JP7323733B1 - 保護フィルム付書き味向上フィルム - Google Patents

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Abstract

本発明は、書き味向上フィルム基材層と書き味向上層とを有する書き味向上フィルムの少なくとも一方の面に、保護フィルムが積層されてなる保護フィルム付書き味向上フィルムであって、前記書き味向上フィルムの線膨張係数をα(×10-5/K)とし、前記保護フィルムの線膨張係数をβ(×10-5/K)としたときに、式:-6.5<(α-β)<6.5を満たすことを特徴とする、保護フィルム付書き味向上フィルムである。本発明によれば、保存、運搬、加工時等における温度変化によっても、カールが生じることがなく、書き味向上フィルムの品質が保たれる、保護フィルム付書き味向上フィルムが提供される。

Description

本発明は、タッチパネル等におけるタッチペンでの書き味を向上させるための書き味向上フィルムに、保護フィルムを積層した保護フィルム付書き味向上フィルムに関する。
近年、各種電子機器において、表示装置と入力手段とを兼ねた位置検出機能付き画像表示装置(タッチパネル)が多く利用されている。
このようなタッチパネルにおいては、タッチパネルの最表面に、タッチペンでの書き味を向上させるためのフィルム(以下、「書き味向上フィルム」という。)を貼付することが検討されている。
書き味向上フィルムに関しては、例えば、特定の摩擦力を有する書き味向上層を備えた書き味向上フィルム(特許文献1)、タッチペンのペン先抵抗力とオレイン酸接触角を規定したタッチパネル用の防眩性ハードコートフィルム(特許文献2)、特定の全光線透明率及び特定の転がり円最大高さうねりを有する透明フィルム(特許文献3)、網目構造を形成する線状凸部を含む触感フィルム(特許文献4)、特定の転がり円最大高さうねり及び算術平均粗さの表面形状を有する透明積層フィルム(特許文献5)等が開示されている。
しかしながら、これらの文献には、書き味向上フィルムに保護フィルムを積層した積層体についての記載はない。
WO2020/122172号(US2022/0033600A1) 特開2014-232276号公報 特開2014-97649号公報(US2015/0291828A1) 特開2015-54417号公報 特開2016-196113号公報(US2018/0030229A1)
書き味向上フィルムは、製造された後、保存、運搬、加工等がなされる。そのため、書き味向上フィルムがタッチパネルに使用されるまでの間、書き味向上フィルムの表面を保護する目的で、フィルム表面に保護フィルムを貼付(積層)しておく場合がある。
また、表面に保護フィルムが積層された書き味向上フィルム(以下、「保護フィルム付書き味向上フィルム」という。)は、保存、運搬中に長時間高温状態(40~60℃)に晒されたり、加工時において高温状態(50~90℃)で加工されたりする場合もある。このような温度変化が付与されることによって、フィルムにカールが生じ、それによって書き味向上フィルムの品質が低下するという問題があった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、温度変化によるカールの発生が抑制された、保護フィルム付書き味向上フィルムを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、保護フィルム付書き味向上フィルムについて鋭意検討した。その結果、書き味向上フィルムの線膨張係数α(×10-5/K)と保護フィルムの線膨張係数β(×10-5/K)とを特定の関係を有するものとすることで、この課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
かくして本発明によれば、下記〔1〕~〔6〕の保護フィルム付書き味向上フィルムが提供される。
〔1〕書き味向上フィルム基材層と書き味向上層とを有する書き味向上フィルムの少なくとも一方の面に、保護フィルムが積層されてなる保護フィルム付書き味向上フィルムであって、
前記書き味向上フィルムの線膨張係数をα(×10-5/K)とし、前記保護フィルムの線膨張係数をβ(×10-5/K)としたときに、式:-6.5<(α-β)<6.5を満たすことを特徴とする、保護フィルム付書き味向上フィルム。
〔2〕前記書き味向上フィルムの書き味向上層側の面に、保護フィルムが積層されてなる、〔1〕に記載の保護フィルム付書き味向上フィルム。
〔3〕前記保護フィルムが、粘着剤層と保護フィルム基材層とを有し、前記書き味向上フィルムの少なくとも一方の面と、前記保護フィルムの粘着剤層とが接するように積層されてなる、〔1〕又は〔2〕に記載の保護フィルム付書き味向上フィルム。
〔4〕前記書き味向上フィルムの線膨張係数をα(×10-5/K)とし、前記保護フィルムの線膨張係数をβ(×10-5/K)としたときに、式:-1.0<(α-β)<1.0を満たすことを特徴とする、〔1〕又は〔2〕に記載の保護フィルム付書き味向上フィルム。
〔5〕前記書き味向上フィルムの線膨張係数α(×10-5/K)が、1.5以上8.0以下(×10-5/K)である、〔1〕又は〔2〕に記載の保護フィルム付書き味向上フィルム。
〔6〕前記書き味向上フィルムと保護フィルムの層間剥離力が、800mN/25mm以下である、〔1〕又は〔2〕に記載の保護フィルム付書き味向上フィルム。
本発明の保護フィルム付書き味向上フィルムによれば、保存、運搬、加工時等において、温度変化によるカールの発生が抑制されるため、書き味向上フィルムの品質が保持される。
図1は、本発明の保護フィルム付書き味向上フィルムの層構成の一例を示す模式図である。 図2は、カールの最大高さを説明する図である。
本発明の保護フィルム付書き味向上フィルムは、書き味向上フィルム基材層と書き味向上層とを有する書き味向上フィルムの少なくとも一方の面に、保護フィルムが積層されてなる保護フィルム付書き味向上フィルムであって、前記書き味向上フィルムの線膨張係数をα(×10-5/K)とし、前記保護フィルムの線膨張係数をβ(×10-5/K)としたときに、式:-6.5<(α-β)<6.5を満たすことを特徴とする。
以下、本発明の保護フィルム付書き味向上フィルムについて詳細に説明する。
1)書き味向上フィルム
本実施形態に係る書き味向上フィルムは、書き味向上フィルム基材層と書き味向上層とを有する。
(1)書き味向上フィルム基材層
本実施形態に係る書き味向上フィルム基材層は、書き味向上層を担持する役割を有する。
書き味向上フィルム基材層の材質としては、光学用基材として従来公知の材料の中から透明性を有するものを適宜選択して用いることができる。
例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等のポリエステルフィルム;ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム;ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリウレタン樹脂フィルム、ノルボルネン系重合体フィルム、環状オレフィン系重合体フィルム、環状共役ジエン系重合体フィルム、ビニル脂環式炭化水素重合体フィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、液晶ポリマーフィルム;セロファン;ガラス;これらの積層フィルム;等が挙げられる。
なかでも、書き味向上層との組み合わせにおいて、タッチペンの書き味を良好に維持することができる観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系重合体フィルム等が好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、これらの複合基材が特に好ましい。
書き味向上フィルム基材層には、その表面に設けられる層(書き味向上層、粘着剤層等)との密着性を向上させる目的で、所望により片面又は両面に、酸化法、凹凸化法等による表面処理、プライマー処理等を施すことができる。
酸化法としては、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理等が挙げられる。
凹凸化法としては、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。
プライマー処理は、書き味向上フィルム基材層の表面に接着性樹脂材料を塗布する等の公知の手法で行うことができる。
これらの表面処理等は基材層の材質等に応じて適宜選択すればよい。
書き味向上フィルム基材層の厚みは、書き味向上層を適切に担持する観点、加工性の観点、タッチパネルの保護性やタッチペンによる筆記耐性の観点から、30~300μmであることが好ましく、90~250μmであることがより好ましく、120~220μmであることが特に好ましく、150~200μmであることがさらに好ましい。
(2)書き味向上層
本実施形態に係る書き味向上層は、タッチペンによる書き味を向上させる機能を有する。
