JPWO2015029666A1 - 耐熱積層シートおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本実施形態に係る耐熱積層シートは、少なくとも1層の基材シートを有し、少なくとも両主面の最外層(使用時に除去される層を除く)が耐熱層となっており、耐熱層が、硬化性成分および無機フィラーを含有する組成物を硬化させた材料からなり、耐熱層が、無機フィラーを10〜85体積%含有し、耐熱層の1層の厚さが、0.5〜80μmであり、耐熱層以外の層の合計の厚さに対する耐熱層の合計の厚さの比が、20〜700%であるものである。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る耐熱積層シートの断面図である。本実施形態に係る耐熱積層シート1は、1層の基材シート2と、基材シート2の両側の面に積層された耐熱層3とを備えて構成される。
本実施形態に係る耐熱積層シート1の基材シート2は、耐熱積層シート1の用途に応じて適宜選択すればよいが、耐熱層3との親和性の良好な樹脂フィルムを用いることが好ましい。樹脂フィルムを用いることで、本実施形態に係る耐熱積層シート1が耐屈曲性に優れたものとなる。また、樹脂フィルムとして透明樹脂フィルムを用いた場合には、本実施形態に係る耐熱積層シート1を光学用途に用いることができるため、特に好ましい。
本実施形態に係る耐熱積層シート1の耐熱層3は、基材シート2の両側の面に最外層として積層されるものである。耐熱層3が基材シート2の両側の面に積層されることで、本実施形態に係る耐熱積層シート1が耐熱性に優れたものとなる。特に、基材シート2の片側の面だけでなく両側の面に耐熱層3が積層されることで、耐熱積層シート1が加熱されたときのカール(反り)の発生が効果的に抑制される。
硬化性成分としては、エネルギー線硬化性成分、熱硬化性成分等を用いることができるが、エネルギー線硬化性成分であることが好ましい。
本実施形態の耐熱層3を構成する無機フィラー含有硬化性組成物は、前述した硬化性成分に加えて無機フィラーを含有する。無機フィラーを含有させることで、本実施形態の耐熱層3に耐熱性が付与される。
(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2はハロゲン原子、
で示される基である。)
で表される化合物等が好ましく用いられる。
本実施形態の耐熱層3を構成する無機フィラー含有硬化性組成物は、前述した硬化性成分および無機フィラー以外に、各種添加剤を含有してもよい。各種添加剤としては、例えば、光重合開始剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、老化防止剤、熱重合禁止剤、着色剤、界面活性剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、消泡剤、有機系充填材、濡れ性改良剤、塗面改良剤等が挙げられる。
耐熱層3の1層の厚さは、0.5〜80μmであり、好ましくは1〜50μmであり、特に好ましくは1〜30μmである。耐熱層3の1層の厚さが0.5μm以上であることで、本実施形態に係る耐熱積層フィルム1に十分な耐熱性が付与される。一方、耐熱層3の1層の厚さが80μm以下であることで、耐熱積層シート1が耐屈曲性に優れたものとなる。
本実施形態に係る耐熱積層シート1は、縦10cm、横10cmの寸法において、150℃の雰囲気に1時間静置した後の四隅の反りの高さの合計値が、当該雰囲気に静置する前の値と比較して10cm未満であることが好ましく、8cm以下であることがより好ましく、5cm以下であることが特に好ましく、2cm以下であることが最も好ましい。かかる条件を満たす耐熱積層シート1は、加熱工程においても反り(カール)の発生が抑制され、耐熱性に非常に優れたものとなる。なお、具体的な測定方法の詳細は、後述する試験例にて示す。
本実施形態に係る耐熱積層シート1は、例えば、前述した基材シート2の両主面に塗布または貼合した無機フィラー含有硬化性組成物の層(当該層は、基本的には塗膜によって構成されるため、以下主として「塗膜」という。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。)を硬化させて耐熱層3を形成することにより得られる。以下、無機フィラー含有硬化性組成物が、硬化性成分としてエネルギー線硬化性成分を含有する場合について説明する。具体的な方法としては、以下に説明する2通りを挙げることができるが、これらの方法に限定されない。
