JPWO2014168218A1 - 多価金属二次電池 - Google Patents

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Abstract

本発明は、−0.7V以下の標準電極電位を有する多価金属からなる負極活物質を含む負極と、正極と、前記正極と負極との間に介在する電解液とを備え、前記正極が、リチウム化合物からなる正極活物質を含む正極である多価金属二次電池を提供する。

Description

本発明は、多価金属を含む負極を備える多価金属二次電池に関する。さらに詳しくは、本発明は、電力の貯蔵、ハイブリッド車や電気自動車の電源、高機能を有するモバイル機器の電源などに好適に用いることができる多価金属二次電池およびこれに用いられる正極活物質に関する。
本発明の多価金属二次電池は、高い作動電圧および高エネルギー密度を有し、しかも安全性に優れることから、電力の貯蔵用の二次電池、ハイブリッド車、電気自動車などに用いられる車載用の二次電池、モバイル機器用の二次電池などとして好適に使用されることが期待されるものである。
近年、エネルギー需給を最適化し、かつ環境への負荷を低減することが求められていることから、二次電池の需要が高まっている。また、モバイル機器の小型化および高性能化が求められていることから、二次電池の小型化および高容量化が望まれている。現在、電力の貯蔵用の二次電池、車載用の二次電池、モバイル機器用の二次電池などには、リチウムイオン二次電池が用いられている。しかし、リチウムイオン二次電池は、過充電などに起因する発熱を生じることがある。
そこで、正極活物質としてシェブレル化合物を含む正極と、グリニャール試薬と塩化アルミニウムとをテトラヒドロフランに溶解させた溶液からなる電解液とを備えるマグネシウム二次電池が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
ドロン オーバッハ(Doron Aurbach)ら、「マグネシウム二次電池のプロトタイプシステム(Prototype systems for rechargeable magnesium batteries)」、ネイチャー(Nature)、2000年10月12日発行、第407巻、pp.724−727
しかし、非特許文献1に記載のマグネシウム二次電池は、作動電圧が低く、単位質量当たりの電荷容量が小さいことから、より高い作動電圧およびエネルギー密度を確保することができ、より安全性に優れる二次電池が求められている。
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、より高い作動電圧およびエネルギー密度を確保することができ、しかも、より安全性に優れる多価金属二次電池およびこれに用いられる正極活物質を提供することを課題とする。
本発明は、
(1)−0.7V以下の標準電極電位を有する多価金属からなる負極活物質を含む負極と、正極と、前記正極と負極との間に介在する電解液とを備え、
前記正極が、リチウム化合物からなる正極活物質を含む正極であることを特徴とする多価金属二次電池、
(2)前記電解液が、リチウムカチオンと、前記多価金属のカチオンとを含む溶液を含有する電解液である前記(1)に記載の多価金属二次電池、
(3)前記多価金属が、金属カルシウム、金属マグネシウム、金属アルミニウムおよび金属亜鉛からなる群より選ばれた金属である前記(1)または(2)に記載の多価金属二次電池、ならびに
(4)前記多価金属が、金属マグネシウムである前記(3)に記載の多価金属二次電池。
に関する。
本発明の多価金属二次電池および正極活物質によれば、より高い作動電圧およびエネルギー密度を確保することができ、しかも、より安全性に優れるという優れた効果が奏される。
(A)は本発明の一実施形態に係る多価金属二次電池の放電反応時における状態を示す概略説明図、(B)は本発明の一実施形態に係る多価金属二次電池の充電反応時における状態を示す概略説明図である。 本発明の他の実施形態に係る多価金属二次電池の概略説明図である。 実施例1において、リチウム化合物(LiFePO4)からリチウムカチオンが脱離したリン酸鉄(FePO4)をホスト化合物とする作用電極と、研磨した金属マグネシウムからなる参照電極と、研磨した金属マグネシウムからなる対極とを用いた場合のサイクリックボルタモグラムを示す図である。 実施例2において、リチウム塩とマグネシウム塩とが配合された電解液を用いた場合のサイクリックボルタモグラムを示す図である。 実施例3において、リチウム塩とマグネシウム塩とが配合された電解液を用いた場合の充放電特性を調べた結果を示す充放電曲線のグラフである。 実施例4において、リチウム塩とマグネシウム塩とが配合された電解液を用いた場合のサイクリックボルタモグラムを示す図である。 実施例4において、カットオフ電位を1.3Vに設定し、リチウム塩とマグネシウム塩とが配合された電解液を用いた場合の充放電特性を調べた結果を示す充放電曲線のグラフである。 実施例5において、充電後および放電後の正極活物質のX線回折分析を行なった結果を示すX線回折図である。 実施例6において、シェブレル化合物(MgMoCr)からなる正極活物質を含む正極を用いた場合のサイクリックボルタモグラムを示す図である。 (A)は電解液として沈殿飽和電解液を有する多価金属二次電池における充電プロセスを示す概略説明図、(B)は電解液として沈殿飽和電解液を有する多価金属二次電池における放電プロセスを示す概略説明図を示す。