ここで、「タッチペンによる書き味を向上させる」とは、タッチペンにより書き味向上層上に筆記した場合に、紙にボールペンで筆記した際の振動感を再現でき(振動感)、かつ、紙にボールペンで筆記した際の抵抗感(摩擦の程度)を再現できる(抵抗感)ようにすることをいう。
書き味向上層は、書き味向上層形成用組成物を用いて形成することができる。
書き味向上層形成用組成物は、例えば、硬化性成分、微粒子、表面調整剤等を混合することで調製することができる。
(2-1)硬化性成分
本実施形態に係る書き味向上層形成用組成物は、硬化性成分を主成分したものであることが好ましい。
硬化性成分は、可視光線、紫外線、電子線等の活性エネルギー線や、熱等によって硬化する成分である。例えば、活性エネルギー線硬化性成分、熱硬化性成分等が挙げられる。
なかでも、形成される書き味向上層の硬度や、書き味向上フィルム基材層の耐熱性等の観点、書き味向上フィルムの線膨張係数αを低くする効果が発現する観点から、活性エネルギー線硬化性成分を使用することが好ましい。このような書き味向上層を設けた書き味向上フィルムは、保護フィルムと組み合わせることで優れたカール抑制効果を発揮し易い。
活性エネルギー線硬化性成分としては、多官能性(メタ)アクリレート系モノマー、(メタ)アクリレート系プレポリマー、活性エネルギー線硬化性ポリマー等が挙げられる。なかでも、所定の硬度を有し、タッチペンによる書き味の向上を達成できることから、多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び/又は(メタ)アクリレート系プレポリマーが好ましく、多官能性(メタ)アクリレート系モノマーがより好ましい。このような材料を使用した書き味向上層により、保護フィルムと組み合わせることで優れたカール抑制効果が発揮し易いものとなる。
多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び(メタ)アクリレート系プレポリマーは、それぞれ単独で使用してもよいし、両者を併用してもよい。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。他の類似用語も同様である。
多官能性(メタ)アクリレート系モノマーとしては、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリレート系プレポリマーとしては、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系等のプレポリマーが挙げられる。
ポリエステルアクリレート系プレポリマーは、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
エポキシアクリレート系プレポリマーは、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応させエステル化することにより得ることができる。
ウレタンアクリレート系プレポリマーは、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリオールアクリレート系プレポリマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
これらのプレポリマーは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(2-2)微粒子
本実施形態に係る書き味向上層形成用組成物は、微粒子を含有することが好ましい。微粒子を含有することにより、形成される書き味向上層は、その表面が適度に粗面となり、後述する摩擦力の平均値、最大値、最小値、標準偏差を所望の範囲に調整し易くなる。その結果、得られる書き味向上フィルムは、書き味向上層にタッチペンで筆記した際に適度な摩擦感及び振動感を発現し得るものとなり、紙にボールペンで筆記した際の書き味を良好に再現するものとなる。また、書き味向上フィルムの線膨張係数αを低くし易くなって、特に保護フィルムと組み合わせることで、優れたカール抑制効果が発揮し易いものとなる。
上記微粒子は、後述するシリカナノ粒子よりも平均粒径が大きいものを指すものとする。たとえば、微粒子の平均粒径は、1~20μmであることが好ましく、3~18μmであることがより好ましく、6~16μmであることが特に好ましく、8~14μmであることがさらに好ましく、中でも10~12μmであることが好ましい。平均粒径が上記の範囲にある微粒子を用いることにより、後述する摩擦力の平均値、最大値、最小値、標準偏差を所望の範囲に調整し易くなって、書き味向上層に適度な摩擦感及び振動感を付与し、紙にボールペンで筆記した際の書き味を良好に再現するものとなる。また、書き味向上フィルムの線膨張係数αを低くし易くなって、特に保護フィルムと組み合わせることで優れたカール抑制効果が発揮し易いものとなる。
なお、上述した微粒子の平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用い、分散媒であるメチルエチルケトンにより調製した5質量%濃度の分散液をサンプルとして数滴使用し、測定した値とする。
微粒子は、無機系微粒子であってもよいし、有機系微粒子であってもよいし、無機及び有機の性質を兼ね備える樹脂微粒子であってもよい。なかでも、形成される書き味向上層の硬度の観点や、書き味向上フィルムの線膨張係数αを低くし易くなる観点から、無機系微粒子、又は、無機及び有機の性質を兼ね備える樹脂微粒子が好ましく、無機及び有機の性質を兼ね備える樹脂微粒子が特に好ましい。
無機系微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる微粒子が挙げられる。これらの中でも、シリカ微粒子が好ましい。
有機系微粒子としては、メラミン系樹脂微粒子、アクリル系樹脂微粒子(例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂微粒子等)、アクリル-スチレン系共重合体微粒子、ポリカーボネート系微粒子、ポリエチレン系微粒子、ポリスチレン系微粒子、ベンゾグアナミン系樹脂微粒子等が挙げられる。樹脂微粒子を構成する樹脂は、架橋されていてもよい。これらの中でも、光学特性及び硬度の観点から、アクリル系樹脂微粒子が好ましく、ポリメチルメタクリレート樹脂微粒子がより好ましい。
無機及び有機の性質を兼ね備える樹脂微粒子としては、シリコーン微粒子(例えば、モメンティブ社製のトスパールシリーズ)が好適なものとして挙げられる。
微粒子は、分散性をより向上させるために、その表面が表面修飾剤によって修飾されていることも好ましい。
また、微粒子の形状は球状であってもよいし、非球状であってもよい。非球状である場合には、不定形であってもよいし、針状、鱗片状といったアスペクト比が高い形状であってもよい。なお、本明細書において、「不定形」とは、球状や楕円形状のような規則的な形状ではなく、不規則な多数の角部または面を有する形状をいう。
得られる書き味向上層が、後述する摩擦力の平均値、最大値、最小値、標準偏差を所望の範囲に調整し易くなる観点、及び、書き味向上フィルムの線膨張係数αを低くし易くなる観点から、微粒子の形状は球状であることが好ましく、真球状であることが特に好ましい。
微粒子は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
書き味向上層形成用組成物中における微粒子の含有量は、硬化性成分100質量部に対して、0.1~20質量部であることが好ましく、0.5~17質量部であることがより好ましく、1~14質量部であることが特に好ましく、3~12質量部であることがさらに好ましく、中でも6~11質量部であることが好ましい。微粒子の含有量が上記範囲にあることで、得られる書き味向上層は、後述する摩擦力の平均値、最大値、最小値、標準偏差を所望の範囲に調整し易くなるとともに、書き味向上フィルムの線膨張係数αを低くし易くなって、特に保護フィルムと組み合わせることで優れたカール抑制効果が発揮し易いものとなる。
(2-3)表面調整剤
本実施形態に係る書き味向上層形成用組成物は、表面調整剤を含有することが好ましい。
表面調整剤を含有することにより、形成される書き味向上層において、スジ状の欠点やムラ等の発生が抑制される。これにより、膜厚が均一なものとなり、書き味向上フィルムがより優れた外観を呈するものとなり、所望の光学特性(ヘイズ値及び全光線透過率等)を備えるものとなり易い。また、書き味向上フィルムの書き味向上層の表面が良好な面状態となり易いため、後述する摩擦力の平均値、最大値、最小値、標準偏差を所望の範囲に調整し易くなって、書き味向上層の書き味をより良好にすることができる。また、書き味向上フィルムの線膨張係数αを低くし易くなって、特に保護フィルムと組み合わせることで優れたカール抑制効果が発揮し易いものとなる。
表面調整剤としては、シリコーン系重合体からなるシリコーン系表面調整剤、フッ素系重合体からなるフッ素系表面調整剤、アクリル系重合体からなるアクリル系表面調整剤、ビニル系重合体からなるビニル系表面調整剤が挙げられる。
ここで、シリコーン系重合体とは、主としてポリシロキサン鎖からなる重合体を意味し、フッ素系重合体はフッ素で置換されたモノマーを主なモノマー単位として有する重合体を意味する。また、アクリル系重合体とは、アクリル酸エステルを主なモノマー単位として有する重合体のことを意味する。そしてビニル系重合体とは、ビニル基を有するモノマーを主なモノマー単位として有する重合体を意味する。