本実施形態に係る耐熱積層シート1の用途は、耐熱性と耐屈曲性との両立が要求される用途に好ましく使用できる。特に、耐熱積層シート1のヘーズ値が小さい等の透明性を有する場合には、光学部材、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、さらにはタッチパネル等の各種ディスプレイの表層や内部の中間層として使用することができる。中でも、液晶ディスプレイにおける液晶セルの製造過程には加熱工程が含まれるため、かかる液晶セルのカバー層として特に好適である。
本実施形態に係る耐熱積層シートは、基材シート2を2層以上有していてもよく、また、その基材シートの相互間に耐熱層3が介在していてもよい。例えば、図2に示す耐熱積層シート1Aのように、2層の基材シート2と、3層の耐熱層3とが交互に積層されていてもよいし、図3に示す耐熱積層シート1Bのように、n層の基材シート2と、(n+1)層の耐熱層3とが交互に積層されていてもよい(nは3以上の整数)。
無機フィラー含有硬化性組成物(JSR社製,商品名「オプスターZ7530」,エネルギー線硬化性成分としてのジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(密度:1.25g/cm3)と無機フィラーとしての反応性シリカ(密度:2.1g/cm3)とを質量比40:60で含有,無機フィラーの含有量:49体積%,光重合開始剤:3質量%,固形分濃度:73質量%,溶媒:メチルエチルケトン)を、基材シートとしてのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡社製,商品名「コスモシャインPET100A4300」,厚さ:100μm)の片面に、乾燥後の厚さが30μmになるようにダイコーターにて塗布したのち、80℃で1分間処理して無機フィラー含有硬化性組成物の塗膜を形成した。次いで、得られた塗膜にカバーシート(東洋紡社製,商品名「コスモシャインPET50A4100」)を貼り合せたのち、得られた積層体のカバーシート側から紫外線(UV)照射(照度:230mW/cm2,光量:700mJ/cm2)を行い、無機フィラー含有硬化性組成物を硬化させて耐熱層(厚さ:30μm)を形成した。
基材シートとしてのPETフィルムの厚さおよび耐熱層の厚さが、表1に示す値となるように変更する以外は、実施例1と同様にして耐熱積層シートを製造した。
無機フィラー含有硬化性組成物(JSR社製,商品名「オプスターZ7530」)を、基材シートとしてのPETフィルム(東洋紡社製,商品名「コスモシャインPET25A4300」,厚さ:25μm)の片面に、乾燥後の厚さが25μmになるようにダイコーターにて塗布したのち、80℃で1分間処理して無機フィラー含有硬化性組成物の塗膜を形成した。次いで、得られた塗膜に、基材シートとしてのPETフィルム(東洋紡社製,商品名「コスモシャインPET25A4300」,厚さ:25μm)を貼り合わせ、基材シート/(無機フィラー含有硬化性組成物の)塗膜/基材シートからなる積層体(総厚:75μm)を得た。
基材シートとしてのPETフィルムの厚さおよび耐熱層の厚さが、表1に示す値となるように変更する以外は、実施例11と同様にして耐熱積層シートを製造した。
基材シートとしてのPETフィルム(東レ社製,商品名「ルミラーS10」,厚さ:12μm)の片面に、コロナ処理を行った。当該コロナ処理面に、無機フィラー含有硬化性組成物(JSR社製,商品名「オプスターZ7530」)を、乾燥後の厚さが10μmになるようにダイコーターにて塗布したのち、80℃で1分間処理して無機フィラー含有硬化性組成物の塗膜を形成した。次いで、得られた塗膜に、基材シートとしてのPETフィルム(東レ社製,商品名「ルミラーS10」,厚さ:12μm)にコロナ処理を行ったものを、当該コロナ処理面から貼り合わせた。これと同様にして、コロナ処理、無機フィラー含有硬化性組成物の塗膜形成および基材シートの貼合を行うことにより、基材シート/(無機フィラー含有硬化性組成物の)塗膜/基材シート/塗膜/基材シート/塗膜/基材シートとなる積層体(総厚:78μm)を得た。
無機フィラー含有硬化性組成物として、JSR社製の「オプスターZ7530」100質量部(固形分換算;以下同じ)と、オルガノシリカゾル(日産化学工業社製,商品名「PGM−ST」,無機フィラーとしてのシリカ微粒子(平均粒径15nm,密度:2.2g/cm3)30体積%を含有,溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル)60質量部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして耐熱積層シートを製造した。