本発明の一実施形態(以下、「実施形態1」ともいう)に係る多価金属二次電池は、−0.7V以下の標準電極電位を有する多価金属からなる負極活物質を含む負極と、正極と、前記正極と負極との間に介在する電解液とを備え、前記正極が、リチウム化合物からなる正極活物質を含む正極であることを特徴とする多価金属二次電池である。
本実施形態1に係る多価金属二次電池は、−0.7V以下の標準電極電位を有する多価金属からなる負極活物質を含む負極およびリチウム化合物からなる正極活物質を含む正極が用いられているので、高い作動電圧を確保することができ、大きい充放電速度を得ることができる。また、本実施形態1に係る多価金属二次電池は、前記多価金属からなる負極が用いられているため、高いエネルギー密度を確保することができ、しかも、より安全性に優れている。
本発明の一実施形態に係る多価金属二次電池の放電反応時における状態を図1(A)、本発明の一実施形態に係る多価金属二次電池の充電反応時における状態を図1(B)に示す。図中、「LiR1」はリチウム化合物、「M」は−0.7V以下の標準電極電位を有する多価金属、「Mn+」はn価の多価金属カチオン、「e」は電子、「ne」は、n個の電子、「n」は2〜4の整数を示す。
放電反応時には、多価金属二次電池1の負極20において、「M → Mn++ne」の反応が進行し、負極20から多価金属のカチオンMn+が脱離する。多価金属二次電池1の負極20の負極活物質から脱離した多価金属カチオンMn+は、多価金属二次電池1の正極10の正極活物質(リチウム化合物LiR1)が多価金属のカチオンMn+を挿入しうる間隙を有しない結晶構造を有することから、当該正極10に実質的に挿入されないが、電解液30中のリチウムカチオンは、当該正極10に挿入され、リチウム化合物が生じる〔図1(A)参照〕。したがって、放電反応時には、多価金属二次電池1の正極20の正極活物質がセパレータとしても機能する。一方、充電反応時には、リチウムが多価金属二次電池1の負極20の負極活物質である多価金属よりも卑な金属であることから、負極20において、多価金属二次電池1の正極20の正極活物質から脱離したリチウムカチオンが負極20から電子を受け取ることによって金属リチウムが析出する電位よりも高い電位で、電解液30中の多価金属カチオンが負極20から電子を受け取ることによって多価金属が析出する〔図1(B)参照〕。このとき、多価金属二次電池1の負極20において、「Mn++ne → M」の反応が進行し、負極20において多価金属が析出する。このように、本実施形態1に係る多価金属二次電池は、正極10と負極20との間に隔膜(セパレータ)が設けられていなくても、充放電反応を良好に行なうことができる。したがって、本実施形態に係る多価金属二次電池は、隔膜(セパレータ)を有する二次電池と比べて容易に製造することができる。
本実施形態1の多価金属二次電池は、例えば、正極と負極とを電池容器内に収容し、電解液を当該電池容器内に充填した後、当該電池容器本体を密封することなどによって製造することができる。電池容器の材料、大きさおよび形状は、多価金属二次電池の用途などによって異なることから、多価金属二次電池の用途などに応じて適宜決定することが好ましい。
正極は、前記リチウム化合物からなる正極活物質を含む電極である。かかる正極は、前記正極活物質を含有する正極材料を集電体に担持させた電極である。前記正極は、例えば、前記正極材料を集電体に塗布することなどによって製造することができる。
本明細書において、「リチウム化合物」は、前記多価金属のカチオンが挿入される間隙または位置を有しない結晶構造を有するリチウム化合物をいう。前記リチウム化合物としては、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMnなどのリチウム遷移金属酸化物;LiFePO、LiMnPO、LiCoPO、LiNiPOなどのオリビン型結晶構造を有するリチウム遷移金属リン酸化物;Li2FePOF、Li2MnPOF、Li2CoPOF、Li2NiPOFなどのオリビン型結晶構造を有するフッ素含有リチウム遷移金属リン酸化物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのリチウム化合物は、多価金属二次電池の用途、電解液の電位窓の広さ、所望の起電力の大きさなどに応じて適宜選択することができる。
前記正極材料は、前記リチウム化合物からなる正極活物質を含有する。また、前記正極材料は、必要により、導電助剤および結着剤をさらに含有していてもよい。
前記導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、黒鉛などの炭素材料の粉体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記正極材料中における導電助剤の含有率は、導電助剤の種類などによって異なることから、導電助剤の種類などに応じて適宜決定することが好ましい。
前記結着剤としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライドなどのフッ素樹脂などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記正極材料中における結着剤の含有率は、結着剤の種類などによって異なることから、結着剤の種類などに応じて適宜決定することが好ましい。