表面調整剤は1種単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、表面調整の性能や他の成分との相溶性の観点から、シリコーン系の表面調整剤及びフッ素系の表面調整剤が好ましい。
シリコーン系の表面調整剤としては、ポリジメチルシロキサン又は変性ポリジメチルシロキサンからなる表面調整剤が好ましく、ポリジメチルシロキサンからなる表面調整剤がより好ましい。
フッ素系の表面調整剤としては、パーフルオロアルキル基又はフッ素化アルケニル基を主鎖又は側鎖に有するフッ素系重合体からなる表面調整剤が好ましい。市販品としては、ビックケミージャパン社製のBYK-340、ネオス社製のフタージェント650A、DIC社製のメガファックRS-75、DIC社製のメガファックRS-90、大阪有機化学工業社製のV-8FM等を好ましく挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
書き味向上層形成用組成物が表面調整剤を含有する場合、書き味向上層形成用組成物中の表面調整剤の含有量は、硬化性成分100質量部に対して、0.01~10質量部であることが好ましく、0.1~5質量部であることがより好ましく、0.5~3質量部であることが特に好ましく、0.8~2質量部であることがさらに好ましい。表面調整剤の含有量が上記範囲であることで、書き味向上フィルムの外観をより良好なものとすることができる。また、後述する摩擦力の平均値、最大値、最小値、標準偏差を所望の範囲に調整し易くなって、書き味向上層の書き味をより良好にすることができる。
(2-5)その他の成分
書き味向上層形成用組成物は、上記成分以外の他の成分をさらに含有していてもよい。他の成分としては、シリカナノ粒子、光重合開始剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、老化防止剤、熱重合禁止剤、界面活性剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、消泡剤、有機系充填材、濡れ性改良剤、塗面改良剤等が挙げられる。
書き味向上層形成用組成物にシリカナノ粒子を含有させることにより、形成される書き味向上層の硬度及び耐擦傷性を効果的に向上させることができ、ひいてはカール抑制に寄与し易くなる。また、書き味向上フィルムの光学特性(ヘイズ値及び全光線透過率等)を良好なものとし、書き味向上フィルムを使用した際のギラツキの発生を効果的に抑制することができる。
シリカナノ粒子の平均粒径は、1~300nmであることが好ましく、5~100nmであることがより好ましく、10~50nmであることが特に好ましい。
シリカナノ粒子の平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置によって測定することができる。
また、シリカナノ粒子は、オルガノゾル(コロイド状)の形態であってもよい。オルガノゾルの形態であることにより、シリカナノ粒子の分散性が良好になり、形成される書き味向上層の均質性及び光透過性が向上する。
書き味向上層形成用組成物がシリカナノ粒子を含有する場合、書き味向上層形成用組成物中におけるシリカナノ粒子の含有量は、硬化性成分100質量部に対して、5~50質量部であることが好ましく、10~35質量部であることがより好ましく、15~25質量部であることが特に好ましい。
シリカナノ粒子の配合割合を上記範囲とすることで形成される書き味向上層の均質性及び光透過性をより良好に維持することができる。
書き味向上層形成用組成物が、硬化性成分として活性エネルギー線硬化性成分を含有する場合、光重合開始剤をさらに含有することが好ましい。光重合開始剤を含有させることによって、活性エネルギー線照射による硬化反応をより容易に進行させることができる。
用いる光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-プロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-2(ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-ターシャリ-ブチルアントラキノン、2-アミノアントラキノン、2-メチルチオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p-ジメチルアミノ安息香酸エステル等が挙げられる。これらは1種単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることができる。
書き味向上層形成用組成物が光重合開始剤を含有する場合、書き味向上層形成用組成物中における光重合開始剤の含有量は、光重合開始剤を添加する効果の観点から、硬化性成分100質量部に対して、1~20質量部であることが好ましく、2~10質量部であることがより好ましい。
書き味向上層形成用組成物は、塗工性の改良、粘度調整、固形分濃度の調整等のために、溶剤を含有していてもよい。
用いる溶剤としては、硬化性成分等が溶解し、微粒子等が分散するものであれば、特に限定されない。溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソロブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソロブ)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソロブ)、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;等が挙げられる。
これらの溶剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
溶剤の含有量は、硬化性成分100質量部に対し、10~300質量部が好ましく、30~200質量部の範囲がより好ましい。
(3)書き味向上層の形成方法
書き味向上層は、前記書き味向上フィルム基材層上に、前記書き味向上層形成用組成物を所望の膜厚となるように塗工し、得られる塗膜を乾燥し、硬化させることにより形成することができる。
書き味向上層形成用組成物を塗工する方法としては、従来公知の塗工方法、例えば、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が採用できる。
得られる書き味向上層形成用組成物の塗膜の乾燥温度は、通常40~120℃、乾燥時間は、通常30秒から5分程度である。
書き味向上層形成用組成物中の硬化性成分が活性エネルギー線硬化性を有する場合、書き味向上層形成用組成物の塗膜に対して、紫外線、電子線等の活性エネルギー線を照射することによって塗膜を硬化させることができる。
紫外線照射は、高圧水銀ランプ、へレウス社製Hランプ、キセノンランプ等によって行うことができる。紫外線の照射量は、照度50~1000mW/cm、光量50~1000mJ/cmが好ましく、照度100~500mW/cm、光量100~500mJ/cmがより好ましい。
電子線照射は、電子線加速器等によって行うことができ、電子線の照射量は、10~1000krad程度が好ましい。
書き味向上層形成用組成物中の硬化性成分が熱硬化性を有する場合、書き味向上層形成用組成物の塗膜を、所定温度で所定時間加熱することによって塗膜を硬化させることができる。
形成される書き味向上層の厚みは特に限定されないが、0.8~30μmであることが好ましく、1~20μm以上であることがより好ましく、2~15μmであることが特に好ましく、3~12μmであることがさらに好ましく、中でも4~10μmであることが好ましく、5~8μmであることが最も好ましい。書き味向上層の厚みが上記の範囲であることで、紙にボールペンで筆記した際の書き味をより良好に再現することが可能となる。また、書き味向上フィルムの線膨張係数αを低くし易くなって、特に保護フィルムと組み合わせることで優れたカール抑制効果が発揮し易いものとなる。
本発明に係る保護フィルム付書き味向上フィルムは、書き味向上フィルムの線膨張係数α(×10-5/K)が、後述する保護フィルムの線膨張係数β(×10-5/K)との関係で、式:-6.5<(α-β)<6.5を満たすことを要する。
書き味向上フィルムの線膨張係数αは、後述する保護フィルムの線膨張係数β(×10-5/K)との関係で、式:-6.5<(α-β)<6.5を満たすものであれば、特に制限されないが、通常0超50以下(×10-5/K)であり、1~30(×10-5/K)であることが好ましく、1.3~10(×10-5/K)であることがより好ましく、1.5~8(×10-5/K)であることが特に好ましい。これにより、上記式を満たし易くなる。
書き味向上フィルムの線膨張係数αは、熱機械分析装置を用いて、幅4.5mm、長さ15mmの試験片の長さ方向の伸縮を、30~70℃の範囲で昇温速度5℃/分で測定し、算出することができる。
前記式を満たす保護フィルム付書き味向上フィルムを得るには、用いる書き味向上フィルムとの関係で、適切な線膨張係数を有する保護フィルムを選択すればよい。
