれぞれから、15回の散布工程を行い、図4に示す正方形の積層物を得ることができる。この実施形態において、各積層区画の大きさ(Lmm)は、散布口の中心間の距離と、散布部または積層部を図4中の矢印方向またはその反対方向に移動させる距離との積から算出される。図4に示すように、積層区画が正方形となるように、散布口間隔および移動距離を等しく設定することが、繊維強化熱可塑性樹脂シートの等方性を高めやすい観点から好ましい。
本実施形態の変形例として、散布口の数は、5個より多くてもよいし、5個より少なくてもよい。5つの散布口はそれぞれから散布された一方向プリプレグが互いに重なり合わないような間隔に設定されていてもよい。上記実施形態においては、被積層面の1つの積層区画に対し3回の散布工程が行われていると理解され、この場合の繊維強化熱可塑性樹脂シートにおけるプライ数は3回であると記載する。1つの被積層面に対する散布工程の回数は、3回よりも少なくてもよいし、3回より多くてもよい。散布部および/または積層部の移動は、間欠的であってもよいし、連続的であってもよい。さらに、散布部における貯留槽の数は、1つの散布口に対して1つであってもよいし、複数の散布口に対して1つであってもよい。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態の製造方法を、図1および図5を用いて説明する。図1については、第1実施形態について述べたとおりである。本実施形態で使用する装置全体の概略図は図示していないが、図1に示される散布部が2つ並列に並び、散布口の下方に積層部が位置する構成を有する。本実施形態においても、被積層面6に積層される積層物は、複数回の散布工程により得られるものであることが好ましく、例えばそれぞれの散布口から1つの積層区画に対し1回の散布工程で、合計して2つの積層区画に対して積層を行った後、散布部および/または積層部が移動することにより、隣り合う被積層面にさらなる散布・積層が行われることが好ましい。具体的な散布工程を、図5を用いて説明する。図5には、被積層面を16個の積層区画に分けた概略図が記載されている。本実施形態の製造方法で使用する装置は、2つの散布口を有し、各散布口を散布口aおよびbとすると、散布口aから1回目の散布工程により散布された一方向プリプレグは、図5に示すa1として記載する積層区画に積層される。同様に散布口bから1回目の散布工程により散布された一方向プリプレグは、図5に示すb1として記載する積層区画に積層される。本実施形態では、2つの散布口aおよびbから散布された一方向プリプレグが互いに重なり合い、1つの積層物が得られるように、隣り合う散布口の間隔を設定している。次いで、積層部7が図5中のxとは反対の方向に移動する、および/または、散布部5が図5中のx方向に移動することにより、次のa2およびb2で示される積層区画において2回目の散布工程を行う。次に、積層部7が図5中のx方向およびy方向に移動する、および/または、散布部5が図5中のx方向とは反対の方向およびy方向とは反対の方向に移動し、次の3回目の散布工程により散布口aおよびbから散布された一方向プリプレグを、それぞれ、図5に示すa3およびb3として記載する被積層面に積層させる。本実施形態においては、1回目の散布工程において散布された一方向プリプレグと、2回目の散布工程において散布された一方向プリプレグとが互いに重なり合い、1つの積層物が得られるように、散布口の間隔、散布部または積層部の移動距離および/または移動速度を設定している。このようにして、最終的に2つの散布口のそれぞれから24回の散布工程を行い、図5に示すような積層物を得ることができる。図5に示すように、積層区画が正方形となるように、散布口間隔および移動距離を等しく設定することが、繊維強化熱可塑性樹脂シートの等方性を高めやすい観点から好ましい。
〔繊維強化熱可塑性樹脂シート〕
本発明の製造方法により得られる繊維強化熱可塑性樹脂シートは、強化繊維および熱可塑性樹脂を含む一方向プリプレグのランダム積層体であり、強化繊維および熱可塑性樹脂を含む。本明細書において、一方向プリプレグのランダム積層体とは、複数の一方向プリプレグが、各一方向プリプレグにおける繊維方向が互いにランダムになるように積層された積層体である。一方向プリプレグに含まれる強化繊維は、通常、開繊された強化繊維である。
本発明の製造方法により得られる繊維強化熱可塑性樹脂シートは、上記に述べたように、局所的に繊維配向が過多となる部分がなく、繊維を介した繊維軸方向と異にする方向への応力伝達が均一である。このような特徴を有する本発明の製造方法により得られる繊維強化熱可塑性樹脂シートは、あらゆる方向に対する強度のばらつきが少ないと考えられる。そのため、繊維強化熱可塑性樹脂シートから成形体を製造する際に、成形性が良好となり、強度ばらつきの少ない均質な成形体を製造することが可能となる。
繊維強化熱可塑性樹脂シートの引張強度等の機械的強度は、繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造に用いる繊維の種類、樹脂の種類、繊維体積含有率(Vf)等によって異なり、繊維強化熱可塑性樹脂シートから得た成形体に所望される強度に応じて、上記を適宜選択して設定することができる。本発明の製造方法によれば、本発明の製造方法によらない方法で製造した熱可塑性樹脂シートと比較して、相対的に高い機械的強度を達成することができる。また、本発明の製造方法によれば、上記に述べたように、機械的強度のばらつきを抑制することができる。具体的には、繊維強化熱可塑性樹脂シートの引張強度の変動係数(CV値)は、好ましくは20.0%未満、より好ましくは19.0%以下、さらに好ましくは15.0%以下、特に好ましくは10.0%以下である。引張弾性率の変動係数(CV値)は、好ましくは20.0%以下であり、より好ましくは10.0%以下である。上記変動係数(CV値)は、低ければ低いほどばらつきが少ないことを表し、その下限は特に限定されず、0%以上であればよい。なお、変動係数は、後述する方法で測定した平均引張強度と、該引張強度の少なくとも5回の測定結果の標準偏差から、変動係数(CV値)=標準偏差/平均値×100(%)の式により算出される。