前記集電体を構成する材料としては、例えば、白金、アルミニウム、モリブデン、クロム、タングステン、各種アモルファス金属などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記集電体の形状としては、例えば、多孔質体、板、ロール状薄板などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記集電体に対する正極材料の塗布量は、多価金属二次電池の用途などによって異なることから、多価金属二次電池の用途などに応じて適宜決定することが好ましい。
負極は、−0.7V以下の標準電極電位を有する多価金属からなる負極活物質を含む電極である。かかる負極は、−0.7V以下の標準電極電位を有する多価金属からなる電極であってもよく、前記負極活物質を含有する負極材料を集電体に担持させた電極であってもよい。
本明細書において、「多価金属」とは、2価以上の金属をいう。−0.7V以下の標準電極電位を有する多価金属としては、例えば、金属カルシウム、金属マグネシウム、金属アルミニウム、金属亜鉛などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの−0.7V以下の標準電極電位を有する多価金属のなかでは、単位質量あたりに蓄えられる電荷容量および単位体積あたりに蓄えられる電荷容量が多いことから、金属カルシウム、金属マグネシウム、金属アルミニウムおよび金属亜鉛が好ましい。なかでも、単位質量あたりのエネルギー密度および単位体積あたりのエネルギー密度が高いことから、金属マグネシウムがより好ましい。
負極が前記負極活物質を含有する負極材料を集電体に担持させた電極である場合、前記負極材料は、前記多価金属からなる負極活物質を含有する材料を用いることができる。また、前記負極材料は、必要により、導電助剤および結着剤をさらに含有していてもよい。負極材料における導電助剤および結着剤は、正極材料における導電助剤および結着剤と同じである。
電解液は、リチウムカチオンと、前記多価金属のカチオンとを含む溶液を含有する電解液であればよく、特に限定されるものではない。前記電解液は、誘電率が3〜10であり、かつ多価金属を電析することが可能な溶液であることが好ましい。電気誘電率は、リチウムカチオンを含む塩および多価金属のカチオンを含む塩を十分に溶解させる観点から、好ましくは3以上であり、多価金属の電析を行なう観点から、好ましくは10以下である。また、前記電解液は、充放電反応時における分解を抑制する観点から、広い電位窓を有するものであることが好ましい。前記電解液としては、例えば、リチウム塩と負極に用いられる多価金属のカチオンを含む塩(以下、「多価金属塩」ともいう)とをテトラヒドロフラン、メチルテトラグライム、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル系有機溶媒などの溶媒に溶解させた溶液を含有する電解液などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記リチウム塩としては、例えば、LiClO、LiAsF、LiPF、LiCO、LiBF、LiAlFなどの無機リチウム塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記多価金属塩としては、例えば、カルシウム無機塩、カルシウム有機塩などのカルシウム塩;マグネシウム無機塩、マグネシウム有機塩などのマグネシウム塩;アルミニウム無機塩、アルミニウム有機塩などのアルミニウム塩;亜鉛無機塩、亜鉛有機塩などの亜鉛塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの多価金属塩のなかでは、豊富な資源量が豊富であることから、マグネシウム塩が好ましい。前記マグネシウム塩の具体例としては、例えば、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、テトラフルオロホウ酸マグネシウム、ヘキサフルオロリン酸マグネシウムなどのマグネシウム無機塩化合物;ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドマグネシウム、安息香酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、フタル酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、式(x1):
2MgX (x1)
(式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6以上、好ましくは6〜12のアリール基、Xはハロゲン原子を示す)
で表わされるグリニャール試薬などのマグネシウム有機塩化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
また、溶媒としては、例えば、水;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、メチルテトラグライム、ジオキサンなどのエーテル化合物;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート化合物;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