書き味向上フィルム(書き味向上層面)とタッチペン(スタイラスペン)の筆記時の摩擦力の平均値は、100~1200mNであることが好ましく、200~800mNであることがより好ましく、250~500mNであることが特に好ましく、300~400mNであることがさらに好ましい。
書き味向上フィルム(書き味向上層面)とタッチペン(スタイラスペン)の筆記時の摩擦力の最大値は、200~1500mNであることが好ましく、特に250~1000mNであることが好ましく、さらには300~600mNであることが好ましい。
書き味向上フィルム(書き味向上層面)とタッチペン(スタイラスペン)の筆記時の摩擦力の最小値は、80~1200mNであることが好ましく、120~1000mNであることがより好ましく、200~700mNであることが特に好ましく、240~500mNであることがさらに好ましい。
書き味向上フィルム(書き味向上層面)とタッチペン(スタイラスペン)の筆記時の摩擦力の標準偏差は、10~60mNであることが好ましく、14~45mNであることがより好ましく、16~30mNであることが特に好ましい。
上記の摩擦力の平均値、最大値、最小値、標準偏差のいずれか、またはいずれもが上述した範囲であることで、タッチペンを握る手に伝わる振動感を、紙にボールペンで筆記した際に得られる振動感を良好に再現し易いものとなる。なお、上記摩擦力に関する物性は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
本発明に係る書き味向上フィルムの書き味向上層表面は、耐擦傷性に優れる。スチールウールを用いた耐擦傷性の評価において外観変化がないものであることが好ましい。具体的には、書き味向上層の表面について、JIS K5600-5-10に準じて、#0000のスチールウールを用いて、250g/cmの荷重で10cm、10往復擦った後、当該表面に傷が生じないことが好ましい。これにより、タッチパネル等の表示体の表面において使用された際に、優れた表面保護性を発揮し、タッチパネルの美観を良好に保持することができる。
耐擦傷性の評価は、後述する試験例に記載の方法により実施することができる。
本発明に係る書き味向上フィルム(書き味向上層面)の鉛筆硬度は、H以上であることが好ましく、2H以上であることが好ましく、3H以上であることが特に好ましく、4H以上であることがさらに好ましい。また、当該鉛筆硬度は、通常9H以下であり、7H以下であることが好ましく、5H以下であることがより好ましい。当該硬度を有することで、耐擦傷性に優れ、タッチパネル等の表示体の表面において使用された際に、優れた表面保護性を発揮する。特に表面が傷つきにくくなるため、タッチパネルの美観を良好に保持することができる。
鉛筆硬度は、JIS K5600に準拠して、鉛筆引っかき硬度試験機を用いて測定することができる。
本発明に係る書き味向上フィルムの全光線透過率(%)は、80%以上が好ましく、より好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上である。これにより、書き味向上フィルムは透明性に優れ、タッチパネルに適用した際も良好な画像視認性を発揮することができる。全光線透過率の上限値は、通常100%である。
全光線透過率は、JIS K 7361-1に準拠して、ヘイズメーターを用いて測定することができる。
本発明に係る書き味向上フィルム(書き味向上層面)のヘイズ(%)は、0~50%であることが好ましく、1~40%であることがより好ましく、5~30であることが特に好ましく、10~22%であることがさらに好ましい。これにより、書き味向上フィルムは透明性に優れ、タッチパネルに適用した際も良好な画像視認性を発揮することができる。
ヘイズは、JIS K 7136:2000に準拠して、ヘイズメーターを用いて測定することができる。
2)保護フィルム
本発明に係る保護フィルム付書き味向上フィルムにおいて、保護フィルムは、前記書き味向上フィルム表面の傷つきや汚れの付着を防止する役割を有する。
保護フィルムは、保護フィルム基材層のみからなるものであっても、保護フィルム基材層と粘着剤層を有するものであってもよい。
(1)保護フィルム基材層
本実施形態に係る保護フィルム基材層の材質としては特に限定されず、光学フィルムの保護フィルム基材層として用いられる従来公知のものが挙げられる。具体的には、前記書き味向上フィルム基材層として例示したものと同様のものが挙げられる。
なかでも、取り扱い性、入手容易性、本発明の効果がより得られやすい観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、液晶ポリマーフィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルムがより好ましい。
保護フィルム基材層は、これらのフィルムの一種からなる単層のものであっても、これらのフィルムの二種以上が積層されたものであってもよい。
保護フィルム基材層は、前記書き味向上フィルム基材層の項で説明したものと同様に、酸化法や凹凸化法等の表面処理、プライマー処理が施されていてもよい。これらの表面処理法は、保護フィルム基材層の種類等に応じて適宜選択される。
保護フィルム基材層の厚みは、作業性、コスト等の観点から適宜設定される。保護フィルム基材層の厚みは、10~300μmであることが好ましく、20~200μmであることがより好ましく、25~150μmであることが特に好ましく、30~120μmであることがさらに好ましく、中でも35~110μmであることがより好ましい。これにより、線膨張係数αとβに係る関係式を満たし易く、また後述する層間剥離力が所定の範囲となり易い。
(2)粘着剤層
保護フィルムが粘着剤層を有する場合、保護フィルム用基材層と書き味向上フィルムとを、粘着剤層を介して、より簡便に、かつ強固に接着させることができる。
粘着剤層を構成する粘着剤としては、光学用フィルム用途に一般的に使用される粘着剤を使用することができる。例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤等が挙げられる。また、当該粘着剤は、エマルション型、溶剤型または無溶剤型のいずれであってもよい。さらに、当該粘着剤は、架橋構造を有していてもよいし、架橋構造を有していなくてもよい。
これらの中でも、所望の粘着性を発現し、光学特性や耐久性に優れる観点から、ベースポリマーとして(メタ)アクリル酸エステル重合体を含有するアクリル系粘着剤が好ましく、ベースポリマーとして(メタ)アクリル酸エステル重合体を含有かつ架橋構造を有するアクリル系粘着剤がより好ましい。なお、本明細書において、「重合体」には「共重合体」の概念も含まれるものとする。
上記(メタ)アクリル酸エステル重合体を構成するモノマー単位は、透明性や粘着力等の観点から適宜調整することができるものの、特に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、分子内に反応性官能基を有するモノマー(反応性官能基含有モノマー)とを含有することが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体は、当該重合体を構成するモノマー単位として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有することで、好ましい粘着性を発現することができる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であってもよいし、環状構造を有するものであってもよい。
アルキル基の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル等が挙げられる。中でも、後述する層間剥離力を所望の値に調整し易くなる観点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルが好ましく挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体は、当該重合体を構成するモノマー単位として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを、全モノマー単位に対して、30~99.9質量%含有することが好ましく、特に50~99.5質量%含有することが好ましく、さらには70~99質量%含有することが好ましい。このような範囲であることで、後述する層間剥離力を所望の値に調整し易くなる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体は、当該重合体を構成するモノマー単位として反応性官能基含有モノマーを含有することで、当該反応性官能基含有モノマー由来の反応性官能基を介して、後述する架橋剤と反応し、これにより架橋構造(三次元網目構造)が形成され、所望の凝集力を有する粘着剤が得られる。