繊維強化熱可塑性樹脂シートの平均引張強度は、島津製作所製の精密万能試験機を用いJIS K 7164に従い測定され、少なくとも5回の測定の平均値を平均引張強度とする。測定条件の詳細は、例えば実施例に記載する通りである。
繊維強化熱可塑性樹脂シートの厚み方向に積層された一方向プリプレグの層数は、繊維強化熱可塑性樹脂シートの厚みによって適宜設定してよいが、好ましくは17〜35層、より好ましくは20〜35層である。厚み方向に積層された一方向プリプレグの層数が上記の下限以上であることが、物性のばらつきを低減しやすいから好ましい。また、厚み方向に積層された一方向プリプレグの層数が上記の上限以下であることが、テープ基材の安定生産の観点から好ましい。本発明の製造方法により得られる繊維強化熱可塑性樹脂シートの厚み方向に積層された一方向プリプレグの層数は、繊維強化熱可塑性樹脂シートの断面を、電子または光学顕微鏡を用いて観察した画像から、目視により測定される。
繊維強化熱可塑性樹脂シートのボイド率は、繊維強化熱可塑性樹脂シートの成形性や機械的強度を高めやすい観点から、JIS−7075に従い測定し、好ましくは0〜1.0%、より好ましくは0〜0.5%以下である。
繊維強化熱可塑性樹脂シートの厚みは、最終的に得られる成形体に所望される厚みに応じて適宜変更してよい。繊維強化熱可塑性樹脂シートの厚みは、マイクロメーターを用いて測定される。
〔一方向プリプレグ〕
本発明の製造方法において使用する一方向プリプレグは、強化繊維および熱可塑性樹脂を含む。本発明の製造方法においては、1種類の一方向プリプレグを使用してもよいし、例えば強化繊維および/または熱可塑性樹脂の種類や含有量等において互いに異なる2種以上の一方向プリプレグを使用してもよい。
(強化繊維)
強化繊維としては、例えばアラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサドール(PBO)繊維などの有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、チラノ繊維、玄武岩繊維、セラミックス繊維などの無機繊維、ステンレス繊維やスチール繊維などの金属繊維、その他、ボロン繊維、天然繊維、変性した天然繊維などを繊維として用いた強化繊維などが挙げられる。これら強化繊維としては、数千本以上のフィラメントで構成される強化繊維が好ましく、繊維強化熱可塑性樹脂シートに含まれる一方向プリプレグを製造するにあたり3000〜60000本のフィラメントで構成される強化繊維が好適に利用される。本発明の製造方法により得られる繊維強化熱可塑性樹脂シートの強度・剛性の観点から、強化繊維は炭素繊維であることがより好ましい。本発明の製造方法で使用する一方向プリプレグは、1種類の強化繊維を含有してもよいし、二種以上の強化繊維を組み合わせて含有してもよい。一方向プリプレグに含まれる強化繊維は、好ましくは開繊された強化繊維であり、より好ましくは10μm〜50μmの厚みとなるまで開繊された強化繊維である。
強化繊維が炭素繊維である好ましい一態様において、炭素繊維はピッチ系の炭素繊維であってもよいし、PAN系の炭素繊維であってもよい。取扱性の観点から、炭素繊維がPAN系の炭素繊維であることが好ましい。
強化繊維における撚りの有無は特に限定されないが、一方向プリプレグを製造する際のマトリックス樹脂の浸透を高めやすく、繊維強化熱可塑性樹脂シートの強度を高めやすい観点からは、撚りが少ないかまたは撚りのない強化繊維が好ましい。強化繊維の撚り数は、同様の観点から、好ましくは1回/m以下、より好ましくは0.5回/m以下、さらにより好ましくは0.3回/m以下である。
強化繊維として炭素繊維を用いる場合、炭素繊維は、一定のトラバース幅で円筒状の管であるボビンに巻かれていることが多い。炭素繊維1本のフィラメント径は、通常5〜8μmであり、複数の炭素繊維が所定のフィラメント数(具体的には1000本(1K)、3000本(3K)、6000本(6K)、12000本(12K)、15000本(15K)、18000本(18K)、24000本(24K)、30000本(30K)、60000本(60K))で扁平状に集合した繊維束(炭素繊維トウ)が好適に利用される。炭素繊維のフィラメント数は、開繊された炭素繊維や本発明において使用する一方向プリプレグの所望される幅や厚みに応じて適宜変更してよいが、生産性の観点から、好ましくは3000〜60000本、より好ましくは6000〜24000本である。フィラメント数が上記の上限以下であることが、製造されるプリプレグ内部のボイドの発生を抑制しやすいため好ましい。また、フィラメント数が上記の下限以上であることが、開繊する際の単糸切れによる毛羽立ちおよびプリプレグの割れを抑制しやすいため好ましい。
(熱可塑性樹脂)