電解液がリチウム塩と多価金属塩とを溶媒に溶解させた溶液を含有する電解液である場合、溶媒100質量部あたりのリチウム塩の配合量は、多価金属二次電池の用途、正極活物質として用いられるリチウム化合物の種類などによって異なることから、多価金属二次電池の用途、正極活物質として用いられるリチウム化合物の種類などに応じて適宜決定することが好ましい。また、電解液がリチウム塩と多価金属塩とを溶媒に溶解させた溶液からなる電解液である場合、溶媒100質量部あたりの多価金属塩の配合量は、多価金属二次電池の用途、負極活物質として用いられる多価金属の種類などによって異なることから、多価金属二次電池の用途、負極活物質として用いられる多価金属の種類などに応じて適宜決定することが好ましい。溶媒に対するリチウム塩と多価金属塩との配合比(リチウム塩/多価金属(モル比))は、多価金属二次電池の用途、リチウム塩および多価金属塩の種類などによって異なることから、多価金属二次電池の用途、リチウム塩および多価金属塩の種類などに応じて適宜決定することが好ましい。
なお、多価金属塩がマグネシウム塩である場合、マグネシウムイオンを十分に電離させる観点から、電解液は、塩化アルミニウムを含むことが好ましい。
本発明の他の実施形態(以下、「実施形態2」ともいう)に係る多価金属二次電池は、−0.7V以下の標準電極電位を有する多価金属からなる負極活物質を含む負極と、正極と、前記正極と負極との間に介在する電解液とを備え、前記多価金属が、金属マグネシウムであり、前記正極が、式(I):
MgMo6−pCrp8 (I)
(式中、Aはカルコゲン原子、pは1〜5の整数を示す)
で表わされる組成を有するシェブレル化合物からなる正極活物質を含む電極であることを特徴とする二次電池である。
本実施形態2に係る多価金属二次電池は、図2に示されるように、金属マグネシウムからなる負極活物質を含む負極(図中、21参照)および前記シェブレル化合物からなる正極活物質を含む正極(図中、11参照)が用いられているので、高い作動電圧を確保することができ、大きい充放電速度を得ることができる。また、本実施形態2に係る多価金属二次電池は、前記多価金属からなる負極が用いられているため、高いエネルギー密度を確保することができ、しかも安全性に優れている。本実施形態2に係る多価金属二次電池においては、電解液31は、リチウムカチオンと、マグネシウムカチオンとを含む溶液からなる電解液である。
正極は、前記シェブレル化合物からなる正極活物質を含む電極である。かかる正極は、前記正極活物質を含有する正極材料を集電体に担持させた電極である。前記正極は、例えば、前記正極材料を集電体に塗布することなどによって製造することができる。
前記正極材料は、前記シェブレル化合物からなる正極活物質を含有する。また、前記正極材料は、必要により、導電助剤および結着剤をさらに含有していてもよい。
前記導電助剤および結着剤は、前記実施形態1にかかる多価金属二次電池における導電助剤および結着剤と同じである。前記正極材料中における導電助剤の含有率は、導電助剤の種類などによって異なることから、導電助剤の種類などに応じて適宜決定することが好ましい。また、前記正極材料中における結着剤の含有率は、結着剤の種類などによって異なることから、結着剤の種類などに応じて適宜決定することが好ましい。
前記集電体を構成する材料は、前記実施形態1にかかる多価金属二次電池における導電助剤および結着剤と同じである。また、前記集電体に対する正極材料の塗布量は、多価金属二次電池の用途などによって異なることから、多価金属二次電池の用途などに応じて適宜決定することが好ましい。
式(I)において、Aは、カルコゲン原子である。カルコゲン原子としては、例えば、硫黄原子、セレン原子、テルル原子などが挙げられる。式(I)において、pは1〜5の整数である。前記シェブレル化合物の具体例としては、MgMoCrS、MgMoCr、MgMoCr、MgMoCr、MgMoCr、MgMoCrSe、MgMoCrSe、MgMoCrSe、MgMoCrSe、MgMoCrSe、MgMoCrTe、MgMoCrTe、MgMoCrTe、MgMoCrTe、MgMoCrTeなどが挙げられるが、本発明は、例示のみに限定されるものではない。式(I)で表わされるシェブレル化合物は、MgMoと比べて質量が少なくなっていることから、式(I)で表わされるシェブレル化合物からなる正極活物質を含む正極を備える多価金属二次電池によれば、高いエネルギー密度を確保することができる。
本実施形態2に係る多価金属二次電池において、負極は、前記実施形態1にかかる多価金属二次電池における負極と同じである。
前記電解液としては、例えば、マグネシウム塩を溶媒に溶解させた溶液を含有する電解液などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記マグネシウム塩および溶媒は、前記実施形態1にかかる多価金属二次電池におけるマグネシウム塩および溶媒と同じである。なお、電解液は、マグネシウム塩を十分に溶解させる観点から、塩化アルミニウムをさらに含んでいてもよい。溶媒100質量部あたりのマグネシウム塩の配合量は、多価金属二次電池の用途、マグネシウム塩の種類などによって異なることから、多価金属二次電池の用途、マグネシウム塩の種類などに応じて適宜決定することが好ましい。