反応性官能基含有モノマーとしては、分子内にヒドロキシ基を有するモノマー(ヒドロキシ基含有モノマー)、分子内にカルボキシ基を有するモノマー(カルボキシ基含有モノマー)、分子内にアミノ基を有するモノマー(アミノ基含有モノマー)などが好ましく挙げられる。中でも、架橋密度を調整し易く所望の凝集力を有する粘着剤を得易い観点、及び、後述する層間剥離力の観点から、ヒドロキシ基含有モノマーまたはカルボキシ基含有モノマーが好ましい。これらの反応性官能基含有モノマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。上記の中でも、炭素数が1~4のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。中でも、後述する層間剥離力を満たし易くなる観点から、アクリル酸が好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体は、当該重合体を構成するモノマー単位として、反応性官能基含有モノマーを、全モノマー単位に対して、0.1~20質量%含有することが好ましく、0.5~10質量%含有することがより好ましく、特に0.8~3質量%含有することが好ましい。これにより、(メタ)アクリル酸エステル重合体が、架橋剤との間で所望の架橋反応を生じ易くなり、その結果、得られる粘着剤が良好な凝集力を有し易いものとなり、後述する層間剥離力を所望の値に調整し易くなる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体は、当該重合体を構成するモノマーとして、他のモノマーをさらに含有してもよい。当該他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル等の脂環式構造含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル;アクリルアミド、メタクリルアミド等の非架橋性のアクリルアミド;(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノプロピル等の非架橋性の3級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル;スチレン;などが挙げられる。中でも、得られる(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の凝集力の点、及び、後述する層間剥離力の観点から、(メタ)アクリル酸グリシジルが好ましく、特にメタクリル酸グリシジルが好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体は、当該重合体を構成するモノマー単位として、他のモノマーを、全モノマー単位に対して、0.1~10質量%含有することが好ましく、特に0.2~5質量%含有することが好ましく、さらには0.3~1質量%含有することが好ましい。これにより、得られる粘着剤が良好な凝集力を有し易いものとなり、後述する層間剥離力を所望の値に調整し易くなる。
本実施形態における(メタ)アクリル酸エステル重合体の重合態様は、ランダム重合体であってもよいし、ブロック重合体であってもよい。また、アクリル系重合体は、上述した各モノマーを常法によって重合することにより得ることができる。例えば、乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法、水溶液重合法などにより重合して調製することができる。中でも、重合時の安定性、及び使用時の取り扱い易さの観点から、有機溶媒中で行う溶液重合法で調製するのが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体の重量平均分子量は、10万~300万であることが好ましく、30万~200万であることがより好ましく、特に45万~150万であることが好ましく、さらには60万~100万であることが好ましい。これにより、得られる粘着剤が良好な凝集力を有し易いものとなり、後述する層間剥離力を所望の値に調整し易くなる。
なお、本実施形態に係る粘着剤組成物は、上述した(メタ)アクリル酸エステル重合体を1種含有するものであってもよく、または2種以上含有するものであってもよい。また、本実施形態に係る粘着剤組成物は、上述した(メタ)アクリル酸エステル重合体とともに、別の(メタ)アクリル酸エステル重合体を含有するものであってもよい。
架橋剤は、粘着剤組成物の加熱により、上述した(メタ)アクリル酸エステル重合体を架橋し、三次元網目構造を良好に形成することが可能となる。これにより、得られる粘着剤の凝集力がより向上し、後述する層間剥離力を所望の値に調整し易くなる。
架橋剤の例としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体が有する反応性官能基と反応するものが好ましく、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アミン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、アンモニウム塩系架橋剤等が挙げられる。
上述した架橋剤の例の中でも、(メタ)アクリル酸エステル重合体が有する反応性官能基と反応し易い観点、及び、後述する層間剥離力を所望の値に調整し易くなる観点から、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤を使用することが好ましい。なお、架橋剤は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
粘着剤組成物が架橋剤及び(メタ)アクリル酸エステル重合体を含有する場合、当該粘着剤組成物中における架橋剤の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部に対して、0.01~5質量部であることが好ましく、0.1~4質量部であることがより好ましく、特に0.5~3質量部であることが好ましく、さらには1~2質量部であることが好ましい。これにより、得られる粘着剤がより優れた凝集力を発揮するとともに、後述する層間剥離力を所望の値に調整し易くなる。
また、粘着剤層には、目的に応じて、その他の成分が含有されていてもよい。
その他の成分としては、粘着付与剤、可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、防錆剤、酸化防止剤、光安定剤、軟化剤、屈折率調整剤等が挙げられる。なお、後述の重合溶媒や希釈溶剤は、粘着剤組成物を構成する添加剤に含まれないものとする。
粘着剤組成物が可塑剤を含む場合、当該粘着剤組成物中における架橋剤の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部に対して、0.1~50質量部であることが好ましく、1~35質量部であることがより好ましく、特に4~20質量部であることが好ましく、さらには8~15質量部であることが好ましい。これにより、得られる粘着剤がより優れた凝集力を発揮するとともに、後述する層間剥離力を所望の値に調整し易くなる。
粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、3~300μmであることが好ましく、5~200μmであることがより好ましく、10~100μmであることが特に好ましく、15~60μmであることがさらに好ましく、中でも20~35μmであることが好ましい。これにより、線膨張係数αとβに係る関係式を満たし易く、また後述する層間剥離力が所定の範囲となり易い。
(3)保護フィルム
粘着剤層を有する保護フィルムの作製方法は特に限定されない。例えば、保護フィルム基材層上に、公知の塗工法により、所望の膜厚となるように粘着剤層形成用組成物を塗工し、得られた塗膜を乾燥することにより形成することができる。
粘着剤層形成用組成物は、通常、ベースポリマー、溶剤、架橋剤、及び所望に応じて微粒子、粘着付与剤、可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等を含有する。
本発明の保護フィルム付書き味向上フィルムは、保護フィルムの線膨張係数β(×10-5/K)が、後述するように、前記書き味向上フィルムの線膨張係数α(×10-5/K)との関係で、式:-6.5<(α-β)<6.5を満たすことを要する。
すなわち、用いる保護フィルムは、用いる書き味向上フィルムとの関係で、上記式を満たす線膨張係数を有するものであることが必要である。
具体的には、保護フィルムの線膨張係数β(×10-5/K)は、上述した書き味向上フィルムの線膨張係数αとの関係で、式:-6.5<(α-β)<6.5を満たすものであれば、特に制限されないが、通常0超50以下(×10-5/K)であり、1~15(×10-5/K)であることが好ましく、1.3~10(×10-5/K)であることがより好ましく、1.5~8(×10-5/K)であることが特に好ましい。これにより、上記式を満たし易くなる。
保護フィルムの線膨張係数は、熱機械分析装置を用いて、幅4.5mm、長さ15mmの試験片の長さ方向の伸縮を、昇温速度5℃/分で測定し、30~70℃の範囲で線膨張係数(×10-5/K)を算出して求めることができる。
保護フィルムの引張弾性率は、通常10~3000(MPa)である。