無機フィラー含有硬化性組成物として、JSR社製の「オプスターZ7530」100質量部と、エネルギー線硬化性成分としてのトリシクロデカンジメタノールジアクリレート240質量部(密度:1.18g/cm3)との混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして耐熱積層シートを製造した。
エネルギー線硬化性成分としてのジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業社製)100質量部と、光重合開始剤としてのヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製,商品名「イルガキュア184」)2.5質量部との混合物(以下、「硬化性組成物」という。)を、基材シートとしてのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡社製,商品名「コスモシャインPET100A4300」,厚さ:100μm)の片面に、乾燥後の厚さが50μmになるようにダイコーターにて塗布したのち、80℃で1分間処理して硬化性組成物の塗膜を形成した。次いで、得られた塗膜にカバーシート(東洋紡社製,商品名「コスモシャインPET50A4100」)を貼り合せたのち、得られた積層体のカバーシート側から紫外線(UV)照射(照度:230mW/cm2,光量:700mJ/cm2)を行い、硬化性組成物を硬化させて耐熱層(厚さ:30μm)を形成した。
無機フィラー含有硬化性組成物として、JSR社製の「オプスターZ7530」100質量部と、エネルギー線硬化性成分としてのトリシクロデカンジメタノールジアクリレート600質量部との混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして耐熱積層シートを製造した。
実施例および比較例で得られた耐熱積層シートを、縦10cm、横10cmとなるように裁断し、カバーシートを除去して試験片とした。得られた試験片を、23℃、50%RHの雰囲気下で水平テーブルに置き、四隅のテーブル面からの垂直距離(cm)を測定した。その後、試験片を150℃ドライの雰囲気に1時間静置した後、静置前と同様にして四隅のテーブル面からの垂直距離(cm)を測定した。得られた結果より、上記静置後における4箇所の各距離の合計値から、上記静置前における4箇所の各距離の合計値を引いた値を算出し、これをカール量(cm)とした。結果を表1に示す。また、カール量が10cm未満のものを良好(○)、10cm以上のものを不良(×)として評価した。結果を表1に示す。
実施例および比較例で得られた耐熱積層シートについて、カバーシートを除去し、JIS K7133に準拠した加熱寸法変化測定法により、150℃ドライ、60分間の加熱の前後で、縦方向および横方向の標線間距離を測定し、加熱前後での変化率を百分率にて算出した。変化率のうち大きい方の値を表1に示す。また、縦方向および横方向の変化率がいずれも1%以下のものを良好(○)、いずれかが1%超のものを不良(×)として評価した。結果を表1に示す。
実施例および比較例で得られた耐熱積層シートについて、カバーシートを除去し、縦5mm、横30mmに打ち抜き、これをサンプルとした。かかるサンプルをJIS K7244−4に準拠し、粘弾性測定装置(TA社製,製品名「Q800」)を用いて引張モードにより、以下の条件で貯蔵弾性率(MPa)を測定した。
測定周波数:11Hz
測定温度 :150℃
昇温速度 :10℃/min
実施例および比較例で得られた耐熱積層シートについて、カバーシートを除去し、JIS K5600−5−1に準拠した円筒形マンドレル法による耐屈曲性試験により、耐熱積層シートに割れや剥がれが起きているか否かを目視観察により評価した。割れや剥がれが起こらなかった最小直径の値を表1に示す。なお、比較例4および5については、直径32mmのマンドレルでも割れまたは剥がれが生じたため、測定不可(「×」の評価)とした。
2…基材シート
3…耐熱層
Claims (14)
- 少なくとも1層の基材シートを有し、少なくとも両主面の最外層(使用時に除去される層を除く)が耐熱層となっている耐熱積層シートであって、
前記耐熱層は、硬化性成分および無機フィラーを含有する組成物を硬化させた材料からなり、
前記耐熱層は、前記無機フィラーを10〜85体積%含有し、
前記耐熱層の1層の厚さは、0.5〜80μmであり、
前記耐熱層以外の層の合計の厚さに対する前記耐熱層の合計の厚さの比は、20〜700%である
ことを特徴とする耐熱積層シート。 - 前記基材シートの1層の厚さは、2〜100μmであることを特徴とする請求項1に記載の耐熱積層シート。
- 縦10cm、横10cmの寸法において、150℃の雰囲気に1時間静置した後の四隅の反りの高さの合計値と前記雰囲気に静置する前の前記合計値との差が、10cm未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の耐熱積層シート。