本発明には、金属マグネシウムからなる負極活物質からなる負極を備える多価金属二次電池に用いるための正極活物質であって、式(I)で表わされる組成を有するシェブレル化合物からなる正極活物質も包含される。
なお、従来のリチウムイオン電池では、キャリアイオンが両極間を移動するロッキングチェア型の機構が採用されている。これに対し、本発明の多価金属二次電池では、正極のキャリアイオン(リチウムイオン)が負極に電析せず、負極のキャリアイオン(マグネシウムイオン)が正極活物質内部にインターカレーションしないように構成されており、電解液中にキャリアイオンが蓄えられるようになっている。したがって、正極および負極の活物質全体に含まれるこれらのキャリアイオンを当該電解液中に蓄えるためには、電解液の溶媒が多いことが望ましい。そこで、本発明の多価金属二次電池では、電解液量を減らしてエネルギー密度を向上させる観点から、電解液が沈殿飽和電解液であることが好ましい。なお、本明細書において、「沈殿含有飽和電解液」とは、2種類のキャリアイオンから構成される塩の沈殿物を、当該キャリアイオンの量が各電極用量に相当する量となるように含む電解液をいう。かかる沈殿含有飽和電解液は、例えば、正極と負極との間に、2種類の塩(例えば、MgCl、LiClなど)から構成された多孔質体をセパレータとして設置し、当該多孔質体の孔部内を満たす程度の少量の溶媒を前記多孔質体に添加することによって得ることができる。ここで、多孔質体に添加される溶媒の量は、多孔質体を構成する塩の種類などに応じて適宜決定することが好ましい。
電解液として沈殿飽和電解液を有する多価金属二次電池における充電プロセスを図10(A)、電解液として沈殿飽和電解液を有する多価金属二次電池における放電プロセスを図10(B)に示す。なお、図10においては、正極活物質としてLiFePO4(図中、「LFP」)を用いた場合の多価金属二次電池を例として挙げて説明する。図中、LFPはLiFePO4、Mgはマグネシウム、Mg2+はマグネシウムカチオン、A-はアニオン〔例えば、塩化物イオン(Cl-)、ホウフッ化物イオン(BF4 -)、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF6 -)など〕、Li+はリチウムカチオン、MgA2はマグネシウム塩からなる沈殿物、LiAはリチウム塩からなる沈殿物を示す。
2種類のカチオン(リチウムカチオンおよび多価金属カチオン)が存在する沈殿飽和電解液では、溶媒に対する各カチオンの溶解度は互いに異なるものの、沈殿飽和電解液におけるカチオン比は、平衡状態では、一定に保たれる。
充電プロセスでは、図10(A)に示されるように、正極活物質であるLiFePO4(図中、「LFP」)からリチウムカチオンが脱離する〔図10(A)の(1a)参照〕。このとき、沈殿飽和電解液中ではリチウムカチオンが飽和しているので、リチウム塩からなる沈殿物(LiA)が生じる方向に反応が進む〔図10(A)の(2b)参照〕。負極上では、マグネシウムが電析する〔図10(A)の(1b)参照〕。このとき、沈殿飽和電解液のマグネシウムイオン濃度が減少するので、マグネシウム塩からなる沈殿物(MgA)が溶解し〔図10(A)の(2a)参照〕、これにより、マグネシウムカチオンとアニオン(A)とが生じる。そして、正極から脱離したリチウムイオンと、マグネシウム塩からなる沈殿物(MgA2)から溶解したアニオン(A)とが塩を形成して沈殿する。一方、放電プロセスでは、図10(B)に示されるように、充電プロセスとは逆のプロセスが行なわれる。これにより、沈殿飽和電解液における少量の溶媒中の2種類のキャリアイオンの平衡溶解度が保たれることから、本発明の多価金属二次電池の電解液として前記沈殿飽和溶液を用いた場合には、電解液量を減らしてエネルギー密度を向上させることができる。
以上説明したように、本発明の多価金属二次電池は、高い作動電圧および高エネルギー密度を有し、しかも安全性に優れている。したがって、本発明多価金属二次電池は、エネルギー需給を最適化することができ、かつ環境に対する負荷を低減させることができるエネルギー需給システムの開発、より燃費に優れたハイブリッド車、電気自動車などの開発、より小型化され、高性能化されたモバイル機器の開発などに有用である。
つぎに、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
アルゴンガス雰囲気に保たれたグローブボックス内で、リチウム化合物(LiFePO4)からリチウムカチオンが脱離したリン酸鉄(FePO4)が3mg/cm2となるように塗布された白金板からなる作用電極と、研磨した金属マグネシウムからなる参照電極と、研磨した金属マグネシウムからなる対極と、電解液(0.5Mフェニルマグネシウムクロライドおよび0.25M塩化アルミニウムを含むテトラヒドロフラン溶液)とが用いられた三電極式セルを構築した。得られた三電極式セルと電気化学測定装置(バイオロジック(BioLogic)社製、商品名:SP−300)とを用い、走査速度:0.1mV/sでサイクリックボルタンメトリー測定を行なった。
実施例1において、リチウム化合物(LiFePO4)からリチウムカチオンが脱離したリン酸鉄(FePO4)をホスト化合物とする作用電極と、研磨した金属マグネシウムからなる参照電極と、研磨した金属マグネシウムからなる対極とを用いた場合のサイクリックボルタモグラムを図3に示す。