保護フィルムの引張弾性率がこのような範囲にあることにより、書き味向上フィルムから保護フィルムを剥離し易くなる傾向がある。また、優れた表面保護性を発揮し易いため、書き味向上フィルムの品質を良好に維持することができる。
引張弾性率は、JIS K7127:1999に準拠して測定される値である。
3)保護フィルム付書き味向上フィルム
本発明の保護フィルム付書き味向上フィルムは、前記書き味向上フィルムの少なくとも一方の面に保護フィルムが積層されてなるものである。
保護フィルムが粘着剤層を有するものである場合、書き味向上フィルムの少なくとも一方の面と前記粘着剤層とが接するようにして、保護フィルムと書き味向上フィルムとが積層される。
本発明の保護フィルム付書き味向上フィルムは、長尺状(帯状)のものであっても、短冊状(枚葉型)のものであってもよい。
本発明の保護フィルム付書き味向上フィルムの層構成の模式図を図1に示す。なお、図1においては、保護フィルムが粘着剤層を有する場合の保護フィルム付書き味向上フィルムの層構成例を記載している。
図1(a)は、書き味向上フィルム10aと保護フィルム20aとが、書き味向上層2aと、保護フィルム20aの粘着剤層3aとが接するように積層されもの、図1(b)は、書き味向上フィルム10bと保護フィルム20bとが、書き味向上フィルム基材層1bと、保護フィルム20aの粘着剤層3bとが接するように積層されたもの、図1(c)は、書き味向上フィルム10cの書き味向上層2c側に、保護フィルム20aが、書き味向上層2cと保護フィルム20cの粘着剤層3cとが接するように積層され、書き味向上フィルム基材層1c側に、保護フィルム20c’が、書き味向上フィルム基材層1cと、保護フィルム20cの粘着剤層3c’とが接するように積層されたものを示す。
本発明の保護フィルム付書き味向上フィルムの層構成の具体例としては、以下のものが挙げられる。
(1)保護フィルム基材層/書き味向上フィルム基材層/書き味向上層
(2)保護フィルム基材層/粘着剤層/書き味向上フィルム基材層/書き味向上層
(3)書き味向上フィルム基材層/書き味向上層/保護フィルム基材層
(4)書き味向上フィルム基材層/書き味向上層/粘着剤層/保護フィルム基材層
(5)保護フィルム基材層1/書き味向上フィルム基材層/書き味向上層/保護フィルム基材層2
(6)保護フィルム基材層1/粘着剤層2/書き味向上フィルム基材層/書き味向上層/保護フィルム基材層2
(7)保護フィルム基材層1/書き味向上フィルム基材層/書き味向上層/粘着剤層2/保護フィルム基材層2
(8)保護フィルム基材層1/粘着剤層1/書き味向上フィルム基材層/書き味向上層/粘着剤層2/保護フィルム基材層2
本発明の保護フィルム付書き味向上フィルムが書き味向上フィルムの両面に保護フィルムが積層されたものである場合、2つの保護フィルム同士は、同じものであっても、相異なるものであってもよい。
これらの中でも、書き味向上層が直接的に保護され、書き味向上層の品質がより保たれ易いことから、書き味向上フィルムの書き味向上層面に、前記保護フィルムが積層されてなる保護フィルム付書き味向上フィルムが好ましい。
保護フィルム付書き味向上フィルムは、書き味向上フィルムと保護フィルムを重ね合わせ、圧着(ラミネート)することにより作製することができる。
保護フィルムが粘着剤層を有する場合には、粘着剤層が書き味向上フィルムに接するように、保護フィルムと書き味向上フィルムとを、公知の方法によりラミネートすればよい。
本発明の保護フィルム付書き味向上フィルムは、上述の通り、前記書き味向上フィルムの線膨張係数をα(×10-5/K)とし、前記保護フィルムの線膨張係数をβ(×10-5/K)としたときに、式:-6.5<(α-β)<6.5を満たすものである。本発明の保護フィルム付書き味向上フィルムは、式:-6.0<(α-β)<6.0を満たすものであるのが好ましく、式:-3.0<(α-β)<3.0を満たすものであるのがより好ましく、式:-1.0<(α-β)<1.0を満たすものであるのが特に好ましく、式:-0.5<(α-β)<0.5を満たすものであるのがさらに好ましい。
保護フィルム付書き味向上フィルムの(α-β)の値が、-6.5以下であったり、6.5以上である場合には、保護フィルム付書き味向上フィルムを、保存、運搬中に長時間高温状態(40~60℃)に晒されたり、加工時において高温状態(50~90℃)で加工されたりする際における温度変化によってフィルムにカールが生じ、それによって書き味向上フィルムの品質が低下する(書き味向上フィルムのタッチペンによる書き味を向上させるという機能が損なわれる)おそれがある。
本発明の保護フィルム付書き味向上フィルムは、αとβの値が上記のような関係を満たすものであるため、保護フィルム付書き味向上フィルムの保存、運搬、加工時等における温度変化によるカールの発生が効果的に制御され、結果として書き味向上フィルムの品質を保持することが可能となる。
本発明の保護フィルム付書き味向上フィルムについて、温度変化によるカールの発生が少ないことは、例えば、本発明の保護フィルム付書き味向上フィルムのサンプル(A4サイズ)を、保護フィルム側を下向きにして、70℃に保持したオーブンに投入し、1時間放置した後であっても、生じるカールの最大高さが、通常50mm以下、好ましくは40mm以下であること等から確認することができる。
ここで、「カールの最大高さ」は、水平な試験台と保護フィルムの間の最大垂直距離である。図2(a)に示すように、山型のカールが生じた場合には、カールの最大高さはh1で示す距離(高さ)であり、図2(b)に示すように、谷型のカールが生じた場合には、カールの最大高さはh2で示す距離(高さ)である。
保護フィルム付書き味向上フィルムが、前記図1(c)に示されるように保護フィルムが2つある場合、カールの発生を抑制する観点から、当該2つの保護フィルムのβにつき、それぞれが上記要件を満たしていることが好ましい。
すなわち、本発明の保護フィルム付書き味向上フィルムは、用いる書き味向上フィルムとの関係で、上記式を満たす線膨張係数を有する保護フィルムを選択して用いる、又は、用いる保護フィルムとの関係で、上記式を満たす線膨張係数を有する書き味向上フィルムを選択して用いる必要がある。
本発明の保護フィルム付書き味向上フィルムは、例えば、種々の線膨張係数β(×10-5/K)を有する保護フィルムをいくつか準備し(ステップ(i))、保護フィルムを積層する書き味向上フィルムの線膨張係数α(×10-5/K)を測定し(ステップ(ii))、次いで、式:式:-6.5<(α-β)<6.5を満たすような保護フィルムを選択し、書き味向上フィルムと保護フィルムとを、図1(a)~図1(c)の層構成となるようにラミネートする(貼り合わせる)ことで作製することができる。
本発明の保護フィルム付書き味向上フィルムにおいて、書き味向上フィルムと保護フィルムの層間剥離力は、800mN/25mm以下であることが好ましい。ここで、「書き味向上フィルムと保護フィルムの層間剥離力」とは、書き味向上フィルムの書き味向上層表面と保護フィルムの層間剥離力、及び/又は、書き味向上フィルムの基材層表面と保護フィルムの層間剥離力を意味する。以下にて詳述する。
本発明の保護フィルム付書き味向上フィルムにおいて、書き味向上フィルムの書き味向上層表面と保護フィルムの層間剥離力は、800mN/25mm以下であることが好ましく、500mN/25mm以下であることがより好ましく、300mN/25mm以下であることが特に好ましく、250mN/25mm以下であることがさらに好ましい。
なお、書き味向上フィルムの基材側に保護フィルムが積層されていない場合は、書き味向上層からの剥離性の観点から、書き味向上層表面と保護フィルムの層間剥離力は、220mN/25mm以下であることが好ましく、200mN/25mm以下であることがより好ましく、180mN/25mm以下であることが特に好ましく、中でも160mN/25mm以下であることが好ましい。書き味向上フィルムと保護フィルムの層間剥離力の下限値は、温度変化に晒された際に書き味向上フィルムから不用意に浮きや剥がれが生じてしまう不具合を防止する観点から、50mN/25mm以上であることが好ましく、80mN/25mm以上であることがより好ましく、100mN/25mm以上であることが特に好ましい。
本発明の保護フィルム付書き味向上フィルムにおいて、書き味向上フィルムの基材層表面と保護フィルムの層間剥離力は、800mN/25mm以下であることが好ましく、500mN/25mm以下であることがより好ましく、300mN/25mm以下であることが特に好ましく、200mN/25mm以下であることがさらに好ましく、中でも170mN/25mm以下であることが好ましい。書き味向上フィルムと保護フィルムの層間剥離力の下限値は、温度変化に晒された際に書き味向上フィルムから不用意に浮きや剥がれが生じてしまう不具合を防止する観点から、50mN/25mm以上であることが好ましく、80mN/25mm以上であることがより好ましく、100mN/25mm以上であることが特に好ましい。
このような層間剥離力を有することで、保存、運搬、加工時等における温度変化によるカールの発生がより効果的に制御され、書き味向上フィルムの品質を保つことができ、かつ、使用時において、保護フィルムを書き味向上フィルムから容易に剥離除去することができる。