一方向プリプレグに含まれる熱可塑性樹脂は、熱可塑性を有する樹脂である限り特に限定されない。熱可塑性樹脂としては、強化繊維に含浸させた後プリプレグを製造する工程において重合が進むような現場重合型の化合物の重合物である熱可塑性樹脂、ポリアミド系樹脂(例えばナイロン6、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン46等)、ポリエステル系樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリオレフィン系樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱硬化性樹脂を変性させ熱可塑性を有する樹脂や、これらの共重合体、変性体、および2種類以上ブレンドした樹脂等が挙げられる。一方向プリプレグが1種類の熱可塑性樹脂を含有していてもよいし、2種以上の熱可塑性樹脂を組み合わせて含有していてもよい。一方向プリプレグまたは繊維強化熱可塑性樹脂シートには、耐衝撃性を向上させる観点で、上記の熱可塑性樹脂に加えて、エラストマーおよび/またはゴム成分を添加してもよい。
一方向プリプレグに含まれる熱可塑性樹脂は、融点またはガラス転移温度以上に加熱して溶融させた状態で、好ましくは10〜3500mPa・s、の溶融粘度を有する。熱可塑性樹脂の溶融粘度は、粘度計により測定される。
一方向プリプレグに含まれる熱可塑性樹脂は、強化繊維への含浸性を高めやすい観点から、溶剤に可溶性の熱可塑性樹脂であることも好ましい。溶剤としては、有機溶媒が挙げられ、具体的には、DNP・NMP等の極性溶媒、好ましくはケトン系溶媒、より好ましくはメチルエチルケトンが挙げられる。この場合、熱可塑性樹脂を溶剤に溶解させて得たワニスを用いて、強化繊維への含浸を行うことができる。
(一方向プリプレグの製造方法)
熱可塑性樹脂を強化繊維に含浸させる方法としては、溶剤溶解樹脂浴や溶融樹脂含浸浴(ホットメルト法またはドライ法)を用いる方法が挙げられる。
熱可塑性樹脂を含浸させた場合、次いで、強化繊維に含浸させた熱可塑性樹脂を固化させる。加熱温度は、用いる強化繊維の種類や、樹脂溶液を用いた場合には溶媒の種類や揮発温度等によって適宜変更してよいが、非晶性樹脂の場合、ガラス転移温度より100℃以上高い温度で加工することが好ましい。結晶性樹脂の場合、融点より30℃以上高い温度で加工することが好ましい。
上記のようにして得た一方向プリプレグテープを裁断し、一方向プリプレグを製造することができる。裁断方法は特に限定されず、好ましくはペレタイザー、ギロチン方式、コダック方式等のカッターを用いて行ってよい。これらを用いて一方向プリプレグテープを所望の繊維長(例えば10〜30mm)となるように裁断することにより、一方向プリプレグ(チョップドプリプレグ)を製造することができる。
<成形体>
(成形体の製造方法)
本発明の製造方法により得られる繊維強化熱可塑性樹脂シートは、高い強度と成形性を兼ね備えると共に、強度のばらつきが少なく、様々な繊維強化プラスチック成型体を製造するための中間材料として好適に用いることができる。かかる繊維強化熱可塑性樹脂シートは、スタンパブルシートとも称され、板金の代替となる材料である。ここで、従来既知のプリプレグには、少なからず繊維配向が過多となる部分が含まれている。繊維配向過多による影響を低減するためには、シートを厚くする必要があった。しかし、本発明の製造方法により製造された繊維強化熱可塑性樹脂シートは、上記に述べたように、局所的に繊維配向が過多となる部分が限りなく少ないか、存在しないため、薄層でありながらも高い強度と賦形性とを兼ね備え、強度のばらつきが少ない。そのため、従来よりも低温、低圧、短時間の条件でも十分な強度を有する成形体を製造することが可能である。このような穏やかな条件で成形が可能であるため、成形時にランダム性が失われるということも回避される。
繊維強化熱可塑性樹脂シートを用いて成形体を製造する方法としては、プレス成形が挙げられる。プレス成形は、加工装置および型等を用いて、繊維強化熱可塑性樹脂シートに曲げ、剪断、圧縮等の変形を加え、成形体を製造する方法である。成形形態としては、例えば深絞り、フランジ、コールゲート、エッジカーリング、型打ちなどが挙げられる。プレス成形の方法としては、金型プレス法、加熱・冷間プレス法、コールドプレス法および、大型の部材(例えば航空機用部材)を成形するために使用されるオートクレーブ法などが挙げられる。例えば自動車製造ラインでの適応を目指す場合、繊維強化熱可塑性樹脂シートを予め、該シートに含まれる熱可塑性樹脂の融点もしくはガラス転移温度以上の温度で加熱し、シートを軟化させる。加熱後、これをプレス機に備え付けられた成形型へ搬送し、プレスすることで成形品を製造することができる。この時の金型温度を、該シートに含まれる熱可塑性樹脂の融点またはガラス転移温度以下に設定することで材料の賦形と同時に材料を硬化させることが可能な為、ハイサイクルでの成形が可能となる。
本発明の製造方法により得られる繊維強化熱可塑性樹脂シートに含まれる樹脂は熱可塑性樹脂であるため、繊維強化熱可塑性樹脂シートを加熱し、該樹脂を溶融させた状態で融点またはガラス転移温度以下に設定した金型に材料を投入し、加圧することで成形型の形状に変形と同時に冷却する、スタンピング成形にも適している。また、該シートは特に成形性に優れるため、従来の繊維強化プラスチックを用いる場合では成形が困難であった深絞り形状などの成形にも適している。
(成形体)