図3に示された結果から、カソードピークが見られないことから、リン酸鉄(FePO4)をホスト化合物とするリチウム化合物(LiFePO4)からなる作用電極には、放電反応時にマグネシウムカチオンが挿入されないことがわかる。
実施例2
アルゴンガス雰囲気に保たれたグローブボックス内で、白金からなる作用電極と、研磨した金属マグネシウムからなる参照電極と、研磨した金属マグネシウムからなる対極と、電解液〔1Mフェニルマグネシウムクロライド(マグネシウム塩)と0.2M塩化アルミニウムと0.2Mテトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)(リチウム塩)とを含むテトラヒドロフラン溶液〕とが用いられたビーカーセルを構築した。得られたビーカーセルと電気化学測定装置(バイオロジック(BioLogic)社製、商品名:SP−300)とを用い、走査速度:10mV/sでサイクリックボルタンメトリー測定を行なった。
実施例2において、リチウム塩とマグネシウム塩とが配合された電解液を用いた場合のサイクリックボルタモグラムを示す図4に示す。
図4に示された結果から、リチウムの溶解〔図中、(A)〕、マグネシウムの溶解〔図中、(B)〕、マグネシウムの析出〔図中、(C)〕およびリチウムの析出〔図中、(D)〕が起こっていることがわかる。したがって、これらの結果から、リチウム塩とマグネシウム塩とが配合された電解液を用いた場合にも、充放電反応により、金属マグネシウムの溶解および析出を行なうことが可能であることが示唆される。
実施例3
アルゴンガス雰囲気に保たれたグローブボックス内で、充電済みのリチウム化合物(LiFePO4)が3mg/cm2となるように塗布された白金板からなる作用電極と、研磨した金属マグネシウムからなる参照電極と、研磨した金属マグネシウムからなる対極と、電解液〔1Mフェニルマグネシウムクロライド(マグネシウム塩)と0.2M塩化アルミニウムと0.2Mテトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)(リチウム塩)とを含むテトラヒドロフラン溶液〕とが用いられたビーカーセルを構築した。得られたビーカーセルと電気化学測定装置(バイオロジック(BioLogic)社製、商品名:SP−300)とを用い、走査速度:10mV/sでサイクリックボルタンメトリー測定を行なった。
実施例3において、リチウム塩とマグネシウム塩とが配合された電解液を用いた場合のサイクリックボルタモグラムを図5に示す。図中、LFPはリチウム化合物(LiFePO4)が塗布された白金板からなる作用電極における電位、Mgは対極における電位を示す。
図5に示された結果から、作用電極において、放電反応時に2.3V付近にプラトーな電位が見られ、作用電極を構成するホスト化合物(FePO4)にリチウムカチオンが挿入されていることがわかる。また、対極の電位の変化から、充放電過程において、金属マグネシウムの溶解および析出が行なわれていることが示されることから、充放電反応が良好に行なわれていることがわかる。したがって、これらの結果から、放電反応時には、多価金属であるマグネシウムのカチオンが、作用電極を構成するホスト化合物(FePO4)に実質的に挿入されないが、リチウムカチオンは、作用電極を構成するホスト化合物(FePO4)に挿入され、リチウム化合物(LiFePO4)が生じている一方、充電反応時には、金属リチウムが析出する前に、多価金属である金属マグネシウムが析出していることが示唆される。
実施例4
アルゴンガス雰囲気に保たれたグローブボックス内で、充電済みのリチウム化合物(LiFePO4)が3mg/cm2となるように塗布された白金板からなる作用電極と、研磨した金属マグネシウムからなる参照電極と、研磨した金属マグネシウムからなる対極と、電解液〔1Mフェニルマグネシウムクロライド(マグネシウム塩)と0.2M塩化アルミニウムと0.4Mテトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)(リチウム塩)とを含むテトラヒドロフラン溶液〕とが用いられたビーカーセルを構築した。得られたビーカーセルと電気化学測定装置(バイオロジック(BioLogic)社製、商品名:SP−300)とを用い、走査速度:10mV/sでサイクリックボルタンメトリー測定を行なった。また、カットオフ電位を1.3Vに設定し、充放電特性を調べた。
実施例4において、リチウム塩とマグネシウム塩とが配合された電解液を用いた場合のサイクリックボルタモグラムを図6、カットオフ電位を1.3Vに設定し、リチウム塩とマグネシウム塩とが配合された電解液を用いた場合の充放電特性を調べた結果を図7に示す。
図6および図7に示された結果から、正極の電位がリチウム化合物(LiFePO4)からのリチウムカチオンの脱離および挿入に対応する電位であり、かつ負極の電位が金属マグネシウムの溶解および析出に対応する電位であることから、充放電反応が良好に行なわれていることがわかる。また、図6に示された結果から、電流の値が−または+に変わるときの電位(図6中、矢印)がほぼ0V付近であるため、起電力が大きくとれることが示される。
実施例5
実施例3において、充電後および放電後の正極活物質を採取し、X線回折法によって分析した。