書き味向上フィルムと保護フィルムの層間剥離力は、実施例に記載された方法により測定することができる。
本発明の保護フィルム付書き味向上フィルムは、保護フィルムが書き味向上フィルムから剥離除去され、タッチペンが使用されるタッチパネル(位置検出機能付き画像表示装置)の最表層を構成する書き味向上フィルムとして使用することができる。
具体的には、液晶(LCD)モジュール、発光ダイオード(LED)モジュール、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)モジュール等の表示体モジュールやタッチセンサーなどを有するタッチパネルにおけるカバー材上に、書き味向上フィルムが、前記カバー材と書き味向上フィルム基材層面が接するように積層される。書き味向上フィルムは、接着剤層を介して貼付されてもよい。
書き味向上フィルムに対して使用されるタッチペンとしては、特に制限されず、ポリアセタール製のペン先を有するもの、ハードフェルト製のペン先を有するもの、エラストマー製のペン先を有するもの等が挙げられる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、何ら本発明を限定するものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、本発明の保護フィルム付書き味向上フィルムには、他の層が積層されていてもよい。他の層としては、書き味向上フィルム基材層側に積層される、接着剤層、剥離フィルム等が挙げられる。
なお、本明細書において、「X~Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
(製造例1)書き味向上層形成用組成物の調製
多官能ウレタンアクリレートを含有する活性エネルギー線硬化性成分(製品名「オプスターZ7530」、荒川化学工業社製)100質量部(固形分換算値を表す。以下、溶剤以外の他の成分についても同じである。)と、シリコーン微粒子(トスパール1100、モメンティブ社製、平均粒子径:11.0μm、真球状)9.0質量部と、フッ素系の表面調整剤(メガファックRS-90、DIC社製)1.0質量部と、シリコーン系の表面調整剤(SH28、ポリジメチルシロキサン、ダウ・東レ社製)0.3質量部と、及び、溶剤として1-メトキシ-2-プロパノール85.5質量部を混合し、書き味向上層形成用組成物を調製した。
(製造例2)粘着剤層形成用組成物の調製
アクリル酸2-エチルヘキシル70質量部、アクリル酸メチル28.6質量部、メタクリル酸グリシジル0.3質量部、及びアクリル酸1.1質量部を共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体を調製した。得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体の分子量を以下に示す方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は80万であった。
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定(GPC測定)したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
(測定条件)
・GPC測定装置:HLC-8020、東ソー社製
・GPCカラム(以下の順に通過):東ソー社製
TSK guard column HXL-H
TSK gel GMHXL(×2)
TSK gel G2000HXL
・測定溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
上記で得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部(固形分換算値を表す。以下、溶剤以外の他の成分についても同じである。)と、可塑剤としてのアジピン酸ジブトキシエトキシエチル10.0質量部と、架橋剤としてのアジリジン系架橋剤(BXX-5134、トーヨーケム社製)1.9質量部、及び、溶剤としてトルエン87質量部を混合し、粘着剤層形成用組成物を調製した。
(製造例3)書き味向上フィルムaの作製
書き味向上フィルム基材層としてのポリカーボネート/ポリメチルメタクリレート(PC/PMMA)積層フィルム〔AW-10SU、厚み200μm(厚み比:PC/PMMA=約2:1)、線膨張係数:7.66×10-5/K、引張弾性率:1990MPa、ウェーブロック・アドバンスト・テクノロジー社製〕上に、製造例1で得た書き味向上層形成用組成物を、膜厚が7μmとなるように、マイヤーバーで塗布して塗膜を形成し、70℃に保持したオーブンに1分間投入して、乾燥させた。
次いで、紫外線照射装置(アイグランテージECS-401GX型、アイグラフィックス社製)を用い、光源としての高圧水銀灯により、下記照射条件で紫外線照射を行い、前記塗膜を硬化させて書き味向上フィルムaを作製した。
(紫外線照射条件)
ランプ電力:2kW
コンベアスピード:4.23m/min
照度:240mW/cm
光量:307mJ/cm
(製造例4)書き味向上フィルムbの作製
製造例3において、PC/PMMA積層フィルムの代わりに、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム〔ルミラーU403、厚み188μm、線膨張係数:1.68×10-5/K、引張弾性率:214MPa、東レ社製〕を用いた他は、製造例3と同様にして、書き味向上フィルムbを作製した。
得られた書き味向上フィルムa、bの線膨張係数α(×10-5/K)、全光線透過率(%)、及びヘイズ(%)を下記に示す方法で測定した。
また、得られた書き味向上フィルムa、bの、書き味向上層表面につき、下記に示す方法で、摩擦力、鉛筆硬度を測定し、耐擦傷性を評価した。
〔線膨張係数〕
熱機械分析装置(TMA4000SA、BrukerAXS社製)を用いて、幅4.5mm、長さ15mmの試験片の長さ方向の伸縮を、昇温速度5℃/分で測定し、30~70℃の範囲で線膨張係数α(×10-5/K)を算出した。
結果を表1に示す。
〔全光線透過率〕
得られた書き味向上フィルムにつき、JIS K 7361-1に準拠して、ヘイズメーター(NDH-5000、日本電色工業社製)を用いて、ブランクで補正後に書き味向上層側から光を照射して、全光線透過率(%)を測定した。
書き味向上フィルムaの全光線透過率は、90.4%であり、書き味向上フィルムbの全光線透過率は、90.3%であった。
〔ヘイズ〕
得られた書き味向上フィルムのヘイズ値(%)を、JIS K 7136:2000に準拠して、ヘイズメーター(NDH-5000、日本電色工業社製)を用いて、ブランクで補正後に、書き味向上層側から光を照射して測定した。
書き味向上フィルムaのヘイズは、20.4%であり、書き味向上フィルムbのヘイズは、20.2%であった。
〔摩擦力測定〕
得られた書き味向上フィルムa、bとスタイラスペン(製品名「ACK-2003」、ペン先の材質:フェルト、ペン先径:0.5mm、ワコム社製)の筆記時の摩擦力を、静動摩擦測定機(トライボマスターTL201Ts、トリニティーラボ社製)で、下記条件にて測定した。
書き味向上フィルムaは、摩擦力の平均値が310mN、摩擦力の最大値が350mN、摩擦力の最小値が240mN、摩擦力の標準偏差が17mNであった。書き味向上フィルムbは、摩擦力の平均値が300mN、摩擦力の最大値が340mN、摩擦力の最小値が230mN、摩擦力の標準偏差が18mNであった。
(測定条件)
荷重:200g
試験長さ:10~100mm
速度:1.6mm/s(振動測定条件、動摩係数測定条件)
サンプリングピッチ:50ms
スタイラスペン先角度:45°
〔鉛筆硬度〕
得られた書き味向上フィルムa、bの書き味向上層側の表面について、鉛筆硬度を、JIS K5600に準拠して、鉛筆引っかき硬度試験機(製品名「No.553-M」、安田精機製作所社製)を用いて測定した。
書き味向上フィルムa、bの鉛筆硬度は、いずれも4Hであった。
〔耐擦傷性〕
書き味向上フィルムa、bにおける書き味向上層側の表面について、JIS K5600-5-10に準拠して、#0000のスチールウールを用いて、250g/cmの荷重で、10cmの摺動距離にて、10往復擦った。その後、3波長蛍光灯下で、書き味向上層側の表面における傷の有無を目視により確認し、下記基準に沿って評価した。
○:書き味向上層の外観に変化が確認されない(確認される傷の本数が0本)
×:書き味向上層の外観に変化が確認される(確認される傷の本数が1本以上)
その結果、書き味向上フィルムa、bいずれも〇であり、耐擦傷性に優れることが分かった。
(実施例1)
図1(a)に示すものと同様の層構成を有する保護フィルム付書き味向上フィルムを作製した。
保護フィルム基材層C〔ポリカーボネート(PC)フィルム(厚み:100μm、線膨張係数:7.70(×10-5/K))〕上に、所望の膜厚が得られるアプリケーターを用いて、膜厚が30μmとなるように、製造例2で得られた粘着剤層形成用組成物を塗布し、粘着剤層の塗膜を形成した。その後、100℃に保持したオーブンに1分間投入して塗膜を乾燥させ、保護フィルム基材層と粘着剤層からなる保護フィルムを得た。