本発明の製造方法により得られる繊維強化熱可塑性樹脂シートから製造した成形体の用途は何ら限定されないが、例えば、OA機器および携帯電話等に用いられる電気、電子機器部品、支柱および補強材等の建築材料、自動車用構造部品、航空機用部品等が挙げられる。本発明の製造方法により得られる繊維強化熱可塑性樹脂シートから製造した成形体は、高い強度を少ないばらつきで有している。また、シートに限らず一方向材としての補強材等にも利用することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。まず評価方法について説明する。
<平均引張強度および変動係数の測定>
繊維強化熱可塑性樹脂シートの平均引張強度は、JIS K 7164に従い、島津製作所製の精密万能試験機、オートグラフAG-100kNXplusを用いて行った。具体的には、後述する実施例および比較例で得た平板状の繊維強化熱可塑性樹脂シートから、任意の長さ方向とそれに対して垂直の幅方向にて、長さ250±1.0mm、幅35±0.2mmの長方形の試料を切り出し、これを測定試料とした。上記のようにして、5個の測定試料を作成した。該測定試料について、JIS K 7164に従い、チャック間距離(標点間距離)150mm、クロスヘッド速度1.0mm/分で引張強度を測定し、5つの測定試料について得た引張強度の平均値を平均引張強度とした。また、上記引張強度の結果から、標準偏差を算出し、変動係数を、変動係数CV値[%]=(不変標準偏差/平均値)×100の式より算出した。
<一方向プリプレグ1枚あたりの平均体積(Vmm)の測定>
一方向プリプレグ1枚あたりの体積は、一方向プリプレグについて繊維方向、繊維方向と直交する幅方向、厚み方向の長さをデジタルノギスを用いて測定し、それらの積から算出した。上記測定を任意に選出した10枚の一方向プリプレグのそれぞれについて行い、得られた結果の平均値を一方向プリプレグ1枚あたりの平均体積とした。
<1つの散布口から1回に落下させる一方向プリプレグの重量(Xg)の測定>
散布部に備えられた計量部のロードセルにてグラム計量を行い測定した。
<被積層面から散布口までの距離(Hmm)の測定>
被積層面から散布口までの距離は、スケールにて測定した。
<1回の散布による被積層面の単位面積あたりの重量(散布目付け)の測定>
散布目付けは、1回の散布工程における基材重量(散布量)を各積層区画の大きさで除して算出した。
<繊維強化熱可塑性樹脂シートの繊維体積含有率の測定>
JIS K 7075に準拠して測定した。
<単位面積あたりの延べ散布回数>
繊維強化熱可塑性樹脂シートを製造するに要した散布回数を、繊維強化熱可塑性樹脂シートの面積で除して算出した。
〔製造例1:一方向プリプレグテープ(a)の製造〕
800tex、12,000フィラメントの炭素繊維(東レ株式会社製、トレカ(登録商標)T700SC-12000)の連続な繊維束を、エマルジョン樹脂(松本油脂製薬株式会社製、PPE−104)を樹脂成分の濃度が0.2重量%になるように水道水で希釈したサイジング剤母液を入れたエマルジョン槽に連続的に浸漬させて、炭素繊維にサイジング剤を付与した。この際、エマルジョン槽内で数本のガイドを介すことで繊維束を薄く広げた。その後、100℃のホットローラーにより、炭素繊維に含浸した余分な水分を除去しながら乾燥させることで、開繊テープを得た。得られた開繊テープの幅は、15mm〜17mmであった。
開繊テープに含浸させるマトリックス樹脂として、現場重合型エポキシ化合物を含む組成物(ナガセケムテックス株式会社製、DENATITE XNR6850V、重量平均分子量200〜1000を有するビスフェノールA型エポキシ化合物55重量部、ビスフェノールA30重量部、および、メチルエチルケトン15重量部を含む)100重量部、および、硬化剤(ナガセケムテックス株式会社製、DENATITE XNH6850V、有機リン化合物)8重量部を十分に混合攪拌し、マトリックス樹脂用組成物(樹脂ペースト)を得た。マトリックス樹脂用組成物を、開繊テープの両面から、繊維体積含有率(Vf)が40%になるように塗布し、塗布直後に、テープの両面を離型ベルトにより押さえ、ガイドを介して加熱・冷却することにより上記ビスフェノールA型エポキシ化合物とビスフェノールAとが重合し、平滑性が高く、現場重合型エポキシ樹脂である上記ビスフェノールA型エポキシ化合物とビスフェノールAとの重合物(熱可塑性エポキシ樹脂)が十分に含浸された、一方向プリプレグテープを得た。
〔製造例2:一方向プリプレグテープ(b)の製造〕
800tex、12,000フィラメントの炭素繊維(Formosa Plastics Corporation製、TAIRYFIL TC36P-12K)の連続な繊維束を、水道水を入れた水槽に連続的に浸漬させ、この際、水槽内で数本のガイドを介すことで繊維束を薄く広げた。その後、100℃のホットローラーにより、炭素繊維に含浸した余分な水分を除去しながら乾燥させることで、開繊テープを得た。得られた開繊テープの幅は、15mm〜17mmであった。
開繊テープに含浸させるマトリックス樹脂として、現場重合型エポキシ化合物を含む組成物(ナガセケムテックス株式会社製、DENATITE XNR6850V、重量平均分子量200〜1000を有するビスフェノールA型エポキシ化合物55重量部、ビスフェノールA30重量部、および、メチルエチルケトン15重量部を含む)100重量部、および、硬化剤(ナガセケムテックス株式会社製、DENATITE XNH6850V、有機リン化合物)8重量部を十分に混合攪拌し、マトリックス樹脂用組成物(樹脂ペースト)を得た。マトリックス樹脂用組成物を、開繊テープの両面から、繊維体積含有率(Vf)が40%になるように塗布し、塗布直後に、テープの両面を離型ベルトにより押さえ、ガイドを介して加熱・冷却することによりビスフェノールA型エポキシ化合物とビスフェノールAとが重合し、平滑性が高く、現場重合型エポキシ樹脂である上記ビスフェノールA型エポキシ化合物とビスフェノールAとの重合物(熱可塑性エポキシ樹脂)が十分に含浸された、一方向プリプレグテープを得た。