- JIS K5600−5−1に準拠した円筒形マンドレル法による耐屈曲性試験において、割れの起こらない最小のマンドレル直径が32mm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の耐熱積層シート。
- JIS K7133に準拠した加熱寸法変化測定法で測定した縦寸法変化率および横寸法変化率が、それぞれ1.0%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の耐熱積層シート。
- 前記基材シートを1層有し、前記基材シートの両側の面に前記耐熱層が積層されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の耐熱積層シート。
- 前記硬化性成分がエネルギー線硬化性成分であることを特徴とする請求項6に記載の耐熱積層シート。
- 前記基材シートを2層以上有し、前記基材シートの相互間にも前記耐熱層が介在していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の耐熱積層シート。
- 前記硬化性成分がエネルギー線硬化性成分であることを特徴とする請求項8に記載の耐熱積層シート。
- 請求項7に記載の耐熱積層シートを製造する方法であって、
基材シートの一方の面に前記組成物からなる第1の層が積層され、前記第1の層の前記基材シート側とは反対側にカバーシートが積層された積層体を作製し、
前記積層体における前記基材シートの他方の面に前記組成物からなる第2の層を形成し、
エネルギー線照射により前記組成物からなる第1の層および第2の層を硬化させて耐熱層とする
ことを特徴とする耐熱積層シートの製造方法。 - 請求項7に記載の耐熱積層シートを製造する方法であって、
基材シートの一方の面に前記組成物からなる第1の層を形成し、
エネルギー線照射により前記組成物からなる第1の層を硬化させて耐熱層とし、
前記基材シートの他方の面に前記組成物からなる第2の層を形成し、
エネルギー線照射により前記組成物からなる第2の層を硬化させて耐熱層とする
ことを特徴とする耐熱積層シートの製造方法。 - 請求項9に記載の耐熱積層シートを製造する方法であって、
基材シートと前記組成物からなる層との積層体を備えたユニットを複数作製し、
複数の前記ユニットを、前記基材シートと前記組成物からなる層とが交互になるように積層してユニット積層体とし、
任意の段階で、前記ユニット積層体において露出している前記組成物からなる層の露出面にカバーシートが積層された状態とし、
前記ユニット積層体において露出している基材シートの露出面に前記組成物からなる層を形成し、
エネルギー線照射により前記組成物からなる層を硬化させて耐熱層とする
ことを特徴とする耐熱積層シートの製造方法。 - 請求項9に記載の耐熱積層シートを製造する方法であって、
基材シートと前記組成物からなる層との積層体を備えたユニットを複数作製し、
複数の前記ユニットを、前記基材シートと前記組成物からなる層とが交互になるように積層してユニット積層体とし、
前記ユニット積層体において露出している前記組成物からなる層の露出面に基材シートを積層して基本積層体とし、
前記基本積層体において露出している一方の前記基材シートの露出面に前記組成物からなる層を形成し、
前記基本積層体において露出している他方の前記基材シートの露出面に前記組成物からなる層を形成し、
任意の段階で、1回または複数回のエネルギー線照射により、前記組成物からなる層を硬化させて耐熱層とする
ことを特徴とする耐熱積層シートの製造方法。 - 請求項9に記載の耐熱積層シートを製造する方法であって、
基材シートと前記組成物からなる層との積層体を備えたユニットを複数作製し、
複数の前記ユニットを、前記基材シートと前記組成物からなる層とが交互になるように積層して第1のユニット積層体とし、
同じく複数の前記ユニットを、前記基材シートと前記組成物からなる層とが交互になるように積層して第2のユニット積層体とし、
前記第1のユニット積層体において露出している前記基材シートの露出面に前記組成物からなる層を形成し、
前記第1のユニット積層体において露出している前記組成物からなる層と、前記第2のユニット積層体において露出している前記基材シートとを重ね合わせて、前記第1のユニット積層体と前記第2のユニット積層体とを積層し、
任意の段階で、1回または複数回のエネルギー線照射により、前記組成物からなる層を硬化させて耐熱層とする
ことを特徴とする耐熱積層シートの製造方法。
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