保護フィルムの線膨張係数β(×10-5/K)は、上述した方法で測定した。結果を表1に示す。
次いで、上記で得た保護フィルムの粘着剤層表面と、製造例2で得られた書き味向上フィルムaの書き味向上層面とを貼り合わせて保護フィルム付書き味向上フィルムを作製した。
(実施例2~4、比較例1、2)
実施例1と同様にして、表1に示す態様にて、実施例2~4、比較例1,2の保護フィルム付書き味向上フィルムを作製した。
表中、保護フィルム基材層D、Eは下記の通りである。
D:ポリプロピレン(PP)フィルム(厚み:120μm)
E:PETフィルム(厚み:38μm)
(実施例5)
実施例1と同様にして、保護フィルム基材層E(PETフィルム、厚み:38μm)上に、所望の膜厚が得られるアプリケーターを用いて、膜厚が23μmとなるように、製造例2で得られた粘着剤層形成用組成物を塗布し、粘着剤層の塗膜を形成した。その後、100℃に保持したオーブンに1分間投入して塗膜を乾燥させ、保護フィルム基材層Eと粘着剤層からなる保護フィルムを得た。
書き味向上フィルムaの書き味向上層の表面側、及び基材層の表面側に、保護フィルムの粘着剤層表面をそれぞれ貼り合わせ、保護フィルム/書き味向上フィルム/保護フィルムの構成である保護フィルム付書き味向上フィルムを作製した。
(実施例6、7)
実施例5と同様にして、表2に示す態様にて、実施例6、7の保護フィルム付書き味向上フィルムを作製した。
保護フィルムの線膨張係数β1、β2(×10-5/K)は、上述した方法で測定した。結果を表2に示す。
実施例1~7、比較例1~2で得られた保護フィルム付書き味向上フィルムにつき、書き味向上フィルムの線膨張係数α(×10-5/K)と保護フィルムの線膨張係数β(×10-5/K)の差を表1、2に示す。
実施例1~7、比較例1~2で得られた保護フィルム付書き味向上フィルムにつき、下記に示す方法で、保護フィルムと書き味向上フィルムとの層間剥離力を測定した。
また、下記に示す方法でカール試験を行い、書き味を評価した。
結果を表1、2に示す。
〔層間剥離力〕
実施例1~7、比較例1~2で得られた保護フィルム付書き味向上フィルムを、25mm幅、110mm長に裁断して試験片を作製した。得られた試験片につき、引張試験機(テンシロン、オリエンテック社製)を用い、JIS Z0237:2009に準拠して、剥離速度300mm/min、剥離角度180°の条件で、書き味向上フィルムの書き味向上層側の面から保護フィルムを剥離したときの層間剥離力(粘着力)(N/25mm)を測定した。
また、実施例5~7で得られた保護フィルム付書き味向上フィルムについては、上記の方法と同様の方法で、書き味向上フィルムの基材側の面から保護フィルムを剥離したときの層間剥離力(粘着力)(N/25mm)を測定した。
結果を表1、2に示す。
〔カール試験〕
得られた保護フィルム付書き味向上フィルムをA4サイズに切り出し、保護フィルム側を下向きにして70℃に保持したオーブンに投入した。1時間放置した後、生じたカールの最大高さ(mm)を計測した。
表中、マイナス(-)で記載しているものは、カールの向きが、保護フィルム側が谷型のカールであることを示す。マイナス(-)が記載されていないものは、保護フィルム側が山形のカールであることを示す。
〔書き味の評価〕
紙(製品名「キャンパスルーズリーフ」、型番:ノ-S816B、サイズ:B5、罫幅:B罫、コクヨ社製、20枚重ねにして使用)及びボールペン(製品名「オレンジEG 1.0」、油性ボールペン、ペン先の直径:1.0mm、BIC社製)を準備した。評価者が、紙にボールペンで「ABCDE」の文字を筆記した。
次いで、カール試験後の保護フィルム付書き味向上フィルムの書き味向上層から保護フィルムを剥離し、書き味向上層が露出するようにガラス板(縦70mm、横150mm、厚さ1.2mm)に両面テープを使用して貼合した。書き味向上層表面に対し、評価者が、前記摩擦力測定で使用したスタイラスペンを使用し、「ABCDE」の文字を筆記した。
実際に紙にボールペンで筆記した書き味(x)と、書き味向上層にスタイラスペンで筆記した書き味(y)とを比較して、以下の基準にて書き味を評価した。
(評価基準)
〇:書き味(y)は、書き味(x)と非常に近い振動感及び抵抗感のある書き心地であった。
△:書き味(y)は、書き味(x)よりも振動感及び抵抗感が少し大きかった。
×:書き味(y)は、書き味(x)よりも振動感及び抵抗感が異なった。
Figure 0007323733000001
Figure 0007323733000002
表1,2から、(α-β)の値が-6.5より大きく6.5より小さい実施例1~7の保護フィルム付書き味向上フィルムは、最大カール高さが40mm以下であり、熱によるカールの発生が抑制されていることが分かる。
また、書き味も良好であり、書き味向上層の品質が保持されていることも分かる。
一方、比較例1、2では、最大カール高さが85mm以上であり、熱により大きなカールが生じていることが分かる。その結果、書き味が劣っていて、カールが生じたことにより、書き味向上層の品質が損なわれている。
1a、1b、1c…書き味向上フィルム基材層
2a、2b、2c…書き味向上層
3a、3b、3c、3c’…粘着剤層
4a、4b、4c、4c’…保護フィルム基材層
10a、10b、10c…書き味向上フィルム
20a、20b、20c、20c’…保護フィルム
30…試験台
h1、h2…カールの最大高さ

Claims (9)

  1. 書き味向上フィルム基材層と書き味向上層とを有する書き味向上フィルムの少なくとも一方の面に、保護フィルムが積層されてなる保護フィルム付書き味向上フィルムであって、
    前記書き味向上フィルムの書き味向上層面とタッチペン(スタイラスペン)の筆記時の摩擦力の平均値が、100~1200mNであり、
    前記書き味向上フィルムの線膨張係数をα(×10-5/K)とし、前記保護フィルムの線膨張係数をβ(×10-5/K)としたときに、式:-6.5<(α-β)<6.5を満たすことを特徴とする、保護フィルム付書き味向上フィルム。
  2. 書き味向上フィルム基材層と書き味向上層とを有する書き味向上フィルムの少なくとも一方の面に、保護フィルムが積層されてなる保護フィルム付書き味向上フィルムであって、
    前記書き味向上フィルムの書き味向上層面とタッチペン(スタイラスペン)の筆記時の摩擦力の最大値が、200~1500mNであり、
    前記書き味向上フィルムの線膨張係数をα(×10 -5 /K)とし、前記保護フィルムの線膨張係数をβ(×10 -5 /K)としたときに、式:-6.5<(α-β)<6.5を満たすことを特徴とする、保護フィルム付書き味向上フィルム。
  3. 書き味向上フィルム基材層と書き味向上層とを有する書き味向上フィルムの少なくとも一方の面に、保護フィルムが積層されてなる保護フィルム付書き味向上フィルムであって、
    前記書き味向上フィルムの書き味向上層面とタッチペン(スタイラスペン)の筆記時の摩擦力の最小値が、80~1200mNであり、
    前記書き味向上フィルムの線膨張係数をα(×10 -5 /K)とし、前記保護フィルムの線膨張係数をβ(×10 -5 /K)としたときに、式:-6.5<(α-β)<6.5を満たすことを特徴とする、保護フィルム付書き味向上フィルム。
  4. 書き味向上フィルム基材層と書き味向上層とを有する書き味向上フィルムの少なくとも一方の面に、保護フィルムが積層されてなる保護フィルム付書き味向上フィルムであって、
    前記書き味向上フィルムの書き味向上層面とタッチペン(スタイラスペン)の筆記時の摩擦力の標準偏差が、10~60mNであり、
    前記書き味向上フィルムの線膨張係数をα(×10 -5 /K)とし、前記保護フィルムの線膨張係数をβ(×10 -5 /K)としたときに、式:-6.5<(α-β)<6.5を満たすことを特徴とする、保護フィルム付書き味向上フィルム。
  5. 前記書き味向上フィルムの書き味向上層側の面に、保護フィルムが積層されてなる、請求項1~4のいずれかに記載の保護フィルム付書き味向上フィルム。
  6. 前記保護フィルムが、粘着剤層と保護フィルム基材層とを有し、前記書き味向上フィルムの少なくとも一方の面と、前記保護フィルムの粘着剤層とが接するように積層されてなる、請求項1~4のいずれかに記載の保護フィルム付書き味向上フィルム。
  7. 前記書き味向上フィルムの線膨張係数をα(×10-5/K)とし、前記保護フィルムの線膨張係数をβ(×10-5/K)としたときに、式:-1.0<(α-β)<1.0を満たすことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の保護フィルム付書き味向上フィルム。
  8. 前記書き味向上フィルムの線膨張係数α(×10-5/K)が、1.5以上8.0以下(×10-5/K)である、請求項1~4のいずれかに記載の保護フィルム付書き味向上フィルム。
  9. 前記書き味向上フィルムと保護フィルムの層間剥離力が、800mN/25mm以下である、請求項1~4のいずれかに記載の保護フィルム付書き味向上フィルム。
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