〔製造例3:一方向プリプレグ(1)の製造〕
製造例1で得た一方向プリプレグテープ(a)を、裁断装置を用いて繊維方向に29mmの長さに裁断し、一方向プリプレグ(1)(一方向チョップドプリプレグ)を得た。
〔製造例4:一方向プリプレグ(2)〜(4)の製造〕
一方向プリプレグ(2)〜(4)は、それぞれ、製造例2で得た一方向プリプレグテープ(b)を、裁断装置を用いて繊維方向に29mm、26mmまたは13mmの長さに裁断して得た。
上記のようにして得た一方向プリプレグ(1)〜(4)について、上記方法に従い、一方向プリプレグ1枚あたりの平均体積(Vmm)、繊維方向の平均長さ、幅方向の平均長さおよび平均厚みを測定した。その結果を次の表1に示す。
Figure 2021185034
〔散布部〕
後述する実施例および比較例で使用した装置における散布部を図1を用いて説明する。該装置は、図1に示すように、一方向プリプレグを散布するための散布口1、1つの散布口から1回に落下させる一方向プリプレグの重量(Xg、「散布量」とも称する)を調整するための計量部2、プリプレグを貯留しておくための貯留槽3、および、貯留槽3から計量部2へとプリプレグを輸送するための輸送部4を備える散布部5を備える。散布部5は、被積層面6から散布口1の下端までの距離(Hmm、散布高さ10)が所定の高さとなるように据え付けた。散布部5は、貯留槽3中の一方向プリプレグが輸送部4を介して計量部2へと輸送され、軽量部2内に輸送された一方向プリプレグの重量が所定の散布量(Xg)に相当する重量となると輸送が停止し、散布口1が開口し、被積層面6へと所定の散布量の一方向プリプレグが散布されるように設定した。また、散布部は、所定の散布間隔に1回の散布が間欠的に行われるように設定した。各散布口1の下方には、図1に示すように、一方向プリプレグを積層させるための被積層面6を備える積層部7が位置していた。
〔実施例1:繊維強化熱可塑性樹脂シート(1)の製造〕
(装置)
実施例1では図1に示す散布部5が5つ並んだ、図3に示すような装置を使用した。かかる装置において、隣り合う散布口の中心間の間隔11(「散布口間隔」とも称する)を62mmに設定した。実施例1においては、積層部7として、図6に示すようなダブルベルトプレス機を用い、ダブルベルトプレス機の下ベルト12の上面を被積層面6とした。下ベルト12は、所定の速度(「被積層面移動速度」とも称する)で、図6中の矢印方向に連続的に移動するよう設定した。このような装置を用い、被積層面を図4に示す積層区画に分けて散布工程を行い、繊維強化熱可塑性樹脂シート(1)を製造した。
(製造条件)
一方向プリプレグ(1)を用い、以下の条件で繊維強化熱可塑性樹脂シート(1)を製造した。
散布口の数:5個
散布量(Xg):3.90g
散布高さ10(Hmm):200mm
散布口間隔:62mm
散布工程の間隔:18.6秒
被積層面移動速度:200mm/分
積層区画の総数:25区画
各積層区画の大きさ(Lmm):3844mm
1つの積層区画に対する散布工程の回数(以下、Ply数とも称する):3回
散布目付け:1014g/m
なお、上記のように散布工程の間隔を18.6秒、被積層面移動速度200mm/分とした場合、被積層面の散布工程間での移動距離は、(18.6/60)×200=62mmとなる。上記のように散布口間隔も62mmである。したがって、各積層区画の大きさ(Lmm)は、62mm×62mm=3844mmと算出される。また、1つの積層区画に対して3回の散布工程が行われており、この場合プライ数は3回となる。この散布工程により得た積層物9は、15mmの高さを有していた。積層物9を、図6中に示すように、ギャップが2.0mmとなるように設定した上ベルト13と下ベルト12との間でニップしながら、150℃の温度で10分間かけて加熱加圧し、常温で20barの圧力をかけながら冷却して、繊維強化熱可塑性樹脂シート(1)を得た。得られた繊維強化熱可塑性樹脂シート(1)の幅は310mm、厚さは2.0mm、単位面積あたりの重量(シート目付け)は3041g/mであった。
〔実施例2:繊維強化熱可塑性樹脂シート(2)の製造〕
(装置)
実施例2では、図1に示すような散布部5を1つ有する装置を使用した。実施例2においては、積層部7として、図7に示すような堆積盤14を用いた。このような装置を用い、被積層面を図8に示すように64の積層区画について散布工程を行い、繊維強化熱可塑性樹脂シート(2)を製造した。具体的には、図7に示す堆積盤14を停止させた状態で、1回の散布工程を行った後、堆積盤14を、図7中のX軸方向に40mmの距離移動させ、再び1回の散布工程を行い、また、堆積盤14を、図7中のX軸方向および/またはy軸方向に40mmの距離さらに移動させた。この工程(1回の散布+1回の堆積盤移動)を64の積層区画において行い、これを3回繰り返した。(言い換えると、積層物を得るまでの散布工程は合計して192回であり、同一の被積層面に対する散布工程の回数(Ply数)は3回であった)。
(製造方法)
一方向プリプレグ(2)を貯留槽3に入れ、以下の条件で繊維強化熱可塑性樹脂シートを製造した。
散布口の数:1個
散布量(Xg):1.62g
散布高さ10(Hmm):100mm
被積層面移動距離(X軸およびY軸方向):40mm
積層区画の総数:64区画
各積層区画の大きさ(Lmm):1600mm
1つの積層区画に対する散布工程の回数:3回