実施例5において、充電後および放電後の正極活物質のX線回折分析を行なった結果を図8に示す。
図8に示された結果から、充電後の正極活物質のX線回折パターンは、作用電極を構成するホスト化合物(FePO4)のX線回折パターンと同じであることがわかる。また、図8に示された結果から、放電後の正極活物質のX線回折パターンは、作用電極を構成するリチウム化合物(LiFePO4)のX線回折パターンと同じであることがわかる。したがって、これらの結果から、充放電反応時に、作用電極において、リチウムカチオンの脱離および挿入が良好に行なわれており、放電反応時にマグネシウムカチオンが挿入されないことがわかる。
また、リチウム化合物(LiCoO2、LiFePO4またはLiMn24)を含む正極と金属マグネシウムを含む負極とが用いられた場合の理論上の容量、起電力およびエネルギー密度を求めた。対照として、リチウム化合物(LiCoO2、LiFePO4またはLiMn24)を含む正極とカーボンを含む負極とが用いられた場合の理論上の容量、起電力およびエネルギー密度を求めた。その結果を表1に示す。
表1に示された結果から、LiCoO2、LiFePO4およびLiMn24のいずれかのリチウム化合物を含む正極と、金属マグネシウムを含む負極とを用いた場合、エネルギー密度は、LiCoO2、LiFePO4およびLiMn24のいずれかのリチウム化合物を含む正極と、カーボンを含む負極とを用いたときのエネルギー密度よりも高いことが予想される。
以上の結果から、−0.7V以下の標準電極電位を有する多価金属からなる負極活物質を含む負極と、リチウム化合物からなる正極活物質を含む正極とを備える多価金属二次電池によれば、高い作動電圧および高エネルギー密度を確保することができ、優れた安全性を確保することができることから、電力の貯蔵用の二次電池、ハイブリッド車、電気自動車などに用いられる車載用の二次電池、モバイル機器用の二次電池などとして好適であることが示唆される。
実施例6
MgMoのMoをCrに置換したシェブレル化合物であるMgMoCr(正極活物質)とカーボンブラック(導電助剤)とポリフッ化ビニリデン(結着剤)とを、MgMoCr/カーボンブラック/ポリフッ化ビニリデン(体積比)が8/1/1となるように混合し、正極材料を得た。つぎに、アルゴンガス雰囲気に保たれたグローブボックス内で、前記正極材料が3mg/cm2となるように塗布された白金板からなる作用電極と、研磨した金属マグネシウムからなる参照電極と、研磨した金属マグネシウムからなる対極と、電解液〔1Mフェニルマグネシウムクロライド(マグネシウム塩)と0.2M塩化アルミニウムとを含むテトラヒドロフラン溶液〕とが用いられた三電極式セルを構築した。得られた三電極式セルと電気化学測定装置(バイオロジック(BioLogic)社製、商品名:SP−300)とを用い、走査速度:0.1mV/sまたは10mV/sでサイクリックボルタンメトリー測定を行なった。
実施例6において、シェブレル化合物(MgMoCr)からなる正極活物質を含む正極を用いた場合のサイクリックボルタモグラムを図9に示す。
図9に示された結果から、マグネシウム基準で、1V程度の電位がマグネシウムカチオン脱挿入電位であることがわかる。したがって、かかる結果から、マグネシウム二次電池において、シェブレル化合物(MgMoCr)からなる正極活物質を含む正極を用いた場合には、1Vの作動電圧を得ることができることが示唆される。
また、前記MgMoCrまたは当該MgMoCrと同様にMgMoのMoをCrに置換したシェブレル化合物であるMgMoCrを含む正極と金属マグネシウムを含む負極とが用いられた場合の理論上の容量、起電力およびエネルギー密度を求めた。対照として、MgMoを含む正極と金属マグネシウムを含む負極とが用いられた場合の理論上の容量、起電力およびエネルギー密度を求めた。その結果を表2に示す。
表2に示された結果から、MgMoの実質容量と比べ、MgMoのMoをCrに置換した化合物であるMgMoCrおよびMgMoCrそれぞれの実質容量が高いことが予想される。これらの結果から、金属マグネシウムを負極とする多価金属二次電池において、式(I):
MgMo6−pCrp8 (I)
(式中、Aはカルコゲン原子、pは1〜5の整数を示す)
で表わされる組成を有するシェブレル化合物からなる正極活物質を含む正極を用いた場合には、高エネルギー密度を確保することができ、金属マグネシウムを負極とする多価金属二次電池の正極活物質として好適に用いることができることが示唆される。
実施例7
アルゴンガス雰囲気に保たれたグローブボックス内で、2種類の塩(MgCl2およびLiCl)で構成された多孔質体を、LiFePO4からなる正極と、研磨した金属マグネシウムからなる負極とで挟むように設置する。つぎに、前記多孔質体に少量の溶媒(テトラヒドロフランおよびグライムなどのエーテル溶媒)を添加して、沈殿飽和電解液を形成させ、多価金属二次電池を得る。得られた多価金属二次電池について、性能(充放電サイクル試験など)を評価する。その結果、前記多価金属二次電池は、高い作動電圧および高エネルギー密度を確保することができることがわかる。
以上の結果から、金属マグネシウムからなる負極活物質を含む負極と、式(I)で表わされる組成を有するシェブレル化合物からなる正極活物質を含む正極と備える多価金属二次電池によれば、高い作動電圧および高エネルギー密度を確保することができ、優れた安全性を確保することができることから、電力の貯蔵用の二次電池、ハイブリッド車、電気自動車などに用いられる車載用の二次電池、モバイル機器用の二次電池などとして好適であることが示唆される。