散布目付け:1014g/m
この散布工程により、堆積盤14上に積層された約320mm角の大きさを有する積層物を得た。この散布工程により得た積層物は、25mmの高さを有していた。得られた積層物を堆積盤と共に、加熱・加圧機構のあるベルトコンベヤへと移送し、420mm/分のベルト速度で送りながら加熱部にて150℃で1分30秒間加熱した後、5mmの隙間に設定した上下の加圧ローラー間を通過させて加圧することで一方向プリプレグ同士を仮留めし、一次接着凝集物(仮留めシート)を得た。一次接着凝集物を堆積盤から離し、油圧プレス機に据え付けた平板金型内に搬送し、150℃、5MPaの条件で加熱および加圧し、繊維強化熱可塑性樹脂シート(2)を得た。得られた繊維強化熱可塑性樹脂シート(2)は、大きさが102400mm(320mm角)、厚さが2.1mm、単位面積あたりの重量(シート目付け)が3041g/mであった。
〔実施例3:繊維強化熱可塑性樹脂シート(3)の製造〕
散布高さ10(Hmm)を300mmとしたこと以外は実施例2と同様にして、繊維強化熱可塑性樹脂シート(3)を製造した。この散布工程により得た積層物は、15mmの高さを有していた。
得られた繊維強化熱可塑性樹脂シート(3)は、大きさが102400mm(320mm角)、厚さが2.1mm、単位面積あたりの重量(シート目付け)が3041g/mであった。
〔実施例4:繊維強化熱可塑性樹脂シート(4)の製造〕
(装置)
実施例4では、実施例2と同様の装置を使用した。なお、実施例4では、図7に示す堆積盤14を停止させた状態で1回の散布工程を行った後、堆積盤14を、図7中のX軸方向に60mmの距離移動させ、再び1回の散布工程を行い、また、堆積盤14を、図7中のX軸方向および/またはy軸方向に60mmの距離さらに移動させた。このような装置を用い、被積層面を図2に示すように25の積層区画に分けて散布工程を行い、繊維強化熱可塑性樹脂シート(4)を製造した。
(製造方法)
一方向プリプレグ(2)を貯留槽3に入れ、以下の条件で繊維強化熱可塑性樹脂シートを製造した。
散布量(Xg):3.65g
散布高さ10(Hmm):300mm
被積層面移動距離(X軸およびY軸方向):60mm
積層区画の総数:25区画
各積層区画の大きさ(Lmm):3600mm
散布目付け:1014g/m
その他条件:実施例2と同様
この散布工程により得た積層物は、15mmの高さを有していた。得られた繊維強化熱可塑性樹脂シート(4)は、大きさが90000mm(300mm角)、厚さが2.1mm、単位面積あたりの重量(シート目付け)が3041g/mであった。
〔実施例5:繊維強化熱可塑性樹脂シート(5)の製造〕
散布量(Xg)を5.47g、1つの積層区画に対する散布工程の回数を2回としたこと以外は実施例4と同様にして、繊維強化熱可塑性樹脂シート(5)を製造した。この条件における散布目付けは1519g/mであった。得られた繊維強化熱可塑性樹脂シート(5)は、大きさが90000mm(300mm角)、厚さが2.1mm、単位面積あたりの重量(シート目付け)が3041g/mであった。
〔実施例6:繊維強化熱可塑性樹脂シート(6)の製造〕
(装置)
実施例6では、図1に示す散布部5が3つ並んだ装置を使用した。かかる装置において、隣り合う散布口の中心間の間隔(「散布口間隔」とも称する)を86mmに設定した。散布口の数を3つとし、散布口間隔を上記のように設定したこと以外は、実施例2と同様の装置を使用した。つまり、実施例6で使用した装置は、図7において散布口が上記所定の散布口間隔で3つ並んだ構成を有する。なお、実施例6では、図7に示す堆積盤14を停止させた状態で1回の散布工程を行った後、堆積盤14を、図7中のX軸方向に86mmの距離移動させ、再び1回の散布工程を行い、また、堆積盤14を、図7中のX軸方向に86mmの距離さらに移動させた。このような装置を用い、被積層面を図9に示すように9個の積層区画に分けて散布工程を行い、繊維強化熱可塑性樹脂シート(6)を製造した。
(製造方法)
一方向プリプレグ(3)を貯留槽3に入れ、以下の条件で繊維強化熱可塑性樹脂シートを製造した。
散布口の数:3個
散布口間隔:86mm
散布量(Xg):3.75g
散布高さ10(Hmm):300mm
被積層面移動距離(X軸およびY軸方向):86mm
積層区画の総数:9区画
各積層区画の大きさ(Lmm):7396mm
1つの積層区画に対する散布工程の回数:6回
散布目付け:507g/m
この散布工程により得た積層物は、20mmの高さを有していた。得られた繊維強化熱可塑性樹脂シート(6)は、大きさが66564mm(258mm角)、厚さが2.1mm、単位面積あたりの重量(シート目付け)が3041g/mであった。
〔実施例7:繊維強化熱可塑性樹脂シート(7)の製造〕
(製造方法)
一方向プリプレグ(3)を貯留槽3に入れ、以下の条件としたこと以外は実施例6と同様にして、図10に示すように9個の積層区画に分けて散布工程を行い、繊維強化熱可塑性樹脂シート(7)を製造した。
散布量(Xg):4.50g
散布高さ10(Hmm):300mm
1つの積層区画に対する散布工程の回数:5回
散布目付け:608g/m
この散布工程により得た積層物は、20mmの高さを有していた。得られた繊維強化熱可塑性樹脂シート(7)は、大きさが66564mm(258mm角)、厚さが2.1mm、単位面積あたりの重量(シート目付け)が3041g/mであった。
〔実施例8:繊維強化熱可塑性樹脂シート(8)の製造〕
(製造方法)
一方向プリプレグ(3)を貯留槽3に入れ、以下の条件としたこと以外は実施例6と同様にして、図11に示すように9個の積層区画に分けて散布工程を行い、繊維強化熱可塑性樹脂シート(8)を製造した。
散布量(Xg):7.50g
散布高さ10(Hmm):500mm
1つの積層区画に対する散布工程の回数:3回
散布目付け:1014g/m
この散布工程により得た積層物は、20mmの高さを有していた。得られた繊維強化熱可塑性樹脂シート(8)は、大きさが66564mm(258mm角)、厚さが2.1mm、単位面積あたりの重量(シート目付け)が3041g/mであった。
〔実施例9:繊維強化熱可塑性樹脂シート(9)の製造〕
一方向プリプレグ(3)に代えて一方向プリプレグ(4)を用いたこと以外は実施例8と同様にして、繊維強化熱可塑性樹脂シート(9)を製造した。この散布工程により得た積層物は、30mmの高さを有していた。
得られた繊維強化熱可塑性樹脂シート(9)は、大きさが66564mm(258mm角)、厚さが2.1mm、単位面積あたりの重量(シート目付け)が3041g/mであった。
〔比較例1:繊維強化熱可塑性樹脂シート(10)の製造〕
(装置)
比較例1では、実施例2と同様の装置を使用した。なお、比較例1では、図7に示す堆積盤14を停止させた状態で1回の散布工程を行った後、堆積盤14を、図7中のX軸方向に80mmの距離移動させ、再び1回の散布工程を行い、また、堆積盤14を、図7中のX軸方向またはy軸方向に80mmの距離さらに移動させた。このような装置を用い、被積層面を図12に示すように16の積層区画に分けて散布工程を行い、繊維強化熱可塑性樹脂シート(10)を製造した。
(製造方法)
一方向プリプレグ(2)を貯留槽3に入れ、以下の条件で繊維強化熱可塑性樹脂シートを製造した。
散布口の数:1個
散布量(Xg):6.49g
散布高さ10(Hmm):300mm
被積層面移動距離(X軸およびY軸方向):80mm
積層区画の総数:16区画
1つの積層区画に対する散布工程の回数:3回
各積層区画の大きさ(Lmm):6400mm
散布目付け:1014g/m
その他条件:実施例2と同様
この散布工程により得た積層物は、15mmの高さを有していた。得られた繊維強化熱可塑性樹脂シート(10)は、大きさが102400mm(320mm角)、厚さが2.1mm、単位面積あたりの重量(シート目付け)が3041/mであった。
〔比較例2:繊維強化熱可塑性樹脂シート(11)の製造〕
散布高さ10(Hmm)を100mmとしたこと以外は、比較例1と同様にして、繊維強化熱可塑性樹脂シート(11)を製造した。
得られた繊維強化熱可塑性樹脂シート(11)は、大きさが102400mm(320mm角)、厚さが2.1mm、単位面積あたりの重量(シート目付け)が3042g/mであった。
〔比較例3:繊維強化熱可塑性樹脂シート(12)の製造〕
(装置)
比較例3では図1に示す散布部5が3つ並んだ装置を使用した。かかる装置において、隣り合う散布口の中心間の間隔(「散布口間隔」とも称する)を86mmに設定した。散布口の数を3つとし、散布口間隔を上記のように設定したこと以外は、実施例2と同様の装置を使用した。つまり、比較例3で使用した装置は、図7において散布口が上記所定の散布口間隔で3つ並んだ構成を有する。なお、比較例3では、図7に示す堆積盤14を停止させた状態で1回の散布工程を行った後、堆積盤14を、図7中のX軸方向に86mmの距離移動させ、再び1回の散布工程を行い、また、堆積盤14を、図7中のX軸方向に86mmの距離さらに移動させた。このような装置を用い、被積層面を図9に示すように9の積層区画に分けて散布工程を行い、繊維強化熱可塑性樹脂シート(12)を製造した。
(製造方法)
一方向プリプレグ(3)を貯留槽3に入れ、以下の条件で繊維強化熱可塑性樹脂シートを製造した。
散布量(Xg):3.75g
散布高さ10(Hmm):100mm
被積層面移動距離(X軸およびY軸方向):86mm
積層区画の総数:9区画
各積層区画の大きさ(Lmm):7396mm
1つの積層区画に対する散布工程の回数:6回
散布目付け:507g/m
その他条件:実施例2と同様
この散布工程により得た積層物は、20mmの高さを有していた。得られた繊維強化熱可塑性樹脂シート(12)は、大きさが66564mm(258mm角)、厚さが2.1mm、単位面積あたりの重量(シート目付け)が3042g/mであった。
〔比較例4:繊維強化熱可塑性樹脂シート(13)の製造〕
(装置)
比較例4では、実施例2と同様の装置を使用した。なお、比較例4では、図7に示す堆積盤14を停止させた状態で1回の散布工程を行った後、堆積盤14を、図7中のX軸方向に60mmの距離移動させ、再び1回の散布工程を行い、また、堆積盤14を、図7中のX軸方向またはy軸方向に60mmの距離さらに移動させた。このような装置を用い、被積層面を図13に示すように25の積層区画に分けて散布工程を行い、繊維強化熱可塑性樹脂シート(13)を製造した。
(製造方法)
一方向プリプレグ(2)を貯留槽3に入れ、以下の条件で繊維強化熱可塑性樹脂シートを製造した。
散布量(Xg):11.0g
散布高さ10(Hmm):200mm
被積層面移動距離(X軸およびY軸方向):60mm
積層区画の総数:25区画
各積層区画の大きさ(Lmm):3600mm
1つの積層区画に対する散布工程の回数:1回
散布目付け:3041g/m
その他条件:実施例2と同様
この散布工程により得た積層物は、15mmの高さを有していた。得られた繊維強化熱可塑性樹脂シート(13)は、大きさが90000mm(300mm角)、厚さが2.1mm、単位面積あたりの重量(シート目付け)が3042g/mであった。