以上説明した実施形態および実施例は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであり、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、前記実施形態および実施例に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更および均等物をも含む趣旨である。また、当業者であれば、単なる日常的な実験手法によって、本明細書に記載された発明の具体的態様に対する多くの均等物を認識し、あるいは確認することができるであろう。そのような均等物は、本発明の範疇に含まれる。
なお、下記クレームとは別に、本発明の範疇には、以下の態様も含まれる。
(1)−0.7V以下の標準電極電位を有する多価金属からなる負極活物質を含む負極と、正極と、前記正極と負極との間に介在する電解液とを備え、
前記多価金属が、金属マグネシウムであり、
前記正極が、式(I):
MgMo6−pCrp8 (I)
(式中、Aはカルコゲン原子、pは1〜5の整数を示す)
で表わされる組成を有するシェブレル化合物からなる正極活物質を含む電極であることを特徴とする多価金属二次電池。かかる多価金属二次電池によれば、金属マグネシウムからなる負極活物質を含む負極と前記シェブレル化合物からなる正極活物質を含む正極とが併用されているので、高いエネルギー密度および高い作動電圧を確保することができ、大きい充放電速度を得ることができ、しかも安全性に優れている。
(2)金属マグネシウムからなる負極活物質からなる負極を備える多価金属二次電池に用いるための正極活物質であって、
式(I):
MgMo6−pCrp8 (I)
(式中、Aはカルコゲン原子、pは1〜5の整数を示す)
で表わされる組成を有するシェブレル化合物からなることを特徴とする正極活物質。前記正極活物質によれば、式(I)で表わされるシェブレル化合物からなるので、高いエネルギー密度を確保することができる。
1 多価金属二次電池
2 多価金属二次電池
10 正極
11 正極
20 負極
21 正極
30 電解液
31 電解液
【0012】
せず、負極のキャリアイオン(マグネシウムイオン)が正極活物質内部にインターカレーションしないように構成されており、電解液中にキャリアイオンが蓄えられるようになっている。したがって、正極および負極の活物質全体に含まれるこれらのキャリアイオンを当該電解液中に蓄えるためには、電解液の溶媒が多いことが望ましい。そこで、本発明の多価金属二次電池では、電解液量を減らしてエネルギー密度を向上させる観点から、電解液が沈殿飽和電解液であることが好ましい。なお、本明細書において、「沈殿飽和電解液」とは、2種類のキャリアイオンから構成される塩の沈殿物を、当該キャリアイオンの量が各電極用量に相当する量となるように含む電解液をいう。かかる沈殿飽和電解液は、例えば、正極と負極との間に、2種類の塩(例えば、MgCl、LiClなど)から構成された多孔質体をセパレータとして設置し、当該多孔質体の孔部内を満たす程度の少量の溶媒を前記多孔質体に添加することによって得ることができる。ここで、多孔質体に添加される溶媒の量は、多孔質体を構成する塩の種類などに応じて適宜決定することが好ましい。
[0042]
電解液として沈殿飽和電解液を有する多価金属二次電池における充電プロセスを図10(A)、電解液として沈殿飽和電解液を有する多価金属二次電池における放電プロセスを図10(B)に示す。なお、図10においては、正極活物質としてLiFePO(図中、「LFP」)を用いた場合の多価金属二次電池を例として挙げて説明する。図中、LFPはLiFePO、Mgはマグネシウム、Mg2+はマグネシウムカチオン、Aはアニオン〔例えば、塩化物イオン(Cl)、ホウフッ化物イオン(BF )、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF )など〕、Liはリチウムカチオン、MgAはマグネシウム塩からなる沈殿物、LiAはリチウム塩からなる沈殿物を示す。
[0043]
2種類のカチオン(リチウムカチオンおよび多価金属カチオン)が存在する沈殿飽和電解液では、溶媒に対する各カチオンの溶解度は互いに異なるものの、沈殿飽和電解液におけるカチオン比は、平衡状態では、一定に保たれる。

Claims (4)

  1. −0.7V以下の標準電極電位を有する多価金属からなる負極活物質を含む負極と、正極と、前記正極と負極との間に介在する電解液とを備え、
    前記正極が、リチウム化合物からなる正極活物質を含む正極であることを特徴とする多価金属二次電池。
  2. 前記電解液が、リチウムカチオンと、前記多価金属のカチオンとを含む溶液を含有する電解液である請求項1に記載の多価金属二次電池。
  3. 前記多価金属が、金属カルシウム、金属マグネシウム、金属アルミニウムおよび金属亜鉛からなる群より選ばれた金属である請求項1または2に記載の多価金属二次電池。
  4. 前記多価金属が、金属マグネシウムである請求項3に記載の多価金属二次電池。
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