上記の実施例および比較例で得た繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造条件と、上記の方法に従い測定した引張強度、引張強度の変動係数、および、単位面積あたりの延べ散布回数を、次の表2に示す。なお、表2中の値Aは、A=(X/H)×Vの式より算出され、値Bは、B=X/Hの式より算出され、値CはC=L/Hの式より算出される。
Figure 2021185034
表2に示す結果から明らかなように、実施例1〜9ではCV値が低く、繊維強化熱可塑性樹脂シートが高い等方性を有することが確認された。実施例6では、比較例1と比較しても一回の散布量を5.5g以内に設定し、シート全体の積層数を3層から6層に増やしたことでチョップド基材の分散性が向上したことがCVの低減に繋がったと考えられる。これに対し、比較例1〜4では引張強度が相対的に低下すると共にCV値を十分に低減することができなかった。上記の理由は、比較例1では、実施例2と比較して1回の散布工程における散布量が多いために、一方向プリプレグを散布する際に一方向プリプレグを十分に分散させることができなかったためと考えられる。比較例2では、上記比較例1での理由に加えて、散布高さが低いために、一方向プリプレグの分散性がさらに低下したためと考えられる。比較例3では、1回あたりの散布量を少なくし、Ply数を増やしたが、散布高さが低いことに起因する一方向プリプレグの分散性の低下の影響を補うことができなかったためと考えられる。比較例4では、1回の散布量が多くPly数も少ないためであると考えられる。特に、実施例8では、1回あたりの散布重量が多いにもかかわらず、散布高さを高くし、値A等を所定の範囲にすることで、ばらつきが低減されており、生産性と物性の信頼性の観点から非常に結果が得られた。
1 散布口
2 計量部
3 貯留槽
4 輸送部
5 散布部
6 被積層面
7 積層部
8 一方向プリプレグ
9 積層物
10 散布高さ
11 散布口間隔
12 下ベルト
13 上ベルト
14 堆積盤

Claims (12)

  1. 強化繊維および熱可塑性樹脂を含む一方向プリプレグが、繊維方向がランダムになるように積層された、繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法であって、
    一方向プリプレグを散布するための散布口を備える散布部、および、一方向プリプレグを積層させるための被積層面を備える積層部を少なくとも有する装置を用いて、被積層面の上方に位置する散布口から一方向プリプレグを被積層面に落下させる散布工程を含み、ここで、一方向プリプレグ1枚あたりの平均体積をVmmとし、1つの散布口から1回に落下させる一方向プリプレグの重量をXgとし、被積層面から散布口までの距離をHmmとすると、V、XおよびHから次の式(1):
    Figure 2021185034
    により算出される値Aは0.05以上0.7以下である、製造方法。
  2. 1つの散布口から1回に落下させる一方向プリプレグの重量(Xg)、および、被積層面から散布口までの距離(Hmm)から次の式(2):
    Figure 2021185034
    により算出される値Bは0.03以下である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 一方向プリプレグの平均体積(Vmm)は、4〜60mmである、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 被積層面を1または2以上の積層区画に分け、各積層区画において前記散布工程を行う、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 1つの積層区画に対し2回以上の散布工程を行う、請求項4に記載の製造方法。
  6. 2つ以上の散布口から一方向プリプレグを落下させる、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 各積層区画の大きさ(Lmm)、および、被積層面から散布口までの距離(Hmm)から次の式(3):
    Figure 2021185034
    により算出される値Cは1〜50である、請求項4〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 散布工程により得た積層物を加熱して一次接着凝集物を得る工程をさらに含む、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 1回の散布による被積層面の単位面積あたりの重量は300〜1600g/mである、請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 繊維強化熱可塑性樹脂シートの繊維体積含有率は10〜99体積%である、請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. 強化繊維は炭素繊維である、請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
  12. 繊維強化熱可塑性樹脂シートにおいて、JIS K 7164に従い測定した引張強度のCV値は20.0%未満である、請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法。
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